特許第5937100号(P5937100)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5937100
(24)【登録日】2016年5月20日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】ナノメートル粒子の乾式造粒方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 2/12 20060101AFI20160609BHJP
【FI】
   B01J2/12
【請求項の数】11
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-542564(P2013-542564)
(86)(22)【出願日】2011年12月9日
(65)【公表番号】特表2014-504948(P2014-504948A)
(43)【公表日】2014年2月27日
(86)【国際出願番号】EP2011072354
(87)【国際公開番号】WO2012076698
(87)【国際公開日】20120614
【審査請求日】2014年11月18日
(31)【優先権主張番号】1060379
(32)【優先日】2010年12月10日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】502124444
【氏名又は名称】コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】イシャム・マスクロット
【審査官】 山田 貴之
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/138471(WO,A1)
【文献】 特開平07−124458(JP,A)
【文献】 特開昭48−009982(JP,A)
【文献】 特開平05−253459(JP,A)
【文献】 米国特許第03764362(US,A)
【文献】 米国特許第03210772(US,A)
【文献】 仏国特許出願公開第01340498(FR,A1)
【文献】 米国特許第03299132(US,A)
【文献】 独国特許出願公開第00759124(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一組のナノメートルサイズの無機粒子(1)を円形又は略円形断面を有する内壁表面を有する容器(2)に添加する段階と、前記容器(2)を通る回転軸(5)に対して前記容器を回転させることによって前記一組の粒子を前記内壁表面に沿って動かす段階と、を含み、前記粒子を動かす段階を乾燥状態で行い、粒子状態から顆粒状態への変更が何らの保湿剤又は何らの他の有機結合剤の添加なしに行われ、前記容器を数時間連続で一定速度で継続的に回転する、ナノメートルサイズの無機粒子の凝集によるマイクロメートル又はミリメートルサイズの無機顆粒の形成方法。
【請求項2】
前記容器(2)の回転軸(5)が、前記内壁表面の円形又は略円形の断面の中心に位置する、請求項1に記載の顆粒の形成方法。
【請求項3】
前記回転速度が、前記容器が依然として回転しているが、前記一組の粒子が前記内壁表面に沿ってもはや動かない回転速度に相当する臨界速度の25から40%の間である、請求項1に記載の顆粒の形成方法。
【請求項4】
前記容器が密閉容器である、請求項1に記載の顆粒の形成方法。
【請求項5】
前記容器の回転軸(5)が水平から傾いている、請求項1に記載の顆粒の形成方法。
【請求項6】
前記容器の内容積が、前記容器に添加される前記一組の粒子の体積より少なくとも5倍大きい、請求項1に記載の顆粒の形成方法。
【請求項7】
前記容器の内容積が球形状又は円筒形状である、請求項1に記載の顆粒の形成方法。
【請求項8】
前記容器に添加される粒子が無機材料で作られる、請求項1に記載の顆粒の形成方法。
【請求項9】
前記無機材料が、酸化物、金属又は炭化物である、請求項8に記載の顆粒の形成方法。
【請求項10】
前記無機材料が、酸化チタン、酸化シリコン、酸化アルミニウム、炭化シリコン又は炭化チタンである、請求項9に記載の顆粒の形成方法。
【請求項11】
前記無機材料が、二酸化チタン(TiO)、二酸化シリコン(SiO)又はアルミナ(Al)から選択される、請求項10に記載の顆粒の形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノメートルサイズの粒子の無機パウダー、及びマイクロメートル又はミリメートルの無機顆粒の形態のそれらのパッケージングに関する。
【0002】
この説明の以下の部分において、ナノ粒子という用語は、ナノメートルサイズの粒子及びナノ粒子から構成されるパウダーを指すナノパウダーを指すものとして使用する。
【背景技術】
【0003】
ナノ粒子は、それらの特別な特性のためにこの数年にわたって益々評判が良くなってきている。ナノ粒子は、航空術(ナノ複合材として)、自動車(タイヤの製造、塗料及び触媒に関して)、エネルギー(核、太陽電池、石油化学製品)、化粧品(構造物質又はUVバリアとして)、マイクロエレクトロニクス(部品、道具)などの種々の産業、及び食品加工における原料として又は最終材料として使用される。
【0004】
一方、ナノ粒子はまた、多くの利点を有する。
【0005】
これらの利点の1つは、ナノ粒子が全ての利用可能な空間を自発的に占める特性を有することである。従って、それらは、空気中で瞬時に懸濁液に入れられる傾向にあり、結果的に人体に対する侵入経路(鼻、口、耳など)に対して容易に浮遊され得るものである。
【0006】
一方、矛盾するわけではないが、あるナノパウダーは、それらの高い表面エネルギーのために自発的に凝集する傾向にある。この特定の自発凝集状態は、非常に乏しい流動性を有するパウダーをもたらす。
【0007】
第2に、ナノパウダーは、爆発の危険を避けるために非常に注意深く保存しなければならず、その爆発の危険は、ナノ粒子の高い表面反応性のために常に存在する。
【0008】
ナノ粒子が製造されると直ぐに、これらの理由のために(操作、保存及び安全)、ナノ粒子は、パッケージングされなければならない。
【0009】
ナノ粒子をパッケージングする2つの主たる方法がある:
−ナノ粒子に与えられる後続の変態の関数として選択される種々の性質の溶液の懸濁液(水、アルコール、溶媒、ポリマー)にナノ粒子を入れることからなる、液相にナノ粒子をパッケージングする方法、
−互いにナノ粒子を凝集することによってマイクロメートルサイズの顆粒を形成することからなる、ナノ粒子の造粒方法。
【0010】
懸濁液の形態でのナノ粒子のパッケージングは魅力的であるが、全ての製造業者によって相応しいものではない。実際に、ある材料の製造工程においては、材料は、乾燥状態で添加されなければならない。
【0011】
さらに、懸濁液の生成は、保存され運ばれるべきより多くの質量の生成物を必要とする。
【0012】
最後に、例えば炭化物パウダーのようなナノパウダーは、時が経てば水性溶媒又はアルコール溶媒と反応する。
【0013】
従って、通常、ナノパウダーを造粒することによってナノパウダーを調整することが望まれる。
【0014】
造粒は、乾式又は湿式の何れかで行われ得る。
【0015】
乾式造粒に関して、顆粒は、あらゆる保湿剤(液体又は蒸気)を使用することなく得られる。
【0016】
周知の乾式造粒方法は、全てナノ粒子の圧縮/粉砕の原理(文献1(特許文献1))、又は、少なくともナノ粒子の事前圧縮の原理(文献2(非特許文献1))に基づく。従って、これらの方法は、造粒段階中に加えられる種々の機械的負荷に抵抗するために具体的に指定された部品の使用を必要とする。
【0017】
顆粒の機械的強度は、圧縮又は事前圧縮によって引き起こされる粒子間の接触表面積の増加及び粒子間の空間の低減の組み合わされた効果によって達成される。
【0018】
湿式造粒に関して、顆粒は、粒子に保湿剤(液体又は蒸気)を添加することによって得られ、それは、結合剤として作用し、粒子間の結合を生成する。
【0019】
いくつかの湿式造粒の方法がある。
【0020】
混合による造粒方法は、ナノパウダーに液体を混合することからなる。中間生成物が乾燥されなければならないので、これらの方法は頻繁に使用されるものではなく、この段階は長く、通常、過剰な残留湿度を有する生成物をもたらす。
【0021】
さらに、得られる顆粒は、しばしば非常に硬く、それらのサイズ及び組成は、非常に不均一である。
【0022】
最後に、使用される溶媒及び有機結合剤は、顆粒の組成に含まれているかもしれない。従って、顆粒の組成は純粋ではない。
【0023】
現在、最も頻繁に使用される造粒方法は、噴霧乾燥(文献3及び4(非特許文献2及び3))、凍結乾燥(文献5及び6(非特許文献4及び5))、及び流動床造粒(文献7及び8(非特許文献6及び7))である。
【0024】
しかしながら、これらの3つの造粒方法は、実行が複雑であるという欠点を有する。
【0025】
この使用の複雑性は、第1に、非常に低い温度(50Kの液体窒素)又は非常に高い温度(100から250℃)において使用しなければならない溶媒及び気体の管理に関連する。
【0026】
さらに、これらの造粒方法は全て、場合によっては1つ又は幾つかの有機結合剤を含む液体溶媒の懸濁液にナノ粒子を入れる段階を含む。
【0027】
この結果は、このようにして得られる顆粒が全て、無視できない残留物含有量の溶媒を有するということである。
【0028】
さらに、この残留溶媒の含有量のために、得られた顆粒は、常に適切な機械特性を有するわけではない。それらは、取り扱うには非常に砕け易かったり、残留液体の存在によって引き起こされる毛細管力のために硬過ぎたりする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0029】
【特許文献1】米国特許第5,124,100号明細書
【非特許文献】
【0030】
【非特許文献1】Katzer et al., “Residence time distribution in granulation drums on the example of industrial carbon black”, Chem. Eng. Technol. (2004), 27, No. 5
【非特許文献2】Saederup et al., “Spray drying for processing of nanomaterials”, Journal of Physics: Conference Series 170 (2009), International Conference on Safe production and use of nanomaterials
【非特許文献3】Faure et al., “Spray drying of TiO2 nanoparticles into redispersible granules”, Powder Technology (2010)
【非特許文献4】Nyberg et al., “Granulation of ceramic powders for pressing by spray freezing and freezing-drying”, Euro-Ceramics II (1993), vol. 1, p 447-451
【非特許文献5】Moritz et al., “Preparation of super soft granules from nanosized ceramic powders by spray freezing”, Journal of Nanoparticle Research 4 (2002), p 439-448
【非特許文献6】Watano et al., “Microgranulation of fine powders by a novel rotating fluidized bed granulator”, Powder Technology 131 (2003), p 250-255
【非特許文献7】Chen et al., “Granulation of cohesive Geldart group C powders in a Mini-Glatt fluidized bed by pre-coating with nanoparticles”, Powder Technology 191 (2009), p 206-217
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0031】
従来文献による造粒方法の利点を考慮して、本発明の目的は、実施が容易であり、マイクロメートル又はミリメートルサイズの粒子を形成するために使用される造粒方法を設計することである。
【課題を解決するための手段】
【0032】
この目的は、一組のナノメートルサイズの無機粒子を円形又は略円形形状の内壁表面を有する容器に添加する段階と、前記容器を通る回転軸に対して前記容器を回転させることによって前記一組の粒子を前記内壁表面に沿って動かす段階と、を含み、前記粒子を動かす段階を乾燥状態で行い、前記容器を数時間連続で一定速度で継続的に回転する、ナノメートルサイズの無機粒子の凝集によるマイクロメートル又はミリメートルサイズの無機顆粒の形成方法を用いて達成される。
【0033】
本発明による造粒方法における造粒は、乾式状態で行われ、すなわち粒子状態から顆粒状態への変更が何らの保湿剤(液体又は蒸気)又は何らの他の有機結合剤の添加なしに行われる。
【0034】
容器が回転しているとき、粒子は、容器の内壁表面及びこの壁の“ロール”に対して動く。
【0035】
容器の理想的な回転速度は、粒子が容器壁の内表面に満足のいくように転がるようなものである。
【0036】
全ての粒子が容器壁の内表面に沿って移動するものである場合、当業者に明らかなように、容器が当然ながら回転しなければならないが、湿式造粒の場合のように、回転速度はまた、臨界速度(それは、後に詳細な説明において更に検討される)未満でなければならないことに留意すべきである。この臨界速度は、しばしば容器に加えられる粒子の性質(それらの組成)に依存し、従って実験的に決定しなければならない。
【0037】
この臨界速度を上回って、粒子に作用する遠心力は、内壁表面に沿って粒子を移動することを可能にするために非常に高い。
【0038】
好ましくは、この臨界速度より若干低い範囲内の速度はまた、避けられるだろう(当業者が決定することができるだろう速度範囲)。この粒子は、内壁表面に沿って移動するが、必ずしも“組”を形成する必要はない。いくつかの粒子が、その組から分離し、落下する傾向があり、それによって他の粒子を分散し、粒子の組の移動を妨害するからである。
【0039】
好ましくは、停止したときに粒子の組が得られるような形態と比較して容器壁の内表面に沿って拡散することによって粒子の組が移動するように、容器の回転速度は選択される。
【0040】
好ましくは、粒子の組が容器壁の内表面に沿って拡散するように、回転速度は選択され、粒子及び壁の間の摩擦力、並びに、他の粒子及び重力を用いた摩擦力は、粒子に加えられる遠心力よりも大きいようなものである。
【0041】
有利には、容器が依然として回転しているけれども、容器の回転速度は、粒子の組がもはや内壁表面に沿って動くことができなくなる回転速度に相当する臨界速度の25から40%である。臨界速度において、粒子の組は、もはや容器壁の内表面上に滑らないが、それと共にそれぞれが共に回転する。
【0042】
前述の説明及び以下の説明において、粒子に対して適用される“サイズ”という用語が、これらの粒子の最大寸法を意味し、粒子に対して適用される“ナノメートル”という用語が、サイズが100ナノメートル未満であることを意味し、粒子に対して適用される“マイクロメートル”という用語が、サイズが1マイクロメートルから1ミリメートル(1ミリメートルを含まない)であることを意味し、粒子に対して適用される“ミリメートル”という用語が、サイズが1ミリメートルから10ミリメートルであることを意味することに留意すべきである。
【0043】
以下の手順は、初期の粒子(未処理のパウダー)のサイズを決定するために使用することができる。第1に、粒子(又は顆粒)の比表面積は、粒子の表面積/重量比(単位:m/g−1)を与えるBET(Brunauer、Emmet及びTelier)法を用いて測定される。次いで、パウダー粒子の密度は、体積あたりの粒子重量を与えるヘリウム比重瓶法を用いて測定した。ヘリウム比重瓶法によって、周知の質量を有する試料の体積の非常に正確な測定装置を用いて、分割された又は多孔性の固体材料の密度を決定する。最後に、平均粒径は、各々の粒子が球状であると仮定して計算する。
【0044】
好ましくは、粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)観察によって決定する。
【0045】
好ましくは、容器の回転軸は、内壁表面の円形又は略円形の断面の中心に位置する。
【0046】
選択された容器は、この内壁表面が粒子磨耗に対抗する材料で作られるという条件で、円形又は略円形の内壁表面を有する何れかの容器であり得る。
【0047】
従って、有利には、容器は、金属、ガラス、セラミック又はポリマーで作られ得る。
【0048】
有利には、容器は、内容積が球形又は円筒形状である何らかの容器であり得る。
【0049】
容器は、化学実験室で頻繁に使用されるタイプのガラスの丸底フラスコ(例えば、Quickfit(商標)フラスコ)、又は、例えば円筒缶であるシリンダーであり得る。
【0050】
容器は、好ましくは密閉され、それによって容器から予想外の粒子の飛び出しを避ける。また、それはまた、好ましくは漏れないものである。
【0051】
種々の実施形態において、容器の回転軸は、水平から傾いていてもよい。そのため、それは、水平に対して0を超え、90°以下の角度で傾いていてもよく、傾斜角度は、好ましくは80°未満である。
【0052】
容器が、回転軸に対して対象物を回転させることができる周知の技術手段で回転され得ることに留意すべきである。例えば、それは、容器が配置されたロールミキサー(容器が円筒形状又は球形状である)又は容器に固定された回転子などであり得る。
【0053】
本発明による造粒方法の利点の1つは、それが、例えば回転ドラム装置(造粒ドラム)又は回転プレート装置(回転皿)などの、湿式造粒に通常使用される装置で使用され得るということである。
【0054】
この場合、粒子が装置に加えられた後に、装置の入口及び出口を封鎖することを考慮に入れることが望ましい。例えば、回転皿に関して、粒子が逃げるのを防止するために皿の上で蓋が使用され得る。
【0055】
同様に、枠が設けられる平板で構成される回転皿の場合、皿の板は、垂直に対して傾いている。全ての粒子が枠上で動け、この場合の枠が、円形又は略円形の断面を有する内壁表面を形成するようなものである。
【0056】
一方、皿の底が球形状である場合、皿を傾ける必要はない。
【0057】
さらに、湿式造粒工程に関して、容器を粒子で過剰充填することを避けることが重要である。好ましくは、容器の内容積は、容器に添加される全ての粒子の体積の少なくとも5倍を超える。
【0058】
有利には、容器に添加される粒子は、無機材料で作られる。
【0059】
有利には、無機材料は、酸化物、金属又は炭化物であり得る。無機材料は、酸化チタン、酸化シリコン、酸化アルミニウム、炭化シリコン又は炭化チタンであり得る。
【0060】
本発明による造粒方法は、特に関心のあるマイクロメートル又はミリメートルサイズの顆粒を得るために使用され得る。
【0061】
従って、本発明はまた、マイクロメートル又はミリメートルの無機材料の顆粒であって、それがこの無機材料のナノメートルの粒子のみから構成され、それらの粒子が互いに凝集されている顆粒に適用することができる。
【0062】
有利には、無機材料は、酸化物、金属又は炭化物である。
【0063】
有利には、無機材料は、酸化チタン、酸化シリコン、酸化アルミニウム、炭化チタン又は炭化シリコン(SiC)である。好ましくは、無機材料は、二酸化チタン(TiO)、二酸化シリコン(SiO)又はアルミナ(Al)から選択される。
【0064】
有利には、顆粒は、球状又は略球状であり、それは、ナノメートルサイズのファセットを有する。
【0065】
有利には、顆粒の嵩密度は、容器に添加される粒子の何れか1つの嵩密度の少なくとも2倍である。得られる粒状化パウダーは、初期の粒状化されていないパウダーの嵩密度の少なくとも2倍、好ましくはそれよりもっと大きい嵩密度を有する。
【0066】
本発明による方法は、何れの結合剤、溶媒(蒸気又は液体)及び何れの圧縮を用いない乾式法を使用することによって、無機ナノパウダー(酸化物、金属又は炭化物)の造粒に使用することができる。
【0067】
さらに、大気温度又は容器内の圧力に対して外部からの変更は必要ない。
【0068】
容器への中性ガス又は中性試薬の添加も必要ない。
【0069】
最後に、高剪断速度を有する混合器又は造粒機に使用される攪拌装置(ボールなど)を何ら動かす必要はない。
【0070】
本発明による造粒方法は、ナノ構造化ファセットを有する球形の顆粒を多かれ少なかれ得るために使用することができる。
【0071】
本発明による方法の最後に得られる顆粒の特徴は、適用される造粒パラメータ、すなわち、初期のナノパウダーの物理化学的及び構造的特徴、“内容積におけるパウダー体積/容器”の比、容器の回転速度、容器の内容積、容器が作られる材料の種類、回転軸の傾斜角度、及び容器を回転するために使用される技術に必然的に依存する。
【0072】
顆粒は、適用される造粒パラメータに依存する多かれ少なかれ広いサイズ分散を有し、それは、数十分の1マイクロメーターから数ミリメーターまで(7mmまで)様々である。
【0073】
粒状化ナノパウダーの嵩密度は調整可能であり、それは、初期の嵩密度の15倍まで増加し得る。
【0074】
得られた粒状化ナノパウダーは、その比表面積を維持し、顆粒は、超音波処理によって溶媒に容易に分散される。
【0075】
粒状化ナノパウダーの流動性は、それが、篩いを目詰まりすることなく篩い掛けし得るようなものである。
【0076】
最後に、その水分含量は、処理されていないナノパウダーの初期の水分含量より高くない。
【0077】
本発明による造粒方法の単純化は、ナノパウダー分野で一般的に使用される他の方法と比較してより低いコストでこの方法の速い産業化及び実施を予想することができる。
【0078】
これらの顆粒からの固体材料の形状における試験が現在行われている。予備試験によって、操作の容易性において顕著な改善、貯蔵容積の低下、材料形状プロトコルの単純化が示される。
【0079】
見られるように、本発明による造粒方法の適用は非常に容易であるが、この方法が当業者に自明であると考えることは誤解であろう。
【0080】
上述しているように、ナノパウダーは、自然に凝集する傾向にある。これは、発明者が、自発的なナノパウダーの凝集状態(自発造粒)及び誘導造粒状態の間に発明の目的における区別を行うためである。定義によれば、顆粒は凝集体であるので、この区別を行うことは重要である。上述のように、ナノパウダーは、必然的に凝集体の形態である。しかしながら、自発造粒からもたらされる顆粒又は凝集体は、粉末状で揮発性のままである。本発明による造粒方法によって得られる顆粒は、マイクロメートル又はミリメートルサイズの物体であり、好ましくは、球状の外形及び形状を有する物体である。
【0081】
ナノパウダーが必然的に凝集する傾向にあるけれども、同時に、それらは利用可能な空間全体を占める傾向にある。ナノパウダーが温度に関して気体のように振る舞う傾向があることが知られる。すなわち、熱運動は、ナノパウダーが所定の容積全体を占めるようにする傾向がある。
【0082】
従って、容器内のナノパウダーの回転が自発的に形成された事前凝集体を緻密化し得ることを考えることは明らかではなく、それが、数マイクロメートルのサイズを有する顆粒を形成するようにそれらのサイズを増加し得ることを考えることさえも明らかではない。
【0083】
ナノパウダーは通常、非常に低い嵩密度を有し、ほとんどのナノパウダーのこの嵩密度は、100g/l(すなわち、0.1g/cm)未満である。例えば、Degussa社によって作られる酸化チタンTiO、参照番号P25は、ナノサイエンスの分野で非常に幅広く使用される試料のナノパウダーであり、0.09g/cmの嵩密度を有する。
【0084】
低嵩密度に加えて、ナノパウダー粒子間の引力は、動作中にパウダーの質量(すなわち粒子の組)を設定することが困難であるようなものである。
【0085】
さらに、基本粒子の低質量は、それらのみが低運動エネルギーを有することを意味する。しかしながら、運動エネルギーは、粒子が共に接近することを引き起こし、それらが凝集することを保証するのに十分に効果的な粒子衝突があることを保証するために必要とされる。
【0086】
纏めると、粒子が自発的に凝集する傾向があるけれども、他の物理的な現象は、以上に説明されるように影響を受ける。これは、当業者が、ナノパウダーの山(ベッド)を回転することによる粒子の単純な運動がそれらの凝集を引き起こし得るということを決して考え付かない理由である。
【0087】
一方、ナノサイエンスの団体は、ここに記載された溶液を予測することなく、多かれ少なかれ長期間にわたってナノパウダーを造粒する複雑な方法を試みている。
【0088】
本発明は、本発明による顆粒を形成する実施例及びこれらの粒子の等価の市販の顆粒との比較に関連する以下の詳細な説明を読むことによって、より理解されるだろう。
【0089】
明らかに、これらの実施例は、本発明の対象の例示として単に示され、この主題に全く限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0090】
図1図1は、本発明による造粒に使用され得る装置の第1の実施例を示す。
図2図2aから図2cは、本発明による方法の第1の実施例で使用される100mgの原料の山(図2a)、及び、図1に示される造粒装置において6時間の回転後に得られる顆粒(図2b及び2c)を示す、通常のカメラを用いて得られた写真である。
図3図3a及び図3bは、第1の実施例によって6時間後に得られる顆粒の走査型電子顕微鏡写真(SEM)によって得られた画像を示す。
図4図4は、本発明による造粒に使用され得る装置の第2の実施例を概略的に示す。
図5図5aから図5cは、本発明による方法の第2の実施形態による種々の造粒時間における走査型電子顕微鏡写真で観察される顆粒の画像を示す。
図6図6a及び図6bは、2つの異なる倍率において走査型電子顕微鏡で観察された、本発明による方法の第2の実施例による4時間後において得られる顆粒の画像を示す。
図7図7aから図7cは、それぞれ原料並びに22時間後及び100時間後における本発明による方法を用いて第2の実施形態によって得られる顆粒の走査型電子顕微鏡で観察される画像を示す。
図8図8aから図8cは、それぞれ22時間後、100時間後及び120時間後における本発明による方法を用いて第2の実施例によって得られた顆粒の走査型電子顕微鏡で観察される画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0091】
無機ナノパウダーの凝集に関する極めて乏しい文献の量から、顆粒の形態でナノパウダーを調整することの難しさが示される。
【0092】
酸化物ナノパウダー(TiO、SiO及びAl)の顆粒の例はほとんどなく、我々の知る限りでは、炭化シリコンタイプのナノパウダーから炭化物の成功した顆粒は存在しない(圧縮−粉砕によるものを除いて)。
【0093】
以下に幾つかの顆粒の例を記載し、文献に見られる非常に稀なナノパウダーの顆粒とそれらを比較し、そのコンテクストに本発明を入れる。
【0094】
この比較を行うために選択されたパウダーは、Degussaによって供給されるP25酸化チタンナノ粒子のパウダーと、物理方法(レーザー熱分解)を用いて合成された炭化シリコンナノ粒子のパウダーである。
【0095】
従来文献にマイクロメートル又はミリメートルサイズの顆粒の例がないので、炭化シリコンに対しては比較が行えない。
【0096】
(A.P25酸化チタンの顆粒)
P25酸化チタンのパウダーは、ナノメートルサイズのチタン酸化物粒子から構成されるパウダーであり、これらの粒子は、50m/g(+/−15)比表面積、21nmの平均直径、及び、0.09から0.11g/cmの嵩密度を有する。
【0097】
このP25チタン酸化物パウダーの顆粒に関する2つの異なる技術、すなわち、Faureらによる研究(文献4(非特許文献3))及びMoritzらによる研究(文献6(非特許文献5))の噴霧乾燥顆粒、及び、Moritzらによる研究(文献6(非特許文献5))の粉末凍結顆粒を示す従来文献に2つの研究を見つけた。
【0098】
Faureらは、多量の分散剤(例えば、Dispex N40)を用いてTiOナノパウダーの水の懸濁液を用意することから開始して、このナノパウダーを粒状化した。使用された割合は、水18リットルにおいて、10KgのTiOパウダーに対して240gの分散剤(乾燥質量)である。
【0099】
このようにして得られた懸濁液の篩い分け段階は、噴霧ノズルを遮蔽することができる大きな凝集体を取り除くことを必要とする。
【0100】
この篩い分けされた懸濁液を、それが噴霧ノズル乾燥装置に加えられるまで継続的に攪拌した。
【0101】
これらの条件下において、Faureらは、大きなサイズ分散(11から87μm)及び33μmの平均直径(D50)を有する球形顆粒を得る。
【0102】
これらの顆粒に残っている水分含有量は、2.5%である。
【0103】
造粒後のナノパウダーの密度は、0.11g/cmから0.69g/cmまで増加している。
【0104】
得られた顆粒は、超音波処理によって懸濁中に容易に再分散される。
【0105】
ほとんど全ての有機分散剤(Dispex 40)が顆粒に残っている。従って、分散剤は、有機結合剤としても作用すると結論付けることができ、一方で、それは、結合剤なしで、造粒がおそらく起こらないであろうことを意味する。
【0106】
Moritzらは、凍結乾燥及び噴霧乾燥による造粒を研究した。
【0107】
彼らは、パウダーの質量(25から45質量%)によって異なる含有量の懸濁液を取り扱った。
【0108】
ある場合には、彼らは、懸濁液に4質量%の分散剤を添加する。
【0109】
Moritzらは、両方の技術を用いて多かれ少なかれ小型の球形顆粒を得る。
【0110】
分散剤を用いない冷凍乾燥造粒法を使用して、彼らは、0.18から0.3g/cmまでの様々な密度を有する粒状化されたナノパウダーを得る。
【0111】
分散剤(乾燥段階で結合剤としても作用する)の添加は、この密度を0.44g/cmまで増加させることができる。
【0112】
0.75g/cmに等しい噴霧乾燥(結合剤を用いた)によって得られた粒状化ナノパウダーの密度は、冷凍乾燥造粒法を用いて得られたナノパウダーの密度より大きい。
【0113】
噴霧乾燥によって得られる球形顆粒は、凍結乾燥によって得られるものより小型で、より滑らかな表面を有すると思われる。Moritzによれば、このことは、噴霧乾燥がその液体の蒸発中に毛細管力の出現を促進するという事実によって説明される。彼らによれば、毛細管力は、顆粒をより粘着性にする。冷凍乾燥の場合、毛細管力は発生せず、ロンドン/ファンデルワールスタイプの力のような小さな物理力のみが顆粒の凝集を可能にする。
【0114】
本発明による方法の効率を示すために、同一の市販のパウダー、すなわちP25酸化チタンパウダーを使用した。
【0115】
(実施例A1)
本発明のこの実施例の造粒用に使用した装置は、図1に図式的に示される。
【0116】
この装置は、固定子4(電気モーターの固定部(動かない部分))及び回転子(電気モーターの可動部)から構成される。この場合の容器2は、ガラスの丸底フラスコである。このフラスコは、回転子3の端部に固定され、回転軸5に対して回転する。
【0117】
ガラスフラスコに添加された酸化チタンのナノパウダーP25の量は、ナノパウダーがフラスコの内容積の約25%を占めるように計算する。回転子は、回転軸に対してフラスコを回転させる。
【0118】
回転子の回転軸は、水平から90°まで(90°を含む)の様々な角度で傾けられ得る(図1において、フラスコは、直接真下に向いている)。
【0119】
実施例において、使用したガラスフラスコの内容積は、2リットルであり、その内径は、約10cmであり、使用モードにおけるその回転速度は、50回転/分である。
【0120】
フラスコに添加されたパウダー質量は、50gである。
【0121】
フラスコの回転時間は、6時間に固定する。
【0122】
フラスコの壁は、敷き詰められたナノパウダーが動けるようにする。
【0123】
図2aから2cは、原料パウダー(図2a)、上記の造粒装置において6時間回転された後に得られた顆粒(図2b、2c)をそれぞれ示す3枚の写真である。
【0124】
粒状化パウダーに関して、2つの異なる顆粒群は、肉眼で識別することができる:得られた粉状化パウダーの全質量の約10%にあたる“大きな”顆粒(図2c)、及び、得られた残りのナノパウダー、すなわち得られた粉状化パウダーの約90質量%のナノパウダーを表す“小さな”顆粒(図2b)。
【0125】
2つの群は、篩いによって分離することができる。
【0126】
造粒時間(すなわち、ガラスフラスコの回転時間)の増加によって、“大きな”顆粒の数を減らすことができる。
【0127】
図3a及び3bは、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察された、6時間後に得られた顆粒の画像を示す。
【0128】
図3aに示される画像は、大きな顆粒の画像である。それは、その中心にクラックを有する不規則な表面を有して、約2.7mmの直径を有する略球形状の顆粒を示す。
【0129】
このクラックは、顆粒形成メカニズムの結果である。非常に大きく非常に様々なサイズの顆粒(1cmまでの直径を有する)の形成が造粒の開始(最初の時間)において見られ、ついで、この顆粒は、繰り返される衝撃の影響で処理中に破壊する。これらの衝撃は、顆粒を緻密化する。
【0130】
図3bの画像は、小さな顆粒(粒状化パウダーの90質量%)を示す。小さな顆粒のサイズ分布が600μmから1.2mmまで様々であるということが見られ得る。さらに、“大きな”顆粒は、おおよそ球形状であり、“小さな”顆粒は、より不規則である。
【0131】
(実施例A2)
この実施形態で使用される造粒装置は、以前の実施例で使用されるものとは異なる。それは、図4に示される。
【0132】
確認できるように、容器2として単純な円筒形状のカンを使用し、この場合、密閉された高密度ポリエチレンがCurtec(商標)によって作られ得る。
【0133】
その容積は、5リットルであり、その中に添加されるナノパウダーの質量は、200gである(示されていない)。
【0134】
カンは、2つのゴム被覆されたローラー6に配置される。ローラーの一方は、可動ローラーであり、それは、その回転軸7に対して回転し、他方は、自由に回転する。可動ローラーは、回転軸5に対して回転するカンを回転させ、そのカンは、同様に他のローラー6を回転させる。
【0135】
可動ローラーの回転速度は、60回転/分に設定する。
【0136】
第1の実験中、パウダーの状態を1時間毎に観察しながら、12時間実験を続け、カンの回転を停止した。12回の1時間サイクルの後でさえも、1時間毎にカンの回転を停止し、次いでカンを開けてパウダーを観察することが、顆粒に負の影響を与えることを観察した。初期のパウダーの密度に対するそのパウダーの密度が12時間後に二倍になっているが、本発明の定義によって顆粒を観察することは依然として不可能であった。得られたパウダーは、非常に粘着性(非常に乏しい流動性)であって粉末状であり、すなわち、原料に似た状態である。
【0137】
造粒時間のみを変更した4つの同一の実験を行った。造粒時間は、それぞれ4、24、48及び72時間に固定した。
【0138】
回転が妨げられなかった場合、4時間後に得られた顆粒の状態は、大きな顆粒なしに第1の造粒方法で観察された顆粒状態と同様である。
【0139】
図5aから5cは、様々な造粒時間後、すなわち、24時間後(図5a;倍率23倍)、48時間後(図5b;倍率50倍)、及び72時間後(図5c;倍率22倍)に得られた低倍率の走査型電子顕微鏡(SEM)で観察された顆粒の画像を示す。
【0140】
初めに、顆粒の形状が第1の実施形態(実施例A1に示されるような)を用いて得られた形状と同様であることが観察される。
【0141】
しかしながら、顆粒表面がより粗く、それらがより尖った端部を有することが観察される。
【0142】
回転時間の関数として顆粒のサイズ分布の精緻化に伴って顆粒の大きさの低下も観察される。顆粒サイズ分布は、それぞれ24、48及び72時間の造粒時間に対して300μmから1mmまで、100μmから700μmまで、及び200μmから500μmまで様々である。
【0143】
4時間後に本発明による方法を用いて得られた顆粒の二つの異なる倍率(200倍(図6a)及び50000倍(図5b))でSEM画像を撮った。
【0144】
4時間後、数マイクロメートルのサイズ、場合によっては数百マイクロメートルのサイズを有する、分散され非凝集化された顆粒を得た。図6aは、これらのマイクロメートルサイズの顆粒の1つのSEM画像を示す。
【0145】
より詳細に見ると、この顆粒は、ナノメートルサイズの凝集化粒子から構成されることが見られる。
【0146】
これらの2つのSEM画像はまた、本発明によって得られる顆粒内に2つのレベルの組織があることを示す。
【0147】
以下の表は、一定の速度における種々の造粒時間後、すなわち、それぞれ時刻0において、並びに4、30及び72時間の造粒時間後において得られた嵩密度を示す。
【0148】
【表1】
【0149】
造粒時間が増加するに伴って密度が増加することが見られ得る。
【0150】
72時間後に得られた0.75g/cmの値は、結合剤を有するP25TiOナノパウダーの噴霧乾燥による造粒中にMoritzらによって得られた値と等しい。
【0151】
(B.ナノメートルサイズの炭化シリコン粒子の造粒)
従来文献には、炭化物のナノパウダーの造粒については開示されておらず、炭化シリコンのナノパウダーについても勿論開示されていない。このため、本発明による方法を用いて得られる結果と従来文献による結果とを比較することができない。
【0152】
SiCの造粒に使用される装置は、上記の実施例A2で使用された装置と同様である。
【0153】
従って、5リットルの容積を有する、Curtec(商標)によって作られた密閉された高密度ポリエチレンのカンを使用し、レーザー熱分解によって合成されたナノメートルサイズの炭化シリコンのパウダー200gを添加した。
【0154】
パウダーの比表面積は、61m/gであり、嵩密度は、45g/l(すなわち、0.045g/cm)である。
【0155】
カンは、2つのゴム被覆されたローラーに配置され、ローラーの1つは、可動ローラーであり、カンを回転させ、他の1つは、自由に回転する。可動ローラーの回転速度は、60回転/分に設定する。
【0156】
造粒時間は、それぞれ6、22、72、100、120及び132時間に固定した。
【0157】
酸化チタンに関して、1時間毎にパウダーを観察するためのカンの回転の停止及びカンの開封が、12時間後においてさえも、造粒に負の影響をもたらすことを観察した。
【0158】
パウダーの密度が二倍になっていたけれども、本発明によって定義されるような顆粒は、観察されなかった。得られたパウダーは、原料の粘着性と同様な状態で、依然として非常に粘着性であり(非常に乏しい流動性であり)、粉末状であった。
【0159】
一方、回転が中断されない場合、4時間後に満足のいく顆粒状態が観察される。
【0160】
図7aから7cはそれぞれ、原料(図7a、30倍の倍率)、本発明による方法によって22時間後に得られた顆粒(図7b、25倍の倍率)、及び、本発明による方法によって100時間造粒後に得られた顆粒(図7c、25倍の倍率)のSEM画像を示す。
【0161】
図7aに示される画像から開始して、原料が、典型的なナノパウダー凝集であり、すなわち非常に広いサイズ分布の凝集体(典型的には数百ナノメートルから300マイクロメートルまで様々である)であり、不特定な形状の凝集体であり、1マイクロメートル未満の多量の凝集体が存在するものであり、非常に低い密度(0.045g/cm)のものなどである。
【0162】
22時間及び100時間の造粒後に本発明による方法によって得られた粒状化パウダーに関して、回転時間が増加するに伴った顆粒サイズ分布の精緻化と共に顆粒サイズの低下が観察される。
【0163】
顆粒のサイズ分布は、それぞれ22時間及び100時間の造粒時間において200μmから1.1mm及び100μmから700μmまで様々である。
【0164】
さらに、22時間の造粒後(図8a、100倍の倍率)、100時間の造粒後(図8b、100倍の倍率)、及び120時間の造粒後(図8c、100倍の倍率)の本発明による方法を用いて得られた顆粒のSEM画像の観察によって、造粒時間の増加に伴って顆粒の球状化が示される。
【0165】
以下の表に、一定速度での種々の造粒時間後に得られる嵩密度を纏める。
【0166】
【表2】
【0167】
造粒時間が増加するに伴って造粒の嵩密度が増加し、120時間後に最適になることが見られ得る。密度の僅かな減少が、132時間の期間の後に観察される。
【0168】
篩い試験によって、顆粒のパウダーの流動性が良好であることが示された。800μmの篩いを用いた際に目詰まりは観察されなかった。
【0169】
造粒前及び造粒後における測定によって、粒状化パウダーの比表面積に大きな変化がないことが実証された。
【0170】
測定が行われる前に250℃で2時間窒素を用いて洗浄しながら、パウダー試料はガス抜きされる。
【0171】
実施例A1における装置と同様の装置を用いて造粒が行われた。
【0172】
250℃においてガス抜きされた後にパウダーの質量の損失に対応する見掛け水分含有量及び比表面積がそれぞれの試料において測定される。
【0173】
結果は、以下の表に纏める。
【0174】
【表3】
【0175】
造粒時間が増加するに伴って、パウダー質量の損失が減少することが見られ得る。それにもかかわらず、容積、時間及び温度が一定のままの場合、嵩密度の増加のために、ガス抜きされる質量が増加するので、この最終的な結果は批判される。
【符号の説明】
【0176】
1 無機粒子
2 容器
3 回転子
4 固定子
5 回転軸
6 ローラー
7 回転軸
図1
図2a
図2b
図2c
図3a
図3b
図4
図5a
図5b
図5c
図6a
図6b
図7a
図7b
図7c
図8a
図8b
図8c