(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5936998
(24)【登録日】2016年5月20日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】引戸の振れ止め装置
(51)【国際特許分類】
E05D 13/00 20060101AFI20160609BHJP
E05F 7/04 20060101ALI20160609BHJP
【FI】
E05D13/00 G
E05F7/04
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-279361(P2012-279361)
(22)【出願日】2012年12月21日
(65)【公開番号】特開2014-122500(P2014-122500A)
(43)【公開日】2014年7月3日
【審査請求日】2014年11月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000169329
【氏名又は名称】アトムリビンテック株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000119449
【氏名又は名称】磯川産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081271
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 芳春
(74)【代理人】
【識別番号】100159628
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 雅比呂
(74)【代理人】
【識別番号】100162189
【弁理士】
【氏名又は名称】堀越 真弓
(72)【発明者】
【氏名】関内 和貴
(72)【発明者】
【氏名】飯島 弘久
(72)【発明者】
【氏名】大出 育生
【審査官】
家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−155309(JP,A)
【文献】
特開2010−090553(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05D 11/00−13/00
E05F 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
戸板に取り付けられ該戸板の下端に沿って配置されるレール部材と、該レール部材に沿って摺動可能に該レール部材に係着したガイド部材と、前記レール部材に取り付けられ前記ガイド部材の前記レール部材に沿った摺動を阻止するための1対の摺動阻止部材と、床に固着される薄板状のベース部材とを備え、
前記ガイド部材の側面には凹溝が該ガイド部材の摺動方向に対して平行に設けられていると共に、前記ベース部材には前記凹溝と挿嵌結合可能な突条が設けられており、
前記1対の摺動阻止部材の一方に前記ガイド部材が押し当たることにより該ガイド部材の前記レール部材に沿った摺動が阻止され該ガイド部材が前記戸板の移動に従って移動することによって前記ガイド部材の前記凹溝と前記ベース部材の前記突条との挿嵌結合又は挿嵌結合解除がなされるように構成されていることを特徴とする引戸の振れ止め装置。
【請求項2】
前記ガイド部材の一端が前記1対の摺動阻止部材の一方に押し当たることにより前記ガイド部材の前記凹溝と前記ベース部材の前記突条とが挿嵌結合し、該ガイド部材の他端が前記1対の摺動阻止部材の他方と押し当たることにより前記ガイド部材の前記凹溝と前記ベース部材の前記突条との前記挿嵌結合が解除されるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の引戸の振れ止め装置。
【請求項3】
前記ガイド部材は、両側面に、該ガイド部材の摺動方向に沿った1対の前記凹溝をそれぞれ有しており、
前記ベース部材は、一方が開口した略U字形状を有していると共に、該略U字形状の前記開口から内側にかけて前記ガイド部材を受入れ可能な受部を有しており、該受部の内部には前記1対の凹溝にそれぞれ挿嵌結合可能な1対の前記突条が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の引戸の振れ止め装置。
【請求項4】
前記ガイド部材の前記1対の凹溝には、前記受部への進入方向側に溝幅を広く形成してなる係合案内部がそれぞれ設けられており、
前記ベース部材の前記受部の前記開口の近傍には、外側から内側に向けて斜めに形成された受部案内辺が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の引戸の振れ止め装置。
【請求項5】
前記ベース部材はベース部材側ロック片を有しており、前記ガイド部材は前記ベース部材側ロック片に係止可能なガイド部材側ロック片を有しており、
前記ガイド部材の前記1対の凹溝が前記ベース部材の前記1対の突条に挿嵌した際に前記ガイド部材側ロック片と前記ベース部材側ロック片とが係止されロックされるように構成されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の引戸の振れ止め装置。
【請求項6】
前記ベース部材の前記受部における前記開口と対向する奥端部に前記ベース部材側ロック片が設けられており、
前記ガイド部材の前記ベース部材の前記奥端部と対向する部分に、前記ガイド部材側ロック片が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の引戸の振れ止め装置。
【請求項7】
前記ガイド部材は、両側面に、該ガイド部材の摺動方向に沿った1対の幅広溝をそれぞれ有しており、前記レール部材は、開口端縁の両端縁が内側に曲がった略コ字形状の軸断面を有しており、前記レール部材の前記両端縁が前記ガイド部材の前記1対の幅広溝にそれぞれ遊挿されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の引戸の振れ止め装置。
【請求項8】
前記1対の摺動阻止部材の各々は、前記ガイド部材の摺動阻止位置を調整するストッパアジャスタを備えていることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の引戸の振れ止め装置。
【請求項9】
前記レール部材は、前記戸板内に前記下端から挿着されていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の引戸の振れ止め装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上吊り式引戸における戸板下部の振れを抑えるための引戸の振れ止め装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な引戸又は部屋を必要に応じて間仕切る間仕切りパネルの一部を利用した引戸として、上吊り式の戸板又はパネル(以下、総称して「戸板」という)を用いた上吊り式引戸が存在する。上吊り式引戸は、床面をバリアフリーにすることができるという利点がある反面、レール等で吊られた戸板の下端が床面から離隔しているため、戸板下部がその厚み方向(正面−背面方向)に横振れし易いという問題点を有している。そこで、一般的な上吊り式引戸では、床面に固定した略ピン状の支持具を、戸板下端の受入部に係合させることにより、戸板下部の横振れを抑える振れ止め装置が多くの場合に用いられる。
【0003】
このような略ピン状の支持具は、床面に固定され突出した状態となっているため、引戸を使用していない場合等において、その支持具に足を引っ掛ける等の安全上の不具合を発生させるおそれがあった。さらに、引戸が略ピン状の支持具と戸板の受入部とが係合するピンポイントの位置で床面に拘束されるため、戸板の固定位置を引戸開閉方向にずらすことが難しかった。戸板の固定位置をフレキシブルに変更するためには、略ピン状の支持具を引戸開閉方向に沿って一定の間隔で複数設置するか、下部レールを敷く必要があり、上吊り式引戸の利点であるバリアフリーが活かせなくなるという問題があった。
【0004】
また、
図8に示すようなレイアウトの間仕切りシステムでは、上吊りレール8に沿って戸板(パネル)が移動するように構成されており、この間仕切り用パネルで壁面を構成することにより、1つの部屋を仕切って複数の独立した部屋として使用できるようになっている。壁面を構成する戸板は、フランス落とし等により、戸板が横振れしないように床面に固定されているが、部屋と部屋との間を行き来するための引戸として用いる戸板については、その都度、フランス落としを固定及び固定解除する必要があり、これは非常に煩雑であった。
【0005】
戸板の横振れを防止する装置として、特許文献1には、戸板の下端縁に固着され、磁石がその両端部に配置されたレールと、床面に固着され、磁性体からなる揺動プレートが回動自在に取り付けられた台座とからなる折戸の振れ止め装置が記載されている。この振れ止め装置によれば、台座の上を戸板が通過すると、戸板の端部に設けられた磁石の吸引力により、台座内から磁性体の揺動プレートが突出してレールに係合し、戸板の横振れを抑制する。また、戸板を収納する際には、レールに取り付けられた磁石から揺動プレートが遠ざかることによってこの揺動プレートは元の位置に戻り、台座内に収容される。床に固着された台座は薄いプレートから構成されるため、通行等の妨げにならないとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4210628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の振れ止め装置は、揺動プレートが台座と回動軸の1軸のみで支持されているという構造上、戸板の厚み方向(正面−背面方向)に印加される外部の力に対する強度が弱いという問題点を有していた。
【0008】
さらに、揺動プレートを確実に突出させるため、レールに強力な磁石が取り付けられていることから、取扱に注意が必要であるという問題点をも有していた。
【0009】
本発明は上述した点に鑑み案出されたもので、その目的は、戸板の厚み方向に印加される外部の力に対する強度が高く、丈夫で安全に使用できる引戸の振れ止め装置を提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、磁石を用いることなく、床面に固着された部材と戸板側に固着された部材とを係合させる新たな構造の引戸の振れ止め装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の引戸の振れ止め装置は、戸板に取り付けられこの戸板の下端に沿って配置されるレール部材と、レール部材に沿って摺動可能にこのレール部材に係着したガイド部材と、レール部材に取り付けられガイド部材のレール部材に沿った摺動を阻止するための1対の摺動阻止部材と、床に固着される薄板状のベース部材とを備えている。ガイド部材の側面には凹溝がこのガイド部材の摺動方向に対して平行に設けられていると共に、ベース部材には凹溝に挿嵌結合可能な突条が設けられており、1対の摺動阻止部材の一方にガイド部材が押し当たることによりガイド部材のレール部材に沿った摺動が阻止され、ガイド部材が戸板の移動に従って移動することによってガイド部材の凹溝とベース部材の突条との挿嵌結合又は挿嵌結合解除がなされるように構成されている。
【0012】
床面の所定位置に薄板状のベース部材を固着しておき、引戸を開閉する。ガイド部材は、戸板の下端に沿って配置されたレール部材に係着されているため、引戸の移動に伴ってベース部材の近傍に移動する。1対の摺動阻止部材の一方にガイド部材が押し当たると、ガイド部材のレール部材に沿った摺動が阻止され、摺動が阻止された状態で戸板が移動すると、ガイド部材の凹溝とベース部材の突条との挿嵌結合又は挿嵌結合解除がなされる。ガイド部材の凹溝とベース部材の突条とが挿嵌結合すれば、ベース部材が床面に固着されているため、ガイド部材を介して戸板下端側は床面に固定され、戸板の横振れ(厚み方向への振れ)が抑制される。また、ガイド部材の凹溝とベース部材の突条との挿嵌結合が解除されれば、戸板は自由に移動できる。このように、戸板側に取り付けられるガイド部材の摺動方向に対して平行に設けられた凹溝と床に固着されるベース部材の突条との挿嵌結合によって戸板の横振れが抑制されるので、戸板の厚み方向に印加される外部の力に対する強度が高く、丈夫であり、安全に使用することができる。また、床面には薄板状のベース部材のみが固着される構造であるため、引戸の移動後には歩行や作業の邪魔にならず、見栄えもよい。さらに、一方の摺動阻止部材にガイド部材が押し当たると、ガイド部材のレール部材に沿った摺動が阻止され、摺動が阻止された状態で戸板が移動すると、ガイド部材の凹溝とベース部材の突条との挿嵌結合又は挿嵌結合解除がなされるので、戸板を移動させるのみで、戸板の横振れを容易に抑制又は解除することができる。さらにまた、1対の摺動阻止部材の一方にガイド部材が押し当たることによりガイド部材のレール部材に沿った摺動が阻止されガイド部材の凹溝とベース部材の突条との挿嵌結合解除がなされるので、戸板を動かしても直ちに挿嵌結合解除とはならず、ガイド部材とベース部材とが結合した状態でガイド部材がレール部材に沿って摺動できる一定の摺動範囲において戸板の横振れの抑制状態が継続するため、安全に使用することができる。なお、ガイド部材がレール部材に沿って摺動できるように構成されているため、ガイド部材とベース部材とが挿嵌結合する位置、即ち戸板の振れを抑制すべき位置を任意に調整することができる。
【0013】
ガイド部材の一端が1対の摺動阻止部材の一方に押し当たることによりガイド部材の凹溝とベース部材の突条とが挿嵌結合し、このガイド部材の他端が1対の摺動阻止部材の他方と押し当たることによりガイド部材の凹溝とベース部材の突条との挿嵌結合が解除されるように構成されていることが好ましい。この際、ガイド部材はベース部材と結合した状態でレール部材内を摺動するため、戸板の横振れが抑制された状態で引戸の移動を行うことができ、安全である。
【0014】
ガイド部材は、両側面に、ガイド部材の摺動方向に沿った1対の凹溝をそれぞれ有しており、ベース部材は、一方が開口した略U字形状を有していると共に、この略U字形状の開口から内側にかけてガイド部材を受入れ可能な受部を有しており、この受部の内部には1対の凹溝にそれぞれ挿嵌結合可能な1対の突条が設けられていることも好ましい。1対の凹溝に1対の突条が挿嵌することにより、戸板下端部はガイド部材の両側面を介して床面に固着されたベース部材に確実に固定されるため、戸板の横振れを確実に抑制することができる。
【0015】
ガイド部材の1対の凹溝には、受部への進入方向側に溝幅を広く形成してなる係合案内部がそれぞれ設けられており、ベース部材の受部の開口の近傍には、外側から内側に向けて斜めに形成された受部案内辺が設けられていることも好ましい。これにより、戸板の移動に伴ってガイド部材がベース部材の受部に進入する際に、多少進入方向や位置がずれていたとしても、ガイド部材の係合案内部やベース部材の受部案内辺に案内されて、ガイド部材の進入方向や位置が修正され、ガイド部材の凹溝はベース部材の突条にスムーズに挿嵌される。
【0016】
ベース部材はベース部材側ロック片を有しており、ガイド部材はベース部材側ロック片に係止可能なガイド部材側ロック片を有しており、ガイド部材の1対の凹溝がベース部材の1対の突条に挿嵌した際にガイド部材側ロック片とベース部材側ロック片とが係止されロックされるように構成されていることも好ましい。これにより、戸板の横振れをより安定して抑制することができる。なお、この場合、ベース部材の受部における開口と対向する奥端部にベース部材側ロック片が設けられており、ガイド部材のベース部材の奥端部と対向する部分に、ガイド部材側ロック片が設けられていることがより好ましい。戸板の移動に伴う移動により、ガイド部材がベース部材の受部に進入すると、ガイド部材の凹溝がベース部材の突条に挿嵌して結合され、さらに受部の奥まで進入すると、ベース部材側ロック片とガイド部材側ロック片との係止がなされロックがなされる。
【0017】
ガイド部材は、両側面に、このガイド部材の摺動方向に沿った1対の幅広溝をそれぞれ有しており、レール部材は、開口端縁
の両端縁が内側に曲がった略コ字形状の軸断面を有しており、レール部材の両端縁がガイド部材の1対の幅広溝にそれぞれ遊挿されていることも好ましい。
【0018】
1対の摺動阻止部材の各々は、ガイド部材の摺動阻止位置を調整するストッパアジャスタを備えていることも好ましい。ガイド部材が押し当たる位置がストッパアジャスタによって調整されるため、ガイド部材とベース部材とが結合又は結合解除する位置を任意に調整することができる。
【0019】
レール部材は、戸板内に下端から挿着されていることも好ましい。レール部材が戸板の内部に埋設されるため、このレール部材が引戸の操作者の邪魔になることがなく、また、見栄えもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、以下のような効果を有する引戸の振れ止め装置が得られる。
(1)戸板側に取り付けられるガイド部材の摺動方向に対して平行に設けられた凹溝と床に固着されるベース部材の突条との挿嵌結合によって戸板の横振れが抑圧されるので、戸板の厚み方向に印加される外部からの力に対する強度が高く、丈夫であり、安全に使用することができる。
(2)床面には薄板状のベース部材のみが固着される構造であるため、引戸の移動後には歩行や作業の邪魔にならず、見栄えもよい。
(3)戸板を移動させるのみで、戸板の横振れを容易に抑制又は解除することができる。
(4)1対の摺動阻止部材の一方にガイド部材が押し当たることによりガイド部材のレール部材に沿った摺動が阻止されガイド部材の凹溝とベース部材の突条との挿嵌結合解除がなされるので、戸板を動かしても直ちに挿嵌結合解除とはならず、ガイド部材とベース部材とが結合した状態でガイド部材がレール部材に沿って摺動する一定の摺動範囲において戸板の横振れの抑制状態が継続するため、安全に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態に係る振れ止め装置の構成を概略的に示す分解斜視図である。
【
図2】
図1の振れ止め装置のガイド部材の構造を概略的に示しており、(A)は斜視図、(B)は
図2(A)のA−A線断面図である。
【
図3】
図1の振れ止め装置のベース部材の構造を概略的に示しており、(A)は平面図、(B)は
図3(A)のB−B線断面図である。
【
図4】
図2に示すガイド部材と
図3に示すベース部材とが(A)挿嵌結合する前の状態を示す斜視図、(B)挿嵌結合した状態を示す斜視図である。
【
図5】
図4(B)のC−C線断面図及び断面図の一部拡大図である。
【
図6】本発明の振れ止め装置の動作状態を概略的に示しており、(A)ガイド部材がベース部材に結合されていない状態にある場合の一部切り欠き側面図、(B)ガイド部材がベース部材と一部結合されている状態となった場合の一部切り欠き側面図、(C)ガイド部材がエンドブロック部材に押し当たることによりベース部材に結合された状態となった場合の一部切り欠き側面図である。
【
図7】本発明の振れ止め装置の動作状態を概略的に示しており、(A)ガイド部材がベース部材に結合された状態にある場合の一部切り欠き側面図、(B)戸板を移動させることにより、ベース部材との結合状態を維持したままガイド部材がレール部材に沿って摺動している状態の一部切り欠き側面図、(C)ガイド部材がエンドブロック部材に押し当たることによりベース部材との結合を解除しようとする状態となった場合の一部切り欠き側面図、(D)ガイド部材がエンドブロック部材に押し当たったまま戸板が移動することにより、ベース部材との結合が解除された状態となった場合の一部切り欠き側面図である。
【
図8】本発明の振れ止め装置が適用される間仕切りシステムのレイアウトを示す図であって、部屋を上側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、
図1〜
図4を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る引戸の振れ止め装置1について説明する。
【0023】
図1に示すように、本実施形態に係る引戸の振れ止め装置1は、開口端縁
の両端縁が内側に曲がった略コ字形状の軸断面を有するレール部材2と、レール部材2に摺動可能に取り付けられた(係着された)略直方体状のガイド部材3と、ガイド部材3が摺動する方向の前後におけるレール部材2にそれぞれ取り付けられた1対のエンドブロック部材(本発明の1対の摺動阻止部材に対応する)5及び6と、床9に取り付けられたベース部材4とから主に構成されている。
【0024】
レール部材2は、アルミ合金等の金属材料で形成されており、その開口部が床9の方向(下方)を向くように戸板7の下端に沿って配置されている。本実施形態においては、レール部材2は、戸板7の下端に形成された堀込溝70内に挿入固定されている。このため、このレール部材2及びレール部材2内に係着されるガイド部材3は外部に露出されないので、外部から目立たず、見栄えがよいように構成されている。レール部材2のレール長さは、特に限定されないが、レール部材2内を摺動するガイド部材3の摺動範囲を長くすることにより、戸板7を移動させた際に戸板7の横振れの抑制状態を継続させることができる観点から、できるだけ長く構成することが好ましく、戸板7の幅全体に亘って構成することが好ましい。なお、レール部材2を戸板7の堀込溝70内に取り付けることなく、戸板7の下端面に直接取り付けることも可能である。また、レール部材2を樹脂材料で形成することも可能である。
【0025】
1対のエンドブロック部材5及び6は、ストッパ5a及びストッパアジャスタ5bと、ストッパ6a及びストッパアジャスタ6bとから主に構成されている。これらは本実施形態ではABS樹脂等の樹脂材料で形成されているが金属材料で形成してもよい。これらエンドブロック部材5及び6は、本実施形態では、レール部材2の長手方向の両端部に位置してガイド部材3の摺動領域を規定している。即ち、ガイド部材3がレール部材2に沿って摺動すると、エンドブロック部材5及び6のいずれか一方に当接して、ガイド部材3の摺動が規制されるように構成されている。ストッパアジャスタ5b及び6bはねじ5c及び6cによって摺動阻止位置を微調整するために設けられている。これにより、ガイド部材3が押し当たる位置がストッパアジャスタ5b及び6bによって調整されるため、ガイド部材3とベース部材4とが結合又は結合解除する位置を任意に調整することができる。エンドブロック部材5及び6はストッパ5a及び6aを介してそれぞれレール部材2に取り付けられている。これらストッパ5a及び6aの固定は、レール部材2を戸板7へ取り付けする際に木ねじ等で同時に取り付けられる。なお、本実施形態においては、摺動阻止部材として、レール部材2の長手方向の両端部に配置されたエンドブロック部材5及び6を用いているが、レール部材2自体の長さや、ガイド部材3を摺動させたい距離等に応じて配置位置が両端部以外の任意の位置とした摺動阻止部材を用いることも可能である。
【0026】
ベース部材4は、一方が開口した略U字形状の薄板状に形成されている。このベース部材4は、ガイド部材3と係合可能な位置の床9に固着される。より具体的には、ベース部材4は、レール部材2に取り付けられたガイド部材3が戸板7の移動に伴って移動する移動線上の床9にねじ等で取り付けられる。このベース部材4にガイド部材3が結合することによって、戸板7の横振れ(厚み方向の振れ)を抑制することができる。
【0027】
ガイド部材3は、本実施形態では、ポリアセタール樹脂等の樹脂材料で形成されているが、金属材料で形成してもよい。以下、
図2を参照し、ガイド部材3の構造について詳細に説明する。
図2(A)に示すように、本実施形態におけるガイド部材3は略直方体状であり、このガイド部材3の摺動方向側を正面又は背面とすると、両側面の上側には外方向に突出する丸みをおびた1対の第1段部30が摺動方向(長手方向)に沿ってそれぞれ形成されており、両側面の下側にも外方向に突出する面取りされた1対の第2段部31が長手方向に沿ってそれぞれ形成されている。この1対の第1段部30及び1対の第2段部31の間がそれぞれ1対の幅広溝35を構成している。この1対の幅広溝35には、レール部材2の内側に曲がった両開口端縁が遊挿されている。これにより、ガイド部材3はレール部材2から抜け落ちないようにレール部材2に沿って摺動可能であると共に、レール部材2の上下方向にも移動できるようになっている。これによりガイド部材3の上下方向の位置調整が可能となる。即ち、ガイド部材3は、床9に固着されたベース部材4と係合させるため、少なくともベース部材4に接するように配置されるが、調整が容易である観点から、床9に接するように構成されていることが好ましい。具体的には、ガイド部材3は、第1段部30が抜け止めとなってレール部材2から懸吊されるが、ガイド部材3の幅広溝35の幅と第2段部31の底面からの距離を足した距離を、レール部材2の下端から床9までの距離よりも長く設計しておくことにより、ガイド部材3の底面が自重により床9に接するようになる。それゆえ、ガイド部材3そのものが取り付け高さを調整するように作用するため、戸板7に対するレール部材2やガイド部材3の取り付け高さの細かな調整の必要がなく、振れ止め装置1の取り付けや調整が非常に容易になる。
【0028】
上述した第2段部31には、1対の凹溝32が長手方向に沿って形成されている。1対の凹溝32は、ベース部材4の後述する1対の突条41とそれぞれ挿嵌結合できるように構成されている。具体的には、レール部材2に沿って摺動したガイド部材3が床9に設置されたベース部材4を通過しようとする際に、1対の凹溝32が1対の突条41にそれぞれ挿嵌結合するように構成されている。さらに、本実施形態の各凹溝32は、正面側、即ち、ベース部材4に対向する面側の溝幅が他の部分よりも広く形成された係合案内部32aを有している。このような係合案内部32aを設けることにより、各凹溝32の各突条41への挿嵌を円滑に行うことができ、たとえば、各突条41に対する各凹溝32の進入方向がずれていたとしても、係合案内部32aに案内されて各凹溝32が各突条41に進入でき、各凹溝32と各突条41とがスムーズに挿嵌結合することができる。
【0029】
図2(A)及び2(B)に示すように、ガイド部材3のベース部材4と対向する下面の中央部には切り欠きが設けられており、この切り欠きが後述するベース部材4のベース部材側ロック片42を受け入れ可能とする格納部34を構成している。格納部34内には、ベース部材側ロック片42と係止可能なガイド部材側ロック片33が設けられている。本実施形態においては、ガイド部材側ロック片33は、下方に突出する凸部33aを備えた舌部を構成しており、この舌部の凸部33aがベース部材側ロック片42の凹部42bとスナップフィットで係止するいわゆる片持ち梁型の脱着可能なスナップフィット構造が採用されている。このスナップフィットにより、ガイド部材3とベース部材4とが確実に連結固定される。
【0030】
本実施形態においては、
図2(A)及び
図2(B)に示すように、ガイド部材3がその上面から下面に向けて掘り込みされた2つの非貫通孔及び貫通孔を有しているが、これらの孔はガイド部材3の軽量化及び材料低減を図るために形成されたものであり、必須のものではない。
【0031】
以下、
図3を参照しベース部材4の構造について詳細に説明する。
図3(A)に示すように、ベース部材4は一方が開口した略U字形状の薄板状に形成されている。薄板の厚みは特に限定されないが、床面に配置して違和感のない厚みであることが好ましく、具体的には7mm以下がより好ましく、5mm以下であることが特に好ましい。さらに、ベース部材4の周縁部は、その他の部分より薄くなるようにテーパーをつけて形成されており、床9との段差をできるだけ低減できるように工夫されている。ベース部材4は、床9と接して取り付けられ、特に本実施形態では4つのねじ孔43を介してねじで床面に固定されている。ベース部材4は、本実施形態においては、亜鉛合金をダイカストして形成されているが、ステンレス鋼等の他の金属材料又は樹脂材料を用いることも可能である。
【0032】
ベース部材4には、略U字形状の開口から内側にかけて、戸板7の移動に伴って移動してきたガイド部材3を受け入れ可能な受部40を有している。
図3(A)及び
図3(B)に示すように、この受部40には、前述したガイド部材3の1対の凹溝32とそれぞれ挿嵌結合するように構成された1対の突条41が、先端開口から連続する両端部にそれぞれ設けられている。本実施形態においては、1対の突条41は、受部40の先端開口から連続する両端部の裏面側を切り欠いてそれぞれ形成されている。また、各突条41の高さは各凹溝32の深さ以下となっており、各突条41と各凹溝32との挿嵌結合状態が維持できるように構成されている。各突条41と各凹溝32とがいったん挿嵌結合した後は、ガイド部材3が進入方向とは逆方向に移動することによってこの挿嵌結合が解除されるように構成されている。さらに、本実施形態においては、受部40のU字形の先端開口近傍には、ガイド部材3が摺動してきた際、スムーズに受部40に進入できるよう、ハの字状に外側から内側にかけて斜めに形成された受部案内辺40aが設けられている。それゆえ、ガイド部材3がベース部材4の受部40に近接した際、進入方向や位置が多少ずれていたとしても、受部案内辺40aに案内されて進入方向や位置が修正され、スムーズなガイド部材3の進入がなされ、凹溝32と突条41との挿嵌結合が可能となる。
【0033】
図3(A)及び
図3(B)に示すように、受部40の奥、即ち、ベース部材4の開口に対向する奥端部には、ベース部材側ロック片42が設けられている。このベース部材側ロック片42は、ガイド部材3の格納部34に進入し、このガイド部材3のガイド部材側ロック片33を係止してロックがなされるように構成されている。本実施形態においては、
図3(B)に示すように、ベース部材側ロック片42は上方に突出する凸部42aとその基部に設けられた凹部42bとを有している。前述したように、この凹部42bとガイド部材側ロック片33の凸部33aとが互いに係合してロックする片持ち梁型のスナップフィット構造が構成されている。また、この凸部42aと凹部42bとの間の傾斜角は、ガイド部材側ロック片33とベース部材側ロック片42との係止及びその解除が可能となるように、鈍角となっている。
【0034】
次に、ガイド部材3がベース部材4と係合して固定される動作について、
図4及び
図5を用いて説明する。本発明の振れ止め装置1においては、ガイド部材3はレール部材2に取り付けられた状態で動作し、ベース部材4に係合して固定されるが、
図4及び
図5では、ここではガイド部材3及びベース部材4以外の構成を省略して表されている。
図4(A)に示すように、ガイド部材3はガイド部材側ロック片33及び格納部34を有する面が、ベース部材4の受部40の開口と向き合うようにレール部材2に取り付けられている。他方、ベース部材4は、レール部材2に取り付けられたガイド部材3の移動線上に位置するように床9に固着され、ガイド部材3がベース部材4の受部40に進入する向きに配置されている。ガイド部材3が戸板7の移動に伴って移動し、ベース部材4を通過する際に、ガイド部材3はベース部材4の受部40の先端開口から進入し、先端開口から連続する両端部に備えられた1対の突条41にガイド部材3の両側面に備えられた1対の凹溝32がそれぞれ挿嵌する。その際、ガイド部材3の進入方向がずれている場合には、ベース部材4の受部案内辺40aに接触して受部案内辺40aに案内され、受部40の内部に進入する。また、1対の凹溝32に、ベース部材4に対向する面側が他の部分よりも広く構成されてなる係合案内部32aが設けられているため、1対の凹溝32と1対の突条41との挿嵌結合を円滑に行うことができる。
【0035】
図4(B)に示すように、1対の凹溝32に1対の突条41がそれぞれ挿嵌された状態で、ガイド部材3が受部40の奥まで進入することにより、ガイド部材3はベース部材4に確実に固定される。即ち、この場合、
図5に示すように、ベース部材4の受部40の奥端部に設けられたベース部材側ロック片42とガイド部材3のガイド部材側ロック片33とが係止されてロックされている。その際、ベース部材側ロック片42は、ガイド部材3の格納部34内に進入している。具体的には、
図5に示すように、ガイド部材側ロック片33の凸部33aがベース部材側ロック片42の凸部42aを超えて凹部42bに嵌り込むことにより、ベース部材4とガイド部材3とがロック状態で固定されることとなる。また、このガイド部材側ロック片33とベース部材側ロック片42とのロックが解除可能となるように、ガイド部材側ロック片33の凸部33aの傾斜角並びにベース部材側ロック片42の凸部42a及び凹部42bで形成される斜面の角度等が設計されている。このように、本発明の振れ止め装置1は、1対の凹溝32と1対の突条41との動作と共に、ガイド部材側ロック片33とベース部材側ロック片42との係止によるロックにより、ガイド部材3がベース部材4に固定されるため、戸板7の厚み方向に印加される外部の力に対する強度が高く、丈夫であり、確実に戸板7の横振れを抑制して安全に戸板7を使用することができる。
【0036】
次に、
図6及び
図7を参照しつつ、本実施形態における振れ止め装置1全体の動作を説明する。本実施形態における振れ止め装置1は、引戸として動作させる戸板7aの下端に形成された堀込溝70(
図1参照)内に挿入固定されたレール部材2と、このレール部材2に摺動可能に係着されたガイド部材3と、ガイド部材3の摺動方向の前後のレール部材2に取り付けられた2つのエンドブロック部材5及び6と、床9に固定されたベース部材4とから主に構成されている。ベース部材4は、
図6(C)に示すように、戸板7aを戸板7bと隣接させて閉止状態とした際に、ガイド部材3が戸板7aの移動方向とは逆側のエンドブロック部材5に当接する(押し当たる)位置の下方の床9に固着されている。また、ガイド部材3はガイド部材側ロック片33及び格納部34を有する面が、ベース部材4の受部40の開口と向き合うようにレール部材2に取り付けられている。さらに、ガイド部材3は、床9に固着されたベース部材4と係合できるよう、その下面が床9に接するように構成されている。具体的には、ガイド部材3の幅広溝35の幅を、一般的なレール部材2の下端から床9までの距離と同程度〜15mm程度長く設計し、戸板7aの床9からの高さやレール部材の取り付け高さが多少異なった場合にも、対応できるように構成されている。このように、ガイド部材3そのものが取り付け高さを調整するように作用するため、戸板7aに対するレール部材2やガイド部材3の取り付け高さの細かな調整の必要がなく、振れ止め装置1の取り付けや調整が容易となっている。
【0037】
以下、
図6を参照しつつ、戸板7aを振れ止め装置1を介して床9に固定させる際の動作を説明する。
図6(A)及び
図6(B)に示すように、戸板7aを戸板7bと隣接させて閉止させるべく矢印方向に移動させると、レール部材2に取り付けられているガイド部材3も戸板7aの移動に伴って移動する。ベース部材4はガイド部材3の移動線上の床9に固着されているため、戸板7aが移動することにより、
図6(B)に示すように、ガイド部材3はベース部材4の受部40に進入し、1対の凹溝32が1対の突条41に挿嵌し始める。これにより、戸板7aの横振れをある程度抑制することができる。さらに、戸板7aを閉止方向(矢印方向)に移動させていくと、ガイド部材3は、凹溝32と突条41との係合状態を維持しつつ、戸板7aの摺動方向とは逆方向にレール部材2中を摺動する。そして、
図6(C)に示すように、ガイド部材3は戸板7aの移動方向とは逆方向のエンドブロック部材5に当接するが、その際、戸板7aを閉止方向に移動させる力がエンドブロック部材5を介してガイド部材3にかかるため、エンドブロック部材5はガイド部材3をベース部材4の受部40方向へ押し進める。その結果、ガイド部材3は、ベース部材4の受部40の奥まで入り込むと共にガイド部材側ロック片33とベース部材側ロック片42とが係止してロックがなされ、ガイド部材3がベース部材4に確実に固定される。このように、本発明の振れ止め装置1は、1対の凹溝32と1対の突条41との挿嵌結合と共に、ガイド部材側ロック片33とベース部材側ロック片42とが係止してガイド部材3とベース部材4とがロックされるため、戸板7aの厚み方向に印加される外部の力に対する強度が高く、丈夫であり、確実に戸板7aの横振れを抑制して安全に引戸として使用することができる。
【0038】
次に、
図7を参照しつつ、振れ止め装置1を介して床9に固定されていた戸板7aを開放させる際の動作を説明する。
図7(A)及び
図7(B)に示すように、ガイド部材3とベース部材4とが互いに固定された状態で、戸板7aを開放方向(矢印方向)に移動させると、ガイド部材3は、ベース部材4との結合状態を維持したまま、戸板7aの移動方向とは逆方向にレール部材2内を摺動する。それゆえ、戸板7aの横振れが確実に抑制された状態で引戸操作者は戸板7aの移動を行うことができるため、戸板7aの移動を行ったとたんに戸板7aが床面から開放されて振れ動いたりすることがなく、安全に戸板7aの移動を行うことができる。戸板7aを開放方向(矢印方向)にさらに移動させていくと、
図7(C)に示すように、ガイド部材3は戸板7aの移動方向とは逆方向のエンドブロック部材6に当接するが、その際、戸板7aを開放方向に移動させる力がエンドブロック部材6を介してガイド部材3にかかるため、エンドブロック部材6はガイド部材3をベース部材4の開口方向へ押し進める。それゆえ、ガイド部材3のガイド部材側ロック片33とベース部材4のベース部材側ロック片42との係止が解除され、さらに、ガイド部材3の1対の凹溝32とベース部材4の1対の突条41との挿嵌結合も解除され、
図7(D)に示すように、ガイド部材3はベース部材4の受部40から退出する。これにより、ガイド部材3とベース部材4との固定が解除され、振れ止め装置1が解除される。さらに、振れ止め装置1による戸板7aの横振れの抑制が解除された後には、ガイド部材3は、戸板7aと共に移動するため、床9には薄板状のベース部材4が残るのみであり、引戸操作者や周囲を歩行する者等の邪魔にはならず、外観上も目立たないため、美観にも優れる。
【0039】
なお、戸板7aを出入りのための引戸として使用する際には、
図7(A)〜
図7(C)に示すように、ガイド部材3とベース部材4との結合状態を維持しながらガイド部材3がレール部材2内を摺動する範囲内で、戸板7aを移動させて戸を開閉することが好ましい。これにより、ガイド部材3とベース部材4との結合を介して戸板7aが床9に固定された状態で戸板7aが移動するため、戸板7aの横振れが抑制され、安全に戸板7aを使用することができる。
【0040】
本実施形態の振れ止め装置1は、一例として、
図8に示すようなレイアウトの間仕切りシステムに好適に使用される。この間仕切りシステムでは、上吊りレール8に沿って戸板7(7a,7b,7c,7d,7e)が移動するように構成されており、この間仕切り用戸板7で壁面を形成することにより、1つの部屋を仕切って複数の独立した部屋として使用できるようになっている。この壁面を形成した戸板7のうち、戸板7b,7c及び7dはフランス落としにより、床9に固定されるが、戸板7aは引戸として使用する。この戸板7aに本実施形態の振れ止め装置1を取り付けることにより、戸板7aを安全に引戸として使用することができる。具体的には、戸板7aを閉止した状態で振れ止め装置1のガイド部材3とベース部材4とが結合するように振れ止め装置1を配置する。これにより、戸板7aを閉止した状態においては、戸板7aが振れ止め装置1を介して床9に固定される。さらに戸板7aを開放する際には、ガイド部材3がベース部材4と結合した状態でレール部材2に沿って摺動する間は戸板7aが床9に固定された状態であるため、戸板7aを開ける際に直ちに振れ止め装置1が解除されることがなく、操作者がバランスを崩すこと等がなく、安全に使用され得る。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明の戸板の振れ止め装置は、上吊り式の間仕切り戸板又は一般的な引戸等が用いられる建造物等に適用でき、広く役立つものである。
【符号の説明】
【0042】
1 振れ止め装置
2 レール部材
3 ガイド部材
30 第1段部
31 第2段部
32 凹溝
32a 係合案内部
33 ガイド部側ロック片
33a 凸部
34 格納部
35 幅広溝
4 ベース部材
40 受部
40a 受部案内辺
41 突条
42 ベース部材側ロック片
42a 凸部
42b 凹部
43 ねじ孔
5,6 エンドブロック部材
5a,6a ストッパ
5b,6b ストッパアジャスタ
5c,6c ねじ
7,7a,7b,7c,7d,7e 戸板
70 堀込溝
8 吊りレール
9 床