(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、導光板等の照射対象物の受光面となる側面に向けて光を照射するための光源として、特許文献1,2に開示されているような側面実装型の発光ダイオードが用いられている。このような発光ダイオードは、マザーボード上に下側面が載置される四角形状の基板と、この基板の前面に実装される発光素子と、この発光素子を囲うように前面側に設けられる反射枠とを備えて構成されている。
【0003】
前記基板には、マザーボード上に載置される下側面の両端部に一対のスルーホールが設けられ、このスルーホールを介して前面側に一対の前面電極、背面側に一対の背面電極が回り込むように形成されている。一方、マザーボード上には、前記一対のスルーホールに対応した位置に電極パターンが設けられ、この電極パターン上に前記一対のスルーホール及び一対の背面電極が対応するように下側面を下にして基板が載置される。そして、前記スルーホールから背面電極にかけてハンダを塗布することでマザーボードとの電気的接続を図っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記発光ダイオードは、マザーボードと接する面が基板の一側面のみで、この側面の端部に設けられているスルーホール等の端子電極を介して外部から発光素子に電圧が印加されるようになっている。しかしながら、前記基板の側面は幅が狭く、また、基板の傾きを防止するため、発光素子が実装されている基板の背面側のハンダ塗布量が制限されることがある。このため、マザーボードに接する端子電極の露出面が狭くなり、端子電極を介した放熱性が十分得られないといった問題があった。
【0006】
特に、上記従来の基板は一枚の板材で形成されているため、発光素子を実装する部分と端子電極となる部分以外に電極パターンの露出する部分が少なく、放熱効率が低いものとなっていた。また、前記電極パターンを放熱用としてのみ露出させるためには、端子電極との絶縁を図らなければならず、これによって電極パターン形成が複雑になるといった問題もあった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、スルーホール等のハンダ接続用の端子電極とは別に、発光素子が実装される実装部を大きく開口することのできる放熱用の開口部を基板に設けることによって、マザーボードに載置した際の放熱性を向上させた発光ダイオードを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の発光ダイオードは、
マザーボードに実装される一側面の両角部に一対の端子開口部及びこの一対の端子開口部の間に前記一対の端子開口部より大きく円弧状に切り欠いた放熱開口部が形成される矩形状のベース部と、前記放熱開口部から裏面の一部が露出するようにして前記ベース部に重ねて配置され、
表面及び前記裏面に絶縁部を介して一対の電極がそれぞれ形成され、少なくとも裏面に形成される一対の電極が該裏面の縁部に至るまで形成される実装部と、前記実装部の表面上に配置される発光素子と
、前記実装部
を貫通して表面及び裏面に形成されている一対の電極をそれぞれ熱的に接続
する金属材料からなる熱伝導体とを備え、前記実装部の裏面に形成されている前記一対の電極が前記一対の端子開口部からそれぞれ露出すると共に、前記放熱開口部からは前記実装部の裏面に形成されている前記一対の電極の少なくともいずれかが露出し、前記一対の端子開口部及び前記放熱開口部に露出する電極の下端が前記マザーボードに接するように配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る発光ダイオードによれば、基板がベース部と実装部とを組み合わせて構成されているため、前記ベース部に放熱用の開口部を設けることによって、実装部に形成されている電極パターンを必要なサイズや形状に露出させることができる。また、前記実装部に形成される電極パターンが表面と裏面とで熱伝導部によって繋がっていることで、発光素子が実装されている前面側の熱を背面側に伝導して、前記放熱用の開口部から効率よく外部に放熱させることができる。
【0010】
また、前記放熱用の開口部を有したベース部に、表裏面で導通する電極パターンが形成された樹脂基板や全体が導電性を有する金属基板、あるいは、フレキシブル基板等の実装部を選択して組み合わせることができる。これによって、発光素子の実装形態や放熱効率に合わせた発光ダイオードを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態の発光ダイオードの斜視図である。
【
図2】上記発光ダイオードを側面実装した状態の断面図である。
【
図3】上記発光ダイオードの基板構成を実装部側から見た組立図(a)及びその完成図(b)である。
【
図4】上記発光ダイオードの基板構成をベース部側から見た組立図(a)及びその完成図(b)である。
【
図5】上記発光ダイオードの基板の内部構成を示す斜視図である。
【
図6】第2実施形態の発光ダイオードの斜視図である。
【
図7】上記発光ダイオードを側面実装した状態の断面図である。
【
図8】上記発光ダイオードの基板構成を実装部側から見た組立図(a)及びその完成図(b)である。
【
図9】上記発光ダイオードの基板構成をベース部側から見た組立図(a)及びその完成図(b)である。
【
図10】第3実施形態の発光ダイオードの斜視図である。
【
図11】上記発光ダイオードを側面実装した状態の断面図である。
【
図12】上記発光ダイオードの基板構成を実装部側から見た斜視図である。
【
図13】上記発光ダイオードの基板構成をベース部側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面に基づいて本発明に係る発光ダイオードの実施形態を詳細に説明する。なお、実施形態では側面実装型の発光ダイオードを例にとって説明する。
図1乃至
図5には、本発明の第1実施形態に係る側面実装型の発光ダイオード11の構成が示されている。この発光ダイオード11は、ベース部13及びこのベース部13上に載置される実装部14とからなる基板12と、前記実装部14上に実装される発光素子15と、この発光素子15を封止する透光性の樹脂体16とを備えている。
【0013】
図3は前記基板12を実装部14側から見た組立図(a)及び完成図(b)であり、
図4は前記基板12をベース部13側から見た組立図(a)及び完成図(b)である。
図3(a)及び
図4(a)に示したように、前記実装部14は、エポキシ樹脂やBTレジン等によって長方形状に形成された絶縁性の基板で形成され、その表面14a及び裏面14bに一対の電極パターン(第1電極17及び第2電極18)が形成される。前記第1電極17と第2電極18は、
図5に示したように、実装部14内を貫通する一対の熱伝導部(熱伝導体)19a,19bを介してそれぞれ表面14a及び裏面14bが導通している。
【0014】
前記実装部14の表面14a及び裏面14bには、前記第1電極17と第2電極18を電気的に分離する表面絶縁部21及び裏面絶縁部22が設けられる。前記表面絶縁部21は、実装部14の外周に沿った外周部21aと、第1電極17と第2電極18とを仕切る仕切部21bとからなっている。本実施形態では、後述するように、第1電極17が放熱面に設定されるため、この第1電極17が第2電極18よりも広くなるように前記仕切部21bの位置が設定される。また、
図4に示したように、実装部14の裏面14b側の第1電極17及び第2電極18も表面14a側と同様な広さに設定するが、マザーボード20上に側面実装した際に第1電極17及び第2電極18が接触するように、裏面14bの縁面まで形成される。
【0015】
前記熱伝導体19a,19bは、第1電極17と第2電極が形成されている部分をそれぞれ表面から裏面に通じる貫通孔25と、この貫通孔25内を満たす金属材料26とで構成される。前記金属材料26は第1電極17及び第2電極18と同様に熱伝導性の高い銅やアルミニウム等が使用される。なお、前記貫通孔25はスルーホールとして形成することもできる。この一対の熱伝導体19a,19bを介して表面と裏面の第1電極17と第2電極18が導通すると共に、表面に載置されている発光素子15から発せられる熱を裏面に効率よく伝導させることができる。
【0016】
前記ベース部13は、エポキシ樹脂やBTレジン等の絶縁材料によって前記実装部14と略同じ平面サイズの長方形状に形成されるが、一側面を介して自立可能とするため、一定の厚みを有して形成される。このベース部13は、
図3及び
図4に示したように、下側面13cの両角部に一対の端子開口部23が設けられ、この一対の端子開口部23の間に円弧状の放熱開口部24が設けられる。
【0017】
前記実装部14は、裏面14b側をベース部13の表面13aに接着剤等を介して貼り合わせることによって、側面実装型の基板12が形成される。このようにして形成された基板12は、
図3(b)に示したように、前面側が発光素子15が実装される発光面となる。一方、基板12の背面側は、
図4(b)に示したように、一対の端子開口部23から前記各熱伝導体19を介して表面と導通した第1電極17及び第2電極18がそれぞれ露出すると共に、放熱開口部24からは前記第1電極17が円弧状に大きく露出する。
【0018】
前記基板12は、実装部14の表面14a側の第1電極17上に発光素子15が実装されると共に、この第1電極17に発光素子15の一方の素子電極から延びるボンディングワイヤ27が接続され、第2電極18に前記発光素子15の他方の素子電極から延びるボンディングワイヤ27が接続される。最後に、透光性の樹脂体16によって前記発光素子15を封止することによって側面実装型の発光ダイオードが完成する。
【0019】
このようにして形成された発光ダイオード11は、
図2に示したように、発光素子が実装されている前面側をマザーボード20と平行となるように、放熱開口部24が設けられている下側面13cをマザーボード20上に載置する。そして、端子開口部23を通して露出する第1電極17と第2電極18にハンダ28を塗布することによって、マザーボード20との電気的接合が図られる。このとき、放熱開口部24を通して露出する第1電極17は、マザーボード20に直接接することができるため、表面側の発光素子15の発光によって生じた熱が熱伝導体19a,19bを介して裏面側の第1電極17に伝達され、そのままマザーボード20に効率よく放熱させることができる。
【0020】
このように、側面実装型の基板12が実装部14とベース部13とからなり、両者を貼り合わせて一体化させることによって、発光素子15が実装される第1電極17を放熱面として利用することができる。これによって、別途放熱部材を基板に設ける必要がないので、製造工数やコストが掛からず製品のコンパクト化も図られる。
【0021】
なお、本実施形態では、前記ベース部13に設けられる放熱開口部24を切削加工や刳り貫き加工が容易な円弧状に形成したが、マザーボード20に接する面が広く確保できれば四角形状や三角形状であってもよい。
【0022】
図6乃至
図9には、本発明の第2実施形態に係る側面実装型の発光ダイオード31が示されている。この発光ダイオード31は、基板32が絶縁性のベース部33と、このベース部33の上に接合される導電性基板からなる実装部34とで構成される。なお、この実装部34は、全体が上記第1実施形態の熱伝導体19a,19bに相当する熱伝導部となっている。前記ベース部33は、第1実施形態と同様に下側面の角部に一対の端子開口部43と、中央部に放熱開口部44が設けられる。
【0023】
図8は前記基板32を実装部34側から見た組立図(a)及び完成図(b)であり、
図9は前記基板32をベース部33側から見た組立図(a)及び完成図(b)である。前記実装部34は、熱伝導性の高い銅やアルミニウム等の金属材料で形成された金属板が用いられる。この実装部34は、前記ベース部33よりも長手方向の幅が短く形成され、裏面側をベース部33の略中央部に合わせて接着剤等を介して接合される。
【0024】
前記ベース部33は、前記実装部34が載置されている表面33aが露出する絶縁部分を隔てて第1電極37及び第2電極38がパターン形成される。また、前記一対の端子開口部43はスルーホール49になっており、各スルーホール49は前記第1電極37と第2電極38にそれぞれ導通している。そして、各スルーホール49は、ベース部33の下側面33cの角部を覆う導電性の遮蔽部材45,46によって前面側が塞がれる。この遮蔽部材45,46を設けることによって、発光素子35が載置されている実装部34の前面側を隙間なく長方形状に封止することができる。
【0025】
前記実装部34上には発光素子35が実装されるだけであり、この発光素子35の一対の素子電極とは前記第1電極37と第2電極38にボンディングワイヤ47を介して電気的接続が図られる。最後に、前記実装部34を含むベース部33の上を第1実施形態と同様の透光性の樹脂体36(
図7参照)によって封止する。
【0026】
この実施形態の発光ダイオード31は、
図7に示したように、一対の端子開口部43及び放熱開口部44が設けられているベース部33の下側面33cをマザーボード20に載置し、前記一対のスルーホール49にハンダ48を塗布することによって電気的接続が図られる。また、発光素子35が載置されている実装部34が金属板となっているため、全体が熱伝導部となっている。これによって、ベース部33に設けられている放熱開口部44に露出する部分と直接接するマザーボード20に熱を効率よく逃がすことができる。
【0027】
図10乃至
図13は、本発明の第3実施形態に係る側面実装型の発光ダイオード51が示されている。この発光ダイオード51は、基板52が絶縁性のベース部53と、このベース部53の上に接合されるシート状の実装部54とで構成される。前記ベース部53には、第1及び第2実施形態と同様に、下側面の角部に一対の端子開口部63と、中央部に放熱開口部64が設けられる。
【0028】
図12は前記基板52を実装部54側から見た斜視図であり、
図13は前記基板52をベース部53側から見た斜視図である。前記実装部54は、広い電極面を有するシート状のフレキシブル基板によって形成されている。この実装部54には、中央部に第1電極57、この第1電極57を挟んで第2電極58及び第3電極59が設けられ、外周部の一部と各電極間を仕切る部分が樹脂による絶縁部66となっている。前記第1電極57は放熱開口部64を覆うようにして設けられ、第2電極58及び第3電極59は各端子開口部63を覆うようにして設けられる。前記一対の端子開口部63から露出する第2電極58及び第3電極59は薄いシート面となっているため、各放熱開口部64をスルーホール69によって形成することで、電気抵抗の低減とハンダ68との接合強度を図ることができる。なお、本実施形態では、前記第1電極57、第2電極58及び第3電極59が第1及び第2実施形態における熱伝導部と同じように作用する。
【0029】
発光素子55は、前記第1電極57上に載置され、一対のボンディングワイヤ67を介して第2電極58と第3電極59に導通接続され、その上を透光性の樹脂体56によって封止される。本実施形態では、前記一対の端子開口部63が第2電極58及び第3電極59で塞がれるため、第2実施形態で示したような遮蔽部材45,46が不要となる。
【0030】
本実施形態の発光ダイオード51は、放熱開口部64が設けられているベース部53の下側面53cに向けて前記第1電極57、第2電極58及び第3電極59が延びている。このため、
図11に示したように、前記下側面53cをマザーボード20上に載置することで、このマザーボード20と実装部54との接触が図られる。この実装部54は薄いフレキシブル基板で形成され、特に第1電極57については、発光素子55が載置されている裏面側が放熱開口部64から大きく露出しているため、放熱効果が大きいものとなる。
【0031】
上記第1乃至第3実施形態における各発光ダイオードは、発光素子が実装されている前面がマザーボードと平行となるように、ベース部の下側面をマザーボード上の所定位置に載置し、一対の端子開口部を満たすようにしてハンダを塗布した後、マザーボード全体をリフロー処理する。このリフロー処理によって、塗布されたハンダが前記一対の端子開口部から露出する実装部の電極面に溶融接合することで、発光素子との電気的接続が図られると共に、マザーボードに安定した状態で側面実装することができる。
【0032】
以上、説明したように、本発明の発光ダイオードは、基板が放熱開口部を設けたベース部と発光素子が実装される実装部とを組み合わせて形成されているため、特別な放熱部材を付加することなく、マザーボード上に側面実装した際の高い放熱性を得ることが可能となった。また、前記実装部については、電極パターンを形成した樹脂基板、熱伝導性の高い金属基板、あるいは、シート状の電極面を有するフレキシブル基板など、用途に応じた実装基板を選択して使用することができるようになった。なお、本実施形態では、側面実装型の発光ダイオードについて示したが、それ以外の実装形態にも適用可能である。