特許第5936981号(P5936981)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5936981
(24)【登録日】2016年5月20日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】レールベース
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/04 20060101AFI20160609BHJP
   E01B 1/00 20060101ALI20160609BHJP
【FI】
   B65G1/04 531A
   E01B1/00
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-222110(P2012-222110)
(22)【出願日】2012年10月4日
(65)【公開番号】特開2014-73896(P2014-73896A)
(43)【公開日】2014年4月24日
【審査請求日】2015年2月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 友由
(74)【代理人】
【識別番号】100116274
【弁理士】
【氏名又は名称】富所 輝観夫
(72)【発明者】
【氏名】大柴 茂
【審査官】 大野 明良
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−107301(JP,A)
【文献】 特開2006−274720(JP,A)
【文献】 特開昭63−315702(JP,A)
【文献】 特開平08−003901(JP,A)
【文献】 特開平05−162815(JP,A)
【文献】 米国特許第4106694(US,A)
【文献】 特表2008−507640(JP,A)
【文献】 特開2004−197549(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00− 1/20
E01B 1/00
E01B 9/68
E01B 29/04
F16F 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レールを支持すべきレール支持部と、
前記レール支持部のうちレール側から見たときレールの一方の側からはみ出す第1はみ出し部を床に対して支持する第1側方支持部と、
前記レール支持部のうちレール側から見たときレールの他方の側からはみ出す第2はみ出し部を床に対して支持する第2側方支持部と、
前記レール支持部のうち前記第1はみ出し部と前記第2はみ出し部との間の中間部を床に対して支持する中間支持部と、を備え、
前記中間支持部が前記レール支持部を介してレールから受ける荷重が、前記第1側方支持部および前記第2側方支持部が前記レール支持部を介してレールから受ける荷重よりも大きくなるよう構成され
前記第1側方支持部と前記第2側方支持部とは前記レール支持部を高さ方向にレベル調整可能な構造となっており、前記中間支持部はレベル調整に応じて、枠部の高さが可変な部材であり、
前記第1はみ出し部および前記第2はみ出し部はそれぞれ、床との間に隙間が設けられた状態で設けられており、
前記中間支持部は、枠部の内部に枠部よりも剛性が高い高剛性部材を有することを特徴とするレールベース。
【請求項2】
前記中間支持部は、前記レール支持部の中間部から床への荷重の伝達経路上に設けられた接着系アンカーを含むことを特徴とする請求項に記載のレールベース。
【請求項3】
前記レール支持部の中間部には、前記接着系アンカーに対応する位置に貫通孔が設けられていることを特徴とする請求項に記載のレールベース。
【請求項4】
前記中間支持部は前記接着系アンカーを環囲する枠部を含み、
前記枠部は、硬化前の前記接着系アンカーを透過させず、かつ、空気を透過させることを特徴とする請求項またはに記載のレールベース。
【請求項5】
前記レール支持部は、
レールと接触すべきレール接触部と、
前記中間支持部、前記第1側方支持部および前記第2側方支持部と接触すべき支持接触部と、
前記レール接触部から前記支持接触部への荷重の伝達経路上に設けられた弾性部材と、を含み、
前記レール支持部は、前記レール接触部がレールから受ける荷重と前記弾性部材が前記レール接触部から受ける荷重とが実質的に同等となるよう構成されることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載のレールベース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レールを支持するレールベースに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動倉庫で使用されているスタッカクレーンは、通路の床面に沿って敷設された走行レール上を、走行レールと平行に天井面に沿って配設された案内レールに案内されて移動する。スタッカクレーンが安定した状態で走行し、所定の収納棚との間で荷の移載を円滑に行うためには、走行レールを所定の高さで略水平に敷設する必要がある。
【0003】
しかしながら、床面は起伏したり傾斜したりしていることが多い。したがって、走行レールを支持しつつ走行レールの高さを調整可能なレールベースが必要である。従来では、例えば特許文献1に記載されるようなアジャスタボルトを使用したレールベースが提案されている。
【0004】
また、鉄道のレールに関して、特許文献2には、プレキャストコンクリート製のフローティングスラブ上に鉄道のレールを支持し、剛性路盤とフローティングスラブとの間に部分的にフローティングスラブを支承する複数の弾性体を設けた軌道構造におけるレベル調整工法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−162815号公報
【特許文献2】特開平8−3901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
スタッカクレーンは比較的重く、走行レールからレールベースおよびレールベースを支持するアジャスタボルトに加えられる荷重は比較的大きい。従来では、そのような大きな荷重によるレールベースやアジャスタボルトの損傷を避けるため、それらの部材を大きくして剛性を強化する傾向にあった。しかしながら、そのような大型化は、自動倉庫内の利用可能スペースの低減を招きうる。
【0007】
このような課題は、自動倉庫のスタッカクレーンのレールを支持するレールベースに限らず、床に対してレールを支持する任意のレールベースについて存在しうる。
【0008】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、レールを床に対して支持する機能を維持しつつ、より小型化できるレールベースの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のある態様はレールベースに関する。このレールベースは、レールを支持すべきレール支持部と、レール支持部のうちレール側から見たときレールの一方の側からはみ出す第1はみ出し部を床に対して支持する第1側方支持部と、レール支持部のうちレール側から見たときレールの他方の側からはみ出す第2はみ出し部を床に対して支持する第2側方支持部と、レール支持部のうち第1はみ出し部と第2はみ出し部との間の中間部を床に対して支持する中間支持部と、を備える。レールベースは、中間支持部がレール支持部を介してレールから受ける荷重が、第1側方支持部および第2側方支持部がレール支持部を介してレールから受ける荷重よりも大きくなるよう構成される。
【0010】
この態様によると、第1側方支持部および第2側方支持部がレール支持部を介してレールから受ける荷重を低減できる。
【0011】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を装置、方法、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、レールを床に対して支持する機能を維持しつつ、より小型化できるレールベースを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】スタッカクレーンの正面図である。
図2】実施の形態に係るレールベースの上面図である。
図3図2のA−A線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0015】
実施の形態に係るレールベースは、工場内等の屋内で、有軌道の台車やクレーンなどの有軌道装置が走るレールを床に対して支持する。レールベースは、2枚の金属板の間に防振ゴムを加硫接着した3層構造を有するレール支持部を有し、レールはレール支持部の上側の金属板に固定される。レール支持部の下側の金属板のうちレールの直下となる部分は、接着系アンカーによって床に対して支持される。下側の金属板のうちレールの両脇に延在する部分はそれぞれ、アンカーボルトにより支持される。
【0016】
この構成によると、レールの上を有軌道装置が通る際にレールからレール支持部に加えられる荷重の大部分は、レール直下の接着系アンカーを介して床に伝達される。したがって、レール支持部に作用する曲げモーメントおよびせん断力を低減することができる。その結果、レール支持部に要求される剛性を低減し、レールベース全体を小さくすることができる。また、アンカーボルトに加わる荷重は相対的に小さくなるので、アンカーボルトを小型化することもできる。
【0017】
図1は、スタッカクレーン10の正面図である。スタッカクレーン10は自動倉庫の床52に敷設された走行レール50の上を走行する。走行レール50は、実施の形態に係るレールベース100によって床52から所定の高さのところで支持される。レールベース100は、床52の凹凸や傾きを吸収して走行レール50を略水平に維持するために、据え付け時に高さ調節が可能なように構成されている。レールベース100のさらなる詳細は後述する。
【0018】
スタッカクレーン10の構成は一般的なものであるため簡潔に説明する。スタッカクレーン10は、走行レール50上を走行するための走行系20と、昇降台42を上下方向に昇降させる昇降機構30と、制御部40と、昇降台42と、シャトルフォーク44と、を備える。
【0019】
走行系20は車輪22と走行モータ24と台車26とを含む。台車26に搭載された走行モータ24が車輪22を回転させることにより、スタッカクレーン10は走行レール50上を走行する。
【0020】
昇降機構30は昇降ワイヤ32と昇降装置34とクレーンマスト36とを含む。昇降ワイヤ32の一端側は昇降装置34に、他端側は昇降台42に、不図示のシーブまたはスプロケット等を介して接続される。昇降装置34が昇降ワイヤ32を巻き上げる(巻き出す)と、昇降台42は上下方向に延在するクレーンマスト36に沿って上昇(下降)する。
【0021】
制御部40はマイコンやPLC(programmable logic controller)などにより構成され、ボタンなどのユーザインタフェースを有してもよい。制御部40は所定のプログラムにしたがって、走行モータ24、昇降装置34およびシャトルフォーク44を制御する。
【0022】
シャトルフォーク44は昇降台42に取り付けられ、自動倉庫の棚と昇降台42との間で伸縮自在に構成される。シャトルフォーク44は例えば3段のテレスコーピック構成を有し、上面に商品8が搭載される。
【0023】
図2は、レールベース100の上面図である。図3は、図2のA−A線断面図である。レールベース100は、走行レール50を支持するレール支持部102と、右アンカーボルト110と、右高さ調整ナット対112と、左アンカーボルト114と、左高さ調整ナット対116と、中央接着系アンカー122と、環囲スポンジ124と、を備える。
【0024】
レール支持部102は、金属製のレール接触板104と、防振ゴム106と、金属製のアンカー接触板108と、からなる3層構造を有する。レール接触板104は走行レール50と接触する。レール接触板104の四隅にはそれぞれ、走行レール50締結用のボルトが通過する貫通孔104aが形成されている。走行レール50をレール接触板104に取り付ける際には、走行レール50に設けられたガイド50aに挿通されたレール用ナット(不図示)の位置と貫通孔104aの位置とを合わせ、レール接触板104の下側からボルトを貫通孔104aを通じてレール用ナットに螺合する。
【0025】
なお、レールベース100が走行レール50の途中に取り付けられる場合は、4つの貫通孔104aのうち対角線の関係となる2つのみを使用してもよい。レールベース100が走行レール50の継ぎ目に取り付けられる場合は、一方の走行レール50を4つの貫通孔104aのうちの2つで締結し、他方の走行レール50を残りの2つの貫通孔104aで締結してもよい。
【0026】
レール接触板104と防振ゴム106、および、防振ゴム106とアンカー接触板108はそれぞれ加硫接着により接着固定される。レール接触板104とアンカー接触板108との間にはボルト等の締結手段は存在しない。すなわち、防振ゴム106はレール接触板104からアンカー接触板108への荷重の伝達経路上に設けられ、特に本実施の形態では、レール接触板104からアンカー接触板108への他の伝達経路は存在しない。したがって、レール接触板104が走行レール50から受ける荷重と防振ゴム106がレール接触板104から受ける荷重とは実質的に同等となる。
【0027】
アンカー接触板108は、走行レール50側からすなわち上から見たとき走行レール50の右側からはみ出す右側はみ出し部108aと、上から見たとき走行レール50の左側からはみ出す左側はみ出し部108cと、右側はみ出し部108aと左側はみ出し部108cとの間の部分であって走行レール50の下方に存在するレール下方部108bと、を含む。
【0028】
アンカー接触板108は、走行レール50に対応して下方に凹んだ形状を有する。レール下方部108bはこの凹み部分に対応し、レール下方部108bに接着される防振ゴム106はこの凹みに対応した形状を有する。
【0029】
右側はみ出し部108aには貫通孔(不図示)が設けられており、この貫通孔に右アンカーボルト110が遊嵌されている。右側はみ出し部108aは、右アンカーボルト110に螺合される右高さ調整ナット対112によって挟まれることにより、床52から所定の高さのところで固定される。言い換えると、右アンカーボルト110および右高さ調整ナット対112は、右側はみ出し部108aを床52に対して支持する。後述の中央接着系アンカー122が無い状態で右高さ調整ナット対112の床52からの高さを変えることで、右側はみ出し部108aの床52からの高さを調整することができる。右アンカーボルト110は床52に設けられたアンカー孔に右接着系アンカー118を使用して固定される。
左側はみ出し部108c、左アンカーボルト114、左高さ調整ナット対116、左接着系アンカー120はそれぞれ右側の対応する部材と同様に構成される。
【0030】
中央接着系アンカー122の材質は、右接着系アンカー118の材質や左接着系アンカー120の材質と同等である。特に、中央接着系アンカー122にエポキシ系の接着系アンカーを採用する場合、アクリレート系のものより強度を高めることができるが、硬化に時間がかかる。中央接着系アンカー122にアクリレート系の接着系アンカーを採用する場合、速乾性に優れるが、エポキシ系のものより強度の面で劣る。中央接着系アンカー122としてどのような材質のものを採用するかは、レールベース100の用途により決定すればよい。
なお、中央接着系アンカー122の強度の一例として、本発明者が行った実験によると、直径30mmの中央接着系アンカー122はアクリレート系でおよそ5トンの荷重に耐えることができた。
【0031】
中央接着系アンカー122は、レール下方部108bから床52への荷重の伝達経路上に設けられる。中央接着系アンカー122は円柱形状を有し、レール下方部108bを床52に対して支持する。中央接着系アンカー122の上面はレール下方部108bの下面に固着され、中央接着系アンカー122の下面は床52に固着される。
【0032】
環囲スポンジ124は厚さ(すなわち、上下方向の寸法)を変更可能な中空のスポンジであり、中央接着系アンカー122を環囲する枠を形成する。平面視で環囲スポンジ124の外周は矩形、特に正方形であり、内周は円形である。環囲スポンジ124の外周面のうち走行レール50が延在する延在方向Bと略直交する外周面124aは、平面視でアンカー接触板108の縁と揃えられている。これにより、レールベース100を延在方向Bから見た場合に、レール支持部102に対する環囲スポンジ124の位置が適切か否かをより容易に確認することができる。特に、後述の接着系アンカー導入孔126の位置と環囲スポンジ124の位置とが揃っているか否かを、中央接着系アンカー122の導入前に容易に確認できる。その結果、レールベース100を床52により容易かつ正確に設置することができる。
【0033】
上下方向に圧縮されている環囲スポンジ124自身の弾性により、環囲スポンジ124の上面はレール下方部108bの下面に圧接される。この圧接の強度は、硬化前の中央接着系アンカー122が環囲スポンジ124の上面とレール下方部108bの下面との間を通過するのを十分妨げることができる程度の強度である。環囲スポンジ124の下面も同様に床52に圧接される。環囲スポンジ124の自然な、すなわち圧縮されていない状態での厚さは、左右のはみ出し部108a、108cの床52からの高さに応じて調整されてもよい。
【0034】
環囲スポンジ124は、硬化前の中央接着系アンカー122を透過させず、かつ、空気を透過させる。そのような環囲スポンジ124の材質はポリエステル/ポリクラールであってもよく、一例では日本バイリーン株式会社製の一般再生用エアフィルター(PS/600)が好適である。
【0035】
レール支持部102には、中央接着系アンカー122に対応する位置に接着系アンカー導入孔126が設けられている。接着系アンカー導入孔126は、レール接触板104、防振ゴム106およびレール下方部108bを貫通する。特に接着系アンカー導入孔126は平面視でレール支持部102の中央付近に設けられる。
【0036】
アンカー接触板108の凹み量すなわち左側はみ出し部108c(右側はみ出し部108aでもよい)の下面の床52からの高さとレール下方部108bの下面の床52からの高さとの差分Dは、以下の2つの設計思想に基づき決定される。
(1)レールベース100のレベル調整において、レベル=0を実現する。レベル=0とはレール下方部108bの下面が床52に接触する状態である。そのような状態を実現するためには、差分Dは左高さ調整ナット対116に含まれるナット1つ分よりも大きくなければならない。
(2)レベル=0を実現したときに、走行レール50をレール接触板104に容易に固定できること。すなわち、差分Dは、レベル=0のときのレール接触板104の下面の床52からの高さが、走行レール50締結用のボルトの長さよりも大きくなるよう決定される。
【0037】
スタッカクレーン10が走行レール50上を走行するとき、走行レール50からレール支持部102に、スタッカクレーン10の重量に基づく荷重が加えられる。その荷重はレール支持部102から床52に、右アンカーボルト110および右高さ調整ナット対112により形成される第1伝達経路、中央接着系アンカー122により形成される第2伝達経路並びに左アンカーボルト114および左高さ調整ナット対116により形成される第3伝達経路の3つの伝達経路を通じて伝達される。
【0038】
ここで、第2伝達経路は走行レール50の直下にある一方、第1伝達経路および第3伝達経路は走行レール50の脇にある。このような位置関係により、第2伝達経路は主たる伝達経路となって荷重の大部分を伝達し、第1伝達経路および第3伝達経路はいずれも従の伝達経路となって荷重の残りの部分を伝達する。特に荷重に起因して右アンカーボルト110および左アンカーボルト114に加えられる曲げモーメントはいずれも比較的小さい。言い換えると、中央接着系アンカー122がレール支持部102を介して走行レール50から受ける荷重は、第1伝達経路および第3伝達経路を通じて伝達される残りの荷重よりも大きくなる。
【0039】
以下、レールベース100を使用して走行レール50を自動倉庫の床52に敷設する際の工程を説明する。
施工者は、床52の凹凸や傾斜を測定する。施工者は走行レール50の敷設予定経路上の床52に環囲スポンジ124を所定の間隔で配置する。施工者は、環囲スポンジ124の両脇の床52にアンカー孔を形成する。施工者は、アンカー孔に対応するアンカーボルトを挿入し、接着系アンカーにより床52に固定する。施工者は、レール支持部102と床52とで環囲スポンジ124を挟むようにレール支持部102をアンカーボルトに取り付ける。施工者は、レール接触板104の上面の床52からの高さを、高さ調整ナット対により調整する。この際、床52の凹凸や傾斜の測定結果が使用されてもよい。
【0040】
施工者は、硬化前の接着系アンカーを吐出する充填工具のノズルの先端を接着系アンカー導入孔126に挿入し、環囲スポンジ124、レール下方部108bおよび床52によって囲まれる円柱状の空間に接着系アンカーを注入する。施工者は、接着系アンカーが硬化するまで待機する。施工者は、レール接触板104に走行レール50を載置し、レール接触板104と走行レール50とを締結する。
【0041】
本実施の形態に係るレールベース100によると、走行レール50からレール支持部102を介して床52に伝わる荷重の大部分は中央接着系アンカー122を通じて伝達される。レール支持部102は走行レール50の直下で中央接着系アンカー122によって支持されるので、レール支持部102に作用する曲げモーメントやせん断力を低減することができる。その結果、レール支持部102を小型化できる。また、右アンカーボルト110や左アンカーボルト114が受ける荷重は比較的小さくなる。したがって、右アンカーボルト110、右高さ調整ナット対112、左アンカーボルト114および左高さ調整ナット対116をより小型化することができる。
【0042】
走行レール50の上面レベルは、自動倉庫における利用可能領域(例えば、荷の保管可能領域)の下限を決める重要なファクターのひとつである。本実施の形態に係るレールベース100によると、小型化により走行レール50の上面レベルを下げることができるので、自動倉庫内のスペースの使用効率を高めることができる。
【0043】
また、本実施の形態に係るレールベース100では、環囲スポンジ124によってレール下方部108bと床52との間に中央接着系アンカー122を注入するための空間が規定される。また、環囲スポンジ124はその空間から硬化前の接着系アンカーが漏れ出すことを防止するよう作用する。したがって、接着系アンカー導入孔126を介して注入された接着系アンカーが周囲に広がることを防止しつつレール下方部108bの下面と床52とを接着系アンカーで充填することが可能となる。
【0044】
また、環囲スポンジ124は空気を通過させる一方、未硬化の接着系アンカーを通過させないので、別途空気抜き用の孔を設ける必要がなくなる。また、接着系アンカーが均一になり、気泡の発生が抑えられる。
【0045】
また、本実施の形態に係るレールベース100では、走行レール50の直下の支持部材として比較的廉価な接着系アンカーが採用される。したがって、例えば比較的高価なシムを採用する場合と比較して、製作のコストや据え付けのコストを低減することができる。一例では、接着系アンカーを採用する場合、シムを採用する場合と比べて材料費を1桁程度低減できる。
【0046】
なお、接着系アンカーの代わりにモルタルを使用することも可能ではあるが、接着系アンカーは充填工具により容易に小さな孔に充填可能であるのに対して、モルタル充填は小さな孔から充填することが困難である。モルタル充填の場合は大きな木枠等をレールベースの周囲に施工し、レールベース周囲全体をモルタルで固めることになり、施工が大変でコスト的にも不利となる。本実施の形態では、接着系アンカーが採用されるので、モルタル充填よりも施工容易性およびコスト面で優れる。
【0047】
また、本実施の形態に係るレールベース100では、レール支持部102を、レール接触板104とアンカー接触板108との間に防振ゴム106を加硫接着した3層一体のボルト非貫通構造としている。したがって、ボルトを貫通させる構造と比較して、振動の伝達を低減し、防振性能を高めることができる。ボルトを通じた振動の伝達およびボルトの締め付け力による防振効果の変動が排除されるからである。また、ボルトを使用しない分構造を簡易化できる。また、レール支持部102を工場での一体成型品とすることができるので、レール支持部102の品質は安定する。また、現場で防振ゴムを組み込む必要がなくなるので、現場での施工がより容易となる。
【0048】
以上、実施の形態に係るレールベース100の構成と動作について説明した。この実施の形態は例示であり、その各構成要素の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0049】
実施の形態では、レール下方部108bと床52とに中央接着系アンカー122を介在させる場合について説明したが、これに限られず、レール下方部108bと床52とにはレール下方部108bを床52に対して支持する部材が介在すればよく、そのような部材は例えば金属接着用部材(金属パテ、金属接着剤)、接着系アンカー以外の硬化性の樹脂(接着剤等)やシムであってもよい。
【符号の説明】
【0050】
10 スタッカクレーン、 52 床、 100 レールベース、 102 レール支持部、 110 右アンカーボルト、 114 左アンカーボルト、 122 中央接着系アンカー。
図1
図2
図3