特許第5937609号(P5937609)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5937609
(24)【登録日】2016年5月20日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】難燃性軟質ポリウレタンフォーム
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/00 20060101AFI20160609BHJP
   C08L 75/08 20060101ALI20160609BHJP
   C08K 3/02 20060101ALI20160609BHJP
   C08K 5/098 20060101ALI20160609BHJP
   C08G 101/00 20060101ALN20160609BHJP
【FI】
   C08G18/00 J
   C08L75/08
   C08K3/02
   C08K5/098
   C08G101:00
【請求項の数】9
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-539877(P2013-539877)
(86)(22)【出願日】2011年11月4日
(65)【公表番号】特表2013-544307(P2013-544307A)
(43)【公表日】2013年12月12日
(86)【国際出願番号】US2011059253
(87)【国際公開番号】WO2012067841
(87)【国際公開日】20120524
【審査請求日】2014年10月29日
(31)【優先権主張番号】61/414,961
(32)【優先日】2010年11月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100102990
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 良博
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(72)【発明者】
【氏名】エフ.マイケル プレイバー
(72)【発明者】
【氏名】ジャック イー.ヘッツナー
【審査官】 久保田 英樹
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/003590(WO,A1)
【文献】 特表2003−511503(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0130365(US,A1)
【文献】 特開2010−001485(JP,A)
【文献】 特開平04−117417(JP,A)
【文献】 特開2006−195055(JP,A)
【文献】 特開平06−073251(JP,A)
【文献】 特開平08−302209(JP,A)
【文献】 米国特許第6316514(US,B1)
【文献】 M. Modesti, A. Lorenzetti,Halogen-free flame retardants for polymeric foams,Polymer Degradation and Stability,Elsevier Science Ltd.,2002年,vol. 78,pp.167-173
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/00− 18/87
C08L 1/00−101/14
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)及び(B)の混合物を含む難燃性軟質ポリウレタンフォームを製造するための反応性配合物:
(A)下記(i)を含むAサイド:
(i)1又は2種以上の有機イソシアネート、及び
(B)下記(ii)〜(iv)を含むBサイド:
(ii)1又は2種以上のイソシアネート反応性成分、
(iii)下記(iii.a)〜(iii.c)の組み合わせを含む難燃剤成分:
(iii.a)0.1〜6質量部の赤リン、
(iii.b)膨張性黒鉛、及び
(iii.c)必要に応じて、クエン酸ナトリウム、
ここで、上記難燃剤成分はポリリン酸アンモニウムを含まず、質量部はBサイドの総質量を基準とする、
及び、
(iv)触媒、発泡剤、セルオープナー、界面活性剤、架橋剤、連鎖延長剤、難燃剤、充填剤、着色剤、顔料、帯電防止剤、強化繊維、酸化防止剤、防腐剤、又は酸捕捉剤から選ばれる1又は2種以上のさらなる成分;
ここで、前記有機イソシアネートは、モノマーMDI、ポリマーMDI、それらの組み合わせ、及び/又はポリイソシアネートを形成するウレトンイミン及び/又はカルボジイミド基を導入することにより得られた液状の変種を含み、前記カルボジイミド及び/又はウレトンイミン変性ポリイソシアネートは29〜33%のNCO値を有し、前記ポリイソシアネートには1〜45質量%のモノマーの形態の2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート及び/又はそのカルボジイミド化生成物が含まれており、
前記イソシアネート反応性成分はエチレンオキシドキャップドポリエーテルポリオールを含む、
前記反応性配合物から製造された難燃性軟質ポリウレタンフォームはアンダーライターズ・ラボラトリーズ規格94燃焼試験に従って0.5インチでV−0の等級を達成する。
【請求項2】
前記膨張性黒鉛(iii.b)が、Bサイドの総質量を基準として0.5〜10質量部の量で存在する、請求項1に記載の反応性配合物。
【請求項3】
前記難燃剤成分が、さらに、(iii.c)0.5〜15質量部のクエン酸ナトリウムを含む、請求項1または2に記載の反応性配合物。
【請求項4】
(I)下記(A)及び(B)を形成する工程:
(A)下記(i)を含むAサイド:
(i)1又は2種以上の有機イソシアネート、及び
(B)下記(ii)〜(iv)を含むBサイド:
(ii)1又は2種以上のイソシアネート反応性成分、
(iii)下記(iii.a)〜(iii.c)の組み合わせを含む難燃剤成分:
(iii.a)0.1〜6質量部の赤リン、
(iii.b)膨張性黒鉛、及び
(iii.c)必要に応じて、クエン酸ナトリウム、
ここで、上記難燃剤成分はポリリン酸アンモニウムを含まず、質量部はBサイドの総質量を基準とし、
(iv)触媒、発泡剤、セルオープナー、界面活性剤、架橋剤、連鎖延長剤、難燃剤、充填剤、着色剤、顔料、帯電防止剤、強化繊維、酸化防止剤、防腐剤、又は酸捕捉剤から選ばれる1又は2種以上のさらなる成分;
前記有機イソシアネートは、モノマーMDI、ポリマーMDI、それらの組み合わせ、及び/又はポリイソシアネートを形成するウレトンイミン及び/又はカルボジイミド基を導入することにより得られた液状の変種を含み、前記カルボジイミド及び/又はウレトンイミン変性ポリイソシアネートは29〜33%のNCO値を有し、前記ポリイソシアネートには1〜45質量%のモノマーの形態の2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート及び/又はそのカルボジイミド化生成物が含まれており、
前記イソシアネート反応性成分はエチレンオキシドキャップドポリエーテルポリオールを含む、
及び、
(II)Aサイド及びBサイドを混合して反応性配合物を形成する工程;及び
(III)得られた反応性配合物を、当該反応性配合物が硬化するのに十分な条件にさらして、難燃性軟質ポリウレタンフォームを形成する工程、
により、アンダーライターズ・ラボラトリーズ規格94燃焼試験に従って0.5インチでV−0の等級を達成する難燃性軟質ポリウレタンフォームを製造するための方法。
【請求項5】
前記難燃性軟質ポリウレタンフォームが80kg/m〜140kg/mの密度を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記難燃性軟質ポリウレタンフォームが150kPa以上の引張強さを有する、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記難燃性軟質ポリウレタンフォームが40,000レイル/m〜150,000レイル/mの通気抵抗率を有する、請求項4〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記難燃性軟質ポリウレタンフォームは、自動車のエンジンの周囲又は付近に、エンジンカバー、エンジンノイズインシュレーター、燃料インジェクター封止材、サイドカバー、オイルパンカバー、アンダーカバー、フードサイレンサー、又はダッシュボードサイレンサーとして配置される、請求項4〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記難燃性軟質ポリウレタンフォームが自動車のエンジン室内で使用するための難燃性軟質ポリウレタンフォームであって、当該フォームは、ハロゲンフリーであり、かつ、ポリリン酸アンモニウムフリーであり、0.5インチでV−0のUL94燃焼性等級、80kg/m〜140kg/mの密度、及び40,000レイル/m〜150,000レイル/mの通気抵抗率を有する、請求項4に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消音及び制振を必要とするフード(hood)自動車用途での使用に特に適する難燃性軟質ポリウレタンフォーム用の組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
キャビンのノイズは、自動車の乗員が快適性を感じる際の主要な要因であるため、ノイズ及び振動の制御は自動車製造業者にとって重要な課題である。従って、ノイズ及び振動軽減手段が、通常、自動車に組み込まれる。これらの軽減手段は、しばしば、軟質ポリウレタンフォームを使用する。しかし、かかるフォームは、典型的には、ノイズ及び振動吸収を犠牲にしても妥協できない1又は2以上の機能的な目的を果たすことが要求され、例えばフード用途では高い程度の難燃性を必要とし、場合によっては、アンダーライターズ・ラボラトリーズ規格94(UL 94)のV−0等級の高い難燃性を必要とする。
【0003】
ポリウレタンフォームにおける難燃剤の使用はよく知られている。炭酸カルシウム、水酸化アンモニウムなどの無機化合物、ハロリン酸化合物、メラミンなどの化合物と、ポリオールとを組み合わせて、難燃性を付与する方法も知られている。しかしながら、難燃性を付与するためには、多量のかかる化合物を添加しなければならず、しばしば特性、成形性、経済性などに関して著しい問題が生じる。
【0004】
難燃性軟質ポリウレタンフォームの製造方法は、ポリエステル系ポリウレタンフォーム用組成物に難燃剤としてハロゲン化リン酸エステルを加えること、及びポリウレタンフォームの原料であるポリヒドロキシル化合物又は有機ポリイソシアネートにリン又はハロゲン原子を加える反応性難燃剤を使用することを含んでもよい。しかし、これらの方法により得られたウレタンフォームは、時間の経過とともに変色し、フォーム自体が劣化し、そして、難燃剤が揮発するために十分な難燃性が長期間にわたって維持されない。
【0005】
近年の環境及び市場動向によって、非ハロゲン系難燃剤溶液が求められている。例えば、米国特許第6,765,034号明細書には、難燃剤を含まず、特定のイソシアネート混合物とポリオールの選択に依存する消音及び振動用途で使用するための難燃性軟質ポリウレタン組成物が開示されている。さらに、上記フォームの難燃性は、UL 94試験に比べてそれほど厳しくない燃焼試験であるFMVSS302燃焼試験についてのみ定義されている。FMVSS(米国連邦自動車安全基準)302は、燃焼に耐える材料の能力を表すUL 94垂直燃焼試験とは対照的に、材料の溶融(従って、延焼でない)する傾向に関係する水平燃焼試験である。
【0006】
米国特許出願公開第20030130365号明細書は、膨張性黒鉛と共に有機ホスフェート系難燃剤を含む硬質ポリウレタンフォームから軟質ポリウレタンフォームを製造する方法が記載されている。しかし、当該方法は破砕工程と加熱工程を必要とする多段階方法である。さらに、当該ポリウレタンフォームは、厳しい延焼FMVSS 302試験により評価されており、UL 94燃焼抵抗性能については言及されていない。
【0007】
米国特許第5,169,876号明細書には、UL 94 V−0を満たすセル壁に組み込まれた非常に高いレベル(20〜50質量%)の膨張性黒鉛を含む軟質ポリウレタンフォームが開示されている。しかし、この方法は、1つの流れが膨張性黒鉛を含む加熱分流ポリオール添加を必要とする。高レベルの膨張性黒鉛と複雑なプロセスステップのために高価な製品となり、また、得られるフォーム特性、例えば引張強さなどに悪影響を及ぼすことがある。
【0008】
特開平10−147623号公報には、ポリリン酸アンモニウム、赤リン及び膨張性黒鉛を含む複雑な難燃剤混合物を含む軟質ポリウレタンフォームが開示されている。しかし、UL 94 V−2又はV−0の要件を満たすために、当該フォームは、赤リンの量に対して4〜9倍の量のポリリン酸アンモニウムを必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第6,765,034号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2003/0130365号明細書
【特許文献3】米国特許第5,169,876号明細書
【特許文献4】特開平10−147623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
UL 94 V−0の要件を満たす消音及び振動用途用の難燃性軟質ポリウレタンフォーム組成物、及び従来の方法に対して費用対効果が高く、付加的な複数の工程を必要とせず、複雑な難燃剤混合物及び/又は高レベルの難燃剤を必要としない当該フォームを製造するための方法を求める要求に対しては未だ対処されていない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、かかる難燃性軟質ポリウレタンフォーム及び上記フォームの製造方法である。
【0012】
一実施形態において、本発明は、下記(A)及び(B):
(A)下記(i)を含むAサイド(A side):
(i)1又は2種以上の有機イソシアネート、及び
(B)下記(ii)〜(iv)を含むBサイド(B side):
(ii)1又は2種以上のイソシアネート反応性成分、
(iii)下記(iii.a)〜(iii.c)の組み合わせを含む難燃剤成分:
(iii.a)0.1〜6質量部の赤リン、
(iii.b)膨張性黒鉛、好ましくは0.5〜10質量部、及び
(iii.c)必要に応じて、クエン酸ナトリウム、0.5〜15質量部で存在する場合が好ましい、
ここで、上記難燃剤成分はポリリン酸アンモニウムを含まず、質量部はBサイドの総質量を基準とする、
及び、
(iv)触媒、発泡剤、セルオープナー、界面活性剤、架橋剤、連鎖延長剤、難燃剤、充填剤、着色剤、顔料、帯電防止剤、強化繊維、酸化防止剤、防腐剤、又は酸捕捉剤から選ばれる1又は2種以上のさらなる成分;
の混合物を含む難燃性軟質ポリウレタンフォームを製造するための反応性配合物であり、当該反応性配合物から製造された難燃性軟質ポリウレタンフォームはアンダーライターズ・ラボラトリーズ規格94燃焼試験(UL 94)に従って0.5インチでV−0の等級を達成する。
【0013】
本発明の好ましい一実施形態において、ここに開示される反応性配合物の有機イソシアネートは、モノマーMDI、ポリマーMDI、それらの組み合わせ、及び/又はポリイソシアネートを形成するウレトンイミン及び/又はカルボジイミド基を導入することにより得られた液状の変種(variants)を含み、前記カルボジイミド及び/又はウレトンイミン変性ポリイソシアネートは29〜33%のNCO値を有し、前記ポリイソシアネートには1〜45質量%のモノマーの形態の2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート及び/又はそのカルボジイミド化生成物が含まれる。
【0014】
本発明の別の好ましい実施形態において、ここで開示される反応性配合物のイソシアネート反応性成分はエチレンオキシドキャップドポリエーテルポリオールを含む。
【0015】
本発明の別の実施形態は、以下の工程:
(I)下記(A)及び(B)を形成する工程:
(A)下記(i)を含むAサイド:
(i)1又は2種以上の有機イソシアネート、
(B)下記(ii)〜(iv)を含むBサイド:
(ii)1又は2種以上のイソシアネート反応性成分、
(iii)下記(iii.a)〜(iii.c)の組み合わせを含む難燃剤成分:
(iii.a)0.1〜6質量部の赤リン、
(iii.b)膨張性黒鉛、好ましくは0.5〜10質量部、及び
(iii.c)必要に応じて、クエン酸ナトリウム、0.5〜15質量部で存在する場合が好ましい、
ここで、上記難燃剤成分はポリリン酸アンモニウムを含まず、質量部はBサイドの総質量を基準とする、
及び、
(iv)触媒、発泡剤、セルオープナー、界面活性剤、架橋剤、連鎖延長剤、難燃剤、充填剤、着色剤、顔料、帯電防止剤、強化繊維、酸化防止剤、防腐剤、又は酸捕捉剤から選ばれる1又は2種以上のさらなる成分;
(II)上記Aサイド及びBサイドを混合して反応性配合物を形成する工程;及び
(III)得られた反応性配合物を、硬化するのに十分な条件にさらして、難燃性軟質ポリウレタンフォームを形成する工程、
により、難燃性軟質ポリウレタンフォームを製造するための方法であり、好ましくは、上記フォームは、自動車のエンジンの周囲又は付近に、エンジンカバー、エンジンノイズインシュレーター、燃料インジェクター封止材、サイドカバー、オイルパンカバー、アンダーカバー、フードサイレンサー、又はダッシュボードサイレンサーとして配置され、
上記フォームは、アンダーライターズ・ラボラトリーズ規格94燃焼試験(UL 94)に従って0.5インチでV−0の等級を達成する。
【0016】
上記の反応性配合物及び/又は方法の好ましい一実施形態において、難燃性軟質ポリウレタンフォームは80kg/m〜140kg/mの密度を有する。
【0017】
上記の反応性配合物及び/又は方法の好ましい一実施形態において、難燃性軟質ポリウレタンフォームは150kPa以上の引張強さを有する。
【0018】
上記の反応性配合物及び/又は方法の好ましい一実施形態において、難燃性軟質ポリウレタンフォームは40,000レイル(rayl)/m〜150,000レイル/mの通気抵抗率(air flow resistivity)を有する。
【0019】
さらに別の実施形態において、本発明は、自動車のエンジン室内で使用するための難燃性軟質ポリウレタンフォームであって、当該フォームは、ハロゲンフリーであり、かつ、ポリリン酸アンモニウムフリーであり、0.5インチでV−0のUL 94燃焼性等級、80kg/m〜140kg/mの密度、及び40,000レイル/m〜150,000レイル/mの通気抵抗率を有する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係る軟質ポリウレタンフォームは、1又は2種以上の有機イソシアネート(i)を含むAサイドと、1又は2種以上のイソシアネート反応性成分(ii)、赤リン(iii.a)と膨張性黒鉛(iii.b)と必要に応じてクエン酸ナトリウム(iii.c)の組み合わせを含む難燃剤成分(iii)(当該難燃剤成分はポリリン酸アンモニウムを含まない)、及び必要に応じて1又は2種以上の添加剤(iv)を含むBサイドを含み、反応性配合物から製造される。
【0021】
本発明の組成物及び方法において使用するのに好適な有機イソシアネート(i)としては、脂肪族、脂環式、芳香族脂肪族、及び好ましくは芳香族イソシアネート、例えば2,4及び2,6−異性体の形態のトルエンジイソシアネート及びそれらの混合物、及び2,4’−、2,2’−及び4,4’−異性体の形態のジフェニルメタンジイソシアネート及びそれらの混合物、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)と当該技術分野で「粗製物」として知られている2より大きいイソシアネート官能価を有するそれらのオリゴマー又はポリマーMDI(ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート)との混合物、ウレタン、アロファネート、尿素、ビウレット、カルボジイミド、ウレトンイミン及び/又はイソシアヌレート基を含むMDIの公知の変種が挙げられる。
【0022】
好ましくは、モノマーMDI、粗製MDI、ポリマーMDI、それらの組み合わせ、及び/又はそれらの液状の変種は、前記ポリイソシアネートにウレトンイミン及び/又はカルボジイミド基を導入することにより得られ、かかるカルボジイミド及び/又はウレトンイミン変性ポリイソシアネートは29〜33%のNCO値を有し、1〜45質量%のモノマーの形態の2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート及び/又はそれらのカルボジイミド化生成物を含む。かかるカルボジイミド及び/又はウレトンイミン変性ポリイソシアネートについての詳しい説明については、引用によりその全内容を本明細書に援用する米国特許第6,765,034号を参照のこと。
【0023】
本発明において、有機イソシアネート成分は、必要に応じて、モノマーMDIに加えて、及び/又はモノマーMDIの代わりに、1又は2種以上の有機ポリイソシアネートを含んでもよい。ただし、他のポリイソシアネート化合物は、軟質ポリウレタンフォームの所望の消音、制振及び難燃特性についての性能に悪影響を及ぼさないことを条件とする。かかる他のポリイソシアネート化合物の典型的な例としては、少なくとも、上に示したモノマーMDIの化合物のうちの少なくとも1種と好適な活性水素化合物との反応によって形成されるイソシアネート末端プレポリマーが挙げられる。得られるフォームの成形性及び他の特性を改善するために、その他のポリイソシアネート化合物を、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、及びその変性物などの有機イソシアネートの中から選択することができる。これらのイソシアネート類は、2種以上を組み合わせて用いてもよい。最も好ましくは、2.1〜3.0、好ましくは2.2〜2.8の平均イソシアネート官能価を有する複数のポリイソシアネート類が使用される。
【0024】
弾性軟質フォームを製造するために使用されるポリイソシアネートの量は、典型的には、0.6〜1.5、好ましくは0.6〜1.2のイソシアネートインデックスをもたらすのに十分な量であるが、特別な場合により広い範囲を使用できる。好ましい範囲は0.7〜1.05であり、より好ましい範囲は0.75〜1.05である。
【0025】
本発明のBサイドはイソシアネート反応性成分(ii)を含み、イソシアネート反応性成分(ii)としては、その目的のために当該技術分野で知られている任意のタイプの化合物、例えば、ポリアミン、アミノアルコール及びポリオールが挙げられる。
【0026】
好適なポリオールは、先行技術で十分に記載されており、好適なポリオールとしては、アルキレンオキシド、例えばエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドと、1分子当たり2〜8個の活性水素原子を含む開始剤との反応生成物が挙げられる。好適な開始剤としては、ポリオール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、ペンタエリトリトール、ソルビトール及びショ糖;ポリアミン、例えばエチレンジアミン、トリレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン及びポリメチレンポリフェニレンポリアミン;及び、アミノアルコール、例えばエタノールアミン及びジエタノールアミン、並びにかかる開始剤の混合物が挙げられる。他の好適なポリオールとしては、適切な割合のグリコール及び高官能性ポリオールとポリカルボン酸との縮合により得られるポリエステルが挙げられる。さらに、好適なポリオールとしては、ヒドロキシル末端ポリチオエーテル、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリオレフィン及びポリシロキサンが挙げられる。さらに、好適なイソシアネート反応性成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン及び前述の他の開始剤が挙げられる。かかるイソシアネート反応性成分の混合物も同様に使用できる。最も好ましくは、第1級、第2級又は第3級窒素原子を含まないポリオールが使用される。
【0027】
本発明の軟質ポリウレタンフォームの製造に特に重要なものは、1200以上、好ましくは1500以上、より好ましくは1700以上のヒドロキシル当量を有するポリオール及びポリオール混合物である。ポリオール当量は、1分子のヒドロキシル官能価で割ったポリオールの分子量である。本発明の軟質ポリウレタンフォームの製造に特に重要なものは、4000以下、好ましくは3000以下、より好ましくは2500以下のヒドロキシル当量を有するポリオール及びポリオール混合物である。本発明の軟質フォームの製造に使用されるポリオールは、好ましくは2〜8、好ましくは2〜4の平均公称ヒドロキシル官能価を有する。
【0028】
軟質フォームの製造に特に重要なものは、アルキレンオキシド、例えばエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドと、1分子当たり2〜8個の活性水素原子を含む開始剤との反応生成物である。好適な開始剤としては、ポリオール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、ペンタエリトリトール及びソルビトール;ポリアミン、例えばエチレンジアミン、トリレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン及びポリメチレンポリフェニレンポリアミン;及びアミノアルコール、例えばエタノールアミン及びジエタノールアミン;並びにかかる開始剤の混合物が挙げられる。他の好適なポリオールとしては、適切な割合のグリコール及び高官能性ポリオールとポリカルボン酸との縮合により得られるポリエステルが挙げられる。さらに、好適なポリオールとしては、ヒドロキシル末端ポリチオエーテル、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリオレフィン及びポリシロキサンが挙げられる。好ましいポリオールは、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド単位を含むポリエーテルポリオールであり、最も好ましくは、少なくとも10質量%、好ましくは10〜85質量%のオキシエチレン含有量を有するポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオールである。好ましいイソシアネート反応性成分は、エチレンオキシドキャップドポリエーテルポリオールを含む。
【0029】
使用することができる他のポリオールは、上記の種類のポリオール中に付加又は縮合ポリマーを含む分散体又は溶液を構成する。しばしば「コポリマー」ポリオールと呼ばれるかかる変性ポリオールは、従来技術で十分に説明されており、かかる変性ポリオールとしては、ポリマーポリオール、例えばポリエーテルポリオール中での1又は2種以上のビニルモノマー、例えばスチレン及びアクリロニトリルの現場(in situ)重合、又はポリマーポリオール中でのポリイソシアネートとアミノ−又はヒドロキシル官能性化合物、例えばトリエタノールアミンの現場(in situ)反応により得られる生成物が挙げられる。
【0030】
本発明に従う特に興味深いポリマー変性ポリオールは、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオール中でのスチレン及び/又はアクリロニトリルの現場(in situ)重合により得られる生成物、及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオール中でのポリイソシアネートとアミノ又はヒドロキシ官能性化合物(例えば、トリエタノールアミンなど)との現場反応により得られる生成物である。
【0031】
5〜50%の分散ポリマーを含むポリオキシアルキレンポリオールが特に有用である。50ミクロン未満の分散ポリマーの粒径が好ましい。かかるイソシアネート反応性成分の混合物も同様に使用できる。最も好ましくは、第1級、第2級又は第3級窒素原子を含まないポリオールが使用される。
【0032】
Bサイドは、さらに、赤リン(iii.a)と、膨張性黒鉛(iii.b)と、必要に応じてクエン酸ナトリウム(iii.c)の組み合わせを含む難燃剤成分(iii)を含む。好ましい実施形態において、難燃剤成分は、ポリリン酸アンモニウムを含有しない。本発明の難燃性軟質ポリウレタンフォーム用組成物を構成する赤リンは無機である。無機赤リンは、未処理のもの、無機物及び/又は有機物により表面処理されたもの(以下、被覆された赤リンと呼ぶ)などであることができる。これは、安定性や取扱い易さの点で、被覆された赤リンを使用することが特に好ましい。市販の赤リン製品の例としては、燐化学工業株式会社から入手可能なノーバレッド(NOVA RED)(登録商標)及びノーバエクセル(NOVA EXCEL)(登録商標)、日本化学工業(株)から入手可能なヒシガード(HISHIGUARD)(登録商標)、クラリアント(Clariant)から入手可能なEXOLIT(登録商標)RP607が挙げられる。
【0033】
赤リンは、濃縮物としてニートで、あるいは混合物、溶液、又は、例えばヒマシ油、ジフェニルオクチルホスフェート、トリス(クロロプロピル)ホスフェート(TCCP)など、例えばクラリアントから入手可能なEXOLIT(登録商標)RP 6590(TP)及びEXOLIT RP 6580などのキャリア媒体中のチキソトロープ分散体として使用される。
【0034】
赤リン(iii.a)は、Bサイドの総質量を基準として0.1部以上、好ましくは0.5部以上、Bサイドの総質量を基準としてより好ましくは1部以上の量で存在する。赤リン(iii.a)は、Bサイドの総質量を基準として10部以下、好ましくは8部以下、Bサイドの総質量を基準としてより好ましくは6質量部以下の量で存在する。
【0035】
難燃性成分(iii)は、さらに、当該技術分野でよく知られている膨張性黒鉛(iii.b)から構成される。例としては、濃硫酸、硝酸又は他のかかる無機酸、及び濃硝酸、過塩素酸、過マンガン酸、重クロム酸塩又は他のかかる強酸化剤によって、天然フレーク状黒鉛、熱分解黒鉛、キッシュ黒鉛又は他のかかる粉末を処理することによって、黒鉛層間化合物を成長した炭素の層状構造を維持する結晶性化合物が挙げられる。アンモニア、脂肪族低級アミン、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物などにより中和された膨張性黒鉛が好ましく使用される。脂肪族低級アミンの例としては、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミンなどが挙げられる。アルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物の例としては、カリウム、ナトリウム、カルシウム、バリウム、マグネシウムなどの水酸化物、酸化物、炭酸塩、硫酸塩、有機酸塩などが挙げられる。好ましくは、膨張性黒鉛フレークは、0.3〜1.0mmのサイズを有する。
【0036】
一実施形態において、使用される膨張性黒鉛(iii.b)は、黒鉛メッシュの面間に組み込まれた、炭化水素環の2個の正の自由原子価に結合した例えば2個の負の自由原子価を有するHSO又はSOを有する黒鉛から形成されたものである。軟質ポリウレタンフォームが燃焼した場合、この黒鉛は、その体積の100〜200倍に膨張し、SO及び/又はSOと水を生じる。市販の膨張性黒鉛生成物の例としては、Naycol Nano Technologies,Inc.から入手可能なNYAGRAPH(登録商標)、日本化成(株)から入手可能なCA−60S(登録商標)、及びGraphitwerk Kropfmuehlm AGから入手可能なCALLOTEK(登録商標)が挙げられる。
【0037】
膨張性黒鉛(iii.b)は、Bサイドの総質量を基準として0.5部以上、好ましくは1部以上、Bサイドの総質量を基準としてより好ましくは2部以上の量で存在する。赤リン(iii.b)は、Bサイドの総質量を基準として10部以下、好ましくは8部以下、Bサイドの総質量を基準としてより好ましくは6質量部以下の量で存在する。
【0038】
難燃材成分(iii)は、必要に応じて、さらに、技術分野でよく知られているクエン酸ナトリウム(iii.c)から構成されていてもよい。
【0039】
クエン酸ナトリウム(iii.c)が本発明の難燃剤成分(iii)中に存在する場合、クエン酸ナトリウムは、Bサイドの総質量を基準として0.5部以上、好ましくは1部以上、より好ましくは2部以上の量で存在する。クエン酸ナトリウム(iii.c)が本発明の難燃剤成分(iii)中に存在する場合、クエン酸ナトリウムは、Bサイドの総質量を基準として15部以下、好ましくは12部以下、より好ましくは10部以下の量で存在する。
【0040】
一実施形態において、本発明のAサイド、Bサイド及び/又は反応性配合物は、それらから製造される軟質ポリウレタンフォームの難燃性能を改善するために、赤リン(iii.a)、膨張性黒鉛(iii.b)、必要に応じてクエン酸ナトリウム(iii.c)に加えて、ポリリン酸アンモニウム以外のさらなる化合物、例えば無機及び/又は有機の、ハロゲン化された及び/又はハロゲン化されていないものを含んでもよい。
【0041】
一実施形態において、本発明のAサイド、Bサイド、反応性配合物、難燃剤成分(iii)、及び/又は軟質ポリウレタンフォームは、赤リン(iii.a)、膨張黒鉛(iii.b)及び必要に応じてクエン酸ナトリウム(iii.c)以外の難燃剤添加剤を含まない。
【0042】
一実施形態において、本発明のAサイド、Bサイド、反応性配合物、難燃剤成分(iii)、及び/又は軟質ポリウレタンフォームは、赤リン(iii.a)及び膨張黒鉛(iii.b)以外の難燃剤添加剤を含まない。
【0043】
別の実施形態において、本発明のAサイド、Bサイド、反応性配合物、難燃剤成分(iii)、及び/又は軟質ポリウレタンフォームは、有機リン含有化合物を含まない。
【0044】
別の実施形態において、本発明のAサイド、Bサイド、反応性配合物、難燃剤成分(iii)、及び/又は軟質ポリウレタンフォームは、カゼインを含まない。
【0045】
別の実施形態において、本発明のAサイド、Bサイド、反応性配合物、難燃剤成分(iii)、及び/又は軟質ポリウレタンフォームは、ハロゲン系難燃剤を含まない。換言すれば、本発明のAサイド、Bサイド、及び/又は反応性配合物は、非ハロゲン系難燃剤のみを含む。
【0046】
軟質ポリウレタンフォームを製造するための、1又は2種以上の有機イソシアネート(i)、1又は2種以上のイソシアネート反応性成分(ii)、及び赤リン(iii.a)と膨張性黒鉛(iii.b)と必要に応じてクエン酸ナトリウム(iii.c)の組み合わせを含む難燃剤成分(当該難燃剤成分は、ポリリン酸アンモニウムを含まない)を含む本発明の反応性配合物の反応は、使用される特定の製造プロセスにおいて有用であろう又は得られるフォームに所望の特性を付与するための様々なタイプの他のさらなる材料(iv)の存在下で実施できる。これらとしては、例えば、触媒、発泡剤、セルオープナー、界面活性剤、架橋剤、連鎖延長剤、難燃剤(赤リン、膨張性ポリリン酸アンモニウム及びクエン酸ナトリウムを除く)、充填剤、着色剤、顔料、帯電防止剤、強化繊維、酸化防止剤、防腐剤、酸捕捉剤などが挙げられる。
【0047】
Bサイドは、1又は2種以上のさらなる成分(iv)を含んでもよい。例えば、本発明の軟質ポリウレタンフォームを製造するために、発泡剤が必要とされ、発泡剤は好ましくは水である。しかし、水の量が所望の密度のフォームを得るのに十分でない場合、減圧又は可変圧力の使用、空気、N及びCOのような気体の使用、クロロフルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、炭化水素及びフルオロカーボンのようなより一般的な発泡剤の使用、他の反応性発泡剤、すなわち反応混合物中の成分のいずれかと反応してその反応により気体を放出し、当該気体が混合物を発泡させる薬剤、及びカルボジイミド形成促進触媒、例えばホスホレンオキシドなどの使用のような、気体の形成をもたらす反応を促進する触媒の使用のような、ポリウレタンフォームを製造するための任意の他の既知の方法をさらに使用できる。フォームを製造するためのこれらの方法の組み合わせも同様に使用できる。発泡剤の量は、様々な値をとることができ、主に所望の密度に依存する。水は、周囲温度未満、周囲温度又は高温で液体として、及び蒸気として使用できる。
【0048】
本発明の一実施形態は、水とCOの組み合わせであり、COは、フォームを製造するための装置の混合ヘッドにおいて、フォームを製造するために成分に、イソシアネート反応性成分に、好ましくはポリイソシアネートをイソシアネート反応性成分にポリイソシアネーとを接触させる前にポリイソシアネートに添加される。
【0049】
一実施形態において、本発明の軟質ポリウレタンフォームは、水の存在下に、(A)有機イソシアネート(i)を含むAサイドと、(B)イソシアネート反応性成分(ii)と、難燃剤添加剤(iii)を含むBサイドを含む反応性配合物から製造される。好ましくは、かかる配合物は、イソシアネート反応性成分(ii)の総質量を基準にして、1〜7質量%、特に1〜6質量%の水を含む。望ましい軟質ポリウレタンフォームは、スラブストックプロセス又はクローズドモールドで実施できる。クローズドモールド成形法は、フード用途の成形品、例えば、エンジン封止部材を製造するのに好ましい。
【0050】
追加の成分(iv)として、1又は2種以上の触媒が、本発明の反応性配合物のBサイドに存在してもよい。触媒の1つの好ましいタイプは、第3級アミン触媒である。第3級アミン触媒は、ポリオールと有機イソシアネートと少なくとも1種の第3級アミン基との反応のための触媒活性を有する任意の化合物であることができる。代表的な第3級アミン触媒としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、N−メチルモルホリン、N−エチル−モルホリン、N,N−ジメチルベンジルアミン、Ν,Ν−ジメチルエタノールアミン、Ν,Ν,Ν’,Ν’−テトラメチル−1,4−ブタンジアミン、Ν,Ν−ジメチルピペラジン、1,4−ジアゾビシクロ−2,2,2−オクタン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、モルホリン、4,4’−(オキシジ−2,1−エタンジイル)ビス、トリエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N−アセチルΝ,Ν−ジメチルアミン、N−ココ−モルホリン、Ν,Ν−ジメチルアミノメチル−N−メチルエタノールアミン、N,N,N’−トリメチル−N’−ヒドロキシエチル−ビス(アミノエチル)エーテル、N,N−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)N−イソプロパノールアミン、(Ν,Ν−ジメチル)アミノ−エトキシエタノール、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサンジアミン、1,8−ジアザビシクロ−5,4,0−ウンデセン−7,Ν,Ν−ジモルホリノジエチルエーテル、N−メチルイミダゾール、ジメチルアミノプロピルジプロパノールアミン、ビス(ジメチルアミノプロピル)アミノ−2−プロパノール、テトラメチルアミノビス(プロピルアミン)、(ジメチル(アミノエトキシエチル))((ジメチルアミン)エチル)エーテル、トリス(ジメチルアミノプロピル)アミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、ビス(N,N−ジメチル−3−アミノプロピル)アミン、1,2−エチレンピペリジン、及びメチル−ヒドロキシエチルピペラジンが挙げられる。
【0051】
反応性配合物のBサイドは、前述の第三級アミン触媒に加えて又は代わりに、1又は2種以上の他の触媒を含んでもよい。これらの中で特に興味深いものは、錫カルボキシレート及び四価の錫の化合物である。これらの例としては、オクタン酸第一錫、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジメルカプチド、ジアルキル錫ジアルキルメルカプト酸、ジブチル錫オキシド、ジメチル錫ジメルカプチド、ジメチル錫ジイソオクチルメルカプトアセテートなどが挙げられる。
【0052】
触媒は、典型的には少量で使用される。例えば、使用される触媒の総量は、イソシアネート反応性化合物(ii)の総質量に基づいて好ましくは0.0015〜5質量%、0.001〜1質量%であることができる。有機金属触媒は、典型的には、これらの範囲の下限に近い量で使用される。
【0053】
Bサイドは、追加成分(iv)として、架橋剤を含んでもよく、架橋剤が使用されることが好ましいが、架橋剤が架橋剤が使用される場合でも、架橋剤は2質量%以下、0.75質量%以下、又は0.5質量%以下の量で使用される。架橋剤は、1分子当たり少なくとも3個のイソシアネート反応性基を含有し、イソシアネート反応性基1個当たり30〜約125、好ましくは30〜75の当量を有する。例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミン等のアミノアルコールは、好ましいタイプであるが、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの化合物も使用できる。
【0054】
Bサイドは、追加の成分(iv)などの界面活性剤を含んでもよい。界面活性剤は好ましくは、フォーム配合物が膨張し、硬化する際にフォームを安定化するのを助けるためにフォーム配合物に含められる。界面活性剤の例としては、非イオン性界面活性剤及び湿潤剤、例えば、プロピレングリコールへのプロピレンオキシド、次いで、エチレンオキシドをプロピレングリコール、固体又は液体有機シリコーン、及び長鎖アルコールのポリエチレングリコールエーテルが挙げられる。イオン性界面活性剤、例えば長鎖アルキル酸硫酸エステル、アルキルスルホン酸及びアルキルアリールスルホン酸の第3級アミン又はアルカノールアミン塩も使用できる。プロピレンオキシドの逐次付加、次いで、プロピレングリコールへのプロピレンオキシド、次いでエチレンオキシドの逐次付加により製造される界面活性剤が好ましく、そのようなものには固体又は液体有機シリコーンがある。有用な有機シリコーン界面活性剤の例としては、市販のポリシロキサン/ポリエーテルコポリマー、例えばGoldschmidt Chemical Corp.から入手可能なTEGOSTAB(登録商標)B−8729及びB−8719LF、並びにMomentive Performance Materialsから入手可能なNIAX(登録商標)L2171界面活性剤が挙げられる。非加水分解性の液体有機シリコーンがより好ましい。界面活性剤が使用される場合、有機イソシアネート(i)の総質量に基づいて0.0015〜1質量%の量で界面活性剤が存在する。
【0055】
セルオープナーは、反応性配合物のBサイドに追加成分(iv)として存在してもよい。セルオープナーは、重合反応中に、セル壁を壊してオープンセル構造の形成を促進するように機能する。高い連続気泡(open cell)含有量(数で少なくとも25%、好ましくは少なくとも50%)が、ノイズ及び振動吸収用途に使用されるフォームに通常有益である。有用なタイプのセルオープナーとしては、5000又はそれ以上の分子量を有するエチレンオキシドホモポリマー又はエチレンオキシドと少ない割合のプロピレンオキシドとのランダムコポリマーが挙げられる。これらのセルオープナーは、好ましくは少なくとも4個のヒドロキシル官能基を有し、より好ましくは少なくとも6個のヒドロキシル官能基を有する。セルオープナーは、好ましくは、イソシアネート反応性化合物(ii)の総質量に基づいて約0.5〜約5質量%の量で使用される。
【0056】
連鎖延長剤は、本発明の反応性配合物のBサイドに追加成分(iv)として使用できる。連鎖延長剤は、正確に2個のイソシアネート反応性基を有する化合物であり、イソシアネート反応性基1個当たり499以下、好ましくは250以下当量を有してもよい。連鎖延長剤が存在する場合、連鎖延長剤は、通常、少量で、例えばイソシアネート反応性化合物(ii)の総質量を基準にして、10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは2質量%以下の量で使用される。好適な連鎖延長剤の例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4−ジメチロールシクロヘキサン、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−プロパンジオール、ジエトルエンジアミン、アミン末端ポリエーテル、例えばHuntsman Chemical Company製のJEFFAMINE(登録商標)D−400、アミノエチルピペラジン、2−メチルピペラジン、1,5−ジアミノ−3−メチル−ペンタン、イソホロンジアミン、エチレンジアミン、ヘキサンジアミン、ヒドラジン、ピペラジン、それらの混合物などが挙げられる。
【0057】
Bサイドは、追加成分(iv)として、製品の全体のコスト、耐荷重性及び他の物理的特性を低下させる充填剤を含んでもよい。充填剤は、ポリウレタン反応性配合物(すなわち、有機イソシアネート(i)は、ポリウレタン反応性配合物の総質量(すなわち、有機イソシアネート(i)、イソシアネート反応性化合物(ii)、及び難燃剤成分(iii)の総質量の総質量の約50%以下を構成することができる。好適な充填剤としては、タルク、マイカ、モンモリロナイト、大理石、硫酸バリウム(バライト)、粉砕ガラス花崗岩、粉砕ガラス、炭酸カルシウム、アルミニウム三水和物、カーボン、アラミド、シリカ、シリカ−アルミナ、ジルコニア、タルク、ベントナイト、三酸化アンチモン、カオリン、石炭系フライアッシュと窒化ホウ素が挙げられる。
【0058】
軟質フォームは、スラブストックプロセス又はクローズドモールド成形プロセスで本発明に従って製造できる。おいて本発明に従って製造することができる。スラブストックフォームは、使用のために必要な形状及び大きさに切断される大きなバンとして形成される。クローズドモールド成形プロセスは、発泡がクローズドモールドで起こるいわゆる熱成形プロセス又はコールド成形プロセスのいずれかであることができる。フォームが硬化した後、モールドを開け、軟質フォームを取り出す。一体的なスキンをモールド内でフォームの表面に形成できる。望ましい表面を有するフォームを製造するために、反応性配合物を導入する前に、フィルム、布帛、皮革、又は他のカバーストックをモールド内に入れることができる。
【0059】
本発明に係るエチレンオキシドでキャップされたポリプロピレンオキシドの混合物を含むポリウレタンフォーム配合物は、特に、上記のように水が発泡剤として使用される場合、特に唯一の発泡剤として水が使用される場合、加工性が良好であることが見いだされた。本明細書において、良好な加工性とは、フォーム配合物が良好な品質のフォームを工業的設定で一貫して製造できる能力を意味する。本明細書において、良好な加工性とは、一貫して均一なセル構造、完全なモールド充填、一貫して良好な表面外観、一貫したフォーム密度、及びフォームが製造されてからの継時的なフォームの物理的特性の一貫性を意味する。フォーム配合物は、他の含水率が高いフォーム配合物では著しい生成物の一貫性のなさをしばしばもたらす運転温度、触媒レベル、及び他の加工条件の小さな変化を許容する。
【0060】
しばしば、複数のセルを連続させるにフォームを粉砕することが好ましい。高い気泡含有量(数で少なくとも25%、好ましくは少なくとも50%)が、ノイズ及び振動吸収用途に使用されるフォームに通常有益である。
【0061】
軟質ポリウレタンフォームは、指定された条件の下で落下させたときにフォームの表面からボールが跳ね返る高さを測定するASTM D−3574のボール跳ね返り試験を使用して測定される弾性を有することを特徴とする。このASTM試験では、フォームは、少なくとも40%、特に少なくとも50%の弾性を示す。本発明の軟質ポリウレタンフォームは、有利には、4〜10ポンド/立方フィート(PCF)(64〜160kg/mと)の範囲の密度、好ましくは5〜8.8ポンド/立方フィート(80〜140kg/m)の範囲内の密度も有する。密度は、ASTM D 3574に従って簡便に測定される。
【0062】
本発明の軟質ポリウレタンフォームは、有利には150〜800kPaの範囲内の引張強さを有する。好ましくは、本発明に係るフォームの引張強さは150kPa以上、より好ましくは200kPa以上、さらに好ましくは250kPa以上、よりいっそう好ましくは300kPa以上である。好ましくは、本発明に係るフォームの引張強さは、800kPa以下、より好ましくは700kPa以下、さらに好ましくは600kPa以下、よりいっそう好ましくは500kPa以下である。引張強さは、ASTM D 3574に従って簡便に測定される。
【0063】
本発明の弾性軟質ポリウレタンからのノイズ及び振動吸収用途、例えば成形部品などの振動吸収用途の吸音性能を測定する1つの手段は、個々のOEM仕様に従って、例えば、インピーダンス管などの装置、又は一般的に残響室と呼ばれているものを使用することによるものである。吸音性能を評価するために使用される別の試験は、ASTM C522−87に従う通気抵抗率である。好ましくは、ノイズ及び振動吸収用途の場合、通気抵抗率は、30,000〜200,000レイル/m、より好ましくは40,000〜150,000レイル/mの範囲内にあるべきである。レイルは圧力を体積流量で割ったものであり、Pa/(m/s)(又はPa・s/m)に相当する。通気抵抗率は、レイル/m単位で表され、これは、圧力を体積流量で割り、フォーム試験片の厚さで割ったものである。
【0064】
本発明の難燃性軟質ポリウレタンフォームを製造するために、反応性配合物を調製する。当該反応性配合物は、(i)1又は2種以上の有機イソシアネートを含むAサイドと、(ii)1又は2種以上のイソシアネート反応性成分、(iii.a)赤リンと(iii.b)膨張性黒鉛と(iii.c)必要に応じてクエン酸ナトリウムの組み合わせを含む難燃剤成分(iii)(当該難燃剤成分は、ポリリン酸アンモニウムを含まない)と、(iv)触媒、発泡剤、セルオープナー、界面活性剤、架橋剤、連鎖延長剤、難燃剤(赤リン、膨張黒鉛、及びクエン酸ナトリウムを除く)、充填剤、着色剤、顔料、帯電防止剤、強化繊維、酸化防止剤、防腐剤、又は酸捕捉剤から選ばれる1又は2種以上のさらなる成分を含む反応性配合物から製造される。「Bサイド」は、適切な量のポリオール、難燃剤成分、発泡剤、触媒、発泡助剤、及び所望のポリオール成分/最終的なフォームに特異的な他の助剤を含むプレミックスである。Bサイドの組成に応じて、これらの成分を混合するのに40℃を超える高温を必要とすることがある。好ましくは、Bサイドは、40℃未満の温度で混合され、より好ましくは、Bサイドは、周囲温度(本明細書では、20℃〜30℃と定義する)で混合される。次に、Bサイドを、所望の比率で「Aサイド」に含まれる特定の有機(ポリ)イソシアネート成分と混合して反応性配合物を形成する。この反応性配合物は、混合されると、発泡反応することができる。ポリオールプレミックス(Bサイド)と有機ポリイソシアネート成分(Aサイド)は、任意の公知のウレタン発泡装置により混合される。得られた反応性配合物は、当該反応性配合物を硬化させるのに十分な条件にさらされ、0.5インチでUL 94 V−0の等級を得る難燃性軟質ポリウレタンフォームを形成する。反応性配合物は、発泡/硬化反応がモールド内で起こって所望のポリウレタンフォームを形成するように適切なモールド内に導入されるか、又は反応性配合物を発泡/硬化させてスラブストックを形成するか、あるいは反応性配合物を現場で発泡させる。
【0065】
このようにして製造された難燃性軟質ポリウレタンフォームは、本発明に係る難燃性の、ノイズ及び振動吸収用途に使用することができ、例えば、フォームを、エンジンから伝わる音又はノイズの量を低減するために、自動車のエンジンの周囲又は付近に配置される、エンジンカバー、エンジンノイズインシュレーター、燃料インジェクター封止材、サイドカバー、オイルパンカバー、アンダーカバー、フードサイレンサー及びダッシュボードサイレンサーとして、使用でき及び/又は使用するために物品に成形でき及び/又は現場で成形/発泡できる。特に、難燃性軟質ポリウレタンフォームは、エンジン及び周辺装置との間のギャップ又は空間を埋めるためのスペーサ又は充填材として、又は定在波を減衰させるためのエンジン部品の封入のために使用される物品に好適に使用及び/又は成形でき又は現場で成形/発泡できる。
【実施例】
【0066】
比較例A〜E及び実施例1〜4は、軟質ポリウレタンフォームを提供するために使用した、ポリオール成分及び他の添加剤(Bサイド)とイソシアネート成分(Aサイド)を含む反応配合組成を成す。ポリオール成分は、1又は2種以上のポリオール、触媒、難燃剤成分、架橋剤(ジエチレングリコール)、発泡剤(水)、シリコーン系界面活性剤、黒色着色剤を含み、これらの成分は予め混合した。ポリオール成分を混合する際に、最初に赤リンを加え最後に膨張性黒鉛を加えた。全ての成分を周囲温度(この場合には、約23℃)でBサイドに加え混入した。イソシアネート成分は、72質量%の4,4’−MDI及び2質量%の2,4’−MDI、約145の当量及び約29のイソシアネート含有量を有するカルボジイミド変性MDIを含んでいた。ポリオール成分とイソシアネート成分を、40インチ×40インチ×1インチ(101.6cm×101.6cm×2.54cm)のフレームと20インチ×20インチ×1インチ(50.8cm×50.8cm×2.54cm)のモールドインサートを備えたHiTech高圧インピンジメント混合機を使用してフォームパッドに成形した。試験モールドの上部及び下部を54℃に加熱した。Bサイドを27℃に加熱し、Aサイドを27℃に加熱した。Bサイド及びAサイドの両方に対する射出圧は2000ポンド/平方インチ(psi)であった。ショットサイズは680〜750グラム(g)であり、ショット時間は2.25〜2.45秒間(s)であった。硬化時間は3分間(min)であった。フォームが硬化した後、モールドを開け、フォームをモールドから取り出した。
【0067】
比較例A〜E及び各実施例1〜4についてのポリオール成分(Bサイド)の組成を表1に示す。
【0068】
比較例A及びEと実施例1〜4について、配合したポリオールブレンド(ポリオール及び他の添加剤を含む)は、以下の成分から調製した。量は、配合したポリオールブレンドの総質量に基づく質量%で示されている。ポリオール成分(B)を構成する成分の量は、ポリオール成分(B)の総質量に基づく部数で示されている。ポリオール成分(B)とイソシアネート成分(A)の比は部数で示されている。表1において:
「ポリオール−1」は、ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー(The Dow Chemical Company)からVORANOL(登録商標)2100ポリオールとして入手可能な、56のヒドロキシル価及び1,000の当量を有するグリセリン開始プロピレンオキシドポリオールであり;
「ポリオール−2」は、ザ・ダウ・ケミカル・カンパニーからVORANOL CP 6001ポリオールとして入手可能な、27.5のヒドロキシル価及び2040の当量を有するグリセリン開始型のプロピレンオキシドと15%のエチレンオキシドのキャップされたポリオールであり;
「イソシアネート」は、ザ・ダウ・ケミカル・カンパニーからIsocyanate 143 LMとして入手可能な72質量%の4,4’−MDI及び2質量%の2,4’−MDI、約145の当量、及び約29のイソシアネート含有量を有するカルボジイミド変性MDIであり;
「DEG」はジエチレングリコールである;
「TEGOSTAB(登録商標)B 4113」は、Goldschmidt Gmbhから入手可能な低効率セル制御タイプのシリコーン系界面活性剤であり;
「DABCO(登録商標)33 LV」は、Air Productsから入手可能な、ジプロピレングリコール中に33%のトリエチレンジアミンを含む硬化触媒であり;
「DABCO BL 11」は、Air Productsから入手可能な、ジプロピレングリコール中に70%のビス(N,N−ジメチルアミノエチル)エーテルを含む発泡触媒であり;
「ブラック」は、Day GloからPOP 4654 Blackとして入手可能な黒色着色剤である;
「EXOLIT AP 462」は、Clariant Pigment and Additive Divisionから入手可能な30%ポリリン酸アンモニウム難燃剤であり;
「EXOLIT RP 607」は、Clariant Pigment and Additive Divisionから入手可能なマイクロカプセル化赤リン難燃剤であり;
「NYAGRAPH FP」は、Naycol Nano Technologies,Inc.から入手可能な、200℃の初期膨張温度及び180ミリリットル/グラム(ml/g)の膨張体積を有する膨張性黒鉛であり;。
「NYAGRAPH 351」は、Naycol Nano Technologies,Inc.から入手可能な、150℃の初期膨張温度と350ml/gの膨張体積を有する膨張性黒鉛であり;
「クエン酸ナトリウム」は、Fisher Scientificから入手可能なクエン酸ナトリウム脱水物である。
比較例A及びBと実施例1の配合したポリオール混合物から得られたフォームの特性を表1に示す。表1において、
「加工性」は、成形パッドの外観と、「フリーライズ」発泡特性(例えば、混合物が発泡し、どのくらい速くフォームがライズし、フォームが少しでも崩壊するか)を評価することにより視覚的に決定し;
「イソシアネート指数」は、ポリオール成分と反応するのに必要なイソシアネートの理論量に対するイソシアネートの実際の量の比であり;
「密度」はASTM D3574に従って決定し、キログラム/立方メートル(kg/m)で報告されており;
「通気抵抗率」は、ASTM C522−87に従って決定し、レイル/m単位で報告されており;
「引張強さ」は、ASTM D3574に従って決定し、キロパスカル(kPa)単位で報告されており;
「伸び」は引張破断伸びで、ASTM D3574に従って決定し、百分率(%)で報告されており;
「引裂強さ」は、ASTM D3574に従って決定し、ニュートン/メートル(N/m)で報告されており、そして
「UL 94」は、アンダーライターズ・ラボラトリーズ規格94に従って、0.5インチ×0.5インチ×5インチのフォーム試料で行った垂直燃焼試験であり、UL 94の要件を満たしていない/達成できない試料は等級を付けなかった(NR)。
【0069】
【表1】

本発明に関連する発明の実施態様の一部を以下に示す。
[態様1]
下記(A)及び(B)の混合物を含む難燃性軟質ポリウレタンフォームを製造するための反応性配合物:
(A)下記(i)を含むAサイド:
(i)1又は2種以上の有機イソシアネート、及び
(B)下記(ii)〜(iv)を含むBサイド:
(ii)1又は2種以上のイソシアネート反応性成分、
(iii)下記(iii.a)〜(iii.c)の組み合わせを含む難燃剤成分:
(iii.a)0.1〜6質量部の赤リン、
(iii.b)膨張性黒鉛、及び
(iii.c)必要に応じて、クエン酸ナトリウム、
ここで、上記難燃剤成分はポリリン酸アンモニウムを含まず、質量部はBサイドの総質量を基準とする、
及び、
(iv)触媒、発泡剤、セルオープナー、界面活性剤、架橋剤、連鎖延長剤、難燃剤、充填剤、着色剤、顔料、帯電防止剤、強化繊維、酸化防止剤、防腐剤、又は酸捕捉剤から選ばれる1又は2種以上のさらなる成分;
前記反応性配合物から製造された難燃性軟質ポリウレタンフォームはアンダーライターズ・ラボラトリーズ規格94燃焼試験に従って0.5インチでV−0の等級を達成する。
[態様2]
前記有機イソシアネートが、モノマーMDI、ポリマーMDI、それらの組み合わせ、及び/又はポリイソシアネートを形成するウレトンイミン及び/又はカルボジイミド基を導入することにより得られた液状の変種を含み、前記カルボジイミド及び/又はウレトンイミン変性ポリイソシアネートは29〜33%のNCO値を有し、前記ポリイソシアネートには1〜45質量%のモノマーの形態の2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート及び/又はそのカルボジイミド化生成物が含まれている、請求項1に記載の反応性配合物。
[態様3]
前記イソシアネート反応性成分がエチレンオキシドキャップドポリエーテルポリオールを含む、請求項1に記載の反応性配合物。
[態様4]
前記膨張性黒鉛(iii.b)が、Bサイドの総質量を基準として0.5〜10質量部の量で存在する、請求項1に記載の反応性配合物。
[態様5]
前記難燃剤成分が、さらに、(iii.c)0.5〜15質量部のクエン酸ナトリウムを含む、請求項4に記載の組成物。
[態様6]
(I)下記(A)及び(B)を形成する工程:
(A)下記(i)を含むAサイド:
(i)1又は2種以上の有機イソシアネート、及び
(B)下記(ii)〜(iv)を含むBサイド:
(ii)1又は2種以上のイソシアネート反応性成分、
(iii)下記(iii.a)〜(iii.c)の組み合わせを含む難燃剤成分:
(iii.a)0.1〜6質量部の赤リン、
(iii.b)膨張性黒鉛、及び
(iii.c)必要に応じて、クエン酸ナトリウム、
ここで、上記難燃剤成分はポリリン酸アンモニウムを含まず、質量部はBサイドの総質量を基準とする、
及び、
(iv)触媒、発泡剤、セルオープナー、界面活性剤、架橋剤、連鎖延長剤、難燃剤、充填剤、着色剤、顔料、帯電防止剤、強化繊維、酸化防止剤、防腐剤、又は酸捕捉剤から選ばれる1又は2種以上のさらなる成分;
(II)Aサイド及びBサイドを混合して反応性配合物を形成する工程;及び
(III)得られた反応性配合物を、当該反応性配合物が硬化するのに十分な条件にさらして、難燃性軟質ポリウレタンフォームを形成する工程、
により、アンダーライターズ・ラボラトリーズ規格94燃焼試験に従って0.5インチでV−0の等級を達成する難燃性軟質ポリウレタンフォームを製造するための方法。
[態様7]
前記難燃性軟質ポリウレタンフォームが80kg/m〜140kg/mの密度を有する、請求項6に記載の方法。
[態様8]
前記難燃性軟質ポリウレタンフォームが150kPa以上の引張強さを有する、請求項6に記載の方法。
[態様9]
前記難燃性軟質ポリウレタンフォームが40,000レイル/m〜150,000レイル/mの通気抵抗率を有する、請求項6に記載の方法。
[態様10]
前記難燃性軟質ポリウレタンフォームは、自動車のエンジンの周囲又は付近に、エンジンカバー、エンジンノイズインシュレーター、燃料インジェクター封止材、サイドカバー、オイルパンカバー、アンダーカバー、フードサイレンサー、又はダッシュボードサイレンサーとして配置される、請求項6に記載の方法。
[態様11]
自動車のエンジン室内で使用するための難燃性軟質ポリウレタンフォームであって、当該フォームは、ハロゲンフリーであり、かつ、ポリリン酸アンモニウムフリーであり、0.5インチでV−0のUL94燃焼性等級、80kg/m〜140kg/mの密度、及び40,000レイル/m〜150,000レイル/mの通気抵抗率を有する難燃性軟質ポリウレタンフォーム。