特許第5937348号(P5937348)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5937348
(24)【登録日】2016年5月20日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】水力発電装置
(51)【国際特許分類】
   F03B 9/00 20060101AFI20160609BHJP
【FI】
   F03B9/00
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2011-277787(P2011-277787)
(22)【出願日】2011年12月20日
(65)【公開番号】特開2013-130062(P2013-130062A)
(43)【公開日】2013年7月4日
【審査請求日】2014年12月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】507415842
【氏名又は名称】西村 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100108958
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 英一
(72)【発明者】
【氏名】西村 誠
(72)【発明者】
【氏名】西村 清
【審査官】 松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−083374(JP,A)
【文献】 米国特許第04151719(US,A)
【文献】 米国特許第01567971(US,A)
【文献】 特許第3891445(JP,B2)
【文献】 特開2005−214151(JP,A)
【文献】 米国特許第04440427(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03B 9/00
F03B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の回転軸を介して上下方向に巡回可能なループ状に張設されたコンベヤと、
該コンベヤの周方向に沿って所定ピッチで配設されており、それぞれが開口部を上方へ向けてバランスするように、前記回転軸に平行な支軸を介して該コンベヤに対し相対回転自在に支持された複数のバケットと、
前記コンベヤの上部に到来した前記バケットの前記開口部に水を供給する水供給部と、
前記コンベヤの下部に到来した前記バケットを、前記支軸を介して回動させることにより、前記開口部から水を取り出す水取出部と、
いずれかの前記回転軸に連結された発電機とを備え
前記コンベヤは、その巡回経路における上部に2以上の前記バケットが水平に並ぶことが可能な上部水平経路を含み、
前記水供給部は、前記上部水平経路にある前記バケットに対して水を供給するように構成され、
前記バケットは、前記支軸を軸心とするとともに前記ピッチ以下の直径からなる円柱形に収容可能に形成され、かつ、前記バケットは、前記円柱形をその軸心上で2分割した半円柱形に形成され、
前記開口部は、該半円柱形における2分割面の略全体が開口してなるように形成されており、
前記上部水平経路の下方には、該上部水平経路における前記バケット同士の隙間から落下する水を前記下降するバケットに流し込むようにガイドするガイド部が設けられた
水力発電装置。
【請求項2】
前記上部水平経路における前記バケットに対し、前記支軸を中心とする回動を防止するように構成された回動防止部を備えた請求項1記載の水力発電装置。
【請求項3】
前記水供給部は、前記上部水平経路にある前記バケットに先行して下降する前記バケットに対しても水を供給するように構成された請求項1又は2記載の水力発電装置。
【請求項4】
前記水取出部は、前記バケットが、水の取り出し時の前記回動した姿勢から、前記開口部を上方へ向けてバランスした姿勢に復帰するときの振れ動きを防止する振れ防止部を備えた請求項1〜3のいずれか一項に記載の水力発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高所にある水の位置エネルギーを利用して発電する水力発電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の水力発電装置としては、特許文献1に記載された落下水流利用の発電装置を例示する。この発電装置は、図11に示すように、上端に落下水流を導入する導入口112が開口し、下端に落下水流を排出する排出口114が開口した、落下水流を通過させる上下方向に起立する筒枠110と、該筒枠110内側の上下方向に回転軸124,126を介して巡回可能にループ状に張設されたコンベヤ120と、該コンベヤ120の巡回部外側の長手方向に沿って所定のピッチで並べて付設された落下水流を流入させる複数のバケット130であって、そのバケット130の底部からバケット130の開口部132に向かう方向がコンベヤ120の巡回部122を巡回させる方向とは逆方向を向く複数のバケット130と、コンベヤ120の巡回部122の巡回に伴って回転するコンベヤ120を支持する回転軸124に連結された発電機140とが備えられている。そして、コンベヤ120の一方の側の巡回部122外側に並ぶ開口部132が上方を向く複数のバケット130が、導入口112から筒枠110内側に流入した落下水流が通過する通路に沿って配置されている。
【0003】
この特許文献1の水力発電装置と同様な基本構成を備えたものとしては、特許文献2に記載された発電装置もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3891445号公報
【特許文献2】特開2005−214151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、従来の発電装置は、バケット130の底部からバケット130の開口部132に向かう方向が、コンベヤ120の巡回部122を巡回させる方向とは逆方向を向くように固定されているので、次の課題がある。
【0006】
(1)バケット130に対し水を供給可能なときが、バケット130が下降し始めることにより開口部132が上向きになった状態のときに限られ、そうなったときに短時間に水を供給できるように、水を勢いよくバケット130に注ぎ込む必要がある。このため、水がバケット130に勢いよく当たって飛散し易く、バケット130に効果的に水に貯留させ難い。
【0007】
(2)下降経路においてバケット130から水が溢れないようにするために、該下降経路を垂直にする必要があり、設置可能な場所が限定される。例えば傾斜地(特に、下降経路の傾斜角度が経路全体で一定していないとき)に沿って設置することができない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、第1の発明の水力発電装置は、
複数の回転軸を介して上下方向に巡回可能なループ状に張設されたコンベヤと、
該コンベヤの周方向に沿って所定ピッチで配設されており、それぞれが開口部を上方へ向けてバランスするように、前記回転軸に平行な支軸を介して該コンベヤに対し相対回転自在に支持された複数のバケットと、
前記コンベヤの上部に到来した前記バケットの前記開口部に水を供給する水供給部と、
前記コンベヤの下部に到来した前記バケットを、前記支軸を介して回動させることにより、前記開口部から水を取り出す水取出部と、
いずれかの前記回転軸に連結された発電機とを備えている。
【0009】
ここで、特に限定されないが、前記開口部が上方を向いて安定的にバランスするように、前記バケットの反開口部側に錘を設けることを例示する。
【0010】
この構成によれば、前記バケットは、前記開口部を上方へ向けてバランスするように構成されているので、次の作用効果が得られる。
(1)前記水取出部により回動させられているときを除けば、前記バケットにいつでも水を注ぎ込むことができるので、従来よりも該バケットに時間をかけて水を注ぎ込むことができ、該バケット内に効果的に水を貯留させることができる。
(2)前記コンベヤの下降経路が垂直である必要がなく、傾斜していても構わないので、設置場所の選択の自由度が大きい。
【0011】
第2の発明の水力発電装置としては、前記第1の発明において、
前記バケットは、前記支軸を軸心とするとともに前記ピッチ以下の直径からなる円柱形に収容可能に形成された
態様を例示する。
【0012】
この構成によれば、隣接する前記バケットが、巡回経路における直線状の経路で並んだ状態で、互いに干渉し合うことなく、前記支軸を中心に回転可能に構成することができる。
【0013】
第3の発明の水力発電装置としては、前記第2の発明において、
前記バケットは、前記円柱形をその軸心上で2分割した半円柱形に形成され、
前記開口部は、該半円柱形における2分割面の略全体が開口してなるように形成された
態様を例示する。
【0014】
この構成によれば、前記開口部を大きく形成することができ、前記バケットに対し水を出し入れし易くすることができる。
【0015】
第4の発明の水力発電装置としては、前記第3の発明において、
前記コンベヤは、その巡回経路における上部に2以上の前記バケットが水平に並ぶことが可能な上部水平経路を含み、
前記水供給部は、前記上部水平経路にある前記バケットに対して水を供給するように構成された
態様を例示する。
【0016】
この構成によれば、前記上部水平経路を設けることにより、それぞれの前記バケットに対して水を供給可能な状態を、従来よりも延長することができる。
【0017】
第5の発明の水力発電装置としては、前記第4の発明において、
前記上部水平経路における前記バケットに対し、前記支軸を中心とする回動を防止するように構成された回動防止部を備えた態様を例示する。
【0018】
この構成によれば、前記水供給部から供給される水が、前記上部水平経路における前記バケットに注ぎ込まれたときに、該バケットが回動して水が溢れることを防止することができる。
【0019】
第6の発明の水力発電装置としては、前記第4又は5の発明において、
前記水供給部は、前記上部水平経路にある前記バケットに先行して下降する前記バケットに対しても水を供給するように構成された
態様を例示する。
【0020】
この構成によれば、前記先行して下降するバケットに追加的に水を供給することができる。
【0021】
第7の発明の水力発電装置としては、前記第4〜6のいずれかの発明において、
前記上部水平経路の下方に設けられ、該上部水平経路における前記バケット同士の隙間から落下する水を前記下降するバケットに流し込むようにガイドするガイド部を備えた
態様を例示する。
【0022】
この構成によれば、前記上部水平経路における前記バケット同士の隙間から落下する水を有効利用することができる。
【0023】
第8の発明の水力発電装置としては、前記第1〜7のいずれかの発明において、
前記水取出部は、前記バケットが、水の取り出し時の前記回動した姿勢から、前記開口部を上方へ向けてバランスした姿勢に復帰するときの振れ動きを防止する振れ防止部を備えた
態様を例示する。
【0024】
この構成によれば、前記振れ動きによる前記コンベヤにおけるエネルギーの損失を抑制することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る水力発電装置によれば、バケット内に効果的に水を貯留させることができるとともに、設置場所の選択の自由度が大きいという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明を具体化した第一実施形態に係る水力発電装置の全体構成を示す側面図である。
図2】同水力発電装置の全体構成を示す正面図である。
図3】同水力発電装置のバケットの斜視図である。
図4】同水力発電装置の上部の拡大側面図である。
図5】同水力発電装置の下部の拡大側面図である。
図6図5のVI矢視図であり、同図に実線で表されたバケットの状態を示す図である。
図7図5のVII矢視図であり、同図に二点鎖線で表されたバケットの状態を示す図である。
図8】同水力発電装置の下部におけるバケットの移動軌跡を説明する図である。
図9】本発明を具体化した第二実施形態に係る水力発電装置の全体構成を示す側面図である。
図10】同水力発電装置のバケットの斜視図である。
図11】従来の水力発電装置の全体構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1図8は本発明を具体化した第一実施形態の水力発電装置1を示しており、図1における左側が正面となっている。この水力発電装置1は、図1及び図2に示すように、上下方向に延びる筒状の筒枠2を備えており、該筒枠2には、4本の回転軸3,4,5,6を介して上下方向に巡回可能なループ状に張設されたコンベヤ7と、該コンベヤ7の周方向に沿って所定ピッチPで配設されており、それぞれが開口部9aを上方へ向けてバランスするように、回転軸3,4,5,6に平行な支軸8を介して該コンベヤ7に対し相対回転自在に支持された複数のバケット9と、コンベヤ7の上端部に到来したバケット9の開口部9aに水Wを供給する水供給部10と、コンベヤ7の下端部に到来したバケット9をその支軸8を介して回動させることにより、開口部9aから水Wを取り出す水取出部11と、回転軸4に連結された発電機12とが装備されている。
【0028】
筒枠2は、上端部に水供給部10が配設され、下端部に水取出部11が配設されており、内側にコンベヤ7及び複数のバケット9が収容されている。
【0029】
コンベヤ7は、筒枠2の上部に軸受20を介して回転自在に配設された前後一対の上部回転軸3,4と、筒枠2の下部に軸受20を介して回転自在に配設された前後一対の下部回転軸5,6と、該各回転軸の左右にそれぞれ固定されたスプロケット21と、左右それぞれのスプロケット21に巻回された無端体としての左右一対のチェーン22とにより構成されている。このように、本例のコンベヤ7の巡回経路23は上下に長い矩形状に形成されており、上下においてそれぞれ水平に延びる上部水平経路23a及び下部水平経路23bと、前後においてそれぞれ垂直に延びる上昇経路23c及び下降経路23dとを含んでいる。上部水平経路23a及び下部水平経路23bは、それぞれ最大3つのバケット9が水平に並ぶことが可能になっている。本例では、回転軸5,6は、筒枠2の左右の側壁にそれぞれ設けられた上下に延びる長穴2aを経由して軸受20に支持されており、該軸受20が下方に付勢されることにより、チェーン22の張りを維持するように構成されている。軸受20の付勢手段としては、公知の手段を適宜採用することができ、例えば、錘34により付勢する手段が挙げられる。
【0030】
上部水平経路23aの上方には、該経路におけるバケット9に対し、支軸8を中心とする回動を防止するように構成された回動防止部32が設けられている。本例の回動防止部32は、前後方向に水平に延びる左右一対の棒状に形成されており、上部水平経路23aにおけるバケット9の左右両端の上方にそれぞれ所定の隙間をおいて筒枠2に架設されている。回動防止部32は、筒枠2に対する取付位置を上下方向に調節可能に構成されており、前記所定の隙間を適宜調節可能になっている。前記所定の隙間としては、特に限定されないが約20mmに設定することを例示する。
【0031】
上部水平経路23aの下方には、板状のガイド部24が設けられている。このガイド部24は、水平に対して下降経路23d側が下がるように傾斜させて取り付けられており、バケット9から溢れたり、該上部水平経路23aにおけるバケット9同士の隙間から落下したりする水Wを、これらのバケット9に先行して下降するバケット9に流し込むようにガイドするとともに、上昇経路23cのバケットに降り注ぐことを防止する。水平に対するガイド部24の傾斜角度としては、特に限定されないが、5〜15°の範囲内に設定することを例示する。
【0032】
バケット9は、図3に示すように、支軸8を軸心とするとともにピッチPを直径とする中空円柱形をその軸心上で2分割した中空半円柱形に形成されており、バケット9の開口部9aは、前記中空半円柱形における2分割面の略全体が開口してなるように形成されている。バケット9の左右両側面の支軸8は、それぞれコンベヤ7における左右一対のチェーン22に軸受(図示略)を介して回転自在に支持されるようになっている。バケット9は、内側が支軸を中心とする断面円弧状に形成されているので、該内側に岩、石、砂、泥などの固形物が入った場合でも、水Wの取り出し時に支軸8を中心に横転させると、水Wとともに該固形物をスムーズに排出させることができる。バケット9の左右両側面の下端部には、それぞれ左右方向にローラ軸25が突設されており、該ローラ軸25には、回転自在にローラ26が支持されている。特に限定されないが、バケット9が支軸8を中心に開口部9aを上方へ向けて安定的にバランスするように、バケット9の内底(バケットの反開口部側)には錘を設けることが好ましい。
【0033】
水供給部10は、図1図2及び図4に示すように、上端における入口側開口10aに対して下端における出口側開口10bが相対的に小さくなった漏斗状に形成されており、筒枠2内側に水Wをスムーズに流入させるようになっている。本例では、平面視で前後方向に延びる矩形状に形成されている。本例の出口側開口10bの左右方向の幅は、バケット9の左右方向の幅よりも狭く形成されており、バケット9の左右方向の幅の1/2以下となっている。本例の出口側開口10bの前後方向の幅は、バケット9の前後方向の幅よりも広く、バケット9の前後方向の幅の約2.5倍に形成されている。正面視において、水供給部10は、バケット9の左右方向の中央に水Wを注ぐように構成されている。また、側面視において、水供給部10は、上部水平経路23aにあるバケット9と、それらのバケット9に先行して下降するバケット9に対して水Wを供給するように構成されている。また、水供給部10の側面の上部には、余分な水Wを外部に排出させ、水供給部10から水Wが溢れることを防止するオーバーフローパイプ10cが設けられている。なお、本例では、水供給部10に外部から注がれる水Wは、予めストレーナ31により固形物が取り除かれたものとなっている。
【0034】
水取出部11は、図5図7に示すように、左右一対の横転当たり部28と、左右一対の振れ防止部33とを備えており、これらは筒枠2に支持されている。
【0035】
横転当たり部28は、図5及び図6に示すように、コンベヤ7の下方から、コンベヤ7の巡回方向へ傾斜させて上方へ突設された棒状に形成されており、この上方への突出長さや傾斜角度が調節可能に筒枠2に取り付けられている。図8に示すように、左右の横転当たり部28には、コンベヤ7の下部水平経路23bの中央に到来したバケット9の左右のローラ26が乗り上げ、コンベヤ7の巡回に従ってローラ26が横転当たり部28の先端側に向かって転動することにより、該ローラ26を介してバケット9の底部が押し上げられ、バケット9が横転し、開口部9aからバケット9内の水Wが放出されるようになっている。その後、バケット9の左右のローラ26がそれぞれ左右の横転当たり部28の先端から外れ、バケット9が開口部9aを上方へ向けてバランスした状態に復帰するようになっている。
【0036】
振れ防止部33は、横転当たり部28の前方におけるコンベヤ7の下方から、上方へ突設された棒状に形成されており、この上方への突出長さが調節可能に筒枠2に取り付けられている。図5及び図7に示すように、左右の振れ防止部33は、バケット9が、水の取り出し時の前記回動した姿勢から、開口部9aを上方へ向けてバランスした姿勢に復帰するときに、バケット9の左右のローラ26に当接することにより、該バランスした姿勢で停止させ、バケット9の振れ動きを防止するようになっている。振れ防止部33におけるローラ26が当接する部位33aには、緩衝手段としての樹脂片が取り付けられており、当接時の衝撃を緩衝し騒音を低減するようになっている。
【0037】
発電機12は、本例では上部回転軸4に連結されている。発電機12と上部回転軸4とは、チェーン29、スプロケット30及び増速機(図示略)を介して、発電機12の駆動軸12aに連結されている。これにより、コンベヤ7の巡回に伴って回転する上部回転軸4の回転力を受けて、発電機12が高速回転し、発電するようになっている。
【0038】
以上のように構成された本例の水力発電装置1によれば、バケット9は、開口部9aを上方へ向けてバランスするように構成されているので、次の作用効果が得られる。
(1)水取出部11により回動させられているときを除けば、バケット9にいつでも水Wを注ぎ込むことができるので、従来よりもバケット9に時間をかけて水Wを注ぎ込むことができ、該バケット9内に効果的に水Wを貯留させることができる。
(2)コンベヤ7の下降経路23dが垂直である必要がなく、傾斜していても構わないので、設置場所の選択の自由度が大きい。
【0039】
また、バケット9は、支軸8を軸心とするとともにピッチPを直径とする円柱形に収容可能に形成されているので、隣接するバケット9が、巡回経路23における直線状の経路で並んだ状態で、互いに干渉し合うことなく、支軸8を中心に回転可能に構成することができる。
【0040】
また、バケット9は、前記円柱形をその軸心上で2分割した半円柱形に形成され、開口部9aは、該半円柱形における2分割面の略全体が開口してなるように形成されているので、開口部9aを大きく形成することができ、バケット9に対し水Wを出し入れし易くすることができる。
【0041】
また、コンベヤ7は、その巡回経路における上部に2以上のバケット9が水平に並ぶことが可能な上部水平経路23aを含み、水供給部10は、上部水平経路23aにあるバケット9に対して水Wを供給するように構成されている。この構成によれば、上部水平経路23aを設けることにより、それぞれのバケット9に対して水Wを供給可能な状態を、従来よりも延長することができる。
【0042】
また、上部水平経路23aにおけるバケット9に対し、支軸8を中心とする回動を防止するように構成された回動防止部を備えているので、水供給部10から供給される水Wが、上部水平経路23aにおけるバケット9に注ぎ込まれたときに、該バケット9が回動して水Wが溢れることを防止することができる。
【0043】
また、水供給部10は、上部水平経路23aにあるバケット9に先行して下降するバケット9に対しても水Wを供給するように構成されており、前記先行して下降するバケット9に追加的に水Wを供給することができる。
【0044】
また、上部水平経路23aの下方に設けられ、該上部水平経路23aにおけるバケット9同士の隙間から落下する水Wを前記先行して下降するバケット9に流し込むようにガイドするガイド部を備えているので、水を有効利用することができる。
【0045】
また、水取出部11は、バケット9が、水の取り出し時の前記回動した姿勢から、開口部9aを上方へ向けてバランスした姿勢に復帰するときの振れ動きを防止する振れ防止部を備えているので、該振れ動きによるコンベヤ7におけるエネルギーの損失を抑制することができる。
【0046】
次に、図9図10は本発明を具体化した第二実施形態を示している。この水力発電装置1は、以下に示す点において、主に第一実施形態と相違している。従って、同実施形態と共通する部分については、同一符号を付することにより重複説明を省く。
【0047】
本例のバケット9は、図10に示すように、ピッチPよりも小さい直径からなる中空円柱形をその軸心上で2分割した中空半円柱形における2分割面の開口縁部を上方に延長してなる形状に形成されている。このため、図9に示すように、上部水平経路23aに並ぶ2以上のバケット9同士の間に隙間ができるが、該隙間から落下した水Wは、ガイド部24により、これらのバケット9に先行して下降するバケット9に流し込まれる。
【0048】
本例の水力発電装置1によっても、第一実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0049】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のように、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することもできる。
(1)バケット9の形状を適宜変更すること。
(2)コンベヤ7の巡回経路を適宜変更すること。例えば、下降経路23dを傾斜させることを例示する。
(3)コンベヤ7の回転軸の数を増減すること。
【符号の説明】
【0050】
1 水力発電装置
2 筒枠
3 上部回転軸
4 上部回転軸
5 下部回転軸
6 下部回転軸
7 コンベヤ
8 支軸
9 バケット
9a 開口部
10 水供給部
10a 入口側開口
10b 出口側開口
10c オーバーフローパイプ
11 水取出部
12 発電機
12a 駆動軸
20 軸受
21 スプロケット
22 チェーン
23 巡回経路
23a 上部水平経路
23b 下部水平経路
23c 上昇経路
23d 下降経路
24 ガイド部
25 ローラ軸
26 ローラ
28 横転当たり部
29 チェーン
30 スプロケット
31 ストレーナ
32 回動防止部
33 振れ防止部
34 錘
P 所定ピッチ
W 水
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11