特許第5937061号(P5937061)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5937061
(24)【登録日】2016年5月20日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】入射流から揚力を生成するための翼
(51)【国際特許分類】
   B64C 3/10 20060101AFI20160609BHJP
   B64C 33/02 20060101ALI20160609BHJP
   F03D 80/00 20160101ALI20160609BHJP
【FI】
   B64C3/10
   B64C33/02
   F03D11/00 A
【請求項の数】13
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-504846(P2013-504846)
(86)(22)【出願日】2011年4月14日
(65)【公表番号】特表2013-527820(P2013-527820A)
(43)【公表日】2013年7月4日
(86)【国際出願番号】NL2011050253
(87)【国際公開番号】WO2011129696
(87)【国際公開日】20111020
【審査請求日】2014年3月28日
(31)【優先権主張番号】2004555
(32)【優先日】2010年4月15日
(33)【優先権主張国】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】512261539
【氏名又は名称】ビー.ブイ.グリーン エックス
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100148596
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 和弘
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】マスターズ, ロバート ジャン
【審査官】 志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】 仏国特許発明第00589848(FR,A)
【文献】 米国特許第05697468(US,A)
【文献】 独国特許発明第00657856(DE,C1)
【文献】 仏国特許発明第00417502(FR,A)
【文献】 特開2005−206148(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 3/00 − 3/16
B64C 3/38 − 3/58
B64C 21/00 − 23/08
B64C 27/46 − 27/467
B64C 33/00 − 33/02
A63H 27/00
A63H 27/28
F03D 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
後縁、前縁、内端、外端、吸込み側と一致する上面、および圧迫側と一致する底面と、
横断面において、翼弦線を有する翼形であって、前記翼弦線は当該翼形の前記前縁と前記後縁との間の直線によって画定される、翼形と、
前記翼弦線と直交する、前記内端から前記外端に向かって延びるスパン方向と、
を備え、
前記前縁が、
前記内端と前記外端との間のキンクであって、付加的な揚力をもたらすキンク渦を生成するキンクと、
記キンクに向かって延びる前記内端と前記外端との間の前方スイープ部であって、前記スパン方向に対して5°〜40°の前方角を呈する前方スイープ部と、
記キンクから延びる前記キンクと前記外端との間の後方スイープ部であって、前記スパン方向に対して−5°〜−40°の後方角を呈する後方スイープ部と、
をさらに含む、入射流から揚力を生成するための翼において、
前記上面が、前記生成されたキンク渦を妨げることにより前記揚力を制御するための流量制御手段を備え、
前記流量制御手段は、前記後方スイープ部と前記後縁との間に少なくとも部分的に位置し、
前記流量制御手段は、後縁の前に位置すると共に、前記翼の前記後縁の一部ではない、ことを特徴とする、翼。
【請求項2】
前記キンクの角度が180°未満である、請求項1に記載の翼。
【請求項3】
前記流量制御手段は、前記上面によって取り囲まれる、請求項1又は2に記載の翼。
【請求項4】
前記流量制御手段が、前記キンクと前記外端との間の前縁部の後方に完全に位置する、請求項1〜のいずれか一項に記載の翼。
【請求項5】
前記流量制御手段が、前記前縁と、前記前縁及び前記後縁の中間にある基準線との間に位置する、請求項1〜のいずれか一項に記載の翼。
【請求項6】
前記流量制御手段がヒンジ付き表面を含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の翼。
【請求項7】
前記ヒンジ付き表面が前記上面の5分の1未満である、請求項に記載の翼。
【請求項8】
前記ヒンジ付き表面が前記上面の10分の1を超える部分を覆う、請求項又はに記載の翼。
【請求項9】
前記内端において前記翼形が上反りにされ、前記外端において前記翼形が半対称である、請求項1〜のいずれか一項に記載の翼。
【請求項10】
請求項1〜のいずれか一項に記載の翼を少なくとも1つ備える空中輸送手段であって、
フレームと、
前記フレームに対して前記少なくとも1つの翼を羽ばたかせるための羽ばたき機構と、をさらに備える空中輸送手段。
【請求項11】
前記翼が、前記上面と前記底面との間に配置された流量制御アクチュエータをさらに備える、請求項10に記載の空中輸送手段。
【請求項12】
請求項1〜のいずれか一項に記載の翼を少なくとも1つ備える回転翼用の羽根であって、
前記流量制御手段が前記入射流を妨げるための通気孔を含む、回転翼用の羽根。
【請求項13】
請求項1〜のいずれか一項に記載の翼の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入射流から揚力を生成するための翼に関する。
【背景技術】
【0002】
翼は、現況技術でよく知られており、様々な目的で揚力を生成するために使用されることができる。
【0003】
航空機などの空中輸送手段では、揚力を生成するとともに空中輸送手段を安定させかつ制御するために、翼が使用される。従来の航空機は、胴体と、揚力を与えるための、胴体に取り付けられた主翼と、主に安定性および制御を与えるための、空中輸送手段の後部に設けられた水平尾翼及び垂直尾翼と、を備える。
【0004】
空中輸送手段を制御するために、これらの翼は、翼の上を流れる入射流に影響を与えるために制御手段を備えることができる。従来の制御手段は、例えば、補助翼、フラップ、スポイラ、またはそれらを組み合わせたものである。これらの制御手段は、翼の揚力が変化するように翼の上の流れを妨げて、力の変化を引き起こす。この揚力の変化により、空中輸送手段はピッチング、ヨーイング、またはローリングをすることができるようになる。
【0005】
効率的なピッチ、ヨー、およびロールのためには、制御手段は揚力の十分な変化を作り出さなければならない。このため、制御手段は比較的大きい表面積をもつことになる。これらの制御手段を作動させるためには、翼の質量に比べて有意に重い機構が必要である。
【0006】
露国特許公開第2,2666,233号明細書に開示されているような大型航空機の場合、制御手段は、翼の後縁付近に位置し、翼のスパンに沿って延びる。
【0007】
小型の空中輸送手段、特に無人の空中輸送手段(UAV)の場合、制御用の代替手段が使用される。国際公開第2008/125868号パンフレットは、調整可能な翼を有するUAVを示している。主翼のスイープ(sweep)およびスパンは、ローリングおよびヨーイングするために調整可能である。翼を調整するための機構は、複雑であり、翼の中に様々な桁、アクチュエータおよびヒンジを備える。これにより重量が増大し、したがってUAVの総合的な性能が低下する。
【0008】
これらの翼の欠点は、翼の揚力の十分な変化をもたらすために比較的重い精巧な制御手段が必要となりうることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の一目的は、上記の欠点のうちの少なくとも1つを除去すること、または、使用可能な代替手段を提供することである。
【0010】
特に、本発明の一目的は、揚力に対する十分な制御性を保つ翼の重量を軽くすることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、本発明の目的は、後縁、前縁、内端、外端、吸込み側と一致する上面、および圧迫側と一致する底面を含む、入射流から揚力を生成するための翼を提供することによって達成される。
【0012】
「揚力」は、翼に作用する入射流によって生成された任意の力と定義されることができる。
【0013】
入射流は任意の流体で構成することができる。流体は、任意の組成の気体または液体とすることができる。例えば、気体は空気とすることができ、あるいは液体は水、特に海水とすることができる。
【0014】
入射流は、流体が翼に対して移動することから生じることができる。あるいは、入射流は、翼が流体に対して移動することから生じることもできる。
【0015】
前縁は翼の前端に位置しており、流れを、上面をたどる流れと底面をたどる流れとに分離する。
【0016】
後縁は翼の後端に位置しており、分離された流れは上面および底面の上を通過してから後縁で合流する。
【0017】
翼の内端は翼の根端に面することができる。外端は翼の先端に面することができる。前縁、後縁、内端および外端は上面および底面を取り囲み、上面および底面は分離された面になる。
【0018】
翼は、横断面において、翼形の前縁と後縁との間の直線によって画定される翼弦線を有する翼形をさらに含む。
【0019】
翼形は断面で見られる翼の形状である。翼形は任意の形状とすることができる。翼形の形状は、翼形の形状に応じて揚力分布を提供する。翼形はよく知られており、翼形の形状はNACA番号で表されることが多い。
【0020】
翼形は、上面が底面での圧力より低い圧力になる吸込み側と一致するように設計される。底面は、上面での圧量より高い圧力になる圧迫側と一致する。
【0021】
翼形は、上面の上の前縁と後縁との間の距離が底面の上の前縁と後縁との間の距離より大きくなるように、上反りにされることが好ましい。
【0022】
これは、翼が揚力を生成することができるという利点を有する。さらなる利点は、上反りにされた翼形が、上面と底面との間に収納に使用されうる容積を与えることができることである。例えば、この容積は、ケーブルおよびワイヤを案内しかつ/または制御サーボなどの制御機構を置くために使用されることができる。
【0023】
断面で見られるように、揚力は入射流に対する翼の迎え角によっても生成されうる。迎え角は、翼の翼弦線と、翼と入射流との間の相対運動を表すベクトルと、の間の角度である。
【0024】
翼は、翼弦線と直交する、内端から外端に向かって延びるスパン方向も含む。
【0025】
正のスパン方向は、内端から外端に向かって外に向けられる。
【0026】
前縁は、内端と外端との間のキンク(kink)を含む。
【0027】
キンクは、180°未満の角度を有するとともに、翼弦線と平行な前進方向を指す形状を有することが好ましい。前進方向は、後縁から前縁に向かって延びる。
【0028】
入射流が前縁のキンクに達したときに、翼の上面をたどるキンク渦が生成される。キンク渦はスピニング流れ(spinning flow)である。スピニング流れは乱流または層流でもよい。キンク渦は、内端に面している側でキンクを通過する流れが外端に面している側を通過する流れとは異なる圧力を有するので、生成されることができる。キンク渦は、流れと上面との間の流れの分離を遅らせる。さらに、キンク渦は、流れがスピニングするためにより大きなエネルギーを含んでいるので、キンク渦は上面に付着し、後縁に向かって上面をたどる。キンク渦は上面に付加的な表面を形成する。このことは、キンク渦を覆う層流をもたらすことができる。層流は、キンク渦が存在しなかったときに比べて前縁から後縁に向かってより長い距離を移動しなければならない。これにより上面と底面との間の圧力差が大きくなり、付加的な揚力をもたらす。
【0029】
前縁は、スパン方向に対して0°〜90°の角度を呈する、キンクに向かって延びる内端とキンクとの間の前方スイープ部をさらに含む。
【0030】
前縁は、キンクに向かって延び、かつ、内端に面している前方スイープ部を含む。正の延長部が内端からキンクに向かって画定され、前進方向にスパン方向と正の角度を成す。前進方向は、流れの上流側、すなわち後縁から前縁に向かう方向を指す。
【0031】
別の実施形態では、スパン方向に対する前方スイープ部の角度は0°〜60°であり、別の実施形態では0°〜45°であり、別の実施形態では0°〜30°であり、別の実施形態では5°〜30°である。
【0032】
前縁は、スパン方向に対して0°〜−90°の角度を呈する、キンクから延びるキンクと外端との間の後方スイープ部を含む。
【0033】
前縁は、キンクから外端に向かって延びる後方スイープ部を含む。正の延長部がキンクから外端に向かって画定され、後退方向にスパン方向と負の角度を成す。後退方向は、流れの下流側、すなわち前縁から後縁に向かう方向を指す。
【0034】
別の実施形態では、スパン方向に対する後方スイープ部の角度は0°〜−60°であり、別の実施形態では0°〜−45°であり、別の実施形態では0°〜−30°であり、別の実施形態では−5°〜−30°である。
【0035】
上面は、キンクと外端との間の前縁部の間に少なくとも部分的に位置し、かつ、前縁と後縁との間に位置する、揚力を制御するための流量制御手段を備える。
【0036】
キンクの角度は180°未満であること、すなわち、前方スイープ部と後方スイープ部との間の角度は180°未満であることが好ましい。
【0037】
付加的な揚力をもたらすことができるキンク渦が生成されうることが有利である。
【0038】
キンク渦中に流量制御手段を置くことにより、付加的な揚力は流量制御手段によって制御されることができる。キンク渦は付加的な揚力を生成するので、流量制御手段を用いてキンク渦を妨げることは、揚力の変化をもたらすという点で最適となりうる。
【0039】
キンクによって生成されたキンク渦はキンクの下流側の上面をたどるので、流量制御手段を前縁と後縁との間に、すなわち前縁部の後方に置くことが最適となりうる。「後方」は、後縁に向かう下流側と定義される。前縁部は、キンクと外端との間を外端に向かって延びる。
【0040】
流れを制御することにより、具体的には、流量制御手段を用いてキンク渦を妨げることにより、揚力の変化は最適に生成されることができる。翼形によって生成される揚力が制御されうるだけでなく、キンク渦によって生成される付加的な揚力も制御されうる。これにより、揚力の同じ変化を生成するために必要な流量制御手段は、流量制御手段がキンク渦の外側に位置する場合に比べて小さくすることができる。流量制御が小さくなることにより、揚力の変化に対する十分な制御性を保ちながら、重量を減じ、複雑性を減少し、かつコストを低減することができる。
【0041】
流量制御手段は、ヒンジ付き表面を含むことが好ましい。
【0042】
第1の位置にあるヒンジ付き表面は、上面と共に滑らかな表面を形成する。第1の位置では、入射流には上面にでこぼこが見えず、流れは上面をたどることができる。ヒンジ付き表面は回転されて第2の位置とすることができ、ヒンジ付き表面は上面を妨げる。例えば、第2の位置にあるヒンジ付き表面は、上面と共に0°より大きい角度を成す。キンク渦には上面にでこぼこが見えて、キンク渦が妨げられ、キンク渦から付加的な揚力をもたらさない翼になる。したがって、第2の位置では揚力の変化が起こり、揚力を減少させる。このことは、後縁のフラップまたは補助翼が不要となりうるように、揚力の変化がヒンジ付き表面を使用することによって制御されうるという利点を有する。
【0043】
前方スイープ部は後方スイープ部より急勾配であることが好ましい。このため、キンクは外端よりも内端の近くに位置することになる。このことは、キンクのところで生成されたキンク渦が後縁および外端に向かって上面をたどることができるという利点を有する。外側に移動するキンク渦は、より高い付加的な揚力をもたらすことができる。
【0044】
一実施形態では、流量制御手段は後縁の前に位置する。「前に(before)」は、後縁に対して上流側の前縁に向かう流れと定義される。したがって、流量制御手段は前縁と後縁との間に位置する。流量制御手段は上面によって取り囲まれる。流量制御手段は翼の後縁の一部ではない。
【0045】
このことは、流量制御手段は、流量制御手段がキンクからさらに離れて位置する場合に比べてより小型かつ軽量になりうるという利点を有する。流量制御手段はキンク渦の起点により近接し、付加的な揚力の制御がより効果的になる。これにより、揚力に対して同じまたは十分な制御性を保ちながら、必要な流量制御手段を小さくすることができる。
【0046】
一実施形態では、キンクは内端と外端との間の直線の実質的に3分の1のところに位置し、直線はスパン方向と平行である。
【0047】
この直線の3分の1のところにキンクを配置すると、前方スイープ部は後方スイープ部より急勾配になる。これにより、キンク渦は、上面を外端に向かって、すなわちそれほど急勾配でない後方スイープ部に向かってたどることになる。このことは、キンク渦が外端の方へ向けられることができ、上面をたどるのに十分なスペースが利用可能となりうるという利点を有する。キンク渦が上面をたどる長さが長くなるほど、生成されうる付加的な揚力が大きくなる。この実施形態では、キンクの位置は、キンク渦によって生成される付加的な揚力を最適なものにするとともに、揚力の最適な変化が流量制御手段によって制御されうるという利点を有する。
【0048】
別の実施形態では、前方スイープ部は、スパン方向に対して5°〜40°の前方角を呈する。
【0049】
この範囲の角度は、この範囲の角度により、有意なキンク渦、すなわち上面をたどるのに十分なエネルギーを含むことができるキンク渦を生成できることになるという利点を有する。
【0050】
別の実施形態では、後方スイープ部は、スパン方向に対して−5°〜−40°の後方角を呈する。
【0051】
この範囲の角度は、この範囲の角度により、有意なキンク渦、すなわち上面をたどるのに十分なエネルギーを含むことができるキンク渦を生成できることになるという利点を有する。
【0052】
別の実施形態では、流量制御手段は、キンクと外端との間の前縁部の後方に完全に位置する。
【0053】
したがって、上面に含まれる流量制御手段は、外側に、すなわちキンクから見て外端の方に位置する。
【0054】
このことは、外側へ移動するキンク渦にとって特に有利である。この渦の場合、内側に、すなわちキンクから見て内端の方に部分的に位置する流量制御手段を有する必要はない。このことは、流量制御手段が揚力に対する十分な制御性を保ちながら重量を軽くすることができるという利点を有する。
【0055】
流量制御手段が、前縁と、前縁及び後縁の中間にある基準線との間に位置する、前記請求項の一項に記載の翼。
【0056】
基準線は上面を前縁と後縁との間で分割する。流量制御手段を基準線と前縁との間に配置すると、流量制御手段は後縁よりも前縁に近接する。このことは、キンク渦がキンクの比較的近くで妨げられうるという利点を有する。キンク渦は前縁から後縁に向かって下流に移動するので、キンク渦は流量制御手段によって比較的早く妨げられることができる。このことは、キンク渦が流量制御手段の上を移動せず、その結果、揚力の制御性の効果が低下しうるというリスクを低減することができる。したがって、キンク渦を早期に妨げると、制御性の安全性および確実性を高めることができる。
【0057】
一実施形態では、流量制御手段はヒンジ付き表面を含む。
【0058】
このことは、後縁のフラップまたは補助翼が不要となりうるように、揚力の変化がヒンジ付き表面によって制御されうるという利点を有する。
【0059】
別の実施形態では、ヒンジ付き表面は上面の10分の1未満である。したがって、ヒンジ付き表面の最大面積は上面の10分の1である。
【0060】
このことは、ヒンジ付き表面がキンク渦を妨げるのみに十分となりうるので、さらに大きいヒンジ付き表面が不要となりうるという利点を有する。
【0061】
別の実施形態では、ヒンジ付き表面は上面の20分の1を超える部分を覆う。したがって、ヒンジ付き表面の最小面積は上面の20分の1である。
【0062】
このことは、最小面積のヒンジ付き表面で、揚力の変化の十分な制御性を保ちながら、翼のスパン全体にわたって広がる後縁補助翼と比較して有意な重量減少が得られうるという利点を有する。
【0063】
内端において翼形が上反りにされ、外端において翼形が半対称である、前記請求項の一項に記載の翼。
【0064】
翼形の形状は、内端から外端に向かってスパン方向に沿って変化する。翼形は内端で上反りにされる。上反りの翼形により、共に前縁から始まり後縁で終わる湾曲した上面および湾曲した底面となる。上面での曲率は底面での曲率より大きくなり、その結果、上面は吸込み側になり、底面は圧迫側になる。外端において補助翼は半対称である。半対称の翼形により、共に前縁から始まり後縁で終わる湾曲した上面および平坦な底面となる。この場合もやはり、上面が吸込み側になり、底面が圧迫側になる。
【0065】
翼形を内端から外端にかけて変化させることの利点は、これにより翼が加速または減速されたときの性能を向上させることができるようになることである。例えば、翼が並進および/または回転の増大によって突然加速されたときに、上面および底面の上の流れは大きく変化する可能性がある。内端に上反りのプロファイルを有し、外端に半対称のプロファイルを有すると、翼で加速を変化させている間に両端の少なくとも一方の近傍で安定した流れをもたらすことができる。
【0066】
別の実施形態では、翼形の厚みはスパン方向に沿って外端に向かって減少する。
【0067】
翼形の厚みは、スパン方向に対して垂直な断面において、上面と底面との間の最大距離である。翼形の厚みを減少させることにより、翼の厚みは減少する。
【0068】
このことは、キンク渦が外端に向かって、すなわち翼の厚みが薄くなる方へ外側に移動するのを強制されうるという利点を有する。別の利点は、翼の厚みを薄くしていくことで、十分な構造的安定性を保ちながら翼の重量を軽くすることができることである。
【0069】
本発明は、入射流から揚力を生成するための翼を備える空中輸送手段にも関する。
【0070】
空中輸送手段は、有人または無人の空中輸送手段(UAV)とすることができる。空中輸送手段はよく知られている。鳥の飛行を模倣しようとする多くの試みがある。特に、鳥の羽ばたき翼を模倣しようとする多くの試みがある。鳥の翼は、自由先端と鳥の体に回転可能に固定された根端とを有する。鳥の翼の羽ばたき中に3つの特徴的な運動を確認することができる。
【0071】
第1の運動は先端の上下運動を反復することであり、根端は鳥の体に回転可能に固定される。第1の運動中、鳥の翼は、根端付近の、翼弦線と平行な軸線を中心に回転する。
【0072】
第2の運動は、スパン方向と平行な軸線を中心とする正回転および逆回転を反復することである。根端が本体に回転可能に固定され、かつ、先端が自由であるので、鳥の翼にねじれが現れる。
【0073】
第3の運動は、根端に対する先端の内方変位および外方変位を反復することである。この第3の運動は、ローイング運動のように見える。
【0074】
例えば、国際特許公開第2008/125868号パンフレットは、鳥の飛行を模倣したUAVを示している。このUAVは、第3の運動を模倣することができる、すなわち、このパンフレットは、スパンおよびスイープを調整することができる調整可能な翼を示している。翼の調整は、UAVを制御するために、すなわち、UAVをローリングおよびヨーイングさせるためにも使用される。
【0075】
一般に、空中輸送手段の制御は、ローリング、ヨーイングおよびピッチングのための制御を含む。ローリングは、長手方向軸線を中心とする回転と一致する。ヨーイングは、垂直軸線を中心とする回転と一致し、ピッチングは、垂直軸線および水平軸線に対する直交軸線を中心とする回転と一致する。
【0076】
他の刊行物からは、第1の運動および第2の運動を模倣することができるUAVなどの空中輸送手段が知られている。空中輸送手段を制御するために、すなわち空中輸送手段をローリングおよびヨーイングさせるために、反復運動の頻度の変化が使用される。
【0077】
これらの空中輸送手段の欠点は、羽ばたき翼の動力学のために制御するのが複雑であることである。
【0078】
本発明の一目的は、この欠点を解消すること、または少なくとも使用可能な代替手段を提供することである。
【0079】
特に、本発明の一目的は、空中輸送手段のロールおよびヨーに関して制御を簡素化にすることである。
【0080】
本発明によれば、本発明の目的は、フレームと、フレームに対して少なくとも1つの翼を羽ばたかせるための羽ばたき機構と、を備える空中輸送手段を提供することによって達成される。
【0081】
フレームは、推進手段、通信手段、案内および制御手段、ペイロード、または飛行に必要な他の手段を備えるのに適した、人工鳥の本体または任意の体とすることができる。
【0082】
一実施形態では、フレームは、飛行に必要な手段を内側に備えるための胴体である。
【0083】
別の実施形態では、フレームは、飛行に必要な手段を担持するための任意の体とすることができる。この手段の担持は体の外側または内側とすることができる。
【0084】
この実施形態の利点は、人間が飛行機またはヘリコプタに比べて比較的低いエネルギー量を使って空気によって輸送されうること、とすることができる。別の利点は、本発明による翼が、従来の翼を固定した空中輸送手段より低い騒音を可能にすることができることである。翼を固定した空中輸送手段による推進にはプロペラまたはタービンを必要とすることがある。少なくとも1つの翼を羽ばたかせるのは、比較的低くてよい頻度で行われることができる。羽ばたき機構の運動はプロペラまたはタービンの運動に比べて少ないので、よりエネルギー効率が高く、かつ、より騒音が低い推進をもたらすことができる。
【0085】
フレームは、人間によって着用されるバックパックであることが好ましい。このことは、人間の安全な輸送が可能となりうるという利点を有する。
【0086】
羽ばたき機構および翼が設けられたバックパックは、危険な状況が起きたときのフェイルセーフ解決策を可能にすることができる。例えば、危険な状況は推進の不調を含む。このような状況では、キンクおよび流量制御手段を備える翼は、人間を安全に飛ばすのに十分な揚力および制御を提供する。別の例で、危険な状況が人間と翼との間の接触を含む場合、人間に及ぼされる力は、プロペラ駆動の空中輸送手段によって人間に及ぼされる力よりずっと小さい。このことは墜落のリスクを低減することができる。
【0087】
羽ばたき機構は、少なくとも第1の運動、第2の運動および第3の運動のうちの1つを実行するのに適している。
【0088】
空中輸送手段はさらに、前述の諸実施形態のうちの1つによる翼を少なくとも1つを備える。
【0089】
前縁上にキンクを有する翼にキンク渦を妨げるのに適した流量制御手段を組み合わせるようにすると、ロールおよびヨーに関して制御性能を向上させた空中輸送手段を提供することができる。別の利点は、空中輸送手段のピッチングに水平尾翼しか必要ないことである。流量制御手段にキンク付き翼を組み合わせると、空中輸送手段はロールとヨーを組み合わせた運動を実行することが可能になる。
【0090】
本発明は回転翼用の羽根にも関する。風力タービンでは、タービンを駆動するために回転翼が使用される。これらの回転翼は、入射空気流により揚力を生成する羽根を2枚以上備えることが多い。入射空気流が大きい場合、回転翼は、空気流が小さい場合に比べてより速く回転することができる。
【0091】
これらの風力タービンの欠点は、回転速度を制動したり低下させたりするのにエネルギーを消費することである。
【0092】
本発明の一目的は、この欠点を解消すること、または少なくとも使用可能な代替手段を提供することである。
【0093】
特に、本発明の一目的は、回転速度をエネルギーに関してより効率的に制動したり低下させたりすることである。
【0094】
本発明によれば、本発明の目的は、前述の諸実施形態のうちの1つによる翼を少なくとも1つ備える、回転翼用の羽根を提供することによって達成され、流量制御手段は流れを妨げるための通気孔を含む。
【0095】
キンクとキンク渦中に置かれる流量制御手段とを備える羽根は、回転速度をより効率的に低下させることができる。キンク渦を妨げることにより、より小さい揚力が生成され、その結果、回転速度を制動したり低下させたりすることになる。
【0096】
本発明は、前述の諸実施形態のいずれかによる翼の使用にも関する。
【0097】
本発明のこれらおよびその他の実施形態ならびに本発明による方法は、従属請求項に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0098】
図1】本発明による翼の平面図である。
図2a】第1の位置にある流量制御手段を備える翼の翼形を示す翼の第1の断面図である。
図2b】第2の位置にある流量制御手段を備える翼の翼形を示す翼の断面図である。
図3】本発明の一実施形態を示す図であり、本発明による翼が、人工鳥である無人空中輸送手段に含まれている。
図4】本発明の別の実施形態を示す図であり、本発明による翼が、風力タービンに使用されるような回転翼に含まれている羽根である。
【発明を実施するための形態】
【0099】
本発明のこれらおよびその他の態様、特徴および利点は、翼の諸実施形態の以下の説明によってより詳細に説明されるが、以下の説明において同じ参照は同じ構成要素を示す。
【0100】
図1に、入射流Aから揚力を生成することができる翼1を示す。入射流Aは、空気流、流体流、気体流、または任意の流体流とすることができる。図1は平面図または上面図である。翼1は、前縁3、後縁5、内端7、および外端9を含む。上面10が示されており、上面10は、前縁3、後縁5、内端7、および外端9によって取り囲まれた領域である。内端7と外端9は共に前縁3と後縁5との間の縁部であることに留意されたい。
【0101】
図1には、上面10の反対側にある底面12は示されていない。底面12もまた、前縁3、後縁5、内端7、および外端9によって取り囲まれる。
【0102】
上面10は翼1の吸込み側と一致し、底面12は翼の圧迫側と一致する。これは、吸込み側における圧力が底面における圧力より低くなり、揚力をもたらすことを意味する。揚力は、上方を向いている力、すなわち底面12から上面10の方へ向いている力である。
【0103】
図2aおよび図2bに示されている断面図には、上反りの形状の翼形14が示されている。翼形14は、前縁3と後縁5との間の直線である翼弦線16を含む。翼形14の前縁3は、翼1のノーズ上のよどみ点と一致する。よどみ点は、流れの局所速度がゼロの点である。前縁3および後縁5は上面10および底面12を分離している。
【0104】
図1には、内端7から外端9に向かって延びるスパン方向20も示されている。スパン方向20は翼弦線16と直交する。
【0105】
図1は、内端7と外端9との間の前縁3上のキンク21を示す。キンク21は、翼1の上での流れAの結果としてキンク渦Bを生成する。キンク21は、前方スイープ部23および後方スイープ部25を有する前縁3に由来する。前方スイープ部23は内端7とキンク21との間に位置し、後方スイープ部25はキンク21と外端9との間に位置する。「前方」は、後縁5から前縁3の方に向いている方向と定義される。
【0106】
前縁3の前方スイープ部23は、スパン方向20に対して前方角αを呈する。この前方角αは、0°〜90°の値を有することが好ましい。
【0107】
前縁3の後方スイープ部25は、スパン方向20に対して後方角βを呈する。この後方角βは、0°〜−90°の値を有することが好ましい。
【0108】
前方スイープ部23および後方スイープ部25は、キンク渦Bおよび後縁5に面するキンク角γを作る。前方角α、後方角β、およびキンク角γの絶対値は180°に等しいことに留意されたい。
【0109】
キンク角γは180°未満であることが好ましい。
【0110】
図1はさらに、流量制御手段30を含む上面10を示している。流量制御手段30はヒンジ付き表面31であることが図2aおよび図2bにも示されている。ヒンジ付き表面31は、ヒンジ付き表面31が第1の位置から第2の位置まで回転されることを可能にするヒンジ33を備えることができる。第1の位置は、図2aに示されているように、上面10と円滑に位置合せされるヒンジ付き表面31に対応する。第2の位置は、図2bに示されているように、上面10に対して上方位置にあるヒンジ付き表面31に対応する。第2の位置では、ヒンジ付き表面31は上面10の上の流れAを妨げる。図1において、ヒンジ33は線ヒンジまたはピアノヒンジを備える。ヒンジ付き表面31は任意の形状とすることができる。図1では、ヒンジ付き表面31は正方形であるが、三角形や円形などの他の形状も可能であり予見される。
【0111】
流量制御手段30がキンク21と外端9との間の前縁部35の後方に少なくとも部分的に置かれた場合、流量制御手段30はキンク渦Bに影響を与えるために使用されることができる。
【0112】
このことは、キンク渦Bが妨げられ、その結果、揚力の変化を引き起こすことができるという利点を有する。キンク渦Bが妨げられると、揚力は減少することができる。キンク渦Bが翼1の揚力を変化させるために使用された場合、翼1を制御するために従来の補助翼を使用する必要はないかもしれない。
【0113】
図3は本発明の一実施形態を示しており、本発明による2つの翼101a、101bが、人工鳥である無人の空中輸送手段100に含まれている。
【0114】
この実施形態に記載されている要素は、前の実施形態内に記載されている対応する要素と組み合わされうることに留意されたい。
【0115】
この場合もやはり、図3では、第1の翼101aおよび第2の翼101bが胴体102に回転可能に取り付けられている。胴体102は、鳥の本体の形状を有することができる。第1の翼101aは第2の翼101bに対して対称であり、対称軸は、第1の翼101aの内端107aおよび第2の翼101bの内端107bと平行である。
【0116】
翼101a、101bは、前縁103a、103b、後縁105a、105b、内端107a、107b、および外端109a、109bを含む。上面110aは、前縁103a、103b、後縁105a、105b、内端107a、107b、および外端109a、109bによって取り囲まれる。
【0117】
前縁103a、103bは、キンク121a、121b、前方スイープ部123a、123b、および後方スイープ部125a、125bを含む。
【0118】
無人空中輸送手段100が大気中を飛ぶときに、キンク121a、121bは、上面110a、110bの上を後縁105a、105bに向かって移動するキンク渦を生成することができる。
【0119】
流量制御手段130a、130bを前縁部の後方に置くことにより、流量制御手段130a、130bはキンク渦を妨げることができる。前縁部は、キンク121a、121bと外端109a、109bとの間にある。
【0120】
2つの翼101a、101bは、鳥の本体の形をしている胴体102に対して羽ばたきすることができる。「羽ばたきする」は、3つの運動によって定義されることができる。
【0121】
第1の運動は内端107a、107bの上下運動を反復することであり、外端109a、109bは胴体102に回転可能に固定されている。第1の運動中、翼101a、101bは、内端107a、107b付近の翼弦線と平行な軸線を中心に回転する。
【0122】
第2の運動は、スパン方向と平行な軸線を中心とする正回転および逆回転を反復することである。内端107a、107bは胴体102で回転可能に固定され、外端109a、109bは自由であるので、無人空中輸送手段100の翼101a、101bにねじれが現れる。
【0123】
第3の運動は、外端109a、109bに対する内端107a、107bの内方変位および外方変位を反復することである。この第3の運動は、ローイング運動のように見える。
【0124】
図3に示されている実施形態は、第1の運動および第2の運動しか含まない。
【0125】
第1の運動は、第1の枢軸106bおよび第2の枢軸108bを含む羽ばたき機構によって提供される。第1の枢軸106bは第1の桁111bに回転可能に取り付けられ、第2の枢軸108bは第2の桁113bに回転可能に取り付けられる。第1の枢軸106bおよび第2の枢軸108bは、別々のサーボによって独立して作動されることができる。第1の枢軸106bが第2の枢軸108bと位相ずれして周期的に作動されたときに、第1の運動および第2の運動が作り出される。第1の枢軸106bを上方に作動させると、第1の桁111bは上方に動くことになる。同時に、第2の枢軸108bが下方に動くと、第2の桁113bは下方に動くことになる。第1の桁111bおよび第2の桁113bは翼101bに設けられるので、翼101bは、第1の運動および第2の運動を作り出す。翼101a、101bは可撓性材料で構成されることに留意されたい。
【0126】
特に、動的羽ばたき翼構成では、無人空中輸送手段を制御するのは困難となりうる。したがって、無人空中輸送手段100を流量制御手段130a、130bによって制御することを利用することが有利である。キンク121a、121bのところに生成されるキンク渦は、無人空中輸送手段100の翼101a、101bが羽ばたきするときでも制御可能である。羽ばたきする無人空中輸送手段を後縁に位置する補助翼によって制御するのは、制御および安定性に関してさらに信頼できないかもしれない。
【0127】
無人空中輸送手段は、無人空中輸送手段100のピッチング回転を安定化させるための水平尾翼140をさらに備える。
【0128】
図4は本発明の別の実施形態を示しており、本発明による翼は、風力タービンに使用されるような回転翼200に含まれる羽根201である。
【0129】
この実施形態に記載されている要素は、前の諸実施形態に記載されている対応する要素と組み合わされうることに留意されたい。
【0130】
羽根201は、前縁203、後縁205、内端207、および外端209を含む。さらに、前縁203は、キンク221、前方スイープ部223、および後方スイープ部225を含む。上面210では、流量制御手段230が、入射流に起因してキンク221によって生成されたキンク渦を妨げるように構成される。回転翼は、羽根201とタービンを駆動するロータ250とを備える。流量制御手段230は、空気を吸い込んだり空気を大気中に吹き込んだりすることができる通気孔231を含む。このように、キンク渦は妨げられることができ、羽根201によって生成された揚力は制御された態様で影響を受けることができる。羽根201によって生成される揚力は回転翼200の回転速度に対応している。回転翼は少なくとも1つの羽根201を備えることができる。
【0131】
羽根201に通気孔231を設けることにより、回転翼200の回転速度は、回転翼200のエネルギー効率の良い制御を可能にしながら、制御されることができる。
【0132】
本発明は既述の諸実施形態に限定されるものではない。既述の諸実施形態の任意の組合せも可能であり予見される。
【0133】
本発明による翼は、スポイラ、船用プロペラ、帆などの様々な装置に使用されることができる。
【0134】
本発明は、前述の諸実施形態のいずれかによる翼を備えるこれらの装置にも関する。
【0135】
別法では、前述の諸実施形態のいずれかに記述されている翼は、移動する輸送手段の入射流を減殺するためのスポイラに含まれる。本発明によるスポイラは、入射流がより正確に減殺されうるまたは妨げられうるという利点を有する。流量制御手段は、スポイラがキンク渦によって生成される付加的な揚力を制御することを可能にすることができる。スポイラによって生成される揚力をより正確に制御すると、移動する輸送手段のより有効なグリップをもたらすことができる。例えば、移動する輸送手段は、第1の状況にある路面に対してよりしっかりとグリップする必要がある。流量制御手段を制御することにより、路面に対するグリップは第2の状況に調整可能とすることができる。
【0136】
別の代替手段では、前述の諸実施形態のいずれかに記述されている翼は、海上輸送手段を推進するための船用プロペラに含まれる。
【0137】
本発明による船用プロペラは、海上輸送手段を推進させるとエネルギーに関してより高効率となりうるという利点を有する。翼によって生成される揚力は推進力として使用される。キンクがあるため生成される付加的な揚力は付加的な推進力に相当する。この付加的な推進力は、流量制御手段によって制御されることができる。
【0138】
あるいは、前述の諸実施形態のいずれかに記述されている翼は、帆力を生成するための帆に含まれる。
【0139】
本発明による帆は、流量制御手段によって制御されうる付加的な帆力が生成されうるという利点を有する。
【0140】
あるいは、流量制御手段は、揚力翼の変化および/または上面での圧力分布の変化を制御すること、および/または、入射流に対して翼を破壊すること、および/または、慣性基準に対して翼を破壊すること、に使用されることができる。
【0141】
慣性基準は、例えば地球とすることができる。「破壊する」は、慣性基準に対する相対速度を下げると定義される。
図1
図2a
図2b
図3
図4