(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
HETが5,8−ジメチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピラジン;5,8−ジメチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン、5−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン、および(5−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピラジン−8−イル)−メタノールからなる群から選択される、請求項3に記載の化合物。
化合物が、2−[2−(5,8−ジメチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピラジン−2−イル)−エチル]−5H−イミダゾ[2,1−a]イソインドール;2−[2−(5,8−ジメチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル)−エチル]−5H−イミダゾ[2,1−a]イソインドール;2−[2−(5−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル)−エチル]−5H−イミダゾ[2,1−a]イソインドール;2−[2−(5,8−ジメチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピラジン−2−イル)−ビニル]−5H−イミダゾ[2,1−a]イソインドール;{2−[2−(5H−イミダゾ[2,1−a]イソインドール−2−イル)−エチル]−5−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピラジン−8−イル}−メタノール;および2−[2−(5,8−ジメチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピラジン−2−イル)−エチル]−7−フルオロ−5H−イミダゾ[2,1−a]イソインドール、2−[2−(5,8−ジメチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピラジン−2−イル)−エチル]−5,6−ジヒドロ−イミダゾ[2,1−a]イソキノリン
およびその薬学的に許容される酸付加塩からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【背景技術】
【0002】
本出願全体において、多様な刊行物が、完全な形で参照される。これらの刊行物の開示は、参照によって本出願へ組み込まれ、本発明が属する技術分野の水準をより完全に説明する。
【0003】
環状ヌクレオチドである環状アデノシン一リン酸(cAMP)および環状グアノシン一リン酸(cGMP)は、ニューロンにおける無数のプロセスを制御する細胞内セカンドメッセンジャーとして機能する。細胞内cAMPおよびcGMPは、アデニルおよびグアニルシクラーゼによって産生され、環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼ(PDE)によって、環状ヌクレオチドの加水分解を介してそれらのそれぞれのヌクレオチド一リン酸に分解される。
【0004】
ホスホジエステラーゼ10A(PDE10A)は、cAMPをAMPへおよびcGMPをGMPへの両方の変換ができる二重特異性ホスホジエステラーゼである(Soderling, S.ら、Proc. Natl. Acad. Sci.、1999、96、7071〜7076ページ)。PDE10Aは、線条体、側座核および嗅結節におけるニューロンに、主に発現される(Kotera, J.ら、Biochem. Biophys. Res. Comm.、1999、261、551〜557ページおよびSeeger, T.F.ら、Brain Research、2003、985、113〜126ページ)。
【0005】
脳内で、PDE10発現は、尾状核、側座核の中型有棘ニューロン(MSN)および嗅結節の対応するニューロンによって高レベルで発現されることを研究が示している。MSNは、ニューロンの2種の機能クラスを発現する。D
1ドパミン受容体を発現するD
1クラスおよびD
2ドパミン受容体を発現するD
2クラスである。D
1クラスのニューロンは、「直接」線条体出力経路の一部であり、行動反応を促進するために広く機能する。D
2クラスのニューロンは、「間接」線条体出力経路の一部であり、行動反応を抑制するために機能し、行動反応が「直接」経路によって促進されることと競合する。
【0006】
ドパミンD
2受容体アンタゴニズムは、統合失調症の治療において十分確立されている。1950年代以来、ドパミンD
2受容体アンタゴニズムは、精神障害治療の中心であり、全ての有効な抗精神病薬は、D
2受容体をアンタゴナイズする。D
2の効果は、主に線条体、側座核および嗅結節におけるニューロンによって媒介される可能性があり、それは、これらの領域が、最も濃密なドパミン作動性投射を受け、D
2受容体の最強の発現を有するからである(Konradi, C.およびHeckers, S.、Society of Biological Psychiatry、2001、50、729〜742ページ)。
【0007】
この状況において、PDE10Aは、線条体、側座核および嗅結節におけるニューロン内で、高度で、比較的特異的な発現を有する所望の発現プロファイルを有するので、PDE10A阻害は、D
2受容体アンタゴニズムと同様の効果を有し、したがって抗精神病効果を有する可能性がある。
【0008】
PDE10A阻害は、部分的に、D
2受容体アンタゴニズムを模倣することが予想されるが、異なるプロファイルを有することも予想され得る。D
2受容体は、cAMPの他にも、シグナル伝達構成要素を有し(Neve, K. A.ら、Journal of Receptors and Signal Transduction 2004、24、165〜205ページ)、そのため、PDE10A阻害によるcAMPに対する妨害は、強いD
2アンタゴニズムについて見られる錐体外路の副作用のリスクを軽減し得る。反対に、PDE10A阻害は、D
2受容体アンタゴニズムについて見られないいくつかの効果を有し得る。PDE10Aはまた、D
1受容体を発現する線条体のニューロンにおいても発現される(Seeger, T. F.ら、Brain Research、2003、985、113〜126ページ)。
【0009】
さらに、D
1受容体アゴニズムは、アデニル酸シクラーゼの刺激およびcAMPレベルの結果として生じる上昇をもたらすから、PDE10A阻害は、D
1受容体アゴニズムを模倣する効果もまた有する可能性がある。
【0010】
最後に、PDE10A阻害は、二重特異性ホスホジエステラーゼであるから、PDE10A阻害は、細胞内のcAMPを増加させるばかりでなく、cGMPレベルを上昇させることが予想され得る。cGMPは、cAMPのような細胞内のいくつかの標的タンパク質を活性化させ、またcAMPのシグナル伝達経路と相互に作用しあう。
【0011】
結論として、PDE10A阻害は、部分的に、D
2受容体アンタゴニズムを模倣し、したがって抗精神病効果を有する可能性があるが、そのプロファイルは、古典的なD
2受容体アンタゴニストによって観察されるプロファイルと異なり得る。
【0012】
PDE10A阻害剤パパベリンは、いくつかの精神病治療モデルにおいて有効であることが示されている。パパベリンは、ラットにおいてD
2受容体アンタゴニストハロペリドールのカタレプシー効果を増強したが、パパベリン単独ではカタレプシーを引き起こさなかった(WO03/093499)。パパベリンは、PCPによって誘発される多動を軽減させたが、アンフェタミン誘発の多動の軽減は、わずかであった(WO03/093499)。これらのモデルは、PDE10A阻害が、上に概説した理論的な考察から予想され得る、伝統的な精神病治療の可能性を有することを示唆する。WO03/093499はさらに、関連する神経および精神障害の治療のための選択的PDE10阻害剤の使用を開示している。さらに、PDE10A阻害は、ラットにおいて、注意セットシフティングにおける亜慢性のPCP誘発の障害を逆転させる(Rodeferら、Eur. J. Neurosci.、2005、4、1070〜1076ページ)。このモデルは、PDE10A阻害が、統合失調症に関連する認知障害を緩和し得ることを示唆する。
【0013】
PDE10Aの組織分布は、PDE10A阻害剤が、酵素PDE10を発現する細胞、特に大脳基底核を含むニューロン内のcAMPおよび/またはcGMPのレベルを上げるために使用できることを示し、したがって本発明のPDE10A阻害剤が、神経および精神障害、統合失調症、双極性障害、精神病および強迫性障害などの大脳基底核に関わる多様な関連する精神神経系状態の治療に有用であり得、市場の現在の治療法に付随する、望まれない副作用を所有しないという利点を有し得る。
【0014】
さらに、最近の刊行物(WO2005/120514、WO2005012485、Cantinら、Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 17 (2007)、2869〜2873ページ)は、PDE10A阻害剤が、肥満およびインスリン非依存性糖尿病の治療にとって有用であり得ることを示唆している。
【0015】
さらに、近年の刊行物は、PDE10A阻害剤がハンチントン病の治療に有用であり得ることを示唆している(Giampaら、PLoS One 2010、5(10)、Giampaら、Neurobiology of Disease (2009)、34(3)、450〜456、Hebbら、Current Opinion in Pharmacology 2007、7(1)、86〜92.)。
【0016】
PDE10Aの阻害剤に関して、EP1250923は、特定の神経および精神障害の治療のために、一般的には選択的PDE10阻害剤、具体的にはパパベリンの使用を開示している。
【0017】
ピロロジヒドロイソキノリンおよびその変異型は、WO05/03129およびWO05/02579において、PDE10の阻害剤として開示されている。PDE10阻害剤として働く、ピペリジニル置換されているキナゾリンおよびイソキノリンは、WO05/82883において開示されている。WO06/11040は、PDE10の阻害剤として働く、置換されているキナゾリンおよびイソキノリン化合物を開示している。US20050182079は、有効なホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤として働く、キナゾリンおよびイソキノリンの置換されているテトラヒドロイソキノリニル誘導体を開示している。特に、US20050182079は、PDE10の選択的阻害剤である前記化合物に関する。同様に、US20060019975は、有効なホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤として働く、キナゾリンおよびイソキノリンのピペリジン誘導体を開示している。US20060019975はまた、PDE10の選択的阻害剤である化合物にも関する。WO06/028957は、精神医学的および神経学的症候群の治療のためのPDE10の阻害剤として、シンノリン誘導体を開示している。WO09/152825は、フェニルイミダゾール誘導体を、PDE10の阻害剤として働く化合物として開示している。
【0018】
しかし、これらの開示は、既知のPDE10阻害剤のいずれにも構造上無関係であり(Kehler, J.ら、Expert Opin. Ther. Patents 2007、17、147〜158ページ)、高度に活性がある、選択的酵素PDE10A阻害剤であることが本発明者らによってここに見出された、本発明の化合物に属さない。
【0019】
本発明は、PDE10A酵素阻害剤であり、したがって、神経変性障害および/または精神障害のための治療に有用である化合物を提供しているが、それらは全ての患者において必ずしも効果的であるわけではない。故に、治療の代替的方法の必要性がまだ残されている。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の詳細な説明
置換基の定義
本発明の文脈において使用されている通り、用語「ハロ」および「ハロゲン」は、互換的に使用され、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素のことである。
【0038】
R1〜R7は、R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7からなる群のための省略表記法である。
【0039】
R1〜R7のサブセットは、同様に定義され、例えばR5〜R7は、R5、R6およびR7からなる群を意味する。
【0040】
置換基R1〜R7の番号付けは、添字、すなわちR
1〜R
7によっても特定されることがある。同様に、原子(例えば、炭素原子)の数は、C1〜C6またはC
1〜C
6のいずれかによって表示されることがあり、すなわち1〜6個の炭素原子である。
【0041】
用語「C
1〜C
6アルキル」は、包括的な、1〜6個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状飽和炭化水素のことである。かかる基の例としては、限定されるものではないが、メチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2−ブチル、2−メチル−2−プロピル、2−メチル−1−ブチル、およびn−ヘキシルが挙げられる。表現「C
1〜C
6ヒドロキシアルキル」は、1個のヒドロキシ基で置換されている、上に定義された通りのC
1〜C
6アルキル基のことである。用語「ハロ(C
1〜C
6)アルキル」は、トリフルオロメチルなどの、3個までのハロゲン原子で置換されている、上に定義された通りのC
1〜C
6アルキル基のことである。
【0042】
表現「C
1〜C
6アルコキシ」は、酸素上に空原子価を有する、包括的な、1〜6個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状飽和アルコキシ基のことである。かかる基の例としては、限定されるものではないが、メトキシ、エトキシ、n−ブトキシ、2−メチル−ペントキシおよびn−ヘキシルオキシが挙げられる。
【0043】
用語「C
3〜C
8シクロアルキル」は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルまたはシクロオクチルを含む。表現「C
1〜C
6アルキル(C
3〜C
8)シクロアルキル」は、直鎖状または分枝状C
1〜C
6アルキルで置換されている、上に定義されている通りのC
3〜C
8シクロアルキルのことである。かかる基の例としては、限定されるものではないが、シクロプロピルメチルが挙げられる。
【0044】
用語「ヘテロシクロアルキル」は、炭素原子および3個までのN、OまたはS原子を含む4〜8員環のことである。空原子価は、ヘテロ原子または炭素原子のいずれかの上にある。かかる基の例としては、限定されるものではないが、アゼチジニル、オキセタニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニルおよび[1,4]ジアゼパニルが挙げられる。用語「ヒドロキシヘテロシクロアルキル」は、1個のヒドロキシ基で置換されている、上に定義されている通りのヘテロシクロアルキルのことである。用語「C
1〜C
6アルキル−ヘテロシクロアルキル」は、C
1〜C
6アルキル基で置換されている、上に定義されている通りのヘテロシクロアルキルのことである。かかる基の例としては、限定されるものではないが、テトラヒドロピラン−4−イル−メチルおよび2−モルホリン−4−イル−エチルが挙げられる。
【0045】
用語「アリール」は、上に定義されている通りのハロゲン、C
1〜C
6アルキル、C
1〜C
6アルコキシまたはハロ(C
1〜C
6)アルキルで場合によって置換されているフェニル環のことである。かかる基の例としては、限定されるものではないが、フェニルおよび4−クロロフェニルが挙げられる。
【0046】
用語「C
1〜C
6アリールアルキル」は、直鎖状または分枝状C
1〜C
6アルキルで置換されている、上に定義されている通りのアリールのことである。かかる基の例としては、限定されるものではないが、ベンジルおよび4−クロロベンジルが挙げられる。
【0047】
加えて、本発明はさらに、以下に記載されている本発明の特定の実施形態を提供する。
【0048】
本発明の一実施形態において、HETは、2個の窒素原子を含む式IIのヘテロ芳香族基である。本発明の別の実施形態において、HETは、3個の窒素原子を含む式IIのヘテロ芳香族基である。本発明のまた別の実施形態において、HETは、4個の窒素原子を含む式IIのヘテロ芳香族基である。
【0049】
HETは、好ましくは、以下のヘテロ芳香族基
【0050】
【化3】
の中から選択され、式中、「
*」は、結合点を表す。
【0051】
具体的な実施形態において、HETは、[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピラジンである。第2の具体的な実施形態において、HETは、[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジンである。第3の具体的な実施形態において、HETは、イミダゾ[1,2−a]ピリジンである。第4の具体的な実施形態において、HETは、イミダゾ[4,5−b]ピリミジンである。第5の具体的な実施形態において、HETは、ピラゾロ[1,5−a]ピリジンである。第6の具体的な実施形態において、HETは、[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジンである。第7の具体的な実施形態において、HETは、[1,2,4]トリアゾロ[1,5−c]ピリミジンである。第8の具体的な実施形態において、HETは、イミダゾ[1,2−a]ピリミジンである。
【0052】
別の具体的な実施形態において、HETは、[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−カルボニトリルである。別の具体的な実施形態において、HETは、1−メチル−1H−ベンゾイミダゾールである。別の具体的な実施形態において、HETは、1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾールである。別の具体的な実施形態において、HETは、2−(6−クロロ−ベンゾイミダゾール−1−イル)−エタノールである。別の具体的な実施形態において、HETは、5,7−ジメチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジンである。別の具体的な実施形態において、HETは、5,7−ジメチル−イミダゾ[1,2−a]ピリジンである。別の具体的な実施形態において、HETは、5−クロロ−イミダゾ[1,2−a]ピリジンである。別の具体的な実施形態において、HETは、5−メチル−イミダゾ[1,2−a]ピリジンである。別の具体的な実施形態において、HETは、5−トリフルオロメチル−イミダゾ[1,2−a]ピリジンである。別の具体的な実施形態において、HETは、6−ブロモ−5,7−ジメチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジンである。別の具体的な実施形態において、HETは、6−ブロモ−7−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジンである。別の具体的な実施形態において、HETは、6−クロロ−8−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジンである。別の具体的な実施形態において、HETは、6−クロロ−イミダゾ[1,2−a]ピリジンである。別の具体的な実施形態において、HETは、7−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジンである。別の具体的な実施形態において、HETは、8−メチル−イミダゾ[1,2−a]ピリジンである。別の具体的な実施形態において、HETは、イミダゾ[1,2−a]ピリジン−7−カルボニトリルである。別の具体的な実施形態において、HETは、5,7−ジメチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジンである。
【0053】
通常、HETは、[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピラジンまたは5,7−ジメチル−イミダゾ[1,2−a]ピリミジンまたは[1,2,4]トリアゾロ[1,5−c]ピリミジンである。
【0054】
本発明の別の実施形態において、Lは、−CH
2−CH
2−である。さらなる実施形態において、Lは、−CH
2−S−である。また別の実施形態において、Lは、−CH=CH−である。またさらなる実施形態において、Lは、−S−CH
2−である。
【0055】
本発明のさらなる実施形態において、R1およびR2は、H、OH、F、CH3およびOCH3からなる群から独立して選択され、R5、R6およびR7は、H、CH3およびOCH3からなる群から独立し選択される。
【0056】
具体的な実施形態において、HETは5,8−ジメチル−[1,2,4]トリアゾール[1,5−a]ピラジンであり、Lは−CH
2−CH
2−であり、R1およびR2は、H、OH、F、CH3およびOCH3からなる群から独立して選択され、特にR1およびR2はHであり、n=0であり、R3およびR4はしたがって存在せず、R5、R6およびR7は、H、CH3およびOCH3からなる群から独立して選択され、特にR5はCH3であり、R6はHであり、R7はCH3である。
【0057】
発明の別々の実施形態において、式Iの化合物は、遊離塩基、その1個もしくは複数の互変異性体またはその薬学的に許容される酸付加塩の形態の以下の特定の化合物の中から選択される。
【0058】
前に挙げられている実施形態のいずれかの具体的な実施形態において、化合物の水素原子の1個または複数は、重水素によって置き換えられている。
【0059】
表1は、本発明の化合物、および「PDE10A阻害アッセイ」の項において記載されている通りに決定された対応するIC
50値を列挙している。化合物のそれぞれは、本発明の個々の実施形態を構成する。
【0061】
本発明の特定の実施形態において、本発明の化合物は、0.1〜20nMの範囲などの20nM未満、特に0.1〜5nMの範囲または0.1〜1nMの範囲などの0.1〜10nMの範囲のIC
50値を有する。
【0062】
薬学的に許容される塩
本発明はまた、化合物の塩、典型的には、薬学的に許容される塩も含む。かかる塩は、薬学的に許容される酸付加塩を含む。酸付加塩は、無機酸の塩も有機酸の塩も含む。
【0063】
適切な無機酸の代表的な例としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸、硫酸、スルファミン酸、硝酸等が挙げられる。適切な有機酸の代表的な例としては、ギ酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、安息香酸、ケイ皮酸、クエン酸、フマル酸、グリコール酸、イタコン酸、乳酸、メタンスルホン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、シュウ酸、ピクリン酸、ピルビン酸、サリチル酸、コハク酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、酒石酸、アスコルビン酸、パモ酸、ビスメチレンサリチル酸、エタンジスルホン酸、グルコン酸、シトラコン酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、EDTA、グリコール酸、p−アミノ安息香酸、グルタミン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、テオフィリン酢酸、および8−ハロテオフィリン、例えば8−ブロモテオフィリン等が挙げられる。薬学的に許容される無機または有機酸付加塩のさらなる例は、Berge, S.M.ら、J. Pharm. Sci.、1977、66、2ページに収載されている薬学的に許容される塩を含み、この文献の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0064】
さらに、本発明の化合物は、非溶媒和の形態でも、水、エタノール等などの薬学的に許容される溶媒による溶媒和の形態でも存在してよい。一般的に、溶媒和の形態は、本発明の目的にとって、非溶媒和の形態と同等であると考えられる。
【0065】
医薬組成物
本発明はさらに、式Iの化合物の治療上有効な量および薬学的に許容される担体または賦形剤を含む医薬組成物を提供する。本発明はまた、本明細書中の実験の項に開示されている特定の化合物の1つの治療上有効な量および薬学的に許容される担体または賦形剤を含む医薬組成物も提供する。
【0066】
本発明の化合物は、単回または複数回のいずれかの投与において、単独でまたは薬学的に許容される担体、賦形剤もしくは添加剤と組み合わせて投与されてもよい。本発明による医薬組成物は、Remington: The Science and Practice of Pharmacy、第19編、Gennaro編、Mack Publishing Co.、Easton, PA、1995において開示されている技術などの従来の技術に従って、薬学的に許容される担体または賦形剤、ならびにいずれかのその他の既知のアジュバントおよび添加剤と一緒に調剤されてもよい。
【0067】
医薬組成物は、経口、直腸内、経鼻、肺内、局所的(口腔内頬側および舌下を含む)、経皮、大槽内、腹腔内、膣内および非経口(皮下、筋肉内、くも膜下腔内、静脈内および皮内を含む)経路などの任意の適切な経路による投与のために、特に調剤されてもよい。経路が、治療される対象の全身状態および年齢、治療される状態の性質ならびに有効成分に依ることが理解される。
【0068】
経口投与のための医薬組成物は、カプセル剤、錠剤、糖衣錠、丸剤、ロゼンジ剤、散剤および顆粒剤などの固体の剤形を含む。適切である場合、組成物は、腸溶コーティング剤などのコーティング剤と一緒に調製されてもよいし、または組成物は、当技術分野においてよく知られている方法による持続放出または長期放出などの有効成分の放出制御を提供するように調剤されてもよい。経口投与のための液体剤形は、溶液剤、乳剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤を含む。
【0069】
非経口投与のための医薬組成物は、滅菌水性および非水性注射用溶液剤、分散剤、懸濁剤または乳剤、ならびに使用前に滅菌注射用溶液剤または分散剤の中に戻す滅菌粉末剤も含む。その他の適切な投与形態としては、限定されるものではないが、坐剤、スプレー剤、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、吸入剤、皮膚貼付剤および埋め込み剤が挙げられる。
【0070】
典型的な経口投薬量は、一日当たり約0.001〜約100mg/kg体重の範囲である。典型的な経口投薬量はまた、一日当たり約0.01〜約50mg/kg体重の範囲である。典型的な経口投薬量はさらに、一日当たり約0.05〜約10mg/kg体重の範囲である。経口投薬量は、1日当たり1回または複数回の投薬、典型的には1〜3回の投薬で、通常投与される。的確な投薬量は、投与の頻度および様式、治療される対象の性別、年齢、体重、全身状態、治療される状態の性質および重症度ならびに治療される任意の随伴性の疾患ならびに当業者にとって明らかなその他の要因に依る。
【0071】
製剤はまた、当業者にとって既知の方法による単位剤形で提示されてもよい。例証として、経口投与のための典型的な単位剤形は、約0.01〜約1000mg、約0.05〜約500mg、または約0.5mg〜約200mgを含んでもよい。
【0072】
静脈内、くも膜下腔内、筋肉内および同様の投与などの非経口経路について、典型的な投与量は、経口投与のために使用される投与量のほぼ半分程度である。
【0073】
本発明はまた、式Iの化合物の治療上有効な量と少なくとも1種の薬学的に許容される担体または賦形剤とを混合するステップを含む、医薬組成物を作製するための方法も提供する。本発明の一実施形態において、前述の方法において使用される化合物は、本明細書中の実験の項において開示されている特定の化合物の1つである。
【0074】
本発明の化合物は、遊離物質としてまたはその薬学的に許容される塩として、一般的に使用される。1つの例は、遊離塩基の有用性を有する化合物の酸付加塩である。式Iの化合物が遊離塩基を含む場合、かかる塩は、薬学的に許容される酸のモル当量で式Iの遊離塩基の溶液または懸濁液を処理することによって、従来の方法で調製される。適切な有機および無機酸の代表的な例は、上に記載されている。
【0075】
非経口投与について、滅菌水溶液、水性プロピレングリコール、水性ビタミンEまたはゴマもしくはピーナッツ油中の式Iの化合物の溶液を使用してもよい。かかる水溶液は、必要であれば、適切に緩衝されるべきであり、液体の賦形剤は、最初に、十分な生理食塩水またはグルコースによって等張にされるべきである。水溶液は、静脈内、筋肉内、皮下および腹腔内投与に特に適切である。式Iの化合物は、当業者にとって既知の標準的な技術を使用して、既知の滅菌水性媒体中に容易に組み込み得る。
【0076】
適切な医薬担体は、不活性な固体の賦形剤または充填剤、滅菌水溶液および多様な有機溶媒を含む。固体の担体の例としては、乳糖、白土、ショ糖、シクロデキストリン、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アラビアゴム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸およびセルロースの低級アルキルエーテルが挙げられる。液体の担体の例としては、限定されるものではないが、シロップ、ピーナッツ油、オリーブ油、リン脂質、脂肪酸、脂肪酸アミン、ポリオキシエチレンおよび水が挙げられる。同様に、担体または賦形剤は、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルなどの当技術分野における既知の任意の持続放出材料を、単独でまたは蝋と混合して含んでもよい。次に、式Iの化合物と薬学的に許容される担体とを組み合わせることによって形成される医薬組成物は、投与の開示されている経路に適切な、多様な剤形で容易に投与される。製剤は、好都合なことに、薬学の技術分野における既知の方法によって単位剤形で提示されてもよい。
【0077】
経口投与に適切な本発明の製剤は、それぞれが有効成分の所定量および場合によって適切な添加剤を含むカプセル剤、錠剤などの個別の単位として提示されてもよい。さらに、経口的に利用可能な製剤は、散剤もしくは顆粒剤、水性もしくは非水性液体中の溶液剤もしくは懸濁剤、または油中水型もしくは水中油型の液体乳剤の形態であってもよい。
【0078】
固体の担体が経口投与のために使用される場合、調製物は、錠剤化されても、粉末もしくはペレット形態で硬ゼラチンカプセルに入れられてもよく、または調製物は、トローチ剤もしくはロゼンジ剤の形態であってもよい。固体の担体の量は非常に多様であるが、投薬単位当たり約25mg〜約1gの範囲である。液体の担体が使用される場合、調製物は、シロップ剤、乳剤、軟ゼラチンカプセル剤または水性もしくは非水性液体懸濁剤もしくは溶液剤などの滅菌注射液剤の形態であってもよい。
【0079】
本発明の医薬組成物は、当技術分野の従来の方法によって調製されてもよい。例えば、錠剤は、有効成分を通常のアジュバントおよび/または賦形剤と混合し、その後、従来の打錠機において混合物を圧縮することによって調製されてもよい、錠剤を調製する。アジュバントまたは賦形剤の例としては、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、タルカム、ステアリン酸マグネシウム、ゼラチン、乳糖、ゴム等が挙げられる。着色剤、香味剤、保存剤等などのかかる目的のために通常使用されるいずれかのその他のアジュバントまたは添加物は、有効成分と相溶性があるという条件で使用されてもよい。
【0080】
障害の治療
上述の通り、式Iの化合物は、酵素PDE10A阻害剤であり、したがって、関連する神経および精神障害を治療するのに有用である。
【0081】
したがって、本発明は、ヒトにおける神経変性障害、精神障害または薬物依存症の治療における使用のために、式Iの化合物またはその薬学的に許容される酸付加塩、ならびにかかる化合物を含む医薬組成物を提供する。
【0082】
本発明の一実施形態において、神経変性障害または状態は、ヒトにおける線条体の中型有棘ニューロンの神経変性を含む。本発明の具体的な実施形態において、神経変性障害または状態はハンチントン病である。さらなる実施形態において、障害は、ドーパミンアゴニスト治療法に付随するジスキネジーである。
【0083】
一実施形態において、精神障害は、例えば妄想型、解体型、緊張型、未分化型または残遺型の統合失調症;統合失調症様障害;例えば妄想型またはうつ型の統合失調感情障害;妄想性障害;物質誘発性精神病性障害、例えばアルコール、アンフェタミン、大麻、コカイン、幻覚剤、吸入剤、オピオイドまたはフェンシクリジンによって誘発される精神病;妄想型の人格障害;および統合失調型の人格障害からなる群から選択される。
【0084】
本発明はさらに、ヒトにおいて、薬物依存症、例えばアルコール、アンフェタミン、コカインまたはアヘン依存症を治療する方法を提供し、その方法は、薬物依存症を治療するのに有効な式Iの化合物の量を、前記ヒトに投与するステップを含む。
【0085】
用語「薬物依存症」は、本明細書中に使用されている通り、薬物に対する異常な欲求を意味し、欲求する薬物を摂取するための強迫衝動および激烈な薬物渇望のエピソードのような動機付け障害(motivational disturbance)を、一般的に特徴とする。
【0086】
薬物依存症は、病理的状態と広く考えられる。依存症の障害は、薬物探索行動の発生にいたる急性薬物使用の進行、再発しやすさ、および自然報酬刺激に応答する能力の低下、鈍化を含む。例えば、Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders、第4編(DSM-IV)は、依存症を、没頭/期待、乱用/中毒、および離脱/否定的感情の三段階に分類した。これらの段階は、それぞれ、あらゆる場合において、絶えず続く渇望および物質を得ることへの没頭;必要以上の物質を使用して、中毒作用を経験すること;ならびに耐性、離脱症状および普通の生活行動に対する動機付けの低下を経験することを特徴とする。
【0087】
本発明に従って治療することができる他の障害は、強迫性障害、インスリン非要求性糖尿病(NIDDM)、およびトゥレット症候群および他のチック障害、ならびに注意欠陥/多動障害(ADHD)である。
【0088】
式Iの化合物またはそれらの薬学的に許容される塩は、本発明の化合物が有用性を有する疾患または状態の治療において、1種または複数の他の薬物(定型および非定型の抗精神病薬を含める)との組合せで使用されてもよく、ここで、一緒に薬物を組み合わせることは、いずれかの薬物単独よりも安全または有効である。加えて、本発明の化合物は、本発明の化合物の副作用または毒性を治療する、予防する、管理する、寛解させる、またはそのリスクを軽減する、1種または複数の他の薬物との組合せで使用されてもよい。本発明の治療の組合せ、使用および方法は、適切に応答できないまたは他の既知の治療に耐性である患者の治療にも利点を提供することができる。
【0089】
こうした他の薬物は、本発明の化合物と同時にまたは連続して、そのために一般的に使用される量および経路によって投与されてもよい。したがって、本発明の医薬品組成物には、本発明の化合物に加えて、1種または複数の他の活性成分を含有するものが含まれる。組合せは、単位剤形組合せ製品の一部として、または1種または複数の追加の薬物が治療計画の一部として別々の剤形において投与されるキットまたは治療プロトコルとして投与されてもよい。
【0090】
「神経遮断剤」という用語は、本明細書で使用される場合、精神病の患者において錯乱、妄想、幻覚および精神運動性激越を軽減する抗精神病剤薬の、認知および行動に対する効果を有する薬物のことである。主要な精神安定剤および抗精神病薬としても知られている神経遮断剤としては、限定されるものではないが、脂肪族系、ピペリジン系、およびピペラジン系に細分されるフェノチアジン、チオキサンテン(例えば、シソルジノール(cisordinol))、ブチロフェノン(例えば、ハロペリドール)、ジベンゾキサゼピン(例えば、ロキサピン)、ジヒドロインドロン(例えば、モリンドン)、ジフェニルブチルピペリジン(例えば、ピモジド)を含む定型の抗精神病薬、ならびにベンゾイソオキサゾール(例えば、リスペリドン)、セルチンドール、オランザピン、クエチアピン、オサネタントおよびジプラシドンを含む非定型の抗精神病薬を含む。
【0091】
本発明における使用のための特に好ましい神経遮断剤は、セルチンドール、オランザピン、リスペリドン、クエチアピン、アリピプラゾール、ハロペリドール、クロザピン、ジプラシドンおよびオサネタントである。
【0092】
本明細書中に使用されている通り、および別途指示されない限り、「神経変性障害または状態」は、中枢神経系におけるニューロンの機能不全および/または死によって引き起こされる障害または状態のことである。これらの障害および状態の治療は、これらの障害もしくは状態において危険にさらされているニューロンの機能不全または死を予防する、および/または危険にさらされているニューロンの機能不全もしくは死によって引き起こされる機能の欠失を代償するような方法で、損傷したもしくは健康なニューロンの機能を強化する薬剤の投与によって促進することができる。本明細書中で使用されている用語「神経栄養剤」は、これらの特性のいくつかまたは全てを有する物質または薬剤のことである。
【0093】
本明細書中に引用されている刊行物、特許出願および特許を含む全ての参考文献は、その全体が参照により本明細書中に組み込まれ、あたかも、それぞれの参考文献が、参照により組み込まれるように個別におよび特別に指示され、その全体が明記されているかの如く(法によって認められている最高程度まで)、本明細書中に組み込まれる。
【0094】
見出しおよび小見出しは、便宜上のみから本明細書中に使用されていて、決して本発明を限定するように解釈されるべきではない。
【0095】
本明細書における、任意のおよび全ての例の使用、または例を引用する言葉(「例えば(for instance)」、「例えば(for example)」、「例えば(e.g.)」、および「など(as such)」を含む)は、発明をより明らかにすることのみが意図され、別途指示がない限り、発明の範囲を限定しない。
【0096】
本明細書中の特許文献の引用および組み込みは、便宜上のみから行われ、かかる特許文献の有効性、特許性および/または法的強制力についてのいずれの見解も反映しない。
【0097】
本明細書中に言及されている本発明の多様な態様、実施形態、実施および特徴は、以下の非限定的な例によって例証されている通り、別々に、またはいずれかの組合せで特許請求されてもよいことが理解されるべきである。
【0098】
本発明は、適用される法に認められている通り、本明細書に添付されている請求の範囲に述べられている主題の全ての改変物および同等物を含む。
【0099】
実験の項
本発明の化合物の調製
本発明の一般式Iの化合物は、以下の反応スキームにおいて記載されている通りに調製されてもよい。
【0100】
Lが−CH
2−S−である式Iの化合物は、式IIIの求核剤と、Qがスキーム1において示されている通り、脱離基、例えばCl、Br、I、メタンスルホニル、4−トルエンスルホニルである式IVの求電子試薬とをカップリングさせることによって調製することができる。
【0102】
この反応は、典型的には、1−プロパノール、トルエン、DMFまたはアセトニトリルなどの溶媒中にて、場合によって炭酸カリウムなどの炭酸塩塩基、またはトリエチルアミンもしくはジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)などの第3級アミン塩基の存在下、約0℃から約200℃までの範囲の温度で、場合によって密閉容器中の圧力下で実施される。他の適当な溶媒としては、ベンゼン、クロロホルム、ジオキサン、酢酸エチル、2−プロパノールおよびキシレンが挙げられる。代替法として、トルエン/2−プロパノールなどの溶媒混合物を使用することができる。
【0103】
式IIIのチオール化合物は、文献、例えばJournal of Heterocyclic Chemistry 1977 14(5)、889〜92、Journal of the Chemical Society、Perkin Transactions 1:Organic and Bio-Organic Chemistry 1979、5、1132〜6、Journal of the Chemical Society、Perkin Transactions 1:Organic and Bio-Organic Chemistry 1997、20、2983〜2988、Organic & Biomolecular Chemistry 2009、7、128〜134において記載されているものと同様の方法によって作製することができる。
【0104】
式IVの一部の求電子試薬は市販されており、多くの他のものは当技術分野において知られており、例えばJP59176277およびUS2010016303を参照されたい。Qが脱離基、例えばCl、Br、I、メタンスルホニル、4−トルエンスルホニルである求電子試薬IVは、当技術分野の熟練した化学者に知られている方法によって、対応する第一級アルコールを前記脱離基に変換することによって調製することもできる。前記方法は、例えば、場合によってジクロロメタンまたは1,2−ジクロロエタンなどの適当な溶媒の存在下、および場合によってトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンまたはピリジンなどの塩基の存在下で、対応する第一級アルコールの化合物を、塩化チオニル、三塩化リン、三臭化リン、メタンスルホニルクロリドまたは4−トルエンスルホニルクロリドと反応させることから選択することができる。代替法として、式IVの求電子試薬は、1,2−ジメトキシエタンまたはエタノールなどの適当な溶媒中にて、室温または還流などの適当な温度で、市販のヘテロ芳香族のアミンを、1,3−ジハロアセトン、例えば1,3−ジクロロアセトンと反応させることによって調製することができる。式IVの一部の求電子試薬は市販されており、多くの他のものは当技術分野において知られており、例えばTsuchiya、T.; Sashida、H. J. Chem. Soc.、Chem. Commun. 1980、1109〜1110; Tsuchiya、T.; Sashida、H; Konoshita、A. Chem. Pharm. Bull. 1983、31、4568〜4572を参照されたい。
【0105】
Lが−S−CH
2−である式Iの化合物は、Qが、スキーム2において示されている通り、脱離基、例えばCl、Br、I、メタンスルホニル、4−トルエンスルホニルである式VIの求電子剤との式VまたはVaの求核剤の共役によって、調製することができる。VおよびVaとVIの間の反応において、VIによるVまたはVaの硫黄原子のアルキル化およびトリアゾール環を形成するための閉環の両方とも、ワンポット法で同一の反応条件下で起こる。
【0107】
この反応は、典型的には、1−プロパノール、トルエン、DMF、またはアセトニトリルなどの溶媒中で、場合によって炭酸カリウムなどの炭酸塩塩基またはトリエチルアミンもしくはジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)などの第三級アミン塩基の存在下で、約0℃から約200℃までの範囲の温度で、場合によって密閉容器中で加圧下において実行される。その他の適切な溶媒としては、ベンゼン、クロロホルム、ジオキサン、酢酸エチル、2−プロパノールおよびキシレンが挙げられる。代替方法として、トルエン/2−プロパノールなどの溶媒混合物を使用することができる。
【0108】
式Vの化合物は、市販されているか、または文献において記載されている通り調製することができるかのいずれかであり、例えば、Brownら、Aust. J. Chem.、1978、31、397〜404ページ、Yutilovら、Khim. Geter. Soedin.、1988、799〜804ページ、Wildeら、Bioorg. Med. Chem. Lett.、1995、5、167〜172ページ、Kidwaiら、J. Korean Chem. Soc.、2005、49、288〜291ページを参照のこと。式Vaの化合物は、WO96/01826において記載されている通り、クロロホルムなどの適切な溶媒中で、室温または+40℃などの適切な温度で、チオカルボニルジイミダゾールとの反応によって、対応する1,2−ジアミノピリジンから調製することができる。必須の1,2−ジアミノピリジンは、クロロホルムなどの適切な溶媒中で、0℃または室温などの適切な温度で、O−(メシチルスルホニル)ヒドロキシルアミンなどの適切なN−アミン化試薬との反応によって、対応する市販の2−アミノピリジンから容易に入手できる、WO96/01826を参照のこと。
【0109】
式VIの化合物は、例えば、Venkatesan、A.ら、ChemMedChem 2008、3、1658〜1661において記載されている通りに調製することができる。
【0110】
Lが−CH=CH−または−CH
2−CH
2−である式Iの化合物は、スキーム3において示されている反応順序によって調製することができる。
【0112】
具体的には、Lが−CH
2−CH
2−である式Iの化合物は、水素ガス、炭酸水素アンモニウムまたはシクロヘキサジエンなどの水素供給源と一緒に、パラジウム金属などの遷移金属触媒を使用する水素化によって、Lが−CH=CH−である式Iのアルケンの還元により調製することができる。Lが−CH=CH−である式Iの前記アルケンは、テトラヒドロフランなどの適当な溶媒中にて、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンなどの適当な塩基の存在下で、式VIIのホスホニウム塩と式VIIIのアルデヒドとの間のウィッティヒ反応によって調製することができる。式VIIのホスホニウム塩は、当技術分野の熟練した化学者に知られている方法による、式IVの化合物(上記スキーム1を参照のこと)とトリフェニルホスフィンとの反応によって、容易に入手可能である。式VIIIのアルデヒドは、文献、例えばVenkatesan、A.ら、ChemMedChem 2008、3、1658〜1661において記載されている方法によって入手可能である。
【0113】
一般的な方法
LC−MS分析データを、以下の方法を使用して得た。
【0114】
大気圧光イオン化および島津LC−8A/SLC−10A LCシステムを用いたPE Sciex API 150EX装置を使用した。カラム:粒子サイズ3.5マイクロmのWaters Symmetry C18カラム4.6×30mm、カラム温度:60℃、溶媒系:A=水/トリフルオロ酢酸(99.95:0.05)およびB=メタノール/トリフルオロ酢酸(99.965:0.035)、方法:A:B=83:17〜0:100、2.4分間内および流速3.0mL/minによる直線勾配溶出。
【0115】
分取的LC−MS精製を、大気圧化学イオン化を用いたPE Sciex API 150EX装置で実施した。カラム:粒子サイズ5マイクロmのYMC ODS−A 50×20mm、方法:A:B=80:20〜0:100、7分間内および流速22.7mL/分による直線勾配溶出。画分捕集を、分流MS検出によって実施した。
【0116】
1H NMRスペクトルを、Bruker Avance AV500装置の500.13MHzまたはBruker Avance Ultrashield plus装置の600.16MHzで記録した。TMSは、内部標準として使用した。化学シフト値は、ppmで表される。以下の略号は、NMRシグナルの多重度について使用される:s=一重線、d=二重線、t=三重線、q=四重線、qui=五重線、h=七重線、dd=ダブル二重線、dt=ダブル三重線、dq=ダブル四重線、td=トリプル二重線、tt=トリプル三重線、m=多重線、br s=幅の広い一重線およびbr=幅の広いシグナル。
【0117】
略号は、ACS Style Guideに従っている:「The ACS Styleguide − A manual for authors and editors」、Janet S. Dodd編、1997、ISBN: 0841234620。
【0118】
中間体の調製
5H−イミダゾ[2,1−a]イソインドール−2−カルバルデヒド
【0120】
DMF(100mL)中における化合物1(19g、0.097mol)およびフタルイミドカリウム(18g、0.097mol)の溶液を、100℃で1時間加熱した。混合物を水(500mL)中に注ぎ、固体を濾過し、水で洗浄した。固体を真空下で乾燥させることで、化合物2(21g、収率:65%)を白色の固体として得た。
1H NMR(400MHz, CDCl
3): δ7.89-7.87(m, 2H), 7.76-7.74(m, 2H), 7.67(d, J=6.8Hz, 2H), 7.51(t, J=7.6Hz, 1H), 7.37(t, J=8.0Hz, 2H), 5.09(s, 2H).
【0122】
EtOH(150mL)中における化合物2(21g、0.080mol)およびKOH(13g、0.230mol)の混合物を、80℃で0.5時間加熱した。濃い混合物を冷却し、濾過した。濾液を水(1L)で希釈し、EtOAc(200mL×2)で抽出した。合わせた有機層をNa
2SO
4上で乾燥させ、濃縮することで、粗化合物3(8.05g、63%)を茶色の固体として得た。
【0124】
化合物4(3.9g、26.9mmol)、i−PrOH(7.8mL)、TsOH.H
2O(73mg、0.38mmol)およびヘキサン(49mL)の混合物を蒸留(大気圧、反応温度67℃)することで、溶媒を除去し、残留している溶液27mLをさらに、真空中で(約8.5kPa、反応温度25℃)蒸留することで、粗生成物5(5.0g)が茶色の液体として生成され、これは不安定であり、次のステップで直接使用した。
【0126】
粗化合物3(8.05g、0.061mol)および粗化合物5(11.8g、0.061)の溶液を、室温で20時間撹拌し、次いで炭酸カリウム(16.8g、122mmol)を、混合物に添加し、2時間加熱還流した。反応溶液を濃縮し、残渣を、シリカゲル(n−ヘプタン/EtOAc、1:1から100%EtOAc)上のカラムクロマトグラフィーによって精製することで、6(2.00g、収率:6.95%)を黄色の固体として得た。
1H NMR(400MHz, CDCl
3): δ 9.89(s, 1H), 7.88-7.83(m, 2H), 7.45-7.43(m, 2H), 7.39-7.37(m, 1H), 4.93(s, 2H).
【0127】
以下の中間体を同様の方法で調製した。
7−フルオロ−5H−イミダゾ[2,1−a]イソインドール−2−カルバルデヒド
1H NMR(600MHz, CDCl
3): δ 9.93(s, 1H), 7.92(s, 1H), 7.91-7.89(m, 1H), 7.26-7.21(m, 2H), 5.03(s, 2H).LC−MS(MH
+):m/z=203.0、t
R(分)=0.53。
8−フルオロ−5H−イミダゾ[2,1−a]イソインドール−2−カルバルデヒド
1H NMR(600MHz, CDCl
3): δ 9.94(s, 1H), 7.93(s, 1H), 7.62(dd, J=8.0, 2.4Hz, 1H), 7.48(dd, J=8.5, 4.5Hz, 1H), 7.16(td, J=8.5, 2.4Hz, 1H), 5.02(s, 2H).LC−MS(MH
+):m/z=203.1、t
R(分)=0.64。
7−メトキシ−5H−イミダゾ[2,1−a]イソインドール−2−カルバルデヒド
1H NMR(600MHz, CDCl
3): δ 9.91(s, 1H), 7.88(s, 1H), 7.86-7.83(m, 1H), 7.05-7.02(m, 2H), 4.98(s, 2H), 3.89(s, 3H).LC−MS(MH
+):m/z=215.0、t
R(分)=0.47。
【0128】
5,6−ジヒドロ−イミダゾ[2,1−a]イソキノリン−2−カルバルデヒド
【0130】
トルエン(100mL)中における化合物7(4.92g、0.037mol)の溶液を、トリエチルアミン(10.2mL、0.073mol)で処理し、溶液を0℃に冷却した。メタンスルホニルクロリド(2.87mL、0.037mol)を添加し、この温度10分間撹拌した後、溶液を室温に温まるままにし、16時間撹拌した。混合物を水(250mL)中に注ぎ、DCM(250mL×2)で抽出した。合わせた有機層をMgSO
4上で乾燥させ、濃縮することで、粗化合物8(7.05g)を茶色の液体として得た。
1H NMR(500MHz, DMSO-d
6): δ7.59(d, J=7.8Hz, 2H), 7.44(d, J=7.8Hz, 2H), 7.38(t, J=7.8Hz, 2H), 7.23(t, J=7.8Hz, 1H), 4.43(t, J=6.8Hz, 2H), 3.14(t, J=6.8Hz, 2H), 3.12(s, 3H).
【0132】
メチル4−イミダゾールカルボキシレート(1.09g、8.62mmol)を、DMF(40mL)中における水素化ナトリウム(油中に60%分散、0.52g、13mmol)の懸濁液にゆっくり添加した。混合物を80℃に加熱し、この温度で1時間撹拌した。DMF(20mL)中における化合物8(3.61g、12.90mmol)の溶液を、滴下により反応混合物にこの温度で添加し、反応混合物をさらに12時間80℃で撹拌した。冷却した混合物を濾過し、揮発性物質を真空中で除去し、残渣を、シリカゲル(100%n−ヘプタンから100%EtOAc)上のカラムクロマトグラフィーによって精製することで、最初に黄色い半固体としての化合物10(0.91g、34%)LC−MS(MH
+):m/z=311.3、t
R(min,)=1.15を、次いで黄色の固体としての化合物9(1.38g、収率:51%)LC−MS(MH
+):m/z=311.3、t
R(分)=1.16を生成した。
【0134】
アルゴンで脱気し、100℃に加熱したトルエン(20mL)中における1−[2−(2−ブロモフェニル)エチル]−1H−イミダゾール−4−カルボン酸メチルエステル(1.38g、4.46mmol)の溶液に、アルゴンで脱気したトルエン(10mL)中における水素化トリブチルゲルマニウムの溶液を添加した。2,2’−アゾ−ビス−イソブチロニトリル(0.88g、5.36mmol)を添加し、反応物を110℃で16時間撹拌した。さらなる2’−アゾ−ビス−イソブチロニトリル(0.88g、5.36mmol)を添加し、反応物を110℃で4時間撹拌した。反応物を1MのHCl溶液(100mL)中に注ぐことによってクエンチし、2相を分離し、水性相をn−ヘプタン(2×100mL)で抽出した。水性相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液で塩基性化し、DCM(3×100mL)で抽出した。合わせた有機物をMgSO
4上で乾燥させ、濾過し、揮発性物質を真空中で除去し、残渣を、シリカゲル(100%n−ヘプタンから100%EtOAc)上のカラムクロマトグラフィーによって精製することで、化合物11(124mg、13%)LC−MS(MH
+):m/z=229.2、t
R(分)=0.86を生成した。
【0136】
THF(9.6mL)中における5,6−ジヒドロイミダゾ[2,1−a]イソキノリン−2−カルボン酸メチルエステル(210mg、0.92mmol)の溶液に、窒素の雰囲気下で、THF(1.1mL)中におけるLiAlH
4の1M溶液を添加し、溶液を室温で2時間撹拌した。水(0.5mL)、続いてEtOAc(50mL)を添加し、溶液をMgSO
4で乾燥させ、濾過し、揮発性物質を真空中で除去することで、化合物12(177mg、96%)LC−MS(MH
+):m/z=201.2、t
R(分)=0.29を生成した。
【0138】
DCM(10mL)中における(5,6−ジヒドロイミダゾ[2,1−a]イソキノリン−2−イル)−メタノール(177mg、0.88mmol)の溶液に、アルゴンの雰囲気下で、デス−マーチンペルヨージナン(41mg、0.97mmol)を添加し、溶液を室温で2時間撹拌した。反応物をEtOAc(100mL)で希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(3×50mL)、ブライン(50mL)で洗浄し、次いでNa
2SO
4で乾燥させ、濾過し、揮発性物質を真空中で除去することで、粗化合物13(165mg、94%)LC−MS(MH
+):m/z=199.0、t
R(分)=0.55を生成した。
【0139】
2−クロロメチル−5,8−ジメチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン
【0141】
50mLのDCM中における3,6−ジメチル−2−ピリジンアミン(2.00g、16.4mmol)の溶液に、滴下により、50mLのCH
2Cl
2中におけるヒドロキシルアミン−2,4,6−トリメチル−ベンゼンスルホネート(4.22g、19.6mmol)の溶液を、0℃で添加し、混合物を撹拌し、室温に温まるままにした。溶媒を蒸発させ、残渣を80mLのMeOH中に溶解し、次いでDBU(3.43mL、22.9mmol)で処理し、溶液を5分間撹拌した。クロロ酢酸メチルエステル(1.44mL、16.4mmol)を添加した後、結果として生じた混合物を室温で48時間撹拌した。減圧下で濃縮した後、残渣を水(100mL)で希釈し、EtOAc(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層を水(50mL)、ブライン(50mL)で洗浄し、MgSO
4上で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。残渣を、シリカゲル(石油エーテル/EtOAc=2/1)上のカラムクロマトグラフィーによって精製することで、2.65gの2−クロロメチル−5,8−ジメチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジンを82%の収率で得た。LC−MS(MH
+):m/z=195.9、t
R(分)=1.14
【0142】
以下の中間体を同様に調製した。
2−アミノ−6−メチルピラジンからの2−クロロメチル−5−メチル−[1,2,4]−トリアゾロ[1,5−a]ピラジン。収率28%、LC−MS:m/z=181.8(MH
+)、t
R=0.64min
2−アミノ−3,6−ジメチルピラジンからの2−クロロメチル−5,8−ジメチル−[1,2,4]−トリアゾロ[1,5−a]ピラジン。収率60%
1H NMR(500MHz, CDCl
3): δ7.91(s,1H), 4.87(s, 2H), 2.91(s, 3H), 2.74(s, 3H),LC−MS:m/z=196.9(MH
+)、t
R=0.64min
【0143】
6−フルオロ−5H−イミダゾ[2,1−a]イソインドール−2−カルバルデヒド
【0145】
CCl
4(500mL)中における化合物2A(50g、0.37mol)の溶液を、NBS(72.5g、0.408mol)およびAIBN(1.2g、0.037mol)に添加し、反応溶液を終夜還流し、TLCは反応が完了したことを表示し、反応溶液を濾過し、真空中で濃縮することで粗生成物が得られ、これを石油エーテル/EtOAc(500:1)で溶出するフラッシュシリカクロマトグラフィーによって精製することで、所望の化合物2B(30g、収率:40%)を白色の固体として得た。
【0146】
DMF(500mL)中における化合物2B(60g、0.28mol)および化合物1C(78g、0.44mol)の溶液に、Cs
2CO
3(150g、0.46mol)を添加した。混合物をr.t(12℃)で2時間撹拌した。TLCは全ての出発原料2Bが完全に消費されたことを表示した。混合物を水(2L)中に注ぎ、沈殿生成物を濾過し、水(500mL)およびメタノール(500mL)で洗浄することで、生成物2C(85g、収率:92%)を白色の固体として得た。
【0147】
EtOH(1.8L)中における化合物2C(130g、0.466mol)およびKOH(80g、1.43mol)の混合物を、90℃で0.5時間加熱した。TLCは反応が完了したことを示した。混合物を冷却し、濾過し、黄色がかった濾液を真空中で濃縮することで、茶色の固体が得られ、これをEtOAc(1L)および水(300mL)で希釈し、水層をEtOAc(300mL×5)によって抽出し、合わせた有機層をブライン(300mL)によって洗浄し、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、真空中で濃縮することで、生成物2D(65g、粗製)が茶色の固体として得られ、これは次のステップ反応にとって十分純粋である。乾燥CH
3CN(500mL)中における化合物2D(25g、粗製)および化合物1F(43g、0.185mol)の混合物をr.t.(27℃)で終夜撹拌した。生じた混合物を濾過し、MeCNで洗浄し、真空中で乾燥させることで、化合物2E(37g、収率:85%)が生成された。乾燥CH
3CN(400mL)中における化合物2E(23g、60mmol)およびEt
3N(7.27g、72mmol)の溶液を、90℃〜100℃の還流で18時間撹拌した。反応溶液を濃縮した。残渣をEtOAcで希釈し、20%含水カリウム炭化水素溶液で洗浄した。セライトのパッドを介する濾過後、有機層を乾燥(MgSO
4)させ、真空中で濃縮した。残渣を、シリカカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=5:1で溶出した)によって精製することで、6−フルオロ−5H−イミダゾ[2,1−a]イソインドール−2−カルバルデヒド(1.1g、収率:10%)を黄色がかった固体として得た。
1H NMR(CDCl
3 400MHz): δ9.9(s, 1H), 7.89(s, 1H), 7.69(d, J=7.6Hz, 1H), 7.50-7.44(m, 1H), 7.11(m, 1H), 5.04(s, 2H).
【0148】
以下の中間体を同様の方法で作製した。
5H−イミダゾ[2,1−a]イソインドール−2−カルバルデヒド
7−フルオロ−5H−イミダゾ[2,1−a]イソインドール−2−カルバルデヒド
8−フルオロ−5H−イミダゾ[2,1−a]イソインドール−2−カルバルデヒド
9−フルオロ−5H−イミダゾ[2,1−a]イソインドール−2−カルバルデヒド
6−メトキシ−5H−イミダゾ[2,1−a]イソインドール−2−カルバルデヒド
7−メトキシ−5H−イミダゾ[2,1−a]イソインドール−2−カルバルデヒド
8−メトキシ−5H−イミダゾ[2,1−a]イソインドール−2−カルバルデヒド
9−メトキシ−5H−イミダゾ[2,1−a]イソインドール−2−カルバルデヒド
5H−イミダゾ[1’,2’:1,5]ピロロ[3,4−b]ピリジン−2−カルバルデヒド(すなわち6−アザ−5H−イミダゾ[2,1−a]イソインドール−2−カルバルデヒド)
8H−3,6,8a−トリアザ−シクロペンタ[a]インデン−2−カルバルデヒド(すなわち7−アザ−5H−イミダゾ[2,1−a]イソインドール−2−カルバルデヒド)
8H−3,5,8a−トリアザ−シクロペンタ[a]インデン−2−カルバルデヒド(すなわち8−アザ−5H−イミダゾ[2,1−a]イソインドール−2−カルバルデヒド)
5H−イミダゾ[1’,2’:1,2]ピロロ[3,4−b]ピリジン−2−カルバルデヒド(すなわち9−アザ−5H−イミダゾ[2,1−a]イソインドール−2−カルバルデヒド)
【0149】
2−[−2−(5,8−ジメチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピラジン−2−イル)−ビニル]−5H−イミダゾ[2,1−a]イソインドール
【0151】
アセトニトリル150mL中における2−クロロメチル−5,8−ジメチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピラジン(1.351g、6.87mmol)およびトリフェニルホスフィン(1.80g、6.87mmol)の溶液を、還流で12時間加熱した。溶媒を真空中で除去し、残渣をエーテル中でスラリー化し、濾過し、乾燥させることで、(5,8−ジメチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピラジン−2−イルメチル)−トリフェニル−ホスホニウム;塩化物をオフホワイトの固体として(2.412g、74.9%)生成した。LC−MS:m/z=423.2([M−Cl]
+)、t
R=0.86分、方法A。
【0152】
乾燥THF(5.3mL)中における5H−イミダゾ[2,1−a]イソインドール−2−カルバルデヒド(150mg、0.81mmol)の溶液を、(5,8−ジメチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピラジン−2−イルメチル)−トリフェニル−ホスホニウムクロリド(374mg、0.81mmol)にアルゴン下で添加し、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(120マイクロL、0.81mmol)を添加した。反応混合物を室温で12時間撹拌し、その後、それをシリカゲル(2g)の上で蒸発させた。シリカゲルクロマトグラフィー(勾配溶出;A:Bが100:0から0:100、ここで、Aは酢酸エチルであり、Bは酢酸エチル中における10%MeOHである)で、標題化合物をシスおよびトランス異性体の混合物として生成した(139mg、52%)。LC−MS:m/z=329.3(MH
+)、t
R=0.96分。
【0153】
以下の中間体を同様の方法で調製した。
2−[−2−(5,8−ジメチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピラジン−2−イル)−ビニル]−6−フルオロ−5H−イミダゾ[2,1−a]イソインドール
2−[−2−(5,8−ジメチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピラジン−2−イル)−ビニル]−7−フルオロ−5H−イミダゾ[2,1−a]イソインドール
2−[−2−(5,8−ジメチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピラジン−2−イル)−ビニル]−8−フルオロ−5H−イミダゾ[2,1−a]イソインドール
2−[−2−(5,8−ジメチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピラジン−2−イル)−ビニル]−9−フルオロ−5H−イミダゾ[2,1−a]イソインドール
2−[−2−(5,8−ジメチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピラジン−2−イル)−ビニル]−6−メトキシ−5H−イミダゾ[2,1−a]イソインドール
2−[−2−(5,8−ジメチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピラジン−2−イル)−ビニル]−7−メトキシ−5H−イミダゾ[2,1−a]イソインドール
2−[−2−(5,8−ジメチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピラジン−2−イル)−ビニル]−8−メトキシ−5H−イミダゾ[2,1−a]イソインドール
2−[−2−(5,8−ジメチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピラジン−2−イル)−ビニル]−9−メトキシ−5H−イミダゾ[2,1−a]イソインドール
2−[(E)−2−(5,8−ジメチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピラジン−2−イル)−ビニル]−5H−イミダゾ[1’,2’:1,2]ピロロ[3,4−b]ピリジン
2−[(E)−2−(5,8−ジメチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピラジン−2−イル)−ビニル]−5H−イミダゾ[1’,2’:1,5]ピロロ[3,4−b]ピリジン
【0154】
本明細書に開示されている本発明を、さらに、以下の非限定的な実施例によって例示する。
【実施例1】
【0155】
2−[−2−(5,8−ジメチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピラジン−2−イル)−ビニル]−5H−イミダゾ[2,1−a]イソインドール
【0156】
【化19】
【0157】
アセトニトリル150mL中における2−クロロメチル−5,8−ジメチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピラジン(1.351g、6.87mmol)およびトリフェニルホスフィン(1.80g、6.87mmol)の溶液を、還流で12時間加熱した。溶媒を真空中で除去し、残渣をエーテル中でスラリー化し、濾過し、乾燥させることで、(5,8−ジメチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピラジン−2−イルメチル)−トリフェニル−ホスホニウム;塩化物をオフホワイトの固体として生成した(2.412g、74.9%)。LC−MS:m/z=423.2([M−Cl]
+)、t
R=0.86分、方法A。
【0158】
乾燥THF(5.3mL)中における5H−イミダゾ[2,1−a]イソインドール−2−カルバルデヒド(150mg、0.81mmol)の溶液を、(5,8−ジメチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピラジン−2−イルメチル)−トリフェニル−ホスホニウムクロリド(374mg、0.81mmol)にアルゴン下で添加し、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(120マイクロL、0.81mmol)を添加した。反応混合物を室温で12時間撹拌し、その後、それをシリカゲル(2g)の上で蒸発させた。シリカゲルクロマトグラフィー(勾配溶出;A:Bが100:0から0:100、ここで、Aは酢酸エチルであり、Bは酢酸エチル中における10%MeOHである)で、標題化合物をシスおよびトランス異性体の混合物として生成した(139mg、52%)。LC−MS:m/z=329.3(MH
+)、t
R=0.96分。
【実施例2】
【0159】
2−[−2−(5,8−ジメチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピラジン−2−イル)−エチル]−5H−イミダゾ[2,1−a]イソインドールの合成
【0160】
【化20】
【0161】
メタノール(100mL)中における2−[−2−(5,8−ジメチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピラジン−2−イル)−ビニル]−5H−イミダゾ[2,1−a]イソインドール(139mg、0.423mmol)の溶液に、10%炭素担持パラジウム(27mg)を添加した。水素ガス流を気泡にして通し、反応物を水素の雰囲気下で終夜、撹拌しながら保持した。濾過後、有機物をシリカゲル(2g)の上で蒸発させた。クロマトグラフィー(勾配溶出;A:Bが100:0から0:100、ここで、Aは酢酸エチルであり、Bは酢酸エチル中における10%MeOHである)で、標題化合物が白色の固体として生成された(50.6mg、36%)。
1H NMR(500MHz, CDCl
3): δ 7.86-7.82(m, 2H), 7.46-7.42(m, 2H), 7.33(t, J=7.5Hz, 1H), 7.02(s, 1H), 4.84(s, 2H), 3.44(dd, J=8.9, 6.6Hz, 2H), 3.33(dd, J=8.9, 6.6Hz, 2H), 2.91(s, 3H), 2.73(s, 3H).LC−MS:m/z=331.0(MH
+)、t
R=0.74分。
【実施例3】
【0162】
2−[2−(5,8−ジメチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピラジン−2−イル)−エチル]−5,6−ジヒドロ−イミダゾ[2,1−a]イソキノリン
【0163】
【化21】
【0164】
メタノール:DCM(2:1、v/v、30mL)中における2−[2−(5,8−ジメチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピラジン−2−イル)−エチル]−5,6−ジヒドロ−イミダゾ[2,1−a]イソキノリン(210mg、0.61mmol)の溶液を、H−Cube(登録商標)連続流水素化反応器(ThalesNano)に1mL/minの流量で、10%Pd/C(THS01111)の小さいカートリッジを介して、25℃の内部温度および水素圧力の1バールで通過させた。揮発性物質の蒸発で、標題化合物が生成された(75mg、19%)。
1H NMR(600MHz, CDCl
3): δ 8.02(dd, J=7.7, 1.0Hz, 1H), 7.83(s, 1H), 7.33(ddd, J=7.7, 1.3, 0.7Hz, 1H), 7.26(td, J=7.4, 1.3Hz, 1H), 7.21(dd, J=7.4, 0.7Hz, 1H), 6.73(s, 1H), 4.10(t, J=6.9Hz, 2H), 3.41(dd, J=9.6, 6.5Hz, 2H), 3.28(dd, J=9.6, 6.5Hz, 2H), 3.13(t, J=6.9Hz, 2H), 2.90(s, 3H), 2.72(s, 3H).LC−MS:m/z=345.1(MH
+)、t
R=0.83分
【0165】
以下の化合物を同様に調製した。
2−[2−(5,8−ジメチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル)−エチル]−5H−イミダゾ[2,1−a]イソインドール、
1H NMR(600MHz, DMSO): δ 7.67(d, J=7.5Hz, 1H), 7.57(d, J=7.5Hz, 1H), 7.44(t, J=7.5Hz, 1H), 7.38-7.32(m, 2H), 7.27(s, 1H), 6.92(d, J=7.2Hz, 1H), 4.99(s, 2H), 3.23-3.16(m, 2H), 3.09(dd, J=9.7, 6.3Hz, 2H), 2.67(s, 3H).LC−MS:m/z=330.2(MH
+)、t
R=0.91分
2−[2−(5−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル)−エチル]−5H−イミダゾ[2,1−a]イソインドール、
1H NMR(600MHz, DMSO): δ 7.67(d, J=7.5Hz, 1H), 7.63(d, J=8.8Hz, 1H) , 7.59-7.52(m, 2H), 7.44(t, J=7.5Hz, 1H), 7.35(t, J=7.5Hz, 1H), 7.26(s, 1H), 7.03(d, J=7.0Hz, 1H), 4.98(s, 2H), 3.20(dd, J=9.5, 6.4Hz, 2H), 3.09(dd, J=9.5, 6.4Hz, 2H), 2.72(s, 3H).LC−MS:m/z=315.7(MH
+)、t
R=0.78分
2−[−2−(5,8−ジメチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピラジン−2−イル)−エチル]−7−フルオロ−5H−イミダゾ[2,1−a]イソインドール、
1H NMR(600MHz, CDCl
3): δ 7.82(d, J=1.0Hz, 1H), 7.76(dd, J=8.3, 5.0Hz, 1H), 7.16-7.11(m, 2H), 6.99(s, 1H), 4.81(s, 2H), 3.49-3.37(m, 2H), 3.33-3.22(m, 2H), 2.89(s, 3H), 2.70(s, 3H).LC−MS:m/z=349.1(MH
+)、t
R=0.80分
2−[−2−(5,8−ジメチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピラジン−2−イル)−エチル]−8−フルオロ−5H−イミダゾ[2,1−a]イソインドール、
1H NMR(600MHz, CDCl
3): δ 7.82(d, J=0.8Hz, 1H), 7.50(dd, J=8.3, 2.4Hz, 1H), 7.37(dd, J=8.3, 4.6Hz, 1H), 7.02-6.99(m, 2H), 4.80(s, 2H), 3.41(dd, J=9.0, 6.5Hz, 2H), 3.31(dd, J=9.0, 6.5Hz, 2H), 2.89(s, 3H), 2.71(s, 3H).LC−MS:m/z=349.1(MH
+)、t
R=0.80分
2−[−2−(5,8−ジメチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピラジン−2−イル)−エチル]−7−メトキシ−5H−イミダゾ[2,1−a]イソインドール、
1H NMR(600MHz, CDCl
3): δ 7.82(d, J=0.7Hz, 1H), 7.73(d, J=8.4Hz, 1H), 7.00-6.93(m, 3H), 4.78(s, 2H), 3.86(s, 3H), 3.41(dd, J=9.0, 6.6Hz, 2H), 3.29(dd, J=9.0, 6.6Hz, 2H), 2.89(s, 3H), 2.71(s, 3H).LC−MS:m/z=361.2(MH
+)、t
R=0.87分
2−[2−(5,8−ジメチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピラジン−2−イル)−エチル]−7−メトキシ−5H−イミダゾ[2,1−a]イソインドール、LC−MS:m/z=361.2(MH+)。Rt=0.87分。;方法=131
2−{2−[2−(5,8−ジメチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピラジン−2−イル)−エチル]−5H−イミダゾ[2,1−a]イソインドール−5−イル}−プロパン−2−オール、LC−MS:m/z=389.2(MH+)。Rt=0.88分。;方法=131
2−[2−(5,8−ジメチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピラジン−2−イル)−エチル]−6−フルオロ−5H−イミダゾ[2,1−a]イソインドール、LC−MS:m/z=349.1(MH+)。Rt=0.78分。;方法=131
2−[2−(5,8−ジメチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピラジン−2−イル)−エチル]−9−フルオロ−5H−イミダゾ[2,1−a]イソインドール、LC−MS:m/z=349.1(MH+)。Rt=0.74分。;方法=131
2−[2−(5,8−ジメチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピラジン−2−イル)−エチル]−8−メトキシ−5H−イミダゾ[2,1−a]イソインドール、LC−MS:m/z=361.2(MH+)。Rt=0.85分。;方法=131
2−[2−(5,8−ジメチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピラジン−2−イル)−エチル]−6−メトキシ−5H−イミダゾ[2,1−a]イソインドール、LC−MS:m/z=361.2(MH+)。Rt=0.87分。;方法=131
2−[2−(5,8−ジメチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピラジン−2−イル)−エチル]−9−メトキシ−5H−イミダゾ[2,1−a]イソインドール、LC−MS:m/z=361.2(MH+)。Rt=0.85分。;方法=131
2−[2−(5,8−ジメチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピラジン−2−イル)−エチル]−5H−イミダゾ[1’,2’:1,2]ピロロ[3,4−b]ピリジン、LC−MS:m/z=332.1(MH+)。Rt=0.62分。;方法=131
2−[2−(5,8−ジメチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピラジン−2−イル)−エチル]−5H−イミダゾ[1’,2’:1,5]ピロロ[3,4−b]ピリジン、LC−MS:m/z=332.2(MH+)。Rt=0.48分。;方法=131
【実施例4】
【0166】
2−[−2−(5,8−ジメチル−7−オキシ−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピラジン−2−イル)−エチル]−5H−イミダゾ[2,1−a]イソインドールの合成
【0167】
【化22】
【0168】
AcOH(5mL)中における2−[−2−(5,8−ジメチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピラジン−2−イル)−エチル]−5H−イミダゾ[2,1−a]イソインドール(500mg、1.51mmol)の溶液を、35%過酸化水素水溶液(1.3mL、15.1mmol)で処理し、溶液を40℃で12時間撹拌した。揮発性物質を真空中で除去し、粗製油を水(10mL)中に溶解し、pH10に2NのNaOH溶液で塩基性化した。固体を濾過し、水で洗浄し、40℃で乾燥させることで、標題化合物をオフホワイトの固体として生成した(101mg、20%)。
1H NMR(500MHz, CDCl
3): δ 7.85(d, J=7.6Hz, 1H), 7.70(s, 1H), 7.49-7.39(m, 2H), 7.34(t, J=7.5Hz, 1H), 7.02(s, 1H), 4.85(s, 2H), 3.38(dd, J=8.8, 6.1Hz, 2H), 3.34-3.23(m, 2H), 2.80(s, 3H), 2.70(s, 3H).LC−MS:m/z=346.9(MH
+)、t
R=0.53分
【実施例5】
【0169】
{2−[2−(5H−イミダゾ[2,1−a]イソインドール−2−イル)−エチル]−5−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピラジン−8−イル}−メタノールの合成
【0170】
【化23】
【0171】
DCM(5mL)中における2−[−2−(5,8−ジメチル−7−オキシ−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピラジン−2−イル)−エチル]−5H−イミダゾ[2,1−a]イソインドール(91mg、0.26mmol)の溶液を、トリフルオロ酢酸無水物(93μL、0.66mmol)で処理し、溶液を室温で2時間撹拌した。揮発性物質を真空中で除去し、残渣をDCM(10mL)中に溶解し、飽和炭酸ナトリウム溶液(10mL)を添加した。混合物を激しく3時間撹拌した。相を分離し、水性相をDCM(2×20mL)で抽出した。合わせた有機物を水、ブラインで洗浄し、MgSO
4上で乾燥させた。揮発性物質の蒸発後、残渣をprep LCMSによって精製することで、標題化合物をオフホワイトの固体として生成した(27mg、20%)。
1H NMR(600MHz, CDCl
3): δ 8.22-8.15(m, 1H), 7.94(s, 1H), 7.68-7.54(m, 3H), 7.21(s, 1H) 5.14(s, 2H), 5.10(s, 2H), 3.47(bs, 4H), 2.75(s, 3H), 2.66(s, 1H).LC−MS:m/z=346.9(MH
+)、t
R=0.61分
【実施例6】
【0172】
2−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イルスルファニルメチル)−5H−イミダゾ[2,1−a]イソインドール
【0173】
【化24】
【0174】
WO96/01826において記載されている方法の適応を用いた。イミダゾール−1−カルボチオ酸(2−イミノ−2H−ピリジン−1−イル)−アミド(200mg、1.37mmol)および2−クロロメチル−5H−イミダゾ[2,1−a]イソインドール(300mg、1.46mmol)を、1−プロパノール(25mL)中に溶解し、混合物を2時間加熱還流した。溶媒を減圧下で除去し、残渣をジクロロメタン中に溶解した。溶液を水で洗浄し、有機層をNa
2SO
4上で乾燥させ、濃縮した。残渣を、シリカゲル上のクロマトグラフィーによって精製することで、標題化合物(273mg、62%)が黄色の固体として生成された。LC−MS:m/z=321.1(MH
+)、t
R=1.40min、方法B。
【0175】
本発明の以下の化合物を同様に調製した。
2−[(5,7−ジメチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル)スルファニルメチル]−5H−イミダゾ[2,1−a]イソインドール;LC−MS:m/z=349.1(MH
+)、t
R=1.59min、方法B。
2−(5,8−ジメチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピラジン−2−イルスルファニルメチル)−5H−イミダゾ[2,1−a]イソインドール
【実施例7】
【0176】
2−[−2−(5,8−ビス(トリジュウテロメチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピラジン−2−イル)−エチル]−5,5−ジジュウテロ−5H−イミダゾ[2,1−a]イソインドールの合成
【0177】
【化25】
【0178】
デューテロ−メタノール(MeOD−d
4、4mL)中に溶解したナトリウム(30mg、1.3mmol)の溶液に、2−[−2−(5,8−ジメチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピラジン−2−イル)−エチル]−5H−イミダゾ[2,1−a]イソインドール(25mg、0.076mmol)を添加し、溶液をRTで48時間撹拌した。溶媒を真空中で除去し、残渣をDCM(10mL)中に溶解し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液、ブラインで洗浄し、有機層を分離した。有機層を乾燥(MgSO4)させ、濾過し、揮発性物質を真空中で除去することで、標題化合物をオフホワイトの固体として生成した。(14mg、53%)。
1H NMR(600MHz, MeOD-d
4): δ 7.76(s, 1H), 7.61(d, J=7.5Hz, 1H), 7.41(d, J=7.5Hz, 1H), 7.32(t, J=7.5Hz, 1H), 7.25(t, J=7.5Hz, 1H), 7.05(s, 1H), 3.26(dd, J=7.7Hz, 2H), 3.13(dd, J=7.7Hz, 2H).LC−MS:m/z=338.4(MH
+)、t
R=0.71分。
【0179】
薬理試験
酵素PDE10A
活性がある酵素PDE10Aを、PDEアッセイにおける使用のためのいくつかの方法(Loughney, K.ら、Gene 1999、234、109〜117ページ、Fujishige, K.ら、Eur J Biochem.、1999、266、1118〜1127ページおよびSoderling, S.ら、Proc. Natl. Acad. Sci.、1999、96、7071〜7076ページ)で調製する。PDE10Aは、それらが触媒ドメインを発現する限り、完全長タンパク質または切断型タンパク質として、発現することができる。PDE10Aは、様々な細胞型、例えば昆虫細胞または大腸菌(E.coli)で調製することができる。触媒として活性があるPDE10Aを得る方法の例は、以下の通りである:ヒトPDE10A(受入番号NP006652の配列に由来するアミノ酸440〜779)の触媒ドメインを、標準的なRT−PCR法によってヒトの脳全体の全RNAから増幅し、pET28aベクター(Novagen)のBamH1およびXho1サイト中にクローン化する。大腸菌(coli)における発現は、標準的なプロトコルに従って実施される。簡潔には、発現プラスミドを、BL21(DE3)大腸菌(E.coli)株に形質転換し、細胞を播種された培養物50mLを、OD600が0.4〜0.6になるまで成長させた後、タンパク質発現を、0.5mMのIPTGで誘導する。誘導に続いて、細胞を、一晩、室温においてインキュベートし、その後、細胞を遠心分離によって捕集する。PDE10Aを発現する細胞を、12mL(50mM TRIS−HCl、pH8.0、1mM MgCl
2およびプロテーゼ阻害剤)中に再懸濁する。細胞を、超音波処理によって溶解し、全ての細胞を溶解した後、TritonX100を、Novagenのプロトコルに従って加える。PDE10Aを、Q sepharoseで部分的に精製し、最も活性がある画分を貯えた。
【0180】
PDE10A阻害アッセイ
PDE10Aアッセイは、例えば、以下の通り実施されてもよい:関連するPDE酵素の(環状ヌクレオチド基質の20〜25%を変換するのに十分な)固定量、バッファー(50mM HEPES7.6、10mM MgCl
2、0.02%Tween20)、0.1mg/ml BSA、
3H標識環状ヌクレオチド基質225pCi、最終濃度5nMまでのトリチウム標識cAMPおよび多様な量の阻害剤を含む試料60μL中で、アッセイを実施する。反応を、環状ヌクレオチド基質を加えることによって開始し、反応を、室温において、1h進行させた後、8mg/mLケイ酸イットリウムSPAビーズ(Amersham)15μLと混合することによって停止させる。ビーズを、暗所に1h放置した後、プレートを、Wallac1450Microbetaカウンターで数える。測定されたシグナルは、無阻害の対照物(100%)に対する活性に変換することができ、IC
50値は、EXCELの拡張機能であるXlfitを使用して計算することができる。
【0181】
本発明の文脈において、アッセイを、10nMの
3H−cAMPの20〜25%を変換する十分なPDE10Aおよび可変量の阻害剤を含む60uLのアッセイ緩衝液(50mMのHEPES pH7.6;10mMのMgCl
2;0.02%のTween20)中で行った。1時間インキュベーションに続いて、反応を、15uL8mg/mLのイットリウムシリケートSPAビーズ(Amersham)の添加によって終結させた。ビーズを1hr暗所で沈ませた後で、プレートをWallac 1450マイクロベータカウンターで計数した。IC
50値を、XLフィット(IDBS)を使用する非線形回帰によって算定した。
【0182】
実験の結果は、本発明の試験化合物が、10nMより低いIC
50値でPDE10A酵素を阻害することを示した。
【0183】
フェンシクリジン(PCP)誘発性の多動
体重20〜25gのオスのマウス(NMRI、Charles River)を使用する。試験化合物のビヒクルに加えてPCPを、またはビヒクル注射のみを受ける同時対照群を含む、試験化合物(5mg/kg)に加えてPCP(2.3mg/kg)を受け取る群のそれぞれにおいて、8匹のマウスを使用する。注入量は、10ml/kgである。実験は、通常の光条件において、静かな部屋で行われる。皮下投与されるPCPの注射の60min前に、試験物質を、経口投与で注入する。
【0184】
PCP注射の直後に、マウスを、特別に設計された試験ケージ(20cm×32cm)中に、個別に入れる。活性を、4cm間隔で置かれた5個×8個の赤外線光源および光電セルによって測定する。光線は、ケージの底から1.8cm上のところでケージを横切る。運動性のカウントの記録は、近接する光線の遮断を必要とし、したがって、マウスの静かな動きによって誘導されるカウントを、防止する。
【0185】
運動性を、5min間隔で、1時間にわたって記録する。薬物の効果を、以下の方法で、1時間の行動試験期間の間のカウントの合計に基づいて計算する:
PCPの非存在下でビヒクル治療によって誘導された平均の運動性を、ベースラインとして使用する。したがって、PCPの100パーセントの効果を、運動性のカウントの合計からベースラインを差し引いて計算する。このようにして、試験化合物を受け取る群の応答は、運動性のカウントの合計からベースラインを差し引くことによって決定され、同時PCP対照群において記録された同様の結果についてのパーセントで表される。パーセント応答を、パーセント阻害に変換する。
【0186】
実験の結果は、試験化合物2−[2−(5,8−ジメチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピラジン−2−イル)−エチル]−5H−イミダゾ[2,1−a]イソインドールが、PCP誘発活動亢進を阻害する生体内活性化合物であることを示した。
ED50=0.2mg/kg、
阻害は5mg/kgで100%だった。
なお本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下も包含し得る。
(1)構造I
【化26】
[式中、
nは、0または1であり、
Xは、CH、CF、COCH3、COHおよびNからなる群から選択され、ただし1つのXだけがNであるという制約があり、
R1およびR2は、それぞれ、H;メチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、イソブチルなどのC1〜C6アルキル;シクロプロピルメチルなどのC1〜C6アルキル(C3〜C8)シクロアルキル;ヒドロキシエチルなどのC1〜C6ヒドロキシアルキル;メトキシおよびエトキシなどのC1〜C6アルコキシ;CH2CN;CH2C(O)NH2;ベンジルおよび4−クロロベンジルなどのC1〜C6アリールアルキル;ならびにテトラヒドロピラン−4−イル−メチルおよび2−モルホリン−4−イル−エチルなどのC1〜C6アルキル−ヘテロシクロアルキル;Fなどのハロゲン;ならびにヒドロキシからなる群から独立して選択され、
R3およびR4は、それぞれ、H、OH、F、CH3およびOCH3からなる群から独立して選択され、
Lは、−CH2−CH2−、−CH=CH−、−CH2−S−および−S−CH2−からなる群から選択されるリンカーであり、
HETは、2〜4個の窒素原子を含む式II
【化27】
(式中、
Yは、NまたはCHであることができ、Zは、NまたはCであることができ、
HETは、場合によって、H;メチルなどのC1〜C6アルキル;塩素、フッ素、または臭素などのハロゲン;シアノ;トリフルオロメチルなどのハロ(C1〜C6)アルキル;フェニルなどのアリール;アルコキシ、好ましくはメトキシ、ジメトキシ、エトキシ、メトキシ−エトキシおよびエトキシ−メトキシなどのC1〜C6アルコキシ、ならびにCH2CH2OHなどのC1〜C6ヒドロキシアルキルからなる群から個別に選択される3個までの置換基R5、R6およびR7で置換されていることができ、
「*」は、結合点を表す)
のヘテロ芳香族基である]
を有する化合物ならびにその互変異性体および薬学的に許容される酸付加塩、ならびにその多形体。
(2)n=0である、上記(1)に記載の化合物。
(3)HETが[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピラジン、[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン、イミダゾ[1,2−a]ピリジン、イミダゾ[4,5−b]ピリミジン;ピラゾロ[1,5−a]ピリジン、[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン、[1,2,4]トリアゾロ[1,5−c]ピリミジンおよびイミダゾ[1,2−a]ピリミジンからなる群から選択される、上記(1)に記載の化合物。
(4)HETが5,8−ジメチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピラジン;5,8−ジメチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン、5−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン、および(5−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピラジン−8−イル)−メタノールからなる群から選択される、上記(3)に記載の化合物。
(5)Lが−CH2−CH2−、−CH=CH−、−CH2−S−および−S−CH2−からなる群から選択される、上記(1)から(4)のいずれか一項に記載の化合物。
(6)R1およびR2がH、OH、F、CH3およびOCH3からなる群から独立して選択される、上記(1)に記載の化合物。
(7)R5、R6およびR7がH、CH3およびOCH3からなる群から独立して選択される、上記(1)に記載の化合物。
(8)化合物の水素原子の1個または複数が重水素によって置き換えられている、上記(1)に記載の化合物。
(9)化合物が、2−[2−(5,8−ジメチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピラジン−2−イル)−エチル]−5H−イミダゾ[2,1−a]イソインドール;2−[2−(5,8−ジメチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル)−エチル]−5H−イミダゾ[2,1−a]イソインドール;2−[2−(5−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル)−エチル]−5H−イミダゾ[2,1−a]イソインドール;2−[2−(5,8−ジメチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピラジン−2−イル)−ビニル]−5H−イミダゾ[2,1−a]イソインドール;{2−[2−(5H−イミダゾ[2,1−a]イソインドール−2−イル)−エチル]−5−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピラジン−8−イル}−メタノール;および2−[2−(5,8−ジメチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピラジン−2−イル)−エチル]−7−フルオロ−5H−イミダゾ[2,1−a]イソインドール、2−[2−(5,8−ジメチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピラジン−2−イル)−エチル]−5,6−ジヒドロ−イミダゾ[2,1−a]イソキノリン
およびその薬学的に許容される酸付加塩からなる群から選択される、上記(1)に記載の化合物。
(10)医薬品としての、上記(1)から(9)のいずれか一項に記載の化合物。
(11)単独でまたはセルチンドール、オランザピン、リスペリドン、クエチアピン、アリピプラゾール、ハロペリドール、クロザピン、ジプラシドンおよびオサネタントなどの1種または複数の神経遮断剤と組み合わせての、神経変性障害または精神障害の治療における使用のための、上記(1)から(9)のいずれか一項に記載の化合物であって、神経変性障害がハンチントン病であり、精神障害が、例えば妄想型、解体型、緊張型、未分化型または残遺型の統合失調症、統合失調症様障害、例えば妄想型またはうつ型の統合失調感情障害、妄想性障害、例えば双極I型障害、双極II型障害、および気分循環性障害の双極性障害、からなる群から選択される化合物。
(12)神経変性障害または精神障害の治療における使用のための医薬品の調製のための、上記(1)から(9)のいずれか一項に記載の化合物であって、神経変性障害がハンチントン病であり、精神障害が、例えば妄想型、解体型、緊張型、未分化型または残遺型の統合失調症、統合失調症様障害、例えば妄想型またはうつ型の統合失調感情障害、妄想性障害、例えば双極I型障害、双極II型障害の双極性障害からなる群から選択される化合物。
(13)上記(1)から(9)のいずれか一項に記載の化合物の治療上有効な量、ならびに1種または複数の薬学的に許容される担体、賦形剤および添加剤を含む医薬組成物。