【実施例】
【0032】
本発明について以下に実施例を挙げてさらに詳述するが、本発明はこれによりなんら限定されるものではない。配合量は特記しない限り質量%で示す。
【0033】
1.コラーゲン産生促進効果試験方法およびその結果
次の方法でコラーゲン産生促進効果を測定・評価した。
【0034】
(1-1)コラーゲン産生促進作用の試験方法
24ウェルプレートを用いて10%FBS含有DMEM培地にてヒト線維芽細胞を6X10
4 cells/well播種し、細胞が十分接着するまで培養しながら静置し、その後血清濃度を落として0.5%FBS含有DMEM培地により培養した。
1日後、検体を所定の濃度(0.1%)に調製し、検体を含有した0.5%FBS含有DMEM培地と置換して3日間培養した。培養上清を抜き取り、タカラのprocollagen type I−Cppeptide EIA KITを用いてI型コラーゲン産生量を測定した。
なお、N−ベンゾイルグリシルグリシンの濃度は、0.01質量%および0.1質量%とした。
【0035】
(1-2)試験結果
結果は試験物質を含まないコントロールのコラーゲン産生量を100とした時の、コントロールに対するコラーゲン産生量の相対値を算定し、
図1に示した。
【0036】
図1から分かるように、本発明のコラーゲン産生促進剤は、優れたコラーゲン産生促進効果を有している。このため本発明のコラーゲン産生促進剤を配合することで、コラーゲン産生促進効果を有するしわ改善剤や皮膚外用剤を提供することができ、種々の症状や疾病、病態等の予防、防止、改善、治療等に役立つ。
具体的適用例としては、皮膚のたるみ・しわなどの皮膚老化を予防、改善、治療したり、皮膚創傷の治療等が挙げられる。ただしこれら例示に適用が限定されるものでない。
【0037】
2.線維芽細胞増殖促進効果試験方法およびその結果
次の方法で線維芽細胞増殖促進効果を測定・評価した。
【0038】
(2-1)線維芽細胞増殖促進作用の試験方法
24ウェルプレートを用いて10%FBS含有DMEM培地にてヒト線維芽細胞を6X10
4 cells/well播種し、細胞が十分接着するまで培養しながら静置し、その後血清濃度を落として0.5%FBS含有DMEM培地により培養した。1日後、検体としてN−ベンゾイルグリシルグリシンを所定の濃度に調製し、検体を含有した0.5%FBS含有DMEM培地と置換し培養した。3日間、200倍に希釈したHoechst33342を添加し、DNA量の測定から細胞増殖活性を求めた。
なお、N−ベンゾイルグリシルグリシンの濃度は、0.01質量%および0.1質量%とした。
【0039】
(2-2)試験結果
結果は試験物質を含まないコントロールの細胞増殖活性を100としたときのコントロールに対する細胞増殖活性の相対値を算定し、
図2に示した。
【0040】
図2から分かるように、N−ベンゾイルグリシルグリシンは優れた線維芽細胞増殖促進効果を有しており、線維芽細胞増殖促進剤として有用である。
このため本発明の線維芽細胞増殖促進剤を配合することで、線維芽細胞増殖促進効果を有するしわ改善剤、皮膚外用剤等を提供することができ、線維芽細胞増殖機能の低下に伴う種々の症状や疾病、病態等の予防、防止、改善、治療等に役立つ。
具体的適用例としては、皮膚のたるみ・しわ、ハリ・弾力の低下などの皮膚老化を予防、改善、治療したり、皮膚損傷を修復することが挙げられる。ただしこれら例示に適用が限定されるものでない。
【0041】
以下に、種々の剤型の本発明によるコラーゲン産生促進剤及び/又は線維芽細胞増殖促進剤の配合例を説明する。本発明はこれによって何ら限定されるものではなく、特許請求の範囲によって特定されるものであることはいうまでもない。
【0042】
処方例1 クリーム
(処方)
ステアリン酸 5.0 質量%
ステアリルアルコール 4.0
イソプロピルミリステート 18.0
グリセリンモノステアリン酸エステル 3.0
プロピレングリコール 10.0
N−ベンゾイルグリシルグリシン(コラーゲン産生促進剤) 0.1
苛性カリ 0.2
亜硫酸水素ナトリウム 0.05
防腐剤 適量
香料 適量
イオン交換水 残余
(製法)
イオン交換水にプロピレングリコールと苛性カリを加え溶解し、加熱して70℃に保つ(水相)。他の成分を混合し加熱融解して70℃に保つ(油相)。水相に油相を徐々に加え、全部加え終わってからしばらくその温度に保ち反応を起こさせる。その後、ホモミキサーで均一に乳化し、よくかきまぜながら30℃まで冷却する。
【0043】
処方例2 クリーム
(処方)
ステアリン酸 2.0 質量%
ステアリルアルコール 7.0
水添ラノリン 2.0
スクワラン 5.0
2−オクチルドデシルアルコール 6.0
ポリオキシエチレン(25モル)
セチルアルコールエーテル 3.0
グリセリンモノステアリン酸エステル 2.0
プロピレングリコール 5.0
N−ベンゾイルグリシルグリシン(線維芽細胞増殖促進剤) 0.001
亜硫酸水素ナトリウム 0.03
エチルパラベン 0.3
香料 適量
イオン交換水 残余
(製法)
イオン交換水にプロピレングリコールを加え、加熱して70℃に保つ(水相)。他の成分を混合し加熱融解して70℃に保つ(油相)。水相に油相を加え予備乳化を行い、ホモミキサーで均一に乳化した後、よくかきまぜながら30℃まで冷却する。
【0044】
処方例3 乳液
(処方)
ステアリン酸 2.5 質量%
セチルアルコール 1.5
ワセリン 5.0
流動パラフィン 10.0
ポリオキシエチレン(10モル)
モノオレイン酸エステル 2.0
ポリエチレングリコール1500 3.0
トリエタノールアミン 1.0
カルボキシビニルポリマー 0.05
(商品名:カーボポール941)
N−ベンゾイルグリシルグリシン(しわ改善剤) 0.05
亜硫酸水素ナトリウム 0.01
エチルパラベン 0.3
香料 適量
イオン交換水 残余
(製法)
少量のイオン交換水にカルボキシビニルポリマーを溶解する(A相)。残りのイオン交換水にポリエチレングリコール1500とトリエタノールアミンを加え、加熱溶解して70℃に保つ(水相)。他の成分を混合し加熱融解して70℃に保つ(油相)。水相に油相を加え予備乳化を行い、A相を加えホモミキサーで均一乳化し、乳化後よくかきまぜながら30℃まで冷却する。
【0045】
処方例4 ゼリー
(処方)
95%エチルアルコール 10.0 質量%
ジプロピレングリコール 15.0
ポリオキシエチレン(50モル)
オレイルアルコールエーテル 2.0
カルボキシビニルポリマー 1.0
(商品名:カーボポール940)
苛性ソーダ 0.15
L−アルギニン 0.1
N−ベンゾイルグリシルグリシン(コラーゲン産生促進剤) 5.0
2−ヒドロキシ−4−メトキシ
ベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム 0.05
エチレンジアミンテトラアセテート・
3ナトリウム・2水 0.05
メチルパラベン 0.2
香料 適量
イオン交換水 残余
(製法)
イオン交換水にカーボポール940を均一に溶解し、一方、95%エタノールに化合物1、ポリオキシエチレン(50モル)オレイルアルコールエーテルを溶解し、水相に添加する。次いで、その他の成分を加えたのち苛性ソーダ、L−アルギニンで中和させ増粘する。
【0046】
処方例5 クリーム
(処方)
ステアリン酸 5.0 質量%
ステアリルアルコール 4.0
イソプロピルミリステート 18.0
グリセリンモノステアリン酸エステル 3.0
プロピレングリコール 10.0
N−ベンゾイルグリシルグリシン(線維芽細胞増殖促進剤) 0.01
苛性カリ 0.2
亜硫酸水素ナトリウム 0.01
防腐剤 適量
香料 適量
イオン交換水 残余
(製法)
イオン交換水にプロピレングリコールと苛性カリを加え溶解し、加熱して70℃に保つ(水相)。他の成分を混合し加熱融解して70℃に保つ(油相)。水相に油相を徐々に加え、全部加え終わってからしばらくその温度に保ち反応を起こさせる。その後、ホモミキサーで均一に乳化し、よくかきまぜながら30℃まで冷却する。
【0047】
処方例6 乳液
(処方)
マイクロクリスタリンワックス 1.0 質量%
密ロウ 2.0
ラノリン 20.0
流動パラフィン 10.0
スクワラン 5.0
ソルビタンセスキオレイン酸エステル 4.0
ポリオキシエチレン(20モル)
ソルビタンモノオレイン酸エステル 1.0
プロピレングリコール 7.0
N−ベンゾイルグリシルグリシン(しわ改善剤) 10.0
亜硫酸水素ナトリウム 0.01
エチルパラベン 0.3
香料 適量
イオン交換水 残余
(製法)
イオン交換水にプロピレングリコールを加え、加熱して70℃に保つ(水相)。他の成分を混合し、加熱融解して70℃に保つ(油相)。油相をかきまぜながらこれに水相を徐々に加え、ホモミキサーで均一に乳化する。乳化後よくかきまぜながら30℃まで冷却する。
【0048】
処方例7 パック
(処方)
(A相)
ジプロピレングリコール 5.0 質量%
ポリオキシエチレン(60モル)硬化ヒマシ油 5.0
N−ベンゾイルグリシルグリシン(コラーゲン産生促進剤) 5.0
(B相)
オリーブ油 5.0
酢酸トコフェロール 0.2
エチルパラベン 0.2
香料 0.2
(C相)
亜硫酸水素ナトリウム 0.03
ポリビニルアルコール 13.0
(ケン化度90、重合度2,000)
エタノール 7.0
精製水 残余
(製法)
A相、B相、C相をそれぞれ均一に溶解し、A相にB相を加えて可溶化する。次いでこれをC相に加えたのち充填を行う。