特許第5937595号(P5937595)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5937595電気的に制御されるバルブの状態を検出するための方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5937595
(24)【登録日】2016年5月20日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】電気的に制御されるバルブの状態を検出するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 7/00 20060101AFI20160609BHJP
   F16K 31/06 20060101ALI20160609BHJP
   G01R 19/165 20060101ALI20160609BHJP
   G05B 23/02 20060101ALI20160609BHJP
【FI】
   G01B7/00 101E
   F16K31/06 310Z
   G01R19/165 J
   G05B23/02 P
【請求項の数】14
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-523489(P2013-523489)
(86)(22)【出願日】2011年8月4日
(65)【公表番号】特表2013-536414(P2013-536414A)
(43)【公表日】2013年9月19日
(86)【国際出願番号】DE2011075186
(87)【国際公開番号】WO2012041308
(87)【国際公開日】20120405
【審査請求日】2014年7月30日
(31)【優先権主張番号】102010036941.1
(32)【優先日】2010年8月11日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513033696
【氏名又は名称】ダンフォス パワー ソリューションズ ゲーエムベーハー ウント コンパニ オーハーゲー
【氏名又は名称原語表記】Danfoss Power Solutions GmbH&Co.OHG
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】フィンク,スフェン
(72)【発明者】
【氏名】サターバク,マット
【審査官】 眞岩 久恵
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第04970622(US,A)
【文献】 特表2010−520130(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 7/00−7/34
F16K 31/06
G01R 19/165
G05B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
時間的に変化する制御信号(17)で制御される電気的装置(4)の少なくとも1つの状態特性値(28)を、少なくとも一時的に及び/又は少なくとも部分的に検出(33)するための方法(3)であって、
前記時間的に変化する制御信号(17)の周波数及び前記時間的に変化する制御信号(17)のパルス幅変調比の両方を使用して、前記少なくとも1つの状態特性値(28)を少なくとも一時的に及び/又は少なくとも部分的に検出することを特徴とする、方法(3)。
【請求項2】
前記時間的に変化する制御信号(17)は、少なくとも一時的に及び/若しくは少なくとも部分的に、パルス状の制御信号である、並びに/又は周期的な制御信号であり、特に、パルス幅変調性の制御信号(17)、並びに/又は方形状の制御信号(17)であることを特徴とする、請求項1に記載の方法(3)。
【請求項3】
前記電気的装置(4)は、少なくとも一時的に及び/又は少なくとも部分的に、電磁誘導装置(8)を備える電気的装置(4)であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法(3)。
【請求項4】
前記電磁誘導装置(8)は、電気モータ装置、電気コイル装置(8)及び/又はアクチュエータ装置(5)であることを特徴とする、請求項3に記載の方法(3)。
【請求項5】
前記アクチュエータ装置(5)は、バルブ装置(6)のためのアクチュエータ装置(5)であることを特徴とする、請求項4に記載の方法(3)。
【請求項6】
前記電気的装置(4)は、少なくとも一時的及び/又は少なくとも領域的に駆動されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法(3)。
【請求項7】
前記少なくとも1つの状態特性値(28)が、少なくとも一時的に及び/若しくは少なくとも部分的な、前記電気的装置(4)の少なくとも複数の部品の1つの位置の値(28)、前記電気的装置(4)の少なくとも複数の部品の、特定の適切な位置への到達に関する値(28)、前記電気的装置(4)の少なくとも複数の部品の速度の値(28)、並びに/又は少なくとも1つの不具合現象に関する値を表すことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法(3)。
【請求項8】
前記電気的装置(4)は、少なくとも一時的に及び/又は少なくとも部分的に、最大電流制御方法(17)を用いて制御されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法(3)。
【請求項9】
前記時間的に変化する制御信号(17)で制御される前記電気的装置(4)を、少なくとも部分的に電気的に整流した油圧ポンプ及び/又は少なくとも部分的に電気的に整流された油圧モータのために、少なくとも一時的及び/又は少なくとも領域的に使用することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法(3)。
【請求項10】
前記少なくとも1つの状態特性値(28)を、少なくとも一時的に及び/若しくは少なくとも部分的な、前記時間的に変化する制御信号(17)のスイッチング周波数の絶対値の測定によって、並びに/又は前記時間的に変化する制御信号(17)の前記スイッチング周波数の変化の測定によって、並びに/又は前記時間的に変化する制御信号(17)の前記パルス幅変調比の絶対値の測定によって、並びに/又は前記時間的に変化する制御信号(17)の前記パルス幅変調比の変化の測定によって、検知することを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法(3)。
【請求項11】
時間的に変化する制御信号(17)で制御される電気的装置(4)の少なくとも1つの状態特性値(28)を、少なくとも一時的に及び/又は少なくとも部分的に検出(32)するための、電気的制御装置(2)であって、
少なくとも一時的に及び/又は少なくとも部分的に、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法(3)を実施するように、構成かつ調整される、電気的制御装置(2)。
【請求項12】
少なくとも部分的に電子式制御装置(10、13、14、16、22、27)として形成されることを特徴とする、請求項11に記載の電気的制御装置(2)。
【請求項13】
前記電子式制御装置(10、13、14、16、22、27)が、少なくとも部分的にプログラムで制御されるコンピュータ装置(13、14、22、27)として形成されることを特徴とする、請求項12に記載の電気的制御装置(2)。
【請求項14】
少なくとも一時的及び/若しくは少なくとも部分的に、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法(3)を使用して制御されること、並びに/又は請求項11ないし13に記載の電気的制御装置(2)を備えることを特徴とする、電気的に整流された油圧ポンプ及び/又は電気的に整流された油圧モータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一時的に及び/又は少なくとも部分的に時間的に変化する制御信号で制御される電気的装置の、少なくとも1つの状態特性値を検出するための方法に関する。本発明は更に、時間的に変化する制御信号で制御される電気的装置の少なくとも1つの状態特性値を、少なくとも一時的に及び/又は少なくとも部分的に検出するための電気的制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、様々な種類の電気的装置は電流を使用して制御されている。
【0003】
電気的装置が、例えば特定の測定値に応じて及び/又は様々な時点において様々な状態をとる場合、この電気的装置を、時間的に変化する制御信号を使用して制御することができる。電気的装置は通常、印加される制御信号の種類に応じて特定の状態をとる。この場合に、電気的装置の特定の状態のために必要な又は有意な制御値を与えてから、最終的に電気的装置がそれに対応する状態となるまでに、ある程度の時間が経過することはあり得る(いわゆる遅延)。この遅延の大きさは、電気的装置の種類と構造のみに左右されるのではなく、特に電気的装置の状態の変更に必要な値にも左右される。
【0004】
電気的装置のこのような制御における1つの問題は特に、この電気的装置がいつ所望の状態になるか(及び場合によっては、所望の状態になるかどうか)を知る必要があることである。例として、技術的欠陥のせいで、又は電気的装置に対する異常に大きな応力のせいで、この電気的装置が所望の状態になることができないということが起こり得る。電気的装置が特定の時点で最終的に所望の状態になるとしても、このような時間的遅延は様々な大きさであり得る。しかし多くの応用においては、遅延時間が特定の定義されたものである(又はそれを超過しない)必要がある。
【0005】
以上から、時間的に変化する制御信号で電気的装置をただ制御することは、多くの場合不十分であることが明らかである。
【0006】
1つの方法は、電気的装置の現在の状態についての情報に関して、特殊な測定センサを備え、このセンサが電気的装置の現在の状態を制御ユニットに伝達することである。しかしこの方法は、しばしばこの測定センサが部分的に相当な経費を意味するため、問題となることが多い。更に、狭い構造空間状況のため、測定センサの取付けはしばしば全く不可能か、又は非常な困難を伴ってのみ可能である。
【0007】
別の基本的な方法は、多くの場合、電気的装置の制御ために使用する時間的に変化する制御信号それ自体を、少なくとも電気的装置の状態を近似的に検知するために使用することである(従って、この電気的装置自体を「内在性測定センサ」として使用する)。ここではこの測定装置(又はその一部分)を、構造空間に関して、いわば特に望ましくない(例えば特に狭い)領域から、問題になりにくい領域内に移し得る。このような方法の場合には、部分的に既に存在するか、又はいずれにしても備えられている構成要素を使用することが可能であり、これは経費を低くすることができる。
【0008】
多くのこの種の電気的装置の1つの例は、例えばモータ及びポンプ、特に燃焼モータ、油圧モータ、コンプレッサ及びハイドロリックポンプのために、又は様々な油圧システム若しくは液体誘導システム内の切り換え作動のために使用されるバルブのための電気的アクチュエータである。このような技術的装置において、アクチュエータを用いて制御されるバルブの様々なスイッチング状態を制御するだけでなく、特に、実際に切換動作が実施されたかどうか、及び好ましくはいつ切り換え動作が実施されたか(特に基本的に完了したか)についてのフィードバックも受け取ることが望まれる。このような値を知ることで、より良い制御アルゴリズムを使用することが可能となり、また故障の場合は適した処置を実施することができる。
【0009】
その位置を「内在性」センサで測定可能である電気的アクチュエータが、既に提案されている。
【0010】
例えば非特許文献1は、コイル内の磁気電機子の位置の1つの推定方法を開示している。この文献の著者らはここで、コイルのインダクタンスは、その中に可動式に配置されている磁気電機子の位置によって変化し、まずは増加すると説明している。特定の点以後は、飽和のため、インダクタンスは逆に降下する。著者らは、印加された電流の測定を基にして、コイル内の磁気電機子の位置を推測している。しかし、ここで説明されている方法の問題は、提案された測定方法では、著者達の見解でも、単に近似固定システムのために使用可能な結果しか提供できないということである。多くの技術的システムでは、このような曖昧さは許容されない。
【0011】
例えば特許文献1では別の提案がされている。ここでは電磁式アクチュエータに印加された電流の上昇状態を基にして、アクチュエータの位置を推測している。しかし、ここに記載された方法は、定義された出発位置が判明していることを前提としている。この位置から出発して、位置の変更がいわば「上方向へ積分」される。提案された方法では、例えば、バルブが完全に解放又は閉鎖しなくなるといった故障は、実際に認識されない。それに加えて、ここに記載された方法もまた、近似固定システムにしか適していない。
【0012】
従って、時間的に変化する制御信号で制御される電気的装置、特に電気的に制御されるアクチュエータの位置に関する状態を検出するための、改善された方法への需要が今なお存在する。同様に、アクチュエータのための改善された制御装置への需要も存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国出願特許第2008/0143346号
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】M.F.Rahman、N.C.Cheung及びK.W.Limによる、出版物「Position Estimation in Solenoid Actuators」 IEEE Transactions on Industry Applications、第32巻第3号、1996年5月/6月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従って、本発明の課題は、時間的に変化する制御信号で制御される電気的装置の少なくとも1つの状態特性値を、少なくとも一時的に及び/又は少なくとも部分的に検出するための、従来技術に対して改善された方法を提供することである。更に本発明の課題は、時間的に変化する制御信号で制御される電気的装置の少なくとも1つの状態特性値を、少なくとも一時的に及び/又は少なくとも部分的に検出するための、従来技術に対して改善された電気的制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明はこの課題を解決する。
【0017】
時間的に変化する制御信号で制御される電気的装置の少なくとも1つの状態特性値を、少なくとも一時的に及び/又は少なくとも部分的に検出するための方法を、時間的に変化する制御信号の周波数及び/又は時間的に変化する制御信号のスイッチング状態を使用して、少なくとも1つの状態特性値を少なくとも一時的に及び/又は少なくとも部分的に検出するように実施することを提案する。検出するべき状態特性値は、任意の状態特性値であってよく、より詳細には直接的な状態特性値(即ち電気的装置に直接関連する1つの状態特性値)であってよい。例えばこのような直接的な状態特性値は、電気的装置の電気的状態(電流の強さ、インダクタンス、温度及び類似物)であってよい。しかし、これは間接的な状態(即ち電気的装置に間接的にのみ関連する1つの状態特性値)であってもよく、例えば、電気的装置と接続されている、例えば機械的な構造物群(例えば1つのバルブ)の、位置、速度、流量及び類似物であってよい。電気的装置自体については、同じく基本的に任意の電気的装置であってよい。更に、この電気的装置は「独立位置」で作動されるか、又は他の、例えば機械的な構造物群と(一体として)接続されていてもよい。これは特に、例えば電気コイルの磁界内に可動的に配置されている磁気電機子のような、電気的装置が特定の構造部分と共に内蔵機能ユニットを構成する場合も含む。時間的に変化する制御信号は、同じく基本的に任意の、(不変の)電気的直流ではない電気的信号であってよい。典型的には、この時間的に変化する制御信号は1つの周波数を持ち、この周波数は少なくとも一時的に及び/又は少なくとも部分的に>0.1Hz、>0.5Hz、>1Hz、>2Hz、>5Hz、>10Hz、>20Hz、>50Hz、>100Hz、>200Hz、>500Hz、>1kHz、>2kHz、>3kHz、>4kHz、>6kHz及び/又は>6kHzである(上記全ての場合において、その値自体も含んでよい)。時間的に変化する制御信号を、単に「純粋な」交流と理解するべきではなく、特に交流部分と重複する(場合によっては高い)直流部分を持つ電気的な電圧パターンと理解しなければならない。完璧を期して、交流(又は交流部分)は振幅から振幅へと、その高さ、長さ、頻度及び/又はその信号の形状が全く変化し得るということを示唆しておく必要がある。この時間的に変化する制御信号は、任意の方法で電気的装置を(少なくとも一時的に及び/又は少なくとも部分的に)直接的に及び/又は(少なくとも一時的に及び/又は少なくとも部分的に)間接的に制御することができる。従って、制御信号は電流であること、例えば電気コイル内を流れる電流であることも考えられる。しかし、制御信号は、例えば回路ロジックのための入力信号として、(出力)トランジスタのため(又は類似の電子式回路構成部品のため)の入力信号として使われる電流であることも同様に考えられる。意外なことに、この目的で、少なくとも一時的に及び/又は少なくとも部分的に時間的に変化する制御信号の周波数及び/又はスイッチング状態を利用すると、非常に簡単な方法で、少なくともいくつかの状態特性値を驚くべき高い精度で検知することが可能であるということを発明者達は確認した。時間的に変化する制御信号の周波数とは、基本的に周期的な信号の1つの完全な周期の長さのみではないと理解するべきである。特に、周波数とは、2つ(又は複数)のゼロ点通過点の間の距離、又は特に適切な制御信号曲線の点間の距離と理解され得る。制御信号が、例えば2つの(場合によっては複数の)特に適切なスイッチング状態を持ち、この2つの(又は複数の)適切なスイッチング状態の比(例えば時間比)を、状態特性値の検出のために利用することも可能である。この場合、これは特に、パルス幅変調信号のいわゆる「デューティ周期」であってよい。
【0018】
時間的に変化する制御信号は、少なくとも一時的に及び/若しくは少なくとも部分的にパルス状の制御信号である、並びに/又は少なくとも一時的に及び/若しくは少なくとも部分的に周期的な制御信号であることが好ましい。特にこれは、少なくとも一時的に及び/若しくは少なくとも部分的にパルス幅変調性の制御信号であってよい、並びに/又は少なくとも一時的に及び/若しくは少なくとも部分的に方形状の制御信号であってよい。パルス状の制御信号とは、特に主として単にオン及びオフ状態を持つ信号(即ちある意味でバイナリ信号)であると理解するべきである。もちろん「中間段階」及び/又はマイナスの振幅値を持つことも可能である。制御信号が(場合によっては他の周波数を持って変化する)直流部分と重複することも可能である。「パルス状」とは、時間的に短いパルスのみが出現するものと理解するべきではなく、むしろ比較的長く継続するパルス(特に制御信号の「オフ時間」との関係で)を有してもよい。周期的制御信号とは、例えば1つの周期又は一定の時間の経過後、実質的に同一にのみ繰り返す信号と理解するべきではなく、むしろこれは、「品質的観点」から繰り返しと判断される信号であると理解するべきである。例えば制御信号が様々な周波数と幅を持つ方形のパルスの連続からなる場合、これは、本明細書の意味においては場合によっては周期的な制御信号と把握され得る。制御信号は、パルス幅変調性の制御信号であることが好ましい。ここでは、制御信号は、周波数が一定の、単に「オン期」ならびに「オフ期」のスイッチング状態が相互に変化する(いわゆる「デューティ周期」)という狭義の意味でのパルス幅変調性制御信号のみを指すものと理解するべきではなく、好ましくはむしろ逆に、デューティ周期のこのような変化に加えて(場合によってはこれに代わって)周波数の変化が出現してもよい。更に又は代わりに、制御信号が方形状の制御信号である場合も同じように好ましい。上述の制御信号が、厳密な幾何学的形状で存在する必要は無いということを示唆しておく必要がある。むしろ通常は、特定の要素の影響で、信号が何らかの変形を被る。例えば方形の制御信号のスイッチオン時の立ち上がり部分は、インダクタンスのために通常は非対称のスイッチオン曲線に変形される。この効果及び他の効果は、もちろんスイッチオフ時の立ち下がり部分及びその他の信号特性の場合にも、何らかの信号の変形をもたらす。
【0019】
更に、電気的装置は、少なくとも一時的に及び/又は少なくとも部分的に電磁誘導装置を備える電気的装置、特に電気モータ装置、電気コイル装置及び/又はアクチュエータ装置、好ましくはバルブ装置のためのアクチュエータ装置であることが好ましい。最初のいくつかの実験では、このような電気的装置は、提案する方法と関連して使用するために特に適切であるという結果であった。更に、このような電気的装置では、この電気的装置に付加的な測定センサを備えるにはスペースの問題がある場合があり、その結果、不可能ではないとしても非常に困難である。この点においても、提案する方法を使用することは特に有利であることが明らかである。
【0020】
特にこの場合は(しかしこれに限定する必要はない)、この電気的装置を、少なくとも一時的及び/又は少なくとも領域的に、非近似固定式及び/又は非固定式に駆動すると、有利である。上述したように、従来技術から公知である方法は、通常近似固定式システムでの使用に限定されている。しかししばしば、迅速に移動するシステム(即ち近似固定式以外で作動するシステム)において、特定の状態特性値について信頼性の高い測定値を得ることに対して、特に高い需要がある。なぜなら、迅速に移動する/迅速に変化する技術的装置を制御する必要がある場合は一般に、例えば効率的な理由から、例えば特に厳密な時間的制御を行うことが必要なためである。しかし一般的に、このような特に厳密な時間的制御のためには、これに対応する迅速かつ正確な測定値がなければならない。
【0021】
更に、有利には、提案する方法において、少なくとも1つの状態特性値が、少なくとも一時的に及び/若しくは少なくとも部分的な、電気的装置の少なくとも複数の部品の1つの位置の値、少なくとも一時的に及び/若しくは少なくとも部分的な、電気的装置の少なくとも複数の部品の、特定の特に適切な位置への到達に関する値、少なくとも一時的に及び/若しくは少なくとも部分的な、電気的装置の少なくとも複数の部品の速度の値、並びに/又は少なくとも一時的に及び/若しくは少なくとも部分的な、少なくとも1つの不具合現象に関する値を表す。上述の測定値は、安全で、効率的また摩耗の少ない技術的装置(特に迅速に変化する技術的装置)の駆動のために特に有意義であり、かつ助けとなる。バルブのためのアクチュエータでは、これは例えばバルブの(基本的に)完全に開放された状態、(基本的に)完全に閉鎖された状態、これらの間の1つの状態であってよい。例えば完全に開放又は閉鎖されない時は不具合現象であり得る。
【0022】
更に、有利には、提案する方法において、電気的装置を少なくとも一時的に及び/又は少なくとも部分的に最大電流制御方法を用いて制御する。この場合「制御」という概念は、この概念の厳密な定義(即ち、フィードバック又は類似のものを持たずに制御される装置という意味)である必要はなく、代わりに、場合によっては、測定値及び類似の物を取り込み混入する(通常はむしろ「調整」と名付けられる)フィードバック方法も含む。即ち、制御信号が原因で最大電流を超過した(又は超過する恐れがある)場合、制御信号の強さが低減され、又は好ましくはある程度の時間の経過中は遮断される(通常はいわゆるパルス幅変調へと繋がる)。このような制御方法は、ある種の「時間遅延効果」を示す電気的装置に特に適し、特にインダクタンスを持つ装置、特に、例えば電気コイル及び類似物のような、より大きなインダクタンスを持つ電気装置に適している。電磁誘導の電気的装置の制御ためのこの種のパルス幅変調方法は、既に従来技術から公知である。しかし、このような最大流量制限に基づく切替方式を、少なくとも一時的に及び/又は少なくとも部分的な電気的装置の状態特性値の検出に利用すると特に有利である。最大流量制限は大抵いずれにせよ必要であるが、これは、特にインダクタンスの場合、しばしば電圧を用いて制御が行われるため、誘導型電気的装置のオーム抵抗が一般的に低いために、最終的に電流が高くなりすぎる(これが例えば電気的装置の損傷という結果となり得る)かもしれないからである。このような「高すぎる」電圧での制御は、電磁誘導型電気的設備を特に迅速に設備の「最大スイッチオン」状態にもたらすために実施される。提案する方法のさらなる利点は、温度、特に電気的設備の温度に左右されることが通常皆無(又はせいぜい比較的僅か)であることである。例えば電気的設備として電気コイルを用いる場合、コイルは駆動中にしばしば著しく加熱される。このような加熱は(例えば)電気コイルの電気抵抗測定に影響し得る。提案する方法では、このような影響は除去されるか、又は低減される。
【0023】
特に、最大電流制御方法は、ソフトウェアで制御されるコンパレータを使用して実施することができる。しかし、この種のソフトウェアで制御されるコンパレータは一般的に、この方法の枠内で他の課題のためにも使用される。特にソフトウェアで制御されるコンパレータの場合、時間的に変化する制御信号の時間的変更を、直接コンパレータ内で(例えばマイクロコントローラ又はシングルボードコンピュータ内で)実施することができる。このためにアナログデジタル変換回路(ADC)が使用されるが、これはしばしば既にマイクロコントローラ(又は類似の種類の装置)内に提供されている。これにより、経費及び/又は構造空間に関する利点が生じるだけでなく、測定を制御ユニット自体の中へと移すことで、多数の測定値を把握することが可能になり、これらの値を診断の目的に使うことができるようになる。これによってより正確な出力信号、特により正確な制御信号を提供することが可能になる。しかし反対に、コンパレータを「古典的な」ハードウェアによる解決方法で実現することも、部分的には利点となり得る。このようなハードウェアは廉価に提供されており、これに加えて処理速度が速い場合もある。更に、コンパレータを外部で実現する場合、制御回路及び/又はその他の構成要素の計算能力を低く設定することができ、この結果全体としての経費の節約が可能となり、場合によっては計算精度を上昇させることもできる。
【0024】
更に、この方法において、時間的に変化する制御信号で制御される電気的装置を、少なくとも部分的に電気的に整流した油圧ポンプ及び/又は少なくとも部分的に電気的に整流された油圧モータのために、少なくとも一時的及び/又は少なくとも領域的に使用すると、有利である。このような電気的に整流された油圧ポンプ/電気的に整流された油圧モータは、比較的新しい、しかし大いに期待の持てる油圧ポンプ又は油圧モータの構成方法である。このような電気的に整流された油圧ポンプ/電気的に整流された油圧モータは、英語の概念「Digital Displacement Pump」及び「Synthetically Commutated Hydraulic Pump」として公知である。この種のポンプは例えば英国特許第0494236号及び国際公開第91/05163号に説明されている。このような種類のポンプ/モータの機能方法のためには、一方で非常に大きな流体貫流直径を持ち、他方では特に迅速かつ時間的に正確に切替えることが可能な、電気的に制御可能な液体バルブ(流入バルブ及び/又は流出バルブ)を、このような種類のポンプ/モータに設けることが必要不可欠である。これに関連して、このバルブがある程度の摩耗又は老化状態(場合によっては外部状況のために)に陥ることもあり得る。それに応じて、電気的に制御されるバルブの時間的閉鎖状態も時間の経過と共に特定の領域内で変化し得る。上で提案する方法の下で、切替方式が測定可能であれば、バルブの変化は次の制御パルスの際に考慮することができる。このようにして、簡単かつ手間の掛からない方法で、長期間に渡り特に良好かつ正確なポンプ及び駆動状態を持つ、1つの電気的に整流された油圧ポンプ/電気的に整流された油圧モータを提供することができる。
【0025】
更に、有利には、提案する方法において、少なくとも1つの状態特性値を、少なくとも一時的に及び/若しくは少なくとも部分的な、時間的に変化する制御信号のスイッチング周波数の絶対値の測定によって、並びに/又は少なくとも一時的に及び/若しくは少なくとも部分的な、時間的に変化する制御信号のスイッチング周波数の変化の測定によって、並びに/又は少なくとも一時的に及び/若しくは少なくとも部分的な、時間的に変化する制御信号のスイッチング状態の絶対値の測定によって、並びに/又は少なくとも一時的及び/若しくは少なくとも部分的な、時間的に変化する制御信号のスイッチング状態の変化の測定によって、検知する。最初のいくつかの実験では、このような値を使用して、特に説得力のある、正確な状態特性値を検出することができるという結果であった。
【0026】
更に、時間的に変化する制御信号で制御される電気的装置の少なくとも1つの状態特性値を、少なくとも一時的に及び/又は少なくとも部分的に検出するための、1つの電気的装置が提案され、この電気的装置は、少なくとも一時的に及び/又は少なくとも部分的に、上で提案したタイプの方法を実施するように、構成かつ調整されている。この電気的制御装置はその場合、既に上述されている利点と特徴を備える。特に、この電気的制御装置を上述の説明の内容に適するように発展形成することも可能である。
【0027】
特に、この電気的制御装置を少なくとも部分的に電子式制御装置として、特に少なくとも部分的にプログラムで制御されるコンピュータ装置として形成することも可能である。この場合にこれは、特にPC、ワークステーション及び類似の物のような「従来の」コンピュータであってよい。しかし、少なくとも部分的にいわゆる電子式マイクロコントローラ及び/又はシングルボードコンピュータとして形成することができ、かつ有利である。しかし逆に、プログラミング技術によって制御される装置を(ほぼ、又は少なくともほぼ完全に)放棄することも有利であり得る。最初のいくつかの実験は、少なくともいくつかの要求事項はこれによって、より良く、より迅速に及び/又は廉価に形成できるという結果に至った。
【0028】
更に、電気的に整流された油圧ポンプ及び/又は電気的に整流された油圧モータを、少なくとも一時的及び/又は少なくとも部分的に前述の方法を使用して制御することを提案する。更に又は代わりに、電気的に整流された油圧ポンプ及び/又は電気的に整流された油圧モータを、少なくとも前述のタイプの電気的な制御装置を備えるように形成することを提案する。結果として生じる整流された油圧ポンプないし油圧モータは、上述の利点と特徴を同様に備える。これらの油圧ポンプ/油圧モータを、上述の説明の内容に適した方法で更に発展形成することも可能である。より完全を期して、電気的に整流された油圧ポンプ又は電気的に整流された油圧モータを、同時に電気的に整流された油圧モータ又は電気的に整流された油圧モポンプとしても機能するように形成することもできることにも触れておく。これは、この方法の説明との関係で既に述べた、電気的に整流された油圧ポンプ/電気的に整流された油圧モータにも当てはまることにも触れておく。
【0029】
以下に本発明を、有利な例示的実施例及び添付した図面を参照して詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、この方法の実施に適した装置の第1の例示的実施例の概略回路図である。
図2図2は、この方法の実施に適した装置の第2の例示的実施例の概略回路図である。
図3図3は、この方法の実施に適した装置の第3の例示的実施例の概略回路図である。
図4図4は、電磁式に作動するアクチュエータの閉鎖過程中の測定結果である。
図5図5は、電気的に整流された油圧ポンプの可能な構造形状の概略図である。
図6図6は、バルブの閉鎖状態を検出するための方法の概略的フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、バルブユニット4の制御のための制御ユニット2の、第1の可能な回路配置1の概略回路図を示す。図示した例示的実施例ではバルブユニット4は、プランジャ6を含むアクチュエータ5(図示した例示的実施例では主として電気コイル8で形成されている)を備える。図示した例示的実施例では、このアクチュエータ5は、電流が電気コイル8内にもたらされた際、プランジャ6の上方へ移動を引き起こす(その結果、例えばバルブヘッドはバルブシートと接触するに至り、バルブユニット4はこれに対応して閉鎖される)。これとは逆に、電気コイル8に電流が流れない場合は、上述の例示的実施例内に設けられているリターンスプリング7が、プランジャ6の逆戻り運動を引き起こす。もちろんプランジャ6は外部からの力(例えばバルブヘッド上の圧力差によって)又は類似のものによっても、再び開放され得る。
【0032】
本来のアクチュエータ5のスイッチオン又はスイッチオフ(及びこれをもってのバルブユニット4又はプランジャ6の運動)は、信号入力部9へ入力信号を与えることで開始される。この場合、信号入力部9に印加された入力信号は、印加された電圧に応じて、対応する電流を電気コイル8内に引き起こす。しかし、ふさわしい回路ロジックによって電気コイル8の過負荷は防止され、その結果、通常の条件下では、異常に強い入力信号及び/又は比較的長い(場合によっては高いデューティ周期も備えた)入力信号があっても、損傷することはない。図1に示す回路配置図1の例示的実施例では、バルブユニット4は単に開放及び閉鎖状態の間を交互に切替えられるべきである。これに対応して、信号入力部9には単にバイナリ信号が(適した電圧でスイッチオン状態へと)印加される。もちろん、他の種類の電気的装置を回路配置図1と関連して設けること及び/又は電気的装置(この場合それがバルブユニット4であることが必要不可欠であるわけではない)の中間位置を実現することも可能である。
【0033】
信号入力部9を介して供給された入力信号は、演算増幅器10の非反転入力部に印加される。演算増幅器10の反転入力部には分流器11上で降下する電圧が印加され、電圧はアクチュエータ5の電気コイル8を通過貫流する電流の値を現す(分流器11及び電気コイル8は1つの分圧器回路を形成する)。演算増幅器10の両方の入力電圧の差に依存して、差の値に対応した電圧の高さを持つ出力電圧21が結果として生じる。演算増幅器10の出力電圧21は、アナログデジタル変換回路12に供給され、デジタル化される。このデジタル値は比較レジスタ13に保存される。この比較レジスタ13はカウンタレジスタ14と連結しており、カウンタレジスタのクロック信号15の信号を数える。比較結果次第で(即ちカウンタレジスタ14>比較レジスタ13又はカウンタレジスタ14<比較レジスタ13で)フリップフロップ16は対応して、スイッチオン又はスイッチオフにされる。カウンタレジスタ14は有限の長さのみを扱えるため、カウンタレジスタ14はある時点でオーバーフロとなり、その結果再び0に設定される。付加的に又はオプションとして、カウンタレジスタ14に1つの特別な(入力)信号を与えることで0に設定することも可能である。この場合、例えば独立した入力導線から供給される信号(これは図1には図示されていない)及び/又は決定的なリセット信号である信号であり得る。しかし同じく(付加的に又は代替として)、例えば電圧信号のゼロ交差(特に信号導線9に供給される電圧信号)が、カウンタレジスタ14のリセットを引き起こす(当然電圧信号のゼロ交差に代わって、基本的に他の任意の値を選択され得る)ことも考えられる。最終的に、こうしてフリップフロップ16の出口に、パルス化されパルス幅変調制御信号17が生じる。パルス幅変調制御信号17は、アクチュエータ5を通る電流回路を電圧源19に接続するか、又は電圧源から切り離す、スイッチングトランジスタ18を制御する。こうして電気コイル8内のインダクタンスに基づいて、フライバックダイオード20との組み合わせで、パルス幅変調制御信号17のパルス幅変調比(いわゆるデューティ周期)に対応する、アクチュエータ5内の電力を調整する。
【0034】
しかし、パルス幅変調制御信号17はスイッチングトランジスタ18だけでなく評価ユニット22にも供給される。パルス幅変調比及び/又はパルス幅変調制御信号17の周波数に基づいて、評価ユニットはプランジャ6の位置を算出する。特に評価電子回路22は、そのつどのパルス幅変調制御信号17の周波数又はパルス幅変調比の絶対値のみでなく、特にパルス幅変調制御信号17の周波数又はパルス幅変調比の唐突な変化も記録する。ここでは、電気コイル8を貫流する電流が、いまだにパルス幅変調制御信号17の波形状態を備えているため(明らかに強度は低く、この場合付加的に直流構成要素も重なっているが)、演算増幅器10の出力信号21が評価ユニット22のための入力信号として使用されることも可能であるということを示唆しておかなければならないであろう。つまりパルス幅変調制御信号17は「部分的に」使用され得る。
【0035】
図2は、バルブユニット4を制御するための回路配置図23の、第2の好ましい実施の可能性を示す。この場合このバルブユニット4は、上述で説明された例示的実施例内の図1に示すバルブユニット4と同一である。もちろん、図1及び2に示すバルブユニット4は、他の構造を備えることも可能であり、又は、バルブユニット4に代わり全く別の種類の電気的装置を使用することも可能である。
【0036】
図1に示す、回路配置図1の例示的実施例と類似して、上述で説明された回路配置図23の例示的実施例においても、分流器11上で降下する電圧は、電気コイル8を通過貫流する電流の基準として使用される。分流器11で降下する電圧はまずプリアンプ24で増幅される。ここで、プリアンプ24の出力信号は、上述のマイクロコントローラ内にソフトウェアとして内蔵されるコンパレータ27のための現在値信号25である。この場合、ソフトウェアとしての内蔵は、コンパレータ27が1つのヒステリシス(図2にコンパレータ回路記号27内に対応する記号で示す)を備えるように、実施されている。更に上述の、ソフトウェアとして実施されているコンパレータ27には規定値信号26が印加される。規定値信号26と現在値信号25との比較に基づいて(時間的ヒステリシスの考慮下で)パルス幅が変調されている制御信号17が形成される。この場合、パルス幅変調制御信号17は、従来式にパルス幅変調比(デューティ周期)のみを参照して変更されるのではなく、周波数も参照する。
【0037】
入力信号(規定値信号26と現在値信号25)を数値プログラム技術的に処理するために、コンパレータ27は、必要である場合は、その入力部にアナログデジタル変換回路を備える。図2に示す例示的実施例では、規定値信号26は既にデジタルの形で存在する。それに対応して、コンパレータ27の対応する入力部はアナログデジタル変換回路を備えていない。このため、プリアンプ24から来るアナログ信号のみがデジタルの形に変換されなければならない。場合によっては、アナログからデジタルの形への変換が、既にプリアンプ24内又は直後に実施されることは、利点であり得る。そうすることで、コンパレータ27内にアナログデジタル変換回路が不要となる。
【0038】
図1に示す回路配置図1の例示的実施例と同様に、図2に示す回路配置図23も評価ユニット22を備え、これは制御信号17の周波数及び/又はパルス幅変調比に基づいて現在のプランジャ6の位置を推量する。同時に、この制御信号17はスイッチングトランジスタ18の入力部にも印加され、これに対応して、アクチュエータ5を通過貫流する電流は調整される。図1に示す例示的実施例と同様に、1つの電圧源19、ならびに1つのフライバックダイオード20も備えられている。
【0039】
図2に示す、ソフトウェアで実施されるコンパレータ27の利点は、コンパレータ27内に大量に情報が存在することである。それゆえ、複数の規定値信号26と現在値信号25の特徴が処理され得る。例えばバルブユニット4を連続使用する場合の偏流現象を調整するために、規定値信号26の高さを変更することも非常に簡単である。このためには対応する変数の値を変更するだけである。
【0040】
ところで、特定の、コンパレータ27によって検出された規定値信号26及び/又は現在値信号25の特徴は、デジタルの形で評価ユニット22に供給されることも可能であり、その結果場合によっては評価ユニット22内でより詳細な結果が検出され得る。この目的でコンパレータ27と評価ユニット22との間にデータケーブルが設けられ得る(ここには図示されていない)。評価ユニット22及びコンパレータ27は、1つの独立したハードウェアユニット(例えばシングルボードコンピュータ又はマイクロコントローラ)上に、例えばソフトウェアのモジュールとして実施されることも可能である。
【0041】
図3は、バルブユニット4を制御するための回路配置図43の、第3の特に好ましい例示的実施例を示す。図3に示す回路配置図43は、多くの部分は図1及び2に示す回路配置図1、23に類似し、特に図1に示す回路配置図1に類似している。同種の機能及び/又は同種の構造を持つ構成部品又は構造群は、不必要な繰り返しを避けるために同じ記号が付けられ、改めて詳細に説明はしない。
【0042】
これまでに説明した回路配置図1、23、及び上述で説明した回路配置図43との大きな違いは、特に標準構成要素18、44、46、47、48、49が使用されていることで、これらはハードウェアで実施されている構成部品又は構造群として形成されている。即ち(評価ユニット22を除いて)ソフトウェア制御を使用していない。
【0043】
この回路配置図43は2つの制御入力部9、45を備え、即ち1つの信号入力部9及び1つのロジック入力部45(シグナルフラッグ入力)を備える。ロジック入力部45を介し、アクチュエータ5はバイナリ信号の助けでスイッチオン又はスイッチオフにされる。付加的に信号入力部9を介して基準電圧が印加され、この電圧をもって、アクチュエータ5の電気コイル8を通して流れる電流の最大基準値は調整され得る。これによって、上述の例示的実施例においては基準電圧はスイッチオン又はスイッチオフにされる必要は無く、基準電圧を形成するための回路は特に簡単であり得る。ロジック入力部45は、例えば電子式制御回路(いわゆるコントローラ、ここには図示されていない)で制御され得る。もちろん、ロジック入力部45のための信号を形成するための電子式制御回路が、評価ユニット22の出力値を使用することは可能である。
【0044】
回路配置図43において、1つの信号がロジック入力部45に印加されると(この場合は、アクチュエータ5に取り付けられているバルブユニット4を閉鎖するように作用する)、一方では第2のスイッチングトランジスタ49が第2の増幅回路48を介して「透過」に切替える。ロジック入力部45に信号が印加されている間は、第2のスイッチングトランジスタ48はオン状態に維持される。本例の制御の課題、即ち、アクチュエータ5の電気コイル8を貫流する電力の制御は、これに対して第1のスイッチングトランジスタ18で(以下に詳細に説明されるように)実現される。
【0045】
更に、ロジック入力部45上の信号は、AND論理ゲート44が、演算増幅器10の出力信号21に対して「オン状態」になることを引き起こす。こうして演算増幅器10の出力信号21は第1のプリアンプ47の助けで、第1のスイッチングトランジスタ18のスイッチオン又はスイッチオフへと作用し、これをもってアクチュエータ5の電気コイル8を流れる電流を解放するか又は遮断する。
【0046】
ロジック入力部45上へ信号を印加した直後に、第1のスイッチングトランジスタ18はまず「透過」(第2のスイッチングトランジスタ49も同じく「透過」にスイッチが入れられる)へとスイッチを入れる。アクチュエータ5の電気コイル8を流れる電力は増加し、これに対応して分流器11上の電圧も増加する。分流器で降下された電圧は、反転する演算増幅器10の入力部に供給される。特定の電力において、分流器11上で降下された電圧は、演算増幅器10の非反転入力部に供給される、信号入力部9に供給された基準電圧を超過する。これは、演算増幅器10の出力信号21が低下し、こうして第1のスイッチングトランジスタ18が遮断されることを引き起こす。電気コイル8のインダクタンスが理由で電気コイル8を通る電流はまずは維持されるが(第1のフライバックダイオード20及び第2のスイッチングトランジスタ49を流れる電流)、電力は速やかに減少する。電力の減少は、分流器11上で低下する電圧の降下を引き起こし、この結果演算増幅器10は新たにスイッチオンとなり出力信号21を発する。演算増幅器10の2つのスイッチング状態間の切替の「早さ」は演算増幅器10のヒステリシスによって決定され、これは主としてフィードバック抵抗50の大きさに影響される。更にここでは演算増幅器10の外側の配線は、出力信号21が主としてバイナリ信号であるように選択されている。これゆえこの出力信号21は主として2つの状態「オン」及び「オフ」に関知するのみである。
【0047】
このようにして、電流は、前以て与えられた基準電力を持って(電力の高さは信号入力部9によって定められる)アクチュエータ5に作用する。この際に電流は、本来の基準電力の周囲である程度の揺れを持っている。
【0048】
既に触れたように(また以下に更に詳細に説明するように)演算増幅器10の出力信号21の周波数及びデューティ周期からバルブユニット4のスイッチング状態を推測することができる。これに対応して、出力信号21はフィードバックのためのみに使われるのではなく、付加的に評価ユニット22にも供給される。この評価ユニット23から得られた情報は、その他にフィードバックのために(例えば摩耗による偏流又は温度による偏流を補正するために、例えば制御信号の時間的変動のために)も使われ得る。
【0049】
後の時点でバルブユニット4が再び開放されるべきである場合は、ロジック入力部45上に印加されている信号が遮断される。この遮断は(AND論理ゲート44を介して)第1のスイッチングトランジスタ18のみでなく、第2のスイッチングトランジスタ49も閉鎖されるように作用する。電気コイル8のインダクタンスは、まずは電流の貫流を維持することに努め、第1のフライバックダイオード20及び第2のフライバックダイオード46を介して大地電位から(比較的高い)電圧源19の電圧電位へと電流を「借りる」。これは特に迅速な電力の低下を引き起こし、こうして特に迅速なプランジャ6の開放をもたらす。こうして2つのスイッチングトランジスタ19、49を備えるという構造形状によって速やかな遮断機能性が達成される。
【0050】
完全を期して、回路配置図43は第2のスイッチングトランジスタ49(及び第2の増幅回路48)無しで実施することも可能であることに触れておく。しかし、アクチュエータ5の電気コイル8を通る電流の貫流はよりゆっくりと低下するため、良好な速やかな遮断機能性は同様の品質では実現されない。
【0051】
図4は、図1の回路配置図1図2の回路配置図23又は図3の回路配置図43(他の回路配置図も考えられるが)を使用した、バルブユニット4の制御の際の、様々な信号の時間的経過を示す。t0時点では入力信号9、26は対応する高さを持って供給される。バルブ4はこの時点ではまだ例えば開放された状態にある(図4ではバルブ位置曲線28で示す)。制御ユニット2はまず制御信号17を「継続的」へとスイッチオン状態にする値にする。電気コイル8のインダクタンスのために、コイル内8を通る電流29が上昇して制御信号17に従うまでにはある程度の時間が掛かる。
【0052】
1の時点で電気コイル8を通る最大許容電力29に到達する。これに対応して制御ユニット2は制御信号17を特定のスイッチング周波数を持つパルス幅変調信号及び特定のスイッチング状態に変更する(特定の「デューティ周期」)。これは、電気コイル8を通る電流29が(残留波形状態を除いて)ほぼ一定であるという結果になる。更に図4(特にバルブ位置曲線28)から読み取れるようにプランジャ6は移動を開始する。しかし、バルブユニット4はまだ閉鎖されず、それに対応して、プランジャ6はまだ移動中である。
【0053】
2の時点でバルブユニット4は、まさしく完全に閉鎖する。(もちろん、バルブユニット4の「回路ロジック」が異なって配線されていることも可能である。例えば電流パルスで開放するバルブユニット4の場合であれば、バルブユニット4はt2の時点で丁度完全に開放する。他の位置等は対応する方法で、上述で説明された例示的実施例に対して「入れ替え」られる)。これはバルブ位置曲線28内の折れ曲がりで良好に認識できる。発明者達は、プランジャ4が最終位置に到達することは、制御ユニット2で形成される制御信号17に明確な変化を結果としてもたらすことを確認した。初期の測定では、周波数のみでなく制御信号のパルス幅変調比も有意に変化するという結果であった。これは図4では、制御信号17の形の変更から自ずと認識可能である。更に図4からは、電気コイル8を通る電流29の時間的経過も変化すること(特に残留波形状態の周波数が有意に変化する)が良く認識できる。それに対応して、電流信号29もプランジャ6の位置を評価するために使用され得る。
【0054】
入力信号9、26がスイッチオンである間は、状況は変化しない。バルブユニット4を通る電力29は一定であり、制御信号17は変化せず、又プランジャ6の位置も一定である(バルブ位置曲線28を参照)。入力信号9、26が再び遮断されると(t3の時点)、スイッチングトランジスタ18のための制御信号17は「継続的」にスイッチオフ状態にされ、電気コイル8を通る電流29は減少し、又バルブユニット4のプランジャ6はその出発位置へと移動して戻る(バルブ位置曲線28を参照)。
【0055】
図4に示す実験構成では、最初の実験では制御信号17の周波数が6.25KHz(プランジャ6はまだ移動中)から周波数4.517KHz(プランジャ6はもはや移動していない、バルブユニット4は完全に閉鎖している)へ変化したという結果となった。パルス幅変調比(デューティ周期)もこの実験においては有意に変化した。こうしてパルス幅変調比は非常に短い時間内でまず50%へ、続いて30%へと急激に変化した。
【0056】
かくして制御信号17のみでなく本来の電気コイル8を通る電流29も、評価ユニット22のための非常に良好な入力信号であることが明らかである。
【0057】
最後に図5は、電気的に整流された油圧モータ35が概略的に非常に簡略された図で示す。この電気的に整流された油圧モータ35は1つのピストン36を備え、ピストンは偏心配置された駆動ディスク38の仲介下でシリンダ37内で上下に移動する(下降運動は例えばここには図示されていないリセットばねによって実施され得る)。これに対応して、シリンダ37内にある空洞39は周期的に拡大又は縮小される。
【0058】
ピストン36の下降運動によって空洞39が拡大すると、電気的に制御された入力バルブ40を通って油圧オイルはタンク41から吸引され取り出される。電気的に制御された入力バルブ40は、例えば図1又は図2に示すバルブユニット4であり得る。
【0059】
ピストン36がその下側の死点に到達、又はこれを超過した場合、これは新たに上方へと移動し(シリンダ37内へと)それに応じて空洞39を小さくする。空洞39内にある油圧オイルは、まず未だに開放している入力バルブ40を介してタンク41へと押し戻される。こうして油圧オイルは実際には全くポンプ移動をしない。
【0060】
しかし、この状況は、入力バルブ40が対応する制御パルスによって閉鎖されると変化する。油圧オイルはいまや入力バルブ40を介して流出することができない。その結果、油圧オイルは単純な一方向弁42を介して(ここでは詳細に説明しない)高圧タンクの方向へと空洞39から出る。
【0061】
電気的に整流された油圧ポンプ35と、受動的な入力及び出力バルブを備える従来の油圧ポンプとの大きな違いは、入力バルブ40の閉鎖を、アクチュエータ5の助けで、任意の時点で実施することが可能であることである。これによって、1つのポンプサイクルから次のポンプサイクルへと、実際にポンプで移動される油圧オイルの量を、広い領域内で変更することが可能になる。
【0062】
入力バルブ40(既に述べたように、例えば図1又は図2に示すバルブユニット4に対応して形成され得る)は、アクチュエータ5を介して閉鎖され、又場合によっては開放もされる(この場合、開放過程が入力バルブ40の両側にある油圧オイルの圧力差によって実施されることも可能で有る)。アクチュエータ5(及びこれと伴って入力バルブ40)の制御は、特に、図1又は図2に示すような、制御ユニット2を使用して実施される。
【0063】
図6は再び、提案する方法の経過を概略的に示す、1つのフロートチャート3を示す。第1のステップ30では入力信号(例えば入力信号9、26、図1及び2を参照)が読み込まれる。
【0064】
この読み込まれた入力信号9、26(規定値信号26)は、続くステップ31で、電気的装置(例えばバルブユニット4から)から供給される現在値信号25と比較される。(例えば制御ユニット2内での)規定値と現在値の比較31に基づいて、電気的装置が制御されるべきである、適した制御信号(例えば制御信号17)の算出ステップ32が行われる。
【0065】
算出ステップ32で検出された制御信号は、電気的装置4の制御のためのみでなく、付加的に(例えば同時に)状態信号を算出ステップ33するために使われる。例えばこのようにして算出ステップ33で得られた状態信号は、電気的装置4が、1つの特定の位置(例えば最終位置)を占めたという信号であり得る。
【0066】
ステップ33内で得られた状態信号は、続いて次の方法のステップ34で、例えば後調整のために使用することができる。例えば、かなりの機械的、電気的又はその他の技術的構成要素が、時間の経過とともにある程度の偏流を持つ場合がある。しかし、このような偏流には、ステップ34内での後調整によって対処することができる。これに関連した好ましい例としては、例えば次のバルブ移動(次の「ブーム」)に対する繋留時間の変更が挙げられる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6