(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2導体膜に隣接する前記第4導体膜の側壁であって、前記第2導体膜と隣接していない方の側壁は、前記半導体基板の主面に対して垂直に形成されている、請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0013】
また、以下の実施の形態で用いる図面においては、平面図であっても図面を見やすくするために部分的にハッチングを付す場合がある。
【0014】
(実施の形態1)
本実施の形態の半導体装置は、半導体基板上に形成するスプリットゲート型の不揮発性メモリセルであるMONOSメモリセルを微細化するとともに、半導体装置の信頼性を向上させるものである。
【0016】
また、
図6、
図9、
図16および
図25は、製造工程中の半導体装置のうち、容量素子形成領域の平面レイアウトを示している。また、
図10および
図24は、製造工程中の半導体装置のうち、給電部形成領域の平面レイアウトを示している。
【0017】
まず、
図1に示すように、例えば単結晶シリコンからなる半導体基板SBを準備する。続いて、半導体基板SBの主面に溝を形成し、溝内に酸化シリコン膜などを埋め込むことにより、素子分離領域EIを形成する。素子分離領域EIは、例えばSTI(Shallow Trench Isolation)であるものとする。その後、半導体基板SBの主面にイオン注入法などにより不純物を打ち込み、ウエル(図示しない)を形成する。ウエルが形成される深さは、素子分離領域EIよりも深いものとする。
【0018】
次に、
図2に示すように、半導体基板SBの主面上に、絶縁膜IFおよびポリシリコン膜P1を順次形成する。絶縁膜IFは例えば酸化シリコン膜からなり、絶縁膜IFおよびポリシリコン膜P1は、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法により形成する。その後、フォトリソグラフィ技術を用い、イオン注入法により、ポリシリコン膜P1の一部にN型の不純物(例えばAs(ヒ素))を打ち込む。ここでは、低耐圧素子形成領域D1のポリシリコン膜P1上をフォトレジスト膜PR1により覆った状態でイオン注入を行うことで、MONOSメモリ形成領域A1、給電部形成領域B1および容量素子形成領域C1のポリシリコン膜P1に不純物イオンを打ち込む。
【0019】
なお、
図2に示すMONOSメモリ形成領域A1および低耐圧素子形成領域D1は、
図1を用いて説明した工程において、素子分離領域EIを形成しなかった領域、すなわち半導体基板の主面が素子分離領域EIから露出している活性領域である。また、給電部形成領域B1および容量素子形成領域C1は、
図1を用いて説明した工程において、素子分離領域EIを形成した領域である。
【0020】
次に、
図3に示すように、フォトレジスト膜PR1を除去した後に、ポリシリコン膜P1の上面の全面上にCVD法などを用いて窒化シリコン膜N2を形成(堆積)する。
【0021】
次に、
図4に示すように、フォトリソグラフィ技術により、フォトレジスト膜PR2のパターンを窒化シリコン膜N2上に形成した後、フォトレジスト膜PR2をマスクとしたドライエッチング法により、窒化シリコン膜N2、ポリシリコン膜P1、および絶縁膜IFを一部除去することで、半導体基板SBの上面および素子分離領域EIの上面を露出させる。これにより、MONOSメモリ形成領域A1には、ポリシリコン膜P1からなるダミーゲート電極DPと、絶縁膜IFからなるゲート絶縁膜GFとが形成される。
【0022】
ポリシリコン膜P1とダミーゲート電極DPは、互いに間隔を空けて離れて隣り合って設けられている。このとき、
図4の断面に沿う方向、すなわち、ダミーゲート電極DP、ポリシリコン膜P1が並ぶ方向において、ダミーゲート電極DPの幅は例えば100nm、ポリシリコン膜P1の幅は例えば60nmとする。また、同方向において、ダミーゲート電極DPおよびポリシリコン膜P1との間に埋め込まれたポリシリコン膜P2の幅は、例えば80〜90nmとする。
【0023】
ここで、
図4に示すように、MONOSメモリ形成領域A1では、半導体基板SBの主面に沿う方向に並ぶ絶縁膜IFからなるパターンを複数形成したとき、一つの絶縁膜IFに隣り合う絶縁膜であって、当該絶縁膜IFを挟むように配置された一対の絶縁膜をゲート絶縁膜GFとする。また、MONOSメモリ形成領域A1では、半導体基板SBの主面に沿う方向に並ぶポリシリコン膜P1からなるパターンを複数形成したとき、隣り合うポリシリコン膜P1同士の間には、ダミーゲート電極DPが形成される。このとき、MONOSメモリ形成領域A1では、ゲート絶縁膜GF上にはポリシリコン膜P1が形成されており、絶縁膜IF上にはダミーゲート電極DPが形成されている。
【0024】
つまり、隣り合うゲート絶縁膜GFの間に、絶縁膜IFが配置されており、隣り合うゲート絶縁膜GFのそれぞれの上面に接して形成されたポリシリコン膜P1のそれぞれの間には、ゲート絶縁膜GFの上面に接するダミーゲート電極DPが形成されている。ダミーゲート電極DPは、後の工程で除去され、その後完成する半導体装置には残らない犠牲パターンである。
【0025】
次に、
図5に示すように、フォトレジスト膜PR2を除去した後に、例えばCVD法を用いて、半導体基板SBの主面の全面上に、酸化シリコン膜X1、窒化シリコン膜N1、酸化シリコン膜X2、およびポリシリコン膜P2を順次形成する。これにより、絶縁膜IF、ポリシリコン膜P1および窒化シリコン膜N2の積層膜からなるパターンの上面および側壁は酸化シリコン膜X1により覆われる。また、絶縁膜IF、ダミーゲート電極DPおよび窒化シリコン膜N2の積層膜からなるパターンの上面および側壁は酸化シリコン膜X1により覆われる。また、ゲート絶縁膜GF、ポリシリコン膜P1および窒化シリコン膜N2の積層膜からなるパターンの上面および側壁は酸化シリコン膜X1により覆われる。なお、以下では酸化シリコン膜X1、窒化シリコン膜N1、酸化シリコン膜X2からなる積層膜を、単にONO膜と呼ぶ場合がある。
【0026】
このとき、半導体基板SB上には複数のポリシリコン膜P1のパターンが形成されており、隣り合うポリシリコン膜P1同士の間の溝は、酸化シリコン膜X1、窒化シリコン膜N1、酸化シリコン膜X2、およびポリシリコン膜P2により完全に埋め込まれる。ただし、ポリシリコン膜P1同士の間隔が大きい箇所では、ポリシリコン膜P1間は完全には埋まらない。ダミーゲート電極DPとポリシリコン膜P1との間の溝は、酸化シリコン膜X1、窒化シリコン膜N1、酸化シリコン膜X2、およびポリシリコン膜P2により完全に埋め込まれる。
【0027】
次に、
図6および
図7に示すように、ドライエッチング法を用いてポリシリコン膜P2を一部除去し、酸化シリコン膜X2の上面を露出させる。
図6は、製造工程中の半導体装置の平面レイアウトであり、
図7の容量素子形成領域C1は、
図6のC−C線における断面を示すものである。つまり、
図6は、本実施の形態の半導体装置のうち、容量素子を形成する領域を示す平面レイアウトである。なお、
図6のC−C線は5本のポリシリコン膜P1および6本のポリシリコン膜P2を横切っているが、
図7では、図を簡略化するために、容量素子形成領域C1において、ポリシリコン膜P1、P2の本数を省略して示している。
【0028】
なお、
図6では、ポリシリコン膜P1、P2の配置を分かりやすくするため、ポリシリコン膜P1上の窒化シリコン膜N2およびONO膜の図示を省略している。また、ポリシリコン膜P1、P2に覆われていない領域の素子分離領域EI上のONO膜の図示を一部省略している。
【0029】
図7に示すように、ダミーゲート電極DPの直上のポリシリコン膜P2は除去される。また、隣り合うポリシリコン膜P1同士の間、または隣り合うポリシリコン膜P1とダミーゲート電極DPとの間に埋め込まれたポリシリコン膜P2の上面の高さは、窒化シリコン膜N2上の酸化シリコン膜X2の上面の高さとほぼ同様の高さとなる。このとき、ポリシリコン膜および窒化シリコン膜N2の積層膜の側壁であって、
図5を用いて説明した成膜工程で前記積層膜の横の領域がポリシリコン膜P2により完全に埋め込まれなかった方の側壁には、酸化シリコン膜X1、窒化シリコン膜N1、酸化シリコン膜X2を介して、ポリシリコン膜P2がサイドウォール状に自己整合的に形成されている。
【0030】
なお、ダミーゲート電極DPとポリシリコン膜P1との間の溝は、酸化シリコン膜X1、窒化シリコン膜N1、酸化シリコン膜X2、およびポリシリコン膜P2により完全に埋め込まれたままであり、当該ポリシリコン膜P2はサイドウォール状にはなっていない。
【0031】
図6に示すように、容量素子の形成領域では、素子分離領域EI上に形成されたポリシリコン膜P2に囲まれるようにポリシリコン膜P1が配置されている。ポリシリコン膜P1、P2間には酸化シリコン膜X1、窒化シリコン膜N1および酸化シリコン膜X2からなるONO膜が形成されているため、ポリシリコン膜P1、P2は互いに絶縁されている。
【0032】
ポリシリコン膜P2のパターンは、ポリシリコン膜P1のパターンを二つ囲んでいる。二つのポリシリコン膜P1のパターンのうち、一方の櫛型のポリシリコン膜P1のパターンはポリシリコン膜P2との間に容量を発生させるために用いられるものであり、もう一方の一方向に延在するポリシリコン膜P1のパターンは、ポリシリコン膜P2に確実にコンタクトプラグ(接続部材)を接続するために設けられているものである。容量を発生させるために設けられたポリシリコン膜P1は、第1方向に延在するパターンと、第1方向に直交する第2方向に延在し、第1方向に並ぶ複数のパターンとを含む櫛型の形状を有している。第2方向に延在する複数のパターン同士の間には、第2方向に延在するポリシリコン膜P2が形成されており、第1方向において、ポリシリコン膜P1、P2は交互に形成されている。このように、ポリシリコン膜P2も、第2方向に延在する複数のパターンを含む櫛型の形状を有している。
【0033】
次に、
図8に示すように、半導体基板SB上にフォトリソグラフィ技術により形成したフォトレジスト膜PR3をマスクとして使用した等方性のドライエッチング法により、ポリシリコン膜P1の側壁にONO膜を介してサイドウォール状に形成されたポリシリコン膜P2を除去する。このとき、MONOSメモリ形成領域A1では、ポリシリコン膜P1とダミーゲート電極DPとの間に埋め込まれたポリシリコン膜P2は、フォトレジスト膜PR3に覆われているため除去されないが、ポリシリコン膜P1の側壁のサイドウォール状のポリシリコン膜P2は除去され、酸化シリコン膜X2の表面が露出する。
【0034】
また、給電部形成領域B1、容量素子形成領域C1、および低耐圧素子形成領域D1はフォトレジスト膜PR3に覆われているため、給電部形成領域B1および容量素子形成領域C1に形成されたサイドウォール状のポリシリコン膜P2の一部は除去されずに残る。ただし、給電部形成領域B1および容量素子形成領域C1であっても、
図8に図示していない領域では、後に用いる
図9および
図10に示すように、
図8のエッチング工程において、フォトレジスト膜PR3から露出していることで、サイドウォール状のポリシリコン膜P2が除去される箇所もある。
【0035】
次に、
図9、
図10および
図11に示すように、フォトレジスト膜PR3を除去した後、ウェットエッチング法を用いて、ONO膜のうちの上部の酸化シリコン膜X2の一部および窒化シリコン膜N1の一部を除去することで、酸化シリコン膜X1の表面を露出させる。
【0036】
図9は、
図6と同様に、製造工程中の半導体装置のうち、容量素子の形成領域を示す平面レイアウトであり、
図11の容量素子形成領域C1は、
図9のC−C線における断面である。
図10は、製造工程中の半導体装置のうち、MONOSメモリの形成領域およびそのMONOSメモリの給電部の形成領域を示す平面レイアウトである。
図11のMONOSメモリ形成領域A1は、
図10のA−A線における断面であり、
図11の給電部形成領域B1は、
図10のB−B線における断面である。なお、
図9および
図10では、ポリシリコン膜P1、P2の配置を分かりやすくするため、ポリシリコン膜P1上の酸化シリコン膜X1および窒化シリコン膜N2の図示を省略している。また、酸化シリコン膜X1、窒化シリコン膜N1および酸化シリコン膜X2は、ポリシリコン膜P1、P2のそれぞれの側壁に形成されたもの以外図示していない。
【0037】
図9、
図10および
図11に示すように、ポリシリコン膜P2により覆われていない領域では、上記ウェットエッチング工程により、酸化シリコン膜X2および窒化シリコン膜N1が除去され、酸化シリコン膜X1が露出している。つまり、ポリシリコン膜P1の側壁および底面に隣接する酸化シリコン膜X2および窒化シリコン膜N1を残して、その他の領域の酸化シリコン膜X2および窒化シリコン膜N1が除去されている。
【0038】
図9、
図10に示す平面レイアウトでは、一部のポリシリコン膜P1の側壁は、酸化シリコン膜X1のみにより覆われ、ポリシリコン膜P2、酸化シリコン膜X2および窒化シリコン膜N1により覆われていない。ポリシリコン膜P1と同様に、ダミーゲート電極DPの側壁も、ポリシリコン膜P2、酸化シリコン膜X2および窒化シリコン膜N1により覆われていない領域がある。
【0039】
このように、ポリシリコン膜P1、ダミーゲート電極DPの側壁であって、ポリシリコン膜P2、酸化シリコン膜X2および窒化シリコン膜N1により覆われていない領域は、
図8を用いて説明したドライエッチング工程により、サイドウォール状のポリシリコン膜P2が除去された領域である。ここで、酸化シリコン膜X2および窒化シリコン膜N1を除去した領域で、酸化シリコン膜X1を除去せず残しているのは、後に
図12を用いて説明する工程において、フォトレジスト膜PR4を形成し、その後フォトレジスト膜PR4を除去することにより、半導体基板SBがダメージを受けることを防ぐためである。
【0040】
図9に示すように、前述した櫛型のポリシリコン膜P1のうち、第1方向に延在するパターンの側壁のポリシリコン膜P2は除去し、第2方向に延在する複数のパターンの側壁のポリシリコン膜P2は除去しない。このように、第1方向に延在するパターンの側壁のポリシリコン膜P2のみを除去するのは、後述するように、櫛型のポリシリコン膜P1にコンタクトプラグを接続する際に、コンタクトプラグの接続箇所の位置ずれ、またはシリサイド層の接触などによりポリシリコン膜P1とポリシリコン膜P2とが電気的に導通することを防ぐためである。
【0041】
図10に示すように、ポリシリコン膜P1、P2、およびダミーゲート電極DPは同一方向に延在し、当該延在方向と直交する方向に並んで配置されている。
図11に示すMONOSメモリ形成領域A1のポリシリコン膜P1と、給電部形成領域B1のポリシリコン膜P1とは、
図10に示すように一体となって形成されており、同様に、
図11に示すMONOSメモリ形成領域A1のポリシリコン膜P2と、給電部形成領域B1のポリシリコン膜P2とは、
図10に示すように一体となって形成されている。ただし、ダミーゲート電極DPは、給電部にまで延在していない。
【0042】
図10に示すMONOSメモリの形成領域において、ダミーゲート電極DPは、前記延在方向と直交する方向において、ONO膜を介して一対のポリシリコン膜P1に挟まれるように配置されている。また、ダミーゲート電極DPと、ダミーゲート電極DPを挟む一対のポリシリコン膜P1とは、同方向において、一対のポリシリコン膜P1に挟まれるように配置されている。ポリシリコン膜P1とポリシリコン膜P2との間にはONO膜が介在している。
図11の給電部形成領域B1には、前述した一対のポリシリコン膜P1のうちの一方と、一対のポリシリコン膜P2のうちの一方とが図示されている。もう一方のポリシリコン膜P1、P2は
図11には示されていない。
【0043】
給電部の形成領域では、ポリシリコン膜P2のパターンが、孤立したポリシリコン膜P1のパターンを囲っている。これは、後述するように、サイドウォール状に形成され、幅が小さいポリシリコン膜P2に確実にコンタクトプラグを接続するために設けられている構造である。
【0044】
次に、
図12に示すように、フォトリソグラフィ技術により、半導体基板SB上にフォトレジスト膜PR4のパターンを形成する。フォトレジスト膜PR4は、給電部形成領域B1、容量素子形成領域C1、および低耐圧素子形成領域D1を覆っており、MONOSメモリ形成領域A1のダミーゲート電極DP(
図11参照)の直上の酸化シリコン膜X1の上面を露出するものである。具体的には、フォトレジスト膜PR4は、MONOSメモリ形成領域A1のゲート絶縁膜GF、ポリシリコン膜P1、P2、窒化シリコン膜N1、N2、酸化シリコン膜X1およびX2の表面を覆い、ダミーゲート電極DP直上の酸化シリコン膜X1の上面を露出するパターンである。
【0045】
その後、等方性のドライエッチング法により、ダミーゲート電極DPの直上の酸化シリコン膜X1、ダミーゲート電極DP直上の窒化シリコン膜N2およびダミーゲート電極DPを順に除去する。これにより、ダミーゲート電極DPの側壁に接していた酸化シリコン膜X1の側壁が露出し、ダミーゲート電極DPを除去した領域の直下の絶縁膜IFが露出する。
【0046】
ここで、さらに等方性のドライエッチング法により、ダミーゲート電極DPが形成されていた領域と、ポリシリコン膜P2との間のONO膜を構成する酸化シリコン膜X1および窒化シリコン膜N1を除去してもよい。MONOSメモリ形成領域A1の窒化シリコン膜N1は、後の工程で形成するMONOSメモリの電荷蓄積膜となる絶縁膜である。MONOSメモリを動作させるためには、後の工程でメモリゲートとなるポリシリコン膜P2の直下の窒化シリコン膜N1に電荷を溜めることが重要となるが、当該ポリシリコン膜P2の直下ではなく側壁に形成された窒化シリコン膜N1に電荷が蓄積、または移動すると、MONOSメモリの特性、または信頼性が低下する虞がある。
【0047】
そこで、上述したように、ダミーゲート電極DPが形成されていた領域と、ポリシリコン膜P2との間のONO膜を構成する酸化シリコン膜X1および窒化シリコン膜N1を除去すれば、ポリシリコン膜P2の直下の窒化シリコン膜N1以外の窒化シリコン膜N1に電荷が蓄積されることを防ぐことができる。ただし、本実施の形態では、ダミーゲート電極DPが形成されていた領域と、ポリシリコン膜P2との間のONO膜を構成する酸化シリコン膜X1、X2および窒化シリコン膜N1を除去せず残すものとして、半導体装置の製造方法を説明する。
【0048】
次に、
図13に示すように、フォトレジスト膜PR4を除去した後、ポリシリコン膜P2の側壁および底部に隣接して形成されたONO膜を残して、他の領域の酸化シリコン膜X1を除去し、半導体基板SBの主面を露出させる。これにより、ポリシリコン膜P1および窒化シリコン膜N2の側壁であって、ポリシリコン膜P2と隣接していない方の側壁が露出し、窒化シリコン膜N2の上面が露出する。また、ダミーゲート電極DPを除去した領域の直下の絶縁膜IFも同時に除去することで、半導体基板SBの上面を露出させる。
【0049】
このように、本実施の形態では、
図12を用いて説明した工程において、ダミーゲート電極DPを除去する工程に続いてMONOSメモリ形成領域A1の絶縁膜IFを除去せず、フォトレジスト膜PR4を除去してから、
図13に示す工程において酸化シリコン膜X1の一部と共にMONOSメモリ形成領域A1の絶縁膜IFを除去している。このようにすることで、フォトレジスト膜PR4および酸化シリコン膜X1の一部を除去する工程により、基板が洗浄液、またはエッチング液などに晒されて削られるなどのダメージを受けることを防ぐことができる。
【0050】
このとき、ダミーゲート電極DP(
図11参照)が形成されていた領域と、ポリシリコン膜P2との間のONO膜の側面に露出する酸化シリコン膜X1も除去されることが考えられるが、ここでは当該酸化シリコン膜X1は除去されずに残るものとして説明する。ただし、当該酸化シリコン膜X1は除去しても構わない。
【0051】
その後、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング法を用いて、低耐圧素子形成領域D1の窒化シリコン膜N2、ポリシリコン膜P1および絶縁膜IFを加工することで、絶縁膜IFからなるゲート絶縁膜GFを形成する。
【0052】
次に、
図14に示すように、半導体基板SBの上面の全面上に、例えばCVD法を用いて窒化シリコン膜を形成(堆積)した後、ドライエッチング法により当該窒化シリコン膜を一部除去して半導体基板SBの主面を露出させる。これにより、半導体基板SB上の各構造体の側壁に、上記窒化シリコン膜からなるオフセットスペーサOSを自己整合的に形成する。
【0053】
具体的には、MONOSメモリ形成領域A1では、ゲート絶縁膜GF、ポリシリコン膜P1および窒化シリコン膜N2からなる積層膜と、その積層膜の一方の側壁に接する、ONO膜およびポリシリコン膜P2の積層膜と、からなる構造体の両側の側壁のそれぞれにオフセットスペーサOSを形成する。
【0054】
給電部形成領域B1および容量素子形成領域C1では、絶縁膜IF、ポリシリコン膜P1および窒化シリコン膜N2からなる積層膜と、その積層膜の一方の側壁に接する、ONO膜およびポリシリコン膜P2の積層膜と、からなる構造体の両側の側壁のそれぞれにオフセットスペーサOSを形成する。なお、給電部形成領域B1では、上記構造体の一方の側壁にはサイドウォール状のポリシリコン膜P2が形成されているため、オフセットスペーサOSは、サイドウォール状のポリシリコン膜P2の側壁に形成される。また、容量素子形成領域C1では、上記構造体の両方の側壁にサイドウォール状のポリシリコン膜P2が形成されているため、オフセットスペーサOSは、各サイドウォール状のポリシリコン膜P2の側壁に形成される。
【0055】
低耐圧素子形成領域D1では、ゲート絶縁膜GF、ポリシリコン膜P1および窒化シリコン膜N2からなる積層膜の両側の側壁にオフセットスペーサOSを形成する。
【0056】
その後、イオン注入法を用いて、半導体基板SBの上面にN型の不純物(例えばAs(ヒ素))を比較的低濃度で打ち込む。これにより、MONOSメモリ形成領域A1および低耐圧素子形成領域D1の半導体基板SBの主面に、エクステンション領域EXを形成する。MONOSメモリ形成領域A1では、ONO膜を介して接するポリシリコン膜P1、P2を含む構造体の横に露出する半導体基板SBの上面にエクステンション領域EXが形成される。したがって、隣り合うポリシリコン膜P2同士の間であって、ダミーゲート電極DP(
図11参照)が形成されていた領域の直下の半導体基板SBの上面にも、エクステンション領域EXが形成される。
【0057】
低耐圧素子形成領域D1では、ポリシリコン膜P1の横に露出する半導体基板SBの上面にエクステンション領域EXが形成される。なお、給電部形成領域B1および容量素子形成領域C1の、素子分離領域EIおよびその直下の半導体基板SBにはエクステンション領域EXは形成されない。
【0058】
次に、
図15に示すように、半導体基板SBの主面の全面上に、例えばCVD法を用いて絶縁膜を形成した後、ドライエッチング法を用いて当該絶縁膜を一部除去し、半導体基板SBの上面を露出させることで、当該絶縁膜からなるサイドウォールSWを形成する。サイドウォールSWは、オフセットスペーサOSが露出している方の側壁に、自己整合的に形成される。サイドウォールSWの材料は、例えば酸化シリコン膜、または窒化シリコン膜と酸化シリコン膜の積層膜などとすることができる。
【0059】
その後、イオン注入法を用いて、半導体基板SBの上面にN型の不純物(例えばAs(ヒ素))を、エクステンション領域EXを形成するために行ったイオン注入工程よりも高い濃度で打ち込む。これにより、MONOSメモリ形成領域A1および低耐圧素子形成領域D1の半導体基板SBの主面に、エクステンション領域EXよりも不純物濃度が高い拡散層SLを形成する。拡散層SLは、エクステンション領域EXよりも接合深さが深い半導体領域である。
【0060】
なお、本実施の形態では一度のイオン注入工程によりMONOSメモリ形成領域A1および低耐圧素子形成領域D1のエクステンション領域EXを形成し、また、一度のイオン注入工程によりMONOSメモリ形成領域A1および低耐圧素子形成領域D1の拡散層SLを形成している。ただし、実際には、素子の種類またはN型FET、P型FETなどの違いなどにより、イオン注入工程を分けてエクステンション領域EXまたは拡散層SLの形成を行うことが考えられる。
【0061】
MONOSメモリ形成領域A1では、ONO膜を介して接するポリシリコン膜P1、P2を含む構造体、当該構造体の側壁のオフセットスペーサOSおよびサイドウォールSWから露出する半導体基板SBの上面に拡散層SLが形成される。したがって、隣り合うポリシリコン膜P2同士の間であって、ダミーゲート電極DP(
図11参照)が形成されていた領域の直下の半導体基板SBの上面にも、エクステンション領域EXに挟まれるように、拡散層SLが形成される。
【0062】
低耐圧素子形成領域D1では、ポリシリコン膜P1、ポリシリコン膜P1の側壁のオフセットスペーサOSおよびサイドウォールSWの横に露出する半導体基板SBの上面に拡散層SLが形成される。なお、給電部形成領域B1および容量素子形成領域C1の、素子分離領域EIおよびその直下の半導体基板SBには拡散層SLは形成されない。
【0063】
拡散層SLを形成することにより、MONOSメモリ形成領域A1および低耐圧素子形成領域D1のそれぞれの半導体基板SBの上面に、エクステンション領域EXおよびエクステンション領域EXに隣接する拡散層SLからなるソース・ドレイン領域が形成される。当該ソース・ドレイン領域は、不純物濃度が比較的高い拡散層SLと、不純物濃度が拡散層SLよりも低いエクステンション領域EXとを有するLDD(Lightly Doped Drain)構造を有している。
【0064】
ここで、容量素子形成領域C1を囲む半導体基板SBの上面(図示しない)に、ウエルの給電部となる拡散層を形成してもよい。当該ウエル給電部は、例えば半導体基板SBの主面に、平面視において容量素子形成領域C1の素子分離領域EIの周囲を囲む環状に形成され、半導体基板に電位を供給する半導体領域である。ウエル給電部は、拡散層SLを形成する工程と同一のイオン注入工程で形成するか、または別のイオン注入工程を行うことにより形成することができる。ウエル給電部については、
図25を用いて後述する。
【0065】
次に、
図16および
図17に示すように、周知のサリサイド技術を用いて、拡散層SLの上面およびポリシリコン膜P2の上面にシリサイド層S1を形成する。
図16は、製造工程中の半導体装置を示す平面レイアウトであり、
図17の容量素子形成領域C1は、
図16のC−C線における断面を示すものである。
図16では、図を分かりやすくするため、ポリシリコン膜P1上の窒化シリコン膜N2(
図17参照)を図示していない。
【0066】
図16では、
図9と異なり、ポリシリコン膜P2(
図17参照)上にシリサイド層S1が形成されている。なお、
図16に示すシリサイド層S1は、後述する研磨工程により除去される。
【0067】
図17に示すシリサイド層S1は、例えばコバルトシリサイド(CoSi)からなる導電膜である。シリサイド層S1は、半導体基板SB上にCo(コバルト)などの金属膜を形成した後、熱処理により当該金属膜とシリコン膜とを反応させて形成する。このときポリシリコン膜P1の上面は窒化シリコン膜N2により覆われているため、ポリシリコン膜P1の上面にはシリサイド層S1は形成されない。
【0068】
次に、
図18に示すように、半導体基板SBの上面の全面上に、CVD法などを用いて、例えば窒化シリコン膜からなるエッチングストッパ膜ESと、例えば酸化シリコン膜からなる層間絶縁膜L1とを順次形成する。
【0069】
次に、
図19に示すように、例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing)法を用いて半導体基板SB上の構造体の上面を研磨して後退させる。具体的には、層間絶縁膜L1、エッチングストッパ膜ES、シリサイド層S1、酸化シリコン膜X1、X2、窒化シリコン膜N1、N2、ポリシリコン膜P1、P2、オフセットスペーサOSおよびサイドウォールSWを研磨する。これにより、研磨された各膜の上面高さは、上記研磨工程前のポリシリコン膜P2の上面高さ以下であって、ポリシリコン膜P1、P2の底面よりも高い、一定の高さに揃い、平坦化される。これにより、ポリシリコン膜P2上のシリサイド層S1は除去され、ポリシリコン膜P1、P2の上面が露出する。
【0070】
上記研磨工程により、MONOSメモリ形成領域A1および給電部形成領域B1では、ポリシリコン膜P1からなるコントロールゲート電極CGが形成され、ポリシリコン膜P2からなるメモリゲート電極MGが形成される。なお、給電部形成領域B1のコントロールゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGは、後に形成するMONOSメモリを構成するnチャネル型のFET(Field Effect Transistor)のゲート電極として機能する導電層ではない。給電部形成領域B1のコントロールゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGは、MONOSメモリ形成領域A1のコントロールゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGに所定の電位を供給するために用いられる導電層である。
【0071】
これにより、MONOSメモリ形成領域A1では、ゲート絶縁膜GF、コントロールゲート電極CG、ONO膜、メモリゲート電極MG、エクステンション領域EXおよび拡散層SLを含むMONOSメモリが形成される。ONO膜は、情報を保持する電荷蓄積膜である窒化シリコン膜N1と、窒化シリコン膜N1をコントロールゲート電極CG、メモリゲート電極MGおよび半導体基板SBから絶縁するための酸化シリコン膜X1、X2とを含んでいる。MONOSメモリは、メモリゲート電極MGの直下の窒化シリコン膜N1中に電荷を蓄積することで情報を記憶することができる不揮発性メモリである。窒化シリコン膜N1への電荷の出し入れの方法には2通りがあり、一つはメモリゲート電極MGの下の窒化シリコン膜N1の全面に、トンネル電流で電子を出し入れすることにより書き込み、消去を行なう方法であり、もう一つはホットキャリアを用いる方法である。
【0072】
当該MONOSメモリは、コントロールゲート電極CGにONO膜を介して隣接するメモリゲート電極MGを有する、スプリットゲート型の構造を有している。なお、MONOSメモリ形成領域A1では、ダミーゲート電極DP(
図11参照)が形成されていた領域を挟んで一対のMONOSメモリが形成されており、この一対のMONOSメモリは、その間の半導体基板SBの上面に形成されたソース・ドレイン領域(ここではソース領域とする)を共有している。
【0073】
また、上記研磨工程により、給電部形成領域B1に、互いにONO膜を介して絶縁されたコントロールゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGを有する給電部を形成する。上述したように、給電部はMONOSメモリのコントロールゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGに所定の電位を供給するためのコントロールゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGを有している。給電部を構成するコントロールゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGの上面には、後の工程で形成するコンタクトプラグがシリサイド層(図示しない)を介して接続される。
【0074】
また、上記研磨工程により、容量素子形成領域C1に、互いにONO膜を介して絶縁されたポリシリコン膜P1、P2からなるPIP(Poly-Insulator-Poly)容量素子を形成する。PIP容量素子は、互いにONO膜を介して絶縁されたポリシリコン膜P1とポリシリコン膜P2との間に容量を発生させることで、容量素子として機能させることが可能である。
【0075】
容量素子の構造としては、ポリシリコン膜上に絶縁膜を介して他のポリシリコン膜を、半導体基板の主面に対して垂直な方向に積層した構造を用いることが考えられる。これに対し、本実施の形態では、異なるポリシリコン膜P1、P2を、半導体基板SBの上面に沿う方向に並べ、互いをONO膜により絶縁させることで、PIP容量素子を形成している。本実施の形態のPIP容量素子は、異なるポリシリコン膜を半導体基板の主面に対して垂直な方向に積層する構造ではないため、素子の高さを低くすることができ、また、他のメモリ素子またはFETなどと素子の高さを揃えることができる。したがって、半導体装置の微細化を容易にすることができる。このように、PIP容量素子を構成し、相互間に容量を発生させるポリシリコン膜P1、P2のそれぞれの上面の高さは、MONOSメモリを構成するコントロールゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGのそれぞれの上面の高さと同じになっている。
【0076】
次に、
図20に示すように、例えばCVD法を用いて半導体基板SBの上面の全面上に酸化シリコン膜X3を形成した後、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング法を用いて酸化シリコン膜X3を加工し、低耐圧素子形成領域D1のポリシリコン膜P1の上面を酸化シリコン膜X3から露出させる。その後、酸化シリコン膜X3をマスクとするウェットエッチング法を用いて、低耐圧素子形成領域D1のポリシリコン膜P1を除去し、当該ポリシリコン膜P1の直下のゲート絶縁膜GFを露出させる。ここでは、ポリシリコン膜P1を除去する際、その下地の膜がダメージを受けることを回避するために、ウェットエッチング法を用いる場合について説明したが、ポリシリコン膜P1の除去はドライエッチング法により行っても構わない。
【0077】
なお、低耐圧素子形成領域D1のポリシリコン膜P1を除去した後に、熱処理を施すなどして低耐圧素子形成領域D1のゲート絶縁膜GFの膜厚を大きくしてもよい。
【0078】
次に、
図21に示すように、酸化シリコン膜X3をエッチバックするなどして除去した後、例えばスパッタリング法などを用いて、半導体基板SBの上面の全面上に、例えば窒化チタン(TiN)、アルミニウム(Al)、または窒化タンタル(TaN)などからなる金属膜を形成する。これにより、
図20を用いて説明した工程において、低耐圧素子形成領域D1のポリシリコン膜P1を除去した領域に形成された溝に、上記金属膜を完全に埋め込む。
【0079】
続いて、CMP法などを用いて、余分な上記金属膜を除去することにより、ポリシリコン膜P1、P2、コントロールゲート電極CG、メモリゲート電極MG、層間絶縁膜L1およびエッチングストッパ膜ESのそれぞれの上面を露出させる。これにより、低耐圧素子形成領域D1のゲート絶縁膜GF上に、上記金属膜からなるゲート電極G1を形成する。上記CMP法による研磨工程により、ゲート電極G1の上面の高さは、ポリシリコン膜P1、P2、コントロールゲート電極CG、メモリゲート電極MG、層間絶縁膜L1およびエッチングストッパ膜ESのそれぞれの上面の高さと同じになっている。
【0080】
これにより、低耐圧素子形成領域D1には、ゲート電極G1、拡散層SLおよびエクステンション領域EXを含むnチャネル型の低耐圧のMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)が形成される。当該MOSFETはMONOSメモリよりも低い電圧で駆動し、ロジック回路などにおいてスイッチングなどに使用される素子である。
【0081】
次に、
図22に示すように、例えばCVD法を用いて半導体基板SBの上面の全面上に酸化シリコン膜X4を形成した後、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング法を用いて酸化シリコン膜X4からを加工し、給電部形成領域B1のコントロールゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGのそれぞれの上面を酸化シリコン膜X4から露出させる。その後、周知のサリサイド技術を用いて、給電部形成領域B1のコントロールゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGのそれぞれの上面に、例えばコバルトシリサイド(CoSi)からなるシリサイド層S2を形成する。シリサイド層S1、S2は、後の工程で形成するコンタクトプラグと、拡散層SL、コントロールゲート電極CG、メモリゲート電極MG、ポリシリコン膜P1およびP2とを電気的に接続させる際に、接触抵抗を低減させるために設ける導電層である。
【0082】
なお、
図22に示す断面図において、容量素子形成領域C1にはシリサイド層S2を形成していないが、
図22に示していない領域では、
図25を用いて後述するように、容量素子を構成するポリシリコン膜P1、P2上にシリサイド層S2を形成している。また、
図22のMONOSメモリ形成領域A1のコントロールゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGには、給電部形成領域B1のコントロールゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGから電位が供給されるため、MONOSメモリ形成領域A1のコントロールゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGのそれぞれの上面にはシリサイド層S2を形成していない。
【0083】
次に、
図23に示すように、酸化シリコン膜X4を除去した後、半導体基板SBの上面の全面上に、CVD法などを用いて、例えば酸化シリコン膜からなる層間絶縁膜L2を形成する。これにより、層間絶縁膜L1、エッチングストッパ膜ES、サイドウォールSW、オフセットスペーサOS、コントロールゲート電極CG、メモリゲート電極MG、酸化シリコン膜X1、X2、窒化シリコン膜N1、シリサイド層S2、ポリシリコン膜P1、P2およびの上面を層間絶縁膜L2により覆う。
【0084】
続いて、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング法を用いて、層間絶縁膜L1を貫通するコンタクトホールと、層間絶縁膜L1、L2およびエッチングストッパ膜ESを貫通するコンタクトホールとをそれぞれ複数形成する。
【0085】
MONOSメモリ形成領域A1では、層間絶縁膜L1、L2およびエッチングストッパ膜ESを貫通するコンタクトホールを開口することで、拡散層SLの上面のシリサイド層S1の上面を露出する。給電部形成領域B1では、層間絶縁膜L1を貫通するコンタクトホールを開口してコントロールゲート電極CGの上面のシリサイド層S2の上面を露出させ、また、層間絶縁膜L1、L2およびエッチングストッパ膜ESを貫通するコンタクトホールを開口することで、サイドウォール状に形成されたメモリゲート電極MGの上面のシリサイド層S2の上面を露出させる。給電部の端部のサイドウォール状のメモリゲート電極MG上のシリサイド層S2を露出させるコンタクトホールは、当該メモリゲート電極MGに隣接し、平面視においてメモリゲート電極MGに囲まれたコントロールゲート電極CGの上面のシリサイド層S2を露出していてもよい。
【0086】
容量素子形成領域C1では、
図23には示していない領域において、層間絶縁膜L1を貫通するコンタクトホールを開口してポリシリコン膜P1、P2のそれぞれの上面を露出させる。低耐圧素子形成領域D1では、層間絶縁膜L1、L2およびエッチングストッパ膜ESを貫通するコンタクトホールを開口することで、拡散層SLの上面のシリサイド層S1の上面を露出させ、また、図示していない領域において、層間絶縁膜L1を貫通するコンタクトホールを開口してゲート電極G1の上面を露出させる。
【0087】
次に、
図24、
図25および
図26に示すように、上記複数のコンタクトホールのそれぞれの内部に、例えば主にW(タングステン)を含むコンタクトプラグ(接続部材)C2を形成することにより、本実施の形態の半導体装置が完成する。
図24は、
図10と同様に、製造工程中の半導体装置のうち、MONOSメモリの形成領域およびそのMONOSメモリの給電部の形成領域を示す平面レイアウトである。
図26のMONOSメモリ形成領域A1は、
図24のA−A線における断面であり、
図26の給電部形成領域B1は、
図24のB−B線における断面である。また、
図25は、
図6および
図9と同様に、製造工程中の半導体装置のうち、容量素子の形成領域を示す平面レイアウトであり、
図26の容量素子形成領域C1は、
図25のC−C線における断面である。
【0088】
複数のコンタクトプラグC2のそれぞれは、拡散層SL、コントロールゲート電極CG、メモリゲート電極MG、ポリシリコン膜P1、P2およびゲート電極G1に所定の電位を供給するために形成される導電体である。
【0089】
コンタクトプラグC2を形成する場合は、まず、半導体基板SBの上面の全面上にスパッタリング法などを用いてバリアメタル膜(図示しない)を形成し、コンタクトホール内の表面をバリアメタル膜により覆う。その後、タングステン膜をスパッタリング法などを用いて形成し、複数のコンタクトホールのそれぞれの内部を完全に埋め込む。続いて、CMP法などを用いて、層間絶縁膜L2上の余分なバリアメタル膜およびタングステン膜を除去することで層間絶縁膜L2の上面を露出させ、層間絶縁膜L2とタングステン膜との上面を平坦化することで、各コンタクトホール内に、バリアメタル膜およびタングステン膜からなるコンタクトプラグC2を形成する。
【0090】
図26の給電部形成領域B1に示すように、サイドウォール状に形成されたメモリゲート電極MG上にシリサイド層S2を介して接続されたコンタクトプラグC2は、当該メモリゲート電極MGに隣接するコントロールゲート電極CGにシリサイド層S2を介して電気的に接続されていてもよい。このコントロールゲート電極CGは、MONOSメモリ形成領域A1のコントロールゲート電極CGとは電気的に接続されておらず、
図24の給電部に示すように、平面視において周囲をメモリゲート電極MGにより囲まれ、電気的に孤立している。
【0091】
このように、コンタクトプラグC2をメモリゲート電極MGに電気的に接続させる際、孤立したコントロールゲート電極CGの上面も覆うようにコンタクトプラグC2を形成するのは、メモリゲート電極MGがサイドウォール状に自己整合的に形成されていることに起因する。すなわち、メモリゲート電極MGの上面の面積、すなわち平面視における面積が小さいため、コンタクトプラグC2を精度良く確実にメモリゲート電極MGのみに接続することは困難である。そこで、ここでは、MONOSメモリから電気的に絶縁されたコントロールゲート電極CGを形成し、当該コントロールゲート電極CGに跨る幅の広いコンタクトプラグC2をメモリゲート電極MG上に形成することで、メモリゲート電極MGへの給電の確実性を高めている。
【0092】
このような構成は、
図25に示すように、サイドウォール状に形成されたポリシリコン膜P2にコンタクトプラグC2を電気的に接続させる箇所にも用いられている。なお、
図25では、ポリシリコン膜P1、P2に加えて、ポリシリコン膜P1、P2のそれぞれの上部に形成されたシリサイド層S2も図示している。コンタクトプラグC2は、シリサイド層S2に接続されることで、シリサイド層S2の直下のポリシリコン膜P1またはP2に電気的に接続されている。
【0093】
ポリシリコン膜P2に電位を供給するためのコンタクトプラグC2は、ポリシリコン膜P2上のシリサイド層S2と、PIP容量素子において容量を発生させるポリシリコン膜P1から絶縁され、平面視においてポリシリコン膜P2に囲まれたポリシリコン膜P1(図示しない)の直上のシリサイド層S2とに跨って形成されている。これにより、上述したメモリゲート電極MG(
図24参照)と同様に、サイドウォール状に形成され、平面視における幅が小さいポリシリコン膜P2に対し、コンタクトプラグC2を確実に接続させることができる。
【0094】
なお、
図25に示すように、ポリシリコン膜P1、P2のそれぞれに給電する領域以外の領域、すなわちポリシリコン膜P1、P2が容量を発生させるために、ONO膜を介して隣接する領域には、シリサイド層S2を形成していない。これは、ポリシリコン膜P1、P2の上部にシリサイド層S2を形成した場合に、酸化シリコン膜X1、X2および窒化シリコン膜N2からなるONO膜を介して近接しているポリシリコン膜P1、P2同士が、その上部のシリサイド層S2同士の接触により短絡することを避けるためである。したがって、第2方向に延在する複数のポリシリコン膜P1と、第2方向に延在する複数のポリシリコン膜P2とが第1方向に交互に並ぶ領域、すなわち容量を発生させる領域では、ポリシリコン膜P1、P2の上部にシリサイド層S2を形成していない(
図22参照)。
【0095】
また、ポリシリコン膜P1のパターンのうち、第1方向に延在するパターンには、ポリシリコン膜P1に電位を供給するためのコンタクトプラグC2が接続されており、ポリシリコン膜P1の第1方向に延在するパターン上には、コンタクトプラグC2との間にシリサイド層S2が形成されている。
【0096】
ここで、
図8を用いて説明した工程において、
図8に示していない領域における容量素子形成領域C1のポリシリコン膜P2の一部を除去していない場合、
図6に示すように、櫛型の形状を有するポリシリコン膜P1のうち、第1方向に延在するパターンに隣接してポリシリコン膜P2が残ることとなる。この場合、第1方向に延在するパターンと、それに隣接するポリシリコン膜P2との上面にシリサイド層S2を形成すると、ポリシリコン膜P1、P2同士が、その上部のシリサイド層S2同士が接触することにより短絡する虞がある。これを避けるため、本実施の形態では、
図8を用いて説明した工程において、容量素子形成領域C1のポリシリコン膜P2の一部を除去し、ポリシリコン膜P1、P2間の短絡を防ぐことを可能としている。また、櫛型のポリシリコン膜P1上にコンタクトプラグC2を接続する際、コンタクトホールの形成の位置ずれにより、ポリシリコン膜P1、P2間の短絡を防ぐことができる。
【0097】
図25には、半導体基板SB(図示しない)の上面に形成されたウエルに電位を供給するために、半導体基板SBの上面に形成されたウエル給電部WSを示している。ウエル給電部WSは、半導体基板SBの上面に、例えばP型の不純物(例えばB(ホウ素))をイオン注入することで、上部にPIP容量素子が形成されている素子分離領域EIを平面視において囲むように、環状に形成されている。ウエル給電部WSの上面にはシリサイド層S1(図示しない)が形成されており、ウエル給電部WS上にはシリサイド層S1を介してコンタクトプラグC2が形成されている。半導体基板SBに、コンタクトプラグC2、シリサイド層S1およびウエル給電部WSを介して電位を供給することで、PIP容量素子の下部の半導体基板SBの電位を固定することができる。
【0098】
図24に示すように、MONOSメモリが形成された領域では、
図10と異なり、ダミーゲート電極DPは除去されており、ダミーゲート電極DPが形成されていた領域の直下の半導体基板SB(
図26参照)の上面には、ソース・ドレイン領域を構成する拡散層SLが形成されている。なお、
図24では図を分かりやすくするため、シリサイド層S1、S2の図示を省略している。シリサイド層S2は、MONOSメモリを構成する領域のメモリゲート電極MGおよびコントロールゲート電極CGのそれぞれの上面には形成されていないが、給電部においては、メモリゲート電極MGおよびコントロールゲート電極CGと、それらの上部のコンタクトプラグC2との間にシリサイド層S2(図示しない)が形成されている。
【0099】
以下に、本実施の形態の半導体装置の製造方法の効果について説明する。
【0100】
スプリットゲート型のMONOSメモリの構造としては、
図32および
図33に示すように、半導体基板SB上にゲート絶縁膜GFを介してコントロールゲート電極CGaを形成し、その側壁のうちの一方、または両方に、ONO膜を介して、自己整合的にサイドウォール状の形状で形成したメモリゲート電極MGaを形成することが考えられる。ONO膜は、酸化シリコン膜X1、窒化シリコン膜N1および酸化シリコン膜X2が順に形成された積層膜であり、窒化シリコン膜N1は、MONOSメモリの電荷蓄積膜として機能する絶縁膜である。
【0101】
図32および
図33は、比較例として、MONOSメモリを含む半導体装置を示す断面図である。ここでは、上記コントロールゲート電極CGaおよびメモリゲート電極MGaに加えて、コントロールゲート電極CGa上の窒化シリコン膜N2と、半導体基板SBの上面に形成されたエクステンション領域EXおよび拡散層SLからなるソース・ドレイン領域とを示している。なお、窒化シリコン膜N2は形成されず、コントロールゲート電極CGaの上面の高さと、ONO膜およびメモリゲート電極MGaの最上面の高さが同等となっていてもよい。
【0102】
図32および
図33に示すメモリゲート電極MGaは、半導体基板SB上に、ゲート絶縁膜GFを介してコントロールゲート電極CGaおよび窒化シリコン膜N2からなる積層膜のパターンを形成した後に、半導体基板上に当該積層膜を覆うONO膜およびポリシリコン膜をCVD法などにより形成(堆積)し、続いてドライエッチング法により当該ポリシリコン膜を一部除去して形成する。つまり、上記ポリシリコン膜の一部は、コントロールゲート電極CGaの側壁に、自己整合的にサイドウォール状の形状で残り、上記ポリシリコン膜からなるメモリゲート電極MGaが形成される。
【0103】
上記比較例では、メモリゲート電極MGaはサイドウォール状に形成されているため、コントロールゲート電極CGaのゲート長方向において、メモリゲート電極MGaの上面の高さは、コントロールゲート電極CGaの側壁から離れる程低くなる。この場合のメモリゲート電極MGaの端部の、最も低い高さ(膜厚)を、
図32に示すようにLとする。このような形状のメモリゲート電極MGaを有するMONOSメモリを微細化させようとすると、メモリゲート電極MGaを形成した後にソース・ドレイン領域など形成するために行うイオン注入工程において、注入する不純物がメモリゲート電極MGaを突き抜け、半導体基板SBの上面に打ち込まれる。この場合、半導体基板SBの上面に余計な不純物イオンが打ち込まれることにより、MONOSメモリの特性、すなわち情報の消去特性および書き込み特性などが変化し、半導体装置の信頼性が低下する問題がある。
【0104】
不純物イオンの突き抜けを防ぐためには、メモリゲート電極MGaが所定の高さ(膜厚)Xを有している必要があるのに対し、メモリゲート電極MGaの高さは一定でなく、ゲート長方向において一方の端部の高さ(膜厚)Lが低くなっている。つまり、
図32に示す比較例の半導体装置では、不純物イオンがメモリゲート電極MGaを突き抜けないために必要な高さXを保ったまま、MONOSメモリを微細化することができない。
【0105】
すなわち、メモリゲート電極MGaの一方の端部の高さ(膜厚)Lが、不純物イオンの突き抜けを防止できる高さ(膜厚)Xを保つようにMONOSメモリを微細化しようとしても、メモリゲート電極MGaは自己整合的に形成されているため、メモリゲート電極MGaの最上面の高さは、一方の端部の上面の高さLよりも高くなる。また、メモリゲート電極MGaの側壁にONO膜を介して隣接する積層膜、すなわちコントロールゲート電極CGaを含む積層膜の上面の高さは、メモリゲート電極MGaの端部の上面の高さLよりも高くなる。このため、メモリゲート電極MGaおよびメモリゲート電極MGaに隣接する積層膜のそれぞれの最上面の高さを、メモリゲート電極MGaが不純物イオンを突き抜けさせない程度の高さまで低くすることができない。
【0106】
このように、不純物イオンの突き抜けを防ごうとすると、メモリゲート電極MGaがサイドウォール状の形状を有していることに起因してMONOSメモリの微細化が困難となる問題がある。
【0107】
また、
図33に示すように、自己整合的に形成したメモリゲート電極MGaの形状は、その底部において、裾が広がるように、コントロールゲート電極CGaから離れる方向に延在する傾向があり、この傾向は、MONOSメモリを微細化する程顕著になる。MONOSメモリの特性および信頼性は、メモリゲート電極MGaのゲート長方向の幅と、その垂直性に大きく影響を受ける。
【0108】
なお、ここでいう垂直性とは、半導体基板SBの主面に対し、メモリゲート電極MGaの側壁が如何に垂直に近い角度で形成されているかを示す程度を意味する。メモリゲート電極MGaの側壁の垂直性が高い程、MONOSメモリの特性を一定に保ち、MONOSメモリの信頼性を保つことが容易になる。つまり、メモリゲート電極MGaの側壁であって、メモリゲート電極MGaとコントロールゲート電極CGaとが接する側の反対側の側壁と、半導体基板SBとが成す角度が垂直に近ければ、半導体装置の信頼性が低下することを防ぐことができる。
【0109】
しかし、上述したように、サイドウォール状のメモリゲート電極MGaは、MONOSメモリが微細化すると、その底部が半導体基板の上面に沿って広がり、垂直性を保つことが困難となる。また、サイドウォール状のメモリゲート電極MGaは、その上面から下面に近付く程、ゲート長方向の幅が広くなるため、当該幅を一定に保ってメモリゲート電極MGaを形成することは、MONOSメモリを微細化する程困難となる。このため、MONOSメモリを微細化しようとすると、サイドウォール状のメモリゲート電極MGaの垂直性を保ち、ゲート長方向の幅を所望の一定の幅で形成することができないため、MONOSメモリの特性が変化し、半導体装置の信頼性が低下する虞がある。
【0110】
これに対し、本実施の形態では、コントロールゲート電極の側壁にサイドウォール状に形成したポリシリコン膜をメモリゲート電極として残す方法を用いていない。本実施の形態では、
図5および
図7を用いて説明したように、コントロール電極となるポリシリコン膜P1のパターンと、ダミーゲート電極DPのパターンとの間の溝に埋め込んだポリシリコン膜P2により、メモリゲート電極MGを形成している(
図19参照)。このように、
図7に示した工程において、サイドウォール状に形成されたポリシリコン膜P2は除去し、ゲート電極として使用していない。
【0111】
上記のように溝に埋め込まれて形成されたポリシリコン膜P2は、上記比較例のメモリゲート電極MGa(
図32参照)のように、コントロールゲート電極CGaから離れる程にその高さおよび幅が変化するような断面形状を有しておらず、
図26に示すように、メモリゲート電極MGの断面形状は矩形になっている。
【0112】
したがって、本実施の形態の半導体装置の製造工程では、一つのメモリゲート電極MGの上面の高さを、いずれの領域においても一定とし、メモリゲート電極MGのゲート長方向の幅も、いずれの高さにおいても一定とすることができ、その側壁の垂直性を高めることができる。つまり、一つのメモリゲート電極MGは、隣接するコントロールゲート電極CGから離れるほど膜厚が薄くなることはなく、その膜厚が一様となっている。また、メモリゲート電極MGの側壁のうち、コントロールゲート電極CGと隣接していない方の側壁は、半導体基板SBの主面に対して垂直に形成されている。
【0113】
このため、MONOSメモリを微細化しても、メモリゲート電極MGの高さがその端部において過度に低くなることはなく、ソース・ドレイン領域を形成する際などに行うイオン注入工程において、不純物イオンがメモリゲート電極MGを突き抜けることを防ぐことができる。これにより、MONOSメモリを微細化してもMONOSメモリの特性が変化することを防ぐことが可能となるため、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0114】
また、メモリゲート電極MGの幅は、
図5に示すポリシリコン膜P1とダミーゲート電極DPとの間隔を調整することにより、容易に制御することが可能となる。また、
図33に示した比較例の半導体装置と異なり、メモリゲート電極MGの底部がゲート長方向に広がることも防ぐことができるため、MONOSメモリの特性が変化することを防ぐことが可能となる。よって、メモリゲート電極MGの幅の制御を容易にし、メモリゲート電極MGの垂直性を高めることを可能とすることで、MONOSメモリの特性、すなわち情報の消去特性および書き込み特性の調整が容易になるため、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0115】
本実施の形態の製造方法により形成した半導体装置では、メモリゲート電極をサイドウォール状に形成する場合に比べて、一つのMONOSメモリに必要な面積を約半分にすることが可能である。
【0116】
また、本実施の形態では、
図26に示すように、ポリシリコン膜上に絶縁膜を介して他のポリシリコン膜を積層したPIP容量素子ではなく、異なるポリシリコン膜P1、P2を、半導体基板SBの上面に沿う方向に並べ、ポリシリコン膜P1、P2間にONO膜を介在させることで、容量素子を形成している。このため、上述したように、PIP素子の高さを低くし、MONOSメモリまたはロジック回路に用いるFETなどと高さを揃えることができ、半導体装置を微細化することが可能である。
【0117】
また、上記PIP容量素子は、MONOSメモリと同様に、半導体基板SBの上面に沿う方向にポリシリコン膜P1、P2を並べて形成した構造を有しているため、MONOSメモリ等と同一の工程でPIP容量素子を形成することができる。したがって、ポリシリコン膜上に絶縁膜を介して他のポリシリコン膜を積層してPIP容量素子を形成する場合に比べて、半導体装置の製造工程を簡略化することができ、スループットを向上させることができる。
【0118】
本実施の形態のPIP容量素子のように、櫛型のパターンを向かい合わせて容量を発生させる素子では、要求される容量の大きさに応じる場合、第2方向に延在し、第2方向に交互に並ぶポリシリコン膜P1、P2の複数のパターン、すなわち櫛の本数または長さなどを変更することで対応が可能となる。
【0119】
(実施の形態2)
前記実施の形態1では、
図19を用いて説明した工程において、シリサイド層S1を研磨して除去する工程を含む半導体装置の製造方法について説明した。これに対し、本実施の形態では、上記研磨工程において、シリサイド層を研磨しない場合の半導体装置の製造方法について、以下に
図27〜
図31を用いて説明する。
図27〜
図31は、本実施の形態の半導体装置の製造方法を説明するための、製造工程中の半導体装置を示す断面図である。
【0120】
本実施の形態の半導体装置の製造工程では、まず、前記実施の形態1において
図1〜
図12に示す工程を行うことで、半導体基板SB上に、ポリシリコン膜P1、P2を含むパターンを形成し、ダミーゲート電極DP(
図11参照)を除去する。
【0121】
次に、
図27に示すように、フォトレジスト膜PR4を除去した後、ドライエッチング法を用いて、酸化シリコン膜X1から露出するポリシリコン膜P2の上面を、選択的にエッチバックして後退させることで、MONOSメモリ形成領域A1、給電部形成領域B1および容量素子形成領域C1に、溝D2〜D4をそれぞれ形成する。つまり、MONOSメモリ形成領域A1のポリシリコン膜P2の直上に溝D2を形成し、給電部形成領域B1の隣り合うポリシリコン膜P1間に埋め込まれたポリシリコン膜P2の直上に溝D3を形成し、容量素子形成領域C1の隣り合うポリシリコン膜P1間に埋め込まれたポリシリコン膜P2の直上に溝D4を形成する。溝D2〜D4の側壁には酸化シリコン膜X2の側壁が露出し、溝D2〜D4の底面には、ポリシリコン膜P2が露出している。
【0122】
また、上記エッチバックにより、給電部形成領域B1および容量素子形成領域C1において、サイドウォール状に形成されたポリシリコン膜P2の上面も後退する。
【0123】
なお、エッチバックしたポリシリコン膜P2の上面の高さは、例えばポリシリコン膜P1の上面と同等か、それよりも高くする。これにより、ポリシリコン膜P2の上面の高さは、その側壁に接する酸化シリコン膜X2、窒化シリコン膜N1および酸化シリコン膜X1からなるONO膜の上面の高さよりも低くなる。
【0124】
次に、
図13〜
図15を用いて説明した工程と同様の工程を行うことにより、
図28に示す構造を得る。すなわち、露出している酸化シリコン膜X1を除去した後、オフセットスペーサOS、エクステンション領域EX、サイドウォールSWおよび拡散層SLを順次形成する。
【0125】
ただし、前記実施の形態1と異なり、ポリシリコン膜P2の上面の高さは、その側壁に接するONO膜の上面の高さよりも低いため、ポリシリコン膜P2の直上の溝D2〜D4のそれぞれの側壁に、オフセットスペーサOSを介してサイドウォールSWが形成される。また、給電部形成領域B1および容量素子形成領域C1において、サイドウォール状に形成されたポリシリコン膜P2の直上の、酸化シリコン膜X2の側壁には、オフセットスペーサOSを介してサイドウォールSWが形成される。
【0126】
これにより、MONOSメモリ形成領域A1のポリシリコン膜P2の上面、および給電部形成領域B1および容量素子形成領域C1の、隣り合うポリシリコン膜P1間に埋め込まれたポリシリコン膜P2の上面は、サイドウォールSWにより完全に覆われるため、半導体基板SB上に露出していない。また、給電部形成領域B1および容量素子形成領域C1において、サイドウォール状に形成されたポリシリコン膜P2の上面も、オフセットスペーサOSおよびサイドウォールSWに覆われているため、露出していない。このような構造を得るため、
図27を用いて説明したエッチバック工程では、後の
図28に示す工程により、サイドウォールSWがポリシリコン膜P2の上面を覆うために必要な分だけ、ポリシリコン膜P2の上面高さを半導体基板SBの方向へ後退させる必要がある。
【0127】
サイドウォールSWがポリシリコン膜P2の上面を完全に覆うための構造としては、例えば、以下の構造が考えられる。つまり、ポリシリコン膜P2とポリシリコン膜P1とが並べられた方向、すなわち、後の工程でポリシリコン膜P2により形成するメモリゲート電極のゲート長方向の、ポリシリコン膜P2の長さを、オフセットスペーサOSの膜厚と、サイドウォールSWを構成する絶縁膜の膜厚とを足した長さの2倍の長さ以下とすることが考えられる。これにより、同方向の溝D2〜D4の幅が、オフセットスペーサOSの膜厚と、サイドウォールSWを構成する絶縁膜の膜厚とを足した長さの2倍以下となるため、サイドウォールSWの形成により溝D2〜D4のそれぞれの底面が、溝D2〜D4のそれぞれの両側の側壁に形成されたオフセットスペーサOSおよびサイドウォールSWにより完全に覆われることとなる。
【0128】
次に、
図16および
図17を用いて説明した工程と同様の工程を行うことにより、
図29に示す構造を得る。これにより、拡散層SLの上面にシリサイド層S1を形成する。ここで、前記実施の形態1と異なり、ポリシリコン膜P2の上面はサイドウォールSWにより覆われているため、MONOSメモリ形成領域A1、給電部形成領域B1および容量素子形成領域C1のポリシリコン膜P2の上面にシリサイド層は形成されない。つまり、ここでシリサイド層S1が形成されるのは、拡散層SLなどを含む、露出した半導体基板SBの上面のみである。
【0129】
次に、
図18および
図19を用いて説明した工程と同様の工程を行うことにより、
図30に示す構造を得る。すなわち、エッチングストッパ膜ESおよび層間絶縁膜L1を形成した後、CMP法により、層間絶縁膜L1、エッチングストッパ膜ES、酸化シリコン膜X1、X2、窒化シリコン膜N1、N2、ポリシリコン膜P1、P2、オフセットスペーサOSおよびサイドウォールSWを研磨する。これにより、ポリシリコン膜P1、P2の上面を露出し、MONOSメモリ形成領域A1および給電部形成領域B1には、ポリシリコン膜P1からなるコントロールゲート電極CGと、ポリシリコン膜P2からなるメモリゲート電極MGを形成する。
【0130】
つまり、上記CMP法による研磨工程では、メモリゲート電極MGの直上の溝D2、D3のそれぞれの内側のサイドウォールSWは、研磨により完全に除去される。また、容量素子形成領域C1において、隣り合うポリシリコン膜P1間のポリシリコン膜P2の直上のサイドウォールSWは研磨により完全に除去される。これにより、メモリゲート電極MG、コントロールゲート電極CG、ポリシリコン膜P1およびP2のそれぞれの上面はいずれも露出する。このとき、サイドウォール状に形成されたメモリゲート電極MGおよびポリシリコン膜P2も露出する。
【0131】
本実施の形態の半導体装置の製造方法の主な特徴は、前記実施の形態1と異なり、
図30を用いて説明した研磨工程において、シリサイド層が研磨されていないことにある。このように、シリサイド層を研磨しないことは、
図27および
図28を用いて説明した工程により、上面を後退させたポリシリコン膜P2の上面を、サイドウォールSWにより覆ったことにより、
図29の工程においてポリシリコン膜P2上にシリサイド層が形成されることを防ぐことで実現できる。
【0132】
ここで、上述したようにポリシリコン膜P2(
図29参照)の上面にシリサイド層を形成しないようにしているのは、上記研磨工程でシリサイド層を研磨することにより生じるシリサイド層の残渣が、後の製造工程に悪影響を及ぼすことを防ぐためである。すなわち、シリサイド層は、コバルトシリサイド(CoSi)など、金属を含む導体膜であり、それを研磨して生じた残渣は、窒化シリコン膜または酸化シリコン膜などの絶縁膜または半導体層を研磨して生じた残渣に比べて、半導体基板SB、ポリシリコン膜P1またはP2などの半導体層を傷つけやすく、また、後の成膜工程で形成する膜に与える影響が大きい。シリサイド層の残渣の発生に起因して、半導体基板SBを含む半導体層がダメージを受け、また、この後の工程で成膜する層間絶縁膜などに成膜不良が生じた場合、半導体装置の信頼性が低下する問題が起こる。
【0133】
このため、
図30を用いて説明したCMP法などによる研磨工程では、シリサイド層を研磨しないことが望ましい。そこで、本実施の形態では、ポリシリコン膜P1、P2の表面をサイドウォールSWなどの絶縁膜で覆い、
図29を用いて説明した工程で、ポリシリコン膜P1、P2の上面にシリサイド層を形成しないようにすることで、後の研磨工程でシリサイド層が研磨され、半導体基板SB上にシリサイド層の残渣が生じることを防いでいる。
【0134】
これにより、半導体基板SBなどの半導体層がダメージを受けることを防ぐことができ、また、上記研磨工程後の成膜不良の発生を防ぐことができるため、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0135】
この後の工程は、
図20〜
図26を用いて説明した工程と同様の工程を行うことで、
図31に示す本実施の形態の半導体装置が完成する。すなわち、金属膜からなるゲート電極G1を形成した後、給電部などの半導体層の上面にシリサイド層S2を形成し、続いて層間絶縁膜L2と、層間絶縁膜L2などを貫通するコンタクトプラグC2とを形成する。
【0136】
本実施の形態の半導体装置の製造方法では、前記実施の形態と同じ効果に加えて、上述したように、シリサイド層の研磨を防ぐことで、半導体装置の信頼性を向上させる効果を得ることができる。
【0137】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0138】
例えば、前記実施の形態1、2では、半導体基板上にnチャネル型のMOSFETを形成する場合について説明したが、半導体素子はpチャネル型のMOSFETでもよく、また、MIS(Metal Insulator Semiconductor)型のFETであってもよい。