(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも一の環状尿素Uと少なくとも一の多官能性アルデヒドAの反応生成物UAであって、前記反応生成物は、前記アルデヒドAのカルボニル炭素原子上の置換基として、ヒドロキシル基−OH及びアルコキシ基−ORから成る群から選択される少なくとも一種の官能基を有し、前記基−ORはアルコキシ基−OR1及び−OR2を含み、ここで、R1とR2の両者は、1〜12個の炭素原子を有する直鎖、分岐又は環状アルキル基から成る群から選択されることを特徴とし、前記炭素原子は1以上の−O−、−NR”−、−S−で遮断されていて良く、ここでR”はH又は1〜6個の炭素原子を有するアルキル基を表し、但し2個の−O−も2個の−S−原子も直接隣接しないでよく、ここで、
− R1とR2は互いに異なり、及びR2はR1より少なくとも1個多い炭素原子を有し、前記反応生成物UAは、
a)多官能性アルデヒドAを環状尿素Uと混合して付加反応を起こさせる工程、随意に、前記多官能性アルデヒドA、前記環状尿素U、及び前記反応生成物UAのいずれとも反応しない共溶媒の存在下であり、更に随意には水を除去する工程、
b)脂肪族アルコールR1−OHを添加する工程、及び酸性条件下でエーテル化する工程、
c)添加される脂肪族アルコールR2−OHと、酸性条件下で更にエーテル化する工程であって、R2−OHはR1−OH中よりも少なくとも1個多い炭素原子を分子中に有する、工程、
を含む方法により作製される、
反応生成物UA。
前記反応生成物中で化学的に結合されたアルコキシ基の物質量n(RO−)対環状尿素Uの物質量n(U)の比、n(RO−)/n(U)で計測されるエーテル化度が、少なくとも1.1mol/molである、請求項1又は2に記載の反応生成物UA。
前記環状尿素Uが、エチレン尿素、1,3−プロピレン尿素、1,2−プロピレン尿素、1,4−ブチレン尿素、グリコールウリル、及びこれらの少なくとも二種を含む混合物から成る群から選択されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の反応生成物UA。
前記環状尿素Uは、前記多官能性アルデヒドAとの反応の前に、再結晶、抽出、錯化、吸着及びイオン交換反応、蒸留、昇華、並びに溶融結晶化から成る群から選択される1以上の方法によって精製されることを特徴とする、請求項6に記載の反応生成物UA。
請求項8に記載の方法であって、工程a)において、添加する前記多官能性アルデヒドAの量が、必要とされる化学量論量の20%と80%の間であり、及び工程a)の後、更なる量の多官能性アルデヒドAを添加して工程a)で形成された反応混合物と反応させることを特徴とし、ここで、前記多官能性アルデヒドA中のアルデヒド基の物質量n(−CHO)と、前記環状尿素U中のアミド基の物質量n(−CO−NH−)との比が0.8mol/mol〜1.4mol/molである様に、添加する多官能性アルデヒドAの総量を選ぶ、
方法。
反応の前又は間に、蒸留又は減圧蒸留によって揮発性成分を除去することにより、環状尿素U、多官能性アルデヒド、及び随意に水又は溶媒、の混合物を濃縮することを特徴とする、請求項8に記載の方法。
反応生成物UAとバインダー樹脂の前記混合物に、水、有機溶媒、触媒、色素、充填剤、光安定化剤、融合助剤、消泡剤、展着剤、均染剤、増粘剤、沈殿防止剤、皮張り防止剤、及び保恒剤の少なくとも一つを添加することを特徴とする、請求項13に記載の方法。
前記基板が、熱可塑性物質及び熱硬化性物質を包含するプラスチック、木材、セラミックス及びガラス、加工木材、皮革、繊維製品、タイヤコード、ゴム物品、紙、段ボール、漆喰、コンクリート、及び金属、金属化回路基板、半導体表面、ディスプレー、及び電子回路に対する包装から成る群から選択されることを特徴とする、請求項13又は15に記載の使用方法。
請求項1〜7のいずれか一項に記載の反応生成物UAの、紙、繊維製品、木材、加工木材、皮革、又はセルロース性物質から成る群から選択される基板用の架橋剤としての使用方法であって、触媒、充填剤、展着剤、溶媒、及び希釈剤の少なくとも一を、前記反応生成物UAに混合して架橋剤組成物を形成する工程、及び前記架橋剤組成物を前記基板に塗布する工程、を含む方法。
請求項1〜7の少なくとも一項に記載の前記反応生成物UAと、少なくとも一のバインダー樹脂とを含む混合物であって、その各々が少なくとも一のヒドロキシ官能基、カルバメート官能基、酸官能基、アミド官能基、イミド官能基、アミノ官能基、イミノ官能基、メルカプタン官能基、又はホスフィン官能基を有する、混合物。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に有用な脂肪族アルコールR−OHは、少なくとも1個のヒドロキシル基、及び1〜12個の炭素原子を有する。これらは、直鎖、分岐又は環状、好ましくは直鎖又は分岐であることができ、好ましくはモノアルコールで、かつ、1〜12個の、好ましくは1〜8個の炭素原子を有することが好ましく、これらは1以上の−O−、−NR”−、−S−によって遮断されていて良い、ここで、R”はH、又は1〜6個の炭素原子を有するアルキル基を表す、但し、2つの−O−又は2つの−S−原子は直接隣接しないであろう。好ましいアルコールは、メタノール、エタノール、ノルマル及びイソプロパノール、並びに異性体のブタノール、特にノルマルブタノール及びイソブタノール、ノルマルヘキサノール、又は2−エチルヘキサノールである。他の好ましいアルコールは、式R
3−(O−C
nH
2n)
m−OHのエーテルアルコールであり、ここでR
3−は好ましくは1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり、nは2〜4の整数であり、mは1〜10の整数であって、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、又はジプロピレングリコールモノメチルエーテル等である。環状脂肪族アルコールのうち、シクロヘキサノールが好ましい。少量の、即ち使用される脂肪族アルコールの最大10%の質量分率まで、二官能性又は多官能性(3以上の官能性を有する)であって良い。
【0021】
本発明の第一の実施態様に従って環状尿素Uと多官能性アルデヒドAの、少なくとも部分的にエーテル化された反応生成物UAを調製するために、少なくとも2種の異なるこの様なアルコールR
1−OH及びR
2−OHが使用されるべきであり、これらのモル比n(R
1−OH)/n(R
2−OH)は1mol/99mol〜99mol/1mol、好ましくは10mol/90mol〜90mol/10mol、特に好ましくは25mol/75mol〜75mol/25molである。脂肪族アルコールR
2−OHは、その分子中に、R
1−OHに存在する炭素原子より少なくとも1個多いそれを有する。好ましい態様において、R
1−OHとしてメタノールが使用され、他方R
2−OHは、エタノール、又は12個迄の炭素原子を有するそのより高い相同物であって良く、分岐及び環状脂肪族モノアルコールを含む。R
2−OHとして好ましくは、エタノール、ノルマル及びイソプロパノール、ノルマルブタノール、sec−ブタノール、イソブタノール、ノルマルペンタノール、2−及び3−メチル−l−ブタノール、ノルマルヘキサノール、ノルマルオクタノール、2−エチル−l−ヘキサノール、1−デカノール、1−ドデカノール、及びこれらの混合物であり、同様にエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、又はジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテルアルコールである。もしR
1−OHとしてメタノールが使用されるなら、これらのモル比n(R
1−OH)/n(R
2−OH)は、特に好ましくは15mol/85mol〜45mol/55mol、好ましくは20mol/80mol〜40mol/60molである。アルコールR
1−OHが顕著に水混和性−水とR
1−OHの混合物が均質な混合相を形成することを意味する−であることが更に好ましい。アルコールR
2−OHが、最大でも、水への制限された溶解性を有することが更に好ましく、制限された溶解性は、水相は、30%を超える質量分率のアルコールR
2−OHを含有しないことを意味する。R
1とR
2が互いに異なるこの態様において、R
2は、R
1より少なくとも1個多い炭素原子を有し、反応生成物UAにおけるアルデヒドAのカルボニル炭素原子上の置換基である、−OR基の数の、−OH基の数と−OR基の数の和に対する比は、少なくとも50%、好ましくは60%より大きく、特に好ましくは65%より大きく、そして特別に好ましくは少なくとも75%であり、−OR基の数は、−OR
1基の数と−OR
2基の和である。
【0022】
「多官能性アルデヒドのカルボニルC原子」に言及した場合、これは、環状尿素中のアミドの基との付加反応の後、窒素原子に接続された炭素原子に転化しており、エーテル化されているか否かによって、−OH又は−OR置換基を有するのと同じカルボニル原子も含む。
【0023】
反応生成物において化学的に結ばれた、アルコキシ基の物質量n(RO−)の、環状尿素Uの物質量n(U)に対する比n(RO−)/n(U)として測定される、反応生成物UAのエーテル化度が、詳細は後述する
13C−NMRによって測定したとき、少なくとも1.1mol/molであることが、更に好ましい。
【0024】
反応生成物UAが有する、残基>NH基の物質量の、環状尿素Uに由来する部分の物質量に対する比が、0.2mol/mol以下であることが更に好ましい。
【0025】
多官能性アルデヒドAは、式OHC−R
1−CHOに従って二官能アルデヒドの場合は、少なくとも2個のアルデヒド基を有し、かつ、好ましくは性質が脂肪族である。R
1は、この場合直接結合又は1〜10個の炭素原子を有する二価の脂肪族ラジカルである。「多官能の」は、この発明の文脈において、一より多い官能基を有する分子を指すために使用される。好ましいアルデヒドは、二価脂肪族アルデヒド、特にグリオキサール、マロン酸ジアルデヒド、琥珀酸ジアルデヒド、及びグルタル酸ジアルデヒドである。特別に好ましいのはグリオキサールである。これらの混合物を使用することも可能であり、混合物は、好ましくはグリオキサールの少なくとも50%の、特に好ましくはグリオキサールの少なくとも70%の質量分率を含む。グリオキサールは、溶融温度が15℃なので冷却されなければならない無水物固体なので、本発明用に、水溶液で使用可能であり、又はその二量体若しくは三量体の形状で、随意に、二水和物として固体水和物の形状で、又は酸性条件下で分解する亜硫酸塩若しくは重亜硫酸塩との付加生成物の形状で使用されて良い。
【0026】
本発明に従って使用されて良い環状尿素Uは、少なくとも一の未置換の−CO−NH−基を有する。これらの環状尿素Uは、環構造中に−NH−CO−NH−構造の要素を有する脂環式又は二脂環式化合物であり、環原子の総数は、好ましくは5から7である(エチレン尿素、1,2−プロピレン尿素、1,3−プロピレン尿素、1,4−ブチレン尿素又はテトラメチレン尿素)。特に好ましいのはエチレン尿素又はエチレン尿素を含む混合物であり、殊の外、エチレン尿素を少なくとも質量分率50%含む混合物である。二環式化合物の場合は、最も単純な構造はグリコールウリル又はアセチレン二尿素である。これらの環状尿素は、N−若しくはC−原子、又は両方の上に、好ましくはアルキル基によって、置換されていて良く、アルキル残基は、好ましくは1〜4個の炭素原子を有する。アルデヒド機能性分子との反応を可能にするために、窒素原子のうちの少なくとも1個は、置換されないままでなければならない。好ましくは、少なくとも1個の環状尿素Uは、エチレン尿素、1,2−プロピレン尿素、グリコリル尿素としても知られるヒダントイン、オキサリル尿素としても知られるパラバン酸及びグリコールウリルから成る群Ul、並びに前記環状尿素U1の少なくとも1個の窒素又は炭素原子上に、少なくとも一個の置換基R
3を更に有する環状尿素U1、但し少なくとも1個の窒素原子は未置換である、並びに置換基R
3は1〜10個の炭素原子を有する直鎖、分岐及び環状アルキル基から成る群から選ばれる、から成る群U2から選択される。
【0027】
特に好ましい組み合わせは、エチレン尿素と反応させたグリオキサールであり、及び、随意に、グリオキサール若しくはエチレン尿素、又は両者と他の多官能性アルデヒド及び/又は他の環状尿素の混合物である。
【0028】
市販品質、例えば約96%の純度を有する市販のエチレン尿素(一の市販品においてエチレン尿素の質量分率は(96.0±0.5)%)の代わりに、精製された環状尿素を使用すると、多官能性アルデヒドとの反応生成物の色彩及び安定性の両方が改良されることが見出されている。精製は、再結晶、抽出、吸着及びイオン交換反応、蒸留、又は昇華、又は錯化等の通常の方法により、そして好ましくは溶融結晶化により、実行することができ、後者の方法は、低いエネルギー消費、高い空間−時間収率、及び一貫して良好な品質の利点を有する。
【0029】
本発明の方法に従って、以下の更なる好ましい方策を、単独で、又は任意の組み合わせで、実現可能である:
− 多官能性アルデヒドAを最初に充填する、
− 環状尿素Uを最初に充填する、
− 水を、多官能性アルデヒドAに、又は環状尿素Uに、又はこれらの混合物に、添加して良い
− 多官能性アルデヒドAと環状尿素Uの混合物のpHを5.0〜8.0、好ましくは5.5〜7.5、そして特に好ましくは6.2〜6.8に調整して良い、
− 環状尿素Uと多官能性アルデヒドの混合物を、室温から80℃未満、好ましくは35℃と50℃の間に加熱して良い、
− 反応混合物中に存在する環状尿素Uの質量とアルデヒドAの質量を、好ましくは、多官能性アルデヒド、及びアルデヒド類の混合物の場合におけるアルデヒド基の物質量n(−CHO)と、環状尿素U中の−CO−NH−基の物質量の比に関して以下の条件が満たされる様に選ぶ:
0.8mol/mol≦n(−CHO)/n(−CO−NH−)≦1.40mol/mol
特に好ましくは
1.0mol/mol≦n(−CHO)/n(−CO−NH−)≦1.30mol/mol、
− 脂肪族アルコールR
1−OHを、好ましくは、アルコールR
1−OHの物質量n(R
1−OH)の、多官能性アルデヒドA中のアルデヒド基の物質量に対する比が、0.6mol/mol〜20mol/molである様に添加する、
− アルコールR
1−OHが使用されているエーテル化工程の後、第二のアルコールR
2−OHを添加する、
− エーテル化又はアルキル化反応の間のpHは、好ましくは5未満、特に好ましくは3.0未満である、
− エーテル化は、好ましくは25℃と100℃の間、最も好ましくは40℃と45℃の間で実施される、
− エーテル化の間に形成された水、及び未反応のアルコールを、エーテル化の間又は後に、好ましくは減圧下の蒸留により、更に好ましくは50℃と80℃の間の温度で、除去する、
− もし水とアルコールをエーテル化の間に除去するなら、そのアルコールを、好ましくは、再生利用する、
− エーテル化反応、並びに未反応のアルコール及び水の随意の除去の後、反応混合物を、好ましくは冷却して、脂肪族多官能性アルデヒドAと環状尿素Uとの、少なくとも部分的にエーテル化された反応生成物の溶液を得る、
− エーテル化工程の後、反応混合物を中和し、中和された反応混合物から未反応のアルコールを揮散させ、残りの物質を更なるエーテル化工程に曝す、及び
− この方法のエーテル化生成物における、アルコキシ基−OR
2の物質量n(−O−R
2)の、アルコキシ基−OR
1の物質量n(−OR
1)に対する比は、0.11mol/molと20mol/molの間である。
特に良好な結果は、2つ以上のこれらの好ましい実施態様を組み合わせたときに得られている。
【0030】
もし一方法を使用すると、以下の工程を使用して架橋剤組成物が調製される:
a)多官能性アルデヒドAを環状尿素Uと混合して付加反応を起こさせること、
b)脂肪族アルコールR
1−OHを添加すること、及び酸性条件下エーテル化すること、
c)R
1−OH中に在る炭素原子より少なくとも一つ多いそれを分子中に有する更なる脂肪族アルコールR
2−OHを添加すること、及び酸性条件下でエーテル化すること、
ここでb)及びc)の工程のいずれか又は両方を、一回又は一回を超えて繰り返して良く、この方法のエーテル化生成物中のアルコキシ基−OR
2の物質量n(−OR
2)の、アルコキシ基−OR
1の物質量n(−OR
1)に対する比が0.11mol/molと20mol/molの間に在ることが更に好ましい。
【0031】
もし反応の間に固体の析出物又は懸濁された固体が形成されたら、好ましくは、この固体物質を遠心分離又は濾過等の任意の通常の方法によって分離する。
【0032】
R
1とR
2が異なる反応生成物UAを作製する好ましい方法は、以下の工程を含む、
a)随意に多官能性アルデヒドA、環状尿素U及び反応生成物UAのいずれとも反応しない共溶媒の存在下、多官能性アルデヒドAを環状尿素Uと混合して付加反応を起こさせること、また更に随意に水を除去すること、
b)脂肪族アルコールR
1−OHを添加すること、及び酸性条件下でエーテル化すること、
c)分子中に、R
1−OH中の炭素原子より少なくとも一つ多いそれを有する更なる脂肪族アルコールR
2−OHを添加すること、及び酸性条件下でエーテル化すること、
ここで工程b)及びc)のいずれか又は両方を一回又は一回を超えて繰り返して良い。
【0033】
R
1とR
2が同じである反応生成物UAを作製する更に好ましい方法は以下の工程を含む、
a)随意に多官能性アルデヒドA、環状尿素U及び反応生成物UAのいずれとも反応しない共溶媒の存在下、多官能性アルデヒドAを環状尿素Uと混合して付加反応を起こさせること、また更に随意に水を除去すること、
b)脂肪族アルコールR
1−OHを添加すること、及び酸性条件下でエーテル化すること、
c)更なる量の脂肪族アルコールR
1−OHを添加すること、及び酸性条件下でエーテル化すること
ここで工程c)を一回行って良く、又は少なくとも二回行われるように繰り返して良い。
【0034】
これらの方法のいずれかにおけるエーテル化工程の繰り返し、即ち、随意に水及び未反応のアルコールを除去した後のアルコールの添加及び更なるエーテル化は、エーテル化の程度を増大させることが見出されている。この繰り返しは、エーテル化のためにアルコールを一種だけ使用する場合に特に好ましい。二重又は三重又は多重のエーテル化は、繰り返しの数はエーテル化が所望の程度に達するように選択される、それ故、好ましい方法である。これらの繰り返されるエーテル化工程は、反応混合物に、単に更なるアルコールを、及び、随意に、更なる酸触媒を、添加し、並びに反応を継続させることにより行われて良く、又は、一回のエーテル化工程後の反応混合物を、冷却し、中和し、未反応のアルコール及び、随意に、水を除去し、次いで、引き続くエーテル化工程用に更なるアルコール及び酸触媒を添加して良い。
【0035】
好ましい変形において、エーテル化工程の後、未反応のアルコールの少なくとも一部、及び随意に、存在する水の少なくとも一部、及び更に随意に、アルデヒド基、−CO−NH−基又はヒドロキシル基と反応する反応性基を有しない少なくとも一の溶媒の少なくとも一部を、共沸性蒸留で除去する、そのときに、水と不混和性の溶媒を、それが、蒸留によって分離された水の少なくとも一部を含有する水相から分離された相を形成するように添加し、そのときに、水相と異なる相は蒸留釜へと再生利用される、又は反応器に戻される。
【0036】
方法の変形によって、より高いモル質量の反応生成物UAを作製できて、その場合、工程a)において、添加される多官能性アルデヒドAの量は、必要とされる化学量論量の90%未満、好ましくは必要とされる化学量論量の20%と80%の間、及び特に好ましくは、必要とされる化学量論量の30%と70%の間であること、及び工程a)の後、更なる量の多官能性アルデヒドAが添加されて工程a)で形成された反応混合物と反応し、そのとき、添加される多官能性アルデヒドAの総量は、多官能性アルデヒドA中のアルデヒド基の物質量n(−CHO)と環状尿素U中の基n(−CO−NH)の物質量の比が0.8mol/mol〜1.40mol/mol、特に好ましくは1.0mol/mol〜1.30mol/molである様に選ばれることも見出されている。
【0037】
好ましい変形において、環状尿素U、多官能性アルデヒドA、及び随意に水又は溶媒の混合物は、蒸留又は減圧蒸留によって揮発性の成分を除去することにより、反応の前又は間に濃縮される。
【0038】
更に好ましい変形において、工程a)の間又は後、及び/又は工程b)の間又は後に、未反応のアルコールR
1OH及び/又は水の少なくとも一部を、蒸留によって除去する。
【0039】
更に、環状尿素Uと多官能性脂肪族アルデヒドAとの反応は、環状尿素U、多官能性脂肪族アルデヒドA、及びこれらの反応生成物UAのいずれとも反応しない溶媒の存在下で好ましく行うことができることが見出されている。有用な溶媒は、異性体キシレン、それらの混合物、またトルエン及びエチルベンゼンとの混合物、芳香族及び脂肪族エステル、パラフィン及びそれらの混合物、脂肪族分岐炭化水素、並びに直鎖、分岐及び環状脂肪族エーテル等の、芳香族化合物及びそれらの混合物である。これらの溶媒は、共沸性蒸留において、出発製品からの水の除去にも使用可能であり、これらは水溶液の形、または水和物の形で添加できる。
【0040】
この様に得られた反応生成物は、架橋剤組成物として、活性水素官能性(好ましくはヒドロキシル又はカルボン酸基)を有する、溶媒担持及び水担持両方のバインダー樹脂と組み合わせることができる。メタノール又はエタノールを、単独又は組み合わせて、エーテル化アルコールとして使用するときは、もたらされる架橋剤組成物は、水担持架橋性樹脂と組み合わせて特に有用である。プロパノール又はブタノール等の高級アルコールの使用は、架橋剤組成物を溶媒−担持架橋性樹脂とより一層相溶性にする。本発明に従って調製された架橋剤組成物はより高い反応性を有し、及び室温ですら硬化に使用できること、並びに硬化された膜の外観も、黄ばみと光沢と曇りにおいて、本発明に従う架橋剤に好意的であることが見出された。
【0041】
塗布組成物は、反応生成物UAを、活性水素原子、即ち、ヒドロキシル基、酸基、好ましくはカルボキシル基、カルバメート基、アミド基、イミド基、アミノ基、イミノ基、メルカプタン基、又はホスフィン基の少なくとも一つを有するポリマーバインダー樹脂に混合することにより調製される。もたらされる混合物を均質化して、噴霧法、刷毛塗り、ワイヤー塗布、カーテン塗布、ブレード塗布、ロール塗布、浸漬法、電気泳動堆積、紛体噴霧法、又は静電噴霧法によって、基板に塗布する。固体バインダー樹脂の質量の、反応生成物UAの質量に対する比は、好ましくは99/1〜50/50、特に好ましくは95/5〜60/40、及び最も好ましくは90/10〜70/30である。
【0042】
本発明に係る架橋剤組成物は、活性水素原子、好ましくはヒドロキシ若しくはカルボン酸官能基、又は両方の中の水素原子だが、を有する溶媒担持又は水担持バインダー樹脂(これらの樹脂を一括して、以下、「活性水素物質」とも称する)と、特にヒドロキシ若しくはカルボン酸官能性アルキド樹脂、ヒドロキシ若しくはカルボン酸官能性アクリル樹脂、ヒドロキシ官能性ポリウレタン樹脂、及びヒドロキシ官能性エポキシ樹脂とを組み合わせて、塗布組成物の構成成分として使用できる硬化性組成物を生み出せることが立証されている。これらの架橋剤組成物は、適切に触媒されたときには、室温(20℃〜25℃)で既に活性なので、これらは、紙、段ボール、繊維製品、皮革、木材、加工木材、複合材料、熱硬化性及び熱可塑性樹脂を含むプラスチックなどもだが、熱に敏感な基板上の塗布物を硬化させるために特に有用である。これらは、より高温での硬化が許される金属、石、漆喰、ガラス、セラミックス、及びコンクリート等の基板上で使用される塗布組成物に対する架橋剤としても、当然ながら、役に立つ。上述のバインダー樹脂、及び随意に触媒とも組み合わせた前記架橋剤組成物の用途は、硬化温度又はエネルギーの節約が課題であるところでも考えることができる。有機溶媒、融合助剤、消泡剤、均染剤、充填剤、光安定化剤、顔料、流制御剤、皮張り防止剤、沈殿防止剤、展着剤、保恒剤、可塑剤、離型剤、及び防腐剤等の通常の添加物を、当然ながら、本発明の架橋剤組成物を含む塗布組成物中に使用することができる。
【0043】
適切な触媒は、好ましくは酸触媒であり、特には有機スルホン酸、有機ホスホン酸、有機スルホンイミド、及びルイス酸、又はアミン塩若しくはエーテル錯体等のルイス酸の塩若しくは錯体から成る群から選択される酸触媒である。有用な触媒は、パラ−トルエンスルホン酸(pTSA)、ドデシルベンゼンスルホン酸(DDBSA)、ジノニルナフタレンスルホン酸(DNNSA)、及びジノニルナフタレンジスルホン酸(DNNDSA)であり、揮発性アミンによってブロックされていても良い。特に好ましいのは、N−メチルスルホニル−p−トルエンスルホンアミド(MTSI)、パラ−トルエンスルホン酸(pTSA)、ドデシルベンゼンスルホン酸(DDBSA)、ジノニルナフタレンスルホン酸(DNNSA)、及びジノニルナフタレンジスルホン酸(DNNDSA)である。酸エステル、又は酸とエポキシド官能性化合物の反応生成物等の、例えば加熱によって酸が放出される、ブロックされた酸触媒も、当然ながら、使用できる。特に有用な触媒は、トルエンスルホン酸、又はジノニルナフタレンジスルホン酸等の酸触媒であり、これらは通常アルコール中に溶かされている。
【0044】
適切な活性水素含有物質は、例えば、ポリオール、ペンダント又は末端ヒドロキシ官能基を有するヒドロキシ官能性アクリル樹脂、ペンダント又は末端ヒドロキシ官能基を有するヒドロキシ官能性ポリエステル樹脂、ヒドロキシ官能性ポリウレタンプレポリマー、エポキシ化合物とアミンの反応に由来する生成物、及びこれらの混合物等の、多官能性ヒドロキシル基含有物質を包含する。アクリル及びポリエステル樹脂が好ましい。多官能性ヒドロキシル基含有物質の例は、DURAMAC(登録商標)203−1385アルキド樹脂(イーストマンケミカル社);Beckosol(登録商標)12035アルキド樹脂(ライチクールド社)、JONCRYL(登録商標)500アクリル樹脂(エス.シー.ジョンソン・アンド・サンズ、ラシーン、ウィスコンシン州);AT−400アクリル樹脂(ローム・アンド・ハース、フィラデルフィア、ペンシルベニア州);CARGILL(登録商標)3000及び5776ポリエステル樹脂(カーギル,ミネアポリス、ミネソタ州);K−FLEX(登録商標)XM−2302及びXM−2306樹脂(キング・インダストリーズ、ノルワォーク、コネチカット州);CHEMPOL(登録商標)11−1369樹脂(クック・コンポジット・アンド・ポリマーズ、ポートワシントン、ウィスコンシン州);CRYLCOAT(登録商標)3494固体ヒドロキシ末端ポリエステル樹脂(サイテック・インダストリーズ社、ウッドランドパーク、ニュージャージー州);RUCOTE(登録商標)101ポリエステル樹脂(ルコポリマー、ヒックスヴィル、ニューヨーク州);JONCRYL(登録商標)SCX−800−A及びSCX−800−Bヒドロキシ官能性固体アクリル樹脂(エス.シー.ジョンソン・アンド・サンズ、ラシーン、ウィスコンシン州)等の、市販の物質を包含する。
【0045】
カルボキシ官能性樹脂の例は、CRYLCOAT(登録商標)固体カルボキシ末端ポリエステル樹脂(サイテック・インダストリーズ社、ウッドランドパーク、ニュージャージー州)を包含する。アミノ、アミド、カルバメート又はメルカプタン基、これらに転換可能な基を含み、を含有する適切な樹脂は、一般に当業者に周知であり、適切に官能化されたモノマーと、それと共重合可能なコモノマーを共重合させることを含む既知の方法によって調製可能である。
【0046】
塗布組成物は、噴霧法、浸漬法、刷毛塗り、ワイヤー塗布、カーテン塗布、及びドクターブレード使用等の、任意の既知の技法で塗布することができる。もし固体として処方されているなら、それらは、粉末塗布組成物中の架橋剤としても使用可能であり、かつ、静電噴霧法、又は粉末噴霧法等の通常の方法によって塗布することが可能である。
【0047】
塗布組成物又は硬化性組成物は、随意の成分として、液体媒体等の媒体も含有して、硬化性組成物の均一な塗布及び移送を助けることが可能である。硬化性組成物の、任意の、又は全ての成分を液体媒体と接触させることが可能である。特に好ましいのは、硬化性組成物の少なくとも一の成分に対する溶媒である液体媒体である。適切な溶媒は、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、ケトン、エステル、エーテル、アミド、アルコール、水、エーテル及びエステル基を有する化合物等の複数の官能基を有する化合物、並びにこれらの混合物を包含する。
【0048】
本硬化性組成物は、溶媒等の液体媒体を用いて良い、又は典型的に液体を含有しない紛体塗布物における様に、固体の成分を用いて良い。「塗布」とも呼ばれる基板との接触は、浸漬法、噴霧法、こて塗り、刷毛塗り、ローラー塗布、流塗布、カーテン塗布、電気塗布、又は静電噴霧法により実施可能である。
【0049】
液体又は紛体塗布組成物と被塗布基板は、適切な方法、例えば、液体組成物の場合は噴霧法で、紛体組成物の場合は静電噴霧法で、硬化性組成物を基板上に塗布することにより接触させる。紛体組成物の場合は、紛体組成物で覆われた基板を、少なくとも硬化性組成物の融解温度まで加熱して、それを、溶融させ及び流れださせて、基板上に均一な塗布物を形成させる。それを、その後、典型的には約120℃〜約240℃の範囲の温度で約5分〜約30分の範囲の時間、好ましくは10分〜20分の範囲の時間更に熱を加えることにより、十分硬化させる。
【0050】
液体組成物の場合、溶媒は、少なくとも一部が蒸発できて、基板上に均一な塗布物を産出する。その後、塗布された基板は、使用される温度に依存して、約20℃〜約240℃の温度、又は約25℃〜約150℃の温度で、約20秒〜約30日の期間硬化され、硬化した膜を得る。特に有利な実施態様においては、本発明の硬化性組成物を、好ましくは約20℃〜約150℃、又は約65℃〜約110℃の範囲の、より低い温度で熱硬化させることができる。
【0051】
本発明のもう一つの実施態様は、上述した様な硬化性組成物、及び水を含む水担持硬化性組成物である。水担持硬化性組成物は、硬化性組成物の成分の分散物、エマルジョン、逆エマルジョン、又は溶液の形成が許されて良い。水担持硬化性組成物は、随意に、界面活性剤、乳化剤、分散剤又はこれらの混合物を含有して良い。
【0052】
水担持硬化性組成物中に存在する総固体の質量分率は、組成物の総質量に基づいて、通常約1%〜約60%、好ましくは約10%〜約55%、更に好ましくは約25%〜約50%である。
【0053】
水担持硬化性組成物中に存在する、活性水素含有物質の、架橋剤UAに対する質量比は、通常約99:1〜約1:1、好ましくは95:5〜約60:40、より好ましくは約90:10〜約70:30である。
【0054】
水担持硬化性組成物中に存在する、界面活性剤の質量の、その組成物中の総活性水素含有物質の質量に対する比は、通常約0%〜約10%、好ましくは約0.1%〜約5%、より好ましくは約0.5%〜約2.0%である。
【0055】
水担持硬化性組成物中の溶媒成分は、水等の溶媒、及び随意の共溶媒である。この様な随意の共溶媒の例は、それらが、使用される量において水可溶性又は水混和性である範囲で、上述した溶媒である。水担持組成物に対する好ましい共溶媒は、アルコールとグリコールエーテルである。共溶媒の、好ましく用いられて良い量は、水担持硬化性組成物中の、共溶媒の質量の、活性水素含有物質と架橋剤UAの質量の和に対する比で表され、0%〜約30%、より好ましくは約2%〜約25%、特に好ましくは約5%〜約15%である。
【0056】
界面活性剤、乳化剤及び/又は分散剤は、疎水性部分(A)と親水性部分(B)を有する分子である。これらは、分子構造A−B、A−B−A、B−A−B等のいずれも有することが可能であり、ここでハイフンは部分Aと部分Bの間の化学結合を表す。典型的には、疎水性部分はアルカリ又はアルカリル残基、ポリ(プロピレン−オキシ)ブロック、ポリジメチルシロキサンブロック又はフルオロカーボンブロックであることができる。非イオン性界面活性剤の親水性部分は、水可溶性の非イオン性ブロック、典型的にはポリ(エチレン−オキシ)ブロック、又はヒドロキシル化ポリマーブロックである。アニオン性界面活性剤の親水性部分は、典型的には、塩基の添加によってアニオン性基に転換される酸基である。典型的な酸基は、カルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸及びリン酸であり、カルボン酸イオン、スルホン酸イオン、ホスホン酸イオン及びリン酸イオンを形成する。酸のイオン化に使用される典型的な塩基は、NaOH、KOH、NH
4OH、及びトリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、ジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン等の、種々の三級アミンである。
【0057】
使用可能なアニオン性界面活性剤は、例えば、脂肪酸の塩、好ましくは8〜18個の炭素原子を有する高級アルコールの硫酸エステル又は硫酸塩及びそれらのアルカリ金属塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸とホルマリンの縮合生成物、ジアルキルスルホン琥珀酸塩、アルキルリン酸塩、及びポリ(オキシエチレン)硫酸塩を包含する。特に好ましいのは、例えば、オレイン酸カリウム等の脂肪酸塩、及びラウリル硫酸ナトリウム等の高級アルコールの硫酸エステル塩である。
【0058】
カチオン性界面活性剤は、例えば、アルキルアミン塩、四級アンモニウム塩、及びポリ(オキシエチレン)アルキルアミンを包含する。特に好ましいのは、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド又はセチルトリメチルアンモニウムクロライド等の四級アンモニウム塩である。
【0059】
両性界面活性剤は、ラウリルベタイン及びステアリルベタイン等のアルキルベタインを包含する。
【0060】
非イオン性界面活性剤は、例えば、ポリ(オキシエチレン)アルキルエーテル、ポリ(オキシエチレン)アルキルフェノールエーテル、ソルビタン(ソルビトールの脱水生成物の混合物)等の糖アルコールの脂肪酸エステル又はその誘導体、ポリ(オキシエチレン)ソルビタンモノラウリン酸塩又はモノステアリン酸塩等のポリ(オキシエチレン)ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアクリルエステル、(オキシエチレンオキシプロピレン)ブロックコポリマー、及び脂肪酸モノグリセリドを包含する。
【0061】
水担持硬化性組成物に対して有用な、特に好ましい活性水素含有物質は、Roshield(登録商標)1024等の、3mg/gと20mg/gの間の酸価と、20mg/gと80mg/gの間のヒドロキシル価と、40%と55%の間の固体の質量分率を有するヒドロキシ官能性アクリル樹脂である。
【0062】
この発明の硬化性組成物は、自動車塗布物を包含する相手先商標製品の製造(OEM)等の塗布物の一般的な領域、産業扶助塗布物、建築用塗布物、農業及び建築機材塗布物(ACE)、紛体塗布物、コイル塗布物、缶塗布物、木材塗布物、及び低温硬化自動車塗り替え塗布物を包含する一般的な産業塗布物における塗布物として用いることが可能である。これらは、ワイヤー、電気器具、自動車部品、家具、パイプ、機械など用の塗布物として使用できる。適切な表面は、スチール及びアルミニウム等の金属、熱可塑性物質及び熱硬化性物質を包含するプラスチック、木材、セラミックス及びガラスを包含する。これらは、金属化回路基板、半導体表面、ディスプレー、及び電子回路に対する包装を包含する、電子的用途においても使用できる。
【0063】
本発明の硬化性組成物は、先行技術の熱硬化性組成物において広く用いられている高い硬化温度では変形又は完全に破壊される可能性があるプラスチック及び木材等の、熱に敏感な基板を塗布するために特によく適している。
【0064】
反応生成物UAの更なる使用法は、紙、繊維製品、木材、加工木材、皮革、又はセルロース系材料から成る群から選択される基板に対する架橋剤としてであり、この方法は、触媒、充填剤、展着剤、溶媒、及び希釈剤の少なくとも一を反応生成物UAに混合して架橋剤組成物を形成し、及びその架橋剤組成物を基板に塗布することを含む。塗布は、濡らす、浸す、浸漬する、ブラシかけする、又はローラーかけすることにより、好ましく行われて良い。
【0065】
更に好ましい実施態様は、特許請求の範囲中に記載する。
【0066】
ここに説明及び特許請求している発明は、ここに開示されている具体的実施態様によって範囲を限定されるべきではない、何故なら、これらの実施態様は、本発明の幾つかの側面の例示として意図されているからである。任意の均等な実施態様はこの発明の範囲内にあることが意図されている。実際、ここに示し説明したものに加えて、本発明の種々の変形は、前述の説明から、当業者に対して明らかになるであろう。このような変形は、添付した特許請求の範囲の範囲内に入ることも意図されている。
【実施例】
【0067】
以下の例は、本発明を例証するが、限定する意図はない。「%」で規定された全ての濃度(強度)及び比は、質量分率(特定の物質Bの質量m
Bを、濃度の場合は、混合物の質量mで、又は、比の場合は、第二の物質Dの質量m
Dで、割った比)である。酸価は、DIN EN ISO 3682(DIN 53 402)に従って、検査している試料を中和するために必要な水酸化カリウムの質量m
KOHと、その試料の質量m
Bとの、又は溶液若しくは分散物の場合は試料中の固体の質量との比として定義され、通例の単位は「mg/g」である。ヒドロキシル価は、DIN EN ISO 4629(DIN 53 240)に従って、試料と同じ数のヒドロキシル基を有する水酸化カリウムm
KOHの質量と、その試料の質量m
B(溶液又は分散物に対しては試料中の固体の質量)との比として定義され、通例の単位は「mg/g」である。動的粘度は、Gardner−Holt目盛で測定し、SI単位(mPa・s)に変換した。GOはグリオキサールを、EUはエチレン尿素を表し、nは物理量「物質量」のための、SI単位「mol」を伴う記号である。Mは物理量「モル質量」のための、SI単位「kg/mol」を伴う記号である。
【0068】
13C−NMR分析は、100mm探針を伴う、Bruker−Oxford Avance II 400 NMR分光計で行っている。試料は、反応生成物を、ほぼ同質量のジメチルスルホキシド−d
6で希釈して調製した。
【0069】
反応生成物UAのモル質量の測定は、HPSEC、又はゲル透過クロマトグラフィーにより、溶媒としてテトラヒドロフランを使用し、試料濃度1g/100ml、流量1.0ml/min、カラム温度40℃、及び屈折法検出で、ポリスチレン標準での校正用に、測定範囲100g/mol〜50kg/molを提供する、粒径5im、孔の大きさ100nm(1×)、50nm(2×)及び10nm(3×)を使用し、行った。データの収集と解析は、Polymer Standards Service WinGPC systemによって提供されたソフトでなされた。
【0070】
例1:2−イミダゾリジン−エタンジアール樹脂の混合メチル及びブチルエーテル
以下の手順により、本発明に係る樹脂を調製した:
グリオキサールの水溶液(エタンジアール、溶質の質量分率40%)363g(2.6mol)を、窒素パージ下で反応容器に充填し、pHを、固体の質量分率10%の重炭酸ナトリウム水溶液を添加して、6.2に調整した。エチレン尿素(2−イミダゾリジノン半水化物、固体)207g(2.18mol)を添加し、生じた混合物を40℃と45℃の間の温度に加熱し、撹拌下3時間保持した。3時間の終わりに、メタノール464g(14.5mol)を添加した。pHを、硫酸水溶液(溶質の質量分率25%)で約2.5に調整し、次いで、反応温度を上げ、(48±3)℃で3時間保った。3時間のメチル化の終わりに、1−ブタノール998g(13.5mol)を添加し、pHを、上記硫酸水溶液で約2.5に再調整した。反応温度を、再度(48±3)℃で1時間保ち、次いで、過剰のメタノールとブタノールを、総反応質量のおよそ36%〜40%の質量分率が除去されるまで、減圧下(25.333kPaからゆっくり直線的に16kPaへ低下、190mmHgから120mmHgへの傾斜に相当)ゆっくりと除去した。残留する反応混合物を、次いで、およそ35℃に冷却し、反応混合物のpHを、次いで、固体の質量分率25%を有する水酸化ナトリウム水溶液で、およそ6.5に調整した。反応温度を、次いで、(55±5)℃に上げ、減圧下(16kPaからゆっくり直線的に6.7kPaへ低下、120mmHgから50mmHgへの傾斜に相当)、動的粘度およそ300mPa・s及び固体の質量分率63%が得られるまで、過剰のメタノールとブタノールの除去を続けた。生じた生成物溶液を濾過した。
【0071】
生じた麦藁色の架橋剤溶液(814g)のエーテル化度は、
13C−NMR解析により、n(−O−アルキル)/n(EU)=1.92mol/molと測定された。「EU」はエチレン尿素を表し、そのモル質量は、HPSECにより、M
w=1553g/molと測定された。M
wは重量平均モル質量を表す。高性能サイズ排除解析、ゲル透過クロマトグラフィーとも呼ばれる、において一般に提供される屈折率差対溶質体積のグラフにおける、低モル質量範囲、即ち1kg/molより低いモル質量、の面積の割合は、34.1%であった。ヘイゼン色(DIN−ISO 6271に従って測定された)は383であった。反応生成物中の、ノルマルブトキシ基の物質量n(−O−Bu)の、メトキシ基の物質量n(−O−Me)に対する比は、2.7mol/molであった。
【0072】
この混合エーテル生成物は、室温及び加熱硬化の表面塗布用途において評価したとき、架橋剤としてアミノ−ホルムアルデヒド樹脂を使用する処方物に匹敵する良好な外観と満足できる耐性を伴う塗布膜をもたらした。その処方安定性は、市販のアミノ樹脂架橋剤処方物に少なくとも比肩することが見出された。
【0073】
例2:2−イミダゾリジン−エタンジアール樹脂のエチルエーテル、米国特許4,284,758A号(例4)に従って作製
米国特許4,284,758A号の例4に従う樹脂を、以下の手順で調製した:
強度40%のグリオキサール水溶液290g(2mol)を1L反応器に充填し、pHを、固体重炭酸ナトリウム1.1g(0.013mol)で、6.3に調整した。エチレン尿素176g(2mol)を添加し、pHを、強度25%の硫酸水溶液で、6.4に調整し、反応温度を(55±5)℃に上げた。2時間後、反応混合物を40℃に冷却し、エタノール288g(6.25mol)を添加した。混合物のpHを、濃硫酸1.0g(0.010mol)を加えて、約3.0に調整した。次いで、反応温度を上げて3時間還流させ、エチレン化を行った。29℃〜30℃へと冷却する際に、樹脂溶液のpHを、強度25%の水酸化ナトリウム水溶液3.2g(0.20mol)で、約7.1に調整した。
【0074】
濾過した生成物は、60mPa・sに等しいA−Bのガードナー−ホルト粘度と、およそ45%の固体の質量分率を有する暗い黄色の溶液(およそ745g)であった。そのエーテル化度及び架橋剤生成物のモル質量は、
13C−NMRとHPSEC解析により、それぞれ、n(−O−アルキル)/n(EU)=1.00mol/mol、及び1840g/molと測定された。DIN ISO 6271に従って測定された架橋剤生成物のハーゼン単位色数は468であった。
【0075】
例3:2−イミダゾリジン−エタンジアール樹脂のブチルエーテル、米国特許4,284,758A号(例4)に従って作製
米国特許4,284,758A号の例4に従う樹脂を、以下の手順により調製した:
固体の質量分率40%のグリオキサール水溶液290g(2mol)を1Lの反応器に充填し、pHを、固体重炭酸ナトリウム0.69g(8ミリmol)を添加して、6.3に調整した。エチレン尿素176g(2mol)を添加し、pHを、強度25%の硫酸水溶液を添加して、6.5に調整し、反応温度を(55±5)℃に上げた。2時間後、反応混合物を38℃に冷却し、1−ブタノール462g(6.23mol)を添加した。不透明な粘性の樹脂塊を伴う不均一な反応混合物が形成された。混合物のpHを、濃硫酸0.65g(6.5ミリmol)を添加して、3.0に調整した。次いで、反応温度を上げ、3時間還流に保持し、ブチル化を行った。30℃に冷却の際に、樹脂溶液のpHを、強度25%の水酸化ナトリウム水溶液を2.0g(10.2ミリmol)添加して、約7.0に調整した。生じた生成物溶液を濾過した。
【0076】
生成物は、140mPa・sに相当するガードナー−ホルト粘度Fと、固体の質量分率の計算値40%を有する、暗い黄色のエマルジョン(およそ900g)であった。
【0077】
生じた黄色のエマルジョン中の樹脂のエーテル化度は、
13C−NMRによってn(−O−アルキル)/n(EU)=0.95mol/molと測定され、モル質量はHPSECによってM
w=4300g/molと測定された。
【0078】
この生成物を、表面塗布用途において評価したとき、粗末な外観と低い光沢と不満足な耐性を伴う膜をもたらした。この実験は、この方法が高級アルコールとのエーテル化に適していないことを示している。
【0079】
例4:塗布組成物の調製
下の表1に載せた成分を使用して、塗布組成物を調製した。ココナッツ油に基づく短油性アルキド樹脂(Beckosol(登録商標)12035、ライヒホールド・インダストリーズ社)を、適切な混合機を取り付けた容器に充填し、続けて溶媒と、必要なレべルの触媒(イソプロパノールに溶かした「pTSA」、パラ−トルエンスルホン酸、又は、代わりに、イソブタノールに溶かした「DNNDSA」、ジノニルナフタレンジスルホン酸)を添加した。それぞれ、例1及び3由来の架橋剤を、必要に応じて追加の溶媒と共に添加し、撹拌して、固体の質量分率45%と、バインダーの、架橋剤に対する全体的な質量比70/30の、塗布処方物を準備した。
【表1】
【0080】
例4.1と4.3の塗布組成物を、101.6mm×152.4mm(4”×6”)の清浄なガラスパネル及び白色レネタカードの表面に、ワイヤー巻き付け塗布バー#65を使用して塗布、塗布された処方物を引き下ろして均一な膜をもたらすことにより、膜を調製した。塗布されたパネルを、次いで、周囲条件(20℃〜25℃)で24時間か、又は65℃で5分間、室温で平板にして、24時間後に膜特性を計測した。膜の外観を視覚で判定し、このとき、「劣る」印がある塗布膜はむらのある表面を有し、「良好」印がある塗布膜は滑らかで透明な表面を有し、皺は無かった。膜硬度を、BYK Gardner振り子硬度計−ケーニッヒ硬度を使用して計測した(DIN EN ISO 1522に相当する、ASTM D 4366に従って計測)。表2中に集約した結果は、室温硬化(23℃)の際に得られた。
【表2】
【0081】
例5 2−イミダゾリジン−エタンジアール樹脂の混合メチル及びブチルエーテル
グリオキサールの水溶液(エタンジアール、溶質の質量分率40%)72.5g(0.5mol)を、窒素パージ下、反応容器に充填し、pHを、固体の質量分率10%の重炭酸ナトリウム水溶液を添加して、6.2に調整した。エチレン尿素半水化物(2−イミダゾリジノン半水化物、固体)48g(0.5mol)を添加し、生じた混合物を40℃と45℃の間の温度に加熱し、撹拌しながら3時間保持し、更に一晩室温で保持した。次いで、ノルマルブタノール370g(5.0mol)を添加した。反応塊は不均一なベタベタする樹脂状の塊に変り、フラスコ及び撹拌機の壁に張り付いた。混合物に濃硫酸0.2gを加えてpH3.0未満の酸性とし、樹脂状の塊のいかなる溶解も伴わずに、50℃で2時間加熱した。この時点で、メタノール220g(6.8mol)を反応器に充填し、phを、濃硫酸0.25gを加えて、2.5〜2.8に調整した。混合物を50℃に加熱し、それにより樹脂状の塊は、2時間以内にゆっくりと溶解した。反応混合物のpHを、固体の質量分率25%の水酸化ナトリウムの水溶液を添加して、6.7に調整した。次いで、70%の固体の質量分率が得られるまで、減圧下(16kPaからゆっくりと直線的に6.7kPaに減少、120mmHgから傾斜して50mmHgに相当)、反応温度を(55±5)℃に上げて過剰のメタノールとブタノールを除去した。生じた生成物を濾過した。
【0082】
生じた黄色の架橋剤溶液(106g)の、エーテル化度を
13C−NMRで測定してn(−O−アルキル)/n(EU)=1.68mol/molとし、そのモル質量をHPSECで測定してM
w=1820g/molとした。反応生成物中の、ノルマルブトキシ基の物質量の、メトキシ基の物質量に対する比は、0.22mol/molであった。
【0083】
この混合エーテル生成物は、室温及び加熱硬化の表面塗布用途において評価したとき、架橋剤としてアミノ−ホルムアルデヒド樹脂を使用する処方物に匹敵する良好な外観と、満足できる耐性と、優れた処方物安定性を伴う塗布膜をもたらした。
【0084】
例5の生成物は、エーテル化のためにアルコールを段階的に添加して得られた混合エーテル樹脂だが、これは、例において気付いた様に、不均一性の問題がある。以下の例6は、第一のアルキル化アルコールとしてメタノールを使用し、高級アルコールでのエーテル化が続く、段階的エーテル化は、不均一でベタベタする樹脂状の塊の形成を緩和することを実証している。
【0085】
例6:2−イミダゾリジノン−エタンジアール樹脂の混合メチル及びブチルエーテル
グリオキサール1.2molと再結晶によって精製したエチレン尿素半水化物1molとを反応させ、第一のアルコールとしてメタノールを、また第二のアルコールとしてブタノールを使用してアルキル化して、例1の手順を繰り返した。得られた生成物を濾過した。生成物は、固体の質量分率約62%の、透き通った粘性のある樹脂であった。そのハーゼン単位色数は128であり、エチレン尿素自身の色は再結晶工程により目に見えて向上はしなかったが、非精製エチレン尿素から作られた架橋剤(例1)に対するそれより、顕著に低かった。
【0086】
エーテル化度は
13C−NMRによってn(−O−アルキル)/n(EU)=2.23mol/molと測定され、モル質量はHPSECによってM
w=2500g/molと測定された。反応生成物中の、ノルマルブトキシ基の物質量の、メトキシ基の物質量に対する比は、19.3mol/molであった。例1の生成物と同様に、例6のこの混合エーテル生成物は、室温及び加熱硬化の表面塗布用途において評価したとき、架橋剤としてアミノ−ホルムアルデヒド樹脂を使用する処方物に匹敵する良好な外観、満足できる耐性、及び優れた処方物安定性を伴う塗布膜をもたらした。
【0087】
例7:2−イミダゾリジン−エタンジアール樹脂の混合メチル及びエチルエーテル
グリオキサール1molとエチレン尿素半水化物1molとを反応させ、次いで、第一のアルコールとしてメタノールを、第二のアルコールとしてエタノールを使用してアルキル化して、例1の手順を繰り返した。生じた生成物溶液を濾過した。生成物は、固体の質量分率約76%の透き通った粘性のある樹脂であった。
【0088】
エーテル化度は
13C−NMRによってn(−O−アルキル)/n(EU)=1.83mol/molと測定され、モル質量はHPSECによってM
w=1506g/molと測定された。反応生成物中の、エトキシ基の物質量の、メトキシ基の物質量に対する比は、7mol/molであった。例1の生成物と同様に、例7のこの混合エーテル生成物は、室温及び加熱硬化の表面塗布用途において評価したとき、架橋剤としてアミノ−ホルムアルデヒド樹脂を使用する処方物に匹敵する良好な外観、満足できる耐性、及び優れた処方物安定性を伴う塗布膜をもたらした。
【0089】
例8:2−イミダゾリジン−エタンジアール樹脂のエチルエーテル
本発明に係るモノエーテル樹脂を、以下の手順で調製した:
グリオキサール1.18molとエチレン尿素半水化物1molを反応させ、かつ、第一のアルコールとしてエタノールを、第二のアルコールとしてエタノールを使用してアルキル化して、例1の手順を繰り返した。生じた生成物溶液を濾過した。
【0090】
生成物は、固体の質量分率62%の、透き通った粘性のある樹脂であった。エーテル化度は
13C−NMRによりn(−O−アルキル)/n(EU)=1.87mol/molとして測定され、モル質量は、HPSECによりM
w=1920g/molとして測定された。例1の生成物と同様に、例8のこのモノエーテル生成物は、室温及び加熱硬化の表面塗布用途において評価したとき、架橋剤としてアミノ−ホルムアルデヒド樹脂を使用する処方物に匹敵する良好な外観、満足できる耐性、及び優れた処方物安定性を伴う塗布膜をもたらした。この生成物は、水担持アクリルポリマーと共に架橋剤として使用でき、良好な外観と満足できる性能を伴う塗布物をもたらすことが更に実証された。
【0091】
例1、5、6、7及び8で例示した生成物は、エチレン尿素の固体形として半水化物を使用する。我々の検討は、グリオキサールとエチレン尿素の初期反応生成物は、作製し、単離し、及びエーテル化工程における使用に先立って、室温又は亜室温で3〜4週間保存できることを示している。随意に、この中間体を乾燥して、固体の質量分率をおよそ40%から、100%まで増加させることができ、また、固体生成物への半乾燥を、エーテル化工程において引き続き使用できる。我々の検討は、エチレン尿素の液体形もこの方法において有効に使用できることを更に示している。固体の質量分率10%〜60%を有するエチレン尿素半水化物の水溶液も、この発明の方法に従って使用できる。精製した環状尿素、特にエチレン尿素を、非常に低レベルのアルカリ性不純物と共に使用したとき、多官能性アルデヒドとの反応生成物の色彩が向上することが見出されている。精製は、再結晶、溶融結晶化、抽出、蒸留又は昇華、錯化、水溶液由来の不純物の吸着又はイオン交換等の、通常の方法によって行うことができる。
【0092】
例9:塗布組成物の調製
下記の表3に載せた成分を使用して、塗布組成物を調製した。ココナッツ油に基づく短油性アルキドを、適切な混合機を取り付けた容器に充填し、引き続き溶媒及び必要なレベルの触媒(イソプロパノール中pTSA、又はイソブタノール中DNNDSA)を添加した。例5〜7の架橋剤を、必要に応じて追加の溶媒と共に添加し、撹拌して固体の質量分率50%(9.1、例5の架橋剤)及び45%(9.2及び9.3、例6及び7の架橋剤)、かつバインダー対架橋剤の総質量比70/30の塗布処方物を準備した。
【表3】
【0093】
例9.1〜9.3の塗布組成物を、101.6mm×152.4mm(4”×6”)の清浄なガラスパネルの表面、及び「ED6060」電着下塗りされたスチールパネルに、ワイヤー巻き付け塗布バー#65を使用して塗布、塗布された処方物を引き下ろして均一な膜をもたらすことにより、膜を調製した。塗布されたパネルを、次いで、第一のシリーズにおいては、周囲条件(20℃)で24時間、室温で平板にして、又は、第二のシリーズに関しては、65℃で5分間硬化させて、24時間後に膜特性を計測した。膜の外観を視覚で判定し、このとき、「劣る」印がある塗布膜はむらのある表面を有し、「良好」印がある塗布膜は滑らかで透明な表面を有し、皺は無かった。膜硬度を、BYK Gardner振り子硬度計−ケーニッヒ硬度を使用して計測した、ASTM D 4366に従って計測した、及びそのMEK(メチルエチルケトン)耐性を、傷つけ破損させた(塗布膜の50%を超える除去)ダブルラブの数で計測した、試験は200ダブルラブで止めた。表4に挙げた結果が得られた。
【表4】
【0094】
例10 水担持塗布組成物の特性
水担持アクリル樹脂分散物(RoShield(登録商標)1024、ザ・ダウ・ケミカル社由来、ヒドロキシル価41mg/g及び酸価10mg/gで、固体の質量分率50%を有する水分散アクリル樹脂)を使用し、以下の成分を一緒に混合して、透き通った膜形成組成物を調製した:固体の質量分率62%を有する例8の架橋剤溶液21.9gをアクリル分散物63gに添加し、混合した。次いで、メトキシプロパノール0.9gをアクリル樹脂と架橋剤の混合物に添加し、十分に撹拌した。最後に、強度40%のpTSA−溶液イソプロパノール4.5gと水9.7gを添加し混合して、固体の質量分率45%、及びアクリル樹脂の質量の、架橋剤の質量に対する比が70/30である、透き通った塗布処方物を準備した。
【0095】
この様に調製された塗布処方物を、硬度試験及びMEK耐性試験用に、76.2mm×152.4mm(3”×6”)のガラスパネルの表面に、ワイヤー巻き付け塗布バー#52を使用して塗布、塗布された処方物を引き下ろして均一な膜をもたらすことにより、膜を調製した。塗布されたパネルを、次いで、室温で15分間、平板にした。これらの塗膜を、第一のシリーズで、室温条件(20℃)で24時間硬化し、第二のシリーズで、65℃で5分間硬化し、24時間後に計測した。膜硬度を、BYK Gardner振り子硬度計をしようし、ケーニッヒ硬度といて計測した、ASTM D 4366に従って計測した、及びMEK耐性を、傷つけ破損させた(塗布膜の50%を超える除去)ダブルラブの数で計測した、試験は200ダブルラブで止めた。
【0096】
以下の結果が見出された:
室温硬化に対しては、乾燥膜厚は46im(0.0018インチ)であった;ケーニッヒ硬度は96s、MEK耐性は200ダブルラブデアった。65℃5分間硬化に対しては、乾燥膜厚は46im(0.0018インチ)、ケーニッヒ硬度は104s、MEK耐性は165ダブルラブであった。両方の場合共、塗布膜は均一で光沢があり、表面欠陥を示さなかった。
【0097】
例11 エチレン尿素水溶液を使用する、2−イミダゾリジノン−エタンジアール樹脂の混合メチル及びブチルエーテル
本発明に係る樹脂を、以下の手順で調製した:
グリオキサールの水溶液(エタンジアール、溶質の質量分率40%)363g(2.6mol)を、窒素パージ下、反応容器に充填し、pHを、固体の質量分率10%の重炭酸ナトリウム水溶液で、6.2に調整した。エチレン尿素半水化物の水溶液(溶質の質量分率40%)518g(2.1mol)を添加し、生じた混合物を40℃と45℃の間の温度に加熱し、撹拌下、3時間保持した。3時間の終わりに、メタノール464g(14.5mol)を添加した。pHを、硫酸水溶液(溶質の質量分率25%)で、2.5に調整し、次いで、反応温度を(48±3)℃に上げて3時間保持した。3時間のメチル化の終わりに、1−ブタノール998g(13.5mol)を添加し、pHを、上述の硫酸水溶液てで再調整して、約2.5とした。反応温度を再度(48±3)℃に1時間保持し、次いで、過剰のメタノールとブタノールを、総反応質量の38%の質量分率が除去されるまで、減圧下(25.333kPaからゆっくり直線的に16kPaへ低下、190mmHgから120mmHgへの傾斜に相当)ゆっくりと除去した。残留する反応混合物を、次いで、およそ35℃に冷却し、反応混合物のpHを、次いで、固体の質量分率25%を有する水酸化ナトリウム水溶液で、およそ6.5に調整した。反応温度を、次いで、(55±5)℃に上げ、減圧下(16kPaからゆっくり直線的に6.7kPaへ低下、120mmHgから50mmHgへの傾斜に相当)、固体の質量分率60%が得られるまで、過剰のメタノールとブタノールの除去を続けた。生じた生成物溶液を濾過した。
【0098】
生じた樹脂は、300mPa・sに等価である、「L」で示されるガードナー−ホルトに従う粘度を有し、
13C−NMRで計測されたエーテル化度はn(−OR)/n(EU)=1.86mol/molであり、ブトキシ基対メトキシ基の物質量比は、n(OBu)/n(OMe)=5.6mol/molであり、HPSECで測定された重量平均モル質量は2427g/molであった。
【0099】
本発明のもう一つの実施態様において、驚くべきことに、グリオキサールを分割して充填すると、エチレン尿素との反応が滑らかに進み、モル質量のより高いエーテル化されていない生成物の形成及び異なるモル質量分布をもたらすことが見出された。かくして、我々の発明の第二の側面は、エチレン尿素と、相異なる二工程で添加されたグリオキサールとの反応による、エーテル化エチレン尿素−グリオキサール縮合樹脂の調製に取り組む。これは、例12により例示する。
【0100】
例12 グリオキサールの分割添加(GO:EU=1.1:1、(0.8+0.3):1.0として添加)による2−イミダゾリジン−エタンジアール樹脂の混合メチル及びブチルエーテル
本発明に係る樹脂を、以下の手順により調製した:
グリオキサールの水溶液(エタンジアール、溶質の質量分率40%)197.2g(1.36mol)を、窒素パージ下、反応容器に充填し、pHを、固体の質量分率10%の重炭酸ナトリウム水溶液を添加して、6.5に調整した。エチレン尿素半水化物(95.1g/mol、2−イミダゾリジノン、固体)161.5g(1.7mol)を、室温で52分かけて添加した。反応混合物を25℃に加熱し、0.8のpHの増加と共に、37℃への穏やかな発熱が観察された。温度を45℃に上げ、1〜3時間保持した。加熱を止め、反応混合物を4時間室温に冷却させた。グリオキサールの水溶液(エタンジアール、溶質の質量分率40%)93g(0.64mol)を、pHを監視しながら、ゆっくりとフラスコに充填した。pHを、固体の質量分率10%の重炭酸ナトリウム水溶液を添加して、6.5に調整した。35℃への穏やかな発熱が観察された。温度を、35℃に1時間保った。次いで、加熱を止め、反応混合物を4時間室温に冷却させた。生じた生成物溶液を濾過した。エーテル化されていない付加生成物の麦藁色の溶液が単離され、およそ820mPa・sの動的粘度と、57.8%の固体の質量分率を有していた。重量平均モル質量M
wは1281g/molであることが見出された。
【0101】
上記の、溶質の質量分率57.8%のエーテル化されていない生成物185.6gを、窒素パージ下、反応容器に充填した。メタノール159g(4.96mol)を添加した。pHを、溶質の質量分率25%を有する硫酸水溶液を添加して、約2.5に調整し、次いで、反応温度を(48±3)℃に上げて2時間保った。2時間のメチル化の終了時に、1−ブタノール307g(4.15mol)を添加し、pHを、硫酸水溶液(上記の)を添加して、約2.8に再調整した。反応温度を、再度、(48±3)℃で2時間保ち、次いで、減圧下(25.333kPaからゆっくり直線的に16kPaへ低下、190mmHgから120mmHgへの傾斜に相当)、総反応質量の38%の質量分率が除去されるまで、過剰のメタノールとブタノールを除去した。次いで、残留している反応混合物を35℃に冷却し、反応混合物のpHを、固体の質量分率25%を有する水酸化ナトリウム水溶液を添加して、6.5に調整した。反応温度を、次いで、(55±5)℃に上げ、減圧下(16kPaからゆっくり直線的に6.7kPaへ低下、120mmHgから50mmHgへの傾斜に相当)、動的粘度およそ230mPa・s及び固体の質量分率60%が得られるまで、過剰のメタノールとブタノールの除去を続けた。生じた生成物溶液を濾過した。生じた麦藁色の架橋剤溶液(240g)の、エーテル化度は
13C−NMRによってn(−O−アルキル)/n(EU)=2.26mol/molと測定され、また、モル質量はHPSECによってM
w=1660g/molと測定された。高性能サイズ排除解析(ゲル透過クロマトグラフィーとも呼ばれる)において一般に提供される屈折率差対溶質体積のグラフにおける、低モル質量範囲(1kg/molより低いモル質量)の面積の割合は、32%であった。反応生成物中の、ノルマルブトキシ基の物質量の、メトキシ基の物質量に対する比は、1.73mol/molであった。
【0102】
生じた麦藁色の架橋剤溶液(240g)の、エーテル化度は
13C−NMRによってn(−O−アルキル)/n(EU)=2.26mol/molと測定され、また、モル質量はHPSECによってM
w=1660g/molと測定された。高性能サイズ排除解析(ゲル透過クロマトグラフィーとも呼ばれる)において一般に提供される屈折率差対溶質体積のグラフにおける、低モル質量範囲(1kg/molより低いモル質量)の面積の割合は、32%であった。反応生成物中の、ノルマルブトキシ基の物質量の、メトキシ基の物質量に対する比は、1.73mol/molであった。
【0103】
この混合エーテル生成物は、室温及び加熱硬化の表面塗布用途において評価したとき、架橋剤としてアミノ−ホルムアルデヒド樹脂を使用する処方物に匹敵する良好な外観と、満足できる耐性、及び優れた処方物安定性を伴う塗布膜をもたらした。
【0104】
本発明のもう一つの実施態様において、この発明の架橋剤は、高温(150℃以上)で有効な硬化を提供し、高温表面被塗布用途において有用であることが見出された。
【0105】
例13 有色素塗布組成物の調製
塗布組成物を、以下の通り調製した:
TiO
2色素244gを、溶媒担持アクリル樹脂、酸価12mg/gびヒドロキシル価80mg/gを有するVIACRYL(登録商標)SC303/65XB329gに添加し、コールズブレードミキサー中2000min
−1で、25im(ヘグマン粉砕数が少なくとも6)の粒子サイズが達成されるまで分散した。生じた混合物を、1−ブタノール61g及びイソプロパノール80gで希釈し、エチレングリコールに溶かした、パラ−トルエンスルホン酸のジイソプロパノールアミン塩を含み、溶質の質量分率35%を有する触媒溶液15gを添加し、引き続きメトキシプロパノール12gを添加した。次いで、有色素−溶媒担持アクリル樹脂に、例1の架橋剤溶液146gを添加し、引き続き溶媒メトキシプロパノールアセテート113gを添加して、固体の質量分率55%及びバインダー対架橋剤の総質量比70/30の塗布組成物を用意した。この塗布組成物13.1中の、色素の質量の、バインダーの質量に対する比は、0.8であった。
【0106】
有色素処方物を、高度にメチル化されたメラミン−ホルムアルデヒド架橋剤樹脂(塗布組成物13.3、メトキシプロパノールアセテート165g、架橋剤樹脂94g、メトキシ基の物質量n
MeO対ホルムアルデヒド由来の基の物質量n
F対メラミン由来の部分の物質量n
Mの比が5.0:5:8:1、モノマー物質の質量分率が59%)でも作製した。膜は、例13.1及び13.3の塗布組成物を、Bonderite(登録商標)1000冷間圧延スチールシートパネルの表面に、ワイヤー巻き付け塗布バー#40を使用して塗布、塗布された処方物を引き下ろして均一な膜をもたらすことにより調製した。塗布されたパネルを、次いで、それぞれ、95℃及び150℃のいずれかで15分間硬化させ、及び膜特性を24時間後に計測した。膜硬度を、BYK Gardner振り子硬度計を使用して計測し、及びMEK耐性を、傷つけ破損させた(塗布膜の50%を超える除去)ダブルラブの数で計測した、試験は200ダブルラブで止めた。
【0107】
以下の表5は、塗布組成物13.1及び13.3について計測したデータを載せている。
【表5】
【0108】
これらのデータから、本発明に係る架橋剤(塗布組成物13.1)での架橋は、商業化されているシステム(メラミン−ホルムアルデヒド樹脂架橋剤、13.3)と同等であることが見て取れる。
他の記載と重複する点もあるが、本願発明を以下に記載する。
[発明1]
少なくとも一の環状尿素Uと少なくとも一の多官能性アルデヒドAの反応生成物UAであって、前記反応生成物は、前記アルデヒドAのカルボニル炭素原子上の置換基として、ヒドロキシル基−OH及びアルコキシ基−ORから成る群から選択される少なくとも一種の官能基を有し、前記基−ORはアルコキシ基−OR1及び−OR2を含み、ここで、R1とR2の両者は、1〜12個の炭素原子を有する直鎖、分岐又は環状アルキル基から成る群から選択されることを特徴とし、前記炭素原子は1以上の−O−、−NR”−、−S−で遮断されていて良く、ここでR”はH又は1〜6個の炭素原子を有するアルキル基を表し、但し2個の−O−も2個の−S−原子も直接隣接しないでよく、ここで、
− R1とR2は互いに異なり、及びR2はR1より少なくとも1個多い炭素原子を有し、前記反応生成物UAは、
a)多官能性アルデヒドAを環状尿素Uと混合して付加反応を起こさせる工程、随意に、前記多官能性アルデヒドA、前記環状尿素U、及び前記反応生成物UAのいずれとも反応しない共溶媒の存在下であり、更に随意には水を除去する工程、
b)脂肪族アルコールR1−OHを添加する工程、及び酸性条件下でエーテル化する工程、
c)添加される脂肪族アルコールR2−OHと、酸性条件下で更にエーテル化する工程であって、R2−OHはR1−OH中よりも少なくとも1個多い炭素原子を分子中に有する、工程、
を含む方法により作製される、
又は、
− R1とR2は同じであり、及び前記反応生成物UA中、前記アルデヒドAのカルボニル炭素原子上の置換基である、−OR基の数の、−OH基の数と−OR基の数の和に対する比が少なくとも80%であり、前記反応生成物UAは、
a)多官能性アルデヒドAを環状尿素Uと混合して付加反応を起こさせる工程、随意に、前記多官能性アルデヒドA、前記環状尿素U、及び前記反応生成物UAのいずれとも反応しない共溶媒の存在下であり、更に随意に水を除去する工程、
b)脂肪族アルコールR1−OHを添加すること、及び酸性条件下でエーテル化する工程、
c)添加される量の脂肪族アルコールR1−OHと、酸性条件下で更にエーテル化する工程、
を含む方法により作製される、
反応生成物UA。
[発明2]
発明1に記載の反応生成物UAであって、R1とR2は互いに異なり、及びR2はR1より少なくとも1個多い炭素原子を有し、並びに前記反応生成物UA中、前記アルデヒドAのカルボニル炭素原子上の置換基である、前記−OR基の数の、前記−OH基の数と前記−OR基の数の和に対する比が少なくとも50%であり、前記−OR基の数は、−OR1基の数と−OR2基の数の和である、反応生成物UA。
[発明3]
前記反応生成物中で化学的に結合されたアルコキシ基の物質量n(RO−)対環状尿素Uの物質量n(U)の比、n(RO−)/n(U)で計測されるエーテル化度が、少なくとも1.1mol/molである、発明1又は2に記載の反応生成物UA。
[発明4]
残余の>NH基の物質量の、前記環状尿素Uに由来する部分の物質量に対する比が、0.2mol/mol以下である発明1又は2に記載の反応生成物UA。
[発明5]
アルデヒドAが、グリオキサール、又はグリオキサールを含む混合物であることを特徴とする、発明1〜4のいずれか一つに記載の反応生成物UA。
[発明6]
前記環状尿素Uが、エチレン尿素、1,3−プロピレン尿素、1,2−プロピレン尿素、1,4−ブチレン尿素、グリコールウリル、及びこれらの少なくとも二種を含む混合物から成る群から選択されることを特徴とする、発明1〜5のいずれか一つに記載の反応生成物UA。
[発明7]
前記環状尿素Uは、前記多官能性アルデヒドAとの反応の前に、再結晶、抽出、錯化、吸着及びイオン交換反応、蒸留、昇華、並びに溶融結晶化から成る群から選択される1以上の方法によって精製されることを特徴とする、発明6に記載の反応生成物UA。
[発明8]
以下の工程を含む、R1とR2が異なる、発明1に記載の反応生成物UAの作製方法:
a)多官能性アルデヒドAを環状尿素Uと混合して付加反応を起こさせる工程、随意に、前記多官能性アルデヒドA、前記環状尿素U、及び前記反応生成物UAのいずれとも反応しない共溶媒の存在下であり、更に随意に水を除去する工程、
b)脂肪族アルコールR1−OHを添加する工程、及び酸性条件下でエーテル化する工程、
c)R1−OH中より一つ多い炭素原子を分子中に有する更なる脂肪族アルコールR2−OHを添加する工程、及び酸性条件下でエーテル化する工程、
ここで、工程b)及びc)のいずれか又は両方を一回又はそれより多く繰り返す。
[発明9]
発明8の方法のエーテル化生成物中の、アルコキシ基−O−R2の物質量n(−O−R2)の、アルコキシ基−O−R1の物質量n(−O−R1)に対する比が0.11mol/molと20mol/molの間である発明8に記載の方法。
[発明10]
以下の工程を含む、R1とR2が同じである、発明1に記載の反応生成物UAの作製方法:
a)多官能性アルデヒドAを環状尿素Uと混合して付加反応を起こさせる工程、随意に、前記多官能性アルデヒドA、前記環状尿素U、及び前記反応生成物UAのいずれとも反応しない共溶媒の存在下であり、更に随意に水を除去する工程、
b)脂肪族アルコールR1−OHを添加すること、及び酸性条件下でエーテル化する工程、
c)更なる量の前記脂肪族アルコールR1−OHを添加する工程、及び酸性条件下でエーテル化する工程、
ここで、工程c)を少なくとも二回行う。
[発明11]
発明8又は10に記載の方法であって、工程a)において、添加する前記多官能性アルデヒドAの量が、必要とされる化学量論量の20%と80%の間であり、及び工程a)の後、更なる量の多官能性アルデヒドAを添加して工程a)で形成された反応混合物と反応させることを特徴とし、ここで、前記多官能性アルデヒドA中のアルデヒド基の物質量n(−CHO)と、前記環状尿素U中のアミド基の物質量n(−CO−NH−)との比が0.8mol/mol〜1.4mol/molである様に、添加する多官能性アルデヒドAの総量を選ぶ、
方法。
[発明12]
反応の前又は間に、蒸留又は減圧蒸留によって揮発性成分を除去することにより、環状尿素U、多官能性アルデヒド、及び随意に水又は溶媒、の混合物を濃縮することを特徴とする、発明8、10又は11に記載の方法。
[発明13]
工程a)の間若しくは後、及び/又は工程b)の間若しくは後に、蒸留によって、少なくとも一部の未反応の前記アルコールR1OH及び/又は水を除去することを特徴とする、発明8、10又は11に記載の方法。
[発明14]
発明1〜7のいずれか一つに記載の反応生成物UAの架橋剤としての使用方法であって、
前記反応生成物UAを、ヒドロキシル基、酸基、好ましくはカルボキシル基、カルバメート基、アミド基、イミド基、アミノ基、イミノ基、メルカプタン基、又はホスフィン基の少なくとも一つを有するバインダー樹脂に混合する工程、均質化する工程、及び前記均質化された混合物を、噴霧法、刷毛塗り、ワイヤー塗布、カーテン塗布、ブレード塗布、ロール塗布、浸漬法、電気泳動堆積、紛体噴霧法、又は静電噴霧法により基板に塗布する工程、
を含む方法。
[発明15]
反応生成物UAとバインダー樹脂の前記混合物に、水、有機溶媒、触媒、色素、充填剤、光安定化剤、融合助剤、消泡剤、展着剤、均染剤、増粘剤、沈殿防止剤、皮張り防止剤、及び保恒剤の少なくとも一つを添加することを特徴とする、発明14に記載の方法。
[発明16]
前記基板が、熱可塑性物質及び熱硬化性物質を包含するプラスチック、木材、セラミックス及びガラス、加工木材、皮革、繊維製品、タイヤコード、ゴム物品、紙、段ボール、漆喰、コンクリート、及び金属、金属化回路基板、半導体表面、ディスプレー、及び電子回路に対する包装から成る群から選択されることを特徴とする、発明14又は15に記載の使用方法。
[発明17]
発明1〜7のいずれか一つに記載の反応生成物UAの、紙、繊維製品、木材、加工木材、皮革、又はセルロース性物質から成る群から選択される基板用の架橋剤としての使用方法であって、触媒、充填剤、展着剤、溶媒、及び希釈剤の少なくとも一を、前記反応生成物UAに混合して架橋剤組成物を形成する工程、及び前記架橋剤組成物を前記基板に塗布する工程、を含む方法。
[発明18]
発明1〜7の少なくとも一つに記載の前記反応生成物UAと、少なくとも一のバインダー樹脂とを含む混合物であって、その各々が少なくとも一のヒドロキシ官能基、カルバメート官能基、酸官能基、アミド官能基、イミド官能基、アミノ官能基、イミノ官能基、メルカプタン官能基、又はホスフィン官能基を有する、混合物。