(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1の光ファイバを内蔵しており体内に挿入される内装体と、第2の光ファイバと前記第2の光ファイバの一端側に固定されたフェルールとを含むフェルール組立体、及び前記フェルール組立体に一端が直接または間接に固定され前記内装体を案内する管を有し、光干渉断層撮影装置のロータリジョイントに接続される光コネクタ部とを備える光干渉断層撮影装置用カテーテルを製造する方法であって、
前記第2の光ファイバとして第1の長さの組み込み光ファイバを含む前記フェルール組立体を選択するとともに、前記第1の光ファイバと前記第2の光ファイバとの長さの和が所定の長さとなるように前記第1の光ファイバをカットしたのち、前記第1の光ファイバの一端と前記第2の光ファイバの他端とを互いに融着して融着接続部を形成する第1ステップと、
前記融着接続部を前記管内に挿入する第2ステップとを備え、
前記第1ステップにおいて、前記第1の光ファイバのカットを失敗した場合、若しくは融着を失敗した場合に、第2の光ファイバとして前記第1の長さよりも長い第2の長さの組み込み光ファイバを含む前記フェルール組立体を選択するとともに、前記第1の光ファイバを再びカットし、前記融着接続部を再び形成することを特徴とする、光干渉断層撮影装置用カテーテルの製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば特許文献1,2に記載されたような従来のOCT装置用カテーテルにおいては、ロータリジョイントとの接続部を製造する際、内装体に含まれる光ファイバの基端側の一端にフェルールを取り付けたのち、フェルール端面において光ファイバ端面の研磨を行う必要がある。一般的に内装体は高価であるため、作業を慎重に行う必要があり、多大な作業時間および製造コストを要する。
【0005】
このような問題点に対し、本発明者は、例えば引用文献3〜5に記載されたような構造の光コネクタ(いわゆる融着型現地組立単心光コネクタ)を応用することを考えた。引用文献3〜5に記載された光コネクタは、現地において光ファイバに取り付けることが可能なものであり、フェルールと、該フェルールに取り付けられた短尺光ファイバとを備えている。短尺光ファイバのフェルール側の先端は既に研磨されており、短尺光ファイバの後端と、取り付け対象である光ファイバの先端とが現地にて融着接続される。このような構造をOCT装置用カテーテルに応用することによって、研磨工程を省略可能であり、上記の問題点が解消する。また、このような光コネクタは安価であり、製造コストを低減することもできる。
【0006】
しかしながら、このような方式には、次の課題が存在する。OCT装置用カテーテルでは、干渉波形を観測するために、光ファイバの光路長を所定の長さにする必要がある。光路長の許容誤差は、例えば±5mm、±2mmといった小さな値である。一方、引用文献3〜5に記載された光コネクタでは、短尺光ファイバの長さは一定である。従って、短尺光ファイバと内装体側の光ファイバとの融着接続部分が破断してしまうと、再度融着させる際に内装体側の光ファイバが若干短くなってしまうため、所定の光路長の許容誤差内に収まらないおそれがある。
【0007】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、作業時間を短縮しつつ製造コストを抑えることができ、且つ短尺光ファイバと内装体側光ファイバとの融着接続部分の破断を低減することが可能なOCT装置用カテーテルの製造方法、およびOCT装置用カテーテルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明によるOCT装置用カテーテルの製造方法は、第1の光ファイバを内蔵しており体内に挿入される内装体と、第2の光ファイバと第2の光ファイバの一端側に固定されたフェルールとを含むフェルール組立体、及びフェルール組立体に一端が直接または間接に固定され内装体を案内する管を有し、光干渉断層撮影装置のロータリジョイントに接続される光コネクタ部とを備える光干渉断層撮影装置用カテーテルを製造する方法であって、第2の光ファイバとして第1の長さの組み込み光ファイバを含むフェルール組立体を選択するとともに、第1の光ファイバと第2の光ファイバとの長さの和が所定の長さとなるように第1の光ファイバをカットしたのち、第1の光ファイバの一端と第2の光ファイバの他端とを互いに融着して融着接続部を形成する第1ステップと、融着接続部を管内に挿入する第2ステップとを備え、第1ステップにおいて、第1の光ファイバのカットを失敗した場合、若しくは融着を失敗した場合に、第2の光ファイバとして第1の長さよりも長い第2の長さの組み込み光ファイバを含むフェルール組立体を選択するとともに、第1の光ファイバを再びカットし、融着接続部を再び形成することを特徴とする。なお、内装体を案内する管としては、例えば金属管または樹脂管が好適である。
【0009】
また、本発明によるOCT装置用カテーテルは、第1の光ファイバを内蔵しており体内に挿入される内装体と、第2の光ファイバと第2の光ファイバの一端側に固定されたフェルールとを含むフェルール組立体、及びフェルール組立体に一端が直接または間接に固定され内装体を案内する管を有し、光干渉断層撮影装置のロータリジョイントに接続される光コネクタ部と、第2の光ファイバの他端と第1の光ファイバの一端とが互いに融着されて成る融着接続部とを備え、融着接続部が管内に位置することを特徴とする。なお、内装体を案内する管としては、例えば金属管または樹脂管が好適である。
【0010】
また、上記のOCT装置用カテーテルは、光コネクタ部が、内部に第2の光ファイバが挿通されるようにフェルールに一端が固定された筒状のフランジ部材と、フランジ部材の他端に一端が嵌合された筒状の継手部材とを更に有し、継手部材の他端側に管が挿入されて固定されていることを特徴としてもよい。
【0011】
また、上記のOCT装置用カテーテルは、内装体及び光コネクタ部を覆い、内装体及び光コネクタ部の回転の際に静止する外装体を更に備え、外装体は、その内側に内装体または管を支持する支持部を有し、継手部材の他端と支持部との距離が、光コネクタ部の使用回転数の範囲内において管の共振が生じる長さの範囲外であることを特徴としてもよい。
【0012】
また、上記のOCT装置用カテーテルは、継手部材の管が挿入されている部分の他端側における、管の延伸方向に垂直な断面の面積が、該部分の一端側における、管の延伸方向に垂直な断面の面積よりも小さいことを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によるOCT装置用カテーテルの製造方法、およびOCT装置用カテーテルによれば、作業時間を短縮しつつ製造コストを抑えることができ、且つ短尺光ファイバと内装体側光ファイバとの融着接続部分の破断を低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら本発明によるOCT装置用カテーテルの製造方法、およびOCT装置用カテーテルの実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係るOCT装置用カテーテル1Aを外皮を取り除いた状態で示す斜視図である。
図1に示されるように、本実施形態のOCT装置用カテーテル1Aは、体内に挿入される内装体(トルクワイヤ)10と、OCT装置のロータリジョイントに接続される光コネクタ部30とを備えている。内装体10の先端には、体内に光を照射し、干渉光を取り込むためのレンズ12が取り付けられている。内装体10は、光コネクタ部30とレンズ12とを光学的に結合する光ファイバ(第1の光ファイバ)を内蔵している。内装体10の基端部(体内に挿入されない部分)は、後述する金属管20の一端に挿入され、長手方向に移動可能な状態で保持されている。
【0017】
光コネクタ部30について更に詳しく説明する。
図2は、光コネクタ部30の分解斜視図である。
図3は、光コネクタ部30の長手方向に沿った断面図である。
【0018】
本実施形態の光コネクタ部30は、いわゆる融着接続型SCコネクタである。
図2及び
図3に示されるように、光コネクタ部30は、フェルール組立体31と、フェルール組立体31に一端が直接または間接に固定され内装体10を案内する金属管20と、金属管20をフェルール組立体31に固定するための継手部材32と、フェルール組立体31及び継手部材32を収容するプラグハウジング33と、プラグハウジング33を覆うツマミ34とを備えている。金属管20は、プルバック等の際に内装体10を長手方向に案内するとともに、内装体10の基端部を屈曲しないように保持する。
【0019】
フェルール組立体31は、所定の長さの短尺光ファイバ(第2の光ファイバ、組み込み光ファイバともいう)35と、短尺光ファイバ35の一端側に固定されて短尺光ファイバ35を保持する略円柱状のフェルール36と、フェルール36に固定された金属製の筒状のフランジ部材37とを含んで構成されている。フェルール36は、その中心軸線に沿って短尺光ファイバ35を保持する。フェルール36の先端面(前端面)は、短尺光ファイバ35の中心軸線に垂直な面に対して所定の角度(例えば8度)に研磨されている。
【0020】
短尺光ファイバ35は、フェルール組立体31から金属管20側に所定長だけ延び出ている。短尺光ファイバ35の金属管20側の端面には、内装体10に内蔵された光ファイバの基端側の端面が融着接続される。後述するように、内装体10に内蔵された光ファイバと短尺光ファイバ35との融着接続部は、金属管20の内部に位置している。
【0021】
図4は、本実施形態におけるフェルール組立体31及び継手部材32の詳細な構成を示す拡大断面図である。
図5は、継手部材32の形状を示す図であって、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は背面図、(d)は側断面図である。
【0022】
フランジ部材37は、短尺光ファイバ35の軸線方向に沿って延びる円筒形状を呈しており、その一端がフェルール36の他端部に嵌合固定されており、その内部に短尺光ファイバ35が挿通されている。フランジ部材37は、短尺光ファイバ35の軸線方向と交差する方向に突出したフランジ部37aを有しており、このフランジ部37aは、プラグハウジング33の内壁面に形成された凸部に当接することにより、フェルール組立体31の位置決めに寄与する。
【0023】
また、フランジ部材37の内径は短尺光ファイバ35の直径よりも十分に大きい。フランジ部材37と短尺光ファイバ35との隙間には、短尺光ファイバ35を保持するための樹脂38が充填されている。樹脂38は、例えばエポキシ樹脂、アクリル樹脂といった樹脂材料から成る。
【0024】
継手部材32は、金属管20をフェルール組立体31に固定するための部材である。
図5に示されるように、継手部材32は、略円筒形状を呈しており、第1の内径L1を有する一端側の前部32aと、第1の内径L1よりも小さい第2の内径L2を有する他端側の後部32bとを含んでいる。前部32aにフランジ部材37の他端部が挿入されることにより、継手部材32の他端部とフランジ部材37の一端部とが嵌合固定されている。後部32bには、金属管20の基端部が挿入されて固定されている。短尺光ファイバ35は、前部32aから後部32bにわたって挿通されている。継手部材32は、例えばSUS304といった材料から成る。
【0025】
なお、短尺光ファイバ35の軸線方向に沿った継手部材32の長さは、プラグハウジング33の内部に収まる程度であることが望ましいが、継手部材32がロータリジョイントとの接合部材(高速で回転する光コネクタ部30を覆う部材)の内部に収容されていれば、プラグハウジング33の内部に収まらない長さであってもよい。
【0026】
また、OCT装置用カテーテル1Aが使用される際、光コネクタ部30は高速で回転する。このとき、金属管20を介して内装体10に回転力が伝えられるが、金属管20の材料及び構造によっては、固有角振動数において共振が生じることがある。従って、継手部材32は、このような共振を防ぐような長さを有することが望ましい。
【0027】
図6は、一変形例に係る光コネクタ部30の長手方向に沿った断面図である。OCT装置用カテーテル1Aは、外装体41を更に備えている。外装体41は、内装体10及び光コネクタ部30を覆う筒状の部材であり、その一端がOCT装置に固定され、内装体10及び光コネクタ部30の回転の際に静止する。この外装体41と内装体10との隙間は、例えば生理食塩水といった液体によって満たされている。外装体41は、その内側に、内装体10または金属管20を支持する支持部42を有する。支持部42は、多くの場合、金属管20を把持する。一実施例では、支持部42は、光コネクタ部30への上記液体の流入を阻止するための止水弁である。金属管20の共振を防ぐために、継手部材32の長さは、継手部材32の他端32cと支持部42との距離Lが、光コネクタ部30の使用回転数(例えば、0rpm〜12000rpm)の範囲内において、金属管20の共振が生じる長さの範囲外となるように定められるとよい。
【0028】
ここで、金属管20に共振が生じる距離Lは、次のようにして求められる。すなわち、継手部材32の他端32cと支持部42との距離をL、金属管20の曲げ剛性(ヤング率)をE、金属管20の断面二次モーメントをI、共振の次数をi、金属管20の密度をρ、金属管20の中心軸線に垂直な断面の面積をAとすると、金属管20の固有角振動数p
i(ラジアン/秒)は、次の数式(1)によって表される。
【数1】
【0029】
つまり、距離Lが長いほど、共振周波数は小さくなる。上記の数式(1)において、固有角振動数p
iを光コネクタ部30の使用回転周波数に換算し、該使用回転周波数に対応する距離Lの値を算出することによって、金属管20に共振が生じる距離Lの範囲が求まる。継手部材32の長さは、距離Lがその範囲外となるように定められるとよい。なお、支持部42は外装体41に固定されているので、プルバック動作の際に支持部42は静止する。従って、プルバック動作によって継手部材32が軸方向に移動すると、距離Lが変化する。上記の距離Lの範囲は、このような変化をも考慮して定められるとよい。具体的には、固有角振動数p
iが使用回転周波数の1.25倍以上となるように、言い換えれば使用回転周波数が固有角振動数の0.8倍未満となるように、距離Lを決定し、継手部材32の長さを定めるとよい。
【0030】
また、共振による金属管20の損傷を低減するために、金属管20は、塑性変形しにくい材料(例えばSUS304)によって構成されていると尚良い。
【0031】
図7は、別の変形例に係る光コネクタ部30の長手方向に沿った断面図である。
図7に示される構成では、継手部材32の他端32cと支持部42との間において、外装体41は、第一の内径D1を有する部分と第一の内径D1よりも小さな第二の内径D2を有する部分(狭窄部)を含む。このような場合、当該狭窄部が別の支持部41aと見なされてもよい。そして、上記の距離Lは、継手部材32の他端32cと当該支持部41aとの距離として定められてもよい。
【0032】
図8は、内装体10に内蔵された光ファイバ14(第1の光ファイバ)の基端側の一端と、短尺光ファイバ35(第2の光ファイバ)の他端とが互いに融着されて成る融着接続部Sを示す図である。OCT装置用カテーテル1Aは、このような融着接続部Sを更に備えている。同図に示されるように、融着接続部Sは、金属管20の内部に位置しており、破断を防ぐため金属管20によって保護されている。好ましくは、光ファイバ14のファイバ心線と、短尺光ファイバ35のファイバ心線とが露出している箇所に、これらのファイバ心線を保護するための保護機構が設けられるとよい。このような保護機構としては、例えば接着剤により固定されたチューブ、熱収縮チューブ、ペン等を用いて塗布された硬化剤など、種々の構造が適用される。
【0033】
以上の構成を備えるOCT装置用カテーテル1Aの製造方法について、以下に説明する。
図9は、OCT装置用カテーテル1Aの製造方法を示すフローチャートである。
【0034】
図9に示される第1ステップS10では、まず、異なる長さの短尺光ファイバ35を含む複数のフェルール組立体31を準備する(ステップS11)。次に、複数のフェルール組立体31の中から、短尺光ファイバ35が或る長さ(第1の長さ)であるフェルール組立体31を選択する(ステップS12)。そして、光ファイバ14と短尺光ファイバ35との長さの和が所定の長さ、すなわち干渉波形を観測するために必要な光路長となるように光ファイバ14をカットする(ステップS13)。その後、光ファイバ14の一端と短尺光ファイバ35の他端とを互いに融着して融着接続部Sを形成する(ステップS14)。
【0035】
この第1ステップS10において、光ファイバ14のカット(ステップS13)や融着(ステップS14)を失敗することがある(ステップS15;No)。そのような場合、上記第1の長さよりも長い第2の長さの短尺光ファイバ35を含むフェルール組立体31を選択する(ステップS12)。そして、光ファイバ14と短尺光ファイバ35との長さの和が所定の長さとなるように光ファイバ14を再びカットし(ステップS13)、融着接続部Sを再び形成する(ステップS14)。
【0036】
また、この第1ステップS10において、光ファイバ14及び短尺光ファイバ35の光路長や融着接続部Sの融着状態を検査してもよい(ステップS16)。その結果、光ファイバ14及び短尺光ファイバ35の光路長が許容誤差範囲から外れていたり、融着状態が良好ではない場合には、上記第1の長さよりも長い第2の長さの短尺光ファイバ35を含むフェルール組立体31を選択し(ステップS12)、光ファイバ14と短尺光ファイバ35との長さの和が所定の長さとなるように光ファイバ14を再びカットし(ステップS13)、融着接続部Sを再び形成するとよい(ステップS14)。
【0037】
上記第1ステップS10ののち、第2ステップS20において、融着接続部Sを金属管20内に挿入するとともに、継手部材32を介して金属管20をフェルール組立体31に取り付ける。その後、フェルール組立体31をプラグハウジング33内に収容し、ツマミ34を組み付けることによって本実施形態のOCT装置用カテーテル1Aが完成する。
【0038】
以上に説明した、本実施形態のOCT装置用カテーテル1A及びその製造方法によって得られる効果について説明する。前述したように、従来のOCT装置用カテーテルでは、ロータリジョイントとの接続部を製造する際、内装体に含まれる光ファイバの基端側の一端にフェルールを取り付けたのち、フェルール端面において光ファイバ端面の研磨を行う必要がある。一般的に内装体は高価であるため、作業を慎重に行う必要があり、多大な作業時間および製造コストを要する。
【0039】
このような問題に対し、OCT装置用カテーテル1Aでは、光コネクタ部30が短尺光ファイバ35を有しており、内装体10に内蔵された光ファイバ14とこの短尺光ファイバ35とが互いに融着されている。また、OCT装置用カテーテル1Aの製造方法においても、
図9のステップS14にて、短尺光ファイバ35と光ファイバ14とを互いに融着接続する。このような構造および方法では、短尺光ファイバ35としてフェルール側端面が予め研磨されたものを用いることが可能であり、内装体10に内蔵された光ファイバ14を直接研磨する必要がないので、作業を短時間で且つ簡易に行うことができる。また、短尺光ファイバ35を有するフェルール組立体31としてSC光コネクタの部品を流用することが可能であり、製造コストを抑えることができる。
【0040】
また、OCT装置用カテーテル1Aでは、融着接続部Sが金属管20の内部に位置している。OCT装置用カテーテル1Aの製造方法においても、第2ステップS20において、融着接続部Sを金属管20内に挿入する。これにより、融着接続部Sが金属管20によって効果的に保護されるので、融着接続部Sの破断を低減することができる。
【0041】
また、フェルール組立体31としてSC光コネクタの部品を単に流用するだけでは、以下の課題が生じる。
図10は、その問題点を説明するための図であって、内装体10、金属管20、及びフェルール組立体31を概略的に示している。いま、
図10(a)に示されるように、融着接続部Sにおいて短尺光ファイバ35と光ファイバ14とを互いに融着したものとする。このとき、融着に失敗すると、光ファイバ14をカットして別のフェルール組立体31の短尺光ファイバ35と融着し直す必要がある。しかしながら、光ファイバ14をカットすることにより光ファイバ14が短くなり過ぎてしまうと、
図10(b)に示されるように光ファイバ14と短尺光ファイバ35とを合わせた光路長が所定長さよりも短くなるので、そのような内装体10は使用できなくなってしまう。内装体10は非常に高価なものであるため、内装体10が使用できなくなることは好ましくない。なお、このような課題は、光ファイバ14のカットを失敗してしまった場合にも生じ得る。
【0042】
そこで、本実施形態による製造方法では、第1ステップS10において、光ファイバ14のカットを失敗した場合、若しくは融着を失敗した場合に、更に長い短尺光ファイバ35を有するフェルール組立体31を選択し、光ファイバ14を再びカットしたのち、融着接続部Sを再び形成する。これにより、
図10(c)に示されるように、光ファイバ14と短尺光ファイバ35とを合わせた光路長を所定長さに合わせることが可能となり、内装体10を継続して使用することができる。
【0043】
また、本実施形態のOCT装置用カテーテル1Aでは、光コネクタ部30が、内部に短尺光ファイバ35が挿通されるようにフェルール36に一端が固定されたフランジ部材37と、フランジ部材37の他端に一端が嵌合された筒状の継手部材32とを有しており、継手部材32の他端側に金属管20が挿入されて固定されている。OCT装置用カテーテル1Aがこのような構造を備えることにより、金属管20を強固に固定し、金属管20と融着接続部Sとの接触を抑えて融着接続部Sの破断を更に低減することができる。
【0044】
また、本実施形態のOCT装置用カテーテル1Aでは、継手部材32の他端32cと支持部42又は41aとの距離Lが、光コネクタ部30の使用回転数の範囲内において金属管20の共振が生じる長さの範囲外となるように、継手部材32の長さが定められている。これにより、金属管20の共振による振動を回避して、患者への負担を低減することができる。
【0045】
(第1変形例)
図11は、上記実施形態の一変形例として、フェルール組立体31と金属管20との固定構造の別の例を示す図である。
図11に示されるように、本変形例では、フランジ部材37と短尺光ファイバ35との隙間に樹脂が充填されておらず、金属管20はフランジ部材37に挿入され、固定されている。金属管20の一端は、フェルール36の他端面に接している。
【0046】
フェルール組立体31と金属管20との固定構造は、このような構造であってもよい。この場合であっても、上述した実施形態と同様に、作業を短時間で且つ簡易に行うことができ、且つ製造コストを抑えることができる。また、融着接続部Sが金属管20の内部に位置することにより、融着接続部Sが金属管20によって効果的に保護されるので、融着接続部Sの破断を低減することができる。
【0047】
但し、SCコネクタ用のフェルール組立体31ではフランジ部材37が短いため、金属管20を十分に固定できない場合がある。金属管20を十分に固定できないと、ロータリジョイントによるOCT装置用カテーテル1Aの高速回転時に金属管20が安定しないおそれがある。そのような場合には、上記実施形態のように継手部材32を介してフェルール組立体31と金属管20とを相互に固定するとよい。
【0048】
(第2変形例)
図12は、上記実施形態の別の変形例として、継手部材43の形状を示す図である。
図12(a)は継手部材43の延伸方向に沿った側断面図であり、
図12(b)は継手部材43の延伸方向に垂直なXIb−XIb断面を示す断面図であり、
図12(c)は継手部材43の延伸方向に垂直なXIc−XIc断面を示す断面図である。
【0049】
光コネクタ部30は、上記実施形態の継手部材32に代えて、
図12に示される継手部材43を備えてもよい。上記実施形態の継手部材32では、
図5に示されるように、後部32b、すなわち継手部材32において金属管20が挿入されている部分の内径及び外径が一定、言い換えれば該部分の延伸方向に垂直な断面の面積が一定となっている。これに対し、本変形例の継手部材43では、金属管20が挿入されている後部43bの他端側における、金属管20の延伸方向に垂直な断面A2(
図12(c)を参照)の面積が、後部43bの一端側における、金属管20の延伸方向に垂直な断面A1(
図12(b)を参照)の面積よりも小さい。具体的には、後部43bの一端側と他端側との間に、一端側から他端側に向けて外径が徐々に小さくなるテーパ部43cが設けられている。そして、テーパ部43cから一端までの部分43dの外径がD1となっており、テーパ部43cから他端までの部分43eの外径がD2(<D1)となっている。
【0050】
金属管20においては、継手部材に保持される部分と保持されない部分との境界(すなわち継手部材の他端付近)において応力集中が生じ、最も大きな曲げ応力が生じる。本変形例のように、継手部材の後部の曲げ剛性が他端に近づくほど小さくなっていることにより、金属管20の応力集中を回避して、金属管20の損傷を低減することができる。
【0051】
なお、本変形例における継手部材の形状は、
図12に示されるものに限定されない。
図13は、本変形例に係る別の継手部材44の形状を示す図であって、継手部材44の延伸方向に沿った側断面図である。
図13に示される継手部材44の後部44bでは、テーパ部44cが継手部材44の他端まで達している。このような形態であっても、本変形例の効果を好適に奏することができる。
【0052】
以上、本発明に係るOCT装置用カテーテルの製造方法、およびOCT装置用カテーテルの好適な実施形態について説明したが、本発明は必ずしも上記各実施形態に限られず、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。例えば、上記各実施形態では光コネクタ部が融着接続型SCコネクタである場合を例示したが、光コネクタ部は、融着接続型SCコネクタ以外の融着接続型コネクタであってもよい。また、上記各実施形態では、内装体を案内する管の例として金属管を例示したが、管は例えば樹脂等の他の材料からなるものであってもよい。