(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、発明の実施の形態を説明する。
まず始めに、本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池であるリチウムイオン電池の製造方法における負極ペーストの製造工程の流れを、
図1を用いて説明をする。
【0016】
図1に示す如く、負極ペースト1を生成する工程では、まず、負極活物質たる黒鉛2と、増粘剤たるCMC3と、溶媒たる水4を、混合して固練りする。ここでの固練りは一次混練とも呼ばれる工程であり、例えば、二軸押出混練機を用いて実施することができる。
【0017】
そして、本発明の一実施形態に係るリチウムイオン電池の製造方法では、この固練り時に添加するCMC3として、高粘度のものを使用する構成としており、使用するCMC3の粘度を規定している。
具体的には、本発明の一実施形態に係るリチウムイオン電池の製造方法で使用するCMC3の粘度は、1%水溶液粘度において、6000mPa・s以上かつ8000mPa・s以下としている。
【0018】
さらに、本発明の一実施形態に係るリチウムイオン電池の製造方法では、この固練り時に使用する黒鉛2には油(亜麻仁油)を吸着させておくようにしており、その黒鉛2に吸着させる油の量(以下、吸油量と呼ぶ)を規定している。
尚、ここで言う「吸油量」は、負極活物質(黒鉛2)に対して、亜麻仁油を一定速度で滴定し、その際の粘度特性の変化をトルク検出器で測定および記録したときに、そのとき発生した最大トルク(100%トルク)を基準として70%のトルクを発生したときにおける負極活物質(黒鉛2)の吸油量であって、所謂70%トルク時の吸油量と呼ばれるものである。
尚、本明細書中では、この70%トルク時の吸油量を、単に「吸油量」と呼んでいる。
【0019】
そして具体的には、本発明の一実施形態に係るリチウムイオン電池の製造方法で使用する負極活物質(黒鉛2)の吸油量は、50ml/100g以上かつ62ml/100g以下としている。
【0020】
本発明の一実施形態に係るリチウムイオン電池の製造方法では、次に、固練りによって生成された材料(以下、一次混練体5と呼ぶ)に、さらに溶媒(水4)を添加して、該一次混練体5を希釈し、溶媒(水4)およびCMC3等からなる媒質中に黒鉛の粒子を分散させたスラリー6を生成する。
そして、分散後のスラリー6に対して、SBR7(結着剤)を添加して、負極ペースト1を生成する。
【0021】
そして本実施形態では、負極ペースト1に含まれる固形分である黒鉛2、CMC3およびSBR7の配合比率を規定しており、黒鉛2、CMC3およびSBR7(即ち、固形成分)の総重量を100としたときに、黒鉛2の重量を98.6とし、CMC3の重量を0.7とし、SBR7の重量を0.7とする構成としている。
即ち、本実施形態では、固形成分の総重量に対するCMC3の重量パーセントを0.7として、負極ペースト1を生成する構成としている。
【0022】
即ち、本発明の一実施形態に係るリチウムイオン電池の製造方法では、使用するCMC3の量(以下、CMC添加量と呼ぶ)を規定しており、具体的には、本発明の一実施形態に係るリチウムイオン電池の製造方法におけるCMC添加量は、CMC3の重量パーセント(対固形成分の総重量)において、0.6%以上かつ0.8%以下としている。
【0023】
そして、このような条件で生成した負極ペースト1を銅箔上に塗工し、乾燥、プレス、スリット等の各工程を経て、負極(負極板)を製造する。
その製造した負極を、正極およびセパレータと共に捲回して捲回体を生成し、該捲回体をケースに収容するとともに電解液を注入した後に封口して、容量が4Ahのリチウムイオン電池(図示せず)を製造した。
【0024】
次に、本発明の一実施形態に係るリチウムイオン電池の製造方法により製造するリチウムイオン電池の特性について、
図1および
図2を用いて説明をする。
図2には、負極活物質(黒鉛2)の吸油量を変化させた場合における、固練り時の固形分率と、塗工時に生じる欠点数との関係を表している。
尚、ここで言う塗工時において生じる「欠点」とは、CMCの溶け残りが集電箔(銅箔)に付着して、局部的に負極活物質が付着していない部位(透け)が生じるような欠陥を指しており、より具体的には、CMCのミクロゲル起因の欠点と推定されるもののみを欠点として扱っている。
【0025】
図2によれば、例えば、吸油量が47.2ml/100mgの場合(即ち、本発明の一実施形態に係るリチウムイオン電池の製造方法における吸油量の規定値(50ml/100mg)より少ない場合)、固練り時の固形分率が大きくなって、水分量が不足してしまい、CMC3を十分に溶解することができていないことが判る。
そしてこの場合、CMC3の溶解不足に起因して、欠点数が多くなっており、具体的には、欠点数が、概ね200個/m
2以上になっている。
【0026】
また、
図2によれば、負極活物質(黒鉛2)の吸油量を大きくすると、欠点数が減少する傾向を把握することができ、本発明の一実施形態に係るリチウムイオン電池の製造方法における吸油量の規定値(50ml/100g以上かつ62ml/100g以下)の範囲であれば、固練り時における固形分率を調整することで、欠点数を概ね200個/m
2以下に抑えられることが把握できる。
【0027】
さらに、
図2によれば、負極活物質(黒鉛2)の吸油量を大きくしても、固練り時における固形分率を小さくしすぎると、固練り時におけるせん断力が不足して、CMC3を十分に溶解することができなくなるため、この場合にも欠点数の増加を招くことが把握できる。
【0028】
またさらに、
図2によれば、固練り時における固形分率が70%以下となるように調整することで、固練り時における水分量不足に起因する(CMC3の溶解が不十分で)欠点数の増加を防止できることが判る。
このため、本発明の一実施形態に係るリチウムイオン電池の製造方法では、この固練り時における固形分率の規定値を、70%以下としている。
尚、ここで言う「固形分率」は、一次混練体5全体の重量に対する、負極活物質(黒鉛2)およびCMC3(即ち、溶媒(水4)以外)の重量パーセントとして規定している。
【0029】
即ち、本発明の一実施形態に係るリチウムイオン電池の製造方法においては、一次混練体5を生成する固練り時における固形分率を、70%以下とするものである。
このような構成により、固練り時において、CMC3を確実に溶解することができ、負極における欠点数を低減することができる。
【0030】
本発明の一実施形態に係るリチウムイオン電池の製造方法により製造するリチウムイオン電池の特性について、
図1および
図3を用いて、さらに詳細に説明をする。
図3には、以下に示す実験(1)、実験(2)、実験(3)の各実験結果をまとめて示している。
【0031】
実験(1)は、CMC3の粘度と添加量の条件を一定にした上で、負極活物質(黒鉛2)の吸油量を変えた場合における、リチウムイオン電池の性能変化を確認したものである。
また、ここで言うリチウムイオン電池の性能変化を表す指標としては、欠点数、剥離強度、初期抵抗、サイクル後容量維持率を選択している。
尚、初期抵抗は出力特性の良否を表し、初期抵抗が小さいものほど出力特性が良いと判断でき、また、サイクル後容量維持率はサイクル特性の良否を表し、サイクル後容量維持率が大きいものほどサイクル特性が良いと判断できる。
【0032】
また、実験(2)は、負極活物質(黒鉛2)の吸油量とCMC3の粘度の条件を一定にした上で、CMC3の添加量を変えた場合における、リチウムイオン電池の性能変化を確認したものである。
そして、実験(3)は、CMC3の粘度の変化によるリチウムイオン電池の性能変化を確認したものである。
【0033】
尚、各実験(1)〜(3)における欠点数は、プレス後の負極板を10cm×50cmの大きさで切り取った試料を5枚用意し、5枚の各試料における欠点数の平均値を算出する。
そして、その欠点数の平均値を試料の面積(0.05m
2)で除算して、単位面積当たりの欠点数を算出した。
【0034】
また、各実験(1)〜(3)における剥離強度は、プレス後の負極板を15mm幅に切り出して試料を作成し、その試料に90度剥離試験を行って剥離強度を算出した。
剥離強度の算出方法について、さらに詳細に示す。
プレス後の負極板を15mm幅に切り出した試料の塗工面を、ガラス板に対して両面テープで張り付ける。そして、負極板の一端を90度の角度を保持しつつ前記ガラス板から一定の速度で剥離するときの強度(剥離に要する応力)を測定した。
そして、その強度を幅15mmで除した値を剥離強度とした。
【0035】
また、各実験(1)〜(3)における初期抵抗は、25℃、3.7V、20Aの条件で10秒放電し、そのときの電圧降下量から初期抵抗を算出した。
初期抵抗の算出方法について、さらに詳細に示す。
電池を25℃にて3.7Vまで充電した後、放電電流を20Aとして10秒間放電した。
放電前の電池電圧をV0、放電開始から10秒後の電池電圧をV1として、電圧降下量ΔVをV0−V1として求め、電圧降下量ΔVを20A(放電電流)で除した値を初期抵抗とした。
【0036】
さらに、各実験(1)〜(3)におけるサイクル後容量維持率は、−10℃、3.0〜4.1V、4Aの条件で充放電を1000サイクル行い、サイクル前後の容量の比率からサイクル後容量維持率を算出した。
サイクル後容量維持率の算出方法について、さらに詳細に示す。
サイクル前の電池容量は、25℃にて4.1VまでCC充電した後、10分間休止した後に、3.0Vまで4AでCC放電して、このときの放電容量をサイクル前の電池容量とした。
サイクル試験は、−10℃にて4.1Vまで4AでCC充電し、10分間休止した後に、3.0Vまで4AでCC放電して、10分間休止する工程を1サイクルとして、1000サイクルの充放電を行うものとした。
サイクル後の電池容量は、サイクル試験後に、25℃にて4.1VまでCC充電した後、10分間休止した後に、3.0Vまで4AでCC放電して、このときの放電容量をサイクル後の電池容量とした。
そして、サイクル後の電池容量を、サイクル前の電池容量で除して求めた比率(%)をサイクル後容量維持率とした。
【0037】
まず始めに、実験(1)の実験結果についての考察を示す。
実験(1)は、CMC3の粘度と添加量の条件を一定にした上で、負極活物質(黒鉛2)の吸油量を変えた場合における、リチウムイオン電池の性能変化を確認したものである。
【0038】
図3に示す実施例1〜実施例4に該当する各リチウムイオン電池は、本発明の一実施形態に係るリチウムイオン電池の製造方法における負極活物質(黒鉛2)の吸油量の規定値(50ml/100g以上かつ62ml/100g以下)を満足している。
一方、
図3に示す比較例1、2に該当する各リチウムイオン電池は、負極活物質(黒鉛2)の吸油量の規定値から外れているものとして例示している。
【0039】
実施例1〜実施例4に示すリチウムイオン電池では、欠点数が概ね100個/m
2以下であるため、欠点数の評価において良好であり、かつ、剥離強度が2.2〜2.7N/mであるため、剥離強度の評価も良好である。
また、実施例1〜実施例4に示すリチウムイオン電池では、91〜94%のサイクル後容量維持率が確保されているため、サイクル後容量維持率の評価も良好である。
【0040】
一方、比較例1に示すリチウムイオン電池では、剥離強度が2.9N/mであり、剥離強度の評価は良好であるものの、欠点数が234個/m
2となっており、欠点数の評価において、実施例1〜実施例4に示すリチウムイオン電池に比して劣っている。
また、比較例1に示すリチウムイオン電池では、サイクル後容量維持率が65%となっており、サイクル後容量維持率の評価(即ち、サイクル特性の評価)においても、実施例1〜実施例4に示すリチウムイオン電池に比して劣っている。
これは、吸油量が少ないと、一次混練時の水分量が十分でなくなり、CMC3の溶け残りが多くなって、欠点数の増大につながったものと考えられ、また欠点の増大により、サイクル時にLiの析出が生じて、サイクル後容量維持率の低下につながったものと考えられる。
【0041】
また、比較例2に示すリチウムイオン電池では、欠点数が14個/m
2であるため、欠点数の評価は良好であるものの、剥離強度が1.1N/mとなっており、剥離強度の評価において、実施例1〜実施例4に示すリチウムイオン電池に比して劣っている。
また、比較例2に示すリチウムイオン電池では、サイクル後容量維持率が78%となっており、サイクル後容量維持率の評価(即ち、サイクル特性の評価)においても、実施例1〜実施例4に示すリチウムイオン電池に比して劣っている。
これは、吸油量が多いと、負極活物質(黒鉛2)に対するCMCの吸着量が増大し、剥離強度が低くなったものと考えられ、これにより、サイクル後容量維持率の低下につながったものと考えられる。
【0042】
即ち、実験(1)の結果から、負極活物質(黒鉛2)の吸油量を、50ml/100g以上かつ62ml/100g以下の範囲に調整することで、剥離強度を確保しつつ欠点数を少なくでき、かつ、サイクル後容量維持率が良好なリチウムイオン電池を製造できることが判った。
【0043】
次に、実験(2)の実験結果についての考察を示す。
実験(2)は、負極活物質(黒鉛2)の吸油量とCMC3の粘度の条件を一定にした上で、CMC3の添加量(より詳しくは、固形成分の総重量に対するCMC3の重量パーセント)を変えた場合における、リチウムイオン電池の性能変化を確認したものである。
【0044】
図3に示す実施例5、6に該当する各リチウムイオン電池は、本発明の一実施形態に係るリチウムイオン電池の製造方法におけるCMC3の添加量の規定値(CMC3の重量パーセント(対固形成分の総重量)が0.6%以上かつ0.8%以下)を満足している。
一方、
図3に示す比較例3、4に該当する各リチウムイオン電池は、CMC3の添加量の規定値から外れているものとして例示している。
【0045】
実施例5、6に示すリチウムイオン電池では、いずれも欠点数が概ね50個/m
2以下であるため、欠点数の評価が良好であり、かつ、剥離強度が2.2〜2.7N/mであるため、剥離強度の評価も良好である。
また、実施例5、6に示すリチウムイオン電池では、サイクル後容量維持率が92〜93%であるため、サイクル後容量維持率の評価も良好である。
さらに、実施例5、6に示すリチウムイオン電池では、初期抵抗が4.375〜4.563mΩであるため、初期抵抗の評価も良好である。
【0046】
一方、比較例3に示すリチウムイオン電池では、欠点数が10個/m
2であるため、欠点数の評価においては良好であるものの、剥離強度が1.3N/mとなっているため、剥離強度の評価においては、実施例5、6に示すリチウムイオン電池に比して劣っている。
また、比較例3に示すリチウムイオン電池では、サイクル後容量維持率が76%となっており、サイクル後容量維持率の評価(即ち、サイクル特性の評価)において、実施例5、6に示すリチウムイオン電池に比して劣っている。
これは、CMC3の添加量が少ないと、剥離強度が低くなるため、これにより、サイクル後容量維持率の低下につながったものと考えられる。
【0047】
一方、比較例4に示すリチウムイオン電池では、剥離強度が4.1N/mであるため、剥離強度の評価においては良好であるものの、欠点数が190個/m
2となっており、欠点数の評価において、実施例5、6に示すリチウムイオン電池に比して劣っている。
また、比較例4に示すリチウムイオン電池では、サイクル後容量維持率が61%となっており、サイクル後容量維持率の評価(即ち、サイクル特性の評価)においても、実施例5、6に示すリチウムイオン電池に比して劣っている。
さらに、比較例4に示すリチウムイオン電池では、初期抵抗が5.988mΩとなっており、初期抵抗の評価(即ち、出力特性の評価)においても、実施例5、6に示すリチウムイオン電池に比して劣っている。
これは、CMC3の添加量が多いと、CMC3が電池反応を阻害するため、初期抵抗の増大につながったものと考えられる。
また、CMC3の添加量が多いと、CMC3の溶け残りが多くなるため、欠点数の増大につながり、これにより、サイクル時にLiの析出が生じて、サイクル後容量維持率の低下につながったものと考えられる。
【0048】
即ち、実験(2)の結果から、CMC3の添加量を、固形成分(黒鉛2、CMC3およびSBR7)の総重量に対する重量パーセントで、0.6以上かつ0.8以下の範囲に調整することで、剥離強度を確保しつつ欠点数を少なくでき、かつ、出力特性およびサイクル特性が良好なリチウムイオン電池を製造できることが判った。
【0049】
次に、実験(3)の実験結果についての考察を示す。
実験(3)は、CMC3の粘度の条件を変えた場合における、リチウムイオン電池の性能変化を確認したものである。
【0050】
図3に示す実施例7に該当するリチウムイオン電池は、本発明の一実施形態に係るリチウムイオン電池の製造方法におけるCMC3の粘度の規定値(1%水溶液粘度において、6000mPa・s以上かつ8000mPa・s以下)を満足している。
一方、比較例5に該当する各リチウムイオン電池は、CMC3の粘度の規定値よりも低いものを使用する場合を例示している。
尚、CMC3の粘度が低いと、CMC3の添加量を多くしないとペースト化することができないため、CMC3の添加量を実施例7の場合に比して多い1重量パーセントとして実験を行っている。
【0051】
実施例7に示すリチウムイオン電池では、欠点数が44個/m
2であり、欠点数の評価が良好であり、かつ、剥離強度が2.6N/mであるため、剥離強度の評価も良好である。
また、実施例7に示すリチウムイオン電池では、サイクル後容量維持率が93%であり、サイクル後容量維持率の評価も良好である。
さらに、実施例7に示すリチウムイオン電池では、初期抵抗が4.478mΩであり、初期抵抗の評価も良好である。
【0052】
一方、比較例5に示すリチウムイオン電池では、欠点数が14個/m
2であるため、欠点数の評価は良好であり、また、剥離強度が2.3N/mであるため、剥離強度の評価も良好であるが、サイクル後容量維持率が71%であるため、サイクル後容量維持率の評価(即ち、サイクル特性の評価)において、実施例7に示すリチウムイオン電池に比して劣っている。
また、比較例5に示すリチウムイオン電池では、初期抵抗が5.121mΩであり、初期抵抗の評価(即ち、出力特性の評価)においても、実施例7に示すリチウムイオン電池に比して劣っている。
これは、CMC3の粘度が低いと、CMC3の添加量を多くしなければペースト化することができないため、CMC3の添加量を増大させた結果、CMC3が電池反応を阻害して、初期抵抗の増大につながったものと考えられる。
また、電池抵抗の増大に伴って、サイクル時にLiの析出が生じて、サイクル後容量維持率の低下につながったものと考えられる。
【0053】
即ち、実験(3)の結果から、CMC3の粘度を、1%水溶液粘度において、6000mPa・s以上8000mPa・s以下の範囲に調整することで、剥離強度を確保しつつ欠点数を少なくでき、かつ、出力特性およびサイクル特性が良好なリチウムイオン電池を製造できることが判った。
【0054】
即ち、本発明の一実施形態に係るリチウムイオン電池の製造方法は、負極活物質(黒鉛2)とCMC3と水4を固練りして一次混練体5を生成し、さらに、一次混練体5に水4を添加して希釈することにより、負極を製造するための負極ペースト1を生成する工程を備えるものであって、負極ペースト1を生成する工程において、負極活物質(黒鉛2)の70%トルク時における吸油量を、50ml/100mg以上かつ62ml/100mg以下とし、かつ、CMC3の粘度を、1%水溶液粘度において6000mPa・s以上かつ8000mPa・s以下とするものである。
また、本発明の一実施形態に係るリチウムイオン電池の製造方法においては、CMC3の使用量(CMC3の添加量)を、負極ペースト1に含まれる固形成分たる黒鉛2、CMC3、SBR7の総重量に対するCMC3の重量パーセントにおいて、0.6%以上かつ0.8%以下とするものである。
このような構成により、負極において、粘度の高いCMC3を使用しながら、剥離強度を確保することができ、出力特性とサイクル特性に優れたリチウムイオン電池を提供できる。
【0055】
また、
前記リチウムイオン電池は、本発明の一実施形態に係るリチウムイオン電池の製造方法により製造された負極ペースト1から製造された負極を備えるものである。
このような構成により、出力特性とサイクル特性に優れたリチウムイオン電池を提供できる。