(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5937905
(24)【登録日】2016年5月20日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】復水回収装置
(51)【国際特許分類】
F22D 11/06 20060101AFI20160609BHJP
【FI】
F22D11/06 B
【請求項の数】2
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2012-145393(P2012-145393)
(22)【出願日】2012年6月28日
(65)【公開番号】特開2014-9845(P2014-9845A)
(43)【公開日】2014年1月20日
【審査請求日】2015年6月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000133733
【氏名又は名称】株式会社テイエルブイ
(72)【発明者】
【氏名】飛田 泰平
【審査官】
杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭56−040081(JP,A)
【文献】
特開昭50−055701(JP,A)
【文献】
特開2005−121065(JP,A)
【文献】
米国特許第04613071(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F22D 11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気使用機器で発生した復水を回収する復水回収装置であって、
前記蒸気使用機器と復水回収管を介して接続する復水溜タンクと、
前記復水溜タンクにて再蒸発した蒸気で駆動して給水タンクから供給された冷却水を加圧し、前記復水回収管の内部に高圧冷水を噴射するインゼクタと
を備えた復水回収装置。
【請求項2】
前記給水タンクから給水を受ける蒸気ボイラーと、
前記復水溜タンクから吸引した復水を前記蒸気ボイラーに供給する復水回収ポンプと
をさらに備える、請求項1に記載の復水回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気使用機器で発生した蒸気の凝縮水としての復水を、ボイラーや給水タンク等の所定の復水回収先へ回収する復水回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の復水回収装置は、蒸気使用機器の復水出口側を蒸気トラップと復水集合タンクと逆止弁を介して復水圧送部材に接続し、この復水圧送部材の高圧操作流体排出口に圧力制御弁を取り付けたもので、熱エネルギー損失を少なくすることができるものである。
【0003】
この復水回収装置においては、回収する復水が高温・高圧である場合に、復水回収管の内部で多量の再蒸発蒸気を発生して、復水回収管内の圧力を上昇させ、復水の流下に必要な差圧が確保できなくなり、回収すべき復水の流量が低下してしまう問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−170126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする課題は、復水回収管内の再蒸発蒸気量を低減させて、回収すべき復水の流量が低下することのない復水回収装置を提供すること。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、蒸気使用機器で蒸気が凝縮して発生した高温・高圧の復水を、復水回収管から復水回収ポンプによって所定の復水回収先へ回収するものにおいて、復水回収管と復水回収ポンプの間に復水溜タンクを配置して、当該復水溜タンクの上部から再蒸発管をインゼクタの駆動蒸気口と接続し、当該インゼクタの給水口に冷水供給管を接続して、当該インゼクタの吐出口を復水回収管の内部と連通したものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の復水回収装置は、復水溜タンクの上部から再蒸発管をインゼクタの駆動蒸気口と接続し、インゼクタの給水口に冷水供給管を接続して、インゼクタの吐出口を復水回収管の内部と連通したことにより、インゼクタの給水口から供給される給水が、インゼクタの駆動蒸気口から供給される駆動蒸気により加圧され、高圧の給水となってインゼクタの吐出口から復水回収管の内部へ供給されることで、復水回収管内の再蒸発蒸気を凝縮させて、復水回収管内の圧力を低下させ、回収すべき復水の流量の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の復水回収装置の実施例を示す構成図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の復水回収装置は、インゼクタの吐出口から復水回収管の内部へ高圧の給水を噴射するものであるが、この噴射部には、多孔部材や噴射ノズル等を取り付けることができる。
【実施例1】
【0010】
図1は本実施例の構成図であって、復水回収管1と、復水溜タンク2と、復水回収ポンプ4と、インゼクタ5とで復水回収装置を構成する。
【0011】
復水回収管1の左端部は、図示しない蒸気使用機器と接続して、この蒸気使用機器で発生した復水が、復水回収管1から復水溜タンク2へ流入するものである。復水溜タンク2の下部を管路6によって復水回収ポンプ4のエゼクタ7の吸引口8と接続する。復水回収ポンプ4を、エゼクタ7と循環ポンプ9、及び、両者を連通する循環路10とで構成する。循環路10の一部を分岐した分岐管11を、復水回収先としての蒸気ボイラー12に接続する。
【0012】
復水溜タンク2の上部から再蒸発管13をインゼクタ5の駆動蒸気口と接続する。復水溜タンク2内の高温・高圧復水の一部が再蒸発して、再蒸発管13からインゼクタ5の駆動蒸気口へと供給される。
【0013】
インゼクタ5の上部左側面の給水口に冷水供給管14を接続する。冷水供給管14の他端部は、蒸気ボイラー12へ給水するための給水タンク15の下部と接続することで、給水タンク15の下部に溜まった冷水を冷水供給管14からインゼクタ5の給水口へ供給するものである。
【0014】
インゼクタ5の吐出口16に管路17を接続して復水回収管1と連通する。復水回収管1内の復水は、復水溜タンク2から復水回収ポンプ4へ吸引され、更に、蒸気ボイラー12へ供給される。復水回収管1内を流下する高温・高圧の復水は、復水回収管1内で多量に再蒸発するが、インゼクタ5の吐出口16と管路17から供給される噴射冷水により冷却され、再度、復水となって復水溜タンク2内へ流下する。
【0015】
このように、復水回収管1内の再蒸発蒸気を冷水によって凝縮させて、復水回収管1内の圧力を低下させ、回収すべき復水の流量の低下を防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明は、蒸気使用機器で発生した蒸気の凝縮水としての復水を、ボイラーや給水タンク等の所定の復水回収先へ回収する復水回収装置として利用することができる。
【符号の説明】
【0017】
1 復水回収管
2 復水溜タンク
4 復水回収ポンプ
5 インゼクタ
7 エゼクタ
9 循環ポンプ
10 循環路
12 蒸気ボイラー
13 再蒸発管
14 冷水供給管
15 給水タンク
16 吐出口