(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の塗工紙の実施の形態を詳説する。
【0018】
本発明の塗工紙は、基紙を備え、この基紙の少なくとも片面に顔料及び接着剤を含有する塗工液を塗工して形成される。
【0019】
当該塗工紙は、上記塗工液を塗工した塗工面に2μlの蒸留水の液滴を着滴させた場合の着滴1秒後の接触角が70°以上90°以下であり、着滴61秒後の液滴半径が1200μm以下であり、着滴61秒後の液滴高さが750μm以下である。つまり、当該塗工紙は、上記接触角、液滴半径及び液滴高さが同時に特定の数値範囲を満たすことにより優れたインキ転移性を有する。
【0020】
当該塗工紙の塗工面に2μlの蒸留水の液滴を着滴させた場合の着滴1秒後の接触角としては70°以上90°以下であるが、なかでも73°以上80°以下がより好ましい。このように塗工面に着滴させた水滴の接触角を測定することにより当該塗工紙の撥水性を評価することができる。着滴1秒後の接触角が上記上限を超えると、当該塗工紙の撥水性が高すぎて、オフセット印刷時の湿し水が十分に転移せずインキ転移性が低下するおそれがある。一方、着滴1秒後の接触角が上記下限未満の場合、当該塗工紙の撥水性が低すぎて、湿し水の転移量が過剰となりインキ転移性が低下するおそれがある。着滴1秒後の接触角の測定方法は後述する実施例にて詳述する。
【0021】
上記接触角は、塗工面の撥水性を変えることにより調整することができる。塗工面の撥水性の調整方法としては、例えば後述する塗工液に含有される接着剤の成分の種類や含有量を調整したり、潤滑剤の含有量を調整したり、塗工面の表面形状を変更したりする方法等が挙げられる。
【0022】
当該塗工紙の塗工面に2μlの蒸留水の液滴を着滴させた場合の着滴61秒後の液滴半径としては、1200μm以下であるが、なかでも1190μm以下が好ましい。このように塗工面に着滴させ、一定時間経過後の液滴半径を測定することにより、当該塗工紙の撥水性及び吸水性を評価することができる。上記液滴半径が上記上限を超えると、着滴した液滴が用紙内部に吸水されず用紙表面に広がりやすくなるため、オフセット印刷において転移する湿し水の量が増え、当該塗工紙のインキ転移性が低下するおそれがある。液滴半径の測定方法は上記接触角と同様に実施例にて詳述する。
【0023】
上記液滴半径は、塗工面の撥水性や吸水性を変えることにより調整することができる。塗工面の撥水性の調整方法としては、例えば塗工液に含有される接着剤の成分の種類や含有量を調整したり、潤滑剤の含有量を調整したり、塗工面の表面形状を変更したりする方法等が挙げられる。また、塗工紙の吸水性の調整方法としては、例えば基紙のサイズ度を変更したり、塗工液に含有される顔料の種類や粒子径を変更したりする方法等が挙げられる。基紙のサイズ度を変更する方法としては、例えば基紙にサイズ剤を内添したり、外添する方法等が挙げられる。基紙のサイズ度としては、JIS P−8140(1998)「紙及び板紙−吸水度試験方法−コッブ法」に準じて、接触時間10秒で測定したコップサイズ度で20g/m
2以上300g/m
2以下が好ましく、50g/m
2以上150g/m
2以下がより好ましい。
【0024】
当該塗工紙の塗工面に2μlの蒸留水の液滴を着滴させた場合の着滴61秒後の液滴高さとしては、750μm以下であるが、なかでも740μm以下がより好ましく、730μm以下がさらに好ましい。このように塗工面に着滴させ、一定時間経過後の液滴高さを測定することにより、当該塗工紙の吸水性を評価することができる。上記液滴高さが上記上限を超えると、用紙表面に接触した水分が用紙内部へと速やかに吸収され難いことにより、オフセット印刷において転移する湿し水が用紙表面に留まりやすくなり、2胴目以降のインキ転移性を阻害するおそれがある。液滴高さの測定方法は、上記接触角及び液滴半径と同様に実施例にて詳述する。
【0025】
上記液滴高さは、塗工面の撥水性や吸水性を変えることにより調整することができる。塗工面の撥水性の調整方法としては、例えば塗工液に含有される接着剤の成分の種類や含有量を調整したり、潤滑剤の含有量を調整したり、塗工面の表面形状を変更したりする方法等が挙げられる。また、塗工紙の吸水性の調整方法としては、例えば基紙のサイズ度を変更したり、塗工液に含有される顔料の種類や粒子径を変更したりする方法等が挙げられる。
【0026】
また、当該塗工紙における塗工面に2μlの蒸留水の液滴を着滴させた場合の着滴61秒後の液滴体積としては1.8μl以下が好ましく、1.75μl以下がより好ましく、1.73μl以下がさらに好ましい。このように塗工面に着滴させ、一定時間経過後の液滴体積を測定することによっても、当該塗工紙の吸水性を評価することができる。上記液滴体積が上記上限を超える場合、用紙表面に接触した水分が用紙内部へと速やかに吸収され難いことにより、オフセット印刷において転移する湿し水が用紙表面に留まりやすくなり、2胴目以降のインキ転移性を阻害するおそれがある。液滴体積の測定方法は、上記接触角及び液滴半径等と同様に実施例にて詳述する。
【0027】
上記液滴体積は、塗工面の撥水性や吸水性を変えることにより調整することができる。塗工面の撥水性の調整方法としては、例えば塗工液に含有される接着剤の成分の種類や含有量を調整したり、潤滑剤の含有量を調整したり、塗工面の表面形状を変更したりする方法等が挙げられる。また、塗工紙の吸水性の調整方法としては、例えば基紙のサイズ度を変更したり、塗工液に含有される顔料の種類や粒子径を変更したりする方法等が挙げられる。
【0028】
<基紙>
上記基紙は、通常、パルプ及び填料等を含むパルプスラリーを抄紙して製造される。
【0029】
(パルプ)
上記パルプとしては、公知のものを用いることができ、バージンパルプ、古紙パルプ、又はこれらの組み合わせたものを適宜用いることができる。
【0030】
バージンパルプとしては、例えば広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)、広葉樹半晒クラフトパルプ(LSBKP)、針葉樹半晒クラフトパルプ(NSBKP)、広葉樹亜硫酸パルプ、針葉樹亜硫酸パルプ等の化学パルプ;ストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(TGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)等の機械パルプ(MP);ケナフ、麻、葦等の非木材繊維から化学的又は機械的に製造されたパルプ等が挙げられる。
【0031】
古紙パルプとしては、例えば茶古紙、クラフト封筒古紙、雑誌古紙、新聞古紙、チラシ古紙、オフィス古紙、段ボール古紙、上白古紙、ケント古紙、模造古紙、地券古紙等から製造される離解古紙パルプ、離解・脱墨古紙パルプ(DIP)又は離解・脱墨・漂白古紙パルプ等が挙げられる。
【0032】
これらの各パルプの中でも、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)と針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)とを組み合わせて用いることが好ましい。これらの2種のパルプを用いることで基紙の吸水性の調整を容易に行うことができる。この場合、LBKPの含有量としては、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、75質量%以上90質量%以下がより好ましい。LBKPは、繊維長が短く、得られる基紙の繊維間空隙が比較的少なくなる。そのため、適度な吸水性を有すると同時に、塗工層を形成する接着剤が基紙のパルプ繊維間に入り込み接着剤とパルプ繊維とが密に接着することができる。その結果、塗工層のアンカー効果が高くなり、塗工層の割れを抑制することができる。また、このようなパルプ比とすることで、吸水性を好適な範囲とすることができ、当該塗工紙のインキ転移性を高めることができる。
【0033】
(填料)
填料としては、公知のものを用いることができ、例えばタルク、炭酸カルシウム、カオリン、二酸化チタン、水和ケイ素、水和ケイ酸(ホワイトカーボン)、尿素−ホルマリンポリマー微粒子、再生粒子、シリカ複合再生粒子等が挙げられる。
【0034】
(その他の添加剤)
基紙には、上記パルプ及び填料の他に、本発明の目的を損なわない範囲でその他の添加剤を含有させることができる。その他の添加剤としては、例えば澱粉類、ポリアクリルアミド、エピクロルヒドリン等の紙力向上剤;ロジン、アルキルケテンダイマー、ASA(アルケニル無水コハク酸)、中性ロジン等の内添サイズ剤;硫酸バンド、ポリエチレンイミン等の凝結剤;ポリアクリルアミドやその共重合体等の凝集剤等が挙げられる。
【0035】
<表面処理>
基紙には、塗工液の塗工前に表面処理が施されていることが好ましい。基紙を表面処理剤にて予め表面処理することにより塗工液を均一に塗工することができ、当該塗工紙の撥水性及び吸水性を調整しやすくなる。その結果、上記接触角、液滴半径及び液滴高さを好適な範囲に調整しやすくなる。表面処理剤には、例えばサイズ剤、紙力向上剤、澱粉類、セルロース類等の水溶性合成接着剤等が含有される。これらのなかでもサイズ剤及び紙力向上剤を共に含有することが好ましい。
【0036】
サイズ剤としては、例えば澱粉、スチレン系サイズ剤、アクリレート系サイズ剤、アルキルケテンダイマー等が挙げられる。これらの中でも、サイズ剤としては澱粉、スチレン系サイズ剤及びアクリレート系サイズ剤が好ましく、澱粉がより好ましい。
【0037】
紙力向上剤としては、例えばポリアクリルアミド(PAM)、ポリビニルアルコール(PVA)、アクリル系樹脂、ポリアミド・ポリアミン系樹脂、尿素・ホルマリン系樹脂、メラミン・ホルマリン系樹脂、ポリエチレンイミン等が挙げられる。これらの中でも、紙力向上剤としては、PAM、アクリル系樹脂及びPVAが好ましく、PAMがより好ましい。
【0038】
表面処理剤は顔料を含有することが好ましい。表面処理剤が顔料を含有することにより表面処理後の基紙の白色度を向上することができ、また、当該塗工紙の吸水性を調整することができる。顔料としては、例えばクレー、重質炭酸カルシウム、タルク、軽質炭酸カルシウム、二酸化チタン等が挙げられる。これらのなかでも重質炭酸カルシウム及び形質炭酸カルシウムが基紙の白色度及び吸油度を向上することができ、吸水性を調整しやすい点で好ましい。
【0039】
表面処理剤における顔料の含有量としては、固形分換算で20質量%以上40質量%以下が好ましい。表面処理剤における顔料の含有量が上記上限を超えると紙力が低下するおそれがある。一方、表面処理剤における顔料の含有量が上記下限未満の場合、表面処理後の基紙の白色度及び吸水性が十分に向上しないおそれがある。
【0040】
表面処理剤の塗工量としては、片面あたり固形分換算で1g/m
2以上20g/m
2以下が好ましく、3g/m
2以上15g/m
2以下がより好ましく、5g/m
2以上10g/m
2以下がさらに好ましい。表面処理剤の塗工量が上記上限を超えると表面処理剤のミストが発生して周辺機器を汚損するとともに、汚れに起因する断紙、用紙の欠陥が生じるおそれがある。一方、表面処理剤の塗工量が上記下限未満の場合、基紙の表面処理が不十分となり塗工液の塗工効果を十分に発揮できないおそれがある。
【0041】
また、当該塗工紙は、上記表面処理を施す前にアンダー塗工層を形成することが好ましい。アンダー塗工層を設けることにより、非水系インクに含まれるインク溶剤の紙内部への浸透を防止することができ、インクの裏抜けを防止することができ、また、後述する塗工液の吸収性や表面の平滑性を調整することができる。
【0042】
アンダー塗工層の形成方法としては特に限定されず、例えばデンプン、ポリビニルアルコール、カチオン樹脂等の水溶性樹脂組成物に平板結晶構造をもつ微細粒子を含有させたアンダー塗工液を、サイズプレス等を用いて塗工・含浸させる方法等が挙げられる。上記平板結晶構造をもつ微細粒子としては、例えばクレー等が挙げられ、アスペクト比が50以上のデラミネーテッドクレーが好ましい。上記アンダー塗工層は、一層に限らず複数層形成してもよい。
【0043】
<塗工液>
基紙の少なくとも片面に塗工される塗工液は顔料及び接着剤を含有する。以下、この顔料及び接着剤について詳述した後、塗工液の性状について説明する。
【0044】
(顔料)
顔料は無機顔料と有機顔料とに大別される。無機顔料としては、例えばクレー、重質炭酸カルシウム、タルク等の天然無機顔料;軽質炭酸カルシウム、二酸化チタン等の合成無機顔料等が挙げられる。また、有機顔料としては、例えばプラスチックピグメント等が挙げられる。
【0045】
顔料の形状としては、例えば略球状、柱状、半球状、多面体状、立方体状、針状、紡錘状、板状、鱗片状、繊維状等が挙げられる。これらの中でも塗工液を塗工した後の紙内部に空間が形成されやすいように形状の異なる顔料を2種類以上混合して用いることが好ましく、略球状顔料と短径と長径とを有する顔料とを併用することが好ましい。短径と長径とを有する顔料としては、例えば柱状、紡錘状、繊維状、針状、扁平状等が挙げられる。
【0046】
略球状顔料の顔料全体に対する含有量としては30質量%以上70質量%以下が好ましく、40質量%以上60質量%以下がより好ましい。略球状顔料の顔料全体に対する含有量が上記上限を超えると、略球状顔料同士が互いに接近し合うことで当該塗工紙内部の空隙率が減少し、吸水性が低下することにより、液滴半径及び液滴高さが好適な数値範囲から外れるおそれがある。一方、略球状顔料の顔料全体に対する含有量が上記下限未満の場合、略球状顔料が過少すぎて十分な空間を形成することができず、吸水性が低下し、液滴半径及び液滴高さが好適な数値範囲から外れるおそれがある。その結果、当該塗工紙のインキ転移性が低下するおそれがある。
【0047】
略球状顔料の平均粒子径としては、0.5μm以上4.0μm以下が好ましく、0.8μm以上3.0μm以下がより好ましく、1.0μm以上2.5μm以下がさらに好ましい。略球状顔料の平均粒子径が上記上限を超えると塗工液の塗工性が低下したり、塗工後に顔料が脱落しやすくなるおそれがある。一方、略球状顔料の平均粒子径が上記下限未満の場合、略球状顔料が密に充填されることで当該塗工紙内部に十分な空間を形成することができなくなり、吸水性が低下し、液滴半径及び液滴高さが好適な数値範囲から外れるおそれがある。
【0048】
これらのうち、略球状顔料としては、当該塗工紙の吸水性の調整が容易であり、白色度の向上にも寄与する重質炭酸カルシウムが好ましく、なかでも平均粒子径が1.5μm以上の重質炭酸カルシウムを、顔料全体に対して5質量%以上15質量%以下で含有することがより好ましく、6質量%以上14質量%以下で含有することがさらに好ましく、7質量%以上13質量%以下で含有することが特に好ましい。
【0049】
また、短径と長径とを有する顔料の顔料全体に対する含有量としては、30質量%以上70質量%以下が好ましく、40質量%以上60質量%以下がより好ましい。短径と長径とを有する顔料の顔料全体に対する含有量が上記上限を越えると短径と長径とを有する顔料同士が互いに積層し合うことで当該塗工紙内部に十分な空間を形成することができなくなり、吸水性が低下することにより、液滴半径及び液滴高さが好適な数値範囲から外れるおそれがある。一方、短径と長径とを有する顔料の顔料全体に対する含有量が上記下限未満の場合も、当該塗工紙内部に十分な空間を形成することができなくなり、吸水性が低下することによって、液滴半径及び液滴高さが好適な数値範囲から外れるおそれがある。その結果、当該塗工紙のインキ転移性が低下するおそれがある。
【0050】
短径と長径とを有する顔料の平均粒子径としては0.1μm以上6.0μm以下が好ましく、0.3μm以上5.0μm以下がより好ましく、0.5μm以上4.0μm以下がさらに好ましい。短径と長径とを有する顔料の平均粒子径が上記上限を超えると塗工液の塗工性が低下するおそれがある。一方、短径と長径とを有する顔料の平均粒子径が上記下限未満の場合、当該塗工紙内部に十分な空間を形成することができなくなり、吸水性が低下し、液滴半径及び液滴高さが好適な数値範囲から外れるおそれがある。
【0051】
短径と長径とを有する顔料のアスペクト比としては10以上が好ましく、11以上がより好ましく、12以上がさらに好ましい。短径と長径とを有する顔料のアスペクト比が上記下限未満の場合、顔料の形状が球に近づくことにより当該塗工紙内部の空隙率が減少するため、吸水性が低下し、液滴半径及び液滴高さが好適な数値範囲から外れるおそれがある。その結果、当該塗工紙のインキ転移性が低下するおそれがある。
【0052】
これらのうち、短径と長径とを有する顔料としては、当該塗工紙の吸水性の調整が容易であり、白色度の向上にも寄与する軽質炭酸カルシウム及びクレーが好ましい。
【0053】
短径と長径とを有する顔料がクレーの場合、平均粒子径が1.5μm以上のクレーを、顔料全体に対して5質量%以上15質量%以下で含有することが好ましく、6質量%以上14質量%以下で含有することがより好ましく、7質量%以上13質量%以下で含有することがさらに好ましい。
【0054】
また、短径と長径とを有する顔料が軽質炭酸カルシウムの場合、アスペクト比が10以上であり、且つ、シャープ度が50以上の軽質炭酸カルシウムを、顔料全体に対して5質量%以上20質量%以下で含有することが好ましく、8質量%以上17質量%以下で含有することがより好ましく、10質量%以上15質量%以下で含有することがさらに好ましい。
【0055】
塗工液における顔料の配合量としては、固形分換算で50質量%以上98質量%以下が好ましく、70質量%以上95質量%以下がより好ましく、80質量%以上93質量%以下がさらに好ましい。塗工液における顔料の配合量が上記上限を超えると、相対的にバインダーとなる接着剤の含有量が減り、顔料の脱落や塗工性の低下を招くおそれがある。一方、塗工液における顔料の配合量が上記下限未満の場合、顔料が過少すぎて当該塗工紙内部に十分な空間を形成することができなくなり、当該塗工紙の吸水性が低下することによって、液滴半径及び液滴高さが好適な数値範囲から外れるおそれがある。その結果、当該塗工紙のインキ転移性が低下するおそれがある。
【0056】
(接着剤)
接着剤は、水溶性接着剤及び非水溶性接着剤に大別される。水溶性接着剤としては、例えばポリビニルアルコール及びその変性物;酸化澱粉、陽性化澱粉、エステル化澱粉、デキストリン等の澱粉類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体等が挙げられる。非水溶性接着剤としては、例えばカゼイン、大豆蛋白等の蛋白質類;メチルメタクリレートとブタジエンとの共重合体を含むラテックス、スチレン−ブタジエン共重合体を含むラテックス等の共役ジエン系ラテックス、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルの重合体ラテックスもしくは共重合体ラテックス等のアクリル系ラテックス、エチレン−酢酸ビニル重合体ラテックス等のビニル系ラテックス、あるいはこれらの各種共重合体ラテックスをカルボキシル基等の官能基含有単量体で変性したアルカリ部分溶解性又は非溶解性のラテックス等のラテックス類;オレフィン−無水マレイン酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ウレタン樹脂等の合成樹脂系接着剤等が挙げられる。これらのなかでも塗工液の撥水性を調整しやすい澱粉類及びラテックス類が好ましく、澱粉及びスチレン−ブタジエン共重合体を含むラテックスが、入手が容易で粘度を調整しやすい点でより好ましい。
【0057】
澱粉類の含有量は、顔料100質量部に対して固形分換算で1質量部以上3質量部以下が好ましく、1.5質量部以上2.5質量部以下がより好ましい。澱粉類の含有量が上記上限を超えると水溶性成分が増えることにより撥水性が低下し、接触角及び液滴高さが好適な数値範囲から外れるおそれがある。一方、澱粉類の含有量が上記下限未満の場合、塗工液の接着性が低下するおそれがある。
【0058】
接着剤がスチレン−ブタジエン共重合体を含むラテックスの場合、接着剤の取り扱い性及び塗工性を向上するために乳化剤が含まれていることが多い。ラテックスにおける乳化剤の含有量としては、固形分換算で上記スチレン−ブタジエン共重合体100質量部に対して0.5質量部以下が好ましく、0.4質量部以下がより好ましく、0.3質量部以下がさらに好ましい。ラテックスにおける乳化剤の含有量が上記数値を超えると塗工液の撥水性が低下することにより接触角が好適な数値範囲から外れるおそれがある。その結果、当該塗工紙のインキ転移性が低下するおそれがある。
【0059】
また、ラテックスの含有量は、上記顔料100質量部に対して固形分換算で5質量部以上14質量部以下が好ましく、6質量部以上13質量部以下がより好ましく、7質量部以上12質量部以下がさらに好ましい。ラテックスの含有量が上記上限を超えると相対的に顔料の含有量が減り、当該塗工紙内部に十分な空間が形成されず、当該塗工紙の吸水性が低下することによって液滴半径及び液滴高さが好適な数値範囲から外れるおそれがある。一方、ラテックスの含有量が上記下限未満の場合、塗工液の撥水性が低下するおそれがある。その結果、当該塗工紙のインキ転移性が低下するおそれがある。
【0060】
接着剤の含有量は、上記顔料100質量部に対して固形分換算で8質量部以上20質量部以下が好ましく、9質量部以上18質量部以下がより好ましく、10質量部以上15質量部以下がさらに好ましい。接着剤の含有量が上記上限を超えると相対的に顔料の含有量が減り、当該塗工紙内部に十分な空間が形成されず、当該塗工紙の吸水性が低下することによって、液滴半径及び液滴高さが好適な数値範囲から外れるおそれがある。一方、接着剤の含有量が上記下限未満の場合、接着剤の含有量が減ることにより塗工後の顔料の脱落や当該塗工紙の撥水性の低下を招くおそれがある。
【0061】
塗工液は潤滑剤を含有することが好ましい。塗工液が潤滑剤を含有することにより、当該塗工紙の撥水性の調整がより容易となり、また、塗工液を塗工する際の操業性を向上したり、当該塗工紙の強度及び写像性を向上したりすることができる。このような潤滑剤としては、例えばステアリン酸カルシウム系潤滑剤、ステアリン酸アミド系潤滑剤、オレイン酸カリウム系潤滑剤、オレイン酸アンモニウム系潤滑剤、ポリエチレン系潤滑剤等が挙げられ、なかでもステアリン酸カルシウムが好ましい。
【0062】
塗工液における潤滑剤の含有量としては、上記顔料100質量部に対して0.5質量部以上が好ましく、1.0質量部以上がより好ましい。塗工液における潤滑剤の含有量が上記数値未満の場合、当該塗工紙の撥水性が低下することにより、接触角、液滴半径及び液滴高さが好適な数値範囲から外れるおそれがある。
【0063】
塗工液には、上記成分以外にも、例えばダスト防止剤、蛍光染料、蛍光染料増白剤、消泡剤、離型剤、着色剤、保水剤等の各種助剤を、本発明の目的を阻害しない範囲で適宜配合することができる。
【0064】
<塗工液の性状>
塗工液の固形分濃度としては50質量%以上80質量%以下が好ましく、55質量%以上75質量%以下がより好ましく、60質量%以上70質量%以下がさらに好ましい。塗工液の固形分濃度が上記上限を超えると塗工液の塗工性が低下するおそれがある。一方、塗工液の固形分濃度が上記下限未満の場合、塗工液による皮膜を十分に形成することができず当該塗工紙の撥水性及び吸水性が低下することにより、接触角、液滴半径及び液滴高さが好適な数値範囲から外れるおそれがある。
【0065】
塗工液の粘度はB型粘度で、ロールコーターで塗工する場合は50mPa・s以上300mPa・s以下(No.4ボブ使用、60rpm)が好ましく、ブレードコーターで塗工する場合は600mPa・s以上1400mPa・s以下(No.3ボブ使用、60rpm)が好ましい。塗工液の粘度が上記上限を超えたり、上記下限未満であると塗工性が低下し、塗工液の塗工ムラや未塗工部分が発生するおそれがある。
【0066】
塗工液の塗工量としては、片面あたり5g/m
2以上20g/m
2以下が好ましく、6g/m
2以上17g/m
2以下がより好ましく、7g/m
2以上14g/m
2以下がさらに好ましい。塗工液の塗工量が上記上限を超えると、当該塗工紙の強度が低下するおそれがある。一方、塗工液の塗工量が上記下限未満の場合、当該塗工紙の撥水性及び吸水性が低下することによって、接触角、液滴半径及び液滴高さが好適な数値範囲から外れるおそれがある。
【0067】
<塗工紙の製造方法>
当該塗工紙の製造方法としては、特に限定されず、公知の塗工紙の製造方法を用いればよい。具体的には、例えば原料パルプスラリーを抄紙し、プレスパート及びプレドライヤーパートに供して基紙を製造し、次いでアンダーコーターパートにて表面処理を行い、乾燥及び平坦化処理後、塗工液を塗工し、カレンダー処理を施す方法等が挙げられる。
【0068】
塗工液を塗工する際の塗工装置としては、例えばサイズプレス、ブレードメタリングサイズプレス、ロッドメタリングサイズプレス、ブレードコータ、バーコータ、ゲートロールコータ、ロッドコータ、エアナイフコータ等を用いることができる。
【0069】
カレンダー処理の際のカレンダ装置としては、例えばスーパーカレンダ、グロスカレンダ、ソフトコンパクトカレンダなどの金属又はドラムと弾性ロールの組み合わせによる各種カレンダが、オンマシン又はオフマシン仕様で適宜使用できる。
【0070】
なお、当該塗工紙は、上記塗工液を複数回塗工しても良い。但し、少なくとも最表層の塗工面は、上述した接触角、液滴半径及び液滴高さ等を満たす必要がある。
【0071】
<塗工紙>
当該塗工紙の坪量としては、80g/m
2以上110g/m
2以下が好ましく、90g/m
2以上100g/m
2以下がより好ましい。当該塗工紙の坪量が上記上限を超えると近年の軽量化、省資源に逆行することとなりコスト高となるおそれがある。一方、当該塗工紙の坪量が上記下限未満の場合、強度が低下したり、塗工液を十分に保持することができず、当該塗工紙のインキ転移性が低下したりするおそれがある。
【0072】
当該塗工紙は、上述のように塗工液を塗工した塗工面に2μlの蒸留水の液滴を着滴させた場合の着滴1秒後の接触角が70°以上90°以下であり、着滴61秒後の液滴半径が1200μm以下であり、着滴61秒後の液滴高さが750μm以下であるため、撥水性と吸水性とが適度にバランスされ、優れたインキ転移性を有し、オフセット印刷に好適に用いることができる。
【実施例】
【0073】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0074】
本実施例における各測定値は以下の方法にて測定した値である。
【0075】
[坪量(g/m
2)]
JIS−P8124(1998)に記載の「紙及び板紙−坪量測定方法」に準拠して測定した。
【0076】
[実施例1]
<塗工紙の作製>
基紙には、大王製紙株式会社製のコート原紙(坪量:85g/m
2)をA4サイズ(210mm×297mm)に断裁したものを用いた。このコート原紙には、表面処理として重質炭酸カルシウム((株)ファイマテック製、商品名「FMT−90」及び「FMT−65」)が両面にそれぞれ固形分換算で6g/m
2ずつ塗工されていた。また、上記「FMT−90」及び「FMT−65」の配合比率は1:1だった。
【0077】
下記表1に記載の配合量となるように塗工液を作成し、上記基紙の片面に塗工用ブレードを用いて手塗りした。塗工の際は、塗工液の塗工量(塗工後の坪量から塗工前の基紙の坪量を差し引いた値)が7.0〜8.0g/m
2となるように塗工速度、ブレードの当て角を調整した。塗工後、105℃のオーブンで10秒間、熱風乾燥した後、塗工面の75度鏡面光沢度が60%以上70%以下となるように線圧160〜200kN/mでカレンダー処理を行い実施例1の塗工紙を得た。
【0078】
下記表1に記載の塗工液に用いた薬品を以下に示す。
1級クレー(KaMin社製、商品名「Hydrafine90」、平均粒子径0.9μm、シャープ度15.6、アスペクト比25)
2級クレー(KaMin社製、商品名「Hydrasperse」、平均粒子径2.5μm、シャープ度41.5、アスペクト比40)
重質炭酸カルシウム(#90)((株)ファイマテック製、商品名「FMT−90」、平均粒子径1.2μm、シャープ度52.8)
重質炭酸カルシウム(#65)((株)ファイマテック製、商品名「FMT−65」、平均粒子径2.1μm、シャープ度44.3)
軽質炭酸カルシウム(奥多摩工業(株)製、商品名「タマパールTP−123CS」、平均粒子径0.6μm、シャープ度62.3、アスペクト比12)
SBラテックス(高撥水)(旭化成ケミカルズ(株)製、商品名「R1395」、乳化剤0.2質量%含有)
SBラテックス(低撥水)(旭化成ケミカルズ(株)製、商品名「F1558」、乳化剤1.4質量%含有)
澱粉(日本食品化工(株)製、商品名「スターコート16(尿素リン酸エステル化澱粉)」)
潤滑剤(ステアリン酸カルシウム)
【0079】
[実施例2〜実施例7]
実施例1で用いた塗工液を表1に記載の配合量に変更した以外は実施例1と同様にして実施例2〜実施例7の塗工紙を得た。
【0080】
[比較例1〜6、参考例1]
実施例1で用いた塗工液を表1に記載の配合量に変更した以外は実施例1と同様にして比較例1〜6、参考例1の塗工紙を得た。
【0081】
【表1】
【0082】
<吸水挙動評価>
得られた各塗工紙に下記条件にてオフセット印刷を行い、得られた印刷物の吸水挙動について評価した。
【0083】
(印刷条件)
オフセット枚葉印刷機(リョービ株式会社製「RYOBI680」を用いて、用紙サイズ菊判裁、速度100rpmにて印刷を行った。インキにはオフセット枚葉印刷機用大豆油インキ(サカタインクス株式会社製「ダイヤトーン エコピュア SOY HP」)墨・藍・紅・黄の4色を用い、湿し水には4%イソプロピルアルコール水溶液を使用した。
【0084】
[動的接触角測定装置による吸水挙動評価]
各種溶媒と測定対象物との接触角の経時変化を1秒以下の間隔で連続的に測定可能な動的接触角測定装置を用いて塗工紙の吸水挙動を評価した。動的接触角測定装置は、協和界面科学株式会社製の全自動接触角計「DM−701」を用いた。この測定装置は、測定対象物を載置するステージ上部に配置されているシリンジから各種溶媒を測定対象物に着滴させ、ステージ側面に配置されているCCDカメラで撮影した液滴画像を画像解析することにより、測定対象物と液滴との接触角、円形と仮定した場合の測定対象物と液滴との接触面の半径(液滴半径)、液滴の高さ、液滴の体積等を自動測定することができる。
【0085】
画像解析による接触角の算出は、TAPPI T458 om−84のθ/2法を用いた。このθ/2法は、測定対象物表面上の液滴は球体の一部、すなわちステージ側面からCCDカメラで撮影される液滴の輪郭形状は真円の円弧であると仮定して接触角を算出する方法である。この場合、測定対象物と液滴との接触角は、
図1に示す角度θで表され、次の式(1)が成立する。なお、
図1において「h」は「液滴高さ」を、「r」は「液滴半径」をそれぞれ示す。
tan(θ/2) = h/r ・・・(1)
【0086】
上記式(1)より下記式(2)が導かれ、測定対象物と液滴との接触角θは、液滴高さおよび半径から算出される。
θ = 2arctan(h/r) ・・・(2)
【0087】
上記接触角θが大きいほど測定対象物の撥水性が高いことを意味し、小さいほど測定対象物の撥水性が低い、すなわち濡れ性が高いことを意味する。
【0088】
また、上記液滴半径(r)及び液滴高さ(h)から、塗工紙の液滴体積(V)を算出することができ、下記式(3)で表される。
V=πh(3r
2+h
2)/6 ・・・(3)
【0089】
塗工紙の動的接触角を測定するにあたり、溶媒としては蒸留水を使用した。塗工紙に着滴させる液滴は、体積が大きくなるほど重力の影響を受けやすくなるため液適量は重力の影響を無視できる2μlとした。
【0090】
上記動的接触角測定装置を用いて各塗工紙の着滴1秒後の接触角、着滴61秒後の液滴半径、液滴高さ及び液滴体積をそれぞれ、着滴1秒後から2秒間隔で測定した。結果を表2に示す。
【0091】
<インキ転移性評価>
塗工紙のインキ転移性を評価するために、得られた印刷物の画像の鮮明さ及び濃淡ムラについて、評価者10名で以下の評価基準に従い目視評価を行った。結果を表2に併せて示す。
(評価基準)
◎:画像が鮮明で、濃淡ムラが全くない。
○:画像が鮮明で、濃淡ムラがほとんどない。
△:画像が不鮮明な箇所、濃淡ムラが点在する。
×:全体的に画像が不鮮明で、濃淡ムラが著しい
【0092】
<表面強度>
各塗工紙に次の条件で印刷を行うことにより印刷試験体を作製し、塗工液に含まれる顔料成分が剥離(脱落)するか否かを下記基準に基づき目視で評価した。
(印刷条件)
・印刷機 :RI−3型(株式会社明製作所製)
・インク :WebRexNouverHIMARKプロセス(大日精化社製)
・インク量:上段ロールに0.3ml、下段ロールに0.2ml
・印刷方法:上段、下段ロールでそれぞれインクを3分間練り(2分間練った後、ロールを反転させてさらに1分間練る)、回転速度30rpmで2色同時印刷を行った。
(評価基準)
〇:塗工層の顔料成分がほとんど剥離せず、表面強度に優れる。
△:塗工層の顔料成分がわずかに剥離したが、表面強度は良好である。
×:塗工層の顔料成分が剥離し、表面強度に劣る。
【0093】
【表2】
【0094】
表2より、比較例1をコントロールとした場合、乳化剤の含有量が少ない高撥水性ラテックスを含有する塗工液を塗工した塗工紙は、いずれも接触角が高くなることが確認され(実施例1、2、4〜7)、また、塗工液に潤滑剤を配合することによっても接触角が高くなることが確認された(実施例3)。これにより、当該塗工紙の撥水性は、塗工液に含まれるラテックスの種類及び潤滑剤の添加によって調整できることがわかる。
【0095】
また、比較例1をコントロールとした場合、軽質炭酸カルシウムを含有する塗工液を塗工した塗工紙は、いずれも液滴高さが低下することが確認され(実施例1〜4)、ラテックスの配合量を減らした塗工紙は、液滴高さが大きく低下することが確認され(実施例5)、顔料の平均粒子径を大きくした場合も液滴高さが低下することが確認された(実施例6及び7)。これにより、当該塗工紙の吸水性は、塗工液に含まれる顔料の種類及び平均粒子径、ラテックスの配合量によって調整できることがわかる。
【0096】
また、塗工液に含まれる高撥水性ラテックスだけを多く配合した場合は、接触角が大きくなり撥水性は向上するものの、液滴高さが高まり吸水性が低下することが確認され(比較例2)、塗工液に潤滑剤だけを配合した場合は、接触角が大きくなり撥水性は向上するものの、液滴高さが高まり吸水性が低下することが確認された(比較例3)。また、軽質炭酸カルシウムだけを配合した場合は、接触角が高まり、液滴高さが低下するものの目視評価が不十分であった(比較例4)。また、重質炭酸カルシウムの平均粒径を大きくするだけでは接触角がやや低下し、撥水性にむしろ悪影響を与えることが確認され(比較例5)、1級クレーよりも粒径の大きい2級クレーを併用した場合は、液滴高さが低下し吸水性は向上するものの、接触角も低下し撥水性が不十分であることが確認された(比較例6)。なお、粒子径が小さい顔料を多く使用した場合は、バインダー不足により表面強度が低下して印刷時に層間剥離が生じたため、インキ転移性については評価しなかった(参考例1)。バインダーの含有量は、用いる顔料の粒子径の大小に合わせて適宜、調整することができる。
【0097】
これらの結果より、塗工液を塗工した塗工面に2μlの蒸留水の液滴を着滴させた場合の着滴1秒後の接触角が70°以上90°以下であり、着滴61秒後の液滴半径が1200μm以下であり、着滴61秒後の液滴高さが750μm以下である場合に、当該塗工紙は目視評価及び表面強度が良好であり、優れたインキ転移性を有することが分かる(実施例1〜7)。