(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記安定化システムは、原子蒸気を含む原子蒸気セルを備え、前記原子蒸気を通して前記光ビームの一部分が供給され、前記システムはさらに、前記安定化システムが生成するフィードバック信号に応答して、前記光ビームの所定の中心周波数を前記原子蒸気の原子遷移周波数とほぼ等しく設定するように構成される変調システムを備え、前記フィードバック信号は、前記原子蒸気セルを通して供給される前記光ビームの前記一部分の強度の、前記光ビームの前記周波数変調の周波数とほぼ等しい周波数での復調に基づき生成される、請求項1に記載のシステム。
前記光共振器は、複数の力再平衡電極を備え、前記複数の力再平衡電極は、前記光共振器の軸方向長さ部分に沿った外部加速度に対応する前記共振光ビームの前記強度の変化に応じて前記第2の鏡に力を加えるように構成され、前記力の大きさは前記外部加速度の大きさに対応する、請求項1に記載のシステム。
前記複数の力再平衡電極はさらに、前記共振光ビームの信号対雑音比(SNR)を増加させるために、前記力を加えて前記所定の中心周波数の波長の整数倍に対応するニュート
ラル位置に対する前記第2の鏡の振動運動を得るように構成される、請求項3に記載のシステム。
前記共振光ビームの強度は、前記外部加速度の大きさを計算するために、前記第2の鏡の振動運動の周波数とほぼ等しい周波数で復調される、請求項4に記載のシステム。
前記複数の力再平衡電極は、前記ニュートラル位置における前記共振光ビームのピーク強度と関連付けられたフィードバックに基づいて、前記ニュートラル位置に対する前記第2の鏡の振動運動を得るように構成される、請求項4に記載のシステム。
前記光共振器は第1の光共振器であり、前記システムはさらに、第2の光共振器および第3の光共振器を備え、前記第2の光共振器および前記第3の光共振器のそれぞれは、前記それぞれの第2および第3の光共振器の軸方向長さ部分の第1の端部の第1の鏡と、それぞれの前記第2および第3の光共振器の前記軸方向長さ部分の第2の端部の第2の鏡とを備え、前記第2および第3の光共振器の前記第2の鏡は前記それぞれの第2および第3の光共振器の前記軸方向長さ部分に沿って可動であり、前記第2および第3の光共振器のそれぞれは、前記光ビームのそれぞれの部分を受信し、およびそれぞれの共振光ビームを放射するように構成され、前記第1、第2および第3の光共振器は、3軸加速度計システムとしての前記加速度計システムを実装するために互いに直角に配置される、請求項1に記載のシステム。
原子蒸気を含む原子蒸気セルであって、前記原子蒸気を通して前記光ビームが供給され、前記光ビームはさらに原子蒸気の歳差運動を容易にするように構成され、前記安定化システムは、前記原子蒸気セルを通して供給される前記光ビームの強度に基づいて、前記光ビームの所定の中心周波数を前記原子蒸気の原子遷移周波数とほぼ等しく安定させるように構成される、原子蒸気セルと、
感知軸に対する前記NMRジャイロスコープ・ATLAS組合せシステムの回転を決定するために、前記原子蒸気セルを通して供給される光プローブビームを生成するように構成されるプローブレーザーと
を備える、請求項9に記載のシステム。
前記力再平衡信号設定工程は、前記ニュートラル位置における前記共振光ビームのピーク強度と関連付けられたフィードバックに基づき、前記力再平衡信号の大きさを設定して前記ニュートラル位置に対する前記第2の鏡の振動運動を維持する工程を含む、請求項11に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、一般にセンサシステムに関し、具体的には光学加速度計システムおよび方法に関する。光学加速度計システムは、第1の軸端に第1の鏡と、第2の軸端に第2の鏡とを有する光共振器を含む。第2の鏡は、屈曲部を介して光共振器のハウジングに結合されることなどに基づき、軸方向長さ部分に沿って可動にされる。光学加速度計システムは、光ビーム源(例えば、レーザー)を含むことができ、この光ビーム源は、所定の中心周波数を有すると共にこの中心周波数に対して周波数変調されている光ビームを供給する。一例として、中心周波数は、蒸気セル内などで得られる原子蒸気の遷移周波数にほぼ同調される。光ビームは、光共振器に対して供給されることができ、また光共振器から共振光ビームとして放射される。光学加速度計システムは、共振光ビームの強度を監視して軸方向長さ部分に沿った外部加速度の大きさを計算できる加速度検出システムを含む。例えば、加速度検出システムは、中心周波数の波長の整数倍に対応するニュートラル位置に対する第2の鏡の振動運動を得るために力(例えば、静電気力、電磁力、または他の力)を加える力再平衡電極を制御するように構成される。こうして、加速度検出システムは、共振光ビームの強度に応じて、ニュートラル位置に対する振動運動を維持する力に対応する力再平衡信号の大きさを変化させることができ、その結果、この力再平衡信号の変化が外部加速度の大きさに対応可能となる。
【0011】
光学加速度システムは、原子遷移ロック加速度センサ(ATLAS)・核磁気共鳴(NMR)ジャイロスコープ組合せシステムの一部として含まれ得る。この組合せシステムは光学加速度計を含むことができ、また、原子蒸気(例えば、アルカリ金属蒸気)を備えた原子蒸気セルを含むNMRジャイロスコープを含むこともできる。光ビームは、光ビームの第1の部分が光共振器で得られ、光ビームの第2の部分が原子蒸気セルを通して得られるように分割される。したがって、光ビームの第2の部分は光ポンプビームとして作用して、アルカリ蒸気粒子の歳差運動を容易にする(例えば、円偏光によって)。加えて、光ビームの中心周波数は原子蒸気の遷移周波数に同調されるので、光ビームの第2の部分はまた、光ビームの中心周波数を安定させるように実装される。この光ビームは、安定化された中心周波数に対して周波数変調されるので、この安定化は、外部加速度の測定とは独立して行われる。
【0012】
図1は、光学加速度計システム10の一例を示す。光学加速度計システム10は、感知軸に沿った光学加速度計システム10の外部加速度を計算するように構成される。本明細書で説明するように、外部加速度は、外力により生じる光学加速度計システム10の物理的ハウジングの加速度と定義され、この外力は、光学加速度計システム10の物理的ハウジングに加えられ、重力、ならびに他の外力により生じる加速を含み得る。
【0013】
光学加速度計システム10は光ビーム源12を含み、この光ビーム源は、レーザー(例えば、垂直共振器表面発光レーザー(VCSEL)もしくは分布ブラッグ反射器(DBR)レーザー)として、または外部光源から生成した光ビームを供給する光ファイバもしくは導波管として構成されてもよい。光ビーム源12は、所定の周波数に同調させる光ビームO
OAを生成する。一例として、光ビームO
OAは、所定の中心周波数を有することができ、この中心周波数に対して周波数変調される。一例として、周波数変調により光ビームO
OAの波長に非常に小さな変化を生じさせる(例えば、約±0.001ナノメートル以下)。
図1の例では、光ビーム源12は、変調システム14によって生成された変調された電流などの電気的刺激に応答して、光ビームO
OAを生成する。一例として、変調システム14は、電気信号MOD(例えば、電流)を供給することができ、この信号は、所定の中心周波数に対応するDC振幅を有し、電気信号MOD上のAC信号によって変調されて光ビームO
OAの周波数変調を行う。本明細書で説明するように、変調システム14は、光ビーム源12が光ビームO
OAを安定して供給するように、フィードバックに基づいて電気信号MODを供給して中心周波数を所定の中心周波数の値に維持する。
【0014】
光ビームO
OAは光共振器16において得られる。一例として、光共振器16はファブリペロー光共振器として構成される。光共振器16は、軸方向長さ部分の第1の端部の第1の鏡18と、軸方向長さ部分の反対側の第2の端部の第2の鏡20とを、光ビームO
OAが軸方向長さ部分に沿って第1の鏡18と第2の鏡20との間で共振するように含む。一例として、第1の鏡18は、第1の鏡18を通して光ビームO
OAを光共振器16に対して供給できるように、光共振器16と反対側の面で少なくとも部分的に透過性である。第2の鏡20は、第2の鏡20を通して光ビームO
OAの一部分を共振光ビームO
DETとして放射できるように、部分的に透過性である。別の例として、光学加速度計システム10は、光共振器16の軸方向長さ部分に対して非軸方向などに光ビームO
OAを光共振器16に対して導くように構成される、1組の光学部品を含む。さらに、光共振器16は、光ビームO
OAを1次元で共振させることに限定されるものではなく(例えば、ファブリペロー光共振器のように)、光ビームO
OAを第1の鏡18と第2の鏡20との間で複数の軸に沿って共振させる光学部品を含むこともできる。
【0015】
光共振器16は、光ビームO
OAの所定の中心周波数の波長の整数倍である公称長さを有する。しかし、光共振器16の第2の鏡20は、光共振器16の公称長さに対応する第2の鏡のニュートラル位置に対して、光共振器16の軸方向長さ部分に沿って可動である
。一例として、第2の鏡20は、屈曲部を介して光共振器16のハウジングに結合されてもよい。したがって、第2の鏡20は、外部加速度に応じて動く。
図1の例では、光共振器16は電極22を含んでおり、電極22は第2の鏡20の力再平衡を得るために力(例えば、静電気力、電磁力、または他の力)を加えるように構成される。第2の鏡20をニュートラル位置に維持するのに必要な力再平衡の大きさは、共振光ビームO
DETの大きさに基づいて決定されてもよい。
【0016】
図1の例では、光学加速度計システム10はまた、加速度検出システム24を含む。加速度検出システム24は、第2の鏡20をニュートラル位置に維持するために、共振光ビームO
DETの強度を監視し、かつ力再平衡信号FRBを電極22に供給するように構成される。一例として、加速度検出システム24は、光ビームO
OAの周波数変調の周波数で共振光ビームO
DETを復調する。その結果、加速度検出システム24は、軸方向に沿った光共振器16の外部加速度により生じた第2の鏡20の位置の変化を決定する。したがって、加速度検出システム24は、復調された共振光ビームO
DETの強度に基づいた力を加えるために電極22に力再平衡信号FRBを供給する。その結果、この力は、フィードバックの方法により第2の鏡20をニュートラル位置まで動かして、外部加速度により生じた第2の鏡20の動きを実質的に相殺する。この力によって第2の鏡20をニュートラル位置まで動かすための力再平衡信号FRBの大きさは、外部加速度の大きさに比例し得る。それに応じて、加速度検出システム24は、
図1の例で加速度検出システム24からの出力である信号ACCLとして示されている外部加速度の大きさを計算する。加えて、本明細書で説明するように、力再平衡信号FRBを、ニュートラル位置に対して第2の鏡20が振動運動を行うように変調する。
【0017】
図2は、光共振器システム50の一例を示す。光共振器システム50は、
図1の例の光共振器16に対応する。したがって、
図2の例についての以下の説明の中では、
図1の例で使用されたものと同様の参照番号が使用される。
【0018】
光ビームO
OAは、第1の鏡18の第1の面52を通して供給されるものとして示されており、そのため、第1の面52は、光ビームO
OAが少なくとも部分的に透過するものであり得る。したがって、光ビームO
OAは、光共振器内の第1の鏡18と第2の鏡20との間で、共振ビーム54として共振する。第2の鏡20は、共振ビーム54の一部分が共振光ビームO
DETとして光共振器システム50から放射されるように、部分的に反射性であってもよい(例えば、90%以上の反射性)。
図2の例では、第1の鏡18と第2の鏡20とは、光信号O
OAの中心周波数の波長の整数倍に対応し得るニュートラル位置において、距離「L」だけ名目上離れている。第2の鏡20は、光共振器システム50の軸方向長さ部分に沿って可動にされてもよい(例えば、共振ビーム54と平行に)。したがって、上述したように、共振光ビームO
DETは、外部加速度により生じる第2の鏡20の動きを共振光ビームO
DETの強度で表すように、加速度検出システム24に供給されてもよい。
【0019】
光共振器システム50は電極22を含んでおり、電極22は第2の鏡20の力再平衡を得るために、力再平衡信号FRBに基づいて力を加える。第2の鏡20をニュートラル位置に維持するのに、すなわち第1の鏡18と第2の鏡20との間の距離「L」を維持するのに必要な力再平衡の大きさは、上述したように、共振光ビームO
DETの大きさに基づいて決定される。加えて、力再平衡信号FRBを、電極22によって与えられた力に基づくニュートラル位置に対する第2の鏡20の振動運動が得られるように変調する。
図2の例では、第2の鏡20は、光共振器システム50の全長を「L」から「L+X」に増加させ、また光共振器システム50の全長を「L」から「L−X」に減少させるように振動する。一例として、第2の鏡20の物理的振動は、周波数変調により生じる光ビームO
OAの波長の変化よりも著しく大きくてもよい。例えば、Xは10ナノメートル以上とする。
一例として、本明細書で説明するように、加速度検出システム24は、振動運動を実装するそれぞれの制御方式に基づいた共振光ビームO
DETの強度に対応するDC変調信号を生成するために、第2の鏡20の振動運動の周波数で共振光ビームO
DETを復調するように構成される。
【0020】
図3は、共振光ビームの透過のグラフ100の一例を示す。グラフ100は、第2の鏡20を通過し、そうして
図1の例における光共振器16、または
図2の例における光共振器システム50から放射される、共振光ビームO
DETの透過に対応し得る。グラフ100において「N」で示されるニュートラル位置では、共振光ビームO
DETは約100%のピーク透過T1を有し、したがって、第2の鏡20を実質的に完全に透過する。加えて、グラフ100は、第2の位置「−X」および第3の位置「+X」を示し、これらは、ニュートラル位置「N」に対する第2の鏡20の振動運動のそれぞれの境界に対応し得る。第2の位置「−X」において、共振光ビームO
DETは透過T2を有し、第3の位置「+X」において、共振光ビームO
DETは、透過T2とほぼ等しい透過T3(例えば、約90%)を有する。上述したように、光ビームO
OAを、光共振器システム50の全長「L」が中心周波数の波長の整数倍に対応できるように、中心周波数に対して周波数変調する。したがって、
図3の例における共振光ビームO
DETの透過T1、T2、およびT3は共振光ビームO
DETの中心周波数に対応し、ニュートラル位置「N」は、中心周波数の波長の整数倍に設定されている光共振器システム50の全長「L」に対応することが理解されるであろう。
【0021】
加速度検出システム24は、第2の鏡20の振動運動を実装するために、ベースライン値において力再平衡信号FRBを生成するように構成され、また、ニュートラル位置「N」に対する振動運動をフィードバックの方法により維持するために、力再平衡信号FRBをフィードバックの方法により調整する。力再平衡信号FRBの調整は、第2の鏡20の振動運動に影響を及ぼす可能性がある外部加速度および/または他の要因を補償するように行われる。加速度検出システム24は、振動運動のほぼ中心をピーク振幅透過T1に固着することに基づいて力再平衡信号FRBを調整するように構成される。言い換えると、加速度検出システム24は、ニュートラル位置「N」に対応する共振光ビームO
DETのピーク強度を特定することに基づいて、ニュートラル位置「N」に対応するピーク透過T1のところに振動運動のほぼ中心を維持するための力再平衡信号FRBを設定するように、ベースライン値を調整する。上述したように、共振光ビームO
DETを、共振光ビームO
DETの強度に対応するDC変調された信号が得られるように、第2の鏡20の振動運動の周波数によって復調する。
【0022】
第2の鏡20の振動運動は、力再平衡信号FRBのベースライン値の修正に関して、様々な態様で実装される。第1の例として、加速度検出システム24に、力再平衡信号FRBの時間ベース制御アルゴリズムを実装する。例えば、加速度検出システム24は、計算された外部加速度の大きさに基づく所定の持続時間のそれぞれの中で、それぞれの力を第2の鏡20に対して反対方向に電極22を介して加えるように、力再平衡信号FRBを供給する。言い換えると、「+X」方向および「−X」方向の力を加える相対時間は、共振光ビームO
DETのピーク強度のニュートラル位置「N」からのオフセットに基づいて、動的に調整する。第2の例として、加速度検出システム24に、力再平衡信号FRBのACディザ制御アルゴリズムを実装する。例えば、加速度検出システム24は、電極22を介してそれぞれの力を加えるために、力再平衡信号FRBのDC信号成分の大きさが共振光ビームO
DETのピーク強度のニュートラル位置「N」からのオフセットに基づいて調整されるよう、力に対応し、かつDC信号成分上のAC信号成分を変調する、力再平衡信号FRBのDC信号成分を供給する。第3の例として、加速度検出システム24に、力再平衡信号FRBの検出制御アルゴリズムを実装する。例えば、加速度検出システム24は、AC信号成分をDC復調信号の上に加えること、およびピーク強度における共振光ビー
ムO
DETの強度に対応するためのオフセットに基づいて、電極22を介してそれぞれの力を加えるための力再平衡信号FRBを供給する。したがって、結果として得られる変調されたDC信号は、電極22に力を加えるための力再平衡信号FRBに変換される。他の例が、外部加速度の検出および計算と合わせて第2の鏡20の振動運動を得るための制御方式に関して存在し得る。
【0023】
上述したように、光ビーム源12の安定化のために、光ビームO
OAを中心周波数に対して周波数変調する。
図1の例に戻って参照すると、光学加速度計システム10は、光ビームO
OAの中心周波数を実質的に安定させるように構成される安定化システム26を含む。安定化システム26は、光ビームO
OAの一部分の周波数を高安定周波数基準と比べて監視するように構成される。例えば、安定化システム26は、アルカリ金属蒸気(例えば、セシウム、ルビジウム、カリウム)などの原子蒸気を備える原子蒸気セルを含む。光ビームO
OAの中心周波数は、原子蒸気の遷移周波数(例えば、D1またはD2遷移周波数)に同調されることができ、光ビームO
OAの一部分は、原子蒸気セル中に導かれる。したがって、原子蒸気セルを出る光ビームO
OAの一部分の強度を監視して、その光ビームO
OAの原子遷移基準周波数に対応する波長を決定する。一例として、安定化システム26は、光ビームO
OAの周波数変調の周波数で光ビームO
OAの強度を復調する。したがって、安定化システム26は、光ビームO
OAの中心周波数を安定させるために、中心周波数が原子蒸気セル内の原子蒸気の遷移周波数に維持されるよう、変調システム14に供給されるフィードバック信号FDBKを生成する。したがって、光学加速度計システム10は、原子遷移ロック加速度センサ(ATLAS)として実装される。それに応じて、光ビームO
OAは、ニュートラル位置「N」に対する第2の鏡20の動きに基づいた外部加速度の計算のために、非常に安定した態様において実装される。
【0024】
上述したように、光ビームO
OAは、中心周波数に対して周波数変調される。したがって、光ビームO
OAは、外部加速度の計算とは独立して安定化される。言い換えると、外部加速度の大きさの計算は、光ビームO
OAの波長に影響を及ぼし得る光ビーム源12の電子ドリフトおよび/または温度ドリフトなどの誤差源とは区別可能にされる。加えて、上述したように、力再平衡信号FRBは、外部加速度の関連計算のために外部加速度に応じて第2の鏡20の力再平衡を得ることに加えて、第2の鏡20の振動運動が得られるように実装される。第2の鏡20の振動運動は、費用対効果がより大きい光学加速度計システム10の解決策を維持しながら、外部加速度の検出の信号対雑音比(SNR)を大幅に増加するように実装される。一例として、第2の鏡20の振動運動の実装により、第2の鏡20の製造における精密さは、典型的な光共振器に実装される鏡よりも著しく低くてもよくなる可能性がある。言い換えると、光共振器16内の第2の鏡20の振動運動が存在しなければ、光共振器16の第1の鏡18および第2の鏡20の、非常に費用がかかり得る、また製造の複雑さを増大させ得る非常に高い精密さが存在しないので、共振光ビームO
DETは、SNRが外部加速度の正確な計算には不十分なこともある。したがって、第2の鏡20の振動運動は、光共振器16のより大きい費用対効果および簡単な製造解決策を可能にしながら、共振光信号O
DETのSNRを大幅に増加するように実装される。
【0025】
図4は、原子遷移ロック加速度センサ(ATLAS)および核磁気共鳴(NMR)ジャイロスコープ組合せシステム150の一例を示す。ATLAS・NMRジャイロスコープ組合せシステム150は、第1の感知軸に沿った外部加速度と、第2の感知軸に対する回転とを計算するように構成される。一例として、第1と第2の感知軸は同一とするが、同一であることに限定はされない。
【0026】
ATLAS・NMRジャイロスコープ組合せシステム150は、円偏光ポンプビームO
PMPを供給するように構成されるVCSELレーザーまたはDBRレーザーとして構成される(例えば、4分の1波長板によって)、ポンプレーザー152を含む。一例として
、ポンプビームO
PMPは、所定の中心周波数を有することができ、光ビームO
OAに関して上述したのと同様に、中心周波数に対して周波数変調する。
図4の例では、ポンプレーザー152は、変調システム154によって生成される変調された電流などの電気的刺激に応答して、ポンプビームO
PMPを生成する。一例として、変調システム154は、電気信号MOD(例えば、電流)を供給することができ、この信号は、所定の中心周波数に対応するDC振幅を有し、電気信号MOD上のAC信号によって変調されてポンプビームO
PMPの周波数変調を行う。変調システム154は、本明細書内で説明するように、ポンプレーザー152がポンプビームO
PMPを安定して供給するように、安定化システム156によって生成したフィードバック信号FDBKに基づいて電気信号MODを供給して、中心周波数を所定の中心周波数の値に維持する。
【0027】
ポンプビームO
PMPは、アルカリ金属蒸気(例えば、セシウム、ルビジウム、カリウム等)などの原子蒸気を備える原子蒸気セル158を通って供給される。ポンプビームO
PMPの中心周波数は、原子蒸気の遷移周波数(例えば、D1またはD2遷移周波数)に同調される。したがって、原子蒸気セル158を出るポンプビームO
PMP’の一部分の強度を安定化システム156によって監視して、そのポンプビームO
PMPの波長を決定する。
図4の例では、原子蒸気セル158を出るポンプビームO
PMP’は、ビームスプリッタ160(例えば、偏光ビームスプリッタ)によって第1の部分O
PMP1および第2の部分O
PMP2に分割される。ポンプビームの第1の部分O
PMP1は、安定化システム156がポンプビームO
PMPの周波数変調の周波数でポンプビームの第1の部分O
PMP1の強度を復調されるように、安定化システム156に供給される。したがって、安定化システム156は、ポンプビームO
PMPの中心周波数を安定させるために、中心周波数が原子蒸気セル158内の原子蒸気の遷移周波数に維持されるよう、変調システム154に供給されるフィードバック信号FDBKを生成する。それに応じて、ポンプビームO
PMPは、本明細書で説明するように、外部加速度と、それぞれの感知軸に対する回転との両方の計算のために、非常に安定した態様において実装される。
【0028】
ポンプビームの第2の部分O
PMP2は光共振器162に供給される。一例として、光共振器162は、ファブリペロー光共振器として構成される。光共振器162は、
図1の例における光共振器16と、または
図3の例における光共振器システム50と実質的に同様に構成される。したがって、光共振器162は、軸方向長さ部分の第1の端部の第1の鏡と、軸方向長さ部分の反対側の第2の端部の可動の第2の鏡とを、ポンプビームの第2の部分O
PMP2が軸方向長さ部分に沿って第1の鏡と第2の鏡の間で共振するように、含む。光共振器162はまた、力再平衡信号FRBに応答して第2の鏡に力(例えば、静電気力または電磁力)を加えるように構成される電極を含むこともできる。ポンプビームの第2の部分O
PMP2に対応する共振光ビームO
DETが光共振器162から放射され(例えば、第2の鏡を経由して)、加速度検出システム164に供給される。
【0029】
加速度検出システム164は、第2の鏡をニュートラル位置に維持するために、共振光ビームO
DETの強度を監視し、かつ力再平衡信号FRBを光共振器162の電極に供給するように構成される。加えて、加速度検出システム164は、光共振器162の第2の鏡の振動運動を得るために、力再平衡信号FRBによって力を加える。一例として、加速度検出システム164は、ポンプビームO
PMPの周波数変調の周波数で、および/または振動運動の周波数で、共振光ビームO
DETを復調する。その結果、加速度検出システム164は、軸方向に沿った光共振器162の外部加速度により生じた第2の鏡の位置の変化を決定する。したがって、
図1〜
図3の例で上述したのと同様に、加速度検出システム164は、復調された共振光ビームO
DETの強度に基づいた力を加えるために電極に対する力再平衡信号FRBを調整する。それに応じて、加速度検出システム164は、
図4の例において信号ACCLとして加速度検出システム164から供給される外部加速度を計算する。
【0030】
ポンプビームO
PMPは、外部加速度を測定するために実装されることに加えて、原子蒸気セル158内の原子蒸気粒子の歳差運動を容易にするなどのために、原子蒸気セル158内の原子蒸気を光学的にポンピングするようにも構成される。上述したように、ポンプビームO
PMPは、原子蒸気セル158内の原子蒸気が歳差運動をするように(例えば、ポンプビームO
PMPが少なくとも部分的に位置合わせされるAC磁場の存在下で)、円偏光される(例えば、4分の1波長板によって)。一例として、この歳差運動は、ポンプビームO
PMPによって刺激された原子蒸気のスピン交換に基づいて核スピン偏光している1以上の核スピン同位体の歳差運動を刺激するための、XおよびY軸の一方または両方の印加AC磁場成分に基づく(例えば、Z軸に沿って供給されたポンプビームO
PMPと共に)。ATLAS・NMRジャイロスコープ組合せシステム150はまた、プローブビームO
PRBを、ポンプビームO
PMP(および/または印加磁場)に対して直角を成すなどして原子蒸気セル158を通って供給するように構成されている、プローブレーザー166を含む。一例として、プローブビームO
PRBは、原子蒸気セル158を出るプローブビームO
PRB’がファラデー回転の対象となるように、直線偏光される。例えば、プローブビームO
PRBのファラデー回転は、ほぼラーモア歳差運動の周波数における核スピン同位体の歳差運動を、原子蒸気に影響を及ぼす誘起内部磁場に基づいて示すものであり得る。
【0031】
ATLAS・NMRジャイロスコープ組合せシステム150はさらに、ATLAS・NMRジャイロスコープ組合せシステム150の感知軸に対する回転を、測定された核スピン同位体の歳差運動に基づいて計算するように構成される回転検出システム168を含む。一例として、回転検出システム168は、原子蒸気セル158を出るプローブビームO
PRB’の直角を成すそれぞれの直線偏光を監視する、1対のフォトダイオードを含む。例えば、これらフォトダイオード間で得られる差分値は、光プローブビームO
PRBが原子蒸気セルを通過するときの光プローブビームO
PRBのファラデー回転を、アルカリ金属原子の歳差運動に基づいて示すものであり得る。その復調された差分値は、核スピン同位体の歳差運動に対応することができ、この歳差運動は、その結果として、
図4の例では信号ROTとして回転検出システム168から得られる、ATLAS・NMRジャイロスコープ組合せシステム150の感知軸に対する回転についての情報をもたらす。
【0032】
したがって、
図4の例におけるATLAS・NMRジャイロスコープ組合せシステム150は、単一の正確に安定化された光ビームに基づいてATLASとNMRジャイロスコープの機能を組み合わせる方法を示す。ATLAS・NMRジャイロスコープ組合せシステム150は、
図4の例に限定されるものではないことを理解されたい。一例として、
図4の例は、ポンプビームの第1の部分O
PMP1が、原子蒸気セル158を通過した後に光共振器162で得られることを示しているが、ビームスプリッタ160は、ポンプビームの第1の部分O
PMP1を光共振器162で得るように、かつポンプビームの第2の部分O
PMP2を原子蒸気セル158を通して得るように、原子蒸気セル158の前に配置される。別の例として、ATLAS・NMRジャイロスコープ組合せシステム150は、複数の原子蒸気セル158および/または光共振器162を含むことができ、これらのすべてにポンプビームO
PMPが供給される。したがって、ATLAS・NMRジャイロスコープ組合せシステム150は、外部加速度および/または感知軸に対する回転を、直角を成す2つまたは3つそれぞれの軸で測定するように構成される。
【0033】
上述のこのような構造的および機能的特徴を考慮して、本発明の様々な態様による方法は、
図5を参照してよりよく理解されるであろう。説明を簡単にするために、
図5の方法は、順次に実行するように示され説明されているが、本発明によれば、いくつかの態様は、異なる順序で、かつ/または本明細書に図示され説明されたものからの他の態様と同時に行われてもよいので、本発明が図示の順序によって限定されないことを理解および認識
されたい。さらに、図示された特徴すべてが、本発明の態様による方法を実装するのに必要とされるとは限らない。
【0034】
図5は、外部加速度を決定するための方法200の一例を示す。202で、所定の周波数(例えば、光ビームがその周波数に対して周波数変調される、所定の中心周波数)を有する光ビーム(例えば、光ビームO
OA)を生成する。204で、光共振器の軸方向長さ部分の第1の端部の第1の鏡(例えば、第1の鏡18)と、光共振器の軸方向長さ部分の第2の端部の第2の鏡(例えば、第2の鏡20)とを備え、第2の鏡が光共振器の軸方向長さ部分に沿って可動である光共振器(例えば、光共振器16)に対して光ビームを供給する。206で、力再平衡信号(例えば、力再平衡信号FRB)のベースラインバージョンを、第2の鏡に力を加えるための複数の電極(例えば、電極22)に供給して、所定の周波数の波長の整数倍に対応するニュートラル位置(例えば、ニュートラル位置「N」)に対する第2の鏡の振動運動を得る。
【0035】
208で、光共振器から放射される光ビームに対応する共振光ビーム(例えば、共振光ビームO
DET)の強度を測定する。210で、共振光ビームの測定強度に基づき、力再平衡信号の大きさを設定してニュートラル位置に対する第2の鏡の振動運動を維持する。212で、光共振器の軸方向長さ部分に沿った外部加速度の大きさを、力再平衡信号の大きさと、力再平衡信号のベースラインバージョンとの差に基づいて決定する。
【0036】
上記で説明したのは本発明の例である。本発明を説明する目的で構成要素または方法の考えられるすべての組合せを説明することはもちろん不可能であるが、本発明の多くの別の組合せおよび変形が可能であることは当業者であれば理解されるであろう。それに応じて、本発明は、添付の特許請求の主旨および範囲に入る、そのようなすべての変更、修正および変形を包含するものである。