【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、作業性等の点で優れる水系のポリマーエマルションを必須成分として含む制振材用樹脂について種々検討したところ、該ポリマーエマルションを構成する単量体としてアミド系単量体に着目した。そして、その制振材用エマルション(好ましい形態が低分子量、特定Tg)として、アミド系単量体を重合したものを用いることにより、制振材の加熱乾燥性・厚膜乾燥性(焼付け性)と制振性とが向上することを見いだしたものである。つまり、アミド系単量体を共重合してなるポリマーが、感温性ポリマーとして作用して一定温度以上でゲル化するため、加熱乾燥性(焼付け性)が向上し、さらには成膜性も向上すると考えられる。また、アミド系単量体を共重合してなるポリマーは極性基を有するものとなり、当該極性基導入による相互作用が増大することによって、振動による運動エネルギーが摩擦による熱エネルギーに変換され、制振性が向上すると考えられる。アミド系単量体としては、極性基(アミド基部分等)を持ちながら疎水基(炭化水素基部分等)を持つ化合物であることが好ましいことも見いだした。この場合、該アミド系単量体から形成される単量体単位がエマルション粒子中に均一に存在しやすくなる。つまり、通常、極性基はエマルション粒子表面に局在化するが、疎水基も有することによって、該アミド系単量体がエマルション粒子中に分散しやすくなり、その結果、エマルション粒子において該アミド系単量体単位による性能が均一に発現され、これに起因して制振性が更に向上するものと推察される。また、このような制振材用樹脂を必須成分の一つとする制振材組成物が、厚膜塗膜を形成する際に加熱乾燥性(焼付け性)が向上したものとなり、制振材組成物とすることで、それを用いて形成される塗膜(制振材)が格段に優れた制振性を発揮し、各種構造体の制振材として極めて有用なものとなることも見いだした。このように、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
【0010】
すなわち本発明は、ポリマーエマルションからなる制振材用樹脂であって、
上記ポリマーエマルションは、下記一般式(1)
【0011】
【化1】
【0012】
(式中、R
1、R
2、R
3は、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を表す。R
4は、直接結合、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、−O−R
X−で表される基、又は、−NH−R
X−で表される基を表す。R
5、R
6は、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、−R
X−O−R
Yで表される基、又は、−R
X−OHで表される基を表す。R
5とR
6は、互いに結合して環構造を形成してもよい。なお、R
X、R
Yは、同一又は異なって、炭素数1〜20の炭化水素基を表す。)で表される単量体を必須として重合してなる制振材用樹脂である。
以下に本発明を詳述する。
【0013】
本発明の制振材用樹脂は、上記一般式(1)で表される単量体(以下、単量体(1)ともいう)を必須として重合してなるポリマーエマルションを含有してなるものである。つまり、当該ポリマーエマルションを形成するポリマー(以下、重合体(A)ともいう)は、単量体(1)を必須成分として重合して得られたポリマーである。
当該ポリマーエマルションは、1種でも2種以上であってもよい。また、上記単量体(1)も、1種でも2種以上であってもよい。
上記ポリマーエマルションは、ポリマーエマルションを形成するポリマー(重合体(A))と水性媒体を含有してなるものであることが好ましい。
【0014】
上記ポリマーエマルションは、上記一般式(1)で表される単量体を、全単量体100質量部に対して1〜20質量部共重合してなることが好ましい。単量体(1)の使用量が1質量部未満であると、単量体(1)使用の効果が得られないおそれがあり、20質量部を超えると、塗膜の外観が充分に優れたものとならないおそれがある。より好ましくは1 〜15質量部、更に好ましくは2〜15質量部である。
【0015】
上記ポリマーエマルションを形成するポリマー(重合体(A))は、重量平均分子量が2万〜80万であることが好ましい。制振性を発揮するためには、重合体に加えられた振動のエネルギーを摩擦による熱エネルギーに変えることが好適であり、重合体に振動が加えられたときに運動することのできる重合体であることが必要となる。重合体(A)がこのような重量平均分子量を有するものであると、振動が加えられたときに重合体が充分に運動することができ、高い制振性を発揮することができる。重合体(A)の重量平均分子量は、より好ましくは3万〜40万であり、更に好ましくは4万〜40万である。
【0016】
なお、重量平均分子量(Mw)は、以下の測定条件下で、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定により求めることができる。
測定機器:HLC−8120GPC(商品名、東ソー社製)
分子量カラム:TSK−GEL GMHXL−Lと、TSK−GELG5000HXL(いずれも東ソー社製)とを直列に接続して使用
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
検量線用標準物質:ポリスチレン(東ソー社製)
測定方法:測定対象物を固形分が約0.2質量%となるようにTHFに溶解し、フィルターにてろ過した物を測定サンプルとして分子量を測定する。
【0017】
上記ポリマーエマルションを形成するポリマー(重合体(A))は、ガラス転移温度が−20〜40℃であることが好ましい。重合体(A)として、このようなガラス転移温度を有するものを用いると、制振材の実用温度域での制振性能を効果的に発現することができることとなる。重合体(A)のガラス転移温度は、より好ましくは−15〜35℃であり、更に好ましくは−10〜30℃である。
なお、ガラス転移温度(Tg)は、既に得られている知見に基づいて決定されてもよいし、後述する単量体成分の種類や使用割合によって制御されてもよいが、理論上は、以下の計算式(1)より算出することができる。
【0018】
【数1】
【0019】
式中、Tg′は、ポリマーのTg(絶対温度)である。W
1′、W
2′、・・・Wn′は、全単量体成分に対する各単量体の質量分率である。T
1、T
2、・・・Tnは、各単量体成分からなるホモポリマー(単独重合体)のガラス転移温度(絶対温度)である。
【0020】
上記一般式(1)におけるR
1、R
2、R
3は、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を表す。
上記炭素数1〜20の炭化水素基としては特に限定されず、飽和炭化水素基であっても、不飽和炭化水素基であってもよい。また、直鎖状炭化水素基、分岐状炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基のいずれであってもよく、これらのうち複数種類の構造を有する基であってもよい。なかでも、炭素数1〜10の炭化水素基が好ましく、より好ましくは、炭素数1〜3の炭化水素基であり、更に好ましくは、炭素数1〜2の飽和アルキル基又は不飽和アルキル基である。また、置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、水酸基、カルボキシル基等が挙げられる。
炭素数1〜20の炭化水素基としては、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基等の、炭素数1〜20の脂肪族又は脂環式アルキル基;フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等の、炭素数6〜20のアリール基;o−,m−又はp−トリル基、2,3−又は2,4−キシリル基、メシチル基等の、アルキル基で置換されたアリール基;ビフェニリル基等の、(アルキル)フェニル基で置換されたアリール基;ベンジル基、フェネチル基、ベンズヒドリル基、トリチル基等の、アリール基で置換されたアルキル基等が挙げられる。
上述したもののうち、R
1、R
2、R
3としては、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基が好ましく、水素原子及びメチル基がより好ましく、水素原子が最も好ましい。
【0021】
上記一般式(1)におけるR
4は、直接結合、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、−O−R
X−で表される基、又は、−NH−R
X−で表される基を表す。
上記炭素数1〜20の2価の炭化水素基は特に限定されず、飽和炭化水素基であっても、不飽和炭化水素基であってもよい。また、直鎖状炭化水素基、分岐状炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基のいずれであってもよく、これらのうち複数種類の構造を有する基であってもよい。なかでも、炭素数1〜10の2価の炭化水素基が好ましく、より好ましくは、炭素数1〜5の2価の炭化水素基であり、更に好ましくは、炭素数1〜5のアルキレン基であり、特に好ましくは、炭素数1〜3のアルキレン基である。また、置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、水酸基、カルボキシル基等が挙げられる。
上記炭素数1〜20の2価の炭化水素基として具体的には、メチレン基(−CH
2−)、エチレン基(−CH
2CH
2−)、トリメチレン基(−CH
2CH
2CH
2−)、テトラメチレン基(−CH
2CH
2CH
2CH
2−)、ペンタメチレン基、へキサメチレン基等の、直鎖のアルキレン基;エチリデン基[−CH(CH
3)−]、プロピレン基[−CH(CH
3)CH
2−]、プロピリデン基[−CH(CH
3CH
2)−]、イソプロピリデン基[−C(CH
3)
2−]、等の分岐鎖のアルキレン基等が挙げられる。これらの中でも、メチレン基、エチレン基が好ましく、特にメチレン基であることが好ましい。
R
4が−O−R
X−で表される基である場合、上記一般式(1)で表される化合物はエステル基とR
Xで表される2価の炭化水素基とを有することになる。R
4が−NH−R
X−で表される基である場合、上記一般式(1)で表される化合物はアミド基とR
Xで表される2価の炭化水素基とを有することになる。R
Xで表される2価の炭化水素基としては、上述した炭素数1〜20の2価の炭化水素基と同様のものを挙げることができる。
上述したもののうち、R
4としては、直接結合、メチレン基、エチレン基が好ましく、直接結合、メチレン基がより好ましく、直接結合が最も好ましい。
【0022】
上記一般式(1)におけるR
5、R
6は、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、−R
X−O−R
Yで表される基、又は、−R
X−OHで表される基を表す。
炭素数1〜20の炭化水素基は、R
1、R
2、R
3について上述したものと同様である。
−R
X−O−R
Yで表される基は、構造中にエーテル基と炭化水素基とを有する基である。R
Xで表される2価の炭化水素基は、R
4について上述したものと同様である。また、R
Yで表される炭化水素基は、R
1、R
2、R
3について上述したものと同様である。−R
X−O−R
Yで表される基として具体的には、メトキシメチル基、エトキシメチル基、アリルオキシメチル基、メトキシエチル基等を挙げることができる。好ましくはメトキシメチル基である。
−R
X−OHで表される基は、構造中にアルコール末端(アルコール基、ヒドロキシル基)と炭化水素基とを有する基である。R
Xで表される炭化水素基は、R
4について上述したものと同様である。−R
X−OHで表される基として具体的には、ヒドロキシメチル基(メチロール基)、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等を挙げることができる。好ましくはヒドロキシメチル基(メチロール基)である。
R
5、R
6としては、一方が水素原子、他方が炭素数1以上の炭化水素基であることが好ましい。該炭素数1以上の炭化水素基としては、炭素数2以上の炭化水素基であることが好ましく、炭素数3以上の炭化水素基であることがより好ましい。例えば、該炭素数1以上の炭化水素基としては、イソプロピル基である形態が特に好ましい。
【0023】
また、R
5、R
6は、互いに結合して窒素原子とともに環構造を形成してもよく、そのような形態は、本発明の好ましい形態の一つである。このような環構造として具体的には、窒素原子と2〜6個の炭素原子とにより構成される環構造、窒素原子と酸素原子と2〜6個の炭素原子とにより構成される環構造等を挙げることができる。
上記窒素原子と2〜6個の炭素原子とにより構成される環構造としては、例えば、下記一般式(2−1)〜(2−5)で表される構造や、それらが有する水素原子の1又は2以上が他の基によって置換された構造を挙げることができる。
【0024】
【化2】
【0025】
(式中、R
4は、上記一般式(1)におけるR
4と同様である。)
上記窒素原子と酸素原子と2〜6個の炭素原子とにより構成される環構造としては、例えば、下記一般式(3−1)〜(3−5)で表される構造や、それらが有する水素原子の1又は2以上が他の基によって置換された構造を挙げることができる。
【0026】
【化3】
【0027】
(式中、R
4は、上記一般式(1)におけるR
4と同様である。)
R
5、R
6が窒素原子とともに環構造を形成する形態において、上記環構造としては、窒素原子と酸素原子と2〜6個の炭素原子とにより構成される環構造が好ましい。
【0028】
上記単量体(1)のうち、例えば、アクリロイルモルホリン、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−i−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等が好ましく挙げられる。
【0029】
本発明におけるポリマーエマルションを形成するポリマー(重合体(A))の原料となる、上記単量体(1)以外の単量体成分としては、本発明の作用効果を発揮することができる限り特に限定されないが、不飽和カルボン酸単量体を含んでなるものであることが好ましい。より好ましくは、不飽和カルボン酸単量体及び不飽和カルボン酸単量体と共重合可能な他の単量体とを含んでなるものである。不飽和カルボン酸単量体としては、分子中に不飽和結合とカルボキシル基とを有する化合物であれば特に限定されるものではないが、エチレン系不飽和カルボン酸単量体を含むことが好ましい。
【0030】
本発明において、ポリマーエマルションを形成するポリマー(重合体(A))は、上述したように1種の重合体であってもよく、2種以上の重合体からなるものでもよい。また、重合体(A)が2種以上の重合体からなり、それらが複合化した形態のものであってもよい。なお、重合体(A)が、後述するコア部とシェル部とを有する形態である場合、不飽和カルボン酸単量体及び不飽和カルボン酸単量体と共重合可能な他の単量体は、エマルションのコア部を形成する単量体成分、シェル部を形成する単量体成分のいずれに含まれていてもよく、これらの両方に用いられるものであってもよい。
【0031】
上記エチレン系不飽和カルボン酸単量体としては特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、モノメチルフマレート、モノエチルフマレート、モノメチルマレエート、モノエチルマレエート等の不飽和カルボン酸類又はその誘導体等の1種又は2種以上が挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸等の(メタ)アクリル酸系単量体が好ましい。すなわち、ポリマーエマルションを形成するポリマー(重合体(A))が、その単量体成分の少なくとも1種が(メタ)アクリル酸系単量体である(メタ)アクリル系重合体であることは、本発明の好適な実施形態の1つである。
【0032】
上記(メタ)アクリル系重合体の中でも、(メタ)アクリル酸系単量体を含む単量体成分を用いて得られるものであることが好ましい。また、本発明の(メタ)アクリル系重合体は、単量体成分の少なくとも1種が、C(R
7)
2=CH−COOR
8、又は、C(R
9)
2=C(CH
3)−COOR
10(R
7、R
8、R
9及びR
10は、同一又は異なって、水素原子、金属原子、アンモニウム基又は有機アミン基を表す。)で表される単量体である単量体成分を用いて得られるものであることが好ましい。
なお、本明細書中、(メタ)アクリル酸系単量体とは、アクリロイル基若しくはメタクリロイル基、又は、これらの基における水素原子が他の原子若しくは原子団に置き換わった基を有し、かつ、−COOH基を有する単量体であり、(メタ)アクリル系単量体とは、アクリロイル基若しくはメタクリロイル基、又は、これらの基における水素原子が他の原子若しくは原子団に置き換わった基を有し、かつ、−COOH基がエステルとなった形態若しくは塩となった形態の単量体又はそのような単量体の誘導体である。
【0033】
上記(メタ)アクリル系重合体の原料となる単量体成分は、全単量体成分100質量%に対して(メタ)アクリル酸系単量体を0.1〜20質量%、その他の共重合可能なエチレン系不飽和単量体を80〜99.9質量%含んでなることが好ましい。(メタ)アクリル酸系単量体を含むことにより、本発明の制振材用樹脂を必須とする後述の制振材組成物において、無機粉体等の充填剤の分散性が向上し、制振性がより向上することになる。また、その他の共重合可能なエチレン系不飽和単量体を含むことにより、重合体の酸価、Tgや物性等を調整しやすくなる。上記単量体成分において、(メタ)アクリル酸系単量体が0.1質量%未満であっても、20質量%を超えても、いずれも単量体成分が安定に共重合しにくくなるおそれがある。本発明の制振材用樹脂に含有される(メタ)アクリル系重合体では、これらの単量体から形成される単量体単位の相乗効果により、水系制振材において優れた加熱乾燥性と制振性とをより充分に発揮することが可能となる。
より好ましくは、全単量体成分100質量%に対して(メタ)アクリル酸系単量体を0.5〜3質量%、その他の共重合可能なエチレン系不飽和単量体を97〜99.5質量%含んでなることである。
その他の共重合可能なエチレン系不飽和単量体には、(メタ)アクリル酸系単量体以外の(メタ)アクリル系単量体、単量体(1)以外の窒素原子を有する不飽和単量体、芳香環を有する不飽和単量体、(メタ)アクリル酸系単量体と共重合可能なその他の単量体が含まれる。
【0034】
上記(メタ)アクリル酸系単量体以外の(メタ)アクリル系単量体としては、例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルアクリレート、tert−ブチルメタクリレート、ペンチルアクリレート、ペンチルメタクリレート、イソアミルアクリレート、イソアミルメタクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、オクチルアクリレート、オクチルメタクリレート、イソオクチルアクリレート、イソオクチルメタクリレート、ノニルアクリレート、ノニルメタクリレート、イソノニルアクリレート、イソノニルメタクリレート、デシルアクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルアクリレート、ドデシルメタクリレート、トリデシルアクリレート、トリデシルメタクリレート、ヘキサデシルアクリレート、ヘキサデシルメタクリレート、オクタデシルアクリレート、オクタデシルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、アリルアクリレート、アリルメタアクリレート等;これらの塩やエステル化物等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することが好適である。
【0035】
上記塩としては、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩等であることが好ましい。金属塩を形成する金属原子としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属原子等の1価の金属原子;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属原子等の2価の金属原子;アルミニウム、鉄等の3価の金属原子が好適である。また、有機アミン塩としては、エタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩や、トリエチルアミン塩が好適である。
【0036】
上記(メタ)アクリル系重合体の原料となる単量体成分としては、(メタ)アクリル系単量体を、全単量体成分100質量%に対して、20質量%以上含有するものであることが好ましい。より好ましくは、30質量%以上である。
【0037】
上記芳香環を有する不飽和単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン等が挙げられる。好ましくはスチレンである。
すなわち、ポリマーエマルションを形成するポリマー(重合体(A))が、スチレンを含む単量体成分から得られたスチレン(メタ)アクリル系重合体であることもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
【0038】
上記ポリマーエマルションを形成するポリマー(重合体(A))がスチレン(メタ)アクリル系重合体を含む場合、全単量体成分100質量%に対して、芳香環を有する不飽和単量体を1〜50質量%含むことが好ましい。より好ましくは5〜45質量%であり、更に好ましくは10〜40質量%である。
【0039】
上記単量体(1)以外の窒素原子を有する不飽和単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ジアセトンアクリルアミド等が挙げられる。好ましくはアクリロニトリルである。
【0040】
上記ポリマーエマルションを形成するポリマー(重合体(A))は、極性基含有単量体を含む単量体成分から得られたものであることも好ましい。重合体(A)が極性基を有すると、制振材におけるポリマー間の相互作用がより大きなものとなり、ポリマー間の摩擦がより大きくなることから、制振性がより充分に発揮されることとなる。
上記極性基含有単量体が有する極性基としては、有機化合物において一般に極性基とされるものであればよいが、水酸基、ニトリル基、カルボキシル基及びピロリドン基からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。より好ましくは、ニトリル基及び/又はカルボキシル基である。
【0041】
上記(メタ)アクリル系重合体を形成する単量体成分は、官能基を有する不飽和単量体を含んでいてもよい。該官能基を有する不飽和単量体における官能基としては、例えば、エポキシ基、グリシジル基、オキサゾリン基、カルボジイミド基、アジリジニル基、イソシアネート基、メチロール基、ビニルエーテル基、シクロカーボネート基、アルコキシシラン基等が挙げられる。これらの官能基は、不飽和単量体の1分子中に1種あってもよく、2種以上あってもよい。例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、アクリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有不飽和単量体類等が挙げられ、これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0042】
また、官能基を2個以上含有する多官能性不飽和単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−i−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ジアリルフタレート、ジアリルテレフタレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0043】
本発明において、上記ポリマーエマルションを形成するポリマー(重合体(A))は、1種の重合体であってもよく、2種以上の重合体からなるものでもよい。また、重合体(A)が2種以上の重合体からなり、それらが複合化した形態のものであってもよい。重合体(A)がコア部とシェル部とを有する形態である場合、重合体(A)が2種類の重合体からなり、該2種類の重合体の一方がコア部、他方がシェル部を形成しているものであってもよい。
【0044】
本発明の制振材用樹脂においては、コア・シェル構造を有するポリマーエマルション及び/又は2種以上のポリマーエマルションの混合物を含有する場合、コア・シェル構造を有するポリマーエマルションを形成するポリマー及び2種以上のポリマーエマルションを形成するポリマーから選ばれる少なくとも1つが、上記一般式(1)の単量体が共重合されてなることが好ましい。
【0045】
より具体的には、コア・シェル構造を有するポリマーエマルションの場合は、コアのみ、シェルのみ、及び、コア・シェル両方、のいずれかに、単量体(1)が共重合されてなることが好ましい。
また、2種以上のポリマーエマルションの混合物の場合は、1種のポリマーエマルションのみ、2種以上のポリマーエマルションの一部(例えば3種混合物の場合は、そのうちの2種)、及び、2種以上のポリマーエマルションの全部(例えば3種混合物の場合は、3種全て)のいずれかに、単量体(1)が共重合されてなることが好ましい。
【0046】
本発明の制振材用樹脂が、コア部とシェル部とを有するエマルション粒子を含む場合、コア部とシェル部とが完全に相溶し、これらを区別できない均質構造のものであってもよく、これらが完全には相溶せずに不均質に形成されるコア・シェル複合構造やミクロドメイン構造であってもよいが、これらの構造の中でも、エマルションの特性を充分に引き出し、安定なエマルションを作製するためには、コア・シェル複合構造であることが好ましい。
コア・シェル複合構造を有するエマルションは、実用温度範囲内の幅広い範囲における制振性に優れる。特に高温域においても、他の形態の制振材配合物と比較して優れた制振性を発揮し、その結果、実用温度範囲内において、常温から高温域まで幅広い範囲に渡って制振性能を発揮することができる。
なお、上記コア・シェル複合構造においては、コア部の表面がシェル部によって被覆された形態であることが好ましい。この場合、コア部の表面は、シェル部によって完全に被覆されていることが好適であるが、完全に被覆されていなくてもよく、例えば、網目状に被覆されている形態や、所々においてコア部が露出している形態であってもよい。
【0047】
上記ポリマーエマルションを形成するポリマー(重合体(A))がコア部とシェル部とを有するエマルション粒子の形態である場合、コア部を形成する単量体成分から得られるポリマーとシェル部を形成する単量体成分から得られるポリマーとのガラス転移温度(Tg)の差は、5〜60℃であることが好ましい。このようにガラス転移温度(Tg)に差を設けることにより、例えば、制振材用途に適用したときに、幅広い温度領域下でより高い制振性を発現させることが可能となり、特に実用的範囲である20〜60℃域での制振性がより向上されることとなる。ガラス転移温度(Tg)の差は、より好ましくは5〜50℃であり、更に好ましくは5〜40℃である。
また、コア部を形成する単量体成分とシェル部を形成する単量体成分とを合わせたトータルの単量体成分から得られるポリマーのTgは、−20〜40℃であることが好ましい。より好ましくは、−10〜30℃である。
上記コア部とシェル部とを有するエマルション粒子は、後述する乳化重合法(多段重合)を用いて得ることができる。
【0048】
本発明の制振材用樹脂が含む重合体(A)は、エマルションの形態で存在するものであるが、当該エマルション粒子の平均粒子径は100〜450nmであるものであることが好ましい。
平均粒子径がこの範囲にあるエマルション粒子を用いることにより、制振材に要求される加熱乾燥性、塗工性等の基本性能を充分なものとした上で、制振性をより優れたものとすることができる。上記上限は、より好ましくは400nm以下であり、更に好ましくは350nm以下である。エマルション粒子の平均粒子径がこのような範囲であると、本発明の制振材用樹脂の作用効果がより効果的に発揮されることになる。また、平均粒子径の下限は、好ましくは110nm以上であり、より好ましくは120nm以上である。
平均粒子径(体積平均粒子径)は、例えば、エマルションを蒸留水で希釈し、充分に攪拌混合した後、ガラスセルに約10ml採取し、これを動的光散乱法による粒度分布測定器(Particle Sizing Systems社製「NICOMP Model 380」)で測定することにより求めることができる。
【0049】
本発明の制振材用樹脂において、上記平均粒子径を有するエマルション粒子は、標準偏差をその体積平均粒子径で割った値(標準偏差/体積平均粒子径×100)で定義される粒度分布が、40%以下であることが好ましい。より好ましくは30%以下である。粒度分布が40%を超えると、エマルション粒子の粒子径分布の幅が非常に広いものとなり、一部に粗大粒子を含むものとなるために、そのような粗大粒子の影響で制振材用樹脂が充分な加熱乾燥性を発揮することができないおそれがある。
【0050】
本発明の制振材用樹脂は、上記ポリマーエマルションを含むものである限り、その他の成分を含んでもよい。
その他の成分を含む場合、制振材用樹脂全体に対して、その他の成分の割合は、10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは5質量%以下である。なお、ここでいうその他の成分とは、制振材用樹脂を塗布し、加熱乾燥した後も塗膜中に残る不揮発分(固形分)のことを意味し、水性媒体は含まれない。
本発明の制振材用樹脂は、固形分の含有割合が樹脂全体に対して40〜80質量%であることが好ましく、より好ましくは50〜70質量%である。
なお、ここでいう固形分とは、制振材用樹脂に含まれる水性媒体以外の成分を意味する。
【0051】
本発明の制振材用樹脂のpHとしては特に限定されないが、2〜10であることが好ましく、より好ましくは3〜9であり、更に好ましくは7〜8である。制振材用樹脂のpHは、当該樹脂に、アンモニア水、水溶性アミン類、水酸化アルカリ水溶液等を添加することによって調整することができる。
本明細書中、pHは、pHメーターにより測定することができる。例えば、pHメーター(堀場製作所社製「F−23」)を用いて25℃での値を測定することが好ましい。
【0052】
本発明の制振材用樹脂の粘度としては特に限定されないが、1〜10000mPa・sであることが好ましく、より好ましくは5〜1000mPa・sであり、更に好ましくは5〜500mPa・sである。
なお、粘度は、B型回転粘度計を用いて、25℃、20rpmの条件下で測定することができる。
【0053】
本発明の制振材用樹脂に含有される重合体の製造方法としては、乳化剤の存在下で乳化重合法により単量体成分を重合することになるが、乳化重合を行う形態としては特に限定されず、例えば、水性媒体中に単量体成分、重合開始剤及び乳化剤を適宜加えて重合することにより行うことができる。また、分子量調節のために重合連鎖移動剤等を用いることが好ましい。
【0054】
本発明の制振材用樹脂に含有される重合体がコア部とシェル部とを有するエマルションである場合、通常の乳化重合法を用いて得ることが好ましい。具体的には、乳化剤及び/又は保護コロイドの存在下、水性媒体中で単量体成分を乳化重合させてコア部を形成した後、該コア部を含むエマルションに更に単量体成分を乳化重合させてシェル部を形成する多段重合により得ることが好ましい。このように、本発明の制振材用樹脂に含有される重合体がコア部とシェル部とを有するエマルションであって、該エマルションがコア部を形成した後、シェル部を形成する多段重合により得られるものである形態もまた、本発明の好適な形態の1つである。
【0055】
上記水性媒体としては特に限定されず、例えば、水、水と混じり合うことができる溶媒の1種又は2種以上の混合溶媒、このような溶媒に水が主成分となるように混合した混合溶媒等が挙げられる。これらの中でも、本発明の制振材用樹脂を含む塗料を塗布する際の安全性や環境への影響を考慮すると、水が好適である。
【0056】
上記乳化剤の使用量としては、重合性不飽和結合基を有する化合物の総量100質量%に対して、好ましくは0.1〜10質量%である。0.1質量%未満であると、機械安定性を充分に向上できない上に、重合安定性が充分に維持できないおそれがある。より好ましくは0.5〜5質量%であり、更に好ましくは1〜3質量%である。
【0057】
乳化剤としては、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、両性の各種界面活性剤、及び、高分子界面活性剤の1種又は2種以上を用いることができる。
上記アニオン系界面活性剤としては特に限定されず、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンオレイルエーテル硫酸ナトリウム塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、ポリオキシアルキレン(モノ、ジ、トリ)スチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレン(モノ、ジ、トリ)ベンジルフェニルエーテル硫酸エステル塩、アルケニルコハク酸ジ塩;ナトリウムドデシルサルフェート、カリウムドデシルサルフェート、アンモニウムアルキルサルフェート等のアルキルサルフェート塩;ナトリウムドデシルポリグリコールエーテルサルフェート;ナトリウムスルホリシノエート;スルホン化パラフィン塩等のアルキルスルホネート;ナトリウムドデシルベンゼンスルホネート、アルカリフェノールヒドロキシエチレンのアルカリ金属サルフェート等のアルキルスルホネート;高アルキルナフタレンスルホン酸塩;ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物;ナトリウムラウレート、トリエタノールアミンオレエート、トリエタノールアミンアビエテート等の脂肪酸塩;ポリオキシアルキルエーテル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンカルボン酸エステル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンフェニルエーテル硫酸エステル塩;コハク酸ジアルキルエステルスルホン酸塩;ポリオキシエチレンアルキルアリールサルフェート塩等が挙げられる。これらの1種又は2種以上を用いることができる。
【0058】
上記アニオン系界面活性剤として好適な市販品としては、例えば、ラテムルWX、ラテムル118B、ペレックスSS−H、エマルゲンA−60、B−66、レベノールWZ(花王社製)、ニューコール707SF、ニューコール707SN、ニューコール714SF、ニューコール714SN、AB−26S、ABEX−2010、2020、2030、DSB(ローディア日華社製)等を挙げることができる。
また、これらのノニオンタイプに相当する界面活性剤も使用することができる。
【0059】
上記アニオン系界面活性剤としては、また反応性界面活性剤として、反応性アニオン系界面活性剤、スルホコハク酸塩型反応性アニオン系界面活性剤、アルケニルコハク酸塩型反応性アニオン系界面活性剤等の1種又は2種以上を用いることができる。
スルホコハク酸塩型反応性アニオン系界面活性剤の市販品としては、ラテムルS−120、S−120A、S−180及びS−180A(いずれも商品名、花王社製)、エレミノールJS−2(商品名、三洋化成工業社製)、アデカリアソープSR−10、SR−20、SR−30(ADEKA社製)等が挙げられる。
アルケニルコハク酸塩型反応性アニオン系界面活性剤の市販品としては、ラテムルASK(商品名、花王社製)等が挙げられる。
更に、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンスルフォネート塩(例えば、三洋化成工業社製「エレミノールRS−30」、日本乳化剤社製「アントックスMS−60」等)、アリルオキシメチルアルキルオキシポリオキシエチレンのスルフォネー卜塩(例えば、第一工業製薬社製「アクアロンKH−10」等)等のアリル基を有する硫酸エステル(塩)、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸アンモニウム(例えば、花王社製「ラテムルPD−104」等)等も用いることができる。
【0060】
また、上記アニオン系界面活性剤としては、更に反応性界面活性剤として、下記の界面活性剤等も用いることができる。
炭素数3〜5の脂肪族不飽和カルボン酸のスルホアルキル(炭素数1〜4)エステル塩型界面活性剤、例えば、2−スルホエチル(メタ)アクリレートナトリウム塩、3−スルホプロピル(メタ)アクリレートアンモニウム塩等の(メタ)アクリル酸スルホアルキルエステル塩型界面活性剤;スルホプロピルマレイン酸アルキルエステルナトリウム塩、スルホプロピルマレイン酸ポリオキシエチレンアルキルエステルアンモニウム塩、スルホエチルフマル酸ポリオキシエチレンアルキルエステルアンモニウム塩等の脂肪族不飽和ジカルボン酸アルキルスルホアルキルジエステル塩型界面活性剤。
【0061】
上記ノニオン系界面活性剤としては特に限定されず、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル;ソルビタン脂肪族エステル;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪族エステル;グリセロールのモノラウレート等の脂肪族モノグリセライド;ポリオキシエチレンオキシプロピレン共重合体;エチレンオキサイドと脂肪族アミン、アミド又は酸との縮合生成物等が挙げられる。また、アリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン(例えば、ADEKA社製「アデカリアソープER−20」等)、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル(例えば、花王社製「ラテムルPD−420」、「ラテムルPD−430」等)等の反応性を有するノニオン系界面活性剤も用いることができる。これらの1種又は2種以上を用いることができる。
【0062】
上記カチオン系界面活性剤としては特に限定されず、例えば、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、エステル型ジアルキルアンモニウム塩、アミド型ジアルキルアンモニウム塩、ジアルキルイミダゾリニウム塩等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
【0063】
上記両性界面活性剤としては特に限定されず、例えば、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルジメチルアミンオキサイド、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
【0064】
上記高分子界面活性剤としては特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール及びその変性物;(メタ)アクリル系水溶性高分子;ヒドロキシエチル(メタ)アクリル系水溶性高分子;ヒドロキシプロピル(メタ)アクリル系水溶性高分子;ポリビニルピロリドン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
【0065】
上記界面活性剤の中でも、環境面からは、非ノニルフェニル型の界面活性剤を用いることが好適である。
上記界面活性剤の使用量としては、用いる界面活性剤の種類や単量体成分の種類等に応じて適宜設定すればよいが、重合時の安定性や重合後の貯蔵安定性確保に必要な最低限の量といった観点から、例えば、重合体を形成するのに用いられる単量体成分の総量100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5質量部であり、更に好ましくは1〜3質量部である。
【0066】
上記保護コロイドとしては、例えば、部分ケン化ポリビニルアルコール、完全ケン化ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール類;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース塩等のセルロース誘導体;グアーガム等の天然多糖類等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。なお、保護コロイドは単独で使用されてもよいし、界面活性剤と併用されてもよい。
上記保護コロイドの使用量としては、使用条件等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、重合体を形成するのに用いられる単量体成分の総量100質量部に対して、5質量部以下であることが好ましく、より好ましくは3質量部以下である。
【0067】
上記重合開始剤としては、熱によって分解し、ラジカル分子を発生させる物質であれば特に限定されないが、水溶性開始剤が好適に使用される。例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩類;2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、4,4′−アゾビス(4−シアノペンタン酸)等の水溶性アゾ化合物;過酸化水素等の熱分解系開始剤;過酸化水素とアスコルビン酸、t−ブチルヒドロパーオキサイドとロンガリット、過硫酸カリウムと金属塩、過硫酸アンモニウムと亜硫酸水素ナトリウム等のレドックス系重合開始剤等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記重合開始剤の使用量としては特に限定されず、重合開始剤の種類等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、重合体を形成するのに用いられる単量体成分の総量100質量部に対して、0.1〜2質量部であることが好ましく、より好ましくは0.2〜1質量部である。
【0068】
上記重合開始剤には、乳化重合を促進させるため、必要に応じて還元剤を併用することができる。還元剤としては、例えば、アスコルビン酸、酒石酸、クエン酸、ブドウ糖等の還元性有機化合物;例えば、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム等の還元性無機化合物等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記還元剤の使用量としては特に限定されず、例えば、重合体を形成するのに用いられる単量体成分の総量100質量部に対して、0.05〜1質量部であることが好ましい。
【0069】
上記重合連鎖移動剤としては特に限定されず、例えば、ヘキシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン類;四塩化炭素、四臭化炭素、臭化エチレン等のハロゲン化炭化水素;メルカプト酢酸2−エチルヘキシルエステル、メルカプトプロピオン酸2−エチルヘキシルエステル、メルカプトピロピオン酸トリデシルエステル等のメルカプトカルボン酸アルキルエステル;メルカプト酢酸メトキシブチルエステル、メルカプトプロピオン酸メトキシブチルエステル等のメルカプトカルボン酸アルコキシアルキルエステル;オクタン酸2−メルカプトエチルエステル等のカルボン酸メルカプトアルキルエステルや、α−メチルスチレンダイマー、ターピノーレン、α−テルピネン、γ−テルピネン、ジペンテン、アニソール、アリルアルコール等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ヘキシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン類を用いることが好ましい。重合連鎖移動剤の使用量としては、例えば、全単量体成分100質量部に対して、好ましくは2.0質量部以下、より好ましくは1.0質量部以下である。
【0070】
上記乳化重合は、必要に応じて、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム等のキレート剤、ポリアクリル酸ナトリウム等の分散剤や、無機塩等の存在下で行ってもよい。また、単量体成分や重合開始剤等の添加方法としては、例えば、一括添加法、連続添加法、多段添加法等の方法を適用することができる。また、これらの添加方法を適宜組み合わせてもよい。
【0071】
上記製造方法における乳化重合条件に関し、重合温度としては特に限定されず、例えば、0〜100℃であることが好ましく、より好ましくは40〜95℃である。また、重合時間も特に限定されず、例えば、1〜15時間とすることが好適で、より好ましくは5〜10時間である。
単量体成分や重合開始剤等の添加方法としては特に限定されず、例えば、一括添加法、連続添加法、多段添加法等の方法を適用することができる。また、これらの添加方法を適宜組み合わせてもよい。
【0072】
本発明の制振材用樹脂に含有される重合体の製造方法においては、乳化重合によりエマルションを製造した後、中和剤によりエマルションを中和することが好ましい。これにより、エマルションが安定化されることになる。
中和剤としては特に限定されず、例えば、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、モルホリン等の三級アミン;ジグリコールアミン、アンモニア水;水酸化ナトリウム等を用いることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、制振材用樹脂を必須とする後述の制振材組成物から形成される塗膜の耐水性等が向上することから、塗膜の加熱時に揮散する揮発性塩基を用いることが好ましい。より好ましくは、加熱乾燥性が良好となり、制振性が向上することから、沸点が80〜360℃のアミンを用いることが好ましい。このような中和剤としては、例えば、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、モルホリン等の三級アミン、ジグリコールアミンが好適である。より好ましくは、沸点が130〜280℃のアミンを用いることである。
なお、上記沸点は、常圧での沸点である。
【0073】
本発明の制振材用樹脂は、必要に応じて他成分とともに、制振材組成物を構成することができる。本発明の制振材用樹脂、顔料、発泡剤及び増粘剤を必須成分として含有してなる制振材組成物もまた、本発明の1つである。このような本発明の制振材用樹脂を必須とする制振材組成物は、優れた加熱乾燥性を有し、種々の機能を発揮することができ、特に優れた制振性を発揮し得る制振材を形成することができるものである。
【0074】
上記制振材組成物としては、例えば、制振材組成物の総量100質量%に対し、固形分を40〜90質量%含有してなることが好ましく、より好ましくは50〜90質量%であり、更に好ましくは60〜90質量%である。
上記制振材組成物における制振材用樹脂の配合量としては、例えば、制振材組成物の固形分100質量%に対し、制振材用樹脂の固形分が10〜60質量%となるように設定することが好ましく、より好ましくは15〜60質量%である。
【0075】
上記制振材組成物のpHは、7〜11であることが好ましく、より好ましくは7〜9である。当該pHは、上述したものと同様の方法により測定することができる。
上記制振材組成物の粘度は、50〜200Pa・sであることが好ましい。このような粘度であると、基材への塗工がしやすく、かつ、液ダレのない、塗布型制振材組成物として好適なものとなる。より好ましくは60〜150Pa・sである。
制振材組成物の粘度は、上述したものと同様の方法により測定することができる。
【0076】
上記顔料としては、例えば、後述する着色剤や防錆顔料等の1種又は2種以上を使用することができる。上記顔料の配合量としては、制振材用樹脂の固形分100質量部に対し、50〜700質量部とすることが好ましく、より好ましくは100〜550質量部である。
【0077】
上記発泡剤としては、例えば、低沸点炭化水素内包の加熱膨張カプセル、有機発泡剤、無機発泡剤等が好適であり、これらの1種又は2種以上を使用することができる。加熱膨張カプセルとしては、例えば、マツモトマイクロスフィアーF−30、F−50(松本油脂社製);エクスパンセルWU642、WU551、WU461、DU551、DU401(日本エクスパンセル社製)等が挙げられ、有機発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、N,N−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、p−トルエンスルホニルヒドラジン、p−オキシビス(ベンゼンスルホヒドラジド)等が挙げられ、無機発泡剤としては、例えば、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、シリコンハイドライド等が挙げられる。
上記発泡剤の配合量としては、制振材用樹脂の固形分100質量部に対し、0.5〜5.0質量部とすることが好ましく、より好ましくは1.0〜3.0質量部である。
【0078】
上記増粘剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、セルロース系誘導体、ポリカルボン酸系樹脂等が挙げられる。増粘剤の配合量としては、制振材用樹脂の固形分100質量部に対し、固形分で0.01〜2質量部とすることが好ましく、より好ましくは0.05〜1.5質量部であり、更に好ましくは0.1〜1質量部である。
【0079】
その他、本発明の制振材組成物に配合することのできる他の成分としては、例えば、溶媒;水系架橋剤;充填剤;分散剤;消泡剤;着色剤;防錆顔料;可塑剤;安定剤;湿潤剤;防腐剤;発泡防止剤;老化防止剤;防黴剤;紫外線吸収剤;帯電防止剤等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。
なお、上記他の成分は、例えば、バタフライミキサー、プラネタリーミキサー、スパイラルミキサー、ニーダー、ディゾルバー等を用いて、上記制振材用樹脂等と混合され得る。
【0080】
上記溶媒としては、例えば、エチレングリコール、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート等が挙げられる。溶剤の配合量としては、制振材組成物中の制振材用樹脂の固形分濃度が上述した範囲となるように適宜設定すればよい。
【0081】
上記水系架橋剤としては、例えば、エポクロスWS−500、WS−700、K−2010、2020、2030(いずれも商品名、日本触媒社製)等のオキサゾリン化合物;アデカレジンEMN−26−60、EM−101−50(いずれも商品名、ADEKA社製)等のエポキシ化合物;サイメルC−325(商品名、三井サイテック社製)等のメラミン化合物;ブロックイソシアネート化合物;AZO−50(商品名、50質量%酸化亜鉛水分散体、日本触媒社製)等の酸化亜鉛化合物等が好適である。水系架橋剤の配合量としては、例えば、制振材用樹脂の固形分100質量部に対し、固形分で0.01〜20質量部とすることが好ましく、より好ましくは0.15〜15質量部、更に好ましくは0.5〜15質量部である。
水系架橋剤は、制振材用樹脂に添加してよいし、制振材組成物として他の成分を配合するときに同時に添加してもよい。上記制振材用樹脂又は制振材組成物に架橋剤を混合することにより、樹脂の強靱性が向上し、その結果、高温領域で充分な高制振性が発現する。中でもオキサゾリン化合物を用いることが好ましい。
【0082】
上記充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、カオリン、シリカ、タルク、硫酸バリウム、アルミナ、酸化鉄、酸化チタン、ガラストーク、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、タルク、珪藻土、クレー等の無機質充填剤;ガラスフレーク、マイカ等の鱗片状無機質充填剤;金属酸化物ウィスカー、ガラス繊維等の繊維状無機質充填剤等が挙げられる。充填剤の配合量としては、制振材用樹脂の固形分100質量部に対し、50〜700質量部とすることが好ましく、より好ましくは100〜550質量部である。
【0083】
上記分散剤としては、例えば、ヘキサメタリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム等の無機質分散剤、及び、ポリカルボン酸系分散剤等の有機質分散剤が挙げられる。
上記消泡剤としては、例えば、シリコン系消泡剤等が挙げられる。
上記着色剤としては、例えば、酸化チタン、カーボンブラック、弁柄、ハンザイエロー、ベンジンイエロー、フタロシアニンブルー、キナクリドンレッド等の有機又は無機の着色剤が挙げられる。
上記防錆顔料としては、例えば、リン酸金属塩、モリブデン酸金属塩、硼酸金属塩等が挙げられる。
【0084】
上記他の成分としては更に、多価金属化合物を用いてもよい。この場合、多価金属化合物により、制振材組成物の安定性、分散性、加熱乾燥性や、制振材組成物から形成される制振材の制振性が向上することとなる。多価金属化合物としては特に限定されず、例えば、酸化亜鉛、塩化亜鉛、硫酸亜鉛等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記多価金属化合物の形態としては、例えば、粉体、水分散体や乳化分散体等であってよい。中でも、制振材組成物中への分散性が向上することから、水分散体又は乳化分散体の形態で使用することが好ましく、より好ましくは乳化分散体の形態で使用することである。
また、多価金属化合物の使用量は、制振材組成物中の固形分100質量部に対して、0.05〜5.0質量部とすることが好ましく、より好ましくは0.05〜3.5質量部である。
【0085】
また、制振材組成物を塗布し乾燥させて得られる制振材も、本発明の1つである。当該塗膜の膜厚は1〜5mmであることが好ましい。
上記制振材組成物は、例えば、基材に塗布して乾燥することにより制振材となる塗膜を形成することができる。制振材組成物を基材に塗布する方法としては、例えば、刷毛、へら、エアスプレー、エアレススプレー、モルタルガン、リシンガン等を用いて塗布することができる。
【0086】
上記制振材組成物の塗布量は、用途や所望する性能等により適宜設定すればよいが、例えば、充分な制振性等の機能性を発揮させるため、乾燥後の塗膜の膜厚が1mm以上となるようにすることが好ましく、より好ましくは1.5mm以上である。また、塗膜の乾燥性の点から、乾燥後の塗膜の膜厚が5mm以下となるようにすることが好ましく、より好ましくは4.5mm以下である。
また、乾燥後の塗膜の面密度が1.0〜7.0kg/m
2となるように塗布することも好ましく、より好ましくは2.0〜6.0kg/m
2である。なお、本発明の制振材組成物を使用することにより、乾燥時及び乾燥後に膨張やクラックが生じにくく、しかも傾斜面の塗料のずり落ちも発生しにくい塗膜を得ることが可能となる。
このように、乾燥後の塗膜の膜厚が1〜5mmとなるように塗工して乾燥する制振材組成物の塗工方法、及び、乾燥後の塗膜の面密度が2.0〜6.0kg/m
2となるように塗工して乾燥する制振材組成物の塗工方法もまた、本発明の好ましい実施形態のひとつである。
【0087】
上記制振材組成物を塗布した後、乾燥して塗膜を形成させる条件としては、加熱乾燥してもよく、常温乾燥してもよいが、本発明における制振材組成物は、加熱乾燥性に優れることから、効率性の点で加熱乾燥することが好ましい。加熱乾燥の温度の下限としては、110℃以上とすることが好ましく、より好ましくは120℃以上である。また、加熱乾燥の温度の上限としては、210℃以下とすることが好ましく、より好ましくは170℃以下である。
【0088】
上記制振材組成物を制振材用途に適用する場合、その制振性は、制振材組成物から形成される膜の損失係数を測定することにより評価することができる。
損失係数は、通常ηで表され、制振材に対して与えた振動がどの程度減衰したかを示すものである。上記損失係数は、数値が高いほど制振性能に優れていることを示す。
上記損失係数の測定方法としては、共振周波数付近で測定する共振法が一般的であり、半値幅法、減衰率法、機械インピーダンス法がある。本発明の制振材組成物において、制振材組成物から形成される膜の損失係数としては、片持ち梁法を用いた共振法(3dB法)により測定することが好適である。片持ち梁法を用いる測定は、例えば、株式会社小野測機製のCF−5200型FFTアナライザーを用いて行うことができる。
また、上記損失係数は、冷間圧延鋼板(SPCC−SD:長さ250mm×幅10mm×厚み1.6mm)上に、長さ200mm×幅10mm×厚み3.0mmの塗膜容量で制振材組成物を塗布し、95℃×30分間乾燥後、130℃×60分間焼付け乾燥して被膜を形成することにより、測定することが好ましい。損失係数の測定は、例えば、20℃、30℃、40℃、50℃及び60℃の各温度における損失係数を共振法(3dB法)により測定し、その中のピーク値により評価するのが好ましい。また、制振材組成物から形成される膜の実用温度範囲が通常では20〜60℃であるので、20〜60℃の各温度における損失係数を合計した値で制振性能を評価してもよく、制振材組成物から形成される膜が、20℃、40℃及び60℃における損失係数を合計した総損失係数が0.300以上である制振材組成物もまた、本発明の1つである。そのような制振材組成物である場合に、制振材組成物から形成される膜の実用温度範囲である20〜60℃において充分な制振性を発揮しているということができる。