(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記屈曲性を有する液体容器は、上記ハウジングと上記屈曲性を有する液体容器との間に設けられた第2のハウジングによって囲まれている請求項1〜3のいずれか1項に記載のガス生成装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、これらの構成は、特許文献3に開示されている特性を有する、固体推進火薬が点火され、これを使って、火炎抑制力を有するある体積の液体を火に対して火を抑制し消火するような様態で押し出す、消火器として適用されることはあるかもしれないが、冷却作用を、使用される液体の場合に可能な限りもっとも効率的に利用することには失敗している。
【0007】
これらの構成では解決できないもう1つの問題は、液体(例えば水)が凝固する可能性が高く、それゆえ、冷却効果が全く得られず、および/または、流出口を塞ぐ、あるいは、非常に望ましくない様態で装置から発射されるミサイルのようになってしまうかする可能性が高い固体材料(氷)の塊を形成することによって、装置の動作を阻害することさえある、低温気候の問題である。
【0008】
上記問題は、ハロカーボン液体の使用は、凝固問題を軽減する可能性がある一方で、さまざまな環境上の懸念から著しく制限されているという点において、さらに深刻なものとなる。
【0009】
本発明の目的は、低温のガスを効率的に高い収率で発生させる、発火燃焼ガスと液体との徹底した混合を達成し、したがって、発生させたガスの効率的な使用を達成する、エアーバッグなどのためのガス生成器を提供することである。
【0010】
本発明のもう1つの目的は、冷却液をその凝固点より高い温度で維持し、こうすることによって、ガス生成装置に関連する安全装置が使用される気候に関わりなく、安全装置を適切に作動可能な状態に維持するガス生成器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
端的に述べれば、上記目的は以下のような構成によって達成される。すなわち、この構成では、比較的少量の起爆剤の燃焼を利用して適切なタイプの液体を収納するチャンバーを加圧し、さらに、この液体を強制的に本チャンバーから混合チャンバーへ押し出す。このとき、液体は、起爆剤の燃焼によって生じるガスの高速流とよく混合されて気化する。燃焼生成物の顕熱は液体によって吸収され、これによって液体は大きな体積の蒸気に変わる。気化した液体と燃焼ガスとの混合物は、エアーバッグを無毒で、低温の、微粒子が少ない大気で膨張させるために使用される。
【0012】
本発明の一参考形態は、例えば側面衝撃用膨張装置などの任意の適切なエアーバッグ膨張装置に適用されてもよく、該一参考形態では、細長い形状を有する一般に円筒状のハウジングが、一方の端部に、点火装置と、点火装置より内側に設けられたブースター起爆剤と、このブースター起爆剤より内側に設けられた任意の適切なタイプの起爆剤または固体推進火薬とを備えている。コップ型パーティションが起爆剤の内側よりの部分を囲む。このコップ型パーティションは、その周囲にはハウジングの内周との間に空間を有する複数の第1の孔を有し、内側よりの端部には1つ以上の第2の孔を有している。
【0013】
上記コップ型パーティションより内側には、チャンバー用チューブが設けられている。また、このチャンバー用チューブは、その端部にパーティションに隣接してキャップを備えている。なお、このキャップは、チャンバー用チューブに着脱可能に固定され、チャンバー用チューブ内でスライド可能である。チャンバー用チューブのもう一方の端部は閉じられており、所定の圧力を受けると破損または開放するようになっている薄いまたは脆弱な部分を備えている。チャンバー用チューブには、例えば凝固点抑制剤(例えば塩化カルシウム)の水溶液などの適切な液体が充填されている。上記チャンバー用チューブと、点火されると推進火薬のためのコップ型パーティションの第1の周辺孔から流出する起爆剤から発生する燃焼ガスのためのハウジングとの間に環状のチャンネルを提供するために、チャンバー用チューブの周囲は、ハウジングの内周より内側に空間を有している。
【0014】
上記ハウジングのもう一方の端部は、チャンバー用チューブの閉鎖端部に隣接して設置された内側よりの端部を有する内側ハウジング部材によって規定される混合チャンバーを備えている。なお、上記内側ハウジング部材の内側よりの端部は、チャンバー用チューブの閉鎖端部における脆弱部
とアパーチャを有する。第2のパーティションは、ハウジングの内周より内側に空間を有し、チャンバー用チューブとハウジングとの間の環状のガス流動チャンネルに通じる複数の第3の周辺孔を備えている。このハウジングは、第1の周辺孔と推進火薬を囲むコップ型パーティションとに通じる。内側ハウジング部材は、その外側よりの端部において流体マニフォールドに固定または流体マニフォールドと一体的に形成される。なお、この流体マニフォールドは、マニフォールドおよび/またはエアーバッグなどに接続するための複数の同間隔に配置された放射状の排気口を有する。
【0015】
一参考形態の動作において、点火装置を作動させると、ブースター起爆剤および推進火薬が点火されて燃焼ガスを生成する。この燃焼ガスは、上記パーティションの第1の周辺孔からチャンバー用チューブを囲む環状の流動チャンネルを通り、ハウジングの端部において内側ハウジング部材の第3の周辺孔を通って混合チャンバーに流入する。燃焼ガスは、パーティションの内側よりの端部の少なくとも1つの第2の孔を通って軸方向にも流れ、隣接するチャンバーキャップがチャンバー用チューブから離間してその内部で内側へ移動し、チャンバー用チューブ内の液体を加圧するために十分な圧力を、該チャンバーキャップに対して生成する。チャンバー用チューブ内で増加した圧力によって、チャンバー用チューブの閉鎖端部における脆弱部が開放し、加圧された液体が、内側ハウジング部材の隣接する内側よりの端部におけるアパーチャを通って混合チャンバー中に流入することができるようになる。
【0016】
混合チャンバー内では、燃焼ガスおよび加圧された液体がよく混合されて、液体が気化する。燃焼生成物の顕熱は液体によって吸収され、これによって液体は大きな体積の蒸気に変わる。そして、気化した液体と燃焼ガスとの混合物は、上記流体マニフォールドの放射状の排気口から流出して、エアーバッグなどをほぼ無毒で、低温の、微粒子が少ない大気で膨張させる。
【0017】
エアーバッグの膨張装置などに係わる本発明の別の一参考形態では、上記ハウジングが円形状のものであっても、短い小型の円筒状のものであってもよい。また、上記点火装置、ブースター起爆剤、および、推進火薬が、チャンバー用チューブに対して、長手方向ではなく、半径方向に空間を有していてもよい。本参考形態の動作は、ここで説明した上記一参考形態の動作とほぼ同じである。
【0018】
本発明の実施形態では、上記チャンバー用チューブは屈曲性を有するチューブである。なお、このチャンバー用チューブは燃焼ガスの圧力によって押し
潰されてその一方の端部における脆弱部を開放し、チャンバー用チューブ内の加圧された液体が混合チャンバー内に流入することができるようにする。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1(A)は、本発明の一参考形態を、エアーバッグなどのための側面衝撃用膨張装置などの膨張装置に用いられる、ガス生成装置10の形態で示している。ガス生成装置10は、任意の適切なタイプの点火装置14を一方の端部に有する、任意の適切な金属などの素材で形成された、細長く、一般に円筒状のハウジング12を備えている。任意の適切なタイプのブースター起爆剤16が点火装置14より内側に設けられ、さらに、任意の適切なタイプの起爆剤または固体推進火薬18がブースター起爆剤16より内側に設けられている。コップ状のパーティション20が起爆剤または
固体推進火薬18の内側よりの部分を囲み、かつ、直径が小さい末端部22を備えている。なお、この末端部22は、その周囲に複数の第1の孔24を有し、内側よりの端部に少なくとも1つの第2の孔26を有している。
【0021】
ハウジング12内には、パーティション20の末端部22より内側にチャンバー用チューブ28が設けられ、また、環状のガス流動チャンネル30をチャンバー用チューブ28とハウジング12との間に形成するために、ハウジング12の内径より小さな直径を有している。なお、この環状のガス流動チャンネル30は、
パーティション20の末端部22の周囲における第1の孔24と通じている。チャンバー用チューブ28は、そこに着脱可能に連結された端部キャップ32を備え、パーティション20の末端部22に隣接して設置されている。チャンバー用チューブ28および端部キャップ32は、任意の適切な素材で形成されればよく、適切な様態で相互に接続されてもよい。一例をあげれば、チャンバー用チューブ28および端部キャップ32は、透湿性が低く、高温および低温に対して耐性を有する、例えばポリプロピレンなどの適切なプラスチックで形成されてもよい。端部キャップ32は、粘着剤を用いて、あるいは他の形態でチャンバー用チューブ28に接続されてもよく、また、所定の圧力を受けることによって端部キャップ32から離間すると、チャンバー用チューブ28内でスライド可能な内部のピストン部34を備えていてもよい。一例をあげれば、ピストン部34は、脆弱なまたは壊れやすい部分36によって端部キャップ32に接続されてもよい。
【0022】
低温に晒されたときには液体が凝固することを防止し、高温に晒されたときには液体が沸騰することを防止するために、チャンバー用チューブ28には、例えば塩化カルシウムと水との混合物などの適切な液体が充填されている。一例をあげれば、この塩化カルシウムは、20重量%〜40重量%との間の濃度になるまで水と混合されてもよく、こうすることによって、凝固に対する保護が−50℃まで提供され、沸騰に対する保護が115℃まで提供されるようになる。当業者にとって既知の他の適切な液体を使用してもよく、これは本発明の技術的範囲から逸脱するものではない。
【0023】
チャンバー用チューブ28のもう一方の端部は閉鎖されており、また、脆弱部40を有している。なお、この脆弱部40は、チャンバー用チューブ内で所定の液体の圧力を受け
ると開放されて、チャンバー用チューブ内で圧力下にある液体のための流出開口部を形成するように構成されている。ハウジング12のもう一方の端部からは、
ハウジング部材としての内側ハウジング部材42が内側へ延び、チャンバー用チューブ28の脆弱部40に隣接して一列に並べて設けられたアパーチャ46を有する内側よりの末端部44を備えている。内側ハウジング部材42は、チャンバー用チューブ28とハウジング12との間の環状のガス流動チャンネル30に通じる複数の第3の孔48を、内側ハウジング部材42の周囲に備えている。内側ハウジング部材42は、その内部に、第3の孔48を通って内側へ流れる燃焼ガスのための、および、チャンバー用チューブ28から末端部44におけるアパーチャ46を通って内側へ流れる加圧された液体のための混合チャンバー50を規定する。
【0024】
内側ハウジング部材42はその外側よりの端部において、任意の適切なタイプの流体マニフォールド52に接続されてもよい。なお、この流体マニフォールド52は、推力に無関係に動作できるように複数の開口部54を有していてもよく、さらに、マニフォールド(図示せず)および/またはエアーバッグ(図示せず)に任意の適切な様態で接続されてもよい。
【0025】
チャンバー用チューブ28が環状の
ガス流動チャンネル30内の高温の燃焼ガスに直接接触しないようにするために、チャンバー用チューブ28は、任意の適切な素材(例えば金属)で形成された第2のチューブ56によって囲まれていてもよい。第2のチューブ56は、内側ハウジング部材42に任意の適切な様態で固定されてもよく、第2のチューブ56とハウジング12との間に滑らかな環状の
ガス流動チャンネル30を規定するように作用する。第2のチューブ56は、所望であれば、環状の
ガス流動チャンネル30の幅を変化させるために、ハウジング12の内周面に対して平行または同心とならないように構成されてもよい。第2のチューブ56は
図1(B)に示すように省略されてもよく、これは本発明の技術的範囲から逸脱するものではない。
【0026】
図1(A)に示すガス生成装置10の動作において、点火装置14を作動させると、ブースター起爆剤16および起爆剤
または固体推進火薬18が点火されて燃焼ガスを生成する。この燃焼ガスは、上記パーティション20の末端部22の周囲の第1の孔24から流出して、チャンバー用チューブ28とハウジング12との間の環状の
ガス流動チャンネル30に流入する。高温の燃焼ガスは、パーティション20の末端部22における少なくとも1つの
第2の孔26からも流出し、チャンバー用チューブ28の端部キャップ32のピストン部34に接触する。ピストン部34にかかる燃焼ガスの圧力は、
脆弱なまたは壊れやすい部分36を壊すことによってピストン部34を端部キャップ32から離間させるように作用し、ピストン部34がチャンバー用チューブの内側へスライドして、チャンバー用チューブ内の液体を加圧する。こうして高められた液体の圧力によってチャンバー用チューブ28の端部における脆弱部40は破損し、加圧された液体が、チャンバー用チューブ28から内側ハウジング部材42の隣接する
末端部44におけるアパーチャ46を通って内側ハウジング部材42の混合チャンバー50に流入できるようになる。環状の
ガス流動チャンネル30を通って流れる高温の燃焼ガスも、内側ハウジング部材42の周囲における
3の孔48を通って混合チャンバー50に流入し、混合チャンバー50に流入する液体と混合する。
【0027】
混合チャンバー50内では、上記高温の燃焼ガスおよび液体がよく混合されて、液体が気化する。燃焼生成物の顕熱は液体によって吸収され、これによって液体は大きな体積の蒸気に変わる。そして、気化した液体と燃焼ガスとの混合物は、上記流体マニフォールド52の
複数の開口部54を通って流れ、エアーバッグ(図示せず)などを無毒で、低温の、微粒子が少ない大気で膨張させる。
【0028】
図1(C)は、
図1(A)に示すガス生成装置10と同様の構造を有し、同様に動作するガス生成装置210の別の一参考形態を示している。ガス生成装置10と同様に、
図1(C)に示すガス生成装置210は、一般に、ハウジング212と、点火装置214と、ブースター起爆剤216と、起爆剤
または固体推進火薬218と、起爆剤の内側よりの部分を囲むコップ状のパーティション220と、パーティション220より内側に設けられ、端部キャップ232を有するチャンバー用チューブ228と、ピストン部234とを備えている。チャンバー用チューブ228のもう一方の端部には、脆弱部240および内側ハウジング部材242が設けられ、チャンバー用チューブ228の脆弱部240に隣接し
て設けられたアパーチャ246を有する内側よりの末端部244を備えている。なお、この内側ハウジング部材242は、ハウジング212のもう一方の端部から内側へ延びている。内側ハウジング部材242は、チャンバー用チューブ228とハウジング212との間の環状の
ガス流動チャンネル230に通じる複数の第3の孔248を、内側ハウジング部材242の周囲に備えている。内側ハウジング部材242は、その内部に、孔248を通って内側へ流れる燃焼ガスのための、および、チャンバー用チューブ228からアパーチャ246および末端部244を通って内側へ流れる加圧された液体のための混合チャンバー250を規定する。
【0029】
図1(C)に示すガス生成装置210の参考形態は、コップ状のパーティション220がその周囲に第1の孔を有しておらず、コップ状のパーティション220の内側よりの端部に、チャンバー用チューブ228の端部キャップ232との間に空間を有する少なくとも1つの第2の孔236が設けられている点において、
図1(A)に示すガス生成装置と異なる。したがって、パーティション220の内側よりの端部における第2の孔236を通って流れる燃焼ガスは、チャンバー用チューブ228のピストン部234と、混合チャンバー250を規定する内側ハウジング部材242に通じる環状の
ガス流動チャンネル230とを同時に加圧する。
【0030】
図2(A)は、
図1(A)に示すガス生成装置10と同様に動作し、例えば前面膨張装置などのエアーバッグの膨張装置として使用する、小型の円形または短い円筒状のハウジング112で形成されたガス生成装置110の別の参考形態を示している。
【0031】
ガス生成装置110において、点火装置114、ブースター起爆剤116、および、起爆剤
または固体推進火薬118は、チャンバー用チューブ128の隣に横に並べて配置されている。チャンバー用チューブ128は、その内部に設置された端部キャップ132および可動ピストン部134を有する。チャンバー用チューブ128の内側または上側の閉鎖端部は、脆弱部140がパーティション147の流出孔146と一列に並ぶように形成されている。流出孔146は、ハウジング112内の起爆剤
または固体推進火薬118に晒される複数の第3の孔148を周囲に有する、内側ハウジング部材142の上部にある混合チャンバー150内部へ向かって開いている。混合チャンバー150は、マニフォールド(図示せず)および/またはエアーバッグ(図示せず)と通じるように、放射状の開口部154を内部に有する上側または外側の流体マニフォールド部152と通じている。
【0032】
ガス生成装置110の動作は、
図1(A)に示したガス生成装置10の動作と同じである。
起爆剤または固体推進火薬118に点火すると燃焼ガスが生成され、この燃焼ガスが内側ハウジング部材142における孔148を通って混合チャンバー150に流入する。燃焼ガスは、さらに、ピストン部134をチャンバー用チューブ128の端部キャップ132から離間させ、その結果、ピストン部134はチャンバー用チューブ128の内側へ移動して、チャンバー用チューブ128内の液体を加圧し、チャンバー用チューブ128の閉鎖端部における脆弱部140を開放する。こうすることによって、液体は
流出孔146を通って混合チャンバー150へ流入するようになる。この液体は、混合チャンバー150内で、内側ハウジング部材142における孔148を通って混合チャンバー150に流入する高温の燃焼ガスと混合する。そして、混合済みの燃焼ガスおよび気化液体は、混合チャンバー150の開口部151を通って流体マニフォールド部152に流入し、流体マニフォールド部152における開口部154から流出して、エアーバッグ(図示せず)などを膨張させる。
【0033】
図2(B)は、
図2(A)に示すガス生成装置110と同様の構造を有し、同様に動作するガス生成装置310の別の一参考形態を示している。ガス生成装置310において、点火装置314は、ハウジング312の下部の中央部に配置されており、パーティション349における孔348を介して、混合チャンバー350と流体を通じて繋がれている起爆剤
または固体推進火薬318によって囲まれている。
【0034】
パーティション349の内部には、点火装置314の上方にチャンバー用チューブ328が設けられており、端部キャップ332およびそこに着脱可能に連結された可動ピストン部334を備えている。チャンバー用チューブ328の上側の閉鎖端部は、脆弱部340が、混合チャンバー350内部へ向かって開いている、パーティション349における流出
開口部346と一列に並ぶように形成されている。ピストン部334は、起爆剤
または固体推進火薬318と流体を通じて繋がれている。
【0035】
混合チャンバー350は、流体マニフォールド(図示せず)および/またはエアーバッグ(図示せず)と流体を通じて繋がれている。
【0036】
ガス生成装置310の動作は、
図2(A)に示すガス生成装置110の動作と一般に同じである。
起爆剤または固体推進火薬318に点火すると燃焼ガスが生成され、この燃焼ガスがパーティション349における孔348を通って混合チャンバー350に流入する。燃焼ガスは、さらに、ピストン部334をチャンバー用チューブ328の端部キャップ332から離間させ、その結果、ピストン部はチャンバー用チューブ328の内側へ移動して、チャンバー用チューブ328内の液体を加圧し、チャンバー用チューブ328の閉鎖端部における脆弱部340を開放する。こうすることによって、液体は流出開口部346を通って混合チャンバー350へ流入するようになる。この液体は、混合チャンバー350内で、パーティション349における孔348を通って混合チャンバー350に流入する高温の燃焼ガスと混合する。そして、混合済みの燃焼ガスおよび気化液体は、流体マニフォールド(図示せず)などに流入し、エアーバッグ(図示せず)などを膨張させる。
【0037】
図3(A)および
図3(B)は、
図1(A)、
図1(B)、および、
図1(C)に示すガス生成装置10および210と同様の構造を有し、同様に動作するガス生成装置410の本実施形態を示している。ガス生成装置410は、任意の適切なタイプの点火装置414を一方の端部に有する、任意の適切な金属などの素材で形成された、細長く、一般に円筒状のハウジング412を備えている。任意の適切なタイプのブースター起爆剤416が点火装置414より内側に設けられ、さらに、任意の適切なタイプの起爆剤または固体推進火薬418がブースター起爆剤416より内側に設けられている。コップ状のパーティション420がブースター起爆剤416および起爆剤または
固体推進火薬418を囲んでいる。また、このコップ状のパーティション420は、その周囲に複数の第1の孔424を有し、その内側よりの末端部422に複数の第2の孔426を有している。
【0038】
ハウジング412内には、パーティション420の末端部422より内側にチャンバー用チューブ428が設けられ、また、環状のガス流動チャンネル430をチャンバー用チューブ428とハウジング412との間に形成するために、ハウジング412の内径より小さな直径を有している。なお、この環状のガス流動チャンネル430は、パーティション420における第1の孔424および第2の孔426と通じている。チャンバー用チューブ428は、平坦な封止された外側よりの端部432および内側よりの端部433を有する、屈曲性を有するチューブである。なお、この内側よりの端部433は、チャンバー用チューブ内で所定の液体の圧力を受けると開放されて、チャンバー用チューブ内で圧力下にある液体のための流出開口部を形成するように構成された脆弱部440を有している。チャンバー用チューブ428は、任意の適切な素材で形成されればよく、例えばポリエチレンなどの適切なプラスチックで形成されてもよい。低温に晒されたときには液体が凝固することを防止し、高温に晒されたときには液体が沸騰することを防止するために、チャンバー用チューブ428には、例えば塩化カルシウムと水との混合物などの適切な液体が充填されている。この塩化カルシウムの濃度は、
図1(A)および
図1(B)に示すチャンバー用チューブ28についてここで説明した濃度と同じであってもよい。
【0039】
ハウジング412のもう一方の端部からは、内側ハウジング部材442が内側へ延び、チャンバー用チューブ428の脆弱部440に隣接して設けられたアパーチャ446を有する内側よりの末端部444を備えている。内側ハウジング部材442は、その周囲に、チャンバー用チューブ428とハウジング412との間の環状の
ガス流動チャンネル430と通じる複数の第3の孔448を備えている。内側ハウジング部材442は、その内部に、孔448を通って内側へ流れる燃焼ガスのための、および、チャンバー用チューブ428から内側ハウジング部材442の末端部444におけるアパーチャ446を通って内側へ流れる加圧された液体のための混合チャンバー450を規定する。内側ハウジング部材442はその外側よりの端部において、任意の適切なタイプの流体マニフォールド452に接続されてもよい。なお、この流体マニフォールド452は、推力に無関係に動作できるように複数の開口部454を有していてもよく、さらに、マニフォールド(図示せず)および/またはエアーバッグ(図示せず)に任意の適切な様態で接続されてもよい。
【0040】
チャンバー用チューブ428が環状の
ガス流動チャンネル430内の高温の燃焼ガスに直接接触しないようにするために、チャンバー用チューブ428は、任意の適切な素材(例えば金属)で形成された第2のチューブ456によって囲まれていてもよい。第2のチューブ456は、内側ハウジング部材442に任意の適切な様態で固定されてもよく、第2のチューブ456とハウジング412との間に滑らかな環状の
ガス流動チャンネル430を規定するように作用する。第2のチューブ456は、所望であれば、環状の
ガス流動チャンネル430の幅を変化させるために、ハウジング412の内周面に対して平行または同心とならないように構成されてもよい。第2のチューブ456は
図1(B)に示すように省略されてもよく、これは本発明の技術的範囲から逸脱するものではない。
【0041】
図3(A)および
図3(B)に示すガス生成装置410の動作において、点火装置414を作動させると、ブースター起爆剤416および起爆剤
または固体推進火薬418が点火されて燃焼ガスを生成する。この燃焼ガスは、パーティション420における第1の孔424および第2の孔426から流出して、チャンバー用チューブ428の隣接する平坦な端部に接触し、また、チャンバー用チューブ428とハウジング412との間の環状の
ガス流動チャンネル430に流入する。屈曲性を有するチャンバー用チューブ428にかかる燃焼ガスの圧力によって、チャンバー用チューブ428は押し潰されてその内部の液体を加圧する。こうして高められた液体の圧力によってチャンバー用チューブ428の内側よりの端部における脆弱部440は破損し、加圧された液体が、チャンバー用チューブ428から内側ハウジング部材442の隣接する
末端部444におけるアパーチャ446を通って内側ハウジング部材442の混合チャンバー450に流入できるようになる。環状の
ガス流動チャンネル430を通って流れる高温の燃焼ガスは、内側ハウジング部材442の周囲における孔448を通って混合チャンバー450に流入し、混合チャンバー450に流入する液体と混合する。
【0042】
混合チャンバー450内では、上記高温の燃焼ガスおよび液体はよく混合されて、液体が気化する。燃焼生成物の顕熱は液体によって吸収され、これによって液体は大きな体積の蒸気に変わる。そして、気化した液体と燃焼ガスとの混合物は、上記流体マニフォールド452の
開口部454を通って流れ、エアーバッグ(図示せず)などを無毒で、低温の、微粒子が少ない大気で膨張させる。
【0043】
上記ガス生成装置の10、110、210、310、および410の部品は任意の適切な素材で形成されてもよく、また、上記起爆剤は任意の適切なタイプの起爆剤または推進火薬であってもよく、さらに、上記チャンバー用チューブ内の液体は任意の適切なタイプの液体であってもよく、これは本発明の技術的範囲から逸脱するものではない。
【0044】
本発明について、現在もっとも実用的かつ好適な実施形態と考えられる事項との関連において記載してきたが、本発明が開示した実施形態に限定されるものではなく、逆に、添付の請求項の精神と技術的範囲から逸脱しない各種の改良および等価の構成を包含するものであることは明らかである。