(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
近年、薬物治療が必ずしも有効でない数多くの神経疾患患者に対する治療法として、経頭蓋磁気刺激療法への関心が高まっている。この経頭蓋磁気刺激療法は、患者の頭皮表面に配置した磁場発生源により脳の特定部位(例えば、脳内神経)に磁気刺激を加えることにより、治療及び/又は症状の緩和を図ることができる比較的新しい治療法である。
【0003】
開頭手術が必要で患者の抵抗感が非常に強い留置電極を用いる従来の電気刺激法とは異なり、非侵襲的で患者への負担が少なくて済む治療法として普及が期待されている。
【0004】
経頭蓋磁気刺激療法の具体的な手法として、特許文献1には、患者の頭皮表面に設置したコイルに電流を流し、局所的に微小なパルス磁場を生じさせ、電磁誘導の原理を利用して頭蓋内に渦電流を起こすことにより、コイル直下の脳内神経に刺激を与えることが開示されている。
【0005】
特許文献1においては、上述の方法で施した経頭蓋磁気刺激治療により難治性の神経障害性疼痛が有効に軽減され、更に、より正確な局所刺激がより高い疼痛軽減効果を実現することが確認されている。但し、最適刺激部位は個々の患者によって微妙に異なることも明らかにされている。
【0006】
したがって、経頭蓋磁気刺激療法において、より高い効果を得るためには、個々の患者毎に、患者頭部の最適刺激部位を如何にして特定するか、すなわち患者頭部に対する刺激用コイルの正確な位置決めを如何にして行うかが重要である。なお、刺激用コイルの位置が同じでも、その方位(姿勢)によって得られる効果に差が生じることも知られている。
【0007】
刺激用コイルの位置決めを行う技術として、特許文献2、3には、例えば、赤外線を用いた光学式トラッキングシステムを利用して患者頭部に対する刺激用コイルの位置決めを行う構成が開示されている。これらの技術は、既に一部に市販され臨床応用されている。特許文献4には、多関節ロボットを用いて患者頭部に対する刺激用コイルの位置決めを行う装置が開示されている。
【0008】
一方、特許文献1においては、上述の経頭蓋磁気刺激治療を行うと、疼痛軽減効果は数時間程度持続するが、数日間或いはそれ以上持続するまでには至らないことが明らかにされている。したがって、あまり時間間隔を空けずに、できれば毎日、上述の療法を継続的に行うことが疼痛軽減の観点からは望ましい。このため、患者に過度の身体的、時間的等の様々な負担を強いることなく継続的な治療を行えるようにするには、在宅、或いは近所のかかりつけの医院等での治療を可能とすることが理想的である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1〜特許文献4に開示されているコイル位置決め用の装置やシステム等を含む経頭蓋磁気刺激装置は何れも、熟練した専門医師等による検査や研究用に、比較的大規模な病院や研究機関で用いることを前提としているので、取り扱い及び操作が複雑で、使用するには熟練を要し、また、かなり大掛かりで高価なものとなる。このため、患者或いはその家族、又は必ずしも専門ではない近所のかかりつけの医師などが操作して治療にあたることは一般に難しく、また、患者個人の自宅や比較的小規模な医院や診療所等では、コスト負担が過大であるばかりでなく、設置スペースを確保することも一般に困難である。
【0011】
したがって、経頭蓋磁気刺激治療を受ける患者は、やはり、治療の度に大掛かりな磁気刺激装置が設置され熟練した専門医師等が居る大規模な病院まで通うか、若しくは入院せざるを得ず、継続反復して治療を受けるためには、様々な面で大きな負担が強いられるのが実情であった。
【0012】
したがって、本発明は、熟練を要することなく、簡単な取り扱いや操作で患者が自宅や近所のかかりつけの医療機関等で日常的に継続反復して経頭蓋磁気刺激療法を行えることができ、且つ、より小型で安価な経頭蓋磁気刺激システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の経頭蓋磁気刺激システムは、患者頭部の特定部位に磁気刺激を加えるための磁場を発生させる磁場発生手段を有する経頭蓋磁気刺激システムにおいて、磁場発生手段は、動磁場を発生する磁気コイルと、前記磁気コイルを保持するホルダを有し、ホルダは、該ホルダを患者頭部に設けられたマーキングに対して位置決めするための位置決め部を備えている。患者頭部のマーキングに対して前記位置決め部を位置合わせすることにより、前記コイルを前記特定部位に対して適正な姿勢に設定できるようにしたものである。
【0014】
この構成によると、患者の特定部位に配置されたマーキングに対して磁場発生手段を容易に位置決めできる。したがって、経頭蓋磁気刺激装置の使用者(ユーザ)は、従来のように特別な熟練を要することもなく、磁場発生手段の位置決めを行うことができる。
【0015】
前記経頭蓋磁気刺激システムはさらに、患者頭部のマーキングに対して前記位置決め部を位置合わせした状態で前記コイルを前記特定部位に対して適正な姿勢に保持する姿勢保持手段を有する。
【0016】
前記マーキングを認識する認識手段を備えることが好ましい。
【0017】
前記認識手段は、前記ホルダの近傍に設けられた少なくとも1つの撮像装置を含むことが好ましい。前記マーキングに対して前記撮像装置の光軸を一致させることにより、前記コイルを前記特定部位に対して適正な姿勢に保持できる。
【0018】
前記ホルダの下面と前記患者の頭部の一部との接点を支点にして、前記マーキングに対して前記撮像装置の光軸を一致させることにより、前記コイルを前記特定部位に対して適正な姿勢に保持することが好ましい。
【0019】
前記撮像装置の近傍に、指向性を有する光線を出射する光学装置をさらに配置し、
前記撮像装置の光軸と前記光学装置の光軸との交点を前記マーキングに一致させることにより、前記コイルを前記特定部位に対して適正な姿勢に保持することが好ましい。
【0020】
さらに好ましくは、前記ホルダを患者頭部の表面に沿って移動させる移動機構と、前記マーキングを認識する認識手段と、認識手段の出力に基づいて移動機構を制御することにより、前記マーキングに対して前記位置決め部を自動的に位置合わせする制御手段を備える。
【0021】
前記マーキングが、患者頭部表面に付すことができる模様、患者頭部表面に取り付けることができる物、又は患者頭部皮下に埋め込むことができる物である。
【0022】
前記物が磁気を発生する手段で前記認識手段が前記磁気を検出できる手段である。前記物が無線信号を発生する手段で前記認識手段が前記無線信号を検出できる手段である。または、前記物が視覚的に認識可能な形態を有し前記認識手段が前記物の形態を視覚的に認識できる手段である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、熟練を要することなく、簡単な取り扱いや操作で患者が自宅や近所のかかりつけの医療機関等で日常的に継続反復して経頭蓋磁気刺激療法を行えることができ、且つ、より小型で安価な経頭蓋磁気刺激システムを提供できる。このような経頭蓋磁気刺激装置は、被験者或いはその家族、または、必ずしも専門ではない近所のかかりつけの医師または補助者等でも、比較的容易に操作して使用できる。また、従来のような大掛かりで高価な装置を用いる必要がないので、コスト負担が小さくて済み、しかも患者個人の自宅や比較的小規模な医院や診療所等でも設置スペースの確保が容易である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態に係る経頭蓋磁気刺激システムについて、添付図面に従って説明する。以下の実施の形態では、主として脳神経外科、神経科等の医療分野で用いるのに好適な経頭蓋磁気刺激システムを説明するが、本発明は例えば、うつ病を有する患者を治療する心療内科、精神科等の医療分野にも同様に適用できる。
【0026】
なお、以下の説明では、方向や位置を表す用語(例えば、「上面」や「下面」等)を便宜上用いるが、これらは発明の理解を容易にするためであり、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が限定されるものではない。また、以下の説明は、本発明の一形態の例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0027】
本明細書において、「刺激用コイルの姿勢」とは、刺激用コイルの方向及び角度を意味し、「刺激用コイルの方向」とは、患者の頭皮表面に対するコイルの向きのことであり、「刺激用コイルの角度」とは、患者の頭皮表面の法線とコイルの磁場方向とがなす角度を意味する。また、「患者頭部に設けられた」とは、「患者の頭皮表面に着色する」、「患者の頭皮表面に埋め込む」、「患者の頭皮表面に貼り付ける」ことを含む概念である。
【0028】
図1に示すように、経頭蓋磁気刺激システム1(以下、単に「磁気刺激システム1」と称する。)は、大略、刺激用コイル2(磁場発生手段)、ケーブル4を介して電気的に刺激用コイル2と接続された磁気刺激制御装置6を備えてなり、治療用の椅子8に着座した患者Mの頭皮表面に配置した刺激用コイル2により脳内神経に所定強度の磁気刺激を加えることにより、治療及び/又は症状の緩和を図るものである。
【0029】
図示するように、コイル2を有するコイルホルダ10は、ホルダ固定具11(姿勢保持手段)の先端部に固定されている。ホルダ固定具11は、柱11aとベース11bからなり、柱11aの一部(ホルダ固定具11の先端部近傍)が金属製のフレキシブルチューブ11cで形成されている。したがって、コイル2は、コイルホルダ10を患者Mの頭皮表面の所定位置に移動するだけで、最適コイル位置に固定できる。なお、患者Mの頭皮表面に刺激用コイル2を位置決めする方法は後に詳細に説明する。
【0030】
刺激用コイル2は、患者Mの少なくとも脳の特定部位に磁気刺激を加えるための動磁場を発生するものである。刺激用コイル2としては、種々のタイプの公知の磁気コイルを使用できる。本実施の形態の刺激用コイル2は、例えば、
図2に示すように、2つの渦巻き形コイルを同一平面上で数字の「8」の字型に並べた、所謂8の字型渦巻きコイルである。この形態のコイルは2つのコイルに同方向(例えば、矢印で示す方向)に電流を流すことで、これらのコイルが重なった部分の直下で最大の誘導電流密度を得ることができる。この形態の刺激用コイル(磁気コイル)2は、その姿勢の特定を含めて固定がやや難しいが、限局した刺激をもたらすのに好適である。
【0031】
図1、
図2に示すように、刺激用コイル2は、長円状のコイルホルダ10に組み込まれている。具体的に、刺激用コイル2は、非磁性材料の合成樹脂製のコイルホルダ10の成形時に該コイルホルダ10と共に一体成形される。好ましくは、図示しないコイルホルダ10の下面(つまり患者Mの頭皮表面20と対向する面)は、患者Mの頭部形状に応じた凹状曲面に形成されている。これにより、コイルホルダ10を患者Mの頭部表面20に沿ってスムーズに移動させることができる。なお、コイルホルダ10の平面形状は長円型や小判型を含む楕円状、又は卵型であってもよい。
【0032】
磁気刺激制御装置6は、刺激用コイル2への電流パルスの供給を制御するものである。磁気刺激制御装置6としては、従来公知の種々の形態を用いることができる。磁気刺激制御装置6のオン/オフ(ON/OFF)操作は操作者によって行われる。また、磁気刺激の強度やサイクルを決定付ける電流パルスの強度やパルス波形の設定等も、操作者によって行うことができる。
【0033】
患者の頭皮表面上に配置したコイルから直下の脳内神経に正確に局所刺激を与えることにより、より高い疼痛軽減効果が得られることは[背景技術]で述べたとおりである。このため、医療機関では、患者の初期診療時に専用の位置決め装置(例えば、上述したコイルホルダ10と同一のコイルホルダを含む。)を用いて、患者の神経障害性疼痛が最も軽減できるコイル2の最適コイル位置及び姿勢を決定している。そして、次回の治療から最適コイル位置及び姿勢が再現できるように、患者の頭部表面上又は表面内に位置決め用の物(マーキング)が配置(形成)される。
【0034】
このマーキングが形成される位置は、頭皮表面のマーキングに対してコイルホルダ10を位置決めした状態でマーキングを直接的又は間接的に視認できるように、上記最適コイル位置から離れた位置であることが好ましい。また、マーキングの数は一つ以上であればよく、位置決めの正確さを考慮すると、複数設けることが好ましい。ただし、マーキングの形態によっては、例えば、マーキングが単なる点でなく直線等の二次元形状であれば、一つでも充分である。
【0035】
このマーキングは、例えば、頭皮表面の一部に描かれた模様、頭皮表面上に設けられた又は頭皮下に埋め込まれた物(例えば、金属片(例えばチタン)、磁石片、RFID、ICタグ、ピアス)のように実際に印を付けたものや、患者の目尻や耳、眉間部、歯等の患者Mの一部であって、動きの少ない箇所を基準点として利用することでもよい。頭皮表面に描く模様の形態は任意(例えば、円形、正方形又は長方形若しくは細長い四角形、三角形等)である。なお、頭皮表面上に金属片等の物を固定する手段としては接着剤が最も好適に利用できる。また、金属片等は患者の毛髪に固定してもよい。この場合、金属片等は、接着剤を用いて固定してよいし、毛髪に絡ませて固定してもよい。さらに、植毛技術を利用することもでき、この場合、患者の毛髪の色と異なる色に着色された毛(マーキング)を髪の根元に結び付ける。また、縫合用吸収糸や骨接合吸収材料(例えば、ポリ乳酸素材のもの)等の生体吸収性高分子を皮膚等に縫い付ける、又は頭皮表面上に見えるよう埋め込むことや、お灸によって、皮膚に直接、跡を付けることも利用可能である。
【0036】
頭皮表面に模様を描く方法は、所望のインキで所望の印をスタンプする方法、皮膚に所定の色素又は染料を定着させる方法、例えば、アートメーク等のように表皮又は表皮下に色素又は染料を入れる方法等、のいずれであってもよい。色素や染料は人体に無害であることが好ましい。ヘナ等の植物性着色剤を用いることも可能である。
【0037】
マーキングは、その方法や色素又は染料の選択によって、数週間、数年、又は半永久的に持たせることが可能である。よって、治療期間等により、適切な方法を選択すればよい。例えば、縫合用吸収糸や骨接合吸収材料は約3ヶ月で、体内で分解吸収されるので3ヶ月のマーキングが可能である。
【0038】
模様の色は、目立たず、且つ頭髪と同色でなく容易に視認できる色、例えば、紫色系や濃紺色系等の色が好ましい。
【0039】
患者の頭皮表面に形成(配置)されたマーキングを好適に検出し、該マーキングに対して容易に位置決めが可能な磁気刺激システム1の形態を以下に説明する。
【0040】
実施の形態1.
図2は、患者Mの頭皮表面20の2箇所に着色されたマーキング32,34に対して位置決め可能に構成されたコイルホルダ10aを示す図である。図示するように、コイルホルダ10aの長軸(2つのコイルの中心を結ぶ線に平行な方向)側の両端縁部には、略半円状の先端部を有する位置決め用突起12,14(位置決め部の一部)が該コイルホルダ10aの上面及び下面に対してほぼ平行に取り付けられている。突起12,14には、マーキング用透孔120,140(位置決め部の一部)が形成されており、これら透孔120,140の中心間距離がマーキング32,34の中心間距離と等しくしてある。なお、上述のように、医療機関において患者の初期診療時にコイルホルダ10aと同一のコイルホルダを用いて患者に対する最適コイル位置が決定され、その最適コイル位置にコイルを設置したときのマーキング透孔に対応する位置にマーキング32,34が形成される。
【0041】
このように構成されたコイルホルダ10aを動かし、患者Mの頭部表面20上のマーキング32,34にマーキング用透孔120,140を重ねる。これにより、コイル2が最適コイル位置に設置される。なお、ホルダ固定具11の一部が金属製フレキシブルチューブ11cで形成されているため、コイルホルダ10aはある程度自由にその姿勢を変えることができるとともに、マーキング用透孔120,140にマーキング32,34を重ねた状態で安定してコイルホルダ10aを維持できる。
【0042】
このように、磁気刺激システム1aによれば、マーキング32,34に対してコイルホルダ10を容易に最適コイル位置に位置決めできる。なお、突起12,14の数は、2つに限らず、マーキングの数に応じて適宜に変更できる。
【0043】
図3は、コイルホルダの他の形態を示す。本実施の形態のコイルホルダ10bにおいて、
図2のコイルホルダ10aと同一構成部分には同一符号を付して説明を省略する。図示するように、本実施のコイルホルダ10bにおいて、位置決め用突起12,14には、マーキング用透孔120,140に代えて、螺子孔121,141が形成されており、このねじ孔121,141にガイド棒(ねじ)122,142(位置決め部の一部)が螺合されている。
【0044】
したがって、本実施の形態によれば、コイルホルダ10bをマーキング32,34に対して位置決めする場合、ガイド棒122,142の先端(下端)をマーキング32,34上に移動させるだけでよい。また、ガイド棒122,142を時計回り方向又は反時計回り方向へ回転させることにより、患者Mの頭部表面20に対してコイルホルダ10bを最適の高さ、角度、方向に調整できる。高さ、角度、方向の調整が容易に行えるように、螺子孔を有する位置決め用突起は3箇所に設けることが好ましい。なお、コイルホルダ10bが最適コイル位置に位置決めされた後はガイド棒122,142をコイルホルダ10bから取り外してもよい。
【0045】
図16は、コイルホルダのさらに別の形態を示す。本実施の形態のコイルホルダ10fにおいて、
図2のコイルホルダ10aと同一構成部分には同一符号を付して説明を省略する。図示するように、本実施の形態のコイルホルダ10fにおいて、位置決め突起12,14は、マーキングの形状(円形)と同じ形状の先端部124,144と、該円形部124,144をコイルホルダ10eに連結する腕部125,145で構成されている。図示するように、先端部124,144はマーキングと同じ形状であってもよいし、それと異なる形状であってもよい。
【0046】
上述の実施の形態では、コイルホルダに突起を設けてこれを位置決め部として利用しているが、コイルホルダの外周縁部に切欠き又は窪み若しくは凹所を形成し、これを位置決め部として利用してもよい。
【0047】
また、上述の実施の形態は、介助者がコイルホルダを最適コイル位置に位置決めするものであるが、例えばコイルホルダの下面側に鏡やカメラ(CCDカメラ、CMOSカメラ等)を取り付け、患者自身が鏡やカメラのモニタ等を目視することによってコイルホルダを最適コイル位置に位置決めすることも可能である。例えば、コイルホルダの下面側の突起12,14、マーキング用透孔120,140、円形部124,144等にカメラを取り付ける場合は、目視による位置合わせに比べ、視差が生じ難いため、再現性が極めて良い位置決めをすることが可能である。
【0048】
[具体例1]
以下、その具体例を説明する。
図4は具体例1を示す。この具体例1において、コイルホルダ10cの長軸側の一端縁部には、突起14が該コイルホルダ10cの上面及び下面に対してほぼ平行に取り付けられている。突起14の先端部には、カメラ143がその光軸をコイルホルダ10cの上面及び下面に対してほぼ鉛直に向けてコイルホルダ10cに固定されている。そして、カメラ143は通信ケーブル149を介してディスプレイ52に接続されており、カメラ143から出力された映像信号に基づいて、カメラ143で撮影された画像がディスプレイ52に表示されるように構成されている。このような構成によれば、カメラ143の視準マーク300にマーキング34(32)が一致するように患者自身または介助者がディスプレイ52で確認しながら位置合わせすることで、コイルホルダ10cのコイル2を最適コイル位置に位置決めできる。なお、具体例1では、視準マーク300は、水平線と垂直線からなる十字線で表されており、水平線と垂直線の交点がカメラ143の光軸に一致させてある。また、視準マーク300は十字線に限るものでなく、例えば、円形又は四角形の模様であってもよく、その場合、円形又は四角形の中心をカメラの光軸に一致させる。これらの点は、以下に説明する他の形態又は他の具体例でも同様である。
【0049】
[具体例2]
図5は具体例2を示す。この具体例2では、コイルホルダ10cの長軸側の両端縁部に2台のカメラ123,143が固定されている。具体的に説明すると、コイルホルダ10cの長軸側の両端縁部には、突起12,14が該コイルホルダ10cの上面及び下面に対してほぼ平行に取り付けられている。突起14には、カメラ123がその光軸をコイルホルダ10cの上面及び下面に対して所定角度傾斜させて固定されている。同様に、突起14には、カメラ143がその光軸をコイルホルダ10cの上面及び下面に対して所定角度傾斜させて固定されている。
【0050】
具体例2に係る磁気刺激システム1cを使用する場合、カメラ123,143の視準マーク300にマーキング32,34が一致するように、患者自身または介助者がディスプレイ52の表示を確認しながら、コイルホルダ10cの位置合わせを行なう。
図6(a)に示すように、コイルホルダ10cが最適コイル位置(
図5(b)に示す位置)から離れた位置(
図5(a)に示す位置)にある場合、左右のマーキング32,34がカメラ123,143の左右の視準マーク300からそれぞれ左側と右側にずれている。この状態から、患者自身または介助者がディスプレイ52を見ながら、カメラ123,143の視準マーク300にマーキング32,34が一致する位置(
図6(b)参照。)まで、コイルホルダ10cを
図5の矢印で示すように患者Mの頭部表面20に接近させる。そして、カメラ123,143の視準マーク300にマーキング32,34が一致した状態で、コイルホルダ10cは最適コイル位置に設置される。このように、具体例2によれば、カメラ123,143の2台を用いて位置合わせすると共に、マーキング32,34とカメラ123,143の視差を利用して、患者Mに対する最適コイル位置までの距離を患者自身または介助者がディスプレイ52で表示を確認しながらコイルホルダ10cを位置合わせするので、コイルホルダ10cを精度良く位置決めできる。
【0051】
[具体例3]
図7、
図8は具体例3を示す。
図7(a)に示すように、コイルホルダ10cは、コイルホルダ10cの下面と患者Mの頭部の頂部22に接触させた状態で両者の接点100を支点として当該コイルホルダ10cの向き調整することが好ましい。そのために、本具体例では、図示するように、コイルホルダ10cの長軸側の両端縁部に、突起12,14が該コイルホルダ10cの上面及び下面に対してほぼ平行に取り付けられている。突起12、14には、カメラ123、143がそれらの光軸をコイルホルダ10cの上面及び下面に対してほぼ鉛直に向けてコイルホルダ10cに固定されている。
【0052】
位置合わせの際、
図7(a)に示すように、患者Mまたは介助者は、コイルホルダ10cを先ず最適コイル位置の近傍に設置する。この状態で、図示するようにマーキング32,34がカメラ123,143の視準マーク300からそれぞれ右側又は左側にずれているかもしれない。この場合、
図7(a)及び
図8(a)に示すように、コイルホルダ10cの下面と患者Mの頭部の頂部22の接点100を支点として、コイルホルダ10cを揺動しながら、ディスプレイ52上でカメラ123,143の視準マーク300にマーキング32,34を一致させ、最適コイル位置にコイルホルダ10cを設置する。なお、必要であれば、コイルホルダ10cを頭部表面20に沿って移動してもよい。
【0053】
[具体例4]
図9は具体例4を示す。具体例4において、コイルホルダ10cの長軸側の一端縁部には、突起14が該コイルホルダ10cの上面及び下面に対してほぼ平行に取り付けられている。突起14の基端側には、カメラ143がその光軸をコイルホルダ10cの上面及び下面に対してほぼ鉛直に向けてコイルホルダ10cに固定されている。さらに、突起14の末端側には、光学装置の一例であるレーザポインタ150がその光軸をコイルホルダ10cの上面及び下面に対して所定角度傾斜させてコイルホルダ10cに固定されている。
【0054】
磁気刺激システム1cを使用する際、コイルホルダ10cを適正コイル位置の近傍に設置した状態で、マーキング34にレーザポインタ150の照射輝点151が一致するように、カメラ143の映像を患者自身または介助者がディスプレイ52の表示を見ながら、コイルホルダ10cを位置合わせする。例えば、
図9(a)に示すように、コイルホルダ10cが適正コイル位置から離間した状態の場合、レーザポインタ150の照射輝点151がマーキング34から左斜め上方にずれている。この状態から、カメラ143の映像を患者自身または介助者がディスプレイ52の表示を見ながら、レーザポインタ150の照射輝点151とマーキング34が一致する位置(
図10(b)参照。)までコイルホルダ10cを
図9(a)、(b)に示すように患者Mの頭部表面20に接近させる。そして、レーザポインタ150の照射輝点151とマーキング34が一致した状態で、最適コイル位置にコイルホルダ10cが適切に配置される。このように、具体例4では、レーザポインタ150
の照射輝点151とマーキング34の視差を利用して、患者自身または介助者がディスプレイ52の表示を見ながらコイルホルダ10cを精度良く位置合わせできる。なお、本具体例では、コイルホルダ10cの長軸側の一端縁部にのみカメラ143とレーザポインタ150を固定しているが、コイルホルダ10cの長軸側の残りの一端縁部にもカメラとレーザポインタを設けてもよい。
【0055】
本具体例では、光学装置の一例としてレーザポインタ150を用いているが、指向性を有する光線を出射するものであればよい。例えば、LED(Light Emitting Diode)ポインタ以外に、拡散光を出射する光源の前方に集光レンズを配置することにより指向性のある光を出射できる光学装置も利用可能である。
【0056】
[具体例5]
具体例4をさらに具体化した磁気刺激システム1cを
図11に示す。この磁気刺激システム1cは、患者Mの頭部表面20(例えば、
図2参照。)の外形に似せた内面形状を有するヘルメット64を有する。ヘルメット64は、非磁性の合成樹脂材料で形成することが好ましい。ヘルメット64には、刺激用コイル(図示せず)を有するコイルホルダ10cが組み付けられている。ヘルメット64に対するコイルホルダ10cの位置は、患者Mがヘルメット64を装着した状態でコイルホルダ10cが当該患者に対する最適コイル位置またはその近傍位置を取るように、決められている。
【0057】
磁気刺激システム1cはヘルメット64を囲む水平フレーム65を有する。水平フレーム65は、ヘルメット64の前後左右に配置されたフレーム部分651,652,653,654を有する。具体例では、前後のフレーム部分651、652が固定部材641,642を介してヘルメット64に固定されている。前後のフレーム部分651、652と同様に、またはこれら前後のフレーム部分651、652に加えて、左右のフレーム部分653,654をヘルメット64に固定してもよい。
【0058】
左右のフレーム部分653,654はそれぞれ、マーキング認識手段の認識部90を支持している。マーキング認識部90は、
図13に示す箱形のハウジング160を有し、該ハウジング160に、例えば患者Mの完骨(耳の後ろ側にある骨の膨らみ(乳様突起))に形成されたマーキング(図示せず)を視覚化するためのカメラ143と、カメラ143とマーキングとの距離を適正に設定するためにカメラの光軸と斜めに交差する光線を出射する光源のレーザポインタ150を収容している。このように構成されたハウジング160は、カメラ143とレーザポインタ150を露出させた開口を患者に向けた状態で、調節機構66に支持されている。
【0059】
調節機構66は固定部材67を介して水平フレーム65に固定されている。図示する具体例において、調節機構66は、前後の鉛直フレーム部分660a,660bと上下の水平フレーム部分660c,660dからなる四角形の枠体660を有する。鉛直フレーム部分660a,660b及び水平フレーム部分660c,660dには、垂直方向及び前後方向に伸びるガイドスロット661,662、663,664が形成されている。ガイドスロット661,662、663,664には、スライドブロック665,681、666,683がガイドスロット661,662、663,664に沿って移動できるように嵌め込まれている。
図12は、調節機構66の部分拡大図を示し、そこに示されているように、スライドブロック665は本体部680aと嵌め込み部680bを有する。
図12(b)に示すように、本体部680aはガイドスロットの横幅よりも大きく、嵌め込み部680bはガイドスロットの横幅とほぼ等しくしてあり、嵌め込み部680bをガイドスロット661に嵌め込んだ状態で、スライドブロック665がガイドスロット661の長手方向に移動できるようにしてある。対向する右側の鉛直フレーム部分660bに対応するスライドブロック681も同様に、本体部681aと嵌め込み部681bを有し、嵌め込み部681bはガイドスロット662の横幅とほぼ等しくしてあり、嵌め込み部681bをガイドスロット662に嵌め込んだ状態で、スライドブロック681がガイドスロット662の長手方向に移動できるようにしてある。詳細な説明は省略するが、上下フレーム部分660c,660dに対応するスライドブロック682,683も同様の構成を有し、それぞれの嵌め込み部を対応するガイドスロットに嵌め込んだ状態で、スライドブロックがガイドスロットの長手方向に移動できるようにしてある。
【0060】
前後スライドブロック665,681の中央には、両ブロック665,681が対向する方向に貫通孔6650,6810が形成されており、そこに円柱状のねじ軸684が回転可能に挿通されている。ねじ軸684の一端(例えば、前部のスライドブロック665から突出した部分)にはつまみ667が固定されており、ねじ軸684の他端(例えば、後部のスライドブロック681から突出した部分)の外周には環状溝6840が形成されて、そこにCリング6841が嵌め込まれている。上下フレーム部分660c,660dに対応するスライドブロック682,683も同様の構成を有し、ねじ軸685の一端(例えば、上部のスライドブロックから突出した部分)にはつまみが固定されており、ねじ軸685他端(例えば、下部のスライドブロックから突出した部分)の外周には環状溝が形成されて、そこにCリングが嵌め込まれている。これにより、前後一対のスライドブロック665,681及び上下の一対のスライドブロック666,683は対応するガイドスロットにガイドされながら上下及び前後に移動できるようになっている。
【0061】
各シャフト684,685は、その中央部分が認識部90のハウジング160を貫通している。また、各シャフト684,685の少なくとも中央部分には外ねじ684a,685aが形成されている。一方、シャフト684,685が貫通するハウジング160の4つの壁1600,1601,1602,1603のそれぞれには、内ねじを有するねじ部材690a,690b,691a,691bが固定されている。そして、水平方向に向けられたシャフト684の外ねじ684aがハウジング160の前壁1600と後壁1601に設けたねじ部材690a,690bの内ねじに螺合し、鉛直方向に向けられたシャフト685の外ねじ685aがハウジング160の上壁1602と下壁1603に設けた内ねじ691a,691bに螺合している。
【0062】
このような構成を備えた磁気刺激システム1cによれば、前後方向に伸びるシャフト684のつまみ667を回転すれば認識部90を前後に移動し、また、上下方向に伸びるシャフト685のつまみ668を回転して認識部90を上下に移動することで、認識部90のカメラ143とレーザポインタ150を上下と前後に移動できる。したがって、この磁気刺激システム1cを使用するにあたっては、先ずヘルメット64を装着した患者Mに対してコイルホルダ10cを移動して患者M及びヘルメット64に対する最適コイル位置を決定する。最適コイル位置が決定すると、コイルホルダ10cをヘルメット64に固定する。次に、この状態でダイヤル667,668を操作して認識部90を移動し、レーザポインタ150の光軸を患者Mに設けたターゲット、例えば患者Mの完骨(耳の後ろ側にある骨の膨らみ(乳様突起))に形成されたマーキング(図示せず)に一致するように、カメラ143の映像を患者自身または介助者がディスプレイ(図示せず)の表示を見ながら位置合わせを行なう。
【0063】
このようにして、最適コイル位置に対応するカメラ143とレーザポインタ150の位置が決定されると、後にヘルメット64を装着したときにレーザポインタ150の光軸をターゲットに合わせるだけで、コイルホルダ10cを簡単に最適コイル位置に設定できる。なお、
図12(a)に示すように、つまみ667の周囲に目盛6670を設けるとともに、つまみ667近傍のスライドブロック665に基準点6671を設けておくことで、最適コイル位置に対応したつまみ位置を正確に再現できる。本具体例では、患者Mの頭部の前後方向と上下方向に認識部90を移動させているが、これに限らず、患者Mの頭部の前後方向に関して認識部90を回転させ、上下方向に関して当該認識部90を回転させるものであってもよい。また、カメラ143とレーザポインタ150の位置を個別に調節する機構を有していてもよい。
【0064】
実施の形態2.
次に、患者の身体の一部をマーキングとして利用する実施の形態について
図14を参照して説明する。以下の説明では、患者の目尻を位置決め用のマーキングとして利用し、そのマーキングに対してコイルホルダを位置決めする例を述べる。図において、コイルホルダ10dの本体部分(位置決め部を除く主要部分)は実施の形態1に示したものと同じであり、同一構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0065】
図14に示すように、本実施の形態のコイルホルダ10dの長軸側の両端部には、金属棒からなる位置決め用のアーム部材126,146(位置決め部)が取り付けられている。図示するように、このアーム部材126,146は、コイルホルダ10dの両端部から外方に伸び、そこから直線的に複数回折り曲げられ、患者Mの目尻近傍の骨が窪んでいる部分36,38に先端部127,147を当てることができるように構成されている。
【0066】
したがって、コイルホルダ10dを位置決めの際、患者Mの目尻近傍の骨が窪んでいる部分36,38にアーム部材126,146の先端部127,147を配置するだけでコイルホルダ10dのコイル2が最適コイル位置に簡単に位置決めできる。この形態は、患者Mに模様を付したり物を取り付ける必要がないので、患者Mへの負担が少ない。
【0067】
なお、アーム部材126,146の先端部127,147に例えば、超小型のCCDカメラを組み込めば、患者自身が、モニタ等で目標物(目尻の骨が窪んでいる部分36,38)を確認しながらコイルホルダ10dのコイル2を最適コイル位置に位置決めできる。
【0068】
実施の形態3.
患者の頭部表面に固定された磁石又は頭部皮下に埋め込まれた磁石を利用してコイルホルダを位置決めする実施の形態について
図15を参照して説明する。図において、コイルホルダ10eの主要部の構成は実施の形態1、実施の形態2に示したものと同じであり、同一構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0069】
図15に示すように、患者Mの頭部表面20又は頭部皮下の所定位置には、2つの磁石320,340(磁気発生手段)が設けられている。コイルホルダ10eの長軸側の両端縁部には、矩形状の突起12,14が該コイルホルダ10eの上面及び下面に対してほぼ水平に取り付けられている。また、突起12,14の下面には、磁石320,340の磁力を検出する磁気センサ128,148(磁気検出手段)が設けられている。磁気センサ128,148の中心間距離は、磁石320,340の中心間距離に等しく設定されている。
【0070】
また、本実施の形態の磁気刺激システム1eは、磁気センサ128,148の出力(磁石320,340の磁力に対応)を信号強度に変換する変換装置50と、変換装置50から出力された信号強度を表示するディスプレイ52を有する。
【0071】
このように構成されたコイルホルダ10eのコイル2は、ディスプレイ52の表示を確認しながら、磁石320,340の磁力に係る信号強度が最大となる位置にコイルホルダ10dを移動することにより、最適コイル位置に位置決めできる。したがって、介助者によることなく、患者自身がコイル2を最適コイル位置に位置決めできる。なお、
図17に示すように、患者の頭皮表面に組み込まれた磁石(共に図示せず)位置に応じて例えば、コイルホルダ10gの一側面に1つの磁石センサ129を取り付けてもよい。
【0072】
実施の形態1〜3で説明した磁気刺激システムは、介助者又は患者M自身がコイルホルダ10を患者Mの頭部表面に沿って移動してコイルホルダを位置決めするものであるが、この位置決め作業は以下に説明する移動装置を具備した磁気刺激システムにより自動化できる。
【0073】
実施の形態4.
図18は、移動装置付き磁気刺激システム1hを示し、そこには、刺激用コイル(図示せず)を有するコイルホルダ10hを、患者Mの頭部表面20に似せた所定球面に沿って移動させる機構を含む移動装置60(移動機構)が組み込まれている。また、コイルホルダ10hは、患者Mの頭部表面20に対して所望の姿勢で保持できる支持部材62に支持されている。移動装置60は、患者Mの頭部の一部を覆うように該患者Mの頭部の上方に配置される。図において、符号70は患者Mを仰向けに寝かせるための治療用の椅子であり、この椅子70には、移動装置60を操作するための操作盤80(制御手段)がケーブル85を介して移動装置60と電気的に接続されている。以上の構成に加えて、図示していないが、コイルホルダ10hの下面には、患者Mの頭部表面20に施されたマーキングを自動的に検出するための画像センサ(認識手段)が設けてある。
【0074】
このような構成を備えた磁気刺激システム1gによれば、患者Mの頭部表面に沿ってコイルホルダ10gを移動させることによって画像センサでマーキングを自動的に認識して、コイルホルダ10gのコイル2を最適コイル位置に位置決めできる。
【0075】
なお、マーキングを認識する手段は画像センサに限るものでない。例えば、マーキングが磁石の場合、磁気センサの出力信号をもとに磁石の位置を自動認識することができる。
【0076】
このように、実施の形態1〜実施の形態4に係る磁気刺激システムによれば、患者Mの頭部表面上又は頭皮下に配置されたマーキング、例えば、完骨(耳の後ろ側にある骨の膨らみ(乳様突起))に形成されたマーキングに対してコイルホルダを位置決めすることによって刺激コイルを最適コイル位置に位置させることができる。したがって、磁気刺激システムの使用者(患者M、介助者)は、特別な熟練を要することもなく、容易にコイルホルダ及びコイルの位置決めを行うことができる。