(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記1つまたは複数のEMG電極を筋肉上に配置させるために、同1つまたは複数のEMG電極がアームバンド、粘着テープ、および衣服のうち1つまたは複数に装着される請求項1の装置。
一対の主動筋及び拮抗筋に関連付けることのできる2つのEMG電極を備え、一方のEMG電極が主動筋と関連付けられ、他方のEMG電極が拮抗筋と関連付けられる請求項1
の装置。
前記周期性の寄与の判定は、前記複数のバーストに含まれるバースト間の期間における平均偏差の計算と、該平均偏差が閾値平均偏差未満または閾値平均偏差より大きいかの特定とを含む請求項1の装置。
前記プロセッサは、前記複数のバーストのうちいくつかのバーストが互いに接近しすぎているか間が離れすぎている場合に、該複数のバーストからいくつかのバーストを除去するようにさらに構成され、
前記周期性の寄与の判定は、最小均一性閾値と最大均一性閾値とに対する前記時間ウィンドウにわたるバースト特性の前記周期性の比較を含む請求項1の装置。
前記EMG電極の1つまたは複数が十分に筋肉に接近して筋肉活動を表す正確なEMG信号を提供しているか否かを示すように構成される1つまたは複数のリードオフ検出器をさらに備える請求項1の装置。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書に記載の装置および方法は、痙攣を検出し、特にEMGを用いて痙攣について介護者に適時に警告するために使用することができる。装置および方法は、たとえば、警告プロトコルを開始する、痙攣事象のログを作成して患者を医療的または外科的に管理するのを助ける、迷走神経刺激装置を起動する、あるいは痙攣を止める、または弱めるのに使用可能なその他の刺激装置を起動するために使用することができる。いくつかの実施形態では、痙攣関連事象のログにより、治療方式の失敗をより速く医師に気付かせることができる。該装置および方法は、持続性−間代性、持続性のみ、または間代性のみの痙攣を含むがそれらに限定されない運動兆候を伴う痙攣を検出する工程および装置および/または装置のシステムを含むことができる。実施形態によっては、「運動兆候」は持続的であろうとなかろうと筋肉活動全般を指す。
【0020】
本明細書に記載の装置は、人を監視して、人が痙攣を起こしているか否かを判定し、警告を発するのに役立てることができる。本明細書に記載の方法は柔軟にすることができる、たとえば、個人に合わせてカスタマイズすることができる。さらに、上記方法は適合性を持たせることができ、たとえば、所与の患者またはある一定の患者人口統計のためにデータが収集されるように改良することができる。さらに、本明細書に記載の装置は、大量のデータの集合、たとえば痙攣を起こし易い個人が家庭環境にいるときなどのように略連続的に収集され得るデータを整理する、および/または優先順位をつけるのに適する。
【0021】
概して、EMG電極信号を収集して、処理し、痙攣変数を判定することができる。実施形態によっては、「痙攣変数」は検出器の出力信号から収集されるデータの1つまたは複数の部分の判定基準または基準を指す。所与のセットのデータの場合、痙攣変数はそれに関連する1つまたは複数の数値を有することができる。たとえば、信号の振幅は、所与のセットのデータに関して関連付けられる1つまたは複数の数値を有する痙攣変数とすることができる。痙攣変数の値は閾値レベルと比較し、痙攣が起こった可能性があるか否かを判定するアルゴリズムの入力として使用することができる。
【0022】
処理方法は、1つまたは複数の痙攣変数値を計算することを含むことができ、上記値を、痙攣を特徴付けることのできる1つまたは複数の閾値と比較することをさらに含むことができる。データレジスタは上記比較に基づき値を代入されて、警告プロトコルを開始するか否かを判断するのに使用することができる。異なるレジスタにおけるデータの重み付けとEMGデータの様々な特徴の重要性は、個々の患者または患者人口統計に合わせてカスタマイズすることができ、システムが患者または患者人口統計に関する情報を得るにつれて適合させることができる。
【0023】
多量のEMGおよびその他の患者関連データを収集し、システム最適化のためにそのようなデータを編成し、疑わしい痙攣に応答して警告を開始する幅広い適切なシステムが適切である。
図1は、上記システムの例示の実施形態を示す。
図1の実施形態では、痙攣検出システム10は、検出ユニット12、任意の基地局14、任意のビデオモニタ9、および任意の警告トランシーバ16を備えることができる。検出ユニットは、患者の皮膚表面またはその近傍で筋肉からの電気信号を検出し、処理のためにそれらの電気EMG信号をプロセッサに送信することのできる1つまたは複数のEMG電極を備えることができる。基地局は、検出ユニットからのEMG信号を受信および処理し、痙攣が発生したか否かを処理したEMG信号から判定し、警告を介護者に送信することのできるコンピュータを備えることができる。警告トランシーバは、介護者によって携行され、あるいは介護者の近傍に配置されて、基地局によって送信される警告を受信および中継することができる。
【0024】
図1の装置を使用する際、たとえば、癲癇性痙攣を起こし易い人11はベッドで休息している、あるいは日常生活に含まれ得るその他の位置にいることができ、身体と物理的に接触する、あるいは身体に近接する検出ユニット12を有することができる。検出ユニット12は、固定電源またはかさばる基地局14に拘束されずに立ち上がり歩き回ることができるような無線装置とすることができる。たとえば、検出ユニット12はシャツの袖に織り込むことができる、あるいはアームバンドまたはブレスレットに搭載することができる。別の実施形態では、1つまたは複数の検出ユニット12はベッド、椅子、幼児用自動車シート、またはその他の適切な衣服、家具、機器、および痙攣を起こし易い人の使用するアクセサリに配置する、あるいは組み込むことができる。検出ユニット12は処理および分析のために信号を基地局に送信し得る電極などの単純センサを備えることができる、あるいは、いくつかのデータ処理および記憶容量を有する「スマート」センサを備えることができる。いくつかの実施形態では、単純センサは、人が着用するベルトに搭載される電池式トランシーバに有線または無線で接続することができる。
【0025】
システムは、たとえば、夕方や夜間などの休息時に患者を監視することができる。患者の検出ユニット12が痙攣を検出する場合、検出ユニット12は有線または無線で、たとえば、通信ネットワークまたは無線リンクを介して基地局14と通信することができ、より徹底的な分析のために一部の信号を基地局装置に送信することができる。たとえば、検出ユニット12はEMG信号(および任意でECGおよび温度センサ信号)を処理および使用して、痙攣の発生の可能性に関する最初の査定を行い、別個の処理および確認のために、それらの信号と査定を基地局14に送信することができる。痙攣が発生しているらしいと確認すれば、基地局14は警告を起動して、eメール、テキスト、または任意の適切な有線または無線のメッセージインジケータによりネットワーク15上で介護者に警告を送信する。いくつかの実施形態では、検出ユニット12、基地局14、または介護者、たとえば、基地局から提供される信号を監視する遠隔の介護者のうち1つまたは複数が痙攣の発生を判定する場合、情報を収集するようにビデオモニタ9を誘発することができる。
【0026】
一般的な家庭用電源によって電力を供給され、バックアップ用バッテリを含む基地局14は、検出ユニット12よりも動作に利用可能な処理、送信、および分析能力が高く、より多くの量の信号履歴を記憶し、その多量データに照らして受信信号を評価することができる。基地局14は、家族の寝室などのように基地局14から遠隔に配置される警告トランシーバ16と、または介護者によって携行される、あるいは職場やクリニックに配置される無線装置17、18と通信することができる。基地局14および/またはトランシーバ16は、ネットワーク15などの任意の適切な手段を介して、携帯電話17、PDA18、またはその他のクライアント機器を通じ介護者または医療従事者に警告またはメッセージを送信することができる。よって、システム10は痙攣の正確なログを提供して、患者の医師に治療方式の成功または失敗をより迅速に認識させることができる。当然ながら、基地局14は、本明細書に記載の信号を受信、処理、および分析して、警告を送信することのできるインストールされたプログラムを有するコンピュータを単に備えることができる。別の実施形態では、システム10は、たとえば、EMG電極と、インストールされたプログラムアプリケーションを用いて本明細書に記載のEMG信号を処理するために電極からのEMG信号を受信するように構成されるiPhoneのようなスマートフォンとを単に備えることができる。別の実施形態では、EMG信号および関連データの記憶および処理のために、ネットワーク15を介していわゆる「クラウド」コンピューティングおよび記憶装置を使用することができる。さらに別の実施形態では、1つまたは複数のEMG電極は、本明細書に開示されるようにEMG信号を処理し、ネットワーク上で警告を送信することのできるプロセッサを有する単独ユニットとして一括してパッケージ化することができる。言い換えると、装置は、患者上に配置され、基地局と離れたトランシーバを必要としない単独の製品を備えることができる。
【0027】
図1の実施形態では、信号データは保管のために遠隔データベース19に送信することができる。いくつかの実施形態では、信号データは複数の癲癇患者から中央データベース19に送信されて、癲癇性痙攣の一般「ベースライン」感度レベルおよび信号特徴を確定し改良するための基盤を提供するように「匿名化」することができる。データベース19および基地局14はネットワーク15を介して遠隔コンピュータ13から遠隔アクセスされて、検出器ユニットおよび/または基地局ソフトウェアの更新およびデータ送信を可能にする。基地局14は遠隔トランシーバ16が行うような可聴警告を生成することができる。すべての無線リンクは、ソフトウェアおよびデータ送信とメッセージ送達確認のために双方向性とすることができる。基地局14は、痙攣通知のために上述したメッセージング方法のうち1つまたは全部を採用することもできる。基地局14は事象警告を終了させる「警告解除」ボタンを設けることができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、トランシーバは、家具ユニットやその他の構造、たとえば、環境ユニットまたはオブジェクト内に追加で搭載することができる。検出ユニットがトランシーバに十分に接近している場合、上記トランシーバはデータを基地局に送信することができる。よって、基地局は、その情報がトランスデューサから、ひいては関連の環境ユニットから受信されていることを認識できる。いくつかの実施形態では、基地局は、特定のトランシーバからの信号を受信しているか否かに応じて、特定のテンプレートファイル、たとえば本明細書で後述される閾値およびその他のデータを選択することができる。よって、たとえば、検出器とベッドまたはベビーベッドに対応付けられるトランスデューサとから情報を受信する場合、基地局は、たとえば個人が運動中に身に着ける衣服などの別の環境ユニットと対応付けられるトランスデューサから受信する場合と違った風にデータを取り扱うことができる。
【0029】
図1の実施形態は、睡眠中に使用するのに最小限の侵襲性を有する、あるいは日常活動をごくわずかにしか阻害しないように構成することができ、1つか2つくらいの最小数の電極しか必要とせず、頭部に電極を装着する必要がなく、運動兆候を有する痙攣を検出することができ、1つまたは複数の局地的および/または遠隔部位の痙攣の存在を警告することができ、家庭での使用のために十分安価にすることができる。
【0030】
図2は、検出ユニット12または検出器の一実施形態を示す。検出ユニット12はEMG電極20、さらにはECG電極21も含むことができる。検出ユニット12は、リードオフ検出器22を有する増幅器をさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のリードオフ検出器は、電極が人体に物理的に接触しているか、あるいは人体から離れすぎているかを示して、筋肉活動、体温、脳活動、またはその他の患者の現象を検出する信号を提供することができる。
【0031】
検出ユニット12は、人の体温を感知する温度センサ23をさらに含むことができる。加速度計などのその他のセンサ(図示せず)を検出ユニットに含めることができる。電極20および21、温度センサ23、およびその他のセンサからの信号をマルチプレクサ24に提供することができる。マルチプレクサ24は検出ユニット12の一部にすることができる、あるいは検出ユニット12が高性能センサでない場合は基地局14の一部にすることができる。次に、信号はマルチプレクサ24から1つまたは複数のアナログ−デジタルコンバータ25に伝えることができる。アナログ−デジタルコンバータは検出ユニット12の一部にすることができる、あるいは基地局14の一部にすることができる。次に、信号は、本明細書に開示の処理および分析のために1つまたは複数のマイクロプロセッサ26に伝えることができる。マイクロプロセッサ26は検出ユニット12の一部にすることができる、あるいは基地局14の一部にすることができる。検出ユニット12および/または基地局14は、適切な容量のメモリをさらに含むことができる。マイクロプロセッサ26はトランシーバ27を使用して信号データおよびその他の情報を伝えることができる。検出ユニット12および/または基地局14の構成要素による、および構成要素間の通信は有線または無線通信とすることができる。
【0032】
当然ながら、
図2の例示の検出ユニットは別な風に構成することができる。
図2の検出器の構成要素の多くは、検出ユニット12ではなく基地局14に置くことができる。たとえば、検出ユニットは単に、基地局14と無線通信するEMG電極20を備えることができる。上記実施形態では、A−D変換と信号処理は基地局14で行うことができる。ECG電極21が含まれる場合、多重化も基地局14で実行することができる。
【0033】
別の例では、
図2の検出ユニット12は、EMG電極20、ECG電極21、および温度センサ23のうち1つまたは複数を有し、小さなベルトに装着したトランシーバ部で有線または無線通信を行う電極部を備えることができる。トランシーバ部は、マルチプレクサ24、A/Dコンバータ25、マイクロプロセッサ26、トランシーバ27、およびメモリやI/O装置(たとえば、警告解除ボタンおよび視覚ディスプレイ)などのその他の構成要素を含むことができる。
【0034】
図3は、1つまたは複数のマイクロプロセッサ30、電源31、バックアップ電源32、1つまたは複数のI/O装置33、およびイーサネット(登録商標)接続34およびトランシーバ35などの各種通信手段を含むことができる基地局14の実施形態を示す。基地局14は、検出ユニット12よりも高い処理および記憶能力を有し、介護者が検出ユニット12から受信される際にリアルタイムでEMG信号を視聴し、あるいはメモリからの履歴EMG信号を視聴するためにEMG信号グラフの表示用のより大きな電子ディスプレイを含むことができる。基地局14はEMG信号および検出ユニット12から受信したその他のデータを処理することができる。基地局14は、痙攣が起こっているらしいと判定する場合、トランシーバ35を介して警告を介護者に送信することができる。
【0035】
図1〜
図3の各種装置は、有線または無線通信を介して相互に通信することができる。システム10はクライアント−サーバまたはその他のアーキテクチャを備え、ネットワーク15を介する通信を可能にすることができる。当然ながら、システム10は、2つ以上のサーバおよび/またはクライアントを備えることができる。別の実施形態では、システム10は、ピアツーピアアーキテクチャ、またはその組み合わせまたは合成などのその他の種類のネットワークアーキテクチャを備えることができる。
【0036】
図4は、痙攣特徴に関してEMGおよびその他の信号を監視し、痙攣が検出される場合に警告を開始する例示の方法36を示す。上記方法は、EMG信号を収集することと、痙攣変数の1つまたは複数の値を計算することと、上記痙攣変数データを使用してプロセッサまたはメモリレジスタに代入することと、を含むことができる。概して、1つまたは複数の痙攣変数および1つまたは複数のレジスタをデータ分析に含めることができる。ステップ38では、EMG信号およびその他の検出器出力信号を収集することができる。出力信号は、略連続的にまたは周期的に収集することができる。痙攣変数データを得るため、出力信号はステップ40で処理することができる。データ値はステップ42に示されるように、1つまたは複数の検出レジスタに代入することができる。出力信号の処理および検出レジスタの代入は、確定期間、すなわち、収集時間ウィンドウ中に実行することができる。上記収集時間ウィンドウの終了時、各検出レジスタはもしあればそのコンテンツを1つまたは複数の蓄積レジスタ(ステップ44に示す)に転送し、1つまたは複数の検出レジスタのコンテンツをもしあれば消去することができる。収集時間ウィンドウの終了時、および蓄積レジスタの調節(増加または漏れ)後、サイクルはそれ自体で繰り返す(線46に示す)、すなわち、検出器出力は次の収集ウィンドウで収集することができる。周期的に、監視アルゴリズムは1つまたは複数の蓄積レジスタのコンテンツを分析し、痙攣が起こりそうか否かを判定することができる(ステップ48)。監視アルゴリズムが、蓄積レジスタの合計値または加重合計値が閾値を超過すると判定する場合、警告プロトコルを開始することができる(ステップ50)。もしくは、監視レジスタは、蓄積レジスタのコンテンツが痙攣の発生を示していないと判定することができ、システムは次の分析期間を待つことができる(ステップ52)。
【0037】
後述するように、監視アルゴリズムは、蓄積および/または検出レジスタにおける各種痙攣変数値を使用する多数のサブルーチンを備えることができる。
図4の実施例に例として示されるように、該方法は、個々の検出レジスタにデータ値を代入することと、蓄積レジスタにデータ値を追加することとを備えることができる(ステップ38、40、42、および44)。サブメソッドは、個々の検出レジスタおよび蓄積レジスタの値代入に含まれるステップを含むことができる。各サブメソッドは、収集されたデータのうち1つまたは複数の特徴を検討し、上記特徴に関する工程分析を行うことができる。個々のサブメソッドは、非限定的に、信号バーストの検出とGTC波形の検出を含むことができる。サブメソッドは時間領域、周波数領域内のデータを処理することができる、あるいはいくつかの実施形態では、時間領域および周波数領域内のデータの一部を処理することができる。それらの個々のサブメソッドをより詳細に説明する前に、データ収集のいくつかの一般的な態様や使用される検出器だけでなく、各種サブメソッドに含めることのできるデータフィルタリングなどの処理ステップを検討することが有益である。また、本明細書で
図5および6を参照しより詳細に後述するように、例示のEMG信号データについて説明することが有益である。
【0038】
図4のステップ38に示されるように、いくつかの実施形態では、EMG電極データの分析によってのみ痙攣の検出を達成することができる。別の実施形態では、EMGとその他の検出器の組み合わせを使用することができる。たとえば、温度センサ、加速度計、ECG検出器、その他の検出器、またはそれらの任意の組み合わせを使用できる。加速度計は、たとえば患者の四肢に配置して、痙攣を特徴付けることのできる激しい運動の種類を検出することができる。同様に、ECGセンサを使用して、痙攣を特徴付けることのできる上昇したまたは異常な心拍数を検出することができる。よって、監視装置は、EEGで一般的なように、従来通り頭部に多数の有線電極を配置することなく癲癇性痙攣を検出することができる。EMG電極とその他の検出器との組み合わせは、たとえば、特に厄介な患者に使用することができる。電極と皮膚との接触安定性に影響を及ぼし得る過剰な量の弛緩性皮膚や高濃度の脂肪組織を有する患者は、監視が特に困難である可能性がある。いくつかの実施形態では、電極は単独の筋肉に装着することができ、別の実施形態では、2つまたはそれ以上の電極の組み合わせを利用することができる。電極はたとえば、主動筋および拮抗筋筋肉群に装着し、その他様々な筋肉の組み合わせからの信号を収集することができる。
【0039】
概して、本明細書に記載のシステムは、たとえば、表面単極電極または双極差動電極、あるいは任意の適切な形状の電極などの任意の種類のEMG電極と互換可能である。上記電極はたとえば、皮膚表面に配置することによって、ジェルの貼付を含んでいても含まなくてもよく、いくつかの実施形態では、Ag/AgCl電極とすることができる。たとえば、基準導線と2つの表面入力を有する双極EMG電極配置を使用することで、それらの入力に共通する雑音を抑えることができる。すなわち、差動増幅器を使用することができ、一方の入力から他方の入力の信号の減算を達成することができ、入力間の信号の任意の差を増幅させることができる。上記アプローチでは、両入力に共通する信号(外部雑音など)はほぼ無効にして、筋肉脱分極から生じる信号の優先的増幅を達成することができる。
【0040】
EMG信号は所与の期間、収集することができる。たとえば、時間領域電極信号を収集することができる。時間領域電極データは、高速フーリエ変換(FFT)などの手法を利用して、周波数データ、すなわち、スペクトル成分に変換することができる。
図4を参照すると、時間領域と周波数領域間のデータ変換を処理ステップ40に含めることができる。データ処理の他の態様は、データの平滑化、1つまたは複数の周波数フィルタの適用、所与の領域におけるデータの特定の機能への適合、およびその他の処理動作などである。
【0041】
図5((a)および(b)を含む)は約2秒間にわたって収集されるEMGデータ54の例を提示する。
図5のデータは患者の二頭筋または三頭筋に双極差動電極を配置することによって収集されるデータの具体例である。
図6は、周波数領域に変換される
図5のEMGデータ54をいくつか示す。
図6のEMGデータ74は、たとえば、周波数領域に変換される1秒間のEMGデータ54を表すことができる。EMG電極の場合、周波数領域データの視覚表示はスペクトルグラフと称することもできる。
【0042】
図5のグラフの時間領域データを参照すると、
図5の(a)の縦軸または縦目盛は信号振幅、たとえば、EMG電極入力対間の差動信号であり、横軸または横目盛は時間を表す(
図5では、時間ウィンドウは約2秒である)。本明細書に記載のグラフのいずれかを参照すると、振幅という用語が使用されており、所与の計算にとって適宜、信号の大きさまたは大きさの絶対値のいずれかを指すことができる。収集された信号はたとえば整流することができ、特に断りのない限り、本明細書に記載のバーストの検出は整流された信号データを含む。
図5に示されるように、振幅(または振幅の絶対値)は2秒間、少なくとも3回(56、58、および60)持続的上昇62を経験するように見える。このような持続的上昇は、バースト、あるいは信号またはデータバーストと称されるものを示すことができる。より詳細に後述するように、66または68などの疑わしいバースト間の期間変動は、ベースラインを計算するのに使用することができる。ベースライン領域での変動、すなわち、雑音は、ピークツーピーク値、二乗平均平方根(RMS)値、またはその他のメトリクスに関連させることができる。
図5の(b)は、EMGデータ54の一部、すなわち、バースト60および隣接期間を含むデータの領域を示す。
図5の(b)では、RMS雑音値72および振幅70が示されている。バースト60の信号対雑音比(SNRまたはS/N)は本例では、約4:1であり、すなわち、振幅70は雑音値72の約4倍である。
図5のEMGデータについて、
図7のバースト検出サブメソッドを参照してさらに詳細に説明する。
【0043】
図6の例示のデータを参照すると、縦目盛は所与の周波数の大きさ(スペクトル密度と称することもできる)を表し、横目盛は信号周波数を表している。なお、
図6のスペクトルデータは、周波数が上昇するにつれ大きさが減少する曲線勾配を示す。すなわち、スペクトル密度は通常、周波数の上昇と共に低下する。高周波でのスペクトル密度に対する低周波でのスペクトル密度の比は、電極データの任意の所与の部分に関して関連値を有することのできる痙攣変数とすることができる。たとえば、
図6に示されるデータの場合、約400Hz(78)でのスペクトル密度に対する周波数約200Hz(76)でのスペクトル密度の比は約1.1であってよい。
【0044】
また、特徴的GTC波形の少なくとも一部を示す
図6の(b)と同じデータの拡張部分に示されるように、高スペクトル密度80の領域、すなわち、約300〜500Hzで、特に400Hz82辺りの比較的高い周波数の「凸」が示されている。すなわち、その領域の周波数82でのスペクトル密度80は、たとえば約300Hzの周波数86にほぼ配置される「凹」領域のスペクトル密度84を超過している。「凹領域」または「凹」という用語は、いくつかの実施形態では、スペクトルデータの一部が正の湾曲を有する特性をほぼ所有することを指す、すなわち、凹領域は1セットのデータの局所最小値を指す。「凸領域」または「凸」という用語は、いくつかの実施形態では、スペクトルデータの一部が負の湾曲を有する特性をほぼ所有することを指す、すなわち、凸領域は1セットのデータの局所最大値を指す。正または負の湾曲をほぼ所有することとは、個々のデータ点の局地的変動がデータから平均化または平滑化されることを意味する。すなわち、たとえば雑音による局地的変動を無視すると、データセットは湾曲の一特性を有することができる。
【0045】
周波数82でのスペクトル密度に対する周波数86でのスペクトル密度の比、すなわち凹対凸比を痙攣変数として使用することができる。いくつかの実施形態では、凹対凸比はGTC波形検出用のメトリクスとして使用することができる。しかしながら、より高度なデータ分析手法、たとえば、さらに多くのデータ点および/または高度パターン認識アルゴリズムを見ることも、GTC波形の特定に使用することができる。いくつかの実施形態では、検出ユニットは凹対凸比の計算指示を含むことができ、ベースユニットは凹対凸比を計算して、より高度なパターン認識分析で凹対凸比計算を実証することができる。
図6のEMGデータおよび上記データ特徴を、たとえば、
図11および12で説明したようなGTC波形検出サブメソッドに関してさらに詳細に説明する。
【0046】
再度
図4を参照すると、EMGデータの収集は検出ユニットで達成されており、検出ユニットが最初の分析とデータ処理を実行することができる。いくつかの実施形態では、痙攣が起こりそうであると判定する場合、検出ユニットは、その後の処理が行われる基地局にデータを送信することができる。よって、検出ユニット、基地局、またはその両方がEMG信号を処理し、一方または両方の装置が痙攣検出サブメソッドを実行することができる。このようなサブメソッドはEMGデータの特定の特徴を特徴付け、このような特徴付けに基づき、データレジスタと蓄積レジスタ間のデータ転送を指示することができる。
図7および10〜13を参照して本明細書に記載されるサブメソッドのそれらの態様は、方法36のステップ38、40、42、44、および46の態様を含むことができる。サブメソッドはデータを監視アルゴリズムに供給することができる。
【0047】
図7は、データバーストの分析のために使用可能なサブメソッド88の一実施形態を示す。
図7のステップ90では、検出ユニットおよび/または基地局はデータバースト分析用のプロトコルを選択することができる。分析プロトコルの選択は、たとえば、テンプレートファイルに示すことができる。上記テンプレートファイルは、データ平滑化ルーチン、データフィルタリング用ルーチン、その他の形式のデータ処理ルーチン、またはそれらルーチンの組み合わせを選択する指示を含むことができる。上記ルーチンは検出ユニット、基地局、またはその両方で実行することができる。分析プロトコルは、たとえば、バンドパスフィルタリングおよび整流後に、
図9および
図10の例に示されるようにデータバーストを特定および成形することのできるピーク検出プログラムを含むことができる。任意の適切なピーク検出手法を使用することができ(たとえば、連続ウェーブレット変換)、いくつかの実施形態では、たとえば、データ平滑化手法(たとえば、移動平均フィルタ、Savitzky−Golayフィルタ、ガウスフィルタ、カイザーウィンドウ、各種ウェーブレット変換など)、ベースライン訂正プロセス(たとえば、単調最小、線形補間、レス正規化、最小の移動平均など)およびピーク発見基準(SNR、検出/強度閾値、ピーク傾斜、局所最大値、形状比、稜線、モデルベース基準、ピーク幅など)を含むことができる。
【0048】
ピーク検出器は別々のアタック速度(attack rate)と減衰速度を有することができる。これらの速度は個々に調節することができる。実際のバースト間には多数の持続振幅があることが多いため、ピーク検出信号がバースト中に非常に迅速に減衰する恐れは通常問題とはならない。したがって、減衰速度は、バースト後相当迅速に減衰するように設定することができる。通常、バースト間の時間はバースト自体よりも長いため、減衰をスピードアップさせる理由はない。しかしながら、バースト間の雑音スパイクは、実際の痙攣バーストの区別が問題となるようなレベルまでピーク検出器出力を人為的に急騰させる可能性がある。したがって、アタック速度は、これが起きないように注意深く制御することができる。
【0049】
図7の方法のステップ91では、バースト検出アルゴリズムを開始することができる。バースト分析は、たとえば、バースト分析振幅閾値を満たす、あるいは超過する振幅値を有するEMG信号の検出によって始動させることができる。バースト検出ウィンドウ内で、EMGデータはたとえばピーク検出プログラムを使用して高振幅について分析することができる。高振幅領域はバースト候補として分類することができる。たとえば、
図5を再度参照すると、約2秒間、振幅が持続的に高い少なくとも3つの期間(56、58、および60)を特定することができる。振幅、幅、およびSNRに関して測定可能なバースト検出ウィンドウ内の高振幅領域も判定することができる。たとえばピーク候補として特定されるデータの一部は、ピーク振幅、中央振幅、平均振幅などの関連する振幅を有することができ、あるいはその他のメトリクスを計算することができる。
【0050】
図7のステップ92では、ある一定の期間(バースト検出ウィンドウ)内のEMG信号データをバーストに関して分析することができる。たとえば、疑わしいデータバースト56の場合、振幅62を測定することができる。バーストはデータの周辺部全体で上昇している振幅を有することができ、その高振幅はある期間にわたって延長することができる。すなわち、バーストは、バースト幅64のようなバースト幅を有することができる。バースト幅を判定するため、バーストの先端とバーストの後端を判定することができる。バーストの先端および後端を検出するため、連続データ点に関する振幅変化を測定することができ、たとえば、時間に伴う振幅の変化速度を算出することができる。上述したような任意のその他の適切な手法を使用することができる。いくつかの実施形態では、バースト幅は、時間領域において閾値最小振幅が所与の確率、たとえば、時点の大多数が閾値を超える高振幅を示す場合、を満たすか否かを計算することによって分類することができる。
【0051】
信号対雑音比の計算は、たとえば、バーストを含むと疑われる期間におけるデータ直前の期間で検出器信号の変動、すなわち、ベースライン雑音を判定することによってベースラインを確定することを含むことができる。たとえば、EMG信号は、以下
図25を参照してより詳細に説明するように、痙攣につながる時間、比較的安静な場合がある。その安静な期間は、ベースラインの確定に利用することができる。
【0052】
ベースラインは、バーストを有すると疑われるのと同じ時間ウィンドウ内のバースト期間間の変動を見ることによっても確定することができる。たとえば、再度
図5のEMGデータを参照すると、期間66または68のデータなどの疑わしいバースト間の期間のデータ変動は、ベースラインを計算するのに使用することができる。ベースライン領域での変動、すなわち、雑音は、ピークツーピーク値、RMS値、またはその他の適切なベースライン検出メトリクスに関連付けることができる。
図5では、データの拡張領域、すなわち、バースト60とその隣接期間を含むデータの領域が
図5の(b)に示されており、二乗平均平方根雑音値72および振幅70がほぼ示されている。バースト60のS/Nはたとえば、約4にすることができる。すなわち、振幅70は雑音値72の約4倍である。
【0053】
なお、バースト期間の間の変動を観察することによって確定されるベースラインは、痙攣前の安静な時間を観察することによって確定されるベースラインと異なることがある。よって、異なるピーク検出アルゴリズムをそれぞれに対して実行させることができる、あるいは、安静な時間か痙攣活動中かの検出に応じて、同じアルゴリズムをベースライン検出に対して上昇または低下させることができる。たとえば、ベースライン検出器は、信号エンベロープ生成のために使用されたピーク検出器よりもずっと長い時間係数を有するピーク検出器とすることができる。このベースライン検出器は、間代性段階中に高レベルに上昇させることができるが、活動の持続性段階中に低下させることもできる。さらに、バーストをより容易に判別できるように比較的安静な期間にはより速くベースライン検出器を低下させるように負ピーク検出器を採用することができる。
【0054】
ステップ94では、バースト検出アルゴリズムは、バースト検出ウィンドウ内のEMG信号データが各種要件または閾値またはその他の基準を満たすか否かを判定し、高振幅領域をバーストとみなすことができる。たとえば、アルゴリズムは1つまたは複数の高振幅領域が振幅、幅、および高振幅領域間の時間の要件を満たすか否かを判定して、痙攣バーストと認定することができる。たとえば、バーストを検出するサブメソッドは、Y秒よりも近くZ秒よりも遠く特定の閾値を超過する振幅を検出することができる。このような要件(またはバースト基準)をテンプレートファイルに設けることができる。たとえば、表1を参照すると、最小S/N基準がテンプレートファイルから引き出され、疑われる各バーストに関してS/Nの算出値と比較されている。
【0055】
通常、バーストは、低振幅レベルからのEMG電極信号の振幅急増、特定の最小時間における上昇振幅レベルの維持、特定最大時間以下の経過後、電極信号の振幅レベルの低レベルへの帰還、および特定の最小時間における低下振幅レベルの維持によって特徴付けることができる。
図8Aおよび
図8Bは、フィルタリング、整流、およびピーク検出後の信号バーストの例示のモデルフォームまたはエンベロープを示す。通常、低振幅信号レベルはゼロにまで達しない。ゼロを超える低振幅は信号雑音である。雑音レベルに対するバースト振幅レベルの比がSNRである。たとえば、バーストの信号レベルが1ボルトで、雑音が0.35ボルトの場合、SNRは1/0.35または2.86となる。
図8の例では、EMG信号データのピーク振幅120を、ピーク振幅と関連付けられる基準と比較することができる。振幅120が最小振幅基準120aより大きく、最大振幅基準120bより小さい場合、雑音102のレベルに対するピーク振幅の比を判定して、バースト振幅基準、たとえば、SNR閾値と比較することができる。ピーク振幅がSNR閾値を満たす場合、EMG信号データは、振幅に関してバースト(またはバーストの開始)としてみなすことができる。最大バースト振幅要件は、人体によって生成され得る振幅よりもずっと高い振幅を導入可能な外部雑音源から生じる高振幅EMGデータを考慮から排除するのに役立てることができる。
【0056】
図8Aは幅114を有する高振幅領域も示す。幅114は最小バースト幅(破線116)および最大バースト幅(破線118)と比較することができる。
図8Bに示されるように、幅114は最小および最大バースト幅閾値の間に属し、幅に対するバーストとして高振幅の領域を特定する。最大バースト幅要件は、自発的筋肉活動、雑音源、または電極接続の問題から生じる高振幅EMGデータを考慮から排除するのに役立てることができる。これは、実際のまたは自明の高振幅筋肉活動を痙攣と誤って特定することを排除するのに役立てることができる。
【0057】
図8Bは、期間108によって分離される2つの連続バースト(104および106)の例を示す。
図8Bでは、バースト108間の時間は、たとえば連続バースト間の最小期間(破線110)および連続バースト間の最大期間(破線112)と関連付けられる基準値と比較することができる。十分な量のバーストが最小および最大期間内で互いに連続する場合、連続バーストは痙攣を示すバースト列とみなすことができる。しかしながら、すべてのバースト列が痙攣を示すわけではなく、周期性アルゴリズム(より詳細に後述)を、痙攣が起こっている可能性をさらに評価するために使用することができる。たとえば、極めて規則的なバーストは痙攣を示していない場合がある。散発性のバーストも痙攣を示していない場合がある、あるいは十分に間が離れている場合は、切迫した痙攣の脅威は最小を示す可能性がある。
【0058】
バースト検出ウィンドウの最後に到達後、バースト検出アルゴリズムは次のバースト検出ウィンドウのデータを分析する前に遅延期間分待機することができる。遅延を追加することによって、バースト検出アルゴリズムは、新たなデータが分析されるように確保することができる。バーストウィンドウの分析、または1つまたは複数の連続バースト検出ウィンドウの分析でバーストまたは近似バーストが現れない場合、ステップ95に示されるようにバースト検出サブメソッドは、バースト分析振幅閾値がサブメソッドの始動を誘発するまでいったん停止することができる。
【0059】
バースト振幅、幅、および周期性値は監視アルゴリズムによる使用のためにレジスタに記憶して、痙攣の発生の可能性を判定することができる。痙攣が起こっていることを検出すれば、監視アルゴリズムは警告を宣言し、基地局14に対し介護者へ警告を送信させる。
【0060】
基準値は、たとえば、テンプレートファイルに含めることができる。より具体的には、表1で、データバーストの評価用にサブメソッドで使用可能なテンプレートファイルに含めることのできる例示の基準を挙げる。各基準は、痙攣検出法の感度を調節するように変更可能な変数であってもよい。当然ながら、基準のすべてを使用する必要はない。たとえば、最大バースト振幅が特定の患者を過度に制限する場合には任意とみなすことができる。同様に、追加の基準を使用することができる。たとえば、信号振幅がバースト検出サブメソッドを誘発するほど十分に高いが、バースト幅基準を満たすものの最小バースト振幅を満たさない場合、最小バースト振幅からの変動は確実性値基準によって負の重み付けを成すことができる。確実性値基準はたとえば、パーセント値であってもよい。測定された振幅が最小バースト振幅の95%である場合、それに応じて確実性値を設定することができる。連続バーストがバースト列としてみなすのに十分な周期性を有する場合、負の重み付けがされたバーストを列内に含めて周期性をさらにテストすることができる。特定数の負の重み付けがされたバーストがデータ内に現れる場合、監視アルゴリズムは最小バースト振幅閾値を低減して、監視されている特定の患者に対するバースト検出方法の感度を高めることができる。その他のバースト基準を満たさない信号値に関しても同様の重み付けを実行することができる。確実性値は、バースト検出方法、本明細書に記載のその他のサブメソッド、および監視アルゴリズムによって使用することができる。
【0061】
【表1】
明瞭化のために、「XX」は単に値プレースホルダであり、何らかの大きさや正確性を示すものと解釈してはならない。
【0062】
再度
図7を参照すると、ステップ96では、1つまたは複数の検出レジスタに、検出ウィンドウに関してバースト値をロードすることができる。たとえば、バーストカウントレジスタは、バースト検出ウィンドウ内で検出されたバーストの数に対応する値を含むように使用することができる。たとえば、
図5の2秒間がバースト検出ウィンドウであった場合、そのウィンドウ内のEMGデータをバーストに関して分析することができる。
図5では、たとえば、EMG信号データが3つのバーストを示す。よって、値3をバーストカウントレジスタに記憶することができる。振幅、周期性、幅、確実性値などその他のバースト値を記憶するためにその他のレジスタを使用することができる。
【0063】
各バースト検出サイクル、たとえば、バースト検出ウィンドウの分析後、いくつかの実施形態では、検出レジスタはそのコンテンツを1つまたは複数のバースト蓄積レジスタに追加することができる(ステップ98)。以後のバースト検出ウィンドウでデータを分析する前に、検出レジスタをクリアにして、以後のバースト検出ウィンドウ間のバーストデータの記憶を可能にすることができる。その後、検出レジスタは別のサイクル中にバースト値の記憶を開始することができる、あるいは、いくつかの実施形態では、ある一定の遅延期間後にバーストのカウントを開始することができる。
【0064】
いくつかの実施形態では、EMG信号データは装置ハードウェア内のRAMの循環バッファに書き込むことができる。上記戦略の利点の1つは、処理済みデータがピーク検出値などのデータのパターンだけを記憶し、全信号データの時点毎のデータファイルを記憶しないためにRAMの使用が少ないことである。すなわち、対応する時点毎に電圧(または検出ユニットの振幅を反映するその他の電気的パラメータ)を記憶する必要がない。たとえば、いくつかの実施形態では、
図8および
図9に示されるようなモデル形式を導き出すのに必要なデータのみを記憶することができる。それらの図面において、検出されたバースト間の領域の雑音が一定レベルで維持されるように図示されていることを認識すべきである。よって、ベースラインデータの個々の変動すべてではなく、RMS振幅(102)などの雑音の算出値のみを記憶することができる。よって、RAM内のデータファイルは大きく圧縮することができる。いくつかの実施形態では、時間ウィンドウ内の圧縮データを記憶するのではなく、所与のウィンドウからのすべての生データをRAMの循環バッファに記憶することができる。よって、アルゴリズムはアルゴリズムの任意の点で任意の所与の先行時間ウィンドウを見ることができると理解すべきである。これは、たとえば、EMGデータの任意の所与の値が1つまたは複数の時間ウィンドウの間にいかに変化したかを検討するために使用することができる。
【0065】
いくつかの実施形態では、各バーストは、バースト検出に関連付けられるだけでなく、バースト検出の確実性にも関連付けられる値で重み付けすることができる。確実性値は、たとえば、正規化振幅または正規化振幅対検出器雑音比に関連付けることができる。たとえば、信号バーストは、正規化振幅の約100%から正規化振幅の約35%までの移行によって特徴付けることができる。確実性値は約65とすることができ、その数はレジスタにロードすることができ、レジスタの最大値は約100である。
【0066】
ステップ97に示されるように、1つまたは複数の検出レジスタはそのコンテンツを1つまたは複数の蓄積レジスタに追加することができる。たとえば、バーストカウント検出レジスタはその値をバーストカウント蓄積レジスタに追加することができる。
【0067】
ステップ98では、蓄積レジスタは、検出レジスタからデータ値を受け入れることに加えて、保持していた任意の以前の値を調節することができる。たとえば、いくつかの実施形態では、バーストカウント蓄積レジスタは、先行するいくつかのバースト検出サイクル中に収集されるバーストの量に関連する値を保持することができる。すなわち、バーストカウント検出レジスタが1サイクルからのコンテンツを追加するたび、バーストカウント蓄積レジスタは、一部の先行するサイクル間に追加したデータ値を除去することができる。よって、いくつかの実施形態では、バーストカウント蓄積レジスタは、先行するいくつかのバースト検出ウィンドウからのカウントの合計値に基づく移動合計値としての役割を果たすことができる。上記実施形態では、コンピュータはメモリ、たとえば、任意数の追加のレジスタに、バーストカウント蓄積レジスタに対して加算または減算した適切なデータ値を記憶させることができる。別の実施形態では、サイクルの完了時、バーストカウント検出レジスタは、たとえば収集したバーストの値などの任意のコンテンツをバーストカウント蓄積レジスタに追加した後、ある一定の値を除去する、すなわち、ある一定の速度で漏らすことができる。表1に示されるような漏れ速度または減衰速度はテンプレートファイルに含めることができ、調節して特定の患者または患者人口統計に対してバースト検出サブメソッドをカスタマイズすることができる。いくつかの実施形態では、漏れ速度は、別の基準に基づき修正される値とすることができる。たとえば、バーストカウント蓄積レジスタは、1つまたは複数の連続バースト検出ウィンドウがバーストを全く含まない場合である。
【0068】
別の実施形態では、バーストカウント蓄積レジスタの減衰速度は、1つまたは複数の所与の時間ウィンドウでカウントされたバーストのS/Nに依存させることができる。別の実施形態では、バーストカウント蓄積レジスタは、バーストのS/Nがどのように変化しているかに基づき修正することができる。すなわち、検出されたバーストの平均S/Nを追跡することができ、たとえば、少なくともいくらかの期間、所与の時間ウィンドウ内のバーストの平均S/N値を循環RAMバッファなどのメモリに記憶することができる。バーストのS/Nが時間ウィンドウ間で変更する場合、その変更を分析し、バーストカウント蓄積レジスタの減衰速度を修正するのに使用することができる。概して、バーストのS/Nが増大している場合、バーストカウント蓄積レジスタの減衰速度は何分の1かに低下し、バーストのS/Nが減少している場合、バーストカウント蓄積レジスタの減衰速度は何倍か上昇する。また、ステップ98中、バーストカウント蓄積レジスタのコンテンツは、様々な負の重み付け係数に依存するように減衰させることができる。たとえば、サイクルでバーストが検出されない場合、痙攣が起こっていないことを示すことができ、バーストカウント蓄積レジスタの減衰速度は調節することができる。再度、先行する時間ウィンドウのデータを分析するために、時点毎のデータまたはモデル形状をシステムハードウェアのRAMの循環バッファに記憶することができる。再度
図4を参照すると、バーストカウント蓄積レジスタに記憶される値は、監視アルゴリズムで調査することのできる値の一例である。
【0069】
ステップ99では、バースト検出アルゴリズムは、次のバースト検出ウィンドウでEMG信号データを分析する前にバースト検出ウィンドウ遅延値と等しい期間、待機することができる。バースト検出レジスタは、次のバースト検出ウィンドウでEMGデータを分析する前にステップ100でクリアすることができる。いくつかの実施形態では、バースト検出アルゴリズムは、バーストまたは近似バーストを含まない1つまたは複数のバースト検出ウィンドウを発見するまで、あるいは監視アルゴリズムが警告を誘発するまで実行し続けることができる。
【0070】
概して、認定されたバーストの存在、およびバーストカウント蓄積レジスタに記憶される大きな値は、痙攣事象を宣言する確率を高めることができる。本明細書に記載の方法の1態様では、たとえば、痙攣が起こっている可能性を低減する信号特徴に関して負の重み付け係数を使用することができる。たとえば、上述したように、先行する時間ウィンドウにおけるバーストの不在や減少するS/Nなどの様々な負の重み付け係数は、蓄積レジスタの漏れ速度に影響を及ぼす場合がある。
【0071】
図9A、9B、および9Cは、バーストおよびバースト列検出アルゴリズムの別の実施形態を示す。
図9A〜9Cのフローチャートは、実際のルーチンではなく論理フローを示す。実際のルーチンでは監視アルゴリズムにより呼び出される、あるいは無限ループではなくタイマ割り込みによる単発パスとして予定される。バースト検出アルゴリズム(
図9Aおよび9B)とバースト列検出アルゴリズム(
図9C)の2つの主ルーチンがある。バースト検出アルゴリズムは、振幅(最小値および最大値の両方)と最小幅の要件を満たすバーストを探す。検出されたバースト間の最小間隔が小さすぎる場合、バースト列検出アルゴリズムがそれを捕捉する。バースト列検出アルゴリズムは後述するように、周期性アルゴリズムに依存することができる。
【0072】
図10では、場合によっては、痙攣警告の開始を抑制するように動作することのできる追加の例示のアルゴリズム113(周期性アルゴリズム)が示されている。周期性アルゴリズムは、時間枠全体にわたって循環バッファを観察し、検出されたバーストがいかに規則的であるかを調査することによってこのタスクを実現する。周期性アルゴリズムは、バースト検出アルゴリズムが循環バッファに書き込んだ各種時間ウィンドウからの異なるデータ値を走査し、痙攣を表さない可能性があるものも含めて信号特徴の周期性を調査することができる。
【0073】
いくつかの実施形態では、周期性アルゴリズムの変数は以下の通りである。
・周期性時間ウィンドウ(秒)
・最小平均(または標準)偏差許容(パーセント)
周期性時間ウィンドウ変数は、周期性アルゴリズがデータを走査する期間である。たとえば、周期性時間ウィンドウは、バースト検出アルゴリズムからのいくつかのバースト検出ウィンドウを含むのに十分である。偏差許容変数は、バーストが痙攣として識別されるように分布される単独周波数からどの程度離れているかの最小値である。バーストが特定周波数、たとえば1Hz辺りに近すぎて群がる場合、バースト列は実際の痙攣を示していない可能性がある。いくつかの実施形態では、周期性アルゴリズムの値はデフォルトとして経験的に選択することができる。この変数は、患者履歴、経験、患者モデル化および学習、および/または人間のフィードバックに基づき変更することができる。いくつかの実施形態では、患者はたとえば、様々な活動、たとえば、歯を磨く、運動する、歩く、または周期性アルゴリズムのデフォルトを確定するのに使用可能なデータを収集するためのその他の活動に従事することができる。
【0074】
図10の例示の方法のステップ115では、周期性時間ウィンドウ内のバースト間の期間の平均継続時間を計算することができる。ステップ117では、上記各期間の値の実際の継続時間が平均時間値から減算され、ステップ119では、差の絶対値を使用して期間の平均偏差を算出し、その平均偏差をパーセントに変換する。
【0075】
ステップ121では、平均偏差パーセントを閾値と比較することができる。上記閾値を動作時のシステムに教示して、個人が一般的に占め得る特定の環境に合わせてカスタマイズすることができる。
【0076】
たとえば、周期性時間ウィンドウ(秒で測定)で、9個のバーストが以下の時間、12、13、13.75、14.35、15、15.8、16.2、16.5、17.4に検出される場合、バースト間に8期間ある。したがって、先の5.4秒を含む周期性時間ウィンドウ全体で、バースト間の8個の期間中に9つのバーストがあった。平均期間はバースト当たり5.4/8=0.675秒と計算することができる。バースト間の期間は以下の通りである。
13−12=1
13.75−13=0.75
14.35−13.75=0.6
15−14.35=0.65
15.8−15=0.8
16.2−15.8=0.4
16.5−16.2=0.3
17.4−16.5=0.9
本例では、簡易化された方法により、バーストが中心とする時間をそのバーストのタイムスタンプとして使用することができる。言い換えると、バーストアルゴリズムがバーストを識別するたびに、タイムスタンプは周期性アルゴリズムによる使用のために循環バッファに書き込むことができる。別の実施形態では、実際のバースト幅を使用して、バースト間の実際の期間長を計算することができる。たとえば、12秒で発生したバーストが0.02秒継続する場合、12秒に始まるバーストと13秒に始まるバースト間の期間は0.98秒となる。平均からの偏差の絶対値は以下のように計算することができる。
1−0.675=0.325
0.75−0.675=0.075
0.675−0.6=0.075
0.675−0.65=0.025
0.8−0.675=0.125
0.675−0.4=0.275
0.675−0.3=0.375
0.9−0.675=0.225
絶対値の平均化は以下のようにして達成することができる。
すべての偏差の合計:0.325+0.075+0.075+0.025+0.125+0.275+0.375+0.225=1.5
平均偏差:1.5/8=0.1875
この平均のパーセント偏差:0.1875/0.675=27.8%。これは平均からのかなりの偏差であり、人為的である可能性は低い。最小平均偏差許容変数がたとえば15%に設定される場合、周期性アルゴリズムは、信頼度が高く、これは痙攣であると宣言し、痙攣警告の宣言に反する投票を行わない。結果は監視アルゴリズムによる使用のためにレジスタに配置される。
【0077】
別の単純な例では、バースト列はこのように見える可能性がある(秒):
17、17.5、18.02、18.51、19.04、19.56、20.1、20.6、21.13
したがって、上記の4.13秒を含む周期性時間ウィンドウにわたって、9個のバーストがあり、バースト間の期間は8個であった。平均期間はバースト当たり4.13/8=0.51625秒として計算することができる。バースト間の個々の時間は以下の通りである。
17.5−17=0.5
18.02−17.5=0.52
18.51−18.02=0.49
19.04−18.51=0.53
19.56−19.04=0.52
20.1−19.56=0.45
20.6−20.1=0.5
21.13−20.6=0.53
平均からの偏差の絶対値は以下の通りである。
0.51625−0.5=0.01625
0.52−0.51625=0.00375
0.51625−0.49=0.02625
0.53−0.51625=0.01375
0.52−0.51625=0.00375
0.51625−0.45=0.06625
0.51625−0.5=0.01625
0.53−0.51625=0.01375
すべての偏差の合計は以下の通り算出することができる。
0.01625+0.00375+0.02625+0.01375+0.00375+0.06625+0.01625+0.01375=1.6
したがって、平均偏差は1.6/8=0.02である。
【0078】
この平均のパーセント偏差は0.02/0.51625=3.87%である。よって、本例は非常に規則的なパターンを示す。最小平均偏差許容変数が15%に設定されれば、アルゴリズムは真の痙攣が発生している確実度が非常に低いと宣言し、痙攣警告の宣言を否定するであろう。結果は、監視アルゴリズムによる使用のためにレジスタに置くことができる。
【0079】
当然ながら、より統計的に正確な結果を得るために、平均偏差計算を標準偏差計算に置き換えることができる。
監視アルゴリズムは、周期性アルゴリズムによって提供される値の結果を使用することができる。すなわち、ステップ123または125では、アルゴリズムは正の値または負の値を監視アルゴリズムに加算することができる。加算される特定の値は、ステップ121での閾値との比較に依存させることができる。監視アルゴリズムに加算される値は、いくつかの実施形態では、特定の決定、ステップ121での特定の決定だけではなく、決定が下された確実性にも依存させることができる。また、監視アルゴリズムに加算される値は、その他測定される特長にも依存させることができる。たとえば、環境における特徴パターンはある一定の周期性を有するだけでなく、ある一定の振幅を有することができる。たとえば、アルゴリズムは、ある一定の期間が通常はある一定の信号振幅で特定されることを学習し、それらの特徴が共に見られる場合、追加または超追加値が監視アルゴリズムを調節することができる。
【0080】
実際の痙攣では、バーストは均等に間隔を置いているように見えることがある。しかしながら、こうした痙攣は人体によって生成され、ほんの稀にしか均等に間隔を置かない。実際の痙攣は通常、バースト間の間隔のある程度のばらつきによって特徴付けられる。その他の信号源、すなわち、痙攣筋肉活動から得られるものではない信号源はEMG電極によって捕獲することができる。たとえば、部屋またはベッドの機械的振動が電極を装着する腕やその他の筋肉の律動性振動を生じさせる可能性がある。これにより、電極から捕獲され得る信号が生じて、高振幅を有する場合がある。しかしながら、これらの信号は周波数が非常に規則的であり得る。同様に、歯磨きなどの規則的で自発的な人体の運動が、痙攣のようなバーストを生成する場合がある。バーストのように見える電極での干渉源が何であれ、周期性アルゴリズムは偽バーストの周期性を、規則的すぎるため痙攣を示すものではないと評価する。
【0081】
図11は、監視レジスタで調査可能な値に寄与することのできる別のサブメソッドの一実施形態を示す。
図11では、GTC波形検出アルゴリズム130の一実施形態を示す。
図12はGTC波形検出アルゴリズム146の別の実施形態を示す。上述したように、いくつかの実施形態では、検出ユニットおよび基地局が同じまたは異なる方法でデータを分析することができる。
図10の実施形態は、たとえば、データの最初の画面として有効である、すなわち、データセットが基地局に送信されるか否かを判定するのに使用することができる。
図12の実施形態は、たとえば、スペクトル形状とメモリに記憶される多数のファイルとの比較を含め、基地局によって実行させることができる。
【0082】
ステップ132では、
図11に示されるように、検出ユニットおよび/または基地局が分析プロトコルを選択することができる。分析プロトコルの選択は、たとえば、テンプレートファイルに示すことができる。上記テンプレートファイルは、データ平滑化ルーチン、データフィルタリング用ルーチン、その他の形式のデータ処理ルーチン、またはそれらルーチンの組み合わせを選択する指示を含むことができる。上記ルーチンはサブメソッド130における各種ステップで実行することができる。ステップ134で、データを収集して、FFT法を使用してデータを時間領域と周波数領域との間で変換することができる。EMGデータの集合において、適切なサンプルレートを適宜使用して、たとえば、周波数領域データのエイリアシングを回避することができる。ステップ136では、出力密度の局所最小値および局所最大値と関連付けられる周波数値を判定することができる。これを達成するため、データは通常平滑化され、疑われる周波数領域内のデータに合う放物線関数が局所最大値である。局所極値を発見しようとする際、サブメソッドは、EMGデータがGTC波形として分類される基準を満たさないことを発見することができる。たとえば、サブメソッドは、局所最大値または局所最小値を示すと予想される所与の領域において、データが上記挙動を示さないことを発見することができる。
【0083】
サブメソッドは、局所最大値および局所最小値が判明すれば、判定された局所極値と関連付けられる領域の出力密度/周波数曲線下の面積を計算することができる(ステップ138)。たとえば、プログラムは、判定された局所最大値を中心とする10Hzの領域下の面積を計算し、判定された局所最小値を中心とする10Hzの領域下の面積を計算することができる。これらの面積の比、すなわち凹対凸比をステップ140で計算することができ、閾値比、たとえば許容可能な凹対凸比の最小および最大閾値と比較することができる。凹対凸比が閾値範囲内にあれば、ステップ142でその値をGTC検出レジスタに追加することができる。GTC検出レジスタに追加された値は、いくつかの実施形態では、凹対凸比が検出された確実性と関連付けることができる。次のステップ144では、GTC検出レジスタの値をGTC蓄積レジスタに追加することができる。すなわち、サイクルの完了時、つまり、各GTC収集ウィンドウ後、GTC検出レジスタは任意のコンテンツ、たとえば、検出される凹対凸比を反映する値をGTC蓄積レジスタに追加することができる。いくつかの実施形態では、GTC収集ウィンドウはバースト検出ウィンドウと同じであってもよい。すなわち、GTC波形検出アルゴリズムは、バースト検出アルゴリズムが分析するのと同じデータを分析することができる。その後、GTC蓄積レジスタはある一定の値だけ変更させる、たとえば、ある一定の速度でリークすることができる。
【0084】
図12を参照すると、ステップ148では、波形検出アルゴリズムの別の実施形態が、たとえば、ある一定の期間のEMG信号のスペクトル成分を表す画像をメモリ内に作成することができる。たとえば、1つまたは複数の検出器は特定の時間ウィンドウにわたるデータを収集することができ、その後、データはスペクトル分析のために周波数領域に変換することができる。ステップ150では、波形検出アルゴリズムが画像、たとえば、スペクトルデータを評価し、特徴的GTC波形を探すことができる。スペクトルの高周波領域などの任意数のスペクトル領域を分析することができる。ステップ152では、GTC蓄積レジスタは、スペクトルデータが記憶されたGTC波形テンプレートとどのように比較されるかに応じた方法で代入することができる。
【0085】
図13は、波形規則性検出アルゴリズム154の一実施形態を示す。周期性アルゴリズムと同様、波形規則性検出アルゴリズムを使用して、バーストの波形が痙攣活動から生じるには規則的すぎるか否かを判定することができる。ステップ156では、期間中のEMG信号データの振幅とバースト幅を判定することができる。これは、バースト検出アルゴリズムに関して記載したのとほぼ同じように達成することができる。ステップ158では、波形を算出することができる。たとえば、バースト周辺のサブ期間からのデータを周波数領域に変換して、波形を算出することができる。波形を算出し、期間中のその他のバーストに関して収集された波形と比較することができる。いくつかの実施形態では、それらの波形が均一すぎる場合、たとえば少なくともいくつかの特徴において同一である、あるいは非常に類似する場合、規則性蓄積レジスタをインクリメントすることができる。たとえば、平均波形を判定し、各波形の平均偏差を計算し、平均波形からの平均偏差のパーセント差を判定することによって、周期性アルゴリズムの場合と同様に波形間の差を計算することができる。そのパーセント差が規則性閾値要件(別の変数)を満たす場合、規則性検出レジスタに値を代入することができる。次の検出サイクルでは、規則性検出レジスタがそのコンテンツを規則性蓄積レジスタに追加することができる。いくつかの実施形態では、波形は所与の期間内の均一性を、その期間にわたって収集されたデータを周波数領域に変換し、非常に狭い周波数範囲にわたって振幅内のスパイクを検出することによって探すことができる。ステップ150では、波形規則性が低下すれば、規則性蓄積レジスタが減衰する場合がある。上述したように、いくつかの痙攣変数は警告の宣言に対抗して増加させる、あるいは重み付けを行うことができる。いくつかの実施形態では、規則性蓄積レジスタの値は警告の宣言を抑えるのに供することができる。再度
図4を参照すると、GTC蓄積レジスタまたはサブメソッド130または146に記憶される値、あるいはサブメソッド160などの規則性蓄積レジスタに記憶される値は、監視アルゴリズムによって使用することのできる値となり得る。
【0086】
図7、11〜13、および18を参照して説明されるような上記蓄積検出レジスタの全部または一部に記憶される値、または、
図10に示されるようなその他のアルゴリズムからの入力は、監視アルゴリズムの使用を説明する
図4のステップ48などで周期的に評価することができる。監視アルゴリズムは、検出ユニット12またはベースユニット14などの痙攣検出システム10内装置のプロセッサで実行される全般的痙攣検出プログラムとすることができる。中でも特に、監視アルゴリズムは痙攣が進行中か否かを判定することができる。監視アルゴリズムは、EMG信号データおよび体温や心拍数などのその他のデータを分析するその他のサブメソッドまたはアルゴリズムの結論を評価することによってこれを達成できる。監視アルゴリズムは、痙攣変数に対応する1つまたは複数のレジスタ内のデータを畳み込むことができる。たとえば、上述したように、サブメソッドは、たとえば、データのある特徴を特定し、確実性値を計算し、レジスタ値をインクリメントすることができる。その後、監視アルゴリズムはレジスタ値を取り、各各値に係数(たとえば、0〜1)を乗算して、特定の痙攣変数にさらに重み付けを行い、結果の積をすべて加算することができる。積の合計値が閾値を超えれば、痙攣が検出されたと宣言し、それに応じて警告を送信することができる。たとえば、一例は、合計=(レジスタ1)+b(レジスタ2)+...z(レジスタ26)となる。合計が検出閾値を超過すれば、痙攣検出を宣言することができる。
【0087】
図14は監視アルゴリズム162の一実施形態を示す。ステップ164では、監視アルゴリズムは、検出レジスタおよび蓄積レジスタのうち1つまたは複数を周期的に評価することができる。すなわち、監視アルゴリズムは、上記レジスタに記憶される値を判定することができる。ステップ166では、監視アルゴリズムは、各レジスタ内の値を適切な重み付け係数によって乗算する、あるいはその他の方法で畳み込むことができる。上記重み付け係数はたとえば、テンプレートファイルと関連付けることができる。たとえば、表1は、バーストカウント蓄積レジスタの値を調節するのに使用可能な係数を示す。アクセスされた検出レジスタと蓄積レジスタの合計値は共にステップ168で加算することができる。ステップ170では、ステップ168で判定された合計値を全体閾値と比較することができる。合計値が閾値より大きい場合、痙攣警告プロトコルを開始させることができる(ステップ172)。いくつかの実施形態では、監視アルゴリズムはレジスタの一部の出力を評価することができる。たとえば、1つまたは複数のレジスタを評価し、係数で畳み込み、閾値と比較して、適切であれば警告プロトコルを開始させることができる。いくつかの実施形態では、ある痙攣変数が修正される係数を、別の痙攣変数の値に依存させ得る。たとえば、システムは2つの痙攣変数が同時に上昇される、あるいはそれ以外の方法で関連付けられるときを学習して、高い信頼度で痙攣を検出することができる。
【0088】
図14Aは監視アルゴリズムの別の実施形態を示す。監視アルゴリズムは異なる痙攣特徴に関して処理済みのEMGデータを分析することができる。監視アルゴリズムは時間の経過と共にその結果を統合または平均化し、その結論を継続的に更新することができる。これは、偽陽性を導く恐れのあるデータ中の短いグリッチまたはスパイクを除去する役割を果たすことができる。
図14Aの実施形態では、監視アルゴリズムは上記サブアルゴリズムからのレジスタ値を以下のように使用する。
・バースト列検出フラグと確実性値
・周期性良/不良と確実性値
・GTC波形検出と確実性値
本実施形態では、各サブアルゴリズムが検出を示すフラグ、または周期性の場合は検出に反対投票するフラグを生成することができる。それぞれが、痙攣宣言の判定全体における各サブアルゴリズムの重要性または重みを確定する係数または複数の変数(A、B、C、D)を有することができる。上述したように、確実性値は0〜100%を取ることができ、100が最高確実性である。監視アルゴリズムは確実性値を使用して、バースト検出アルゴリズムの結果の信頼度を評価する。
【0089】
通常、確実性値は、あるアルゴリズムを別のアルゴリズムに移送することによって、第1のアルゴリズムが判定においてどのくらい確実であったかを示すのに用いることができる。バースト検出アルゴリズムの場合、たとえば、あるメトリクスは最大値50までのバースト正規化間の平均SNRとすることができる。別のメトリクスは、たとえば波形規則性分析を通じてどの程度バーストが理想バーストに近いかである。最小値よりも幅がかろうじて大きいバーストは、最小値より5倍広いと評価することはできない。また、最大値に近すぎるバーストには低い確実性値を与えることができる。たとえば、本明細書で示唆されるように、基準バースト幅は最初、実際の痙攣を経験した多くの試験患者の経験データから得ることができ、出荷時設定値である。後で、患者からのデータが集まるにつれ、患者にとってより代表的な理想幅を確定することができる。バースト幅の格付けは最大値50まで正規化して、最大値100ではSNR値に追加することができる。その他のメトリクスも係数にして、それぞれ別の重み付けをすることができる。重み付け方法の一例は異なる値への正規化である。
SNR40%
幅35%
振幅25%
確実性値を確定するのに同様の工程を各サブアルゴリズムに対して実行することができる。
【0090】
監視アルゴリズムが決定工程を数量化するのに使用することができる式:
痙攣検出=A*(バースト_列_フラグ*確実性)+B*(周期性_良_フラグ*確実性_良)−C*(周期性_不良_フラグ*確実性_不良)+D(GTC_フラグ*確実性_値)
合計値が痙攣検出閾値変数値より大きい場合、監視アルゴリズムが痙攣を断言する。その他の痙攣変数も使用することができ、たとえば、痙攣長は、痙攣が警告生成前にどの程度(秒)痙攣が進行中でなければならないかを明示するために使用することができる。合計値が痙攣検出閾値変数値より小さい場合、監視アルゴリズムはサブメソッドレジスタの再走査前のある期間、非活動状態にすることができる。
【0091】
上記の式から、周期性が良である場合、ある重みを有する合計値に加算することが分かる。周期性が不良である場合、別の重みを有する合計値から減算する。これにより、周期性アルゴリズムは、EMG信号が電源や蛍光灯などから高周波等の明らかな干渉を含むと判定する場合、痙攣検出に強力に反対する投票を行うことができる。体温や心拍数などのその他の入力を、独自の係数および確実性値で加算することができる。心拍数はEMG電極で検出できることもあるため、それ以上の電極を必要としない。しかしながら、心拍数および体温用の専用電極は、それらの現象に関してより適切な信号を提供することができる。
【0092】
本明細書に記載のシステムおよび方法の1態様は、患者または患者人口統計の一般的な痙攣特徴に関するデータが集まるにつれ、容易にカスタマイズされ適合され得ることである。上記方法は、1セットのルーチン、係数、または修正可能なテンプレートファイルに含めることのできるその他の値を有するアルゴリズムを使用することができる。いくつかの実施形態では、検出システム、たとえば、システムは、痙攣を迅速に検出するように設計されるシステムは、データの正確なログを有し、患者の状態に関するログも有することが有益である。すなわち、たとえば、検出しようとする事象を正確に記録した検出システム、および検出データ自体(および時間で対応付けられた事象)を、後述するように最適化することができる。
【0093】
テンプレートファイルのコンセプトと本明細書に記載のシステムの適合的態様を理解するため、
図15および16を参照する。
図15は、高レベルで、データ収集の方法174を示す。方法174では、最初のテンプレートファイルを個人用に生成または選択することができる(ステップ176)。いったんテンプレートが生成または選択されれば、検出ユニットおよび/または基地局のコンピュータメモリに追加することができる。テンプレートファイルに含まれるデータの例を表1に示す。
【0094】
最初のテンプレートファイルを確定するのに多数のアプローチを使用することができる。いくつかの実施形態では、患者は病院またはその他の制御された環境下で一定期間監視され、EMG電極出力から得たデータなどのデータが収集されて、経験の有無と関連付けられる、すなわち、個人の一般的な痙攣特徴を確定することができる。そのデータから、オペレータまたはソフトウェアは最初のテンプレートファイルを生成する、あるいは予め生成されたテンプレートのリストから適切なファイルを選択することができる。いくつかの実施形態では、最初のテンプレートファイルは一般的な患者人口統計からの履歴データを用いて入手することができる。たとえば、患者は年齢、性別、人種、体重、体脂肪、腕の脂肪量、足の脂肪量、運動レベルなどの任意の組み合わせを含む各種特長によって定義することができる、あるいは患者はその他の特徴によって定義することができる。たとえば、痙攣履歴、現在の投薬、またはその他の要因を含む患者の医療履歴も考慮に入れることができる。いったん生成または選択されれば、テンプレートファイルは検出ユニットおよびベースユニット内のコンピュータメモリに含められ、個人は過程で検出ユニットを使用することができる。
【0095】
ステップ178では、家庭環境にいる患者は、検出ユニットを使用してEMG出力またはその他の検出器出力を収集し処理することができる。なお、
図1に示されるように、その検出ユニットは、ベースユニット、トランシーバ、およびデータ記憶ユニットと通信することができる。したがって、データの任意の一部が収集され、処理され、またデータアーカイブへ送信されることができる。
図15では、検出器データの記憶がステップ180で示されている。データの任意の一部、たとえば、生データまたは処理済みデータを記憶することができる。いくつかの実施形態では、データは、人がデータにアクセスし、別のアルゴリズムで分析される場合にデータがどのように挙動するかを判定することができるようにモデルフォームに変換することができる。たとえば、成形データバースト間の期間中の雑音値を値として記憶することができ、ベースラインのすべての変動を含む時点毎のデータファイルを含まなくてよい。バーストは自身を成形し、このパターンを記憶することができる。いくつかの実施形態では、データを記憶アーカイブに追加して、2つ以上の異なるテンプレートをそのデータに適用することができる。すなわち、データを任意数のテンプレートファイルで分析して、その分析結果を将来の検討用に記憶することができる。それに鑑み、異なる予め生成されたテンプレートを実行する結果を記憶して、生データまたはその他の処理済みデータは記憶しない。当然ながら、それらの予め生成されたテンプレートを実行した結果を評価して、たとえば、それらの結果と患者の体調を反映するデータとの比較後、一方のテンプレート、すなわち患者の監視に使用しなかったテンプレートが実際には好適に患者の痙攣を検出したであろうか否かを判定することができる。
【0096】
個々の患者または患者人口統計においてより適切に痙攣を検出するようにアルゴリズムを適合させることは、検出器データの編成だけでなく、たとえば、検出器データの任意の所与の部分に関する患者の体調などの情報に依存させることができる。すなわち、実施形態によっては、データストリームの特定の時点で実際に発生したことの記録をEMGまたはその他の検出器データと共に文書化することが有益であろう。このような情報は、たとえば、ステップ182に示されるように介護者によって特定することができる。介護者は、情報を記憶できるデータ記憶設備に上記情報を提供することもできる(ステップ184)。もしくは、介護者が、最適化手順を実行するオペレータに上記情報を提供することができる。データ記憶装置に提供される情報は、たとえば、疑わしい痙攣が痙攣であると認証されたか否か、疑わしい痙攣が実際には違っていたか否か、事象が発生したときの患者の位置、痙攣の重篤度、事象の時間、行われた可能性のある治療、およびその他の情報を含むことができる。この情報の少なくとも一部は、患者または個人によっても提供され得る。
【0097】
また、いくつかの実施形態では、患者も一般的な痙攣特徴に関連する情報を提供することができる。たとえば、患者は痙攣が進行中であるという警告を検出器ユニットから受け取ることができる(ステップ186)。警告を受けても、実際には痙攣を感じていないと気付いている個人には、偽陽性がシステムによって警告されたというメッセージを介護者および/またはデータ記憶ユニットに送信するオプションを与えることができる。いくつかの実施形態では、個人は、検出ユニットまたは別のユニットなどの装着装置上の2つのボタンを同時に押すことによって誤検出の存在を伝えることができる。当然ながら、個人が同時に2つのボタンを押すという要件は、偶発的な信号が送信されるというリスクを最小限にすることができる。偶発的メッセージを最小限にするその他の任意の適切なアプローチを使用することができる。このように送信された、たとえば、患者から記憶設備に送信されたメッセージ(ステップ188)は、偽陽性事象と偽陽性事象を開始させたデータとを関連付けるタイムスタンプを含むことができる。このような情報はデータ記憶設備に記憶することができる(ステップ190)。
【0098】
いくつかの実施形態では、追加情報、たとえば、任意の偽陽性事象または痙攣事象に関連付けられるその他の情報を提供するオプションを個人に与えることができる。このようなサポート情報は、個人が従事している活動、または痙攣が進行中であるという通知を受け取ったときの物理的位置を含むことができる。また、検出器ユニットは上述したように入力/出力装置であってもよいため、痙攣警告をベースユニットから検出器ユニットまたは患者が携行または装着するその他のユニットに送信することができる。すなわち、ベースユニットが警告の開始を制御する場合、基地局は痙攣が検出されたことを(患者に物理的に近い)検出器ユニットに伝えることができる。いくつかの実施形態では、装置は、偽陽性事象などの情報を、介護者または患者の手首周囲やベルトに付けることのできるデータ記憶設備に報告するための手段を含む。オペレータは、データ記憶設備内のデータにアクセスし、情報192を整理することができる。
【0099】
痙攣検出を最適化し、テンプレートファイルを更新する方法194を
図16に示す。ステップ196では、オペレータは任意の新たなデータ、たとえば、患者の家庭環境で収集されたデータを、その患者の予め記憶されているデータに追加することができる。すなわち、オペレータはデータファイルを更新することができる。もしくは、オペレータは、患者に関する新たに収集したデータを、患者人口統計に関連付けられるデータ本体に追加することができる。システムは、ステップ198で、たとえば、最初のテンプレートファイル(または現在使用されているその患者のテンプレートファイル)を使用し、個人の更新データファイルに適用されるようにシステムの検出メトリクスを特徴付けることができる。システムのメトリクスは、正しく特定された痙攣事象、見逃された痙攣事象、偽陽性、およびいくつかの実施形態では、痙攣と考えられる事象の重篤度の判定をリストアップすることを含むことができる。また、任意の所与の報告事象、たとえば、痙攣事象または偽陽性検出の場合、いくつかの実施形態では、事象の時点での異なるレジスタ内のデータをオペレータに提供することができる。上記情報は、たとえば、最初の信号データまたは記憶された値から(最適化中に)再計算することができる。ステップ200では、オペレータがコンピュータプログラムを実行し、重み付け係数、閾値、基準、および選択される処理ルーチンなどの情報のフィールドを最初のテンプレートファイル(または現在使用されているテンプレート)から選択して、それらのフィールドを変更することができる。オペレータは、1つまたは複数のフィールドを手動で選択して調節することができる。システムは、テンプレートフィールドを変更しながら検出メトリクス(ステップ202)を特徴付け、更新されたテンプレートファイルのために新たな環境(ステップ204)を選択することができる。当然ながら、更新テンプレートファイルは検出ユニットおよび基地局の一方または両方にダウンロードすることができる。
【0100】
本明細書に記載の方法および装置の1態様は、各種実施形態において、検出ユニットと基地局の間、またはそれらのユニットとデータアーカイブの間で情報を編成できることである。また、いくつかの実施形態は、最も関連性の高いデータの部分の収集を編成するように使用することができる。
【0101】
いくつかの実施形態では、データ収集速度は、電極が活動状態、休止状態、またはポーリング動作従事中などの所与の状態にあるか否かに依存させることができる。たとえば、
図17は、データ収集速度が電極の状態に依存する痙攣検出方法206の一実施形態を示す。方法206は、たとえば破線208内の動作で特徴付けられる「スリープ」モードと活動状態214などの略連続的動作モードの間で検出ユニットおよび/または基地局を切り替えるために使用することができる。
図17に示されるように、検出器および/またはベースユニットは、「スリープモード」における一定時間、休止状態200で存在するように構成することができる。休止状態210において、検出器またはベースユニットが無症状である場合、患者からのデータを監視していない、あるいは収集していない場合がある。休止状態は、休止状態210を周期的に出る、たとえば、ある期間、検出器データを収集する指示を含むことができる。すなわち、検出器は、データが収集されるポーリング動作ステップ212に入ることができる。個々のポーリング動作の継続時間は、電極状態に関する決定を下すのに必要なデータを収集するのに十分である。すなわち、たとえば、ポーリングステップ212中に収集されるデータに基づき、検出器は休止状態210に戻る、あるいは活動状態214などの別の状態に入ることができる。
【0102】
休止状態と活動状態との間で切り替える任意の各種ルーチンを使用してデータを収集することができる。振幅検出アルゴリズムは、たとえば、休止状態と活動状態との間で電極を切り替えるのに使用することができる。
図18は、振幅検出アルゴリズム216の一実施形態を示す。EMG信号振幅は、所与の時点または選択された期間内で測定可能なピーク値、平均値、中央値、積算値、またはその他の値とすることができる。EMG信号振幅は、患者のベースライン活動に関して正規化する、あるいは較正することができる。
図18に示されるように、ステップ218では、休止状態にある1つまたは複数の電極を「覚醒」させてEMG信号振幅を測定することができる。たとえば、ステップ220に示されるように、振幅が閾値レベルを超える場合、1つまたは複数の電極はEMG信号振幅を測定し続けることができ、閾値レベルが得られない場合、1つまたは複数の電極は休止状態に戻ることができる。検出ユニットが「スリープ」モードになる期間を有することによって、システムはバッテリ寿命を節減し、メモリに記憶されるデータ量を最小化し、ネットワークに転送されるデータ量を最小化し、あるいはその他の機能を実行することができる。いくつかの実施形態では、より継続的に活動状態を入力し患者を監視する決定は、振幅検出の他の要因に基づいて下すことができる。
【0103】
装置の間でデータ収集を割り当てるのに使用することのできる追加の実施形態を
図19および20に示す。
図19の実施形態では、検出ユニットのEMG電極がEMG信号を検出し、信号のスペクトル成分を判定し、スペクトル成分を検出ユニットのメモリに記憶されるモデルGTC波形と比較することができる。スペクトル成分がGTC波形にほぼ類似する場合、検出器ユニットは約10秒分のEMG信号を基地局に送信することができる。好ましくは、送信されるEMG信号は、比較に基づき形成される信号を含む。基地局は受信された信号のスペクトル成分を個々に判定し、スペクトル成分を基地局に記憶されるGTC波形と比較することができる。スペクトル成分がGTC波形にほぼ類似する場合、基地局は警告を遠隔局または介護者に送信することができる。よって、一実施形態では、送信されるべき警告に関して、検出ユニットと基地局の両方がそれぞれ、EMG信号のスペクトル成分がGTC波形にほぼ類似すると判定しなければならない。
【0104】
図20の実施形態では、検出ユニットのEMG電極はEMG信号を検出し、信号のスペクトル成分を判定し、スペクトル成分と検出ユニットに記憶されるGTC波形とを比較する。スペクトル成分がGTC波形にほぼ類似する場合、検出器ユニットは約10秒分のEMG信号を基地局に送信することができる。好ましくは、送信されたEMG信号は、比較に基づき形成される信号を含む。基地局は受信した信号のスペクトル成分を個々に判定し、スペクトル成分を基地局に記憶されたGTC波形と比較することができる。基地局は、上述したように規則的な周期性などのバースト活動に関して受信した信号を分析し、バースト閾値が満たされるか否かを判定することができる。スペクトル成分がGTC波形にほぼ類似し、基地局がバースト閾値を満たすバースト活動を認識する場合、警告を遠隔局または介護者に送信することができる。
【0105】
同様に、各種痙攣変数値に関するEMG信号データの処理は、プロセッサの存在と機能および記憶容量に応じて、検出ユニット、基地局、またはその両方で達成することができる。
【0106】
上記アルゴリズムまたはその他のサブメソッドで使用することのできるいくつかの追加の処理手法を後述する。たとえば、いくつかの実施形態では、レジスタのレベルまたはコンテンツの値が痙攣変数が閾値を超過した時間に関連し、データのある一定の特徴の大きさ、たとえば痙攣変数に関連するように、またはその両方となるようにレジスタに値を代入することができる。たとえば、レジスタには、ある一定の特徴が閾値を超えて持続するX秒毎に1セットの数値をロードすることができる。よって、閾値を超える特徴を有する時間が所与の期間、たとえばX秒持続する場合、該方法は痙攣検出を主張することができる。特徴が閾値を下回る場合、レジスタは何らかの方法でリセットまたはデクリメントすることができる。このような実施形態では、ある一定の特徴が閾値を超える期間の数に応じて警告を誘発させることができる。また、レジスタ(たとえば、第1のレジスタ)はある一定の特徴が閾値を超過するX秒毎に数値をロードすることができ、その数値は信号の大きさまたは所与の期間に検出された事象の回数に比例させることができる。毎X秒の経過後、第2のレジスタに、第1のレジスタに依存して、たとえば、特定レベルを超えて持続されるか否かに応じて値を代入することができる。上記実施形態では、たとえば、特定数の連続期間、第2のレジスタに値が代入されれば警告を始動させることができる。第1のレジスタは、いくつかの実施形態では、ある一定の速度でデクリメントすることができる。たとえば、第1のレジスタは、記録された事象の大きさまたは回数に比例してX秒毎にロードし、第2の期間、X秒毎にデクリメントすることもできる。よって、第1のレジスタは、インクリメントされるかデクリメントされるかに応じて値を増加させることも減少させることもできる。いくつかの実施形態では、第2のレジスタがある一定の閾値を超過するか、第1のレジスタが閾値を超過するか、あるいは一方または両方がある一定の閾値を超過する場合に警告を始動させることができる。評価された特徴が、積分計算が必要とされる種類のものである場合、該方法はX秒毎に特定量レジスタをインクリメントすることができる。レジスタがインクリメント速度よりも遅く減衰するように設定される場合、レジスタ値は時間の経過と共に増加する。上昇速度を緩めると、該方法は痙攣検出の信頼度を緩やかに上昇させることができる。
【0107】
いくつかの実施形態では、検出ユニット内のEMG電極はEMG信号を検出し、信号のスペクトル成分を判定し、スペクトル成分を検出ユニットに記憶されるGTC波形と比較することができる。スペクトル成分がGTC波形にほぼ類似する場合、検出器ユニットは警告を基地局、遠隔局、およびまたは介護者に送信することができる。検出器ユニットは、基地局による確証的な分析なしに警告を送信することができる。さらに別の実施形態では、検出器ユニットはさらに、上述したように、規則的な周期性などの痙攣バースト活動に関してEMG信号を分析し、バースト閾値が満たされているか否かを判定することができる。スペクトル成分がGTC波形にほぼ類似し、検出器ユニットがバースト閾値を満たすバースト活動を認識する場合、検出器ユニットは基地局、遠隔局および/または介護者に警告を発することができる。
【0108】
いくつかの実施形態では、痙攣検出システムは一般的GTC波形を提供されて、患者のベースライン活動、たとえば、睡眠中や日中の活動などに関して較正することができる。波形活動が増大すると、痙攣検出システムは検出ユニットによって収集される信号と一般的GTC波形とを比較することができる。痙攣検出システムは信号の特徴付けを開始し高信号振幅を探すことができる。痙攣検出システムは信号を処理して、高速フーリエ変換(FFT)などの良く認識された方法によってスペクトル成分を生成することができる。痙攣検出システムはフィルタリングを適用して、高周波「バースト」をより明瞭に示すことができる。痙攣検出システムは、バーストの振幅、カウント、列の時間長、および周期性の要因のうち1つまたは複数を測定し、それらの要因を記憶されたパターンおよび閾値と比較することによって、処理された信号が一般的痙攣特徴に合うか否かを判定することができる。閾値を超過した場合、警告をたとえば基地局にデータと共に送信することができる。基地局は、警告状態の認証のためにデータを独立して処理することができる。基地局が警告に合意する場合、基地局は警告を遠隔装置および局所音声生成装置に送信することができる。警告は音声信号、テキストメッセージ、またはeメールを含み、あるいはPDAの振動またはその他の適切な注意喚起機構を始動させることができる。いくつかの実施形態では、基地局に検出ユニットの警告に合意させることで、誤警告を低減する投票機構が導入される。両方の装置が決定に関して投票し、音声警告に合意しなければならない。これは誤警告を制限するのに使用することができる。当然ながら、患者搭載ユニットのプロセッサはバースト検出に基づきEMG信号を処理し、GTC波形に基づきEMG信号を別個に処理し、両方の工程が警告プロトコルを開始すべきであると示す場合に警告を送ることができる。よって、投票は装置内でも行うことができる。
【0109】
いくつかの実施形態では、痙攣事象の前後、人間のオペレータは、痙攣の重篤度または場合によっては高閾値による実際の痙攣の非検出に基づき閾値を検討し調節することができる。多くの人が痙攣を経験しても、たとえば、上記の短命の痙攣などの痙攣に気付かない。このデータを検討させることは、痙攣患者の治療に役立つ。また、人間のオペレータはデータを評価し、痙攣が発生しなかったと結論付け、警告をキャンセルする、あるいは検出された波形が痙攣を示唆しなかったことを痙攣検出システムに指示することができる。同様に、人間のオペレータは、たとえば痙攣が起こった期間を明示することによって未検出の痙攣が起こったことを痙攣検出システムに指示することができる。たとえば、上述の図面内のグラフはEMG活動のローリング「ウィンドウ」を含むことができ、人間のオペレータは記録された信号を「巻き戻し」、痙攣が発生した時間ウィンドウを痙攣検出システムに指し示すことができる。いくつかの実施形態では、ベースユニットは、時間およびスペクトル領域におけるEMG信号を表示し、介護者が履歴痙攣データを視聴することのできる視覚ディスプレイを含むことができる。いくつかの実施形態では、基地局は信号を視覚的に表し、人間のオペレータが「ウィンドウ」選択を達成しその他の動作閾値および状態を定義することのできるグラフィックユーザインタフェース(GUI)を提供する。たとえば、
図1のシステム10は、睡眠中の患者を記録し、介護者がEMG信号に対応する患者の症状のビデオ画面と協調してEMG信号を視聴することができるビデオカメラを含むことができる。よって、ビデオデータはEMG信号データと共に記憶され、たとえばEMG信号グラフと一緒に基地局GUIで視聴することができる。言い換えると、基地局は、介護者にEMG信号グラフと対応するビデオデータとを並べて見せることができる。よって、痙攣検出システムは追加のデータ点を有し、それに照らして特定の患者に対する将来の痙攣事象を評価することができる。痙攣検出システムは適合性インテリジェントソフトウェアを採用して患者の痙攣パターンを「学習」し、その患者の痙攣をより適切に検出するように徐々に効果的に汎用GTC波形をカスタマイズすることができる。
【0110】
痙攣検出装置は好ましくは携帯型であり、たとえば弾性アームバンドを用いて人体に装着可能な検出ユニットを含むことができる。検出ユニットは電池式であり、基地局と無線で通信することができる。検出ユニットは、信号を受信し、バッファリングし、処理し、送信するのに十分なデータ記憶、処理、および送信能力を有することができる。検出ユニットは、信号を処理し、たとえば、振幅および周波数の2つの要因を用いて、検出ユニットに記憶される一般的な痙攣検出要件と単純な比較を行うことができる。検出ユニットは痙攣の発生を判定すると、より複雑な処理のためにその分析と生信号データの両方をベッドサイド基地局にダウンロードすることができる。基地局はより多くのパワー、より多くの記憶容量、およびより速い処理速度を有し、より適切に情報を処理することができる。比較するためにパターンのより大きなデータベースを有する可能性がある。痙攣検出システムが患者のパターンを「学習」する際、基地局は一般的痙攣検出要件を修正して患者パターンをより厳密にモデル化することができる。基地局は、修正された一般的痙攣検出要件で周期的に検出装置を更新することができる。同様に、基地局はさらなる分析とその他の使用中ユニットからの信号データとの凝集のために、生信号データと処理された信号データを遠隔コンピュータに送信することができる。たとえば、複数の基地局は、複数の患者のデータを遠隔コンピュータに送信することができる。各基地局はその他の基地局のデータを受信することができないが、遠隔コンピュータはデータの共通レポジトリとして供することができる。データの凝集により、さらなるデータ点に基づき、出荷時設定値として基地局および検出ユニットに供給することのできる一般的痙攣検出要件、閾値、および統計情報を改良することができる。
【0111】
上述したように、いくつかの実施形態では、EMGに加えて、心電図記録(ECG)を痙攣の発生を確証(または否定)するために使用することができる。このオプションは、特に厄介な患者に使用することができる可能性がある。過剰な量の弛緩性皮膚または高濃度の脂肪組織を持つ患者の監視が特に困難であろう。たとえば、信頼性の高いEMG測定に関連付けられる要素は、電極と皮膚間の接触の安定性である。患者によっては、これを確実に達成するのが困難な場合がある。ECGデータは、痙攣関連事象が発生中である(あるいは発生した)か否かの可能性を判定する方法に含めることができ、痙攣を宣言すべきか否か、たとえば警告を発するべきか否かを判定するために使用することができる。さらに、皮膚と脂肪は本質的に周波数フィルタの一種である。
【0112】
痙攣中に心拍数が上昇する場合がある。たとえば、患者が頻脈になる場合がある。本明細書にさらに記載するように、痙攣検出装置のEMG処理部が、痙攣が進行中であり、心拍数が上昇していないと判定する場合、検出の信頼度が低減される場合がある。たとえば、ベータ遮断薬を使用する癲癇患者は、心拍数の上昇を経験しない可能性がある。このような状況で、心拍数を因数として組み込む方法は、その因数に与えられる重みを低くする係数を設けることができる。よって、開示される検出方法および装置は、特定の薬物処方の使用などの患者固有の検討事項に合わせて調節する、あるいは容易にカスタマイズすることができる。いくつかの実施形態では、ECGを使用して、痙攣後の除脈や不全収縮などのその他の不整脈を検出し、上記症状が検出される場合に警告を送信することができる。患者の体温を検出するように配置される温度センサからのデータも、痙攣の発生を確証する、あるいは警告を開始するのに使用することができる。
【0113】
通常、痙攣検出システムの装置は、本明細書に開示の方法および目標のうち1つまたは複数を達成する任意の適切な種類および構成とすることができる。たとえば、サーバは、1つまたは複数のその他のコンピュータまたはプログラム、またはクライアントからコマンドまたは要求に応答する1つまたは複数のコンピュータまたはプログラムを備えることができる。クライアント装置は、1つまたは複数のその他のコンピュータまたはプログラム、またはサーバによって提供されるサービスに関するコマンドまたは要求を発する1つまたは複数のコンピュータまたはプログラムを備えることができる。
図1の各種装置、たとえば、12、13、14、16、17、18および/または19は、機能および構成に応じてサーバまたはクライアントとすることができる。サーバおよび/またはクライアントは、たとえば、メインフレームコンピュータ、デスクトップコンピュータ、PDA、スマートフォン(AppleのiPhone(商標)、MotorolaのAtrix(商標)4G、およびResearch In MotionのBlackberry(商標)など)、タブレット、ネットブック、携帯型コンピュータ、ネットワーク通信機能付き携帯メディアプレーや(MicrosoftのZune HDTMやAppleのiPod Touchなど)、ネットワーク通信機能付きカメラ、ウェアラブルコンピュータなどであっても、そこに置いてもよい。
【0114】
コンピュータは、入力を受け付け、プログラムにしたがって入力を処理し、出力を生成することのできる任意の装置とすることができる。コンピュータは、たとえば、プロセッサ、メモリ、およびネットワーク接続機能を備えることができる。コンピュータは、コンピュータのサイズ、速度、コスト、および機能に応じて、スーパーコンピュータ、メインフレーム、ワークステーション、マイクロコンピュータ、PDA、およびスマートフォンなどの様々な種類とすることができる。コンピュータは固定型でも携帯型でもよく、携帯電話、媒体記録および再生、データ転送、ウェブブラウジング、データ処理、データクエリ、工程自動化、ビデオ会議、人工知能などの様々な機能に合わせてプログラミングすることができる。
【0115】
プログラムは、コンピュータ(オブジェクトコード)によって実行可能な形式、人間(ソースコード)によって読取可能な形式、あるいはそれ以外にかかわらず、アルゴリズムなどの任意の一連の指示を含むことができる。プログラムは、1つまたは複数のデータ構造および変数を含む、あるいは呼び出すことができる。プログラムは、ハードウェアまたはソフトウェア、またはその組み合わせに埋め込むことができる。プログラムは、C、C++、Java(登録商標)、Perl、PHP、Ruby、SQLなどの任意の適切なプログラミング言語を用いて作成することができる。コンピュータソフトウェアは、1つまたは複数のプログラムおよび関連データを含むことができる。コンピュータソフトウェアはたとえば、システムソフトウェア(オペレーティングシステムソフトウェア、デバイスドライバ、およびユーティリティなど)、ミドルウェア(ウェブサーバ、データアクセスソフトウェア、およびエンタープライズメッセージングソフトウェアなど)、アプリケーションソフトウェア(データベース、ビデオゲーム、およびメディアプレーヤなど)、ファームウェア(装置固有ソフトウェア搭載の計算機、キーボード、および携帯電話など)、およびプログラミングツール(デバッガ、コンパイラ、およびテキストエディタなど)を含む。
【0116】
メモリは、情報が一時的または永久的に記憶される、および検索される任意のコンピュータ読取可能媒体を含むことができる。メモリの例は、SRAM、DRAM、Z−RAM、フラッシュ、光ディスク、磁気テープ、パンチカード、EEPROMなどの各種RAMおよびROMを含む。メモリは1つまたは複数の装置および/または地理的位置またはその全体に、RAID技術などで仮想化して提供することができる。
【0117】
入出力装置は、コンピュータへ情報を提供する、および/またはコンピュータから情報を受信することのできる任意のハードウェアを備えることができる。例示の入出力装置は、ディスクドライブ、キーボード、ビデオディスプレイスクリーン、マウスプリンタ、プリンタ、カードリーダ、スキャナ(バーコード、指紋、虹彩、QRコード(登録商標)、およびその他の種類のスキャナなど)、RFID機器、テープドライブ、タッチスクリーン、カメラ、運動センサ、ネットワークカード、記憶装置、マイクロフォン、オーディオスピーカ、タッチペンおよびトランスデューサ、および関連インタフェースおよびドライバを含む。
【0118】
ネットワークは、仮想的に、切り替えられ、ルーティングされ、完全に接続された、セルラーネットワーク、インターネット、イントラネット、ローカルエリアネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)、都市圏ネットワーク(MAN)、その他の種類のエリアネットワーク、ケーブルテレビネットワーク、通信衛星ネットワーク、電話網、公的ネットワーク、私設ネットワーク、有線または無線ネットワーク、およびそれらの組み合わせとそのサブネットワークを含むことができる。ネットワークは、ルータ、ブリッジ、スイッチ、ハブ、中継器、コンバータ、受信機、プロキシ、ファイアウォール、トランスレータなどの様々なネットワーク機器を使用することができる。ネットワーク接続は有線または無線とし、マルチプレクサ、ネットワークインタフェースカード、モデム、IDSNターミナルアダプタ、ラインドライバなどを使用することができる。ネットワークは、ポイントツーポイント、バス、スター、ツリー、メッシュ、リング、およびその任意の組み合わせまたは剛性などの任意の適切なトポロジを含むことができる。
【0119】
無線技術は、ISMバンド装置、WiFi、Bluetooth(登録商標)、携帯電話SMS、セルラー(CDMA2000、WCDMA(登録商標)など)、WiMAX、WLANなどの利用可能な無線技術のうち1つまたは複数を使用する、個人対個人無線、個人対固定受信装置、個人対遠隔警告装置などの様々な形を取ることができる。
【0120】
コンピュータ、入出力装置、およびネットワーク機器内またはそれらの間の通信は各種プロトコルを用いて達成することができる。プロトコルはたとえば、信号伝達、エラー検出および訂正、データフォーマッティング、およびアドレスマッピングを含むことができる。たとえば、プロトコルは、7層オープンシステム相互接続モデル(OSIモデル)、またはTCP/IPモデルにしたがい提供することができる。
【0121】
以上の具体的な詳細は本発明の特定の実施形態を説明しているが、当業者であれば添付の請求項に定義される本発明の精神と範囲を逸脱せずに、等価原理を考慮に入れて、本発明の詳細に各種変更を加えることができると理解するであろう。したがって、本発明は本明細書に図示および記載の具体的な詳細に限定されないと理解すべきである。
【0122】
本明細書に記載の方法および装置に関連する追加情報は後述の実施例に関連して理解することができる。
【実施例1】
【0123】
一例では、痙攣を起こし易い患者を監視することができる。患者はたとえば、入院直後の期間中、あるいはSUDEPの危険があるその他の時間に監視することができる。患者が管理された環境で痙攣を監視されている間、患者に対して入手されるデータに少なくとも部分的に基づき、患者の監視プロトコルを設定することが有益であり得る。たとえば、入院中、患者を監視し、一般的な痙攣特徴を判定するためのデータを収集することができる。患者は、たとえば数日間またはその他の期間にわたってEMGで監視し、必要に応じて統計上有意な回数の痙攣に関連するデータを収集することができる。入院期間中、患者EMGデータは、1つまたは複数の筋肉対、たとえば、主動筋および拮抗筋対上またはその近傍に双極差動電極を配置することによって収集することができる。EMGデータは、たとえば、第1の筋肉群、たとえば、二頭筋および三頭筋と、第2の筋肉群、たとえば、膝屈曲筋および大腿四頭筋とから収集することができる。既知の痙攣の期間および非痙攣期間のEMGデータを収集してアーカイブに保管することができ、オペレータはそのデータを分析することができる。
【0124】
オペレータはデータを分析し、患者データがたとえば、バーストの痙攣変数特徴を含む痙攣変数のどのくらい関連するかを特徴付けることができる。オペレータは、たとえば振幅や幅を測定し、上昇したデータの部分、すなわち、データバーストとして特徴付けられる期間の信号対雑音(S/N)比を判定することができる。信号対雑音計算は、バーストを含むと疑われる期間のデータの直前の期間における検出器信号の変動、すなわちベースラインを判定することによってベースラインを確定することを含むことができる。各種フィルタはデータに適用することができ、たとえば、デジタルデータは300Hz〜500Hzの3次Butterworthフィルタにさらされる、あるいは別の形でフィルタリングされる。フィルタリングされたデータを用いて、オペレータはたとえば、データバーストを含むと思われる時間のデータに関して振幅、幅、信号対雑音(S/N)の測定を繰り返すことができる。その後、オペレータはバースト測定値と関連付けられる閾値を選択することができる。もしくは、オペレータは、すべての患者またはある一定の人口統計の患者にとって典型的な閾値を使用することを選択できる。
【0125】
同様に、オペレータは、たとえば、スペクトルデータに関して出力密度の局所最小値および局所最大値の周波数位置を判定することができる。たとえば、ある一定の時間ウィンドウ、たとえば5秒間のデータを収集して、スペクトルデータ(周波数領域で)に変換することができる。オペレータは局所最大値および最小値を判定し、局所最大値および局所最小値のいずれかの側で周波数範囲を明示することができ、アルゴリズムは出力密度/周波数曲線下の面積を計算することができる。これらの面積の比は痙攣変数の値、たとえば、凹対凸比として使用することができる。凹対凸比の閾値はオペレータによって明示することができる、あるいはすべての患者またはある一定の人口統計の患者のテンプレートファイルから選択することができる。
【0126】
オペレータは、アーカイブデータ、すなわち、痙攣が存在した期間とその他の非痙攣期間とから収集したデータ、intoコンピュータプログラムを、アルゴリズム実行のために選択した閾値および指示を用いてインポートすることができる。アルゴリズムは所与の時間ウィンドウ、たとえば、5秒間、バースト関連痙攣変数の値を計算することができる。たとえば、任意の期間、ソフトウェアは起こり得るバーストを検出し、振幅、幅、およびS/Nを測定することもできる。バーストが確定された基準を満たす、たとえば、設定閾値内である場合、コンピュータはバースト検出レジスタに値を代入することができる。アルゴリズムにおけるデータフローを明瞭にするため、実施例1のモデルデータを
図21で参照する。
図21は、データバースト分析手順(270)のモデルデータがいかに整理されているか、およびいかにしてデータがコンピュータメモリ内の検出レジスタとコンピュータメモリ内の蓄積レジスタ間で転送されるかを示す。第1の時間間隔(271)では、データを分析することができる、たとえば、3つの事象がバーストとしての特徴付けのための閾値要件を満たすと判定することができる。ステップ(272)では、データを検出レジスタに転送することができる。
図21の検出レジスタ(273)は破線(273)で表され、検出レジスタ(273)内の情報フローは異なる状態の検出レジスタ(273)を示すブロック(274、275、277、および278)によって表される。データがステップ(272)に転送されると、状態(274)、すなわち、ゼロのデータ値を記憶する検出レジスタに、状態(275)に示されるように3の値を代入することができる。ステップ(279)では、検出レジスタ(273)に記憶されるデータ値を蓄積レジスタ(280)に転送することができる。
図21では、バースト列蓄積レジスタ(280)が破線(280)で示され、バースト列蓄積レジスタ(280)内の情報フローがブロック(281、282、284、および285)によって示され、異なる状態の蓄積レジスタを表す。ステップ(279)では、状態(281)、すなわち、ゼロのデータ値を記憶する蓄積レジスタに、状態(282)に反映されるようにゼロのデータ値を代入することができる。再度検出レジスタ(273)を参照すると、蓄積レジスタ(280)のコンテンツの転送後、ステップ(276)では、検出レジスタ(273)は状態(277)に反映されるようにそのコンテンツを消去することができる。ステップ(286)に反映されるように、第2の時間間隔(286)では、データの別の間隔を分析することができる。たとえば、5つの事象が閾値要件を満たし、バーストとして特徴付けられると判定することができる。ステップ(287)では、現在状態(277)にある検出レジスタ(273)、測定されたバースト値に対応するデータ、すなわち5の値をステップ(287)から受信することができる。検出レジスタ(273)は、状態(278)に示されるようにデータ値5を保持することができる。検出レジスタからのデータの転送前、すなわち、バースト列蓄積レジスタ(280)までの状態(278)において、バースト列蓄積レジスタ(280)は調節蓄積レジスタステップ(283)を受けることができる。すなわち、ステップ(283)では、バースト列蓄積レジスタは値を調節することができる。たとえば、実施例1に示されるように、蓄積レジスタは調節蓄積レジスタステップ(283)で1の値を「漏らす」ように示される。よって、ステップ283が1の漏れ値を表し、多数のバーストが連続時間間隔、たとえば、ステップ(271)および(286)において検出される場合、蓄積レジスタは値を増大させる。たとえば、実施例1に示されるように、ステップ(288)では、検出レジスタ(273)はそのコンテンツをバースト列蓄積レジスタ(280)に転送し、バースト列蓄積レジスタは状態(284)にあり、5の値がバースト列蓄積レジスタ(280)に転送される。その後、蓄積レジスタは状態(285)に示されるようにデータ値7を保持する。
【0127】
上記ステップに加えて、アルゴリズムはその他のレジスタ、たとえば、GTC蓄積レジスタも含むことができる。たとえば、
図22に関連して記載されるように、GTC蓄積レジスタ(290)に値を代入することができる。よって、いずれかの時点で、バースト列蓄積レジスタ(280)およびGTC蓄積レジスタ(290)が値を保持できると理解すべきである。監視アルゴリズム(162)を使用して、それらのレジスタ(285)および(290)内のデータを分析することができる。実施例1のデータフローを明瞭化するため、
図22と、
図14の監視アルゴリズムの概要とを参照する。
【0128】
図22に示されるように、本実施例1のデータを用いて、図示されるGTC蓄積レジスタ(290)は値5を有する。図示されるバースト列蓄積検出レジスタ(280)は状態(285)にあり、上述したように値7を保持する。監視アルゴリズムのステップ291では、レジスタ値に係数が乗算される。その係数は、テンプレートファイルから入手して、関連痙攣変数のための重み付け係数として使用することができる。すなわち、実施例1に示されるように、GTC重み付け係数(298)は1.5であり、バースト係数(299)は値1.0を有することができる。関連係数の乗算後の2つの痙攣変数の重み付け値は7.5(292)および7(293)とすることができる。ステップ(294)では、それらの値を加算することができ、
図22に示されるように、ステップ(296)では、監視レジスタ(295)に保持される合計値を閾値と比較することができる。たとえば、痙攣を報告し、警告プロトコルが誘発される閾値は14とすることができる。
【0129】
実施例1では、アルゴリズムに入力されるデータは、病院内で患者の時間から得た履歴データである。よって、ステップ(297)で、オペレータはアルゴリズムによって判定される結果と、データが収集された時点での患者の実際の状態とを比較する。すなわち、オペレータは、適切である実際の過程で開始されたであろう結果を比較することができる。よって、オペレータは、入手可能なすべてのデータに関して、アルゴリズムが実際の痙攣をどのくらい正確に検出しているか、アルゴリズムが偽陽性を検出したか否か、たとえば、適切な動作過程では痙攣事象を報告すべきではなかった際の警告を断言する決定を比較することができる。
【0130】
コンピュータプログラムにより、オペレータはたとえば、バーストの閾値またはGTC波形検出(凹対凸比など)、GTC係数(298)、バースト係数(299)、またはその組み合わせなどの係数を手動で調節することができる。最適化ルーチンでは、コンピュータが係数を修正し、痙攣を正確に検出し、偽陽性検出を最小限に抑える理想的な組み合わせを探すことができる。
【0131】
実施例1の患者は帰宅させて、検出アルゴリズムを最適化するのに使用されるEMG電極の構成に近似するEMG電極の構成で監視することができる。患者が監視されれば、データを収集して、検出される痙攣、見逃される痙攣(もしあれば)、および偽陽性の存在を報告することができる。システムは、患者が自宅にいる間に得られるアーカイブデータなどの入手可能なアーカイブデータを周期的に分析し、係数の組み合わせを再最適化することができる。よって、システムは長期間にわたって所与の患者をより適切に監視するように適合させることができる。
【実施例2】
【0132】
本実施例2では、二頭筋および三頭筋上の一対のEMG電極を用いて家庭環境において監視されるように患者を設定することができる。患者と人口統計を共有する患者のテンプレートファイルに基づき監視されるように患者を設定することができる。実施例2では、患者は肥満男性であり、最初のセットの係数および閾値を使用して、データが入手可能な全肥満男性の全データセットに関して最適化された1セットの係数および閾値に基づき、患者を監視することができる。実施例1から認識されるように、本例の患者は病院環境における過去の評価なしで監視することができる。すなわち、患者は、その他の患者、たとえば特徴を共有する患者と関連付けられる値をインポートすることによってのみ導き出される重み付け係数で監視することができる。実施例2の患者は数週間監視され、システムは電極データを記録することができる。実施例2のモデルデータに関して、システムは正確に5つの痙攣事象を検出することができるが、1つの痙攣事象を見逃す場合がある。その後、システムは患者からのアーカイブデータで最適化することができる。すなわち、患者からのデータを使用して係数を調節し、すべての事象を検出する精度を向上させることができる。
【実施例3】
【0133】
図23では、「EMG1−生」と表示された1番上のパターンは、双極EMG電極配置を使用するEMG電気活動を示す。「EMG2−生」と表示されたパターンは同じ腕の三頭筋上の同様の双極電極配置(差動電極)による。
図23のグラフの縦目盛において、EMG1−生およびEMG2−生は信号振幅、たとえば、二頭筋上の一対のEMG電極入力間の差動信号または三頭筋上の一対のEMG電極入力間の差動信号であり、横目盛は時間を示す(
図23では、時間ウィンドウが約4h28’55”〜約4h29’00”である)。
図23は、5秒間の患者データの集合を示す。いくつかの実施形態では、データをその他の期間にわたって収集することができる。対向する筋肉群、たとえば二頭筋および三頭筋上にEMG電極を装着することがいくつかの理由により有益であろう。たとえば、さらに後述するように、対向筋肉を含む電極構造は、患者が特定の活動、たとえば非痙攣運動に従事する際のデータの解釈と、患者がそうした活動に従事する間に収集されるデータと患者が痙攣を起こしている間に収集される電極データとの差別化において役立てることができる。
【0134】
さらに
図23を参照すると、左下グラフ(「EMG1スペクトル分析」と表示)は二頭筋(スペクトル成分)上のEMG電極から収集されるデータの周波数を表す。右下グラフ(「EMG2スペクトル分析」と表示)は三頭筋のEMG電極の周波数を表す。所与の期間にわたって収集されたデータ、すなわち時間領域電極データは、高速フーリエ変換(FFT)などの手法を用いて周波数データ、すなわちスペクトル成分に変換することができる。スペクトルデータの場合、横目盛は信号周波数であり、縦目盛は信号振幅であり、本明細書に記載のスペクトルデータはスペクトル密度と称することができる。なお、
図23のスペクトルデータは周波数が増大するにつれ振幅が低減する湾曲勾配を示す。すなわち、スペクトル密度は通常、周波数の増大に合わせて低下する。高周波数でのスペクトル密度に対する低周波数でのスペクトル密度の比は、任意の所与のセットの電極データに関して関連値を有する痙攣係数である。たとえば、
図23に示されるデータの場合、約400Hzでのスペクトル密度(300)に対する約200Hzの周波数でのスペクトル密度(298)の比は約5.0の値を有する。それらの周波数またはその他の周波数でのスペクトル密度の比は痙攣変数とすることができ、
図23のデータから得られるような痙攣変数の値は、ベッドでの運動や腕を動かすなどの非痙攣筋肉活動の一般的な特徴である。場合によっては、
図6のように200Hz〜400Hzでの比が低い場合、その比は痙攣活動を示すことがある。
【実施例4】
【0135】
図24は、
図23とは異なる時間ウィンドウ、すなわち、患者が再度非痙攣で運動している約4h39’30”〜約4h39’35”のEMG信号のスペクトルグラフを提供する。スペクトルグラフは、周波数帯域の幅広い周波数群にわたって高スペクトル密度を示す。いくつかの通常の自発的筋肉運動は、特定の運動を達成するための主動筋と拮抗筋の協働的な協調収縮である。
図23とは対照的に、様々な筋肉群の協調を図示するため、
図24では、主動筋および拮抗筋群に対応付けられた異なる電極からの「EMG1−生」のデータと「EMG2−生」のデータ、すなわち、それらの筋肉からのデータが互いに重畳されている。いくつかの実施形態では、主動筋および拮抗筋上の電極間の信号の協調が、痙攣検出のための負の重み付け係数として使用することができる。痙攣中は、この協調が失われることが多い。その代わりに、筋肉は相互に拮抗して動かなくなる。主動筋および拮抗筋の協調が失われるシナリオの良い例は、二頭筋と三頭筋がどちらも刺激される運動痙攣の間代性段階において見ることができる。これらの筋肉は非常に高い振幅信号で相互に拮抗し、全く動くことができなくなる。すなわち、その段階の関係が一定期間持続する個々の電極から得られるデータは、個人が痙攣を感じていないという証拠になる場合がある。
【実施例5】
【0136】
図25〜
図27に示されるデータは、患者が非痙攣状態から実際の痙攣の経験まで移行する際にいかに電極データが変動するかをまとめて示す。
図25は、痙攣直前の睡眠中に得られるEMG信号の比較的安静な時間(約7h20’40”〜約7h20’45”)を示す。スペクトルグラフは比較的低周波数の活動のみを示す。時間領域グラフの右端の電極データの振幅(後半の時間)、たとえば、点(304)での振幅は早い時間、たとえば、点(302)の振幅に示されるデータよりも増大している。すなわち、電極データの振幅は、痙攣が近づくにつれ増え続ける。いくつかの実施形態では、信号振幅の達成は、EMG電極の状態変動を誘発する、あるいは検出器とベースユニットおよび/またはデータ記憶ユニット間のデータの転送を開始させることができる。検出器がスリープからアクティブになる状態変化は上述の通りである。点(304)での振幅達成、あるいは、ある一定の期間、たとえば1秒間隔(306)でのデータ点におけるある一定の周波数の振幅達成は、検出ユニットとベースユニットおよび/またはデータアーカイブとの間のデータ転送を開始させる基準として使用することができる。
【0137】
図26は、睡眠中、痙攣の開始時(約7h21’00”〜約7h21’05”の時間)に記録されたEMG信号を示す。2つの低スペクトルグラフ(「EMG1スペクトル分析」および「EMG2スペクトル分析」)は高周波のスペクトル表示において約350〜450Hz間に小さな「凸」(308)(低信号対雑音比)を示し、低周波のスペクトル表示において約250〜350Hz間に小さな「凹」(310)を示す。要約すると、
図4のデータは、
図5により明瞭に示される「GTC波形」の開始構造を示す。しかしながら、まず、痙攣中、筋肉、たとえば、活動増大中の筋肉から得られる電極データは、(仮にあったとしても)ほんのわずかな「GTC波形」しか示さず、スペクトル密度が高周波数で非痙攣データの場合に通常見られる密度よりも高い間は、このようなデータは痙攣の開始時、ランダムに見える、あるいは高周波領域全体にわたりスペクトル密度はほんのわずかしか変動しない。通常の自発的筋肉活動に関連し、マクロ電極で記録される電気信号はほとんど300Hz未満である。しかしながら、マクロ電極周波数で記録される電気周波数は、運動兆候を伴う痙攣中、持続的に300Hzを超過する。いくつかの実施形態では、高周波数で閾値スペクトル密度が達成される継続時間を痙攣変数とすることができる。
【0138】
図27は、痙攣が進行中の(約7h21’20”〜約7h21’25”の時間を示す)EMG信号の変化を示す。三頭筋電極に対応する右下スペクトルグラフに示されるように、特徴GTC波形は、高スペクトル密度の領域、すなわち、約300〜500Hz、特に400Hz辺りの比較的高周波の「凸」領域を示す。すなわち、その領域の点(312)のスペクトル密度はスペクトル密度(314)よりも上昇しており、たとえば、「凹」領域内で、約250Hz〜350Hzの範囲内に位置する。点(314)のスペクトル密度に対する点(312)のスペクトル密度の比、すなわち凹対凸比は痙攣変数として使用することができる。
図26および27のスペクトルグラフと比較して、患者が、GTC波形が変動する痙攣に移行し始めていることが分かる。たとえば、測定可能な凹対凸比が
図27に存在している。比が測定可能になると、GTC検出レジスタに増大する値を代入することができる。GTC検出レジスタにGTC蓄積レジスタ値の漏れ速度よりも大きな値が代入されれば、GTC蓄積レジスタ値は連続期間にわたって増加することができる。
【0139】
いくつかの実施形態では、凹対凸比はGTC波形検出用メトリクスとして使用することができる。しかしながら、より高度なデータ分析手法、たとえば、多数のデータ点および/または高度パターン認識アルゴリズムを観察することもGTC波形の特定に使用することができる。たとえば、いくつかの実施形態では、検出ユニットは凹対凸比の計算指示を含めることができ、ベースユニットは凹対凸比を計算し、より高度なパターン認識分析で凹対凸比の計算を確証することができる。
【0140】
この患者に関して、EMGデータバーストは、その間の時点で大きな雑音、すなわち、大きな統計変動を有する。他の患者はそれほどの雑音を有さないので、GTC波形がより明瞭に可視となり、より大きな信号対雑音比を有する凹対凸比となる。様々な分析手法を使用して、GTC波形および/または凹対凸比の検出のために信号対雑音比を高めることができる。たとえば、いくつかの実施形態では、ある一定の周波数範囲にわたるスペクトルデータを統合できる、たとえば「凸領域」の周波数範囲内のスペクトル曲線の領域を計算することができる。また、「凹領域」の周波数範囲内の曲線面積を計算することができる。統合に使用される凹対凸比の特定の範囲は所与の患者に合わせて最適化することができる。すなわち、履歴電極データがデータレポジトリからアクセスされ、凹領域および/または凸領域で異なる範囲が選択され、選択された範囲毎に凹対凸比で異なる値を算出することができる。たとえば、いくつかの範囲で選択された凹対凸比は、その他の範囲で算出された凹対凸比よりも適切なS/N比および/または痙攣の存在とのすぐれた相関関係を示すことができる。すなわち、ある範囲の周波数データを用いる凹対凸比の一般的な痙攣特徴が、より有益であると証明される、すなわち、別の周波数範囲を用いる凹対凸比よりも痙攣の存在とのすぐれた相関関係を示す場合がある。よって、凹対凸比痙攣変数は所与の患者に対して最適化することができ、患者の履歴データが収集される際に周期的に更新することができる。
【0141】
いくつかの実施形態では、所定の周波数範囲、たとえば、患者の通常凹を示す範囲のデータは平滑化することができ、データの局所最小値を確定することができる。局所最小値をほぼ中心とする曲線下の面積を計算することができる。同様に、アルゴリズムは、別の所定の周波数範囲、たとえば通常凸を示す患者の範囲のデータを分析することができる。その範囲のデータを平滑化し、局所最大値を確定して、局所最大値をほぼ中心とする曲線下の面積を計算することができる。局所最小値下の面積、局所最大値下の面積、およびそれらの積分値の比は痙攣変数として使用することができる。いくつかの実施形態では、検出器ユニットは電極データの所与の部分の凹対凸比の計算を実行し、基地局は電極データに関するより高度なパターン認識手法を実行することができる。
【実施例6】
【0142】
実施例6および関連の
図28〜
図31では、データフィルタリングのいくつかの態様を説明する。
図28は痙攣中の同じ患者の追加EMGデータを示す。本実施形態では、約7h22’50”〜約7h22’55”のEMG2信号が、300Hz〜500Hzから3次Butterworthフィルタでフィルタリングされている。フィルタリングがEMG2信号に適用されると、時間領域データは、一連のバースト、すなわち、高信号対雑音比の低振幅信号によって分離される高EMG信号振幅の領域を示す。たとえば、少なくとも4つの異なるバースト領域(316、318、320、および322)を
図28のデータ内に検出することができる。
図28に示されるバーストは、バーストの数、たとえば、4つなどの時間ウィンドウ内のバースト数、隣接バースト間の期間(324、326、および328)、およびバーストの継続期間(330)に基づき分類することができる。上記バーストの特徴を痙攣変数とすることができる。次に
図28のスペクトルグラフを参照すると、本実施形態の高周波フィルタの適用は、高強度周波数データの存在を明瞭に示している。
図28は下方の2つのグラフにおける急で短時間の周波数「スパイク」も示している。それらのスパイクは通常、家庭用周波数60Hzでの頭上照明からの雑音に相当し、普通は60Hzの高調波で現れる。このような干渉は認識することができ、アルゴリズムはそうしたデータサインを無視する指示を含むことができる。また、EMG1信号(二頭筋)は持続的収縮(間代性活動)を示し、EMG2信号(三頭筋)は周期的収縮(持続性活動)を示す。よって、
図27に示されるデータと対照的に、上記主動筋および拮抗筋筋肉群は必ずしも両者間に相関する段階を有していない。
【0143】
図29の右下グラフは特に、EMG2信号の350Hz〜450Hzのフィルタリングが、いかに電極信号(約7h22’10”〜約7h22’15”の時間を示す)のバースト(332、334、および336)および高周波情報(338)を明らかにすることができるかを、さらに劇的に示す。いくつかの実施形態では、所与のフィルタの選択を所与の患者に合わせて調節することができる。
【0144】
図30は、EMG2信号がフィルタリングされていないことを除き、
図29と全く同じフレームを示す。スペクトル表示から、
図29のデータと比べて低周波数が高振幅を有することが明白である。さらに、時間領域データに関連するバーストは明らかにもっと低い信号対雑音比を有する。
図29および
図30のデータに基づき、電極データが様々な方法のいずれかにおいてフィルタリングできることを認識すべきである。所与の痙攣変数の値は、算出値の信号対雑音比を向上させるフィルタを使用して収集されたデータから判定することができる。たとえば、バースト幅およびバーストカウントは、300Hz〜500Hzの3次Butterworthフィルタ(
図28)または350Hz〜450Hzのフィルタ(
図29)などのフィルタを使用する電極から収集することができる。GTC波形の凹対凸比などのその他の痙攣変数は、フィルタを使用せずに、あるいは
図30に示されるように低周波数範囲を通過する別のフィルタを使用して収集することができる。
図30に示されるように、凹領域(340)および凸領域(342)を検出することができる。
【0145】
図31は、雑音とEMG2信号の痙攣バーストとの識別力を高める(約7h25’22”〜約7h25’27”の期間)、たとえば、生データのフィルタリングによりスペクトルデータの信号対雑音比を高める別の良い例を示す。たとえば、代表的バースト(344)は高信号対雑音比を示す。なお、時間領域データに示されるような比較的不規則なバースト(344、346、および348)は痙攣を示しがちな要因となり得る。すなわち、バースト間隔(350)およびバースト間隔(352)などの隣接バースト間の期間は異なる値を有する。
図31では、フィルタリングされていないEMG1データが、検知可能な凹(354)および凸(356)を有する特徴的なGTC波形を示す。
【実施例7】
【0146】
実施例7および関連の
図32〜
図34では、たとえば、負の重み付けを検出アルゴリズムに適用可能な特徴を含めることのできるデータのいくつかの態様を説明する。
図32は、上記痙攣に先立つ短命の痙攣を示すことができる(約5h17’41”〜約5h17’46”の時間)。いくつかのバースト(358、360、および362)が発生したようであり、EMG1およびEMG2信号において明らかである。それらのバーストは短い持続時間のため、比較的関連性が低い。患者によってはこのような短い痙攣を多数経験する場合がある。上記短期バーストと同じ患者のアーカイブデータ、たとえば、履歴データとの比較は、たとえば最小バースト検出幅基準を修正するのに使用することができる。よって、アルゴリズムはいくつかのデータ特徴、すなわち、短く重要でないバーストを選択的に無視するように適合させることができ、アルゴリズムは不要な警告の開始を避けるようにより適切に適合させることができる。
【0147】
図33は、EMG2信号がフィルタリングされた後も(約5h15’46〜約5h15’51”の時間)高い振幅信号の一例を示す。上側2つの波形が示すように(「EMG1−生」および「EMG2−生」)、信号は非常に均一であり、検出されデータの評価に使用される特徴は痙攣を示していない可能性がある。バーストも非常に密である(バースト期間が短すぎる)。さらに、上記特徴を検出してデータを認定し、痙攣が起こっている可能性があるという判定に重み付けを行うのに使用することができる。いくつかの実施形態では、信号の均一性または高振幅領域間の期間のいずれかが、データ事象を不適格とするのに使用することができる、あるいは負の重みを痙攣変数、たとえば振幅バーストに適用するのに使用することができる。非常に均一である、データ事象間の期間が短すぎるデータは、近傍の電気機器からなどの干渉信号を表す場合がある。実際の痙攣では、いくつかの個別の周波数での大きなスパイクは稀であるか存在しない。再度、その患者の履歴データを収集して分析することができる。アルゴリズムを適合させ、不要な警告の開始を避けるように係数を調節することができる。
【0148】
図34(約4h39’36”〜約4h39’40”の時間)は、反復するデータ事象間の信号時間が一定すぎるおよび/または短すぎるために、警告が誘発されない可能性がある持続信号の別の例を示す。上記特徴は、痙攣とは通常関連しない外部雑音によるもの可能性がある。
【実施例8】
【0149】
実施例8およびその関連
図35および36では、データバーストを示す別の患者のデータが示される。ここでは、2つの入力を有する差動双極電極が人の二頭筋上と(グラフには図示せず)、三頭筋の上(上側グラフは「EMG2−生」と表示)に配置された。縦目盛は信号の振幅を示す。中間グラフ(「EMG2フィルタリング済み350〜450」と標示)は、350〜450Hzの周波数を示すようにフィルタリングされた上側グラフの信号を示す。中間グラフおよび右下グラフ(「EMG2スペクトル分析」と標示)に示されるように、バースト、たとえば代表的バースト(364)および(366)がいかに適切に定義されているか、および特徴的GTC波形を明らかにするのにいかにうまく350〜450Hzフィルタリングが機能するかに留意されたい。バースト期間はかなり規則的だがバーストからバーストまでは同一ではない。それに鑑み、痙攣の中にはかなり規則的な周期性を見せるものもあるが、実際の痙攣はたとえば人為的な発生源や自発的筋肉活動などの雑音源から変動を受け易いと理解すべきである。人為的な雑音源に対するほぼ完全な規則性とバースト列の周期性との間は、たとえば周期性アルゴリズムの係数と閾値変数とを変更することによって個々の患者に合わせてバランスを取るべきである。
【0150】
図36は、この患者の波形を続けており、秩序立ってはいるが完全には均一でない一連のバースト(368、370、および372)を示している。このパターンは患者によっては典型的で、まさにアルゴリズムに非常に高い重みを割り当てることのできる非常に特徴的なパターンを提供することができる。
【0151】
開示される方法および装置とその利点を詳細に説明したが、添付の特許請求の範囲によって定義される発明から逸脱せずに各種変更、置換、および改変を行うことができると理解すべきである。さらに、本願の範囲は、本明細書に記載の工程、機械、製品、材料の構成、手段、方法、およびステップの特定の実施形態に限定されることを意図していない。本開示から容易に理解できるように、本明細書に記載の対応する実施形態と略同一の機能を実現する、あるいは略同一の結果を達成する既存の、または後に開発される工程、機械、製品、材料の構成、手段、方法、またはステップを利用することができる。したがって、添付の特許請求の範囲は、工程、機械、製品、材料の構成、手段、方法、またはステップなどを範囲に含めることを意図する。