特許第5936984号(P5936984)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5936984スタックモールド射出圧縮成形金型及びスタックモールド射出圧縮成形方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5936984
(24)【登録日】2016年5月20日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】スタックモールド射出圧縮成形金型及びスタックモールド射出圧縮成形方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/26 20060101AFI20160609BHJP
   B29C 45/17 20060101ALI20160609BHJP
【FI】
   B29C45/26
   B29C45/17
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-224128(P2012-224128)
(22)【出願日】2012年10月9日
(65)【公開番号】特開2014-76551(P2014-76551A)
(43)【公開日】2014年5月1日
【審査請求日】2015年4月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】308013436
【氏名又は名称】小島プレス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近藤 啓太
(72)【発明者】
【氏名】岩屋 貴裕
【審査官】 長谷部 智寿
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−173074(JP,A)
【文献】 特開2010−089520(JP,A)
【文献】 特開2011−104834(JP,A)
【文献】 特開2006−110991(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0076713(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00−45/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定金型と、可動金型と、該固定金型と可動金型との間においてスライド可能な中間金型とを備え、
前記固定金型と中間金型との間に第1のキャビティが形成され、
前記中間金型と可動金型との間に第2のキャビティが形成されているスタックモールド射出成形金型において、前記各キャビティへ射出した溶融樹脂に圧縮力を作用させながら冷却固化させる、スタックモールド射出圧縮成形金型であって、
前記第2のキャビティへ溶融樹脂を射出して射出圧縮成形した後、次いで前記第1のキャビティへ溶融樹脂を射出して射出圧縮成形し、
前記第2のキャビティを形成する金型のうち、一方の金型は、該金型のスライド方向に対して直交する向きの凸部材を備え、他方の金型は、前記凸部材と対向して嵌合可能な凹部材を備え、該凸部材及び凹部材は、前記第2のキャビティを形成する金型のみに設けられており、
前記第1のキャビティにて射出圧縮成形する際は、前記凸部材と凹部材とを嵌合して前記第2のキャビティを形成する金型同士が完締め状態でロックされることを特徴とする、スタックモールド射出圧縮成形金型。
【請求項2】
前記固定金型内には、溶融樹脂を供給するノズルと連通する一次ランナが設けられており、
前記中間金型内には、該中間金型と固定金型とを完締めした状態において前記一次ランナと連通する二次ランナが設けられており、
前記二次ランナは、前記第1及び第2のキャビティへそれぞれ連通しており、
前記凸部と凹部は、前記中間金型と可動金型のいずれか一方づつに設けられている、請求項1に記載のスタックモールド射出圧縮成形金型。
【請求項3】
固定金型と、可動金型と、該固定金型と可動金型との間においてスライド可能な中間金型とを備え、
前記固定金型と中間金型との間に第1のキャビティが形成され、
前記中間金型と可動金型との間に第2のキャビティが形成されているスタックモールド射出成形金型において、前記各キャビティへ射出した溶融樹脂に圧縮力を作用させながら冷却固化させる、スタックモールド射出圧縮成形方法であって、
前記第2のキャビティへ溶融樹脂を射出して射出圧縮成形した後、次いで前記第1のキャビティへ溶融樹脂を射出して射出圧縮成形し、
前記第2のキャビティを形成する金型のうち、一方の金型は、該金型のスライド方向に対して直交する向きの凸部材を備え、他方の金型は、前記凸部材と対向して嵌合可能な凹部材を備え、該凸部材及び凹部材は、前記第2のキャビティを形成する金型のみに設けられており、
前記第1のキャビティにて射出圧縮成形する際は、前記凸部材と凹部材とを嵌合して前記第2のキャビティを形成する金型同士が完締め状態でロックされることを特徴とする、スタックモールド射出圧縮成形方法。
【請求項4】
前記固定金型内には、溶融樹脂を供給するノズルと連通する一次ランナが設けられており、
前記中間金型内には、該中間金型と固定金型とを完締めした状態において前記一次ランナと連通する二次ランナが設けられており、
前記二次ランナは、前記第1及び第2のキャビティへそれぞれ連通しており、
前記凸部と凹部は、前記中間金型と可動金型のいずれか一方づつに設けられている、請求項3に記載のスタックモールド射出圧縮成形方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つの金型で複数の成形品を成形できるスタックモールド射出成形金型において射出圧縮成形を行う、スタックモールド射出圧縮成形金型と、スタックモールド射出圧縮成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、溶融樹脂を金型内のキャビティへ射出し、冷却固化することで所定形状に成形された射出成形品が、あらゆる分野で使用されている。このときに使用する射出成形金型の一種として、1つの金型で複数の成形品を成形できるスタックモールド射出成形金型も開発されている。スタックモールド射出成形によれば、1つの金型で1つの成形品を成形する一般的な射出成形(以下、単数射出成形と称す)と同じ型締め力で、複数の成形品を同時に成形できるという利点を有する。すなわち、単数射出成形と同等の生産コスト(ランニングコスト)によって複数の成形品を同時に製造でき、従来よりも生産性を大幅に向上できる。延いては、成形品1個当たりのコスト低減にも繋がる。
【0003】
このようなスタックモールド射出成形金型として、例えば特許文献1が提案されている。特許文献1では、固定金型と、可動金型と、該固定金型と可動金型との間においてスライド可能な中間金型とを備え、固定金型と中間金型との間に第1のキャビティが形成され、中間金型と可動金型との間に第2のキャビティが形成されている。固定金型内には、溶融樹脂を供給するノズルと第1のキャビティとを連通する一次ランナが設けられており、中間金型内には、第1のキャビティと第2のキャビティとを連通する二次ランナが設けられている。そのうえで、一次ランナを介して第1のキャビティへ射出された溶融樹脂は、そのまま二次ランナを介して第2のキャビティへも射出される。すなわち、特許文献2では、従来と同様に第1のキャビティと第2のキャビティとへ同時に溶融樹脂を射出している。
【0004】
一方、キャビティへ射出した溶融樹脂を冷却固化させる前に圧縮力を作用させて成形品を成形する射出圧縮成形も開示されている。これによれば、金型を型締めした際の圧縮力を受けながら成形品が成形されることによって、溶融樹脂の充填圧によって成形する一般的な射出成形(以下、充填圧射出成形と称す)よりも成形品の表面性状のムラが抑えられ、品質の高い成形品を得られるという利点を有する。このような射出圧縮成形としては、例えば特許文献2が提案されている。特許文献2では、完全に金型を型締めした完締め状態より僅かに金型を開いた半締め状態において溶融樹脂を射出してから、金型を完全に型締めすることで、キャビティへ射出された溶融樹脂へ圧縮力を作用させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平05−278087号公報
【特許文献2】特開2004−66728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、スタックモールド射出成形と射出圧縮成形とには、それぞれ特有の利点がある。そこで、両者の利点を得るためには、特許文献1のようなスタックモールド射出成形金型において、特許文献2のように射出圧縮成形を行えばよい。しかしながら、単に特許文献1と特許文献2とを組み合わせると、充填圧射出成形よりも高い型締め力を複数のキャビティへ同時に作用させる必要がある。これでは、キャビティの数に応じてトータル型締め力が倍増するので、単数射出成形と同等の生産コストで複数の成形品を同時に成形できるというスタックモールド射出成形の利点が失われてしまう。
【0007】
そこで、スタックモールド射出成形の利点を損なうことなく射出圧縮成形するには、各キャビティに作用させる圧縮力のタイミング(完締めタイミング)をずらすことが考えられる。しかしながら、特許文献1のように複数のキャビティへ同時に溶融樹脂を射出したうえで完締めタイミングを異ならせると、溶融樹脂がキャビティへ射出されてから固化されるまでの時間にバラツキが生じてしまう。これでは、各キャビティで得られる成形品の品質にもバラツキが生じてしまう。最悪の場合不良品が発生する虞もあり、結局スタックモールド射出成形と射出圧縮成形とを組み合わせる意味がなくなってしまう。
【0008】
したがって、スタックモールド射出成形の利点を損なうことなく射出圧縮成形するには、各キャビティへの射出タイミングそのものをずらす必要がある。しかし、この場合、最初に射出圧縮成形した側(一次側)のキャビティでは、少なくとも確実に冷却固化するまでは次に(二次側に)射出成圧縮形している間も圧縮力を維持する必要がある。そのため、二次側に射出圧縮成形している間も、一次側の金型は完締め状態を維持しておく必要がある。しかしながら、二次側に射出圧縮成形するためには、当該二次側の金型を一旦半締め状態にする必要があるため、これに伴い一次側の金型が溶融樹脂の充填圧によって開いてしまい、圧縮力が開放される虞がある。そのためには、二次側で射出圧縮成形している間も一次方の金型を油圧シリンダ等によって継続して押圧しておくことも考えられる。しかし、これでは、生産コスト(ランニングコスト)が嵩んでしまう。
【0009】
そこで、本発明はこのような課題を解決するものであって、その目的は、必要以上に生産コストを増加させることなくスタックモールド射出成形金型によって射出圧縮成形を行いながら、同時に得られる各成形品における品質のバラツキも生じない、スタックモールド射出圧縮成形金型と、スタックモールド射出圧縮成形方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そのための手段として、本発明は、固定金型と、可動金型と、該固定金型と可動金型との間においてスライド可能な中間金型とを備え、前記固定金型と中間金型との間に第1のキャビティが形成され、前記中間金型と可動金型との間に第2のキャビティが形成されているスタックモールド射出成形金型において、前記各キャビティへ射出した溶融樹脂に圧縮力を作用させながら冷却固化させるスタックモールド射出圧縮成形金型であって、前記第1・第2のキャビティのうち、いずれか一方のキャビティへ溶融樹脂を射出して射出圧縮成形した後に、次いで他方のキャビティへ溶融樹脂を射出して射出圧縮成形する。そのうえで、前記一方(一次側)のキャビティを形成する金型のうち、一方の金型は、該金型のスライド方向に対して直交する向きの凸部材を備え、他方の金型は、前記凸部材と対向して嵌合可能な凹部材を備える。そして、前記他方(二次側)のキャビティにて射出圧縮形成する際は、前記凸部材と凹部材とを嵌合させて前記一方のキャビティを形成する金型同士が完締め状態でロックされることを特徴とする。
【0011】
これによれば、各キャビティへの溶融樹脂の射出タイミングをずらし、一方のキャビティにおいて射出圧縮成形してから他方のキャビティにおいて射出圧縮成形しているので、各キャビティにおいて溶融樹脂が射出されてから固化するまでの時間が均一となる。これにより、得られる各成形品の表面性状等の品質にバラツキが生じることを避けることができる。そのうえで、他方(二次側)のキャビティにて射出圧縮成形する際は、一方(一次側)のキャビティを形成する金型が凸部材と凹部材との嵌合によってロックされていることで、当該一方のキャビティを形成する金型同士が溶融樹脂の充填圧等によって型開きすることなく、確実に圧縮力を作用させ続けることができる。しかも、凸部材と凹部材とを嵌合させているだけなので、油圧シリンダ等によって圧縮状態を維持させる場合よりも生産コストを低減することができる。また、凸部材と凹部材との嵌合方向が金型のスライド方向に対して直交する向きとなっていることで、より小さな力でより強固に金型をロックすることができる。
【0012】
このとき、前記固定金型内に、溶融樹脂を供給するノズルと連通する一次ランナを設け、前記中間金型内に、当該中間金型と固定金型との完締め状態において前記一次ランナと連通する二次ランナを設けて、前記二次ランナを前記第1及び第2のキャビティへそれぞれ連通させたうえで、前記凸部と凹部を、前記中間金型と可動金型のいずれか一方づつに設けて、前記第2のキャビティへ溶融樹脂を射出して射出圧縮成形した後に、前記凸部材と凹部財とを嵌合させて前記中間金型と可動金型とを完締め状態でロックし、次いで前記第1のキャビティへ溶融樹脂を射出して射出圧縮成形することが好ましい。
【0013】
中間金型と固定金型とを完締めした状態において一次ランナと二次ランナとが連通する構成とすると、中間金型と固定金型との半締め状態においては、一次ランナと二次ランナとの連通部周辺には僅かな隙間(以下、捨てランナと称す)が生じ、当該捨てランナにも溶融樹脂が充填される。この場合、先に第1のキャビティにおいて射出圧縮成形すると、捨てランナに溜まった溶融樹脂が固化し始めているので、次いで第2のキャビティにおける射出圧縮成形性を阻害してしまう。これを避けるには、第1のキャビティに続いて第2のキャビティにおいて射出成形する前に、捨てランナで固化した樹脂をわざわざ除去する必要があり、生産性が低下してしまう。そこで、先に第2のキャビティにおいて射出圧縮成形してから、次いで第1のキャビティにおいて射出圧縮成形する構成としていれば、上記のような問題を避けることができる。
【0014】
また、本発明によれば、固定金型と、可動金型と、該固定金型と可動金型との間においてスライド可能な中間金型とを備え、前記固定金型と中間金型との間に第1のキャビティが形成され、前記中間金型と可動金型との間に第2のキャビティが形成されているスタックモールド射出成形金型において、前記各キャビティへ射出した溶融樹脂に圧縮力を作用させながら冷却固化させる、スタックモールド射出圧縮成形方法であって、前記第1・第2のキャビティのうち、いずれか一方のキャビティへ溶融樹脂を射出して射出圧縮成形した後、次いで他方のキャビティへ溶融樹脂を射出して射出圧縮成形し、前記一方のキャビティを形成する金型のうち、一方の金型は、該金型のスライド方向に対して直交する向きの凸部材を備え、他方の金型は、前記凸部材と対向して嵌合可能な凹部材を備え、前記他方のキャビティにて射出圧縮形成する際は、前記凸部材と凹部材とを嵌合して前記一方のキャビティを形成する金型同士が完締め状態でロックされることを特徴とする、スタックモールド射出圧縮成形方法を提案することもできる。
【0015】
この場合、前記固定金型内には、溶融樹脂を供給するノズルと連通する一次ランナが設けられており、前記中間金型内には、該中間金型と固定金型とを完締めした状態において前記一次ランナと連通する二次ランナが設けられており、前記二次ランナは、前記第1及び第2のキャビティへそれぞれ連通しており、前記凸部と凹部は、前記中間金型と可動金型のいずれか一方づつに設けられ、前記第2のキャビティへ溶融樹脂を射出して射出圧縮成形した後、前記凸部材と凹部財とを嵌合させて前記中間金型と可動金型とを完締め状態でロックしたうえで、次いで前記第1のキャビティへ溶融樹脂を射出して射出圧縮成形することが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、必要以上に生産コストを増加させることなくスタックモールド射出成形金型によって射出圧縮成形を行うことができ、且つ、同時に得られる各成形品における品質のバラツキも生じない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】全開き状態の実施形態1の模式図である。
図2】第2のキャビティへ溶融樹脂を射出している状態を示す実施形態1の模式図である。
図3】第2のキャビティにおいて圧縮成形している状態を示す実施形態1の模式図である。
図4】第1のキャビティへ溶融樹脂を射出している状態を示す実施形態1の模式図である。
図5】第1のキャビティにおいて圧縮成形している状態を示す実施形態1の模式図である。
図6】実施形態2の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(実施形態1)
以下、本発明の代表的な実施形態について説明する。本実施形態1の成形金型は、図1等に示すように、固定金型10と、可動金型11と、該固定金型10と可動金型11との間においてスライド可能な中間金型12とを備え、固定金型10と中間金型12との間(双方の対向面)、及び中間金型12と可動金型11との間(双方の対向面)に、それぞれ所定形状の第1のキャビティ20及び第2のキャビティ21が形成された、スタックモールド型となっている。なお、本実施形態1では、第1及び第2のキャビティ20・21は、固定金型10と中間金型12との間、及び中間金型12と可動金型11との間において、それぞれ複数(2箇所)設けられている。
【0019】
固定金型10には、溶融樹脂が供給されるノズル14と連通する一次ランナ15が設けられている。可動金型11は、中間金型12を介した固定金型10との対向位置において、スライド可能に配されている。なお、中間金型12と可動金型11とを完締めした状態においては、可動金型11の一部が中間金型12の内側に嵌まり込んでいる。中間金型12内には、一端が中間金型12と固定金型10とを完締めした状態において一次ランナ15と直接連通する、二次ランナ16が設けられている。二次ランナ16は、中間金型12内において複数方向へ分岐状に延びており、その他端は、それぞれ各キャビティ20・21へ連通している。なお、二次ランナ16の他端(各キャビティ20・21との連通部)には、バルブゲート(図示せず)が設けられている。バルブゲートは、ゲートに対して進退可能な封止ピン(バルブ)を内部に備えるゲートであって、封止ピンを進退させてゲートの開閉を行うことで、溶融樹脂の射出タイミングを制御可能となっている。符号17は、可動金型11及び中間金型12のスライド移動を案内するタイロッドである。
【0020】
また、中間金型12の対向する2つの縁部(本実施形態1では上下縁部)には、先端部が中間金型12のスライド方向(図面基準では左右方向)に対して直交する向き(図面基準では上下方向)となっている、凸部材30がそれぞれ設けられている。図3,4の拡大図に示すように、凸部材30はL字型の部材であって、基端部30aが固定金型11へ向けて中間金型12に固定され、先端部30bは中間金型12よりも可動金型11側へ突出した位置において内方に向けて折れ曲がっており、凸部材として機能する。一方、可動金型11の対向する2つの縁部(本実施形態1では上下縁部)であって、凸部材30(の先端部30b)に臨む部位には、中間金型12と可動金型11とを完締めした状態において、凸部材30と対向して嵌合可能な凹部材31が設けられている。すなわち、凹部材31も、可動金型11のスライド方向に対して直交する方向(外方)に向けられている。凸部材30は不動状に設けられている。一方、凹部材31は、図3,4の拡大図に示すように、可動金型11に凹設した収容空間へ油圧シリンダ32と共に収容されており、凸部材30に対して接触・離間する方向に進退自在(昇降自在)となっている。
【0021】
次に、当該成形金型により樹脂成形品を射出圧縮成形する方法について説明する。まず、図1に示す全開き状態から、図2に示すように、固定金型10に対して中間金型12を完全に型締め(完締め)して一次ランナ15と二次ランナ16とを直接連通させる。一方、この時点では、中間金型12と可動金型11とを完締めせず、完締め状態直前の半締め状態(完締め状態よりも中間金型12と可動金型11とを僅かに開いた状態)としておく。なお、この時点では凸部材30と凹部材31とは完全に重なっていない。そのうえで、ノズル14から一次ランナ15及び二次ランナ16を通して、各第2のキャビティ21のみへ溶融樹脂を射出する。このとき、一次ランナ15と二次ランナ16とが直接連通していることで、当該一次ランナ15と二次ランナ16との連通部周辺には、溶融樹脂が無駄に溜まることはない。
【0022】
中間金型12と可動金型11との半締め状態において、各第2のキャビティ21へ十分量の溶融樹脂を充填できたら、図3に示すように、中間金型12と可動金型11とを完締めし、圧縮成形する。すなわち、各第2のキャビティ21内に充填されている溶融樹脂に圧縮力が作用し、当該圧縮状態において可動金型11を冷却させて溶融樹脂を固化させる。これにより、表面性状の良好な品質の高い成形品となる。また、可動金型11と中間金型12とを完締めすることで、凸部材30と凹部材31とが対向状態となる。しかし、この時点では、凹部材31は後退位置にあり、凸部材30と凹部材31とは嵌合していない。
【0023】
各第2のキャビティ21において射出圧縮成形できたら、図4に示すように、凹部材31を進延し凸部材30と嵌合させて可動金型11と中間金型12とを完締め状態でロックしたうえで、固定金型10と中間金型12とを僅かに開いて半締め状態とし、今度は各第1のキャビティ20へ溶融樹脂を射出する。このとき、一次ランナ15と二次ランナ16との連通部周辺には僅かな隙間(捨てランナ)22が生じており、当該捨てランナ22にも溶融樹脂が流入する。また、固定金型10と中間金型12とを半締め状態としても、可動金型11と中間金型12とが型開きすることはないので、第1のキャビティ20において圧力開放されることはない。なお、第1のキャビティ20において射出圧縮成形している間でも、第2のキャビティ21側は冷却状態で維持されている。
【0024】
そして、固定金型10と中間金型12との半締め状態において、各第1のキャビティ20へ十分量の溶融樹脂を充填できたら、図5に示すように、固定金型10と中間金型12とを完締めし、圧縮成形する。すなわち、各第1のキャビティ20内に充填されている溶融樹脂に圧縮力が作用し、当該圧縮状態において固定金型10を冷却させて溶融樹脂を固化させる。これにより、表面性状の良好な品質の高い成形品となる。なお、捨てランナ22に溜まっていた溶融樹脂は、固定金型10と中間金型12とを完締めする際には十分な流動性を有するため、当該固定金型10と中間金型12との完締めに伴い一次ランナ15や二次ランナ16等へほぼ押し流され、捨てランナ22内には殆ど溶融樹脂が残らない。
【0025】
各第1のキャビティ20においても射出圧縮成形できたら、凹部材31を後退させて凸部材30との嵌合を解除することで、可動金型11と中間金型12とのロック状態を解除したうえで、各金型10・11・12を全開きして、各キャビティ20・21から成形品を取り出せばよい。後は、図1に示す状態からの繰り返しである。
【0026】
(実施形態2)
図6に、本発明の実施形態2を示す。本実施形態2は実施形態1の変形例であって、凸部材30を中間金型12へスライド自在に配したロックピンとし、凹部材31を可動金型11の側面に凹設したロック孔としている。この場合も、図6(A)に示す全開き状態から、図6(B)に示す第2のキャビティ21にて射出圧縮成形している際は、凸部材(ロックピン)30は凹部材(ロック孔)31と嵌合させる必要は無いが、図6(C)に示す第1のキャビティ20にて射出圧縮成形する際は、凸部材(ロックピン)30と凹部材(ロック孔)31とを嵌合させて可動金型11と中間金型12とをロックする。これにより、第1のキャビティ20にて射出圧縮成形する際の可動金型11と中間金型12との型開きが防止される。その他は実施形態1と同様なので、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。
【0027】
(その他の変形例)
以上、本発明の代表的な実施形態について説明したが、これらに限られることは無く、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0028】
例えば、上記実施形態1・2では第1及び第2のキャビティ20・21をそれぞれ複数(2箇所)設けたが、1箇所だけでもよい。又は、3箇所以上設けることもできる。
【0029】
また、捨てランナ22の問題は生じるが、上記実施形態1・2とは逆に、第1のキャビティ20にて射出圧縮成形した後に、第2のキャビティ21にて射出圧縮成形することもできる。この場合、ロック孔及びロックピンは、固定金型10と中間金型11とに設けておく。
【0030】
固定金型10と中間金型12や、中間金型12と可動金型11を半締め状態とする際は、当該固定金型10と中間金型12との間や、中間金型12と可動金型11との間に、ストッパが介在するような構成とすることもできる。この場合、ストッパは各金型のスライド方向と直交する方向に進退自在に配し、半締め状態とする場合にのみ各金型の間に進出し、その他の状態では後退するよう制御する。
【0031】
また、一端がノズル14に連通する一次ランナ15も固定金型10内にて複数の方向へ分岐させ、他端の1つは二次ランナ16と連通可能とし、他の他端は、バルブゲートを介して第1のキャビティ20へ連通させることもできる。この場合、中間金型12内の二次ランナ16は、一端が一次ランナ15と連通可能となっており、他端はノズルゲートを介して第2のキャビティ21のみへ連通させればよい。
【0032】
また、上記実施形態1では凸部材30を不動とし、凹部材31を進退自在としたが、逆でも良い。すなわち、凸部材30を進退自在に配し、凹部材31を不動状に設けることもできる。また、上記実施形態では凸部材30を中間金型12に設け、凹部材31を可動金型11に設けたが、逆でもよい。すなわち、凸部材30を可動金型11に設け、凹部材31を中間金型12に設けることもできる。さらに、凸部材30及び凹部材31は、金型の上下外面に設けるほか、左右(図面基準で奥方と手前方向)外面に設けることもできる。
【0033】
また、上記実施形態1において、油圧シリンダ32に代えて、エアシリンダや電動機などの昇降手段を使用することもできる。
【符号の説明】
【0034】
10 固定金型
11 可動金型
12 中間金型
14 ノズル
15 一次ランナ
16 二次ランナ
20 第1のキャビティ
21 第2のキャビティ
30 凸部材
31 凹部材

図1
図2
図3
図4
図5
図6