(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記開口部は、当該開口部を2等分割する線分に沿った断面において、当該開口部の開口幅が前記基板の幅に対して20〜70%の幅である請求項1〜3の何れか1項記載のボディマッサージキット。
感覚剤が、l−メントール、dl−メントール、乳酸メンチル、3−l−メントキシプロパン−1,2−ジオール、カンファー、及びチモールから選択される1種又は2種以上の冷感剤、及び/又は4−バニリルアルキルエーテル、カプサイシン、ノニル酸バニリルアミド、ニコチン酸ベンジル、バニリルブチルエーテル、ショウガオール、ジンゲロール及びジンゲロンから選択される1種又は2種以上の温感剤である、請求項1〜6の何れか1項記載のボディマッサージキット。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1に示すボディマッサージ具10は、特定の物性を有する感覚剤含有マッサージ剤との組み合わせにおいて、本発明のボディマッサージキットの好ましい実施形態又は本発明のボディマッサージシステムの好ましい実施形態の要素を構成する。また、ボディマッサージ具10は、本発明の、ボディマッサージ剤を濡れた肌と手のひらとの両者へ拡散させる方法に好ましく用いられると共に、本発明のボディマッサージ具用のマッサージ剤を用いたボディマッサージにも好ましく用いられる。
【0015】
本発明に用いる前記特定の物性を有する感覚剤含有マッサージ剤は、感覚剤を含有し、25℃での粘度(希釈前の粘度)が500〜300000mPa・sであり、水により2倍(質量基準で2倍)に希釈した時には25℃での粘度が50〜15000mPa・sとなるものであり、詳細については後述する。
【0016】
図1に示すボディマッサージ具10は、
図1に示すように手に装着して用いられ、例えば、肩や首筋等のマッサージ対象部位に付けたマッサージ剤を、該マッサージ対象部位に撫で付けたり、擦り付けたり、揉み付けたりすることで、マッサージ剤を身体の皮膚に沿ってスムーズに塗り広げながら、身体のマッサージを行える機能を備える。
ボディマッサージ具10は、
図1に示すように、開口部14を有する板状の基板11の一方の面11aに手のひらを沿わせて手に装着して用いる。
マッサージ対象部位にマッサージ剤を付ける方法としては、マッサージ剤を、一旦手のひらにとり、その手にボディマッサージ具を装着することなく、その手のひらでマッサージ対象部位に付着させる方法が好ましい。この場合、マッサージ対象部位に付着させたマッサージ剤を、マッサージ剤をとった手あるいは反対側の手に装着したボディマッサージ具により、マッサージしながら塗り拡げる。マッサージ剤は、例えば、手動式の吐出機構を備えた容器等に収容しておき、手のひら等に吐出させることが好ましい。マッサージ対象部位にマッサージ剤を付ける方法としては、上記の方法に制限されず、容器等から吐出させたマッサージ剤を直接、マッサージ対象部位に付着させても良いし、マッサージ剤を手のひらにとり、その手のひらに基板11を沿わせるようにボディマッサージ具10を装着した後、開口部14を通してマッサージ剤をマッサージ対象部位に移行させても良い。
【0017】
図1に示すボディマッサージ具10と感覚剤含有マッサージ剤を含む本実施形態のボディマッサージキット又はボディマッサージシステムによれば、感覚剤含有マッサージ剤の希釈前の25℃での粘度が500〜300000mPa・sと適度な粘度であるため、液垂れすることなく手のひらに取ることができ、また、感覚剤含有マッサージ剤を、肩や首筋等のマッサージ対象部位に付けて、ボディマッサージ具10でマッサージ対象部位に、撫で付けたり、擦り付けたり、揉み付けたりすることで、マッサージ対象部位ならびに手のひらにムラなく良好に塗布することが可能であるためムラ付着による刺激も防止される。
更に、感覚剤含有マッサージ剤は、水により2倍に希釈された時には25℃での粘度が50〜15000mPa・sとなるため、濡れ肌の水で希釈され、ボディマッサージ具10にてマッサージを行うことで、ボディマッサージ具の開口部から手のひらへマッサージ剤が良好に広がり、感覚剤成分による冷感や温感等を手のひらにて実感しながらマッサージを行うことができる。その結果、冷感剤や温感剤等の感覚剤成分が含有されている感覚剤含有マッサージ剤を身体の皮膚に沿ってスムーズに塗り広げながら、身体のマッサージを行うことができる。加えて、肩や首筋等にマッサージ剤を塗布してボディマッサージ具を用いてマッサージを行うと共に、マッサージを行う手のひらにも感覚剤成分を積極的に誘導させることで、感覚剤成分による冷感や温感等を手のひらにて実感しながらマッサージを行うことができ、その結果、身体のより広い範囲にわたって温感や冷感を得ることができる。更に、マッサージ剤が開口部を介して手のひら側と身体側との間を行き来することで、手のひらの感覚で容易にマッサージ剤を、適切な部位に適切な量を調整して塗り広げることができる。
【0018】
本実施形態におけるボディマッサージ具10は、開口部14を有する板状の基板11の一方の面11aに手のひらを沿わせて手に装着して用いるものである。感覚剤成分による冷感や温感等をボディマッサージ具の装着された手のひらにて実感しながらマッサージを行えるようにする機能を備える。更に、本実施形態のボディマッサージ具10は、マッサージ剤が開口部14を介して手のひら側と身体側との間を行き来することで、手のひらの感覚で容易にマッサージ剤を、適切な部位に適切な量を調整して塗り広げる機能を備える。
【0019】
また、本実施形態のボディマッサージ具10は、
図2〜
図6にも示すように、開口部14を有する板状の基板11と、この基板の一方の面11aに手のひらを沿わせて手に装着した際に、開口部14が指股部又は指股部近傍に配置されるように手を位置決めさせる位置決め手段15とを備える。
【0020】
また、本実施形態では、基板11は、手のひらサイズの大きさ及び形状を備えている。また、本実施形態では、開口部14は、手のひらからはみ出ない大きさに形成されている。なお、本発明において手のひらとは、指部分も含む手首より先の全体部分のうち手の甲側と反対側全体を意味する。
【0021】
さらに、本実施形態では、位置決め手段15は、開口部14の近傍部分において基板11の一方の面11aから突出して設けられた指股挟込み把持部12からなり、好ましくは人差し指と中指との間の指股部によって指股挟込み把持部12を挟み込むことで、開口部14が指股部又は指股部近傍に配置されるようになっている。
【0022】
位置決め手段15により、基板11の一方の面11aに手のひらを沿わせて手に装着した際に、開口部14が指股部又は指股部近傍に配置されることになるので、流通開口としての開口部14を介して、指股部の特に付根部分に感覚剤含有マッサージ剤を積極的に誘導させて接触させることが可能になって、感覚剤成分による冷感や温感等をより強く実感しながらマッサージを行うことが可能になる。
【0023】
また、位置決め手段15が指股挟込み把持部12であることにより、指股が広げられるため、感覚剤含有マッサージ剤が手のひらの中で最も感覚剤成分による温感や冷感等を感じやすい指股部、中でも特に感じやすい部分である人差し指と中指との間の指股部や中指と薬指との間の指股部の付け根まで良好に行き渡り、これによって感覚剤を手の指股部にてより効果的に実感することが可能となる。
【0024】
さらに、本実施形態では、指股挟込み把持部12が、扁平な縦長の断面形状を備える板状部分16を有する(
図2〜
図4参照)。ここにおいて、縦長とは、扁平な断面形状の長手方向を縦方向とし、その長さが横方向の長さより長いことを言う。
【0025】
さらにまた、本実施形態では、基板11の他方の面11bに、感覚剤含有マッサージ剤が指股部の付け根まで良好に行き渡ることを阻害しない程度に低い高さとして、具体的には20mm程度以下の高さの複数の突起13が分散配置されている。
【0026】
本実施形態では、ボディマッサージ具10は、手の握力により変形可能な弾性樹脂として、例えばスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、オレフィン樹脂、ウレタン樹脂等のエラストマー樹脂や、合成ゴム等を用いて、好ましくは基板11と、指股挟込み把持部12と、複数の突起13とを一体成形することにより形成されている。これによって基板11は、手の握力によって変形可能な柔軟な弾性樹脂からなる。基板11が、手の握力によって変形可能な柔軟な弾性樹脂からなっていることにより、基板11に形成された開口部14と相俟って、基板11を手のひらや手のひらの指の動きに合わせてスムーズに弾性変形させることが可能になるのみならず、マッサージ対象部位の形状に柔軟にフィットすることで、水により2倍に希釈した時には25℃での粘度が50〜15000mPa・sとなる感覚剤含有マッサージ剤が対象部位からマッサージ具の開口部を介して手のひらへ移行しやすくなる。さらに、基板11が手のひらにもフィットすることで、水により2倍に希釈した時には25℃での粘度が50〜15000mPa・sとなる感覚剤含有マッサージ剤が、手のひらから外側にはみ出ることを防止して手のひらにとどまりやすい。
【0027】
ここで、基板11を構成する弾性樹脂は、手の握力によって容易に弾性変形できる程度の弾力性を備える弾性樹脂であり、ゴム硬度(ショアA硬度、株式会社テクロック製のゴム硬度計(GS709N 形式A)ASTM D2240A 0−100(ショアA硬度)に準拠して測定された数値)が30〜80の物性を備える弾性材料であることが好ましい。また、基板11を構成する弾性樹脂は、同硬度が35〜75の弾力性を備えていることが好ましく、40〜70の弾力性を備えていることが更に好ましい。
【0028】
本実施形態では、基板11は、好ましくは成人女性の手のひらに略収まり手の握力により変形し得る程度の、いわゆる手のひらサイズの大きさ及び形状として、例えば縦幅が100〜160mmの大きさ、好ましくは105〜155mmの大きさ、更に好ましくは110〜150mmの大きさであり、横幅が65〜105mmの大きさ、好ましくは70〜100mmの大きさ、更に好ましくは75〜95mmの大きさであるうち縦長の平面形状を備えるように形成される。基板11が、手のひらに略収まる程度の手のひらサイズの大きさ及び形状を備えていることにより、水により2倍に希釈した時には25℃での粘度が50〜15000mPa・sとなる感覚剤含有マッサージ剤が、手のひらから外側にはみ出ることを防止して手のひらにとどまりやすい。また、基板11は、好ましくは周縁部が周縁肉厚部20(
図5参照)となった、例えば1〜6mmの厚さ、好ましくは1.5〜4mmの厚さ、更に好ましくは2〜3mmの厚さの平板形状に形成される。なお、周縁肉厚部20の幅は、2〜8mmが好ましく、更に好ましくは3〜6mmであり、殊更好ましくは3.5〜4.5mmである。周縁肉厚部20の最大厚みは、基板11の平板部分の厚みに対して、1.1〜3倍の厚さ、好ましくは1.2〜2.5倍の厚さ、殊更好ましくは1.3〜2倍の厚さである。このような周縁肉厚部20の幅や厚みであると、補強の点や、使い心地の点や、弾性変形の点で好ましいのみならず、基板11が手のひらにもフィットすることで、水により2倍に希釈した時には25℃での粘度が50〜15000mPa・sとなる感覚剤含有マッサージ剤が手のひらから外側にはみ出ることを防止して手のひらにとどまりやすい。
【0029】
基板11には、位置決め手段15としての指股挟込み把持部12を好ましくは人指し指と中指との間の指股部に挟み込んで、当該基板11を手のひらに沿わせてボディマッサージ具10を手に装着した際に、当該基板11の縦長方向の手首側に配置される後端外周縁部11cに、円弧形状の縁取り部が形成されていると共に、人さし指や中指や薬指の先端部が配置される先端外周縁部11dに、凹凸形状の縁取り部が形成されている。この凹凸は、隣り合う凹部の間の長さが15〜30mmであることが好ましい。基板11の先端外周縁部11dにこのような凹凸形状の縁取り部が形成されていることにより、例えば軽擦法や強擦法や揉捏法によるマッサージを行う際に、人さし指や中指や薬指を、マッサージを行う部位に添えやすくなり、その結果、より確実に開口部14が指股部又は指股部近傍に配置される。これによって感覚剤を手の指股部にて実感するようになると共に、マッサージ剤が開口部を介して手のひら側と身体側との間を行き来することで、手のひらの感覚で容易にマッサージ剤を、適切な部位に適切な量で塗り広げることができる。更に、基板11の先端外周縁部11dに凹凸形状の縁取り部が形成されていることにより、マッサージを行う際に、人さし指や中指や薬指を、マッサージを行う部位に適度に間隔を開けて添えやすくなるため、水により2倍に希釈した時には25℃での粘度が50〜15000mPa・sとなる感覚剤含有マッサージ剤が指股の付け根まで良好に行き渡り、これによって感覚剤を手の指股部にてより効果的に実感することが可能となる。
【0030】
また、基板11には、位置決め手段15としての指股挟込み把持部12を好ましくは人指し指と中指との間の指股部に挟み込んで、当該基板11の一方の面11aに手のひらに沿わせてボディマッサージ具10を手に装着した際に、親指及び小指に沿って配置される当該基板11の少なくとも一方側の側縁部11eに、凹状にくぼんだくびれ部が形成されている。基板11の少なくとも一方側の側縁部11eに凹状にくぼんだくびれ部が形成されていることにより、例えば軽擦法や強擦法や揉捏法によるマッサージを行う際に、親指や小指を、マッサージを行う部位に添えやすくなり、その結果、より確実に開口部14が指股部又は指股部近傍に配置される。これによって感覚剤を手の指股部にて実感するようになると共に、水により2倍に希釈した時には25℃での粘度が50〜15000mPa・sとなる感覚剤含有マッサージ剤が開口部を介して手のひら側と身体側との間を行き来することで、手のひらの感覚で容易にマッサージ剤を、適切な部位に適切な量を塗り広げることができる。特に好ましくは、基板11の両側の側縁部11eに、凹状にくぼんだくびれ部が各々形成されている。基板11の両側の側縁部11eに、凹状にくぼんだくびれ部が各々形成されていることにより、例えば揉捏法によるマッサージを行う際に、マッサージを行う身体の所定の部位に親指及び小指を添えやすくなり、その結果、より確実に開口部14が指股部又は指股部近傍に配置される。これによって感覚剤を手の指股部にて実感するようになると共に、水により2倍に希釈した時には25℃での粘度が50〜15000mPa・sとなる感覚剤含有マッサージ剤が開口部を介して手のひら側と身体側との間を行き来することで、手のひらの感覚で容易にマッサージ剤を、適切な部位に適切な量で塗り広げることができる。
【0031】
本実施形態では、指股挟込み把持部12の近傍に、当該基板11を表裏に亘って貫通する開口部14が形成されている。指股挟込み把持部12の近傍に開口部14が形成されていることにより、水により2倍に希釈した時には25℃での粘度が50〜15000mPa・sとなる感覚剤含有マッサージ剤が、対象部位から開口部14を介して指股の付け根まで良好に行き渡り、これによって、感覚剤を手の指股部で効果的に実感することが可能となる。開口部14は、基板11の中央領域に形成されていると好ましく、特に、指股挟込み把持部12に回り込む形状が好ましい。中でも、指股挟込み把持部12の側面の少なくとも一方に延びた形状が好ましく、具体的には例えば略ハート形状や略凹形状や略ビーンズ形状を備えていることが、屈曲性の点と、手のひらにとった感覚剤含有マッサージ剤が指股部へ良好に入り込み、感覚剤の感覚を効率的に手のひらにて実感しながらマッサージを行うことができる点で好ましい。開口部14は、点状の孔や線状のスリットとは異なり、縦横に相当の大きさの開口幅を有する開口穴として形成されている。開口部14が上述のような形態にて形成されていることにより、当該開口部14を中心として、扁平な縦長の断面形状を備える指股挟込み把持部12の縦長方向と垂直又は略垂直に交差する方向のみならず、指股挟込み把持部12の縦長方向と交差する任意の方向を屈曲谷線X(
図1参照)の方向として、基板11を屈曲させることが可能となる。その結果、例えば揉捏法によるマッサージを行う際に、種々の立体形状を備える身体の各部位の形状に沿わせて基板11を屈曲させながら、揉捏法によるマッサージをさらに効果的に行うことが可能になる。加えて、水により2倍に希釈した時には25℃での粘度が50〜15000mPa・sとなる感覚剤含有マッサージ剤が、マッサージ対象部位から開口部を介して指股の付け根まで良好に行き渡り、これによって、感覚剤を手の指股部で効果的に実感することが可能となる。開口部14は、本実施形態では、基板11の中央領域に形成されており、且つ略ハート形状を備えている。
【0032】
また、本実施形態では、開口部14は、当該開口部14を2等分割する線分(基板11の長手方向に直交し且つ開口部の面積を2等分する線分)に沿った断面において、当該開口部14の開口幅が基板11の幅に対して20〜70%の幅となるように基板11に形成されていることが好ましい。開口部14の開口幅が基板11の幅に対して20〜70%の幅となっていることにより、手のひらにとったり身体に塗布したマッサージ剤を、マッサージを行いながら身体の皮膚に沿って容易に且つスムーズに塗り広げてゆくことができると共に、感覚剤成分による冷感や温感等を手に実感しながらマッサージを行うことが可能になる。開口部14の開口幅が基板11の幅に対して上述のとおりの適切な大きさであれば、開口部14が形成されていない部分の幅を相当程度確保して、基板11の曲げに対する剛性が小さくなり過ぎることでマッサージ中に基板11がよれてしまったり、水により2倍に希釈した時には25℃での粘度が50〜15000mPa・sとなる感覚剤含有マッサージ剤が手のひらからはみ出てしまうといった不具合が生じるのを効果的に回避することが可能になる。また、基板11の曲げに対する剛性が大き過ぎず、適度に確保できることから、手のひらに適度にフィットすることで、水により2倍に希釈した時には25℃での粘度が50〜15000mPa・sとなる感覚剤含有マッサージ剤が、手のひらから外側にはみ出ることなく手のひらにとどまりやすい。さらに、基板11の曲げに対する剛性が大き過ぎず、適度に確保できることから、対象部位の形状に柔軟にフィットすることで、水により2倍に希釈した時には25℃での粘度が50〜15000mPa・sとなる感覚剤含有マッサージ剤が、対象部位から開口部を介して指股の付け根まで良好に行き渡り、これによって、感覚剤を手の指股部で効果的に実感することが可能となる。
【0033】
さらに、本実施形態では、開口部14は、開口面積が2〜24cm
2であることが好ましい。開口面積が2〜24cm
2となるように開口部14が形成されていることにより、手のひらにとったり身体に塗布した感覚剤含有マッサージ剤を、マッサージを行いながら身体の皮膚に沿って容易に且つスムーズに塗り広げてゆくことができると共に、感覚剤成分による冷感や温感等を手のひらにて実感しながらマッサージを行うことが可能になる。開口部14の開口面積が上述のとおりの適切な大きさであれば、基板11の変形に対する剛性が小さくなり過ぎることでマッサージ中に基板11がよれてしまったり、水により2倍に希釈した時には25℃での粘度が50〜15000mPa・sとなる感覚剤含有マッサージ剤が手のひらからはみ出てしまうといった不具合が生じるのを効果的に回避することが可能になる。また、基板11の曲げに対する剛性が大き過ぎず、適度に確保できることから、手のひらに適度にフィットすることで、水により2倍に希釈した時には25℃での粘度が50〜15000mPa・sとなる感覚剤含有マッサージ剤が、手のひらから外側にはみ出ることなく手のひらにとどまりやすい。さらに、基板11の曲げに対する剛性が大き過ぎず、適度に確保できることから、対象部位の形状に柔軟にフィットすることで、水により2倍に希釈した時には25℃での粘度が50〜15000mPa・sとなる感覚剤含有マッサージ剤が、対象部位から開口部を介して指股の付け根まで良好に行き渡り、これによって、感覚剤を手の指股部で効果的に実感することが可能となる。
【0034】
さらに、本実施形態では、開口部14の開口面積(cm
2)の値と、マッサージ剤の水により2倍に希釈した時の25℃での粘度(mPa・s)の値との比率[マッサージ剤の水により2倍に希釈した時の25℃での粘度(mPa・s):開口面積(cm
2)]が、好ましくは1:1〜10000:1であり、より好ましくは5:1〜5000:1であり、さらに好ましくは10:1〜1000:1であることにより、2倍に希釈した時には25℃での粘度が50〜15000mPa・sとなる感覚剤含有マッサージ剤が、対象部位から開口部を介して指股の付け根まで良好に行き渡り、これによって、感覚剤を手の指股部で効果的に実感することが可能となるため好ましい。
【0035】
さらに、本実施形態では、開口部14は、開口面積が基板面積の2〜25%であることが好ましい。開口面積が基板面積の2〜25%であることにより、手のひらにとったり身体に塗布した感覚剤含有マッサージ剤を、マッサージを行いながら身体の皮膚に沿って容易に且つスムーズに塗り広げてゆくことができると共に、感覚剤成分による冷感や温感等を手のひらにて実感しながらマッサージを行うことが可能になる。開口部14の開口面積が上述のとおりの適切な大きさであれば、基板11の変形に対する剛性が小さくなり過ぎることでマッサージ中に基板11がよれてしまったり、水により2倍に希釈した時には25℃での粘度が50〜15000mPa・sとなる感覚剤含有マッサージ剤が手のひらからはみ出てしまうといった不具合が生じるのを効果的に回避することが可能になる。また、基板11の曲げに対する剛性が大き過ぎず、適度に確保できることから、手のひらに適度にフィットすることで、水により2倍に希釈した時には25℃での粘度が50〜15000mPa・sとなる感覚剤含有マッサージ剤が、手のひらから外側にはみ出ることなく手のひらにとどまりやすい。さらに、基板11の曲げに対する剛性が大き過ぎず、適度に確保できることから、対象部位の形状に柔軟にフィットすることで、水により2倍に希釈した時には25℃での粘度が50〜15000mPa・sとなる感覚剤含有マッサージ剤が、対象部位から開口部を介して指股の付け根まで良好に行き渡り、これによって、感覚剤を手の指股部で効果的に実感することが可能となる。
【0036】
また、本実施形態では、開口部14は、手のひらからはみ出ない大きさに形成されている。さらに、本実施形態では、開口部14は、最大でも人指し指、中指、及び薬指の第1関節から親指の付け根までの大きさである。
【0037】
開口部14が手のひらからはみ出ない大きさに形成されていることにより、マッサージ剤が開口部14を介して手のひら側と身体側との間を行き来することで、手のひらの感覚でさらに容易にマッサージ剤を、適切な部位に適切な量で塗り広げることができる。加えて、水により2倍に希釈した時には25℃での粘度が50〜15000mPa・sとなる感覚剤含有マッサージ剤が、対象部位から開口部を介して指股の付け根まで良好に行き渡り、これによって、感覚剤を手の指股部で効果的に実感することが可能となる。また、開口部14が最大でも人指し指、中指、及び薬指の第1関節から親指の付け根までの大きさであることにより、より確実に開口部14が指股部又は指股部近傍に配置されるため、感覚剤を手の指股部にてより効果的に実感することが可能になる。
【0038】
本実施形態では、基板11の指股挟込み把持部12が起立する一方の面11aに、滑止めの機能を奏する表面リブ17が設けられている。本実施形態では、表面リブ17は、扁平な縦長の断面形状を備える指股挟込み把持部12の縦長方向と垂直な方向に延設する線状リブとして、基板11の一方の面11aの略全域に亘って、指股挟込み把持部12の縦長方向に所定の間隔をおいて複数本平行に配置されて設けられている。基板11の一方の面11aに滑止めの機能を奏する表面リブ17が設けられていることにより、例えば揉捏法によるマッサージを行う際に、より滑りにくくなることから、手のひらの面11aに対するフィット性が向上し、揉捏法によるマッサージをさらに効果的に行うことが可能になる。その結果、より確実に開口部14が指股部又は指股部近傍に配置されるため、感覚剤を手の指股部にてより効果的に実感するようになると共に、マッサージ剤が開口部を介して手のひら側と身体側との間を行き来することで、手のひらの感覚でさらに容易にマッサージ剤を、適切な部位に適切な量で塗り広げることができる。加えて、水により2倍に希釈した時には25℃での粘度が50〜15000mPa・sとなる感覚剤含有マッサージ剤が、対象部位から開口部を介して指股の付け根まで良好に行き渡り、これによって、感覚剤を手の指股部で効果的に実感することが可能となる。
【0039】
基板11の一方の面に起立して設けられた指股挟込み把持部12は、本実施形態では、扁平な縦長の断面形状を備える板状部分16を有している。指股挟込み把持部12が、扁平な縦長の断面形状を備える板状部分16を有していることにより、当該指股挟込み把持部12を、例えば、人指し指と中指との間の指股部に添わせるようにして挟み込むことが可能になって、ボディマッサージ具10をより安定した状態で手に装着させることが可能になる。その結果、より確実に開口部14が指股部又は指股部近傍に配置されるため、感覚剤を手の指股部にてより効果的に実感するようになると共に、マッサージ剤が開口部を介して手のひら側と身体側との間を行き来することで、手のひらの感覚でさらに容易にマッサージ剤を、適切な部位に適切な量で塗り広げることができる。なお、扁平な縦長の断面形状を備える板状部分16の断面形状の横幅は、2〜14mmが好ましい。このような幅にすることにより、指股が適度に広げられるため、水により2倍に希釈した時には25℃での粘度が50〜15000mPa・sとなる感覚剤含有マッサージ剤が指股部の付け根まで良好に行き渡り、これによって感覚剤を手の指股部にてより効果的に実感することが可能となる。
【0040】
また板状部分16を有している指股挟込み把持部12は、開口部14が回り込む形状になっていると好ましい。すなわち、本実施形態では、指股挟込み把持部12は、扁平な縦長の断面形状における基板11の後端縁部11c側の基端部12aを、基板11の中央領域に形成された開口部14の略ハート形状のくびれ部分に近接配置して設けられている。また指股挟込み把持部12は、基板11の中央領域から先端外周縁部11dに向けて、好ましくは人さし指と中指との間の指股部の付根からこれらの指の第1関節に到る長さよりも短い長さで延設して、開口部14よりも基板11の先端外周縁部11d側の領域に設けられている。指股挟込み把持部12に、開口部14が回り込む形状になっていることにより、具体的には、本実施形態では、指股挟込み把持部12の基板11の後端外周縁部11c側の基端部12aが、開口部14に近接して配置されることにより、揉捏法によるマッサージを行う際に、基板11を容易に屈曲させることができるので、揉捏法によるマッサージを効果的に行うことが可能になる。板状部分16を有している指股挟込み把持部12が、人さし指と中指との間の指股部の付根からこれらの指の第1関節に到る長さよりも短い長さで延設して設けられていることにより、これらの指を第1関節の部分で下方に折り曲げやすくなって、水により2倍に希釈した時には25℃での粘度が50〜15000mPa・sとなる感覚剤含有マッサージ剤が、対象部位から開口部を介して指股の付け根まで良好に行き渡り、これによって、感覚剤を手の指股部で効果的に実感することが可能となる。
【0041】
さらに、本実施形態では、板状部分16を有している指股挟込み把持部12の側面12bが、
図4に示すように、内方向凹状に形成されている。すなわち、板状部分16を有している指股挟込み把持部12の側面12bは、好ましくは板状部分16の縦長方向の中央部分で、横幅が最大横幅の90%〜40%に狭められた、特に好ましくは緩やかに湾曲する凹状に形成されている。指股挟込み把持部12の側面12bが内方向凹状となっていることにより、例えば、指股挟込み把持部12を人指し指と中指との間の指股部に挟み込んで、当該基板11を手のひらに沿わせてボディマッサージ具10を手に装着する際に、人差し指と中指の第2関節の出っ張り部分が側面12bの凹状部分にフィットすることで、より確実に開口部14が指股部又は指股部近傍に配置されるため、感覚剤を手の指股部にてより効果的に実感するようになると共に、マッサージ剤が開口部を介して手のひら側と身体側との間を行き来することで、手のひらの感覚でさらに容易にマッサージ剤を、適切な部位に適切な量で塗り広げることができる。
【0042】
さらにまた、本実施形態では、板状部分16を有している指股挟込み把持部12の側面12bに、
図2及び
図4に示すように、滑止めの機能を奏する側面リブ18が設けられている。本実施形態では、側面リブ18は、基板11と垂直な縦方向に延設する線状リブとして、横方向に所定の間隔をおいて複数本平行に配置されて設けられている。指股挟込み把持部12の側面に、滑止めの機能を奏する側面リブ18が設けられていることにより、より滑りにくくなることから、指股挟込み把持部12に対する人差し指と中指の保持性が向上するので、より安定した状態でマッサージを行えるようにすることが可能になる。その結果、より確実に開口部14が指股部又は指股部近傍に配置されるため、感覚剤を手の指股部にてより効果的に実感するようになると共に、マッサージ剤が開口部を介して手のひら側と身体側との間を行き来することで、手のひらの感覚でさらに容易にマッサージ剤を、適切な部位に適切な量で塗り広げることができる。
【0043】
本実施形態では、
図2及び
図3に示すように、指股挟込み把持部12の上端部から外方に張り出して、指掛けつば部19が設けられている。指掛けつば部19が設けられていることにより、例えば、指股挟込み把持部12を人指し指と中指との間の指股部に挟み込んで、当該基板11を手のひらに沿わせてボディマッサージ具10を手に装着して行なう身体の各部位へのマッサージ中に、人さし指及び中指の背側を当該指掛けつば部19に係止させることが可能になる。これによって、例えば基板11を曲折変形させながら揉捏法によるマッサージを行う際に、指股部が指股挟込み把持部12から抜け出ないようにして、より安定した状態でマッサージを行えるようにすることが可能になる。その結果、より確実に開口部14が指股部又は指股部近傍に配置されるため、感覚剤を手の指股部にてより効果的に実感するようになると共に、マッサージ剤が開口部を介して手のひら側と身体側との間を行き来することで、手のひらの感覚でさらに容易にマッサージ剤を、適切な部位に適切な量で塗り広げることができる。指股挟込み把持部12の高さ、すなわち、指股挟込み把持部12の基端部12aから指掛けつば部19のつば下までの高さは、例えば、指股挟込み把持部12を人指し指と中指との間の指股部に挟み込んで、当該基板11を手のひらに沿わせてボディマッサージ具10を手に装着した際に、フィット性を向上させると共に保持性を向上させる点から、略指の太さに等しいことが好ましく、具体的には18〜24mmが好ましく、更に好ましくは19〜23mmであり、殊更好ましくは20〜22mmである。これによって、より安定した状態で良好にマッサージを行うことが可能になり、また感覚剤を手の指股部にてより確実に実感することが可能になる。
【0044】
基板11の他方の面11bから突出して設けられた複数の突起13は、
図1及び
図5にも示すように、本実施形態では、基板11の他方の面11bの全体に亘って略均等に分散配置されると共に、基板11の他方の面11bから、好ましくは20mm以下の高さ、更に好ましくは3〜20mmの高さ、また更に好ましくは4〜18mmの高さ、殊更好ましくは5〜15mmの高さで突出して設けられている。これらの突起13は、身体のツボを刺激したり、皮膚を刺激したり、皮膚を圧迫(指圧)したり、毛穴を刺激したりする機能を備える。
複数の突起13が分散配置されて突設されていることにより、体のツボの明確な位置が分からずとも、おおよその位置にマッサージ具を当てることで、ツボを刺激することができ、また、1度に複数のツボを刺激することも可能である。さらに、力が1点に集中することなく、程よい力加減で押したり揉んだりできる。分散配置されて突設されている複数の突起13の底部断面積は、好ましくは0.2〜3.0cm
2であり、その突起間距離は、好ましくは10〜30mmの中心間ピッチで連設配置されて形成されていると好ましい。
【0045】
また、複数の突起13が上述の高さで突出していることにより、マッサージ剤が、マッサージにより、肌上の湯や水と良好に混合されて、ムラのない塗り広げが一層容易となる。
【0046】
また、本実施形態では、突起13は、各々、先端側に向って徐々に縮径する略円柱形状を有する。また突起13は、その先端に凹凸形状を備えている。凹凸形状の好ましい凹凸形状として、例えば
図7(a)〜(e)に示すように、山形形状(
図7(a)参照)、ドット形状(
図7(b)参照)、ワッフル形状(
図7(c)参照)、波型形状(
図7(d)参照)、3重突起形状(
図7(e)参照)等を採用することもできる。更に好ましくは、略円柱形状の突起の先端に設ける凹凸形状として、当該先端の外周部との間にリング状凹溝13aを介在させて中央小突起13bがさらに突出する、2重の突起構造を採用しても良い(
図5参照)。
図7(e)に示す凹凸形状は、突起の外周部との間に2本のリング状凹溝13aを介在させて中央小突起13bが突出している。
突起13が先端に凹凸形状を備えていることにより、肌をしっかりととらえ、より安定した状態でマッサージを行えるようにすることが可能になる。さらに、凹溝にマッサージ剤を保持することで、突起がツボや皮膚を刺激する際に効果的にマッサージ剤を適用できる。
特に、突起12が先端に2重又は3重の突起構造を備えていることにより、水により2倍に希釈した時には25℃での粘度が50〜15000mPa・sとなる感覚剤含有マッサージ剤が、リング状凹溝に保持されることで、突起がツボや皮膚を刺激する際に効果的にマッサージ剤を適用できる。
【0047】
さらに、本実施形態では、突起13は、指股挟込み把持部12を人差し指と中指との間の指股部で挟み込んで基板11を手のひらに沿わせて手に装着した際に、基板11の他方の面11bに分散配置された複数の突起13のうちの少なくとも1つ以上が、人指し指又は中指と重なって配置されるようになっている。このように配置されることにより、指の圧力が直接突起13に伝わり、揉捏法によるマッサージを行う際に、肌をしっかりととらえ、より安定した状態でマッサージを行えるようにすることが可能になる。
【0048】
なお、本実施形態では、円弧形状に縁取りされた基板11の後端外周縁部11cから斜め側方に突出して、係止輪部21が設けられている。係止輪部21は、基板11と一体成形されて設けられていることが好ましい。係止輪部21を例えば係止突起に係止することで、ボディマッサージ具10を使用しない時に、当該マッサージ具10を壁や収納部に簡易に納めておくことが可能になる。
【0049】
本発明のボディマッサージキット又はボディマッサージシステムにおいて、ボディマッサージ具と併用する感覚剤含有マッサージ剤は、25℃での粘度(希釈前の粘度、単にマッサージ剤粘度ともいう)が500〜300000mPa・sであり、水により2倍(質量基準で2倍)に希釈した時には25℃での粘度が50〜15000mPa・sとなるマッサージ剤である。
このマッサージ剤は、本発明の、ボディマッサージ剤を濡れた肌と手のひらとの両者へ拡散させる方法のボディマッサージ剤であると共に、本発明のボディマッサージ具用のマッサージ剤でもある。以下、本発明のマッサージ剤又は本発明に用いるマッサージ剤を、本発明の感覚剤含有マッサージ剤ともいう。
なお、感覚剤含有マッサージ剤の物性として、水により2倍に希釈した時の粘度を規定した理由は、入浴やシャワー等により濡れた人の肌に、マッサージ剤を塗り拡げたときに、該マッサージ剤が水に希釈される程度が、概ね2倍程度であることによる。
【0050】
25℃でのマッサージ剤粘度が500〜300000mPa・sであることで、液ダレすることなく濡れた肌に塗布することが可能であるとともに、伸びが悪くムラ付着してしまうこともなく、刺激感が抑制可能な点でも好ましい。より好ましい25℃でのマッサージ剤粘度は1000〜250000mPa・sであり、更に好ましい25℃でのマッサージ剤粘度は2000〜25000mPa・sであり、殊更に好ましい25℃でのマッサージ剤粘度は3000〜10000mPa・sである。一方、水により2倍に希釈した時には25℃での粘度が50〜15000mPa・sであることで、濡れた肌に塗布されたマッサージ剤が肌上の水で希釈されてマッサージ具の開口部から手のひらへマッサージ剤が良好に広がるため、手のひらでも感覚剤を感じやすい。その結果、首肩(対象部位)と手のひらの2箇所への感覚付与により、冷感や温感等の実感効果が高まる。且つ、ムラ付着による刺激性も低い。水により2倍に希釈した時の25℃での粘度は、より好ましくは70〜10000mPa・sであり、更に好ましくは100〜1500mPa・sである。また、水により2倍に希釈した時の25℃での粘度は、希釈前の25℃でのマッサージ剤粘度の3/4〜1/200であることが好ましく、1/2〜1/50であることが更に好ましい。
【0051】
なお、マッサージ剤の粘度は、BM型のデジタル粘度計を用いて、25℃、ローターNo.2、回転数100rpm(50〜500mPa・sの粘度範囲のとき)、ないしはローターNo.3、回転数12rpm(500〜10000mPa・sの粘度範囲のとき)、ないしはローターNo.4、回転数12rpm(10000〜50000mPa・sの粘度範囲のとき)、ないしは回転数1.5rpm(50000〜300000mPa・sの粘度範囲のとき)、保持時間60sの条件で測定することができる。
【0052】
感覚剤含有マッサージ剤に含有される感覚剤としては、冷感剤や温感剤等が挙げられる。冷感剤としては、l−メントール、dl−メントール、乳酸メンチル、3−l−メントキシプロパン−1,2−ジオール、カンファー、チモール等を挙げることができる。温感剤としては、カプサイシン、ノニル酸バニリルアミド、ニコチン酸ベンジル、4−バニリルアルキルエーテル、ショウガオール、ジンゲロール、ジンゲロン等を挙げることができる。これらの感覚剤の中でも、温感剤として4−バニリルアルキルエーテルを用いると、刺激感の点で好ましい。これらの冷感剤や温感剤は、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0053】
感覚剤含有マッサージ剤中の感覚剤の含有量は、例えば感覚剤が冷感剤や温感剤の場合、好ましくは0.001〜3質量%であり、さらに好ましくは0.002〜0.5質量%である。本発明によれば、ボディマッサージ具10の開口部14を介して、感覚剤含有マッサージ剤が手のひらに積極的に誘導されるため、手のひら、特に指股部にて感覚剤成分による冷感や温感等をより効果的に実感することが可能となる。
【0054】
本発明の感覚剤含有マッサージ剤は、更に、カルボキシビニルポリマー及び/又はアルキル変性カルボキシビニルポリマーを含有しても良い。カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマーは、アクリル酸(メタクリル酸)を主としてこれに少量のアリルショ糖で架橋した共重合体又はこれをアルキル化処理したものである。カルボキシビニルポリマー又はアルキル変性カルボキシビニルポリマーは、アルカリ剤を加えることにより水和ゲルを形成し増粘する。そのため、形成されたゲル相は、本発明の感覚剤含有マッサージ剤を皮膚に塗布した際、皮膚上に存在する塩分によって凝縮し、皮膚上に存在する水により希釈されるため、粘度が適度に低下する。カルボキシビニルポリマーとしては、重量平均分子量が50万〜500万、特に75万〜150万であるものが好ましい。このような市販品の例としては、カルボキシビニルポリマーとしてカーボポール980、カーボポール981、カーボポール934(以上、いずれも、Lubrizol社製)等が、アルキル変性カルボキシビニルポリマーとしてペムレンTR−1、ペムレンTR−2(以上、いずれも、Lubrizol社製)等が挙げられる。
【0055】
感覚剤含有マッサージ剤中のカルボキシビニルポリマー及び/又はアルキル変性カルボキシビニルポリマーの合計の含有量は、濡れた肌に塗布した時(水で2倍希釈された時)に適度に粘度が低下する観点から、マッサージ剤中、好ましくは0.02〜0.9質量%であり、より好ましくは0.05〜0.7質量%、更に好ましくは0.06〜0.5質量%である。
【0056】
なお、カルボキシビニルポリマー及び/又はアルキル変性カルボキシビニルポリマーによって、より有効にゲル相を形成させるには、カルボキシビニルポリマー及び/又はアルキル変性カルボキシビニルポリマーを水相ないしは油相に分散した後に、適当な中和剤を添加するのがよい。中和剤を添加することによって適度な実粘度を有するゲル相を形成することができる。このような中和剤としては、具体的には、例えば、無機アルカリ化合物や有機アルカリ化合物が挙げられる。より具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機アルカリ化合物のほか、(モノ、ジ、トリ)エタノールアミン、(モノ、ジ、トリ)イソプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール等の有機アルカリ化合物が挙げられる。なかでも、より良好なゲル相を形成させる点から、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオールが好ましい。中和剤の含有量は、感覚剤含有マッサージ剤全量中、好ましくは0.004〜1.5質量%、より好ましくは0.01〜0.6質量%である。
【0057】
本発明の感覚剤含有マッサージ剤は、適度な粘性を付与する点から、粘度調整剤を含有することが好ましい。かかる粘度調整剤としては、具体的には、例えば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カラギーナン、キサンタンガム、デンプン誘導体等の有機系高分子化合物、カオリン、タルク、酸化チタン、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、合成ケイ酸ナトリウム、合成ケイ酸アルミニウム、合成ケイ酸ナトリウムマグネシウム等の無機系化合物が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種類以上組み合わせて使用してもよい。
【0058】
本発明の感覚剤含有マッサージ剤は、マッサージ剤全量中、界面活性剤の含有量が、好ましくは0.1%以下であり、より好ましくは0.05%以下であり、さらに界面活性剤を含まないことが特に好ましい。このようにすることで、濡れた肌に塗布した時(水で2倍希釈された時)に適度に粘度が低下させることが可能である。
【0059】
本発明の感覚剤含有マッサージ剤は、マッサージ剤全量中、油性成分の含有量が、好ましくは40%以下であり、より好ましくは20%以下であり、さらに好ましくは5%以下であり、さらに油性成分を含まないことが特に好ましい。このようにすることで、濡れた肌に塗布した時(水で2倍希釈された時)に適度に粘度が低下させることが可能である。
【0060】
本発明の感覚剤含有マッサージ剤には、所望により、更に上記成分以外の成分、例えば、防腐剤、顔料、色素、キレート剤、消炎剤、収斂剤、細胞賦活剤、痩身剤、美白剤、皮脂分泌抑制剤、除毛成分、抗酸化剤、香料等を適宜配合してもよい。
【0061】
上述の構成を備える本実施形態のボディマッサージキット及びボディマッサージシステムによれば、手のひらにとったり身体に塗布した感覚剤含有マッサージ剤を、マッサージを行いながら身体の皮膚に沿って容易に且つスムーズに塗り広げてゆくことが可能になると共に、感覚剤成分による冷感や温感等を、手に実感しながらマッサージを行うことが可能になる。
【0062】
すなわち、本実施形態のボディマッサージキット及びボディマッサージシステムにおいては、ボディマッサージ具10を、開口部14を有する板状の基板11の一方の面11aに手のひらを沿わせて手に装着して用いる。
そして、例えばバスルームやシャワールームにおいて、感覚剤含有マッサージ剤を手のひらにとり、その手のひらでマッサージ対象部位に付着させ(塗り広げても良い)、その後、マッサージ剤をとった手あるいは反対側の手に当該マッサージ具10を装着した状態で、突起13が分散配置された基板11の他方の面11bを接触させて、当該基板11の他方の面11bによって肌を撫でたり擦ったり揉んだりしながら皮膚に沿って基板11を移動させてゆけば、基板11に形成された相当の開口面積を有する開口部14を流通開口として、対象部位に付着した感覚剤含有マッサージ剤が、手のひら側に移動し、指股の付け根まで良好に行き渡り、これによって感覚剤を手の指股部にて効果的に実感することが可能となる。
あるいは、例えばバスルームやシャワールームにおいて、感覚剤含有マッサージ剤を手のひらにとった手に当該ボディマッサージ具10を装着した状態で、湯や水で濡れた身体に、好ましくは突起13が分散配置された基板11の他方の面11bを接触させて、当該基板11の他方の面11bによって肌を撫でたり擦ったり揉んだりしながら皮膚に沿って基板11を移動させてゆけば、基板11に形成された相当の開口面積を有する開口部14を流通開口として、手のひらにとった感覚剤含有マッサージ剤を身体の肌の側に流出させたり、肌に付着した湯や水を手のひら側に流入させたりしながら、水分と混ざり合った感覚剤含有マッサージ剤を、マッサージ中の基板11の移動に伴って、身体の皮膚に沿って効率良く且つ効果的に塗り広げてゆくことが可能になる。
【0063】
本発明の、ボディマッサージ剤を濡れた肌と手のひらとの両者へ拡散させる方法の好ましい実施態様においては、本発明の感覚剤含有マッサージ剤を、シャワーや入浴等により濡れた状態のマッサージ対象部位(例えば、肩や首、四肢等)に任意の方法により付けた後、開口部を有する板状の基板の一方の面に手のひらを沿わせて手に装着して用いるボディマッサージ具にて、そのマッサージ剤を塗布した肌を把握揉捏して、該マッサージ剤を濡れた肌と手のひらとの両者へ拡散させる。このような方法により、マッサージ剤を、マッサージ対象部位と手のひらの両者に容易に塗り広げることができ、感覚剤による冷感や温感等を効果的に実感させることができる。
【0064】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、開口部は、縦横に相当の大きさの開口幅を有する、その他の種々の開口形状を備えていても良く、複数個の開口部の集合であっても良い。また、基板の肌当て面となる他方の面は、平坦な面やリブの形成された面であっても良い。
【0065】
さらに、位置決め手段は、開口部が指股部又は指股部近傍に配置されるように手を位置決めさせることが可能な、その他の種々の位置決め手段を採用することもできる。例えば
図8(a)〜(d)に示すように、好ましくは中指と薬指との間の指股部によって挟みこむ、略円柱形状の指股挟込み把持部(
図8(a)参照)や、基板の一方の面に設けられた、当該基板の一方の面との間に指を挿入させることで指股部を配置させることが可能な、バンド(
図8(b)参照)、スリットバンド(
図8(c)参照)、カバー(
図8(d)参照)等を、位置決め手段として採用することもできる。
【0066】
本発明におけるボディマッサージ具及び感覚剤含有マッサージ剤は、例えば、組み合わせてボディマッサージに用いるキット(セット)等として、ボディマッサージ具と容器に収納した感覚剤含有マッサージ剤とを、同一のパッケージ(包装袋、包装箱)に収容して市場に流通(販売等)させることが好ましい。そのパッケージの外面やパッケージに添付する説明書等には、感覚剤含有マッサージ剤とボディマッサージ具との併用方法(例えば、マッサージ剤及び/又はボディマッサージ具の使用方法として前述した方法の何れか一以上)を記載しておくことも好ましい。
また、本発明におけるボディマッサージ具及び感覚剤含有マッサージ剤は、何れか一方、好ましくは双方に、両者を組み合わせて使用すること(好ましくは推奨すること)を表示して販売等することも好ましい。
【実施例】
【0067】
以下、本発明について、実施例に基づき具体的に説明する。なお、表中に特に示さない限り、各成分の含有量は質量%を示す。
なお、各マッサージ剤の評価は、以下の方法にしたがって行った。
【0068】
《塗りのばしやすさ、温感、刺激性》
5名の専門パネラーがシャワー直後の身体が濡れている状態で、各マッサージ剤を首・肩部に塗布し、ボディマッサージ具の一方の面に手のひらを沿わせて手に装着したボディマッサージ具にてマッサージを行い、塗布時の塗り伸ばしやすさ、ボディマッサージ具でのマッサージ時の温感、及び刺激性についての官能評価を行った。それぞれの評価基準は以下の通りであり、5名の評価点の平均を算出し、判定基準に従って評価した。
実施例1〜4及び比較例1〜6においては、
図1〜
図6に示す形態のボディマッサージ具を用いた。開口部14を2等分割する線分に沿った断面において、開口部14の開口幅は基板11の幅に対して45%であり、突起の高さ(面11bからの高さ)は8mmであり、開口部14の開口面積は5.2cm
2であった。比較例7については、開口部を有しない以外は、同様のものを用いた。
【0069】
(1)塗布時の塗り伸ばしやすさ
〈評価基準〉
5:とても塗り伸ばしやすい
4:塗り伸ばしやすい
3:やや塗り伸ばしやすい
2:あまり塗り伸ばしやすくない
1:塗り伸ばしやすくない
〈判定基準〉
◎:5点以上
○:4点以上5点未満
△:2.5点以上4点未満
×:2.5点未満
【0070】
(2)マッサージ具でのマッサージ時の温感
〈評価基準〉
4:熱すぎるほどの温感を感じた
3:心地良い温感を感じた
2:やや心地良い温感を感じた
1:温感を感じなかった
〈判定基準〉
××:4点以上
○:3点以上4点未満
△:2点以上3点未満
×:2点未満
【0071】
(3)刺激性
〈評価基準〉
5:全く刺激性がない
4:ほとんど刺激性がない
3:許容範囲の刺激性
2:やや刺激性がある
1:非常に刺激性がある
〈判定基準〉
◎:5点以上
○:4点以上5点未満
△:2.5点以上4点未満
×:2.5点未満
【0072】
[実施例1〜4、比較例1〜6]
表1〜表2に示す原料を混合してマッサージ剤を調製し、上記方法により評価を行った。結果を表1〜表2に示す。なお、粘度(25℃)の測定には、BM型のデジタル粘度計(東機産業株式会社社製のTVB−10M)を用い、前述の通り、粘度に応じたローター及び回転数にて測定した。また、2倍希釈時の粘度は、25℃に保持したマッサージ剤に、25℃のイオン交換水を質量において同量添加し、攪拌して得た2倍希釈液の粘度を測定した。
【0073】
【表1】
【0074】
【表2】
【0075】
表1の結果によれば、実施例1〜4では、手のひらに剤を取った時に垂れることなく、濡れ肌でのボディマッサージ具使用時(2倍希釈時)は適度に粘度が低下し、開口部から手のひらへ剤が行き渡り、手のひらでも感覚剤の効果が実感可能であった。なかでも温感剤としてバニリルブチルエーテルを用いた実施例1は、実施例2よりも皮膚低刺激性の点で良好であった。
一方、2倍希釈時の粘度の低すぎる比較例1及び2は、濡れ肌でのボディマッサージ具使用時(2倍希釈時)に粘度が低くなりすぎてしまい手のひらへ剤が到達せず、手のひらでの温感が感じられなかった。2倍希釈時に水となじまず分離したままで粘度が測定不能な比較例3は、刺激感の点で好ましくなかった。希釈前の粘度も低すぎる比較例1については、塗り伸ばし易さに関しても垂れてしまい好ましくなかった。また、2倍希釈時の粘度の高すぎる比較例4及び5は、濡れ肌でのボディマッサージ具使用時(2倍希釈時)に粘度が高く刺激感の点で好ましくなかった。比較例5及び6については、塗り伸ばし易さに関しても伸びが悪くムラ付着してしまい対象部位での刺激感の点でも好ましくなかった。比較例7では、開口部のないマッサージ具であるため、開口部から手のひらへ剤が行き渡らず、手のひらでの温感が感じられなかった。