特許第5938013号(P5938013)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5938013
(24)【登録日】2016年5月20日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】睡眠改善剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/899 20060101AFI20160609BHJP
   A61K 36/07 20060101ALI20160609BHJP
   A61P 25/20 20060101ALI20160609BHJP
【FI】
   A61K36/899
   A61K36/07
   A61P25/20
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-142255(P2013-142255)
(22)【出願日】2013年7月8日
(65)【公開番号】特開2015-13840(P2015-13840A)
(43)【公開日】2015年1月22日
【審査請求日】2015年2月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000245690
【氏名又は名称】野田食菌工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086689
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100157772
【弁理士】
【氏名又は名称】宮尾 武孝
(74)【代理人】
【識別番号】100182040
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 英世
(72)【発明者】
【氏名】日比野 康英
(72)【発明者】
【氏名】岡▲崎▼ 真理
(72)【発明者】
【氏名】松崎 広和
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 博
【審査官】 鳥居 福代
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−265179(JP,A)
【文献】 特開平11−103877(JP,A)
【文献】 ジェロントロジーニューホライズン,2004年,Vol.16, No.1,p.67-71
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/899
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
米糠の酵素分解物を含む培地でシイタケ菌糸体を培養し、その培養物から調製したシイタケ醗酵米糠抽出物と、禾本科植物から調製された植物繊維質原料を含む培地でシイタケ菌糸体を培養し、その培養物から調製したシイタケ菌糸体培養培地抽出物とを有効成分とする睡眠改善用組成物
【請求項2】
前記米糠の酵素分解物が、多糖分解酵素による分解物である請求項1記載の睡眠改善用組成物
【請求項3】
前記シイタケ菌糸体培養培地抽出物が、糖質、蛋白質、及び水溶性リグニンを含むものである請求項1又は2記載の睡眠改善用組成物
【請求項4】
前記米糠の酵素分解物を含む培地での培養が、液体培養であり、前記植物繊維質原料を含む培地での培養が、固体培養である請求項1〜3のいずれか1つに記載の睡眠改善用組成物
【請求項5】
睡眠の改善を目的とする経口用組成物を調製するための、(1)米糠の酵素分解物を含む培地でシイタケ菌糸体を培養し、その培養物から調製したシイタケ醗酵米糠抽出物、及び(2)植物繊維質原料を含む培地でシイタケ菌糸体を培養し、その培養物から調製したシイタケ菌糸体培養培地抽出物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は睡眠改善剤に関する。
【背景技術】
【0002】
睡眠はヒトや動物にとって欠かせない生理活動である。すなわち、休息のためだけでなく、生活の質(QOL)の向上や、生活リズムを整えてストレスを解消したり、ひいては健康増進のため、質のよい「眠り」が求められる。一般に、不眠の症状が重篤になれば、医師の処方により睡眠剤や睡眠導入剤を服用することになるが、そのように重篤な症状に見舞われないながらも、睡眠リズムの乱れ、目覚めの悪さ、寝つきの悪さ、昼間の集中力の低下、眠りが浅い、よく眠った感じがしないなど、様々に「眠り」への不満や、それを改善すべきという「快眠」への要望がある。そこで、日常において気軽に服用して睡眠の質を改善することができる睡眠改善剤の開発が望まれており、その安全性の面からは、食用としても安全に摂取できるものを有効成分にすることが望まれる。
【0003】
食用としても摂取される素材を有効成分とする睡眠改善剤としては、例えば、グリシンを有効成分として含有する熟眠障害改善剤(特許文献1)、オルニチンを有効成分として含有する寝つきまたは寝起き改善用経口剤(特許文献2)、γ―アミノ酪酸を有効成分として含有することを特徴とする、睡眠の質改善用組成物(特許文献3)、アルギニンを含有することを特徴とする睡眠誘導剤(特許文献4)、セサミン類を有効成分とする睡眠障害改善剤(特許文献5)などが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−333872号公報
【特許文献2】特開2006−342148号公報
【特許文献3】特開2007−63236号公報
【特許文献4】特開2007−230954号公報
【特許文献5】特開2010−285427号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
睡眠改善剤の新たな有効成分を提供できれば需要者に選択の幅が広がる。
本発明の目的は、安全性に優れ、簡便にかつ効果的に睡眠改善の効果を得ることができる睡眠改善剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、シイタケ菌糸体を特定の培養法により培養した培養物から得られた抽出物の組合せが、睡眠改善に有効であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明の睡眠改善剤は、米糠の酵素分解物を含む培地でシイタケ菌糸体を培養し、その培養物から調製したシイタケ醗酵米糠抽出物と、禾本科植物から調製された植物繊維質原料を含む培地でシイタケ菌糸体を培養し、その培養物から調製したシイタケ菌糸体培養培地抽出物との組合せからなることを特徴とする。
【0008】
本発明の睡眠改善剤は、前記米糠の酵素分解物が、多糖分解酵素による分解物であることが好ましい。
【0009】
また、前記シイタケ菌糸体培養培地抽出物が、糖質、蛋白質、及び水溶性リグニンを含むものであることが好ましい。
【0010】
また、前記植物繊維質原料を含む培地での培養が、固体培養であり、前記米糠の酵素分解物を含む培地での培養が、液体培養であることが好ましい。
【0011】
一方、本発明のもう一つは、睡眠の改善を目的とする経口用組成物を調製するための、(1)米糠の酵素分解物を含む培地でシイタケ菌糸体を培養し、その培養物から調製したシイタケ醗酵米糠抽出物、及び/又は、(2)植物繊維質原料を含む培地でシイタケ菌糸体を培養し、その培養物から調製したシイタケ菌糸体培養培地抽出物の使用を提供するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、シイタケ菌糸体を特定の培養法により培養した培養物から得られた抽出物の組合せによって、安全性に優れ、簡便にかつ効果的に睡眠改善の効果を得ることができる睡眠改善剤を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】ラットの脳座標位置を示す説明図である。
図2】シイタケ醗酵米糠抽出物(LEF)及び/又はシイタケ菌糸体培養培地抽出物(LEM)の投与がラットのノンレム睡眠に与える影響を調べた結果を示す図表である。
図3】シイタケ醗酵米糠抽出物(LEF)及び/又はシイタケ菌糸体培養培地抽出物(LEM)の投与がラットの総睡眠量に与える影響を調べた結果を示す図表である。
図4】シイタケ醗酵米糠抽出物(LEF)とシイタケ菌糸体培養培地抽出物(LEM)との2:1混合物を人に与えたときの睡眠改善効果を調べた結果(人数)を示す図表である。
図5】シイタケ醗酵米糠抽出物(LEF)とシイタケ菌糸体培養培地抽出物(LEM)との2:1混合物を人に与えたときの睡眠改善効果を調べた結果(得点)を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の睡眠改善剤は、米糠の酵素分解物を含む培地にシイタケ菌糸体を接種して培養し、その培養物から調製したシイタケ醗酵米糠抽出物と、禾本科植物から調製された植物繊維質原料を含む培地にシイタケ菌糸体を接種して培養し、その培養物から調製したシイタケ菌糸体培養培地抽出物との組合せからなる。
【0015】
[1]シイタケ醗酵米糠抽出物
培地に用いる米糠としては、脱脂米糠が好ましい。米糠は3〜10倍量の水を加えて攪拌後、常法に従い高圧蒸気滅菌して、それに分解酵素を添加して酵素分解処理する。分解酵素は、米糠の高分子成分をある程度分解してシイタケ菌が産生する酵素が米糠に作用し易い状態とする酵素であればよく、例えば、アミラーゼ、ペクチナーゼ、へミセルラーゼ、セルラーゼ、グルカナーゼなどの多糖分解酵素、プロテアーゼ、ペプチダーゼなどの蛋白質分解酵素、パーオキシダーゼ、ラッカーゼ、リグニナーゼなどのリグニン分解酵素などが挙げられる。このうち、多糖分解酵素が好ましい。酵素反応は、米糠の分解物が十分に生成するように、適宜、用いる酵素に適した条件で行えばよい。このようにして米糠の酵素分解懸濁液が得られる。
【0016】
一方、常法に従いシイタケ菌糸体を栄養培地中で培養した後、その培養液のまま、又は、その菌糸を回収した後に、上記米糠の酵素分解懸濁液と合わせて、20〜80℃で1〜140時間培養する。培地には、必要に応じて、酵母エキス、乾燥酵母、クロレラ、スピルリナ、コーンミール、おから等を栄養成分として含有させてもよい。
【0017】
培養終了後、好ましくは、加熱処理し、場合によっては加圧処理や超音波処理をして、抽出物を採取する。また、この抽出物を、必要に応じて濾過又は遠心分離して、濾液又は上清を採取することにより、米糠由来成分や、それがシイタケ菌によって分解、代謝、異化された成分、シイタケ菌糸体の代謝産物及び菌糸体細胞の分解物などを含む抽出液の形態の抽出物を得ることができる。
【0018】
こうして得られた抽出物は、糖質を主体とした物質であるが、次のような成分を有していることが確認された。
・糖質:47〜74%
・蛋白質:10〜18%
・灰分:10〜16%
・ペントース:4〜8%
【0019】
[2]シイタケ菌糸体培養培地抽出物
培地に用いる植物繊維質原料としては、リグニンを含有する植物から調製されたものが好ましく用いられる。リグニンを含有する植物としては、禾本科植物が挙げられ、例えばバガス(砂糖黍の繊維性成分)、トウモロコシの茎葉、小麦ふすま、米糠、稲藁、茅などが好ましく用いられる。この他に、熊笹、竹なども使用できる。このうち、バガス、熊笹の茎葉、トウモロコシの茎から選ばれた1種と、米糠とを含む培地が特に好ましく用いられる。また、培地には、必要に応じて、酵母エキス、乾燥酵母、クロレラ、スピルリナ、コーンミール、おから等を栄養成分として含有させてもよい。
【0020】
シイタケ菌糸体の培養は、上記のような植物繊維質原料を含む培地に、シイタケ菌の菌糸体又は胞子を接種して行う。
【0021】
固体培養の場合は、水分が60〜80%となるように調整し、常法に従い高圧蒸気滅菌した後、菌糸を接種し、例えば温度が18〜25℃に空調された培養室で3〜6ヶ月培養する。こうして菌糸体が蔓延した培地は、温度処理室に移して変温処理を行うことが望ましい。変温処理は、例えば最初に30〜34℃で24〜48時間加温し、次に低温室に移して3〜5日間処理する。その後培養室に移すと子実体の発生が始まるが、この時点で培養を終了し、培養物を破砕機で破砕する。
【0022】
培養終了後、好ましくは、菌糸体が生産した菌糸体内外酵素を利用して菌糸体を自己消化させると共に培養物を抽出する。その好ましい方法として、固体培地の場合は培養が終了した培地を破砕し、必要に応じて少量の水を加え、30〜60℃で3〜6時間処理し、菌糸体を酵素作用によって自己消化させる。次いで、この破砕物を50℃以上の温水又は熱水に浸潤させ、有効成分を抽出する。抽出は、例えば1kg/cmの加圧蒸気圧下で120℃というような加圧高温下で行うこともできる。このようにして得られる抽出懸濁液を、好ましくは濾過又は遠心分離して濾液又は上清を採取することで、培地の分解物、シイタケ菌糸体の代謝産物及び菌糸体細胞の分解物などを含む抽出液の形態の抽出物を得ることができる。
【0023】
また、液体培養の場合は、植物繊維質原料を細かく粉砕し、必要に応じて米糠等の他の栄養成分を加え、原料が5〜20重量%となるように培地を調製した後、通気攪拌培養もしくは振盪培養により、好ましくは20〜28℃の温度で1週間〜2ヶ月程度培養を行う。培養は培地のpHが3.5〜5に低下し、培地中に菌糸が蔓延した状態で終了する。
【0024】
培養終了後、好ましくは、培養物全体を30〜60℃で3〜6時間処理し、菌糸体を自己消化させ、液体の懸濁培養物を得る。次いで、必要に応じて水を加え、50℃以上、場合によっては高圧条件下(例えば1kg/cmの加圧蒸気圧下)に加熱し、抽出物を採取する。また、この抽出物を、必要に応じて濾過又は遠心分離して、濾液又は上清を採取することにより、培地の分解物、シイタケ菌糸体の代謝産物及び菌糸体細胞の分解物などを含む抽出液の形態の抽出物を得ることができる。
【0025】
こうして得られた抽出物は、糖質を主体とした物質であるが、次のような成分を有していることが確認された。
・糖質:30〜50%
・蛋白質:8〜15%
・水溶性リグニン:20〜40%
【0026】
上記の方法で得られたシイタケ醗酵米糠抽出物とシイタケ菌糸体培養培地抽出物は、そのまま又は濃縮して液体のまま製品化することもでき、更に上記抽出液の形態の抽出物を凍結乾燥や噴霧乾燥等の方法により粉末化することもできる。抽出液の形態の抽出物を乾燥すると微粉末が得られるが、これを更に粉砕し、超微細粒子とすることもできる。また、常法によって、粉末、顆粒、錠剤、カプセル剤、液状、ゼリー状等の形態として製品化してもよい。
【0027】
本発明の睡眠改善剤は、シイタケ醗酵米糠抽出物とシイタケ菌糸体培養培地抽出物とを組合せて用いることが必要である。すなわち、後述の実施例で示されるように、それぞれ単独では睡眠改善の効果がなく、組合せたときにはじめて効果が発揮される。その割合は、シイタケ醗酵米糠抽出物とシイタケ菌糸体培養培地抽出物とが、固形分質量換算で0.5:1〜20:1であることが好ましく、1:1〜10:1であることがより好ましく、2:1〜5:1であることが最も好ましい。
【0028】
組合せ方は、使用者に併用して摂取してもらうように提供する形態であればよく、特に制限はない。シイタケ醗酵米糠抽出物とシイタケ菌糸体培養培地抽出物とが所定の配合割合で混合されてなる組成物の形態とすればよいことは勿論であるが、あるいは、例えば、シイタケ醗酵米糠抽出物とシイタケ菌糸体培養培地抽出物とを別々にパッケージして、使用時に同時に摂取してもらうように提供する形態であってもよい。
【0029】
シイタケ醗酵米糠抽出物とシイタケ菌糸体培養培地抽出物の有効投与量は、経口摂取において成人1日当り、それぞれ0.1〜10g、0.01〜10gである。投与量がこれよりも少ないと、十分な効果が得られにくく、投与量がこれよりも多いと、軟便又は腹部膨満感が生じることがある。ただし、投与量が上記より多くても安全性には問題ない。
【0030】
一方、本発明の範囲には、睡眠の改善を目的とする経口用組成物を調製する際の、上記シイタケ醗酵米糠抽出物及び/又は上記シイタケ菌糸体培養培地抽出物の使用が含まれる。例えば、睡眠の改善を目的とする健康食品用錠剤の原材料として、上記シイタケ醗酵米糠抽出物及び/又は上記シイタケ菌糸体培養培地抽出物を配合して使用する場合等である。上記シイタケ醗酵米糠抽出物及び/又は上記シイタケ菌糸体培養培地抽出物の合計量は、任意に決定できるが、その組成物中に1〜100質量%、より好ましくは10〜75質量%、最も好ましくは20〜50質量%などである。
【実施例】
【0031】
以下実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
【0032】
<製造例1>(シイタケ醗酵米糠抽出物(以下「LEF」という。)の調製)
米糠2kgを50Lのファーメンターに入れ水12Lを添加した。撹拌しながら121℃30分滅菌した。
【0033】
40℃に冷却後、澱粉糖化型アミラーゼを主体とする酵素剤である「ユニアーゼ」1g、ペクチナーゼ、ヘミセルラーゼなどを高力価で含有する酵素剤である「マセロチーム」2g、セルラーゼを含有する酵素剤である「セルラーゼオノズカ3S」2g(いずれもヤクルト薬品工業株式会社)を水500mLに溶解し、濾過滅菌後添加した。4時間反応させた後、シイタケ菌の液体培養液(マルツ液体培地で45日培養)と上記米糠の酵素分解懸濁液とを同量混合して、徐々に液温を上昇させ60℃で一晩反応させた。この反応液から水溶性部分を遠心分離により取り出し噴霧乾燥した。
【0034】
LEFはベージュ色の微粉末でほのかな甘みがあった。成分を分析した結果、水分3.7%(加熱減量法)、灰分13.4%(直接灰化法)、全糖55.5%(フェノール硫酸法)、蛋白質15.6%(デュマ法)、ペントース6%(オルシン-塩化鉄-塩酸法)であった。
【0035】
<製造例2>(シイタケ菌糸体培養培地抽出物(以下「LEM」という。)の調製)
乾燥バガスと脱脂米糠を質量比で9:1に混合し、水を70質量%になるように添加した。混合後、ポリプロピレン製の袋に詰め滅菌した。冷却後、シイタケ菌を接種し、22℃で培養した。シイタケ菌が乾燥バガスと脱脂米糠からなる培養基に蔓延し、子実体(きのこ)が形成される直前の状態で、その培養基ごと破砕し、温水で抽出した。抽出液を濾過除菌後噴霧乾燥した。
【0036】
<試験例1>
(1)電極埋め込み処置
SD系雄性ラット(9週齢〜11週齢)をイソフルラン麻酔下(導入5%、維持2%)、頭皮を正中切開し頭蓋骨を露出させた。Paxinosらの脳地図に従って(図1参照)、脳波測定用電極として前頭葉皮質上(A:2.0mm、L:2.0mm)(図1中、B: Bregmaを0として、A: Anteroposterior(前方向)に2.0mm、L: Laterally(側位、側方)に2.0mmの脳座標位置)、および後頭葉皮質上(P:2.0mm、L:2.0mm)(図1中、B: Bregmaを0として、P: posteriorly(後方)に2.0mm、L: Laterally(側位、側方)に2.0mmの脳座標位置)にネジ電極を、その左右対称にアンカーとしてネジ2本を、また不関電極としてネジ電極を小脳付近に埋め込んだ。さらに筋電図測定用の電極として、僧房筋に一部ウレタンを剥ぎハンダを付着させたウレタンコート導線を貫通させて縛り固定した。
【0037】
(2)測定環境
ラットの脳波および筋電図の測定は、ラットを無麻酔無拘束下でアクリル製観察箱(縦30cm、横30cm、高さ30cm)に入れて行った。この観察箱は防音シールドボックス内に置いた。
【0038】
(3)配合比の検討
上記製造例1及び製造例2で調製したLEFとLEMを質量比で1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、10:1で混合したサンプルを作製した。
【0039】
(4)投与方法
電極埋め込み処置より1週間経過後のラットに胃ゾンデを用いて各試料(1g/kg体重)を経口投与し、投与後すぐに測定を開始した。別の日に同一のラットに蒸留水を経口投与して睡眠量を測定し、対照データとして用いた。
【0040】
(5)脳波および筋電図の測定
脳波および筋電図はデータ解析装置(「PowerLab」、ADInstruments製)を用いて午前10時半から午後4時半までの6時間測定した。
【0041】
(6)睡眠覚醒のステージは、覚醒、ノンレム睡眠、レム睡眠の3段階とし、睡眠解析研究用プログラム(「SleepSign3.0」、キッセイコムテック株式会社)を用いて10秒を1エポックとして解析し、各状態の割合、総睡眠量を計測した。
【0042】
(7)結果
図2にノンレム睡眠、図3に総睡眠量への影響を測定した結果のグラフを示す。
【0043】
図2,3に示されるように、LEFまたはLEMの単独投与は、ラットの睡眠に対して有意な影響を与えなかった。それに対して、LEFとLEMの混合物は、ラットの睡眠を増加させる傾向を示し、LEFの混合割合を増やすことにより、睡眠の効果は増強される傾向が見られ、LEF:LEMが4:1の場合に睡眠量の増加率が最大となった。5:1および10:1では効果が減弱し、レム睡眠が減少する傾向が見られた。
【0044】
<試験例2>
睡眠に不満のある成人男女13人(男性7人、女性6人、平均年齢41.6歳)に対してLEMとLEFとを2:1に混合した被検物質を1.5g/日で10日間摂取してもらい終了時の睡眠状態を、悪化(−2点)、少し悪化(−1点)、不変(0点)、少し改善(1点)、改善(2点)の5段階で評価した。調査項目は、寝付き、眠りの深さ、睡眠時間、熟眠感、目覚め感、の5項目とした。
【0045】
図4には、上記調査項目ごとに各評価をした被験者の人数の結果を、図5には、上記調査項目ごとの評価点の累積値の結果を、それぞれ示す。
【0046】
図4に示されるように、改善した人の割合は、少し改善と改善を合わせると、寝付きの項目では61.5%、眠りの深さの項目では58.3%、睡眠時間の項目では69.2%、熟眠感の項目では69.2%、目覚め感の項目では53.8%であった。悪化(少し悪化を含む)の例は認められなかった。よって、睡眠に不満のあるヒトに対してLEMとLEFの併用摂取により睡眠改善の効果がもたらされることが明らかとなった(図4,5参照)。
図1
図2
図3
図4
図5