特許第5937104号(P5937104)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5937104-仮接着のためのポリマー組成物 図000027
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5937104
(24)【登録日】2016年5月20日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】仮接着のためのポリマー組成物
(51)【国際特許分類】
   C09J 5/04 20060101AFI20160609BHJP
   C09J 167/04 20060101ALI20160609BHJP
   C08G 63/08 20060101ALI20160609BHJP
   C09J 11/02 20060101ALI20160609BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20160609BHJP
【FI】
   C09J5/04
   C09J167/04
   C08G63/08
   C09J11/02
   H01L21/68 N
【請求項の数】11
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2013-547666(P2013-547666)
(86)(22)【出願日】2011年12月29日
(65)【公表番号】特表2014-507515(P2014-507515A)
(43)【公表日】2014年3月27日
(86)【国際出願番号】US2011067761
(87)【国際公開番号】WO2012092447
(87)【国際公開日】20120705
【審査請求日】2014年12月8日
(31)【優先権主張番号】61/427,859
(32)【優先日】2010年12月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】303043461
【氏名又は名称】プロメラス, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100122644
【弁理士】
【氏名又は名称】寺地 拓己
(72)【発明者】
【氏名】ローズ,ラリー・エフ
(72)【発明者】
【氏名】ラングスドーフ,リア・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ドゥッキパティ,ヴェンカト・ラム
【審査官】 磯貝 香苗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−023205(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/147102(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
H01L 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイスの生産方法であって:
第1の基材の第1の表面上に第1のポリマー層を形成し;
第1のポリマー層上または第2の基材の第1の表面上に第2のポリマー層を形成し、第1のポリマー層および第2のポリマー層の一方は解重合性ポリマー主鎖を含み;
第1のポリマー層および第2のポリマー層を介して第1の基材を第2の基材に固定的に付着させ;
第1の基材または第2の基材の一方の第2の表面を処理し;
処理後、第1のポリマー層または第2のポリマー層の一方を200℃以下の温度で解重合させ;そして
第1の基材を第2の基材から分離する;
ことを含み、
ここで、第1のポリマー層および第2のポリマー層の一方が光酸発生剤または光増感剤を含み、第1のポリマー層または第2のポリマー層の少なくとも一方がポリラクチドを含有する、前記方法。
【請求項2】
第1の基材が半導体ウエハであり、第1のポリマー層および第2のポリマー層が、半導体ウエハの第1の表面を被覆して形成されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
半導体ウエハの第1の表面が、該第1の表面の上方に伸長している金属構造体を含み、該構造体が、第1のポリマー層または第2のポリマー層の一方の形成によりコーティングされている、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
固定的な付着が、被覆する第2のポリマー層を第2の基材の第1の表面に接触させることを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
第2の基材がガラス基材である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
処理後、第2のポリマー層を解重合させる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
第1のポリマー層および第2のポリマー層が、第1の基材の第1の表面を被覆して形成されている、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
処理後、第1のポリマー層を分解する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
光酸発生剤または光増感剤の一方が、(トリス(4−(4−アセチルフェニルチオ)フェニル)スルホニウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
第1のポリマー層または第2のポリマー層の一方を解重合させることが、該層を光酸の発生に有効な化学線に暴露し、第1のポリマー層または第2のポリマー層を解重合させるのに有効な温度に加熱することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
第1のポリマー層または第2のポリマー層の一方を解重合させることが、該層を、第1のポリマー層または第2のポリマー層を解重合させるのに有効な温度に暴露することを含む、請求項1または2に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本出願は非仮出願であり、2010年12月29日提出の先行する仮出願第61/427859号に対する優先権の利益を主張するものである。これにより、該仮出願の内容全体を本明細書中で参考として援用する。
【0002】
[0002]本発明は一般に、仮接着または剥離性接着を形成するのに有用なポリマーに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]2010年5月11日発行のBrewer Science Inc.への“Thermally decomposable spin−on bonding compositions for temporary wafer bonding”という表題の米国特許公報第7713835号(以下‘835)には、半導体ウエハとキャリヤー基材の間に仮接着を形成するのに用いられる従来技術の方法および材料に付随する問題点が記載されている。‘835特許では、接着組成物層を介して一緒に接着されている第1および第2の基材を含む堆積物を少なくとも約280℃、好ましくは350℃〜400℃の温度に暴露して、接着組成物層を熱分解し基材を分離させるウエハの接着方法を提供することにより、そのような従来技術の問題点が克服されると強く主張されている。
【0004】
[0004]‘835特許により開示されているような分解性材料は、285℃以上の剥離温度がウエハおよび基材により許容されうる用途に有用であると思われるが、仮接着または剥離性接着が有用であろう多くの用途は、そのような高温に耐えることができない。したがって、そのような接着を形成するために採用される温度以下の温度で剥離することができるウエハの仮接着のための接着組成物を提供することは、好都合であろう。これに関し、そのような温度は200℃以下である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許公報第7713835号
【発明の概要】
【0006】
[0006]剥離性接着または仮接着を形成することができる材料について、本明細書中に記載する。これに関し、該材料は、第1の温度における1以上の望ましいプロセス段階中は固定された状態にあり続け、続いて、第1の温度以下の第2の温度において剥離性になる。本発明に従った態様は一般に、ミクロ電子工学および光電子工学デバイスの製造に有用な仮(または剥離性)接着層として使用するための皮膜を形成することができるポリマー組成物を提供することを対象とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】[0005]図1は、本発明に従った処理法の態様のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[0007]本発明に従った態様は、ミクロ電子工学および光電子工学デバイスの製造に有用な仮(または剥離性)接着層として使用するための皮膜を形成することができるポリマー組成物、例えば、ポリ(ラクチド)組成物および非ポリ(ラクチド)ポリマー組成物を提供することを対象とする。いくつかの態様において、そのようなポリマー組成物は、30ミクロンを超える厚さを有する接着層を1回のコーティング操作で形成することができる。これに関し、そのような接着層は、一旦形成したら固定接着を保持し、少なくとも200℃の温度に対し熱安定性を示す一方、化学線への適切な暴露の後は200℃以下の温度での剥離が可能になる。
【0009】
[0008]本発明に従った他の態様は、多層皮膜、例えば、ミクロ電子工学および光電子工学デバイスの製造に有用な仮(または剥離性)接着層として使用するための多層皮膜を形成することができるポリ(ラクチド)層と少なくとも1つの他の非ポリ(ラクチド)ポリマー層または2つの非ポリ(ラクチド)ポリマー層を提供することを対象とする。そのような態様において、そのような多層皮膜は接着層を包含し、該接着層は、第1の温度、例えば少なくとも200℃では熱安定性を示す一方、第2の温度、典型的には第1の温度未満、例えば200℃以下では剥離が可能になる。そのような剥離は、1つの層が、化学線への暴露および/または上記第2の温度への加熱など、特定の条件下で解重合することに起因する。
【0010】
[0009]特記しない限り、本明細書中で用いられるすべての数字、値、および/または構成成分の分量、反応条件などを示す表現は、あらゆる場合において、“約”という用語により、当該表示はなくても、修飾されると理解すべきである。そのような数は、とりわけ、そのような値を得るときに直面するさまざまな測定不確実性を反映する近似値である。さらに、本明細書中で数字の範囲が開示されている場合、そのような範囲は連続的であり、そのような範囲の最小値と最大値の間のあらゆる値を包含する。さらに、範囲が整数をさす場合、そのような範囲の最小値から最大値までのあらゆる整数が包含される。加えて、特徴または特性を記載するために多数の範囲が提供される場合、そのような範囲は組み合わせることができる。
【0011】
[0010]本明細書中で用いられる“ポリマー組成物”、“ポリ(ラクチド)組成物”および“非ポリ(ラクチド)組成物”という用語は、1以上の合成ポリマーのほか、そのようなポリマー(1以上)の合成またはそのようなポリマー組成物の形成に付随する開始剤、触媒および他の要素からの残留物を包含するものとし、これに関し、そのような残留物は、該組成物に共有結合的に組み込まれていないものとして理解する。ポリマー組成物の一部とみなされるそのような残留物および他の要素は、典型的にはポリマー(1以上)と混合または混ざり合っており、その結果、それらは、容器の間または溶媒もしくは分散媒体の間に移したきに、ポリマーと一体であり続ける傾向がある。ポリマー組成物は、そのような組成物の特定の性質を提供または改変するためにポリマー(1以上)の合成後に加えられる材料も、包含することができる。
【0012】
[0011]本明細書中で用いられる“PLA”という用語は、置換および非置換ポリ(ラクチド)をさす。本明細書中で用いられる“NPL”という用語は、置換および非置換ポリマーであって、ポリマーがポリ(ラクチド)ではなく、ラクチド反復単位を含有してもいない場合をさす。
【0013】
[0012]そのようなPLAまたはNPLが置換されているとする場合、そのような言及は、ラクチド反復単位または他のポリマー反復単位の少なくとも1つが、1〜12の炭素原子を有するヒドロカルビル置換基を包含することを意味すると理解されるであろう。これに関し、本明細書中で用いられる“ヒドロカルビル”という用語は、一般に炭素および水素原子のみを含有するラジカルまたは基をさす。そのようなヒドロカルビル基の非限定的な例は、アルキルまたはシクロアルキルである。
【0014】
[0013]本発明に従ったいくつかの態様は“ヘテロヒドロカルビル”基を包含することができることも、理解されるであろう。これに関し、そのような用語は、先に記載したヒドロカルビルのいずれかであって、炭素鎖の少なくとも1つの炭素原子がN、O、S、SiまたはPで置き換えられているものをさす。これに加えて、上記ヒドロカルビルまたはヘテロヒドロカルビル部分のいずれかを、望ましい場合はさらに置換することができることが、理解されるであろう。
【0015】
[0014]仮接着層を形成することができる本発明に従ったポリマー組成物の態様は、第1の設定条件における2つの構造体間の比較的強い接着と、第2の設定条件における2つの構造体間の比較的弱い接着を可能にする、制御可能な接着または密着の差を示す。そのようなポリマー組成物に使用するのに適したポリマーの例としては、限定するものではないが、ラクチドタイプの反復単位を1つだけ有するホモポリマー、2以上のラクチドタイプの反復単位を有するポリマー、およびラクチド反復単位と他のタイプのモノマーに由来する反復単位を有するポリマーが挙げられる。
【0016】
[0015]PLAは、ミネソタ州MinnetonkaのNature Works LLCからIngeoTMの商品名で、およびオランダ、GorinchemのPuracからPURASORB(登録商標)の商品名で市販されている。PuracからのPLAの具体例としては、PLDL7017(70%L−ラクチドおよび30%DL−ラクチドで、内部粘度の中点値1.7dL/g)、PLDL7025(70%L−ラクチドおよび30%DL−ラクチドで、内部粘度の中点値2.5dL/g)、PLDL7038(70%L−ラクチドおよび30%DL−ラクチドで、内部粘度の中点値3.8dL/g)、およびPDL20(100%DL−ラクチドで、内部粘度の中点値2.0dL/g)が挙げられる。
【0017】
[0016]あるいは、PLAは、公知の技術を用いて作製することができる。例えば、スズ触媒による開環重合である。そのようなスズ触媒の例は、ラクチドモノマーの塊状重合に有用であることが見いだされているオクタン酸Sn(II)である。そのようなスズ触媒は、触媒活性が高く、ポリマーのラセミ化率が低く、高いMwで90%を超える転化率をもたらす。そのような開環重合に典型的な条件は、180〜210℃の温度、100〜1000ppmのスズ触媒、および2〜5時間の反応時間である。本発明に従ったポリマーの態様を形成するのに有用なモノマーとしては、置換および非置換ラクチドが挙げられる。そのようなモノマーが置換されている場合、典型的には、1〜12の炭素を有するヒドロカルビル基が置換基である。ラクチドモノマーは、続いて形成されるポリマーの熱的性質、バリヤー性および溶解性を制御およびまたは改変するために利用することができる立体化学的な差を有することに、留意すべきである。例えば、異なるモノマー(または異なる量の選択したモノマー)を用いて、続いて形成される所定のポリマーの望ましい性質に適応させることができる。したがって、L−ラクチドに富むポリマーを形成する場合、そのようなポリマーは結晶質になる傾向があるが、15%を超えるD−ラクチドを有するように形成したポリマーは、より非晶質になる傾向がある。さまざまなタイプのラクチドモノマーの化学構造を以下に示す。
【0018】
【化1】
【0019】
[0017]本明細書中で用いる場合、特記しない限り、熱重量分析(TGA)は、ここでは加熱速度が10℃/分であり、本発明に従った態様により包含されるさまざまなポリマーの熱安定性の尺度として報告される。具体的には、ポリマーの5、50および95重量パーセント(wt%)が分解した(蒸発により失われた)ことを示すTd、Td50およびTd95の値は、以下の表1にみられるように決定した。
【0020】
【表1】
【0021】
[0018]本発明に従った態様に有用なタイプのモノマーは概して上記のものであるが、さらに、本明細書中に提供するモノマー構造のタイプにより記載する。本発明に従ったいくつかの態様では、ポリマー組成物は2以上のPLAポリマーのブレンドを包含し、これに関し、そのようなポリマーはホモポリマーであってもなくてもよい。すなわち、そのようなポリマーは、それぞれ1タイプの反復単位または1より多くのタイプの反復単位を有することができる。他の態様において、ポリマー組成物はPLAポリマーを1つだけ包含し、これに関し、そのようなポリマーは、ホモポリマーであってもなくてもよい。代表的な一態様において、ポリマー組成物は、組成物の重量に基づき約70モルパーセントのL−ラクチドと約30モルパーセントのDL−ラクチドを包含する(PLDL7025)。
【0022】
[0019]本明細書中ではラクチドタイプのモノマー以外のモノマーに由来する反復単位を包含するポリマーの態様が考えられることも、留意すべきである。さらに、本明細書中では、ラクチドタイプのポリマーと、ラクチドタイプのモノマーに由来する反復単位および非ラクチドタイプのモノマーに由来する反復単位の両方を有するポリマーとの両方を包含するポリマー組成物の態様も、考えられる。例えば、本発明に従ったポリマー組成物は、ラクチドタイプのモノマーにのみ由来する1以上の反復単位を有する第1のポリマーと、ラクチドタイプの反復単位に由来する1以上の反復単位および非ラクチドタイプの反復単位に由来する1以上の反復単位を包含する第2のポリマーを、包含することができる。少なくとも1つのポリマー層がPLAポリマーを含有し、少なくとも1つのポリマー層がNPLポリマーを含有する、多層皮膜が提供される態様も包含される。
【0023】
[0020]さらに、単層皮膜のポリマーの態様はNPLポリマーを包含することに留意すべきである。単層の仮接着皮膜のためのNPLポリマーの例としては、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、ポリメタクリレート、ポリノルボルネン、アルキルセルロース、およびそれらの2以上の組み合わせが挙げられる。少なくとも1つのポリマー層がNPLポリマーを含有し、少なくとも1つのポリマー層が異なるNPLポリマーを含有する、多層皮膜が提供される態様も包含される。
【0024】
[0021]NPLポリマーの例としては、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、ポリメタクリレート、ポリノルボルネン、アルキルセルロース、およびそれらの2以上の組み合わせが挙げられる。すなわち、NPLポリマーは、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、ポリメタクリレート、およびポリノルボルネンの1以上からの反復単位を含有することができる。
【0025】
[0022]ポリカーボネートの例としては、限定されるものではないが、1,2−ブチレンカーボネート、1,3−ブチレンカーボネート、1,4−ブチレンカーボネート、cis−2,3−ブチレンカーボネート、trans−2,3−ブチレンカーボネート、α,β−イソブチレンカーボネート、α,γ−イソブチレンカーボネート、cis−1,2−シクロブチレンカーボネート、trans−1,2−シクロブチレンカーボネート、cis−1,3−シクロブチレンカーボネート、trans−1,3−シクロブチレンカーボネート、ヘキセンカーボネート、シクロプロペンカーボネート、シクロヘキセンカーボネート、(メチルシクロヘキセンカーボネート)、(ビニルシクロヘキセンカーボネート)、ジヒドロナフタレンカーボネート、ヘキサヒドロスチレンカーボネート、シクロヘキサンプロピレンカーボネート、スチレンカーボネート、(3−フェニルプロピレンカーボネート)(3−トリメチルシリルオキシプロピレンカーボネート)(3−メタクリロイルオキシプロピレンカーボネート)、ペルフルオロプロピレンカーボネート、ノルボルネンカーボネート、ポリプロピレンカーボネート/ポリシクロヘキセンカーボネートコポリマー、ポリ[(オキシカルボニルオキシ−1,1,4,4−テトラメチルブタン)−alt−(オキシカルボニルオキシ−5−ノルボルネン−2−エンド−3−エンド−ジメタン)]、ポリ[(オキシカルボニルオキシ−1,4−ジメチルブタン)−alt−(オキシカルボニルオキシ−5−ノルボルネン−2−エンド−3−エンド−ジメタン)]、ポリ[(オキシカルボニルオキシ−1,1,4,4−テトラメチルブタン)−alt−(オキシカルボニルオキシ−p−キシレン)]、ポリ[(オキシカルボニルオキシ−1,4−ジメチルブタン)−alt−(オキシカルボニルオキシ−p−キシレン)]、ポリシクロヘキセンカーボネート/ポリノルボルネンカーボネートコポリマー、およびそれらの2以上の組み合わせが挙げられる。
【0026】
[0023]ポリエステルの例としては、限定されるものではないが、ともにToyobo America,Inc.から得られるRV270およびGK880のような非晶質コポリエステル、ならびに、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸および2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールなどのモノマーから形成されるポリエステル(Sigma Aldrich)が挙げられる。
【0027】
[0024]ポリメタクリレートの例としては、限定されるものではないが、メタクリル酸メチル−メタクリル酸(80/20)コポリマー(ペンシルベニア州Trevose、Monomer−Polymer & Dajac Labs、製品番号9425)、およびメタクリル酸メチル−アクリル酸ブチルトリブロックコポリマー、例えば、Kuraray America,Inc.から入手可能なLA2250、LA4285およびLA2140eが挙げられる。
【0028】
[0025]アルキルセルロースの例としては、限定されるものではないが、すべてSigma Aldrichから入手可能なメチルセルロース、エチルセルロース、およびヒドロキシプロピルセルロースが挙げられる。
【0029】
[0026]本発明に従ったいくつかの態様に関し、そのようなNPLの重量平均分子量(Mw)は1000〜1000000の範囲にある。他の態様ではMwは5000〜700000であり、さらに他の態様では10000〜500000である。1000以上の重量平均分子量は、典型的には、以下を包含する1以上の有利な効果をもたらす:半導体ウエハまたは支持基材に対する固定ポリマー層の改善された湿潤性、および改善された皮膜形成特性。1000000以下の重量平均分子量は、典型的には、以下を包含する1以上の有利な効果をもたらす:固定ポリマー層中のさまざまな成分に対するポリマーの改善された相溶性およびさまざまな溶媒に対するその溶解性、ならびに、剥離行為(基材からのウエハの分離など)における固定ポリマー層の改善された熱解重合性。
【0030】
[0027]ポリカーボネートポリマーの重合方法としては、当分野で認められている方法、例えば、とりわけホスゲン法(溶媒法)およびエステル交換法(溶融法)が挙げられる。
[0028]本明細書中で用いることができるノルボルネンタイプのポリマーの例としては、以下の一般式(1)により表される構造単位を有するものが挙げられる:
【0031】
【化2】
【0032】
[0029]式(1)に関し、mは0〜4の整数であり;そして、R、R、RおよびRはそれぞれ、水素原子か、1〜20の炭素原子を含有するヒドロカルビル側基、例えば、線状もしくは分枝状アルキル基、芳香族基、または1〜20の炭素原子を有する脂環式基;1〜20の炭素原子を含有するハロヒドロカルビル;1〜20の炭素原子を含有するペルハロカルビル;および、ケイ素含有ヒドロカルビル基、例えば、以下の一般式(2)により表される置換基
【0033】
【化3】
【0034】
を表す。
[0030]式(2)に関し、各Rは、独立して、水素原子、メチル基、またはエチル基を表し;R、RおよびRは、それぞれ独立して、1〜20の炭素原子を有する線状または分枝状アルキル基、1〜20の炭素原子を有する線状または分枝状アルコキシ基、1〜20の炭素原子を有する線状または分枝状アルキルカルボニルオキシ基、および6〜20の炭素原子を有する置換または非置換アリールオキシ基を表し;そして、nは0〜5の整数である。
【0035】
[0031]本明細書中で用いられる“ヒドロカルビル”は、炭素主鎖を含有するラジカルまたは基であって、各炭素が1以上の水素原子で適切に置換されているものをさす。“ハロヒドロカルビル”という用語は、すべてではないが1以上の水素原子がハロゲン(F、Cl、Br、I)により置換されているヒドロカルビル基をさす。ペルハロカルビルという用語は、各水素がハロゲンにより置き換えられているヒドロカルビル基をさす。ヒドロカルビルの非限定的例としては、限定されるものではないが、線状もしくは分枝状C−C20アルキル、線状もしくは分枝状C−C20アルケニル、線状もしくは分枝状C−C20アルキニル、線状もしくは分枝状C−C25シクロアルキル、C−C20アリール、またはC−C20アラルキルが挙げられる。代表的なアルキル基としては、限定されるものではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、およびドデシルが挙げられる。代表的なアルケニル基としては、限定されるものではないが、ビニルが挙げられる。代表的なアルキニル基としては、限定されるものではないが、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1ブチニル、および2−ブチニルが挙げられる。代表的なシクロアルキル基としては、限定されるものではないが、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびシクロオクチル置換基が挙げられる。代表的なアリール基としては、限定されるものではないが、フェニル、ビフェニル、ナフチル、およびアントラセニルが挙げられる。代表的なアラルキル基としては、限定されるものではないが、ベンジルおよびフェネチルが挙げられる。
【0036】
[0032]本明細書の全体にわたり用いられるハロヒドロカルビルという用語は、上記ヒドロカルビル部分を包含するが、ハロゲン化の程度は、少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子により置き換えられている(例えばフルオロメチル基)という程度から、ヒドロカルビル基上のすべての水素原子がハロゲン原子により置き換えられていて(例えば、トリフルオロメチルまたはペルフルオロメチル)、ペルハロゲン化ともよばれる程度までの範囲であることができる。
【0037】
[0033]本発明に従った他の態様において、R、R、RおよびRの1以上は、線状または分枝状のC〜C20ヒドロカルビル、ハロヒドロカルビル、またはペルハロカルビル側基であり、これに関し、そのようなヒドロカルビル、ハロヒドロカルビル、またはペルハロカルビル基はO、N、S、PおよびSiから選択される1以上のヘテロ原子を包含し、そして、R、R、RおよびRの残りのものはHである。ヘテロ原子を包含する代表的な基としては、とりわけ、トリエトキシシリル基、メタノールアセテート基、t−ブチルカルボキシレート基、および、構造式A:
【0038】
【化4】
【0039】
により表されるようなヒンダードフェノール基が挙げられる。
[0034]本発明に従った態様では、1〜20の炭素原子を有する線状または分枝状アルキル側基がブチル、ヘキシルおよびデシルから選択される場合、そのようなアルキル側基を包含する反復単位は、ポリマーに望ましい性質、例えば、仮接着剤のさまざまな成分との優れた相溶性、さまざまな種類の溶媒への溶解性、および半導体ウエハと支持基材を一緒に接着した時の機械的物理的性質の1以上をもたらす。同様に、フェネチルおよびナフチルなどの芳香族側基、またはシクロヘキシルおよびノルボルニルなどの脂環式側基を有する態様の場合も、望ましい物理的性質が得られる。
【0040】
[0035]式(2)により表される側基を包含する本発明に従った態様では、R基が水素である場合、望ましい物理的性質が同様に得られる。式(2)により表される側基を包含するいくつかの態様では、R、RおよびRがそれぞれ独立してメトキシ、エトキシおよびプロポキシから選択される場合、望ましい物理的性質、例えば支持基材に対する優れた密着性が同様に得られる。式(2)により表される側基を包含するいくつかの態様では、nが0で、シリル基が多環式環にケイ素−炭素結合を介して直接結合している場合、得られるポリマー層は同様に望ましい性質をもたらすことができる。
【0041】
[0036]本発明に従った方法の態様に有用なノルボルネンタイプのポリマーは、単一タイプの反復単位または複数の異なるタイプの反復単位を包含することができ、反復単位の各タイプは上記式(1)により表される。
【0042】
[0037]ホモポリマーともよばれる単一タイプの反復単位を有する代表的なノルボルネンタイプのポリマーとしては、限定されるものではないが、ポリノルボルネン、ポリ(メチルノルボルネン)、ポリ(エチルノルボルネン)、ポリ(ブチルノルボルネン)、ポリ(ヘキシルノルボルネン)、ポリ(デシルノルボルネン)、ポリ(フェネチルノルボルネン)、ポリ(トリエトキシシリルノルボルネン)、ポリ(トリメチルシリルノルボルネン)、ポリ(トリメトキシシリルノルボルネン)、ポリ(メチルジメトキシシリルノルボルネン)、およびポリ(ジメチルメトキシノルボルネン)が挙げられる。2以上のタイプの反復単位を有する代表的なノルボルネンタイプのポリマーとしては、限定されるものではないが、ノルボルネン/トリエトキシシリルノルボルネンポリマー、ブチルノルボルネン/トリエトキシシリルノルボルネンポリマー、およびデシルノルボルネン/トリエトキシシリルノルボルネンポリマーが挙げられる。
【0043】
[0038]本発明の態様に従ったノルボルネンタイプのポリマーの重量平均分子量(M)は、5000〜1000000ダルトン、25000〜750000ダルトン、または40000〜500000ダルトンであることができる。上記分子量範囲に関し、そのような値は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)用のポリスチレン標準液を、溶媒としてのテトラヒドロフラン(THF)と一緒に用いて得られることは、理解されるであろう。
【0044】
[0039]上記一般式(1)により表される構造単位を有するノルボルネンポリマーは、例えばビニル付加重合法を含む公知の方法により調製することができる。
[0040]本発明に従ったポリマー組成物の態様に関し、そのような組成物は、ポリマーの態様、キャスティング溶媒、および所望により光増感剤、光酸発生剤(PAG)および/または密着促進剤を包含する。接着層が多層ポリマー皮膜を含有する態様では、一般に少なくとも1つのポリマー層がPAGを含有する。いくつかの態様において、ポリマー組成物は、PLAポリマー組成物にせよNPLポリマー組成物にせよ、5〜50重量%のポリマーおよび0〜5重量%のPAGを含有する。他の態様において、ポリマー組成物は、PLAポリマー組成物にせよNPLポリマー組成物にせよ、10〜40重量%のポリマーおよび0.05〜2重量%のPAGを含有する。
【0045】
[0041]本発明のポリマー組成物の態様に有用なPAGは、トリフェニルスルホニウム塩、例えば、トリフェニルスルホニウムトリス[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタニド;トリフェニルスルホニウム4,4,5,5,6,6−ヘキサフルオロジヒドロ−4H−1,3,2−ジチアジン1,1,3,3−テトラオキシド(TPS N3);および、トリフェニルスルホニウムトリス[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタニド(TPS C1);チオ芳香族アシル置換トリフェニルスルホニウム塩、例えば、トリス[4−[(4−アセチルフェニル)チオ]フェニル]スルホニウムトリス[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタニド(GSID26−1);ならびに、ナフタレン置換スルホニウム塩、例えば、(2−(4−メトキシナフタレン−1−イル)−2−オキソエチル)ジメチルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(TAG 382);(2−(4−メトキシナフタレン−1−イル)−2−オキソエチル)ジメチルスルホニウムトリス[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタニド;および(2−(4−メトキシナフタレン−1−イル)−2−オキソエチル)ジメチルスルホニウムトリフルオロトリス(1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル)ホスフェートから選択することができる。
【0046】
[0042]他のイオン性PAGとしては、トリフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート;トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート;トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート;トリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート;トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート;トリフェニルスルホニウム1,1,1−トリフルオロ−N−[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタンスルホンアミド(TPS N1);トリス(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート;トリス(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート;トリス(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート;トリス(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムノナフルオロブタンスルホネート;トリス(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート;トリス(4−t−ブチルフェニル)スルホニウム1,1,1−トリフルオロ−N−[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタンスルホンアミド;トリス(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムトリス[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタニド;トリフェニルスルホニウム4,4,5,5,6,6−ヘキサフルオロジヒドロ−4H−1,3,2−ジチアジン1,1,3,3−テトラオキシド;トリス(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムトリス[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタニド;トリス[4−[(4−アセチルフェニル)チオ]フェニル]スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート;トリス[4−[(4−アセチルフェニル)チオ]フェニル]スルホニウムヘキサフルオロホスフェート;トリス[4−[(4−アセチルフェニル)チオ]フェニル]スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート;トリス[4−[(4−アセチルフェニル)チオ]フェニル]スルホニウムノナフルオロブタンスルホネート;トリス[4−[(4−アセチルフェニル)チオ]フェニル]スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート;トリス[4−[(4−アセチルフェニル)チオ]フェニル]スルホニウム1,1,1−トリフルオロ−N−[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタンスルホンアミド;トリス[4−[(4−アセチルフェニル)チオ]フェニル]スルホニウム4,4,5,5,6,6−ヘキサフルオロジヒドロ−4H−1,3,2−ジチアジン1,1,3,3−テトラオキシド;トリス[4−[(4−アセチルフェニル)チオ]フェニル]スルホニウムトリス[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタニド;(2−(4−メトキシナフタレン−1−イル)−2−オキソエチル)ジメチルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート;(2−(4−メトキシナフタレン−1−イル)−2−オキソエチル)ジメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート;(2−(4−メトキシナフタレン−1−イル)−2−オキソエチル)ジメチルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート;(2−(4−メトキシナフタレン−1−イル)−2−オキソエチル)ジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート;(2−(4−メトキシナフタレン−1−イル)−2−オキソエチル)ジメチルスルホニウム1,1,1−トリフルオロ−N−[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタンスルホンアミド;(2−(4−メトキシナフタレン−1−イル)−2−オキソエチル)ジメチルスルホニウム4,4,5,5,6,6−ヘキサフルオロジヒドロ−4H−1,3,2−ジチアジン1,1,3,3−テトラオキシド;(2−(4−メトキシナフタレン−1−イル)−2−オキソエチル)ジメチルスルホニウムトリス[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタニド;5−フェニル−チアントレニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート;5−フェニル−チアントレニウムヘキサフルオロホスフェート;5−フェニル−チアントレニウムヘキサフルオロアンチモネート;5−フェニル−チアントレニウムノナフルオロブタンスルホネート;5−フェニル−チアントレニウムトリフルオロメタンスルホネート;5−フェニル−チアントレニウム1,1,1−トリフルオロ−N−[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタンスルホンアミド;5−フェニル−チアントレニウムトリス[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタニド;5−フェニル−チアントレニウム4,4,5,5,6,6−ヘキサフルオロジヒドロ−4H−1,3,2−ジチアジン1,1,3,3−テトラオキシド;5−フェニル−チアントレニウムトリス[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタニド;1,4−フェニレンビス[ジフェニルスルホニウム]テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート;1,4−フェニレンビス[ジフェニルスルホニウム]ヘキサフルオロホスフェート;1,4−フェニレンビス[ジフェニルスルホニウム]ヘキサフルオロアンチモネート;1,4−フェニレンビス[ジフェニルスルホニウム]ノナフルオロブタンスルホネート;1,4−フェニレンビス[ジフェニルスルホニウム]トリフルオロメタンスルホネート;1,4−フェニレンビス[ジフェニルスルホニウム]1,1,1−トリフルオロ−N−[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタンスルホンアミド;1,4−フェニレンビス[ジフェニルスルホニウム]トリス[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタニド;1,4−フェニレンビス[ジフェニルスルホニウム]4,4,5,5,6,6−ヘキサフルオロジヒドロ−4H−1,3,2−ジチアジン1,1,3,3−テトラオキシド;1,4−フェニレンビス[ジフェニルスルホニウム]トリス[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタニドが挙げられる。
【0047】
[0043]これに加えて、CGI−1906:2−[2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−1−(ノナフルオロブチルスルホニルオキシイミノ)−ブチル]−フルオレン;およびCGI−1907:2−[2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−(ノナフルオロブチルスルホニルオキシイミノ)−ペンチル]−フルオレンなどの非イオン性PAGも有用であることができる。
【0048】
[0044]光増感剤の例としては、アントラセン、フェナントレン、クリセン、ベンズピレン(benzpyrene)、フルオランテン、ルブレン、ピレン、キサントン、インダンスレン、チオキサンテン−9−オン、またはそれらの混合物が挙げられる。より具体的には、アントラセン−9−カルボン酸は増感剤として有用であることができ、9,10−ジブトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントロンおよびクロロチオキサントロンも有用な光増感剤であることができる。ポリマー層を形成するためにメタクリレートポリマーを選択する場合、そのようなポリマーは一般に、PAGを加えて解重合を生じさせる必要がないことに留意すべきである。むしろ一般に、望ましい波長の化学線で解重合反応の活性化をもたらすためには、光増感剤だけが必要である。
【0049】
[0045]代表的なキャスティング溶媒としては、とりわけ、N−メチル−ピロリドン(NMP)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、ガンマ−ブチロラクトン(GBL)、およびジ−メチル−アセトアミド(DMAc)が挙げられる。他のキャスティング溶媒としては、PGMEとPGMEAの混合物およびPGMEと乳酸エチルの混合物が挙げられる。さらに他のキャスティング溶媒としては、グリセロール、ジブチルエーテル、エチルラクテートジブチルグリセロール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、高沸点芳香族に基づく溶媒、石油エーテル、カルビトールファミリー、ジプロピレングリコールおよびグリコールエーテルファミリー、イソブチルアルコール(IBA)、メチルイソブチルカルビノール(MIBC)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、ブタノールなどのアルコール、ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0050】
[0046]密着促進剤の例としては、ビス[(3−トリエトキシシリル)プロピル]ジスルフィド(商品名SIB1824.6)、アリルトリメトキシシラン(商品名SIA0540)、1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン(商品名SIB1832)が挙げられる。SIB1824.6、SIA0540およびSIB1832は、Gelest,Incから市販されている。
【0051】
[0047]本発明に従ったいくつかの態様は、本発明のポリマー組成物の態様を基材の表面上にキャストして、その上(または先に施用したポリマー層の上)に接着層を形成することを対象とする。一般に、そのようなキャスティングは、スピンコーティング、噴霧コーティング、ドクターブレーディングなどの方法と、これに続く実質的にすべてのキャスティング溶媒を除去するためのベーキング段階を用いて、達成される。
【0052】
[0048]本明細書中に記載するポリマー組成物の態様は、キャスティングの1回施用で基材上に比較的厚い接着層(いくつかの態様では厚さ100μmを超える)を形成するときにとりわけ有効であり、したがって、もっとも望ましい厚さにするためにキャスティングを多数回施用する必要がなくなる。しかしながら、異なるポリマー層(特性が異なるポリマー層)が望ましいおよび/または有利である場合、キャスティングの多数回施用を採用することができる。
【0053】
[0049]少なくとも2つの異なるポリマー層を含有する多層皮膜を採用する態様では、接着構造を形成するために、多くの選択肢のうちの一つを選択することができる。例えば、PLA層を第1の基材上に形成することができ、その後、NPL層をPLA層上に形成し、続いて第2の基材をNPL層に付着させる。または、NPL層を第1の基材上に形成することができ、その後、PLA層をNPL層上に形成し、続いて第2の基材をPLA層に付着させる。あるいは、PLA層を第1の基材上に形成することができ、NPL層を第2の基材上に形成することができ、2つの基材をPLA層およびNPL層を介して一緒に接着する。あるいは、NPL層を第1の基材上に形成することができ、PLA層を第2の基材上に形成することができ、2つの基材をNPL層およびPLA層を介して一緒に接着する。簡潔にするために、少なくとも3以上の異なるポリマー層を含有する多層皮膜に関する追加的な順列は記載しない。
【0054】
[0050]本発明のポリマー組成物の態様または多層皮膜から形成される接着層を用いると、2つの基材の表面間に熱圧着を形成することができることが見いだされた。第1の温度および第1の圧力を採用するそのような熱圧着を、適切な時間にわたり維持した。そのような第1の温度、圧力および時間は、層を形成するために用いられる特定のポリマーおよび層の厚さの相関的要素であることが、理解されるであろう。そのような特定のポリマーまたは多層皮膜内の特定のポリマー層の選択は、接着する基材のタイプと、そのような接着が完了した後に実施する処理の性質により、かなりの部分が決定されることも、理解されるであろう。例えば、ウエハの厚さを低減することが可能になるように半導体ウエハをキャリヤー基材に接着する場合、5〜60ミクロンの接着層の厚さ(または多層皮膜の1層あたり2〜50ミクロン)が一般に適しており、接着温度および圧力はそれぞれ70℃〜260℃および0.01MPa〜10MPaであることができる。しかしながら、例えば電気接続性手段(例えば、はんだボールまたははんだバンプ)を有する個片化された半導体ダイを表面の上方に配置して、そのようなダイをキャリヤー基材に接着する場合、接着層の厚さは、そのような手段が仮接着の形成中に無傷であり続けるように、そのような導電性手段の寸法よりわずかに大きくなるように選択する。
【0055】
[0051]多層皮膜の態様において、1つの層の熱分解温度は第2の層の熱分解温度より低い。熱分解温度は、化学線または活性化学種への暴露などの外的刺激により低下させることができる。
【0056】
[0052]一旦形成すると、接着層は、ポリマー組成物または多層(1以上)を形成するためにキャストされている多層皮膜の少なくともポリマー層に選択される特定のポリマーに関連して、第1の性質のセットを有する。これらの性質としては、Tmwl(分子量を低下させる温度)、重量平均分子量(M)、粘度、T(ガラス転移温度)、溶解度、密着性、または、層(1以上)が1つの基材をもう1つの基材に接着させ、つぎに適切な波長で望ましい量の化学線に暴露された後、そのような基材の剥離を許容することを可能にする、他のあらゆる性質が挙げられる。そのような化学線のそのような適切な波長は、典型的には150nm〜700nmであり、157nm、193nm、248nm、365nm、405nm、436nm、および633nmが一般に選択される。化学線の量に関しては、一般に1〜2ジュール毎平方センチメートル(J/cm)が適切であるが、それより多いまたは少ない量も有用でありうる。
【0057】
[0053]PAGが組み込まれている本発明のポリマー組成物の態様では、該組成物から形成される接着層は化学線に敏感である。そのような態様では、そのような接着層を適切な波長の放射線に暴露すると、ポリマーの最初の分子量(M)が実質的に低下することが見いだされた。有利には、この分子量の低下によりポリマー粘度の低下がもたらされ、したがって、予めそのような接着層を介して互いに付着している基材の剥離が可能になる。いくつかの態様では、分子量の低下は一桁分にもなることが見いだされた。他の態様では、分子量の低下は最初の分子量の約2分の1であることが見いだされた。
【0058】
[0054]以下に示すように、化学線への該接着層の暴露により、接着層中のポリマーの分解およびガス状副生物の放出は起こらない。むしろ、PAGをポリマーに加えると、包含されるPAGが上記化学線に暴露されることにより形成する酸が、ポリマー主鎖にいくつかの結合開裂を引き起こし、したがって、ポリマーのMの低下が観察され、剥離を可能にする粘度低下がもたらされると考えられる。そのようなプロセスを、本明細書中では解重合とよぶ。
【0059】
[0055]しかしながら、他の仮接着材料で観察されるようなポリマーの分解は、ガス状副生物の放出を必ず伴う。そのようなガス状副生物は、接着した基材の一方または両方の汚染をもたらし、したがって、そのような材料を用いて作製される生産物の収量の損失または信頼性の低下を引き起こす可能性がある。しかしながら、本ポリマーの態様の分子量の低下は、そのようなガス状副生物が存在しないことにより上記汚染が実質的に排除されるため、そのような従来技術の仮接着層に対し有利であると考えられる。さらに、低下した分子量を有する層の部分であって、スライドオフまたは楔剥離(wedge debonding)法のいずれかによる剥離後に一方または両方の基材に付着したままである部分は、適切な溶媒または溶液での洗浄により容易に除去されることが見いだされた。
【0060】
[0056]図1を参照すると、本発明の一観点に従った半導体構造体の処理方法を表すフローチャートを示している。より具体的には、図1は、2つの構造体を仮接合するために多層接着皮膜を採用する方法を示している。行為10で開始し、2つの基材、例えば半導体基材またはウエハと支持基材を提供する。行為20は、2つの基材の一方の上、すなわち、半導体基材または支持基材の一方の上に、第1のポリマー層を形成することを包含する。行為30は、所望により、2つの基材の一方の上に第2のポリマー層を形成することを包含する。第2のポリマー層は、既に形成している第1のポリマー層の上に形成することができ、または第2のポリマー層は、既に形成している第1のポリマー層を上部に有さない半導体基材もしくは支持基材上に直接形成することができる。行為40は、2つの基材の間、すなわち、半導体基材と支持基材の間に、固定可能な接着を形成することを包含する。行為30の実施方法にかかわらず(第2のポリマー層が最初にどこに形成されるかにかかわらず)、第1のポリマー層と存在する場合は第2のポリマー層が互いに隣接して2つの基材の間に位置決めされるように、2つの基材を接着する。行為50は、基材の一方、典型的には半導体基材上で、1以上のプロセスを実施することを包含する。該プロセスは、典型的には半導体の処理中に実施されるものであり、エッチング、薄化、材料の蒸着、材料のパターニング、シリコン貫通電極(TSV)などの構造体の形成、構造体の付着、構造体の除去、構造体の試験などの1以上を包含することができる。行為60は、化学線エネルギーおよび/または熱エネルギーなどの適切な刺激をポリマー層(1以上)に施用して、そのような層の少なくとも1つの解重合を生じさせることを包含する。行為70は、2つの半導体基材を互いから分離する、すなわち、半導体ウエハを支持基材から分離することを包含する。
【0061】
[0057]2つの基材の一方または両方が分離行為の結果として回復不能な損傷を受けないように、分離は非破壊的方法で行う。有利なことに、2つのポリマー層を形成する場合、支持基材に隣接するポリマー層の解重合を引き起こすことが、半導体基材への損傷を防止するのに有効であることが見いだされた。行為80は、2つの基材からあらゆるポリマー残留物を除去することを包含する。半導体基材を支持基材から分離する場合、ポリマー残留物は半導体基材と支持基材の両方から除去することができるが、いくつかの態様では、ポリマー残留物を半導体基材からのみ除去することができる。
【0062】
[0058]以下の実験データの提示では、ポリマー、キャスティング溶媒およびPAGの命名を単純化するために略語を用いる。以下で用いる略語は、ポリマー、キャスティング溶媒およびPAGのそれぞれに関し先に提供した名称および略語に合わせてある。以下に代表的なポリマー組成物の態様のスピンコーティングに関し具体的詳細を提供するが、そのような詳細は非限定的であり、望ましい皮膜厚を達成するために他のスピン速度、時間、傾斜率(ramp rate)、および分取量を採用してもよいことも、理解されるであろう。さらに、提供した実験データは本発明の態様の範囲を限定するものではないことはわかるであろう。むしろ、そのようなデータは、本発明に従っているうえ、上記分子量の低下を明示するための組成物の態様の調製法、したがって、そのような態様の有用性を、例示しているに過ぎない。
【0063】
[0059]以下の実施例は、対象の発明を例示するものである。特記しない限り、以下の実施例ならびに明細書および特許請求の範囲の他の部分において、すべての部および百分率は重量に基づき、すべての温度は摂氏温度であり、そして圧力は大気圧またはその付近である。
【実施例】
【0064】
実施例1A:PDL20配合物
[0060]ポリラクチド(PDL20)(40g、18.1重量%)を(GBL)(180g)に溶解した。GSID26−1(トリス(4−(4−アセチルフェニルチオ)フェニル)スルホニウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドBASF)(0.8g、0.4重量%)を、ポリラクチド溶液に加えた。E−タイプ粘度計で粘度を決定し、25℃において20.0Pa.sであることを見いだした。
実施例1B:ウエハの仮接着プロセスの評価
[0061]実施例1Aの配合物を8インチのガラスウエハ上にスピンコーティングし、その後、コーティングしたウエハを120℃で5分間ソフトベークした後、220℃で5分間ハードベークして、厚さ40μmの皮膜を得た。その後、170℃の温度に設定したSB−8e基材接着装置(Suss MicroTec)を用い、減圧下(10−2mbar)で0.2MPaの圧力を5分間施用して、コーティングしたガラスウエハにデバイスウエハを接着した。接着した試料を目視検査し、ボイドは観察されなかった。検査後、デバイスウエハをDFG8540自動表面研削装置(Disco)上に載せ、50μmの厚さまで薄化した。その後、MA−8暴露ツール(Suss MicroTec)を用いて、接着した堆積物を、ガラスウエハ側を通して365nmの波長で2000mJ/cmの線量に暴露した。その後、2.0mm/秒のスライドオフ速度および170℃の温度に設定したEVG805ウエハ剥離装置(EV Group、オーストリア)を用いて、スライドオフ法により、薄化したデバイスウエハを続いてガラスウエハから剥離した。デバイスおよびガラスウエハ上の残留物を、25℃において攪拌しつつGBL中でソーキングすることにより除去した。
実施例2A:ウエハの仮接着プロセスの評価
[0062]実施例1Aの配合物を8インチのガラスウエハ上にスピンコーティングし、該ガラスウエハをデバイスウエハに接着し、該デバイスウエハを薄化して、ハードベークを実施しなかった点を除き実施例1Bの方法を用いてガラスウエハから剥離した。デバイスおよびガラスウエハ上の残留物を、25℃において攪拌しつつGBL中でソーキングすることにより除去した。
実施例3:ポリ(ラクチド)溶液およびそれから形成した皮膜の評価
[0063]特定のポリマーを特定の溶媒に溶解することにより、いくつかのポリマー溶液を調製した(以下の表2参照)。100%のDL含有率を有する各溶液の場合、溶媒とポリマーの混合物を室温においてボトルローラーで一晩回転させることにより、溶解を実現した。DL含有率が100%未満である各溶液では、50℃に設定した電気加熱マントルでボトルを加熱しつつ溶媒とポリマーの混合物を機械的攪拌機で一晩混合することにより、溶解を実現した。溶液の外観を目視検査して、混合物が透明であるか、曇っているか、またはゲルを含有しているかを決定した。
【0065】
[0064]Brewer ScienceからのCEE−spiner上に載せた4インチのシリコンウエハの中心上に、約5gの各ポリマー溶液をボトルから手で分取した。各ポリマー組成物の分取が終了した後、1000rpm/秒〜1400rpmの速度でウエハを傾斜(ramp)させた。30秒後、ウエハの回転を止め、ウエハを120℃のホットプレート上に20分間置いて残留溶媒を除去して、固体状皮膜を生じさせた。該皮膜を目視検査して、皮膜が平滑であるか粗いかを決定した。
【0066】
[0065]その後、ウエハ表面のウエハ中心付近にブレードを用いて、皮膜に手で傷を付けた。KLA−TENCOR Alpha−step500プロファイラーを用いて、厚さの1回測定を実施した。結果については表2参照。
【0067】
【表2】
【0068】
実施例4.Mwに対する紫外線暴露の影響
[0066]NMP中のPLDL7017およびGSID26−1の配合物(20%TS(全固形分)、0.5phr GSID26−1)を調製し、3つの4インチSiウエハのそれぞれの上にスピンコーティングした。コーティング後、各ウエハを120℃で20分間ソフトベークし、皮膜の厚さを40μmと決定した。配合物中のポリマーのMを、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)を用いて決定した。第1のウエハ上の皮膜を210℃で5分間ハードベークした。第2のウエハ上の皮膜を200℃で5分間ハードベークした。その後、これら2つのウエハからの皮膜の一部をウエハから掻き取り、掻き取った各部分のMをGPCを用いて決定した。
【0069】
[0067]GBL中のPDL20およびGSID26−1の配合物(20%TS、0.5phr GSID26−1)を調製し、3つの4インチSiウエハのそれぞれの上にスピンコーティングした。コーティング後、各ウエハを120℃で20分間ソフトベークし、皮膜の厚さを40μmと決定した。配合物中のPDL20のMを、GPCを用いて決定した。第1のウエハ上の皮膜を170℃で5分間ハードベークした。第2のウエハ上の皮膜を180℃で5分間ハードベークした。その後、これら2つのウエハからの皮膜の一部をウエハから掻き取り、掻き取った各皮膜のMをGPCを用いて決定した。
紫外線の暴露:
[0068]その後、上部にPLDL7017/GSID26−1配合物をスピンして皮膜を形成してある第3のウエハを、AB−Mマスクアライナーを用いて、365nmの波長で2J/cmの線量に暴露し、続いて200℃で5分間ハードベークした。その後、皮膜の一部をウエハから掻き取り、掻き取った部分のMをGPCを用いて決定した。
【0070】
[0069]その後、上部にPDL20/GSID26−1配合物をスピンして皮膜を形成してある第3のウエハを、AB−Mマスクアライナーを用いて、365nmの波長で0.1J/cmの線量に暴露し、続いて170℃で5分間ハードベークした。その後、皮膜の一部をウエハから掻き取り、掻き取った部分のMをGPCを用いて決定した。
【0071】
[0070]6つのウエハのそれぞれの結果を以下の表3に提供する:
【0072】
【表3】
【0073】
実施例5
[0071]GBL中のPDL20およびGSID26−1の配合物(20%TS、2phr GSID26−1)を調製し、4インチSiウエハ上にスピンコーティングした。コーティング後、ウエハを120℃で20分間ベークして残留GBLを除去し、365nmの波長を有する2000mJ/cmの化学線に全体的に暴露し、暴露後、Nをパージしたオーブンにおいて200℃で15分間ベークした。最初のベーク後、2000mJ/cmの暴露後、および2回目のベーク後に基材および皮膜の重量を決定すると、それぞれ8.66g、8.66gおよび8.66gであった。上記ポリマー組成物の2つの追加的試料を、スピンコーティングにより4インチSiウエハ上にキャストした。その後、皮膜の一部を試料の1つから掻き取り、掻き取った部分のMをGPCを用いて決定すると316800であった。第2の試料を、AB−Mマスクアライナーを用いて、365nmの波長で2000mJ/cmの線量に暴露し、続いて200℃で15分間ハードベークした。その後、皮膜の一部をウエハから掻き取り、掻き取った部分のMをGPCを用いて決定すると25500であった。
実施例6A.ランダムMMA−MAAコポリマー
[0072]メタクリル酸メチル−メタクリル酸(80/20)コポリマー(5g、Monomer−Polymer and Dajac Labs、製品番号9425)を十分なシクロペンタノンに溶解して、40重量パーセント溶液を得た。約2gのこの溶液を4インチのシリコンウエハの中心上に手で分取した。該ウエハを1000rpmで30秒間スピンした。該ウエハを120℃で20分間ベークした。得られた亀裂のない皮膜は厚さ48μmと決定された。
【0074】
[0073]2回目分のメタクリル酸メチル−メタクリル酸(80/20)コポリマーをシクロペンタノン(17g)に溶解して、15重量パーセント溶液を得た。この溶液のそれぞれ約2gを、2つの4インチのシリコンウエハの中心上に手で分取した。該ウエハを500rpmで70秒間スピンした。該ウエハを130℃で2分間ベークした。一方のウエハを、Electro−lite電球(部品#82058)を備えるElectro−lite Corporation Electro−Cure 4001 UV Flood System中で暴露した(248nmで1J/cm)。その後、このウエハを150℃で15分間にわたりポストエクスポージャーベークした。暴露したウエハおよび暴露していないウエハのそれぞれからポリマー試料を掻き取った。これら2つのポリマー試料のGPC分析は、ポリマーの暴露部分のMwがポリマーの暴露していない部分と比較して実質的に低下していることを示した。別個の実験でもう1つウエハを調製し、上記のように暴露した後、GPC分析に付した。
【0075】
【表4】
【0076】
[0074]4インチのシリコンウエハの重量を、小数点以下4桁の化学天秤で測定した。上記15重量%溶液の一部を、500rpmで30秒間にわたりシリコンウエハ上にスピンコーティングした。120℃で20分間のポストアプライベーク(post apply bake)後、ウエハの重量を決定した。ウエハ全体を、Electro−lite Corporation Electro−Cure 4001 UV Flood System中で暴露した(248nmで2J)。暴露後にウエハの重量を決定した。その後、該ウエハを150℃で15分間にわたりポストエクスポージャーベークした。ウエハの重量をもう一度決定した。
【0077】
【表5】
【0078】
[0075]上の表の結果から計算すると、ウエハ上のポリマーの重量は、ポストアプライベーク後で0.7189g;暴露後で0.7116g;そしてポストエクスポージャーベーク後で0.6605gであった。プロセス全体を通して、減少した材料の総量は最小限であり、0.0584gまたは約8%であった。
実施例6B.
[0076]メタクリル酸メチル−メタクリル酸(80/20)コポリマーの3つの15重量パーセントポリマー溶液を上記のように調製した後、各溶液に、CPTX(1−クロロ−4−プロポキシ−9H−チオキサントン、Lambson Group Inc.)、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(Sigma Aldrich)およびベンゾフェノンのうち1つを、ポリマーの重量に基づき1パーセント加えた。約2gのこれらの各溶液を、別個の3つの4インチのシリコンウエハの中心上に手で分取した。該ウエハを500rpmで70秒間スピンした。該ウエハを130℃で2分間ポストアプライベークした。該ウエハを、ABMマスクアライナーを用いて暴露した(365nmで1J/cmの線量)。その後、、該ウエハを150℃で15分間ポストエクスポージャーベークした。各ウエハからポリマー試料を掻き取り、GPCに付した。その後、実験を2回、1回は10J/cmの暴露線量で、1回は暴露なしで、繰り返し、暴露していない試料についてはウエハをポストエクスポージャーベークしなかった。各ウエハからポリマー試料を掻き取り、GPCに付した。これらの実験の結果を以下の表に示す。
【0079】
【表6】
【0080】
[0077]表4に示すように、248nmでの暴露は、分子量の著しい減少をもたらす。表5は、248nmの光への暴露が、ポストエクスポージャーベーク後であってもポリマー重量の過度の減少を引き起こさないことを示しており、表6は、光増感剤を用いていても、365nmでの暴露がMwの低下をもたらさないことを示している。したがって、溶融粘度および剥離温度における期待した低下は、365nmでの暴露では起こらないと予想される。
実施例6C:
[0078]上記15重量%溶液のそれぞれ約2gを、2つの4インチのシリコンウエハの中心上に手で分取した。該ウエハを500rpmで70秒間スピンした。該ウエハを130℃で2分間ベークした。一方のウエハを、ABMマスクアライナーを365nmバンドパスフィルターなしで用いて暴露した(248nmで1J/cm)。もう一方のウエハを、ABMマスクアライナーを365nmバンドパスフィルターなしで用いて暴露した(248nmで10J/cm)。両ウエハからポリマー試料を掻き取った。これら2つのポリマー試料のGPC分析は、両ポリマーのMwが入手したままのポリマーから大きく変化していないことを示した。
【0081】
【表7】
【0082】
実施例7.
[0079]メタクリル酸メチル−アクリル酸ブチルトリブロックコポリマー(KurarayからのLA2250、LA4285およびLA2140e)をシクロペンタノン溶液に溶解して、40重量%溶液を作製した。約2gの各溶液を4インチのシリコンウエハの中心上に手で分取した。該ウエハを500rpmで70秒間スピンした。該ウエハを120℃で5分間ベークした。得られた亀裂のない皮膜の皮膜厚さを形状測定(profilometry)により決定した。
【0083】
【表8】
【0084】
[0080]上記のようなシクロペンタノン中の40重量%メタクリル酸メチル−アクリル酸ブチルトリブロックコポリマー(KurarayからのLA4285)溶液の約2gを、2つの4インチのシリコンウエハのそれぞれの中心上に手で分取した。該ウエハを500rpmで70秒間スピンした。該ウエハを120℃で5分間ベークした。一方のウエハを、Electro−lite電球(部品#82058)を備えるElectro−lite Corporation Electro−Cure 4001 UV Flood System中で暴露した(248nmで2J/cm)。その後、このウエハを150℃で15分間にわたりポストエクスポージャーベークした。暴露したウエハおよび暴露していないウエハからポリマー試料を掻き取った。これら2つのポリマー試料のGPC分析は、ポリマーの暴露部分のMがポリマーの暴露していない部分と比較して実質的に低下していることを示した。
【0085】
【表9】
【0086】
[0081]ABMマスクアライナーを365nmバンドパスフィルターなしで用いて暴露を実施した(248nmで2J/cm)点を除き、上記実験を繰り返した。暴露したポリマーおよび暴露していないポリマーのGPCの結果を、以下の表10に示す。
【0087】
【表10】
【0088】
[0082]表9および10のデータは、Electro−Cure Flood Systemを用いて暴露したポリマーでは分子量が低下したが、ABMマスクアライナーを用いて暴露したポリマーの分子量は影響を受けなかったことを示している。
【0089】
[0083]上記結果は予想外だったので、次の実験を実施して、Electro−lite電球(部品#82058)を備えるElectro−lite Corporation Electro−Cure 4001 UV Flood Systemを用いた暴露と365nmバンドパスフィルターなしでABMマスクアライナーを用いた暴露のウエハ温度を比較した。ブランクのシリコンウエハおよびFisher Scientific Traceable Noncontact Infrared Thermometerを用いて暴露を実施して、暴露前後のシリコンウエハの温度を測定した。表11に見られるように、UV Flood Systemを用いて暴露したウエハの温度は、マスクアライナーを用いて暴露したウエハの温度より63℃高かった。したがって、暴露と熱の組み合わせにより、Mwの実質的低下がもたらされたと考えられる。
【0090】
【表11】
【0091】
実施例8:
[0084]非晶質コポリエステルであるRV270(Toyobo America,Inc.)の適量をGSID26−1(トリス(4−(4−アセチルフェニルチオ)フェニル)スルホニウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタニド、BASF)の0.5重量%ポリマーと一緒にシクロペンタノンに溶解して、46重量パーセント溶液を得た。約2gのこの溶液を4インチのシリコンウエハの中心上に手で分取した。該ウエハを1800rpmで30秒間スピンした。該ウエハを120℃で5分間ベークすると、厚さ50μmで亀裂のない皮膜が得られた。
【0092】
[0085]上記RV270溶液の一部を、2つのシリコンウエハのそれぞれの上に上記方法でスピンコーティングした。一方のウエハをAB−Mマスクアライナーシステムで暴露し(365nmで2J/cm)、もう一方のウエハは暴露しなかった。その後、暴露したウエハをCEE 1300Xホットプレート上で200℃で5分間ポストエクスポージャーベークした。暴露したウエハおよび暴露していないウエハからポリマー試料を掻き取った。表12に示すこれら2つのポリマー試料のGPC分析は、暴露したポリマーのMが暴露していないポリマーのMより実質的に低下していることを示した。
【0093】
【表12】
【0094】
実施例9:
[0086]非晶質コポリエステルであるGK880(Toyobo America,Inc.)の適量をGSID26−1の1.5重量%ポリマーと一緒にシクロペンタノンに溶解して、48重量パーセント溶液を得た。約2gのこの溶液を4インチのシリコンウエハの中心上に手で分取した。該ウエハを1800rpmで30秒間スピンした後、120℃で5分間ベークすると、厚さ30μmで亀裂のない皮膜が得られた。
【0095】
[0087]上記GK880溶液の一部を、2つのシリコンウエハのそれぞれの上に上記方法でスピンコーティングした。一方のウエハをAB−Mマスクアライナーシステムで暴露し(365nmで2J/cm)、もう一方のウエハは暴露しなかった。その後、暴露したウエハをCEE 1300Xホットプレート上で200℃で5分間ポストエクスポージャーベークした。暴露したウエハおよび暴露していないウエハからポリマー試料を掻き取った。表13に示すこれら2つのポリマー試料のGPC分析は、暴露したポリマーのMが暴露していないポリマーのMより実質的に低下していることを示した。
【0096】
【表13】
【0097】
[0088]4インチのシリコンウエハの重量を、小数点以下4桁の化学天秤で測定した。RV270溶液の一部を上記方法でシリコンウエハに施用した。120℃、5分間のポストアプライベーク後、ウエハの重量を決定した。ウエハ全体を、バンドパスフィルターを付けたABMマスクアライナーを用いて暴露した(365nmで2J/cm)。暴露後にウエハの重量を決定した。その後、該ウエハをCEE 1300Xホットプレート上で200℃で5分間にわたりポストエクスポージャーベークした。ウエハの重量をもう一度決定した。表14に示すように、ウエハ+ポリマーの重量は実質的に変化していない。
【0098】
【表14】
【0099】
実施例10:
[0089]1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、および2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールのターポリマーを、以下に記載するような触媒縮合反応下で調製した。乾燥ボックス中で、3つのモノマー(すべてSigma Aldrichから購入した)を重量測定し、攪拌子を備える250mLの丸底フラスコに加えた。モノマー混合物は、25.0g(0.145mol)の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、13.0g(0.076mol)の1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、および25.3g(0.243mol)の2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールを含有していた。その後、0.073gのトリエチルアミンおよび0.26gのチタン(IV)2−エチル−ヘキシルオキシドをそれぞれ加えた。N雰囲気下で減圧を制御することができるように反応フラスコを減圧ラインに接続して、反応装置をフード内で組み立てた。反応混合物を1atmで200℃に100分間加熱し、反応からの水を冷却トラップに収集した。その後、圧力を4Torrに低下させ、反応をさらに2時間保持した。温度をさらに230℃に上昇させ、圧力をさらに0.5Torrに低下させ、そのままさらに6時間反応させた後、反応を停止させた。GPC分析は、62226のMw、31234のMnおよび1.99のPDIを有する生成物を示した。
【0100】
【化5】
【0101】
[0090]上記ターポリマーの皮膜形成特性を試験するために、適量をシクロヘキサノンに溶解して45重量%溶液を得た。その後、該溶液を0.45μmPTFEフィルターに通して濾過し、一部をシリコンウエハ上に手で分取し、ウエハ上で700rpmで30秒間スピンコーティングした。120℃で5分間ベークした後、亀裂のない40μmの皮膜が得られた。
【0102】
[0091]その後、該ターポリマー溶液の一部をさらに、248nmでの暴露のためのTPS−C1(5phr)および365nmでの暴露のためのGSID26−1(2phr)の一方と、それぞれ配合した。その後、シリコンウエハを上記のように各溶液でコーティングし、つぎに、それぞれに応じて248nm(2J/cm)および365nm(2J/cm)で暴露した。TPS−C1を用いた配合物の場合、Electro−lite電球(部品#82058)を備えるElectro−lite Corporation Electro−Cure 4001 UV Flood Systemを暴露に用いた。GSID26−1を用いた配合物の場合、バンドパスフィルターを備えるAB−Mマスクアライナーシステムを暴露に用いた。各ポリマーの分子量を暴露前後でGPC分析により決定した。それぞれ表15および16に報告する。
【0103】
【表15】
【0104】
【表16】
【0105】
[0092]2phrのGSID26−1添加を有するターポリマー配合物のMwの低下は予想より少なかったので、8.3phrのGSID26−1を有する配合物を調製した。これは、この添加量が、もう一方の配合物における5phrのTPSC−1添加のモル当量であるためである。この新規溶液でコーティングしたウエハを調製し、前記のように暴露し、暴露した試料および暴露していない試料の分子量を決定した。表17に示すように、暴露したポリマーにより示されるMは、表15で報告した5phrのTPS−C1溶液で見られた低下と実質的に同等であった(31%対28%)。
【0106】
【表17】
【0107】
実施例11:
[0093]エチルセルロース(15g、Aldrich、48%エトキシ含有率)をトルエン(68g)とエタノール(17g)の80:20混合物に溶解して、15重量パーセント溶液を得た。約2gのこの溶液を4インチのシリコンウエハの中心上に手で分取した。該ウエハを500rpmで70秒間スピンした。該ウエハを120℃で5分間ベークすると、厚さ22μmで亀裂のない皮膜が得られた。
【0108】
[0094]他のエチルセルロース配合物を、溶媒としてのNMP/ブタノールおよび TPS−C1光酸発生剤(PAG)を用いて、以下のように調製した:エチルセルロース(1.00g、Aldrich、48%エトキシ含有率)をTPS−C1(0.05g)と一緒にNMP(3.2g)およびブタノール(0.8g)に溶解して、ポリマーに対し約5重量%のPAGを含むエチルセルロースの約20重量%溶液を生じさせた。
【0109】
[0095]その後、この第2の配合物を上記のようにシリコンウエハ上にスピンコーティングし、ウエハの半分をElectro−lite Corporation Electro−Cure 4001 UV Flood System中で暴露し(248nmで2J/cm)、残りの半分は暴露しなかった。その後、ウエハ全体を150℃で15分間ポストエクスポージャーベークした。ウエハの暴露した部分および暴露していない部分からポリマー試料を掻き取り、それぞれのMwをGPC分析により決定した。各試料の分子量を以下の表18に示す。
【0110】
【表18】
【0111】
[0096]表からわかるように、暴露したポリマーは実質的なMの低下を示した。
[0097]4インチのシリコンウエハの重量を、小数点以下4桁の化学天秤で測定した。第2のエチルセルロース溶液の一部を、上記のようにシリコンウエハ上にスピンコーティングした。120℃で5分間のポストアプライベーク後、ウエハの重量を測定した。その後、ウエハ全体を、Electro−lite電球(部品#82058)を備えるElectro−lite Corporation Electro−Cure 4001 UV Flood System中で暴露し(248nmで2J)、ウエハの重量を測定した。その後、該ウエハを150℃で15分間にわたりポストエクスポージャーベークし、ウエハの重量をもう一度測定した。いくつかの重量を以下の表19に示す。
【0112】
【表19】
【0113】
[0098]表19のデータが示すように、ポリマーの全体的重量減少は最小限である。
[0099]第2のエチルセルロース配合物の一部を上記のようにシリコンウエハ上にスピンコーティングした。ウエハの2分の1を、365nmバンドパスフィルターなしでABMマスクアライナーで暴露し(248nmで2J/cm)、残りの半分は暴露しなかった。その後、ウエハ全体を150℃で15分間ポストエクスポージャーベークした。ウエハの暴露した部分および暴露していない部分からポリマー試料を掻き取り、それぞれのMwをGPC分析により決定した。各試料の分子量を以下の表20に示す。
【0114】
【表20】
【0115】
[00100]表20のデータが示すように、暴露したポリマー試料と暴露していないポリマー試料でMは実質的に変化していない。
実施例12:二層例
[00101]第1のポリマー層:市販のポリ(ラクチド)(PLD20;PURAC biochem BV)(40g、22.1重量%)をガンマ−ブチロラクトン(GBL)(140g)に溶解した。トリス(4−(4−アセチルフェニルチオ)フェニル)スルホニウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド(GSID26−1;BASF)(0.8g、0.4重量%)をポリ(ラクチド)溶液に加えた。粘度は、E−タイプ粘度計で決定して、25℃において20Pasであった。
【0116】
[0100]第2のポリマー層:ヘキシルノルボルネンおよびAOAOノルボルネンから誘導されるノルボルネンタイプのポリマーを、周知のビニル付加重合(米国特許公報第8053515号および米国特許公報第7932161号参照。これらの関連部分を本明細書中で参考として援用する)により調製し、メシチレンに溶解して、非感光性ポリマー溶液を形成した。
【0117】
[0101]第1のポリマー層の配合物を8インチのガラスウエハ上にスピンコーティングした。コーティングしたウエハを180℃のオーブンで20分間ソフトベークして、5μmの皮膜を得た。第2のポリマー層の配合物を第1のポリマー層上にスピンコーティングして、二重コーティングしたガラスウエハを得た。その後、二重コーティングしたガラスウエハを120℃のオーブンで20分間ソフトベークして、ウエハ上に厚さ70μmの二層皮膜を生じさせた。
【0118】
[0102]その後、250℃において基材接着装置SB−8e(Suss MicroTec)を用い、減圧下(10−2mbar未満)で0.6MPaの圧力を5分間施用して、コーティングしたウエハ(第2のポリマー層)にデバイスウエハを接着した。接着したウエハ堆積物をガラスウエハを介して目視検査し、ボイドは観察されなかった。
【0119】
[0103]検査後、ウエハ堆積物を、デバイスウエハをウエハ薄化のための位置にしてウエハ研削装置DFG8540(Disco)上に載せた後、50μmの最終厚さまで薄化した。研削装置から取り出した後、、MA−8(Suss MicroTec)マスクアライナーを用いて、ウエハ堆積物を、ガラスウエハを介して化学線に暴露した;暴露線量は365nmの波長で2000mJ/cmであった。その後、2.0mm/秒のスライドオフ速度および160℃の温度に設定したEVG805剥離装置(EV group)を用いて、スライドオフ法により、薄化したデバイスウエハをガラスウエハから剥離した。
【0120】
[0104]デバイスおよびガラスウエハ上の残留物を、すべての残留物が除去されるまで、25℃において攪拌しつつGBL中でソーキングすることにより除去した。
[0105]ここまでで、本開示が、デバイスウエハとガラス基材の間に仮(剥離性)接着を形成するために有利に採用することができるさまざまなタイプのポリマーを明示していることを、理解すべきである。さらに、仮接着が形成する温度以下の温度で、そのような剥離をもたらすことができることが示された。さらに、さまざまなポリマータイプが、ガラス基材からのデバイスウエハの剥離をもたらす解重合を経ることができることが示された。これに関し、そのような解重合は、ポリマーのMの著しい低下およびそれに付随するポリマー粘度の低下により特徴付けられ、したがって、スライドオフ剥離または楔による剥離(wedge-off debonding)のいずれかを達成することが可能になる。解重合を経ることができる代表的なポリマーのタイプとしては、限定されるものではないが、PLAポリマー、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、ポリメタクリレート、ポリノルボルネン、アルキルセルロース、およびそれらの2以上の組み合わせが挙げられる。
【0121】
[0106]本開示では特定の態様に関し説明してきたが、そのさまざまな修正が、本明細書を読むことにより当業者に明らかになるであろうことを、理解すべきである。したがって、上記さまざまな態様の開示は、そのような修正を包含するものであり、したがって、添付する特許請求の範囲内に必然的に含まれることを、理解すべきである。例えば、上記実施例では特定のスピンコーティングのパラメーターを提供したが、当業者なら、そのようなパラメーター(例えば、分取体積および方法、キャスティング溶媒の選択、粘度、排気、加速度、スピン速度および時間)を変動させることにより、先に開示したものより厚いまたは薄い接着層を形成することが可能であることを、理解するであろう。
図1