特許第5936994号(P5936994)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5936994自己抗体陽性疾患を有する患者の処置に使用するための方法および組成物
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  • 特許5936994-自己抗体陽性疾患を有する患者の処置に使用するための方法および組成物 図000006
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5936994
(24)【登録日】2016年5月20日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】自己抗体陽性疾患を有する患者の処置に使用するための方法および組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20160609BHJP
   A61P 19/04 20060101ALI20160609BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20160609BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20160609BHJP
【FI】
   A61K39/395 UZMD
   A61K39/395 GZNA
   A61P19/04
   A61P37/06
   A61P43/00 121
【請求項の数】2
【外国語出願】
【全頁数】173
(21)【出願番号】特願2012-253135(P2012-253135)
(22)【出願日】2012年11月19日
(62)【分割の表示】特願2008-535568(P2008-535568)の分割
【原出願日】2006年10月5日
(65)【公開番号】特開2013-32402(P2013-32402A)
(43)【公開日】2013年2月14日
【審査請求日】2012年11月19日
(31)【優先権主張番号】60/725,625
(32)【優先日】2005年10月13日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】60/725,626
(32)【優先日】2005年10月13日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】60/725,627
(32)【優先日】2005年10月13日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】60/725,629
(32)【優先日】2005年10月13日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】60/725,628
(32)【優先日】2005年10月13日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】60/735,964
(32)【優先日】2005年11月14日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】60/735,988
(32)【優先日】2005年11月14日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】60/735,963
(32)【優先日】2005年11月14日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】60/735,967
(32)【優先日】2005年11月14日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】60/735,987
(32)【優先日】2005年11月14日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】60/776,665
(32)【優先日】2006年2月27日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】60/776,660
(32)【優先日】2006年2月27日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】60/776,658
(32)【優先日】2006年2月27日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】60/776,664
(32)【優先日】2006年2月27日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】60/776,659
(32)【優先日】2006年2月27日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】60/781,387
(32)【優先日】2006年3月13日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】60/787,557
(32)【優先日】2006年3月31日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】60/797,351
(32)【優先日】2006年5月4日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】60/797,360
(32)【優先日】2006年5月4日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】60/814,869
(32)【優先日】2006年6月20日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】60/814,870
(32)【優先日】2006年6月20日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】60/815,559
(32)【優先日】2006年6月22日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】60/815,558
(32)【優先日】2006年6月22日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】60/815,827
(32)【優先日】2006年6月23日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】60/834,152
(32)【優先日】2006年7月31日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】60/834,150
(32)【優先日】2006年7月31日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】597018381
【氏名又は名称】ヒューマン ジノーム サイエンシーズ, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Human Genome Sciences, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100143971
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 宏行
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【弁理士】
【氏名又は名称】反町 洋
(72)【発明者】
【氏名】マーク シェブリアー
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム フリームス
(72)【発明者】
【氏名】チョン チェンシャオ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル オーデンハイマー
(72)【発明者】
【氏名】メリッサ ディー. パーキンス
【審査官】 伊藤 基章
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05969102(US,A)
【文献】 国際公開第00/040716(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0223996(US,A1)
【文献】 国際公開第02/038766(WO,A1)
【文献】 SALONEN,E.M. et al,Annals of the rheumatic diseases,2004年,Vol.63, No.10,p.1250-4
【文献】 DATABASE BIOSIS ON STN,2005年 9月,ACC. NO.2006:7237
【文献】 KEYSTONE,E.,Arthritis research & therapy,2005年 5月,Vol.7,p.S13-8
【文献】 HUMAN GENOME SCIENCES REPORTS RESULTS OF A PHASE 2 CLINICAL TRIAL OF LYMPHOSTAT-B IN PATIENTS WITH S,[ON LINE], HUMAN GENOME SCIENCES, INC.,2005年10月 5日,[平成24年5月11日検索],インターネットから取得,URL,http://www.hgsi.com/latest/human-genome-sciences-reports-results-of-a-phase-2-clinical-trial-of-lymphostat-b-in-patients-with-systemic-lupus-erythema.html
【文献】 竹村周平,綜合臨床,1998年,Vol.47,p.1576-1578
【文献】 MCKAY,J. et al,Arthritis & Rheumatism,2005年 9月,Vol.52, No.9,p.S710-S711
【文献】 LOONEY,R.J.,Rheumatology,2005年 5月,Vol.44,p.ii13-ii17
【文献】 SCHROEDER,J. et al.,Drugs,1997年,Vol.54, No.3,p.422-34
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 39/00
A61K 38/00
A61K 45/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療有効量のニュートロカイン−アルファのアンタゴニストおよび抗CD20抗体を含む、患者の血漿または血清において、ANA力価≧1:80または30IU/mL以上の抗dsDNA抗体を有する、全身エリテマトーデス(SLE)の患者を治療することに使用するための組成物であって、ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストが、ベリムマブのVHドメインおよびVLドメインのアミノ酸配列を含む抗ニュートロカイン−アルファ抗体である、組成物。
【請求項2】
前記患者が、該患者の血漿または血清において、ANA力価≧1:80および30IU/mL以上の抗dsDNA抗体を有する、請求項1に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(発明の背景)
ニュートロカインアルファタンパク質(配列番号2)は、APRIL(28.7%、配列番号4)、TNFα(16.2%)、およびリンホトキシン−α(LTα)(14.1%)に対するアミノ酸配列同一性を有するリガンドのTNFファミリーのメンバーである(非特許文献1)。ニュートロカイン−アルファは、Bリンパ球刺激因子(BLyS)、B細胞活性化因子(BAFF)、TNF−およびApoL−関連白血球発現リガンド−1(TALL−1)を含めた、多くの名称の下で科学および特許文献で知られている(非特許文献1;非特許文献2;および非特許文献3)。ニュートロカイン−アルファについての公式な命名法は、腫瘍壊死因子(リガンド)スーパーファミリーメンバー13B(TNFSF13b)である。全長ニュートロカイン−アルファ遺伝子は、タイプII膜結合タンパク質の非疎水性配列特徴によって先行されたアミノ酸47〜73の間に膜貫通スパンドメインを有する285アミノ酸のポリペプチドをコードする。TNFファミリーの他のメンバーのように、ニュートロカイン−アルファはトリマータンパク質として機能する。細胞の表面におけるニュートロカイン−アルファの発現に際して、細胞外ドメインはアミノ酸134において切断されて生物学的に活性なトリマーを放出する。
【0002】
ニュートロカイン−アルファは、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーからの3つの異なる受容体に結合することが知られている。これらは膜貫通アクチベーターおよびCAMLインターアクター(TACI,GenBank受託番号AAC51790,配列番号6)、B細胞活性化因子受容体、B細胞成熟抗原(BCMA,GenBank受託番号NP_00183 配列番号8)および(BAFF−R GenBank受託番号NP_443177 配列番号10)である(非特許文献4;非特許文献5;および非特許文献6)。受容体の発現はBリンパ球にかなり制限される(非特許文献1)。ニュートロカイン−アルファの効果の大部分は、TACIまたはBCMA欠乏マウスにおいては明らかでないニュートロカイン−アルファ発現またはBAFF−R発現が欠乏したマウスのB細胞区画における顕著な欠陥のためBAFF−Rによって媒介されると考えられている(非特許文献7;非特許文献8;および非特許文献6)。
【0003】
ニュートロカイン−アルファタンパク質をインビトロおよびインビボでアッセイすると、ニュートロカイン−アルファはB細胞の増殖、分化および生存を促進することが示された。加えて、ニュートロカイン−アルファは同様にT細胞に対していくらか効果を有することが示された(非特許文献9;非特許文献10;非特許文献11、非特許文献12)。ニュートロカイン−アルファをトランスジェニック的に過剰発現するように作成されたマウスは、増大した数の末梢B細胞および増大した血清免疫グロブリン濃度を有した。加えて、ニュートロカイン−アルファトランスジェニックマウスは、自己抗体の発生、および糸球体腎炎を伴う兆候を含めた、ヒト全身エリテマトーデスで観察されたものに似た自己免疫表現型が与えられていた(非特許文献1;非特許文献13)。後の研究は、血清/または滑液中のニュートロカイン−アルファのレベルは、全身エリテマトーデス、慢性関節リウマチおよびシェーグレン症候群のような自己免疫疾患を有する患者においてやはりアップレギュレートされたことを示した(非特許文献14;非特許文献15;非特許文献16)。従って、ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストが自己免疫疾患の治療において治療的潜在能力を有するという科学分野における広く行き渡った確信がある。
【0004】
全身エリテマトーデス(SLEまたは「狼瘡」)は、その兆候が極端に不均一である自己免疫疾患である。SLEを有する患者を診断するための現在の標準は11の基準:(1)頬骨ちょう型紅斑、(2)円盤状紅斑、(3)光感受性、(4)口腔潰瘍、(5)関節炎、(6)漿膜炎、(7)腎臓障害、(8)神経学的障害、(9)血液学的障害、(10)免疫学的障害および(11)抗−核抗体の存在を含む。これらの基準は、ここに引用してその全体を援用する非特許文献17;および非特許文献18においてより詳細に説明されている。これらの11の基準のうち、いずれか4つを持つ個人はSLEを持つと診断できる。従って、SLEの臨床的診断を有する個体は重複しない兆候を有し得る。さらに、狼瘡の兆候の多くは他の疾患における兆候と重複する。例えば、慢性関節リウマチ、多発性筋炎−皮膚筋炎、全身硬化症(または強皮症)、シェーグレン症候群および種々の形態の血管炎は、以下の特徴:抗核抗体および抗dsDNA抗体を含めた自己抗体の存在、関節の疼痛および腫脹、および皮膚紅斑、器官関与、のうちの1以上を含めた狼瘡での兆候を有する。かくして、現実には、狼瘡患者、および他の同様な疾患を有する患者を正しく診断するのはしばしば困難である。狼瘡病を診断するにおける困難性に導くさらなる因子は、該疾患が迅速に発生せず;むしろ、患者は経時的に徐々に兆候を蓄積するという事実を含む。加えて、SLEは患者内での可変活性を伴う疾患である。時々、該疾患は休止しており、他方、他の時点において、患者は「発赤」エピソードにおいて、その兆候の数および/または重症度の増加を経験する。最後に、明確に狼瘡を診断する1つの実験的テストは存在しない。加えて、当該分野においては、特定の兆候を持つ狼瘡患者のサブセットを定義し、および患者のサブセット、およびそれらのサブセットにおける患者に利益をより与えるような治療の間の修正を行うことができる必要性が存在する。
本出願は、免疫調節剤での治療からより利益を受けるだろう自己免疫疾患を有する患者の特定のサブグループを同定する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Mooreら,Science(1999)285:260−263
【非特許文献2】Schneiderら,J.Exp.Med.(1999)189:1747−1756
【非特許文献3】Khareら,Proc.Natl.Acad.Sci.(2000)97:3370−3375
【非特許文献4】Grossら,Nature(2000)404:995−999
【非特許文献5】Thompsonら,Science(2001)293:2108−2111
【非特許文献6】Yanら、Nature Immunol.(2000)1:252−256
【非特許文献7】Schiemanら,Science(2001)292:2111−2114
【非特許文献8】Grossら,Immunity(2001)15:289−302
【非特許文献9】MacKayら,J.Exp.Med.(1999)190:1697−1710
【非特許文献10】Huardら,J.Immunol.(2001)167:6225−6231
【非特許文献11】Huardら,Int.Immunol.(2004)16:467−475
【非特許文献12】Ngら,J.Immunol.(2004)173:807−817
【非特許文献13】MacKayら,J.Exp.Med.(1999)192:129−135
【非特許文献14】Cheemaら,Arthritis Rheum.(2001)44:1313−1319
【非特許文献15】Groomら,J.Clin.Invest.(2002)109:59−68
【非特許文献16】Marietteら,Ann.Rheum.Dis(2003)62:168−171
【非特許文献17】Tanら,Arthritis Rheum.(1982)25:1271−1277
【非特許文献18】Hochbergら,Arthritis Rheum.(1997)40:1725
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要旨)
第2相臨床試験において、0、14、28日における、次いで、週52まで4週間毎にIV注入として与えた、ニュートロカイン−アルファタンパク質を中和する抗体での狼瘡患者の処置は、患者の血漿または血清において、1:80以上のANA力価、および/または30IU/mL以上の抗dsDNA抗体を有する患者のサブセットにおいて狼瘡に関連する兆候を有意に軽減することが見出された(実施例1参照)。驚くべきことに、(後により詳細に説明される、SELENE SLEDAIスコアの低下のような)疾患活性を測定する臨床的終点の統計学的に有意な改良は、臨床試験に登録された全患者集団と反対に、患者のサブセットで得られたに過ぎなかった。かくして、本発明は、ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストのような免疫調節剤での治療により応答するようである患者のサブグループの同定に関する。
【0007】
従って、一つの実施形態において、本発明は、治療有効量の免疫調節剤を投与することを含む、患者の血漿または血清において、1:80以上のANA力価、または30IU/mL以上の抗dsDNA抗体を有する患者を治療する方法を提供する。免疫調節剤は後により詳細に記載する。特別な実施形態において、免疫調節剤は、限定されるものではないが、抗ニュートロカイン−アルファ抗体またはその抗原結合断片ニュートロカイン−アルファ受容体タンパク質、またはその断片または変異体、ニュートロカイン−アルファ受容体に結合する抗体、またはその抗原結合断片、ニュートロカイン−アルファ結合ペプチドまたはポリペプチド、ニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILポリペプチド変異体(例えば、ニュートロカイン−アルファおよび/またはEPRILのドミナントネガティブ形態)を含めたニュートロカイン−アルファのアンタゴニストである。ニュートロカイン−アルファのさらなるアンタゴニストは、ニュートロカイン−アルファの小分子アンタゴニスト、ニュートロカイン−アルファペプチド模倣物、ニュートロカイン−アルファを標的とするアンチセンスRNAおよび短い干渉RNA(siRNA)、APIRLを標的とするアンチセンスRNAおよび短い干渉RNA(siRNA)、ニュートロカイン−アルファに対する受容体、および/またはAPRILに対する受容体を標的とするアンチセンスRNAおよび短い干渉RNA(siRNA)を含む。ニュートロカイン−アルファ受容体は、例えば、膜貫通アクチベーターおよびCAMLインターカレーター(TACI,GenBank受託番号AAC51790,配列番号6)、B細胞活性化因子受容体、B細胞成熟抗原(BCMA,GenBank受託番号NP_001183配列番号8)および(BAFF−R,GenBank受託番号NP_443177 配列番号10)を含む。
【0008】
もう1つの実施形態において、本発明は、治療有効量の免疫調節剤を投与することを含む、患者の血漿または血清において、1:80以上のANA力価、および/または30IU/mLの抗dsDNA抗体を有する自己免疫疾患を有する患者を治療する方法を提供する。患者の血漿または血清において、1:80以上のANA力価、および/または30IU/mL以上の抗dsDNA抗体を有する患者を同定することができる自己免疫疾患の例は、限定されるものではないが、全身エリテマトーデス(SLE)、慢性関節リウマチ、シェーグレン症候群、強皮症、多発性筋炎−皮膚筋炎、フェルティ症候群、混合結合組織疾患、レイノー症候群、若年性慢性関節炎、糸球体腎炎、特発性血小板減少性紫斑病、およびIgA腎臓障害を含む。
【0009】
特別な実施形態において、本発明は、治療有効量の免疫調節剤を投与することを含む、患者の血漿または血清において、1:80以上のANA力価、および/または30IU/mL以上の抗dsDNA抗体を有するシェーグレン症候群を有する患者を治療する方法を提供する。別の特別な実施形態において、本発明は、治療有効量のニュートロカイン−アルファのアンタゴニストを投与すること含む、患者の血漿または血清において、1:80以上のANA力価、および/または30IU/mL以上の抗−dsDNA抗体を有するシェーグレン症候群を有する患者を治療する方法を提供する。
【0010】
特別な実施形態において、本発明は、治療有効量の免疫調節剤を投与することを含む、患者の血漿または血清において、1:80以上のANA力価、および/または30IU/mL以上の抗−dsDNA抗体を有する慢性関節リウマチを有する患者を治療する方法を提供する。別の特別な実施形態において、本発明は、治療有効量のニュートロカイン−アルファを投与することを含む、患者の血漿または血清において、1:80以上のANA力価、および/または30IU/mL以上の抗dsDNA抗体を有する慢性関節リウマチを有する患者を治療する方法を提供する。
【0011】
特別な実施形態において、本発明は、治療有効量の免疫調節剤を投与することを含む、患者の血漿または血清において、1:80以上のANA力価、および/または30IU/mL以上の抗dsDNA抗体を有する全身エリテマトーデス(SLE)を有する患者を治療する方法を提供する。別の特別な実施形態において、本発明は、治療有効量のニュートロカイン−アルファアンタゴニストを投与することを含む、患者の血漿または血清において、1:80以上のANA力価、および/または30IU/mL以上の抗dsDNA抗体を有する全身エディテマトーデス(SLE)を有する患者を治療する方法を提供する。特別な実施形態において、狼瘡患者は、American College of Rheumatology(ACR)基準に従ってSLEの臨床的診断を有するであろう(ここに、引用してその全体を援用する、例えば、Tanら,Arthritis Rheum.25:1271−7,(1982);およびHochbergら,Arthritis Rheum.40:1725,(1997)参照)。
【0012】
また、本発明は、免疫調節剤の投与に先立って、患者が、患者の血漿または血清において、1:80以上のANA力価、および/または30IU/mL以上の抗dsDNA抗体を有すると決定することを含む患者を治療する方法を提供する。また、本発明は、ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストの投与に先立って、患者が、患者の血漿または血清において、1:80以上のANA力価、および/または30IU/mL以上の抗dsDNA抗体を有するという決定を行うことを含む患者を治療する方法も提供する。
【0013】
他の実施形態において、本発明は、免疫調節剤の投与に先立って、狼瘡患者が、以下の特徴の1以上を有するという決定を行うことを含む狼瘡患者を治療する方法を提供する:American College of Rheumatology (ACR)基準(例えば、Tanら,Arthritis Rheum.25:1271−7,(1982);およびHochbergら,Arthritis Rheum.40:1725,(1997)参照);SELENA SLEDAIスコア≧6;患者の血漿または血清における低下したC4補体レベル;患者の血漿または血清における低下したC3補体レベル;1:80以上のANA力価;患者の血漿または血清における30IU/mL以上の抗dsDNA抗体;狼瘡関連症候群の治療用のプレドニゾンまたは他のコルチコステロイドの≧7.5ミリグラム/日を受容していること;および/または狼瘡/関連症状の治療のために従前に受けた免疫抑制療法を受容しているまたは既に受容したこと。特別な実施形態において、該決定は、患者の医療的記録の評価に基づいて医療実践者によってなされる。別の実施形態において、該決定は、実験室テスト結果に基づいて医療実践者によってなされる。特別な実施形態において、該決定は、もしあれば、狼瘡についての(免疫調節剤での医療的処置を含めた)患者の最後の医療的処置以来に、および本明細書中に記載された(ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストを含めた)免疫調節剤の治療有効量を投与することを含む医療的治療の開始に先立って得られた、実験的テスト結果に基づいて医療実践者によってなされる。
【0014】
別の実施形態において、本発明は、治療有効量の免疫調節剤を投与することを含む、患者の血漿または血清において、1:80以上のANA力価、および/または30IU/mL以上の抗dsDNA抗体を有する患者に投与されるコルチコステロイドの頻度および/または量を低下させる方法を提供する。
【0015】
特別な実施形態において、本発明は、治療有効量の免疫調節剤を投与することを含む、患者の血漿または血清において、1:80以上のANA力価、および/または30IU/mL以上の抗dsDNA抗体を有するシェーグレン症候群を有する患者に投与されるコルチコストロイドの頻度および/または量を低下させる方法を提供する。別の特別な実施形態において、本発明は、治療有効量のニュートロカイン−アルファのアンタゴニストを投与することを含む、患者の血漿または血清において、1:80以上のANA力価、および/または30IU/mL以上の抗dsDNA抗体を有するシェーグレン症候群を有する患者に投与されるコルチコステロイドの頻度および/または量を低下させる方法を提供する。
【0016】
特別な実施形態において、本発明は、治療有効量の免疫調節剤を投与することを含む、患者の血漿または血清において、1:80以上のANA力価、および/または30IU/mL以上の抗dsDNA抗体を有する慢性関節リウマチを有する患者に投与されるコルチコステロイドの頻度および/または量を低下させる方法を提供する。別の特別な実施形態において、本発明は、治療有効量のニュートロカイン−アルファのアンタゴニストを投与することを含む、患者の血漿または血清において、1:80以上のANA力価、および/または30IU/mL以上の抗dsDNA抗体を有する慢性関節リウマチを有する患者に投与されるコルチコストロイドの頻度および/または量を低下させる方法を提供する。
【0017】
特別な実施形態において、本発明は、治療有効量の免疫調節剤を投与することを含む、患者の血漿または血清において、1:80以上のANA力価、および/または30IU/mL以上の抗dsDNA抗体を有する全身エリテマトーデス(SLE)を有する患者に投与されるコルチコステロイドの頻度および/または量を低下させる方法を提供する。別の特別な実施形態において、本発明は、治療有効量のニュートロカイン−アルファのアンタゴニストを投与することを含む、患者の血漿または血清において、1:80以上のANA力価、および/または30IU/mL以上の抗dsDNA抗体を有する全身エリテマトーデス(SLE)を有する患者に投与されるコルチコステロイドの頻度および/または量を低下させる方法を提供する。特別な実施形態において、狼瘡患者は、American College of Rheumatology(ACR)基準に従ってSLEの臨床的診断を有するであろう(ここに、引用してその全体を援用する、例えば、Tanら,Arthritis Rheum.25:1271−7,(1982);およびHochbergら,Arthritis Rheum.40:1725,(1997)参照)。
【0018】
さらなる実施形態において、本発明は、患者の血漿または血清において、1:80以上のANA力価、および/または30IU/mL以上の抗dsDNA抗体を有する患者に投与されるコルチコステロイドの頻度および/または量を低下させる方法を提供し、それは少なくとも25%ないし≦7.5ミリグラム/日まで減少する。特別な実施形態において、コルチコステロイドはプレドニゾン、プロドニゾロン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロンおよびデキサメタゾンからなる群より選択される。さらなる特別な実施形態において、コルチコステロドはプレドニゾンである。別の実施形態において、治療有効量の抗ニュートロカイン−アルファ抗体を投与することを含む、自己免疫疾患を有する患者に投与されるコルチコステロイドの頻度および/または量を低下させる方法を提供する。
【0019】
慣性関節リウマチ患者が、0、14、28日に、次いで、週24まで4週間毎にIV注入として投与された、ニュートロカイン−アルファタンパク質を中和する抗体での処置を受けた別の第2相臨床試験(実施例3)において、治療は、5.1よりも大きなDAS28スコアを有する患者、抗TNF療法を従前に受容したことがない患者、および/またはニュートロカイン−アルファタンパク質を中和する抗体での治療の開始に先立って、患者の血漿および/または血清において、リウマチ因子を有した患者において、慢性関節リウマチに関連する兆候をより緩和するようである。ニュートロカイン−アルファタンパク質を中和する抗体での治療により応答するように見えたさらなるサブグループまたは慢性関節リウマチ患者は、男性患者、患者の血漿および/または血清において、抗−CCP(環状シトルリン化ペプチド)抗体を有する患者、ニュートロカイン−アルファタンパク質を中和する抗体と同時にメトトレキセートを受けた患者、メトトレキサートでの治療を従前に受けなかった患者、および/またはメトトレキサート療法および少なくと別の他のDMARD療法を従前に受けなかった患者を含む。
【0020】
別の実施形態において、本発明は、医療的治療の投与に先立って患者のSELENA SLEDAI、BILAGおよびPGAスコアを決定し;該医療的治療を投与し;次いで、医療的治療の投与に続いて患者のSELENA SLEDAI、BILAGおよびPGAスコアを決定することを含む、医療的治療に狼瘡患者が応答しているかを決定する方法を提供する。この方法において、患者は、もし医療的治療の投与に続いて決定された患者のSELENA SLEDAIスコアが医療的治療の投与に先立ってのSELENA SLEDAIスコアよりも4以上低いポイントであれば、医療的治療に応答したと考えられ;医療的治療の投与に続いて決定された患者のBILAG指標スコアは、医療的治療の投与に先立って決定されたBILAGスコアと比較して、新しいBILAG A器官ドメインスコアまたは2つの新しいBILAG B器官ドメインスコアを含まず、医療的治療に続いて決定されたPGAスコアは、医療的治療の投与に先立って決定されたPGAスコアよりも0.3ポイント未満高い。
【0021】
従って、一つの実施形態において、本発明は、免疫調節剤の投与に先立って、慢性関節リウマチ患者が以下の特徴の1以上を有するという決定をなすことを含む、慢性関節リウマチ患者を治療する方法を提供する:患者は、抗TNF療法、例えば、(RemicadeTM Centocor,Inc.としても知られた)インフリキシマブ、アダリムマブ(Abbott LaboratoriesからのHumira(登録商標))、またはエタネルセプト(Enbrel(登録商標))を従前に受容したことがない;患者は、患者の血漿および/または血清においてリウマチ因子を有する;患者は、患者の血漿および/または血清において測定可能な抗CCP(環状シトルリン化ペプチド)抗体を有する;患者は、患者の血漿および/または血清において上昇したCRP(C反応性タンパク質)レベルを有する;患者は、1以上の疾患変調抗リウマチ薬物での治療を従前に受けていない;患者は、高い修飾された疾患活性スコア(DAS28)を有する;患者は、腫脹した圧痛関節を有する;患者は、朝のこわばりを患う;患者は、増大した赤血球沈積速度(ESR)を有し、および/または患者は男性である。
【0022】
別の実施形態において、本発明は、約5.5〜約6.5のpHを持ち、治療有効量の抗体、5mM〜約50mMの量の緩衝液、約150mM〜約500mMの量のNaCl、約0.003%〜約0.05%の量の界面活性剤を含む水性医薬製剤を提供する。特別な実施形態において、前記製剤における抗体は、IgG1/ラムダイソタイプを有する抗体である。さらなる実施形態において、前記製剤における抗体はIgG1/ラムダイソタイプを有するヒト抗体であり、前記製剤における緩衝液は10mMヒスチジンまたはクエン酸ナトリウムであり、前記製剤における界面活性剤は0.01%w/vの量のポリソルベート80であり、前記製剤におけるNaClは約150mMの濃度で存在し、製剤は6.0のpHを有する。他の特別な実施形態において、前記製剤は約2〜8℃の温度で少なくとも一年安定である。もう1つの実施形態において、前記製剤における抗体は100mg/mlの量で存在させる。
【0023】
特別な実施形態において、本発明は、100mg/mlのIgG1/λ抗体、0.74mg/mlのL−ヒスチジン、1.1mg/mlのL−ヒスチジン1塩酸塩、8.8mg/mlのNaCl、および0.1mg/mlのポリソルベート80を含む水性医薬製剤を提供し、ここに、該製剤は6.0のpHを有する。
本発明は例えば、以下の項目を提供する:
(項目1)
治療有効量のニュートロカイン−アルファのアンタゴニストを投与することを含む、患者の血漿または血清において、ANA力価≧1:80または30IU/mL以上の抗dsDNA抗体を有する患者を治療する方法。
(項目2)
前記患者が、該患者の血漿または血清において、ANA力価≧1:80および30IU/mL以上の抗dsDNA抗体を有する、項目1記載の方法。
(項目3)
前記ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストが、抗CD20抗体と組み合わされて投与される、項目1記載の方法。
(項目4)
前記ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストの投与に先立って、前記患者が該患者の血漿または血清において、ANA力価≧1:80または30IU/mL以上の抗dsDNA抗体を有するという決定を行う、項目1記載の方法。
(項目5)
前記決定が前記患者の医療記録に基づいてなされる、項目4記載の方法。
(項目6)
前記決定が実験室テストに基づいてなされる、項目4記載の方法。
(項目7)
前記ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストが抗ニュートロカイン−アルファ抗体である、項目1記載の方法。
(項目8)
前記ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストが、TACIのニュートロカイン−アルファ結合ドメイン(配列番号6)を含むタンパク質である、項目1記載の方法。
(項目9)
前記ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストが、BCMAのニュートロカイン−アルファ結合ドメイン(配列番号8)を含むタンパク質である、項目1記載の方法。
(項目10)
前記ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストが、BAFF−Rのニュートロカイン−アルファ結合ドメイン(配列番号10)、または配列番号26のアミノ酸残基2〜70のアミノ酸配列を有するBAFF−Rニュートロカイン−アルファ結合ドメインの変異体を含むタンパク質である、項目1記載の方法。
(項目11)
前記ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストがニュートロカイン−アルファ結合ペプチド、ペプチボディ、ニュートロカイン−アルファタンパク質変異体、または抗ニュートロカイン−アルファ受容体抗体である、項目1記載の方法。
(項目12)
前記ニュートロカイン−アルファタンパク質変異体がドミナントネガティブとして作用する、項目11記載の方法。
(項目13)
前記患者が自己免疫疾患を有する、項目1記載の方法。
(項目14)
前記自己免疫疾患が全身エリテマトーデス(SLE)である、項目13記載の方法。
(項目15)
前記ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストが、抗CD20抗体と組み合わされて投与される、項目14記載の方法。
(項目16)
前記自己免疫疾患が慢性関節リウマチ、シェーグレン症候群、強皮症、多発性筋炎、皮膚筋炎、フェルティ症候群、混合性結合組織病、レイノー症候群、または若年性慢性関節
炎である項目13記載の方法。
(項目17)
前記抗体が:
(a)配列番号13のVHドメインおよびVLドメイン;
(b)配列番号14のVHドメインおよびVLドメイン;
(c)配列番号15のVHドメインおよびVLドメイン;
(d)配列番号16のVHドメインおよびVLドメイン;
(e)配列番号17のVHドメインおよびVLドメイン;
(f)配列番号18のVHドメインおよびVLドメイン;
(g)配列番号19のVHドメインおよび配列番号20のVLドメイン;ならびに
(h)配列番号21のVHドメイン、および配列番号22のVLドメイン;
からなる群より選択されるVHおよびVLドメインの組のアミノ酸配列を含む、項目7記載の方法。
(項目18)
(a)患者が、該患者の血漿または血清において、ANA力価≧1:80または30IU/mL以上の抗dsDNA抗体を有するという決定を行うこと;および、
(b)該決定を行った後に、治療有効量のニュートロカイン−アルファのアンタゴニストを該患者に投与すること;
を含む、全身エリテマトーデスを有する患者を治療する方法。
(項目19)
前記患者が、該患者の血漿または血清において、ANA力価≧1:80および30IU/mL以上の抗dsDNA抗体を有する、項目18記載の方法。
(項目20)
前記ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストが抗CD20抗体と組み合わせて投与される、項目18記載の方法。
(項目21)
前記ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストを投与するに先立って、前記患者が:
(a)SELENA SLEDAIスコア≧6;
(b)該患者の血漿または血清における低下したレベルのC3補体因子;
(c)該患者の血漿または血清における低下したレベルのC4補体因子;
(d)該患者が7.5ミリグラム/日以上のプレドニゾンを受容している;および
(e)該患者が、狼瘡関連症状の治療のために、免疫抑制療法を受容している、または以前に受容したことがある;
からなる群より選択される少なくとも1つの特徴を有するという決定を行うことをさらに含む、項目18記載の方法。
(項目22)
前記ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストの投与に先立って、前記患者が6以上のSELENA SLEDAIスコアを有するという決定を行うことを含む、項目21記載の方法。
(項目23)
前記ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストを投与するに先立って、前記患者が、該患者の血漿または血清において90ミリグラム/デシリットル未満のC3補体因子を有するという決定を行うことを含む、項目21記載の方法。
(項目24)
前記ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストを投与するに先立って、前記患者が、該患者の血漿または血清において16ミリグラム/デシリットル未満のC4補体因子を有するという決定を行うことを含む、項目21記載の方法。
(項目25)
前記ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストを投与するに先立って、前記患者が7.5ミリグラム/日以上のプレドニゾンを受容しているという決定を行うことを含む、項目21記載の方法。
(項目26)
前記ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストを投与するに先立って、前記患者が、狼瘡関連症状の治療のために免疫抑制療法を受容している、または以前に受容したことがあるという決定を行うことを含む、項目21記載の方法。
(項目27)
前記決定が前記患者の医療記録に基づいてなされる、項目18記載の方法。
(項目28)
前記決定が実験室テストに基づいてなされる、項目18記載の方法。
(項目29)
前記ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストが抗ニュートロカイン−アルファ抗体である、項目18記載の方法。
(項目30)
前記ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストが、TACIのニュートロカイン−アルファ結合ドメイン(配列番号6)を含むタンパク質である、項目18記載の方法。
(項目31)
前記ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストが、BCMAのニュートロカイン−アルファ結合ドメイン(配列番号8)を含むタンパク質である、項目18記載の方法。
(項目32)
前記ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストが、BAFF−Rのニュートロカイン−アルファ結合ドメイン(配列番号10)、または配列番号26のアミノ酸残基2〜70のアミノ酸配列を有するBAFF−Rニュートロカイン−アルファ結合ドメインの変異体を含むタンパク質である、項目18記載の方法。
(項目33)
前記ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストがニュートロカイン−アルファ結合ペプチド、ペプチボディ、ニュートロカイン−アルファタンパク質変異体または抗ニュートロカイン−アルファ受容体抗体である、項目18記載の方法。
(項目34)
前記ニュートロカイン−アルファタンパク質変異体がドミナントネガティブとして作用する、項目33記載の方法。
(項目35)
治療有効量のニュートロカイン−アルファのアンタゴニストを患者に投与することを含む、全身エリテマトーデスを有する患者に投与されるコルチコステロイドの頻度または量を低下させる方法。
(項目36)
前記ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストの投与に先立って、前記患者が:
(a)ANA力価≧1:80;
(b)該患者の血漿または血清における30IU/mL以上の抗dsDNA抗体;
(c)SELENA SLEDAIスコア≧6;
(d)該患者の血漿または血清における低下したレベルのC3補体因子;
(e)該患者の血漿または血清における低下したレベルのC4補体因子;
(f)該患者が7.5ミリグラム/日以上のプレドニゾンを受容している;および
(g)該患者が、狼瘡関連症状の治療のために免疫抑制療法を受容しているか、または以前に受容したことがある;
からなる群より選択される少なくとも1つの特徴を有するという決定を行うことを含む、項目35記載の方法。
(項目37)
前記患者がANA力価≧1:80を有するという決定を行うことを含む、項目36記載の方法。
(項目38)
前記患者が該患者の血漿または血清において、30IU/mL以上の抗dsDNA抗体を有するという決定を行うことを含む、項目36記載の方法。
(項目39)
前記患者が該患者の血漿または血清において、ANA力価≧1:80および30IU/mL以上の抗dsDNA抗体を有するという決定を行うことを含む、項目36記載の方法。
(項目40)
前記ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストを投与するに先立って、前記患者が6以上のSELENA SLEDAIスコアを有するという決定を行うことを含む、項目36記載の方法。
(項目41)
前記ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストを投与するに先立って、前記患者が該患者の血漿または血清において90ミリグラム/デシリットル未満のC3補体因子を有するという決定を行うことを含む、項目36記載の方法。
(項目42)
前記ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストを投与するに先立って、前記患者が該患者の血漿または血清において16ミリグラム/デシリットル未満のC4補体因子を有するという決定を行うことを含む、項目36記載の方法。
(項目43)
前記ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストを投与するに先立って、前記患者が7.5ミリグラム/日以上のプレドニゾンを受容しているという決定を行うことを含む、項目36記載の方法。
(項目44)
前記ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストを投与するに先立って、前記患者が狼瘡関連症状の治療のために免疫抑制療法を受容している、または以前に受容したことがあるという決定を行うことを含む、項目36記載の方法。
(項目45)
前記決定が前記患者の医療記録に基づいてなされる、項目36記載の方法。
(項目46)
前記決定が実験室テストに基づいてなされる、項目36記載の方法。
(項目47)
前記ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストが抗ニュートロカイン−アルファ抗体である、項目35記載の方法。
(項目48)
前記ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストが、TACIのニュートロカイン−アルファ結合ドメイン(配列番号6)を含むタンパク質である、項目35記載の方法。
(項目49)
前記ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストが、BCMAのニュートロカイン−アルファ結合ドメイン(配列番号8)を含むタンパク質である、項目35記載の方法。
(項目50)
前記ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストが、BAFF−Rのニュートロカイン−アルファ結合ドメイン(配列番号10)、または配列番号26のアミノ酸残基2〜70のアミノ酸配列を有するBAFF−Rニュートロカイン−アルファ結合ドメインの変異体を含むタンパク質である、項目35記載の方法。
(項目51)
前記ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストがニュートロカイン−アルファ結合ペプチド、ペプチボディ、ニュートロカイン−アルファタンパク質変異体または抗−ニュートロカイン−アルファ受容体抗体である項目35記載の方法。
(項目52)
前記ニュートロカイン−アルファタンパク質変異体がドミナントネガティブとして作用する、項目51記載の方法。
(項目53)
前記コルチコステロイドがプレドニゾン、プレドニゾロン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロンおよびデキサメタゾンからなる群より選択される、項目35記載の方法。
(項目54)
前記コルチコステロイドがプレドニゾンである、項目35記載の方法。
(項目55)
患者に投与されるプレドニゾンの量が、少なくとも25%ないし7.5ミリグラム/日以下低下する項目54記載の方法。
(項目56)
狼瘡の患者が、医療処置に応答するか否かを決定する方法であって、該方法は、
(a)医療処置の実施に先立って、該患者のSELENA SLEDAI、BILAGおよびPGAスコアを決定すること;
(b)該医療処置を実施すること;ならびに、
(c)該医療処置の実施に続いて、該患者のSELENA SLEDAI、BILAGおよびPGAスコアを決定すること;
を含み、ここで、工程(c)で決定されたSELENA SLEDAIスコアが工程(a)において決定されたSELENA SLEDAIスコアより4ポイント以上低く、工程(c)において決定されたBILAG指標スコアが、工程(a)で決定されたBILAGスコアと比較して、新しいBILAG A器官ドメインスコア、または2つの新しいBILAG B器官ドメインスコアを含まず、および工程(c)で決定されたPGAスコアが工程(a)で決定されたPGAスコアから0.3ポイント以上高くはない場合、該患者は医療処置に応答したと考えられる、方法。
(項目57)
前記医療処置がニュートロカイン−アルファのアンタゴニストを含む医薬組成物である、項目56記載の方法。
(項目58)
前記ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストが抗ニュートロカイン−アルファ抗体である、項目56記載の方法。
(項目59)
前記ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストが、TACIのニュートロカイン−アルファ結合ドメイン(配列番号6)を含むタンパク質である、項目56を含む方法。
(項目60)
前記ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストが、BCMAのニュートロカイン−アルファ結合ドメイン(配列番号8)を含むタンパク質である、項目56記載の方法。
(項目61)
前記ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストが、BAFF−Rのニュートロカイン−アルファ結合ドメイン(配列番号10)、または配列番号26のアミノ酸残基2〜70のアミノ酸配列を有するBAFF−Rニュートロカイン−アルファ結合ドメインの変異体を含むタンパク質である、項目56記載の方法。
(項目62)
前記ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストがニュートロカイン−アルファ結合ペプチド、ペプチボディ、ニュートロカイン−アルファタンパク質変異体または抗−ニュートロカイン−アルファ受容体抗体である、項目56記載の方法。
(項目63)
前記ニュートロカイン−アルファタンパク質変異体がドミナントネガティブとして作用する、項目62記載の方法。
(項目64)
約5.5〜約6.5のpHを持ち、治療有効量の抗体、約5mM〜約50mMの量の緩衝液、約150mM〜約500mMの量のNaCl、約0.003%〜約0.05%の量の界面活性剤を含む水性医薬製剤。
(項目65)
前記抗体がヒトIgG1/λ抗体であり、前記緩衝液が10mMヒスチジンであり、前記界面活性剤が0.01%w/vの量のポリソルベート80であり、前記NaClが150mMであって、6.0のpHを有する、項目64記載の製剤。
(項目66)
約2〜8℃の温度において少なくとも1年間安定である、項目65記載の製剤。
(項目67)
約2〜8℃の温度において少なくとも2年間安定である、項目65記載の製剤。
(項目68)
前記抗体が100mg/mlの量で存在する、項目65記載の製剤。
(項目69)
100mg/mlのIgG1/λ抗体、0.74mg/mlのL−ヒスチジン、1.1mg/mlのL−ヒスチジン一塩酸塩、8.8mg/mlのNaClおよび0.1mg/mlのポリソルベート80を含み、6.0のpHを有する、項目64記載の水性医薬製剤。
【図面の簡単な説明】
【0024】
以下の図面は本発明の実施形態を説明するものであり、特許請求の範囲に含まれる発明の範囲を限定するつもりはない。
図1図1は、ベースラインにおいて、1:80以上のANA力価、および/または30IU/mL以上の抗dsDNA抗体を有する患者における週52でのSELENA SLEDAIの平均パーセント減少を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
定義
一つの態様において、本発明は、治療有効量の免疫調節剤を投与することによって自己抗体陽性疾患を有する患者を治療する方法に広く関する。自己抗体陽性疾患を有する患者は血漿または血清または滑液のような一以上の生物学的流体試料中に検出可能な自己抗体力価を有する患者である。
【0026】
本明細書中において、「免疫調節剤」への言及は、免疫系を刺激または阻害することができる医薬化合物の一般的クラスへの言及である。本明細書中における実施例は、狼瘡患者のサブグループの治療における拮抗性抗ニュートロカイン−アルファ抗体の成功した使用を記載する。かくして、用語「免疫調節剤」は、具体的には、ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストとして作用することができる医薬化合物または分子にわたることを意図する。ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストは、限定されるものではないが、抗ニュートロカイン−アルファ抗体またはその抗原結合断片、ニュートロカイン−アルファ受容体タンパク質、またはその断片または変異体、ニュートロカイン−アルファ受容体またはその抗原結合断片に結合する抗体、およびニュートロカイン−アルファ結合ペプチドまたはポリペプチドを含む組成物を含む。ニュートロカイン−アルファ受容体は、例えば、膜貫通アクチベーターおよびCAMLインターアクター(TACI,GenBank受託番号AAC51790)、BAFF−R(GenBank受託番号NP_443177)およびB細胞成熟抗原(BCMA,GenBank受託番号NP_001183)を含む。ニュートロカイン−アルファ受容体の特に有用な形態は、細胞外ドメインの可溶性形態を含む。ニュートロカイン−アルファ受容体、またはその断片または変異体、およびニュートロカイン−アルファ結合ポリペプチドは融合タンパク質、例えば、Fcまたはヒト血清アルブミン(HSA)融合タンパク質として用いることができる。ニュートロカイン−アルファのさらなるアンタゴニストは、ニュートロカイン−アルファの小分子アンタゴニスト、ニュートロカイン−アルファペプチド模倣物、ニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILポリペプチド変異体(例えば、ニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILのドミナントネガティブ形態)を含む。そのようなニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILポリペプチド変異体は、例えば、ニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILホモ−またはヘテロ多量体化を抑制することによってニュートロカイン−アルファ機能を拮抗することができる。あるいは、ニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILポリペプチド変異体は、それらを含むポリペプチドが、TACI、BCMAおよびBAFF−Rのようなニュートロカイン−アルファ受容体へ結合するのを、および/または該受容体を通ってのシグナリングを行うのを妨げるであろう。ニュートロカイン−アルファのさらなるアンタゴニストはニュートロカイン−アルファの小分子アンタゴニスト、ニュートロカイン−アルファペプチド模倣物、ニュートロカイン−アルファを標的とするアンチセンスRNAおよび短い干渉RNA(siRNA)、ニュートロカイン−アルファに対する受容体、および/またはAPRILに対する受容体を標的とするアンチセンスRNAおよび短い干渉RNA(siRNA)を標的とするアンチセンスRNAおよび短い干渉RNA(siRNA)を含む。ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストは後により詳細に記載する。
【0027】
抗−ニュートロカイン−アルファ抗体は、B細胞の数および/または免疫グロブリン分泌のようなB細胞活性を低下させることによって働くと考えられる。かくして、用語「免疫調節剤」は、具体的には、B細胞変調剤および、特別な医薬分子においては、B細胞活性(例えば、B細胞増殖、分化、生存または免疫グロブリン分泌)および/またはB細胞の数を直接的にまたは間接的に阻害し、または低下させる化合物にわたることも意図する。特別な実施形態において、本発明の方法と組み合せて用いることができるB細胞変調剤は、全B細胞、活性化されたB細胞、ナイーブB細胞、記憶B細胞、血漿B細胞、およびプラスマサイトイドB細胞、CD19+B細胞および/またはCD20+B細胞の活性または数を低下させる剤である。
【0028】
免疫系は相互作用する細胞およびサイトカインの複雑なネットワークである。例えば、抗原提示細胞(マクロファージおよび樹状細胞のようなAPC)、およびT細胞、具体的には、CD4+Tヘルパー(Th)細胞は、B細胞を活性化させて、(ある疾患の状況における自己抗体を含めた)抗体を増殖させ、分泌させる役割をする。かくして、APCまたはTh細胞数または活性を低下または阻害することによって、B細胞活性を阻害することが可能である。同様に、Th1およびTh2応答のような種々のタイプの免疫応答があることが知られている。本発明の方法で用いることができる免疫調節剤は、別のタイプよりも一つのタイプの免疫応答を促進することができ、それにより、自己抗体陽性疾患を有する患者の治療において有益な効果を有する。従って、その最も広い意味において、用語「免疫調節剤」は、具体的には、一以上の細胞、細胞表面分子(例えば、細胞表面シグナリング分子)、および/または細胞、細胞表面分子(例えば、細胞表面シグナリング分子)、および先天的および/または適応免疫系の一部であるサイトカインの活性または量を刺激または阻害する医薬分子または化合物にわたることを意図する。免疫系の細胞は、限定されるものではないが、B細胞、T細胞、樹状細胞、単球、マクロファージ、好中球、好酸球、好塩基球、肥満細胞、およびナチュラルキラー(NK)細胞を含む。免疫調節剤によって刺激または阻害され得る免疫系の細胞の表面の細胞表面分子は、限定されるものではないが、CD20のようなCD抗原を含む。免疫系において重要なサイトカインは、限定されるものではないが、ニュートロカイン−アルファ、APRILおよびCD40Lを含めた、TNFリガンドスーパーファミリーのメンバーを含む。
【0029】
詳細な記載
全身エリテマトーデス患者での第II相臨床試験において、出願人は、0、14、28日に、ついで、週52まで4週間毎にIV注入として与えられた、ニュートロカイン−アルファタンパク質を中和する抗体での狼瘡患者の治療は、患者の血漿または血清において、1:80以上のANA力価、および/または30IU/mL以上の抗dsDNA抗体を有する患者において狼瘡に関連する兆候を有意に緩和したことを見出した(実施例1参照)。
【0030】
したがって、本発明の特別な実施形態は、患者の血漿または血清において、≧1.80のANA力価、および/または30IU/mLの抗dsDNA抗体を有する全身エリテマトーデスを有する患者を、ニュートロカイン−アルファの抗体アンタゴニストで治療する方法を提供する。しかしながら、当業者であれば、抗体分子は、ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストとして作用できる種々の分子の一つに過ぎないことを容易に理解するであろう。かくして、本発明の別の特別な実施形態は、患者の血漿または血清において、≧1:80のANA力価、および/または30IU/mL以上の抗dsDNA抗体を有する全身エリテマトーデスを有する患者を、ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストで治療する方法を提供する。
【0031】
ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストは、限定されるものではないが、抗−ニュートロカイン−アルファ抗体またはその抗原−結合断片、ニュートロカイン−アルファ受容体タンパク質またはその断片またはその変異体、ニュートロカイン−アルファ受容体またはその抗原結合断片に結合する抗体、またはニュートロカイン−アルファ結合ペプチドまたはポリペプチドを含む。ニュートロカイン−アルファ受容体は、例えば、膜貫通アクチベーターおよびCAMLインターアクター(TACI,GenBank受託番号AAC51790)、BAFF−R(GenBank受託番号NP_443177)、およびB細胞成熟抗原(BCMA,GenBank受託番号NP_001183)を含む。ニュートロカイン−アルファ受容体の特に有用な形態は、ニュートロカイン−アルファに結合することができる細胞外ドメインの可溶性形態を含む。ニュートロカイン−アルファ受容体またはその断片または変異体、およびニュートロカイン−アルファ結合ポリペプチドは、融合タンパク質、例えば、Fcまたはヒト血清アルブミン(HSA)融合タンパク質として用いることができる。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストはTACI−Fcタンパク質である。TACI−Fcタンパク質の一つの例は、IgG1免疫グロブリン分子のFc領域に融合した配列番号6のアミノ酸1〜154である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストはBAFF−R−Fcタンパク質である。BAFF−R−Fcタンパク質の一つの例は、IgG1免疫グロブリン分子のFc領域に融合した配列番号10のアミノ酸1〜70である。所望により、BAFF−Rにおけるアミノ酸20(バリン)はアスパラギンで置換され、BAFF−Rにおけるアミノ酸27(ロイシン)はプロリンで置換される。配列番号26は、これらの2つのアミノ酸変化を持つBAFF−Rのアミノ酸1〜70を示す。
【0032】
ニュートロカイン−アルファのさらなるアンタゴニストはニュートロカイン−アルファの小分子アンタゴニスト、ニュートロカイン−アルファペプチド模倣物、ニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILポリペプチド変異体(例えば、ニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILのドミナントネガティブ形態)を含む。そのようなニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILポリペプチド変異体は例えば、ニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILホモ−またはヘテロ多量体化を抑制することによってニュートロカイン−アルファ機能に拮抗することができる。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは、ドミナントネガティブとして機能するニュートロカイン−アルファタンパク質の断片または変異体である。あるいは、ニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILポリペプチド変異体は、それらを含むポリペプチドが、TACI、BCMAおよびBAFF−Rのようなニュートロカイン−アルファ受容体へ結合するのを、および/またはそれを通ってシグナリングを行うのを妨げるであろう。ニュートロカイン−アルファのさらなるアンタゴニストは、ニュートロカイン−アルファの小分子アンタゴニスト、ニュートロカイン−アルファペプチド模倣物、ニュートロカイン−アルファを標的とするアンチセンスRNAおよび短い干渉RNA(siRNA)、APRILを標的とするアンチセンスRNAおよび短い干渉RNA(siRNA)、ニュートロカイン−アルファに対する受容体、および/またはAPRILに対する受容体を標的とするアンチセンスRNAおよび短い干渉RNA(siRNA)を含む。ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストは後により詳細に記載する。
【0033】
同様に、当業者であれば、特に、B細胞の活性または数を変調することができる分子を含めた、他の免疫調節剤が、本発明で有用であり得ることを認識するであろう。特別な実施形態において、本発明の方法と組み合せて用いることができるB細胞変調剤は、B細胞活性(例えば、B細胞の増殖、分化、生存または免疫グロブリン分泌)、および/またはB細胞数を直接的にまたは間接的に阻害または低下させる薬剤である。別の実施形態において、本発明の方法と組み合せて用いることができるB細胞変調剤は、全B細胞、活性化されたB細胞、ナイーブB細胞、記憶B細胞、血漿B細胞、およびプラスマサイトイドB細胞、CD19+B細胞および/またはCD20+B細胞の活性または数を低下させる剤である。本発明で用いることができる免疫変調およびB細胞変調分子は、当業者に知られており、および後により詳細に記載する。
【0034】
別の実施形態において、本発明は、治療有効量のニュートロカイン−アルファの抗体アゴニストを投与することを含む、「活性な」全身エリテマトーデス(SLEまたは「狼瘡」)を有する全身エリテマトーデス患者のサブセット内に入る患者を治療する方法を提供する。特別な実施形態において、本発明は、治療有効量のニュートロカイン−アルファの抗体アゴニストを投与することを含む、狼瘡と以前診断された、および活性な狼瘡を有する患者を治療する方法を提供する。本発明は、治療有効量のニュートロカイン−アルファの抗体アゴニストを投与するに先立って、患者が「活性な狼瘡」を有すると決定することを含む、活性な全身エリテマトーデス(SLEまたは「狼瘡」)疾患を有する全身エリテマトーデス患者のサブセット内に入る患者を治療する方法を提供する。特別な実施形態において、本発明は、治療有効量のニュートロカイン−アルファの抗体アンタゴニストを投与するに先立って、患者が狼瘡と以前に診断され、および活性な狼瘡を有するという決定を行うことを含む、狼瘡と以前診断され、および活性な狼瘡を有する患者を治療する方法を提供する。
【0035】
別の実施形態において、本発明は、治療有効量のニュートロカイン−アルファ、または当該分野で知られおよび/または本明細書中に記載された他の調節剤を投与することを含む、「活性な」全身エリテマトーデス(SLEまたは「狼瘡」)病を有する全身エリテマトーデス患者のサブセット内に入る患者を治療する方法を提供する。特別な実施形態において、本発明は、治療有効量のニュートロカイン−アルファ、または当該分野で知られ、および/または本明細書中に記載された他の免疫調節剤を投与することを含む、狼瘡と以前診断され、および活性な狼瘡を有する患者を治療する方法を提供する。本発明は、治療有効量のニュートロカイン−アルファ、または当該分野で知られ、および/または本明細書中に記載された他の免疫調節剤を投与するに先立って、患者が「活性な狼瘡」を有するとの決定を行うことを含む、活性な全身エリテマトーデス病を有する全身エリテマトーデス患者のサブセット内に入る患者を治療する方法を提供する。特別な実施形態において、本発明は、治療有効量のニュートロカイン−アルファのアンタゴニスト、または当該分野で知られ、および/または本明細書中に記載された他の免疫調節剤の投与に先立って、患者が狼瘡と以前診断され、および活性な狼瘡を有するという決定を行うことを含む、狼瘡と以前診断され、および活性な狼瘡を有する患者を治療する方法を提供する。
【0036】
特別な実施形態において、活性な狼瘡を有する患者が、American College of Rheumatology(ACR)基準に従ってSLEの臨床的診断を有する患者と定義される(例えば、ここに引用してその全体を援用する、Tanら,Arthritis Rheum.25:1271−7,(1982);およびHochbergら.,Arthritis Rheum.40:1725,(1997)。
【0037】
特別な実施形態において、活性な狼瘡を有する患者は、SELENA SLEDAIスコア≧4を有する患者と定義される。SELENA SLEDAIは、狼瘡エリテマトーデス国内評価試験におけるエストロゲンの安全性(Safety of Estrogen in Lupus Erythematosus National Assessment trial)によって変更された全身エリテマトーデス疾患活性指標(Systemic Lupus Erythematosus Disease Activity Index)を表す。SELENA SLEDAIスコアは、当該分野で公知の技術および方法を用いて臨床家/医師によってルーチン的に決定される。例えば、ここに引用してその全体を援用する、Bombardierら,Arthritis Rheum.Jun;35(6):630−40,1992;およびStrandら,J Rheumatol.Feb;26(2):490−7,1999参照。簡単に述べれば、SELENA SLEDAIスコアは、9つの器官系に渡る24カテゴリーにおいてSLE病活性を考慮することによって決定される。いくつかの器官系スコアにおける疾患は、他の器官系における疾患よりもより重み付けされる。特に、中枢神経系および血管(SLE疾患活性尺度は、もし存在すれば、8ポイントが割り当てられ、腎臓および筋肉骨格SLE疾患活性尺度は、もし存在すれば、4ポイントが割り当てられ、漿膜、皮膚および免疫学的SLE疾患活性尺度は、もし存在すれば、2ポイントが割り当てられ、および体質上のおよび血液学的SLE疾患活性尺度は、もし存在すれば、1ポイントが割り当てられる。最大理論SELENA SLEDAIスコアは105であるが、現実的には、少数の患者しか45を超えるスコアは有しない。
【0038】
標準SELENA SLEDAIスコアリング系において、もし被験体が0.5グラム/24時間よりも大きなタンパク尿の新しい開始または最近の増加を有するならば4ポイントが割り当てられる。言い換えれば、もし一つの24時間尿試料で得られたタンパク尿値が、患者の24時間直前尿試料について決定された値よりも0.5gを超えてより大きければ、4ポイントがSELENA SLEDAIスケールでタンパク尿について割り当てられる。これは、「≧0.5g/24時間」のタンパク尿の増加または新しい開始として通常記載される。かくして、標準的なSELENA SLEDAIスコアリング系下では、タンパク尿についてベースラインで4ポイントが割り当てられた被験体は、現在の24時間尿試料におけるタンパク尿値が、患者の24時間直前尿試料で決定されたタンパク尿値よりも0.5g以下だけより大きい限り、引き続いての往診において改善されるSELENA SLEDAIを有するであろう。言い換えれば、患者は、安定なタンパク尿または0.5g/24時間以下のタンパク尿の増加に直面してもその合計スコアから導かれる4ポイントを有する。SELENA SLEDAIタンパク尿スコアリングルールに対する変更は実施例2に記載されている。実施例2においては、本24時間尿試料で決定されたタンパク尿がその患者の24時間直前の尿試料で決定されたタンパク尿値よりも0.5グラムを超えてより低いのでなければ、4ポイントが継続的に割り当てられるように、タンパク尿スコアリングが変更される。さらに、もしタンパク尿の新しい開始、または>0.5g/24時間であるタンパク尿の増加があれば、4ポイントが割り当てられる。本明細書中において、SELENA SLEDAIスケールに言及される場合、タンパク尿についてのスコアリングは、標準的なSELENA SLEDAIスケールに従ってなすことができる。好ましくは、患者のSELENA SLEDAIスコアの決定におけるタンパク尿についてのスコアリングは、実施例2に記載されたタンパク尿スコアリング系に従ってなされる。
【0039】
他の特別な実施形態において、活性狼瘡を有する患者は、SELENA SLEDAIスコア≧5を有する患者と定義される。さらなる特別な実施形態において、活性な狼瘡を有する患者は、SELENA SLEDAIスコア≧6を有する患者と定義される。さらなる特別な実施形態において、活性な狼瘡を有する患者は、SELENA SLEDAIスコア≧7を有する患者と定義される。さらなる特別な実施形態において、活性な狼瘡を有する患者はSELENA SLEDAIスコア≧8を有する患者と定義される。他の特別な実施形態において、活性な狼瘡を有する患者は、SELENA SLEDAIスコア≧9を有する患者と定義される。他の特別な実施形態において、活性な狼瘡を有する患者はSELENA SLEDAIスコア≧10を有する患者と定義される。さらなる特別な実施形態において、活性な狼瘡を有する患者はSELENA SLEDAIスコア≧11を有する患者と定義される。さらなる特別な実施形態において、活性な狼瘡を有する患者はSELENA SLEDAIスコア≧12を有する患者と定義される。
【0040】
他の実施形態において、活性な狼瘡を有する患者は、患者の血漿または血清において抗dsDNA抗体を有する患者と定義される。抗dsDNA抗体力価、濃度またはレベルは、当該分野で公知の技術および方法を用いて臨床家/医師によってルーチン的に決定され得る。抗dsDNA抗体力価、濃度またはレベルを決定するための一つの例のアッセイは、抗dsDNA抗体の固定化されたdsDNAへの特異的結合に基づく酵素結合免疫検定法(ELISA)である。例えば、Halbertら,J Lab Clin Med.97:97−111,(1981)参照。抗dsDNA抗体力価、濃度またはレベルを決定するための別の例のアッセイは、抗dsDNA抗体の、Crithidia luciliae細胞のdsDNAへの特異的結合に基づく間接免疫蛍光アッセイである。例えば、Whitesideら,Am J Clin Pathol.72:829−35(1979)参照。抗dsDNA抗体力価、濃度またはレベルを決定するための、なお別の例のアッセイは、抗dsDNA抗体の放射性方式dsDNAへの特異的結合、続いて、抗dsDNA抗体放射性標識dsDNA複合体の沈殿に基づくFarrアッセイである。例えば、Davisら,Am J Clin Pathol.,67:374−8,(1997)参照。特別な実施形態において、活性狼瘡を有する患者は、患者の血漿または血清において、30国際単位/mL以上の抗dsDNA抗体を有する患者と定義され、ここに、国際単位(IU)は世界保健機構抗dsDNA抗体参照調製に基づく。例えば、Feltkampら,Ann.Rheum.Dis.,47:740−746,(1988)参照。本パラグラフにおいて言及される文献の各々は、ここに引用してその全体を援用する。
【0041】
さらなる特別な実施形態において、活性な狼瘡を有する患者は、患者の血漿または血清において、40IU/mL以上の抗dsDNA抗体を有する患者と定義される。さらなる特別な実施形態において、活性な狼瘡を有する患者は、患者の血漿または血清において、50IU/mL以上の抗dsDNA抗体を有する患者と定義される。さらなる特別な実施形態において、活性な狼瘡を有する患者は、患者の血漿または血清において、60IU/mL以上の抗dsDNA抗体を有する患者と定義される。さらなる特別な実施形態において、活性な狼瘡を有する患者は、患者の血漿または血清において、75IU/mL以上の抗−dsDNA抗体を有する患者と定義される。さらなる特別な実施形態において、活性な狼瘡を有する患者は、患者の血漿または血清において、100IU/mL以上の抗dsDNA抗体を有する患者と定義される。さらなる特別な実施形態において、活性な狼瘡を有する患者は、患者の血漿または血清において、125IU/mL以上の抗dsDNA抗体を有する患者と定義される。さらなる特別な実施形態において、活性な狼瘡を有する患者は、患者の血漿または血清において、150IU/mL以上の抗dsDNA抗体を有する患者と定義される。さらなる特別な実施形態において、活性な狼瘡を有する患者は、患者の血漿または血清において、200IU/mL以上の抗dsDNA抗体を有する患者と定義される。さらなる特別な実施形態において、活性な狼瘡を有する患者は、患者の血漿または血清において、300IU/mL以上の抗dsDNA抗体を有する患者と定義される。
【0042】
他の実施形態において、活性な狼瘡を有する患者は、患者の血漿または血清において、抗核抗体(ANA+)を有する患者と定義される。抗核抗体力価は、当該分野で公知の技術および方法を用いて臨床家/医師によってルーチン的に決定され得る。抗核抗体力価を決定するための一つの例のアッセイは、抗核抗体のHEp−2ヒト上皮細胞への特異的結合に基づく間接免疫蛍光アッセイである。例えば、Osbornら,Arthritis Rheum.,27:1286−9,(1984)参照。別例のアッセイにおいて、ANAの固定化されたANA抗原、例えば、dsDNA、Ro/SS−A、La/SS−B、Sm、RNPへの特異的結合に基づき、抗核抗体の濃度またはレベルを、ELISAを用いることによって決定することができる。例えば、Fengerら,Clin Chem.,50:2141−7,(2004)参照。ANAテストは、Kavanaughら,Archives of Pathology & Laboratory Medicine(2000)124:71−81およびGreidinger,EL and Hoffman,RW,Laboratory Medicine(2003)34:113−117にさらに記載されている。このパラグラフで言及された文献の各々は、ここに引用して一体化させる。
【0043】
好ましい特別な実施形態において、活性狼瘡を有する患者は、1:80以上のANA力価を有する患者と定義される(例えば、患者の血漿または血清の希釈因子が80以上である場合、陽性ANAテストが得られる)。例えば、1:160、1:320、および1:640の力価は、1:80の力価よりも大きい。他の好ましい実施形態において、活性な狼瘡を有する患者は、1:160以上のANA力価を有する患者と定義される。さらなる好ましい実施形態において、活性な狼瘡を有する患者は、1:320以上のANA力価を有する患者と定義される。さらなる好ましい実施形態において、活性な狼瘡を有する患者は、1:640以上のANA力価を有する患者と定義される。特別な実施形態において、ANA力価は、HEp−2細胞での間接的な免疫蛍光を用いて測定される。別の特別な実施形態において、ANA力価は抗dsDNA ELISAアッセイを用いて測定される。
【0044】
他の実施形態において、活性な狼瘡を有する患者は、限定されるものではないが、抗Ro/SS−A抗体、抗La/SS−B抗体、抗RNP抗体、抗カルジオリピン(抗リン脂質)、抗dsDNA抗体、抗Sm抗体を含めた検出可能な自己抗体を有する患者と定義される。自己抗体の力価、濃度またはレベルは、当該分野で知られた技術および方法を用いて臨床家/医師によってルーチン的に決定することができる。
【0045】
他の実施形態において、活性狼瘡を有する患者は、患者の血漿または血清において、低下したC3および/またはC4補体レベルを有する患者と定義される。当業者であれば、C3および/またはC4の正常なレベルは、C3および/またはC4を測定するのに用いられるアッセイに依存して変化し得ることを理解する。従って、血漿または血清C3補体の正常なレベルは、約90ミリグラム/デシリットル〜約180ミリグラム/デシリットルであり得る。他の特別な実施形態において、血漿または血清C3補体の正常なレベルは、約88ミリグラム/デシリットル〜約206ミリグラム/デシリットル、または約88ミリグラム/デシリットル〜約252ミリグラム/デシリットルであり得る。血漿または血清C4補体の正常なレベルは、約16ミリグラム/デシリットル〜約47ミリグラム/デシリットルであり得る。他の特別な実施形態において、血漿または血清C3補体の正常なレベルは、約12ミリグラム/デシリットル〜約72ミリグラム/デシリットル、または約13ミリグラム/デシリットル〜約75ミリグラム/デシリットルからの範囲となり得る。特別な実施形態において、血漿または血清C3補体の低下したレベルは、90ミリグラム/デシリットル未満と定義される。特別な実施形態において、血漿または血清C3補体の低下したレベルは、88ミリグラム/デシリットル未満と定義される。特別な実施形態において、血漿または血清C3補体の低下したレベルは、85ミリグラム/デシリットル未満と定義される。特別な実施形態において、血漿または血清C3補体の低下したレベルは、80ミリグラム/デシリットル未満と定義される。特別な実施形態において、血漿または血清C3補体の低下したレベルは、75ミリグラム/デシリットル未満と定義される。特別な実施形態において、血漿または血清C4補体の低下したレベルは、16ミリグラム/デシリットル未満と定義される。特別な実施形態において、血漿または血清C4補体の低下したレベルは、15ミリグラム/デシリットル未満と定義される。特別な実施形態において、血漿または血清C4補体の低下したレベルは、14ミリグラム/デシリットル未満と定義される。特別な実施形態において、血漿または血清C4補体の低下したレベルは、13ミリグラム/デシリットル未満と定義される。特別な実施形態において、血漿または血清C4補体の低下したレベルは、12ミリグラム/デシリットル未満と定義される。特別な実施形態において、血漿または血清C4補体の低下したレベルは、11ミリグラム/デシリットル未満と定義される。特別な実施形態において、血漿または血清C4補体の低下したレベルは、10ミリグラム/デシリットル未満と定義される。特別な実施形態において、血漿または血清C4補体の低下したレベルは、9ミリグラム/デシリットル未満と定義される。補体レベルは、例えば、径方向免疫拡散アッセイを用い、当該分野で知られた技術および方法を用いて臨床家/医師によってルーチン的に決定され得る。
【0046】
他の実施形態において、活性狼瘡を有する患者は、以下の特徴のいずれか1以上を有する患者と定義される:American Callege of Rheumatology (ACR)基準に従ったSLEの臨床的診断(例えば、Tanら,Arthritis Rheum.25:1271−7,(1982);およびHochbergら,Arthritis Rheum.40:1725,(1997)参照);SELENA SLEDAIスコア≧6;患者の血漿または血清における低下したC4補体レベル;患者の血漿または血清における低下したC3補体レベル;1:80以上のANA力価;患者の血漿または血清において、30IU/mL以上の抗dsDNA抗体;狼瘡関連症状の治療のために、≧7.5ミリグラム/日のプレドニゾンまた他のコレコチステロイドを受けつつある;および/または狼瘡関連症状の治療のために免疫抑制療法を受けつつある、または従前に受容したことがある。
【0047】
他の実施形態において、活性な狼瘡を有する患者は、以下の特徴のいずれかの1以上を有する患者と定義される:American College of Rheumatology (ACR)基準に従ったSLEの臨床的診断;SELENA SLEDAIスコア≧8;患者の血漿または血清における低下したC4補体レベル;患者の血漿または血清における低下したC3補体レベル;1:80以上のANA力価;患者の血漿または血清において、30IU/mL以上の抗dsDNA抗体;狼瘡関連症候群の治療のために40ミリグラム/日のプレドニゾンまたは他のコルチコステロイドを受けつつある;および/または狼瘡関連症候群の治療のために、免疫抑制療法を受けつつある、または従前に受容したことがある。
【0048】
多疾患活性指標は当該分野において臨床家または医師によく知られており、それを用いて、SLE病活性のようなリウマチ病活性の程度を測定することができる(例えば、Strand,ら,J Rheumatol.,26:490−7,(1999)参照)。一つの実施形態において、SELENA SLEDAIを疾患活性指標(DAI)として用いる(例えば、Bombardierら.,Arthritis Rheum.35:630−40,(1992)参照)。別の実施形態において、SLE発赤指標はDAIとして用いられる(例えば、Petriら,Lupus,8:685−91,(1999)参照)。さらなる実施形態において、全身狼瘡国際共同臨床(Systemic Lupus International Collaborating Clinics/American College of Rheumatology Damage Index(SLICC/ACR)をDAIとして用いる(例えば、Gladmanら,Arthritis Rheum.,39:363−9,(1996)参照)。別の実施形態において、医師包括的評価(PGA)はDAIとして用いられ、該PGAはビジュアルアナログスケールであり、0〜3の範囲であり、ここに、0は疾患活性無しであり、1は軽度な疾患活性であり、2は中程度の疾患活性であって、3は重篤な疾患活性であり、DAIとして用いられる。さらにもう1つの実施形態において、医療結果外観短フォーム36(SF−36)はDAIとして用いられる。SF−36は観察コホールト研究、ならびにランダム化された試験において健康関連生活の質(HRQOL)の全てのドメインに対するSLEのインパクトを反映することが示されている一般的なHRQOL機器である(その各々を、ここに引用してその全体を援用する、(Cookら,J.Rheumatol.,27:1892−1895,(2000);Thumbooら,J Rheumatol.,26:97−102,(1999);Thumbooら,J Rheumatol.,27:1414−1420,(2000);Ware JEら,Med Care,30:473−483,(1992);Smolen JSら,J Rheumatol.,26:504−507,(1999);Gladmanら,Lupus,5:190−195,(1996);Alonso Jら,Qual Life Res.,13:283−298,2004;およびGladmanら,J Rheumatol.,27:377−9,(1995))。
【0049】
さらなる実施形態において、(EuroQol機器としても知られた)EQ−5DをDAIとして用いる。該EQ−5Dは一般的な健康関連生活の質の尺度である。記載的健康状態分類システムを含有するのみならず、与えられた健康状態に関連する優先性値を反映する複合スコアまたは指標を生じさせることができる単純な自己−投与尋問であることが意図される。EQ−5D記載的システムは5つの次元:運動性、自己−ケア、通常の活動、痛み/不快、および不安/鬱病よりなる。各次元は3つのレベルを有し、「健康に問題なし」、「中低度の健康の問題」、および「極端な健康の問題」を反映する(例えば、ここに引用して援用する、Health Policy.1990 Dec;16(3):199−208参照)。
【0050】
さらなる実施形態において、慢性病療法(FACIT)測定システムの慢性病療法−疲労(FACIT−F)サブスケールについての機能的評価をDAIとして用いる。FACIT−Fサブスケールは4つの主なQOLドメイン:身体的幸福、社会的/家族的幸福、情緒的幸福、および機能的幸福に分けられた一般的問題の27項の編集である。この測定ツールはエネルギーレベル、倦怠期、および活動を開始しまたは終了する能力についての患者フィードバックを集める(例えば、その各々をここに引用してその全体を援用する、Yellen,S.B.ら,Journal of Pain and Symptom Management,13:63−74,(1997);Cella,D.,et al.,94(2):528−538,(2002);およびCella,D.ら,Journal of Pain & Symptom Management,24(6):547−561,(2002)参照)。
【0051】
さらなる実施形態において、疾患活性スコア(DAS28)をDAIとして用いる。DAS28は、リウマチ病活性の評価のためのリウマチ学者によって用いられる標準的なツールである。この測定ツールは、接触に対して圧痛圧痛関節数(TEN)、腫脹腫脹関節数(SW)、赤血球沈積速度(ESR)、および疾患活性の患者評価(VAS;mm)の評価に基づいて指標スコアを計算する(例えば、その各々をここに引用してその全体を援用する、Van der Heijde D.M.F.M.,et al.,J.Rheumatol,20:579−8,(1993);Prevoo M.L.L.,et al.,Arthritis Rheum,38:44−8,(1995)参照)。
【0052】
さらなる実施形態において、ブリティッシュ島狼瘡評価グループ(British Isles Lupus Assessment Group)(BILAG)をDAIとして用いる(例えば、その各々をここに引用してその全体を援用する、Isenbergら,Rheumatology,44:902−6,(2005);Gordonら,Rheumatology,42(11):1372−9,(2003);Isenbergら,Lupus,9(9):651−4,(2000);Hayら,Q J Med.,86:447−58,(1993);および2004年4月4日にADS−Limathon Ltdより開放された、BLIPSTMバージョン3.0ソフトウエアプログラムユーザーガイド参照)。BILAG指標は、以前の測定と比較して臨床的特徴が新しい、より悪い、同一、または改良されているか否かに依存して、狼瘡およびスコアに影響されることが知られている8体の器官/システムを含む。8体の器官/システムの各々では、SLE疾患発現の重症度はA、B、C、DまたはEスコアであり、Aが最も重症である(例えば、Hay,ibid参照)。BILAG指標は、疾患の重症度および治療の有効性を評価するための複合スコアを与える。この複合スコアは、狼瘡において冒される8体の器官/システムの各々にわたって寄与を加える。当該分野で知られたBILAGまたは他の尺度を用い、治療は、器官/システムの特異的サブセットにおける疾患発現を伴う狼瘡患者を標的とすることができる。
【0053】
従って、特別な実施形態において、当該分野で知られた、および/または本明細書中に記載された免疫調節剤で治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者は、もし該患者がそのSELENA SLEDAIスコアの低下を達成したならば、治療に対して応答している/応答したと考えられる。特別な実施形態において、当該分野で知られた、および/または本明細書中に記載された免疫調節剤で治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者は、もし該患者が、同一患者のベースラインSELENA SLEDAIスコア、患者の免疫調節剤での治療開始に先立って決定されたSELENA SLEDAIスコアと比較して、そのSELENA SLEDAIスコアの低下を達成したならば、治療に応答している/応答したと考えられる。特別な実施形態において、当該分野で知られた、および/または本明細書中に記載された免疫調節剤で治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者は、もし該患者がそのSELENA SLEDAIスコアの少なくとも4ポイント低下を達成したならば、治療に応答している/応答したと考えられる。特別な実施形態において、当該分野で知られた、および/または本明細書中に記載された免疫調節剤で治療されている、または治療された狼瘡患者は、もし該患者が、同一患者のベースラインSELENA SLEDAIスコア、患者の免疫調節剤での治療開始に先立って決定されたSELENA SLEDAIスコアと比較してそのSELENA SLEDAIスコアの少なくとも4ポイント低下を達成したならば、治療に応答している/応答したと考えられる。
【0054】
別の特別な実施形態において、当該分野で知られた、および/または本明細書中に記載された免疫調節剤で治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者は、もし該患者が医師包括的評価(PGA)によって決定された疾患活性の悪化を経験していないならば、治療に応答している/応答したと考えられる。特別な実施形態において、該患者は、もしPGAスコアが減少し、安定なままであり、または0.3ポイント未満だけ増加したならば、疾患活性の悪化を経験していない。特別な実施形態において、該患者は、もしPGAスコアが減少し、安定なままであり、または同一患者のベースラインPGAスコア、患者の免疫調節剤での治療開始に先立って決定されたPGAスコアから0.3ポイント未満だけ増加したならば、疾患活性の悪化を経験していない。
【0055】
別の特別な実施形態において、当該分野で知られた、および/または本明細書中に記載された免疫調節剤で治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者は、もし該患者がブリティッシュ島狼瘡評価グループ(BILAG)の疾患活性指標によって決定して疾患活性の悪化を経験していないならば、治療に対して応答している/応答したと考えられる。特別な実施形態において、患者は、もし該患者が患者のベースラインBILAG評価以来、新しいBILAG A器官ドメインスコアを獲得していない、または2つの新しいBILAG B器官ドメインスコアを獲得していないならば、疾患活性の悪化を経験していない。特別な実施形態において、患者は、もし該患者が新しいBILAG A器官ドメインスコアを獲得しておらず、または2つのBILAG B器官ドメインスコアを獲得していないならば、疾患活性の悪化を経験しておらず、該BILAG評価は患者の免疫調節剤での治療開始に先立って測定されたものである。
【0056】
別の特別な実施形態において、当該分野で知られた、および/または本明細書中に記載された免疫調節剤で治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者は、もし該患者が、各々、そのベースラインSELENA SLEDAIスコア、PGAスコアおよびBILAG評価と比較して、そのSELENA SLEDAIスコアの低下を達成し、そのPGAスコアの実質的悪化を有さず、およびブリティッシュ島狼瘡評価グループ(BILAC)の疾患活性指標によって決定して疾患活性の悪化を経験していないならば、治療に対して応答している/応答したと考えられる。特別な実施形態において、免疫調節剤で治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者は、もし該患者が、各々、そのベースラインSELENA SLEDAIスコア、PGAスコアおよびBILAG評価と比較して、そのSELENA SLEDAIスコアの少なくとも4ポイント低下を達成し、そのPGAスコアの0.30ポイントを超える増加を有さず、および新しいBILAG A器官ドメインスコアを獲得しないか、または2つの新しいBILAG B器官ドメインスコアを獲得しなかったならば、治療に対して応答している/応答したと考えられる。
【0057】
別の特別な実施形態において、当該分野で知られた、および/または本明細書中に記載された免疫調節剤で治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者は、もし該患者のプレドニゾンが低下しているならば、治療に応答している/応答したと考えられる。別の特別な実施形態において、当該分野で知られた、および/または本明細書中に記載された免疫調節剤で治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者が、もし該患者のプレドニゾンが患者の免疫調節剤での治療開始に先立って摂取していたプレドニゾン用量と比較して低下したならば、治療に応答している/応答したと考えられる。別の特別な実施形態において、当該分野で知られたおよび/または本明細書中に記載された免疫調節剤で治療されているまたは治療されたことがある狼瘡患者は、もし該患者のプレドニゾン用量が少なくとも25%だけ低下したならば、治療に応答している/応答したと考えられる。別の特別な実施形態において、当該分野において知られたおよび/または本明細書中に記載された免疫調節剤で治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者が、もし該患者のプレドニゾン用量が少なくとも25%ないし7.5mg/日以下だけ低下したならば、治療に対して応答している/応答したと考えられる。別の特別な実施形態において、当該分野で知られたおよび/または本明細書中に記載された免疫調節剤で治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者は、もし該患者のプレドニゾン用量が患者のベースラインプレドニゾン用量から少なくとも25%、または7.5mg/日以下だけ低下したならば、治療に対して応答している/応答したと考えられる。別の特別な実施形態において、当該分野で知られたおよび/または本明細書中に記載された免疫調節剤で治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者は、もし該患者のプレドニゾン用量が少なくとも50%だけ低下したならば、治療に対して応答している/応答したと考えられる。別の特別な実施形態において、当該分野で知られたおよび/または本明細書中に記載された免疫調節剤で治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者は、もし該患者のプレドニゾンが少なくとも50%、ないし7.5mg/日以下だけ低下したならば、治療に対して応答している/応答したと考えら得る。別の実施形態において、当該分野において知られたおよび/または本明細書中に記載された免疫調節剤で治療されている、または治療されたことがある。狼瘡患者は、もし患者のプレドニゾン用量が患者のベースラインプレドニゾン用量から少なくとも50%ないし7.5mg/日以下だけ低下したならば、治療に対して応答している/応答したと考えられる。
【0058】
他の尺度を用いて、治療に対する狼瘡患者の応答の質を測定することができる。特別な実施形態において、当該分野で知られたおよび/または本明細書中に記載された免疫調節剤で治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者は、もし該患者が改善されたSF−36健康概観スコアを有するならば、治療に対して応答している/応答したと考えられる。もう1つ特別な実施形態において、当該分野で知られたおよび/または本明細書中に記載された免疫調節剤で治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者は、もし該患者が患者のベースラインSF−36健康概観スコアと比較して改善されたSF−36健康概観スコアを有するならば、治療に応答している/応答したと考えられる。
【0059】
特別な実施形態において、当該分野で知られたおよび/または本明細書中に記載された免疫調節剤で治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者は、もし該患者が改善されたEQ−5Dスコアを有するならば、治療に対して応答している/応答したと考えられる。別の特別な実施形態において、当該分野で知られたおよび/または本明細書中に記載された免疫調節剤で治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者は、もし該患者が患者のベースラインEQ−5Dスコアと比較して改善されたEQ−5Dスコアを有するならば、治療に対して応答している/応答したと考えられる。
【0060】
特別な実施形態において、当該分野で知られたおよび/または本明細書中に記載された免疫調節剤で治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者は、もし該患者が患者のFACIT−Fスコアによって示される低下した疲労を示すならば、治療に対して応答している/応答したと考えられる。別の特別な実施形態において、当該分野で知られたおよび/または本明細書中に記載された免疫調節剤で治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者は、もし患者が、患者のベースラインFACIT−Fスコアと比較して患者のFACIT−Fスコアによって示される低下した疲労を示すならば、治療に対して応答している/応答したと考えられる。
【0061】
特別な実施形態において、当該分野で知られたおよび/または本明細書中に記載された免疫調節剤で治療されているまたは治療されたことがある狼瘡患者は、もし該患者が改善されたDAS28スコアを有するならば、治療に対して応答している/応答したと考えられる。別の特別な実施形態において、当該分野で知られたおよび/または本明細書中に記載された免疫調節剤で治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者は、もし該患者が、患者のベースラインDAS28スコアと比較して改善されたDAS28スコアを有するならば、治療に対して応答している/応答したと考えられる。
【0062】
別の特別な実施形態において、当該分野で知られたおよび/または本明細書中に記載された免疫調節剤で治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者は、もし該患者が発赤の減少した頻度および/または持続を有するならば、治療に対して応答している/応答したと考えられる。別の特別な実施形態において、当該分野で知られたおよび/または本明細書中に記載された免疫調節剤で治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者は、もし該患者が、免疫調節剤での治療に先立っての発赤の頻度および/または持続と比較して、減少した発赤の頻度および/または持続を有するならば、治療に対して応答している/応答したと考えられる。別の特別な実施形態において、当該分野で知られたおよび/または本明細書中に記載された免疫調節剤で治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者は、もし該患者が発赤の減少した重症度を有するならば、治療に対して応答している/応答したと考えられる。別の特別な実施形態において、当該分野で知られたおよび/または本明細書中に記載された免疫調節剤で治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者は、もし該患者が、免疫調節剤での治療に先立っての発赤の重症度と比較して、減少した発赤の重症度を有するならば、治療に対して応答している/応答したと考えられる。SLE発赤指標は、狼瘡兆候(発赤)の亢進の頻度および重症度を評価する。発赤は「軽度または中程度/または「重症」としてカテゴリー化される。温和または中程度発赤は以下の1以上を含む:3ポイント以上のSELENA SLEDAIスコアの変化;新しい/より悪い円盤状、光感受性、深在性、皮膚血管炎または水疱性狼瘡;鼻咽頭潰瘍;胸膜炎;心膜炎;関節炎;発熱(SLE);0.5mg/kg/日を超えるに至らないプレドニゾンの増加;疾患活性のための添加されたNSAIDまたはプラキニル;および2.5を超えるに至らないPGAスコアの1.0を超える増加。重症発赤は以下の1以上を含む:12を超えるまでのSELENA SLEDAIの変化;新しい/より悪いCNS−SLE;血管炎;腎炎;筋炎;Plt<60,000;ヘム貧血(Hb>3%における<7%または減少);プレドニゾン用量の倍化;0.5mg/kg/日を超えるまでのプレドニゾンの増加;サイトキサンの投薬;アザチオプリンの投薬;メトトリキサートの投薬;入院(SLE)および2.5を超えるまでのPGAスコアの増加。別の特別な実施形態において、当該分野で知られたおよび/または本明細書中に記載された免疫調節剤で治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者は、もし該患者がSLE発赤指標によって測定して減少した発赤の頻度および/または重症度を有するならば、治療に対して応答している/応答したと考えられる。別の特別な実施形態において、当該分野で知られたおよび/または本明細書中に記載された免疫調節剤で治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者は、もし該患者が、患者の以前の発赤頻度および/または重症度と比較して、SLE発赤指標で測定して減少した発赤の頻度および/または重症度を有するならば、治療に対して応答している/応答したと考えられる。別の特別な実施形態において、当該分野で知られたおよび/または本明細書中に記載された免疫調節剤で治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者は、もし該患者が、SLE発赤指標の改変バージョンによって測定して減少した発赤の頻度および/または重症度を有するならば、治療に対して応答している/応答したと考えられる。別の特別な実施形態において、当該分野で知られたおよび/または本明細書中に記載された免疫調節剤で治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者は、もし該患者が患者の以前の発赤頻度および/または重症度と比較して、SLE発赤指標の改変バージョンによって測定して減少した発赤の頻度および/または重症度を有するならば、治療に対して応答している/応答したと考えられる。SELENA SLEDAIスコアの変化のみによって引き起こされる重症発赤は、SLE発赤指標の改変バージョンから除外される。
【0063】
従って、特別な実施形態において、限定されるものではないが、抗ニュートロカイン−アルファ抗体またはその抗原結合断片、ニュートロカイン−アルファ受容体タンパク質(例えば、TACI、BCMAまたはBAFF−R)またはその断片または変異体、抗ニュートロカイン−アルファ受容体(例えば、TACI、BCMAまたはBAFF−R)抗体またはその抗原結合断片、ニュートロカイン−アルファ結合ポリペプチド、ニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILポリペプチド変異体、およびニュートロカイン−アルファ、APRIL、TACI、BCMAまたはBAFF−Rを標的とするアンチセンスまたはsiRNA、またはニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILに対する他の受容体を含めたニュートロカイン−アルファのアンタゴニストで治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者は、もし該患者が患者のSELENA SLEDAIスコアを達成したならば、治療に対して応答している/応答したと考えられる。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストで治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者は、もし該患者が、同一患者のベースラインSELENA SLEDAIスコア、患者のニュートロカイン−アルファのアンタゴニストでの治療開始に先立って決定されたSELENA SLEDAIスコアと比較して、患者のSELENA SLEDAIスコアの低下を達成したならば、治療に対して応答している/応答したと考えられる。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストで治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者は、もし該患者が患者のSELENA SLEDAIスコアの少なくとも4ポイント低下を達成したならば、治療に対して応答している/応答したと考えられる。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストで治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者は、もし該患者が、同一患者のベースラインSELENA SLEDAIスコア、患者のニュートロカイン−アルファのアンタゴニストでの治療開始に先立って決定されたSELENA SLEDAIスコアと比較して、患者のSELENA SLEDAIスコアの少なくとも4ポイント低下を達成したならば、治療に対して応答している/応答したと考えられる。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは抗ニュートロカイン−アルファ抗体である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストはTACI−Fcタンパク質である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストはBAFF−R−Fcタンパク質である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは抗ニュートロカイン−アルファペプチボディ(peptibody)である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは、ドミナントネガティブとして機能するニュートロカイン−アルファタンパク質断片または変異体である。
【0064】
別の特別な実施形態において、限定されるものではないが、抗ニュートロカイン−アルファ抗体またはその抗原結合断片、ニュートロカイン−アルファ受容体タンパク質(例えば、TACI、BCMAまたはBAFF−R)またはその断片または変異体、抗ニュートロカイン−アルファ受容体(例えば、TACI、BCMAまたはBAFF−R)抗体またはその抗原結合断片、ニュートロカイン−アルファ結合ポリペプチド、ニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILポリペプチド変異体、およびニュートロカインアルファ、APRIL、TACI、BCMAまたはBAFF−R、またはニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILに対する他の受容体を標的とするアンチセンスまたはsiRNAを含めたニュートロカイン−アルファのアンタゴニストで治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者は、もし該患者が、医師の包括的評価(PGA)によって決定された疾患活性の悪化を経験していないならば、治療に対して応答している/応答したと考えられる。特別な実施形態において、患者は、もしPGAスコアが減少し、安定なままであり、または0.3ポイント未満だけ増加したならば、疾患活性の悪化を経験していない。特別な実施形態において、患者は、もしPGAスコアが減少し、安定なままであり、または同一患者のベースラインPGAスコア、患者のニュートロカイン−アルファのアンタゴニストでの処置開始に先立って決定されたPGAスコアから0.3ポイント未満だけ増加したならば、疾患活性の悪化を経験していない。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは抗ニュートロカイン−アルファ抗体である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストはTACI−Fcタンパク質である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストはBAFF−R−Fcタンパク質である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは抗ニュートロカイン−アルファペプチボディである。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは、ドミナントネガティブとして機能するニュートロカイン−アルファタンパク質または変異体である。
【0065】
別の特別な実施形態において、限定されるものではないが、抗ニュートロカイン−アルファ抗体またはその抗原結合断片、ニュートロカイン−アルファ受容体タンパク質(例えば、TACI、BCMAまたはBAFF−R)またはその断片または変異体、抗ニュートロカイン−アルファ受容体(例えば、TACI、BCMAまたはBAFF−R)抗体、またはその抗原結合断片、ニュートロカイン−アルファ結合ポリペプチド、ニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILポリペプチド変異体、およびニュートロカイン−アルファ、APRIL、TACI、BCMAまたはBAFF−R、またはニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILに対する他の受容体を標的とするアンチセンスまたはsiRNAを含めたニュートロカイン−アルファのアンタゴニストで治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者は、もし該患者が、ブリティッシュ島狼瘡評価グループ(BILAG)の疾患活性指標によって決定して疾患活性の悪化を経験していないならば、治療に対して応答している/応答したと考えられる。特別な実施形態において、患者は、もし該患者が新しいBILAG A器官ドメインスコアを獲得せず、または2つの新しいBILAG B器官ドメインスコアを獲得しないならば、疾患活性の悪化を経験していない。特別な実施形態において、患者のベースラインBILAG評価、すなわちBILAGが患者のニュートロカイン−アルファのアンタゴニストでの処置の開始に先立って決定されたものであるから、患者が、新しいBILAG A器官ドメインスコアを獲得しておらず、または2つの新しいBILAG B器官ドメインスコアを獲得していないならば、疾患活性の悪化を経験していない。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストはニュートロカイン−アルファ抗体である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファは、TACI−Fcタンパク質である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストはDAFF−R−Fcタンパク質である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは抗−ニュートロカイン−アルファ抗体である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは、ドミナントネガティブとして機能するニュートロカイン−アルファタンパク質の断片または変異体である。
【0066】
別の実施形態において、限定されるものではないが、抗ニュートロカイン−アルファ抗体、またはその抗原結合断片、ニュートロカイン−アルファ受容体タンパク質(例えば、TACI、BCMAまたはBAFF−R)、またはその断片または変異体、抗ニュートロカイン−アルファ受容体(例えば、TACI、BCMAまたはBAFF−R)抗体、またはその抗原結合断片ニュートロカイン−アルファ結合ポリペプチド、ニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILポリペプチド変異体、およびニュートロカイン−アルファ、APRIL、TACI、BCMAまたはBAFF−R、またはニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRIAに対する他の受容体を標的とするアンチセンスまたはsiRNAを含めたニュートロカイン−アルファのアンタゴニストで治療されている、または治療されたことのある狼瘡患者は、もし該患者が、各々、患者のベースラインSELENA SLEDAIスコア、PGAスコア、およびBILAGスコアと比較して、患者のSELENA SLEDAIスコアの低下を達成し、患者のPGAスコアの実質的悪化を有さず、およびブリティッシュ島狼瘡評価グループ(BILAG)の疾患活性指標によって決定して疾患活性の悪化を経験していないならば、治療に対して応答している/応答したと考えられる。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストで治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者は、もし該患者が、各々、患者のベースラインSELENA SLEDAIスコア、PGAスコアおよびBILAGスコアと比較して、患者のSELENA SLEDAIスコアの少なくとも4ポイント低下を達成し、患者のPGAスコアの0.30を超えるポイント増加を有さず、および新しいBILAG A器官ドメインスコアを獲得しておらず、または2つの新しいBILAG B器官ドメインスコアを獲得していないならば、治療に対して応答している/応答したと考えられる。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは抗ニュートロカイン−アルファ抗体である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストはTACI−Fcタンパク質である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストはBAFF−R−Fcタンパク質である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは抗ニュートロカイン−アルファ抗体である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは、ドミナントネガティブとして機能するニュートロカイン−アルファタンパク質断片または変異体である。
【0067】
別の特別な実施形態において、限定されるものではないが、抗ニュートロカイン−アルファ抗体、またはその抗原結合断片、ニュートロカイン−アルファ受容体タンパク質(例えば、TACI、BCMAまたはBAFF−R)、またはその断片または変異体、抗ニュートロカイン−アルファ受容体(例えば、TACI、BCMAまたはBAFF−R)抗体、またはその抗原結合断片、ニュートロカイン−アルファ結合ポリペプチド、ニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILポリペプチド変異体、ニュートロカイン−アルファ、APRIL、TACI、BCMAまたはBAFF−R、またはニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILに対する他の受容体を標的とするアンチセンスまたはsiRNAを含めたニュートロカイン−アルファのアンタゴニストで治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者は、もし該患者のプレドニゾン用量が低下したならば治療に対して応答している/応答したと考えられる。別の特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストで治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者は、もし該患者のプレドニゾン用量が、患者の免疫調節剤での治療開始に先立って摂取していたプレドニゾン用量と比較して低下したならば、治療に応答している/応答したと考えられる。別の特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストで治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者は、もし患者のプレドニゾン用量が少なくとも25%だけ低下したならば、治療に対して応答している/応答したと考えられる。別の特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストで治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者は、もし患者のプレドニゾン用量が少なくとも25%ないし7.5mg/日以下だけ低下したならば、治療に応答している/応答したと考えられる。別の特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストで治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者が、もし患者のプレドニゾン用量が患者のベースラインプレドニゾン用量から少なくとも25%ないし7.5mg/日以下だけ低下したならば、治療に対して応答している/応答したと考えられる。別の特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストで治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者がもし患者のプレドニゾン用量が患者のベースラインプレドニゾン用量から少なくとも50%だけ低下したならば、治療に対して応答している/応答したと考えられる。別の特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストで治療されているまたは、治療されたことがある狼瘡患者は、もし患者のプレドニゾン用量が少なくとも50%ないし7.5mg/日以下だけ低下したならば治療に対して応答している/応答したと考えられる。別の特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストで治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者は、もし患者のプレドニゾン用量が患者のベースラインプレドニゾン用量から少なくとも50%、ないし7.5mg/日以下だけ低下したならば、治療に対して応答している/応答したと考えられる。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは抗−ニュートロカイン−アルファ抗体である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストはTACI−Fcタンパク質である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストはBAFF−R−Fcタンパク質である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは、抗ニュートロカイン−アルファ抗体である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは、ドミナントネガティブとして機能するニュートロカイン−アルファタンパク質の断片または変異体である。
【0068】
他の尺度を用いて、治療に対する狼瘡患者応答の質を測定することができる。特別な実施形態において、限定されるものではないが、抗ニュートロカイン−アルファ抗体、またはその抗原結合断片、ニュートロカイン−アルファ受容体タンパク質(例えば、TACI、BCMAまたはBAFF−R)、またはその断片または変異体、抗ニュートロカイン−アルファ受容体(例えば、TACI、BCMAまたはBAFF−R)抗体、またはその抗原または結合断片、ニュートロカイン−アルファ結合ポリペプチド、ニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILポリペプチド変異体、およびニュートロカイン−アルファ、APRIL、TACI、BCMAまたはBAFF−R、またはニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILに対する他の受容体を標的とするアンチセンスまたはsiRNAを含めたニュートロカイン−アルファのアンタゴニストで治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者は、もし該患者が改善されたSF−36健康概観スコアを有するならば治療に対して応答している/応答したと考えられる。別の特別な実施形態において、限定されるものではないが、抗ニュートロカイン−アルファ抗体、またはその抗原結合断片、ニュートロカイン−アルファ受容体タンパク質(例えば、TACI、BCMAまたはBAFF−R)、またはその断片または変異体、抗ニュートロカイン−アルファ受容体(例えば、TACI、BCMAまたはBAFF−R)抗体、またはその抗原結合断片、ニュートロカイン−アルファ結合ポリペプチド、ニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILポリペプチド変異体、およびニュートロカイン−アルファ、APRIL、TACI、BCMAまたはBAFF−R、またはニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILに対する他の状態を標的とするアンチセンスまたはsiRNAを含めたニュートロカイン−アルファのアンタゴニストで治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者は、もし該患者が、患者のベースラインSF−36健康概観スコアと比較して改善されたSF−36健康概観スコアを有するならば、治療に対して応答している/応答したと考えられる。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは、抗ニュートロカイン−アルファ抗体である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストはTACI−Fcタンパク質である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストはBAFF−R−Fcタンパク質である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは、抗ニュートロカイン−アルファ抗体である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは、ドミナントネガティブとして機能するニュートロカイン−アルファタンパク質の断片または変異体である。
特別な実施形態において、限定されるものではないが、抗ニュートロカイン−アルファ抗体、またはその抗原または結合断片、ニュートロカイン−アルファ受容体タンパク質(例えば、TACI、BCMAまたはBAFF−R)、またはその断片または変異体、抗ニュートロカイン−アルファ受容体(例えば、TACI、BCMAまたはBAFF−R)抗体、またはその抗原結合断片、ニュートロカイン−アルファ結合ポリペプチド、ニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILポリペプチド変異体、およびニュートロカイン−アルファ、APRIL、TACI、BCMAまたはBAFF−R、またはニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILに対する他の受容体を標的とするアンチセンスまたはsiRNAを含めたニュートロカイン−アルファのアンタゴニストで治療されている、治療されたことのある狼瘡患者は、もし該患者が改善されたEQ−5Dスコアを有するならば、治療に対して応答している/応答したと考えられる。別の特別な実施形態において、限定されるものではないが、抗ニュートロカイン−アルファ抗体、またはその抗原結合断片、ニュートロカイン−アルファ受容体タンパク質(例えば、TACI、BCMAまたはBAFF−R)またはその断片または変異体、抗ニュートロカイン−アルファ受容体(例えば、TACI、BCMAまたはBAFF−R)抗体、またはその抗原結合断片、ニュートロカイン−アルファ結合ポリペプチド、ニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILポリペプチド変異体、およびニュートロカイン−アルファ、APRIL、TACI、BCMAまたはBAFF−R、またはニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILに対する他の受容体を標的とするアンチセンスまたはsiRNAを含めたニュートロカイン−アルファのアンタゴニストで治療されている、または治療されたことのある狼瘡患者は患者のベースラインEQ−5Dスコアと比較して改善されたEQ−5Dスコアを有するならば治療に対して応答している/応答したと考えられる。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは抗ニュートロカイン−アルファ抗体である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは、TACI−Fcタンパク質である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは、BAFF−R−FCタンパク質である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは、抗−ニュートロカイン−アルファペプチボディである。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは、ドミナントネガティブとして機能するニュートロカイン−アルファタンパク質の断片または変異体である。
【0069】
特別な実施形態において、限定されるものではないが、抗ニュートロカイン−アルファ抗体、またはその抗原−結合断片、ニュートロカイン−アルファ受容体タンパク質(例えば、TACI、BCMAまたはBAFF−R)、またはその断片または変異体、抗−ニュートロカイン−アルファ受容体(例えば、TACI、BCMAまたはBAFF−R)抗体、またはその抗原−結合断片、ニュートロカイン−アルファ結合ポリペプチド、ニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILポリペプチド変異体、およびニュートロカイン−アルファ、APRIL、TACI、BCMAまたはBAFF−R、またはニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILに対する他の受容体を標的とするアンチセンスまたはsiRNAを含めたニュートロカイン−アルファのアンタゴニストで治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者は、もし該患者が患者のFACIT−Fスコアによって示して、低下した疲労を示すならば治療に対して応答している/応答したと考えられる。別の特別な実施形態において、限定されるものではないが、抗ニュートロカイン−アルファ抗体、またはその抗原結合断片、ニュートロカイン−アルファ受容体タンパク質(例えば、TACI、BCMAまたはBAFF−R)、またはその断片または変異体、抗ニュートロカイン−アルファ受容体(例えば、TACI、BCMAまたはBAFF−R)抗体、またはその抗原−結合断片、ニュートロカイン−アルファ結合ポリペプチド、ニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILポリペプチド変異体、およびニュートロカイン−アルファ、APRIL、TACI、BCMAまたはBAFF−R、またはニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILに対する他の受容体を含めたニュートロカイン−アルファのアンタゴニストで治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者は、もし該患者が患者のベースラインFACIT−Fスコアと比較して患者のFACIT−Fスコアによって示して低下した疲労を示すならば、治療に応答している/応答したと考えられる。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは抗−ニュートロカイン−アルファ抗体である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストはTACI−Fcタンパク質である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストはBAFF−R−Fcタンパク質である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは抗−ニュートロカイン−アルファ抗体である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは、ドミナントネガティブとして機能するニュートロカイン−アルファタンパク質断片または変異体である。
【0070】
特別な実施形態において、限定されるものではないが、抗ニュートロカイン−アルファ抗体、またはその抗原結合断片、ニュートロカイン−アルファ受容体タンパク質(例えば、TACI、BCMAまたはBAFF−R)、またはその断片または変異体、抗ニュートロカイン−アルファ受容体(例えば、TACI、BCMAまたはBAFF−R)抗体、またはその抗原結合断片、ニュートロカイン−アルファ結合ポリペプチド、ニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILポリペプチド変異体およびニュートロカイン−アルファ、APRIL、TACI、BCMAまたはBAFF−R、またはニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILに対する他の受容体を標的とするアンチセンスまたはsiRNAを含めたニュートロカイン−アルファのアンタゴニストで治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者は、もし該患者が患者のベースラインDAS−28スコアと比較して改善されたDAS−28を有するならば治療に対して応答している/応答したと考えられる。別の特別な実施形態において、限定されるものではないが、抗ニュートロカイン−アルファ抗体、またはその抗原結合断片、ニュートロカイン−アルファ受容体タンパク質(例えば、TACI、BCMAまたはBAFF−R)、またはその断片または変異体、抗ニュートロカイン−アルファ受容体(例えば、TACI、BCMAまたはBAFF−R)抗体、またはその抗原−結合断片、ニュートロカイン−アルファ結合ポリペプチド、ニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILポリペプチド変異体およびニュートロカイン−アルファ、APRIL、TACI、BCMAまたはBAFF−R、またはニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILに対する他の受容体を標的とするアンチセンスまたはsiRNAを含めたニュートロカイン−アルファのアンタゴニストで治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者は、もし該患者が患者のベースラインDAS−28スコアと比較して改善されたDAS−28を有するならば治療に対して応答している/応答したと考えられる。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは抗ニュートロカイン−アルファ抗体である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストはTACI−Fcタンパク質である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストはBAFF−R−Fcタンパク質である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは抗ニュートロカイン−アルファ抗体である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは、ドミナントネガティブとして機能するニュートロカイン−アルファタンパク質の断片または変異体である。
【0071】
別の特別な実施形態において、限定されるものではないが、抗ニュートロカイン−アルファ抗体、またはその抗原結合断片、ニュートロカイン−アルファ受容体タンパク質(例えば、TACI、BCMAまたはBAFF−R)、またはその断片または変異体、抗ニュートロカイン−アルファ受容体(例えば、TACI、BCMAまたはBAFF−R)抗体、またはその抗原結合断片、ニュートロカイン−アルファ結合ポリペプチド、ニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILポリペプチド変異体、およびニュートロカイン−アルファ、APRIL、TACI、BCMAまたはBAFF−R、またはニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILに対する他の受容体を標的とするアンチセンスまたはsiRNAを含めたニュートロカイン−アルファのアンタゴニストで治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者は、もし該患者が減少した発赤の頻度および/または持続を有するならば、治療に対して応答している/応答したと考えられる。別の特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストで治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者は、もし該患者が、ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストでの治療に先立った発赤の頻度および/または持続と比較して、減少した発赤の頻度および/または持続を有するならば、治療に対して応答している/応答したと考えられる。別の特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストで治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者は、もし該患者が減少した発赤の重症度を有するならば、治療に対して応答している/応答したと考えられる。別の特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストで治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者は、もし該患者がニュートロカイン−アルファのアンタゴニストで治療するに先立っての発赤の重症度と比較して減少した発赤の重症度を有するならば、治療に対して応答している/応答したと考えられる。SLE発赤指標は、狼瘡兆候(発赤)の亢進の頻度および重症度を評価する。発赤は「温和軽度または中程度」または「重症」としてカテゴリー化される。温和または中程度発赤は以下の1以上を含む:3ポイント以上のSELENA SLEDAIスコアの変化;新しい/より悪い円盤状、光感受性、深在性、皮膚血管炎または水泡性狼瘡;鼻咽頭潰瘍;胸膜炎;心膜炎;関節炎;発熱(SLE);0.5mg/kg/日を超えないまでのプレドニゾンの増加;疾患活性に対する添加されたNSAIDまたはプラクエニル;2.5を超えないまでのPGAスコアの1.0を超える増加。重症発赤は以下の一以上を含む:12を超えるまでのSELENA SLEDAIスコアの変化;新しい/より悪いCNS−SLE;血管炎;腎炎;筋炎;Plt<60,000;ヘム貧血(Hb>3%における<7%または減少);プレドニゾン用量の倍化;0.5mg/kg/日を超えるまでのプレゾニドンの増加サイトキサンの投薬;アザチオプリンの投薬;メトトレキサートの投薬;入院(SLE)および2.5を超えるまでのPGAスコアの増加。別の特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストで治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者は、もし該患者がSLE発赤指標によって測定して測定して減少した発赤の頻度および/または重症度を有するならば、治療に応答している/応答したと考えられる。別の特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストで治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者は、もし該患者が、ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストでの治療に先立っての発赤の頻度および/または重症度と比較して、SLE発赤指標で測定して減少した発赤の頻度および/または重症度を有するならば、治療に対して応答している/応答したと考えられる。別の特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストで治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者は、もし該患者が、SLE発赤指標の改変バージョンによって測定して減少した発赤の頻度および/または重症度を有するならば、治療に対して応答している/応答したと考えられる。別の特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストで治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者は、もし該患者が、ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストでの治療に先立っての発赤の頻度および/または重症度と比較して、SLE発赤指標の改変バージョンによって測定して減少した発赤の頻度および/または重症度を有するならば、治療に対して応答している/応答したと考えられる。SLE発赤指標の改変バージョンは、SELENA SLEDAIスコア変化単独によって誘発された重症発赤を排除する。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは抗ニュートロカイン−アルファ抗体である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストはTACI−Fcタンパク質である。特異的な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストはBAFF−R−Fcタンパク質である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは抗ニュートロカイン−アルファペプチボディである。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストはドミナントネガティブとして機能するニュートロカイン−アルファタンパク質の断片または変異体である。
【0072】
前記した疾患活性指標(例えば、SELENA SLEDAI、PGA、BILAG、SLE発赤指標、SF−36健康概観スコア、EQ−5D、FACIT−F、DAS28)を用いて、個々にまたは組み合わせて狼瘡患者の状態を評価してもよい。これらの疾患活性指標によって測定された患者の健康改善は、患者の以前の疾患活性指標スコア測定の一以上に関連して、限定されるものではないが、抗ニュートロカイン−アルファ抗体、またはその抗原結合断片、ニュートロカイン−アルファ受容体タンパク質(例えば、TACI、BCMAまたはBAFF−R)、またはその断片または変異体、抗ニュートロカイン−アルファ受容体(例えば、TACI、BCMAまたはBAFF−R)抗体、またはその抗原結合断片、ニュートロカイン−アルファ結合ポリペプチド、ニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILポリペプチド変異体、およびニュートロカイン−アルファ、APRIL、TACI、BCMA、BAFF−Rまたはニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILに対する他の受容体を標的とするアンチセンスまたはsiRNAを含めた、当該分野で知られたおよび/または本明細書中に記載されたニュートロカイン−アルファのアンタゴニストまたは他の免疫調節剤での治療の開始後の時点において評価してもよい。加えて、特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファのアンタゴニスト、または他の免疫調節剤で治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者は、もし該患者が、以前の測定に対して改善された疾患活性スコアを維持するならば、治療に対して応答している/応答したと考えられる。特別な実施形態において、一以上の疾患活性指標スコアは、ニュートロカイン−アルファのアンタゴニスト、または他の免疫調節剤での治療の開始後1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12週、月および/または年において、ニュートロカイン−アルファのアンタゴニスト、または他の免疫調節剤での治療の開始に先立って評価される。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは抗ニュートロカイン−アルファ抗体である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストはTACI−Fcタンパク質である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストはBAFF−R−Fcタンパク質である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは抗ニュートロカイン−アルファペプチボディである。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは、ドミナントネガティブとして機能するニュートロカイン−アルファタンパク質の断片または変異体である。
【0073】
特別な実施形態において、一以上の器官/系における疾患発現を持つ狼瘡患者は、限定されるものではないが、抗ニュートロカイン−アルファ抗体、またはその抗原−結合断片、ニュートロカイン−アルファ受容体タンパク質(例えば、TACI、BCMAまたはBAFF−R)、またはその断片または変異体、抗ニュートロカイン−アルファ受容体(例えば、TACI、BCMAまたはBAFF−R)抗体、またはその抗原結合断片、ニュートロカイン−アルファ結合ポリペプチド、ニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILポリペプチド変異体、およびニュートロカイン−アルファ、APRIL、TACI、BCMA、BAFF−R、またはニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILに対する他の受容体を標的とするアンチセンスまたはsiRNAを含めた、当該分野で知られたおよび/または本明細書中に記載されたニュートロカイン−アルファのアンタゴニストおよび/または免疫調節剤で治療する。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは抗−ニュートロカイン−アルファ抗体である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストはTACI−Fcタンパク質である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストはBAFF−R−Fcタンパク質である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは抗ニュートロカイン−アルファペプチボディである。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは、ドミナントネガティブとして機能するニュートロカイン−アルファタンパク質の断片または変異体である。特別な実施形態において、粘膜皮膚および/または筋肉骨格系の関与の有りまたは無しにて、一以上の内部器官系における疾患発現を持つ狼瘡患者は、当該分野で知られたおよび/または本明細書中に記載されたニュートロカイン−アルファのアンタゴニストおよび/または他の免疫調節剤で治療される。特別な実施形態において、粘膜皮膚および/または筋肉骨格系の関与なくして、一以上の内部器官系における疾患発現を持つ狼瘡患者は、当該分野で知られたおよび/または本明細書中に記載されたニュートロカイン−アルファのアンタゴニストおよび/または免疫調節剤で処置される。狼瘡において、粘膜皮膚および/または筋肉骨格系に関係する疾患発現は、限定されるものではないが:円盤状発疹、頬発疹、または他の皮疹、粘膜潰瘍、皮下脂肪組織炎、皮膚血管炎、皮膚血栓症、指梗塞、指血栓症、脱毛症、爪周囲紅斑、凍瘡、線状出血、筋炎、多発性関節炎、関節炎、腱炎、関節痛および筋痛を含む。狼瘡においては、狼瘡によって影響されえる内部器官系は、限定されるものではないが、神経系、循環系、呼吸器系、尿/排泄系、消化系、および目を含む。神経系における狼瘡病発現は、限定されるものではないが、無菌髄膜炎、大脳血管炎、脱ミエリン症候群、筋障害、急性錯乱状態、精神病、急性炎症性脱ミエリン多発神経根筋障害、短神経障害、頭側神経障害、叢障害、多発性神経障害、発作障害、癲癇状態、血管炎によらない脳血管病、認識障害、運動障害、自律神経障害、小脳性運動失調、頭痛、狭心症、気分障害および不安障害を含む。循環系における狼瘡病発現は、限定されるものではないが、心筋炎、心臓不全、不整脈、新弁機能障害、漿膜炎、心タンポナーゼ、呼吸困難を伴う胸膜滲出、肺出血、肺血管炎、間隙性歯槽炎、間隙性肺炎、収縮性肺症候群、大動脈炎および冠血管炎を含む。消化系における狼瘡病発現は、限定されるものではないが、腹膜炎、腹側漿膜炎、腹水、狼瘡腸炎、狼瘡結腸炎、吸収不良、タンパク質喪失腸障害、肝炎、腸偽閉塞、急性胆嚢炎および急性膵炎を含む。目に関連する狼瘡病発現は、限定されるものではないが、眼窩炎症、角膜炎、前部ブドウ膜炎、後部ブドウ膜炎、網膜血管炎、上強膜炎、強膜炎、網膜/脈絡膜血管閉塞病、クトイド体、視神経炎および前部虚血性視神経障害を含む。
【0074】
限定されるものではないが、抗ニュートロカイン−アルファ抗体、またはその抗原結合断片、ニュートロカイン−アルファ受容体タンパク質(例えば、TACI、BCMAまたはBAFF−R)、またはその断片または変異体、抗ニュートロカイン−アルファ受容体(例えば、TACI、BCMAまたはBAFF−R)抗体、またはその抗原−結合断片、ニュートロカイン−アルファ結合ポリペプチド、ニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILポリペプチド変異体、およびニュートロカイン−アルファ、APRIL、TACI、BCMA、BAFF−R、またはニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILに対する他の受容体を標的とするアンチセンスまたはsiRNAを含めた、当該分野で知られたおよび/または本明細書中に記載されたニュートロカイン−アルファのアンタゴニストまたは他の免疫調節剤での治療に対する患者の応答は、治療開始後に一以上の間隔でバイオマーカーを評価し、患者のバイオマーカー評価を同一バイオマーカーについての患者のベースラインおよび/または以前の測定と比較することによってモニターしてもよい。評価され得るバイオマーカーは、限定されるものではないが、免疫グロブリンレベル(例えば、全血清免疫グロブリン、ならびに血清IgM、IgG、IgA、および/またはIgEレベル)、自己抗体レベル(例えば、抗dsDNA抗体、抗CCP抗体、抗Ro/SS−A抗体、抗La/SS−B抗体、抗RNP抗体、抗カルジオリピン(抗リン脂質)抗体、および抗Sm抗体レベルならびにANA力価)、B細胞数(例えば、全B細胞数、活性化されたB細胞数、ナイーブB細胞数、記憶B細胞数、血漿B細胞数、および形質細胞様B細胞数、全CD19+B細胞および/またはCD20+B細胞)、C4補体レベル、C3補体レベルを含む。特別な実施形態において、バイオマーカー測定はニュートロカイン−アルファのアンタゴニストまたは他の免疫調節剤での処置の開始に先立って、および/またはニュートロカイン−アルファまたは他の免疫調節剤での処置の開始後1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12週、月および/または年において評価される。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは抗ニュートロカイン−アルファ抗体である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストはTACI−Fcタンパク質である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストはBAFF−R−Fcタンパク質である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは抗−ニュートロカイン−アルファペプチボディである。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは、ドミナントネガティブとして機能するニュートロカイン−アルファタンパク質の断片または変異体である。
【0075】
特別な実施形態において、限定されるものではないが、抗ニュートロカイン−アルファ抗体、またはその抗原結合断片、ニュートロカイン−アルファ受容体タンパク質(例えば、TACI、BCMAまたはBAFF−R)、またはその断片または変異体、抗ニュートロカイン−アルファ受容体(例えば、TACI、BCMAまたはBAFF−R)抗体、またはその抗原結合断片、ニュートロカイン−アルファ結合ポリペプチド、ニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILポリペプチド変異体、およびニュートロカイン−アルファ、APRIL、TACI、BCMA、BAFF−Rを標的とするアンチセンスまたはsiRNA、またはニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILに対する他の受容体を含めた、当該分野で知られたおよび/または本明細書中に記載されたニュートロカイン−アルファのアンタゴニスト、または他の免疫調節剤で治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者は、もし該患者が、該患者の免疫グロブリンのベースライン測定と比較して、減少したレベルの免疫グロブリン(例えば、合計血清免疫グロブリン、ならびに血清IgM、IgG、IgA、および/またはIgEレベル)を有するならば、治療に対して応答している/応答したと考えられる。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは抗ニュートロカイン−アルファ抗体である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストはTACI−Fcタンパク質である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストはBAFF−R−Fcタンパク質である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは抗ニュートロカイン−アルファ抗体である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは、ドミナントネガティブとして機能するニュートロカイン−アルファタンパク質の断片または変異体である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファのアンタゴニスト、または免疫調節剤で治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者は、もし該患者が、該患者の以前の免疫グロブリンの測定の一以上と比較して、減少したレベルの免疫グロブリン(例えば、全血清免疫グロブリン、ならびに血清IgM、IgG、IgA、および/またはIgEレベル)を有するならば、治療に対して応答している/応答したと考えられる。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファのアンタゴニスト、または他の免疫調節剤で治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者は、もし該患者が、該患者の以前の免疫グロブリンの測定の一以上と比較して、減少したレベルの免疫グロブリン(例えば、全血清免疫グロブリン、ならびに血清IgM、IgG、IgA、および/またはIgEレベル)を維持するならば、治療に対して応答している/応答したと考えられる。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファのアンタゴニスト、または他の免疫調節剤で治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者は、もし該患者が正常レベルの免疫グロブリン(例えば、全血清免疫グロブリン、ならびに血清IgM、IgG、IgA、および/またはIgEレベル)を達成するならば、治療に対して応答している/応答したと考えられる。
【0076】
特別な実施形態において、限定されるものではないが、抗ニュートロカイン−アルファ抗体、またはその抗原結合断片、ニュートロカイン−アルファ受容体タンパク質(例えば、TACI、BCMAまたはBAFF−R)、またはその断片または変異体、抗ニュートロカイン−アルファ受容体(例えば、TACI、BCMAまたはBAFF−R)抗体、またはその抗原結合断片、ニュートロカイン−アルファ結合ポリペプチド、ニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILポリペプチド変異体、およびニュートロカイン−アルファ、APRIL、TACI、BCMA、BAFF−R、またはニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILに対する他の受容体を標的とするアンチセンスまたはsiRNAを含めた、ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストで治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者は、もし該患者が、該患者の自己抗体のベースライン測定と比較して、減少したレベルの自己抗体(例えば、抗dsDNA抗体、抗CCP抗体、抗Ro/SS−A抗体、抗La/SS−B抗体、抗RNP抗体、抗カルジオリピン(抗リン脂質)抗体、および抗Sm抗体レベルならびにANA力価)を有するならば、治療に対して応答している/応答したと考えられる。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは抗−ニュートロカイン−アルファ抗体である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストはTACI−Fcタンパク質である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストはBAFF−R−Fcタンパク質である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは抗−ニュートロカイン−アルファペプチボディである。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは、ドミナントネガティブとして機能するニュートロカイン−アルファタンパク質の断片または変異体である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファのアンタゴニスト、または他の免疫調節剤で治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者は、もし該患者が、患者の自己抗体の先の測定の一以上と比較して、減少したレベルの自己抗体(例えば、抗dsDNA抗体、抗CCP抗体、抗Ro/SS−A抗体、抗La/SS−B抗体、抗RNP抗体、抗カルジオリピン(抗リン脂質)抗体、および抗Sm抗体レベルならびにANA力価)を有するならば、治療に対して応答している/応答したと考えられる。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストまたは他の免疫調節剤で治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者が、もし該患者が、該患者の自己抗体の以前の測定の一以上と比較して、減少したレベルの自己抗体(例えば、抗dsDNA抗体、抗CCP抗体、抗Ro/SS−A抗体、抗La/SS−B抗体、抗RNP抗体、抗カルジオリピン(抗リン脂質)抗体、および抗Sm抗体レベルならびにANA力価)を維持するならば、治療に対して応答している/応答したと考えられる。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファのアンタゴニスト、または他の免疫調節剤で処置されている、または処置されたことがある狼瘡患者は、もし該患者が、正常なレベルの自己抗体(例えば、抗dsDNA抗体、抗CCP抗体、抗Ro/SS−A抗体、抗La/SS−B抗体、抗RNP抗体、抗カルジオリピン(抗リン脂質)抗体、および抗Sm抗体レベルならびにANA力価)を達成するならば、治療に対して応答している/応答したと考えられる。特別な実施形態において、IgGイソタイプの自己抗体が測定される。
【0077】
特別な実施形態において、限定されるものではないが、抗ニュートロカイン−アルファ抗体、またはその抗原結合断片、ニュートロカイン−アルファ受容体タンパク質(例えば、TACI、BCMAまたはBAFF−R)、またはその断片または変異体、抗ニュートロカイン−アルファ受容体(例えば、TACI、BCMAまたはBAFF−R)抗体、またはその抗原結合断片、ニュートロカイン−アルファ結合ポリペプチド、ニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILポリペプチド変異体、およびニュートロカイン−アルファ、APRIL、TACI、BCMA、BAFF−R、またはニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILに対する他の受容体を含めた、ニュートロカイン−アルファのアンタゴニスト、または他の免疫調節剤で治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者は、もし該患者が、該患者のB細胞数のベースライン測定と比較して、減少した数のB細胞(例えば、全B細胞数、活性化B細胞数、ナイーブB細胞数、血漿B細胞数、および形質細胞様B細胞数、全CD19+B細胞数および/またはCD20+B細胞数)を有するならば、治療に対して応答している/応答したと考えられる。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは抗ニュートロカイン−アルファ抗体である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストはTACI−Fcタンパク質である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストはBAFF−R−Fcタンパク質である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは抗ニュートロカイン−アルファペプチボディである。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは、ドミナントネガティブとして機能するニュートロカイン−アルファの断片または変異体である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストまたは他の免疫調節剤で治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者は、もし該患者が、該患者のB細胞数の以前の測定の一以上と比較して、減少したB細胞の数(例えば、全B細胞数、活性化B細胞数、ナイーブB細胞数、血漿B細胞数、および形質細胞様B細胞数、全CD19+B細胞数および/またはCD20+B細胞数)を有するならば、治療に対して応答している/応答したと考えられる。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファのアンタゴニスト、または他の免疫調節剤で治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者は、もし該患者が、該患者のB細胞数の以前の測定の一以上と比較して、減少した数のB細胞(例えば、全B細胞数、活性化B細胞数、ナイーブB細胞数、血漿B細胞数、および形質細胞様B細胞数、全CD19+B細胞数および/またはCD20+B細胞数)を維持するならば、治療に対して応答している/応答したと考えられる。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファのアンタゴニスト、または他の免疫調節剤で治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者は、もし該患者が正常な数のB細胞(例えば、全B細胞数、活性化B細胞数、ナイーブB細胞数、血漿B細胞数、および形質細胞様B細胞数、全CD19+B細胞数および/またはCD20+B細胞数)を達成するならば、治療に対して応答している/応答したと考えられる。
【0078】
特別な実施形態において、限定されるものではないが、抗ニュートロカイン−アルファ抗体、またはその抗原結合断片、ニュートロカイン−アルファ受容体タンパク質(例えば、TACI、BCMAまたはBAFF−R)、またはその断片または変異体、抗ニュートロカイン−アルファ受容体(例えば、TACI、BCMAまたはBAFF−R)抗体、またはその抗原結合断片、ニュートロカイン−アルファ結合ポリペプチド、ニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILポリペプチド変異体、およびニュートロカイン−アルファ、APRIL、TACI、BCMA、BAFF−R、またはニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILに対する他の受容体を標的とするアンチセンスまたはsiRNAを含めた当該分野で知られたおよび/または本明細書中に記載されたニュートロカイン−アルファのアンタゴニスト、または他の免疫調節されている、または治療されたことがある狼瘡患者は、もし該患者が、患者のC4のベースライン測定と比較して、増加した血清補体因子C4レベルを有するならば、治療に対して応答している/応答したと考えられる。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは抗ニュートロカイン−アルファ抗体である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストはTACI−Fcタンパク質である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストはBAFF−R−Fcタンパク質である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは抗ニュートロカイン−アルファペプチボディである。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは、ドミナントネガティブとして機能するニュートロカイン−アルファタンパク質の断片または変異体である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファのアンタゴニスト、または他の免疫調節剤で治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者は、もし該患者が、該患者のC4の先の測定の一以上と比較して、増加したレベルのC4を有するならば、治療に対して応答している/応答したと考えられる。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファのアンタゴニスト、または他の免疫調節剤で治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者は、もし該患者が、該患者のC4の以前の測定の一以上と比較して、増加したレベルのC4を維持するならば、治療に対して応答している/応答したと考えられる。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファのアンタゴニスト、または他の免疫調節剤で治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者は、もし該患者が正常なレベルのC4を達成したならば、治療に対して応答している/応答したと考えられる。
【0079】
特別な実施形態において、限定されるものではないが、抗ニュートロカイン−アルファ抗体、またはその抗原結合断片、ニュートロカイン−アルファ受容体タンパク質(例えば、TACI、BCMAまたはBAFF−R)、またはその断片または変異体、抗ニュートロカイン−アルファ受容体(例えば、TACI、BCMAまたはBAFF−R)抗体、またはその抗原結合断片、ニュートロカイン−アルファ結合ポリペプチド、ニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILポリペプチド変異体、およびニュートロカイン−アルファ、APRIL、TACI、BCMA、BAFF−R、またはニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILに対する他の受容体を標的とするアンチセンスまたはsiRNAを含めた、当該分野で知られたおよび/または本明細書中に記載されたニュートロカイン−アルファ、または他の免疫調節剤で治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者は、もし該患者が、該患者のC3のベースライン測定と比較して、増加した血清補体因子C3レベルを有するならば、治療に対して応答している/応答したと考えられる。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは抗ニュートロカイン−アルファ抗体である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストはTACI−Fcタンパク質である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストはBAFF−R−Fcタンパク質である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは抗ニュートロカイン−アルファペプチボディである。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは、ドミナントネガティブとして機能するニュートロカイン−アルファタンパク質の断片または変異体である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファのアンタゴニスト、または他の免疫調節剤で治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者は、もし該患者が、該患者のC3の以前の測定の一以上と比較して、増加したレベルのC3を有するならば、治療に対して応答している/応答したと考えられる。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファのアンタゴニスト、または他の免疫調節剤で治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者は、もし該患者が、該患者のC3の以前の測定の一以上と比較して、増加したレベルのC3を維持するならば、治療に対して応答している/応答したと考えられる。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファのアンタゴニスト、または他の免疫調節剤で治療されている、または治療されたことがある狼瘡患者は、もし該患者が正常なレベルのC3を達成したならば、治療に対して応答している/応答したと考えられる。
【0080】
特別な実施形態において、本発明は、限定されるものではないが、抗ニュートロカイン−アルファ抗体、またはその抗原結合断片、ニュートロカイン−アルファ受容体タンパク質(例えば、TACI、BCMAまたはBAFF−R)、またはその断片または変異体、抗ニュートロカイン−アルファ受容体(例えば、TACI、BCMAまたはBAFF−R)抗体、またはその抗原結合断片、ニュートロカイン−アルファ結合ポリペプチド、ニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILポリペプチド変異体、およびニュートロカイン−アルファ、APRIL、TACI、BCMA、BAFF−R、またはニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILに対する他の受容体を標的とするアンチセンスまたはsiRNAを含めた、当該分野で知られたおよび/または本明細書中に記載されたニュートロカイン−アルファのアンタゴニストまたは他の免疫調節剤の治療有効量を投与することを含む、一以上の免疫抑制剤で以前治療されたことがある患者を治療する方法を提供する。特別な実施形態において、本発明は、治療有効量のニュートロカイン−アルファのアンタゴニスト、または他の免疫調節剤を投与することを含む、全身エリテマトーデス(狼瘡)と以前に診断されたことがある、および一以上の免疫抑制剤で以前治療されたことがある患者を治療する方法を提供する。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは抗ニュートロカイン−アルファ抗体である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストはTACI−Fcタンパク質である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストはBAFF−R−Fcタンパク質である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは抗−ニュートロカイン−アルファ抗体である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは、ドミナントネガティブとして機能するニュートロカイン−アルファタンパク質の断片または変異体である。特別な実施形態において、患者が以前それで治療された免疫抑制剤はアザチオプリン(例えば、IMURANTM)、シクロホスファミド(例えば、Cytoxan(登録商標)、Neosar(登録商標)、CTX)、カルシニューリン阻害剤、例えば、FK506、タクロリムスまたはシクロスポリン(例えば、PROGRAF(登録商標))および/またはCELLCEPT(登録商標)(その活性な代謝産物がミコフェノール酸であるミコフェノレートモテフィル)である。
【0081】
狼瘡および他の自己免疫疾患のためのほとんどの現行の療法は、種々の炎症経路を非特異的にブロックする投薬を利用する。恐らくは、本療法で用いる最も危険な投薬はコルチコステロイドである。プレドニゾンのようなコルチコステロイドは疾患発現を制御するのに必須であるが、それらは感染に導く全体的免疫抑制、骨折に導く骨粗鬆症、および早期心臓麻痺および発作に導くアテローム性動脈硬化症に対して多数の有害効果も有する。臨床試験において、出願人らは、0、14、28日に、次いで、週52まで4週間ごとにIV注入によって与えた、ニュートロカイン−アルファタンパク質を中和する抗体での治療は、狼瘡患者において疾患発現を緩和するのに必要なコルチコステロイドプレドニゾン用量を低下するのに効果的であることを見出した。具体的には、抗ニュートロカイン−アルファ抗体での治療は、治療期間の最後の3ヶ月の間における低下したプレドニゾン使用に関連するように見えた。ベースラインにおいて1:80以上のANA力価、および/または30IU/mL以上の抗dsDNAを有する患者において、抗ニュートロカイン−アルファ抗体を受ける対象のより大きなパーセンテージはそれらの低下したプレドニゾン用量を有し、他方、逆に、プラセボ治療を受ける対象のより大きな数は、7.5mg/日を越えるプレドニゾン用量まで増加する。
【0082】
従って、一つの実施形態において、本発明は、限定されるものではないが、抗ニュートロカイン−アルファ抗体、またはその抗原結合断片、ニュートロカイン−アルファ受容体タンパク質(例えば、TACI、BCMAまたはBAFF−R)、またはその断片または変異体、抗ニュートロカイン−アルファ受容体(例えば、TACI、BCMAまたはBAFF−R)抗体、またはその抗原結合断片、ニュートロカイン−アルファ結合ポリペプチド、ニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILポリペプチド変異体、およびニュートロカイン−アルファ、APRIL、TACI、BCMA、BAFF−R、またはニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILに対する他の受容体を標的とするアンチセンスまたはsiRNAを含めた、当該分野で知られたおよび/または本明細書中に記載されたニュートロカイン−アルファのアンタゴニスト、または他の免疫調節剤の治療有効量を投与することを含む、コルチコステロイ治療の頻度、および/または患者に投与されたコルチコステロイドの量を低下させる方法を提供する。特別な実施形態において、該コルチコステロイドはプレドニゾン、プレドニゾロン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロンまたはデキサメタゾンである。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは抗ニュートロカイン−アルファ抗体である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストはTACI−Fcタンパク質である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストはBAFF−R−Fcタンパク質である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは抗ニュートロカイン−アルファペプチボディである。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは、ドミナントネガティブとして機能するニュートロカイン−アルファタンパク質の断片または変異体である。特別な実施形態において、コルチコステロイド療法が低下された患者は炎症に罹った患者である。別の特別な実施形態において、コルチコステロイド療法が低下した患者は、限定されるものではないが、慢性関節リウマチ、狼瘡、シェーグレン症候群、または本明細書中にリストしたもののような他の自己免疫病を含めた自己免疫疾患を罹った患者である。
【0083】
従って、特別な実施形態において、本発明は、限定されるものではないが、抗ニュートロカイン−アルファ抗体、またはその抗原結合断片、ニュートロカイン−アルファ受容体タンパク質(例えば、TACI、BCMAまたはBAFF−R)、またはその断片または変異体、抗ニュートロカイン−アルファ受容体(例えば、TACI、BCMAまたはBAFF−R)抗体、またはその抗原結合断片、ニュートロカイン−アルファ結合ポリペプチド、ニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILポリペプチド変異体、ニュートロカイン−アルファ、APRIL、TACI、BCMA、BAFF−R、またはニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILに対する他の受容体を標的とするアンチセンスまたはsiRNAを含めた、当該分野で知られたおよび/または本明細書中に記載されたニュートロカイン−アルファのアンタゴニストまたは、他の免疫調節剤の治療有効量を投与することを含む、コルチコステロイド治療の頻度、および/または全身エリテマトーデス(狼瘡)患者に投与されたコルチコステロイドの量を低下させる方法を提供する。別の特別な実施形態において、本発明は、限定されるものではないが、抗ニュートロカイン−アルファ抗体、またはその抗原結合断片、ニュートロカイン−アルファ受容体タンパク質(例えば、TACI、BCMAまたはBAFF−R)、またはその断片または変異体、抗ニュートロカイン−アルファ受容体(例えば、TACI、BCMAまたはBAFF−R)抗体、またはその抗原結合断片、ニュートロカイン−アルファ結合ポリペプチド、ニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILポリペプチド変異体、およびニュートロカイン−アルファ、APRIL、TACI、BCMA、BAFF−Rを標的とするアンチセンスまたはsiRNA、またはニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILに対する他の受容体を含めた、ニュートロカイン−アルファのアンタゴニスト、または他の免疫調節剤の治療有効量を投与することを含む、プレドニゾン治療の頻度、および/または全身エリテマトーデス(狼瘡)患者に投与されたプレドニゾンの量を低下させる方法を提供する。この関係で、「治療有効量」とは、それに対してコルチコステロイドが典型的には製剤される疾患発現を緩和させるのに必要なコルチコステロイドを低下させる量をいう。これらの発現は、これらの発現の重症度を低下させるのに効果的な抗体/組成物量を決定するための方法のように、臨床家/医師によってよく知られている。好ましい実施形態において、患者に投与される本発明の抗体の用量は0.1mg/kg〜100mg/kg患者体重である。より好ましくは、患者に投与される用量は0.1mg/kgおよび20mg/kg患者体重の間である。最も好ましい実施形態において、患者に投与される用量は1、4、10、または20mg/kgである。
【0084】
特別な実施形態において、患者に投与されるコルチコステロイド(例えば、プレドニゾン)の量は、以前のより高い用量から≦80ミリグラム/日まで降下し、他方、同一患者は、限定されるものではないが、抗ニュートロカイン−アルファ抗体、またはその抗原結合断片、ニュートロカイン−アルファ受容体タンパク質(例えば、TACI、BCMAまたはBAFF−R)、またはその断片または変異体、抗ニュートロカイン−アルファ受容体(例えば、TACI、BCMAまたはBAFF−R)抗体、またはその抗原結合断片、ニュートロカイン−アルファ結合ポリペプチド、ニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILポリペプチド変異体、およびニュートロカイン−アルファ、APRIL、TACI、BCMA、BAFF−R、またはニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILに対する他の受容体を標的とするアンチセンスまたはsiRNAを含めた、当該分野で知られた、または本明細書中に記載されたニュートロカイン−アルファのアンタゴニスト、または他の免疫調節剤を投与することを含む治療養生法に同時に付される。特別な実施形態において、患者に投与されるコルチコステロイド(例えば、プレドニゾン)の量は以前のより高い用量から≦40ミリグラム/日まで降下し、他方、同一患者は、ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストまたは他の免疫調節剤を投与することを含む治療養生法に同時に付される。特別な実施形態において、患者に投与されるコルチコステロイド(例えば、プレドニゾン)の量は従前のより高い用量から20ミリグラム/日未満に降下され、他方、同一患者は、同時に、ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストまたは他の免疫調節剤を投与することを含む治療養生法に付される。特別な実施形態において、患者に投与されるコルチコステロイド(例えば、プレドニゾン)の量は以前のより高い用量から≦10ミリグラム/日まで降下し、他方、同一患者は、同時に、ニュートロカイン−アルファのアンタゴニスト、または他の免疫調節剤を投与することを含む治療養生法に付される。特別な実施形態において、患者に投与されるコルチコステロイド(例えば、プレドニゾン)の量は従前のより高い用量から≦8ミリグラム/日まで降下し、他方、同一患者は、同時に、ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストまたは他の免疫調節剤を投与することを含む治療養生法に付される。特別な実施形態において、患者に投与されるコルチコステロイド(例えば、プレドニゾン)の量は従前のより高い用量から≦6ミリグラム/日まで降下させ、他方、同一患者は、同時に、ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストまたは他の免疫調節剤を投与することを含む治療養生法に付される。特別な実施形態において、患者に投与されるコルチコステロイド(例えば、プレドニゾン)の量は従前のより高い用量から≦4ミリグラム/日まで降下させ、他方、同一患者は、同時に、ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストまたは他の免疫調節剤を投与することを含む治療養生法に付される。特別な実施形態において、患者に投与されるコルチコステロイド(例えば、プレドニゾン)の量は従前のより高い用量から≦2ミリグラム/日まで降下させ、他方、同一患者は、同時に、ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストまたは他の免疫調節剤を投与することを含む治療養生法に付される。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは、抗ニュートロカイン−アルファ抗体である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストはTACI−Fcタンパク質である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストはBAFF−R−Fcタンパク質である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは抗ニュートロカイン−アルファ抗体である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは、ドミナントネガティブとして機能するニュートロカイン−アルファタンパク質の断片または変異体である。
【0085】
特別な実施形態において、患者に投与されるコルチコステロイド(例えば、プレドニゾン)の量は従前のより高い用量から≦7.5ミリグラム/日まで降下させ、他方、同一患者は、同時に、当該分野で知られたおよび/または本明細書中に記載された特別な実施形態において、または他の免疫調節剤を投与することを含む治療養生法に付される。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファのアンタゴニスト、または他の免疫調節剤を投与することを含む治療養生法を開始させるに先立って患者が摂取していたプレドニゾンの用量と比較して、患者に投与されるコルチコステロイド(例えば、プレドニゾン)の量は、最後には、少なくとも25%だけ降下させ、他方、患者は、同時に、ニュートロカイン−アルファまたは他の免疫調節剤を投与することを含む治療養生に付される。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファまたは他の免疫調節剤を投与することを含む治療養生法を開始するに先立って患者が摂取していたプレドニゾンの用量と比較して、患者に投与されるコルチコステロイド(例えば、プレドニゾン)の量は少なくとも50%だけ最終的に降下させ、他方、該患者は、最終的には、ニュートロカイン−アルファまたは他の免疫調節剤を投与することを含む治療養生法に付される。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファまたは他の免疫調節剤を投与することを含む治療養生法を開始するに先立って患者が摂取していたプレドニゾンの量と比較して患者に投与されるコルチコステロイド(例えば、プレドニゾン)の量は、最終的には、少なくとも25%ないし≦7.5ミリグラム/日によって降下され、他方、患者は、同時に、ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストまたは免疫調節剤を投与することを含む治療養生法に付される。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストまたは他の免疫調節剤を投与することを含む治療養生法を開始するに先立って患者が摂取していたプレドニゾンの用量と比較して、患者に投与されるコルチコステロイド(例えば、プレドニゾン)の量は、少なくとも50%ないし≦7.5ミリグラム/日だけ降下させ、他方、患者は同時に、ニュートロカイン−アルファのアンタゴニスト、または他の免疫調節剤を投与することを含む治療養生法に付される。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは抗−ニュートロカイン−アルファ抗体である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは、TACI−Fcタンパク質である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは、BAFF−R−Fcタンパク質である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは抗−ニュートロカイン−アルファペプチボディである。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは、ドミナントネガティブとして機能するニュートロカイン−アルファタンパク質の断片または変異体である。
【0086】
特別な実施形態において、患者は一時的にまたは永久的にコルチコステロイド(例えば、プレドニゾン)療法から開放され、他方、同一患者は、同時に、ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストまたは他の免疫調節剤を投与することを含む治療養生法に付される。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは抗ニュートロカイン−アルファ抗体である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストはTACI−Fcタンパク質である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストはBAFF−R−Fcタンパク質である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは抗ニュートロカイン−アルファペプチボディである。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは、ドミナントネガティブとして機能するニュートロカイン−アルファタンパク質の断片または変異体である。
【0087】
特別な実施形態において、当該分野で知られたおよび/または本明細書中に記載されたニュートロカイン−アルファのアンタゴニストまたは他の免疫調節剤を用いて、慢性関節リウマチ(RA)を有する患者を治療する。特別な実施形態において、治療すべき慢性関節リウマチ患者はB細胞悪性疾患を有しない。さらに、慢性関節リウマチ患者は、所望により、さらに、当該薬物で知られた用量、または低下した用量の、サリシレート;インドメタシン、フェニルブタゾン、フェニル酢酸誘導体(例えば、イブプロフェンおよびフェノプロフェン)、ナフタレン酢酸(ナプロキセン)、ピロールアルカン酸(トメチン)、インロール酢酸(スレンダック)、ハロゲン化アントラニル酸(メクロフェナメートナトリウム)、ピロキシカム、ゾメピラックおよびジフルニザルのような非−ステロイド系抗−炎症薬物;クロロキンのような抗−マラリア剤;金塩;ペニシラミン;またはメトトリキサートまたはコルチコステロイドのような免疫抑制剤のようなRAを治療するのに使用されるいずれか1以上の薬剤で治療される。しかしながら、好ましくは、慢性関節リウマチ患者は、当該分野で知られたおよび/または本明細書中に記載されたニュートロカイン−アルファのアンタゴニスト、または他の免疫調節剤で治療されるのみである。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは抗ニュートロカイン−アルファ抗体である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストはTACI−Fcタンパク質である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストはBAFF−R−Fcタンパク質である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは抗ニュートロカイン−アルファ抗体である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニスト、ドミナントネガティブとして機能する、ニュートロカイン−アルファタンパク質の断片または変異体である。そのような免疫調節剤は、当業者によって容易に決定できる、後記投与スケジュールに従ってRA患者に投与される。主な応答はPaulus指標(Paulusら、Arthritis Rheum.33:477−484(1990))、すなわち、朝硬直の改善、痛いかつ炎症した関節の数、赤血球沈積(ESR)、および患者および医師によって評価される疾患重症度の5ポイントスケールでの少なくとも2ポイント改善によって決定される。当該分野で知られたおよび/または本明細書中に記載されたニュートロカイン−アルファアンタゴニスト、または他の免疫調節剤の投与は、前記したように治療された患者においてRAの兆候の1以上を緩和するであろう。
【0088】
0,14,28日に、次いで、週24まで4週間毎にIV注入として与えられた、ニュートロカイン−アルファタンパク質を中和する抗体での治療を受けた慢性関節リウマチ患者は、5.1よりも大きなDAS28スコアを有する患者、以前に抗TNF療法を受容したことが無い患者、および/またはニュートロカイン−アルファタンパク質を中和する抗体での治療の開始に先立って患者の血漿および/または血清においてリウマチ因子を有するにおいて慢性関節リウマチに関連する兆候をより緩和するようであった。ニュートロカイン−アルファタンパク質を中和する抗体での治療により容易に応答するように見えた更なるサブグループは男性患者、患者の血漿および/または血清において、抗CCP(環状シトルリン化ペプチド)を有する患者、ニュートロカイン−アルファタンパク質を中和する抗体と同時にメトトレキサートを受けた患者、以前メトトレキサートでの治療に失敗した患者および/またはメトトレキサート療法に従前に失敗した患者、および/またはメトトレキサート療法および少なくと別の他のDMARD療法に従前失敗した患者を含むものであった。
【0089】
従って、本発明は、当該分野で知られたおよび/または本明細書中に記載されたニュートロカイン−アルファのアンタゴニストまたは他の免疫調節剤を持つ慢性関節リウマチ患者を治療する方法を提供し、該慢性関節リウマチ患者は以下の特徴の1以上を有する:患者は以前に抗TNF療法、例えば、(RemicadeTM Centocor,Inc.としても知られた)インフリキシマブ、アダリムマブ(Abbott LaboratoriesからのHumira(登録商標))、またはエタネルセプト(Enbrel(登録商標))を受容したことが無く;患者は患者の血漿および/または血清中にリウマチ因子を有し;患者は患者の血漿および/または血清中に測定可能な抗−CCP(環状シトルリン化ペプチド)抗体を有し;患者は患者の血漿および/または血清中において上昇したCRP(C反応性タンパク質)を有し;患者は以前1以上の疾患修飾性抗リウマチ薬物での治療を失敗しており;患者は高度に改変された疾患活性スコア(DAS28)を有し;患者は腫脹および圧痛関節を有し;患者は朝のこわばりを患っており;患者は増大した赤血球沈積速度(ESR)を有し、および/または患者は男性である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは抗ニュートロカイン−アルファ抗体である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストはTACI−Fcタンパク質である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストはBAFF−R−Fcタンパク質である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは抗ニュートロカイン−ペプチボディである。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは、ドミナントネガティブとして機能するニュートロカイン−アルファタンパク質の断片または変異体である。特別な実施形態において、慢性関節リウマチ患者は患者の血漿および/または血清中に12IU/ml以上のリウマチ因子を有する。特別な実施形態において、上昇したCRPレベルは1リットル当たり少なくとも1.5ミリグラムとして定義される。特別な実施形態において、上昇したCRPレベルは1リットル当たり少なくとも5ミリグラムと定義される。特別な実施形態において、上昇したCRPレベルは1リットル当たり少なくとも6ミリグラムと定義される。特別な実施形態において、上昇したCRPレベルは1リットル当たり少なくとも9ミリグラムと定義される。特別な実施形態において、上昇したCRPレベルは1リットル当たり少なくとも10ミリグラムと定義される。特別な実施形態において、上昇したCRPレベルは1リットル当たり少なくとも20ミリグラムと定義される。特別な実施形態において、慢性関節リウマチ患者は、患者の血漿および:/または血清中に10単位以上の抗CCP抗体を有する。特別な実施形態において、慢性関節リウマチ患者は患者の血漿および/または血清中に20単位以上の抗CCP抗体を有する。特別な実施形態において、患者は、限定されるものではないが、メトトレキサート、アミノキノロン、スルファサラジン、およびレフルノミドを含めた1以上のDMARDでの治療を以前受けなかった。特別な実施形態において、患者はメトトレキサートでの治療を以前受けなかった。特別な実施形態において、患者は5.1よりも大きなDAS28スコアを有する。特別な実施形態において、患者は少なくとも6つの腫脹関節および少なくとも8つの圧痛関節を有する。特別な実施形態において、患者は28mm/時間よりも大きなESRを有する。特別な実施形態において、患者は少なくとも45分間、朝のこわばりを患っている。特別な実施形態において、患者は少なくとも1時間朝のこわばりを患っている。特別な実施形態において、患者は少なくとも1時間半の間朝のこわばりを患っている。特別な実施形態において、患者は少なくとも2時間の間朝のこわばりを患っている。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは抗ニュートロカイン−アルファ抗体である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アンタゴニストはTACI−Fcタンパク質である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストはBAFF−R−Fcタンパク質である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは抗ニュートロカイン−アルファペプチボディである。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは、ドミナントネガティブとして機能するニュートロカイン−アルファタンパク質の断片または変異体である。
【0090】
従って、本発明は、限定されるものではないが、抗ニュートロカイン−アルファ抗体またはその抗原結合断片、ニュートロカイン−アルファ受容体タンパク質(例えば、TACI、BCMAまたはBAFF−R)、またはその断片または変異体、抗ニュートロカイン−アルファ受容体(例えば、TACI、BCMAまたはBAFF−R)抗体、またはその抗原結合断片、ニュートロカイン−アルファ結合ポリペプチド、ニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILポリペプチド変異体、およびニュートロカイン−アルファAPRIL、TACI、BCMA、BAFF−R、またはニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRIlに対する他の受容体を標的とするアンチセンスまたはsiRNAを含めた、当該分野で知られたおよび/または本明細書中に記載されたニュートロカイン−アルファのアンタゴニストまたは他の免疫調節剤で慢性関節リウマチ患者を治療する方法を提供し、ここに、該慢性関節リウマチ患者は以下の特徴の1以上を有する:患者は以前抗TNF療法、例えば、(RemicadeTM Centocor,Inc.としても知られた)インフリキシマブ、アダリムマブ(Abbott LaboratoriesからのHumira(登録商標))、またはエタネルセプト(Enbrel(登録商標))を受容したことが無く;患者は患者の血漿および/または血清中にリウマチ因子を有し;患者は患者の血漿および/または血清中に測定可能な抗CCP(環状シトルリン化ペプチド)抗体を有し;患者は患者の血漿および/または血清中に上昇したCRP(C反応性タンパク質)を有し;患者は以前に1以上の疾患修飾性抗リウマチ薬物での治療を受けておらず;患者は高度に改変された疾患活性スコア(DAS28)を有し;患者は腫脹および圧痛関節を有し;患者は朝のこわばりを患っており;患者は増大した赤血球沈積速度(ESR)を有し、および/または患者は男性である。特別な実施形態において、慢性関節リウマチ患者は患者の血漿および/または血清中に12IU/ml以上のリウマチ因子を有する。特別な実施形態において、上昇したCRPレベルは1リットル当たり少なくとも1.5ミリグラムと定義される。特別な実施形態において、上昇したCRPレベルは1リットル当たり少なくとも5ミリグラムと定義される。特別な実施形態において、上昇したCRPレベルは1リットル当たり少なくとも6ミリグラムと定義される。特別な実施形態において、上昇したCRPレベルは1リットル当たり少なくとも9ミリグラムと定義される。特別な実施形態において、上昇したCRPレベルは1リットル当たり少なくとも10ミリグラムと定義される。特別な実施形態において、上昇したCRPレベルは1リットル当たり少なくとも20ミリグラムと定義される、特別な実施形態において、慢性関節リウマチ患者は患者の血漿および/または血清中に10単位以上の抗CCP抗体を有する。特別な実施形態において、慢性関節リウマチ患者は患者の血漿および/または血清中に20単位以上の抗CCP抗体を有する。特別な実施形態において、患者は、限定されるものではないが、メトトレキサート、アミノキノロン、スルファサラジン、およびレフルノミドを含めた、1以上のDMARDでの治療を以前受けていない。特別な実施形態において、患者はメトトレキサートでの治療を以前受けていない。特別な実施形態において、患者は5.1よりも大きなDAS28スコアを有する。特別な実施形態において、患者は少なくとも6つの腫脹関節および少なくとも8つの圧痛関節を有する。特別な実施形態において、患者は28mm/時間を超えるESRを有する。特別な実施形態において、患者は少なくとも45分間の朝のこわばりを患っている。特別な実施形態において、患者は少なくとも1時間朝のこわばりを患っている。特別な実施形態において、患者は少なくとも1時間半の間朝のこわばりを患っている。特別な実施形態において、患者は少なくとも2時間の間朝のこわばりを患っている。
【0091】
別の特別な実施形態において、限定されるものではないが、抗ニュートロカイン−アルファ抗体、またはその抗原結合断片、ニュートロカイン−アルファ受容体タンパク質(例えば、TACI、BCMAまたはBAFF−R)、またはその断片または変異体、抗ニュートロカイン−アルファ受容体(例えば、TACI、BCMAまたはBAFF−R)抗体、またはその抗原結合断片、ニュートロカイン−アルファ結合ポリペプチド、ニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILパリペプチド変異体、およびニュートロカイン−アルファ、APRIL、TACI、BCMA、BAFF−R、またはニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILに対する他の受容体を標的とするアンチセンスまたはsiRNAを含めた、当該分野で知られたおよび/または本明細書中に記載されたニュートロカイン−アルファのアンタゴニストまたは他の免疫調節剤で治療されている、または治療されたことがある慢性関節リウマチ患者は、もし該患者がACR20応答を達成したならば治療に応答している/応答したことがあると考えられる。ACR20は、慢性関節リウマチのための治療に対する患者応答を評価するための、American College of Rheumatology (ACR)によって開発された指標である。ACR20応答は、兆候または疾患は発現の5つの他の評価(すなわち、患者痛みの評価、患者包括的評価、医師包括的評価、患者自己評価無能、急性相反応体[ESRまたはCRP])のうちの3つに対する少なくとも20%の改善に加えて、圧痛関節数および腫脹関節数の少なくとも20%低下と定義される。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは抗−ニュートロカイン−アルファ抗体である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストはTACI−Fcタンパク質である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストはBAFF−R−Fcタンパク質である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは抗−ニュートロカイン−アルファペプチボディである。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストはドミナントネガティブとして機能するニュートロカイン−アルファタンパク質の断片または変異体である。
【0092】
別の特別な実施形態において、限定されるものではないが、抗ニュートロカイン−アルファ抗体、またはその抗原結合断片、ニュートロカイン−アルファ受容体タンパク質、またはその断片または変異体、ニュートロカイン−アルファ結合ポリペプチド、ニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILポリペプチド変異体、およびニュートロカイン−アルファ、APRIL、TACI、BCMA、BAFF−R、またはニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILに対する他の受容体を標的とするアンチセンスまたはsiRNAを含めた、当該分野で知られたおよび/または本明細書中に記載されたニュートロカイン−アルファのアンタゴニストまたは他の免疫調節剤で治療されている、または治療されたことがある慢性関節リウマチ患者は、もし該患者がACR50応答を達成するならば、治療に対して応答している/応答したと考えられる。ACR50は、慢性関節リウマチのための治療に対する患者応答を評価するためにAmerican College of Rheumatology (ACR)によって開発された指標である。ACR50応答は、兆候または疾患発現の5つの他の評価(すなわち、患者痛み評価、患者包括的評価、医師包括的評価、患者自己−評価無能、急性−相反応体[ESRまたはCRP])のうちの3つについて少なくとも50%の改善に加えて、圧痛関節数および腫脹関節数の少なくとも50%低下と定義される。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは抗−ニュートロカイン−アルファ抗体である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストはTACI−Fcタンパク質である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストはBAFF−R−Fcタンパク質である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは抗ニュートロカイン−アルファペプチボディである。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは、ドミナントネガティブとして機能するニュートロカイン−アルファタンパク質の断片または変異体である。
【0093】
別の特別な実施形態において、限定されるものではないが、抗ニュートロカイン−アルファ抗体、またはその抗原結合断片、ニュートロカイン−アルファ受容体タンパク質(例えば、TACI、BCMAまたはBAFF−R)、またはその断片または変異体、抗ニュートロカイン−アルファ受容体(例えば、TACI、BCMAまたはBAFF−R)抗体、またはその抗原結合断片、ニュートロカイン−アルファ結合ポリペプチド、ニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILポリペプチド変異体、およびニュートロカイン−アルファ、APRIL、TACI、BCMA、BAFF−R、またはニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILに対する他の受容体を標的とするアンチセンスまたはsiRNAを含めた、当該分野で知られたおよび/または本明細書中に記載されたニュートロカイン−アルファのアンタゴニスト、または他の免疫調節剤で治療されている、または治療されたことがある慢性関節リウマチの患者は、もし該患者がACR70応答を達成すれば、治療に対して応答している/応答したことがあると考えられる。ACR70は、慢性関節リウマチのための治療に対する患者応答を評価するためのAmerican College of Rheumatology (ACR)によって開発された指標である。ACR70応答は、兆候または疾患発現の5つの他の評価(すなわち、患者痛み評価、患者包括的評価、医師包括的評価、患者自己評価無能、急性相反応体[ESRまたはCPR])のうちの3つに対する少なくとも70%の改善に加えて、圧痛関節数および腫脹関節数の少なくとも70%低下と定義される。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは抗ニュートロカイン−アルファ抗体である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストはTACI−Fcタンパク質である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストはBAFF−R−Fcタンパク質である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは抗ニュートロカイン−アルファペプチボディである。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは、ドミナントネガティブとして機能するニュートロカイン−アルファタンパク質の断片または変異体である。
【0094】
免疫調節剤
本発明は、免疫調節剤で、患者の血漿または血清において1:80以上のANA力価および/または30IU/mL以上の抗−dsDNA抗体を有する患者を治療する方法を提供する。「免疫調節剤」の意味は、本明細書中で用いる場合、先に議論した。特別な実施形態において、免疫調節剤はニュートロカイン−アルファのアンタゴニストである。「アンタゴニスト」とは、ニュートロカイン−アルファのインビトロおよび/またはインビボ機能的および/または生物学的作用(例えば、B細胞の分化、増殖および/または生存の刺激;B細胞によるIg産生の刺激;およびニュートロカイン−アルファ受容体への結合)を阻害し、または逆作用することができる薬剤を意味する。この阻害は、アンタゴニストおよびニュートロカイン−アルファポリペプチドの間の直接的物理的接触の有りまたは無しで起こり得る。B細胞活性を阻害するニュートロカイン−アルファアンタゴニストの能力をテストするためのアッセイは、本明細書中に記載される。ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは、限定されるものではないが、抗ニュートロカイン−アルファ抗体、またはその抗原結合断片、ニュートロカイン−アルファ受容体タンパク質、またはその断片または変異体、ニュートロカイン−アルファ受容体に結合する抗体、またはその抗原結合断片、ニュートロカイン−アルファ結合ペプチドまたはポリポペプチド、ニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILポリペプチド変異体(例えば、ニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILのドミナントネガティブ形態)を含む。ニュートロカイン−アルファのさらなるアンタゴニストはニュートロカイン−アルファの小分子アンタゴニスト、ニュートロカイン−アルファペプチド模倣物、ニュートロカイン−アルファを標的とするアンチセンスRNA、および短い干渉RNA(siRNA)、APRILを標的とするアンチセンスRNAおよび短い干渉RNA(siRNA)、ニュートロカイン−アルファに対する受容体および/またはAPRILに対する受容体を標的とするアンチセンスRNAおよび短い干渉RNA(siRNA)を含む。これらの各々は以下により詳細に記載する。
【0095】
ニュートロカイン−アルファアンタゴニスト
A.ニュートロカイン−アルファおよびAPRILポリペプチド
特別な実施形態において、本発明の方法で用いるニュートロカイン−アルファアンタゴニストは、ニュートロカイン−アルファまたはAPRILポリペプチド断片または変異体である。ニュートロカイン−アルファポリペプチドは、APRILポリペプチド、およびその断片および変異体は以下により詳細に記載する。ニュートロカイン−アルファタンパク質(配列番号2)は、APRIL(配列番号4;GenBank受託番号AF046888;PCT国際公開番号WO97/33902;Hahne,M.ら,J Exp Med.(1998)188(6):1185−90)、TNFα、およびリンホトキシン−α(LTα)(Mooreら,1999)を同定するためのアミノ酸配列を共有するリガンドのTNFファミリーのメンバーである。全長ニュートロカイン−アルファ遺伝子は、残基1〜46の間の細胞内ドメイン、タイプII膜結合タンパク質に特徴的な非疎水性配列が先行する残基47〜73の間の膜貫通スパンドメイン、および残基74〜285の間の細胞外ドメインを有する285アミノ酸ポリペプチドをコードする。TNFファミリーの他のメンバーのように、ニュートロカイン−アルファはトリマータンパク質として機能する。細胞の表面におけるニュートロカイン−アルファの発現に際して、細胞外ドメインはアミノ酸134において切断されて、生物学的に活性なトリマーを放出する。構造的特徴は、TNF−ファミリーリガンドは配列多様性を示すが、それらは高い構造相同性を示す。リガンドのTNF−ファミリーの他のメンバーのようなニュートロカイン−アルファタンパク質は,TNF様ゼリーロール形態を形成する2層β−サンドイッチである。ニュートロカイン−アルファタンパク質は、いくつかの構造および寸法において他のTNF−ファミリーリガンドと同様である。しかしながら、ニュートロカイン−アルファの受容体結合領域は、他のサイトカインで観察されるものよりもより顕著な溝である(Orenら,(2002)Nature Structural Biology 9:288−292)ニュートロカイン−アルファポリペプチド、例えば、その各々をここに引用してその全体を援用する、国際公開番号WO98/18921、WO00/50597、WO02/1820、およびWO03/033658により詳細に記載されている。
【0096】
前記したように、ニュートロカイン−アルファポリペプチドは、B細胞の増殖、分化、生存、およびIg分泌を刺激するように機能する。かくして、本発明の方法におけるニュートロカイン−アルファの天然形態を用いることが予測されるであろう。しかしながら、ニュートロカイン−アルファ天然形態は、標的化剤として用いて、B細胞活性を阻害できる他の薬剤(例えば、細胞毒性部位またはタンパク質)をB細胞と隣接させることができる(例えば、放射性標識ニュートロカイン−アルファを用いて、圧倒的に起源がB細胞であるニュートロカイン−アルファ受容体を発現する細胞を標的化し、殺傷するWO00/033658の実施例12および13参照)。あるいは、1以上のニュートロカイン−アルファ受容体に結合するが、シグナリングを誘導しないニュートロカイン−アルファの断片または変異体は、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストとして用いることができる。安定なホモトリマーまたはヘテロトリマーを形成し、または維持するためのニュートロカイン−アルファの能力に影響するニュートロカイン−アルファ断片または変異体は、本発明の方法においてニュートロカイン−アルファアンタゴニストとして用いることもできる。かくして、本発明の方法で用いることができるニュートロカイン−アルファポリペプチドは、配列番号2のニュートロカイン−アルファタンパク質のポリペプチドの断片または変異体を含む。ポリペプチドの断片または変異体は「独立して存在すること」ができるか、または最も好ましくは単一の連続的領域として、そのより大きなポリペプチド内で断片が一部または領域を形成するものからなることができる。特別な実施形態において、本発明の方法で用いることができるニュートロカイン−アルファポリペプチドは、ニュートロカイン−アルファの予測される細胞外ドメイン(配列番号2のアミノ酸残基73〜285)、およびニュートロカイン−アルファの可溶性断片(配列番号2のアミノ酸残基134〜285)を含むか、あるいはそれよりなるポリペプチド断片を含む。別の実施形態において、本発明の方法で用いることができるポリペプチド断片または変異体は、前記した天然ニュートロカイン−アルファのポリペプチド断片に対して少なくとも80%、85%、90%、92%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるポリペプチドの断片または変異体を含むか、あるいはそれよりなる。
【0097】
別の実施形態において、本発明の方法で用いることができるニュートロカイン−アルファポリペプチド変異体はペプチド模倣物を含む。模倣物は、タンパク質の二次構造のエレメントを模倣するペプチド含有分子である。例えば、ここに引用して援用する、Johonsonら,“Peptide Turn Mimetics” in BIOTECHNOLOGY AND PHARMACY,Pezzutoら,Eds.,Chapman and Hall,New York(1993)参照。ペプチド模倣物の使用の背後にある根本的原理は、タンパク質のペプチド骨格は抗体および抗原のそれのような分子相互作用を容易とするようにアミノ酸側鎖を向けるように主として存在する点にある。ペプチド模倣物は、天然分子と同様な分子相互作用を行うことが予測される。これらの原理を用いて、本明細書中に開示された標的ペプチドの天然特性の多くを有するが、改変されたおよび改善さえされた特徴を持つ第二世代の分子を作成することができる。
【0098】
APRIL(配列番号4)は、ニュートロカイン−アルファ(配列番号2;GenBank受託番号NM_006573;Mooreら,(1999)Science 285:260−263;Schneiderら,(1999)J.Exp.Med.189:1747−1756;およびKhareら,(2000)Proc.Natl.Acad Sci.97:3370−3375)、TNFα、およびリンホトキシン−α(NTα)(Mooreら,1999)に対してアミノ酸配列同一性を共有するリガンドのTNFファミリーのメンバーである。全長APRIL遺伝子は、残基1〜28の間の細胞内ドメイン、残基29および49の間の膜貫通スパンドメイン、および残基50〜250の間の細胞外ドメインを有する250アミノ酸ポリペプチドをコードする。TNFファミリーの他のメンバーのように、APRILはトリマータンパク質として機能する。細胞の表面におけるAPRILの発現に際して、細胞外ドメインはアミノ酸部位105において切断されて、生物学的に活性なトリマーを放出する。
【0099】
特別な実施形態において、本発明の方法で用いることができるAPRILポリペプチドは、配列番号4のAPRILタンパク質のポリペプチド断片または変異体を含む。ポリペプチド断片は「独立して存在」することができ、あるいは最も好ましくは単一連続領域として、該断片が一部または領域を形成するそのより大きなポリペプチド内に含まれ得る。特別な実施形態において、本発明の方法で用いることができるAPRILポリペプチドは、APRILの予測された細胞外ドメイン(配列番号4のアミノ酸残基50〜250)、およびAPRILの可溶性断片(配列番号4のアミノ酸残基105〜250)を含むか、あるいはそれよりなるポリペプチド断片を含む。別の実施形態において、本発明の方法で用いることができるポリペプチド断片または変異体は、前記した天然APRILのポリペプチド断片に対して少なくとも80%、85%、90%、92%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるポリペプチド断片または変異体を含むか、あるいはそれよりなる。
【0100】
別の実施形態において、本発明の方法で用いることができるAPRILポリペプチド変異体は、ペプチド模倣物を含む。模倣物は、タンパク質二次構造のエレメントを模倣するペプチド含有分子である。例えば、ここに引用して援用する、Johnsonら,“Peptide Turn Mimetics”in BIOTECHNOLOGY AND PHARMACY, Pezzutoら,Eds.,Chapman and Hall,New York(1993)参照。ぺプチド模倣物の使用の背後となる基礎となる原理は、タンパク質のペプチド骨格は、抗体および抗原のそれのような、分子相互作用を容易とするようにアミノ酸側鎖を向けるように主として存在する点にある。ペプチド模倣物は、天然分子と同様な分子相互作用を行うことを期待する。これらの原理を用いて、本明細書中に開示される標的化ペプチドの天然特性の多くを有するが、改変されたおよび改善さえされた特徴を持つ第二世代の分子を作成することができる。
【0101】
本発明の方法で用いることができるニュートロカイン−アルファおよびAPRILポリペプチドは、((異なるタンパク質の)異種タンパク質配列に結合したペプチドを介して連結されたポリペプチドを含む)融合タンパク質のような修飾された形態で発現または合成することができ、分泌シグナルのみならず、さらなる異種機能的領域を含むことができる。そのような融合タンパク質は、当該分野で公知の方法によって、ニュートロカイン−アルファまたはAPRILポリペプチド、および所望のアミノ酸配列をコードする所望の核酸配列を相互に適当なリーディングフレームにてライゲーションしし、次いで、融合タンパク質産物を当該分野で知られた方法によって発現させることによって作成することができる。あるいは、そのような融合タンパク質は、タンパク質合成技術によって、例えば、ペプチドシンセサイザの使用によって作成することができる。かくして、例えば、さらなるアミノ酸、特に荷電したアミノ酸の領域をポリペプチドのN−末端に付加させて、精製の間、または引き続いての取り扱いおよび貯蔵の間に宿主細胞において安定性および必要性を改善することができる。また、ペプチド部位をポリペプチドに加えて、精製を容易とすることができる。そのような領域は、ポリペプチドの最終調製に先立って除去することができる。分泌または排出を起こし、安定性を改善し、および精製を容易とするためのポリペプチドへのペプチド部位の付加は、とりわけ、当該分野において精通したおよびルーチン的技術である。
【0102】
本発明の方法で用いることができる好ましいニュートロカイン−アルファまたはAPRIL融合タンパク質は、タンパク質を安定化し、精製するのに有用な免疫グロブリンからの異種領域を含む。例えば、EP−A−O 464−533(カナダ対応出願2045869)およびWO00/024782は、別のヒトタンパク質またはその部分と一緒に免疫グロブリン分子の定常領域の種々の部分を含む融合タンパク質を開示する。ニュートロカイン−アルファ免疫グロブリン融合タンパク質は、例えば、ここに引用してその全体を援用するYuら,(2000)Nat Immunol 1:252−256に記載されている。APRIL免疫グロブリン融合タンパク質は、例えば、ここにその全体を引用して援用するPCT公開WO01/087977に記載されている。多くの場合、融合タンパク質におけるFc部分は、療法および診断で用いるのに徹底的に有利であり、かくして、例えば、改良された薬物動態学的特性をもたらす(EP−A 0232 262)。他方、いくつかの使用のために、融合タンパク質が記載した有利な方法で発現され、検出され、精製された後に、Fc部分を欠失できるのが望ましいであろう。これは、療法または診断で用いるのにFcタンパク質が障害となることが判明した場合に、例えば、融合タンパク質を免疫化のための抗原として用いるべき場合に当てはまる。薬物発見において、例えば、hIL−5のようなヒトタンパク質は、高−スループットスクリーニングアッセイの目的でFc部分と融合させて、hIL−5のアンタゴニストを同定してきた。D.Bennettら,J.Molecular Recognition 8:52−58(1995)およびK.Johansonら,J.Biol.Chem.270:9459−9471(1995)参照。
【0103】
当業者が認識し、かつ先に議論したように、ニュートロカイン−アルファおよびAPRILポリペプチドを他のポリペプチド配列に融合させることができる。例えば、本発明の方法で用いることができるニュートロカイン−アルファポリペプチドは、免疫グロブリンの定常ドメイン(IgA、IgE、IgG、IgM)、またはその部分(CH1、CH2、CH3、またはそのいずれかの組合せおよびその部分)、またはアルブミン(限定されるものではないが、組換えヒトアルブミンまたはその断片または変異体(例えば、引用してここにその全体を援用する、1999年3月2日に発行された米国特許第5,876,969号、EP特許0 413 622、および1998年6月16日に発行された米国特許第5,766,883号参照)を含む)と融合させることができ、その結果、キメラポリペプチドがもたらされる。
【0104】
そのような融合タンパク質が精製を容易とすることができ、貯蔵寿命を延長することができ、インビボで半減期を増加させることができる。これは、ヒトCD4−ポリペプチドの最初の2つのドメイン、および哺乳動物免疫部グロブリンの重鎖または軽鎖の定常領域の種々のドメインよりなるキメラタンパク質で示されてきた。例えば、EP 394,827;Trauneckerら,Nature,331:84−86(1998)参照。免疫系に対する上皮バリアーを横切っての抗原の増強された送達は、IgGまたはFc断片のようなFcRn結合パートナーにコンジュゲートした抗原(例えば、インスリン)で証明されている(例えば、PCT公開WO96/22024およびWO99/04813参照)。IgG部分ジスルフィド結合によるジスルフィド結合ダイマー構造を有するIgG融合タンパク質もまた、モノマーポリペプチドまたはその断片単独よりも他の分子に結合し、それを中和するにおいてより効果的であることも判明した。例えば、Fountoulakisら,J.Biochem,270:3958−3964(1995)参照。
【0105】
成熟形態の585個のアミノ酸のタンパク質であるヒト血清アルブミン(HAS、またはHA)(配列11)は、血清の浸透圧の有意な割合を担い、また、内因性および外因性リガンドのキャリアとして機能する。現在、臨床的使用のためのHAは、ヒト血液からの抽出によって産生される。微生物における組換えHA(rHA)の産生は、EP330 451およびEP361 991に開示されている。
【0106】
担体分子としてのアルブミンの役割、およびその不活性な性質は、インビボでのポリペプチドのキャリアおよびトランスポーターとして用いるための望ましい特性である。種々のタンパク質のためのキャリアとしてのアルブミン融合タンパク質の成分としてのアルブミンの使用は、WO93/15199、WO93/15200およびEP413 622に提案されている。ポリペプチドへの融合のためのHAのN−末端断片の使用もまた提案されている(EP399 666)。治療タンパク質へのアルブミンの融合は、HAをコードするDNAまたはその断片は治療タンパク質をコードするDNAに連結されるように遺伝子的操作によって達成することができる。次いで、適当な宿主を融合ヌクレオチド配列で形質転換またはトランスフェクトし、融合ポリペプチドを発現するように適当なプラスミド上に配置する。発現は、例えば、原核生物または真核生物細胞からインビトロで行うことができ、または例えば、トランスジェニック生物からインビボで行うことができる。
【0107】
本発明の方法で用いることができるアルブミン融合タンパク質は、好ましくは遺伝子融合(すなわち、アルブミン融合タンパク質は、ニュートロカイン−アルファの全てまたは部分をコードするポリヌクレオチドが、アルブミンの全てまたは部分をコードするポリヌクレオチドまたはイン・フレームにて連結された核酸の翻訳によって生じる)または相互の化学的結合によって相互に結合した、少なくともニュートロカイン−アルファポリペプチドの断片または変異体、および少なくともヒト血清アルブミン断片または変異体を含む。アルブミン融合タンパク質の一部分であった、ニュートロカイン−アルファポリペプチドまたはアルブミンタンパク質は、アルブミン融合タンパク質の「部分」、「領域」または「部位」ということができる(例えば、「ニュートロカイン−アルファ部分」または「アルブミンタンパク質部分」)。
【0108】
一つの実施形態において、本発明の方法で用いることができるアルブミン融合タンパク質は、ニュートロカイン−アルファポリペプチドおよび血清アルブミンタンパク質を含むか、あるいはそれからなる。他の実施形態において、本発明方法として用いることができる、アルブミン融合タンパク質は、ニュートロカイン−アルファの断片および血清アルブミンタンパク質を含むか、あるいはそれよりなる。他の実施形態において、本発明の方法によって用いることができる、アルブミン融合タンパク質は、ニュートロカイン−アルファの変異体および血清アルブミンタンパク質を含むか、あるいはそれよりなる。好ましい実施形態において、アルブミン融合タンパク質の血清アルブミンタンパク質成分は、血清アルブミンの成熟部分である。
【0109】
さらなる実施形態において、本発明の方法で用いることができる、アルブミン融合タンパク質は、ニュートロカイン−アルファポリペプチド、および血清アルブミンの生物学的に活性なおよび/または治療的に活性な断片を含むか、それよりなる。さらなる実施形態において、本発明の方法で用いることができる、アルブミン融合タンパク質は、ニュートロカイン−アルファポリペプチド、または血清アルブミンの生物学的に活性な、および/または治療的に活性な変異体を含むか、あるいはそれよりなる。好ましい実施形態において、アルブミン融合タンパク質のニュートロカイン−アルファ部分は全長ニュートロカイン−アルファポリペプチドである。さらに好ましい実施形態において、アルブミン融合タンパク質のニュートロカイン−アルファタンパク質部分はニュートロカイン−アルファポリペプチドの成熟した可溶性ドメインである。
【0110】
さらなる実施形態において、本発明の方法で用いることができる、アルブミン融合タンパク質は、ニュートロカイン−アルファの断片または変異体、および血清アルブミンの生物学的に活性なおよび/または治療的に活性な断片または変異体を含むか、あるいはそれよりなる。さらなる実施形態において、本発明はニュートロカイン−アルファポリペプチドの成熟部分、および(限定されるものではないが、組換えヒト血清アルブミンまたはその断片または変異体(例えば、ここに引用してその全体を援用する1999年3月2日に発行された米国特許第5,876,969号、EP特許0 413 622および1998年6月16日に発行された米国特許第5,766,883号参照)を含めた)血清アルブミンの成熟部分を含むか、あるいはそれよりなるアルブミン融合タンパク質を提供する。好ましい実施形態において、(その断片または変異体を含めた)ニュートロカイン−アルファポリペプチドは、ヒト血清アルブミンの成熟形態(すなわち、ここに引用してその全体を援用するEP0 322 094の実施例1および2に示されたヒト血清アルブミンのアミノ酸1〜585)と融合される。別の好ましい実施形態において、(その断片または変異体を含めた)本発明の抗体は、ヒト血清アルブミンのアミノ酸残基1−xを含むか、あるいはそれよりなるポリペプチド断片と融合され、ここに、xが1〜585の整数であり、該アルブミン断片は、血清アルブミン活性を有する。別の好ましい実施形態において、その断片または変異体を含めた。ニュートロカイン−アルファポリペプチドは、ここに引用してその全体を援用する米国特許第5,766,883号に記載されたように、ヒト血清アルブミンのアミノ酸残基1−zを含むか、あるいはそれよりなるポリペプチド断片と融合され、ここに、zは369〜419の整数である。(その断片または変異体を含めた)ニュートロカイン−アルファポリペプチドは、異種タンパク質(例えば、免疫グロブリン、Fcポリペプチド、またはヒト血清アルブミンポリペプチド)のN−またはC−末端いずれかに融合させることができる。
【0111】
好ましい実施形態において、本発明の方法で用いることができるアルブミン融合タンパク質で用いるヒト血清アルブミンタンパク質は、配列番号11を参照して点突然変異の以下の組の一方または双方を含有する:Leu−407をAlaに、Leu−408をValに、Val−409をAlaおよびArg−410をAlaに:またはArg−410をAに、Lys−413をGlnにおよびLys−414をGlnに(例えば、ここに引用してその全体を援用する国際公開番号WO95/23857参照)。なおより好ましい実施形態において、前記した点突然変異の組の一方または双方を含有する本発明の方法で用いることができるアルブミン融合タンパク質は酵母Yap3pタンパク質分解切断に対する改善された安定性/抵抗性を有して、酵母宿主細胞で発現される組換えアルブミン融合タンパク質の増大した産生を可能とする。
【0112】
好ましくは、本発明の方法で用いることができるアルブミン融合タンパク質はN−末端部分としてHa、C−末端部分としてニュートロカイン―アルファトリペプチドを含む。あるいは、C―末端部分としてのHa、およびN−末端部分としてのニュートロカイン―アルファポリペプチドを含むアルブミン融合タンパク質も用いることができる。
【0113】
他の実施形態において、本発明の方法で用いることができるアルブミン融合タンパク質は、アルブミンのN―末端およびC―末端の双方に融合したニュートロカイン―アルファポリペプチドを有する。特別な実施形態において、N―およびC−末端において融合したニュートロカイン―アルファは同一である。別の実施形態において、N―およびC―末端において融合したニュートロカイン―アルファポリペプチドは異なるニュートロカイン―アルファポリペプチドである。別の実施形態において、ニュートロカイン―アルファポリペプチドはアルブミンのN―またはC―末端いずれかに融合し、および異種ポリペプチドは残りの末端に融合している。
【0114】
加えて、本発明の方法で用いることができるアルブミン融合タンパク質は、融合した部分の間にリンカーペプチドを含んで、該部位の間のより大きな物理的分離を供することができる。リンカーペプチドは、それがフレキシブルであるか、またはより剛性であるようにアミノ酸よりなることができる。
【0115】
一般に、本発明の方法で用いることができるアルブミン融合タンパク質は一つのHA−由来領域および一つのニュートロカイン―アルファ領域を有することができる。しかしながら、各タンパク質の複数領域を用いて、本発明の方法で用いることができるアルブミン融合タンパク質を作成することができる。同様に、1を超えるタンパク質を用いて、本発明の方法で用いることができるアルブミン融合タンパク質を作成することができる。例えば、タンパク質をHAのN―およびC―末端の双方に融合することができる。そのような立体配置において、タンパク質部分が同一または異なるタンパク質分子であってよい。二機能性アルブミン融合タンパク質の構造は:X−HA−YまたはY−HA−Xとして表すことができる。
【0116】
特別な実施形態において、本発明の方法で用いることができるニュートロカイン―アルファタンパク質またはその断片または変異体をサイトトキシン(例えば、細胞増殖抑制剤または殺細胞剤)にコンジュゲートすることができる。サイトトキシンまたはサイトトキシン剤は細胞に対して有害ないずれの剤も含む。その例はパクリタキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、マイトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1−デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、およびピューロマイシン、およびそのアナログまたはホモログを含む。
【0117】
別の実施形態において、本発明の方法で用いることができるニュートロカイン―アルファタンパク質、またはその断片または変異体はトキシンにコンジュゲートすることができる。
【0118】
「トキシン」とは、規定された条件下で細胞の死滅を引き起こす細胞の表面中または表面上に通常は存在しない、内因性細胞傷害性エフェクター系、放射性同位体、ホロトキシン、修飾されたトキシン、トキシンの触媒サブユニット、またはいずれかの分子または酵素に結合し、それを活性化する1以上の化合物を意味する。使用することができるトキシンは、限定されるものではないが、当該分野で知られた放射性同位体、例えば、固有のまたは誘導された内因性細胞傷害性エフェクター系に結合する抗体(またはその部分を含有する補体固定)、チミジンキナーゼ、エンドヌクレアーゼ、RNAse、アルファトキシン、リシン、アブリン、ジュードモナスエキソトキシンA、ジフテリアトキシン、サポリン、モモルジン、ゲロニン、アメリカヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、アルファ―サルシンおよびコレラトキシンのような化合物を含む。「トキシン」は、細胞増殖抑制剤または殺細胞剤、治療剤または放射性金属イオン、例えば、213Biのようなアルファ―エミッター、または例えば103Pd、133Xe、131I、68Ge、57Co、65Zn、85Sr、32P、35S、90Y、153Sm、153Gd、169Yb、51Cr、54Mn、75Se、113Sn、90イッテリウム、117スズ、186レニウム、166ホロミウム、および188レニウムのような他の放射性同位体も含む。
【0119】
さらなる例において、本発明の方法で用いることができるAPRILポリペプチドは、免疫グロブリンの定常ドメイン(IgA、IgE、IgG、IgM)またはその部分(CH1、CH2、CH3、またはそのいずれかの組合せおよびその部分)、またはアルブミン(限定されるものではないが、組換えヒトアルブミン、またはその断片または変異体を含む(例えば、ここに引用してその全体を援用する1999年3月2日に発行された米国特許第5,876,969号、EP特許0 413 622、および1998年6月16日に発行された米国特許第5,766,883号参照))と融合させることができ、その結果、キメラポリペプチドがもたらされる。
【0120】
そのような融合タンパク質は精製を容易とすることができ、貯蔵寿命を延長することができ、インビボにて半減期を増大させることができる。これは、ヒトCD4−ポリペプチドの最初の2つのドメイン、および哺乳動物免疫グロブリンの重鎖または軽鎖の定常領域の種々のドメインよりなるキメラタンパク質について示されている。例えば、EP 394,827;Traunecker,Nature,331:84−86(1988)参照。免疫系に対する上皮バリアーを横切っての抗原の増強された送達は、IgGまたはFc断片のようなFcRn結合パートナーにコンジュゲートされた抗原(例えば、インスリン)について示されている(例えば、PCT公開WO96/22024およびWO99/04813参照)。IgG部分のジスルフィド結合のため、ジスルフィド結合ダイマー構造を有するIgG融合タンパク質もまた、モノマーポリペプチドまたはその断片単独よりも他の分子に結合し、それを中和するにおいてより効果的であることが判明している。例えば、Fountoulakisら,J.Biochem.,270:3958−3964(1995)参照。
【0121】
本発明の方法で用いることができるアルブミン融合タンパク質は、好ましくは遺伝子融合(すなわち、アルブミン融合タンパク質は、APRILの前部または部分をコードするポリヌクレオチドがアルブミンの前部または部分をコードするポリヌクレオチドとイン・フレームにて連結された核酸の翻訳によって生じる)、または化学的結合によって相互に結合した、APRILポリペプチドの少なくとも断片または変異体およびヒト血清アルブミンの少なくとも断片または変異体を含む。アルブミン融合タンパク質の一部分であったAPRILポリペプチドおよびアルブミンタンパク質は、アルブミン融合タンパク質の「部分」、「領域」または「部位」ということができる(例えば、「APRIL部分」または「アルブミンタンパク質部分」)。
【0122】
一つの実施形態において、本発明の方法で用いることができる、アルブミン融合タンパク質はAPRILポリペプチドおよび血清アルブミンタンパク質を含むか、あるいはそれよりなる。他の実施形態において、本発明の方法で用いることができるアルブミン融合タンパク質はAPRILの断片、および血清アルブミンタンパク質を含み、あるいはそれよりなる。他の実施形態において、本発明の方法で用いることができるアルブミン融合タンパク質は、APRILの変異体、および血清アルブミンタンパク質を含み、あるいはそれからなる群より選択される。好ましい実施形態において、アルブミン融合タンパク質の血清アルブミンタンパク質成分は血清アルブミンの成熟部分である。
【0123】
さらなる実施形態において、本発明の方法で用いることができるアルブミン融合タンパク質は、APRILポリペプチド、および血清アルブミンの生物学的に活性なおよび/または治療的に活性な断片を含み、あるいはそれよりなる。さらなる実施形態において、本発明の方法で用いることができるアルブミン融合タンパク質は、APRILポリペプチドおよび、血清アルブミンの生物学的に活性なおよび/または治療的に活性な変異体を含むか、あるいはそれよりなる。好ましい実施形態において、アルブミン融合タンパク質のAPRIL部分は全長APRILポリペプチドである。さらなる好ましい実施形態において、アルブミン融合タンパク質のAPRIL部分はAPRILポリペプチドの成熟した可溶性ドメインである。
【0124】
さらなる実施形態において、本発明の方法で用いることができるアルブミン融合タンパク質は、APRILの断片または変異体、および血清アルブミンの生物学的に活性なおよび治療的に活性な変異体を含むか、あるいはそれからなる群より選択される。APRILポリペプチドの成熟部分および血清アルブミンの成熟部分を含むか、あるいはそれよりなるアルブミン融合タンパク質を提供する。
【0125】
さらなる実施形態において、本発明の方法で用いることができるアルブミン融合タンパク質は、APRILの断片または変異体、および血清アルブミンの生物学的に活性なおよび/または治療的に活性な断片または変異体を含むか、あるいはそれよりなる。好ましい実施形態において、本発明はAPRILポリペプチドの成熟部分、および血清アルブミンの成熟部分(限定されるものではないが、ヒト血清アルブミン、またはその断片または変異体を含む(例えば、ここに引用してその全体を援用する1999年3月2日に発行された米国特許第5,876,969号、EP特許0 413 622、および1998年6月16日に発行された米国特許第5,766,883号参照))を含むか、あるいはそれよりなるアルブミン融合タンパク質を提供する。好ましい実施形態において、(その断片または変異体を含めた)APRILポリペプチドは、ヒト血清アルブミンの成熟形態(すなわち、ここに引用してその全体を援用するEP 0 322 094の実施例1および2に示されたヒト血清アルブミンのアミノ酸1〜585)と融合させる。別の好ましい実施形態において、(その断片または変異体を含めた)本発明の抗体は、xが1〜585の整数であるヒト血清アルブミンのアミノ酸残基1−xを含むか、あるいはそれよりなるポリペプチド断片と融合され、該アルブミン断片はヒト血清アルブミン活性を有する。別の好ましい実施形態において、(その断片または変異体を含めた)APRILポリペプチドは、ここに引用してその全体を援用する米国特許第5,766,883号に記載されたように、zが369〜419の整数であるヒト血清アルブミンのアミノ酸残基1−zを含むか、あるいはそれよりなるポリペプチド断片と融合される。(その断片または変異体を含めた)APRILポリペプチドは、異種タンパク質のN−またはC−末端(例えば、免疫グロブリンFcポリペプチド、またはヒト血清アルブミンポリペプチド)に融合することができる。
【0126】
好ましい実施形態において、本発明の方法で用いることができるアルブミン融合タンパク質で用いるヒト血清アルブミンタンパク質は、配列番号11を参照して点突然変異の以下の組の一方または双方を含む:Leu−407をAlaに、Leu−408をValに、Val−409をAla、およびArg−410をAlaに;またはArg−410をAに、Lys−413をGlnに、およびLys−414をGlnに(例えば、ここに引用してその全体を援用する国際公開番号WO95/23857参照)。なおより好ましい実施形態において、点突然変異の前記した組一方または双方を含有する本発明の方法で用いることができるアルブミン融合タンパク質は、酵母Yap3pタンパク質分解切断に対して改善された安定性/抵抗性を有し、酵母宿主細胞で発現された組換えアルブミン融合タンパク質の増大した産生を可能とする。
【0127】
好ましくは、本発明の方法で用いることができるアルブミン融合タンパク質は、N−末端部分としてのHA、およびC−末端部分としてのAPRILポリペプチドを含む。あるいは、C−末端部分としてのHA、およびN−末端部分としてのAPRILポリペプチドを含むアルブミン融合タンパク質を用いることができる。
【0128】
他の実施形態において、本発明の方法で用いることができるアルブミン融合タンパク質は、アルブミンのN−末端およびC−末端双方に融合されるAPRILポリペプチドを有する。特別な実施形態においてN−およびC−末端において融合したAPRILポリペプチドは同一である。別の実施形態において、N−およびC−末端において融合したAPRILポリペプチドは異なるAPRILポリペプチドである。別の実施形態において、APRILポリペプチドはアルブミンのN−またはC−末端においていずれかにおいて融合しており、および異種ポリペプチドは残りの末端において融合している。
【0129】
加えて、本発明の方法で用いることができるアルブミン融合タンパク質は、融合した部分の間のリンカーペプチドを含んで、該部位の間のより大きな物理的分離を供することができる。リンカーペプチドはそれがフレキシブルであるかまたはより剛性であるようにアミノ酸よりなることができる。
【0130】
一般に、本発明の方法で用いることができる、アルブミン融合タンパク質は、一つのHA−由来領域および一つのAPRIL領域を有する。しかしながら、各タンパク質の複数領域を用いて、本発明の方法で用いることができるアルブミン融合タンパク質を作成することができる。同様に、1を超えるタンパク質を用いて、本発明の方法で用いることができるアルブミン融合タンパク質を作成することができる。例えば、タンパク質をHAのN−およびC−末端双方に融合させることができる。そのような立体配置において、タンパク質部分は同一または異なるタンパク質分子であってよい。二機能的アルブミン融合タンパク質の構造は:X−HA−YまたはY−HA−Xとして表すことができる。
【0131】
特別な実施形態において、本発明の方法で用いることができるAPRILタンパク質またはその断片または変異体をサイトトキシン(例えば、細胞増殖抑制剤または殺細胞剤)にコンジュゲートすることができる。サイトトキシンまたはサイトトキシン剤は細胞に対して有害ないずれの剤も含む。その例はパクリタキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、マイトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1−デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、およびピューロマイシン、およびそのアナログまたはホモログを含む。
【0132】
別の実施形態において、本発明の方法で用いることができるAPRILタンパク質、またはその断片または変異体はトキシンにコンジュゲートすることができる。
【0133】
「トキシン」とは、規定された条件下で細胞の死滅を引き起こす細胞の表面中または表面上に通常は存在しない、内因性細胞傷害性エフェクター系、放射性同位体、ホロトキシン、修飾されたトキシン、トキシンの触媒サブユニット、またはいずれかの分子または酵素に結合し、それを活性化する1以上の化合物を意味する。使用することができるトキシンは、限定されるものではないが、当該分野で知られた放射性同位体、例えば、固有のまたは誘導された内因性細胞傷害性エフェクター系に結合する抗体(またはその部分を含有する補体固定)、チミジンキナーゼ、エンドヌクレアーゼ、RNAse、アルファトキシン、リシン、アブリン、ジュードモナスエキソトキシンA、ジフテリアトキシン、サポリン、モモルジン、ゲロニン、アメリカヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、アルファ―サルシンおよびコレラトキシンのような化合物を含む。「トキシン」は、細胞増殖抑制剤または殺細胞剤、治療剤または放射性金属イオン、例えば、213Biのようなアルファ―エミッター、または例えば103Pd、133Xe、131I、68Ge、57Co、65Zn、85Sr、32P、35S、90Y、153Sm、153Gd、169Yb、51Cr、54Mn、75Se、113Sn、90イッテリウム、117スズ、186レニウム、166ホロミウム、および188レニウムのような他の放射性同位体も含む。
【0134】
タンパク質エンジニアリングを使用して、ニュートロカイン−アルファおよびAPRILポリペプチドの特徴を改変して、本発明の方法で用いることができるポリペプチドを表示させることができる。当業者に知られた組換えDNA技術を用いて、単一または多数のアミノ酸置換、欠失、付加または融合タンパク質を含めた、新規な突然変異タンパク質または「ムテイン」を作り出すことができる。そのような修飾されたポリペプチドは、例えば、増強された活性、減少した活性または増加した安定性を示すことができる。加えて、それらはより高い収率で精製することができ、および少なくともある精製および貯蔵条件下で、対応する天然ポリペプチドよりも良好な溶解性を示すことができる。例えば、分泌タンパク質の細胞外ドメインまたは成熟形態を含めた多くのタンパク質では、当該分野において、生物学的機能の実質的喪失なくして、1以上のアミノ酸をN−末端またはC−末端から欠失することができることが知られている。例えば、Ronら,J.Biol.Chem.,268:2984−2988(1993)は、3、8または27のアミノ−末端アミノ酸残基がたとえ失われさえしても、ヘアピン結合活性を有する修飾されたKGFタンパク質を報告している。
【0135】
本発明の方法で用いることができるニュートロカイン−アルファおよびAPRILポリペプチドはモノマーまたはマルチマー(すなわち、ダイマー、トリマー、テトラマーおよびより高次のマルチマー)であってよい。特別な実施形態において、本発明の方法で用いることができるニュートロカイン−アルファおよびAPRILポリペプチドはホモマーまたはヘテロマーであってよい。ニュートロカインアルファホモマーとは(本明細書中に記載されたニュートロカイン−アルファ断片、変異体および融合タンパク質を含めた)ニュートロカイン−アルファポリペプチドのみを含有するマルチマーをいう。これらのホモマーは、同一または異なるアミノ酸配列を有するニュートロカイン−アルファポリペプチドを含有することができる。特別な実施形態において、本発明の方法で用いることができるニュートロカイン−アルファポリペプチドは(例えば、同一または異なるアミノ酸配列を有する2つのニュートロカイン−アルファポリペプチドを含有する)ニュートロカイン−アルファホモダイマー、または(例えば、同一または異なるアミノ酸配列を有する3つのニュートロカイン−アルファポリペプチドを含有する)ニュートロカイン−アルファホモトリマーである。好ましい実施形態において、本発明の方法で用いることができるニュートロカイン−アルファポリペプチドはニュートロカイン−アルファのホモトリマーである。さらなる実施形態において、本発明の方法で用いることができるニュートロカイン−アルファポリペプチドは、少なくともホモダイマー、少なくともホモトリマーまたは少なくともホモテトラマーである。APRILホモマーとは、(本明細書中に記載されたAPRIL断片、変異体、または融合タンパク質を含めた)APRILポリペプチドのみを含有するマルチマーをいう。これらもホモマーは、同一または異なるアミノ酸配列を有するAPRILポリペプチドを含有することができる。特別な実施形態において、本発明の方法で用いることができるAPRILポリペプチドは(例えば、同一または異なるアミノ酸配列を有する2つのAPRILポリペプチドを含有する)APRILホモダイマーである、または(例えば、同一または異なるアミノ酸配列を有する3つのAPRILポリペプチドを含有する)APRILホモトリマーである。好ましい実施形態において、本発明の方法で用いることができるAPRILポリペプチドはAPRILのホモトリマーである。さらなる実施形態において、本発明の方法で用いることができるAPRILポリペプチドは少なくともホモダイマー、少なくともホモトリマー、または少なくともホモテトラマーである。
【0136】
ヘテロマーニュートロカイン−アルファとは、ニュートロカイン−アルファポリペプチドに加えて、異種ポリペプチド(すなわち異なるタンパク質のポリペプチド)を含有するマルチマーをいう)。特別な実施形態において、本発明の方法で用いることができるニュートロカイン−アルファポリペプチドはヘテロダイマー、ヘテロトリマー、またはヘテロテトラマーである。さらなる実施形態において、本発明の方法で用いることができるニュートロカイン−アルファポリペプチドは、少なくともヘテロダイマー、少なくともヘテロトリマー、または少なくともヘテロテトラマーであるマルチマーである。ヘテロマーAPRILとは、APRILポリペプチドに加えて、異種ポリペプチド(すなわち、異なるタンパク質のポリペプチド)を含有するマルチマーをいう。特別な実施形態において、本発明の方法で用いることができるAPRILポリペプチドはヘテロダイマー、ヘテロトリマー、またはヘテロテトラマーである。さらなる実施形態において、本発明の方法で用いることができるAPRILポリペプチドは、少なくともヘテロダイマー、少なくともヘテロトリマー、または少なくともヘテロテトラマーであるマルチマーである。さらなる実施形態において、本発明の方法で用いることができるニュートロカイン−アルファポリペプチドは、ニュートロカイン−アルファポリペプチドおよびAPRILポリペプチド双方またはその断片または変異体を含むヘテロトリマーである。さらなる実施形態において、本発明の方法で用いることができるニュートロカイン−アルファポリペプチドは、(断片または変異体を含めた)一つのニュートロカイン−アルファポリペプチド、および(断片または変異体を含めた)2つのAPRILポリペプチドを含むヘテロトリマーである。さらなる実施形態において、本発明の方法で用いることができるニュートロカイン−アルファポリペプチドは、(断片または変異体を含めた)ニュートロカイン−アルファポリペプチド、および(断片または変異体を含めた)一つのAPRILポリペプチドを含むヘテロトリマーである。
【0137】
さらなる実施形態において、本発明で用いることができるニュートロカイン−アルファポリペプチドはホモマー、特にホモトリマーのニュートロカイン−アルファポリペプチドであり、ここに、マルチマーの個々のタンパク質成分はニュートロカイン−アルファの成熟形態(すなわち、例えば、配列番号2のアミノ酸残基134〜285)、またはその断片または変異体を含み、あるいはそれよりなる。他の実施形態において、本発明の方法で用いることができるニュートロカイン−アルファポリペプチドはヘテロマー、特に、2つのニュートロカイン−アルファポリペプチドおよび一つのAPRILポリペプチドを含有するヘテロトリマー、または一つのニュートロカイン−アルファポリペプチドおよび2つのAPRILポリペプチドを含有するヘテロトリマーのようなヘテロトリマーのニュートロカイン−アルファポリペプチドであり、ここに、ニュートロカイン−アルファヘテロマーの個々のタンパク質成分はニュートロカイン−アルファの成熟細胞外可溶性部分(配列番号2のアミノ酸残基134〜285)、またはその断片または変異体、または成熟細胞外可溶性部分APRIL(例えば、配列番号4のアミノ酸残基105〜250)またはその断片または変異体いずれかを含むか、あるいはそれよりなる。
【0138】
さらなる実施形態において、本発明の方法で用いることができるAPRILポリペプチドはホモマー、特にホモトリマーのAPRILポリペプチドであり、ここに、マルチマーの個々のタンパク質成分はAPRILの成熟形態(例えば、配列番号4のアミノ酸残基105〜250)またはその断片または変異体を含むか、あるいはそれよりなる。他の実施形態において、本発明の方法で用いることができるAPRILポリペプチドはヘテロマー、特に2つのAPRILポリペプチドおよび一つのニュートロカイン−アルファポリペプチドを含有するヘテロトリマー、または一つのAPRILポリペプチドおよび2つのニュートロカイン−アルファポリペプチドを含有するヘテロトリマーのようなヘテロトリマーのAPRILポリペプチドであり、ここに、APRILヘテロマーの個々のタンパク質成分はAPRILの成熟細胞外可溶性部分(例えば、配列番号4のアミノ酸残基105〜250)、またはその断片または変異体、またはニュートロカイン−アルファの成熟細胞外可溶性部分(例えば、配列番号2のアミノ酸残基134〜285)、またはその断片または変異体いずれかを含むか、あるいはそれよりなる。
【0139】
本発明の方法で用いることができるマルチマーは、疎水性、親水性、イオン性および/または共有結合の結果であり得、および/または例えばリポソーム形成によって間接的に連結させることができる。かくして一つの実施形態において、例えば、ホモダイマーまたはヘテロダイマーのようなマルチマーは、ポリペプチドが溶液中で相互に接触する場合に形成される。別の実施形態において、例えば、ヘテロトリマーまたはヘテロテトラマーのようなヘテロマルチマーは、ポリペプチドが溶液中で相互に接触する場合に形成される。他の実施形態において、マルチマーは、ニュートロカイン−アルファポリペプチドとの、および/またはそれの間の共有結合によって形成される。他の実施形態において、マルチマーは、APRILポリペプチドとの、および/またはその間の共有結合によって形成される。そのような共有結合は、(例えば、ニュートロカイン−アルファについては配列番号2で引用された、またはAPRILについては配列番号4で引用された)ポリペプチド配列に含有された1以上のアミノ酸残基を含むことができる。1つの例において、共有結合は、天然(すなわち天然に生じる)ポリペプチドにおいて相互作用するポリペプチド配列内に位置するシステイン残基の間の架橋である。別の例において共有結合は、化学的または組換え操作の結果である。あるいは、そのような共有結合は、ニュートロカイン−アルファまたはAPRIL融合タンパク質における異種ポリペプチド配列に含有された1以上のアミノ酸残基を含むことができる。例えば、米国特許第5,478,935号参照。特別な例において、共有結合は(本発明に記載された)ニュートロカイン−アルファ−Fc融合タンパク質に含有された異種配列の間である。特別な例において共有結合は(本発明に記載された)APRIL−Fc融合タンパク質に含有された異種配列の間である。別の例において本発明の方法で用いることができる融合タンパク質における共有結合は、例えば、オステオプロテゲリンのような共有結合したマルチマーを形成することができる別のTNFファミリーリガンド/受容体メンバーからの異種ポリペプチド配列の間である(例えば、ここに引用してその内容の全体を援用する、国際公開番号WO98/49305参照)。別の実施形態において、2以上のニュートロカイン−アルファポリペプチドおよび/またはAPRILポリペプチドは合成リンカー(例えば、ペプチド、炭水化物または可溶性ポリマーリンカー)を介して結合される。その例は、ここに引用して援用する米国特許第5,073,627号に記載されたペプチドリンカーを含む。ペプチドリンカーによって分離された多数のニュートロカイン−アルファポリペプチドおよび/またはAPRILポリペプチドを含むタンパク質は、慣用的な組換えDNA技術を用いて産生することができる。
【0140】
特別な実施形態において、本発明の方法で用いることができるニュートロカイン−アルファアンタゴニストは、ニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILのドミナントネガティブである。特に、ドミナントネガティブ形態を含めたニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILの変異体は、例えば、国際特許公開番号WO06/034106、WO05/113598、WO04/089982、WO04/081043およびWO03/057856、および米国特許公開番号US20060014248、US20050221443、US20050130892、US20050048626、US2005003480およびUS20030166559に記載されている。前記文献はここに引用してその全体を援用する。そのようなニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILポリペプチド変異体は、例えば、ニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILホモ−またはヘテロ−多量体化を抑制することによってニュートロカイン−アルファ機能に拮抗することができる。あるいは、ニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILポリペプチド変異体は、それらを含むポリペプチドが、TACI、BCMAおよびBAFF−Rのようなニュートロカインアルファ受容体へ結合し、および/または該受容体を介するシグナリングを行うのを妨げることができる。
【0141】
別の実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは、ここに引用してその全体を援用する、Gao ら.,(2006)Biotechnol.Lett.28:1649−54に記載されたニュートロカイン−アルファタンパク質突然変異である。
【0142】
別の実施形態において、本発明の方法で用いることができるニュートロカイン−アルファアンタゴニストはΔBAFF(配列番号12)である。
【0143】
B.抗−ニュートロカイン−アルファ抗体
特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは抗−ニュートロカイン−アルファ抗体またはその抗原−結合断片である。抗−ニュートロフィン−アルファ抗体およびその断片は、例えば、PCT公開WO01/087977、WO03/016468、WO01/60397、WO02/02641およびWO03/53979;US公開番号2005/0070694および2005/025532;およびCaoら,(2005)Immunol Lett 101:87−94;Ch’enら,(2005)Cell Immunol 236:78−85;Liuら,(2005)Acta Biochim Biophys Sin(Shanghai)37:415−420;Scheneiderら,(1999)J Exp Med 189;1747−1756;Sunら,(2006)Hybridoma 25:80−85;Sunら,(2006)Hybridoma 25:238−242に記載されており、以下により詳細に記載されている。前記文献の各々をここに引用してその全体を援用する。
【0144】
本明細書中で用いる用語「抗体」とは、免疫グロブリン分子、および免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分、すなわち、抗原に免疫特異的に結合する抗原結合部位を含有する分子をいう。それ自体、用語抗体は、全抗体分子のみならず、抗体断片ならびに抗体の(誘導体を含めた)変異体、および抗体断片を含む。本出願における用語「抗体」によって記載される分子の例は、限定されるものではないが:単一鎖Fvs(scFvs)、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)、ジスルフィド結合Fvs(sdFvs)、Fvs、およびVLまたはVHドメインいずれかを含むか、あるいはそれよりなる断片を含む。本明細書中で用いる用語「単一鎖Fv」または「scFv」とは、抗体のVHドメインに連結された抗体のVLドメインを含むポリペプチドをいう。特別な抗原(例えば、ニュートロカイン−アルファ)に免疫特異的に結合する抗体は、他の抗原に対して交差反応性を有することができる。好ましくは、特定の抗原に免疫特異的に結合する抗体は他の抗原と交差反応しない。特定の抗原に免疫特異的に結合する抗体は、例えば、イムノアッセイ、または当業者に知られた他の技術、例えば、ここに引用してその全体を援用する、2006年7月31日に出願された米国特許出願第60/834,152に記載されたイムノアッセイによって同定することができる。
【0145】
本発明の方法で用いることができる抗体は、限定されるものではないが、モノクローナル、多特異的、ヒトまたはキメラ抗体、単一鎖抗体、Fab断片、F(ab’)断片、抗イディオタイプ(抗−Id)抗体、および前記のいずれかのエピトープ−結合断片を含む。本発明の免疫グロブリン分子は、免疫グロブリン分子のいずれのタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)、クラス(例えば、IgG、IgG、IgG、IgG、IgAおよびIgA)、またはサブクラスであり得る。
【0146】
本発明の方法で用いることができる抗体は、抗体のマルチマー形態を含むこともできる。例えば、本発明の方法で用いることができる抗体は、モノマー免疫グロブリン分子の抗体ダイマー、トリマー、高次マルチマーの形態をとることができる。全免疫グロブリン分子の、またはF(ab’)断片のダイマーは四価であり、他方、Fab断片またはscFV分子のダイマーは二価である。抗体マルチマー内の個々のモノマーは同一または異なっていてもよく、すなわち、それらはヘテロマーまたはホモマー抗体マルチマーであって良い。例えば、マルチマー内の個々の抗体は同一または異なる結合特異性を有することができる。抗体の多量体化は、抗体の天然凝集を介して、または当該分野で知られた化学的または組換え連結技術を介して達成することができる。例えば、精製された抗体調製物(例えば、精製されたIgG1分子)のいくらかのパーセンテージは、抗体ホモダイマー、および他の高次の抗体マルチマーを含有するタンパク質凝集物を自然に形成する。あるいは、抗体ホモダイマーは、当該分野で公知の化学結合技術を介して形成することができる。例えば、限定されるものではないが、SMCC[4−(マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボン酸スクシンイミジル]およびSATA[S−アセチルチオ−酢酸N−スクシンイミジル](例えば、Pierce Biotechnology,Inc.(Rockford,IL)から入手可能)を含めた、ヘテロ二機能的架橋剤を用いて、抗体マルチマーを形成することができる。抗体ホモダイマーの形成のための例示的なプロトコルは、ここに引用してその全体を援用する、Ghetieら,Proceedings of the National Academy of Sciences USA(1997)94:7509−7514に掲げられている。抗体ホモダイマーは、ペプシンでの消化を介してFab’2ホモダイマーに変換することができる。抗体ホモダイマーを形成するための別の方法は、ここに引用してその全体を援用する、Zhao and Kohler,The Journal of Immunology (2002)25:396−404に記載された自己親和性(autophilic)T15ペプチドの使用を介するものである。
【0147】
あるいは、抗体は、組換えDNA技術を介して多量体化することができる。IgMおよびIgAは、J鎖ポリペプチドとの相互作用を介して抗体マルチマーを天然で形成する。IgG分子のような非−IgAまたは非IgM分子は、IgAまたはIgMのJ鎖相互作用ドメインを含有するように作成することができ、それにより、非IgAまたは非−IgM分子に対して、より高次のマルチマーを形成する能力を付与する(例えば、その双方をここに引用してその全体を援用する、Chintalacharuvuら,(2001)Clinical Immunology 101:21−31.およびFrigerioら,(2000)Plant Physiology 123:1483−94参照)。ScFvダイマーは、当該分野で知られた組換え技術を介して形成することもでき;scFvダイマーの構築の例は、ここに引用してその全体を援用する、Goel ら.,(2000)Cancer Research 60:6964−6971に与えられる。抗体マルチマーは、限定されるものではないが、サイズ排除クロマトグラフィーを含めた、当該分野で知られたいずれの適当な方法を用いても精製することができる。
【0148】
明細書中に別の記載がない限り、抗体による特異的結合または免疫特異的結合は、該抗体が標的抗原に結合するが、タンパク質の同一ファミリーにおける他のタンパク質(例えば、他のTNFファミリーリガンド)のような標的抗原以外のタンパク質に特異的に結合(すなわち、交差反応)しないことを意味する。標的抗原に結合し、他のタンパク質と交差反応しない抗体は、必ずしも、全ての条件において該他のタンパク質に結合しない抗体ではなく;むしろ、標的抗原特異的抗体は、それがアッセイまたは処置の少なくと別のタイプで用いるのに適する、すなわち、低いバックグラウンドレベルを与えるか、あるいは処置において合理的でない有害効果をもたらさないように、該他のタンパク質に結合するその能力と比較して、標的抗原に優先的に結合する。抗体によって結合されたタンパク質の部分はエピトープとして知られているのはよく知られている。エピトープは線状(すなわち、タンパク質配列における順次のアミノ酸残基を含む)、または立体配座的でよい(すなわち、タンパク質の一次構造において連続しないが、タンパク質の二次、三次、または四次構造によって一緒にされる1以上のアミノ酸残基を含む)。標的抗原特異的抗体が標的抗原のエピトープに結合することを仮定すれば、標的抗原に特異的に結合する抗体は、標的抗原の断片または変異体における与えられた標的抗原特異的抗体によって結合されたエピトープの存在または不存在に依存して、標的抗原の断片および/または標的抗原の変異体(例えば、標的抗原に対して少なくとも90%同一であるタンパク質)に結合してもしなくても良い。同様に、標的抗原−特異的抗体は、オルソログにおける抗体によって認識されるエピトープの存在または不存在に応じて、(その断片を含めた)標的抗原の種オルソログ(species orthlogue)に結合することができる。加えて、標的抗原特異的抗体は、標的抗原融合タンパク質、例えば、修飾された形態の標的抗原融合タンパク質に結合することができる。抗体が標的抗原融合タンパク質に結合するそのような場合において、抗体は、結合が特異的となるように、融合タンパク質の標的抗原部位との結合接触をなさねばならない。
【0149】
いずれかの特定の標的抗原に特異的に結合する抗体は、例えば、イムノアッセイ、または当業者に知られた他の技術、例えば、ここに引用してその全体を援用する、2006年7月31日に出願された米国特許出願第60/834,152号に記載されたイムノアッセイによって同定することができる。本発明の方法で用いることができる抗体は、ニュートロカイン−アルファに対して「特異的」であって良いが、要件ではない。本発明の方法で用いることができる抗−ニュートロカインアルファ抗体は、それらの交差反応性の点で記載し、または特定することができる。ニュートロカイン−アルファポリペプチドのいずれかの他のアナログ、オルソログ、またはホモログに結合しない抗体は、本発明の方法で用いることができる。特別な実施形態において、本発明の方法で用いることができる抗体はAPRILと交差反応する。特別な実施形態において、本発明の方法で用いることができる抗体はヒトタンパク質のネズミ、ラットおよび/またはウサギホモログ、およびその対応するエピトープと交差反応する。
【0150】
特別な実施形態において、(特異的抗体−抗原結合をアッセイするための当該分野で良く知られた免疫アッセイによって決定されるような)ニュートロカイン−アルファポリペプチド、ポリペプチド断片、または配列番号2の変異体、および/またはニュートロカイン−アルファエピトープに結合する抗体は、本発明の方法で用いることができる。特別な実施形態において、本発明の方法で用いることができる抗体は、他のポリペプチド配列に融合したニュートロカイン−アルファポリペプチドに結合することができる。例えば、ニュートロカイン−アルファポリペプチドは、免疫グロブリンの定常ドメイン(IgA、IgE、IgG、IgM)、またはその部分(CH1、CH2、CH3、またはそのいずれかの組合せ、およびその部分)、または(限定されるものではないが、組換えヒトアルブミンまたはその断片または変異体を含めた(例えば、ここに引用してその全体を援用する1999年3月2日に発行された米国特許第5,876,969号、EP特許0 413 622、および1998年6月16日に発行された米国特許第5,766,883号参照))アルブミンと融合させることができ、その結果、キメラポリペプチドがもたらされる。そのような融合タンパク質は、精製を容易とすることができ、インビボにて半減期を増大させることができる。これは、ヒトCD4−ポリペプチドの最初の2つのドメイン、および哺乳動物免疫グロブリンの重鎖または軽鎖の定常領域の種々のドメインよりなるキメラタンパク質について示されている。例えば、EP394,827;Trauneckerら,Nature,331:84−86(1988)を参照。免疫系に対する上皮バリアーを横切る抗原の増強された送達は、IgGまたはFc断片のようなFcRn結合パートナーにコンジュゲートした抗原(例えば、インスリン)について示されている(例えば、PCT公開WO96/22024およびWO99/04813参照)。IgG部分ジスルフィド結合によるジスルフィド結合ダイマー構造を有するIgG融合タンパク質は、モノマーポリペプチドまたはその断片単独よりも他の分子に結合し、それは中和するのにより効果的であることが判明している。例えば、Fountoulakisら,J.Biochem.,270:3958−3964(1995)参照。
【0151】
別の実施形態において、本発明の方法で用いることができる抗体は、エラープロンPCR、ランダムヌクレオチド挿入、または組換えに先立つ他の方法によってニュートロカイン−アルファポリペプチドをコードするポリヌクレオチドのランダム変異導入法によって作成された突然変異体ニュートロカイン−アルファポリペプチドに結合する。別の実施形態において、本発明の方法で用いることができる抗体は、1以上の異種分子の1以上の成分、モチーフ、セクション、部分、ドメイン、断片等と組換えられたニュートロカイン−アルファの1以上の成分、モチーフ、セクション、部分、ドメイン、断片等に結合する。好ましい実施形態において、異種分子が、例えば、TNF−アルファ、リンフォトキシン−アルファ(TNF−ベータとしても知られたLT−アルファ)、(複合体ヘテロダイマーLT−アルファ2ベータで見出された)LT−ベータ、OPGL、FasL、CD27L、CD30L、CD40L、4−1BBL、DcR3、OH40L、TNF−ガンマ(国際公開番号WO96/14328)、AIM−I(国際公開番号WO97/33899)、AIM−II(国際公開番号WO97/34911)、APRIL(J.Exp.Med.188(6):1185−1190)、エンドカイン−アルファ(国際公開番号WO98/07880)、OPG、OX40、および神経成長因子(NGF)、およびFas、CD30、CD27、CD40および4 IBBの可溶性形態、TR2(国際公開番号WO96/34095)、DR3(国際公開番号WO97/33904)、DR4(国際公開番号WO98/32856)、TR5(国際公開番号WO98/30693)、TR6(国際公開番号WO98/30694)、TR7(国際公開番号WO98/41629)、TRANK、TR9(国際公開番号WO98/56892)、TR10(国際公開番号WO98/54202)、312C2(国際公開番号WO98/06842)、TR12、CAD、およびv−FLIPである。さらなる実施形態において、異種分子はいずれかの数のTNFファミリーである。
【0152】
特別な実施形態において、本発明の方法で用いることができる抗体はホモマー、特にホモトリマーのニュートロカイン−アルファポリペプチドに結合する。他の特別な実施形態において、本発明の方法で用いることができる抗体は、2つのニュートロカイン−アルファポリペプチドおよび1つのAPRILポリペプチドを含有するヘテロポリマー、または1つのニュートロカイン−アルファポリペプチドおよび2つのAPRILポリペプチドを含有するヘテロトリマーのような、ヘテロマー、特にヘテロトリマーのニュートロカイン−アルファポリペプチドに結合する。特別な実施形態において、本発明の方法で用いることができる抗体はホモマー、特にホモトリマーのニュートロカイン−アルファポリペプチドに結合し、ここに、マルチマーの個々のタンパク質成分がニュートロカイン−アルファの成熟形態(例えば、配列番号2のアミノ酸残基134〜285)よりなる。他の特別な実施形態において、本発明の方法で用いることができる抗体は、2つのニュートロカイン−アルファポリペプチドおよび1つのAPRILポリペプチドを含有するヘテロトリマー、または1つのニュートロカイン−アルファポリペプチドおよび2つのAPRILポリペプチドを含有するヘテロトリマーのような、ヘテロマー、特にヘテロトリマーのニュートロカイン−アルファポリペプチドに結合し、ここに、ニュートロカイン−アルファヘテロマーの個々のタンパク質成分は、ニュートロカイン−アルファの成熟細胞外可溶性部分(例えば、配列番号2のアミノ酸残基134〜285)、または成熟細胞外可溶性部分APRIL(例えば、配列番号4のアミノ酸残基105〜250)よりなる。
【0153】
特別な実施形態において、本発明の方法で用いることができる抗体は、ニュートロカイン−アルファモノマータンパク質の立体配座エピトープに結合する。特別な実施形態において、本発明の方法で用いることができる抗体は、ニュートロカイン−アルファのマルチマー、特にトリマータンパク質の立体配座エピトープに結合する。他の実施形態において、本発明の方法で用いることができる抗体は、(例えば、APRILポリペプチドとで)ニュートロカイン−アルファがヘテロトリマーを形成する場合に、またはニュートロカイン−アルファおよび異種ポリペプチドの間の融合タンパク質において存在するような、異種ポリペプチドとでニュートロカイン−アルファの隣接位置から生じる立体配座エピトープに結合する。
【0154】
本発明の方法で用いることができる抗体は、限定されるものではないが、ポリクローナル、モノクローナル、多特異的、ヒト、ヒト化、またはキメラ抗体、単一鎖抗体、Fab断片、F(ab’)断片、Fab発現ライブラリーによって産生された断片、(例えば、抗ニュートロカイン−アルファ抗体に対する抗−id抗体を含めた)抗イディオタイプ(抗Id)抗体、および前記のいずれかのエピトープ結合断片を含む。好ましい実施形態において、免疫グロブリンはIgG1またはIgG4イソタイプである。免疫グロブリンは重鎖および軽鎖を共に有することができる。IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、およびIgY重鎖のアレイは、カッパまたはラムダ形態の軽鎖と対合することができる。
【0155】
特別な実施形態において、本発明の方法で用いることができる抗体はニュートロカイン−アルファ−結合抗体断片であり、限定されるものではないが、Fab、Fab’およびF(ab’)2、Fd、単一鎖Fvs(scFv)、単一−鎖抗体、ジスルフィド−結合Fvs(sdFv)、およびVLまたはVHドメインいずれかを含む断片を含む。単一鎖抗体を含めた、ニュートロカイン−アルファ結合抗体断片は、単独で、あるいは以下の:ヒンジ領域、CH1、CH2およびCH3ドメインの全体または部分と組み合わされた可変領域を含むことができる。特別な実施形態において、本発明の方法で用いることができるニュートロカイン−アルファ結合断片は、ヒンジ領域、CH1、CH2およびCH3ドメインとの可変領域のいずれかの組合せを含む。本発明の方法で用いることができる抗体は、鳥類および哺乳動物を含めたいずれの動物起源からのものであっても良い。好ましくは、抗体はヒト、ネズミ(例えば、マウスおよびラット)、ロバ、シップウサギ、ヤギ、モルモット、ラクダ、ウマ、またはニワトリである。本明細書中に用いるように、「ヒト」抗体は、ここに引用してその内容の全体を援用する、例えば、Kucherlapatiら、による米国特許第5,939,598号に記載されているように、ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を有する抗体を含み、ヒト免疫グロブリンライブラリーから、または1以上のヒト免疫グロブリンについてトランスジェニックな動物から単離され、内因性免疫グロブリンを発現しない抗体を含む。
【0156】
本発明の方法で用いることができる抗体は単一特異性、二重特異性(bispecific)、三重特異性(trispecific)またはより大きな多重特異性(multispecific)のものであって良い。多重特異性抗体はニュートロカイン−アルファポリペプチドの異なるエピトープに対して特異的であって良く、またはニュートロカイン−アルファポリペプチド、ならびに異種ポリペプチドまたは固体支持体材料のような異種エピトープ双方に対して特異的であって良い。例えば、PCT公開WO93/17715;WO92/08802;WO91/00360;WO92/05793;Tuttら,J.Immunol.147:60−69(1991);米国特許第4,474,893号;第4,714,681号;第4,925,648号;第5,573,920号;第5,601,819;Kostelnyら,J.Immunol.148:1547−1553(1992)参照。
【0157】
本発明の方法で用いることができる抗体は、ニュートロカイン−アルファポリペプチドに対するその結合親和性の点で記載し、または特定することができる。特別な実施形態において、本発明の方法で用いることができる抗体は、5×10−9M、10−9M、5×10−10M、10−10M、5×10−11M、10−11M、5×10−12M、または10−12M以下の解離定数またはKでもって、ニュートロカイン−アルファポリペプチドまたはその断片または変異体に結合する。特別な実施形態において、本発明の方法で用いることができる抗体は、各個々の引用値の任意の1つの範囲内である、解離定数またはKでもってニュートロカイン−アルファポリペプチドに結合する。
【0158】
ニュートロカイン−アルファポリペプチドとの受容体/リガンド相互作用を部分的にまたは十分に破壊するニュートロカイン−アルファ抗体を、本発明の方法で用いることができる。また、リガンド結合を妨げないが、受容体活性化を妨げるニュートロカイン−アルファ−特異的抗体も含まれる。受容体活性化(すなわち、シグナリング)は、本明細書中に記載された技術、またはそうでなければ当該分野で知られた技術によって決定することができる。例えば、受容体活性化は、当該分野で知られた技術、および/または免疫沈澱、続いてのウェスタンブロット解析による受容体またはその基質のリン酸化(例えば、チロシンまたはセリン/スレオニン)を用いて、転写因子NF−AT、AP−1、MAPK8/JNKおよび/またはNF−カッパB(非カノニカルNF−カッパBシグナリング経路を含む)の活性化を検出することによって決定することができる。
【0159】
前記ニュートロカイン−アルファ抗体は、当該分野で知られた方法を用いて作成することができる。例えば、PCT公開WO96/40281;米国特許第5,811,097号;Dengら,Blood 92(6):1981−1988(1998);Chenら,Cancer Res.58(16):3668−3678(1998);Harropら,J.Immunol.161(4):1786−1794(1998);Zhuら,Cancer Res.58(15):3209−3214(1998);Yoonら,J.Immunol.160(7):3170−3179(1998);Pratら,J.Cell.Sci.111(Pt2):237−247(1998);Pitardら,J.Immunol.Methods 205(2):177−190(1997);Liautardら,Cytokine 9(4):233−241(1997);Carlson ら,J.Biol.Chem.272(17):11295−11301(1997);Tarymanら,Neuron 14(4):755−762(1995);Mullerら,Structure 6(9):1153−1167(1998);Bartunekら,Cytokine 8(1):14−20(1996)(これらは全てここに引用してその全体を援用する)参照。
【0160】
特別な実施形態において、本発明の方法で用いることができる(抗体断片、またはその変異体を含むか、あるいはそれからなる群より選択される分子を含めた)ニュートロカイン−アルファ抗体は、ニュートロカイン−アルファ、またはニュートロカイン−アルファの断片または変異体に特異的に結合する。特に、例えば、表1で参照される配列番号13〜18のいずれか1つのアミノ酸配列を有する単一鎖Fvs(scFvs)のような抗体を本発明の方法で用いることができる。
【0161】
表1:ニュートロカイン−アルファに免疫特異的に結合するscFvs
【0162】
【表1】
本発明の一つの実施形態において、本発明で用いることができる抗体はニュートロカイン−アルファに結合し、表1に参照れさるVHドメインのいずれか一つおよび/または表1に参照されるVLドメインのいずれか一つのアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。好ましい実施形態において、本発明で用いることができる抗体は表1で参照される同一scFvからのVHドメインおよびVLドメインのアミノ酸配列を含む。代替的な実施形態において、本発明で用いることができる抗体は、表1に参照された異なるscFvsからのVHドメインおよびVLドメインのアミノ酸配列を含む。別の実施形態において、本発明で用いることができる抗体は、ニュートロカイン−アルファに特異的に結合し、表1で参照されるVH CDRのいずれか1つ、2つ、3つ、3つ、またはそれ以上および/または表1で参照されるVL CDRのいずれか1つ、2つ、3つ、3つ、またはそれ以上のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。好ましい実施形態において、本発明で用いることができる抗体は、表1で参照される同一scFvからのVH CDRおよびVL CDRのアミノ酸配列を含む。代替的な実施形態において、本発明で用いることができる抗体は、表1に参照された異なるscFvからのVH CDRおよびVL CDRのアミノ酸配列を含む。ニュートロカイン−アルファに免疫特異的に結合する表1に参照されるscFvの抗体断片または変異体を含むか、あるいはそれよりなる分子を本発明で用いることができる。
【0163】
特別な実施形態において、本発明で用いることができる抗ニュートロカイン−アルファ抗体は、表1に記載された、配列番号13のVHおよびVLドメインを含む。別の特別な実施形態において、本発明の方法で用いることができる抗体は、表1に記載された、配列番号13のVHCDR1、VHCDR2、VHCDR3およびVL CDR1、VLCDR2およびVLCDR3領域を含む。
【0164】
特別な実施形態において、本発明で用いることができる抗ニュートロカイン−アルファ抗体は、表1に記載された、配列番号14のVHおよびVLドメインを含む。別の特別な実施形態において、本発明の方法で用いることができる抗体は、表1に記載された、配列番号13のVHCDR1、VHCDR2、VHCDR3およびVL CDR1、VLCDR2およびVLCDR3領域を含む。
【0165】
特別な実施形態において、本発明で用いることができる抗ニュートロカイン−アルファ抗体は、表1に記載された、配列番号13のVHおよびVLドメインを含む。別の特別な実施形態において、本発明の方法で用いることができる抗体は、表1に記載された、配列番号14のVHCDR1、VHCDR2、VHCDR3およびVL CDR1、VLCDR2およびVLCDR3領域を含む。
【0166】
特別な実施形態において、本発明で用いることができる抗ニュートロカイン−アルファ抗体は、表1に記載された、配列番号15のVHおよびVLドメインを含む。別の特別な実施形態において、本発明の方法で用いることができる抗体は、表1に記載された、配列番号15のVHCDR1、VHCDR2、VHCDR3およびVL CDR1、VLCDR2およびVLCDR3領域を含む。
【0167】
特別な実施形態において、本発明で用いることができる抗ニュートロカイン−アルファ抗体は、表1に記載された、配列番号16のVHおよびVLドメインを含む。別の特別な実施形態において、本発明の方法で用いることができる抗体は、表1に記載された、配列番号16のVHCDR1、VHCDR2、VHCDR3およびVL CDR1、VLCDR2およびVLCDR3領域を含む。
【0168】
特別な実施形態において、本発明で用いることができる抗ニュートロカイン−アルファ抗体は、表1に記載された、配列番号17のVHおよびVLドメインを含む。別の特別な実施形態において、本発明の方法で用いることができる抗体は、表1に記載された、配列番号17のVHCDR1、VHCDR2、VHCDR3およびVL CDR1、VLCDR2およびVLCDR3領域を含む。
【0169】
特別な実施形態において、本発明で用いることができる抗ニュートロカイン−アルファ抗体は、表1に記載された、配列番号18のVHおよびVLドメインを含む。別の特別な実施形態において、本発明の方法で用いることができる抗体は、表1に記載された、配列番号18のVHCDR1、VHCDR2、VHCDR3およびVL CDR1、VLCDR2およびVLCDR3領域を含む。
【0170】
特別な実施形態において、本発明の方法で用いることができる抗ニュートロカイン−アルファ抗体は、例えば、US特許公開番号20050186637に記載された中和抗−ニュートロカイン−アルファ抗体である15C10のVHおよびVLドメインを含む。15C10のVHドメインのアミノ酸配列は配列番号19において与えられる。15C10のVLドメインのアミノ酸配列は配列番号20において与えられる。特別な実施形態において、本発明の方法で用いることができる抗ニュートロカイン−アルファ抗体は、15C10の抗原結合断片または変異体である。特別な実施形態において、本発明の方法で用いることができる抗ニュートロカイン−アルファ抗体は、15C10のヒト化バージョンである。特別な実施形態において、本発明の方法で用いることができる抗−ニュートロカイン−アルファ抗体は、15C10のVHCDR1、VHCDR2、VHCDR3およびVL CDR1、VLCDR2およびVLCDR3領域を含む。
【0171】
特別な実施形態において、本発明の方法で用いることができる抗ニュートロカイン−アルファ抗体は、ここに引用してその全体を援用する国際特許公開番号WO03/0164468に記載された4A5−3.1.1−B4抗−ニュートロカイン−アルファ抗体のVHおよびVLドメインを含む。ニュートロカイン−アルファは、WO03/0164468では、hTNFSF13bをいう。4A5−3.1.1−B4のVHドメインのアミノ酸配列は配列番号21において与えられる。4A5−3.1.1−B4のVLドメインのアミノ酸配列は配列番号22において与えられる。特別な実施形態において、本発明の方法で用いることができる抗−ニュートロカイン−アルファ抗体は、4A5−3.1.1−B4の抗原結合断片または変異体である。別の特別な実施形態において、本発明の方法で用いることができる抗体は、4A5−3.1.1−B4のVHCDR1、VHCDR2、VHCDR3およびVLCDR1、VLCDR2およびVLCDR3領域を含む。
【0172】
特別な実施形態において、本発明の方法で用いることができるニュートロカイン−アルファ抗体は、細胞から発現される天然ニュートロカイン−アルファポリペプチドに特異的に結合する。
【0173】
C.ニュートロカイン−アルファ結合ポリペプチド
特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストはニュートロカイン−アルファ結合ペプチドまたはポリペプチドである。ニュートロカイン−アルファ結合ペプチドまたはポリペプチドは、例えば、その各々をここに引用してその全体を援用する、国際特許公開番号WO05/005262、WO05/000351、WO02/092620、WO02/16412、WO02/02641およびWO02/16411およびUS特許公開番号US2006135430、US2006084608、US2003194743、US20030195156およびUS2003091565に記載されている。ニュートロカイン−アルファ結合ペプチドまたはポリペプチドは、例えば、ここに引用してその全体を援用する、Sunら,(2006)Biochem.Biophys.Res.Commun.346:1158−1162に記載されている。本発明の方法で用いることができるニュートロカイン−アルファ結合ペプチドは、フィラメント状ファージのコートタンパク質との融合によって提示されたランダムペプチド配列から同定された短いポリペプチドを含む。ファージディスプレイペプチドライブラリー技術の議論のためには、例えば、Scottら、(1990),Science 249: 386;Devlinら、(1990),Science 249;1993年6月29日に発行された米国特許第5,223,409号;1998年3月31日に発行された米国特許第5,733,731号;1996年3月12日に発行された米国特許第5,498,530号;1995年7月11日に発行された米国特許第5,432,018号;1994年8月16日に発行された米国特許第5,338,665号;1999年7月13日に発行された米国特許第5,922,545号;1996年12月19日に公開されたWO96/40987;および1998年4月16日に発行されたWO98/15833(その各々をここに引用してその全体を援用する)。該ペプチドを発現するファージは固定化されたニュートロカイン−アルファ標的ペプチドに対する継続ラウンドのアフィニティー精製、続いての再増殖によって単離される。ニュートロカイン−アルファに対する最高結合を持つ候補を配列決定して、各結合ペプチドの同一性を決定することができる。次いで、各同定されたニュートロカイン−アルファ結合ペプチドを「ビヒクル」に結合させて、本発明の方法で用いるさらなるニュートロカイン−アルファ結合ペプチドを生じさせることができる。用語「ビヒクル」とは、分解を妨げ、および/または半減期を増大させ、毒性を低下させ、免疫原性を低下させ、またはニュートロカイン−アルファ結合ペプチドの生物学的活性を増加させる分子をいう。例示的なビヒクルはFcドメインおよびその変異体(好ましい「ペプチボディ」);線状ポリマー(例えば、5kD、20kD、および30kD PEG、ポリリシン、デキストラン等を含めたポリエチレングリコール(PEG));分岐鎖ポリマー(例えば、1981年月15日に発行されたDenkenwalterらに対する米国特許第4,289,872号;1993年7月20日に発行されたTamに対する第5,229,490号;1993年10月28日に公開されたFrechetらによるWO93/21259);脂質;(ステロイドのような)コレステロール基;炭水化物またはオリゴ糖(例えば、デキストラン);サルベージ受容体に結合する天然または合成タンパク質、ポリペプチドまたはペプチド;限定されるものではないが、組換えヒトアルブミンまたはその断片または変異体を含めたアルブミン(例えば、ここに引用してその全体を援用する、1999年3月2日に発行された米国特許第5,876,969号、EP0 413 622、および1998年6月16日に発行された米国特許第5,766,883号参照);およびロイシンジッパードメイン、および他のそのようなタンパク質およびタンパク質断片を含む。本発明の方法で用いることができるニュートロカイン−アルファ結合ペプチドは、アミノ酸残基の一つのN−末端、C−末端、または側鎖を介してペプチドに結合した少なくと別のビヒクルの存在を必要とする。多数のビヒクルを用いることもできる;例えば、各末端におけるFc、または末端におけるFc、および他の末端または側鎖におけるPEG基。ニュートロカイン−アルファ結合ペプチドのためには、Fcドメインは好ましいビヒクルである。FcドメインはペプチドのNまたはC末端に、あるいはNおよびC末端双方において融合することができる。N末端への融合が好ましい。
【0174】
前記したように、Fc変異体は、本発明の方法で用いることができるニュートロカイン−アルファ結合ペプチドのための適当なビヒクルである。天然Fcを広く修飾してFc変異体を形成することができ、但し、サルベージ受容体への結合は維持されるものとする;例えば、WO97/34631およびWO 6/32478参照。そのようなFc変異体においては、本発明の方法で用いることができるニュートロカイン−アルファ結合ペプチドによって必要とされない構造的特徴または機能的活性を供する天然Fcの1以上の部位を除去することができる。これらの部位は、例えば、残基を置換し、または欠失させ、該部位に残基を挿入し、または該部位を含有する部分を切断することによって除去することができる。挿入されたまたは置換された残基はペプチド模倣物スまたはD−アミノ酸のような改変されたアミノ酸であってもよい。Fc変異体は多数の理由で望ましく、そのいくつかは、後に記載する。例示的なFc変異体は分子および配列を含み、ここに:
1.ジスルフィド結合形成に関与する部位を除去する。そのような除去は、本発明の分子を産生するのに用いる宿主細胞に存在する他のシステイン−含有タンパク質との反応を回避することができる。この目的では、N−末端におけるシステイン−含有セグメントを切断することができ、あるいはシステイン残基を欠失させ、あるいは他のアミノ酸(例えば、アラニル、セリル)、で置換することができる。システイン残基を除去する場合においてさえ、単一鎖Fcドメインは、一緒に非共有結合的に保有されるダイマーFcドメインを依然として形成することができる。
【0175】
2.天然Fcは、それを選択された宿主細胞とより適合させるように修飾される。例えば、プロリンイミノペプチダーゼのようなE.coli中の消化酵素によって認識され得る典型的な天然FcのN−末端近くのPA配列を除去することができる。また、特に、分子がE.coliのような細菌細胞において組換えにより発現される場合に、N−末端メチオニン残基を付加することもできる。
【0176】
3.天然FcのN−末端の部分を除去して、選択された宿主細胞で発現させる場合に、N−末端不均一性を妨げる。この目的では、N−末端における最初の20のアミノ酸残基のいずれかを欠失させることができる。
【0177】
4.1以上のグリコシル化部位を除去する。典型的にはグリコシル化される残基(例えば、アスパラギン)は細胞溶解性応答を付与することができる。そのような残基は欠失し、または未グリコシル化残基(例えば、アラニン)で置換することができる。
【0178】
5.C1q結合部位のような補体との相互作用に関与する部位を除去する。例えば、ヒトIgG1のEKK配列を欠失し、または置換することができる。補体動員は、本発明の方法で用いることができる分子にとって有利ではなく、従って、そのようなFc変異体で回避することができる。
【0179】
6.サルベージ受容体以外のFc受容体への結合に影響する部位を除去する。天然Fcは、本発明の方法で用いることができるニュートロカイン−アルファ結合ペプチド融合分子に必要なある種の白血球細胞との相互作用のための部位を有することができ、従って、除去することができる。
【0180】
7.ADCC部位は除去される。ADCC部位は当該分野で公知である;例えば、IgG1におけるADCC部位に関しては、Molec.Immunol.29(5):633−9(1992)参照。これらの部位は、同様に、本発明の方法で用いることができる融合分子に必要ではなく、従って、除去することができる。
【0181】
8.天然Fcが非−ヒト抗体に由来する場合、天然Fcをヒト化することができる。典型的には、天然Fcをヒト化するには、非−ヒト天然Fcにおける選択された残基を、ヒト天然Fcで通常見出される残基で置換する。抗体のヒト化のための技術は当該分野でよく知られている。
【0182】
本発明の方法で用いることができるニュートロカイン−アルファ結合ペプチドのための代替ビヒクルは、サルベージ受容体に結合することができるタンパク質、ポリペプチド、ペプチド、抗体、抗体断片または小分子(例えば、ペプチド模倣化合物)であろう。例えば、米国特許第5,739,277号に記載されたポリペプチドをビヒクルとして用いることができよう。ペプチドは、ファージディスプレイ、またはサルベージ受容体への結合についてのRNA−ペプチドスクリーニングによって選択することもできる。そのようなサルベージ受容体−結合化合物は「ビヒクル」の意味内にやはり含まれ、本発明の方法で用いることができるニュートロカイン−アルファ結合ペプチドで用いることができる。そのようなビヒクルは、(例えば、プロテアーゼによって認識される配列を回避することによって)増大した半減期、および(例えば、抗体ヒト化において発見された非−免疫原性配列を好都合とすることによって)減少した免疫原性について選択すべきである。
【0183】
前記したように、ポリマービヒクルを、本発明の方法で用いることができるニュートロカイン−アルファ結合ペプチドで用いることもできる。ビヒクルとして有用な化学部位を結合させるための種々の手段が現在利用可能である。例えば、ここに引用してその全体を援用する、特許協力条約(「PCT」)国際公開番号WO96/11953参照。このPCT公開は、とりわけ、タンパク質のN−末端への水溶性ポリマーの選択的結合を開示する。
【0184】
特別な実施形態において、好ましいポリマービヒクルはポリエチレングリコール(PEG)である。PEG基はいずれの便宜な分子量のものであってもよく、線状または分岐状であってよい。PEGの平均分子量は、好ましくは、約2キロダルトン(「kD」)〜100kD、より好ましくは約5kD〜約50kD、最も好ましくは約5kD〜約10kDの範囲である。PEG基は、一般には、PEG部位上の反応性基(例えば、アルデヒド、アミノ、チオール、またはエステル基)を通じてのアシル化または還元性アルキル化を介する本発明の方法で用いることができるニュートロカイン−アルファ結合部位のために、本発明の化合物上の反応性基(例えば、アルデヒド、アミノ、またはエステル基)へ結合されるであろう。
【0185】
合成ペプチドのPEG化のための有用な戦略は、溶液中でコンジュゲート結合を形成することを介して、ペプチドおよびPEGを組み合わせることを含み、各々が相互に反応性である特殊な機能を担う。ペプチドは慣用的な固相合成で容易に調製することができる。ペプチドは特定の部位における適当な官能基で「予め活性化」される。前駆体は、PEG部位との反応に先立って精製し、十分に特徴付ける。ペプチドとPEGとの連結は、通常、水性相で起こる、逆相分析HPLCによって容易にモニターすることができる。PEG化ペプチドは分取用HPLCによって容易に精製し、分析HPLC、アミノ酸分析およびレーザー脱着質量分析によって特徴付けることができる。
【0186】
多糖ポリマーは、本発明の方法で用いることができるニュートロカイン−アルファ結合ペプチドで用いることができる別のタイプの水溶性ポリマーである。デキストランは、α1−6結合によって圧倒的に結合されたグルコースの個々のサブユニットよりなる多糖ポリマーである。デキストランそれ自体は多くの分子量範囲で入手でき、約1kD〜約70kDの分子量にて容易に入手可能である。デキストランは、それ自体で、あるいは他のビヒクル(例えば、Fc)と組み合せて、ビヒクルとして本発明の方法で用いることができるニュートロカイン−アルファ結合ペプチドで用いる適当な水溶性ポリマーである。例えば、WO96/11953およびWO96/05309参照。治療または診断免疫グロブリンへコンジュゲートしたデキストランの使用は報告されている;例えば、ここに引用してその全体を援用する、欧州特許公開番号0 315 456参照。約1kD〜約20kDのデキストランは、デキストランを本発明に従ってビヒクルとして用いる場合に好ましい。
【0187】
特別な実施形態において、本発明の方法で用いることができるニュートロカイン−アルファ結合ペプチドは所望により「リンカー」を含む。存在する場合、その化学的構造は重大ではない。というのは、それは主としてスペーサーとして働くからである。リンカーは、好ましくは、ペプチド結合によって一緒に連結されたアミノ酸よりなる。かくして、好ましい実施形態において、リンカーはペプチド結合によって結合された1〜30のアミノ酸から構成され、ここに、該アミノ酸は20の天然に生じるアミノ酸から選択される。これらのアミノ酸のいくつかは、当業者によってよく理解されているようにグリコシル化することができる。より好ましい実施形態において、該1〜20のアミノ酸はグリシン、アラニン、プロリン、アスパラギン、グルタミン、およびリシンから選択される。なおより好ましくは、リンカーは、グリシンおよびアラニンのような立体的障害がないアミノ酸の大部分から構成される。かくして、好ましいリンカーはポリグリシン(特に、(Gly)、(Gly)、ポリ(Gly−Ala)、およびポリアラニンである。好ましいリンカーは5を超えるアミノ酸を含むリンカーであり、適当なリンカーはグリシン、アラニン、プロリン、アスパラギン、グルタミン、リシン、スレオニン、セリンまたはアスパルテートから選択される役500までのアミノ酸を有する。約20〜50のアミノ酸のリンカーが最も好ましい。
【0188】
非−ペプチドリンカーも、本発明の方法で用いることができるニュートロカイン−アルファ結合ペプチドで有用である。例えば、nが2〜20である−NH−(CH−C(O)−のようなアルキルリンカーを用いることができる。これらのアルキルリンカーは、さらに、低級アルキル(例えば、C−C)低級アシル、ハロゲン(例えば、Cl、Br)、CN、NH、フェニル等のようないずれかの非立体障害基によって置換され得る。
【0189】
好ましい実施形態において、本発明の方法で用いることができるニュートロカイン−アルファ結合ペプチドは配列番号23のアミノ酸配列、配列番号24のアミノ酸配列、または配列番号25のアミノ酸配列を含む。特に好ましい実施形態において、本発明の方法で用いることができるニュートロカイン−アルファ結合ペプチドは、配列番号23のアミノ酸配列である(AMG 623;AGP3ペプチボディ)。
【0190】
ニュートロカイン−アルファ受容体
特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストはニュートロカイン−アルファ受容体タンパク質、またはその断片または変異体である。ニュートロカイン−アルファ受容体は、例えば、膜貫通アクチベーターおよびCAMLインターアクター(TACI、GenBank受託番号AAC51790、配列番号6)、B細胞活性化因子受容体(BAFF−R、GenBank受託番号NP 443177 配列番号10)、およびB−細胞成熟化抗原(BCMA、GenBank受託番号NP 001183 配列番号8)を含む。ニュートロカイン−アルファ受容体タンパク質、その断片および変異体ならびにそれに対する抗体は、例えば、PCT公開WO03/014294、WO02/066516、WO02/024909、WO03/014294、WO03/024991、WO02/094852およびWO04/011611、および米国特許公開番号US20030148445、US20030099990、US2005070689、US2005043516およびUS2003012783に記載されており、後により詳細に記載する。前記した文献の各々をここに引用してその全体を援用する。
【0191】
D.ニュートロカイン−アルファ受容体、TACI
以下に記載したもののようなTACIポリペプチドは、ニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILアンタゴニストとして作用し、本発明の方法で用いることもできるTR17としても知られたTACIは、約31.8kDaの推定分子量を持つ293アミノ酸残基(配列番号6)のタンパク質である。TACIをコードするcDNAのヌクレオチド配列は配列番号5に与えられる。約1〜約165の推定アミノ酸は細胞外ドメインを構成する(配列番号6);約166〜約186のアミノ酸は膜貫通ドメイン(配列番号6)を構成し;および約187〜約293のアミノ酸は細胞内ドメインを構成する(配列番号6)。
【0192】
従って、1つの実施形態において、本発明の方法で用いることができるTACIタンパク質は、配列番号6のアミノ酸配列を含むか、あるいはそれよりなる単離されたポリペプチド、または例えば、(配列番号6のアミノ酸1〜165を含む)TACI細胞外ドメインおよび/または(配列番号6のアミノ酸33〜104を含む)TACIシステインリッチなドメインのような、配列番号6の一部を含むか、あるいはそれよりなるポリペプチド;ならびに前記したポリペプチドに対して少なくとも80%同一、より好ましくは少なくとも90%または95同一、なおより好ましくは少なくとも96%、97%、98%、99%または100%同一であるポリペプチドである。
【0193】
別の実施形態において、本発明の方法で用いることができるTACIタンパク質は、配列番号6のアミノ酸1〜154を含む単離されたポリペプチド、ならびに前記したポリペプチドに対して少なくとも80%同一、より好ましくは少なくとも90%または95%同一、なおより好ましくは少なくとも96%、97%、98%、99%または100%同一であるポリペプチドである。
【0194】
TACIポリペプチドの参照アミノ酸配列に対して少なくとも、例えば、95%「同一」であるアミノ酸配列を有するポリペプチドとは、ポリペプチド配列がTACI受容体の参照アミノ酸の各100アミノ酸当たり5までのアミノ酸改変改変を含んでもよいことを除いて、ポリペプチドのアミノ酸配列が参照配列に同一であることを意図する。換言すれば、参照アミノ酸配列に対して少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドを得るには、参照配列における5%までのアミノ酸残基を欠失し、または別のアミノ酸で置換することができ、あるいは参照配列における合計アミノ酸残基の5%までのアミノ酸の数を参照配列に挿入することができる。参照配列のこれらの改変は、参照アミノ酸配列のアミノまたはカルボキシ末端位置において、あるいは末端位置の間のどこかで起こることができ、参照配列における残基の間に個々に、または参照配列内の1以上の隣接基において散在し得る。
【0195】
TACIのポリペプチド断片は配列番号6に含まれるアミノ酸配列を含むか、あるいはそれよりなるポリペプチドを含む。ポリペプチド断片は「独立して存在」することができるか、あるいは最も好ましくは単一連続領域として、断片が部分または領域を形成するより大きなポリペプチド内に含まれる。さらなる実施形態において、ポリペプチド断片は1以上のTACIドメインを含み、あるいはあるいはそれよりなる。好ましいポリペプチド断片は:(a)(配列番号6の約1〜約165のアミノ酸残基を構成すると予測される)TACI細胞外ドメインを含むか、あるいはそれよりなるポリペプチド;(b)(配列番号6の約33〜約104のアミノ酸残基を構成すると予測される)TACIシステインリッチなドメインを含むか、あるいはそれよりなるポリペプチド;(c)(配列番号6の約166〜約186のアミノ酸残基を構成すると予測される)TACI膜貫通ドメインを含むか、あるいはそれよりなるポリペプチド;(d)(配列番号6の約187〜約293のアミノ酸残基を構成すると予測される)TACI細胞内ドメインを含むか、あるいはそれよりなるポリペプチド;(e)ポリペプチド(a)〜(d)のいずれかの組合せから選択されるメンバーを含む。
【0196】
TACIの細胞外システインリッチなモチーフはTACIおよびそのリガンド、ニュートロカイン−アルファおよびAPRILの間の相互作用で重要である。従って、好ましい実施形態において、本発明の方法で用いることができるTACIポリペプチド断片は、配列番号6のアミノ酸残基33〜66および/または70〜104を含むか、あるいはそれよりなる。特別な実施形態において、本発明の方法で用いることができるTACIポリペプチドは細胞外システインリッチなモチーフ(配列番号6の残基33〜66および残基70〜104)の一方または双方を含み、あるいはあるいはそれよりなる。これらのシステインリッチなモチーフの一方または双方のポリペプチド配列に対して少なくとも80%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるポリペプチド配列を含む、あるいはあるいはそれよりなるタンパク質の好ましい。
【0197】
本発明の方法で用いることができるTACIタンパク質の他の断片は、TACIの構造的または機能的属性によって特徴付けられる断片である。そのような断片は、アルファラセンおよびアルファラセン形成領域(「アルファ領域」)、ベータシートおよびベータシート形成領域(「ベータ領域」)、ターンおよびターン形成領域(「ターン領域」)、コイルおよびコイル形成領域(「コイル領域」)、親水性領域、疎水性領域、アルファ両親媒性領域、ベータ両親媒性領域、表面形成領域、および米国特許第6,969,519号に議論されたような、完全な(すなわち、全長)TACI(配列番号6)の(Jameson−Wolfプログラムのデフォルトパラメータを用いて同定された、1.5以上の抗原性指標を有する4以上の連続アミノ酸を含有する)高抗原性指標領域を含む。ある好ましい領域は、限定されるものではないが、これらのコンピュータプログラムのデフォルトパラメータを用いて予測される、Garnier−Robson予測アルファ領域、ベータ領域、ターン領域、およびコイル領域;Chou−Fasman予測アルファ領域、ベータ領域、およびターン−領域;Kyte−Doolittle予測親水性;Hopp−Woods予測疎水性領域;Eisenbergアルファおよびベータ両親媒性領域;Emini表面−形成領域;およびJameson−Wolf高抗原性指標領域を含む。
【0198】
本発明の方法で用いられるTACIポリペプチドは、((異なるタンパク質の)異種タンパク質配列に結合したペプチドを介して連結されたポリペプチドを含む)融合タンパク質のような修飾された形態で発現、分泌シグナルのみならず、さらなる異種機能領域を含むことができる。あるいは、そのような融合タンパク質は、タンパク質合成技術によって、例えば、ペプチドシンセサイザの使用によって作成することができる。かくして、さらなるアミノ酸、特に荷電したアミノ酸の領域をペプチドのN−末端に付加して、精製の間にあるいは引き続いての取り扱いおよび貯蔵の間に宿主細胞における安定性および必要性を改善することができる。また、ペプチド部位をポリペプチドに付加して、精製を容易とすることができる。そのような領域は、ポリペプチドの最終調製に先立って除去することができる。分泌または排出を起こし、安定性を改善し、および精製を容易とするためのペプチド部位のポリペプチドへの付加は、とりわけ当該分野において精通したかつルーチン的な技術である。
【0199】
本発明の方法で用いることができる好ましいTACI融合タンパク質は、タンパク質を可溶化するのに有用な免疫グロブリンからの異種領域を含む。例えば、EP−A−O 464533(カナダ対応出願2045869)およびWO00/024782は、別のヒトタンパク質またはその部分と共に、免疫グロブリン分子の定常領域の種々の部分を含む融合タンパク質を開示する。TACI免疫グロブリン融合タンパク質が、例えば、ここに引用してその全体を援用する、PCT公開WO01/60397、WO01/81417、WO01/087977、およびWO02/94852;米国公開番号US2003103986およびUS2006034852およびGrossら,(2000)Nature 404:995−999およびYuら,(2000)Nat Immunol 1:252−256に記載されている。多くの場合において、融合タンパク質におけるFc部分は、治療および診断で用いるのにかなり有利であり、かくして、例えば、改善された薬物動態学特性をもたらす(EP−A 0232 262)。他方、いくつかの場合には、融合タンパク質が記載された有利な方法で発現され、検出され、および精製された後に、Fc部分を欠失することができるのが望ましいであろう。これは、Fc部分が治療および診断で用いるのに障害となることが判明した場合、例えば、融合タンパク質が免疫化用の抗原として用いるべき場合に当てはまる。薬物発見において、例えば、hIL5−受容体のようなヒトタンパク質は、hIL−5のアンタゴニストを同定するための高スループットスクリーニングアッセイの目的で、Fc部分と融合されている。D.Bennettら,Journal of Molecular Recognition 8:52−58(1995)およびK.Johansonら,The Journal of Biological Chemistry 270:16:9459−9471(1995)参照。特別な実施形態において、本発明の方法で用いることができるATCI−Fc融合タンパク質は、Atacicept(TACI−Ig)である。
【0200】
当業者が認識するように、かつ先に議論したように、TACIポリペプチドは他のポリペプチド配列に融合させることができる。例えば、TACIポリペプチドは免疫グロブリンの定常ドメイン(IgA、IgE、IgG、IgM)、その部分(CH1、CH2、CH3、またはそのいずれかの組合せ、およびその部分)、または(限定されるものではないが、組換えヒトアルブミンまたはその断片または変異体(例えば、ここに引用してその全体を援用する、1999年3月2日に発行された米国特許第5,876,969号、EP特許0 413 622、および1998年6月16日に発行された米国特許第5,766,883号参照)を含めた)アルブミンと融合させることができ、その結果、キメラポリペプチドがもたらされる。
【0201】
そのような融合タンパク質は精製を容易とすることができ、貯蔵寿命を延長することができ、インビボにて半減期を増加させることができる。これは、ヒトCD4−ポリペプチドの最初の2つのドメイン、および哺乳動物免疫グロブリンの重鎖または軽鎖の定常領域の種々のドメインよりなるキメラタンパク質で示されている。例えば、EP 394,827;Traunecker ら.,Nature,331:84−86(1988)参照。免疫系に対する上皮バリアーを横切っての抗原の増強された送達は、IgGまたはFc断片のようなFcRn結合パートナーにコンジュゲートされた抗原(例えば、インスリン)について示されている(例えば、PCT公開WO96/22024およびWO99/04813参照)。IgG部分ジスルフィド結合のためジスルフィド−結合ダイマー構造を有するIgG融合タンパク質は、モノマーポリペプチド、またはその断片単独以外の分子の結合および中和においてより効果的であることも判明した。例えば、Fountounakis ら.,J.Biochem.,270:3958−3964(1995)参照。
【0202】
本発明の方法で用いることができるアルブミン融合タンパク質は、好ましくは遺伝子融合(すなわち、アルブミン融合タンパク質は、TACIの全てまたは部分をコードするポリヌクレオチドがアルブミンの全てまたは部分をコードするポリヌクレオチドとイン−フレームと連結された核酸の翻訳によって生じる)、または相互への化学的結合によって相互に結合した、TACIポリペプチドの少なくとも断片または変異体、およびヒト血清アルブミンの少なくとも断片または変異体を含む。アルブミン融合タンパク質の一部分であったTACIポリペプチドおよびアルブミンタンパク質は、アルブミン融合タンパク質の「部分」、「領域」または「部位」ということができる(例えば、「TACI部分」または「アルブミンタンパク質部分」)。
【0203】
別の実施形態において、本発明の方法で用いることができるアルブミン融合タンパク質は、TACIポリペプチドおよび血清アルブミンタンパク質を含むか、あるいはそれよりなる。他の実施形態において、本発明の方法で用いることができるアルブミン融合タンパク質は、TACIの断片、および血清アルブミンタンパク質を含むか、あるいはそれよりなる。他の実施形態において、本発明の方法で用いることができるアルブミン融合タンパク質は、TACIの変異体および血清アルブミンタンパク質を含むか、あるいはそれよりなる。好ましい実施形態において、アルブミン融合タンパク質の血清アルブミンタンパク質成分は血清アルブミンの成熟部分である。
【0204】
さらなる実施形態において、本発明の方法で用いることができるアルブミン融合タンパク質は、TACIポリペプチド、および血清アルブミンの生物学的に活性なおよび/または治療的に活性な断片を含み、あるいはあるいはそれよりなる。さらなる実施形態において、本発明の方法で用いることができるアルブミン融合タンパク質は、TACIポリペプチド、および血清アルブミンの生物学的に活性なおよび/または治療的に活性な変異体を含み、あるいはあるいはそれよりなる。好ましい実施形態において、アルブミン融合タンパク質のTACI部分は全長TACIポリペプチドである。さらに好ましい実施形態において、アルブミン融合タンパク質のTACI部分はTACIポリペプチドの成熟可溶性ドメインである。
【0205】
さらなる実施形態において、本発明の方法で用いることができるアルブミン融合タンパク質は、TACIの断片または変異体、および血清アルブミンの生物学的に活性なおよび/または治療的に活性な断片または変異体を含み、あるいはあるいはそれよりなる。好ましい実施形態において、本発明は、TACIポリペプチドの成熟部分、および血清アルブミンの成熟部分を含む、あるいはあるいはそれよりなるアルブミン融合タンパク質を提供する。
【0206】
さらなる実施形態において、本発明の方法で用いることができるアルブミン融合タンパク質は、TACIの断片または変異体、および血清アルブミンの生物学的に活性なおよび/または治療的に活性な断片または変異体を含み、あるいはあるいはそれよりなる。好ましい実施形態において、本発明は、TACIポリペプチドの成熟部分、および(限定されるものではないが、組換えヒト血清アルブミン、またはその断片または変異体(例えば、ここに引用してその全体を援用する、1999年3月2日に発行された米国特許第5,876,969号、EP特許0 413 622、および1998年6月16日に発行された米国特許第5,766,883号参照)を含めた)血清アルブミンの成熟部分を含む、あるいはあるいはそれよりなるアルブミン融合タンパク質を提供する。好ましい実施形態において、(その断片または変異体を含めた)TACIポリペプチドは、ヒト血清アルブミンの成熟形態(すなわち、ここに引用してその全体を援用するEP特許0 322 094の図1および2に示されたヒト血清アルブミンのアミノ酸1〜585)と融合させる。別の好ましい実施形態において、(その断片または変異体を含めた)本発明の抗体は、xが1〜585の整数であるヒト血清アルブミンのアミノ酸残基1−xを含む、あるいはあるいはそれよりなるポリペプチド断片に融合され、およびアルブミン断片はヒト血清アルブミン活性を有する。別の好ましい実施形態において、(その断片または変異体を含めた)TACIポリペプチドは、ここに引用してその全体を援用する、米国特許第5,766,883号に記載されたような、zが369〜419の整数であるヒト血清アルブミンのアミノ酸残基1−zを含む、あるいはあるいはそれよりなるポリペプチド断片と融合される。(その断片または変異体を含めた)TACIポリペプチドは、異種タンパク質(例えば、免疫グロブリンFcポリペプチドまたはヒト血清アルブミンポリペプチド)のN−またはC−末端に融合させることができる。
【0207】
好ましい実施形態において、本発明の方法で用いることができるアルブミン融合タンパク質で用いられるヒト血清アルブミンタンパク質は、配列番号11:Leu−407をAlaに、Leu−408をValに、Val−409をAlaに、およびArg−410をAlaに;またはArg−410をAに、Lys−413をGlnに、およびLys−414をGlnに、を参照する点突然変異の以下の組の一方または双方を含有する(例えば、ここに引用してその全体を援用する国際公開番号WO95/23857参照)。なおより好ましい実施形態において、点突然変異の前記した組一方または双方を含有する本発明の方法で用いることができるアルブミン融合タンパク質は、酵母Yap3pタンパク質分解切断に対して改善された安定性/抵抗性を有し、酵母宿主細胞で発現された組換えアルブミン融合タンパク質の増大した産生を可能とする。
【0208】
好ましくは、本発明の方法で用いることができるアルブミン融合タンパク質は、N−末端部分としてのHA、およびC−末端部分としてのTACIポリペプチドを含む。あるいは、C−末端部分としてのHA、およびN−末端部分としてのTACIポリペプチドを含むアルブミン融合タンパク質を用いることができる。
【0209】
他の実施形態において、本発明の方法で用いることができるアルブミン融合タンパク質は、アルブミンのN−末端およびC−末端双方に融合されるTACIポリペプチドを有する。特別な実施形態においてN−およびC−末端において融合したTACIポリペプチドは同一である。別の実施形態において、N−およびC−末端において融合したTACIポリペプチドは異なるTACIポリペプチドである。別の実施形態において、TACIポリペプチドはアルブミンのN−またはC−末端においていずれかにおいて融合しており、および異種ポリペプチドは残りの末端において融合している。
【0210】
加えて、本発明の方法で用いることができるアルブミン融合タンパク質は、融合した部分の間のリンカーペプチドを含んで、該部位の間のより大きな物理的分離を供することができる。リンカーペプチドはそれがフレキシブルであるかまたはより剛性であるようにアミノ酸よりなることができる。
【0211】
一般に、本発明の方法で用いることができる、アルブミン融合タンパク質は、一つのHA−由来領域および一つのTACI領域を有する。しかしながら、各タンパク質の複数領域を用いて、本発明の方法で用いることができるアルブミン融合タンパク質を作成することができる。同様に、1を超えるタンパク質を用いて、本発明の方法で用いることができるアルブミン融合タンパク質を作成することができる。例えば、タンパク質をHAのN−およびC−末端双方に融合させることができる。そのような立体配置において、タンパク質部分は同一または異なるタンパク質分子であってよい。二機能的アルブミン融合タンパク質の構造は:X−HA−YまたはY−HA−Xとして表すことができる。
【0212】
特別な実施形態において、本発明の方法で用いることができるTACIタンパク質またはその断片または変異体をサイトトキシン(例えば、細胞増殖抑制剤または殺細胞剤)にコンジュゲートすることができる。サイトトキシンまたはサイトトキシン剤は細胞に対して有害ないずれの剤も含む。その例はパクリタキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、マイトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1−デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、およびピューロマイシン、およびそのアナログまたはホモログを含む。
【0213】
別の実施形態において、本発明の方法で用いることができるTACIタンパク質、またはその断片または変異体はトキシンにコンジュゲートすることができる。
【0214】
「トキシン」とは、規定された条件下で細胞の死滅を引き起こす細胞の表面中または表面上に通常は存在しない、内因性細胞傷害性エフェクター系、放射性同位体、ホロトキシン、修飾されたトキシン、トキシンの触媒サブユニット、またはいずれかの分子または酵素に結合し、それを活性化する1以上の化合物を意味する。使用することができるトキシンは、限定されるものではないが、当該分野で知られた放射性同位体、例えば、固有のまたは誘導された内因性細胞傷害性エフェクター系に結合する抗体(またはその部分を含有する補体固定)、チミジンキナーゼ、エンドヌクレアーゼ、RNAse、アルファトキシン、リシン、アブリン、ジュードモナスエキソトキシンA、ジフテリアトキシン、サポリン、モモルジン、ゲロニン、アメリカヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、アルファ―サルシンおよびコレラトキシンのような化合物を含む。「トキシン」は、細胞増殖抑制剤または殺細胞剤、治療剤または放射性金属イオン、例えば、213Biのようなアルファ―エミッター、または例えば103Pd、133Xe、131I、68Ge、57Co、65Zn、85Sr、32P、35S、90Y、153Sm、153Gd、169Yb、51Cr、54Mn、75Se、113Sn、90イッテリウム、117スズ、186レニウム、166ホロミウム、および188レニウムのような他の放射性同位体も含む。
【0215】
本発明の方法で用いることができるTACIポリペプチドの特徴を改良または改変するためには、タンパク質エンジニアリングを使用することができる。当業者に知られた組換えDNA技術を用いて、新規な突然変異タンパク質または「単一または多数のアミノ酸置換、欠失、負荷または融合タンパク質を含めたムテイン」を作り出すことができる。そのような修飾されたポリペプチドは、例えば、増強された活性または増強された安定性を示すことができる。加えて、それらはより高い収率で精製することができ、少なくともある精製および貯蔵条件下で対応する天然ポリペプチドよりも良好な溶解性を示す。
【0216】
本発明の方法で用いることができるTACIタンパク質はモノマーまたはマルチマー(すなわち、ダイマー、トリマー、テトラマーおよびより高次のマルチマー)であってよい。特別な実施形態において、本発明のポリペプチドはモノマー、ダイマー、トリマーまたはテトラマーである。さらなる実施形態において、本発明のマルチマーは少なくともダイマー、少なくともトリマー、または少なくともテトラマーである。タンパク質のTNFファミリーのあるメンバーは、トリマー形態で存在すると信じられている(Beutler and Huffel,Science 264:667,1994;Banner ら.,Cell 73:431,1993)。かくして、トリマーTACIは増強された生物学的活性の利点を供することができる。
【0217】
特別な実施形態において、マルチマーはホモマーまたはヘテロマーであってよい。本明細書中で用いるように、用語ホモマーとは、(本明細書中に記載されたTACI断片、変異体、および融合タンパク質を含めた)TACIタンパク質のみを含有するマルチマーをいう。これらのホモマーは、同一または異なるポリペプチド配列を有するTACIタンパク質を含有することができる。特別な実施形態において、ホモマーは同一のポリペプチド配列を有するTACIタンパク質のみを含有するマルチマーである。別の特別な実施形態において、ホモマーは、異なるポリペプチド配列を有するTACIタンパク質を含有するマルチマーである。
【0218】
本明細書中で用いるように、用語ヘテロマーとは、TACIタンパク質に加えて、異種タンパク質(すなわち、TACI遺伝子によってコードされたポリペプチド配列に対応しないポリペプチド配列のみを含有するタンパク質)を含有するマルチマーをいう。マルチマーは、疎水性、親水性、イオン性および/または共有結合の結果であってよく、および/または例えば、リポソーム形成によって間接的に連結され得る。かくして、1つの実施形態において、例えば、ホモダイマー、ホモトリマー、ヘテロトリマーまたはヘテロテトラマーのようなマルチマーは、タンパク質が溶液中で相互に接触する場合に形成される。他の実施形態において、マルチマーはTACIタンパク質との、および/またはその間の共有結合によって形成される。そのような共有結合は、タンパク質のポリペプチド配列に含まれる1以上のアミノ酸残基を含むことができる。1つの例において、共有結合は、天然(すなわち、天然に生じる)ポリペプチドにおいて相互作用するタンパク質のポリペプチド配列内に位置するシステイン残基の間の架橋である。別の例において、共有結合は化学的または組換え操作の結果である。
【0219】
あるいは、そのような共有結合は、TACI融合タンパク質における異種ポリペプチド配列に含有された1以上のアミノ酸残基を含むことができる。1つの例において、共有結合は融合タンパク質に含有された異種配列の間である(例えば、ここに引用してその内容の全体を援用する、米国特許第5,478,925号参照)。特別な例において、共有結合は(本明細書中に記載された)TACI−Fc融合タンパク質に含有された異種配列の間である。別の特別な例において、融合タンパク質の共有結合は、例えば、オセテオプロテゲリンのような、共有結合によるマルチマーを形成することができる別のTNFファミリーリガンド/受容体メンバーからの異種ポリペプチド配列の間である(例えば、ここに引用してその内容の全体を援用する、国際公開番号WO98/49305参照)。別の実施形態において、2以上のTACIポリペプチドは合成リンカー(例えば、ペプチド、炭水化物または可溶性ポリマーリンカー)を介して連結される。その例は(ここに引用して援用する)米国特許第5,073,627号に記載されたペプチドリンカーを含む。ペプチドリンカーによって分離された多数のTACIポリペプチドを含むタンパク質は、慣用的な組換えDNA技術を用いて産生することができる。
【0220】
特別な実施形態において、(特異的抗体−抗原結合をアッセイするための当該分野で良く知られたイムノアッセイによって測定して)TACIポリペプチド、ポリペプチド断片、配列番号6の変異体、および/またはTACIポリペプチドエピトープに結合する抗体は、本発明の方法で用いることができる。抗TACI抗体およびその断片は、例えば、PCT公開WO04/011611、WO01/087977、WO01/60397、およびWO02/66516;米国特許公開US2005043516およびUS2003012783;およびCh’enら,(2005)Cell Immunol 236:78−85およびLiuら,(2003)Xi Bao Yu Fen Zi Mian Yi Xue Za Zhi 19:168−169に記載されている。前記文献の各々を、ここに引用してその全体を援用する。抗体は、限定されるものではないが、ポリクローナル、モノクローナル、多特異的、ヒト、ヒト化またはキメラ抗体、単一鎖抗体、Fab断片、F(ab’)断片、Fab発現ライブラリーによって産生される断片、抗−イディオタイプ(抗−Id)抗体(例えば、抗−TACI抗体に対する抗−Id抗体を含む)、および前記のいずれかのエピトープ−結合断片を含む。本明細書中で用いる用語「抗体」とは、免疫グロブリン分子、および免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分、すなわち、免疫特異的に抗原に結合する抗原結合部位を含有する分子をいう。免疫グロブリン分子は免疫グロブリン分子のいずれかのタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)、またはサブクラスとすることができる。特別な実施形態において、免疫グロブリン分子はIgG1である。他の特別な実施形態において、免疫グロブリン分子はIgG4である。
【0221】
本発明の方法で用いることができるTACI結合抗体は、限定されるものではないが、Fab、Fab’およびF(ab’)2、Fd、単一−鎖Fvs(scFv)、単一−鎖抗体、ジスルフィド−結合Fvs(scFv)、およびVLまたはVHドメインいずれかを含む断片を含む。単一−鎖抗体を含めた抗原−結合抗体断片は、単独の、または以下の:ヒンジ領域、CH1、CH2、およびCH3ドメインの全てまたは部分と組み合わせた可変領域を含むことができる。また、ヒンジ領域、CH1、CH2、およびCH3ドメインと共に可変領域のいずれかの組合せも含む抗原−結合断片が含まれる。抗体は、鳥類および哺乳動物を含めたいずれかの動物起源からのものであっても良い。好ましくは、抗体はヒト、ネズミ(例えば、マウスおよびラット)、ロバ、シップウサギ、ヤギ、モルモット、ラクダ、ウマ、またはニワトリである。本明細書中に用いるように、「ヒト」抗体は、ここに引用してその内容の全体を援用する、例えば、Kucherlapatiら、による米国特許第5,939,598号に記載されているように、ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を有する抗体を含み、ヒト免疫グロブリンライブラリーから、または1以上のヒト免疫グロブリンについてトランスジェニックな動物から単離され、内因性免疫グロブリンを発現しない抗体を含む。
【0222】
本発明の方法で用いることができる抗−TACI抗体は単一特異性、二重特異性、三重特異性またはより大きな多重特異性のものであって良い。多重特異性抗体はTACIポリペプチドの異なるエピトープに対して特異的であって良く、またはTACIポリペプチド、ならびに異種ポリペプチドまたは固体支持体材料のような異種エピトープ双方に対して特異的であって良い。例えば、PCT公開WO93/17715;WO92/08802;WO91/00360;WO 92/05793;Tuttら,J.Immunol.147:60−69(1991);米国特許第4,474,893号;第4,714,681号;第4,925,648号;第5,573,920号;第5,601,819号;Kostelnyら,J.Immunol.148:1547−1553(1992)参照。
【0223】
TACI抗体はそれらの交差反応性の点で記載し、または特定することができる。TACIポリペプチドの他のアナログ、オルソログ、またはホモログは本発明の方法で用いることができる。特別な実施形態において、TACI抗体はヒトTACIタンパク質のネズミ、ラットおよび/またはウサキセホモログ、およびその対応するエピトープと交差反応するこてができる。特別な実施形態において、本発明の方法で用いることができる抗−TACI抗体はTACIのみならず、BCMAおよびBAFF−Rにも結合する。
【0224】
本発明の方法で用いることができるTACI抗体は、TACIポリペプチドに対するその結合親和性の点で記載し、または特定することができる。好ましい結合親和性は、5×10−9M、10−9M、5×10−10M、10−10M、5×10−11M、10−11M、5×10−12M、または10−12M以下の解離定数またはKを持つものを含む。
【0225】
本発明の方法で用いることができるTACI抗体はTACIポリペプチドのアゴニストまたはアンタゴニストとして作用する。例えば、TACIポリペプチドとの受容体/リガンド相互作用を破壊するTACI抗体は部分的にまたは全部が含まれる。また、リガンド結合を妨げないが、受容体活性化を妨げる受容体特異的抗体も含まれる。受容体活性化(すなわち、シグナリング)は、本明細書に記載された、または当該分野で知られた技術によって決定することができる。例えば、受容体活性化は、当該分野で知られた技術、および/または免疫沈澱による受容体またはその基質のリン酸化(例えば、チロシンまたはセリン/スレオニン)を用いて、転写因子NF−AT、AP−1および/またはNF−カッパBを検出することによって決定することができる。
【0226】
特別な実施形態において、共にリガンド結合および受容体活性化を妨げる受容体−特異的TACI抗体、ならびに受容体リガンド複合体を認識し、好ましくは、未結合受容体または未結合リガンドを特異的に認識しないTACI抗体を本発明の方法で用いることができる。前記TACI抗体は、当該分野で知られた方法を用いて作成することができる。例えば、PCT公開WO96/40281;米国特許第5,811,097号;Dengら,Blood 92(6);1981−1988(1998);Chenら,Cancer Res. 58(16):3668−3678(1998);Harropら,J.Immunol.161(4);1786−1794(1998);Zhuら,Cancer Res. 58(15)3209−3214(1998);Yoonら,J.Immunol.160(7):3170−3179(1998);Pratら,J. Cell. Sci.111(Pt2):237−247(1998);Pitardら,J. Immunol. Methods 205(2):177−190(1997);Liautardら,Cytokine 9(4):233−241(1997);Carlsonら,J.Biol.Chem.272(17):11295−11301(1997);Tarymanら,Neuron 14(4):755−762(1995);Muller ら,Structure 6(9):1153−1167(1998);Bartunekら,Cytokine 8(1):14−20(1996)(全て、ここに引用してその全体を援用する)参照。
【0227】
E.ニュートロカイン−アルファ受容体、BCMA
以下に記載したもののようなBCMAポリペプチドは、ニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILアンタゴニストとして作用し、本発明の方法で用いることもできる。TR18としても知られたBCMAは、約20.1kDaの推定分子量を持つ184アミノ酸残基(配列番号8)のタンパク質である。BCMAをコードするcDNAのヌクレオチド配列は配列番号7に与えられる。約1〜約54の推定アミノ酸は細胞外ドメインを構成する(配列番号8);約55〜約80のアミノ酸は膜貫通ドメイン(配列番号8)を構成し;および約81〜約184のアミノ酸は細胞内ドメインを構成する(配列番号8)。
【0228】
従って、1つの実施形態において、本発明の方法で用いることができるBCMAタンパク質は、配列番号8のアミノ酸配列を含むか、あるいはそれよりなる単離されたポリペプチド、または例えば、(配列番号8のアミノ酸1〜54を含む)BCMA細胞外ドメインおよび/または(配列番号8のアミノ酸8〜41を含む)BCMAシステインリッチなドメインのような、配列番号8の一部を含むか、あるいはそれよりなるポリペプチド;ならびに前記したポリペプチドに対して少なくとも80%同一、より好ましくは少なくとも90%または95同一、なおより好ましくは少なくとも96%、97%、98%、99%または100%同一であるポリペプチドである。
【0229】
BCMAポリペプチドの参照アミノ酸配列に対して少なくとも、例えば、95%「同一」であるアミノ酸配列を有するポリペプチドとは、ポリペプチド配列がBCMA受容体の参照アミノ酸の各100アミノ酸当たり5までのアミノ酸改変を含んでもよいことを除いて、ポリペプチドのアミノ酸配列が参照配列に同一であることを意図する。換言すれば、参照アミノ酸配列に対して少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドを得るには、参照配列における5%までのアミノ酸残基を欠失し、または別のアミノ酸で置換することができ、あるいは参照配列における合計アミノ酸残基の5%までのアミノ酸の数を参照配列に挿入することができる。参照配列のこれらの改変は、参照アミノ酸配列のアミノまたはカルボキシ末端位置において、あるいは末端位置の間のどこかで起こることができ、参照配列における残基の間に個々に、または参照配列内の1以上の隣接基において散在し得る。
【0230】
BCMAのポリペプチド断片は配列番号8に含まれるアミノ酸配列を含むか、あるいはそれよりなるポリペプチドを含む。ポリペプチド断片は「独立して存在」することができるか、あるいは最も好ましくは単一連続領域として、断片が部分または領域を形成するより大きなポリペプチド内に含まれる。さらなる実施形態において、ポリペプチド断片は1以上のBCMAドメインを含み、あるいはあるいはそれよりなる。好ましいポリペプチド断片は:(a)(配列番号8の約1〜約54のアミノ酸残基を構成すると予測される)BCMA細胞外ドメインを含むか、あるいはそれよりなるポリペプチド;(b)(配列番号8の約8〜約41のアミノ酸残基を構成すると予測される)BCMAシステインリッチなドメインを含むか、あるいはそれよりなるポリペプチド;(c)(配列番号8の約55〜約80のアミノ酸残基を構成すると予測される)BCMA膜貫通ドメインを含むか、あるいはそれよりなるポリペプチド;(d)(配列番号8の約81〜約184のアミノ酸残基を構成すると予測される)BCMA細胞内ドメインを含むか、あるいはそれよりなるポリペプチド;(e)ポリペプチド(a)〜(d)のいずれかの組合せから選択されるメンバーを含む。
【0231】
BCMAの細胞外システインリッチなモチーフはBCMAおよびそのリガンドの間の相互作用で重要である。従って、好ましい実施形態において、本発明の方法で用いることができるBCMAポリペプチド断片は、配列番号8のアミノ酸残基8〜41のアミノ酸配列を含むか、あるいはそれよりなる。システインリッチモチーフのポリペプチド配列に対して少なくとも80%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるポリペプチド配列を含む、あるいはあるいはそれよりなるタンパク質も好ましい。
【0232】
本発明の方法で用いることができるBCMAタンパク質の他の断片は、BCMAの構造的または機能的属性によって特徴付けられる断片である。そのような断片は、アルファラセンおよびアルファラセン形成領域(「アルファ領域」)、ベータシートおよびベータシート形成領域(「ベータ領域」)、ターンおよびターン形成領域(「ターン領域」)、コイルおよびコイル形成領域(「コイル領域」)、親水性領域、疎水性領域、アルファ両親媒性領域、ベータ両親媒性領域、表面形成領域、および米国特許出願第10/786,176号に議論されたような、完全な(すなわち、全長)BCMA(配列番号8)の(Jameson−Wolfプログラムのデフォルトパラメータを用いて同定された、1.5以上の抗原性指標を有する4以上の連続アミノ酸を含有する)高抗原性指標領域を含む。ある好ましい領域は、限定されるものではないが、これらのコンピュータプログラムのデフォルトパラメータを用いて予測される、Garnier−Robson予測アルファ−領域、ベータ領域、ターン領域、およびコイル領域;Chou−Fasman予測アルファ領域、ベータ領域、およびターン領域;Kyte−Doolittle予測親水性;Hopp−Woods予測疎水性領域;Eisenbergアルファおよびベータ両親媒性領域;Emini表面−形成領域;およびJameson−Wolf高抗原性指標領域を含む。
【0233】
本発明の方法で用いられるBCMAポリペプチドは、((異なるタンパク質の)異種タンパク質配列に結合したペプチドを介して連結されたポリペプチドを含む)融合タンパク質のような修飾された形態で発現され分泌シグナルのみならず、さらなる異種機能領域を含むことができる。あるいは、そのような融合タンパク質は、タンパク質合成技術によって、例えば、ペプチドシンセサイザの使用によって作成することができる。かくして、さらなるアミノ酸、特に荷電したアミノ酸の領域をペプチドのN−末端に付加して、精製の間にあるいは引き続いての取り扱いおよび貯蔵の間に宿主細胞における安定性および必要性を改善することができる。また、ペプチド部位をポリペプチドに付加して、精製を容易とすることができる。そのような領域は、ポリペプチドの最終調製に先立って除去することができる。分泌または排出を起こし、安定性を改善し、および精製を容易とするためのペプチド部位のポリペプチドへの付加は、とりわけ当該分野において精通したかつルーチン的な技術である。
【0234】
本発明の方法で用いることができる好ましいBCMA融合タンパク質は、タンパク質を可溶化するのに有用な免疫グロブリンからの異種領域を含む。例えば、EP−A−O 464533(カナダ対応出願2045869)およびWO00/024782は、別のヒトタンパク質またはその部分と共に、免疫グロブリン分子の定常領域の種々の部分を含む融合タンパク質を開示する。BCMA免疫グロブリン融合タンパク質が、例えば、ここに引用してその全体を援用する、PCT公開WO01/087977、WO01/06397,およびWO01/24811、およびGorssら,(2000)Nature 404:995−999、Thompsonら,(2000)J Exp Med 192:129−135、およびYuら、(2000)Nat Immunol 1:252−256に記載されている。多くの場合において、融合タンパク質におけるFc部分は、治療および診断で用いるのにかなり有利であり、かくして、例えば、改善された薬物動態学特性をもたらす(EP−A 0232 262)。他方、いくつかの場合には、融合タンパク質が記載された有利な方法で発現され、検出され、および精製された後に、Fc部分を欠失することができるのが望ましいであろう。これは、Fc部分が治療および診断で用いるのに障害となることが判明した場合、例えば、融合タンパク質が免疫化用の抗原として用いるべき場合に当てはまる。薬物発見において、例えば、hIL5−受容体のようなヒトタンパク質は、hIL−5のアンタゴニストを同定するための高−スループットスクリーニングアッセイの目的で、Fc部分と融合されている。D.Bennettら,Journal of Molecular Recognition 8:52−58(1995)およびK.Johanson ら.,The Journal of Biological Chemistry 270:16:9459−9471(1995)参照。
【0235】
当業者が認識するように、かつ先に議論したように、BCMAポリペプチドは他のポリペプチド配列に融合させることができる。例えば、BCMAポリペプチドは免疫グロブリンの定常ドメイン(IgA、IgE、IgG、IgM)、その部分(CH1、CH2、CH3、またはそのいずれかの組合せ、およびその部分)、または(限定されるものではないが、組換えヒトアルブミンまたはその断片または変異体(例えば、ここに引用してその全体を援用する、1999年3月2日に発行された米国特許第5,876,969号、EP特許0 413 622、および1998年6月16日に発行された米国特許第5,766,883号参照)を含めた)アルブミンと融合させることができ、その結果、キメラポリペプチドがもたらされる。
【0236】
そのような融合タンパク質は精製を容易とすることができ、貯蔵寿命を延長することができ、インビボにて半減期を増加させることができる。これは、ヒトCD4−ポリペプチドの最初の2つのドメイン、および哺乳動物免疫グロブリンの重鎖または軽鎖の定常領域の種々のドメインよりなるキメラタンパク質で示されている。例えば、EP 394,827;Trauneckerら,Nature,331:84−86(1988)参照。免疫系に対する上皮バリアーを横切っての抗原の増強された送達は、IgGまたはFc断片のようなFcRn結合パートナーにコンジュゲートされた抗原(例えば、インスリン)について示されている(例えば、PCT公開WO96/22024およびWO99/04813参照)。IgG部分ジスルフィド結合のためジスルフィド−結合ダイマー構造を有するIgG融合タンパク質は、モノマーポリペプチド、またはその断片単独以外の分子の結合および中和においてより効果的であることも判明した。例えば、Fountoulakisら,J.Biochem.,270:3958−3964(1995)参照。
【0237】
本発明の方法で用いることができるアルブミン融合タンパク質は、好ましくは遺伝子融合(すなわち、アルブミン融合タンパク質は、BCMAの全てまたは部分をコードするポリヌクレオチドがアルブミンの全てまたは部分をコードするポリヌクレオチドとイン−フレームと連結された核酸の翻訳によって生じる)、または相互への化学的結合によって相互に会合した、BCMAポリペプチドの少なくとも断片または変異体、およびヒト血清アルブミンの少なくとも断片または変異体を含む。アルブミン融合タンパク質の一部分であったBCMAポリペプチドおよびアルブミンタンパク質は、アルブミン融合タンパク質の「部分」、「領域」または「部位」ということができる(例えば、「BCMA部分」または「アルブミンタンパク質部分」)。
【0238】
別の実施形態において、本発明の方法で用いることができるアルブミン融合タンパク質は、BCMAポリペプチドおよび血清アルブミンタンパク質を含み、あるいはあるいはそれよりなる。他の実施形態において、本発明の方法で用いることができるアルブミン融合タンパク質は、BCMAの断片、および血清アルブミンタンパク質を含むか、あるいはそれよりなる。他の実施形態において、本発明の方法で用いることができるアルブミン融合タンパク質は、BCMAの変異体および血清アルブミンタンパク質を含むか、あるいはそれよりなる。好ましい実施形態において、アルブミン融合タンパク質の血清アルブミンタンパク質成分は血清アルブミンの成熟部分である。
【0239】
さらなる実施形態において、本発明の方法で用いることができるアルブミン融合タンパク質は、BCMAポリペプチド、および血清アルブミンの生物学的に活性なおよび/または治療的に活性な断片を含み、あるいはあるいはそれよりなる。さらなる実施形態において、本発明の方法で用いることができるアルブミン融合タンパク質は、BCMAポリペプチド、および血清アルブミンの生物学的に活性なおよび/または治療的に活性な変異体を含み、あるいはあるいはそれよりなる。好ましい実施形態において、アルブミン融合タンパク質のBCMA部分は全長BCMAポリペプチドである。さらに好ましい実施形態において、アルブミン融合タンパク質のBCMA部分はBCMAポリペプチドの成熟可溶性ドメインである。
【0240】
さらなる実施形態において、本発明の方法で用いることができるアルブミン融合タンパク質は、BCMAの断片または変異体、および血清アルブミンの生物学的に活性なおよび/または治療的に活性な断片または変異体を含み、あるいはあるいはそれよりなる。好ましい実施形態において、本発明は、BCMAポリペプチドの成熟部分、および血清アルブミンの成熟部分を含む、あるいはあるいはそれよりなるアルブミン融合タンパク質を提供する。
【0241】
さらなる実施形態において、本発明の方法で用いることができるアルブミン融合タンパク質は、BCMAの断片または変異体、および血清アルブミンの生物学的に活性なおよび/または治療的に活性な断片または変異体を含み、あるいはあるいはそれよりなる。好ましい実施形態において、本発明は、BCMAポリペプチドの成熟部分、および(限定されるものではないが、組換えヒト血清アルブミン、またはその断片または変異体(例えば、ここに引用してその全体を援用する、1999年3月2日に発行された米国特許第5,876,969号、EP特許0 413 622、および1998年6月16日に発行された米国特許第5,766,883号参照)を含めた)血清アルブミンの成熟部分を含む、あるいはあるいはそれよりなるアルブミン融合タンパク質を提供する。好ましい実施形態において、(その断片または変異体を含めた)BCMAポリペプチドは、ヒト血清アルブミンの成熟形態(すなわち、ここに引用してその全体を援用するEP特許0 322 094の図1および2に示されたヒト血清アルブミンのアミノ酸1〜585)と融合させる。別の好ましい実施形態において、(その断片または変異体を含めた)本発明の抗体は、xが1〜585の整数であるヒト血清アルブミンのアミノ酸残基1−xを含む、あるいはあるいはそれよりなるポリペプチド断片に融合され、およびアルブミン断片はヒト血清アルブミン活性を有する。別の好ましい実施形態において、(その断片または変異体を含めた)BCMAポリペプチドは、ここに引用してその全体を援用する、米国特許第5,766,883号に記載されたような、zが369〜419の整数であるヒト血清アルブミンのアミノ酸残基1−zを含む、あるいはあるいはそれよりなるポリペプチド断片と融合される。(その断片または変異体を含めた)BCMAポリペプチドは、異種タンパク質(例えば、免疫グロブリンFcポリペプチドまたはヒト血清アルブミンポリペプチド)のN−またはC−末端に融合させることができる。
【0242】
好ましい実施形態において、本発明の方法で用いることができるアルブミン融合タンパク質で用いられるヒト血清アルブミンタンパク質は、配列番号11:Leu−407をAlaに、Leu−408をValに、Val−409をAlaに、およびArg−410をAlaに;またはArg−410をAに、Lys−413をGlnに、およびLys−414をGlnに、を参照する点突然変異の以下の組の一方または双方を含有する(例えば、ここに引用してその全体を援用する国際公開番号WO 95/23857参照)。なおより好ましい実施形態において、点突然変異の前記した組一方または双方を含有する本発明の方法で用いることができるアルブミン融合タンパク質は、酵母Yap3pタンパク質分解切断に対して改善された安定性/抵抗性を有し、酵母宿主細胞で発現された組換えアルブミン融合タンパク質の増大した産生を可能とする。
【0243】
好ましくは、本発明の方法で用いることができるアルブミン融合タンパク質は、N−末端部分としてのHA、およびC−末端部分としてのBCMAポリペプチドを含む。あるいは、C−末端部分としてのHA、およびN−末端部分としてのBCMAポリペプチドを含むアルブミン融合タンパク質を用いることができる。
【0244】
他の実施形態において、本発明の方法で用いることができるアルブミン融合タンパク質は、アルブミンのN−末端およびC−末端双方に融合されるBCMAポリペプチドを有する。特別な実施形態においてN−およびC−末端において融合したBCMAポリペプチドは同一である。別の実施形態において、N−およびC−末端において融合したBCMAポリペプチドは異なるBCMAポリペプチドである。別の実施形態において、BCMAポリペプチドはアルブミンのN−またはC−末端においていずれかにおいて融合しており、および異種ポリペプチドは残りの末端において融合している。
【0245】
加えて、本発明の方法で用いることができるアルブミン融合タンパク質は、融合した部分の間のリンカーペプチドを含んで、該部位の間のより大きな物理的分離を供することができる。リンカーペプチドはそれがフレキシブルであるかまたはより剛性であるようにアミノ酸よりなることができる。
【0246】
一般に、本発明の方法で用いることができる、アルブミン融合タンパク質は、一つのHA−由来領域および一つのBCMA領域を有する。しかしながら、各タンパク質の複数領域を用いて、本発明の方法で用いることができるアルブミン融合タンパク質を作成することができる。同様に、1を超えるタンパク質を用いて、本発明の方法で用いることができるアルブミン融合タンパク質を作成することができる。例えば、タンパク質をHAのN−およびC−末端双方に融合させることができる。そのような立体配置において、タンパク質部分は同一または異なるタンパク質分子であってよい。二機能的アルブミン融合タンパク質の構造は:X−HA−YまたはY−HA−Xとして表すことができる。
【0247】
特別な実施形態において、本発明の方法で用いることができるBCMAタンパク質またはその断片または変異体をサイトトキシン(例えば、細胞増殖抑制剤または殺細胞剤)にコンジュゲートすることができる。サイトトキシンまたはサイトトキシン剤は細胞に対して有害ないずれの剤も含む。その例はパクリタキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、マイトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1−デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、およびピューロマイシン、およびそのアナログまたはホモログを含む。
【0248】
別の実施形態において、本発明の方法で用いることができるBCMAタンパク質、またはその断片または変異体はトキシンにコンジュゲートすることができる。
【0249】
「トキシン」とは、規定された条件下で細胞の死滅を引き起こす細胞の表面中または表面上に通常は存在しない、内因性細胞傷害性エフェクター系、放射性同位体、ホロトキシン、修飾されたトキシン、トキシンの触媒サブユニット、またはいずれかの分子または酵素に結合し、それを活性化する1以上の化合物を意味する。使用することができるトキシンは、限定されるものではないが、当該分野で知られた放射性同位体、例えば、固有のまたは誘導された内因性細胞傷害性エフェクター系に結合する抗体(またはその部分を含有する補体固定)、チミジンキナーゼ、エンドヌクレアーゼ、RNAse、アルファトキシン、リシン、アブリン、ジュードモナスエキソトキシンA、ジフテリアトキシン、サポリン、モモルジン、ゲロニン、アメリカヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、アルファ―サルシンおよびコレラトキシンのような化合物を含む。「トキシン」は、細胞増殖抑制剤または殺細胞剤、治療剤または放射性金属イオン、例えば、213Biのようなアルファ―エミッター、または例えば103Pd、133Xe、131I、68Ge、57Co、65Zn、85Sr、32P、35S、90Y、153Sm、153Gd、169Yb、51Cr、54Mn、75Se、113Sn、90イッテリウム、117スズ、186レニウム、166ホロミウム、および188レニウムのような他の放射性同位体も含む。
【0250】
本発明の方法で用いることができるBCMAポリペプチドの特徴を改良または改変するためには、タンパク質エンジニアリングを使用することができる。当業者に知られた組換えDNA技術を用いて、新規な突然変異タンパク質または「単一または多数のアミノ酸置換、欠失、負荷または融合タンパク質を含めたムテイン」を作り出すことができる。そのような修飾されたポリペプチドは、例えば、増強された活性または増強された安定性を示すことができる。加えて、それらはより高い収率で精製することができ、少なくともある精製および貯蔵条件下で対応する天然ポリペプチドよりも良好な溶解性を示す。本発明のなお別の実施形態において、BCMAポリペプチド突然変異体は「ドミナントネガティブ」であり得る。この目的では、例えば、TNF−保存ドメインのすべてまたは一部を欠如する突然変異体のような欠陥があるBCMAを用いて、BCMAの活性を減少させることができる。非−機能的BMCAポリペプチドを組み立てて、結合することができるが、シグナル変換を誘導することができない受容体(例えば、マルチマー)を形成するであろう。
【0251】
本発明の方法で用いることができるBCMAタンパク質はモノマーまたはマルチマー(すなわち、ダイマー、トリマー、テトラマーおよびより高次のマルチマー)であってよい。特別な実施形態において、本発明のポリペプチドはモノマー、ダイマー、トリマーまたはテトラマーである。さらなる実施形態において、本発明のマルチマーは少なくともダイマー、少なくともトリマー、または少なくともテトラマーである。タンパク質のTNFファミリーのあるメンバーは、トリマー形態で存在すると信じられている(Beutler and Huffel, Science 264:667,1994;Bannerら,Cell 73:431,1993)。かくして、トリマーBCMAは増強された生物学的活性の利点を供することができる。
【0252】
特別な実施形態において、マルチマーはホモマーまたはヘテロマーであってよい。本明細書中で用いるように、用語ホモマーとは、(本明細書中に記載されたBCMA断片、変異体、および融合タンパク質を含めた)BCMAタンパク質のみを含有するマルチマーをいう。これらのホモマーは、同一または異なるポリペプチド配列を有するBCMAタンパク質を含有することができる。特別な実施形態において、ホモマーは同一のポリペプチド配列を有するBCMAタンパク質のみを含有するマルチマーである。別の特別な実施形態において、ホモマーは、異なるポリペプチド配列を有するBCMAタンパク質を含有するマルチマーである。
【0253】
本明細書中で用いるように、用語ヘテロマーとは、BCMAタンパク質に加えて、異種タンパク質(すなわち、BCMA遺伝子によってコードされたポリペプチド配列に対応しないポリペプチド配列のみを含有するタンパク質)を含有するマルチマーをいう。マルチマーは、疎水性、親水性、イオン性および/または共有結合の結果であってよく、および/または例えば、リポソーム形成によって間接的に連結され得る。かくして、一つの実施形態において、例えば、ホモダイマー、ホモトリマー、ヘテロトリマーまたはヘテロテトラマーのようなマルチマーは、タンパク質が溶液中で相互に接触する場合に形成される。他の実施形態において、マルチマーはBCMAタンパク質との、および/またはその間の共有結合によって形成される。そのような共有結合は、タンパク質のポリペプチド配列に含まれる1以上のアミノ酸残基を含むことができる。一つの例において、共有結合は、天然(すなわち、天然に生じる)ポリペプチドにおいて相互作用するタンパク質のポリペプチド配列内に位置するシステイン残基の間の架橋である。別の例において、共有結合は化学的または組換え操作の結果である。
【0254】
あるいは、そのような共有結合は、BCMA融合タンパク質における異種ポリペプチド配列に含有された1以上のアミノ酸残基を含むことができる。一つの例において、共有結合は融合タンパク質に含有された異種配列の間である(例えば、ここに引用してその内容の全体を援用する、米国特許第5,478,925号参照)。特別な例において、共有結合は(本明細書中に記載された)BCMA−Fc融合タンパク質に含有された異種配列の間である。別の特別な例において、融合タンパク質の共有結合は、例えば、オセテオプロテゲリンのような、共有結合により会合したマルチマーを形成することができる別のTNFファミリーリガンド/受容体メンバーからの異種ポリペプチド配列の間である(例えば、ここに引用してその内容の全体を援用する、国際公開番号WO98/49305参照)。別の実施形態において、2以上のBCMAポリペプチドは合成リンカー(例えば、ペプチド、炭水化物または可溶性ポリマーリンカー)を介して連結される。その例は(ここに引用して援用する)米国特許第5,073,627号に記載されたペプチドリンカーを含む。ペプチドリンカーによって分離された多数のBCMAポリペプチドを含むタンパク質は、慣用的な組換えDNA技術を用いて産生することができる。
【0255】
特別な実施形態において、(特異的抗体−抗原結合をアッセイするための当該分野で良く知られたイムノアッセイによって測定して)BCMAポリペプチド、ポリペプチド断片、配列番号8の変異体、および/またはBCMAポリペプチドエピトープに結合する抗体は、本発明の方法で用いることができる。抗−BCMA抗体およびその断片は、例えば、PCT公開WO01/087977、WO01/60397、およびWO02/66516およびCh’enら,(2005)Cell Immunol 236:78−85記載されている。前記文献の各々を、ここに引用してその全体を援用する。抗体は、限定されるものではないが、ポリクローナル、モノクローナル、多重特異性、ヒト、ヒト化またはキメラ抗体、単一鎖抗体、Fab断片、F(ab’)断片、Fab発現ライブラリーによって産生される断片、抗−イディオタイプ(抗−Id)抗体(例えば、抗−BCMA抗体に対する抗−Id抗体を含む)、および前記のいずれかのエピトープ−結合断片を含む。本明細書中で用いる用語「抗体」とは、免疫グロブリン分子、および免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分、すなわち、免疫特異的に抗原に結合する抗原結合部位を含有する分子をいう。免疫グロブリン分子は免疫グロブリン分子のいずれかのタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)、またはサブクラスとすることができる。特別な実施形態において、免疫グロブリン分子はIgG1である。他の特別な実施形態において、免疫グロブリン分子はIgG4である。
【0256】
本発明の方法で用いることができるBCMA結合抗体は、限定されるものではないが、Fab、Fab’およびF(ab’)2、Fd、単一鎖Fvs(scFv)、単一鎖抗体、ジスルフィド−結合Fvs(scFv)、およびVLまたはVHドメインいずれかを含む断片を含む。単一鎖抗体を含めた抗原−結合抗体断片は、単独の、または以下の:ヒンジ領域、CH1、CH2、およびCH3ドメインの全てまたは部分と組み合わせた可変領域を含むことができる。また、ヒンジ領域、CH1、CH2、およびCH3ドメインと共に可変領域のいずれかの組合せも含む抗原−結合断片が含まれる。抗体は、鳥類および哺乳動物を含めたいずれかの動物起源からのものであっても良い。好ましくは、抗体はヒト、ネズミ(例えば、マウスおよびラット)、ロバ、シップウサギ、ヤギ、モルモット、ラクダ、ウマ、またはニワトリである。本明細書中に用いるように、「ヒト」抗体は、ここに引用してその内容の全体を援用する、例えば、Kucherlapatiらによる米国特許第5,939,598号に記載されているように、ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を有する抗体を含み、ヒト免疫グロブリンライブラリーから、または1以上のヒト免疫グロブリンについてトランスジェニックな動物から単離され、内因性免疫グロブリンを発現しない抗体を含む。
【0257】
本発明の方法で用いることができる抗−BCMA抗体は単一特異性、二重特異性、三重特異性またはより大きな多重特異性のものであって良い。多重特異性抗体はBCMAポリペプチドの異なるエピトープに対して特異的であって良く、またはBCMAポリペプチド、ならびに異種ポリペプチドまたは固体支持体材料のような異種エピトープ双方に対して特異的であって良い。例えば、PCT公開WO93/17715;WO92/08802;WO91/00360;W92/05793;Tuttら,J.Immunol.147:60−69(1991);米国特許第4,474,893号;第4,714,681号;第4,925,648号;第5,573,920号;第5,601,819号;Kostelnyら,J.Immunol.148:1547−1553(1992)参照。
【0258】
BCMA抗体はそれらの交差反応性の点で記載し、または特定することができる。BCMAポリペプチドの他のアナログ、オルソログ、またはホモログは本発明の方法で用いることができる。特別な実施形態において、BCMA抗体はヒトBCMAタンパク質のネズミ、ラットおよび/またはウサギホモログ、およびその対応するエピトープと交差反応することができる。特別な実施形態において、本発明の方法で用いることができる抗−BCMA抗体はBCMAのみならず、TACIおよびBAFF−Rにも結合する。
【0259】
本発明の方法で用いることができるBCMA抗体は、BCMAポリペプチドに対するその結合親和性の点で記載し、または特定することができる。好ましい結合親和性は、5×10−9M、10−9M、5×10−10M、10−10M、5×10−11M、10−11M、5×10−12M、または10−12M以下の解離定数またはKを持つものを含む。
【0260】
本発明の方法で用いることができるBCMA抗体はBCMAポリペプチドのアゴニストまたはアンタゴニストとして作用する。例えば、BCMAポリペプチドとの受容体/リガンド相互作用を破壊するBCMA抗体は部分的にまたは全部が含まれる。また、リガンド結合を妨げないが、受容体活性化を妨げる受容体特異的抗体も含まれる。受容体活性化(すなわち、シグナリング)は、本明細書に記載された、または当該分野で知られた技術によって決定することができる。例えば、受容体活性化は、当該分野で知られた技術、および/または免疫沈澱による受容体またはその基質のリン酸化(例えば、チロシンまたはセリン/スレオニン)を用いて、転写因子NF−AT、AP−1および/またはNF−カッパBを検出することによって決定することができる。
【0261】
特別な実施形態において、共にリガンド結合および受容体活性化を妨げる受容体−特異的BCMA抗体、ならびに受容体リガンド複合体を認識し、好ましくは、未結合受容体または未結合リガンドを特異的に認識しないBCMA抗体を本発明の方法で用いることができる。前記BCMA抗体は、当該分野で知られた方法を用いて作成することができる。例えば、PCT公開WO96/40281;米国特許第5,811,097号;Dengら,Blood 92(6);1981−1988(1998);Chenら,Cancer Res.58(16):3668−3678(1998);Harropら,J. Immunol.161(4);1786−1794(1998);Zhuら,Cancer Res.58(15)3209−3214(1998);Yoonら, J.Immunol.160(7):3170−3179(1998);Pratら,J. Cell. Sci.111(Pt2):237−247(1998);Pitardら,J. Immunol. Methods 205(2):177−190(1997);Liautardら,Cytokine 9(4):233−241(1997);Carlsonら,J.Biol.Chem.272(17):11295−11301(1997);Tarymanら,Neuron 14(4):755−762(1995);Mullerら,Structure 6(9):1153−1167(1998);Bartunekら,Cytokine 8(1):14−20(1996)(全て、ここに引用してその全体を援用する)参照。
【0262】
F.ニュートロカイン−アルファ受容体、BAFF−R
以下に記載したもののようなBAFF−Rポリペプチドは、ニュートロカイン−アルファおよび/またはAPRILアンタゴニストとして作用し、本発明の方法で用いることもできる。TR21としても知られたBAFF−Rは、約18.9kDaの推定分子量を持つ184アミノ酸残基(配列番号10)のタンパク質である。BAFF−RをコードするcDNAのヌクレオチド配列は配列番号9に与えられる。約1〜約81の推定アミノ酸は細胞外ドメインを構成する(配列番号10);約82〜約101のアミノ酸は膜貫通ドメイン(配列番号10)を構成し;および約102〜約184のアミノ酸は細胞内ドメインを構成する(配列番号10)。
【0263】
従って、1つの実施形態において、本発明の方法で用いることができるBAFF−Rタンパク質は、配列番号10のアミノ酸配列を含むか、あるいはそれよりなる単離されたポリペプチド、または例えば、(配列番号10のアミノ酸1〜81を含む)BAFF−R細胞外ドメインおよび/または(配列番号10のアミノ酸19〜35を含む)BAFF−Rシステインリッチなドメインのような、配列番号10の一部を含むか、あるいはそれよりなるポリペプチド;ならびに前記したポリペプチドに対して少なくとも80%同一、より好ましくは少なくとも90%または95%同一、なおより好ましくは少なくとも96%、97%、98%、99%または100%同一であるポリペプチドである。
【0264】
別の実施形態において、本発明の方法で用いることができるBAFF−Rタンパク質は、配列番号10のアミノ酸1〜70および/または配列番号26のアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドである。配列番号26はBAFF−Rのアミノ酸1〜70を示し、ここに、BAFF−Rにおけるアミノ酸20(バリン)はアスパラギンで置換されており、BAFF−Rにおけるアミノ酸27(ロイシン)はプロリンで置換されている。別の実施形態において、本発明の方法で用いることができるBAFF−Rタンパク質は、配列番号26のアミノ酸2〜70を含む単離されたポリペプチドである。前記したポリペプチドに対して少なくとも80%同一、より好ましくは少なくとも90%または95%同一、なおより好ましくは少なくとも96%、97%、98%、99%または100%同一であるポリペプチドを本発明の方法で用いることができる。
【0265】
BAFF−Rポリペプチドの参照アミノ酸配列に対して少なくとも、例えば、95%「同一」であるアミノ酸配列を有するポリペプチドとは、ポリペプチド配列がBAFF−R受容体の参照アミノ酸の各100アミノ酸当たり5までのアミノ酸改変を含んでもよいことを除いて、ポリペプチドのアミノ酸配列が参照配列に同一であることを意図する。換言すれば、参照アミノ酸配列に対して少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドを得るには、参照配列における5%までのアミノ酸残基を欠失し、または別のアミノ酸で置換することができ、あるいは参照配列における合計アミノ酸残基の5%までのアミノ酸の数を参照配列に挿入することができる。参照配列のこれらの改変は、参照アミノ酸配列のアミノまたはカルボキシ末端位置において、あるいは末端位置の間のどこかで起こることができ、参照配列における残基の間に個々に、または参照配列内の1以上の隣接基において散在し得る。
【0266】
BAFF−Rのポリペプチド断片は配列番号10に含まれるアミノ酸配列を含むか、あるいはそれよりなるポリペプチドを含む。ポリペプチド断片は「独立して存在」することができるか、あるいは最も好ましくは単一連続領域として、断片が部分または領域を形成するより大きなポリペプチド内に含まれる。さらなる実施形態において、ポリペプチド断片は1以上のBAFF−Rドメインを含み、あるいはあるいはそれよりなる。好ましいポリペプチド断片は:(a)(配列番号10の約1〜約81のアミノ酸残基を構成すると予測される)BAFF−R細胞外ドメインを含むか、あるいはそれよりなるポリペプチド;(b)(配列番号10の約19〜約35のアミノ酸残基を構成すると予測される)BAFF−Rシステインリッチなドメインを含む、あるいはあるいはそれよりなるポリペプチド;(c)(配列番号10の約82〜約101のアミノ酸残基を構成すると予測される)BAFF−R膜貫通ドメインを含む、あるいはあるいはそれよりなるポリペプチド;(d)(配列番号10の約102〜約184のアミノ酸残基を構成すると予測される)BAFF−R細胞内ドメインを含む、あるいはあるいはそれよりなるポリペプチド;(e)ポリペプチド(a)〜(d)のいずれかの組合せから選択されるメンバーを含む。
【0267】
BAFF−Rの細胞外システインリッチなモチーフはBAFF−Rおよびそのリガンド、ニュートロカイン−アルファおよびAPRILの間の相互作用で重要である。従って、好ましい実施形態において、本発明の方法で用いることができるBAFF−Rポリペプチド断片は、配列番号10のアミノ酸残基19〜35のアミノ酸配列を含むか、あるいはそれよりなる。システインリッチモチーフのポリペプチド配列に対して少なくとも80%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるポリペプチド配列を含む、あるいはあるいはそれよりなるタンパク質も好ましい。
【0268】
本発明の方法で用いることができるBAFF−Rタンパク質の他の断片は、BAFF−Rの構造的または機能的属性によって特徴付けられる断片である。そのような断片は、アルファラセンおよびアルファ−ラセン形成領域(「アルファ領域」)、ベータシートおよびベータシート形成領域(「ベータ領域」)、ターンおよびターン形成領域(「ターン領域」)、コイルおよびコイル形成領域(「コイル領域」)、親水性領域、疎水性領域、アルファ両親媒性領域、ベータ両親媒性領域、表面形成領域、および米国特許第7,112,410号に議論されたような、完全な(すなわち、全長)BAFF−R(配列番号10)の(Jameson−Wolfプログラムのデフォルトパラメータを用いて同定された、1.5以上の抗原性指標を有する4以上の連続アミノ酸を含有する)高抗原性指標領域を含む。ある好ましい領域は、限定されるものではないが、これらのコンピュータプログラムのデフォルトパラメータを用いて予測される、Garnier−Robson予測アルファ領域、ベータ領域、ターン領域、およびコイル領域;Chou−Fasman予測アルファ領域、ベータ領域、およびターン領域;Kyte−Doolittle予測親水性;Hopp−Woods予測疎水性領域;Eisenbergアルファおよびベータ両親媒性領域;Emini表面形成領域;およびJameson−Wolf高抗原性指標領域を含む。
【0269】
本発明の方法で用いられるBAFF−Rポリペプチドは、((異なるタンパク質の)異種タンパク質配列に結合したペプチドを介して連結されたポリペプチドを含む)融合タンパク質のような修飾された形態で発現され、分泌シグナルのみならず、さらなる異種機能領域を含むことができる。あるいは、そのような融合タンパク質は、タンパク質合成技術によって、例えば、ペプチドシンセサイザの使用によって作成することができる。かくして、さらなるアミノ酸、特に荷電したアミノ酸の領域をペプチドのN−末端に付加して、精製の間にあるいは引き続いての取り扱いおよび貯蔵の間に宿主細胞における安定性および必要性を改善することができる。また、ペプチド部位をポリペプチドに付加して、精製を容易とすることができる。そのような領域は、ポリペプチドの最終調製に先立って除去することができる。分泌または排出を起こし、安定性を改善し、および精製を容易とするためのペプチド部位のポリペプチドへの付加は、とりわけ当該分野において精通したかつルーチン的な技術である。
【0270】
本発明の方法で用いることができる好ましいBAFF−R融合タンパク質は、タンパク質を可溶化するのに有用な免疫グロブリンからの異種領域を含む。例えば、EP−A−O 464533(カナダ対応出願2045869)およびWO00/0024782は、別のヒトタンパク質またはその部分と共に、免疫グロブリン分子の定常領域の種々の部分を含む融合タンパク質を開示する。BAFF−R免疫グロブリン融合タンパク質が、例えば、ここに引用してその全体を援用する、Pelletierら,(2003)J Biol Chem 278:33127−33133およびCarterら,(2005)Arthritis Rheum 52:3943−3954に記載されている。多くの場合において、融合タンパク質におけるFc部分は、治療および診断で用いるのにかなり有利であり、かくして、例えば、改善された薬物動態学特性をもたらす(EP−A 0232 262)。他方、いくつかの場合には、融合タンパク質が記載された有利な方法で発現され、検出され、および精製された後に、Fc部分を欠失することができるのが望ましいであろう。これは、Fc部分が治療および診断で用いるのに障害となることが判明した場合、例えば、融合タンパク質が免疫化用の抗原として用いるべき場合に当てはまる。
薬物発見において、例えば、hIL5−受容体のようなヒトタンパク質は、hIL−5のアンタゴニストを同定するための高スループットスクリーニングアッセイの目的で、Fc部分と融合されている。D.Bennett ら.,Journal of Molecular Recognition 8:52−58(1995)およびK.Johanson ら.,The Journal of Biological Chemistry 270:16:9459−9471(1995)参照。特別な実施形態において、本発明の方法で用いることができるBAFF−R−Fc融合タンパク質はBR3−Fcである。
【0271】
当業者が認識するように、かつ先に議論したように、BAFF−Rポリペプチドは他のポリペプチド配列に融合させることができる。例えば、BAFF−Rポリペプチドは免疫グロブリンの定常ドメイン(IgA、IgE、IgG、IgM)、その部分(CH1、CH2、CH3、またはそのいずれかの組合せ、およびその部分)、または(限定されるものではないが、組換えヒトアルブミンまたはその断片または変異体(例えば、ここに引用してその全体を援用する、1999年3月2日に発行された米国特許第5,876,969号、EP特許0 413 622、および1998年6月16日に発行された米国特許第5,766,883号参照)を含めた)アルブミンと融合させることができ、その結果、キメラポリペプチドがもたらされる。
【0272】
そのような融合タンパク質は精製を容易とすることができ、貯蔵寿命を延長することができ、インビボにて半減期を増加させることができる。これは、ヒトCD4−ポリペプチドの最初の2つのドメイン、および哺乳動物免疫グロブリンの重鎖または軽鎖の定常領域の種々のドメインよりなるキメラタンパク質で示されている。例えば、EP 394,827;Trauneckerら,Nature,331:84−86(1988)参照。免疫系に対する上皮バリアーを横切っての抗原の増強された送達は、IgGまたはFc断片のようなFcRn結合パートナーにコンジュゲートされた抗原(例えば、インスリン)について示されている(例えば、PCT公開WO96/22024およびWO99/04813参照)。IgG部分ジスルフィド結合のためジスルフィド結合ダイマー構造を有するIgG融合タンパク質は、モノマーポリペプチド、またはその断片単独以外の分子の結合および中和においてより効果的であることも判明した。例えば、Fountounakisら,J.Biochem.,270:3958−3964(1995)参照。
【0273】
BAFF−R−Fcタンパク質の1つの例は、IgG1免疫グロブリン分子のFc領域に融合した配列番号10のアミノ酸1〜70である。所望により、BAFF−Rにおけるアミノ酸20(バリン)はアスパラギンで置換されており、BAFF−Rにおけるアミノ酸27(ロイシン)はプロリンで置換されている。配列番号26は、これらの2つのアミノ酸が変化したBAFF−Rのアミノ酸1〜70を示す。
【0274】
本発明の方法で用いることができるアルブミン融合タンパク質は、好ましくは遺伝子融合(すなわち、アルブミン融合タンパク質は、BAFF−Rの全てまたは部分をコードするポリヌクレオチドがアルブミンの全てまたは部分をコードするポリヌクレオチドとインフレームとライゲーションされた核酸の翻訳によって生じる)、または相互への化学的結合によって相互に結合した、BAFF−Rポリペプチドの少なくとも断片または変異体、およびヒト血清アルブミンの少なくとも断片または変異体を含む。アルブミン融合タンパク質の一部分であったBAFF−Rポリペプチドおよびアルブミンタンパク質は、アルブミン融合タンパク質の「部分」、「領域」または「部位」ということができる(例えば、「BAFF−R部分」または「アルブミンタンパク質部分」)。
【0275】
別の実施形態において、本発明の方法で用いることができるアルブミン融合タンパク質は、BAFF−Rポリペプチドおよび血清アルブミンタンパク質を含み、あるいはあるいはそれよりなる。他の実施形態において、本発明の方法で用いることができるアルブミン融合タンパク質は、BAFF−Rの断片、および血清アルブミンタンパク質を含むか、あるいはそれよりなる。他の実施形態において、本発明の方法で用いることができるアルブミン融合タンパク質は、BAFF−Rの変異体および血清アルブミンタンパク質を含むか、あるいはそれよりなる。好ましい実施形態において、アルブミン融合タンパク質の血清アルブミンタンパク質成分は血清アルブミンの成熟部分である。
【0276】
さらなる実施形態において、本発明の方法で用いることができるアルブミン融合タンパク質は、BAFF−Rポリペプチド、および血清アルブミンの生物学的に活性なおよび/または治療的に活性な断片を含み、あるいはあるいはそれよりなる。さらなる実施形態において、本発明の方法で用いることができるアルブミン融合タンパク質は、BAFF−Rポリペプチド、および血清アルブミンの生物学的に活性なおよび/または治療的に活性な変異体を含み、あるいはあるいはそれよりなる。好ましい実施形態において、アルブミン融合タンパク質のBAFF−R部分は全長BAFF−Rポリペプチドである。さらに好ましい実施形態において、アルブミン融合タンパク質のBAFF−R部分はBAFF−Rポリペプチドの成熟可溶性ドメインである。
【0277】
さらなる実施形態において、本発明の方法で用いることができるアルブミン融合タンパク質は、BAFF−Rの断片または変異体、および血清アルブミンの生物学的に活性なおよび/または治療的に活性な断片または変異体を含み、あるいはあるいはそれよりなる。好ましい実施形態において、本発明は、BAFF−Rポリペプチドの成熟部分、および血清アルブミンの成熟部分を含む、あるいはあるいはそれよりなるアルブミン融合タンパク質を提供する。
【0278】
さらなる実施形態において、本発明の方法で用いることができるアルブミン融合タンパク質は、BAFF−Rの断片または変異体、および血清アルブミンの生物学的に活性なおよび/または治療的に活性な断片または変異体を含み、あるいはあるいはそれよりなる。好ましい実施形態において、本発明は、BAFF−Rポリペプチドの成熟部分、および(限定されるものではないが、組換えヒト血清アルブミン、またはその断片または変異体(例えば、ここに引用してその全体を援用する、1999年3月2日に発行された米国特許第5,876,969号、EP特許0 413 622、および1998年6月16日に発行された米国特許第5,766,883号参照)を含めた)血清アルブミンの成熟部分を含む、あるいはあるいはそれよりなるアルブミン融合タンパク質を提供する。好ましい実施形態において、(その断片または変異体を含めた)BAFF−Rポリペプチドは、ヒト血清アルブミンの成熟形態(すなわち、ここに引用してその全体を援用するEP特許0 322 094の図1および2に示されたヒト血清アルブミンのアミノ酸1〜585)と融合させる。別の好ましい実施形態において、(その断片または変異体を含めた)本発明の抗体は、xが1〜585の整数であるヒト血清アルブミンのアミノ酸残基1−xを含む、あるいはあるいはそれよりなるポリペプチド断片に融合され、およびアルブミン断片はヒト血清アルブミン活性を有する。別の好ましい実施形態において、(その断片または変異体を含めた)BAFF−Rポリペプチドは、ここに引用してその全体を援用する、米国特許第5,766,883号に記載されたような、zが369〜419の整数であるヒト血清アルブミンのアミノ酸残基1−zを含む、あるいはあるいはそれよりなるポリペプチド断片と融合される。(その断片または変異体を含めた)BAFF−Rポリペプチドは、異種タンパク質(例えば、免疫グロブリンFcポリペプチドまたはヒト血清アルブミンポリペプチド)のN−またはC−末端に融合させることができる。
【0279】
好ましい実施形態において、本発明の方法で用いることができるアルブミン融合タンパク質で用いられるヒト血清アルブミンタンパク質は、配列番号11:Leu−407をAlaに、Leu−408をValに、Val−409をAlaに、およびArg−410をAlaに;またはArg−410をAに、Lys−413をGlnに、およびLys−414をGlnに、を参照する点突然変異の以下の組の一方または双方を含有する(例えば、ここに引用してその全体を援用する国際公開番号WO95/23857参照)。なおより好ましい実施形態において、点突然変異の前記した組一方または双方を含有する本発明の方法で用いることができるアルブミン融合タンパク質は、酵母Yap3pタンパク質分解切断に対して改善された安定性/抵抗性を有し、酵母宿主細胞で発現された組換えアルブミン融合タンパク質の増大した産生を可能とする。
【0280】
好ましくは、本発明の方法で用いることができるアルブミン融合タンパク質は、N−末端部分としてのHA、およびC−末端部分としてのBAFF−Rポリペプチドを含む。あるいは、C−末端部分としてのHA、およびN−末端部分としてのBAFF−Rポリペプチドを含むアルブミン融合タンパク質を用いることができる。
【0281】
他の実施形態において、本発明の方法で用いることができるアルブミン融合タンパク質は、アルブミンのN−末端およびC−末端双方に融合されるBAFF−Rポリペプチドを有する。特別な実施形態においてN−およびC−末端において融合したBAFF−Rポリペプチドは同一である。別の実施形態において、N−およびC−末端において融合したBAFF−Rポリペプチドは異なるBAFF−Rポリペプチドである。別の実施形態において、BAFF−RポリペプチドはアルブミンのN−またはC−末端においていずれかにおいて融合しており、および異種ポリペプチドは残りの末端において融合している。
【0282】
加えて、本発明の方法で用いることができるアルブミン融合タンパク質は、融合した部分の間のリンカーペプチドを含んで、該部位の間のより大きな物理的分離を供することができる。リンカーペプチドはそれがフレキシブルであるかまたはより剛性であるようにアミノ酸よりなることができる。
【0283】
一般に、本発明の方法で用いることができる、アルブミン融合タンパク質は、一つのHA−由来領域および一つのBAFF−R領域を有する。しかしながら、各タンパク質の複数領域を用いて、本発明の方法で用いることができるアルブミン融合タンパク質を作成することができる。同様に、1を超えるタンパク質を用いて、本発明の方法で用いることができるアルブミン融合タンパク質を作成することができる。例えば、タンパク質をHAのN−およびC−末端双方に融合させることができる。そのような立体配置において、タンパク質部分は同一または異なるタンパク質分子であってよい。二機能的アルブミン融合タンパク質の構造は:X−HA−YまたはY−HA−Xとして表すことができる。
【0284】
特別な実施形態において、本発明の方法で用いることができるBAFF−Rタンパク質またはその断片または変異体をサイトトキシン(例えば、細胞増殖抑制剤または殺細胞剤)にコンジュゲートすることができる。サイトトキシンまたはサイトトキシン剤は細胞に対して有害ないずれの剤も含む。その例はパクリタキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、マイトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1−デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、およびピューロマイシン、およびそのアナログまたはホモログを含む。
【0285】
別の実施形態において、本発明の方法で用いることができるBAFF−Rタンパク質、またはその断片または変異体はトキシンにコンジュゲートすることができる。
【0286】
「トキシン」とは、規定された条件下で細胞の死滅を引き起こす細胞の表面中または表面上に通常は存在しない、内因性細胞傷害性エフェクター系、放射性同位体、ホロトキシン、修飾されたトキシン、トキシンの触媒サブユニット、またはいずれかの分子または酵素に結合し、それを活性化する1以上の化合物を意味する。使用することができるトキシンは、限定されるものではないが、当該分野で知られた放射性同位体、例えば、固有のまたは誘導された内因性細胞傷害性エフェクター系に結合する抗体(またはその部分を含有する補体固定)、チミジンキナーゼ、エンドヌクレアーゼ、RNAse、アルファトキシン、リシン、アブリン、ジュードモナスエキソトキシンA、ジフテリアトキシン、サポリン、モモルジン、ゲロニン、アメリカヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、アルファ―サルシンおよびコレラトキシンのような化合物を含む。「トキシン」は、細胞増殖抑制剤または殺細胞剤、治療剤または放射性金属イオン、例えば、213Biのようなアルファ―エミッター、または例えば103Pd、133Xe、131I、68Ge、57Co、65Zn、85Sr、32P、35S、90Y、153Sm、153Gd、169Yb、51Cr、54Mn、75Se、113Sn、90イットリウム、117スズ、186レニウム、166ホロミウム、および188レニウムのような他の放射性同位体も含む。
【0287】
本発明の方法で用いることができるBAFF−Rポリペプチドの特徴を改良または改変するためには、タンパク質エンジニアリングを使用することができる。当業者に知られた組換えDNA技術を用いて、新規な突然変異タンパク質または「単一または多数のアミノ酸置換、欠失、負荷または融合タンパク質を含めたムテイン」を作り出すことができる。そのような修飾されたポリペプチドは、例えば、増強された活性または増強された安定性を示すことができる。加えて、それらはより高い収率で精製することができ、少なくともある精製および貯蔵条件下で対応する天然ポリペプチドよりも良好な溶解性を示す。本発明のなお別の実施形態において、BAFF−Rポリペプチド突然変異体は「ドミナントネガティブ」であり得る。この目的では、例えば、TNF−保存ドメインの全てまたは一部を欠如する突然変異体のような欠陥があるBAFF−Rを用いて、BAFF−Rの活性を減少させることができる。非機能的BAFF−Rポリペプチドを組み立てて、結合することができるが、シグナル変換を誘導することができない受容体(例えば、マルチマー)を形成するであろう。
【0288】
本発明の方法で用いることができるBAFF−Rタンパク質はモノマーまたはマルチマー(すなわち、ダイマー、トリマー、テトラマーおよびより高次のマルチマー)であってよい。特別な実施形態において、本発明のポリペプチドはモノマー、ダイマー、トリマーまたはテトラマーである。さらなる実施形態において、本発明のマルチマーは少なくともダイマー、少なくともトリマー、または少なくともテトラマーである。タンパク質のTNFファミリーのあるメンバーは、トリマー形態で存在すると考えられている(Beutler and Huffel, Science 264:667,1994;Banner ら.,Cell 73:431,1993)。かくして、トリマーBAFF−Rは増強された生物学的活性の利点を供することができる。
【0289】
特別な実施形態において、マルチマーはホモマーまたはヘテロマーであってよい。本明細書中で用いるように、用語ホモマーとは、(本明細書中に記載されたBAFF−R断片、変異体、および融合タンパク質を含めた)BAFF−Rタンパク質のみを含有するマルチマーをいう。これらのホモマーは、同一または異なるポリペプチド配列を有するBAFF−Rタンパク質を含有することができる。特別な実施形態において、ホモマーは同一のポリペプチド配列を有するBAFF−Rタンパク質のみを含有するマルチマーである。別の特別な実施形態において、ホモマーは、異なるポリペプチド配列を有するBAFF−Rタンパク質を含有するマルチマーである。
【0290】
本明細書中で用いるように、用語ホモマーとは、BAFF−Rタンパク質に加えて、異種タンパク質(すなわち、BAFF−R遺伝子によってコードされたポリペプチド配列に対応しないポリペプチド配列のみを含有するタンパク質)を含有するマルチマーをいう。マルチマーは、疎水性、親水性、イオン性および/または共有結合の結果であってよく、および/または例えば、リポソーム形成によって間接的に連結され得る。かくして、一つの実施形態において、例えば、ホモダイマー、ホモトリマー、ヘテロトリマーまたはヘテロテトラマーのようなマルチマーは、タンパク質が溶液中で相互に接触する場合に形成される。他の実施形態において、マルチマーはBAFF−Rタンパク質との、および/またはその間の共有結合によって形成される。そのような共有結合は、タンパク質のポリペプチド配列に含まれる1以上のアミノ酸残基を含むことができる。一つの例において、共有結合は、天然(すなわち、天然に生じる)ポリペプチドにおいて相互作用するタンパク質のポリペプチド配列内に位置するシステイン残基の間の架橋である。別の例において、共有結合は化学的または組換え操作の結果である。
【0291】
あるいは、そのような共有結合は、BAFF−R融合タンパク質における異種ポリペプチド配列に含有された1以上のアミノ酸残基を含むことができる。一つの例において、共有結合は融合タンパク質に含有された異種配列の間である(例えば、ここに引用してその内容の全体を援用する、米国特許第5,478,925号参照)。特別な例において、共有結合は(本明細書中に記載された)BAFF−R−Fc融合タンパク質に含有された異種配列の間である。別の特別な例において、融合タンパク質の共有結合は、例えば、オセテオプロテゲリンのような、共有結合により会合したマルチマーを形成することができる別のTNFファミリーリガンド/受容体メンバーからの異種ポリペプチド配列の間である(例えば、ここに引用してその内容の全体を援用する、国際公開番号WO98/49305参照)。別の実施形態において、2以上のBAFF−Rポリペプチドは合成リンカー(例えば、ペプチド、炭水化物または可溶性ポリマーリンカー)を介して連結される。その例は(ここに引用して援用する)米国特許第5,073,627号に記載されたペプチドリンカーを含む。ペプチドリンカーによって分離された多数のBAFF−Rポリペプチドを含むタンパク質は、慣用的な組換えDNA技術を用いて産生することができる。
【0292】
特別な実施形態において、(特異的抗体−抗原結合をアッセイするための当該分野で良く知られたイムノアッセイによって測定して)BAFF−Rポリペプチド、ポリペプチド断片、配列番号10の変異体、および/またはBAFF−Rポリペプチドエピトープに結合する抗体は、本発明の方法で用いることができる。抗BAFF−R抗体およびその断片は、例えば、Leeら,(2006)Synthetic antibodies that mimic BAFF binding and target both human and murine B Cells Blood(2006年7月13日にオンラインで予め公開されたBlood First Edition Paper) Vol.0,No.2006,pp.200603011,Ch’enら,(2005)Cell Immunol 236:78−85,Nakamuraら,(2005)Virchows Arch 447:53−60、およびCarterら,(2005)Arthritis Rheum 52:3943−3954に記載されている。前記文献の各々を、ここに引用してその全体を援用する。抗体は、限定されるものではないが、ポリクローナル、モノクローナル、多特異的、ヒト、ヒト化またはキメラ抗体、単一鎖抗体、Fab断片、F(ab’)断片、Fab発現ライブラリーによって産生される断片、抗イディオタイプ(抗−Id)抗体(例えば、抗−BAFF−R抗体に対する抗−Id抗体を含む)、および前記のいずれかのエピトープ結合断片を含む。本明細書中で用いる用語「抗体」とは、免疫グロブリン分子、および免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分、すなわち、免疫特異的に抗原に結合する抗原結合部位を含有する分子をいう。免疫グロブリン分子は免疫グロブリン分子のいずれかのタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)、またはサブクラスとすることができる。特別な実施形態において、免疫グロブリン分子はIgG1である。他の特別な実施形態において、免疫グロブリン分子はIgG4である。
【0293】
本発明の方法で用いることができるBAFF−R結合抗体は、限定されるものではないが、Fab、Fab’およびF(ab’)2、Fd、単一鎖Fvs(scFv)、単一鎖抗体、ジスルフィド結合Fvs(scFv)、およびVLまたはVHドメインいずれかを含む断片を含む。単一鎖抗体を含めた抗原結合抗体断片は、単独の、または以下の:ヒンジ領域、CH1、CH2、およびCH3ドメインの全てまたは部分と組み合わせた可変領域を含むことができる。また、ヒンジ領域、CH1、CH2、およびCH3ドメインと共に可変領域のいずれかの組合せも含む抗原−結合断片が含まれる。抗体は、鳥類および哺乳動物を含めたいずれかの動物起源からのものであっても良い。好ましくは、抗体はヒト、ネズミ(例えば、マウスおよびラット)、ロバ、シップウサギ、ヤギ、モルモット、ラクダ、ウマ、またはニワトリである。本明細書中に用いるように、「ヒト」抗体は、ここに引用してその内容の全体を援用する、例えば、Kucherlapatiらによる米国特許第5,939,598号に記載されているように、ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を有する抗体を含み、ヒト免疫グロブリンライブラリーから、または1以上のヒト免疫グロブリンについてトランスジェニックな動物から単離され、内因性免疫グロブリンを発現しない抗体を含む。
【0294】
本発明の方法で用いることができる抗BAFF−R抗体は単一特異性、二重特異性、三重特異性またはより大きな多重特異性のものであって良い。多重特異性抗体はBAFF−Rポリペプチドの異なるエピトープに対して特異的であって良く、またはBAFF−Rポリペプチド、ならびに異種ポリペプチドまたは固体支持体材料のような異種エピトープ双方に対して特異的であって良い。例えば、PCT公開WO93/17715;WO92/08802;WO91/00360;WO92/05793;Tuttら,J.Immunol.147:60−69(1991);米国特許第4,474,893号;第4,714,681号;第4,925,648号;第5,573,920号;第5,601,819号;Kostelnyら,J.Immunol.148:1547−1553(1992)参照。
【0295】
BAFF−R抗体はそれらの交差反応性の点で記載し、または特定することができる。BAFF−Rポリペプチドの他のアナログ、オルソログ、またはホモログは本発明の方法で用いることができる。特別な実施形態において、BAFF−R抗体はヒトBAFF−Rタンパク質のネズミ、ラットおよび/またはウサギホモログ、およびその対応するエピトープと交差反応することができる。特別な実施形態において、本発明の方法で用いることができる抗−BAFF−R抗体はBAFF−Rのみならず、TACIおよびBCMAにも結合する。
【0296】
本発明の方法で用いることができるBAFF−R抗体は、BAFF−Rポリペプチドに対するその結合親和性の点で記載し、または特定することができる。好ましい結合親和性は、5×10−9M、10−9M、5×10−10M、10−10M、5×10−11M、10−11M、5×10−12M、または10−12M以下の解離定数またはKを持つものを含む。
【0297】
本発明の方法で用いることができるBAFF−R抗体はBAFF−Rポリペプチドのアゴニストまたはアンタゴニストとして作用する。例えば、BAFF−Rポリペプチドとの受容体/リガンド相互作用を破壊するBAFF−R抗体は部分的にまたは全部が含まれる。また、リガンド結合を妨げないが、受容体活性化を妨げる受容体−特異的抗体も含まれる。受容体活性化(すなわち、シグナリング)は、本明細書に記載された、または当該分野で知られた技術によって決定することができる。例えば、受容体活性化は、当該分野で知られた技術、および/または免疫沈澱による受容体またはその基質のリン酸化(例えば、チロシンまたはセリン/スレオニン)を用いて、転写因子NF−AT、AP−1および/またはNF−カッパBを検出することによって決定することができる。
【0298】
特別な実施形態において、共にリガンド結合および受容体活性化を妨げる受容体−特異的BAFF−R抗体、ならびに受容体リガンド複合体を認識し、好ましくは、未結合受容体または未結合リガンドを特異的に認識しないBAFF−R抗体を本発明の方法で用いることができる。前記BAFF−R抗体は、当該分野で知られた方法を用いて作成することができる。例えば、PCT公開WO96/40281;米国特許第5,811,097号;Dengら,Blood 92(6);1981−1988(1998);Chenら,Cancer Res. 58(16):3668−3678(1998);Harropら,J. Immunol.161(4);1786−1794(1998);Zhuら,Cancer Res.58(15)3209−3214(1998);Yoonら,J.Immunol.160(7):3170−3179(1998);Pratら,J. Cell. Sci.111(Pt2):237−247(1998);Pitardら,J. Immunol. Methods 205(2):177−190(1997);Liautardら,Cytokine 9(4):233−241(1997);Carlsonら,J.Biol.Chem.272(17):11295−11301(1997);Tarymanら,Neuron 14(4):755−762(1995);Mullerら,Structure 6(9):1153−1167(1998);Bartunekら,Cytokine 8(1):14−20(1996)(全て、ここに引用してその全体を援用する)参照。
【0299】
G.抗−APRIL抗体
好ましい実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは抗APRIL抗体またはその抗原結合断片である。抗APRIL抗体およびその断片は、例えば、PCT公開WO01/087977、WO99/12965、WO01/60397、およびWO02/094192;米国特許第6,506,882号;2002年10月11日に出願された米国特許公開番号2002/0166864;およびCh’enら,(2005)Cell Immunol 236:78−85;に記載されており、後により詳細に記載する。前記文献の各々をここに引用してその全体を援用する。
【0300】
特別な実施形態において、(特異的抗体抗原結合をアッセイするための当該分野で良く知られたイムノアッセイによって測定して)APRILポリペプチド、ポリペプチド断片、または配列番号4の変異体、および/またはAPRILエピトープを本発明の方法で用いることができる。特別な実施形態において、本発明の方法で用いることができる抗体は、他のポリペプチド配列に融合したAPRILポリペプチドに結合することができる。例えば、APRILポリペプチドは、免疫グロブリンの定常領域(IgA、IgE、IgG、IgM)またはその部分(CH1、CH2、CH3、またはそのいずれかの組合せおよびその部分)、またはアルブミン(限定されるものではないが、組換えヒトアルブミン、またはその断片または変異体を含む(例えば、ここに引用してその全体を援用する、1999年3月20日に発行された米国特許第5,876,969号、EP特許0 413 622、および1998年6月16日に発行された米国特許第5,766,883号参照))と融合することができ、その結果、キメラポリペプチドがもたらされる。そのような融合タンパク質は精製を容易とすることができ、インビボで半減期を増大させることができる。これは、ヒトCD4−ポリペプチドの最初の2つのドメイン、および哺乳動物免疫グロブリンの重鎖または軽鎖の定常領域の種々のドメインよりなるキメラタンパク質について示されている。例えば、EP 394,827;Trauneckerら,Nature,331:84−86(1988)参照。免疫系に対する上皮バリアーを横切る抗原の増強された送達は、IgGまたはFc断片のようなFcRn結合パートナーにコンジュゲートした抗原(例えば、インスリン)について示されている(例えば、PCT公開WO96/22024およびWO99/04813参照)。IgG部分のジスルフィド結合によるジスルフィド−結合ダイマー構造を有するIgG融合タンパク質は、モノマーポリペプチドまたはその断片単独よりも他の分子に結合し、それを中和するにおいてより効果的であることも判明した。例えば、Fountoulakisら,J.Biochem.,270:3958−3964(1995)参照。
【0301】
特別な実施形態において、本発明の方法で用いることができる抗体はホモマー、特にホモトリマーのAPRILポリペプチドに結合する。他の特別な実施形態において、本発明の方法で用いることができる抗体は、2つのAPRILポリペプチドおよび1つのニュートロカイン−アルファポリペプチドを含有するヘテロトリマー、または1つのAPRILポリペプチドおよび2つのニュートロカイン−アルファポリペプチドを含有するヘテロトリマーのようなヘテロマー、特にヘテロトリマーのAPRILポリペプチドに結合する。特別な実施形態において、本発明の方法で用いることができる抗体はホモマー、特にヘテロトリマーAPRILポリペプチドに結合し、ここに、マルチマーの個々のタンパク質成分はAPRILの成熟形態(例えば、配列番号4のアミノ酸残基105〜250参照)よりなる。他の特別な実施形態において、本発明の方法で用いることができる抗体は、2つのAPRILポリペプチドおよび1つのニュートロカイン−アルファポリペプチドを含有するヘテロトリマー、または1つのAPRILポリペプチドおよび2つのニュートロカイン−アルファポリペプチドを含有するヘテロトリマーのようなヘテロモノマー、特にヘテロトリマーのAPRILポリペプチドに結合し、ここに、APRILヘテロマーの個々のタンパク質成分はAPRILの成熟細胞外可溶性タンパク質(例えば、配列番号4のアミノ酸残基105〜250)、または成熟細胞外可溶性部分ニュートロカイン−アルファ(例えば、配列番号2のアミノ酸残基134−285)いずれかよりなる。
【0302】
特別な実施形態において、本発明の方法で用いることができる抗体は、APRILモノマータンパク質の立体配座エピトープに結合する。特別な実施形態において、本発明の方法で用いることができる抗体は、APRILマルチマー、特にトリマータンパク質の立体配座エピトープに結合する。他の実施形態において、本発明の方法で用いることができる抗体は、APRILが(例えば、ニュートロカイン−アルファポリペプチドとで)ヘテロトリマーを形成する場合に、あるいはAPRILおよび異種ポリペプチドの間の融合タンパク質において存在するような、異種ポリペプチドと共にAPRILの隣接位置から生じる立体配座エピトープに結合する。
【0303】
本発明の方法で用いることができる抗体は、限定されるものではないが、ポリクローナル、モノクローナル、多特異的、ヒト、ヒト化またはキメラ抗体、単一鎖抗体、Fab断片、F(ab’)断片、Fab発現ライブラリーによって産生される断片、(例えば、抗−APRIL抗体に対する抗−id抗体を含めた)抗−イディオタイプ(抗−Id)抗体、および前記のいずれかのエピトープ−結合断片を含む。本明細書中で用いられる用語「抗体」とは、免疫グロブリン分子、および免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分、すなわち、抗原に免疫特異的に結合する抗原結合部位を含有する分子をいう。本発明の免疫グロブリン分子は、免疫グロブリン分子のいずれのタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)、またはサブクラスのものとすることもできる。好ましい実施形態において、免疫グロブリンはIgG1またはIgG4イソタイプである。免疫グロブリンは重鎖および軽鎖双方を有することができる。IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、およびIgY重鎖のアレイはカッパまたはラムダ形態の軽鎖と対合することができる。
【0304】
特別な実施形態において、本発明の方法で用いることができる抗体はAPRIL−結合抗体断片であり、限定されるものではないが、Fab、Fab’およびF(ab’)2、Fd、単一鎖Fvs(scFv)、単一鎖抗体、ジスルフィド結合Fvs(sdFv)、およびVLまたはVHドメインいずれかを含む断片を含む。単一鎖抗体を含めたAPRIL−結合抗体断片は、単独で、あるいは以下の:ヒンジ領域、CH1、CH2、およびCH3ドメインの全部または部分と組み合わせた可変領域を含むことができる。特別な実施形態において、本発明の方法で用いることができるAPRIL−結合断片は、可変領域とヒンジ領域、CH1、CH2、およびCH3ドメインとのいずれかの組合せを含む。本発明の方法で用いることができる抗体は、鳥類および哺乳動物を含めたいずれの動物起源からのものであってもよい。好ましくは、抗体はヒト、ネズミ(例えば、マウスおよびラット)、ロバ、シップウサギ、ヤギ、モルモット、ラクダ、ウマ、またはニワトリである。本明細書中で用いるように、「ヒト」抗体は、例えば、その内容をここに引用してその全体を援用する、Kucherlapatiらによって米国特許第5,939,598号に記載された、ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を有する抗体を含む、ヒト免疫グロブリンライブラリーから、または1以上のヒト免疫グロブリンに対してトランスジェニックであって、内因性免疫グロブリンを発現しない動物から単離された抗体を含む。
【0305】
本発明の方法で用いることができる抗体は単一特異性、二重特異性、三重特異性、またはより大きな多重特異性なものであってよい。多重特異性抗体はAPRILポリペプチドの異なるエピトープに特異的であってよく、あるいはAPRILポリペプチド双方に対して、ならびに異種ポリペプチドまたは固体支持体材料のような異種エピトープに対して特異的であって良い。例えば、PCT公開WO93/17715;WO92/08802;WO91/00360;WO92/05793;Tutt,ら.,J.Immunol.147:60−69(1991);米国特許第4,474,893号;第4,714,681号;第4,925,648号;第5,573,920号;第5,601,819号;Kostelny ら.,J.Immunol.148:1547−1553(1992)参照。
【0306】
本発明で用いることができる抗APRIL抗体は、その交差反応の点で記載し、または特定することができる。APRILポリペプチドのいずれかの他のアナログ、オルソログ、またはホモログに結合しない抗体を本発明の方法で用いることができる。特別な実施形態において、本発明の方法で用いることができる抗体はニュートロカイン−アルファと交差反応する。特別な実施形態において、本発明の方法で用いることができる抗体はヒトタンパク質のネズミ、ラットおよび/またはウサギホモログ、およびその対応するエピトープと交差反応する。
【0307】
本発明の方法で用いることができる抗体は、APRILポリペプチドに対するそれらの結合親和性の点で記載し、または特定することもできる。特別な実施形態において、本発明の方法で用いることができる抗体は、5×10−9M、10−9M、5×10−10M、10−10M、5×10−11M、10−11M、5×10−12M、または10−12M以下の解離定数またはKを持つAPRILポリペプチド、またはその断片、または変異体に結合する。特別な実施形態において、本発明の方法で用いることができる抗体は、個々の引用された値の各々の間にある範囲のいずれかの1つ内にある解離定数またはKでもってAPRILポリペプチドに結合する。
【0308】
例えば、APRILポリペプチドとの受容体/リガンド相互作用を部分的にまたは十分に破壊するAPRILが含まれる。また、リガンド結合を妨げないが、受容体アクチベーターを妨げないAPRIL−特異的抗体が含まれる。受容体活性化(すなわち、シグナリング)は、本明細書中に記載された、あるいはそうでなければ当該分野で知られた技術によって測定することができる。例えば、受容体活性化は、当該分野で知られた技術、および/または受容体またはその基質のリン酸化(例えば、チロシンまたはセリン/スレオニン)、続いてのウェスタンブロット解析を用いて転写因子NF−AT、AP−1、および/またはNF−カッパBの活性化を検出することによって決定することができる。
【0309】
特別な実施形態において、リガンド結合および受容体活性化を妨げるAPRIL−特異的抗体、ならびに受容体−リガンド複合体を認識するが、好ましくは、未結合受容体を特異的に認識しない抗体を本発明の方法で用いることができる。特別な実施形態において、リガンドに結合し、かつリガンドの受容体への結合を妨げる中和抗体、ならびにリガンドに結合し、それにより受容体活性化を妨げるが、リガンドが受容体に結合するのを妨げない抗体を本発明の方法で用いることができる。前記APRIL抗体は当該分野で知られた方法を用いて作成することができる。例えば、(全てをここに引用してその全体を援用する)PCT公開WO96/40281;米国特許第5,811,097号;Dengら,Blood 92(6):1981−1988(1998);Chenら,Cancer Res.58(16):3668−3678(1998);Harropら,(J.Immunol.161(4):1786−1794(1998);Zhuら,Cancer Res.58(15):3209−3214(1998);Yoonら,J.Immnuol.160(7):3170−3179(1998);Pratら,J.Cell.Sci.111(Pt2):237−247(1998);Pitard ら,J.Immunol.Methods 205(2):177−190(1997);Liautardら,Cytokeine 9(4):233−241(1997);Carlsonら,J.Biol.Chem.272(17):11295−11301(1997);Tarymanら,Neuron 14(4):755−762(1995);Mullerら,Structure 6(9):1153−1167(1998);Bartunekら,Cytocine 8(1):14−20(1996)参照。
【0310】
H.APRIL結合ポリペプチド
特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストはAPRIL結合ペプチドまたはポリペプチドである。APRIL結合エピトープまたはポリペプチドは、例えば、その各々をここに引用してその全体を援用する、国際特許公開番号WO01/87977、WO01/87979および米国特許公開番号US2002081296およびUS2002086018に記載されている。本発明の方法で用いることができるAPRIL結合ペプチドは、フィラメント状ファージのコートタンパク質との融合によって表示されるランダムペプチド合成から同定された短ポリペプチドを含む。ファージディスプレイペプチドライブラリー技術の議論については、例えば、(その各々をここに引用してその全体を援用する)Scottら,(1990),Science 249:386;Devlinら,(1990),Science 249:404;1993年6月29日に発行された米国特許第5,223,409号;1998年3月31日に発行された米国特許第5,733,731号;1996年3月12日に発行された米国特許第5,498,530号;1995年7月11日に発行された米国特許第5,432,018号;1994年8月16日に発行された米国特許第5,338,665号;1999年7月13日に発行された米国特許第5,922,545号;1996年12月19日に公開されたWO96/40987;および1998年4月16日に発行されたWO98/15833参照。該ペプチドを発現するファージは、固定化APRIL標的ペプチドに対する順次のラウンドのアフィニティー精製に続いての再増殖によって単離する。APRILへの最高結合を持つ候補を配列決定して、各結合ペプチドの同一性を決定する。次いで、各同一APRIL結合ペプチドを「ビヒクル」へ結合させて、本実験の方法で用いるさらなるAPRIL結合ペプチドを得ることができる。用語「ビヒクル」とは、分解を妨げ、および/または半減期を増大させ、毒性を低下させ、免疫原性を低下させ、あるいはAPRIL結合ペプチドの生物学的活性を増大させる分子をいう。例示的なビヒクルはFcドメインおよびその変異体(好ましい「ペプチボディ」);線状ポリマー(例えば、5kD、20kd、および30kD PEG、ポリリシン、デキストランなどを含めたポリエチレングリクコール(PEG));分岐鎖ポリマー(例えば、1981年9月15日に発行されたDenkenwalterらに対する米国特許第4,289,872号;1993年7月20日に発行されたTamに対する第5,229,490号;1993年10月28日に発行されたFrechetらによるWO93/21259参照;脂質;(ステロイドのような)コレステロール基;炭水化物またはオリゴ糖(例えば、デキストラン);サルベージ受容体に結合する天然または合成タンパク質ポリペプチドまたはペプチド;限定されるものではないが、組換えヒトアルブミン、またはその断片または変異体を含めたアルブミン(例えば、ここに引用してその全体を援用する1999年3月2日に発行された米国特許第5,876,969号、EP特許0 4123 622、および1998年6月16日に発行された米国特許第5,766,883号参照);およびロイシンジッパードメイン、および他のそのようなタンパク質およびタンパク質断片を含む。本発明の方法で用いることができるAPRIL結合ポリペプチドは、アミノ酸残基の一つのN−末端、C−末端または側鎖を通じてペプチドに結合した少なくと別のビヒクルの存在を必要する。多重ビヒクルも用いることができる;例えば、各末端における複数Fc、または末端におけるFc、他の末端または側鎖におけるPEG基。APRIL結合ペプチドについては、Fcドメインは好ましいビヒクルである。FcドメインはペプチドのNまたはC末端に、またはNおよびC末端双方において融合することができる。N末端への融合が好ましい。
【0311】
前記したように、Fc変異体は、本発明の方法で用いることができるAPRIL結合ペプチドのための適当なビヒクルである。天然Fcを広く修飾して、Fc変異体を形成することができ、ただし、サルベージ受容体への結合が維持されるものとする;例えば、WO 97/34631およびWO 96/32478参照。そのようなFc変異体において、本発明の方法で用いることができるAPRIL結合ペプチドによって必要とされない構造的特徴または機能的活性を供する天然Fcの1以上の部位を除去することができる。例えば、残基を置換しまたは欠失し、部位へ残基を挿入しまたは部位を含有する部分を切断することによってこれらの部位を除去することができる。挿入されたまたは置換された残基はペプチド模倣物またはD−アミノ酸のような改変されたアミノ酸であってもよい。Fc変異体は多数の理由で望ましいが、そのいくつかを以下に記載する。例示的なFc変異体は分子および配列を含み、ここに;
1.ジスルフィド結合形成に関与する部位を除去する。そのような除去は、本発明の分子を産生するのに用いる宿主細胞に存在する他のシステイン含有タンパク質との反応を回避することができる。この目的では、N−末端におけるシステイン−含有セグメントを切断することができ、あるいはシステイン残基を欠失させ、または他のアミノ酸(例えば、アラニル、セリル)で置換することができる。システイン残基を除去する場合でさえ、単一鎖Fcドメインは、一緒に非−共有結合的に保持されるダイマーFcドメインを依然として形成することができる。
【0312】
2.天然Fcを修飾して、それを選択された宿主により適合するようにする。例えば、プロリンイミノペプチダーゼのようなE.coliにおける消化酵素によって認識できる典型的な天然FcのN−末端近くのPA配列を除去することができる。特に、分子がE.coliのような細菌細胞において組換えにより発現される場合に、N−末端メチオニン残基を加えることができる。
【0313】
3.天然FcのN−末端の部分を除去して、選択された宿主細胞において発現される場合に、N−末端不均一性を妨げる。この目的では、N−末端における最初の20アミノ酸残基のいずれかを欠失させることができる。
【0314】
4.1以上のグリコシル化部位を除去する。典型的にはグリコシル化される残基(例えば、アスパラギン)は細胞溶解性応答を付与することができる。そのような残基は欠失することができるか、未グリコシル化残基(例えば、アラニン)で置換することができる。
【0315】
5.C1q結合部位のような補体との相互作用に関与する部位を除去する。例えば、ヒトIgG1のEKK配列を欠失させ、置換することができる。補体動員は、本発明の方法で用いることができる分子で有利ではなく、従って、そのようなFc変異体で回避することができる。
【0316】
6.サルベージ受容体以外のFc受容体への結合に影響する部位を除去する。天然Fcは、本発明の方法で用いることができるニュートロカイン−アルファ結合ペプチド融合分子に必要とされないある白血球細胞との相互作用のための部位を有することができ、従って除去することができる。
【0317】
7.ADCC部位は除去する。ADCC部位は当該分野で知られている;例えば、IgG1におけるADCC部位に関してはMolec.Immunol.29(5):633−9(1992)参照。これらの部位は、同様に、本発明の方法で用いることができる融合分子に必要ではなく、従って、除去することができる。
【0318】
8.天然Fcが非−ヒト抗体に由来する場合、天然Fcをヒト化することができる。典型的には、天然Fcをヒト化するには、非−ヒト天然Fcにおける選択された残基をヒト天然Fcにおいて通常見出される残基で置換する。抗体ヒト化のための技術は当該分野でよく知られている。
【0319】
本発明の方法で用いることができるAPRIL結合ペプチドのための代替ビヒクルは、サルベージ受容体に結合することができる、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、抗体、抗体断片、または小分子(例えば、ペプチド模倣化合物)であろう。例えば、米国特許第5,739,277号に記載されたポリペプチドをビヒクルとして用いることができよう。ペプチドはファージディスプレイ、またはサルベージ受容体への結合についてのRNAペプチドスクリーニングによって選択することもできよう。そのようなサルベージ受容体−結合化合物もまた、「ビヒクル」の意味内に含まれ、本発明の方法で用いることができるAPRIL結合ペプチドで用いることができる。そのようなビヒクルは(例えば、プロテアーゼによって認識される配列を回避することによって)増大した半減期、および(例えば、抗体ヒト化において発見された非−免疫原性配列を好都合とすることによって)減少した免疫原性について選択すべきである。
【0320】
前記したように、ポリマービヒクルは、本発明の方法で用いることができるAPRIL結合ペプチドで用いることもできる。ビヒクルとして有用な化学部位を結合するための種々の手段が現在入手可能である。例えば、ここに引用してその全体を援用する、特許協力条約(「PCT」)国際公開番号WO 96/11953参照。このPCT公開は、とりわけ、水溶性ポリマーのタンパク質のN−末端への選択的結合を開示する。
【0321】
特別な実施形態において、好ましいポリマービヒクルはポリエチレングリコール(PEG)である。PEG基はいずれの便宜な分子量のものであって良く、線状または分岐状であってよい。PEGの平均分子量は好ましくは、約2キロダルトン(「kD」)〜100kD、より好ましくは約5kD〜約50kD、最も好ましくは約5kD〜約10kDの範囲である。PEG基は、本発明の化合物上の反応性基(例えば、アルデヒド、アミノ、またはエステル基)に対して、一般には、PEG部位上の反応性基(例えば、アルデヒド、アミノ、チオール、またはエステル基)を通じる、アシル化または還元的アルキル化を介して本発明の方法で用いることができるAPRIL結合ペプチドに結合させる。
【0322】
合成ペプチドのPEG化のための有用な戦略は、溶液中のコンジュゲート結合の形成を通じて、ペプチドおよびPEG部位を合わせることを含み、各々は相互に対して反応性である特殊な機能性を担う。ペプチドは慣用的な固相合成で容易に調製することができる。
ペプチドは特定の部位における適当な官能基で「予め活性化」させる。PEG部位との反応に先立って、前駆体を精製し、十分に特徴付ける。ペプチドのPEGとの連結は通常水性相中で起こり、逆相分析HPLCによって容易にモニターすることができる。PEG化ペプチドは分取用HPLCによって容易に精製することができ、分析HPLCアミノ酸分析、レーザー脱着質量分析によって特徴付けることができる。
【0323】
多糖ポリマーは、本発明の方法で用いることができるAPRIL結合ペプチドで用いることができる水溶性ポリマーの別のタイプである。デキストランは、α1ー6結合によって圧倒的に結合されたグルコースの個々のサブユニットから構成される多糖ポリマーである。デキストランそれ自体は多くの分子量範囲で入手可能であり、約1kD〜約70kDの分子量にて容易に入手可能である。デキストランは、ビヒクルそれ自体としてあるいは別のビヒクル(例えば、Fc)と組み合せて本発明の方法で用いることができるAPRIL結合ペプチドで用いる適当な水溶性ポリマーである。例えば、WO 96/11953およびWO 96/05309参照。治療または診断免疫グロブリンにコンジュゲートしたデキストランの使用は報告されている;例えば、ここに引用してその全体を援用する欧州特許公開番号0 315 456参照。約1kD〜約20kDのデキストランが、デキストランを本発明に従ってビヒクルとして用いる場合に好ましい。
【0324】
特別な実施形態において、本発明の方法で用いることができるAPRIL結合ペプチドは所望により「リンカー」を含む。存在する場合、その化学構造は重大ではない。というのは、それは主としてスペーサーとして働くからである。リンカーは、好ましくは、ペプチド結合によって一緒に連結されたアミノ酸で構成される。かくして、好ましい実施形態において、リンカーはペプチド結合によって連結された1〜30アミノ酸から構成され、ここに、アミノ酸は20の天然に生じるアミノ酸から選択される。これらのアミノ酸のいくつかは、当業者に良く理解されるようにグリコシル化されていても良い。なおより好ましい実施形態において、1〜20のアミノ酸はグリシン、アラニン、プロリン、アスパラギン、グルタミンおよびリシンから選択される。より好ましくは、リンカーは、グリシンおよびアラニンのような立体的に障害を受けないアミノ酸の大部分から構成される。かくして、好ましいリンカーはポリグリシン(特に、(Gly),(Gly))、ポリ(Gly−Ala)である。好ましいリンカーは5を超えるアミノ酸を含むアミノ酸リンカーであり、適当なリンカーはグリシン、アラニン、プロリン、アスパラギン、グルタミン、リシン、スレオニン、セリンまたはアスパルテートから選択される約500までのアミノ酸を有する。約20〜50のアミノ酸リンカーが最も好ましい。
【0325】
非−ペプチドリンカーもまた、本発明の方法で用いることができるAPRIL結合ペプチドで有用である。例えば、nが2〜20である−NH−(CH−C(O)−のようなアルキルリンカーを用いることができよう。これらのアルキルリンカーは、低級アルキル(例えば、C−C)低級アシルハロゲン(例えば、Cl、Br)、CN、NH、フェニル等のようないずれかの非−立体障害基によってさらに置換されていてもよい。
【0326】
I.アンチセンスおよびsiRNA
特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは、アンチセンスRNA、触媒RNA(リボザイム)、またはニュートロカイン−アルファ、APRIL、またはニュートロカイン−アルファに対する受容体(例えば、TACI、BCMAおよびBAFF−R)を標的とする短い干渉RNA(siRNA)である。特別な実施形態において、ニュートロカイン−アルファ、APRIL、TACI、BCMAまたはBAFF−Rに対して向けられたアンチセンス分子を本発明の方法で用いることができる。アンチセンス技術を用いて、アンチセンスDNAまたはRNAを通じてまたは三重−ラセン形成を通じて遺伝子発現を制御することができる。アンチセンス技術は、例えば、Okano,J.Neurochem.56:560(1991);”Oligodeoxynucleotides as Antisense Inhibitors of Gene Expression, CRC Press,Boca Ratin, Fl(1988)において議論されている。三重ラセン形成は、例えば、Leeら,Nucleic Acids Research 6:3073(1979);Cooneyら,Science 241:456(1988);およびDervanら,Science 251:1360(1991)で議論されている。該方法は相補的DNAまたはRNAへのポリヌクレオチドの結合に基づく。例えば、本発明のポリペプチドの細胞外ドメインをコードするポリヌクレオチドの5’コーディング部分を用いて、長さが約10〜40塩基対のアンチセンスRNAオリゴヌクレオチドを設計することができる。DNAオリゴヌクレオチドは、転写に関与する遺伝子の領域に対して相補的となるように設計し、それにより、ニュートロカイン−アルファ、APRIL、TACI、BCMAまたはBAFF−Rの転写および産生を妨げる。アンチセンスRNAオリゴヌクレオチドはインビボにてmRNAにハイブリダイズし、ニュートロカイン−アルファ、APRIL、TACI、BCMAまたはBAFF−RポリペプチドへのmRNAの転写をブロックする。前記したオリゴヌクレオチドを、アンチセンスRNAおよびDNAがインビボで発現されて、ニュートロカイン−アルファ、APRIL、TACI、BCMAまたはBAFF−Rの産生を阻害することができるように細胞に送達することもできる。
【0327】
一つの実施形態において、本発明の方法で用いることができるニュートロカイン−アルファ、APRIL、TACI、BCMAまたはBAFF−Rアンチセンス核酸は外因性配列からの転写によって細胞内で産生される。例えば、ベクターまたはその部分は転写され、本発明の方法で用いることができるアンチセンス核酸(RNA)を生じる。そのようなベクターは、ニュートロカイン−アルファ、APRIL、TACI、BCMAまたはBAFF−Rアンチセンス核酸をコードする配列を含有するであろう。そのようなベクターは、それが転写されて、所望のアンチセンスRNAを生じる限り、エピソームに留まるか、または染色体に組み込まれ得る。そのようなベクターは、当該分野において標準的な組換えDNA技術方法によって構築することができる。ベクターは、脊椎動物細胞において複製および発現で用いられる当該分野で公知のプラスミド、ウイルスまたは他のものであり得る。ニュートロカイン−アルファ、APRIL、TACI、BCMAまたはBAFF−R、またはその断片をコードする配列の発現は、脊椎動物、好ましくはヒト細胞において作用する当該分野で公知のいずれのプロモーターによるものでもあり得る。そのようなプロモーターは誘導性または構成的であり得る。そのようなプロモーターは、限定されるものではないが、SV40初期プロモーター領域(Bernoist and Chambon,Nature 29:304−310(1981)、ラウス肉腫ウイルスの3’ロングターミナルリピートに含まれるプロモーター(Yamamotoら,Cell 22:787−797(1980))、ヘルペスチミジンプロモーター(Wagnerら,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.78:1441−1445(1981))、メタロチオネイン遺伝子の調節配列(Brinsterら,Nature 296:39−42(1982))などを含む。
【0328】
本発明の方法で用いることができるアンチセンス核酸は、ニュートロカイン−アルファ、APRIL、TACI、BCMAまたはBAFF−R遺伝子のRNA転写体の少なくとも部分に相補的な配列を含む。しかしながら、好ましくはないが、絶対的相補性は要求されない。本明細書中で言及される「RNAの少なくとも部分に対して相補的な」配列は、RNAとハイブリダイズでき、安定なディプレックスを形成する十分な相補性を意味し;二重標準ニュートロカイン−アルファ、APRIL、TACI、BCMAまたはBAFF−Rアンチセンス核酸の場合には、かくして、ディプレックスDNAの単一ストランドをテストすることができ、またはトリプレックス形成をアッセイすることができる。ハイブリダイズする能力は、相補性の程度およびアンチセンス核酸の長さの双方に依存する。一般に、ハイブリダイズする核酸がより長ければ、それが含有することができ、依然として安定したディプレックス(当てはまる場合にはトリプレックス)を形成することができるニュートロカイン−アルファ、APRIL、TACI、BCMAまたはBAFF−R RNAとの塩基ミスマッチがより多くなる。当業者であれば、ハイブリダイズした複合体の融解点を決定するための標準的な手法の使用によってミスマッチの許容できる程度を確認することができる。
【0329】
メッセージの5’末端に相補的なオリゴヌクレオチド、例えば、AUG開始コドンまでの、およびそれを含めた5’非翻訳配列は、翻訳を阻害するにおいて最も効果的に働くはずである。しかしながら、mRNAの3’非翻訳に相補的な配列は、同様に、mRNAの翻訳を阻害するにおいて効果的なことが示されている。一般に、Wagner,R.,1994,Nature 372:333−335参照。かくして、ニュートロカイン−アルファ(配列番号1)、APRIL(配列番号3)、TACI(配列番号5)、BCMA(配列番号7)またはBAFF−R(配列番号9)の5’−または3’−非−翻訳非−翻訳コーディング領域いずれかに相補的なオリゴヌクレオチドは、内因性ニュートロカイン−アルファ、APRIL、TACI、BCMAまたはBAFF−R mRNAの翻訳を阻害するためのアンチセンスアプローチで用いることができよう。mRNAの5’非翻訳領域に相補的なオリゴヌクレオチドは、AUG開始コドンの相補体を含むべきである。mRNAコーディング領域に対して相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドは翻訳のより効率の低い阻害剤であるが、本発明の方法に従って用いることができよう。ニュートロカイン−アルファ、APRIL、TACI、BCMAまたはBAFF−R mRNA5’−、3’−またはコーディング領域にハイブリダイズするように設計されたか否かにかかわらず、アンチセンス核酸は長さが少なくとも6ヌクレオチドとすべきであり、好ましくは、長さが6〜約50ヌクレオチドの範囲のオリゴヌクレオチドである。特別な態様において、オリゴヌクレオチドは少なくとも10ヌクレオチド、少なくとも17ヌクレオチド、少なくとも25ヌクレオチドまたは少なくとも50ヌクレオチドである。
【0330】
本発明の方法で用いることができるポリヌクレオチドはDNAまたはRNA、またはキメラ混合物、またはその誘導体または改変バージョン、一本鎖または二本鎖であり得る。オリゴヌクレオチドは塩基部位、糖、またはリン酸骨格において修飾して、例えば、分子の安定性、ハイブリダイゼーション等を改良することができる。オリゴヌクレオチドは(例えば、インビボで宿主細胞受容体を標的化するための)ペプチド、または細胞膜(例えば、Letsingerら,1989,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.86:6553−6556;Lemaitreら,Proc.Natl.Acad.Sci.84:648−652(1987);1988年12月15日に公開されたPCT公開番号WO88/09810参照)、または血液−脳関門(例えば、1988年4月25日に公開されたPCT公開番号WO89/10134参照)を横切る輸送を容易とする剤、ハイブリダイゼーション−トリガード切断剤(例えば、Krolら,BioTechniques 6:958−976(1988)参照)またはインターカレーティング剤(例えば、Zon,Pharm.Res.5:539−549(1988)参照)のような他の付属基を含むことができる。この目的では、オリゴヌクレオチドは別の分子、例えば、ペプチド、ハイブリダイゼーショントリガード架橋剤、輸送剤、ハイブリダイゼーション−トリガード切断剤にコンジュゲートすることができる。
【0331】
本発明の方法で用いることができるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、限定されるものではないが、5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−クロロウラシル、5−ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4−アセチルシトシン、5−(カルボキシヒドロキシメチル)ウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウリジン、5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、ベータ−D−ガラクトシルケオシン、イノシン、N6−イソペンテニルアデニン、1−メチルグアニン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアニル、2−メチルアデニン、2−メチルグアニン、3−メチルシトシン、5−メチルシトシン、N6−アデニン、7−メチルグアニン、5−メチルアミノメチルウラシル、5−メトキシアミノメチル−2−チオウラシル、ベータ−D−マンノシルケオシン、5−メトキシカルボニルメチルウラシル、5−メトキシウラシル、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン、ウラシル−5−オキシ酢酸(V)、ウイブトキソシン、プロリドウラシル、ケオシン、2−チオシトシン、5−メチル−2−チオウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−メチルウラシル、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、5−メチル−2−チオウラシル、3−(3−アミノ−3−N−2−カルボキシプロピル)ウラシル、(acp3)w、および2,6−ジアミノプリンを含めた群から選択される少なくと別の修飾された塩基部位を含むことができる。
【0332】
本発明の方法で使用しうるアンチセンスオリゴヌクレオチドにはまた、限定はしないが、アラビノース、2−フルオロアラビノース、キシルロースおよびヘキソースを含む群より選択された少なくとも1つの修飾された糖部位が含まれうる。
【0333】
また他の実施様態において、本発明の方法にて使用しうるアンチセンスオリゴヌクレオチドには、限定はしないが、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホルアミドチオエート、ホスホルアミデート、ホスホルジアミデート、メチルホスホネート、アルキルホスホトリエステル、およびホルムアセタール、またはこれらのアナログを含む群より選択される、少なくとも1つの修飾ホスフェート骨格が含まれる。
【0334】
また他の実施様態において、本発明の方法にて使用しうるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、アルファ芳香族オリゴヌクレオチドである。アルファ芳香族オリゴヌクレオチドは、通常のベータ−ユニットと逆で、鎖が平行して互いに走る、相補RNAと特異的な二本鎖ハイブリッドを形成する(Gautierら、Nucl.Acid Res.15:6625−6641(1987))。オリゴヌクレオチドは、2−0−メチルリボヌクレオチド(Inoueら、Nucl.Acids Res.15:6131−6148(1987))、またはキメラRNA−DNAアナログ(Inoueら、FEBS Lett.215:327−330(1997))である。
【0335】
本発明の方法において使用しうるポリヌクレオチドは、本技術分野で公知の標準の方法によって、たとえば(Biosearch、Applied Biosystemsなどより市販されているような)自動化DNA合成機の利用によって、合成してよい。たとえば、ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドは、Steinら(Nucl.Acids Res.16:3209(1988))の方法によって合成してよく、メチルホスホネートオリゴヌクレオチドは、制御孔ガラスポリマー支持体(Sarinら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.85:7448−7451(1988))などの利用によって調製可能である。
【0336】
ニュートロカイン−アルファ、APRIL、TACI、BCMAまたはBAFF−Rコード領域配列に相補的なアンチセンスヌクレオチドが使用可能である一方で、転写され、翻訳されていない領域に相補的なものが、本発明の方法における利用のためにもっとも好ましい。
【0337】
特定の実施形態において、本発明の方法にて使用しうるニュートロカイン−アルファアンタゴニストにはまた、触媒RNA、またはニュートロカイン−アルファ、APRIL、TACI、BCMAまたはBAFF−Rに対して指向するリボザイム(たとえばPCT国際公報第WO90/11364号、1990年10月4日に発行、Sarverら、Science 247:1222−1225(1990)を参照のこと)も挙げられる。部位特異的認識配列にてmRNAを切断するリボザイムを、ニュートロカイン−アルファ、APRIL、TACI、BCMAまたはBAFF−R mRNAsを破壊するために利用可能である一方で、ハンマーヘッド型リボザイムの使用が本発明の方法において好ましく用いられる。ハンマーヘッド型リボザイムは、標的mRNAと相補的な塩基対を形成するフランキング領域によって決定された場所にて、mRNAを切断する。唯一の要求は、標的mRNAが、以下の2塩基の配列、5’−UG−3’を持つことである。ハンマーヘッド型リボザイムの構築および産生が本技術分野で周知であり、Haseloff and Gerlach,Nature 334;585−591(1988)にてより完全に記述されている。ニュートロカイン−アルファ、APRIL、TACI、BCMAまたはBAFF−Rのヌクレオチド配列内に、多数の可能性のあるハンマーヘッド型リボザイム切断部位が存在する。好ましくは、リボザイムは、切断認識部位が、ニュートロカイン−アルファ、APRIL、TACI、BCMAまたはBAFF−R mRNAの5’末端近くに位置するように、つまり、効果を高め、非機能性mRNA転写物の細胞内蓄積を最小化するために、設計される。
【0338】
アンチセンスアプローチにおいてのように、本発明の方法にて使用しうるリボザイムは、(たとえば、安定性の改善、標的化などのために)修飾されたオリゴヌクレオチドからなり得、ニュートロカイン−アルファ、APRIL、TACI、BCMAまたはBAFF−Rをインビボで発現する細胞に伝達されるべきである。リボザイムをコードしているDNA構築物を、アンチセンスコードDNAの導入のために上記と同様の様式で、細胞内に導入しうる。送達の好ましい方法には、たとえばpolIIIまたはpolIIプロモーターのような、強力な構成的プロモーターの制御下で、リボザイムを「コードしている」DNAまたはRNA構築物を使用することが含まれ、それによって、トランスフェクトされた細胞が、内因性ニュートロカイン−アルファ、APRIL、TACI、BCMAまたはBAFF−Rメッセージを破壊し、翻訳を阻害するのに十分な量のリボザイムを産生する。アンチセンス分子と違いリボザイムは触媒であるので、効果に対して必要な細胞内濃度はより低い。
【0339】
特定の実施形態において、ニュートロカイン−アルファ、APRIL、TACI、BCMAまたはBAFF−Rに対して指向される短い干渉RNAを、本発明の方法にて使用してよい。siRNA技術を使用して、細胞RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)の誘導を介して遺伝子発現を制御するために使用可能である。siRNA技術が、たとえばHamilton AJ and Baulcombe DC.Science.1999 Oct 29;286(5441):950−2、Elbashir SMら、Nature,2001 May 24:411(6836):494−8およびHanon,Gergory J.and Rossi,John J.Nature 431,371−378(2004)にて議論されている。本方法は、細胞内への短い二本鎖RNA(一般的に20〜25ヌクレオチド)の導入に基づいている。二本鎖RNAは巻かれておらず、各鎖は分離される。RNAの一本鎖がついでRISC内に組み込まれる。RISCがついで、配列特異的mRNA切断を指向し、結果として翻訳抑制となる。たとえば、ニュートロカイン−アルファ、APRIL、TACI、BCMAまたはBAFF−Rポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドのコード部分を、長さにして約20〜25ヌクレオチドのsiRNAオリゴヌクレオチドを設計するために使用してよい。DNAオリゴヌクレオチドは、およそ20〜25ヌクレオチド断片、およそ9ヌクレオチドのスペーサー、および選択したヌクレオチド断片の逆相補物で設計される。本構築物から産生されたRNA転写物が、それ自体折りたたまれ、ヘアピンループを形成することが予想される。ヘパリンループRNAの細胞への送達により、結果としてRnase、すなわちDicerによる処理で、短い二本鎖siRNAが産生される。本siRNAの鎖のRISCエフェクター複合体内への組み込みが、結果として、ニュートロカイン−アルファ、APRIL、TACI、BCMAまたはBAFF−Rの産生を阻害するために、siRNAによって標的化されたmRNAの切断となる。
【0340】
1つの実施形態において、本発明の方法において使用しうるニュートロカイン−アルファ、APRIL、TACI、BCMAまたはBAFF−R siRNA核酸は、外因性配列からの転写によって細胞内で産生される。たとえば、ベクターまたはその一部分が転写され、本発明の方法にて使用しうるsiRNAが産生される。そのようなベクターは、ニュートロカイン−アルファ、APRIL、TACI、BCMAまたはBAFF−R siRNA核酸をコードしている配列を含む。そのようなベクターは、本技術分野で標準の組換え体DNA技術方法によって構築可能である。ベクターは、脊椎動物細胞中の複製および発現のために使用される、プラスミド、ウイルス、または本技術分野で公知の他のものでありうる。ニュートロカイン−アルファ、APRIL、TACI、BCMAまたはBAFF−R siRNAをコードしている配列の転写は、典型的に、通常小核RNA(snRNAs)の転写を指向する、RNAポリメラーゼIIIプロモーター(たとえばU6またはH1)を用いて実施される。
【0341】
B−細胞調節物
ニュートロカイン−アルファおよびAPRILに対するレセプターに加えて、Bリンパ球は、細胞外微小環境に関してB細胞に情報を与え、B細胞機能および生存を正に、および負に制御するために、膜貫通シグナルとして働くために機能する、種々の細胞表面分子を発現する。これらのレセプターのうち、CD19、CD20およびCD22が、治療的発明のための見込みある標的として同定されてきた。
【0342】
CD20は、カルシウムチャネルとして複合体内で作用する、内在性膜タンパク質である。CD20カルシウムチャネルの阻害剤は、Ca2+ホメオスタシスを崩壊させ、細胞周期進行を崩壊させる。特定の実施形態において、抗CD20抗体を、本発明の方法において使用してよい。好ましい実施形態において、本発明の方法にて使用しうる抗CD20抗体は、Rituxan(登録商標)(リツキシマブ)である。他の好ましい実施形態において、本発明の方法にて使用しうる抗−CD20抗体は、TRU−015である。別の好ましい実施形態において、本発明の方法にて使用しうる抗CD20抗体は、TRU−015である。別の好ましい実施形態において、本発明の方法にて使用しうる抗CD20抗体は、オクレリズマブ(PRO70769)である。別の好ましい実施形態において、本発明の方法にて使用しうる抗CD20抗体は、IMMU−106である。別の好ましい実施形態において、本発明の方法にて使用しうる抗CD20抗体は、HuMax−CD20である。
【0343】
CD22は、Bリンパ球を含む種々の細胞にて見られる、シアル酸結合タンパク質のシグレックファミリーのメンバーである。CD22の、種々のシスおよびトランス炭化水素リガンドとの相互作用が、結果として、B細胞発達、増殖および活性化の種々の態様の制御となる。特定の実施形態において、抗CD22抗体を、本発明の方法にて使用してよい。好ましい実施形態において、本発明の方法にて使用しうる抗CD22抗体はエプラツズマブである。
【0344】
他の免疫調節薬剤
特定の実施形態において、本発明の方法は、1つ以上の以下の薬物、CellCept(マイコフェノレート モフェティル、MMF)、Orencia(登録商標)(アバタセプト、CTLA4−Ig)、RiquentTM(アベチムス ナトリウム、LJP394)、PrestaraTM(プラセロン)、Edratide(TV−4710)、Actemra(登録商標)(トシリズマブ、アトリズマブ)、VX−702、TRX 1、IPP−201101、ABR−215757、スフィンゴシン−1−リン酸−1(S1P1)アゴニスト、HuMax−InflamTM(MDX018)、MEDI−545(MDX−1103/1333)、RhuDex(登録商標)、Deoxyspergualin、ENBRELTM(Etanercept)、抗TNF抗体、抗インターフェロン−アルファ抗体、で実施してよい。
【0345】
患者集団
本明細書で記述したように、狼瘡患者がニュートロカイン−アルファタンパク質を中和する抗体で処置された臨床試験からのデータが、1:80以上のANA力価、および/または30IU/mL以上の抗dsDNAを有する患者において、狼瘡に関連した症状を有意に改善した(実施例1)。驚くべき事に、(以下でより詳細に示したような、SELENA SLEDAIスコアにおける減少のような)疾患活性を測定する臨床評価点における統計学的に有意な改善が、臨床試験にて登録された全患者集団に対して、患者のサブセットにてのみ得られた。したがって、本発明は、ニュートロカイン−アルファのアゴニストような免疫調節薬剤での処置に対してより応答する傾向のある患者のサブグループの同定に関する。
【0346】
さらに、本明細書で記述したように、全身エリテマトーデス(SLE)は、患者が持ちうる広い症状の性質、および狼瘡に関連した多くの症状が、多くの他の自己免疫疾患にても見られるという事実によって、正確に診断することが難しい、非常に不均一な疾患である。したがって、本発明の1つの実施形態は、疾患診断に関わりなく、治療的に効果的な量の、ニュートロカイン−アルファまたは、本技術分野で公知であり、および/もしくは本明細書で記述された他の免疫調節薬剤を投与することを含む、患者の血漿または血清中、1:80以上のANA力価、および/または30IU/mL以上の抗dsDNA抗体を有する患者を処置する方法を提供する。本発明の別の実施形態は、疾患診断に関わりなく、治療的に効果的な量の、ニュートロカイン−アルファまたは、本技術分野で公知であり、および/または本明細書で記述された他の免疫調節薬剤を投与することを含み、さらに免疫調節薬剤を投与する前に、患者が、患者の血漿または血清中、1:80以上のANA力価、および/または30IU/mL以上の抗dsDNA抗体を持つことを決定することを含む、患者の血漿または血清中、1:80以上のANA力価、および/または30IU/mL以上の抗dsDNA抗体を有する患者を処置する方法を提供する。
【0347】
さらなる実施形態において、患者の血漿または血清中、1:80以上のANA力価、および/または30IL/mL以上の抗dsDNA抗体を有する患者は、SLEではない自己免疫疾患を患う。さらなる実施形態において、患者の血漿または血清中、1:80以上のANA力価、および/または30IL/mL以上の抗dsDNA抗体を有する患者は、慢性関節リウマチを患う。さらなる実施形態において、患者の血漿または血清中、1:80以上のANA力価、および/または30IL/mL以上の抗dsDNA抗体を有する患者は、シェーグレン症候群を患う。さらなる実施形態において、患者の血漿または血清中、1:80以上のANA力価、および/または30IL/mL以上の抗dsDNA抗体を有する患者は、強皮症を患う。さらなる実施形態において、患者の血漿または血清中、1:80以上のANA力価、および/または30IL/mL以上の抗−dsDNA抗体を有する患者は、多発性筋炎−皮膚筋炎を患う。さらなる実施形態において、患者の血漿または血清中、1:80のANA力価、および/または30IL/mL以上の抗dsDNA抗体を有する患者は、フェルティ症候群を患う。さらなる実施形態において、患者の血漿または血清中、1:80以上のANA力価、および/または30IL/mL以上の抗dsDNA抗体を有する患者は、混合性結合組織疾患を患う。さらなる実施形態において、患者の血漿または血清中、1:80以上のANA力価、および/または30IL/mL以上の抗−dsDNA抗体を有する患者は、レイノー症候群を患う。さらなる実施形態において、患者の血漿または血清中、1:80以上のANA力価、および/または30IL/mL以上の抗dsDNA抗体を有する患者は、若年性慢性関節炎を患う。
【0348】
さらに、全身性エリテマトーデスおよび慢性関節リウマチの患者を処置するために、ニュートロカイン−アルファタンパク質を中和する抗体を用いる両第2相臨床試験において(実施例1および3を参照のこと)、ベースラインで自己抗体陽性疾患の患者が、処置に対してより応答する傾向にあることが観察されたことが明らかである。本明細書で記述したように、ベースラインにおいて、1:80以上のANA力価、および/または30IL/mL以上の抗dsDNA抗体を持つSLE患者は、ANA力価が1:80未満であり、抗dsDNA抗体のレベルが30IU/mL未満であるSLE患者よりも、一群としてより強い応答を示した。同様に、慢性関節リウマチにおいて、ベースラインでリウマチ因子[RF]または抗環状シトルリン化ペプチド[CCP]抗体に関して陽性であった患者が、ベースラインでリウマチ因子[RF]または抗環状シトルリン化ペプチド[CCP]抗体に対して陽性でなかった慢性関節リウマチ患者よりも、一群としてより強い応答を示したことが観察された。
【0349】
したがって、本発明の他の態様において、疾患診断に関わりなく、治療的に効果的な量の、ニュートロカイン−アルファまたは、本技術分野で公知であり、および/もしくは本明細書で記述された他の免疫調節薬剤を投与することを含む、ベースラインでリウマチ因子[RF]または抗環状シトルリン化ペプチド[CCP]抗体に対して陽性の患者を処置する方法が提供される。本発明の別の実施形態は、疾患診断に関わりなく、治療的に効果的な量の、ニュートロカイン−アルファまたは、本技術分野で公知であり、および/もしくは本明細書で記述された他の免疫調節薬剤を投与することを含み、さらに、免疫調節薬剤を投与する前に、患者が、ベースラインでリウマチ因子[RF]または抗環状シトルリン化ペプチド[CCP]抗体に対して陽性であることを決定することを含む、ベースラインでリウマチ因子[RF]または抗環状シトルリン化ペプチド[CCP]抗体に対して陽性の患者を処置する方法を提供する。特定の実施形態において、血漿および/または血清中、12IU/ml以上のリウマチ因子を持つ場合に、患者がリウマチに対して陽性であると考えられる。特定の実施形態において、患者が、その血漿および/血清中、10ユニット以上の抗CCP抗体を持つ場合に、患者が抗CCP抗体に対して陽性であると考えられる。
【0350】
本発明のさらなる態様において、疾患診断に関わりなく、治療的に効果的な量の、ニュートロカイン−アルファまたは、本技術分野で公知であり、および/もしくは本明細書で記述された他の免疫調節薬剤を投与することを含む、ベースラインにて自己抗体陽性である患者を処置する方法が提供される。本発明の別の実施形態は、疾患診断に関わりなく、治療的に効果的な量の、ニュートロカイン−アルファまたは、本技術分野で公知であり、および/もしくは本明細書で記述された他の免疫調節薬剤を投与することを含み、免疫調節薬剤を投与する前に、患者が、ベースラインにて自己抗体陽性であることを決定することをさらに含む、ベースラインにて自己抗体陽性である患者を処置する方法を提供する。
【0351】
免疫調節薬剤の作製
本発明で使用可能な免疫調節薬剤を作製および/または単離する方法が、本技術分野の当業者に公知である。天然のタンパク質性である免疫調節薬剤(たとえば抗ニュートロカイン−アルファ抗体、ニュートロカイン−アルファ結合ペプチドおよびポリペプチド、ニュートロカイン−アルファ受容体タンパク質ならびに上記ポリペプチドの断片および変異体)を調製するために利用可能な方法を、以下に簡単に概説している。
【0352】
1つの実施形態において、免疫調節タンパク質をコードしているポリヌクレオチドが、ベクター(たとえばクローニングベクターまたは発現ベクター)内に挿入される。ベクターはたとえば、ファージベクター、プラスミドベクター、ウイルスベクターまたはレトロウイルスベクターでありうる。レトロウイルスベクターは、複製コンピテントまたは複製欠如でありうる。後者において、ウイルス増殖は一般的に、補完宿主細胞にてのみ発生する。免疫調節タンパク質をコードしているポリヌクレオチドは、宿主内での増殖のための選択可能マーカーを含むベクターに結合してよい。宿主細胞内へのベクター構築物の導入は、本技術分野で公知の技術によって達成可能であり、それには限定はしないが、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE−デキストラン媒介トランスフェクション、カチオン脂質媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、トランスダクション、感染または他の方法が含まれる。そのような方法は、Davisら、Basic Methods In Molecular Biology(1986)のような、多くの標準の研究室マニュアルにて記述されている。
【0353】
一般的に、組換え発現ベクターには、複製起源、たとえば大腸菌(E.coli)のアンピシリン耐性遺伝子および酵母菌(S.cerevisiae)TRP1遺伝子のような、宿主細胞の形質転換を許容する選別可能マーカー、ならびに下流構造配列の転写を指向するための、高度に発現した遺伝子に由来するプロモーターが含まれる。特に、そのようなプロモーターは、3−ホスホグリセレート キナーゼ(PGK)のような糖分解酵素、a−因子、酸ホスファターゼ、またはヒートショックタンパク質などをコードしているオペロン由来でありうる。異種構造配列が、翻訳開始配列および終結配列、ならびに好ましくは、ペリプラズマ空間または細胞外培地中への翻訳されたタンパク質の分泌を指向しうるリーダー配列と、適切な相にて構築される。任意に、異種配列は、所望の特徴、たとえば発現した組換え体産物の安定化または単純精製を与えるN−末端同定ペプチドを含む融合タンパク質をコードしうる。
【0354】
1つの実施形態において、免疫調節タンパク質をコードしているポリヌクレオチドは、数例あげるとすると、ファージラムダPLプロモーター、大腸菌lac、trp、phoAおよびtacプロモーター、SV40初期および後期プロモーター、およびレトロウイルスLTRのプロモーターのような、適切な異種調節要素(たとえばプロモーターまたはエンハンサー)と操作可能に結合する。他の適切なプロモーターは、当業者に公知である。
【0355】
指摘したように、発現ベクターは好ましくは、少なくとも1つの選別可能マーカーを含む。そのようなマーカーとして、ジヒドロ葉酸リダクターゼ、真核細胞培養のためのG418またはネオマイシン耐性、ならびに大腸菌および他の細菌内での培養のためのテトラサイクリン、カナマイシンまたはアンピシリン耐性遺伝子が挙げられる。代表的な適切な宿主の例には、限定はしないが、大腸菌、ストレプトマイセスおよびサルモネラ チフィムリウム細胞などの細菌細胞、酵母細胞(たとえばサッカロマイセス セルビシエまたはピッチア パストリス(ATCC受託番号201178)などの)真菌細胞、ドロソフィラS2およびスポドプテラSf9細胞などの昆虫細胞、CHO、COS、293およびBowesメラノーマ細胞などの動物細胞、および植物細胞が挙げられる。上記宿主細胞のための適切な培養培地および条件が、本技術分野で公知である。
【0356】
宿主細胞は、哺乳動物細胞(たとえばヒト由来細胞)などのより高次の真核細胞、または酵母細胞などのより低次の真核細胞であってよく、または宿主細胞は、細菌細胞のような原核細胞であってよい。挿入された遺伝子配列の発現を調節するか、または特定の所望の様式で遺伝子産物を修飾および処理する宿主株を選択してよい。特定のプロモーターからの発現が、特定の誘導因子の存在下で上昇可能であり、したがって、遺伝的に操作したポリペプチドの発現が制御されうる。さらに、異なる宿主細胞が、タンパク質の翻訳および翻訳後の処理および修飾(たとえばリン酸化、切断)のための特徴および特定の機構を持つ。適切な細胞株を、発現した外来タンパク質の所望の修飾および処理を確かにするために選択可能である。宿主細胞内での発現のための適切なベクターおよびプロモーターの選択は、周知の手順であり、発現ベクター構築、ベクターの宿主内への導入および宿主内での発現のための必要な技術が、本技術分野で日常の技術である。
【0357】
細菌利用のために有用な発現ベクターは、機能的プロモーターと操作可能なリーディング相にて、好適な翻訳開始シグナルおよび終結シグナルとともに、所望のタンパク質をコードしている構造DNAまたはRNA配列を挿入することによって構築される。ベクターには、1つ以上の表現系選別可能マーカーと、ベクターの維持を確実にし、必要に応じて宿主内で増幅を提供するための複製起源を含む。形質転換のために好適な原核細胞宿主として、他も選択肢として使用可能であり得るが、大腸菌、バチルス サブチルス、サルモネラ チフィムリウム、ならびにシュードモナス属、ストレプトマイセス属、およびスタフィロコッカス属内の種々の種が挙げられる。代表的な、しかし非限定的な例として、細菌利用のための有用な発現ベクターは、周知のクローニングベクターpBR322(ATCC37017)の遺伝的要素を含む、市販されているプラスミドに由来する選別可能マーカーおよび細菌複製起源を含みうる。そのような市販ベクターとして、たとえば、pKK223−3(Pharmacia Fine Chemicals、Uppsala,Sweden)およびGEM1(Promega Biotec、Madison,WI,USA)が挙げられる。これらのpBR322「骨格」区画を、適切なプロモーターおよび発現すべき構造配列と組み合わせる。細菌での利用のために好ましいベクターには、pHE4−5(ATCC受託番号209311、およびそれらの変異体)、QIAGEN,Inc.上記から入手可能なpQE70、pQE60およびpQE−9、Stratageneから入手可能なpBSベクター、Phagescriptベクター、Bluescriptベクター、pNH8A、pNH16a、pNH18A、pNH46A、ならびにPharmaciaから入手可能なptrc99a、pKK223−3、pKK233−3、pDR540、pRIT5が含まれる。酵母系にて使用するための好ましい発現ベクターとして、限定はしないが、pYES2、pYD1、pTEF1/Zeo、pYES2/GS、pPICZ、pGAPZ、pGAPZalpha、pPIC9、pPIC3.5、pHIL−D2、pHIL−s1、pPIC3.5K、pPIC9K、およびPAO815(すべてInvitrogen、Carlsbad,CAから入手可能)が挙げられる。好ましい真核生物ベクターは、Stratageneから入手可能なpWLNEO、pSV2CAT、pOG44、pXT1およびpSG、ならびにpSVK3、pBPV、pMSGおよびpSVL(Pharmaciaから入手可能)である。他の好適なベクターが、当業者に簡単に理解される。
【0358】
好適な宿主株の形質転換および適切な細胞濃度までの宿主株の増殖につづいて、選別したプロモーターが、適切な方法(たとえば温度シフトまたは化学導入)によって導入され、細胞をさらなる期間培養する。細胞を典型的に遠心分離によって回収し、物理的または化学的方法によって崩壊させ、得られた粗抽出物をさらなる精製のために保存する。
【0359】
タンパク質の発現にて使用する微生物細胞は、当業者によく公知の方法のような、凍結融解サイクル、超音波処理、化学的分解、または細胞溶解剤の利用のような、任意の従来の方法によって崩壊可能である。
【0360】
1つの実施形態において、酵母ピッチア(Pichia)パストリスを、真核生物系において、ニュートロカイン−アルファタンパク質を発現するために使用する。ピッチア パストリスは、その単独炭素供給源として、メタノールを代謝可能なメチロトローフ酵母である。メタノール代謝経路における主要な段階は、O2を用いた、メタノールのホルムアルデヒドへの酸化である。この反応は、酵素アルコールオキシダーゼによって触媒される。その単独炭素供給源としてメタノールを代謝するために、ピッチア パストリスは、部分的に、O2に対するアルコールオキシダーゼの比較的低い親和力のために、高レベルのアルコールオキシダーゼを産生しなければならない。結果として、増殖培地中、主要炭素供給源としてのメタノールに依存して、2つのアルコールオキシダーゼ遺伝子(AOX1)の1つのプロモーター領域が高度に活性である。メタノールの存在下、AOX1遺伝子から産生されたアルコールオキシダーゼには、ピッチア パストリス中、およそ30%までの総可溶性タンパク質が含まれる。Ellis,S.B.,ら、Mol.Cell.Biol.5:1111−21(1985)、Koutz,P.J.,ら、Yeast 5:167−77(1989)、Tschopp,J.F.,ら、Nucl.Acids Res.15:3859−76(1987)を参照のこと。したがって、AOX1制御配列のすべてまたは一部の転写制御の下、異種コード配列が、メタノールの存在下、ピッチア酵母増殖において、非常に高いレベルで発現する。
【0361】
1つの例において、プラスミドベクターpPIC9Kを、「Pichia Protocols:Methods in Molecular Biology」D.R.Higgins and J.Cregg,eds.The Human Press,Totowa,NJ,1998にて基本的に記述されるような、ピッチア酵母系にて、本明細書で列記したような免疫調節タンパク質またはその部分をコードしているDNAを発現するために使用する。本発現ベクターは、多重クローニング部位の上流に局在する、ピッチア パストリス アルカリホスファターゼ(PHO)分泌シグナルペプチド(すなわちリーダー)に連結した強力なAOX1プロモーターにより、免疫調節タンパク質の発現および分泌が可能になる。
【0362】
当業者に簡単に理解されるように、提案された発現構築物が、必要に応じてインフレームAUGを含む、転写、翻訳、分泌(所望の場合)などのための適切に位置したシグナルを提供する限り、pYES2、pYD1、pTEF1/Zeo、pYES2/GS、pPICZ、pGAPZ、pGAPZalpha、pPIC9、pPIC3.5、pHIL−D2、pHIL−S1、pPIC3.5K、およびPAO815のような、多くの他の酵母ベクターを、pPIC9Kの代わりに使用可能である。
【0363】
1つの実施形態において、高レベルの異種コード配列の発現を、本発明の異種ポリヌクレオチドをたとえばpGAPZまたはpGAPZalphaのような発現ベクター内にクローニングすること、およびメタノールの非存在下で酵母培養液を増殖させることによって達成してよい。
【0364】
より高次の真核生物による、免疫調節タンパク質をコードしているDNAの転写を、ベクター内にエンハンサー配列を挿入することによって増加させる。エンハンサーは、その転写を増加させるために、プロモーターに作用する、通常約10〜300bpの、DNAのcis活性要素である。例として、100〜270bpの複製起源の後ろ側のSV40エンハンサー、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、複製起源の後ろ側のポリオーマエンハンサー、およびアデノウイルスエンハンサーが挙げられる。
【0365】
種々の哺乳動物細胞培養系がまた、組換えタンパク質を発現するために使用可能である。哺乳動物発現系の例として、Gluzman(Cell 23:175(1981))によって記述された、サル肝臓繊維芽細胞のCOS−7株、および適合可能ベクターを発現しうる他の細胞株、たとえばC127、3T3、CHO、HeLaおよびBHK細胞株が挙げられる。哺乳動物発現ベクターは、複製起源、好適なプロモーターおよびエンハンサー、ならびにまた任意の必要なリボソーム結合部位、ポリアデニル化部位、スプライスドナーおよびアクセプター部位、転写終結配列、および5’フランキング非転写配列が含まれる。SV40スプライス由来のDNA配列、およびアデニル化部位を使用して、必要な非転写遺伝的要素を提供してよい。
【0366】
特定の実施形態において、ニュートロカイン−アルファ受容体の細胞外ドメイン(たとえばTACI、BCMAおよびBAFF−R)のような、免疫調節タンパク質の一部分を発現するように設計された構築物を使用する。当業者は、そのような発現構築物を産生するためのポリヌクレオチドプライマーを設計するために、それぞれ配列番号5および配列番号6、それぞれ配列番号7および配列番号8、またはそれぞれ配列番号9および配列番号10として提供されたポリヌクレオチドおよびポリペプチド配列を使用しうる。
【0367】
宿主細胞を使用しえた、免疫調節タンパク質をコードしているポリヌクレオチドを発現する。そのような宿主細胞として、脊椎動物起源、とりわけ哺乳動物起源の、初代、二次および不死化宿主細胞が挙げられる。いくつかの場合において、宿主細胞を操作して、内因性遺伝物質(たとえばニュートロカイン−アルファコード配列)を削除または置換する、および/または遺伝物質(たとえば異種ポリヌクレオチド配列)を含める。いくつかの例において、宿主細胞を、免疫調節タンパク質をコードしている内因性ポリヌクレオチドの発現を促進および/または変更するように修飾する。たとえば、本技術分野で公知の技術を使用して、異種制御領域(たとえばプロモーターおよび/またはエンハンサー)および内因性ポリヌクレオチド配列を、相同組換えを介して操作可能に結合させる(たとえば、それぞれの開示物が、全体において参考文献によって援用されている、1997年6月24日付与、米国特許第5,641,670号、1996年9月26日発行、国際特許公報第WO96/29411号、1994年8月4日発行、国際特許公報第WO94/12650号、Kollerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:8932−8935(1989)、およびZijlstraら、Nature 342:435−438(1989)を参照のこと)。
【0368】
本明細書で記述された宿主細胞を、従来の方法において、免疫調節タンパク質を産生するために使用可能である。あるいは、細胞を含まない翻訳系をまた、本発明のDNA構築物由来のRNAを用いて、免疫調節ポリペプチドを産生するために使用可能でもある。
【0369】
要求に応じて、フレームAUGを、((異なるタンパク質の)異種タンパク質配列に結合するペプチドを介して結合したポリペプチドを含む)融合タンパク質のような、修飾形態で発現または合成してよく、分泌シグナルのみでなく、さらなる異種機能的領域も含んでよい。そのような融合タンパク質は、免疫調節タンパク質をコードしているポリヌクレオチドと、所望のアミノ酸配列をコードしている所望の核酸配列を、適切なリーディングフレームにて、本技術分野で公知の方法によって、互いにライゲーションすること、および本技術分野で公知の方法によって、融合タンパク質産物を発現することによって作製可能である。あるいは、そのような融合タンパク質を、タンパク質合成技術によって、たとえばペプチド合成機の利用によって、作製可能である。したがって、たとえば、さらなるアミノ酸の領域、とりわけ荷電アミノ酸を、精製の間、または続く処理および保存の間、宿主細胞中の安定性および持続性を改善するために、ポリペプチドのN−末端に加えてよい。また、ペプチド部位を、精製を促進するために、ポリペプチドに加えてよい。そのような領域を、ポリペプチドの最終調製の前に除いてよい。分泌または排出を引き起こすため、安定性を改善するため、および精製を促進するために、特にペプチド部位のポリペプチドへの添加が、本技術分野で一般的で、日常の技術である。
【0370】
1つの実施形態において、免疫調節タンパク質をコードしているポリヌクレオチドを、免疫調節タンパク質の、原核または真核細胞の特定のコンパートメントへの局在化を指向する、および/または原核または真核細胞からの免疫調節タンパク質の分泌を指向するシグナル配列に融合してよい。たとえば、大腸菌において、タンパク質の発現をペリプラズマ空間に指向することが望まれる。ポリペプチドの細菌のペリプラズマ配列への発現を指向するために、本発明のポリペプチドが融合するシグナル配列またはタンパク質(またはその断片)の例として、限定はしないが、pelBシグナル配列、マルトース結合タンパク質(MBP)シグナル配列、MBP、ompAシグナル配列、ペリプラズマ大腸菌易熱性エンテロトキシンB−サブユニットのシグナル配列、アルカリホスファターゼのシグナル配列が挙げられる。いくつかのベクターが、New England Biolabsから入手可能なベクターのpMALシリーズ(とりわけpMAL−pシリーズ)のような、タンパク質の局在化を指向する融合タンパク質の構築のために市販されている。特定の実施形態において、免疫調節タンパク質をコードしているポリヌクレオチドを、グラム陰性細菌中のそのようなポリペプチドの発現および精製の効率を増加させるために、pelBペクテートリアーゼシグナル配列に融合してよい。その内容が、全体において参考文献によって本明細書に組み込まれている、米国特許第5,576,195号および第5,846,818号を参照のこと。
【0371】
哺乳動物細胞中での分泌を指向するために、免疫調節タンパク質に融合しうるシグナルペプチドの例として、限定はしないが、MPIF−1シグナル配列(GenBank受託番号AAB51134のアミノ酸1〜21)、スタニオカルシンシグナル配列(MLQNSAVLLLLVISASA、配列番号27)およびコンセンサスシグナル配列(MPTWAWWLFLVLLLALWAPARG、配列番号28)が挙げられる。バキュロウイルス発現系と結合して使用しうる好適なシグナル配列は、gp67シグナル配列(GenBank受託番号AAA72759のアミノ酸1〜19)である。
【0372】
好適な融合タンパク質には、タンパク質を安定化し、精製するために有用である免疫グロブリンからの異種領域が含まれる。たとえば、欧州特許第O464533A号(対応カナダ出願第2045869号)は、別のヒトタンパク質またはその部分とともに、免疫グロブリン分子の定常領域の種々の部分を含む融合タンパク質を開示している。多くの場合、融合タンパク質中のFc部分が、治療および診断における利用で完全に利点があり、したがって、たとえば結果として、薬物動態特性の改善となる(欧州特許第0232262A号)。一方で、いくつかの利用に関して、記述した有利な様式で、融合タンパク質を発現させ、削除し、精製した後、Fc部分を削除可能であることが望ましい。これは、Fc部分が、治療および診断で使用するために邪魔になることが証明された場合、たとえば融合タンパク質が、免疫化のための抗原として使用されるべき場合である。薬物ディスカバリーにおいて、たとえば、hIL−5のようなヒトタンパク質を、hIL−5のアンタゴニストを同定するための高スループットスクリーニングアッセイの目的のために、Fc部分と融合された。D.Bennettら、J.Molecular Recognition 8:52−58(1995)およびK.Johansonら、J.Biol.Chem.270:9459−9471(1995)を参照のこと。
【0373】
本発明の方法にて使用しうる免疫調節タンパク質には、天然に精製された産物、化学合成手順の産物、たとえば細菌、酵母、高次植物、昆虫および哺乳動物細胞を含む、原核または真核宿主からの、組換え技術によって産生された産物が含まれる。組換え産生手順で使用する宿主に依存して、免疫調節タンパク質に糖付加してよく、または糖付加しなくてよい。さらに、免疫調節タンパク質にはまた、いくつかの場合、宿主媒介工程の結果として、初期修飾メチオニン残基も含まれうる。
【0374】
本発明の方法にて使用しうる免疫調節タンパク質は、本技術分野で公知の技術を用いて化学的に合成可能である(たとえばCreighton,1983,Proteins:Structures and Molecular Principles,W.H.Freeman & Co.,N.Y.、およびHunkapiller,M.ら,1984,Nature 310:105−111を参照のこと)。たとえば、免疫調節タンパク質の断片に相当するペプチドを、ペプチド合成機の利用によって合成可能である。さらに、所望の場合、非古典的アミノ酸または化学的アミノ酸アナログを、免疫調節タンパク質をコードしているポリヌクレオチド配列内への置換または添加として導入可能である。非古典的アミノ酸として、限定はしないが、共通アミノ酸のD−アイソマー、2,4−ジアミノブチル酸、a−アミノイソブチル酸、4−アミノブチル酸、Abu、2−アミノブチル酸、g−Abu、e−Ahx、6−アミノヘキサノン酸、Aib、2−アミノイソブチル酸、3−アミノプロピオン酸、オルニチン、ノルロイシン、ノルバリン、ヒドロキシプロリン、サルコシン、シトルリン、ホモシトルリン、システイン酸、t−ブチルグリシン、t−ブチルアラニン、フェニルグリシン、シクロヘキシルアラニン、b−アラニン、フルオロ−アミノ酸、b−メチルアミノ酸、Ca−メチルアミノ酸、Na−メチルアミノ酸のようなデザイナーアミノ酸、および一般的にアミノ酸アナログが挙げられる。さらに、アミノ酸は、D(右旋性)またはL(左旋性)でありうる。
【0375】
本発明の方法にて使用しうる免疫調節タンパク質を、翻訳の間、または後に、たとえば糖付加、アセチル化、リン酸化、アミド化、公知の保護/ブロッキング基による誘導体化、タンパク質分解、抗体分子または他の細胞リガンドへの結合などによって、特異的に修飾してよい。任意の多数の化学修飾を、限定はしないが、臭化シアン、トリプシン、キモトリプシン、パパイン、V8プロテアーゼ、NaBHによる特異的化学切断、アセチル化、ホルミル化、酸化、還元、チュニカマイシンの存在下での代謝合成などを含む、公知の技術によって実施してよい。
【0376】
さらなる翻訳後の修飾には、たとえば、N−結合またはO−結合糖鎖、N−末端またはC−末端の処理、アミノ酸骨格への化学的部位の接着、N−結合またはO−結合糖鎖の化学修飾、および原核宿主細胞発現の結果としての、N−末端メチオニン残基の添加または欠損が含まれる。ポリペプチドは、酵素的、蛍光、放射性同位体、またはアフィニティラベルのような、検出可能なラベルで修飾可能でもあり、タンパク質の検出および単離が可能にある。
【0377】
好適な酵素の例として、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ベータ−ガラクトシダーゼ、グルコースオキシダーゼまたはアセチルコリンエステラーゼが挙げられ、好適な補欠分子族複合体の例として、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンが挙げられ、好適な蛍光物質の例として、ビオチン、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、塩化ダンシル、またはフィコエリスリンが挙げられ、発光物質の例として、ルミノールが挙げられ、生物発光物質の例として、ルシフェラーゼ、ルシフェリンおよびアエクオリンが挙げられ、好適な放射活性物質の例として、たとえば、213Biのようなアルファ−放出物質、またはたとえばヨウ素(131I、125I、123I、121I)、炭素(14C)、硫黄(35S)、トリチウム(H)、インジウム(115mIn、113mIn、112In、111In)およびテクネチウム(99Tc、99mTc)、タリウム(201Ti)、ガリウム(68Ga、67Ga)、パラジウム(103Pd)、モリブデン(99Mo)、キセノン(133Xe)、フッ素(18F)、153Sm、177Lu、159Gd、149Pm、140La、175Yb、166Ho、90Y、47Sc、186Re、188Re、142Pr、105Rh、97Ru、68Ge、57Co、65Zn、85Sr、23P、153Gd、169Tb、51Cr、54Mn、75Se、113Snおよび117Tinのような他の放射性同位体が挙げられる。
【0378】
特定の実施形態において、本発明の方法にて使用しうる免疫調節タンパク質を、ユーロピウムで標識してよい。たとえば、免疫調節タンパク質(たとえばニュートロカイン−アルファのアンタゴニスト)を、使用説明書にしたがって、DELFIA Eu−標識化キット(カタログ番号1244−302、Perkin Elmer Life Sciences、Boston,MA)を用いてユーロピウムで標識してよい。
【0379】
特定の実施形態において、たとえば、免疫調節タンパク質が、限定はしないが、111In、177Lu、90Y、166Hoおよび153Smを含む放射性金属イオンをポリペプチドに共役するために有用なマクロ環状キレーターに結合される。好ましい実施形態において、免疫調節タンパク質に結合したマクロ環状キレーターに結合した放射金属イオンは、111Inである。別の好ましい実施形態において、免疫調節タンパク質に結合したマクロ環状キレーターに結合した放射金属イオンは90Yである。特定の実施形態において、マクロ環状キレーターは、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−N,N’,N’’,N’’’−テトラ酢酸(DOTA)である。他の特定の実施形態において、DOTAは、リンカー分子を介して、免疫調節タンパク質に結合する。DOTAをポリペプチドに共役するために有用なリンカー分子の例は、本技術分野で一般的に知られており、たとえば、全体が参考文献によって本明細書に援用されている、DeNardoら,Clin Cancer Res.4(10):2483−90,1998、Petersonら,Bioconjug.Chem.10(4):553−7,1999、およびZimmermanら,Nucl.Med.Biol.26(8):943−50,1999を参照のこと。さらに、抗体に共役しうるキレート剤、およびそれらを作製し、使用するための方法を開示している、米国特許第5,652,361号および第5,756,065号が、全体が参考文献によって、本明細書に援用されている。米国特許第5,652,361号および第5,756,065号が、抗体に対してキレート剤を共役させることに焦点を当てているが、当業者は、キレート剤を他のポリペプチドに共役させるために、そこで開示された方法を簡単に適合可能である。
【0380】
1つの実施形態において、本発明の方法にて使用しうる免疫調節タンパク質を、ビオチンにて標識化してよい。
【0381】
ポリペプチドの可溶性、安定性およびインビボまたはインビトロ循環時間の増加、または免疫原性の減少のような、さらなる利点を提供しうる免疫調節タンパク質の化学修飾した誘導体(米国特許第4,179,337号を参照のこと)をまた、本発明の方法にて使用してもよい。誘導体化のための化学部位は、ポリエチレングリコール、エチレングリコール/プロピレングリコールコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコールなどのような、水溶性ポリマーから選択してよい。ポリペプチドを、分子内の無作為な部位にて、または分子内の所定位置にて修飾してよく、1、2、3以上の結合化学部位を含んでよい。
【0382】
ポリマーは、任意の分子量であってよく、分岐または非分岐であってよい。ポリエチレングリコールに関して、好ましい分子量は、取り扱いおよび製造において簡便であるために、約1kDa〜約100kDa(語句「約」は、ポリエチレングリコールの調製において、いくつかの分子が、言及した分子量より大きい、未満であることを示唆している)の間である。他のサイズを、所望の治療プロファイル(たとえば、所望の持続放出期間、任意に、生物学的活性における効果、取り扱いの簡便さ、抗原性の程度または欠損、ポリエチレングリコールの、治療的タンパク質またはアナログへの他の公知の効果)に依存して使用してよい。たとえば、ポリエチレングリコールは、約200、500、1000、1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10,000、10,500、11,000、11,500、12,000、12,500、13,000、13,500、14,000、14,500、15,000、15,500、16,000、16,500、17,000、17,500、18,000、18,500、19,000、19,500、20,000、25,000、30,000、35,000、40,000、50,000、55,000、60,000、65,000、70,000、75,000、80,000、85,000、90,000、95,000または100,000kDaの平均分子量を持ってよい。
【0383】
以上で言及したように、ポリエチレングリコールは分岐構造を持ってよい。分岐ポリエチレングリコールは、たとえば、それぞれの開示物が参考文献によって本明細書に援用されている、米国特許第5,643,575号、Morpurgoら,Appl.Biochem.Biotechnol.56:59−72(1996)、Vorobjevら,Nucleosides Nucleotides 18:2745−2750(1999)およびCalicetiら,Bioconjug.Chem.10:638−646(1999)で記述されている。
【0384】
ポリエチレングリコール分子(または他の化学部位)は、タンパク質の機能的または抗原性ドメインにおける効果を考慮して、タンパク質に結合すべきである。多数の結合方法が当業者にとって利用可能であり、たとえば、参考文献によって本明細書に援用される欧州特許第0401384号(PEGのG−CSFへの結合)、またMalikら,Exp.Hematol.20:1028−1035(1992)(塩化トレシルを用いたGM−CSFのペグ化を報告している)を参照のこと。たとえば、ポリエチレングリコールは、遊離アミノまたはカルボキシル基のような反応性基を介して、アミノ酸残基を通して共有結合してよい。反応性基は、活性化ポリエチレングリコール分子が結合しうるものである。遊離アミノ基を持つアミノ酸残基には、たとえば、リシン残基およびN−末端アミノ酸残基が含まれ、遊離カルボキシル基を持つものには、アスパラギン酸残基、グルタミン酸残基、およびC−末端アミノ酸残基が含まれる。スルフヒドリル基をまた、ポリエチレングリコール分子を結合させるための反応性基として使用してもよい。治療目的のために好ましいものは、N−末端またはリシン基での結合のような、アミノ基での結合である。
【0385】
以上で示唆したように、ポリエチレングリコールは、任意の多数のアミノ酸残基への結合を介して、タンパク質に結合してよい。たとえば、ポリエチレングリコールは、リシン、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸またはシステイン残基への共有結合を介してタンパク質に連結可能である。1つ以上の反応化学を利用して、タンパク質の特定のアミノ酸残基(たとえば、リシン、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸またはシステイン)へ、またはタンパク質の1つより多い型のアミノ酸残基(たとえばリシン、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、システインおよびそれらの組合せ)にポリエチレングリコールを結合させてよい。
【0386】
当業者はとりわけ、N−末端にて化学的に修飾されるタンパク質を所望しうる。例示として、ポリエチレングリコールを使用して、(分子量、分岐などによる)種々のポリエチレングリコール分子、反応混合液中のポリエチレングリコール分子のタンパク質(またはペプチド)分子に対する割合、実施されるペグ化反応の型、および選択されたN−末端ペグ化タンパク質を得る方法、から選択してよい。N−末端ペグ化調製物を得る(すなわち、必要ならば、この部位を他のモノペグ化部位から分離する)方法は、ペグ化タンパク質分子の集団から、N−末端ペグ化物質を精製することによってでありうる。N−末端修飾にて化学的に修飾された選択的タンパク質は、特定のタンパク質中の誘導体化のために利用可能な、異なる型の一級アミノ基の異なる反応性(リシン対N−末端)を利用する還元アルキル化によって達成されうる。適切な反応条件下、ポリマーを含むカルボニル基による、N−末端でのタンパク質の本質的に選択的な誘導が達成される。
【0387】
以上で示唆したように、本発明のタンパク質のペグ化は、任意の数の手段によって達成されうる。たとえば、ポリエチレングリコールを、直接、または介在リンカーによってのいずれかで、タンパク質に結合してよい。ポリエチレングリコールをタンパク質へ結合するためのリンカーを持たない系が、それぞれの開示物が、参考文献によって本明細書に援用されている、Delgadoら,Crit.Rev.Thera.Drug Carrier Sys.9:249−304(1992)、Fancisら,Intern.J.of Hematol.68:1−18(1998)、米国特許第4,002,531号、米国特許第5,349,052号、国際特許第WO95/06058号、および第WO98/32466号にて記述されている。
【0388】
ポリエチレングリコールを、介在リンカーなしに直接タンパク質のアミノ酸残基に結合するための1つの系が、トレシルクロリド(ClSOCHCF)を用いて、モノメトキシポリエチレングリコール(MPEG)の修飾によって産生される、トレシル化MPEGを利用する。トレシル化MPEGとのタンパク質の反応に際して、ポリエチレングリコールが、タンパク質のアミノ基に直接結合する。したがって、本発明には、本発明のタンパク質を2,2,2−トリフルオレオタンスルホニル基を持つポリエチレングリコール分子と反応させることによって生成された、タンパク質−ポリエチレングリコール共役物が含まれる。
【0389】
ポリエチレングリコールはまた、多数の異なる介在リンカーを用いてタンパク質に結合可能である。たとえば、そのすべての開示物が、参考文献によって本明細書に援用されている、米国特許第5,612,460号が、ポリエチレングリコールをタンパク質に連結するためのウレタンリンカーを開示している。ポリエチレングリコールがリンカーによってタンパク質に結合したタンパク質−ポリエチレングリコール共役物をまた、MPEG−スクシンイミジルスクシネート、1,1’−カルボニルジイミダゾールで活性化したMPEG、MPEG−2,4,5−トリクロロペニルカルボン酸、MPEG−p−ニトロフェノールカルボン酸、および種々のMPEG−スクシネート誘導体のような化合物とのタンパク質の反応によって生成可能である。多数のさらなるポリエチレングリコール誘導体、およびポリエチレングリコールをタンパク質に結合するための反応化学が、そのすべての開示物が参考文献によって本明細書に援用されている、国際特許第WO98/32466号にて記述されている。本明細書で列記した反応化学を用いて産生されたペグ化タンパク質産物が、本発明の範囲内に含まれる。
【0390】
本発明の各タンパク質に結合するポリエチレングリコール部位の数(すなわち置換の程度)もまた変化しうる。たとえば、本発明のペグ化タンパク質が、平均して、1,2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、17、20またはそれ以上のポリエチレングリコール分子と連結してよい。同様に、置換の平均程度は、タンパク質分子あたり、1〜3、2〜4、3〜5、4〜6、5〜7,6〜8、7〜9、8〜10、9〜11、10〜12、11〜13、12〜14、13〜15、14〜16、15〜17、16〜18、17〜19または18〜20ポリエチレングリコール部位のような範囲内である。置換の程度を決定するための方法が、たとえばDelgadoら,Crit.Rev.Thera.Drug Carrier Sys.9:249−304(1992)にて議論されている。
【0391】
本発明の方法にて使用しうる免疫調節タンパク質を、限定はしないが、硫酸アンモニウムまたはエタノール沈殿、酸抽出、陰イオンおよび陽イオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィーおよびレクチンクロマトグラフィーを含む公知の方法によって回収および精製可能である。より好ましくは、高性能液体クロマトグラフィー(「HPLC」)を精製のために利用する。
【0392】
製剤および投与
本発明は、ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストのような免疫調節薬剤を含む、有効量の医薬組成物を被験体に投与することによる、処置、阻害および予防の方法を提供する。特定の実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは、抗ニュートロカイン−アルファ抗体である。特定の実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは、TACI−Fcタンパク質である。特定の実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは、BAFF−R−Fcタンパク質である。特定の実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは、抗ニュートロカイン−アルファペプチボディである。特定の実施形態において、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストは、ドミナントネガティブとして機能するニュートロカイン−アルファタンパク質の断片または変異体である。好ましい実施形態において、免疫調節薬剤は、本質的に精製される(たとえば、その効果を制限するか、または望まない副作用を起こす基質を本質的に含まない)。被験体は好ましくは、限定はしないが、ウシ、ブタ、ウマ、ニワトリ、ネコ、イヌなどのような動物を含む動物であり、好ましくは哺乳動物であり、もっとも好ましくはヒトである。
【0393】
免疫調節薬剤を、個々の患者の臨床的状況(とりわけ免疫調節薬剤のみでの処置の副作用)、免疫調節薬剤を含む組成物の送達部位、投与方法、投与スケジュール、および臨床医に公知の他の因子を考慮にいれて、良好な医薬実施と一致した様式で、製剤化および投与する。本明細書の目的のための「治療有効量」の免疫調節薬剤はしたがって、そのような考慮によって決定される。
【0394】
種々の送達系が公知であり、たとえばリポソーム、マイクロ粒子、マイクロカプセルにおけるカプセル化、この化合物を発現可能な組換え細胞、レセプター媒介性エンドサイトーシス(たとえばWu and Wu,J.Biol.Chem.262:4429−4432(1987)を参照のこと)、レトロウイルスまたは他のベクターの一部としての核酸構築などの、免疫調節薬物を含む医薬組成物を投与するために使用可能である。導入の方法には、限定はしないが、経皮、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮内、経鼻、硬膜外および経口経路が含まれる。免疫調節薬剤を含む医薬組成物は、任意の従来の経路、たとえば、注入またはボーラス注射によって、上皮または粘膜裏層(たとえば口粘膜、直腸および小腸粘膜など)を介した吸収によって投与してよく、他の生物活性剤と一緒に投与してよい。投与は全身または局所でありうる。さらに、免疫調節薬剤を含む医薬組成物を、脳室内および髄膜注射を含む、任意の好適な経路によって中枢神経系に導入することが望ましく、脳室内注射は、たとえば、オマヤレザバー(Omaya reservoir)のような、レザバーに結合した脳室内カテーテルによって促進してよい。肺投与もまた、吸入器またはネブライザーの利用、およびエアゾル化剤での調製物によって、使用可能である。
【0395】
特定の実施形態において、本発明は、治療剤の医薬製剤(たとえば本技術分野で公知であり、および/または本明細書で記述している免疫調節薬剤)に関する。とりわけ、本発明は、天然のタンパク質性である治療剤の医薬製剤(たとえばタンパク質および抗体)に関する。本発明の医薬製剤には、薬理学的に許容可能な賦形剤が含まれる。一般に、本発明の医薬製剤は、治療剤が、その物理的、化学的および生物学的活性を維持するように調製される。本発明の医薬製剤は、好適な温度で保存しうる。たとえば、本発明の医薬製剤は、2〜8℃、−40℃または−80℃にて保存してよい。特定の実施形態において、安定な製剤とは、2年間にわたり約1%未満の治療剤の凝集が観察される、2年間にわたり約1%未満の治療剤の酸化が観察される、および/または2年間にわたり約4%未満の治療剤の脱アミド化が観察されるものである。本発明の医薬製剤中に存在する治療剤の量は、たとえば、所望の用量および投与の様式を考慮に入れることによって決定する。本発明の1つの実施形態において、本発明の医薬製剤中の治療薬剤の濃度は、約1〜160mg/ml、約10〜155mg/ml、約20〜150mg/ml、約30〜145mg/ml、約40〜140mg/ml、約50〜135mg/ml、約60〜130mg/ml、約70〜125mg/ml、約80〜120mg/ml、約90〜115mg/ml、約95〜110mg/ml、約100〜105mg/ml、または約100mg/mlである。上記の濃度の中間、たとえば約11〜154mg/mlの範囲もまた本発明の一部として意図される。たとえば、上限および/または下限として、任意の上記した値の組合せを用いた値の範囲が含まれることが意図される。本文脈中、「約」には、特に引用された範囲、および範囲の上限および/または下限において、数(5、4、3、2または1)mg/mlによる大きな、または小さな範囲が含まれる。
【0396】
本発明の水性医薬製剤には、pH緩衝溶液が含まれる。本発明の1つの実施形態において、本発明の医薬製剤に使用する緩衝液は、約5〜約7の範囲のpHを持つ。好ましい実施形態において、本発明の医薬製剤に使用する緩衝液は、約5.5〜約6.5の範囲のpHを持つ。別の好ましい実施形態において、本発明の医薬製剤に使用する緩衝液は、約5.8〜約6.2の範囲のpHを持つ。別の好ましい実施形態において、本発明の医薬製剤に使用する緩衝液は、約6.0のpHを持つ。上記のpHの中間の範囲もまた、本発明の一部に含まれると意図される。たとえば、上限および/または下限として、任意の上記した値の組合せを用いた値の範囲が含まれることが意図される。本文脈において、「約」には、特に引用された範囲、および範囲の上限および/または下限において、0.5、0.4、0.3、0.2または0.1pHユニットによる大きな、または小さな範囲が含まれる。好ましい範囲内にpHを制御する緩衝液の例として、酢酸(たとえば、酢酸ナトリウム)、(コハク酸ナトリウムのような)コハク酸、グルコン酸、ヒスチジン、クエン酸、Tris、リン酸、グリシルグリシンおよび他の有機酸緩衝液が挙げられる。さらなる例示的緩衝液は、薬理学的に許容可能であり、以下で定義されるもののような、好適な酸、塩基およびそれらの塩から作製されうるものである。
【0397】
薬理学的に許容可能な酸には、調製される濃度および様式にて非毒性である無機および有機酸が含まれる。たとえば、好適な無機酸には、塩酸、過塩素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、硫酸、スルホン酸、スルフィン酸、スルファニル酸、リン酸、カルボン酸などが含まれる。好適な有機酸には、たとえば、ギ酸、2−ヒドロ酢酸、トリフルオロ酢酸、フェニル酢酸、トリメチル酢酸、t−ブチル酢酸、アントラニル酸、プロパン酸、2−ヒドロキシプロパン酸、2−オキソプロパン酸、プロパンジオイン酸、シクロペンタンプロピオン酸、シクロペンタンプロピオン酸、3−フェニルプロピオン酸、ブタノン酸、ブタンジオイン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、2−アセトキシ−安息香酸、アスコルビン酸、シンナミン酸、ラウリル硫酸、ステアリン酸、ムコン酸、マンデル酸、コハク酸、エンボン酸、フマル酸、リンゴ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、マロン酸、乳酸、クエン酸、タルタル酸、グリコール酸、グリコン酸、グルコン酸、ピルビン酸、グリオキサル酸、オキサル酸、メシル酸、コハク酸、サリチル酸、フタル酸、パルモイル酸、パルメイン酸、チオシアン酸、メタンンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタンジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、p−トルエンスルホン酸、カンホルスルホン酸、4−メチルビシクロ[2.2.2]−オクト−2−エン−1−カルボン酸、グルコヘプトン酸、4,4’−メチレンビス−3−(ヒドロキシ−2−エン−1−カルボン酸)、ヒドロキシナフトイン酸などを含む、直鎖および分岐鎖アルキル、芳香族、環状、環状脂肪族、アリール脂肪族、複素環、飽和、不飽和、モノ−、ジ−、およびトリカルボン酸が含まれる。
【0398】
薬理学的に許容可能な塩基には、調製される濃度および様式にて非毒性である無機および有機塩基が含まれる。たとえば、好適な塩基には、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アンモニウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウム、N−メチルグルカミン、モルホリン、ピペリジンのような無機塩基形成金属から形成されるもの、たとえばイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、2−ジエチルアミノエタノール、トリメトアミン、ジシクロヘキシルアミン、リシン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルコサミン、チオブロミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、N−エチルピペリジン、ポリアミン樹脂などのような、一級、二級および三級アミン、置換アミン、環状アミンおよび塩基性イオン交換樹脂[たとえば、N(R’)4(式中R’は独立してHまたはC1−4アルキル、たとえばアンモニウム、Tris)]を含む有機非毒性塩基が含まれる。とりわけ好ましい有機非毒性塩基は、イソプロピルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、トリメタミン、ジシクロヘキシルアミン、コリンおよびカフェインである。
【0399】
本発明で利用可能なさらなる薬理学的に許容可能な酸および塩基には、たとえばヒスチジン、グリシン、フェニルアラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リシンおよびアスパラギンのようなアミノ酸に由来するものが含まれる。
【0400】
薬理学的に許容可能な緩衝液には、上記で示した酸および塩基の酸添加塩および塩基添加塩両方に由来するものが含まれる。本発明の1つの実施形態において、本発明の医薬製剤の緩衝液は、コハク酸、ヒスチジン、クエン酸および/またはリン酸である。好ましい実施形態において、本発明の医薬製剤の緩衝液は、ヒスチジンである。別の好ましい実施形態において、本発明の薬理学的に許容可能な緩衝液はクエン酸である。
【0401】
本発明の別の実施形態において、本発明の医薬製剤の緩衝液濃度は、約5〜50mM、約5〜20mM、約5〜15mM、または約10mMである。上記した濃度の中間の範囲、たとえば約6〜48mMもまた、本発明の一部として意図される。たとえば、上限および/または下限において、任意の上記した値の組合せを用いた値の範囲が含まれることが意図される。本文脈において、「約」は、特に引用した範囲、および範囲の上限および/または下限にて、数(5、4、3、2または1)mMによる大きな、または小さな範囲を含む。
【0402】
界面活性剤をまた、本発明の医薬製剤に加えてもよい。例示的界面活性剤として、ポリソルベート(たとえばポリソルベート20または80)、またはポロキサマー(たとえばポロキサマー188)のような非イオン性界面活性剤が含まれる。他の薬理学的に許容可能な界面活性剤が、本技術分野でよく知られており、また企図される。特定の実施形態において、界面活性剤の量は、(振とうまたは輸送に際して発生するような)治療剤の凝集を減らすため、本発明の医薬製剤での粒子形成を最小化するため、および/または治療剤の非特異的吸収を減少させるために十分な量で加えられる。好ましい実施形態において、本発明の医薬製剤には、ポリソルベートである界面活性剤が含まれる。
【0403】
1つの実施形態において、本発明の医薬製剤には、界面活性剤ポリソルベート20が含まれる。1つの好ましい実施形態において、本発明の医薬製剤には、少なくとも0.007%〜約0.07%の間のポリソルベート20が含まれる。別の好ましい実施形態において、本発明の医薬製剤には、約0.01%〜約0.05%の間のポリソルベート20が含まれる。別の好ましい実施形態において、本発明の医薬製剤には、約0.01%〜約0.03%の間のポリソルベート20が含まれる。別の好ましい実施形態において、約0.01%ポリソルベート20が、本発明の医薬製剤に見られる。本文脈において、「約」とは、ポリソルベート20の割合が、0.007%未満ではないという条件で、とりわけ引用された範囲、および範囲の上限および/または下限にて、0.01%、0.009%、0.008%、0.007%、0.006%または0.005%による大きいな、または小さな範囲を含む。
【0404】
別の好ましい実施形態において、本発明の医薬製剤には、界面活性剤ポリソルベート80が含まれる。1つの好ましい実施形態において、本発明の医薬製剤には、約0.0015%〜約0.07%の間のポリソルベート80が含まれる。別の好ましい実施形態において、本発明の医薬製剤には、少なくとも0.003%〜約0.05%の間のポリソルベート80が含まれる。別の好ましい実施形態において、本発明の医薬製剤には、少なくとも0.005%〜約0.03%の間のポリソルベート80が含まれる。別の好ましい実施形態において、本発明の医薬製剤には、少なくとも0.01%〜約0.03%の間のポリソルベート80が含まれる。別の好ましい実施形態において、約0.01% ポリソルベート80が、本発明の医薬製剤に見られる。本文脈において、「約」は、ポリソルベート80の割合が、0.0015%未満ではないという条件で、とりわけ引用された範囲、および範囲の上限および/または下限にて、0.01%、0.009%、0.008%、0.007%、0.006%または0.005%による大きな、または小さな範囲を含む。
【0405】
等張調節剤をまた、本発明の医薬製剤に加えてもよい。有用な等張調節剤には塩およびアミノ酸が含まれる。薬理学的に許容可能で、本発明の医薬製剤のために好適である塩には、塩化ナトリウム、コハク酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウムおよび塩化カルシウムが含まれる。本発明の医薬製剤での使用のために好ましい塩は、NaClおよびMgClである。NaClは、脱アミノ化および凝集から薬剤を保護することによって、治療剤の安定性を改善しうる。1つの好ましい実施形態において、本発明の医薬製剤は、NaClを含む。別の好ましい実施形態において、本発明の医薬製剤は、約150〜約500mM NaClを含む。別の好ましい実施形態において、本発明の医薬製剤は、約150mM NaClを含む。本文脈において、「約」は、とりわけ引用された範囲、および範囲の上限および/または下限にて、1、2、3、4、5、10、25または50mMによる大きな、または小さな範囲を含む。好ましい実施形態において、本発明の医薬製剤は等張性である。等張性によって、本発明の医薬製剤が、本質的にヒト血液と同様の浸透圧を持つことが意味される。等張性調製物は一般的に、約250〜約350mOsm、好ましくは約290〜約310mOsmの浸透圧を持つ。本文脈において、「約」は、とりわけ引用した範囲、および範囲の上限および/または下限にて、数(5、4、3、2または1)mOsmによる大きな、または小さな範囲を含む。等張性は、たとえば、蒸気圧または氷凍結型浸透圧計を用いて測定可能である。
【0406】
1つの実施形態において、本発明の医薬製剤には、上記で同定した薬剤(すなわち治療剤、緩衝液、界面活性剤および等張調節剤)が含まれ、ベンジルアルコール、フェノール、m−クレソール、クロロブタノールおよび塩化ベンズエトニウムのような1つ以上の保存剤は本質的に含まれない。別の実施形態において、保存剤が本発明の医薬製剤に含まれ得、とりわけ、製剤は多重投与製剤である。Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980)にて記述されたもののような、1つ以上の他の薬理学的に許容可能な担体、賦形剤または安定剤が、それらが、製剤の所望の特徴に明らかに不利に影響を与えないという条件で、本発明の医薬製剤に含まれてよい。許容可能な担体、賦形剤または安定剤は、使用する用量および濃度において、レシピエントに対して非毒性であり、さらなる緩衝剤、共溶媒、アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化剤、EDTAのようなキレート剤、金属複合体(たとえばZnタンパク質複合体)、ポリエステルのような生分解性ポリマー、保存剤、抗凍結剤(cryoprotectant)、溶解保護剤(lyoprotectants)、増量剤などが含まれる。好適な抗凍結剤には、ポリオール類、ポリエチレングリコール(PEG)、ウシ血清アルブミン(BSA)、グルタミン酸、他のアミノ酸などが含まれる。さらなる好適な抗凍結剤には、スクロース、マンノース、トレハロース、グルコース、ソルビトールおよびマンニトールなどのような、糖および糖アルコールが含まれる。好適な溶解保護剤には、スクロース、トレハロース、ラクトースおよびマルトースなどを含む糖が包含しうる。好適な増量剤には、マンニトール、グリシンおよびソルビタール(sorbital)などが含まれる。
【0407】
特定の実施形態において、本発明の医薬製剤には、抗凍結剤が含まれない。さらなる実施形態において、本発明の医薬製剤にはスクロースが含まれない。
【0408】
一般的にタンパク質製剤を安定化させるために使用するEDTAがまた、本発明の医薬製剤に含まれうる。キレート剤としてのEDTAは、スルフヒドリル基の金属触媒酸化を阻害し得、したがって、ジスルフィド結合凝集物の形成を減少させる。好ましいEDTAの濃度は、約0.01%〜約0.2%である。
【0409】
本発明の医薬製剤は、処置されている特定の兆候のために、必要に応じて1つ以上の他の治療剤、好ましくは、本発明の医薬製剤中の治療剤に不利に影響を与えない補助活性を持つものと組み合わせてもよい。組合せは、さらなる治療剤が、免疫調節薬剤との組合せとして調製される場合に企図される。さらに、組合せは、さらなる治療剤が、独立して調製されるが、しかし免疫調節薬剤との同時投与または重複投与のために意図される。そのようなさらなる治療剤は、意図する目的のために効果的な量で、併用して好適に存在する。本発明の製剤と組合せ可能なさらなる治療剤がさらに以下に記述されている。
【0410】
本発明は、好ましい実施形態において、10mMヒスチジン緩衝液、150mM NaCl、および0.01%ポリソルベート80、pH6.0(±0.5)を含むか、またはそれらからなる医薬製剤を提供する。別の好ましい実施形態において、本発明の医薬製剤は、約1mg/ml〜約160mg/ml、好ましくは約80mg/ml〜約120mg/mlの量での抗体、10mMヒスチジン緩衝液、150mM NaCl、および0.01%ポリソルベート80、pH6.0(±0.5)を含むか、またはそれらからなる。別の好ましい実施形態において、本発明の医薬製剤は、静脈内投与のために、約1mg/ml〜約160mg/ml、好ましくは約80mg/ml〜約120mg/mlの量での抗体、10mMヒスチジン緩衝液、150mM NaCl、および0.01%ポリソルベート80 pH6.0(±0.5)を含むか、またはそれらからなる。別の好ましい実施形態において、本発明の医薬製剤は、皮下投与のために、約1mg/ml〜約160mg/ml、好ましくは約80mg/ml〜約120mg/mlの量での抗体、10mMヒスチジン緩衝液、150mM NaCl、および0.01%ポリソルベート80、pH6.0(±0.5)を含むか、またはそれらからなる。本文脈において、「約」には、特に引用した範囲、および範囲の上限および/または下限として、数(5、4、3、2または1)mg/mlによる大きな、または小さな範囲が含まれる。
【0411】
好ましい実施形態において、本発明の医薬製剤は、100mg/mlの抗体、10mM
ヒスチジン緩衝液、150mM NaCl、および0.01%ポリソルベート80、pH6.0(±0.5)を含むか、またはそれらからなる。別の好ましい実施形態において、本発明の医薬製剤は、静脈内投与のために100mg/mlの抗体、10mM ヒスチジン緩衝液、150mM NaCl、および0.01%ポリソルベート80、pH6.0(±0.5)を含むか、またはそれらからなる。別の好ましい実施形態において、本発明の医薬製剤は、皮下投与のために100mg/mlの抗体、10mM ヒスチジン緩衝液、150mM NaCl、および0.01%ポリソルベート80、pH6.0(±0.5)を含むか、またはそれらからなる。
【0412】
本発明は、好ましい実施形態において、0.74mg/ml L−ヒスチジン、1.1mg/ml L−ヒスチジン一塩酸塩、8.8mg/ml NaCl、および0.1mg/ml ポリソルベート80、pH6.0(±0.5)を含むか、またはそれらからなる医薬製剤を提供する。別の好ましい実施形態において、本発明の医薬製剤は、約1mg/ml〜約160mg/ml、好ましくは約80mg/ml〜約120mg/mlの量での抗体、0.74mg/ml L−ヒスチジン、1.1mg/ml L−ヒスチジン一塩酸塩、8.8mg/ml NaCl、および0.1mg/ml ポリソルベート80、pH6.0(±0.5)を含むか、またはそれらからなる。別の好ましい実施形態において、本発明の医薬製剤は、静脈内投与のために、約1mg/ml〜約160mg/ml、好ましくは約80mg/ml〜約120mg/mlの量での抗体、0.74mg/ml L−ヒスチジン、1.1mg/ml L−ヒスチジン一塩酸塩、8.8mg/ml NaCl、および0.1mg/ml ポリソルベート80、pH6.0(±0.5)を含むか、またはそれらからなる。別の好ましい実施形態において、本発明の医薬製剤は、皮下投与のために、約1mg/ml〜約160mg/ml、好ましくは約80mg/ml〜約120mg/mlの量での抗体、0.74mg/ml L−ヒスチジン、1.1mg/ml L−ヒスチジン一塩酸塩、8.8mg/ml NaCl、および0.1mg/ml ポリソルベート80、pH6.0(±0.5)を含むか、またはそれらからなる。本文脈において、「約」には、特に引用した範囲、および範囲の上限および/または下限として、数(5、4、3、2または1)mg/mlによる大きいな、または小さな範囲が含まれる。
【0413】
好ましい実施形態において、本発明の医薬製剤は、100mg/mlの抗体、0.74mg/ml L−ヒスチジン、1.1mg/ml L−ヒスチジン一塩酸塩、8.8mg/ml NaCl、および0.1mg/ml ポリソルベート80、pH6.0(±0.5)を含むか、またはそれらからなる。別の好ましい実施形態において、本発明の医薬製剤は、静脈投与のために、100mg/mlの抗体、0.74mg/ml L−ヒスチジン、1.1mg/ml L−ヒスチジン一塩酸塩、8.8mg/ml NaCl、および0.1mg/ml ポリソルベート80、pH6.0(±0.5)を含むか、またはそれらからなる。別の好ましい実施形態において、本発明の医薬製剤は、皮下投与のために、100mg/mlの抗体、0.74mg/ml L−ヒスチジン、1.1mg/ml L−ヒスチジン一塩酸塩、8.8mg/ml NaCl、および0.1mg/ml ポリソルベート80、pH6.0(±0.5)を含むか、またはそれらからなる。
【0414】
好ましい実施形態において、本発明の医薬製剤中の抗体は、モノクローナル抗体である。別の好ましい実施形態において、本発明の医薬製剤中の抗体はIgG抗体である。別の好ましい実施形態において、本発明の医薬製剤中の抗体は、IgG1抗体である。別の好ましい実施形態において、本発明の医薬製剤中の抗体は、IgG1/λ抗体である。別の好ましい実施形態において、本発明の医薬製剤中の抗体は、ヒトまたはヒト化抗体である。
【0415】
好ましい実施形態において、本発明の医薬製剤は、2〜8℃にて少なくとも6ヶ月間安定である。別の好ましい実施形態において、本発明の医薬製剤は、2〜8℃にて少なくとも9ヶ月間安定である。別の好ましい実施形態において、本発明の医薬製剤は、2〜8℃にて少なくとも1年間安定である。別の好ましい実施形態において、本発明の医薬製剤は、2〜8℃にて少なくとも1.5年間安定である。別の好ましい実施形態において、本発明の医薬製剤は、2〜8℃にて少なくとも2年間安定である。別の好ましい実施形態において、本発明の医薬製剤は、2〜8℃にて少なくとも3年間安定である。別の好ましい実施形態において、本発明の医薬製剤は、2〜8℃にて少なくとも4年間安定である。別の好ましい実施形態において、本発明の医薬製剤は、2〜8℃にて少なくとも5年間安定である。
【0416】
好ましい実施形態において、本発明の医薬製剤は、凍結融解の繰り返しにわたって、有意な安定性を提示することが可能であり、続くそのような処置が、融解後安定のままでありうる。一般的に、凍結すべき製剤が迅速に凍結され、たとば液体窒素中で凍結される。融解は、たとえば緩速融解である約0℃〜約25℃の温度範囲、または急速融解である約26℃〜40℃の温度範囲であり得る。本文脈において、「約」には、特に引用した範囲、および範囲の上限および/または下限として、数(5、4、3、2または1)度による大きいな、または小さな範囲が含まれる。急速融解の例は、本発明の医薬製剤の、37℃水浴中での融解である。好ましい実施形態において、本発明の医薬製剤の抗体は、少なくとも1回の凍結融解の間安定である。別の好ましい実施形態において、本発明の医薬製剤の抗体は、少なくとも2回の凍結融解の間安定である。別の好ましい実施形態において、本発明の医薬製剤の抗体は、少なくとも3回の凍結融解の間安定である。別の好ましい実施形態において、本発明の医薬製剤の抗体は、少なくとも4回の凍結融解の間安定である。別の好ましい実施形態において、本発明の医薬製剤の抗体は、少なくとも5回の凍結融解の間安定である。別の好ましい実施形態において、本発明の医薬製剤の抗体は、少なくとも10回の凍結融解の間安定である。
【0417】
安定性を保存するために、本発明の医薬製剤を凍結融解するための最適なレジメを決定することが望ましく、または特定の凍結融解周に供する抗体に対して最大の安定性を与える本発明の医薬製剤を同定することが望ましい。したがって、本発明の実施形態において、本パラメータを評価する。たとえば、本発明の医薬製剤を、分解産物がほとんど生成されない(たとえば最大の安定性を持つ)手順を決定するために、急速凍結、緩速凍結、急速融解、緩速融解のような種々の凍結融解条件下での安定性に関してアッセイ可能である。
【0418】
濃度試験によって、IgG1/λ抗体が、(SEC−HPLCによって決定されるように)純度、および凝集(粒子が観察されない)において有害な影響なしに、10mM ヒスチジン緩衝液、150mM NaCl、および0.01% ポリソルベート80、pH6.0を含む本発明の医薬製剤中、少なくとも160mg/mlまで濃縮してよいことが示された(データは示していない)。さらに、粘度の増加が濃縮によって観察された。粘度が増加するので、投与の困難さの可能性が増加する。研究によって、粘度が7.75cP未満の試料を、10秒未満で、30G1/2インチ針により簡単に注射可能であることが示された。表X中で示したように、160mg/mlのIgG1/λ抗体濃度においてさえ、医薬製剤の粘度が7.75cP未満であり、したがって、シリンジによって簡単に注射される。
【0419】
表X IgG1/λ抗体濃度の関数としての粘度
【0420】
【表2】
インビボ投与のために使用される製剤がもっとも好ましく無菌である。これは、製剤の調製前または後、無菌ろ過膜によるろ過によって簡単に達成される。
【0421】
好ましい実施形態において、本発明の抗体は、10mMクエン酸ナトリウム、1.9%グリシン、0.5%スクロース、0.01%ポリソルベート80、pH6.5(±0.3)中に処方される。別の好ましい実施形態において、本発明の抗体は、静脈投与のために、10mMクエン酸ナトリウム、1.9%グリシン、0.5%スクロース、0.01%ポリソルベート80、pH6.5(±0.3)中に処方される。
【0422】
好ましい実施形態において、本発明の抗体は、10mMクエン酸ナトリウム、8%スクロース、0.04%(w/v)ポリソルベート80(pH6.5)(±0.3)中に処方される。別の好ましい実施形態において、本発明の抗体は、静脈内注射のために、10mMクエン酸ナトリウム、8%スクロース、0.04%(w/v)ポリソルベート80(pH6.5)中に処方される。別の好ましい実施形態において、本発明の抗体は、皮下注射のために、10mMクエン酸ナトリウム、8%スクロース、0.04%(w/v)ポリソルベート80(pH6.5)中に処方される。
【0423】
一般的に、製剤は、ニュートロカイン−アルファ抗体または本技術分野で公知および/あるいは本明細書で記述された他の免疫調節薬剤を、液体担体または微粉固体担体、または両方と均一および密接に接触させることによって調製する。ついで、必要であれば、産物を所望の製剤に成型する。好ましくは、担体は非経口担体であり、より好ましくは、レシピエントの血液と等張である溶液である。そのような担体賦形剤の例として、水、生理食塩水、リンガー溶液およびデキストロース溶液が挙げられる。固定油およびオレイン酸エチルのような非水性ビヒクルもまた、リポソームと同様に本明細書で有用である。
【0424】
担体は好適に、等張性および化学安定性を増強する基質のような少量の添加物を含む。そのような物質は、使用する用量および濃度にて、レシピエントに対して非毒性であり、リン酸、クエン酸、コハク酸、酢酸および他の有機酸のような緩衝液またはそれらの塩、アスコルビン酸のような抗酸化剤、たとえばポリアルギニンまたはトリペプチドなどの低分子量(約10残基以下)ポリペプチド、血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリンのようなタンパク質、ポリビニルピロリドンのような親水性ポリマー、グリシン、グルタミン酸、アスパラギン酸またはアルギニンのようなアミノ酸、単糖類、二糖類およびセルロースまたはその誘導体、グルコース、マンノース、スクロースまたはデキストリンを含む他の炭化水素、EDTAのようなキレート剤、マンニトールまたはソルビトールのような糖アルコール、ナトリウムのようなカウンターイオン、クレソール、フェノール、クロロブタノール、ベンジルアルコールおよびパラベンのような保存剤、ならびに/またはポリソルベート、ポロキサマーまたはPEGのような非イオン性界面活性剤が含まれる。
【0425】
免疫調節ポリペプチドを含む組成物は、約0.001mg/ml〜100mg/ml、または0.1mg/ml〜100mg/ml、好ましくは1〜10mg/mlまたは1〜10mg/mlの濃度で、約3〜10、または3〜8、より好ましくは5〜8、もっとも好ましくは6〜7のpHにて、そのような賦形剤中に典型的に処方される。ある特定の上記の賦形剤、担体または安定剤の利用が、結果としてポリペプチドの塩の形成となることが理解される。
【0426】
治療的投与のために使用される組成物がもっとも好ましく無菌である。滅菌は、無菌ろ過膜(たとえば0.2ミクロン膜)を介したろ過によって簡単に達成される。治療的組成物を一般的に、無菌のアクセスポートを持つ容器、たとえば皮下注射針によってストッパー穴あけが可能である静脈溶液バッグまたはバイアル内に配置する。
【0427】
本発明の方法にて使用しうる免疫調節薬剤を含む医薬組成物は、通常、ユニットまたは多重投与容器、たとえば密封アンプルまたはバイアル中に、水溶液として、または再構成のための凍結乾燥製剤として保存される。凍結乾燥製剤の例として、10−mlバイアルを、5mlの無菌ろ過1%(w/v)水性ニュートロカイン−アルファポリペプチド溶液で満たし、得られた混合液を凍結乾燥する。注入溶液を、静菌注射用水を用いて、凍結乾燥ニュートロカイン−アルファポリペプチドを再構成することによって調製する。
【0428】
あるいは、本発明の方法にて使用しうる免疫調節薬剤を含む医薬組成物を、単一用量容器中、凍結乾燥形態で保存する。注入選択を、注射のための無菌担体を用いて再構成する。
【0429】
特定の実施形態において、本発明にて使用しうる免疫調節薬剤は、ニュートロカイン−アルファまたは抗CD20抗体の放射標識された形態のような、放射標識されたポリペプチドである。放射標識された分子を含むそのような医薬組成物にはまた、アスコルビン酸ナトリウム、ゼントラン−40、およびグリセロールのような放射保護剤および血漿増量剤が含まれてよい。特定の実施形態において、本発明の方法にて使用しうる組成物には、10.0mMクエン酸ナトリウム、140mM塩化ナトリウム、8.7mM HEPES、4%(w/v)アスコルビン酸ナトリウム、3.3%(w/v)Genetran−40中で処方した、ニュートロカイン−アルファポリペプチドまたはそれらの断片または変異体のヨウ化形態が含まれる。
【0430】
特定の実施形態において、本発明の方法にて使用しうる組成物には、少なくとも1mg/mLの配列番号2のアミノ酸残基134〜285のヨウ化形態、10.0mMクエン酸ナトリウム、140mM塩化ナトリウム、8.7mM HEPES、4%(w/v)アスコルビン酸ナトリウム、3.3%(w/v)Genetran−40が含まれる。特定の実施形態において、本発明の方法にて使用しうる組成物には、少なくとも2mg/mLの配列番号2のアミノ酸残基134〜285のヨウ化形態、10.0mMクエン酸ナトリウム、140mM塩化ナトリウム、8.7mM HEPES、4%(w/v)アスコルビン酸ナトリウム、3.3%(w/v)Genetran−40が含まれる。特定の実施形態において、本発明の方法にて使用しうる組成物には、少なくとも3mg/mLの配列番号2のアミノ酸残基134〜285のヨウ化形態、10.0mMクエン酸ナトリウム、140mM塩化ナトリウム、8.7mM HEPES、4%(w/v)アスコルビン酸ナトリウム、3.3%(w/v)Genetran−40が含まれる。特定の実施形態において、本発明の方法にて使用しうる組成物には、少なくとも4mg/mLの配列番号2のアミノ酸残基134〜285のヨウ化形態、10.0mMクエン酸ナトリウム、140mM塩化ナトリウム、8.7mM HEPES、4%(w/v)アスコルビン酸ナトリウム、3.3%(w/v)Genetran−40が含まれる。特定の実施形態において、本発明の方法にて使用しうる組成物には、少なくとも4.6mg/mLの配列番号2のアミノ酸残基134〜285のヨウ化形態、10.0mMクエン酸ナトリウム、140mM塩化ナトリウム、8.7mM HEPES、4%(w/v)アスコルビン酸ナトリウム、3.3%(w/v)Genetran−40が含まれる。
【0431】
特定の実施形態において、本発明の方法にて使用しうる組成物には、約0.1mg/mL〜20mg/mLの間の、配列番号2のアミノ酸残基134〜285のヨウ化形態、10.0mMクエン酸ナトリウム、140mM塩化ナトリウム、8.7mM HEPES、4%(w/v)アスコルビン酸ナトリウム、3.3%(w/v)Genetran−40が含まれる。特定の実施形態において、本発明の方法にて使用しうる組成物には、約1mg/mL〜10mg/mLの間の、配列番号2のアミノ酸残基134〜285のヨウ化形態、10.0mMクエン酸ナトリウム、140mM塩化ナトリウム、8.7mM HEPES、4%(w/v)アスコルビン酸ナトリウム、3.3%(w/v)Genetran−40が含まれる。特定の実施形態において、本発明の方法にて使用しうる組成物には、約2mg/mL〜8mg/mLの間の、配列番号2のアミノ酸残基134〜285のヨウ化形態、10.0mMクエン酸ナトリウム、140mM塩化ナトリウム、8.7mM HEPES、4%(w/v)アスコルビン酸ナトリウム、3.3%(w/v)Genetran−40が含まれる。特定の実施形態において、本発明の方法にて使用しうる組成物には、約3mg/mL〜6mg/mLの間の、配列番号2のアミノ酸残基134〜285のヨウ化形態、10.0mMクエン酸ナトリウム、140mM塩化ナトリウム、8.7mM HEPES、4%(w/v)アスコルビン酸ナトリウム、3.3%(w/v)Genetran−40が含まれる。
【0432】
好ましい実施形態において、本発明の方法にて使用しうる組成物には、抗ニュートロカイン−アルファ抗体が含まれる。他の実施形態において、本発明の方法にて使用しうる組成物には、ニュートロカイン−アルファに特異的に結合する抗体が含まれる。他の実施形態において、本発明の方法にて使用しうる組成物には、アンタゴニスト抗ニュートロカイン−アルファ抗体が含まれる。他の実施形態において、本発明の方法にて使用しうる組成物には、ニュートロカイン−アルファに特異的に結合し、ニュートロカイン−アルファの生物学的活性を中和する抗体を含む。他の実施形態において、本発明の方法にて使用しうる組成物には、細胞培養から精製した組換え体ニュートロカイン−アルファタンパク質に結合する抗ニュートロカイン−アルファ抗体が含まれ、前記組換え体ニュートロカイン−アルファタンパク質は、配列番号2の少なくともアミノ酸134〜285をコードしているポリヌクレオチドによってコードされる。他の実施形態において、本発明の方法にて使用しうる組成物には、ニュートロカイン−アルファに特異的に結合する抗体が含まれ、前記抗体は細胞培養液から精製した組換え体ニュートロカイン−アルファタンパク質に結合し、前記組換え体ニュートロカイン−アルファタンパク質が配列番号2の少なくともアミノ酸134〜285をコードしているポリヌクレオチドによってコードされる。
【0433】
免疫調節薬剤を含む医薬組成物は、経口、経直腸、非経口、皮下、嚢内、膣内、腹腔内、(粉末、軟膏、滴下または経皮パッチによってのような)局所、口内、または経口または経鼻スプレーとして(たとえば蒸気または粉末の吸入を介して)投与してよい。
【0434】
本明細書で使用するところの語句「非経口」は、静脈内、筋肉内、腹腔内、胸骨内、皮下および関節内注射および注入を含む投与の様式を意味する。
【0435】
好ましい実施形態において、免疫調節薬剤を含む組成物を皮下で投与する。
【0436】
別の好ましい実施形態において、免疫調節薬剤を含む組成物を静脈内に投与する。
【0437】
免疫調節薬剤を含む組成物をまた、除放システムによって投与してよい。除放組成物の好適な例として、(たとえばフィルムまたはマイクロカプセルのような、成型物の形態におけるたとえば半透性ポリマーマトリックスのような)好適なポリマー物質、(たとえば許容可能な油中のエマルジョンのような)好適な疎水性物質、またはイオン交換樹脂、および(たとえば難溶性塩のような)難溶性誘導体が挙げられる。
【0438】
除放マトリックスには、ポリアクチド(米国特許第3,773,919号、欧州特許第58,481号)、L−グルタミン酸およびガンマ−エチル−L−グルタミン酸のコポリマー(Sidman,U.ら、Biopolymers 22:547−556(1983))、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)(R.Langerら、J.Biomed.Mater.Res.15:167−277(1981)、およびR.Langer,Chem Tech.12:98−105(1982))、酢酸エチレンビニル(R.Langerら、上記)、またはポリ−D−(−)−3−ヒドロキシブチル酸(欧州特許第133,988号)が含まれる。
【0439】
特定の実施形態において、免疫調節薬剤を含む組成物は、たとえば、そのすべてが参考文献によって本明細書に援用されている、米国特許第4,938,763号、第5,278,201号、第5,278,202号、第5,324,519号、第5,340,849号および第5,487,897号にて、および国際特許出願第WO01/35929号、第WO00/24374号および第WO00/06117号にて記述されたような、生分解性高分子薬剤送達系に処方される。特定の実施形態において、免疫調節薬剤を含む組成物を、Atrix Laboratories、Inc.(Fort Collins,Colorado)のATRIGEL(登録商標)生分解性システムを用いて処方する。他の特定の実施形態において、免疫調節薬剤を含む組成物を、Alkermes,Inc.(Cambridge,MA)から入手可能なProLease(登録商標)除放システムを用いて処方する。
【0440】
医薬製剤中で使用可能な生分解性ポリマーの例として、限定はしないが、ポリアクチド類、ポリグリコリド類、ポリカプロラクトン類、ポリアンヒドリド類、ポリアミド類、ポリウレタン類、ポリエステルアミド類、ポリオルソエステル類、ポリジオキサノン類、ポリアセタール類、ポリケタール類、ポリカルボネート類、ポリオルソカルボネート類、ポリホスファゼン類、ポリヒドロキシブチレート類、ポリヒドロキシバレレート類、ポリアルキレンオキサレート類、ポリアルキレンスクシネート類、ポリ(マレイン酸)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(メチルビニルエーテル)、ポリ(無水マレイン酸)、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリヒドロキシセルロース、キチン、キトサン、および上記物質のコポリマー、テルポリマーまたは組合せまたは混合物が挙げられる。好ましいポリマーは、より低い程度の結晶化を持ち、より疎水性であるものである。これらのポリマーおよびコポリマーは、また高程度の水素結合を持つポリグリコリドおよびキチンのような高結晶性ポリマーよりも、生物適合な溶媒中で可溶性である。所望の可溶性パラメータを持つ好ましい物質は、ポリアクチド類、ポリカプロラクトン類、および可溶性を増強するためにより非結晶質な領域が存在するグルコリドとのこれらのコポリマーである。特に好ましい実施形態において、免疫調節剤を含む組成物の製剤中で使用可能な生分解性ポリマーは、ポリ(ラクチド−コ−グルコリド類)である。分子量、疎水性、およびラクチド/グリコチド比のようなポリマー特性を改変して、所望の薬物放出プロファイルを得てもよい(たとえば、そのすべてが参考文献によって本明細書に援用される、Ravivarapuら、Journal of Pharmaceutical Sciences 89:732−741(2000)を参照のこと)。
【0441】
生分解性ポリマーのための溶媒が、非毒性、水混和性もしくは生物適合性であることがまた好ましい。そのような溶媒の例として、限定はしないが、メタノール、グリセリンプロピレングリコール、ブタノールのような、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、C2〜C6アルカノール類、C1〜C15アルコール類、ジル類、トリオール類、およびエタノール、グリセリンポリエチレングリコール、ブタノールのようなテトラオール類、アセトン、ジエチルケトンおよびメチルエチルケトンのようなC3〜C15アルキルケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸エチルのようなC3〜C15エステル類、メチルエチルケトンのようなアルキルケトン類、ジメチルホルムアミド、ジメチルラクトアミドおよびカプロラクタムのようなC1〜C15アミド類、テトラヒドロフランまたはソルケタールのようなC3〜C20エーテル類、トゥイーン類、トリアセチン、炭酸プロピレン、デシルメチルスルホキシド、ジメチルスルホキシド、オレイン酸、1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オンが挙げられる。他の好ましい溶媒は、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、ジプロピレングリコール、トリブチリン、オレイン酸エチル、グリセリン、グリコフラール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸、ポリエチレングリコール、炭酸プロピレン、およびクエン酸トリエチルである。もっとも好ましい溶媒は、溶媒能およびその適合性のために、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、トリアセチン、および炭酸プロピレンである。
【0442】
さらに、免疫調節剤および生分解性ポリマーを含む製剤組成物にはまた、放出速度調整剤および/または孔形成剤が含まれてよい。放出速度調整剤の例として、限定はしないが、脂肪酸、トリグリセリド、他の疎水性化合物、有機溶媒、可塑剤および親水性化合物が挙げられる。好適な放出速度調整剤には、たとえば、酢酸2−エトキシエチル、酢酸メチル、酢酸エチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジブチル、アジピン酸ジメチル、コハク酸ジメチル、オキサロ酢酸ジメチル、クエン酸ジメチル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、トリ酢酸グルセロール、ジ(n−ブチル)セベケートなどのようなモノ−、ジ−、およびトリカルボン酸のエステル、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ソルビトールなどのようなポリヒドロキシアルコール類、脂肪酸類、トリグリセリド類、エポキシ化大豆油、および他のエポキシ化植物油のようなグリセロールのトリエステル類、コレステロールのようなステロール類、置換C6〜置換C12アルカノール類、2−エトキシエタノールなどのようなアルコール類、などが含まれる。放出速度調整剤は、単独で、または他のそのような剤との組合せで使用してよい。放出速度調整剤の好適な組合せには、限定はしないが、グリセリン/ポリエチレングリコール、ソルビトール/グリセリン、酸化エチレン/酸化プロピレン、ブチレングリコール/アジピン酸などが含まれる。好ましい放出速度調整剤には、限定はしないが、クエン酸ジメチル、クエン酸トリエチル、ヘプタノン酸エチル、グリセリンおよびヘキサンジオールが含まれる。ポリマー組成物中で使用しうる好適な孔形成剤には、限定はしないが、スクロースおよびデキストロースのような糖、塩化ナトリウムおよび炭酸ナトリウムのような塩、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコールおよびポリビニルピロリドンのようなポリマー類が含まれる。塩または糖のような定義された孔サイズを提供する固体結晶が好ましい。
【0443】
特定の実施形態において、免疫調節剤を含む組成物を、Atrix Laboratories,Inc.(Fort Collins,Colorado)のBEMATM 生体分解性粘膜接着系(BioErodible Mucoadhesive System)、MCATM 粘膜皮膚吸収系(MucoCutaneous Absorption System)、SMPTM 溶媒ミクロ粒子系(Solvent MicroParticle System)、またはBCPTM 生物分解ポリマー系(BioCompatible Polymer System)を用いて処方する。
【0444】
除放組成物にはまた、リポソームに封入された組成物(一般的に、Laqnger,Science 249:1527−1533(1990)、Treatら、Liposomes in the Therapy of Infectious Disease and Cancer,Lopez−Berestein and Fidler(eds.),Liss,New York,pp.317−327および353−365(1989)を参照のこと)が含まれる。リポソームは、それ自体公知の方法によって調製してよい。独逸特許第3,218,121号、Epsteinら、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)82:3688−3692(1985)、Hwangra、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)77:4030−4034(1980)、欧州特許第52,322号、欧州特許第36,676号、欧州特許第88,046号、欧州特許第143,949号、欧州特許第142,641号、日本特許明細書第83−118008号、米国特許第4,485,045号および第4,544,545号および欧州特許第102,324号。通常、リポソームは、脂質含量が約30mol.パーセントより大きなコレステロールである、小さな(約200〜800オングストローム)単層型であり、選択された割合は、最適な免疫調節治療に対して調整される。
【0445】
他の実施形態において、除放組成物には、本技術分野で公知の結晶製剤が含まれる。
【0446】
またさらなる実施形態において、免疫調節剤を含む組成物を、ポンプの方法によって送達する(Langer上記、Sefton,CRC Crit.Ref.Biomed.Eng.14:201(1987)、Buchwaldら、Surgery 88:507(1980)、Saudekら、N.Engl.J.Med.321:574(1989)を参照のこと)。
【0447】
他の制御放出系が、Langer(Science 249:1527−1533(1990))による概説にて議論されている。
【0448】
非経口投与のために、1つの実施形態において、免疫調節剤を、一般的に、所望の程度の純度にて、単回投与注射形態(溶液、懸濁液またはエマルジョン)で、薬理学的に許容可能な担体、すなわち使用した用量および濃度にてレシピエントに対して非毒性であり、製剤の他の成分と適合可能であるものと、混合することによって処方する。たとえば、活性成分が免疫調節タンパク質である場合、製剤は好ましくは、酸化剤およびポリペプチドに対して有害であると公知である他の化合物を含まない。
【0449】
特定の実施形態において、医薬化合物または組成物を、処置が必要な領域に局所的に投与することが望ましく、たとえば限定はしないが、手術間の局所注入、たとえば手術後の包帯と併用する局所適用によって、注射によって、カテーテルの方法によって、座薬の方法によって、またはインプラントの方法によって達成してよく、前記インプラントは、シラスティック(sialastic)膜または繊維のような膜を含む、多孔性、非多孔性、またはゼラチン性物質である。好ましくは、抗体を含む本発明のタンパク質を投与する時に、タンパク質が吸収されない物質を使用することに注意しなければならない。
【0450】
別の実施形態において、免疫調節剤は、ビヒクル中、とりわけリポソーム中で送達可能である(Langer,Science 249:1527−1533(1990)、Treatら、Liposomes in the Therapy of Infectious Disease and Cancer,Lopez−Berestein and Fidler(eds.),Liss,New York,pp.353−365(1989)、Lopez−Berestein,同書、pp.317−327を参照のこと、一般的に同書を参照のこと)。
【0451】
また別の実施形態において、免疫調節剤は、制御放出系中で送達可能である。1つの実施形態において、ポンプを使用してよい(Langer、上記、Sefton,CRC Crit.Ref.Biomed.Eng.14:201(1987)、Buchwaldら、Surgery 88:507(198)、Saudekら、N.Engl.J.Med.321:574(1989)を参照のこと)。他の実施形態において、ポリマー材料が使用可能である(Medical Applications of Controlled Release、Langer and Wise(eds.),CRC Press,Boca Raton,Florida(1974)、Controlled Drug Bioavailablity,Drug Product Design and Performance、Smolen and Ball(eds.)、Wiley,New York(1984)、Ranger and Peppas,J.,Macromol.Sci.Rev.Macromol.Chem.23:61(1983)を参照のこと、またLevyら、Science 228:190(1985)、Duringら、Ann.Neurol.25:351(1989)、Howardら、J.Neurosurg.71:105(1989)を参照のこと。また別の実施形態において、制御放出系を、治療標的、すなわち脳の近くに配置することが可能であり、したがって、全身投与の位置画分のみが必要とされる(たとえば、Goodson、in Medical Application of Controlled Release、上記、vol.2,pp.115−138(1984)を参照のこと)。
【0452】
他の制御放出系が、Langer(Science 249:1547−1533(1990))による概説にて議論されている。
【0453】
本発明の化合物が、タンパク質をコードしている核酸である特定の実施形態において、核酸を、適切な核酸発現ベクターの一部として構築すること、およびたとえばレトロウイルスベクターの利用によって(米国特許第4,980,286号を参照のこと)、または直接注射によって、またはマイクロ粒子の照射(たとえば遺伝子ガン、Biolistic,Dupont)の利用によって、または脂肪もしくは細胞表面レセプターもしくはトランスフェクト剤でコーティングすることによって、または核に入ることが知られているホメオボックス様ペプチドへ結合状態で投与すること(たとえば、Joliotら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:1864−1868(1991))などによって細胞内となるように投与することで、そのコードしているタンパク質の発現を促進するためにインビボにて投与可能である。あるいは、核酸を細胞内に導入し、相同組換えによって、発現のために宿主細胞DNA内に組み込むことができる。
【0454】
本発明はまた、医薬組成物も提供する。そのような組成物には、治療有効量の化合物、および薬学的に許容可能な担体が含まれる。特定の実施形態において、語句「薬学的にに許容可能な」は、連邦政府または州政府の規制当局によって許可された、または米国薬局方または他の一般的に認識された、動物、よりとりわけヒトでの利用のための薬局方に列記された、を意味する。語句「担体」は、治療物質を一緒に投与する、希釈液、アジュバント、賦形剤またはビヒクルを意味する。そのような医薬担体は、ピーナッツ油、大豆油、ミネラル油、セサミ油などのような、石油、動物、植物または合成由来のものを含む、水および油のような無菌液体でありうる。医薬組成物を静脈内に投与する場合に、水が好ましい担体である。食塩水溶液および水性デキストロースおよびグリセロール溶液もまた、とりわけ注射溶液のために、液体担体として利用可能である。好適な医薬賦形剤には、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、モルト、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアレート、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどが含まれる。所望の場合、組成物にはまた、少量の湿潤または乳化剤、またはpH緩衝剤が含まれうる。これらの組成物は、溶液、懸濁液、エマルジョン、錠剤、ピル、カプセル、粉末、除放製剤などの形態を取り得る。組成物は、トリグリセリドのような伝統的な結合剤および担体とともに、座薬として処方可能である。経口製剤には、医薬等級のマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどのような、標準の担体が含まれてよい。好適な医薬担体の例が、E.W.Martinによる「Remington’s Pharmaceutical Sciences」にて記述されている。そのような組成物は、患者への適切な投与のための形態を提供するために、好適な量の担体と一緒に、好ましくは精製形態で、治療有効量の化合物を含む。製剤は、投与の様式に適合する。
【0455】
好ましい実施形態において、組成物を、ヒトへの静脈投与のために適合した医薬組成物として、日常の手順にしたがって処方する。典型的に、静脈投与のための組成物は、無菌等張水性緩衝液の溶液である。必要ならば、組成物には、注射部位の痛みを和らげるために、可溶化剤およびリグノカインのような局所麻酔が含まれうる。一般的に、成分は、別々に提供されるか、またはたとえば活性剤の量を示したアンプルまたはサシェのような密封容器中、乾燥凍結粉末または水を含まない濃縮物として、単一投与形態で一緒に混合されるかのいずれかである。組成物が注入によって投与される場合、無菌医薬等級水または食塩水を含む注入ボトルで調剤可能である。組成物を注射によって投与する場合、注射のための無菌水または食塩水のアンプルを提供し、成分を投与の前に混合することができる。
【0456】
免疫調節剤を、中性形態または塩形態として処方してよい。薬学的に許容可能な塩には、塩酸、リン酸、酢酸、硝酸、酒石酸などに由来するもののようなアニオンと形成されたもの、およびナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、水酸化鉄、イソプロピルアミン、トリエチルアミン、2−エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなどに由来するもののようなカチオンと形成されたものが含まれる。
【0457】
本明細書で記述されたように、本発明の方法にて効果的である免疫調節剤の量は、標準の臨床技術によって決定可能である。さらに、インビトロアッセイを任意に使用して、最適な投与範囲を同定するための手助けとしてよい。製剤中で使用する実際の用量はまた、投与経路、疾患または障害の重症度に依存し、専門家の決定および各患者の状況にしたがって決定されるべきである。有効量は、インビトロまたは動物モデル試験系に由来する用量応答曲線から外挿してよい。
【0458】
抗体に関して、患者に投与する用量は、典型的には患者体重の0.1mg/kg〜100mg/kgである。好ましくは、患者へ投与する用量は、患者体重の0.1mg/kg〜20mg/kg、好ましくは患者体重の1mg/kg〜10mg/kgである。好ましい実施形態において、1、4、10または20mg/kgの用量を患者に静脈内に投与する。一般的に、ヒト抗体は、外来ポリペプチドに対する免疫応答のために、他の種からの抗体よりも、ヒト体内でより長い半減期を持つ。したがって、より低い用量のヒト抗体、および低い頻度の投与がしばしば可能である。さらに、本発明の抗体の投与の用量および頻度は、たとえば脂質化のような改変によって、抗体の取り込みおよび組織浸潤(たとえば脳へ)を増強することによって減少させてよい。
【0459】
一般的な定理として、1用量あたり非経口で投与するポリペプチドの全薬学的に効果的な量は、上記したように、治療的決定に従うが、患者体重の約1マイクログラム/kg/日〜10mg/kg/日の範囲である。より好ましくは、本用量は少なくとも0.01mg/kg/日、ヒトに対してもっとも好ましくは約0.01〜1mg/kg/日の範囲である。
【0460】
別の実施形態において、ポリペプチドは、0.0001〜0.045mg/kg/日の間の用量、好ましくは0.0045〜0.045mg/kg/日の間の用量、より好ましくは、ヒトにおいて約45マイクログラム/kg/日の用量でヒトに対して投与され、マウスにおいて、約3mg/kg/日の用量である。
【0461】
連続して与えられる場合、ポリペプチドは典型的に、約1マイクログラム/kg/時間〜約50マイクログラム/kg/時間の用量速度で、一日あたり1〜4回の注射によって、または連続皮下注入によってのいずれかで、たとえばミニポンプを用いて投与される。静脈バッグ溶液もまた使用してよい。
【0462】
変化を観察するために必要な処置の長さ、および応答の起こる処置後の間隔が、所望の効果に依存して変化するように思われる。
【0463】
免疫調節剤を含む組成物は、連続注入、一日あたり複数回の慎重な注射(たとえば一日3回以上、一日二回)、一日あたり単回注射、または断続的にあたえる慎重な注射(たとえば一日二回、一日一回、一日おき、週に二回、毎週、二週間に一回、毎月、二ヶ月間に一回、および三ヶ月ごと)として投与してよい。連続して与える場合、ポリペプチドは典型的には、約0.001〜10マイクログラム/kg/時間〜約50マイクログラム/kg/時間、一日あたり1〜4回の注射によって、または連続皮下注入によってのいずれかで、たとえばミニポンプを用いて投与される。
【0464】
投与すべき免疫調節剤を含む組成物の有効量を、生物学的半減期、生物学的利用能、および毒性のようなパラメータを扱う当業者によく知られている手順を通して決定してよい。そのような決定が、とりわけ本明細書で提供される詳細な開示を考慮して、十分に当業者の能力の範囲内である。
【0465】
生物体の免疫調節剤に対する生体暴露がまた、治療的および/または薬学的に有効な投与養成法にて重要な役割を果たしうる。相対的に長時間の、相対的に低容量の免疫調節剤の繰り返し投与のような種々の用量が、相対的に短時間の免疫調節剤の比較的高い用量の繰り返し投与で達成されるものと、治療的および/または医薬に区別可能な効果を持ちうる。
【0466】
Freireich,E.J.,ら(Cancer Chemotherapy Reports 50(4):219−44(1966))によって供給された等価表面積投与変換係数(equivalent surface area dosage conversion factor)を用いて、当業者は、所与の実験系における免疫調節剤の利用から得られたデータを,別の実験系において1用量あたり投与される免疫調節剤の薬学的有効量の正確な推定値へ都合よく変換しうる。マウスにおける免疫調節剤の投与を介して得られた実験データを、たとえば、Freireichらによって供給された変換係数を介して、ラット、サル、イヌおよびヒト中のニュートロカイン−アルファの薬学的有効量の正確な推定のために変換してよい。以下の変換表(表III)が、Freireichらによって提供されたデータの要約である。表IIIは、一つの種からのmg/kgに関して表された用量を、表に示した他の種におけるmg/kgとして表された等価の表面積用量へ変換するために、およその係数を示している。
【0467】
表III.等価表面積投与変換係数
【0468】
【表3】
したがって、たとえば、表IIIで提供された変換係数を用いて、マウスにおける50mg/kgの用量を、(50mg/kg)×(1/4)=12.5mg/kgにより、サルにおける適切な用量の12.5mg/kgに変換する。さらなる例として、マウスにおける0.02、0.08、0.8、2および8mg/kgの用量が、それぞれヒトにおいて、1.667マイクログラム/kg、6.67マイクログラム/kg、66.7マイクログラム/kg、166.7マイクログラム/kgおよび0.667mg/kgの有効量と等しい。
【0469】
ある特定の実施形態において、ニュートロカイン−アルファまたは抗ニュートロカイン−アルファ抗体の放射標識形態の投与が企図される。適用される放射用量は、実質的に変化してよい。放射標識ニュートロカイン−アルファまたは抗ニュートロカイン−アルファ抗体組成物を、70kg体重あたり、約0.1〜約100mCiの用量で投与可能である。別の実施形態において、放射標識ニュートロカイン−アルファまたは抗ニュートロカイン−アルファ抗体組成物を、70kg体重あたり、約0.1〜約50mCiの用量で投与可能である。別の実施形態において、放射標識ニュートロカイン−アルファまたは抗ニュートロカイン−アルファ抗体組成物を、70kg体重あたり、約0.1、0.5、1、5、10、15、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90または100mCiの用量で投与可能である。
【0470】
放射標識ニュートロカイン−アルファまたは抗ニュートロカイン−アルファ抗体組成物を、約0.1〜約10mCi/体重kgの用量で投与可能である。別の実施形態において、放射標識ニュートロカイン−アルファまたは抗ニュートロカイン−アルファ抗体組成物を、約0.25〜約5mCi/体重kgの用量で投与可能である。特定の実施形態において、放射標識ニュートロカイン−アルファまたは抗ニュートロカイン−アルファ抗体組成物を、約0.35、0.70、1.35、1.70、2.0、2.5または3.0mCi/kgの用量で投与可能である。
【0471】
放射標識ニュートロカイン−アルファまたは抗ニュートロカイン−アルファ抗体組成物を、約1〜約50mCi/mの用量で投与可能である。別の実施形態において、放射標識ニュートロカイン−アルファまたは抗ニュートロカイン−アルファ抗体組成物を、約10〜約30mCi/mの用量で投与可能である。特定の実施形態において、放射標識ニュートロカイン−アルファまたは抗ニュートロカイン−アルファ抗体組成物を、約10、15、20、25または30mCi/mの用量で投与可能である。
【0472】
放射標識ニュートロカイン−アルファまたは抗ニュートロカイン−アルファ抗体組成物中の総ニュートロカイン−アルファタンパク質、ニュートロカイン−アルファSVタンパク質、抗ニュートロカイン−アルファ抗体および/または抗ニュートロカイン−アルファSV抗体の濃度はまた、約1マイクログラム/kg〜約1mg/kgまで変化しうる。特定の実施形態において、放射標識ニュートロカイン−アルファまたは抗ニュートロカイン−アルファ抗体組成物中のニュートロカイン−アルファタンパク質、ニュートロカイン−アルファSVタンパク質、抗ニュートロカイン−アルファ抗体および/または抗ニュートロカイン−アルファSV抗体の総濃度は、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100マイクログラム/kgでありうる。
【0473】
たとえば、リンパ腫は放射線感受性腫瘍であると知られている。免疫診断イメージングのために、複合体によるトレース標識化を使用してよく、典型的に1〜20mgのニュートロカイン−アルファタンパク質を、約1〜60mCiの放射性同位体で標識する。用量は、イメージングのために使用する同位体にいくらか依存してよく、より高い末端の範囲、好ましくは40〜60mCiを99mTcとともに使用してよく、より低い末端の範囲、好ましくは1〜20mCiを111Inととともに使用してよい。イメージング目的のために、約1〜約30mgのニュートロカイン−アルファ複合体を被験体に与えることが可能である。放射免疫治療目的のために、ニュートロカイン−アルファ複合体を、被ばくした全体線量が約1100cGyまで、しかし好ましくは、500cGy以下であるような十分な量で、被験体に投与する。ニュートロカイン−アルファタンパク質、ニュートロカイン−アルファ共役物(conjugate)およびニュートロカイン−アルファ複合体を含む、被験体に投与するニュートロカイン−アルファタンパク質の総量は、患者体重の1.0μg/kg〜1.0mg/kgの範囲であり得る。別の実施形態において、被験体に投与するニュートロカイン−アルファタンパク質の総量は、患者体重の20μg/kg〜100μg/kgの範囲であり得る。
【0474】
ヒトの全身に対しておよそ500cGyを与えうる放射活性の量は、約825mCiの131Iであると推定される。投与される放射活性の量は、部分的に、選択した同位体に依存する。90Yによる治療のために、約1〜約200mCi量の放射活性が適切であると考えられ、好ましい量は1〜150mCiであり、および1〜100mCi(たとえば60mCi)がもっとも好ましい。投与された放射活性の量から組織線量を推定する好ましい方法は、トレーサー用量で、イメージングまたは他の薬物動態養成法を実施することであり、それによって予測線量測定の推定を得る。個々に投与するための放射薬理学の適切な用量を決定することにおいて、そのような器官に対する最大耐性と比較して、個々の器官が受ける照射の量を考慮することが必要である。そのような情報が、当業者に公知であり、たとえば、両方がそのすべてが参考文献によって本明細書に援用されている、Emamiら、International Journal of Radiation Oncology,Biology,Physics 21:109−22(1991)、およびMeredith,Cancer Biotherapy & Radiopharmaceuticals 17:83−99(2002)を参照のこと。
【0475】
骨髄は毒性のために放射用量を制限する組織であるので、たとえば全身に対して、200〜600cGy(またはそれ以上)の範囲で、「高用量」プロトコールが骨髄置換プロトコールの支持を必要としうる。
【0476】
特定の実施形態において、患者は組成物(たとえば、ニュートロカイン−アルファ、または本技術分野で公知および/または本明細書で記述された免疫調節剤に特異的に結合する抗体)の複数投与を受ける。複数投与の1つの組が、周期としてよばれる。単一周期には、たとえば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12以上の投与が含まれうる。任意の1投与のために、用量は初期薬物負荷を可能にする、および/または質量、体表面積、疾患活性、疾患応答性、薬物耐性、回復時間、PKパラメータおよび/または医薬反応(類)における患者特異的差違を説明するために、固定されるか、または変化してよい。
【0477】
所定の周期内の任意の2回の投与間の時間は、疾患活性、疾患応答性、薬物耐性、回復時間、PKパラメータ、および/または薬理反応(類)における患者特異的差違に対応するために、固定されるか、または変化してよい。特定の実施形態において、患者に、続く投与にて所定量の2倍である初期負荷用量を与える。他の実施形態において、任意の2回の投与の間の時間は、1、2、3、4、5、6、または7日(1週間)以上であり得る。特定の実施形態において、任意の2回の投与間の時間は、1、2、3、4、5、6、7または8週以上であり得る。患者にはまた、多周期の処置を与えうる。2周期以上が必要である場合、任意の2処置周期間の時間は、疾患活性、疾患応答性、薬物耐性、回復時間、PKパラメータ、および/または薬理反応(類)における患者特異的差違に対応するために、固定されるか、または変化してよい。特定の実施形態において、任意の2周期間の時間は、1、2、3、4、5、6週間以上でありうる。特定の実施形態において、任意の2周期間の時間は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12ヶ月以上でありうる。特定の実施形態において、任意の2周期間の時間は、1、2、3、4、5年以上でありうる。特定の実施形態において、患者に、初期ボーラス投与、続いて1または複数周期処置を与える。
【0478】
1つの実施形態において、初期ボーラス投与には、患者に静脈内に投与される2mg/kg以上のニュートロカイン−アルファの抗体アンタゴニストの用量が含まれる。1つの実施形態において、初期ボーラス投与には、患者に静脈内に投与される5mg/kg以上のニュートロカイン−アルファの抗体アンタゴニストの用量が含まれる。好ましい実施形態において、初期ボーラス投与には、患者に静脈内に投与される10mg/kg以上のニュートロカイン−アルファの抗体アンタゴニストの用量が含まれる。他の実施形態において、初期ボーラス投与には、患者に静脈内に投与される15mg/kg以上のニュートロカイン−アルファの抗体アンタゴニストの用量が含まれる。1つの実施形態において、初期ボーラス投与には、患者に静脈内に投与される20mg/kg以上または等しいニュートロカイン−アルファの抗体アンタゴニストの用量が含まれる。
【0479】
他の特定の実施形態において、初期ボーラスには、抗CD20抗体が含まれる。
【0480】
他の特定の実施形態において、初期ボーラスには、B細胞破壊剤が含まれる。
【0481】
本発明はまた、医薬組成物の1つ以上の成分にて充填された1つ以上の容器を含む、医薬パックまたはキットも提供する。医薬品または生物学的産物の製造、利用または販売に関連する行政機関によって規定された形態での掲示が任意にそのような容器(類)に関連し、掲示は、ヒト投与のための製造、利用または販売の機関による許可を反映している。
【0482】
免疫調節剤は、単独で、または限定はしないが1つ以上のさらなる免疫調節剤、化学療法剤、抗生物質、抗ウイルス剤、ステロイド性および非ステロイド抗炎症剤、従来の免疫療法剤およびサイトカインを含む、他の治療剤と併用して投与してよい。併用は、たとえば混合物として一緒に、別々にしかし同時にまたは一斉に、または連続してのいずれかで投与してよい。これには、混合剤を治療混合物として一緒に投与する提示、およびまた混合剤を、たとえば同一の個体への別の静脈内ラインを介してのように、別々にしかし同時に投与する手順が含まれる。「併用での」投与にはさらに、最初に与えられた1つの化合物または薬剤の別々の投与と、それに続く第二の化合物または薬剤が含まれる。
【0483】
次段落において、免疫調節剤を他の化合物との併用で投与してよいことが開示される。ある特定の例において、追加の化合物はそれ自体がまた免疫調節剤である。そのような段落での開示は、2つ以上の異なる免疫調節剤を、本発明の方法と合わせて、互いに併用して投与してよいことが特に企図されることを伝える意図がある。たとえば、抗ニュートロカイン−アルファ抗体を、本発明の方法と合わせて、抗CD20抗体と同時に使用してよいことが特に企図される。
【0484】
免疫調節剤との併用で投与しうる、従来の非特異的免疫抑制剤には、限定はしないが、ステロイド類、シクロスポリン、シクロスポリンアナログ、シクロホスファミド、シクロホスファミドIV、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、アザチオプリン、FK−506、15−デオキシスペルグアリン、および応答T細胞の機能を抑制することによって作用する他の免疫抑制剤が含まれる。免疫調節剤との併用で投与しうる他の免疫抑制剤には、限定はしないが、プレドニゾロン、メトトレキサート、サリドマイド、メトキサレン、ラパマイシン、レフルノミド、ミゾリビン(BREDININTM)、ブレクイナル、デオキシスペルグアリンおよびおアザスピラン(SKF105685)が含まれる。
【0485】
特定の実施形態において、免疫調節剤を、免疫抑制剤との組合せで投与する。免疫調節剤とともに投与しうる免疫抑制調製物には、限定はしないが、ORTHOCLONE OKT(登録商標)3(ムロモナブ−CD3)、SANDIMMUNETM、NEORALTM、SANGDYATM(シクロスポリン)、PROGRAF(登録商標)(FK506、タクロリムス)、CELLCEPT(登録商標)(ミコフェノレート モテフィル、活性代謝物がミコフェノール酸)、IMURANTM(アザチオプリン)、グルコルチコステロイド、DELTASONETM(プレドニゾン)およびHYDELTRASOLTM(プレドニゾロン)のようなアドレノコルチコールステロイド、FOLEXTMおよびMEXATETM(メトトレキサート)、OXSORALEN−ULTRATM(メトキサレン)およびRAPAMUNETM(シロリムス)が含まれる。特定の実施形態において、免疫抑制剤を、器官または骨髄移植の拒絶を予防するために使用してよい。
【0486】
別の実施形態において、免疫調節剤を、ステロイド治療との組合せで投与する。免疫調節剤との併用で投与しうるステロイド類には、限定はしないが、経口コルチコステロイド類、プレドニゾンおよびメチルプレドニゾロン(たとえばIVメチルプレドニゾロン)が含まれる。特定の実施形態において、免疫調節剤を、プレドニゾンとの併用で投与する。さらなる特定の実施形態において、免疫調節剤を、プレドニゾンおよび免疫抑制剤との併用で投与する。免疫調節剤およびプレドニゾンと投与しうる免疫抑制剤は、本明細書で記述したようなものであり、限定はしないが、アザチオプリン、シクロホスファミドおよびシクロホスファミドIVが含まれる。他の特定の実施形態において、免疫調節剤を、メチルプレドニゾロンとの組合せで投与する。さらに特定の実施形態において、免疫調節剤を、メチルプレドニゾロンおよび免疫抑制剤との併用で投与する。免疫調節剤およびメチルプレドニゾロンとの併用で投与しうる免疫抑制剤は、本明細書で記述したものであり、限定はしないが、アザチオプリン、シクロホスファミドおよびシクロホスファミドIVが含まれる。
【0487】
好ましい実施形態において、免疫調節剤を、抗マラリア剤との併用で投与する。免疫調節剤と投与しうる抗マラリア剤には、限定はしないが、ヒドロキシクロクイン(たとえばPLAQUENILTM)、クロロクインおよび/またはクイナクリンが含まれる。
【0488】
好ましい実施形態において、免疫調節剤を、NSAIDとの併用で投与する。
【0489】
包括的実施形態において、免疫調節剤を、1、2、3、4、5、または10以上の下記の薬物との併用で投与する。NRD−101(Hoechst Marion Roussel)、ジクロフェナク(Dimethaid)、オキサプロジンカリウム(Monsanto)、メカセルミン(Chiron)、T−614(Toyama)、ペメトレキセド二ナトリウム(Eli Lilly)、アトレレウトン(Abbott)、バルデコキシブ(Monsanto)、エルテナク(Byk Gulden)、カンパス、AGM−1470(Takeda)、CDP−571(Celltech Chiroscience)、CM−101(CarboMed)、ML−3000(Merckle)、CXB−2431(KS Biomedix)、CBF−BS2(KS Biomedix)、IL−1Ra遺伝子治療(Valentis)、JTE−522(Japan Tobacco)、パクリタキセル(Angiotech)、DW−166HC(Dong Wha)、ダルブフェロン メシレート(Warner−Lambert)、可溶性TNFレセプター1(synergen、Amgen)、IPR−6001(Institute for Pharmaceutical Research)、トロカード(Hoffman−La Roche)、EF−5(Scotia Pharmaceuticals)、BIIL−284(Boehringer Ingelheim)、BIIF−1149(Boehringer Ingelheim)、LeukoVax(Inflammatics)、MK−663(Merck)、ST−1482(Sigma−Tau)、およびブチキソコートプロピオネート(Warner−Lambert)。
【0490】
1つの実施形態において、免疫調節剤を、1つ以上の下記の薬物との併用で投与する。Infliximab(またRemicadeTM、Centocor,Inc.としても知られている)、Trocade(Roche、RO−32−3555)、Leflunomide(またHoechst Marion RousselからのAravaTMとしても知られている)、KineretTM(Amgen Inc.からのAnakinraとしても知られているIL−1レセプターアンタゴニスト)、SCIO−469(Scios,Inc.からのp38キナーゼ阻害剤)、Humira(登録商標)(Abbott Laboratoriesからのアダリムマブ、および/またはGenelabs Technologies Inc.からのASLERATM(プラステロン、デヒドロエピアンドロステロン、GL701)。
【0491】
別の実施形態において、免疫調節剤を、1、2、3、4、または5以上の下記の薬物との併用で投与する。メトトレキサート、スルファサラジン、アウロチオマレイン酸ナトリウム、アウラノフィン、シクロスポリン、ペニシラミン、アザチオプリン、(たとえば本明細書で記述したような)抗マラリア薬、シクロホスファミド、クロラムブシル、金、ENBRELTM(エタネルセプト)、抗−TNF抗体、LJP394(La Jolla Pharmaceutical Company、San Diego,California)およびプレドニゾロン。
【0492】
別の実施形態において、免疫調節剤を、抗マラリア薬、メトトレキサート、抗−TNF抗体、ENBRELTMおよび/またはスルフラサラジンとの併用で投与する。1つの実施形態において、免疫調節剤を、メトトレキサートとの併用で投与する。別の実施形態において、免疫調節剤を、抗−TNF抗体との組合せで併用する。別の実施形態において、免疫調節剤を、メトトレキサートおよび抗−TNF抗体との併用で投与する。別の実施形態において、免疫調節剤を、スルフラサラジンとの併用で投与する。別の特定の実施形態において、免疫調節剤を、メトトレキサート、抗TNF抗体およびスルフラサラジンとの併用で投与する。別の実施形態において、免疫調節剤を、ENBRELTMとの組合せで投与する。別の実施形態において、免疫調節剤を、ENBRELTMおよびメトトレキサートとの併用で投与する。別の実施形態において、免疫調節剤を、ENBRELTM、メトトレキサートおよびスルフラサラジンとの併用で投与する。別の実施形態において、免疫調節剤を、ENBRELTMおよびスルフラサラジンとの併用で投与する。他の実施形態において、1つ以上の抗マラリア薬を、上記の組合せの1つと併用する。特定の実施形態において、免疫調節剤を、抗マラリア薬(たとえばヒドロキシクロロキン)、ENBRELTM、メトトレキサートおよびスルフラサラジンとの併用で投与する。別の特定の実施形態において、免疫調節剤を、抗マラリア薬(たとえば、ヒドロキシクロロキン)、スルフラサラジン、抗−TNF抗体およびメトトレキサートとの併用で投与する。
【0493】
さらなる実施形態において、免疫調節剤を、単独で、または1つ以上の静脈免疫グロブリン調製物との併用で投与する。免疫調節剤とともに投与しうる静脈免疫グロブリン調節物には、限定はしないが、GAMMARTM、IVEEGAMTM、SANDOGLOBULINTM、GAMMAGARD S/DTM、およびGAMIMUNETMが含まれる。特定の実施形態において、免疫調節剤は、移植治療(たとえば骨髄移植)における静脈免疫グロブリン調製物との併用で投与する。
【0494】
さらなる実施形態において、免疫調節剤は、単独、または抗炎症剤との併用で投与する。免疫調節剤とともに投与しうる抗炎症剤には、限定はしないが、グルココルチコイド類および非ステロイド性抗炎症剤類、アミノアリールカルボン酸誘導体、アリール酢酸誘導体、アリールブチル酸誘導体、アリールカルボン酸類、アリールプロピオン酸誘導体、ピラゾール類、ピラゾロン類、サリチル酸誘導体類、チアジンカルボキシアミド類、e−アセタミドカプロン酸、S−アデノシルメチオニン、3−アミノ−4−ヒドロキシブチル酸、アミキシトリン、ベンダザック、ベンジダミン、ブコローム、ジフェンピラミド、ジタゾール、エモルファゾン、グアイアズレン、ナブメトン、ニメスリド、オルゴテイン、オキサセプロール、パラニリン、ペリソキサール、ピフォキシム、プロクアゾン、プロキサゾールおよびテニダップが含まれる。
【0495】
特定の実施形態において、免疫調節剤は、単独、または抗CD40抗体との併用で投与する。1つの実施形態において、免疫調節剤と抗CD40抗体の共投与は、慢性関節リウマチの処置のために想定される。1つの実施形態において、抗CD40抗体との免疫調節剤の共投与が、全身性エリテマトーデスの処置のために想定される。
【0496】
特定の実施形態において、免疫調節剤は、単独、または抗IL−15抗体との併用で投与する。1つの実施形態において、免疫調節剤と抗IL−15抗体の共投与は、慢性関節リウマチの処置のために想定される。1つの実施形態において、抗IL−15抗体との免疫調節剤の共投与が、全身性エリテマトーデスの処置のために想定される。
【0497】
特定の実施形態において、免疫調節剤は、単独、またはCTLA4−IgおよびLEA29Yとの併用で投与する。1つの実施形態において、免疫調節剤のCTLA4−IgおよびLEA29Yとの共投与は、慢性関節リウマチの処置のために想定される。1つの実施形態において、免疫調節剤のCTLA4−IgおよびLEA29Yとの共投与は、全身性エリテマトーデスの処置のために想定される。
【0498】
特定の実施形態において、免疫調節剤は、単独、または抗IL−6レセプター抗体との併用で投与する。1つの実施形態において、免疫調節剤の抗IL−6レセプター抗体との共投与は、慢性関節リウマチの処置のために想定される。1つの実施形態において、免疫調節剤の抗IL−6レセプター抗体との共投与は、全身性エリテマトーデスの処置のために想定される。
【0499】
特定の実施形態において、免疫調節剤は、単独、または抗C5(補体成分)抗体との併用で投与する。1つの実施形態において、免疫調節剤の抗C5抗体との共投与は、慢性関節リウマチの処置のために想定される。1つの実施形態において、免疫調節剤の抗C5抗体との共投与は、全身性エリテマトーデスの処置のために想定される。
【0500】
特定の実施形態において、免疫調節剤は、単独、または補体カスケード阻害剤との併用で投与する。補体カスケード阻害剤には、限定はしないが、抗プロペルジン抗体(Gliatech、TP−10、組換え体可溶性I型補体レセプター(AVANT Immunotheragenetics Inc.、Pexelizmab、補体C5阻害剤(Alexion Pharmaceuticals Inc.)、および5G1.1、すなわちその炎症性成分中への補体成分C5の切断を予防するモノクローナル抗体が含まれる。1つの実施形態において、免疫調節剤の補体カスケード阻害剤との共投与は、炎症、慢性関節リウマチおよび/または全身性エリテマトーデスの処置のために想定される。
【0501】
別の実施形態において、免疫調節剤は、化学療法剤との併用で投与する。免疫調節剤とともに投与しうる化学療法剤には、限定はしないが、抗生物質誘導体(たとえばドキソルビシン、ブレオマイシン、ダウノルビシンおよびダクチノマイシン)、抗エストロゲン類(たとえばタモキシフェン)、抗代謝拮抗剤類(たとえばフルオロウラシル、5−FU、メトトレキサート、フロキシウリジン、インターフェロンアルファ−2b、グルタミン酸、プリカマイシン、メルカプトプリンおよび6−チオグアニン)、細胞傷害剤類(たとえばカルムスチン、BCNU、ロムスチン、CCNU、シトシンアラビノシド、シクロホスファミド、エストラムスチン、ヒドロキシウレア、プロカルバジン、マイトマイシン、ブスルファン、シスプラチンおよび硫酸ビンクリスチン)、ホルモン類(たとえばメドロキシプロゲステロン、エストラムスチンリン酸ナトリウム、エチニルエストラジオール、エストラジオール、酢酸メゲストロール、メチルテストステロン、ジエチルスチルベストロール二リン酸、クロロトリアニセン、およびテストラクトン)、ステロイド類および組合せ(たとえば、ベサメサゾンリン酸ナトリウム)および他のもの(たとえばジカルバジン、アスパラギナーゼ、ミトタン、ビンクリスチンスルフェート、ビンブラスチンスルフェートおよびエトポシド)が含まれる。
【0502】
特定の実施形態において、免疫調節剤は、CHOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンおよびプレドニゾン)との併用で、または1つ以上のCHOPの成分との併用で投与する。1つの実施形態において、免疫調節剤は、ヒトモノクローナル抗CD20抗体のような、抗CD20抗体との併用で投与する。別の実施形態において、免疫調節剤は、抗CD20とCHOP、または抗CD20抗体と任意の組合せの1つ以上のCHOPの成分、とりわけシクロホスファミドおよび/またはプレドニゾンとの併用で投与する。特定の実施形態において、免疫調節剤は、Rituximabとの併用で投与する。さらなる実施形態において、免疫調節剤は、RituximabとCHOP、またはRituximabと1つ以上のCHOPの成分の任意の組合せ、とりわけシクロホスファミドおよび/またはプレドニゾンとの併用で投与する。特定の実施形態において、免疫調節剤は、トシツモマブ(Coulter Pharmaceuticals、San Francisco,CAからの抗CD20抗体)との併用で投与する。さらなる実施形態において、免疫調節剤を、トシツモマブとCHOP、またはトシツモマブと1つまたはそれ以上のCHOPの成分の任意の組合せ、とりわけシクロホスファミドおよび/またはプレドニゾンとの併用で投与する。トシツモマブは任意に131Iに結合してよい。抗CD20抗体は任意に、放射性同位体、毒素または細胞傷害性プロドラッグと結合してよい。
【0503】
他の特定の実施形態において、免疫調節剤は、ZevalinTMとの併用で投与する。さらなる実施形態において、免疫調節剤は、ZevalinTMとCHOP、またはZevalinTMと1つ以上のCHOPの成分の任意の組合せ、とりわけシクロホスファミドおよび/またはプレドニゾンとの併用で投与する。ZevalinTMは、1つ以上の放射性同位体に結合してよい。とりわけ好ましい同位体は、90Yおよび111Inである。
【0504】
さらなる実施形態において、免疫調節剤を、Rituximab(RituxanTM)および/またはIbritumomab Tiuxetan(ZevalinTM、たとえば(In−111)Ibritumomab Tiuxetanまたは(Y−90)Ibritumomab Tiuxetan)との併用で投与する。特定の実施形態において、免疫調節剤は、非ホジキンスリンパ腫の処置のために、Rituximabおよび/またはIbritumomab Tiuxetanとの併用で投与する。
【0505】
特定の実施形態において、免疫調節剤は、疾患フレアに続く、たとえば狼瘡フレアの後の、抗CD20投与で補う慢性処置として投与する。
【0506】
さらなる実施形態において、免疫調節剤を、イマチニブメシレート(Gleevec(登録商標):4−[(4−メチル−1−ピペラジン)メチル]−N−[4−メチル−3−[[4−(3−ピリジニル)−2−ピリミジニル]アミノ]−フェニル]ベンズアミド メタンスルホネート)との併用で投与する。
【0507】
さらなる実施形態において、免疫調節剤を、ボルテゾミブ(VelcadeTM [(1R)−3−メチル−1−[[(2S)−1−オキソ−3−フェニル−2−[(ピラジニルカルボニル)アミノ]プロピル]アミノ]ブチル]ボロン酸)との併用で投与する。
【0508】
さらなる実施形態において、免疫調節剤を、Alemtuzumab(Campath(登録商標)との併用で投与する。
【0509】
さらなる実施形態において、免疫調節剤を、リン酸フルダラビン(Fludara(登録商標):9H−プリン−6−アミン、2−フルオロ−9−(5−O−ホスホノ−β−D−アラビノフラノシル)(2−フロロ−アラ−AMP))との併用で投与する。
【0510】
免疫調節剤を、限定はしないが、アルキル化剤、アントラサイクリン、カルムスチン(DTI−015、BCNU、BiCNU、Gliadel Wafer(登録商標))、シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標)、Neosar(登録商標)、CTX)、デキサメタゾン(Decadron(登録商標))、ドキソルビシン(Adriamycin(登録商標)、Doxil(登録商標)、Rubex(登録商標))、メルファラン(L−PAM、Alkeran(登録商標)、フェニルアラニンマスタード)、プレドニゾン、サリドマイドおよびビンクリスチン(Oncovorin(登録商標)、Onco TCS(登録商標)、Leurocristine(登録商標))を含む、多発性骨髄腫の処置にて有用な1つまたはそれ以上の治療剤との併用で投与する。
【0511】
免疫調節剤との併用で投与しうる、多発性骨髄腫の処置において有用な治療的剤の好ましい組合せには、限定はしないが、シクロホスファミド+プレドニゾン、メルファラン+プレドニゾン(MP)、ビンクリスチン+Adriamycin(登録商標)+デキサメタゾン(VCD)、ビンクリスチン+メルファラン+シクロホスファミド+プレドニゾン、あるいはビンクリスチン+カルムスチン+ドキソルビシン+プレドニゾン(VMCP/VBAP)が含まれる。
【0512】
免疫調節剤を、限定はしないが、2−クロロデオキシアデノシン、アミホスチン(Ethyol(登録商標)、Ethiofos(登録商標)、WE−272)、ベキサロテン(Targretin(登録商標)、Targretinゲル(登録商標)、Targretin経口(登録商標)、LGD1069)、ブレオマイシン(Bleoxane(登録商標))、ブスルファン(Busulfex(登録商標)、Myleran(登録商標))、カルボプラチン(Paraplatin(登録商標)、CBDCA)、カルムスチン(DTI−015、BCNU、BiCNU、Gliadel Wafer(登録商標))、クロラムブシル(Leukeran(登録商標))、シスプラチン(Platinol(登録商標)、CDDP)、クラドリビン(2−CdA、Leustatin(登録商標))、シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標)、Neosar(登録商標)、CTX)、シタラビン(Cytosar−U(登録商標)、ara−C、シトシン アラビノシド(DepoCyt(登録商標)、ダカルバジン(DTIC)、ダウノルビシン(ダウノマイシン、DaunoXome(登録商標)、Daunorubicin(登録商標)、Cerubidime(登録商標))、デニロイキン ジフィトックス(Ontak(登録商標))、デキサメタゾン(Decadron(登録商標))、ドラセトロンメシレート(Anzemet(登録商標))、ドキソルビシン(Adriamycin(登録商標)、Doxil(登録商標)、Rubex(登録商標))、エリスロポエチン(EPO(登録商標)、Epogen(登録商標)、Procrit(登録商標))、リン酸エトポシド(Etopophos(登録商標))、エトポシド(VP−16、Cepesid(登録商標))、フルダラビン(Fludara(登録商標)、FAMP)、グラニセトロン(Kytril(登録商標))、ヒドロコルチゾン、イダルビシン(Idamycin(登録商標)、DMDR、IDA)、イホスファミド(IFEX(登録商標))、インターフェロンアルファ(Alfaferone(登録商標)、Alpha−IF(登録商標))、インターフェロンアルファ2a(Intron A(登録商標))、メクロロエタミン(窒素マスタード、HN、Mustargen(登録商標))、メルファラン(L−PAM、Alkeran(登録商標)、フェニルアラニン マスタード)、メトトレキサート(登録商標)(MTX、Mexate(登録商標)、Folex(登録商標))、メチルプレドニゾロン(Solumedrol(登録商標))、ミトキサトロン(Novantrone(登録商標)、DHAD)、オンダンセトロン(Zefran(登録商標))、ペントスタチン(Nipent(登録商標)、2−デオキシコホルマイシン)、ペルホスファミド(4−ヒドロペルオキシシクロホスファミド、4−HC)、プレドニゾン、プロカルバジン(Matulane(登録商標))、Rituximab(登録商標)(Rituxan(登録商標)、抗−CD20 MAb)、チオテパ(トリエチレンチオホスファオラミド、Thioplex(登録商標))、トポテカン(Hycamtin(登録商標)、SK&F−104864、NSC−609699、Ecotopin(登録商標))、ビンブラスチン(Velban(登録商標)、VLB)、ビンクリスチン(Oncovin(登録商標)、Onco TCS(登録商標)、VCR、Leurocristine(登録商標))、およびビンデシン(Eldisine(登録商標)、Filodesin(登録商標))を含む、非ホジキンスリンパ腫の処置にて有用な1つまたはそれ以上の治療剤との併用で投与してよい。
【0513】
免疫調節剤との併用で投与しうる、非ホジキンスリンパ腫の処置にて有用である治療剤の好ましい組合せには、限定はしないが、Adriamycin(登録商標)+ブレノキサン+ビンブラスチン+ダカルバジン(ABDV)、抗イデオタイプ治療(BsAb)+インターフェロンアルファ、抗イデオタイプ治療(BsAb)+クロラムブシル、抗イデオタイプ治療(BsAb)+インターロイキン−2、BCNU(カルムスチン)+エトポシド+Ara−C(シタラビン)+メルファレン(BEAM)、ブレオマイシン+エトポシド+アドリアマイシン+シクロホスファミド+ビンクリスチン+プロカルバジン+プレドニゾン(BEACOPP)、ブリオスタチン+ビンクリスチン、シクロホスファミド+BCNU(カルムスチン)+VP−16(エトポシド)(CBV)、シクロホスファミド+ビンクリスチン+プレドニゾン(CVP)、シクロホスファミド+Adriamycin(登録商標)(ヒドロキシダウノマイシン)+ビンクリスチン(オンコボリン)+プレドニゾン(CHOP)、シクロホスファミド+Novantrone(登録商標)(ミトキサントロン)+ビンクリスチン(オンコボリン)+プレドニゾン(CNOP)、シクロホスファミド+ドキソルビシン+テニポシド+プレドニゾン、シクロホスファミド+Adriamycin(登録商標(ヒドロキシルダウノマイシン)、ビンクリスチン(オンコボリン)+プレドニゾン+リツキシマブ(CHOP+リツキシマブ)、シクロホスファミド+ドキソルビシン+テニポシド+プレドニゾン+インターフェロンアルファ、シタラビン+ブレオマイシン+ビンクリスチン+メトトレキサート(CytraBOM)、デキサメタゾン+シタラビン+シスプラチン(DHAP)、デキサメタゾン+イソスファミド+シスプラチン+エトポシド(DICE)、ドキソルビシン+ビンブラスチン+メクロルエタミン+ビンクリスチン+ブレオマイシン+エトポシド+プレドニゾン(Stanford V)、エトポシド+Lビンブラスチン+アドリアマイシン(EVA)、エトポシド+メチルプレドニゾロン+シタラビン+シスプラチン(ESHAP)、エトポシド+プレドニゾン+イソスファミド+シスプラチン(EPIC)、フルダラビン、ミトキサトロン+デキサメタゾン(FMD)、フルダラビン、デキサメタゾン、シタラビン(ara−C)、+シスプラチン(Platinol(登録商標))(FluDAP)、イソスファミド+シスプラチン+エトポシド(ICE)、メクロルエタミン+Oncovin(登録商標)(ビンクリスチン)+プロカルバジン+プレドニゾン(MOPP)、メスナ+イソスファミド+イダルビシン+エトポシド(MIZE)、ロウコボリンレスキューと一緒のメトトレキサート+ブレオマイシン+アドリアマイシン+シクロホスファミド+オンコボリン+デキサメタゾン(m−BACOD)、プレドニゾン+メトトレキサート+アドリアマイシン+シクロホスファミド+エトポシド(ProMACE)、チオテパ+ブスルファン+シクロホスファミド、チオテパ+ブスルファン+メルファラン、トポテカン+パクリタキセル、およびビンクリスチン(Oncovin(登録商標))+Adriamycin(登録商標)+デキサメタゾン(VAD)が含まれる。
【0514】
免疫調節剤との併用で投与しうる、非ホジキンスリンパ腫の処置にて有用な治療剤のさらなる例には、限定はしないが、A007(4−4’−ジヒドロキシベンゾフェノン−2,4−ジニトロフェニルヒドラゾン)、AG−2034(AG−2024、AG−2032,GARFT[グリシンアミド リボヌクレオシド トランスホルミラーゼ]阻害剤)、アルデスロイキン(IL−2、Proleukin(登録商標))、アレムツズマブ(Campath(登録商標))、アリトレチノイン(Panretin(登録商標)、LGN−1057)、アルトレタミン(Hexalen(登録商標)、ヘキサメチルメラミン、Hexastat(登録商標))、アミノカンプトテシン(9−AC、9−アミノカンプトテシン、NSC603071)、抗CD19/CD3 MAb(抗CD19/CD3 scFv、抗NHL MAb)、抗−イデオタイプ治療(BsAb)、アラビノシルグアニン(Ara−G、GW506U78)、三酸化ヒ素(Trisenox(登録商標)、ATO)、B43−ゲニステイン(抗CD19 Ab/ゲニステイン共役物)、B7抗体共役物、ベタシン(Beta−LT)、BLysアンタゴニスト、ブリオスタチン−1(Bryostatin(登録商標)、BMY−45618、NSC−339555)、CHML(細胞親和性非均質分子脂質)、クロファラビン(クロロフルオロ−araA)、ダクリズマブ(Zenapax(登録商標))、デプシペプチド(FR901228、FK228)、ドラスタチン10(DOLA−10、NSC−376128)、エピルビシン(Ellence(登録商標)、EPI、4’エピドキソルビシン)、エプラツズマブ(Lymphocide(登録商標)、ヒト化抗CD22、HAT)、Fly3/flk2リガンド(Mobista(登録商標))、G3139(Genasense(登録商標)、GentaAnticode(登録商標)、Bcl−2アンチセンス)、Hu1D10(抗HLA−DR MAb、SMART 1D10)、HumaLYM(抗CD20 MAb)、イブリツモマブ チウキセタン(Zevalin(登録商標))、インターフェロンガンマ(ガンマ−インターフェロン、Gamma 100(登録商標)、Gamma−IF)、イリノテカン(Camptosar(登録商標)、CPT−11、Topotecin(登録商標)、CaptoCPT−1)、ISIS−2053、ISIS−3521(PKC−アルファアンチセンス)、Lmb−2イムノトキシン(抗CD25組換え免疫毒素、抗Tac(Fv)−PE38)、Leuvectin(登録商標)(シトフェクチン+IL−2遺伝子、IL−2遺伝子治療)、Lym−1(131−LLYM−1)、リンパ腫ワクチン(Genitope)、ネララビン(化合物506、U78)、ニュージーン化合物(Oncomyc−NG(登録商標)、Resten−NG(登録商標)、mycアンチセンス)、NovoMAb−G2 scFv(NovoMAn−G2 IgM)、O6−ベンジルグアニン(BG、Procept(登録商標))、オキサリプラチン(Eloxatine(登録商標)、Eloxatin(登録商標))、パクリタキセル(Paxene(登録商標)、Taxol(登録商標)、パクリタキセルDHA(Taxoprexin(登録商標))、ペルデジン(BCX−34、PNP阻害剤)、レベッカマイシンおよびレベッカマイシンアナログ、SCH−66336、ソブゾキサン(MST−16、Perazolin(登録商標))、SU5416(Semaxanib(登録商標)、VEGF阻害剤)、TER−286、サリドマイド、TNP−470(AGM−1470)、トシツモマブ(Bexxar(登録商標))、バルスポダル(PSC833)、バキシド(B細胞リンパ腫DNAワクチン)、ビノレルビン(Navelbine(登録商標))、WF10(マクロファージ調節物)およびXR−9576(XR−9351、P糖タンパク質/MDR阻害剤)が含まれる。
【0515】
免疫調節剤は、限定はしないが、アムサクリン、カルボプラチン(Paraplatin(登録商標)、CBDCA)、カルムスチン(DTI−015、BCNU、BiCNU、Gliadel Wafer(登録商標))、コレカリフェロール、シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標)、Neosar(登録商標)、CTX)、シタラビン(Cytosar−U(登録商標)、ara−C、シトシン アラビノシド、DrpoCyt(登録商標))、ダウノルビシン(ダウノマイシン、DaunoXome(登録商標)、Daunorubicin(登録商標)、Cerubidine(登録商標))、デキサメタゾン(Decadron(登録商標))、ドキソルビシン(Adriamycin(登録商標)、Doxil(登録商標)、Rubex(登録商標))、エトポシド(VP−16、Vepesid(登録商標))、Filgrastam(登録商標)(Neupogen(登録商標)、G−CSF、Leukine(登録商標))、フルダラビン(Fludara(登録商標)、FAMP)、イダルビシン(Idamycin(登録商標)、DMDR、IDA)、イホスファミド(IFEX(登録商標))、イマチニブメシレート(STI−571、Imatinib(登録商標)、Glivec(登録商標)、Gleevec(登録商標)、Ab1チロシンキナーゼ阻害剤)、インターフェロンガンマ(ガンマ−インターフェロン、Gamma100(登録商標)、Gamma−IF)、L−アスパラギナーゼ(Elspar(登録商標)、Crastinin(登録商標)、Asparaginase medac(登録商標)、Kidrolase(登録商標))、メルカプトプリン(6−メルカプトプリン、6−MP)、Methotrexate(登録商標)(MTX、Mexate(登録商標)、Folex(登録商標))、ミトキサントロン(Novantrone(登録商標)、DHAD)、Pegaspargase(登録商標)(Oncospar(登録商標))、プレドニゾン、レチノイン酸、テニポシド(VM−26、Vumon(登録商標))、チオグアニン(6−チオグアニン、6−TG)、トポテカン(Hycamtin(登録商標)、SK&F−104864、NSC−609699、Evotopin(登録商標))、トレチノイン(Retin−A(登録商標)、Atragen(登録商標)、ATRA、Vesanoid(登録商標))およびビンクリスチン(Oncovorin(登録商標)、Onco TCS(登録商標)、VCR、Leurocristine(登録商標))を含む、急性リンパ性白血病の処置のために有用である1つまたはそれ以上の治療剤との併用で投与してよい。
【0516】
免疫調節剤との併用で投与してよい、急性リンパ性白血病の処置にて有用な治療的剤のさらなる例には、限定はしないが、アミノカンプトテシン(9−AC、9−アミノカンプトテシン、NSC 603071)、アミノプテリン、アンナマイシン(AR−522、アンナマイシンLF、Aronex(登録商標))、アラビノシルグアニン(Ara−G、GW506U78、Nelzarabine(登録商標))、三酸化ヒ素(Trisenox(登録商標)、ATO、Atrivex(登録商標))、B43ゲニステイン(抗CD19 Ab/ゲニステイン共役物)、B43−PAP(抗CD19 Ab/ポークイド抗ウイルスタンパク質共役物)、コルジセピン、CS−682、デシタビン(5−アザ−2’−デオキシチジン)、ドラスタチン10(DOLA−10、NSC−376128)、G3139(Genasense(登録商標)、GentaAnticode(登録商標)、Bcl−2アンチセンス)、イロフルベン(MGI−114、イボフルバン、アシルフルベンアナログ)、MS−209、フェニルブチレート、キニン、TNP−470(AGM−1470、フマジリン)、トリメトレキサート(Neutrexin(登録商標))、トロキサシタビン(BCH−204、BCH−4556、Troxatyl(登録商標))、UCN−01(7−ヒドロキシスタウロスポリン)、WHI−P131およびWT1ワクチンが含まれる。
【0517】
免疫調節剤との併用で投与しうる急性リンパ性白血病の処置にて有用な治療的剤の好ましい組合せには、限定はしないが、カルボプラチン+ミトキサトロン、カルムスチン+シクロホスファミド+エトポシド、シタラビン+ダウノルビシン、シタラビン+ドキソルビシン、シタラビン+イダルビシン、シタラビン+インターフェロンガンマ、シタラビン+L−アスパラゲナーゼ、シタラビン+ミトキサントロン、シタラビン+フルダラビンおよびミトキサントロン、エトポシド+シタラビン、エトポシド+イホスファミド、エトポシド+ミトキサントロン、イホスファミド+エトポシド+ミトキサントロン、イホスファミド+テニポシド、メトトレキサート+メルカプトプリン、メトトレキサート+メルカプトプリン+ビンクリスチン+プレドニゾン、フェニルブチレート+シタラビン、フェニルブチレート+エトポシド、フェニルブチレート+トポテカン、フェニルブチレート+トレチノイン、キニン+ドキソルビシン、キニン+ミトキサトロン+シタラビン、チオグアニン+シタラビン+アムサクリン、チオグアニン+エトポシド+イダルビシン、チオグアニン+レチノイン酸+クロレカリフェロール、ビンクリスチン+プレドニゾン、ビンクリスチン+プレドニゾンおよびL−アスパラギナーゼ、ビンクリスチン+デキサメタゾン/プレドニゾン+アスパラギナーゼ+ダウノルビシン/ドキソルビシン、ビンクリスチン+デキサメタゾン/プレドニゾン+アスパラギナーゼ+ダウノルビシン/ドキソルビシン+フィルグラスチム、ビンクリスチン+デキサメタゾン/プレドニゾン+アスパラギナーゼ+ダウノルビシン/ドキソルビシン+シクロホスファミド+メトトレキサート、およびビンクリスチン+デキサメタゾン/プレドニゾン+アスパラギナーゼ+ダウノルビシン/ドキソルビシン+シクロホスファミド+メトトレキサート+フィルグラスチムが含まれる。
【0518】
免疫調節剤は、限定はしないが、クロラムブシル(Leukeran(登録商標))、クラドリビン(2−CdA、Leustatin(登録商標))、シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標)、Neosar(登録商標)、CTX)、シタラビン(Cytosar−U(登録商標)、ara−C、シトシン アラビノシド、DepoCyt(登録商標)、シタラビン オクホスフェート、ara−CMP)、ドキソルビシン(Adriamycin(登録商標)、Doxil(登録商標)、Rubex(登録商標))、フルダラビン(Fludara(登録商標)、FAMP)、ペントスタチン(Nipent(登録商標)、2−デオキシコホルマイシン)、プレドニゾンおよびビンクリスチン(Oncovorin(登録商標)、Onco TCS(登録商標)、VCR、Leurocristine(登録商標))を含む、慢性リンパ性白血病の処置にて有用な1つまたはそれ以上の治療的剤との併用で投与してよい。
【0519】
免疫調節剤との併用で投与しうる、慢性リンパ性白血病の処置にて有用な治療的剤のさらなる例には、限定はしないが、アレムツズマブ(Campath(登録商標))、アミノカンプトテシン(9−AC、9−アミノカンプトテシン、NSC603071)、アミノプテリン、アンナマイシン(AR−522、アンナマイシンLF、Aronex(登録商標))、アラビノシルグアニン(Ara−C、GW506U78、Nelzarabine(登録商標)、化合物506U78)、アルセニントリオキシド(Trisenox(登録商標)、ATO、Atrivex(登録商標))、ブリオスタチン−1(Bryostatin(登録商標)、BMY−45618、NSC−339555)、CS−682、ドラスタチン−10(DOLA−10、NSC−376128)、フィルグラスチム(Neupogen(登録商標)、G−CSF、Leukine)、フラボピリドール(NSC−649890、HMR−1275)、G3139(Genasense(登録商標)、GentaAnticode(登録商標)、Bcl−2アンチセンス)、イロフルベン(MGI−114、イボフルバン、アシルフルベンアナログ)、MS−209、フェニルブチレート、Rituximab(登録商標)(Rituxan(登録商標)、抗CD20 MAb)、サリドマイド、セオフィリン、TNP−470(AGM−1470、フマギリン)、UCN−01(7−ヒドロキシスタウロスポリン)およびWHI−P131が含まれる。
【0520】
免疫調節剤との併用で投与しうる慢性リンパ性白血病の処置にて有用な治療的剤の好ましい組合せには、限定はしないが、フルダラビン+プレドニゾン、およびシクロホスファミド+ドキソルビシン+ビンクリスチン+プレドニゾン(CHOP)が含まれる。
【0521】
さらなる実施形態において、免疫調節剤を、サイトカインとの併用にて投与する。免疫調節剤と投与しうるサイトカインには、限定はしないが、GM−CSF、G−CSF、IL2、IL3、IL4、IL5、IL6、IL7、IL10、IL12、IL13、IL15、抗−CD40、CD40L、IFN−アルファ、IFN−β、IFN−ガンマ、TNF−アルファおよびTNF−ベータが含まれる。別の実施形態において、免疫調節剤を、限定はしないが、IL−1アルファ、IL−1ベータ、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、IL−13、IL−14、IL−15、IL−16、IL−17、IL−18、IL−19、IL−20、IL−21およびIL−22を含む、任意のインターロイキンとともに投与してよい。好ましい実施形態において、免疫調節剤を、IL4およびIL10との併用で投与する。IL4およびIL10両方が、ニュートロカイン−アルファ仲介B細胞増殖を増強することが、本発明者らによって観察された。
【0522】
インビトロで、IFNガンマおよびIL−10がそれぞれ、単球およびマクロファージ(マクロファージは、初代単球を、20mg/mLのM−CSFとともに12〜15日間培養することによって得た)において、ニュートロカイン−アルファの細胞表面発現を増強することが本発明者によって観察された一方で、IL−4処置は、単球およびマクロファージにおいてニュートロカイン−アルファの細胞表面発現を減少させた。IL−10とともに投与したIL−4によって、ニュートロカイン−アルファのIL−10誘導細胞表面発現の完全な阻害となった。IFN−ガンマと投与したIL−4によって、ニュートロカイン−アルファの細胞表面発現の増加となった。IFN−ガンマおよびIL−10でのマクロファージの処置によって、未処理マクロファージと比べて、培養培地中に放出された可溶性(活性)ニュートロカイン−アルファが3倍増加した。
【0523】
さらなる実施形態において、免疫調節剤を、ケモカインとともに投与する。別の実施形態において、免疫調節剤を、ケモカインベータ−8、ケモカインベータ−1、および/またはマクロファージ炎症タンパク質−4とともに投与する。好ましい実施形態において、免疫調節剤を、ケモカインベータ−8とともに投与する。
【0524】
さらなる実施形態において、免疫調節剤を、IL−4アンタゴニストとの併用で投与する。免疫調節剤と一緒に投与しうるIL−4アンタゴニストには、限定はしないが、可溶性IL−4レセプターポリペプチド、可溶性IL−4レセプターポリペプチドの多様な形態、IL−4によって誘導された生物学的シグナルを変換することなしに、IL−4レセプターに結合する抗−IL−4レセプター抗体、IL−4の1つ以上のIL−4レセプターへの結合をブロックする抗−IL4抗体、およびIL−4レセプターに結合するが、IL−4によって誘導された生物学的シグナルを変換しないIL−4の変異タンパク質が含まれる。好ましくは、本方法にしたがって使用する抗体は、(たとえば本明細書にて記述したもののような、抗体断片を含む)モノクローナル抗体である。
【0525】
さらなる実施形態において、免疫調節剤を、造血増殖係数との併用で投与する。免疫調節剤とともに投与しうる造血増殖因子には、限定はしないが、LEUKINETM(SARGRAMOSTIMTM)およびNEUPOGENTM(FILGRASTIMTM)が含まれる。
【0526】
さらなる実施形態において、免疫調節剤を、繊維芽細胞増殖因子との併用で投与する。免疫調節剤とともに投与しうる繊維芽細胞増殖因子には、限定はしないが、FGF−1、FGF−2、FGF−3、FGF−4、FGF−5、FGF−6、FGF−7、FGF−8、FGF−9、FGF−10、FGF−11、FGF−12、FGF−13、FGF−14およびFGF−15が含まれる。
【0527】
さらなる実施形態において、免疫調節剤は、降圧剤との併用で投与する。免疫調節剤とともに投与しうる降圧剤には、限定はしないが、ニフェジピン(ADALATTM、PROCARDIATM)のようなカルシウムチャネルブロッキング剤、ヒドララジン(APRESOLINETM)のような末梢血管拡張剤、プロパノロール(INDERALTM)のようなベータアドレナリン作用ブロッキング剤、ラベトロール(NORMODYNETM、TRANDATETM)のようなアルファ/ベータアドレナリン作用ブロッカー、カプトプリル(CAPOTENTM)のようなアンジオテンシンIIの産生を抑制する剤、ロサルタン(COZAARTM)のようなアンジオテンシンIIの活性を直接阻害する剤、およびヒドロクロロチアジド(HYDRODIURILTM、ESIDREXTM)のようなチアジド利尿薬が含まれる。
【0528】
免疫調節剤は、単独、または他のアジュバントとの併用で投与してよい。免疫調節剤とともに投与しうるアジュバントには、限定はしないが、アルム、アルム+デオキシコレート(ImmunoAg)、MTP−PE(Biocine Corp.)、QS21(Genentech,Inc)、BCG、およびMPLが含まれる。特定の実施形態において、免疫調節剤は、アルムとの併用で投与する。他の特定の実施形態において、免疫調節剤は、QS−21との併用で投与する。免疫調節剤とともに投与しうるさらなるアジュバントには、限定はしないが、モノホスホリル脂質免疫調整剤、AdjuVax 100a、QS−21、QS−18、CRL1005、アルミニウム塩、MF−59およびVirosomalアジュバント技術が含まれる。免疫調節剤とともに投与しうるワクチンには、限定はしないが、MMR(はしか、流行性耳下腺炎、風疹)、ポリオ、水痘、破傷風/ジフテリア、A型肝炎、B型肝炎、B型インフルエンザ、百日咳、肺炎、インフルエンザ、ライム病、ロタウイルス、コレラ、黄色熱、日本脳炎、急性灰白髄炎、狂犬病、腸チフスおよび百日咳に対する保護に指向するワクチン、および/またはPNEUMOVAX−23TMが含まれる。他の特定の実施形態において、免疫調節剤は、PNEUMOVAX−23TMとともに使用する。
【0529】
1つの実施形態において、免疫調節剤を、TNFファミリーの他のメンバーとの併用で投与する。免疫調節剤とともに投与しうる、TNF、TNF関連、またはTNF様分子には、限定はしないが、TNF−アルファの可溶形態、リンホトキシン−アルファ(LT−アルファ、またTNF−ベータとしても知られる)、(複合体ヘテロトリマーLT−アルファ2−ベータにて見られる)LT−ベータ、OPGL、FasL、CD27L、CD30L、CD40L、4−1BBL、DcR3、OX40L、TNF−ガンマ(国際特許公開第WO96/14328号)、TRAIL/AIM−1(国際特許公開第WO97/33899号)、LIGHT/AIM−II(国際特許公開第WO97/34911号)、APRIL(J.Exp.Med.188(6):1185−1190)、エンドカイン−アルファ(国際特許公開第WO98/07880号)、FASTR/TR6(国際特許公開第WO98/30694号)、オステオプロテグリン(OPG)、およびニュートロカイン−アルファ(国際特許公開第WO98/18921号)、OX40および神経増殖因子(NGF)、およびFas、CD30、CD27、CD40および40IBBの可溶形態、TR2(国際特許公開第WO96/34095号)、DR3(国際特許公開第WO97/33904号)、TRAIL−R1/DR4(国際特許公開第WO98/32856号)、TRAIL−R3、TR5(国際特許公開第WO98/30693号)、TR6(国際特許公開第WO98/30694号)、TRAIL−R2/TR7(国際特許公開第WO98/41629号)、TRANK、TR9(国際特許公開第WO98/56892号)、TRAIL−R4/TR10(国際特許公開第WO98/54202号)、312C2(国際特許公開第WO98/06842号)およびTR12が含まれる。
【0530】
別の実施形態において、免疫調節剤を、1つ以上のニュートロカイン−アルファレセプター(たとえばTACI、BCMAおよびBAFF−R)との併用で投与する。好ましい実施形態において、ニュートロカイン−アルファレセプターは可溶性である。他の好ましい実施形態において、ニュートロカイン−アルファレセプターは、Ian IgG分子のFc領域のような、免疫グロブリン分子のFc領域に融合する。たとえば、TACI(GenBank受託番号AAC51790)のアミノ酸残基1〜154、BCMA(GenBank受託番号NP_001183)のアミノ酸1〜48、またはBAFF−R(GenBank受託番号NP_443177)のアミノ酸1〜81が、IgG分子のFc領域に融合してよく、本技術分野において公知で、および/または本明細書に記述された他の免疫調節剤との併用で使用してよい。別の実施形態において、免疫調節剤との併用で投与しうるBAEE−R−Fcタンパク質は、IgG1免疫グロブリン分子のFc領域に融合した、SEQ ID NO:10のアミノ酸1〜70である。任意に、BAFF−R中のアミノ酸20(バリン)がアスパラギンに置換され、BAFF−R中のアミノ酸27(ロイシン)がプロリンに置換される。
【0531】
好ましい実施形態において、免疫調節剤を、抗CD40L抗体および/または抗CD40抗体との併用で投与する。
【0532】
さらなる実施形態において、免疫調節剤を、単独、または抗血管新生剤(類)との併用で投与する。免疫調節剤とともに投与しうる抗血管新生剤には、限定はしないが、アンジオスタチン(Entremed、Rockville,MD)、トロポニン−1(Boston Life Sciences、Boston,MA)、抗浸潤因子、レチノイン酸およびその誘導体、パクリタキセル(Taxol)、スラミン、メタロプロテイナーゼ−1の組織阻害剤、メタロプロテイナーゼ−2の組織阻害剤、VEGI、プラスミノーゲン活性物阻害剤−1、プラスミノーゲン活性物阻害剤−2、および種々の形態のより軽い「d群」遷移金属が含まれる。
【0533】
より軽い「d群」遷移金属には、たとえば、バナジウム、モリブデン、タングステン、チタン、ニオビウムおよびタンタルム種が含まれる。そのような遷移金属種は、遷移金属錯体を形成しうる。上記遷移金属種の好適な錯体には、オキソ遷移金属錯体が含まれる。
【0534】
バナジウム錯体の代表的な例には、バナジウム酸塩およびバナジル錯体のような、オキソバナジウム錯体が含まれる。好適なバナジウム酸塩錯体には、たとえば、メタバナジウム酸アンモニウム、メタバナジウム酸ナトリウムおよびオルトバナジウム酸ナトリウムのような、メタバナジウム酸塩およびオルトバナジウム酸塩錯体が含まれる。好適なバナジル錯体には、たとえばバナジルアセチルアセトネート、およびバナジル硫酸一水和物および三水和物のようなバナジル硫酸水和物を含むバナジル硫酸塩が含まれる。
【0535】
タングステンおよびモリブデン錯体の代表的な例にはまた、オキソ錯体が含まれる。好適なオキソタングステン錯体には、タングステン酸塩および酸化タングステン錯体が含まれる。好適なタングステン酸錯体には、タングステン酸アンモニウム、タングステン酸カルシウム、タングステン酸ナトリウム二水和物、およびタングステン酸が含まれる。好適な酸化タングステンには、酸化タングステン(IV)および酸化タングステン(VI)が含まれる。好適なオキソモリブデン錯体には、モリブデン酸塩、酸化モリブデンおよびモリブデニル錯体が含まれる。好適なモリブデン酸錯体には、モリブデン酸アンモニウムおよびその水和物、モリブデン酸ナトリウムおよびその水和物、およびモリブデン酸カリウムおよびその水和物が含まれる。好適な酸化モリブデンには、酸化モリブデン(IV)、酸化モリブデン(VI)およびモリブデン酸が含まれる。好適なモリブデニル錯体には、たとえばモリブデニルアセチルアセトネートが含まれる。他の好適なタングステンおよびモリブデン錯体には、たとえばグリセロール、酒石酸および糖に由来するヒドロキソ誘導体が含まれる。
【0536】
広く種々の他の血管新生因子もまた、本発明の文脈内で使用してよい。代表的な例には、限定はしないが、血小板因子4、硫酸プロタミン、(クイーンクラブシェルから調製した)硫酸化キチン誘導体(Murataら、Cancer Res.51:22−26,1991)、硫酸化ポリサッカライドペプチドグリカン錯体(SP−PG)(本化合物の機能は、エストロゲンおよびクエン酸タモキシフェンのようなステロイドの存在によって増強されうる)、スタウロスポリン、たとえば、プロリンアナログ、シスヒドロキシプロリン、d,L−3,4−デヒドロプロリン、チアプロリン、アルファ、アルファ ジピロリジル、フマル酸アミノプロピオニトリルを含む、マトリックス代謝の調節物、4−プロピル−5−(4−ピリジニル)−2(3H)−オキサゾロン、メトトレキサート、マイトキサントロン、ヘパリン、インターロイキン類、2マクログロブリン血清、chIMP−3(Pavloffら、J.Bio.Chem.267:17321−17326,1992)、キモスタチン(Tomkinsonら、Biochem J.286:475−480,1992)、シクロデキストリン テトラデカスルフェート、エポメマイシン、カンプトテシン、フマギリン(Ingberら、Nature 348:555−557,1990)、チオマレイン酸金ナトリウム(「GST」、Matsubara and Ziff,J.Clin.Invest.79:1440−1446,1987)、抗コラゲナーゼ血清、アルファ2−抗プラスミン(Holmesら、J.Biol.Chem.262(4):1659−1664,1987)、ビスアントレン(National Cancer Institute)、ロベンザリット二ナトリウム(N−(2)−カルボキシフェニル−4−クロロアンスロニリン酸二ナトリウム、または「CCA」)(Takeuchiら、Agents Actions 36:312−316,1992)、およびBB94のようなメタロプロテイナーゼ阻害剤が含まれる。
【0537】
本発明の文脈内でまた使用してよいさらなる抗血管新生因子には、サリドマイド(Celgene、Warren,NJ)、血管増殖抑制性ステロイド、AGM−1470(H.Brem and J.Folkman J Pediatr.Surg.28:445−51(1993))、インテグリンアルファvベータ3アンタゴニスト(C.Stogardら、J.Clin.Invest.103:47−54(1999))、カルボキシアミノイミダゾール(carboxynaminolmidazole)、カルボキシアミドトリアゾール(CAI)(National Cancer Institute、Bethesda,MD)、コンブレタスタチンA−4(CA4P)(OxiGENE、Boston,MA)、スクラミン(Magainin Pharmaceuticals、Plymouth Meeting、PA)、TNP−470(Tap Pharmaceuctials、Deerfield,IL)、ZD−0101 アストラゼネカ(AstraZeneca)(London,UK)、APRA(CT2584)、ベネフィン、ビロスタチン−1(SC339555)、CGP−41251(PKC412)、CM101、デキソラゾキサン(ICRF187)、DMXAA、エンドスタチン、フラボプリジオール、ゲネステイン(Genestein)、GTE、ImmTher、イレッサ(ZD1839)、オクテオチド(ソマトスタチン)、パンレチン、ペナシラミン、フォトポイント、PI−88、プリノマスタット(AG−3340)、プルリチン、スラジスタ(FCE26644)、タモキシフェン(ノルバデックス)、タザロテン、テトラチオモリブデート、キセローダ(カペシタビン)、および5−フルオロウラシルが含まれる。
【0538】
免疫調節剤との併用で投与しうる抗血管新生剤は、限定はしないが、細胞外マトリックスのタンパク質分解を阻害すること、内皮細胞細胞外マトリックス接着分子の機能をブロックすること、増殖因子のような血管新生誘導物の機能をアンタゴナイズすることによって、および増殖内皮細胞上に発現したインテグリンレセプターを阻害することを含む種々の機構を介して働きうる。細胞外マトリックスタンパク質分解を干渉し、免疫調節剤との併用で投与しうる、抗血管新生阻害剤の例には、限定はしないが、AG−3340(Agouron、La Jolla、CA)、BAY−12−9566(Bayer、West Heaven,CT)、BMS−275291(Bristol Mayers Squibb、Princeton,NJ)、CGS−27032A(Novartis、East Hanover,NJ)、マリマスタット(British Biotech、Oxford,UK)およびメタスタット(Aeterna、St−Foy、Quebec)が含まれる。内皮細胞細胞外マトリックス接着分子の形成をブロッキングすることによって働き、免疫調節剤との併用で投与しうる抗血管新生阻害剤の例として、限定はしないが、EMD−121974(Merck KcgaA Darmstadt,Germany)およびビタキシン(Ixsys、La Jolla,CA/メディイミューン(Mediimune)、Gaithersburg,MD)が挙げられる。血管新生誘導物を直接アンタゴナイズする、または阻害することによって働き、免疫調節剤との併用で投与しうる抗血管申請阻害剤の例として、アンジオザイム(Ribozyme、Boulder,CO)、抗VEGF抗体(Genentech、S.San Francisco,CA)、PTK−787/ZK−225846(Novartis、Basel,Switzerland)、SU−101(Sugen、S.San Francisco,CA)、SU−5416(Sugen/Pharmacia Upjohn、Bridgewater,NJ)、およびSU−6668(スーゲン)が挙げられる。他の抗血管新生剤は、血管新生を間接的に阻害することによって働く。免疫調節剤との併用で投与しうる血管新生の間接的阻害剤の例には、限定はしないが、IM−862(Cytran、Kirkland,WA)、インターフェロンアルファ、IL−12(Roche、Nutley,NJ)、およびペントサン ポリスフレート(Georgetown University、Washington,DC)が挙げられる。
【0539】
好ましい実施形態において、抗血管新生剤との併用での免疫調節剤の利用は、たとえば本明細書で記述した自己免疫疾患のような、自己免疫疾患の処置、予防および/または軽減のために企図される。
【0540】
特定の実施形態において、抗血管新生剤との併用での免疫調節剤の利用は、関節炎の処置、予防および/または軽減のために企図される。より特定の実施形態において、抗血管新生剤との併用での免疫調節剤の利用は、慢性関節リウマチの処置、予防および/または軽減のために企図される。
【0541】
別の実施形態において、免疫調節剤は、抗凝固薬との併用で投与する。免疫調節剤との併用で投与しうる抗凝固剤には、限定はしないが、ヘパリン、ワーファリンおよびアスピリンが含まれる。特定の実施形態において、免疫調節剤は、ヘパリンおよび/またはワーファリンとの併用で投与する。別の特定の実施形態において、免疫調節剤は、ワーファリンとの併用で投与する。別の特定の実施形態において、免疫調節剤は、ワーファリンおよびアスピリンとの併用で投与する。別の特定の実施形態において、免疫調節剤は、ヘパリンとの併用で投与する。別の特定の実施形態において、免疫調節剤は、ヘパリンおよびアスピリンとの併用せで投与する。
【0542】
別の実施形態において、免疫調節剤を、抗カルジオリピン抗体の産生を抑制する剤との併用で投与する。特定の実施形態において、免疫調節剤を、リン脂質結合血漿タンパク質ベータ2−糖タンパク質I(b2GPI)に結合する抗カルジオリピン抗体の能力を阻害および/または減少させる薬剤との併用で投与する。
【0543】
特定の実施形態において、免疫調節剤は、抗レトロウイルス薬剤、ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、および/またはプロテアーゼ阻害剤との併用で投与する。免疫調節剤との併用で投与しうるヌクレオシド逆転写酵素阻害剤には、限定はしないが、RETROVIRTM(ジドブジン/AZT)、VIDEXTM(ジダノシン/ddI)、HIVIDTM(ザルシタビン/ddC)、ZERITTM(スタブジン/d4T)、EPIVIRTM(ラミブジン/3TC)、およびCOMBIVIRTM(ジドブジン/ラミブジン)が含まれる。免疫調節剤との併用で投与しうる非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤には、限定はしないが、VIRAMUNETM(ネビラピン)、RESCRIPTORTM(デラビルジン)およびSUSTIVATM(エファビレンズ)が含まれる。免疫調節剤との組合せで投与しうるプロテアーゼ阻害剤には、限定はしないが、CRIXIVANTM(インジナビル)、NORVIRTM(リトナビル)、INVIRASETM(サクイナビル)、およびVIRACEPTTM(ネルフィナビル)が含まれる。
【0544】
ある特定の実施形態において、免疫調節剤を、抗レトロウイルス剤、ヌクレオシド/ヌクレオチド逆転写酵素阻害剤(NRTIs)、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NNRTIs)、および/またはプロテアーゼ阻害剤(PIs)との併用で投与する。免疫調節剤との組合せで投与するNRTIsには、限定はしないが、RETROVIRTM(ジドブジン/AZT)、VIDEXTM(ジダノシン/ddI)、HIVIDTM(ザルシタビン/ddC)、ZERITTM(スタブジン/d4T)、EPIVIRTM(ラミブジン/3TC)、およびCOMBIVIRTM(ジドブジン/ラミブジン)が含まれる。免疫調節剤との組合せで投与しうるNNRTIsには、限定はしないが、VIRAMUNETM(ネビラピン)、RESCRIPTORTM(デラビルジン)およびSUSTIVATM(エファビレンズ)が含まれる。免疫調節剤との併用で投与しうるプロテアーゼ阻害剤には、限定はしないが、CRIXIVANTM(インジナビル)、NORVIRTM(リトナビル)、INVIRASETM(サクイナビル)、およびVIRACEPTTM(ネルフィナビル)が含まれる。
【0545】
さらなるNRTIsには、LODENOSINETM(F−ddA、酸安定アデノシンNRTI、Triangle/Abbott)、COVIRACILTM(ラミブジン(3TC)に構造的に関連するが、インビトロで3〜10倍強い活性を持つエムトリシタビン/FITC、Triangle/Abbott)、dOTC(またラミブジンに構造的に関連するが、本質的割合のラミブジン耐性単離体に対して活性を維持するBCH−10652、Biochem Pharma)、アデホビル(FDAにより抗HIVに対する許可が拒否された、Gilead Sciences)、PREVEON(登録商標)(アデホビルの活性プロドラッグであるアデホビルジピボキシル、その活性形態はPMEA−ppである)、TENOFOVIRTM(bis−POC PMPA、PMPAプロドラッグ、Gilead)、DAPD/DXG(DAPDの活性代謝物、Triangle/Abbott)、D−D4FC(3TCに関連し、AZT/3TC−耐性ウイルスに対する活性を持つ)、GW420867X(Glaxo Wellcome)、ZIAGENTM(アバカビル/159U89、Glaxo Wellcome)、CS−87(3’アジド−2’、3’−ジデオキシウリジン、国際特許第WO99/66936号)、ならびにβ−L−FD4Cおよびβ−L−FddCのS−アシル−2−チオエチル(SATE)を有するプロドラッグ(国際特許第WO98/66936号)が含まれる。
【0546】
さらなるNNRTIsには、COACTINONTM(HEPTクラスの強力なNNRTIであるエミビリン/MKC−442、Triangle/Abbott)、CAPRAVIRINETM(K103N変異を含むウイルスに対する活性を持つ次世代NNRTIである、AG−1549/S−1153)、PNU−142721(その前駆体デラビルジンより20倍〜50倍強い活性を持ち、K103N変異体に対して活性である、Pharmacia & Upjohn)、DPC−961およびDPC−963(K103N変異を持つウイルスに対して活性であるように設計されたエファビレンズの第二世代誘導体、DuPont)、GW−420867X(HBY097より25倍高い活性を持ち、K103N変異体に対して活性である、Glaxo Wellcome)、CALANOLIDE A(Y181CおよびK103N変異いずれかまたは両方を含むウイルスに対して活性であるラテックスツリーからの天然に存在する薬剤、)およびプロポリス(国際特許第WO99/49830号)が含まれる。
【0547】
さらなるプロテアーゼ阻害剤には、LOPINAVIRTM(ABT378/r、Abbott Laboratories)、BMS−232632(アザペプチド、Bristol−Myers Squibb)、TIPRANAVIRTM(非ペプチド性ジヒドロピロンのPNU−140690、Pharmacia and Upjohn)、PD−178390(非ペプチド性ジヒドロピロン、Parke−Davis)、BMS−232632(アザペプチド、Bristol−Myers Squibb)、L−756,423(インジナビルアナログ、Merck)、DMP−450(環状尿素化合物、Avid & DuPont)、AG−1776(プロテアーゼ阻害剤耐性ウイルスに対するインビトロ活性を持つペプチド模倣物、Agouron)、VC−175/GW−433908(アムプレナビルのリン酸プロドラッグ、Vertex & Glaxo Welcome)、CGP61755(Ciba)、およびAGENERASETM(アムプレナビル、Glaxo Wellcome Inc.)が含まれる。
【0548】
さらなる抗レトロウイルス剤には、融合阻害剤/gp41結合物が含まれる。融合阻害剤/gp41結合物には、T−20(その結果としての状態において、gp41結合し、融合状態への転移を防止する、HIV gp41膜貫通タンパク質エクトドメインの残基643〜678からのペプチド)およびT−1249(第二世代融合阻害剤、Trimeris)が含まれる。
【0549】
さらなる抗レトロウイルス剤には、融合阻害剤/ケモカインレセプターアンタゴニストが含まれる。融合阻害剤/ケモカインレセプターアンタゴニストには、AMD3100(ビシクラム)、SDF−1およびそのアナログ、およびALX40−4C(カチオン性ペプチド)、T22(18アミノ酸ペプチド、Trimeris)およびT22アナログT134およびT140、RANTES(9〜68)、AOP−RANTES、NNY−RANTESおよびTAK−779のようなCCR5アンタゴニスト、およびNSC651016(ジスタマイシンアナログ)のようなCCR5/CXCR4アンタゴニストが含まれる。また、CCR2B、CCR3およびCCR6アンタゴニストも含まれる。RANTES、SDF−1、MIP−1α、MIP−1βなどのようなケモカインレセプターアゴニストもまた融合を阻害しうる。
【0550】
さらなる抗レトロウイルス剤には、インテグラーゼ阻害剤が含まれる。インテグラーゼ阻害剤には、ジカフェオイルキナ(DFQA)酸、L−チコリ酸(ジカフェオイル酒石(DCTA)酸)、クイナリザリン(QLC)および関連アントラキノン、ZINTEVIRTM(真のインテグラーゼ阻害剤ではなく、細胞表面にておそらく作用するオリゴヌクレオチドのAR177、Arondex)、および国際特許第98/50347号にて開示されたもののような、ナフトール類が含まれる。
【0551】
さらなる抗レトロウイルス剤には、BCX−34(プリンヌクレオシドホスホリラーゼ阻害剤、Biocryst)のようなヒドロキシウレア様化合物、DIDOXTM(Molecules for Health)のようなリボヌクレオチドリダクターゼ阻害剤、VC−497(Vertex)のようなイノシン一リン酸デヒドロゲナーゼ(IMPDH)阻害剤、およびCellCept(マイコフェノレート モフェティル、Roche)のようなミコリン酸が含まれる。
【0552】
さらなる抗レトロウイルス剤には、ウイルスインテグラーゼの阻害剤、アリーレンビス(メチルケトン)化合物のようなウイルスゲノム核転位の阻害剤、AOP−RANTERS、NNY−RANTES、RANTES−IgG融合タンパク質、RANTESおよびグリコサミノグリカン(GAG)の可溶性複合体、およびAMD−3100のようなHIVエントリーの阻害剤、ジチエン化合物のようなヌクレオカプシド亜鉛フィンガー阻害剤、HIV TatおよびRevの標的、およびABT−378のようなファーマコエンハンサーが含まれる。
【0553】
他の抗レトロウイルス剤治療および添加治療には、MIP−1α、MIP−1β、SDF−1α、IL−2、PROLEUKINTM(アルデスロイキン/L2−7001、Chiron)、IL−4、IL−8、IL−10、IL−12およびIL−13のようなサイトカイン類およびリンホカイン類、IFN−α2aのようなインターフェロン類、TNFs、NFκB、GM−CSF、M−CSFおよびIL−10のアンタゴニスト、シクロスポリンおよびプレドニゾンのような免疫活性化を調節する剤、RemuneTM(HIV Immunoegen)、APL 400−003(Appollon)、組換え体gp120および断片、二価(B/E)組換え体エンベロープ糖タンパク質、rgp120CM235、MN rgp120、SF−2 rgp120、gp120/可溶性CD4複合体、デルタJR−FLタンパク質、非連続性gp120 C3/C4ドメインに由来する分岐鎖合成ペプチド、融合補体免疫原、およびGag、Pol、NefおよびTatワクチンのようなワクチン、遺伝的抑制要素表面発現(GSEs、国際特許第WO98/54366号)のような遺伝子に基づく治療、およびインターロイキン類(新規に合成されたCCR5の表面発現を阻害するために、ERに標的化された一般的に改変されたCCケモカイン類(Yangら、PNAS 94:11567−72(1997)、Chenら、Nat.Med.3:1110−16(1997))、抗CXCR4抗体12G5、抗CCR5抗体2D7、5C7、PA8、PA9、PA10、PA11、PA12およびPA14、抗CD4抗体Q4120およいRPA−T4、抗CCR3抗体7b11、抗gp120抗体17b、48d、447−52D、257−D、268−Dおよび50.1、抗Tat抗体、抗TNF−α抗体、およびモノクローナル抗体33A、TCDD、3,3’,4,4’,5−ペンタクロロビフェニル、3,3’,4,4’−テトラクロロビフェニル、およびα−ナフトフラボン(国際特許第WO98/30213号)のようなアリール炭化水素(AH)レセプターアゴニストおよびアンタゴニスト、およびγ−L−グルタミル−L−システインエチルエステル(γ−GCE、国際特許第WO99/56764号)が含まれる。
【0554】
他の実施形態において、免疫調節剤を、抗日和見感染剤との併用で投与してよい。免疫調節剤との併用で投与してよい抗日和見感染剤には、限定はしないが、TRIMETHOPRIM−SULFAMETHOXAZOLETM、DAPSONETM、PENTAMIDINETM、ATOVAQUONETM、ISONIAZIDTM、RIFAMPINTM、PYRAZINAMIDETM、ETHAMBUTOLTM、CIDOFOVIRTM、FLUCONAZOLETM、ITRACONAZOLETM、KETOCONAZOLETM、ACYCLOVIRTM、FAMCICOLVIRTM、PYRIMETHAMINETM、LEUCOVORINTM、NEUPOGENTM(フィルグラスチム/G−CSF)、およびLEUKINETM(サルグラモスチム/GM−CSF)が含まれる。特定の実施形態において、免疫調節剤を、日和見性ニューモシスティス・カリニ肺炎感染を予防的に処置、予防、および/または診断するために、RIMETHOPRIM−SULFAMETHOXAZOLETM、DAPSONETM、PENTAMIDINETMおよび/またはATOVAQUONETMとの任意の併用で使用する。別の特定の実施形態において、免疫調節剤を、日和見性トリ型結核菌複合体感染を予防的に処置、予防および/または診断するために、ISONIAZIDTM、RIFAMPINTM、PYRAZINAMIDETMおよび/またはETHAMBUTOLTMとの任意の併用で使用する。別の特定の実施形態において、免疫調節剤を、日和見性ヒト型結核菌感染を予防的に処置、予防および/または診断するために、RIFABUTINTM、CLARITHROMYCINTMおよび/またはAZITHROMYCINTMとの任意の併用で使用する。別の特定の実施形態において、免疫調節剤を、日和見性サイトメガロウイルス感染を予防的に処置、予防および/または診断するために、GANCICLOVIRTM、FOSCARNETTMおよび/またはCIDOFOVIRTMとの任意の組合せで使用する。別の特定の実施形態において、免疫調節剤を、日和見性真菌感染を予防的に処置、予防および/または診断するために、FLUCONAZOLETM、ITRACONAZOLETM、および/またはKETOCONAZOLETMとの任意の併用で使用する。別の特定の実施形態において、免疫調節剤を、日和見性単純ヘルペスウイルスI型および/またはII型感染を予防的に処置、予防および/または診断するために、ACYCLOVIRTMおよび/またはFAMCICOLVIRTMとの任意の併用で使用する。別の特定の実施形態において、免疫調節剤を、日和見性トキソプラズマ原虫感染を予防的に処置、予防および/または診断するために、PYRIMETHAMINETMおよび/またはLEUCOVORINTMとの任意の併用で使用する。別の特定の実施形態において、免疫調節剤は、日和見性細菌感染を、予防的に処置、予防および/または診断するために、LEUCOVORINTMおよび/またはNEUPOGENTMとの任意の併用で使用する。
【0555】
さらなる実施形態において、免疫調節剤を、抗ウイルス剤との併用で投与する。免疫調節剤とともに投与しうる抗ウイルス剤には、限定はしないが、アシクロビル、リバビリン、アマンタジンおよびレマンチジンが含まれる。
【0556】
さらなる実施形態において、免疫調節剤を、抗生物質剤との併用で投与する。免疫調節剤とともに投与しうる抗生物質剤には、限定はしないが、アモキシリン、アミノグルコシド類、ベータ−ラクタム(糖ペプチド)、ベータ−ラクタマーゼ類、クリンダマイシン、クロラムフェニコール、セファロスポリン類、シプロフロキサシン、シプロフロキサシン、エリスロマイシン、フルオロキノロン類、マクロライド類、メトロニダゾール、ペニシリン類、キノロン類、リファンピン、ストレプトマイシン、スルホンアミド、テトラシクリン類、トリメトプリム、トリメトプリム−スルファンゾキサゾール、およびバンコマイシンが含まれる。
【0557】
さらに、免疫調節剤は、単独、または限定はしないが、放射線治療を含む他の治療養成法との組合せで投与してよい。そのような組合せ治療は、連続しておよび/または同時に投与してよい。
【0558】
キット
本発明はまた、1つまたはそれ以上の医薬組成物の成分で満たされた1つ以上の容器を含む医薬パックまたはキットも提供する。任意に、医薬品または生物学的産物の製造、利用または販売に関連する行政機関によって規定された形態での掲示が任意にそのような容器(類)に関連し、掲示は、ヒト投与のための製造、利用または販売の機関による許可を反映している。さらに、本発明のポリペプチドを、他の治療化合物と合わせて使用してよい。特定の実施形態において、キットには、医薬品または生物学的産物の製造、利用または販売に関連する行政機関によって規定された形態での掲示が含まれ、掲示は、その血清または血漿中で、1:80以上のANAタイター、および/または30IU以上の抗dsDNA抗体を有する患者における、ヒト投与のための製造、利用または販売の機関による許可を反映している。
【実施例】
【0559】
本発明の一般的に記述しているが、例示の目的で提供され,制限の意図はない、以下の実施例を参照することによって、より簡単に理解されるであろう。
【0560】
実施例1 全身性エリテマトーデス(SLE)を処置するための、ニュートロカイン−アルファタンパク質を中和する抗体(ベリムマブ)の利用を試験している臨床試験からの結果の要約
プロスペクティブな無作為化二重盲検プラセボ対照試験により、SLEに対する介護治療の標準に加えて、ニュートロカイン−アルファタンパク質を中和する抗体であるベリムマブを試験した。スクリーニングの時点で、測定可能な自己抗体およびSELENA SLEDAIスコアが4以上の歴を持つ、CR基準(Tanら、Arthritis Rheum.25:1271−7(1982)、およびHochbergら、Arthritis Rheum.40:1725(1997))による、449人のSLEの被験体に投与した。
【0561】
試験剤(1、4、10mg/kgベリムマブ)またはプラセボを、52週にわたり、0日、14日、28日、ついで28日ごとに静脈内に投与した。52週処置期間を完了した被験体には、24週間延長期間の研究の継続のオプションを与えた。ベリムマブは、10mM クエン酸ナトリウム、1.9%グリシン、0.5%スクロース、0.01%(w/v)ポリソルベート80、pH6.5(±0.3)に処方した。プラセボ投与を与えた被験体には、ベリムマブを含まない製剤(10mMクエン酸ナトリウム、1.9%グリシン、0.5%スクロース、0.01%(w/v)ポリソルベート80、pH6.5(±0.3))を与えた。効果を、SELENA SLEDAI(SS)、SLEフレア指数、‘医師の包括的評価(PGA)によって、1〜2ヶ月ごとに評価した。BILAGおよびSF−36疾患活性スコアをまた、定期的に評価した。先に決定した主要効果評価項目は、SLEフレア指数によって定義したように、24時間の時点でのSSスコア、および52週間にわたるフレアまでの時間における割合減少であった。生物学的マーカーには、ANA、抗dsDNA抗体(Ab)、C3/C4、Igイソタイプおよび末梢B細胞FACSが含まれる。B細胞を、4色FACS(CD19、CD20、CD27、CD69、CD38、CD138およびCD45)によって、1〜2ヶ月ごと分析した。抗dsDNA Ab、Igイソタイプ、総タンパク質、およびアルブミンレベルを含む血清自己抗体を、同一の訪問にて得た。尤度比カイ二乗、ウィルコクソン検定またはt−検定を使用して、生物学的マーカーにおける変化を分析した。
【0562】
本試験の被験体の平均年齢は、42歳であり、これらの対象でのSLEの平均期間は8.8年間であった。これらの被験体における疾患活性のベースラインレベルは比較的高く、およそ67%の被験体が、SSスコア8ポイント以上(平均SSスコア:9.6)であった。本試験に登録された被験体の93パーセントの対象が女性であった。70%の被験体が白色人種であり、24%の被験体がアフリカ系アメリカ人であり、3%の被験体がアジア人であり、18%の被験体がヒスパニック系であった(カテゴリーは重なっている)。98パーセントの被験体が、ANAに対して歴史的に陽性にスコア化されており、71.5%の被験体がエントリー時点でANA+であった(スクリーン/日0の時点で、ANAタイターが1:80以上および/または抗dsDNA Abが30IU/ml以上)。50%の被験体が、エントリーの時点で、30IU/ml以上の抗dsDNAタイターを持った。ベースラインで使用したSLEに対するもっとも一般的な併用医薬物は、以下の、ステロイド類(およそ70%の被験体)、アミノキノリン類(たとえば抗マラリア剤)(70%)、COX−2阻害剤(28%)、COX−1阻害剤(26%)、アザチオプリン(20%)、メトトレキサート(16%)、およびミコフェノレート モフェティル(16%)が含まれた。それぞれ34パーセントおよび42%の活性およびプラセボ対象に、ベースラインにて、(プレドニゾンまたはプレドニゾン等価物用量>7.5mg/日として定義した)全身性コルチコステロイドの臨床的に意味のある用量を与えていた。処置アームにおけるベースライン特徴または完了率において有意な差はなかった。
【0563】
主要効果評価項目は統計学的有意に達しなかったが、SSスコアは、ANA+被験体にて、週52にて29%まで有意に減少した(p=0.0435、図1を参照のこと)。SLEフレアが、24〜52週の間、24週ベースラインを用いて、ベリムマブの被験体において減少した(logランクp=0.036)。合成数的BILAGスコアにおける有意な差(BILAG合成は、器官システムグレードを以下のように数的スコアに変換することによって計算した:A=9、B=3、C=1、D=0、E=0)は観察されなかったが、ANA+被験体において、8つの個々の器官ドメインに対するスコアの解析によって、2つの器官ドメインにおいてスコアのわずかな減少(筋骨格、p<0.008、神経的に、p<0.038)、および3つの器官ドメインでのスコアにおけるわずかな増加の傾向(心臓血管&呼吸器、p=0.060、一般、p<0.15、腎臓、p<0.15)が明らかになった。改善が、プラセボ対ベリムマブ処置におけるプレドニゾンの増加にもかかわらず発生した(>7.5mg/日までの増加、〜15%対〜7%)。ANA+被験体において、7.5mg/日以下の低用量〜>7.5mg/日の高用量の、プレドニゾンにおける増加の頻度の有意な減少が、早くも8週にて観察された(8〜12週にわたり、および32〜40週にわたり、p<0.05)。効果において用量応答はなく、すべての用量が等しく活性であることが示唆される。すべてのベリムマブアーム対プラセボにおける副作用(AE)、AE重症度、感染または研究室毒性を含む臨床的に有意な差が、安全にて見られた。ベリムマブのわずかな被験体が、胸膜炎(3.3%対8%、p<0.05)であり、一方でより多くがじんましんを持った(4%対0%、p<0.05)。注入反応はまれであり、ただ1つの副作用が報告された。ベリムマブに対する免疫原性が1被験体にて観察された(1mg/kg)。
【0564】
表IXにて示したように、52週でのANA+被験体の解析によって、BILAG指数(行3)によって、およびPGA(行4)によって測定したように、プラセボに対して、疾患の有意な安定化となった。さらに、試験中の処置群における応答率をまた、SSスコアによって測定されたようなグローバル疾患活性の測定を、PGA疾患活性指数によって評価した患者の総合状態の測定、およびBILAGスケールによって測定されたような特定の期間システムでの疾患の測定と混合した、混合応答評価項目(行1)を用いて分析した。患者がSELENA SLEDAIスコア4以上の減少を持つ場合、混合評価項目において、処置に対して応答性であるとスコア化し、PGAスコアにおいて、0.3ポイント未満として定義されたそれらのPGAスコアの悪化はなく、新規のBILAG A器官ドメインスコアなし、または2つの新規BILAG B器官ドメインスコアなしとして定義した、任意の特定の器官システムにおいて悪化はなかった。上記複合評価項目を用いたANA+被験体の解析によって、ベリムマブに対する有意な応答が明らかになった(p=0.0058)。
【0565】
さらに、ANA+対象において、PGAおよびSF−36の物理的なコンポーネントスコア(SF−36 PCS)の有意な改善が、処置の早期で観察された。ベースラインPGAからの平均パーセント変化が、ANA+プラセボ処置被験体と比較して、ベリムマブで処置したANA+被験体にて、早くも2週間で、有意な改善が示された(p<0.05)。8週、16週、48週および52週の時点でのPGAスコアにおける平均パーセント変化の値がまた、ANA+被験体プラセボ処置被験体と比較して、ベリムマブ処置ANA+被験体において有意な改善を示した(8、16および48週時点でp<0.05、52週時点でp<0.01)。平均SF−36 PCSがまた、12、24、48および52週の時点で、ANA+プラセボ処置被験体と比較して、ベリムマブ処置ANA+被験体の生活の質における有意な改善を示した(各時間点でp<0.05)。
【0566】
(ベースラインからの中間値パーセント変化として表される)B細胞数の有意な減少が、CD19+ B細胞(週8〜52の間実施した各測定に対してp<0.01)、活性化B細胞(CD20+/CD69+、週8〜52の間実施した各測定に対してp<0.01)、ナイーブB細胞(CD20+/CD27−、週8〜52の間実施した各測定に対してp<0.01)、および形質細胞B細胞(CD20+/CD138+、週8〜52の間実施した各測定に対してp<0.01)を含んで、研究の経過にわたって、ベリムマブ−処置被験体に関して観察された。24週の時点でのB細胞数の測定が、ベリムマブ(すべて処置混合)が、プラセボ処置被験体と比較して、24週までに、有意にB細胞を減少させたことを示した。24週の時点で、細胞数の有意な減少(ベースラインからの平均値パーセント変化として表される、p<0.0001)が、CD19+ B細胞、ナイーブB細胞(CD20+/CD27−)、活性化B細胞(CD20+/CD69+)、および形質細胞B細胞(CD20+/CD138+)に関して観察された。ベリムマブ(すべての処置混合)は、52週の時点で、B細胞数を有意に減少させた(中央値)。52週の時点で、CD20+ B細胞における中央値パーセント変化は、早くも8週の時点で観察された有意な減少と混合して、すべての処置群に関して、54%*であった(p<0.0001)。52週の時点で、形質細胞B細胞(CD20+/CD138+)における平均値パーセント変化が、混合したすべての処置群に対して62%*であった。また、活性B細胞(CD20+/CD69+ B細胞)における中央値パーセント変化は、52週の時点で70%*であった(*すべてp<0.002)。52週の時点で、CD19+ B細胞およびナイーブB細胞(CD20+/CD27−)が有意に減少し、一方で、メモリー細胞集団は保存された。反対にプラズマ細胞(CD20−/CD138+)は、52週の時点で、ベリムマブ処置被験体にて、ベースライン(2.7%)上72.5%増加し、対してプラセボ/標準処置において30.6%増加した(p=0.02)。さらに、ベリムマブは、76週を通して、計数したB細胞数における減少を誘導した。76週の時点で、CD20+ B細胞における中央値パーセント変化は、混合したすべての処置群に対して、61%であった。76週の時点で、形質細胞B細胞(CD20+/CD138+)における中央値パーセント変化は、混合したすべての処置群に対して60%であった。また、76週の時点での活性化B細胞(CD20+/CD69+ B細胞)における中央値パーセント変化は、混合したすべての処置群で、84%であった。エントリー時点で、30IU/ml未満の抗dsDNAタイターを持った対象において、(ベースラインからの中央値パーセント変化として表した)抗dsDNAタイターにおける有意な減少が、ベリムマブ処置被験体対プラセボ処置被験体において、早くも4週にて観察された(4〜12週の間に実施した各測定に対して、p<0.01、16〜24週の間に実施した各測定に対してp<0.03、32〜52週の間に実施した各測定に対してp<0.01)。ベリムマブは、52週時点で、抗dsDNA Abを30%まで減少させ(p<0.02、ベースライン陽性)、対してプラセボは9%であった。本効果は、76週の時点での測定として維持され、抗dsDNAにて28%の減少を示した。(ベースラインからの平均値パーセント変化として表される)血清IgG、IgA、IgEおよびIgMレベルにおける有意なベリムマブ誘導減少が、プラセボ処置対照と比較して、ベリムマブ処置対照にて、早くも8週で明らかであった(p<0.0001)。52週の時点で、血清IgG、IgA、IgEおよびIgMが減少した(それぞれ10%、14%、34%および29%)。減少は76週を通して継続した(それぞれ12%、15%、35%および34%)。さらに、ベースラインにてIgイソタイプレベルが上昇した被験体に関して、ベリムマブを投与された41%(52/128、p=0.0014)の被験体が、正常Igイソタイプレベルに戻り、16%(7/45)の対照被験体のみが正常化した。4〜52週の間、ベリムマブ処置アームにて、ベースラインで低C4補体レベルの患者で実施した各測定に関して、有意な増加が、(ベースラインからの中央値パーセント変化として表された)C4補体レベルにて観察された(p<0.01)。52週の時点で、C4が、ベリムマブ処置アームにて33%(p=0.0126、低ベースラインC4)まで増加した。再び、ベリムマブ効果が維持され、C4が、ベリムマブ処置アームにて、76週の時点で46%まで改善した。52週の時点で、14.5%(24/165)のベリムマブを投与された抗dsDNA+対象が、プラセボにおいて3.5%(2/58)と比較して、ネガティブに変換した(p=0.012)。76週の時点で、3人のさらなるベリムマブを投与された抗dsDNA対象がネガティブに変換した。
【0567】
ベリムマブはよく耐容性であり、有意な生物活性を示した。ベリムマブはPGAスコアを改善し、B細胞数を減少させ、C4を増加させ、抗dsDNAを減少させ、Igイソタイプレベルを減少/正常化させた。ベリムマブは、6ヶ月後、フレア開始を遅延させた。エントリーにてANA陽性である患者において、SSスコアが、52週の時点で有意に改善した。最後に、混合応答評価項目が、ANA+対象によるベリムマブ処置に対する有意な応答を明らかにした(表IXを参照のこと)。
【0568】
表IX 52週時点でのANA+被験体における応答率
【0569】
【表4】
混合全活性対プラセボの対比較のための尤度比検定からのP値。
【0570】
実施例2 SELENA SLEDAIに関するタンパク尿スコアリング
腎臓機能不全は、しばしば全身性エリテマトーデスに関連する。当業者は、腎臓機能、たとえば最終段階の腎臓疾患への進行、血清クレアチニン、クレアチニンクリアランス、イオサラメートクリアランス、単一尿試料中のタンパク質濃度と24時間尿試料中のタンパク質濃度の維持倍増を評価するために使用可能な種々の標準測定を知っている。
【0571】
「24時間尿試料」から計算したタンパク尿における変化が、SELENA SLEDAIにおいてスコア化されるカテゴリーの1つである。タンパク尿測定は、本技術分野で公知の任意の方法によって実施してよい。特定の実施形態において、単一尿標本を回収し、タンパク質の量および/またはクレアチニンクリアランスを測定する。たとえばLemannら、Clin Chem.,33:297−9,1987およびSchwabら、Arch Intern Med.,May;147(5):943−4,1987を参照のこと。特定の実施形態において、尿を24時間にわたって回収し、タンパク質の量および/またはクリアランスクリアランスを測定する。特定の実施形態において、単一尿標本を回収し、タンパク質量の、クレアチニンクリアランスの量に対する比を測定し、この比を使用して、24時間尿試料におけるタンパク質の量を推定する、たとえばRuggenentiら、BMJ.316(7130):504−9、1998を参照のこと。したがって、本実施例にて、「24時間尿試料」は、24時間尿試料に基づく尿中のタンパク質のグラム、または24時間尿試料中のタンパク質のグラムの推定のいずれかを意味しうる。24時間尿試料中のタンパク質の量の推定は、たとえば単一尿標本中のタンパク質の量の、単一尿試料中のクレアチニンクリアランスの量に対する比に基づいてよい。
【0572】
標準のSELENA SLEDAIスコアリングシステムにおいて、タンパク尿の新規開始、または24時間尿試料直前に測定したタンパク尿値が少なくとも0.5グラムより高い、最近の24時間尿試料中のタンパク尿となる最近のタンパク尿の増加を示す患者を、発行されたSELENA SLEDAIスケールにおいて、タンパク尿に関してスコア4を割り当てる。たとえば、Bombardierら、Arthritis Rheum.Jun;35(6):630−40,1992を参照のこと。したがって、標準SELENA SLEDAIスコアリングシステムの下、タンパク尿に対してベースラインにて4ポイントに割り当てられた被験体は、タンパク尿が、24時間尿試料中>0.5gまで増加し続けないかぎり、続く訪問時に、SELENA SLEDAIの改善がみられる(すなわち、患者は、安定タンパク尿に直面してさえ、その総スコアから減少した4ポイントをもつか、0.5g/24以下増加する)。
【0573】
SELENA SLEDAIタンパク尿スコアリングルールに対する改変を以下に記述している。標準SELENA SLEDAIスコアリングシステム中でのように、タンパク尿の新規開始、または24時間尿試料直前に測定したタンパク尿値が少なくとも0.5グラムより高い、最近の24時間尿試料中のタンパク尿となる最近のタンパク尿の増加を示す患者を、タンパク尿に関して、4のスコアに割り当てる。さらに、患者のタンパク尿値が改善されなかった(すなわち、24時間尿試料直線に測定したタンパク尿値と比較して、最近24時間尿試料中のタンパク尿における少なくとも0.5グラムまでの減少が存在しなかった)場合、患者は、タンパク尿に関して、4のスコアを割り当てられ続ける。しかしながら、患者のタンパク尿値が改善した(すなわち24時間尿試料直線に測定したタンパク尿値と比較して、最近24時間尿試料中のタンパク尿における少なくとも0.5グラムまでの減少が存在した場合)、患者はタンパク尿に関して0のスコアが割り当てられる。
【0574】
特定の実施形態において、先のタンパク尿測定は、現在の測定の26週間以下前に得た24時間尿試料で実施した。
【0575】
実施例3 慢性関節リウマチ(RA)を処置するための、ニュートロカイン−アルファタンパク質を中和する抗体(ベリムマブ)の利用を試験している臨床試験からの結果の要約
第2相多施設無作為化二重盲検プラセボ対照試験を、RAの被験体にて実施した。対象を4処置群(プラセボ、1mg/kg、4mg/kgおよび10mg/kg)に無作為化した。ベリムマブまたはプラセボを、0、14および28日、その後24週間28日ごとに、つづいて任意の24週間延長期間、1、4および10mg/kgの用量で投与した。ベリムマブは、10mMクエン酸ナトリウム、1.9%グリシン、0.5%スクロース、0.01%(w/v)ポリソルベート80、pH6.5(±0.3)に処方した。プラセボを投与した被験体には、ベリムマブを含まない製剤(10mMクエン酸ナトリウム、1.9%グリシン、0.5%スクロース、0.01%(w/v)ポリソルベート80、pH6.5(±0.3))を与えた。合計283人の対象が本試験に参加した。ベリムマブを、試験の24週間処置相の間に、1、4または10mg/kgの用量で、214対象に投与した。69人の被験体にプラセボを与えた。
【0576】
統計学的に優れたACR20応答が、1mg/kg(p=0.0097)処置群、ならびに混合したすべての活性処置群(p=0.0213)にて達成された。ACR20は、慢性関節リウマチに対する処置への患者の応答を評価するために、American College of Rheumatology(ACR)によって開発された指標である。ACR20応答は、症状または疾患発現の5つの他の評価(すなわち患者痛み評価、患者総合評価、医師総合評価、患者自己評価障害、急性期反応物[RSRまたはCRP])の3つにおける、少なくとも20%の改善に加えて、圧痛関節数および関節腫脹数における少なくとも20%の減少として定義される。さらに、1mg/kg処置群に対する結果は、ボンフェロニ(Bonferroni)閉鎖手順を用いた多重比較に対する適合下、統計学的に有意なままであった(p<0.0166)。SLEの被験体においてのように、ベリムマブは、自己抗体陽性疾患(リウマトイド因子[RF]または抗環状シトルリン化ペプチド[CCP])の被験体における、ならびにベースラインにて、C応答性タンパク質(CRP)に対して陽性な被験体における、ACR20の改善と関連した。生物学的活性が、CD20+ B細胞、ナイーブB細胞、活性化B細胞およびRDにおける統計学的に有意な減少、処置の最初の月に増加し、連続投与にてゆっくり減少したメモリー細胞を含んで観察された。ベリムマブは、すべての用量にてよく耐容性であった。用量応答相関は、効果、安全性、またはバイオマーカー効果にて明らかにならなかった。試験の延長期間中の連続処置がよく耐容性であった。ACR20応答は、48週の時点でおよそ40%まで増加した。バイオマーカーにおける効果が増加するか、または連続処置にて維持され、一方でメモリー細胞はベースラインレベルまで減少し続けた。本試験における血清濃度は、第1相データに基づいて予測された範囲内であり、併用医薬物(すなわちメトトレキサート、レフルノミドまたはヒドロキシクロロキン)は、ベリムマブ暴露において、有意な効果を持たなかった。
【0577】
実施例4 ニュートロカイン−アルファは、2つの独立したシグナル送達経路を通して、B細胞寿命を延ばす。
BLyS、(Bリンパ細胞刺激物)、BAFF、TALL−1、THANK、TNFSF13FおよびzTNF4とも呼ばれるニュートロカイン−アルファが、静止Bリンパ球の生存のために必須である(Roking,A.G.,andMelchers,F.(2002).Curr Opin Immunol 14,266−275)。ナイーブB細胞ホメオスタシスにおけるニュートロカイン−アルファの重要性が、標的化遺伝子欠損、または可溶性デコイレセプターの導入によって産生されたニュートロカイン−アルファ欠損マウスが、辺縁帯および小胞B細胞、腫瘍成熟末梢B細胞集団における目を見張る欠損を持つという発見(Gross,J.A.,ら(2001).Immunity 15,289−302、Schiemann,B.,ら(2001).Science 293,2111−2114)によって、もっともよく示されている。反対に、トランスジーンからのニュートロカイン−アルファの異所性発現が、T細胞、B1細胞、早期(T1)移行B細胞、または骨髄中の発達B細胞に影響を与えることなく、小胞および辺縁帯末梢ゾーンB細胞を明らかに増殖させる(Mackay,F.,ら(2003).Annu Rev Immunol 21,231−264)。ニュートロカイン−アルファはまた、多数のB細胞腫瘍の維持のために必要であり、制御不全ニュートロカイン−アルファ刺激が、消去から自己応答性B細胞を救出し、それによって自己抗体の産生を促進する(Kalled,S.L.(2005).Immunol Rev 204,43−54)。したがって、ニュートロカイン−アルファは、正常および病原性B細胞両方のホメオスタシスにおける重要な役割を持つ。本実施例は、それによってニュートロカイン−アルファがB細胞生存を促進する機構を理解するために実施した実験の結果を詳述している。
【0578】
実験手順
マウス:Pim−1+/++/+、Pim−1−/−+/+、Pim−1+/+−/−およびPim−1−/−−/−マウスを、Paul Rothman Coluimbia University,New York,NY.のPim−1+/−+/−ストックより作成した。C57BL/6(B6)マウスは、The Jackson Laboratory,Bar Harbor MEから、またはNational Cancer Institute Production Program,NCI−Fredrick,Fredrick MDからであった。動物を交配し、Institutional Animal Care and Use Committeeガイドラインにしたがって、Univ.of Pennsylvania,Harvard Medical SchoolまたはUniv.of Massachusetts Medical Schoolにて維持した。
【0579】
B細胞精製:脾臓B細胞を、脾臓細胞の抗thy1.2および補体処理と、続く得られたB細胞の、ステップワイズペーコール勾配を用いた精製、および60〜70%表面での細胞の回収によって得た。いくつかの実験において、CD23B細胞を、ビオチン化抗CD23抗体(BD Biosciences−Pharmingen、San Diego CA)およびストレプトアビジンコート化マイクロビーズ(Miltenyi Biotec、Auburn CA)を用いて、脾臓細胞懸濁液の陽性選別および磁気分離によって得た。CD23B細胞は、インビボでの環境活性化が、CD23の欠損を導くので、Percoll上でサイズ選択はしなかった。抗体およびPercollによって調製したB細胞は、>90%B220であり、一方CD23B細胞は>95%純粋であった。
【0580】
細胞培養:精製B細胞またはCD23B細胞を、2−メルカプトエタノール、MEM非必須アミノ酸、グルタミン、ペニシリンおよびストレプトマイシンを含むRPMI−1640(完全培地、CM)中で培養した。B細胞生存および他のアッセイのために、Human Genome Sciences、Rockville MDにて作製された組換え体ヒトニュートロカイン−アルファを、50〜100ng/mlで使用した。FLAG−タグ化ヒトニュートロカイン−アルファは、Dr.Randolph Noelle,Dartmouth Medical Schoolからであった。齧歯類ニュートロカイン−アルファは、Alexis Biochemicals、San Diego CAから購入し、ヒトインターフェロンアルファ(IFNα)は、PBL Biomedical、Piscataway,NJからであった。ラパマイシンを、最終濃度50nMにて使用し、メタノール中に溶解したストックから培養液に加えた。ラパマイシンを用いた実験における対照B細胞を、賦形剤対照としてメタノールで処理した。速度論アッセイのために、B細胞を調製し、4℃にて一晩冷蔵した。5〜6×10精製B細胞/試料を、5ug/mlモノクローナル抗FLAG M2抗体(Sigma)でコーティングした24ウェルプレート上へスピンし、洗浄し、PBS中1%BSAでブロックし、続いて、洗浄および細胞添加の一時間前に、FLAG−タグ化ヒトニュートロカイン−アルファ 2ug/ウェルを加えた。未刺激対照B細胞は、FLAG抗体のみで処理したウェル上にスピンした。B細胞をまた、速度論アッセイ緩衝液(ハンクバランス塩溶液+2% BSA)に加えた抗齧歯類IgM(5ug/ml)、抗CD40(0.5ug/ml)または100ng/mlの組換え体ヒトニュートロカイン−アルファとのインキュベーションンによって活性化した。
【0581】
抗体およびウェスタンブロッティング:HRPに共役した、マウス抗Pim2(1D12)、Pim1(19F7)、ヤギ抗アクチン(1−19)、抗マウスIg、抗ウサギIgおよび抗ヤギIgを、Santa Cruz Biotechnology、Santa Cruz CA)より得た。ウサギ抗ホスホセリン473Akt、ホスホスレオニン389 p70 S6キナーゼ、ホスホスレオニン24/32 FKHR/FKRHL1、ホスホGSK3α/ベータ、GSK、p70S6K、FKHRおよびAktを、Cell Signaling、Beverly MAより購入した。ウサギ抗マウスMcl−1を、Rockland、Wilmington MAから購入した。全細胞溶解物を、氷冷PBS中でB細胞を洗浄し、プロテアーゼ阻害剤(ミニタブ、Roche、Indianapolis IN)およびホスファターゼ阻害剤カクテルIおよびII(Sigma)を含むRIPA(150mM NaCl、1% NP−40、0.5%デオキシコール酸ナトリウム、0.1% SDS、50mM Tris pH8.0)中で溶解した。10〜50ugのタンパク質を、4〜12% NuPageビス−トリス ポリアクリルアミドゲル(Invitro(gen、Carlsbad CA)上で分解し、ニトロセルロースに移した。ブロットをPBS中3% BSA(Sigma、IgGフリー)、0.2% Tween−20でブロックし、4℃にて一晩、同一の緩衝液中で、一次抗体とともにインキュベートした。ブロットをPBS−0.2%、Tween−20で洗浄し、HRPに共役した二次抗体とともにインキュベートし、ECLplus(Amersham Bioscience、Piscataway NJ)を用いて発展させた。ブロットを、1% SDSおよび100uM β−メルカプトエタノールを含むPBS中、65℃にて20分間のインキュベーションンによって再プローブ化するために揮散させた。ブロットをついで洗浄し、以上のようにブロックした。
【0582】
生存アッセイ:5×10/mlでのB細胞を、37℃にてCM中、24ウェル組織培養ディッシュ中で培養した。B細胞に、50〜100ng/mlのrhuニュートロカイン−アルファ、50nMラパマイシン、200UのヒトIFNα、またはこれらの試薬の組合せを加えた。B細胞を50mMラパマイシンまたは賦形剤で、試験添加物を含む培養の1時間前に前処理し、新鮮なラパマイシンを培養の48時間後に加えた。生存を、トリパンブルー排除を用いて、生細胞を計数することによって、毎日モニタし、各測定は三回に行った。
【0583】
結果
ニュートロカイン−アルファがB細胞生存を促進する機構の調査によって、ニュートロカイン−アルファが、B細胞中のAkt/mTOR経路を活性化することが明らかになった。精製B細胞を0、5、20、60または120分間、100ng/mlの組換え体ヒトまたは齧歯類ニュートロカイン−アルファまたは抗Ig(陽性対照)にて、プレガス培地中で刺激した。溶解物を、氷冷試料から調製し、ウェスタンブロットで解析した。そのような初代B細胞の組換え体ニュートロカイン−アルファでの刺激によって、Aktのセリン473およびスレオニン308のリン酸化の増加によって決定されるようなAkt経路の活性化となる。精製B細胞をプレート結合FLAG−タグ化ニュートロカイン−アルファ、可溶性ニュートロカイン−アルファ(100ng/ml)、または0.5ug/ml 抗CD40(陽性対照)で刺激した追加実験によって、Aktそれ自身が、Akt基質、GSKβおよびフォークヘッド転写因子FOXO1およびFOXO3aのリン酸化によって見られるように活性化されたことが示された。mTORは、Aktの主要な下流効果器である。ニュートロカイン−アルファ刺激に続いて、初代B細胞中のmTORの活性化がまた、mTOR基質、p70 S6キナーゼと、翻訳阻害剤4E−BP1のリン酸化によって示された。リン酸化パターンをウェスタンブロットによって研究した。
【0584】
ラパマイシンは、mTORの強力な阻害剤であり、B細胞増殖および分化の強力な抑制剤である。正常のドナーからの小静止B細胞を4日間、開始に際して直接培養液に加え、2日ごとに再度加えた、100ng/mlのrhuニュートロカイン−アルファ、賦形剤または培養の前にB細胞を前処理するために使用した50nMラパマイシンと一緒に、またはなしで培養した。総BまたはCD23B細胞の、ニュートロカイン−アルファおよびラパマイシンとの共培養は、培養液中、4日後に存在する生細胞の数によって測定したように、生存のニュートロカイン−アルファ仲介増強を予防しなかった。この結果は、他の生存経路が、ニュートロカイン−アルファ処置B細胞で活性であり得ることを示唆した。
【0585】
Pimsは、種々の活性化物によって造血細胞中で誘導される、ラパマイシン耐性アポトーシス保護を提供可能である、3つのセリン/スレオニンキナーゼのファミリーである(Fox,C.J.,ら、(2003).Genes Dev 17,1841−1854およびFox,C.J.ら、(2005).J Exp Med 201,259−266)。2日間の、100ng/ml rhuニュートロカイン−アルファでの処置に続いて、初代B細胞が、Pim1およびPim2発現をアップレギュレートすることが、ウェスタンブロットで示された。
【0586】
ニュートロカイン−アルファ媒介B細胞生存におけるPim1および2の関与を試験するために、野生型またはPim1−/+−/+ヘテロ接合体、Pim1−/−−/−二重欠損またはPim2欠損(Pim1+/+−/−)ドナーからのCD23+B細胞を、CM中で、賦形剤、100ng/ml rhuニュートロカイン−アルファとともに、そして50nMラパマイシンあり、またはなしで、培養した。生存を、トリパンブルー排除によって毎日測定した。興味深いことに、Pim1およびPim2二重欠損マウスからのB細胞(Pim−1−/−−/−B細胞)は、ニュートロカイン−アルファに暴露したときに生存の増強を示した。この結果は、mTORおよびPims1および2が、互いに細胞生存のニュートロカイン−アルファ促進を媒介する、異なるシグナル送達経路にて動作することを表している。2つの異なる経路が関与しているという説を試験するために、Pim−1−/−−/−B細胞でのニュートロカイン−アルファ媒介生存におけるラパマイシンの効果を試験した。ラパマイシンの添加は、Pim−1−/−−/−B細胞におけるB細胞生存を増強するためのニュートロカイン−アルファの能力を無効にした。さらなる調査によって、Pim2機能のみ欠損しているPim−1+/−−/−B細胞が、Pim−1+/−−/−B細胞と同様にラパマイシンに対して感受性であり、このことは、Pim1が、B細胞生存におけるニュートロカイン−アルファの効果に対して必須ではないことを示唆している。すべてまとめると、これらのデータは、ニュートロカイン−アルファ媒介生存を調節するために働く2つの独立した経路が存在すること、およびいずれの経路のみが、ニュートロカイン−アルファの本活性に対して必要であること、を示している。
【0587】
さらなる実験によって、末梢BおよびT細胞ホメオスタシスを促進することにおいて役割を果たすBcl−2ファミリーメンバーである、Mcl−1の発現が、B細胞生存の効果的な増強(アポトーシス誘導に対する保護)のために必要であることが示唆された(データは示していない)。
【0588】
したがって、akt/mTOR経路の阻害剤(たとえばラパマイシン)と、Pim2経路の阻害剤を含む組成物を、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストによって誘導される効果を摸倣するために使用しうる。したがって、Akt/mTOR経路の阻害剤(たとえばラパマイシン)と、Pim2経路の阻害剤を、B細胞生存を阻害するため、本明細書で開示した疾患または障害の1つ以上を処置するために、ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストとして使用してよい。たとえば、Akt/mTOR経路の阻害剤(たとえばラパマイシン)と、Pim2経路の阻害剤を含む組成物、B細胞ライフスパンを減少させるために使用してよい。さらに、Akt/mTOR経路の阻害剤(たとえばラパマイシン)と、Pim2経路の阻害剤を含む組成物を、自己免疫疾患を処置するために使用してよい。特定の実施形態において、Akt/mTOR経路の阻害剤(たとえばラパマイシン)と、Pim2経路の阻害剤を含む組成物を、B細胞仲介自己免疫疾患を処置するために使用してよい。他の特定の実施形態において、Akt/mTOR経路の阻害剤(たとえばラパマイシン)と、Pim2経路の阻害剤を含む組成物を、自己抗体が優勢な自己免疫疾患を処置するために使用してよい。特定の実施形態において、Akt/mTOR経路の阻害剤(たとえばラパマイシン)と、Pim2経路の阻害剤を含む組成物を、慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、重症筋無力症、シェーグレン症候群、1型糖尿病、特発性血小板減少性紫斑病、ギラン・バレー(Gullian−barre)症候群、橋本甲状腺炎、またはグレーブス病を処置するために使用してよい。
【0589】
さらに、阻害剤Mcl−1を含む組成物を、ニュートロカイン−アルファアンタゴニストによって誘導される効果を摸倣するために使用してよい。したがって、Mcl−1の阻害剤を含む組成物を、B細胞生存を阻害するために、または本明細書で開示した疾患または障害の1つ以上を処置するために、ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストとして使用してもよい。たとえば、阻害剤Mcl−1を含む組成物を、B細胞寿命を減少させるために使用してよい。特定の実施形態において、阻害剤Mcl−1を含む組成物を、自己免疫疾患を処置するために使用してよい。他の特定の実施形態において、阻害剤Mcl−1を含む組成物を、B細胞媒介自己免疫疾患を処置するために使用してよい。特定の実施形態において、阻害剤Mcl−1を含む組成物を、慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、重症筋無力症、シェーグレン症候群、1型糖尿病、特発性血小板減少性紫斑病、ギラン・バレー症候群、橋本甲状腺炎、またはグレーブス病を処置するために使用してよい。
【0590】
実施例5 抗体製剤の特性化
示差走査熱量測定による、10mMヒスチジンおよび10mMクエン酸緩衝液中の1mg/ml IgG1/λ抗体を用いて、各製剤中の抗体の温度安定性を評価した。本研究で使用した特定の抗体は、ニュートロカイン−アルファに対して特異的であり、ニュートロカイン−アルファ活性を中和可能である、IgG1/λ抗体であった。解析によって、融解温度が、6.0〜7.5のpH範囲の両方の緩衝液に対してもっとも高く、より高い融解温度が一般的により高い温度安定性を示唆することが明らかになった。クエン酸緩衝液の融解温度は、このpH範囲で、ヒスチジン緩衝液よりも〜2℃高く、これは、クエン酸緩衝液が、より安定な抗体製剤を生成しうることを示唆している。しかしながら、タンパク質の温度可逆性は、クエン酸緩衝液中よりも、ヒスチジン緩衝液中でより高かった。これは、抗体が、そのより低い融解温度にかかわらず、クエン酸中よりもヒスチジン中にてより大きな生理学的安定性を持つことを示唆している。これは、2〜8℃にて18時間にわたり保存した場合に、10mMクエン酸よりも10mMヒスチジンがより少ない凝集となったことがわかった、抗体製剤の安定性試験によって確認された。安定性試験の間、2つの緩衝液の緩衝能力を、繰り返しpH測定によって評価した。抗体に対してより大きな生理学的安定性を提供することに加えて、ヒスチジンは、6.5〜7.0のpH範囲でのクエン酸に比べて、pH6.0〜6.5にてより大きな緩衝能力を提供すると見られる。18ヶ月安定性試験において、ヒスチジン製剤は、すべての試験した温度(2〜8℃、25℃および40℃)にて、長時間安定pHにて維持された。反対に,クエン酸製剤は、より高い温度にて、より広い変化を持った(データは示していない)。
【0591】
実施例6 抗体製剤の長期安定性試験
抗体製剤の保存寿命を測定するために、10mMヒスチジン、150mM NaCl、0.01%(w/v)ポリソルベート80、pH6.0中での、100mg/ml抗体の長期安定性試験を実施した。本試験で使用した特定の抗体は、ニュートロカイン−アルファに対して特異的で、ニュートロカイン−アルファ活性を中和可能な、IgG1/λ抗体であった。5mlガラスバイアル中の2mlの分液を24ヶ月間、−80℃、2〜8℃、25℃および40℃にて直立で保存した。試料を対照として−80℃にて、保存寿命を決定するために2〜8℃、起こりうる任意の可能性ある分解経路をモニタするために加速条件(25℃および40℃)にて保存した。24時間にわたり定期的に、試料を目視検査、pH、濃度、SDS−PAGE、SEC−HPLC、イオン交換−HPLC(IE−HPLC)、バイオアッセイ、キャピラリー等電点電気泳動法(cIEF)、ペプチドマッピング、RP−HPLCおよびISOQUANT(登録商標)を含む多数のアッセイによって解析した。
【0592】
SEC−HPLC、IE−HPLCおよびRP−HPLCによる2〜8℃および−80℃にて24時間保存した試料の解析は、すべての3つの方法によって視覚的に同等であり、わずかな差しか観察されなかった。2〜8℃試料は、1ヶ月あたりおよそ0.03%の割合で、SEC−HPLC純度が減少し、1ヶ月あたり0.14%のおよその割合で早期溶出IE−HPLCピーク(ほとんど脱アミノ化による)にて増加した(データは示していない)。2〜8℃試料は、24時間の保存後、抗体の凝集(0.1%未満)、アミド分解(〜4%)、および酸化(1%)においては小さな差しか示さなかった。しかしながら、有意な分解が、加速条件下で保存した使用に関するすべてのアッセイによって観察された。加速条件下でのSEC−HPLCによって観察された分解には、凝集および断片化の両方が含まれた。加速条件下でのIE−HPLCは結果として早期溶出ピークにおける増加となる。アミド分解および断片化が、25℃にてペプチドマッピングによって観察され、アミド分解、酸化、断片化およびアスパラギン酸からイソアスパラギン酸への転位が40℃にて観察された。したがって、本発明の医薬製剤中の100mg/mlのIgG1/λ抗体は、少なくとも24時間の保存の間、2〜8℃で安定である。
【0593】
実施例7 ニュートロカイン−アルファ−ニュートロカイン−アルファレセプター相互作用の阻害に関して試験するためのインビトロアッセイ
以下は、化合物がニュートロカイン−アルファのアンタゴニストとして働くかどうか試験するために使用可能なアッセイを記述している。特に、本アッセイは、可溶性ニュートロカイン−アルファの、IM9細胞上のその同種レセプターへの結合を阻害する化合物の能力を測定する。
【0594】
ビオチン化ニュートロカイン−アルファの調製
100μgのヒトまたはマウスいずれかのニュートロカイン−アルファを、slide−a−lyzerカセット(Pierce)を用いて、50mM重炭酸ナトリウム(炭酸水素ナトリウム)pH8.5に対して、4℃にて一晩透析する。翌日、NHS−ビオチン(Pierce)を13.3mg/mlまでDMSO中に溶解する。ついでこれを、20:1 ビオチン:ニュートロカイン−アルファの分子比で、ニュートロカイン−アルファに加え、混合し、2時間氷上でインキュベートする。ビオチン化ニュートロカイン−アルファをついで、4℃にて一晩、slide−a−lyzerカセットも用いて、無菌PBS(Sigma)内で再び透析する。ビオチン化ニュートロカイン−アルファの生物活性を、レセプター結合阻害アッセイを用いて確認する(以下を参照のこと)。
【0595】
IM9細胞の維持
IM9細胞は、ニュートロカイン−アルファレセプターを発現しているBリンパ球細胞株である。IM9細胞は、4mM L−グルタミン、10% FCS、10U ペニシリン、100g/ml ストレプトマイシン(すべての試薬はSigmaから)を含むRPMI−1640中で維持可能である。細胞を凍結ストックから融解し、濃度が4〜8×10/mlに達した時に、培養液中5日後にアッセイで使用可能である。
【0596】
レセプター結合阻害アッセイ
平底96ウェルプレート(Costar)を、室温にて1時間、ウェルあたり100μlのPBS中のポリ−L−リシンの1:10希釈(Sigma)でコーティングする。ついでプレートを水で2回洗浄し、風乾させて、4℃にて一晩おいた。100μlのIM9細胞(RPMI−1640培養培地中10/ml)をついで各ウェルに加える。プレートをついで、3200rpmにて5分間遠心して、細胞をペレットにする。培地を注意深く吸引し、200μlのMPBS(3%Marvelブロッキング溶液を含むPBS)を各ウェルに加える。プレートをついで1時間、室温にてブロックする。
【0597】
別の96−ウェルプレートにて、MPBS中10μlのビオチン化ニュートロカイン−アルファ(162.5ng/ml)を各ウェルに加えて、最終濃度25ng/mlとする。55μlの各試験化合物を各ウェルに加える。各ウェル中の最終容量は65μlである。好ましくは、試験化合物もMPBS中で希釈する。ついでプレートを室温にて30分間インキュベートする。
【0598】
IM9コートプレートを、PBSにて2回洗浄し、タップ乾燥させ、すぐに50μlのファージ/ビオチン化ニュートロカイン−アルファ混合物を加え、室温にて1時間インキュベートする。プレートをPBSTにて3回、PBSにて3回洗浄し、タップ乾燥させ、50μlのストレプトアビジン−Defia(Wallac)を各ウェルに、製造者のアッセイ緩衝液中1:1000希釈にて加える。ついでプレートを室温にて1時間インキュベートし、Delfia洗浄溶液にて6回洗浄する。プレート乾燥をタッピングした後、100μl/ウェルのDelfia増強溶液(Wallac)を加える。プレートを、ミセル形成を促進するために穏やかにタップし、室温にて10分間インキュベートし、蛍光を6520nMにて、ワラック1420ワークステーション上でよむ。
【0599】
本アッセイに含める適切な対照には、ビオチン化ニュートロカイン−アルファのそのレセプターへの最大の結合が本アッセイにおいてなんであるか、を示すためにバイオニュートロカイン−アルファのみの試料、および本アッセイで、バックグラウンドシグナルを示すために、バイオニュートロカイン−アルファを含まない試料、が含まれる。さらに有用な対照は、非ニュートロカイン−アルファ特異的、または「無関係(irrelevant)」化合物、つまり試験化合物と構造的に同様であるが、ニュートロカイン−アルファまたは1つのニュートロカイン−アルファレセプターいずれかと相互作用するとは考えられていない化合物である。もし試験化合物が、IgG1イソタイプの抗ニュートロカイン−アルファ抗体である場合、好適な「無関係」対照は、ニュートロカイン−アルファまたはそのレセプターの1つに対して非特異的な他のIgG1抗体であり得る。
【0600】
実施例8 ニュートロカイン−アルファアンタゴニスト分子のインビトロスクリーニングに対するヒトB細胞増殖アッセイ
推定ニュートロカイン−アルファアンタゴニストの効果を査定するための1つのバイオアッセイを、それぞれ3×ストック試薬として調製する、等用量のニュートロカイン−アルファ、応答細胞、および推定アンタゴニストを混合することによって、96ウェルフォーマット中、三回で実施した。
【0601】
B−リンパ球を、MACS(抗−CD3欠損)によってヒト扁桃腺から精製し、洗浄し、完全培地(CM)(100U/mlペニシリン、100μg/ml ストレプトマイシン、4mM グルタミン、5×10E−5 ベータ−メルカプトエタノールを含む10% FBSを含むRPMI1640)中で、3×10細胞/mLの濃度で再懸濁する。Staphylococcus aureus、Cowan I(SAC、CalBiochem)を、3×濃度で細胞に加える(3×=ストックの1:33,333希釈)。
【0602】
一方、可能性のあるアンタゴニストの8連続希釈(3倍)をCM中で調製し、希釈したアンタゴニストはアッセイで試験すべき最終濃度3×である。たとえば、抗体を日常的に、10ug/mLの最終濃度で開始し、約1.5ng/mLまでさげて試験する。
【0603】
ヒトrニュートロカイン−アルファを、CM中3×濃度(3×=300ng/mL、30ng/mLおよび3ng/mL)まで、CM中で調製する。可能性あるアンタゴニストを、予測されない低親和性またはアンタゴニスト濃度のための偽陰性を避けるために、7つの濃度のニュートロカイン−アルファにて日常的に試験する。
【0604】
5マイクロリットルの希釈アンタゴニストおよび50uLの希釈ニュートロカイン−アルファをついで、50uLの細胞混合液を含むウェルに加える。
【0605】
ついで細胞を、完全に加湿したチャンバー内で、72時間(37℃、5% CO)インキュベートする。72時間後、細胞に、0.5μCi/ウェル H−チミジン(6.7Ci/mmol)を加え、さらに24時間インキュベートする。プレートを、Tomtec Cell Harvesterを用いて回収し、フィルターを、TopCount Scitillation計数機(Packard)中で計数する。
【0606】
本アッセイに含める適切な対照には、本アッセイで、最大H−チミジン取り込みがなんなのかを示すために、アンタゴニストを含まない試料、および本アッセイでバックグラウンドシグナルを示すために、ニュートロカイン−アルファを含まない試料が含まれる。さらに有用な対照は、非ニュートロカイン−アルファ特異的、または「無関係」化合物、つまり試験化合物と構造的に同様であるが、ニュートロカイン−アルファまたは1つのニュートロカイン−アルファレセプターいずれかと相互作用するとは考えられない化合物である。たとえば、もし試験化合物が、IgG1イソタイプの抗ニュートロカイン−アルファ抗体である場合、好適な「無関係」対照は、ニュートロカイン−アルファまたはそのレセプターの1つに対して非特異的な他のIgG1抗体であり得る。
【0607】
当業者は、たとえば、段階の順番または使用する試薬など、本アッセイに改変を加えてよいことを理解するだろう。特定の例として、B細胞をSACの代わりに抗IgMでプライムしてよい。当業者は、ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストとして働く化合物の能力を試験するために使用しうる他のアッセイも知っている。
【0608】
実施例9 ニュートロカイン−アルファアンタゴニスト分子のインビトロスクリーニングのための齧歯類B細胞増殖アッセイ
可能性あるニュートロカイン−アルファアンタゴニストが、ニュートロカイン−アルファ媒介B細胞増殖を阻害するかどうかを決定するために、齧歯類脾臓細胞増殖アッセイを実施してよい。簡単に記すと、齧歯類脾臓細胞を、25gニードルおよび10mlの完全培地(100U/mlペニシリン、100μg/ml ストレプトマイシン、4mM グルタミン、5×10E−5 β−メルカプトエタノールを含む10% FBSを含むRPMI1640)を用いて、脾臓をフラッシングすることによって単離する。細胞を100ミクロンナイロンフィルターに通して、細胞クランプを除去する。ついで細胞懸濁液を、400×gで、室温にて25分間フィコールする(1つの15ml円錐チューブ/脾臓、3mlフィコール、10ml細胞懸濁液/脾臓、SigmaからのFicol1083)。回収した細胞を、完全培地中で三回洗浄し、計数する。回収した細胞をついで、3×濃度のSAC(3×=ストックの1:33,333希釈、ストックは、CalBiochemから入手可能な、Staphylococcus aureus(Cowan I株)の10%懸濁液)を含む完全培地中、3×10/mlの濃度まで希釈する。
【0609】
各抗体に対して、30μg/ml、3.0μg/mlおよび0.3μg/ml濃度での50マイクロリットルの抗体希釈液を、96ウェルプレートの個々のウェルに三回で分液する。抗体を含まない(必要なら(市販されている)ヒトアイソタイプ対照を含む)培地を陰性対照として使用する。
【0610】
ニュートロカイン−アルファタンパク質を、300ng/ml、90ng/mlおよび30ng/mlの濃度まで完全培地中で希釈する。50マイクロリットルの各ニュートロカイン−アルファ希釈液を、ついでプレート中の抗体希釈系列に加える。抗体およびニュートロカイン−アルファ希釈液を含むプレートを、ついで37℃、5%COにて30分間インキュベートし、後にSACを含む50マイクロリットルの脾臓細胞懸濁液をすべてのウェルに加える。ついでプレートを72時間(37℃、5%CO)インキュベートする。
【0611】
72時間後、各ウェルに、50μlの、0.5μCiの3H−チミジン(6.7Ci/mM、アマシャム(Amersham))を含む完全培地を加え、細胞をさらに20〜24時間、(37℃、5%CO)にてインキュベートする。インキュベーションンの後、細胞を、Tomtec Cell Harvesterを用いて回収し、フィルターを、TopCount Scitillation計数機(パッカード)にて計数する。
【0612】
当業者は、たとえば、段階の順番または使用する試薬など、本アッセイに改変を加えてよいことを理解するだろう。特定の例として、B細胞をSACの代わりに抗−IgMでプライムしてよい。当業者は、ニュートロカイン−アルファのアンタゴニストとして働く化合物の能力を試験するために使用しうる他のアッセイも知っている。
【0613】
本発明が、以上の記述および実施例にてとくに記述された以外で実施しうることが明らかである。本発明の多数の改変および変法が、以上の技術に関して可能であり、したがって、付随する請求項の目的の範囲内である。
【0614】
(特許、特許明細書、雑誌記事、研究室マニュアル、本または他の文書を含む)明細書で引用されたすべての発行物が参考文献によって本明細書に援用されている。
【0615】
さらに、コンピュータおよび紙面両方でここに提出された配列表が、そのすべてが参考文献によって本明細書に援用されている。したがって、以下の米国特許仮出願および非仮出願特許明細書および国際特許出願のそれぞれの(明細書、配列表および図表を含む)すべての開示物が、そのすべてが参考文献によって本明細書に援用されている。2005年10月13日に出願された、米国特許仮出願明細書番号第60/725,625号、2005年11月14日に出願された第60/735,967号、2006年2月27日に出願された第60/776,664号、2006年3月13日に出願された第60/781,387号、2006年3月31日に出願された第60/787,557号、2006年5月4日に出願された第60/797,360号、2006年6月20日に出願された第60/814,870号、2006年6月22日に出願された第60/815,558号、2006年6月23日に出願された第60/815,827号、2006年7月31日に出願された第60/834,150号、2005年10月13日に出願された第60/725,626号、2005年11月14日に出願された第60/735,988号、2006年2月27日に出願された第60/776,665号、2006年5月4日に出願された第60/797,351号、2006年6月20日に出願された第60/814,869号、2006年6月22日に出願された第60/815,559号、2006年7月31日に出願された第60/834,152号、2005年10月13日に出願された第60/725,627号、2005年11月14日に出願された第60/735,964号、2006年2月27日に出願された第60/776,658号、2005年10月13日に出願された第60/725,629号、2005年11月14日に出願された第60/735,963号、2006年2月27日に出願された第60/776,660号、2005年10月13日に出願された第60/725,628号、2005年11月14日に出願された第60/735,987号、2006年2月27日に出願された第60/776,659号、2004年2月11日に出願された第60/543,261号、2004年6月18日に出願された第60/580,387号、2004年10月12日に出願された第60/617,191号、2002年4月1日に出願された第60/368,548号、2001年12月7日に出願された第60/336,726号、2001年11月16日に出願された第60/331,478号、2001年10月31日に出願された第60/330,835号、2001年10月18日に出願された第60/329,747号、および2001年10月17日に出願された第60/329,508号、2000年8月15日に出願された第60/225,628号、2000年8月23日に出願された第60/227,008号、2000年9月22日に出願された第60/234,338号、2000年10月17日に出願された第60/240,806号、2000年11月30日に出願された第60/250,020号、2001年3月6日に出願された第60/276,248号、2001年5月25日に出願された第60/293,499号、2001年6月7日に出願された第60/296,122号、2001年7月13日に出願された第60/304,809号、1999年3月2日に出願された第60/122,388号、1999年3月12日に出願された第60/124,097号、2000年3月26日に出願された第60/126,599号、1999年4月2日に出願された第60/127,598号、1999年4月16日に出願された第60/130,412号、1999年4月23日に出願された第60/130,696号、1999年4月27日に出願された第60/131,278号、1999年4月29日に出願された第60/131,678号、1999年5月28日に出願された第60/136,784号、1999年7月6日に出願された第60/142,659号、1999年7月27日に出願された第60/145,824号、1999年11月24日に出願された第60/167,239号、1999年12月3日に出願された第60/168,624号、1999年12月16日に出願された第60/171,108号、1999年12月23日に出願された第60/171,626号、2000年1月14日に出願された第60/176,015号、および1997年1月14日に出願された第60/036,100号、2005年2月10日に出願された米国非仮出願明細書番号第11/054,539号、2003年12月19日に出願された第10/739,042号、2003年12月16日に出願された第10/735,865号、2002年10月16日に出願された第10/270,487号、2001年8月14日に出願された第09/929,493号、2000年6月8日に出願された第09/588,947号、2000年6月8日に出願された第09/589,285号、2000年6月8日に出願された第09/589,286号、2000年6月8日に出願された第09/589,287号、2000年6月8日に出願された第09/589,288号、2000年2月22日に出願された第09/507,968号、1999年2月23日に出願された第09/255,794号、および1998年1月12日に出願された第09/005,874号、および2001年8月15日に出願された、国際特許出願番号第PCT/US01/25549号、2000年2月22日に出願された第PCT/US00/04336号、および1996年10月25日に出願された第PCT/US96/17957号。
図1
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]