(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上側または下側から見て、任意の前記レバーは、該レバーから出力される前記荷重により下降する前記吸着ノズルに対して周方向に隣り合う別の前記吸着ノズルの、直近に配置されている請求項1または請求項2に記載の装着ヘッド。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
装着ヘッドに対して吸着ノズルを上下方向に移動させる機構として、レバー機構がある。レバー機構のレバーは、揺動中心部を中心に、垂直面内において揺動可能である。レバーの一端には、荷重が入力される入力部が配置されている。レバーの他端には、荷重が出力される出力部が配置されている。吸着ノズルは、出力部に連動している。
【0005】
入力部に上向きに荷重が加わると、レバーは、揺動中心部を中心に揺動する。このため、出力部は下降する。出力部が下降すると、吸着ノズルも下降する。したがって、部品供給装置から電子部品を取り出すことができる。また、基板に電子部品を装着することができる。
【0006】
ところで、一度に複数の電子部品を搬送するためには、装着ヘッドが複数の吸着ノズルを有している方がよい。特許文献1には、上側または下側から見て、リング状に配置された複数の吸着ノズルを備えるロータリーヘッドが開示されている。
【0007】
しかしながら、複数の吸着ノズルに対して、レバーを径方向(詳しくは、複数の吸着ノズルを繋いで形成されるリングの径方向)に延在させると、レバーの全長が短くなってしまう。このため、吸着ノズルの上下方向のストロークを確保しにくくなる。
【0008】
ここで、レバーが短くても、レバーの揺動角を大きくすれば、吸着ノズルの上下方向のストロークを確保しやすくなる。ところが、レバーの揺動角を大きくすると、その分、出力部の水平方向の移動距離が長くなってしまう。このため、出力部から吸着ノズルに荷重を伝達する際、下方向のみならず、水平方向にも、荷重が加わってしまう。したがって、吸着ノズルの円滑な動作が妨げられてしまう。そこで、本発明は、レバーの全長を長くすることが可能な装着ヘッドおよび電子部品実装機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上記課題を解決するため、本発明の装着ヘッドは、上側または下側から見て、吸着ノズルが取り付けられる複数のピストン部が、リング状に配置される装着ヘッドであって、荷重が入力される入力部と、該荷重を前記ピストン部に出力する出力部と、該入力部と該出力部との間に配置される揺動中心部と、を有し、該揺動中心部を中心に揺動可能な複数のレバーを備え、上側または下側から見て、複数の該レバーは、複数の該ピストン部が形成するリングの径方向に対して、周方向に互いに同じ角度だけ傾斜した方向に延在していることを特徴とする。
【0010】
本発明の装着ヘッドによると、上側または下側から見て、複数のレバーが、複数のピストン部が形成するリングの径方向に対して、周方向に互いに同じ角度だけ傾斜した方向に延在している。このため、レバーの全長を長くすることができる。したがって、レバーの全長が短い場合と比較して、同量の上下動ストローク(詳しくは、ピストン部つまり吸着ノズルの上下動ストローク)を確保する場合、垂直面内におけるレバーの揺動角を小さくすることができる。また、レバーの揺動角が小さいため、揺動時のレバーの水平方向の変位量を小さくすることができる。また、レバーの全長が短い場合と比較して、同量の揺動角を確保する場合、上下動ストロークを長くすることができる。
【0011】
(2)好ましくは、上記(1)の構成において、係合部を有する基部と、複数の前記レバーと、複数の前記ピストン部と、該ピストン部が上下方向に移動可能に収容され下向きに開口する複数のシリンダ部を有する可動部本体と、を有し、該基部に対して上下方向に移動可能な可動部と、を備え、該基部に対して該可動部が移動する際、該係合部から前記入力部に前記荷重が入力され、前記揺動中心部を中心に該レバーが揺動し、前記出力部から該ピストン部に該荷重が出力され、該可動部本体に対して該ピストン部が移動する構成とする方がよい。
【0012】
基部に対して可動部が移動する際、荷重は、係合部から、揺動するレバーを経由して、ピストン部に伝達される。本構成によると、基部に対する可動部の上下方向の運動を、まずレバーの回転方向の運動に変換し、次いで可動部本体に対するピストン部の上下方向の運動に変換することができる。このため、基部に対して可動部を動かすだけで、ピストン部つまり吸着ノズルを動かすことができる。
【0013】
(3)好ましくは、上記(1)または(2)の構成において、上側または下側から見て、任意の前記レバーは、該レバーから出力される前記荷重により下降する前記吸着ノズルに対して周方向に隣り合う別の前記吸着ノズルの、直近に配置されている構成とする方がよい。本構成によると、レバーの全長をより長くすることができる。
【0014】
(4)好ましくは、上記(1)ないし(3)のいずれかの構成において、前記可動部本体に対して前記吸着ノズルが下降する方向を往動方向、該可動部本体に対して該吸着ノズルが上昇する方向を復動方向として、前記可動部は、前記レバーを該復動方向に付勢する付勢部材を有する構成とする方がよい。本構成によると、レバーが復動しやすくなる。
【0015】
(5)上記課題を解決するため、本発明の電子部品実装機は、上記(1)ないし(4)のいずれかの装着ヘッドを備えることを特徴とする。本発明の電子部品実装機によると、レバーの全長を長くすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、レバーの全長を長くすることが可能な装着ヘッドおよび電子部品実装機を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の電子部品実装機の実施の形態について説明する。以下の説明は、本発明の装着ヘッドの実施の形態に関する説明を兼ねる。
【0019】
<第一実施形態>
[電子部品実装機の構成]
まず、本実施形態の電子部品実装機の構成について説明する。
図1に、本実施形態の電子部品実装機の上面図を示す。
図2に、同電子部品実装機のブロック図を示す。
図1、
図2に示すように、本実施形態の電子部品実装機1は、前後一対の部品供給装置2と、基板搬送装置3と、基板支持装置(図略)と、XYロボット4と、装着ヘッド5と、制御装置7と、ベース80と、を備えている。
【0020】
(ベース80、部品供給装置2)
ベース80は、工場の床面に配置されている。前後一対の部品供給装置2は、ベース80の前後方向両縁付近に配置されている。部品供給装置2は、複数のテープフィーダー20を備えている。テープフィーダー20は、複数の電子部品が封入されたテープ(図略)を備えている。前側の部品供給装置2のテープフィーダー20の後端付近、後側の部品供給装置2のテープフィーダー20の前端付近には、各々、
図1にハッチングで示すように、吸着位置200が設定されている。後述する吸着ノズルは、吸着位置200から、電子部品を取り出している。
【0021】
(基板搬送装置3、基板支持装置)
基板搬送装置3は、ベース80の上面の前後方向中央付近に配置されている。基板搬送装置3は、前後一対の壁部30と、前記一対のベルト31と、前後一対のクランプ片32と、搬送モータ33と、を備えている。
【0022】
前後一対の壁部30は、ベース80の上面に立設されている。壁部30は、左右方向に延在している。前後一対のベルト31は、前側の壁部30の後面と、後側の壁部30の前面と、に対向して配置されている。ベルト31は、左右方向に延在している。基板搬送時において、基板Bは、前後一対のベルト31に架設されている。前後一対のクランプ片32は、前後一対の壁部30の上面に配置されている。クランプ片32は、左右方向に延在している。搬送モータ33は、前後一対のベルト31を駆動している。すなわち、搬送モータ33は、基板Bを、左側(生産ラインの上流側)から右側(生産ラインの下流側)に搬送している。
【0023】
基板支持装置は、前後一対の壁部30の間に配置されている。電子部品装着時において、基板支持装置は、基板Bの下面を支持している。この際、基板Bの上面は、前後両側から、前後一対のクランプ片32により、押圧されている。
【0024】
(XYロボット4)
図3に、本実施形態の電子部品実装機のX軸スライド付近の斜視図を示す。
図3に示すように、XYロボット4は、前後一対のX軸ガイドレール40と、X軸スライド41と、X軸モータ42と、上下一対のY軸ガイドレール43と、Y軸スライド44と、Y軸モータ45と、を備えている。
【0025】
前後一対のX軸ガイドレール40は、ベース80の上面に配置されている。X軸ガイドレール40は、左右方向に延在している。X軸スライド41は、前後一対の脚部410と、梁部411と、を備えている。前後一対の脚部410は、前後一対のX軸ガイドレール40に対して、左右方向に摺動可能である。梁部411は、前後一対の脚部410間に架設されている。梁部411は、前後一対の部品供給装置2、基板搬送装置3、基板Bの上側に配置されている。X軸モータ42は、ボールねじ機構部(図略)を介して、X軸スライド41を駆動している。
【0026】
上下一対のY軸ガイドレール43は、X軸スライド41の右面に配置されている。Y軸ガイドレール43は、前後方向に延在している。Y軸スライド44は、上下一対のY軸ガイドレール43に対して、前後方向に摺動可能である。Y軸モータ45は、ボールねじ機構部(図略)を介して、Y軸スライド44を駆動している。
【0027】
(装着ヘッド5)
図4に、本実施形態の電子部品実装機の装着ヘッドの斜視図を示す。
図5に、同装着ヘッドの基部および可動部の斜視図を示す。
図6に、本実施形態の電子部品実装機の装着ヘッドの基部および可動部の分解斜視図を示す。
図7に、同装着ヘッドの基部および可動部の下面透過図を示す。
図8に、
図7のVIII−VIII方向断面図を示す。なお、
図6においては、可動部54の一部を透過して示す。また、
図7においては、説明の便宜上、レバーにハッチングを施す。
【0028】
図2、
図4に示すように、装着ヘッド5は、ヘッド本体50と、基部51と、Z軸モータ52、θ軸モータ53と、可動部54と、を備えている。
【0029】
ヘッド本体50は、Y軸スライド44の右面に配置されている。基部51は、ヘッド本体50の下側に配置されている。基部51は、ヘッド本体50に対して、水平面内において回転可能である。
図5に示すように、基部51は、基部本体510と、係合部511と、を備えている。
図6に示すように、基部本体510は、下側に開口するカップ状を呈している。基部本体510の上底壁の径方向中央には、シャフト挿通孔510aが開設されている。係合部511は、基部本体510の側周壁の一部から下方に延在している。係合部511の下端(先端)は、径方向内側に屈曲している。
図2に示すθ軸モータ53は、基部51を駆動している。
【0030】
図5〜
図8に示すように、可動部54は、基部51の径方向内側かつ下側に配置されている。可動部54は、基部51に対して上下方向に移動可能である。
図2に示すZ軸モータ52は、可動部54を駆動している。
【0031】
可動部54は、四つのレバー540と、四つのピストン部541と、可動部本体542と、シャフト543と、四つのリターンスプリング544と、四つの荷重伝達ピン545と、四つのレバー支持部546と、四つの揺動軸547と、四つのスプリングキャップ548と、を備えている。リターンスプリング544は、本発明の「付勢部材」の概念に含まれる。
【0032】
図6に示すように、可動部本体542は、短軸円柱状を呈している。可動部本体542の軸方向は上下方向、径方向は水平方向である。
図8に示すように、可動部本体542は、四つのシリンダ部542aと、四つのスプリング座542bと、四つのレバー揺動室542cと、四つのレバー挿通口542dと、四つのピン保持片542e(
図7参照)と、四つのスプリング収容室542fと、を備えている。
【0033】
図6、
図7に示すように、四つのピン保持片542eは、可動部本体542の外周面から突設されている。四つのピン保持片542eは、可動部本体542の上縁付近に配置されている。四つのピン保持片542eは、周方向に90°ずつ離間して配置されている。
【0034】
図6、
図8に示すように、四つのシリンダ部542aは、可動部本体542の内部に配置されている。
図7に示すように、四つのシリンダ部542aは、周方向に90°ずつ離間して配置されている。
図8に示すように、シリンダ部542aは、下側に開口する有底円筒状を呈している。シリンダ部542aは、上下方向に延在している。シリンダ部542aの側周壁には、レバー挿通口542aaが開設されている。レバー挿通口542aaは、上下方向に延在している。
【0035】
四つのスプリング収容室542fは、可動部本体542の内部に区画されている。四つのスプリング座542bは、四つのスプリング収容室542fの底面から突設されている。四つのレバー揺動室542cは、可動部本体542の内部に区画されている。四つのレバー揺動室542cは、各々、スプリング収容室542fの上側に連なっている。四つのレバー揺動室542cには、各々、シリンダ部542aが表出している。シリンダ部542aのレバー挿通口542aaは、レバー揺動室542c側を向いている。
【0036】
四つのレバー挿通口542dは、可動部本体542の外周面に開設されている。
図5に示すように、四つのレバー挿通口542dは、周方向に90°ずつ離間して配置されている。四つのレバー挿通口542dは、各々、上下方向に延在している。四つのレバー挿通口542dは、各々、レバー揺動室542cに連なっている。
【0037】
図6に示すように、シャフト543は、可動部本体542の上面から、上側に延在している。
図2に示すZ軸モータ52は、シャフト543を介して、可動部本体542を上下方向に駆動している。
【0038】
図6、
図8に示すように、四つのピストン部541は、各々、シリンダ部542aの内部に収容されている。ピストン部541は、上下方向に延在する円柱状を呈している。ピストン部541は、シリンダ部542aの下向きの開口から、下側に向かって突出可能である。ピストン部541の上部には、出力部ガイド孔541aが穿設されている。出力部ガイド孔541aは、ピストン部541を直径方向に貫通している。出力部ガイド孔541aは、シリンダ部542aのレバー挿通口542aaに連通している。
図7に示すように、四つのピストン部541は、周方向に90°ずつ離間して配置されている。
図8に示すように、四つのピストン部541の下端には、各々、吸着ノズルNが、交換可能に取り付けられている。
【0039】
図6〜
図8に示すように、四つの荷重伝達ピン545は、各々、ピン保持片542eを上下方向に貫通している。荷重伝達ピン545は、上下方向に延在する円柱状を呈している。荷重伝達ピン545は、入力部ガイド孔545aと、被係合部545bと、を備えている。入力部ガイド孔545aは、荷重伝達ピン545を直径方向に貫通している。入力部ガイド孔545aは、レバー挿通口542dを向いている。被係合部545bは、荷重伝達ピン545の下端付近から、径方向外側に突出している。基部51の係合部511は、被係合部545bに、下側から係脱可能である。ここで、基部51は回転可能である。このため、係合部511は、四つの被係合部545bのうち、所望の被係合部545bに、選択的に係合することができる。
【0040】
図8に示すように、四つのリターンスプリング544は、各々、スプリング収容室542fに収容されている。リターンスプリング544は、コイルスプリングである。リターンスプリング544の下端は、スプリング座542bに取り付けられている。四つのリターンスプリング544は、周方向に90°ずつ離間して配置されている。
【0041】
図8に示すように、四つのスプリングキャップ548は、各々、リターンスプリング544の上端に配置されている。スプリングキャップ548の上面は、平面状を呈している。
図7に示すように、四つのスプリングキャップ548は、周方向に90°ずつ離間して配置されている。
【0042】
図8に示すように、四つのレバー支持部546は、各々、レバー揺動室542cに収容されている。
図6、
図8に示すように、四つのレバー支持部546は、上下方向に延在するシャフト状を呈している。
図7に示すように、四つのレバー支持部546は、周方向に90°ずつ離間して配置されている。
【0043】
図8に示すように、四つのレバー540は、各々、レバー揺動室542cに収容されている。四つのレバー540の配置については、後で詳しく説明する。四つのレバー540は、各々、入力部540aと、出力部540bと、揺動中心部540cと、付勢力入力部540dと、レバー本体540fと、を備えている。
【0044】
図7、
図8に示すように、レバー本体540fは、下側から見て、真っ直ぐな細板状を呈している。揺動中心部540cは、レバー本体540fの長手方向中間部に配置されている。揺動中心部540cは、揺動軸547を介して、レバー支持部546に回転可能に取り付けられている。
【0045】
図6〜
図8に示すように、入力部540aは、レバー本体540fの長手方向一端(径方向外端)に配置されている。つまり、入力部540aは、揺動中心部540cの径方向外側に配置されている。入力部540aは、ローラーである。入力部540aは、レバー本体540fに対して、回転可能である。入力部540aは、レバー挿通口542dを介して、可動部本体542の径方向外側に突出している。
図8に示すように、入力部540aは、入力部ガイド孔545aに挿入されている。入力部540aは、入力部ガイド孔545a内を、移動可能である。
【0046】
図6〜
図8に示すように、出力部540bは、レバー本体540fの長手方向他端(径方向内端)に配置されている。つまり、出力部540bは、揺動中心部540cの径方向内側に配置されている。出力部540bは、ローラーである。出力部540bは、レバー本体540fに対して、回転可能である。出力部540bは、レバー挿通口542aaを介して、シリンダ部542aの径方向内側に進入している。
図8に示すように、出力部540bは、出力部ガイド孔541aに挿入されている。出力部540bは、出力部ガイド孔541a内を、移動可能である。
【0047】
図7、
図8に示すように、付勢力入力部540dは、レバー本体540fの、揺動中心部540cと、出力部540bと、の間に配置されている。付勢力入力部540dは、ローラーである。付勢力入力部540dは、レバー本体540fに対して、回転可能である。付勢力入力部540dは、スプリングキャップ548の上面に、当接している。付勢力入力部540dは、スプリングキャップ548の上面を、移動可能である。
【0048】
(制御装置7)
図2に示すように、制御装置7は、演算部70と、記憶部71と、入出力インターフェイス72と、複数の駆動回路と、を備えている。入出力インターフェイス72は、搬送モータ33、X軸モータ42、Y軸モータ45、Z軸モータ52、θ軸モータ53と、各々、駆動回路を介して、電気的に接続されている。
【0049】
[レバーの配置]
次に、本実施形態の電子部品実装機の装着ヘッドの四つのレバーの配置について説明する。
図7に示すように、下側から見て、ピストン部541の径方向中心をL2、四つのピストン部541の径方向中心L2が形成するリング(真円)Rの径方向中心をL1、レバー本体540fの中心線をL3、リングRの径方向直線をL4(詳しくは、径方向中心L1と径方向中心L2とを通る直線の、径方向中心L2よりも径方向外側区間)として、中心線L3は、径方向直線L4に対して、周方向に角度δ1だけ傾斜した方向に延在している。また、四つのレバー540は、リングRの径方向中心L1の周囲に、渦巻状(あるいは風車状)に配置されている。
【0050】
[電子部品実装機の動き]
次に、本実施形態の電子部品実装機の動きについて説明する。まず、
図2に示す制御装置7は、X軸モータ42、Y軸モータ45を駆動し、XYロボット4を移動させる。そして、
図1に示す所定の吸着位置200の真上に、
図4に示す四つの吸着ノズルNのうち、いずれかの吸着ノズルNを、配置する。次に、
図2に示す制御装置7は、θ軸モータ53を駆動し、
図4に示す基部51を回転させる。そして、
図8に示すように、所望の吸着ノズルNが連動する被係合部545bの真下に、係合部511の下端を配置する。
【0051】
続いて、
図2に示す制御装置7は、Z軸モータ52を駆動し、シャフト543を介して、可動部54を下降させる。
図9に、本実施形態の電子部品実装機の装着ヘッドの基部および可動部の吸着ノズル下降時における軸方向断面図を示す。なお、
図9の断面は、
図8の断面に対応している。
【0052】
図9に示すように、係合部511と被係合部545bとは、上下方向から係合している。このため、可動部54を下降させても、荷重伝達ピン545は、ピン保持片542e内を相対的に上昇するだけである。すなわち、荷重伝達ピン545は下降しない。ここで、レバー540の入力部540aは、荷重伝達ピン545の入力部ガイド孔545aに収容されている。入力部ガイド孔545aは、水平方向に延在している。このため、可動部54を下降させても、荷重伝達ピン545と同様に、入力部540aも下降しない。一方、レバー540の揺動中心部540cは、可動部54と共に下降する。このため、レバー540には、入力部540aから、上向きの荷重が加わる。当該荷重により、レバー540は、揺動中心部540cを中心に、
図9における時計回り方向に揺動する。
【0053】
レバー540が時計回り方向に揺動すると、付勢力入力部540dは下降する。このため、リターンスプリング544は、上側から圧縮される。したがって、リターンスプリング544には、上向きの付勢力が蓄積される。
【0054】
また、レバー540が揺動すると、出力部540bは下降する。ここで、出力部540bは、ピストン部541の出力部ガイド孔541aに収容されている。このため、出力部540bが下降すると、ピストン部541も下降する。したがって、吸着ノズルNが可動部本体542の下面から、下側に突出する。当該吸着ノズルNにより、電子部品を、
図1に示す所定の吸着位置200から取り出す。
【0055】
それから、
図2に示す制御装置7は、Z軸モータ52を駆動し、シャフト543を介して、基部51に対して、可動部54を上昇させる。ここで、リターンスプリング544には、上向きの付勢力が蓄積されている。当該付勢力により、レバー540は、揺動中心部540cを中心に、
図9における反時計回り方向に揺動する。つまり、レバー540は復動する。このため、可動部54に対して、吸着ノズルNが上昇する。
【0056】
その後、
図2に示す制御装置7は、XYロボット4、装着ヘッド5を動かし、
図1に示す基板Bの所定の装着位置に、電子部品を装着する。電子部品を装着する際の吸着ノズルNの動作は、
図8、
図9同様である。
【0057】
[作用効果]
次に、本実施形態の電子部品実装機の作用効果について説明する。
図7に示すように、本実施形態の電子部品実装機1の装着ヘッド5によると、下側から見て、四つのレバー540が、四つのピストン部541が形成するリングRの径方向に対して、周方向に互いに角度δ1だけ傾斜した方向に延在している。このため、
図7に示すように、レバー540が径方向に延在している場合と比較して(径方向直線L4)、レバー540の全長を長くすることができる。したがって、レバー540の全長が短い場合と比較して、同量の上下動ストローク(詳しくは、ピストン部541つまり吸着ノズルNの上下動ストローク)を確保する場合、垂直面内におけるレバー540の揺動角を小さくすることができる。
【0058】
また、レバー540の揺動角が小さいため、揺動時のレバー540の水平方向の変位量を小さくすることができる。すなわち、
図8に示すように、入力部ガイド孔545aに対する入力部540aの水平方向の移動量を小さくすることができる。このため、入力部ガイド孔545aと入力部540aとの間で、水平方向の荷重が伝達されにくくなる。また、出力部ガイド孔541aに対する出力部540bの水平方向の移動量を小さくすることができる。このため、出力部540bと出力部ガイド孔541aとの間で、水平方向の荷重が伝達されにくくなる。また、スプリングキャップ548に対する付勢力入力部540dの水平方向の移動量を小さくすることができる。このため、付勢力入力部540dとスプリングキャップ548との間で、水平方向の荷重が伝達されにくくなる。このように、本実施形態の電子部品実装機1の装着ヘッド5によると、揺動時のレバー540の水平方向の変位量を小さくすることができる。このため、水平方向の変位に伴う各部材の摩耗、劣化、荷重伝達ロスなどを抑制することができる。
【0059】
また、本実施形態の電子部品実装機1の装着ヘッド5によると、レバー540の全長が短い場合と比較して、同量の揺動角を確保する場合、上下動ストロークを長くすることができる。
【0060】
また、
図8、
図9に示すように、本実施形態の電子部品実装機1の装着ヘッド5によると、基部51に対する可動部54の上下方向の運動を、まずレバー540の回転方向の運動に変換し、次いで可動部本体542に対するピストン部541の上下方向の運動に変換することができる。このため、基部51に対して可動部54を動かすだけで、ピストン部541つまり吸着ノズルNを動かすことができる。
【0061】
また、
図7に示すように、本実施形態の電子部品実装機1の装着ヘッド5によると、下側から見て、任意のレバー540は、当該レバー540から出力される荷重により下降する吸着ノズルNに対して周方向に隣り合う別の吸着ノズルNの、直近に配置されている。このため、レバー540の全長を、より長くすることができる。
【0062】
また、
図8、
図9に示すように、本実施形態の電子部品実装機1の装着ヘッド5によると、可動部54は、レバー540を復動方向(吸着ノズルNが上昇する方向)に付勢するリターンスプリング544を備えている。このため、レバー540が復動しやすい。
【0063】
<第二実施形態>
本実施形態の電子部品実装機と第一実施形態の電子部品実装機との相違点は、吸着ノズルが六つ配置されている点である。ここでは、相違点についてのみ説明する。
図10に、本実施形態の電子部品実装機の装着ヘッドの基部および可動部の下面透過図を示す。なお、
図7と対応する部位については、同じ符号で示す。
【0064】
図10に示すように、下側から見て、ピストン部541の径方向中心をL2、六つのピストン部541の径方向中心L2が形成するリング(真円)Rの径方向中心をL1、レバー本体540fの中心線をL3、リングRの径方向直線をL4(詳しくは、径方向中心L1と径方向中心L2とを通る直線の、径方向中心L2よりも径方向外側区間)として、中心線L3は、径方向直線L4に対して、周方向に角度δ1(=90°)だけ傾斜した方向に延在している。また、六つのレバー540は、リングRの径方向中心L1の周囲に、渦巻状に配置されている。
【0065】
本実施形態の電子部品実装機と第一実施形態の電子部品実装機とは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。本実施形態のように、六つの吸着ノズルN、つまり六つのレバー540を配置してもよい。
【0066】
<その他>
以上、本発明の装着ヘッドおよび電子部品実装機の実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
【0067】
図8に示す入力部540a、出力部540b、付勢力入力部540dの形状は特に限定しない。円板状、球状、円柱状などであってもよい。入力部540a、出力部540b、付勢力入力部540dは、軸受であってもよい。すなわち、内輪と、外輪と、内輪と外輪との間に介装される多数のボールと、を有する軸受であってもよい。入力部540a、出力部540b、付勢力入力部540dは、転動体でなくてもよい。すなわち、レバー本体540fに固定されていてもよい。また、入力部540a、出力部540b、付勢力入力部540dは、レバー本体540fと一体であってもよい。
【0068】
図7、
図10に示すレバー540の配置数、角度δ1は特に限定しない。角度δ1は、周方向に隣り合うピストン部541と接触しない、もしくは周方向に隣り合うピストン部541を超えない範囲であればよい。また、複数のレバー540により形成される渦の向きは、下側から見て、時計回り方向でも反時計回り方向でもよい。
図8に示す基部51、荷重伝達ピン545は配置しなくてもよい。すなわち、可動部54を動かさずに、入力部540aを上昇させることにより、出力部540bつまり吸着ノズルNを下降させてもよい。
【0069】
図8に示す付勢力入力部540dは、入力部540aと揺動中心部540cとの間に配置してもよい。また、付勢力入力部540dは、レバー本体540fの上縁に配置してもよい。この場合、リターンスプリング544は、レバー揺動室542cの天井と、上向きの付勢力入力部540dと、の間に介装すればよい。また、リターンスプリング544の代わりに、板ばね、皿ばねを配置してもよい。また、エラストマー(ゴムなど)製や発泡体製の弾性体を配置してもよい。
【0070】
また、揺動軸547の周囲にリターンスプリング544を巻き付けてもよい。すなわち、リターンスプリング544の一端を揺動軸547に固定し、他端を揺動中心部540cに固定し、揺動軸547にリターンスプリング544の胴部を巻装してもよい。そして、揺動軸547に対してレバー540を揺動させてもよい。
【0071】
図8に示す揺動中心部540cの位置は特に限定しない。入力部540a寄りに配置すると、入力部540aの上昇量に対して、出力部540bの下降量が大きくなる。その反面、入力部540aを上昇させるための荷重が大きくなる。一方、出力部540b寄りに配置すると、入力部540aの上昇量に対して、出力部540bの下降量が小さくなる。その反面、入力部540aを上昇させるための荷重が小さくなる。
図6に示す基部51は、回転しなくてもよい。この場合、
図2に示すθ軸モータ53により、基部51に対して、可動部54を回転させてもよい。