特許第5937297号(P5937297)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5937297金属窒化膜、該金属窒化膜を用いた半導体装置、および半導体装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5937297
(24)【登録日】2016年5月20日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】金属窒化膜、該金属窒化膜を用いた半導体装置、および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20160609BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20160609BHJP
   H01L 29/788 20060101ALI20160609BHJP
   H01L 29/792 20060101ALI20160609BHJP
   C23C 14/06 20060101ALI20160609BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20160609BHJP
   H01L 21/285 20060101ALI20160609BHJP
   H01L 21/8247 20060101ALI20160609BHJP
   H01L 27/115 20060101ALI20160609BHJP
   H01L 27/105 20060101ALI20160609BHJP
   H01L 29/423 20060101ALI20160609BHJP
   H01L 29/49 20060101ALI20160609BHJP
   H01L 45/00 20060101ALI20160609BHJP
   H01L 49/00 20060101ALI20160609BHJP
【FI】
   H01L29/78 301G
   H01L29/78 371
   C23C14/06 A
   H01L21/28 301R
   H01L21/285 S
   H01L27/10 434
   H01L27/10 448
   H01L29/58 G
   H01L45/00 Z
   H01L49/00 Z
【請求項の数】1
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2010-253647(P2010-253647)
(22)【出願日】2010年11月12日
(65)【公開番号】特開2011-205057(P2011-205057A)
(43)【公開日】2011年10月13日
【審査請求日】2013年11月7日
【審判番号】不服2015-5545(P2015-5545/J1)
【審判請求日】2015年3月24日
(31)【優先権主張番号】特願2010-43661(P2010-43661)
(32)【優先日】2010年3月1日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000227294
【氏名又は名称】キヤノンアネルバ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100114915
【弁理士】
【氏名又は名称】三村 治彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120363
【弁理士】
【氏名又は名称】久保田 智樹
(74)【代理人】
【識別番号】100125139
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 洋
(72)【発明者】
【氏名】中川 隆史
(72)【発明者】
【氏名】北野 尚武
【合議体】
【審判長】 飯田 清司
【審判官】 河口 雅英
【審判官】 加藤 浩一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−252285号公報(JP,A)
【文献】 特表2008−515190号公報(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/056417号(WO,A1)
【文献】 特開平09−067671号公報(JP,A)
【文献】 特開2010−010367号公報(JP,A)
【文献】 特開2009−267180号公報(JP,A)
【文献】 特開2003−142601号公報(JP,A)
【文献】 特開2007−184594号公報(JP,A)
【文献】 特表2000−504487号公報(JP,A)
【文献】 特開2008−218876号公報(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/336
H01L29/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体装置の製造方法であって、
シリコン基板上にゲート絶縁膜を形成する工程と、
該ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する工程と、
前記形成されたゲート電極に対してアニール処理を行う工程とを有し、
前記ゲート絶縁膜を形成する工程は、金属酸化物、金属シリケート、窒素が導入された金属酸化物、もしくは窒素が導入された金属シリケートからなる高誘電率絶縁膜を形成する工程を有し、
前記ゲート電極を形成する工程は、
TiN単層膜、W単層膜、WN単層膜、およびWとWNとの積層膜のいずれか1つからなる金属含有層を形成する工程と、
前記金属含有層上にTiとAlとNとを含有する金属窒化膜を形成する工程と、
前記金属窒化膜上にシリコン膜を形成する工程とを有し、
前記金属窒化膜を形成する工程は、真空容器内で、窒素ガスと不活性ガスとの混合雰囲気下においてTiターゲットおよびAlターゲット、もしくはTiとAlとを含有する合金ターゲットをマグネトロンスパッタする工程であり、
前記窒素ガスの供給量を、15sccm以上に設定し、
前記半導体装置のアニール処理後の実効仕事関数が4.9eV以上であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属窒化膜、該金属窒化膜を用いた半導体装置、および半導体装置の製造方法に関し、より詳細には、金属ゲート電極に用いることが可能な金属窒化膜、高誘電率絶縁膜と金属ゲート電極としての金属窒化膜とを有する半導体装置、および該半導体装置の製造方法に関するものである。また、本発明は、例えば、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Transistor)といった半導体装置の高性能化に関する技術である。
【背景技術】
【0002】
トランジスタの微細化が進む先端CMOS(相補型MOS)デバイス開発ではポリシリコン(poly−Si)電極の空乏化による駆動電流の劣化とゲート絶縁膜の薄膜化によるゲート電流の増加が問題となっている。そこで、メタルゲートの適用により電極の空乏化を回避すると同時に、ゲート絶縁膜に高誘電体材料を用いて物理膜厚を厚くすることでゲートリーク電流を低減する複合技術が検討されている。メタルゲート電極に用いる材料として、純金属や金属窒化物あるいはシリサイド材料等が検討されているが、いずれの場合においても、N型MOSFET、P型MOSFETのしきい値電圧(Vth)を適切な値に設定可能でなければならない。従来の多結晶シリコン膜を介したゲート電極を用いる場合、トランジスタのしきい値電圧はチャネル領域の不純物濃度と多結晶シリコン膜中の不純物濃度で決定される。一方、メタルゲート電極を用いる場合には、トランジスタのしきい値電圧は、チャネル領域の不純物濃度とゲート電極の仕事関数で決定される。CMOSトランジスタで±0.5V以下のVthを実現するためには、N型MOSFETでは仕事関数がSiのミッドギャップ(4.6eV)以下、望ましくは4.4eV以下の材料を用いる必要がある。一方、P型MOSFETでは仕事関数がSiのミッドギャップ(4.6eV)以上、望ましくは4.8eV以上の材料をゲート電極に用いる必要がある。
【0003】
これらを実現する手段の一つとして、既存のCMOS作製工程と整合性の高いメタル挿入Poly−Si積層構造(MIPS:Metal-inseted Poly-silicon Stack)が検討されている。この方法では、Poly−Siとゲート絶縁膜の間にメタル膜を挿入したゲート電極を形成し、挿入したゲート電極の仕事関数によってしきい値電圧の調整している。このとき、メタル膜の仕事関数は、熱処理工程におけるゲート絶縁膜やPoly−Siとの相互反応により変化するという課題がある。
【0004】
例えば、特許文献1では、多結晶シリコンとPVD−TiN(第2金属層)とCVD−TiN(第1金属層)の積層構造からなるゲート電極を用いる方法が開示されている。この方法によれば、第1金属層であるTiNをTiClとNHを用いた熱CVD法で、450℃以下の低温で形成することで、P型MOSFETのメタルゲートに適した4.8eV以上の仕事関数を有するTiNが実現できると記載されている。また、第2金属層であるTiNをPVD法で、500℃(第1金属層であるTiNを形成するよりも高い温度))で形成することで、(100)面に配向したTiNが形成されると記載されている。この(100)面に配向したTiNは、ゲート電極の形成後の熱工程(例えば、活性化アニール工程)においてPoly−SiからTiNへのSiが拡散することによる仕事関数の低下を抑制する効果があると述べられている。
【0005】
また、特許文献2には、P型チャネルMOSFETのゲート電極としてWSiとTiAlNを適用する技術が開示されている。この方法によれば、TiAlNは耐熱性に乏しいため、高温熱処理を行うことによってTiNとAlNに相分離し、この時、余剰なAlがWSi膜を通じてゲート絶縁膜中に拡散し、Al−O結合からなるダイポールがゲート絶縁膜中に形成され4.8eV以上の高い仕事関数が得られると述べられている。
【0006】
また、特許文献3には、P型チャネルMOSFETのゲート電極としてTiAlN膜を適用する技術が開示されている。この方法によれば、ゲート電極としてカチオン比で10%以上50%以下のAl元素を含むTiAlN膜を堆積し、その後、Al元素をゲート絶縁膜中に拡散させる熱処理工程を施すことで、上述した特許文献2と同様の現象により、4.8eV以上の高い仕事関数が得られると述べられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−16538号公報
【特許文献2】特開2009−099747号公報
【特許文献3】特開2009−141040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述の技術にはそれぞれ以下のような課題が存在する。
【0009】
特許文献1に記載の方法は、高い仕事関数を有するTiNを実現するとともに、ゲート電極の形成後の熱工程におけるPoly−SiからTiNへSiが拡散することによる仕事関数の低減を抑制できる点で効果的な技術である。しかしながら、特許文献1に記載の方法では、CVD法により高い仕事関数を有するTiNを形成した後、PVD法によりSiの拡散を抑制できるTiNを形成しているためゲート電極作成工程数が増加するという課題がある。また、原料ガスとしてNHを用いるCVD法によるTiN膜の形成方法では、NHによる還元作用により、ゲート絶縁膜中に酸素空孔が形成されしきい値電圧が変動するという課題がある。
【0010】
また、特許文献2および特許文献3に記載の方法は、高い仕事関数を得るのに効果的な技術ではある。しかしながら、特許文献2および特許文献3に記載の方法では、ゲート絶縁膜中へのAlの拡散により実効仕事関数を制御しているため、EOT(:Equivalent Oxide Thickness)(酸化膜換算膜厚)が変化してしまうという課題が生じる。また、高誘電率ゲート絶縁膜に最適な膜組成や形成方法に関して述べられていないという課題がある。
【0011】
また、特許文献1に記載の方法は、窒化チタンの含有窒素濃度により仕事関数を制御できる効果的な技術ではある。しかしながら、特許文献1に記載の方法では、ゲート絶縁膜として窒化シリコン膜もしくは窒化酸化シリコン膜を用いているため、高誘電率ゲート絶縁膜に最適なTiN膜の膜組成や結晶配向性に関して述べられていないという課題がある。
【0012】
また、特許文献2に記載のTiN膜の結晶配向性を制御する方法では、最適な仕事関数を得るための膜組成について何も述べられていないという課題がある。
【0013】
本発明は、上記従来の課題に対してなされたものであり、その目的とするところは、上述した課題を改善し、所望の実効仕事関数(例えば、高い実効仕事関数)を実現し、かつ、EOTが変化しない、またはEOTの変化を低減した金属窒化膜、金属窒化膜を用いた半導体装置、および半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成すべく成された本発明の一態様は以下の通りである。
【0015】
本発明の第1の態様は、TiとAlとNを含有する金属窒化膜であって、前記金属窒化膜のTiとAlとNのモル比率(N/(Ti+Al+N))が0.53以上であり、かつ、前記金属窒化物層のTiとAlとNのモル比率(Ti/(Ti+Al+N))が0.32以下であり、かつ前記金属窒化物層のTiとAlとNのモル比率(Al/(Ti+Al+N))が0.15以下であること特徴とする。
【0016】
また、本発明の第2の態様は、シリコン基板上に、ゲート絶縁膜と該ゲート絶縁膜上に設けられたゲート電極とを有する電界効果トランジスタを備えた半導体装置であって、前記ゲート絶縁膜は、金属酸化物、金属シリケート、窒素が導入された金属酸化物、もしくは金属シリケートからなる高誘電率絶縁膜を有し、前記ゲート電極は、上記第1の態様に係る金属窒化膜を含んでいることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の第3の態様は、少なくとも表面が半導体層で構成される基板と、前記基板上に形成されたゲート電極と、前記基板と前記ゲート電極との間に積層させた積層型ゲート絶縁膜とを備える不揮発性半導体装置であって、前記ゲート電極は、上記第1の態様に係る金属窒化膜を含んでいることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の第4の態様は、第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に挟持された、抵抗値が2つの異なる値に変化する可変抵抗層とを備える不揮発性記憶素子であって、前記第1の電極と前記第2の電極の少なくともどちらか一方の電極は、上記第1の態様に係る金属窒化膜を含んでいることを特徴とする。
【0019】
さらに、本発明の第5の態様は、金属窒化膜を備える半導体装置の製造方法であって、前記金属窒化膜を形成する工程を有し、前記金属窒化膜は、該金属窒化膜のTiとAlとNのモル比率(N/(Ti+Al+N))が0.53以上であり、かつ、前記金属窒化物層のTiとAlとNのモル比率(Ti/(Ti+Al+N))が0.32以下であり、かつ前記金属窒化物層のTiとAlとNのモル比率(Al/(Ti+Al+N))が0.15以下であること特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、TiとAlとNを含有する金属窒化膜であって、TiとAlとNのモル比率(N/(Ti+Al+N))が0.53以上であり、TiとAlとNのモル比率(Ti/(Ti+Al+N))が0.32以下であり、かつTiとAlとNのモル比率(Al/(Ti+Al+N))が0.15以下である金属窒化膜が提供される。TiとAlとNのモル比率を上記の範囲に設定することによって、実効仕事関数が高く、耐熱性に優れた金属窒化膜が得られる。従って、上記金属窒化膜をCMOSトランジスタのゲート電極に用いることにより、特にP型チャネルMOSFETに適した仕事関数を実現できる。また、不揮発性素子のゲート電極および抵抗変化素子の電極に用いることで、素子の消去特性や保持特性の向上を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態に関わる素子構造の断面を示す図である。
図2】本発明の実施形態に関わる金属窒化膜の形成工程に用いられる処理装置の概略を示す図である。
図3】本発明の実施形態に関わる金属窒化膜の膜組成と窒素流量の関係を示す図である。
図4】本発明の実施形態に関わる素子のEOTと窒素流量の関係を示す図である。
図5】本発明の実施形態に関わる素子のリーク電流値と窒素流量の関係を示す図である。
図6】本発明の実施形態に関わる素子の実効仕事関数値と窒素流量の関係を示す図である。
図7】本発明の実施形態に関わる素子構造の断面を示す図である。
図8】本発明の実施形態に関わる素子のEOTとアニール温度の関係を示す図である。
図9】本発明の実施形態に関わる素子の実効仕事関数値とアニール温度の関係を示す図である。
図10】(a)〜(c)は、本発明の実施例1の半導体装置の製造方法の工程を示す図である。
図11】(a)〜(c)本発明の実施例2の半導体装置の製造方法の工程を示す図である。
図12】本発明の実施例3の半導体装置の製造方法の工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0023】
本発明は、高い実効仕事関数値と耐熱性を両立する金属窒化膜を鋭意検討した結果、TiとAlとNを含有する金属窒化膜において、TiとAlとNのモル比率(N/(Ti+Al+N))を0.53以上に設定し、TiとAlとNのモル比率(Ti/(Ti+Al+N))を0.32以下に設定し、かつTiとAlとNのモル比率(Al/(Ti+Al+N))を0.15以下に設定することによって、実効仕事関数値が高く、耐熱性に優れた金属窒化膜が得られるという新しい発見に基づく。
【0024】
本発明における高い仕事関数を実現するための金属窒化膜の形態について、図1のMIS(metalinsulator semiconductor STructure)キャパシタ素子を例に取り説明する。図1に示すように、表面にシリコン酸化膜と高誘電率膜としてHfSiO膜を用いたゲート絶縁膜2を有するp型シリコン基板1上に、窒化チタン膜3および金属窒化膜4が形成されている。
【0025】
ゲート絶縁膜に用いられる高誘電率材料は、SiOの比誘電率(3.9)より大きな比誘電率をもつ材料であり、金属酸化物、金属シリケート、窒素(N)が導入された金属酸化物、窒素が導入された金属シリケートが挙げられる。結晶化が抑えられ、素子の信頼性が向上する点から、窒素が導入された高誘電率膜が好ましい。高誘電率材料中の金属としては、膜の耐熱性および膜中の固定電荷抑制の観点から、HfもしくはZrが好ましい。また、高誘電率材料としては、Hf又はZrと、Siとを含む金属酸化物、この金属酸化物にさらに窒素を含む金属酸窒化物が好ましく、HfSiO、HfSiONがより好ましい。また、ここではゲート絶縁膜としてシリコン酸化膜とその上に積層された高誘電率膜を用いているが、これに限定されるものではなく、高誘電率絶縁膜単独あるいはシリコン酸窒化膜とその上に積層された高誘電率膜を用いることができる。
【0026】
図2に、本発明における窒化チタン膜の形成工程に用いられる処理装置の概略を示す。成膜処理室100はヒータ101によって所定の温度に加熱できるようになっている。成膜処理装置100は、被処理基板102を、基板支持台103に組み込まれた、サセプタ104を介して、ヒータ105によって所定の温度に加熱できるように構成されている。基板支持台103は、膜厚の均一性の観点から所定の回転数で回転できることが好ましい。成膜処理室100内には、ターゲット106、126が、被処理基板102を望む位置に設置されている。ターゲット106、126は、Cu等の金属製のバックプレート107、127を介してターゲットホルダー108、128に設置されている。なお、ターゲット106、126とバックプレート107、127を組み合わせたターゲット組立体の外形を1つの部品としてターゲット材料で作製し、これをターゲットとして取り付けても構わない。つまり、ターゲットがターゲットホルダーに設置された構成でも構わない。Cu等の金属製のターゲットホルダー108、128には、スパッタ放電用電力を印加する直流電源110、130が接続されており、絶縁体109、129により接地電位の成膜処理室100の壁から絶縁されている。スパッタ面から見たターゲット106、126の背後には、マグネトロンスパッタリングを実現するためのマグネット111、131が配設されている。マグネット111、131は、マグネットホルダー112、132に保持され、図示しないマグネットホルダー回転機構により回転可能となっている。ターゲットのエロージョンを均一にするため、放電中には、このマグネット111、131は回転している。ターゲット106、126は、基板102に対して斜め上方のオフセット位置に設置されている。すなわち、ターゲット106、126のスパッタ面の中心点は、基板102の中心点の法線に対して所定の寸法ずれた位置にある。ターゲット106、126と処理基板102の間には、遮蔽板116が設置され、電力が供給されたターゲット106、126から放出されるスパッタ粒子による処理基板102上への成膜を制御している。
【0027】
本実施形態では、ターゲットとして、Tiの金属ターゲット106とAlの金属ターゲット126を用いたが、これに限定されない。例えば、TiとAlとを含有する合金ターゲットを用いても良い。窒化チタン膜3の堆積は、金属ターゲット106、126に、それぞれ直流電源110、130より、ターゲットホルダー108、128およびバックプレート107、127を介して電力を供給することにより実施される。この際、不活性ガスが、不活性ガス源201から、バルブ202、222、マスフローコントローラ203、223、バルブ204、224を介してターゲット付近から処理室100に導入される。また、窒素を含む反応性ガスは、窒素ガス源205から、バルブ206、マスフローコントローラ207、バルブ208を介して処理室100内の基板付近に導入される。導入された不活性ガスおよび反応性ガスは、コンダクタンスバルブ117を介して、排気ポンプ118によって排気される。
【0028】
ゲート絶縁膜2上に、基板温度30℃、Tiのターゲットパワーを600W、不活性ガスとしてArを用い、Arの供給量を60sccm(Standard Cubic Centimeterper Minutes)として、反応性ガスの供給量を10sccmとしてTiN膜3を1.8nm堆積した。その後、TiN膜3上にTiとAlとNを含有する金属窒化膜4(以下、TiAlN膜と記述)を成膜した。該成膜では、基板温度30℃、Tiのターゲットパワーを600W、Alのターゲットパワーを600Wの範囲に設定した。また、不活性ガスとしてArを用い、Arの供給量を60sccmとして、反応性ガスである窒素の供給量を0sccm〜40sccmの範囲で設定した。なお、sccm=一分間当たり供給されるガス流量であり、0℃、1気圧で表したcm数=1.69×10−3Pa・m/s(0℃において)である。
【0029】
次に、リソグラフィー技術とRIE(Reactive Ion Etching)技術を用いてTiN3膜およびTiAlN膜の積層膜を所望の大きさに加工し素子を形成した。
【0030】
次に、作製した素子に窒素雰囲気中で400℃〜1000℃の温度範囲でアニール処理を行った。
【0031】
堆積したTiAlN膜の組成は、X線光電子分光(XPS:X−ray Photoelectron Spectroscopy)法により分析した。また、TiAlN膜の結晶性は透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscopy)により評価した。また、実効仕事関数、EOT、リーク電流特性などの電気特性をC−V、I−V測定により評価した。また、本明細書において、「実効仕事関数」とは、一般にゲート絶縁膜とゲート電極とのCV測定によるフラットバンドより求められるものである。該実効仕事関数は、ゲート電極本来の仕事関数の他に、絶縁膜中の固定電荷、界面に形成される双極子、フェルミレベルピンニング等の影響を受ける。ゲート電極を構成する材料本来の「仕事関数」とは区別される。
【0032】
図3に本発明におけるTiAlN膜の膜組成と膜形成時の窒素流量の関係を示す。尚、図には、膜中の酸素に関する値も示しているが、これは大気曝露に伴う酸化によるものである。本明細書における膜組成は、酸素を除いた成分にて記載する。図に示されるように、窒素流量が15sccm以上の領域では、TiAlN膜のモル比率(N/(Ti+Al+N))は0.53、モル比率(Ti/(Ti+Al+N))は0.32、モル比率(Al/(Ti+Al+N))は0.15になることが確認できる。また、TiAlN膜の結晶性をTEMにより評価した結果、TiAlN膜形成時の窒素流量が5sccm以下の領域では、as−deposited状態で非晶質(アモルファス)構造を有しており、TiAlN膜形成時の窒素流量が15sccm以上の領域では、as−deposited状態で結晶化していることを確認した。また、反応性ガスである窒素流量とTiおよびAlターゲットのスパッタ率の関係を評価した結果、窒素流量が15sccm以上の領域では、ターゲットの表面が窒化することにより生じるスパッタ率の低下率が最大となる領域であることを確認した。
【0033】
図4から図6にTiAlN形成時の窒素を変化させて作製した素子の電気特性を測定した結果を示す。ここで、電気特性はas−deposited状態および400℃のアニール処理を施した後の状態を評価した。なお、「as−deposited状態」とは、TiAlN膜を成膜した状態をいう。EOTとTiAlN形成時の窒素流量の関係を図4に示す。図より、窒素流量の違いやアニール処理の有無に関わらずEOTは約1.3nmと大きく変化していない。次に、リーク電流(Jg)とTiAlN形成時の窒素流量の関係を図5に示す。図より、窒素流量が0sccmおよび5sccmの条件で形成したTiAlN電極を有する素子のリーク電流値は、アニール処理により約一桁リーク電流値が増加するのに対して、窒素流量が15sccmの条件(上記スパッタ率の低下率が最大となる供給量以上)で形成したTiAlN電極を有する素子のリーク電流値は、アニール処理により約一桁低減するのが確認できる。次に、実効仕事関数値(eWF)とTiAlN形成時の窒素流量の関係を図6に示す。図より、as-deposited状態の素子の実効仕事関数を比較すると、窒素流量が0sccmおよび5sccmの条件で形成したTiAlN電極を有する素子は4.7eVの実効仕事関数を示しているのに対して、窒素流量が15sccmの条件で形成したTiAlN電極を有する素子は4.9eVと高い値を示している。更に、400℃アニールを施した素子の実効仕事関数を比較すると、窒素流量が0sccmおよび5sccmの条件で形成したTiAlN電極を有する素子は4.3eVと実効仕事関数がas-deposited状態に対して大幅に低下するが、窒素流量が15sccmの条件で形成したTiAlN電極を有する素子はアニール処理後も5.0eV以上の高い値を維持していることがわかる。
【0034】
以上より、窒素流量が5sccm以下の条件で形成した、モル比率(N/(Ti+Al+N))<0.53、モル比率(Ti/(Ti+Al+N))>0.32、モル比率(Al/(Ti+Al+N))>0.15からなるTiAlNを有する素子の場合、アニール処理によりリーク電流の増加や実効仕事関数の低下がみられることから、TiAlN膜に含まれるAlが下部のTiN膜や絶縁膜中に拡散していると考えられる。一方、窒素流量が15sccmの条件で形成した、モル比率(N/(Ti+Al+N))=0.53、モル比率(Ti/(Ti+Al+N))=0.32、モル比率(Al/(Ti+Al+N))=0.15からなるTiAlNを有する素子の場合、リーク電流の増加を伴うことなく高い実効仕事関数値が維持されていることから、アニール処理によるAlの拡散を抑制できていると考えられる。従って、本発明におけるTiAlN膜は、アニール処理を施した場合においても、リーク電流の増加を招くことなく高い実効仕事関数を維持できる効果を有していることが示される。また、ここではTiAlN膜に含まれるTiとAlとNのモル比率が(N/(Ti+Al+N))=0.53、(Ti/(Ti+Al+N))=0.32、(Al/(Ti+Al+N))=0.15の膜を用いているが、これに限定されるものではない。本発明では、TiとAlとNのモル比率は、(N/(Ti+Al+N))≧0.53、(Ti/(Ti+Al+N))≦0.32、(Al/(Ti+Al+N))≦0.15の範囲であれば十分にその効果を発揮できる。また、ここでは、TiNとTiAlNの積層膜を用いているが、これに限定されるものではなく、TiAlNとWとWNとの積層体、およびTiAlNとSiとの積層膜、また、TiAlN膜の単層膜を用いても十分にその効果を発揮できる。
【0035】
次に、図7のMIPS(Metal−inseted Poly-silicon Stack構造を有する素子における本発明のTiAlN膜の効果について説明する。図7の素子は、その表面にシリコン酸化膜と高誘電率膜としてHfSiO膜を用いたゲート絶縁膜6とを有するp型シリコン基板5上に、窒化チタン膜7、TiAlN膜8およびシリコン膜9を順次堆積した素子である。図7に示す素子は、図2に示した素子と比較して、上述した素子におけるTiAlN8上にシリコン膜9を堆積している点で異なっている。シリコン膜9は、PVD法もしくはCVD法にて20nm形成している。また、TiAlN膜8はモル比率(N/(Ti+Al+N))=0.53、モル比率(Ti/(Ti+Al+N))=0.32、モル比率(Al/(Ti+Al+N))=0.15を有する膜を用いた。TiAlN膜8のモル比率シリコン膜の形成工程を除くその他の製造工程は、図1の素子と同様である。また、比較としてTiAlN膜8を挿入していない素子を作製した。
【0036】
図8から図9に、作製した素子の電気特性とアニール温度の関係を評価した結果を示す。図中の記号○及び□はそれぞれSi/TiAlN/TiNの積層膜からなる電極を有する素子の特性を示す。ここで、記号□は、Si/TiNの積層膜にAlキャップ層を設けた素子の特性を示す。また、図中の記号△はSi/TiN膜からなる電極を有する素子の特性を示している。図8にEOTとアニール温度の関係を示す。図より、Al/TiNの積層膜を有する素子においてはアニール処理によりEOTが増加するのに対して、Si/TiAlN/TiNおよびSi/TiNの積層膜を有する素子においてはアニール温度に伴うEOTの変化はほとんどないことが確認できる。Al/TiNの積層膜を有する素子におけるEOTの増加は、アニール処理によるゲート絶縁膜中へのAlの拡散によるものであると考えられる。
【0037】
次に、図9に実効仕事関数とアニール温度の関係を示す。図中の記号○はSi/TiAlN/TiNの積層膜からなる電極を有する素子の特性を示す。また、記号□は、Si//TiNの積層膜にAlキャップ層を設けた素子の特性を示す。また図中の記号△はSi/TiN膜からなる電極を有する素子の特性を示している。図より、Si/TiNからなる電極を有する素子の場合、アニール温度の増加に伴い、実効仕事関数値は4.45eVまで低下するのに対して、Si/TiAlN/TiNからなる電極を有する素子の場合、1000℃のアニール処理を施した場合においても約4.9eVと高い値を維持している。また、このときのリーク電流値は5.7×10−4A/cmを示しており、リーク電流値の悪化は確認できない。
【0038】
図9中の記号△で示すSi/TiNからなる積層膜の場合、アニール処理によりTiN膜中にSiが拡散することで実効仕事関数が減少すると考えられる。一方のSi/TiAlN/TiNからなる積層膜では、TiAlN膜がSiの拡散を抑制するバリア膜として機能するため、アニール処理後も高い実効仕事関数を維持できていると考えられる。従って、本発明におけるTiAlN膜は下地膜へのAlの拡散を抑制するだけでなく、TiAlN膜上のシリコン膜からのSiの拡散を抑制するバリア機能も有していることが示される。また、ここではTiAlN膜を構成するTiとAlとNのモル比率が(N/(Ti+Al+N))=0.53、(Ti/(Ti+Al+N))=0.32、(Al/(Ti+Al+N))=0.15の膜について説明したが、これに限定されるものではなく、(N/(Ti+Al+N))≧0.53、(Ti/(Ti+Al+N))≦0.32、(Al/(Ti+Al+N))≦0.15の範囲であれば十分にその効果を発揮できる。また、ここでは、TiNとTiAlNの積層膜を用いているが、TiAlN膜の単層膜を用いても十分にその効果を発揮できる。
【0039】
以上のことから、本発明におけるTiとAlとNを含有する金属窒化膜のモル比率を、(N/(Ti+Al+N))≧0.53、(Ti/(Ti+Al+N))≦0.32、(Al/(Ti+Al+N))≦0.15の範囲に設定することにより、素子の耐熱性が向上しアニール処理に伴うリーク電流の増加を招くことなく高い実効仕事関数を得ることが可能となる。従って、シリコン基板上に、ゲート絶縁膜とゲート絶縁膜上に設けられたゲート電極とを有する電界効果トランジスタを備えた半導体装置におけるゲート電極に例えば用いると、P型チャネル型MOSFETに適した高い実効仕事関数を実現できる。
【0040】
また、N型チャネル型MOSFETに適用する場合は、シリコン酸化膜もしくはシリコン窒化膜と、Laと、HfもしくはZrとを含む高誘電率膜からなるゲート絶縁膜上に、本発明の金属窒化膜をゲート電極の一部に適用することで、低い実効仕事関数を実現できる。
【0041】
また、半導体基板(例えば、少なくとも表面が半導体層で構成される基板)とゲート電極との間に順次積層された積層型ゲート絶縁膜を有する不揮発性半導体装置のゲート電極の一部に本発明の高い実効仕事関数を実現できる金属窒化膜を適用することで消去特性や保持特性を改善することができる。
【0042】
また、第1の電極と、第2の電極との間に、2つの異なる抵抗変化値が変化する可変抵抗層(抵抗値が2つの異なる値に変化する可変抵抗層)が挟持されてなる不揮発性記憶素子において、第1の電極と第2の電極の少なくともどちらか一方の電極の一部に本発明の高いバリア機能を実現できる金属窒化膜を適用することで、抵抗変化層からの酸素の拡散を抑制でき、書き換え耐性の改善を実現することができる。
【0043】
(実施例1)
<Pチャネル型MOSFET>
【0044】
本発明の第1の実施例を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0045】
図10(a)〜(c)は、本発明の第1の実施例である半導体装置の製造方法の工程を示した図である。まず図10(a)に示すようにシリコン基板301の表面に、STI(Shallow Trench Isolation)技術により形成された素子分離領域302が設けられている。続いて、素子分離されたシリコン基板表面に熱酸化法により膜厚1.0nmのシリコン熱酸化膜を形成する。その後、スパッタリング法により膜厚0.5〜0.7nmのHfを堆積した。その後、酸素分圧0.1Paの雰囲気で、900℃、1minのアニール処理を施し、シリコン酸化膜中にHfを拡散させることで、シリコン酸化膜とHfSiO膜の積層構造からなるゲート絶縁膜303を形成した。
【0046】
次に、図2に示す処理装置(真空容器内)において、Ti金属ターゲット(Tiターゲット)を用いてアルゴンガス流量と窒素ガス流量の混合比を調節することにより、TiとAlとNのモル比率が(N/(Ti+Al+N))≧0.53、(Ti/(Ti+Al+N))≦0.32、(Al/(Ti+Al+N))≦0.15の範囲を有する金属窒化物層304としてのTiAlN膜を10nm堆積した。
【0047】
次に、膜厚20nmのシリコン層305を形成した後、図10(b)に示すようにリソグラフィー技術およびRIE技術を用いてゲート電極に加工し、引き続いてイオン注入を行い、エクステンション拡散領域306をゲート電極をマスクとして自己整合的に形成した。
【0048】
さらに、図10(c)に示すように、シリコン窒化膜とシリコン酸化膜を順次堆積し、その後、エッチバックすることによってゲート側壁307を形成した。この状態で再度イオン注入を行い、活性化アニールを経てソース・ドレイン拡散層308を形成した。
【0049】
作製した素子の電気特性を評価した結果、EOTやリーク電流の悪化を伴うことなく、P型MOSFETに適した実効仕事関数(4.9eV以上)が得られることを確認した。
【0050】
また、ゲート絶縁膜としてCVD法により堆積したHfSiO膜においても同様の効果を得ることを確認した。
【0051】
また、HfSiOを堆積した後、ラジカル窒化処理により形成したHfSiON膜をゲート絶縁膜として用いた場合においても同様の効果を得ることを確認した。
【0052】
また、ゲート絶縁膜としてZrを含む、ZrSiO、ZrSiON、HfZrSiO、HfZrSiONからなる群から選択される一つの材料を用いても、同様の効果が得られることを確認した。
【0053】
このように、本実施例におけるMIPS型ゲート電極からなるMOSFET素子においても本発明の効果を得られることを確認した。
【0054】
また、ゲート電極としてのTiNとW、WNから選択される少なくとも一つの膜(金属含有層)とTiAlN膜との積層膜を用いた場合においても同様の効果を得ることを確認した。
【0055】
(実施例2)
<不揮発メモリ>
【0056】
図11(a)〜(c)は本発明の第2の実施例に関わる半導体素子の作製工程を示した断面図である。
【0057】
まず図11(a)に示すようにシリコン基板401の表面にSTI(Shallow Trench Isolation)技術を用いて素子分離層402を形成した。続いて、素子分離されたシリコン基板表面にシリコン酸化膜403を熱酸化膜法により30Å〜100Å形成した。続いて、第2の絶縁膜としてシリコン窒化膜404をLPCVD(Low Pressure Chemical Vapor Deposition)法により30Å〜100Å形成した。続いて、第3の絶縁膜として、酸化アルミニウム膜405を200Å形成した。酸化アルミニウム膜は、MOCVD法、ALD(Atomic Layer Deposition)法、PVD(Physical Vapor Deposition)法を用いてもよい。次に、ゲート電極として、実施例1と同様の方法を用いてTiとAlとNのモル比率が(N/(Ti+Al+N))≧0.53、(Ti/(Ti+Al+N))≦0.32、(Al/(Ti+Al+N))≦0.15の範囲を有する、金属窒化物層406としてのTiAlN膜を10nm堆積した。
【0058】
その後、厚さ150nmのpoly−Si膜407を形成した後、図11(b)に示すように、リソグラフィー技術およびRIE(Reactive Ion Etching)技術を用いてゲート電極に加工し、引き続きイオン注入を行い、エクステンション拡散領域408をゲート電極をマスクとして自己整合的に形成した。さらに、図11(c)に示すように、シリコン窒化膜とシリコン酸化膜を順次堆積し、その後エッチバックすることによってゲート側壁409を形成した。この状態で再度イオン注入を行い、活性化アニールを経てソース・ドレイン拡散層410を形成した。作製した不揮発性半導体素子の消去特性を評価した結果、実効仕事関数の増大による消去速度の向上を確認した。
【0059】
このように、本実施の形態における積層型絶縁膜を有する不揮発性半導体素子においても本発明の効果を得られることを確認した。
【0060】
また、ゲート電極としてのTiNとW、WNから選択される少なくとも一つの膜とTiAlN膜との積層膜を用いた場合においても同様の効果を得ることを確認した。
【0061】
(実施例3)
<ReRAM>
【0062】
本発明の第3の実施例を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0063】
図12は、実施例3に関わる素子構造の断面の概略である。図2に示す処理装置において、Ti金属ターゲットを用いてアルゴンガス流量と窒素ガス流量の混合比を調節することにより、表面に膜厚100nmのシリコン酸化膜を有するシリコン基板501に、TiとAlとNのモル比率が(N/(Ti+Al+N))≧0.53、(Ti/(Ti+Al+N))≦0.32、(Al/(Ti+Al+N))≦0.15の範囲を有するTiAlN膜502を10nm堆積した。
【0064】
次に、AlとHfからなる積層膜(Al=5nm/Hf=20nm/Al=5nm)を堆積した。その後、窒素雰囲気中で500℃、10minのアニール処理と酸素雰囲気中で500℃、30minのアニール処理を行い、HfとAlを含有する金属酸化物からなる可変抵抗層503を形成した。
【0065】
次に、可変抵抗層503の上にTiAlN膜504をTiAlN膜502と同様の方法で堆積した。
【0066】
次に、リソグラフィー技術とRIE(Reactive Ion Etching)技術を用いてTiAlN膜を所望の大きさに加工した。
【0067】
作製した抵抗変化素子に、正負のパルス(図中に示す。)を交互に連続して印加し、抵抗変化現象の耐久性(エンデュランス特性)を評価した結果、電極の酸化に伴う抵抗変化比の低下は見られなかった。
【0068】
このように、本実施の形態における抵抗変化型の不揮発性半導体素子においても本発明の効果を得られることを確認した。
【0069】
また、上記実施例では、可変抵抗層の形成方法としてHfとAlの金属積層膜を用いる場合を述べた。この他に、可変抵抗層の形成工程としてHfターゲットとAlターゲットのコスパッタリングを用いてHfとAlを含有する金属膜を堆積した後、酸素雰囲気中で300℃〜600℃のアニール処理を実施する方法を用いても上記実施例と同様の効果が得られることを確認した。また、可変抵抗層の形成工程として、HfターゲットとAlターゲットと酸素を含む反応性ガスと不活性ガスの混合雰囲気下においてマグネトロンスパッタする工程を用いても上記実施例と同様の効果が得られることを確認した。
【0070】
また、上記実施例では、可変抵抗層材料としてHfとAlを含有する金属酸化物を用いる場合を述べたが、可変抵抗層としてNi、Ti、Ta、Hf、Zr、V、Zn、Nb、WまたはCoの少なくとも一つから選択される金属酸化物膜およびその積層膜を用いても上記実施例と同様の効果が得られることを確認した。
【0071】
また、可変抵抗層の形成工程としてNi、Ti、Ta、Hf、Zr、V、Zn、Nb、WまたはCoの少なくとも一つから選択される金属膜およびその積層膜を堆積した後、酸素雰囲気中で300℃〜600℃のアニール処理を行っても同様の効果が得られる抵抗変化素子が形成できることを確認した。また、可変抵抗層の形成工程としてNi、Ti、Ta、Hf、Zr、V、Zn、Nb、WまたはCoの少なくとも一つから選択される金属ターゲットを酸素からなる反応性ガスと不活性ガスの混合雰囲気下においてマグネトロンスパッタする工程を用いても上記実施例と同様の効果が得られることを確認した。
【符号の説明】
【0072】
1 シリコン基板
2 ゲート絶縁膜
3 窒化チタン膜
4 金属窒化膜
5 シリコン基板
6 ゲート絶縁膜
7 窒化チタン膜
8 金属窒化膜
9 シリコン膜
301 シリコン基板
302 素子分離領域
303 ゲート絶縁膜
304 金属窒化物層
305 シリコン層
306 エクステンション領域
307 ゲート側壁
308 ソース・ドレイン領域
401 シリコン基板
402 素子分離領域
403 第1の絶縁膜
404 第2の絶縁膜
405 第3の絶縁膜
406 金属窒素化物層
407 Poly−Si
408 エクステンション領域
409 ゲート側壁
410 ソース・ドレイン領域
501 基板
502 金属窒化膜
503 可変抵抗層
504 金属窒化膜
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12