(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
特に、ねじ付き物体(3)用のねじパラメーターの測定方法であって、ノーズを有し、第1座標軸(X'、Y'、Z')を有する第1空間座標系を規定する該ねじ付き物体の形状を取り込むよう構成された少なくとも1つの光学センサー(5'、5")を組み入れた測定デバイス(1)を備え、該測定デバイス(1)は第2座標軸(X、Y、Z)を有する第2空間座標系を規定し、該第2空間座標系内で該ねじ付き物体を表す2次形式を記述する第1マトリックスを計算するプリセットされたアルゴリズムを記憶するコンピュータ手段を備え、かくして該第1及び第2空間座標系間の関係を提供する、該測定方法が、
a)該ねじ付き物体上で該少なくとも1つの光学センサー(5'、5")の少なくとも1つの軌跡を事前規定する過程であって、測定点の値で評価された該マトリックスが最大階数を有するように、該軌跡に沿い事前規定される測定点が選択される、該事前規定する過程と、
b)該少なくとも1つの軌跡に沿い該少なくとも1つの光学センサー(5'、5")により第1走査動作を行い、該事前規定された測定点のデータを取り込む過程と、
c)これらのデータを該プリセットされたアルゴリズムに供給し、該第2空間座標系に対する該ねじ付き物体の相対位置を規定するために、該第1空間座標系を該第2空間座標系へ関係付ける軸変換マトリックスを計算する過程と、
d)該第2空間座標系から取り込まれた全データを該第1空間座標系へ変換するために該軸変換マトリックスを使う過程と、を具備する該測定方法。
前記少なくとも1つの軌跡に沿う前記少なくとも1つの光学センサー(5'、5")による第1走査動作が事前規定されたねじパラメーターを測定するようデータを取り込むため使われる請求項1に記載の方法。
b)の過程において、ねじの頂き及び/又は谷の中点に沿って通るらせんねじリード軌跡が前記少なくとも1つのねじフランクの位置から規定される請求項6に記載の方法。
a)の過程において、円形軌跡が、該第1空間座標系内の金属間シール直径に沿って規定され、次いで、該測定デバイス(1)により実行されるために該第2空間座標系へ変換される請求項1に記載の方法。
a)の過程において、らせん形軌跡が、該第1空間座標系内の金属間シール直径に沿って規定され、次いで、該測定デバイス(1)により実行されるために該第2空間座標系へ変換される請求項1に記載の方法。
a)の過程において、長手方向軌跡が、該第1空間座標系内のランイン測定点に沿って規定され、次いで、該測定デバイス(1)により実行されるために該第2空間座標系へ変換される請求項1に記載の方法。
a)の過程において、長手方向軌跡が、該第1空間座標系内のランアウト測定点に沿って規定され、次いで、該測定デバイス(1)により実行されるために該第2空間座標系へ変換される請求項1に記載の方法。
a)の過程において、幾つかのフランクと交差する少なくとも1つの長手方向軌跡が決定され、該フランクの位置が取り込まれ、線形適合を得るために、該フランクの長手方向位置が該フランクの角度位置に対しプロットされる請求項1に記載の方法。
a)の過程において、ねじと交差する少なくとも1つの軌跡が決定され、交差点の位置が回収され、頂きと谷の位置が規定され、そして2つの連続する頂きからのデータを使う第1線形適合が行われ、前記2つの連続する頂きの間の谷上のデータを使う第2線形適合が行われ、該第1及び第2線形適合係数によりそれぞれ規定される第1線及び第2線の間の距離が事前規定された点で計算される請求項1に記載の方法。
【実施例1】
【0014】
図1及び1aを特に参照すると、この後、要するに“測定”デバイス1と呼ばれる、レーザー変位センサーに基づく自動ねじ検査光学システムの図解が示され、該デバイスは直交軸X、Y、Zにより規定される該デバイス自身の直交座標系(cartesian reference system)2を有する。測定されるピン3のねじ付き部分は図の左に示される。このピンは直交軸X’、Y’、Z’により規定されるピン自身の直交座標系4を有する。
図1で、該ピ
ンは該測定デバイスから遠くの、ベンチ6上の休止位置に位置づけられる。
【0015】
本発明の下記説明で、簡便のため、石油パイプ又はガスパイプのピンが参照されるが、しかしながら、本発明がねじ又は類似物体の様な、どんな他のねじ付き物体用に応用されてもよいことは理解される。該デバイスの最初の設置が行われる時、本発明の測定動作を行うためピン3は該測定デバイス1上に設置され、それぞれピン及び測定デバイス1の座標系は、該デバイス(
図1参照)により提供される水平及び垂直角度及び横変位運動を使って、相互に工学的に出来るだけ近く置かれる。しかしながら、全ての可能な注意にも拘わらず、該2つの座標系は正確には一致せず、該パイプの座標系2の角度及び横位置での、小さな不整合が該測定デバイスに対してなお存在する。なお更に、もう1つのピン3が位置付けられると、該部品間の位置誤差及び形状差(フック端の様な)のために、該ピン3の角度及び横位置は前のピンと異なる。これらの理由により、動作条件下では、該測定デバイスに対するピンの、或いは、より一般的に、パイプのねじ加工部分の、不整合は直線的変位でミリメートルの桁、角度変位で度の桁である。全てのピンの位置の調整に依ってのみ、より小さい不整合値が達成されるが、しかしながら、そのシナリオは現実では実用的ではない。本発明は、初期の設置後は、
図1及び1aに示すノブ7の何等かの横又は垂直調整無しで作動する該デバイスの目的を達成する。該測定デバイス1は機械的移動を最小にするために、1つのアルミニウム片から有利に加工されたヨークピース上に設置された2つのレーザー変位センサー5’及び5”を有する。このピース又はヘッドは、U軸の周りに旋回することが出来る回転ステージ上に設置され、レーザーセンサー5’及び5”と一緒に、該測定デバイスのヘッドに属する。各センサー5’及び5”は線形回転モーターにより半径方向(X軸)に動かされる得るXステージ上に設置される。Y軸に平行で、X軸に直交するこれらのステージの角及び線形運動は該ステージが同じ線に沿うよう整合されることを可能にする。両レーザーセンサー5’及び5”はまた、該レーザー放射の中心を該デバイスの回転中心に対し整合させるために、横及び角度変位により調整される。
【0016】
加えてステージXは、該センサーを常にそれらの範囲内の保持しながら、製品直径の自動変更用に使われるようモーター駆動され得る。最後に、該ヘッドをデバイス軸Zに平行に移動させることを可能にする(Z軸に沿って動く)線形ステージが提供される。
【0017】
Z軸に沿って移動可能な該線形ステージは、該デバイスが
図1aで初めて設定される時、ベースに対するスムーズな移動を可能にするために、底部上のハードコートされたベース上に設置される。例えば各コーナーに1つ置かれた4つのノブは、面の水平の角変位及び横変位を可能にする。一旦初期整合が達成されると、動きを避けるよう全体構造を固定するために、ねじ又は同等な手段が提供される。高さ及び面外角度整合を調整するために該4つの脚部の各々上に楔付きパッドが提供されるのが有利である。
【0018】
全てのこれらの調整可能性が、プラント内への該デバイスの容易な初期設置に役立ち、レベル許容差、コンベイヤー整合そしてプラント床のレベルでの不完全さ、への小さな修正を可能にする。
【0019】
この測定デバイスがねじ付き物体上の測定を行うために使われる仕方が下記で説明される。上記説明の様に初期設置が行われた後、典型的測定動作は2つの主なステップ、データ取得及びデータ解析を有する。
【0020】
ここではデータ取得手順の説明でスタートする。この手順中、レーザーセンサー出力信号及びサーボ位置は、窓及びカウンターをイネーブルにするハードウエア信号の使用により保証される同期した仕方で記憶される。下記では使われる信号について説明が与えられる。
【0021】
図2は、初期校正とプラント設置が行われた時点で、全測定過程を支配するデータ取得手順の一般的作業計画を、流れ図により示す。該手順は、パイプが測定デバイスに整合された位置にあることを検証することでスタートし、次いで該測定デバイスは該測定デバイスの座標系に対するパイプノーズの相対位置を見出すために、該パイプのねじ付き部分に沿って第1の長手方向の走査動作を実行する。該ノーズの相対位置が検出された後は、測定時報告される全距離がその点を基準にされる。もしねじ付きパイプの測定動作が1つの走査動作しか提供しないなら、センサー5’及び5”により追従される通路に属する点に対応するデータのみが集められる。一般にこれが行われるのは、集められたデータがユーザーの要求に充分と考えられるからである。
【0022】
もしねじ付き物体上の測定手順が、該ねじ付き部分の面上の幾つかの軌跡に沿う幾つかの走査動作を提供するなら、これらの軌跡に沿う事前規定された点でデータが集められる。データが集められる測定点の選択は、2次式を記述するマトリックスが、これらの点に対応する値がその中に挿入される時最大階数を有する様な仕方で行われる。
【0023】
本発明の方法の好ましい実施例では、複数の、例えば、6つの長手方向プロフアイルが等しく隔てられた角度ステップで走査される。これらの走査により集められたデータはスプリアスピーク(spurious peaks)を除去し、エンコーダーカウントを物理的ユニットへ渡すよう処理され、そして次いで測定デバイスの座標系に対するねじの角度不整合の第1見積を計算し、該6つの走査値に対応する6つのノーズ位置を平均化することでノーズ位置を割り当て直すため使われる。
【0024】
これらの走査動作は、該ねじの頂き又は谷の中央上での連続する走査動作を可能にするよう、この情報を補間することにより、該ねじの頂き及び谷の位置を検出し、らせん軌跡表を規定するため使われる。それらのらせん走査動作により取得されるデータはまた、調整され、該ねじ座標系に関する不整合をより精密に測定するため使われる。この動作と、該ねじの方向を検出した後、シール又は複数シール用表、ランイン及びランアウト軌跡が該部品の基準座標系(X’、Y’、Z’)内に作られ、該デバイス座標系に変換され、実行される。
【0025】
該走査動作の終了後、該測定デバイスのヘッドはその休止位置へ戻り、テスト下のねじの全パラメーターを得るためにデータ解析が始まる。
【0026】
前に広義語で説明した手順が、該手順を幾つかのステップに分け、1連のねじ加工の特定パラメーターを計算するために本発明の測定方法の種々の実施例を示すことにより以下で詳細に説明される。
【0027】
データ取得の第1ステップはノーズ検出であり、該検出は該ノーズが位置すると見積もられる2つの基準距離間でZ軸に沿う線形走査を実行することにある。この線形走査は該測定方法内で事前規定される唯一の走査動作であること、或いは該走査が複数の走査動作の第1走査動作であることは評価されるだろう。該レーザーセンサー5により提供される信号は範囲外{オーオーアール(OOR)}値の存在又は不在のチェックを行うことにより更に解析される。オーオーアール値は、該センサーの測定範囲内に物体が見出されない時センサーにより送られる、非有効点(すなわち、センサーの物理的範囲外)から成る。これらの信号は、例えば50データ点のサンプリング窓を規定することにより処理され、全サンプルがオーオーアールでないことを検証することにより処理される。該サンプリング窓は次いで1ステップ先へ動かされ、その窓内の全サンプルが処理後有効データ点と認識されるまで、送られた信号の値が繰り返しチェックされる。そのブロックの第1サンプルがピンのノーズ位置と規定される。
図3のグラフ図はノーズ検出時に走査により作られた
結果を示す。該図はレーザーセンサーのパイプノーズとの接触の前のオーオーアール値を示し、ドット20はノーズが検出されたZ軸に対する位置を示す。この点が検出された後、走査は停止され、データ取得手順の次のステップがスタートする。
【0028】
ノーズ位置の精密な決定は、該決定がパイプ及びシールの直径を測定するために必要な場合を除けば、相対距離測定に基づく大抵の関心のあるねじパラメーターの測定用には、必ずしも必要でない。これらのパラメーターはノーズ位置に対する精密な距離で測定され、それはもし他で測定されればねじテーパは値を変えるからである。
【0029】
ノーズ位置が決定された後、この検出が必要な場合、幾つかの、例えば3つの(しかしより多い又はより少ない数も可能である)長手方向走査動作が、両レーザーセンサー5’、5”から同時に出力を取得することにより、該Z軸に沿って行われる。走査範囲窓の限界の規定が
図3aで一般的に表される。その休止位置から、該測定デバイスのヘッドは、ノーズマージンの端部にあり、ノーズ位置に対応し、Wm1により示される測定窓の第1位置へ戻るようドライブされる。
【0030】
センサーがWm1位置に置かれると、セキュリティ点Z
0への動きが指示され、エンコーダーカウントをリセットする窓信号はイネーブルにされる。レーザーセンサーにより取得されるべきエンコーダーカウントの数は、該測定窓長さ内に填るよう事前設定される。この事前設定された数に到達すると、該測定デバイスのヘッドはWm2で指示される点で停止するよう命じられる。この仕方で、エンコーダーカウントと一緒に、レーザーセンサー5’、5”からの測定値が測定窓セグメント内に取得される。長手方向走査は次に反対方向に実施される。レーザーセンサーにより取得されるべきエンコーダーカウント用の同様な限界は、該反対方向でのこれらの動き用に同様に設定される。休止位置へ向かう該逆方向のこの動きは点Wm2からスタートし、点Wm1で終わるが、該位置では該測定窓に填るよう事前決定されたエンコーダーカウントに達した後該動きは停止する。
【0031】
図6は典型的長手方向走査を示すが、該走査では180度離れた角度間隔に置かれた両レーザーセンサー5’、5”により発生された信号が取得される。この例では、該3つの走査は6つのプロフアイル、すなわち、各々がテスト下のねじのレーザーセンサー5’及び5”の1つに対応する3つのプロフアイルの2グループ、に帰着し、ねじ不整合の第1見積を与えるために有用である。
【0032】
例によりここで与えられる走査の量は、測定される物体により、そして求められるパラメーターにより、3つより多くても又は少なくてもよい。これらの特定の場合に、6つの母線に沿ったピッチ及びステップ高さが求められるパラメーターである。
【0033】
該測定方法の別の変更の形態においては、Z軸に平行な多数の長手方向走査を行うことにより作られるねじ頂き及び谷上の選択点の検出から成るデータ取得動作を提供する。これらの走査から集められたデータはまた、1つはねじ頂きに沿い、もう1つはねじ谷に沿う、2つの続いたらせん走査動作が行われる軌跡の規定用に使われる点を、ねじの谷及び頂き上に決定する。この仕方で事前に生成されることにより、該軌跡は、該物体がX’、Y’、Z’座標系に対し不整合である時、走査動作時に該頂きから落下したり、該谷外へ出ることを防止する。
【0034】
この測定動作の第1ステップは、各長手方向プロフアイル用のロードフランクの検出から成る、ねじロードフランクを検出することでスタートする。これは全データベクトルを微分し、事前設定されたしきい値を越える値を評価することにより行われる。ロードフランクの存在を示すための候補である被検出点を除いて全てのゼロ値を含むベクトルが生成される。特定の検出幅の歯と該歯間の名目ピッチ間隔とを有する理論的櫛を表すもう1つ
のベクトルが生成される。これら2つのベクトルは相互相関が取られるが、それは該相互相関を最大化する、該櫛と該ロードフランク21候補ベクトルとの間の相対位置を見出すためである(
図5参照)。該相互相関は該2つのベクトルのスカラー掛け算の実行と、それらの相対ベクトルインデックスを変えながらの合成ベクトルの和を見出すこと、とから成る。
【0035】
次に、ロードフランク21が下記基準により各櫛歯用の候補として見出された点に対応して割り当てられる:
・もし1つの候補フランクがあれば(該候補はタイプ0と規定される)、このフランクが真のロードフランクである。
・もし候補フランクが存在しないなら(タイプ1)、該らせん軌跡を作る目的用のねじ櫛間隔の丁度中点にフランクは創られる。
・もし2つ以上の候補フランクが存在するなら(タイプ2)、ねじ櫛内にスプリアスフランクがあるので、ねじ櫛間隔の中点に最も近いフランクを真のロードフランクとして決める。残りのフランクは捨てる。
・もし該間隔内に範囲外が見出されるなら(タイプ3)、該フランクは捨てられ、らせん軌跡を作る目的で仮想フランクが創られる。
【0036】
図7はロードフランクを割り当てるために可能な3つの場合の仮定のロードフランク候補と櫛ベクトルを示す。
【0037】
該測定方法の別の変更の形態においては、頂きと谷に沿って点を割り当てることを提供し、そこでは
図5に示すパラメーターRc、Rc2,Rv及びRv2を有するねじの機械的図に従い、頂き及び谷のセグメントが規定される。
【0038】
各セグメントは、該セグメントが線であるべきことを考慮してOORと、あり得るピークと、をフイルターすることにより調整される。次いで、谷か又は頂きか何れかに対応する点が、中間セグメント点として計算される。
【0039】
図7は長手方向走査を示し、そこでは谷及び頂きであるとして検出された点が示されている。グラフ(a)はロードフランク候補を示し、グラフ(b)は理論的櫛を示し、グラフ(c)は相互相関を示し、グラフ(d)はロードフランク候補を示し、グラフ(e)は変位された理論的櫛を示し、グラフ(f)は割り当てられたロードフランクを示す。この図で見られ得る様に、点は、ノーズ位置の前、そしてパイプの非加工部分がスタートするねじの端部の後へ、ねじ加工部分内に決められた点を、配置用に外挿することにより生成される。これは、測定デバイスの座標系に対するねじの位相を得て、ブラッククレスト(black crest)位置を見積もり、旋盤偏心軸を計算し、そしてパイプのフックエンドを測定するために、らせん走査の実行時に、ねじ加工部分にスムーズに入り、そして出るため行われる。
【0040】
各長手方向走査動作で決定される全ての谷点はまた、測定デバイス基準座標系に対するねじの角度不整合の第1見積を集めるよう、解析されるねじの円錐を表す2次曲面を適合させるよう使われる。頂き点が好ましくはこの計算に使われない方がよいのは下記の2つの主な理由のためである:
a)これらの点の決定は谷点の決定より不正確である(すなわち、谷の決定が行われるピンの部分はより長い)そして
b)ねじ面円錐上の谷点の数は、製造過程で発生する“ブラックスレッド(black threads)”の存在にために、頂き点の数より多い。
【0041】
2次曲面の一般的マトリックス形式は式[1]で説明される。
【数1】
は3次元空間の2次曲面の点であり、Aは該2次曲面に関する対称マトリックスであり(該マトリックスは並進用の3つ、配向用の3つそして基準系で表された2次形式用の3つの、計9つのパラメーターにより形成される)、
【数2】
は該2次変位ベクトルである。
【0042】
該選択されたデータは最小二乗近似の使用により[1]で示す表現に適合されるが、該表現から該2次曲面のパラメーター(例えば、A及び
【数3】
に適合するパラメーター)が得られる。
【0043】
これらのデータは該測定デバイスとねじ基準座標系の間の線形変換とその逆変換の適合用に有用である。
【0044】
次の動作は、共にねじの谷及び頂きに沿うらせん走査から成る。各長手方向走査用に、谷及び頂き中点位置に関連する前に取得した情報が、補間され、2つのらせん走査表を作るため使われる。該谷中点の全てはねじ座標系に変換される。その後、t対Z配置から生じるデータ上で線形適合が行われる。次に、新しい点のセットが生成され、該適合された線を規則的ステップでセグメント化する。これらの点は該測定デバイス基準座標系へ戻るよう変換され、サーボ基準の計算用制御器へ渡される。同じ手順は頂き走査表を生成するために頂き中点に適用される。
【0045】
好ましくは、該谷走査はノーズからスタートして行われ、一方頂き走査はZ軸を考慮して反対方向に行われるのがよい。
図5は測定デバイス基準座標系に関して表された典型的谷及び頂き走査を示す。谷らせん走査から得られたデータは、ねじ不整合への該測定デバイスのより良い見積を計算するため使われ、該見積はまた、データ解析で適用される基準座標系間の変換を再計算するため使われる。
【0046】
図8は、測定デバイス基準座標系用のt対Zグラフを示し、データが取得された時の、そしてねじ基準座標系用のグラフ(a)と、らせん走査から計算された不整合見積を使って変換されたグラフ(b)と、で示す。
図8のグラフ(a)はその左で誤整合の該取得手順への影響は何であるかを示す。
【0047】
該測定方法の特定の実施例では、データ取得手順はねじのシールの走査を提供する。この場合、理想的円形軌跡が、ノーズから予め決められた距離で、ねじ基準座標系に関して生成され、次いでその実行用に測定デバイス基準座標系へ変換される。
図9は典型的シール走査の結果を含む2つのグラフを示し、そこではグラフ(a)は測定デバイス基準座標系で表した走査を示し、グラフ(b)はねじ基準座標系での走査を示す。
【0048】
この走査軌跡は、ピンノーズから事前規定された距離で、そしてねじ付き物体と整合し
てスタートして実行されねばならず、何故ならば該ノーズプロフアイルは複雑で、測定される半径は測定される正確な位置に非常に左右されるからである。複数の、例えば、6つの走査が行われると、ノーズ位置の良い見積が計算される。この例で、6つの長手方向走査の各々上で検出されたノーズ位置は取り込まれる。これらのデータは次いでねじ基準座標系に変換され、1つのより精密なノーズ基準を得るため平均される。
【0049】
該測定方法のもう1つの実施例では、デバイス基準座標系に対するねじの位相がらせん谷走査から取り込まれ、そして長手方向軌跡が、該軌跡がランインの測定用の検査レポートで決められた測定点を通過するよう、該ねじ基準座標系内に設定される。同様に、軌跡はランアウトの測定用に規定された点用に設定される。
【0050】
データ取得動作が完了した後、該取得データに関しデータ解析が行われ、本発明の測定方法の最終部分として、ねじ基準座標系へ変換される。異なって指示しない限り、下記では、全てのデータはねじ付き物体基準座標系で表される。大抵のパラメーターはねじ上で取られ、ノーズ位置を基準にされた種々の長さ基準に関して示される。
図10は下記で参照されるデータ解析で使われる3つの主な基準を示す。
【0051】
L5はねじの始めまでの長さ;
L2はねじの直径及び楕円率計算用の基準長さ;
Lcはねじパラメーターが許容差を充たさねばならない最小長さ;
L4はランアウトが測定されるプルアウト長さより短い、谷及び頂きの端部までの長さである。
【0052】
テーパーの決定はデータ解析の1演算である。円錐ねじの外面を記述する方程式は下記の様である。
【数4】
ここでt
thread及びZ
threadはねじ座標系での半径方向及び方位角座標であり、
R
0は原始半径(primitive radius)そして
Aはピンねじ加工のテーパーである。
【0053】
該テーパーを計算するために、ねじの谷走査からのt対Z関係が使われる。カーブのセグメント23に対応する、事前にL5とLcの間で取得したデータが
図11で示す様に解析される。テーパ及びAの値を含む傾斜を計算するためにこれらのデータ23上で線形適合が行われる。その線形適合に関する該データの偏差が計算される。それらの偏差は加工過程に関する情報、例えば、ねじ付き物体に沿うパイプ剛性の変化による未補償力及び旋盤上のパイプの過大締め付け、を含む。この情報はねじ位置の関数としてフーリエモード解析を使って取り込まれる。例えば、大きな3モードは旋盤上のパイプの過大締め付けを意味する一方、基本モードの放物線動作はツールが該Lcの終了の前に取られたことを意味する。
【0054】
図12のカーブのセグメント25に対応する、全ねじ長さが頂き走査から集められたデータを考慮して解析される。最初に、セグメント24に対応するL5及びLcの間で取得され、フイルターされたデータを使って線形適合が行われる。該線形適合に対するデータの偏差が計算される。次に、この線形適合より0,1mm以上大きい、
図12のカーブのセグメント26に対応する、L5上の値が識別される。これらの値を用いて、新しい線形適合(Z位置と誤差を用いる)が行われ、ゼロ横座標が計算される。この値は
図12に示す完全ねじ長さ用の上限として規定される。
図12に示すパイプの非加工部分を使って更に進んだ解析が行われる。これらの値はバージンパイプに対応し、部品加工の瞬間のパイ
プに対するねじの位置に関する情報を提供する。例えば、もし旋盤が不整合されたプレートを有するなら、ねじはパイプに対し軸外れしており、或いはもしパイプがフックエンドを有するなら、該パイプとねじの軸は平行でない。それらの変数は、パイプとねじの座標系の間の変換を見出すことにより容易に計算される。
【0055】
もう1つのデータ解析演算はねじの直径及び楕円率の計算に関する。ねじの直径及び楕円率は谷らせん走査を使って2つの方法で評価される。解析されるデータはL2±2ねじピッチに対応する帯域内に含まれるデータである。ねじ横断面図を示す
図13(a)を参照するとこの帯域内で規定される谷点は線形に適合され、該適合後はこの適合された線形関数は半径(radius)を得るよう評価される。
【0056】
代わりに各半径決定用谷点は、等間隔の3度の角度間隔27にあるのが有利な母線(generatrices)上で行われる。各母線上で、各谷用データは、ねじ平面図を示す
図13(b)を参照して典型的に、しかし必ずしも必要でないが、5度の母線幅29を考慮して平均化される。この実施例はエムアールピー(MRP)ゲージで使われるミル(mill)手順と同様である。
【0057】
図13(b)の円28を参照して規定された点の半径は、ねじ正面図を図解する
図13(c)で示す直径計算用の反対の母線と一緒に、3度のステップを用いて0から180度に及ぶ母線用に計算される。ねじの直径及び楕円率は下記関係により計算される;
直径=(D
max+D
min)/2 [3]
楕円率=(D
max−D
min)/2 [4]
ここでD
max,D
minはそれぞれこの過程で計算された最大、最小直径である。該結果はグラフ13(d)で示される。該データ解析手順でのもう1つの演算はランイン評価であり、これはねじ基準座標系に関し行われる長手方向走査から得られる。
図14はこれらの走査の1つを示し、該走査は該ランインが計算される領域を詳述している。
【0058】
最初に、L5+ピッチ及びLcの間のフイルターされない谷データ点で線形適合が行われる。この適合された線は、
図5で示すRv及びRv2により規定され、L5と呼ばれるセグメントに含まれる谷データと比較される。線形適合はその比較で生じる誤差配列上で行われる。その時、該谷の中間セグメント値で評価されたこの適合と、前の適合との間の差が該ランイン値と規定される。
【0059】
次に、該ランイン用に行われた演算と同様な仕方でランアウト解析が実行される。
【0060】
なおもう1つの演算はピッチ決定であり、そこでは長手方向走査から生成されるロードフランクが解析される。
【0061】
各長手方向走査用のロードフランク値を含むベクトルは、L5+ピッチとLcの間のフランクを保つよう先端部を切られる。これらのフランクの中で、タイプ0のフランクのみが受け入れられる。該タイプの残りは捨てられ、真のロードフランク識別として信頼不可能と考えられる。
【0062】
図15は仮想長手方向走査と識別されたロードフランクの位置を示す。カーブC
1は、測定デバイス基準座標系で表されたならば、ねじ母線の“フオーリングオフ(falling-off)”のために、該不整合の影響がフランク位置の傾向の湾曲(2次形式)内で気付かれる場合、該位置が如何になるかを示す。この影響はまた、Z走査位置が増大するとフランク位置間の増加する間隔で視認出来る。
【0063】
ねじピッチを計算するためには、データは、図のC
2で示されるねじ基準座標系に変換
されねばならない。該座標系で表されたデータは、フランク位置が等しくは隔てられず、線形適合の傾斜がねじピッチとなる様な線形トレンドを有する。
【0064】
該ソフトウエアにより計算され、得られる2種類のピッチがあり:第1ピッチは検出された全フランクについての線形適合の傾斜から計算される。第2ピッチは、2つのフランクの間隔が解析されつつあるねじに左右される該2つのフランクにより形成される線の傾斜から計算される{この測定は約2.54cm(1インチ)当たりねじ数に関連して行われねばならない}。
【0065】
得られたデータが各長手方向走査のピッチの情報を与えることは評価されるであろう。
【0066】
本発明の測定方法はウエッジプロフアイル、すなわち歯幅の連続増加を有するプロフアイル、そして特に該ウエッジプロフアイルが軸方向断面でダブテール形の歯プロフアイルに組み合わされた時の、該ウエッジプロフアイルを備えたねじ加工の測定に特に有利である。
【0067】
ダブテール歯プロフアイルを有するウエッジねじの場合、頂き及び谷の測定は上記説明のらせん走査とし、そこでは該らせん軌跡は、ロードフランクとスタビング(stabbing)フランクの間の中間距離に沿ってセットされた中間位置に対応する線、又は前記中間位置に平行な何等かの他のらせん軌跡に追随する。
【0068】
当該最新の技術の方法では、ウエッジねじの測定及び制御はまた、全ての測定が従来ボルト先(bolt point)と呼ばれた基準点から取られることとする。該ボール(ball)点は、ボルト、すなわち既定の直径の小さな転がりボールを有する測定要素、を谷に沿って送り、該ボルトが、該歯幅が該ねじに沿って可変なので、該谷内で付着して残るが、その残る点を設定する、ことにより規定される。該ボルト先がチューブの前部に対して配置される距離と母線が、ウエッジねじの全パラメーターの測定用基準点を決定する。
【0069】
本発明の測定方法に依れば、該ボルト先を設定するこの動作は行われる必要がなく、何故ならば該ねじ加工パラメーターはチューブの端部に位置する基準点から測定されるからである。
【0070】
この点の決定は、該測定デバイスの空間座標系(X、Y、Z)内での全てのロードフランク及びスタビングフランクの検出と、上記説明の様に、1つの空間座標系から取り込まれた全データを、もう1つの空間座標系へ変換する軸変換マトリックスを用いて、該ピンの空間座標系(X’、Y’、Z’)内で該全てのロードフランク及びスタビングフランクを表すこと、とに基づく。
【0071】
一旦フランク位置が該ピンの空間座標系(X’、Y’、Z’)で表されると、Zrが該フランクの軸方向位置であり、Urが該フランクの母線である“Zr−Ur”面上で、線形適合が行われる。この線形適合はねじ加工の全てのロードフランク及びスタビングフランクについて別々に行われる。
【0072】
最後に、前の節で説明した、調整済みの2つの線間の引き算が行われ、そしてねじ全体の“谷幅”を得て、ボルトがくさび効果のために谷に付着する“ルートバレー(root valley)”の値(Zr−Ur)を求める。
【0073】
ウエッジプロフアイルを求める本発明の測定方法はまた、“ヒグビー(Higbee)”測定を含む。該ヒグビーは、そのねじロードフランクとの交差が鋭いエッジを作る、ピンのノーズに作られるベベルに隣接する最初の不完全ねじのカットとして従来規定されている。
該ヒグビーは、約12.7cm(5インチ)以上の外径ODを有するチューブ端部上の不完全なねじスタート部(ウエッジのみでなく、多くの種類のねじの)の除去に対応する。ヒグビーは、ねじ高さがゼロである所から、ねじ頂きがスタートするまで、すなわち、ねじ高さが受け入れ値に達する所まで該スタートねじを除去し、そして該ヒグビーと該ねじの頂きの間の交差がテーパーと平行な線を規定する。該ヒグビーの円弧長さは約180度である。
【0074】
ヒグビー長さ及び高さは製作公差を充たさねばならず、ODと、結合のタイプと、に左右される。ヒグビー高さはゼロであってもよく、これは云うならば加工ツールがねじの谷に達し得ることである。
【0075】
ヒグビー点の検出はねじ加工の頂き上で行われるらせん走査から取り込まれるデータを調整し、該データを線に適合させ、次いで適合された線とデータの間の誤差が或るしきい値より大きい時、該ヒグビーに近い範囲にある全ての点を前記線から除去することにより行われる。この点は
図17のグラフで示される。
【0076】
必要性及び測定されるべきパラメーターにより、演算の数のみならず上記説明の演算が行われる順序も変わってもよい。
【0077】
測定動作の完全性はまた、セットアップ後該システムの動作をスタートする前の該測定デバイスの校正を提供する。
【0078】
該長手方向走査で得られるデータ点は更にステップ高さの値を得るため解析されてもよい。エッジに近いデータは捨てられ、続く頂き間の線形適合が
図16に参照されるように行われる。該適合は該谷の線形適合と比較され、その深さは該谷の中央で線y2間の距離を計算することにより評価される。同様な手順は頂きの中央でy1を取り、該頂きの高さを計算するため行われる。該谷及び頂きの深さ及び高さから、平均及び標準偏差が計算され、不完全なステップが識別され、ねじ長さが見積もられる。
【0079】
この場合の、大域的仕方でのステップ高さを計算するなおもう1つの方法は、得られた線形適合を頂き及び谷のらせん軌跡から引き算することである。これは該ステップ高さの値を表す内側及び外側円錐間の差を与える。