(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2領域は、前記金属層(508)によって支える荷重を、前記第2領域の前記第1の任意の数の層(600)及び前記第2の任意の数の層(602)に伝達するように構成される、請求項1に記載の装置。
前記第1の任意の数の層(600)、前記第2の任意の数の層(602)、及び前記金属層(508)は、航空機の胴体に取り付けられるように構成される前記翼(318)のエッジにまで延在し、前記任意の数のファスナー(308)を受け入れるように構成される前記金属層(508)の前記第1領域は、前記翼(318)の前記エッジに位置する、請求項1乃至3の何れかに一項に記載の装置。
前記金属層(508)の構成部分は、前記第1の任意の数の層(600)及び前記第2の任意の数の層(602)のエッジを超えて延在し、前記金属層(508)の前記構成部分は、前記金属層(508)を、航空機の飛行中に予測される最大荷重よりも小さい選択荷重で試験するために使用されるように構成される、請求項1乃至4の何れかに一項に記載の装置。
前記金属層(508)は厚さを、前記第1厚さから前記第2厚さに先細り加工する操作、及び前記第1厚さから前記第2厚さへの階段形状に変化させる操作のうちの少なくとも1つの操作により変化させる、請求項8乃至10の何れか一項に記載の方法。
前記第1の任意の数の層(600)、前記第2の任意の数の層(602)、及び前記金属層(508)は、前記航空機の飛行中に予測される最大荷重よりも大きい荷重を支えるように構成される、請求項8乃至11の何れか一項に記載の方法。
【背景技術】
【0002】
航空機は、設計され、そして製造される際の複合材料の占める割合が益々大きくなっている。幾つかの航空機では、これらの航空機の主要構造部材の50パーセント超が複合材料で製造されるようになっている。複合材料は、航空機の重量を低減するために航空機内に使用される。重量をこのように低減すると、例えばこれらには限定されないが、積載物の可搬量、及び燃料効率のような性能指数が向上する。更に、複合材料によって、航空機内の種々のコンポーネントの耐用年数を長期化させることができる。
【0003】
複合材料は、2種類以上の異なる成分を組み合わせることにより形成される頑丈な軽量材料である。例えば、複合材料は、繊維及び樹脂を含むことができる。繊維は、基材または母材の形態とすることができる。例えば、繊維は織布の形態を採ることができる。樹脂は基材の強化材を形成することができる。繊維及び樹脂を混合し、そして硬化させて複合材料を形成することができる。
【0004】
更に、複合材料を使用することにより、航空機の一部を、より大きな部材またはセクションとして形成することができる。例えば、航空機の胴体は円筒体セクションとして形成することができ、これらの円筒体セクションを繋ぎ合わせて航空機の胴体を形成することができる。航空機の一部を形成するために繋ぎ合わせることができるセクションの他の例として、これらには限定されないが、翼を形成するために接合される翼セクション、及び安定板を形成するために接合される安定板セクションを挙げることができる。
【0005】
ジョイントが複合材料を使用して形成される箇所では、幾つかのジョイントは他のジョイントよりも、大きな荷重を支える必要がある。例えば、翼を胴体に取り付けることにより形成されるジョイントは、より大きな荷重を支える必要があるジョイントの例である。
【0006】
複合材料は通常、ジョイントが、複合材構造物を互いにファスナーを使用して接合することにより形成される場合に、より低い強度を有する。その結果、これらの種類のジョイントにおける複合材料は通常、他の箇所におけるよりも厚い。構造物がより厚い場合、ファスナーのサイズ及び重量を大きくして、ジョイントを形成するための必要条件を満たす必要がある。
【0007】
複合材料の厚さを厚くすることは、構造物全体を通じて望ましくない。例えば、外板パネルが複合材料により形成される場合、胴体のジョイントの所望の厚さを確保するために外板パネル全体の厚さを厚くすることは望ましくない。外板パネル全体の厚さが厚くなると、航空機の重量が重くなる虞があり、そして/または性能が低下する虞がある。
【0008】
従って、上に説明した問題だけでなく、起こり得る他の問題のうちの少なくとも幾つかの問題を考慮に入れた方法及び装置を有することができれば有利である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
これらの図面を更に詳細に参照するに、本開示の種々の実施形態は、
図1に示す航空機製造及び整備方法100、及び
図2に示す航空機200に関連して記載することができる。まず、
図1を参照するに、航空機製造及び整備方法の図が、有利な実施形態に従って描かれている。製造前段階では、航空機製造及び整備方法100において、
図2の航空機200の仕様及び設計102、及び材料の調達104を行なうことができる。
【0016】
製造段階では、
図2の航空機200のコンポーネント及びサブアセンブリの製造106、及びシステムインテグレーション108が行なわれる。その後、
図2の航空機200は、認可及び納品110を経て、運航112に供される。顧客により運航112される間、
図2の航空機1000は、定期的な整備及び保守114(改造、再構成、改修、及びその他の整備又は保守を含みうる)を受ける。
【0017】
航空機製造及び整備方法100の各プロセスは、システムインテグレータ、第三者、及び/又はオペレータによって実施又は実行されることがある。これらの実施例では、オペレータは顧客であってもよい。本明細書の目的のために、システムインテグレータは、限定しないが、任意の数の航空機製造者、及び主要システムの下請業者を含むことができ、第三者は、限定しないが、任意の数のベンダー、下請業者、及び供給業者を含むことができ、オペレータは、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス機関などであってもよい。
【0018】
次に、
図2を参照するに、有利な実施形態を実現することができる航空機の図が描かれている。この例では、航空機200は、
図1の航空機製造及び整備方法100によって製造されたものであり、複数のシステム204及び内装206を有する機体202を含みうる。システム204の例として、推進システム208、電気システム210、油圧システム212、及び環境システム214のうちの一又は複数を挙げることができる。任意の数の他のシステムを含めてもよい。
【0019】
これらの例示的な実施例では、機体202は構造物216で形成することができる。構造物216は、ジョイント218で一括して結合することができる。これらの例示的な実施例では、構造物216は、例えばこれらには限定されないが、外板パネル、主翼ボックス、安定板、スパー(桁)、リブ、及び機体202の他の適切な種類の構造物を含むことができる。航空宇宙産業の例を示しているが、種々の有利な実施形態は、自動車産業のような他の産業に適用することができる。
【0020】
本明細書で具現化した装置及び方法は、
図1の航空機の製造及び保守方法100の少なくとも1つの段階で使用可能である。
本明細書において、列挙されたアイテムと共に使用する「〜のうちの少なくとも1つの」という表現は、列挙されたアイテムのうちの一又は複数からなる様々な組み合わせが使用可能であり、且つ列挙された各アイテムが1つだけあればよいことを意味する。
例えば、「アイテムA、アイテムB、及びアイテムCのうちの少なくとも1つ」は、例えば、限定しないが、「アイテムA」、又は「アイテムAとアイテムB」を含む。この例は、「アイテムAとアイテムBとアイテムC」、又は「アイテムBとアイテムC」も含む。
【0021】
1つの例示的な実施例では、
図1のコンポーネント及びサブアセンブリの製造106において製造されるコンポーネント又はサブアセンブリは、
図1で航空機200の運航中112に製造されるコンポーネント又はサブアセンブリと同様の方法で作製又は製造される。
【0022】
さらに別の実施例では、任意の数の装置の実施形態、方法の実施形態、又はこれらの組み合わせは、
図1のコンポーネント及びサブアセンブリの製造106並びにシステムインテグレーション108などの製造段階で利用可能である。アイテムを参照する際に使用している「任意の数の」は、一又は複数のアイテムを意味する。例えば、任意の数の装置の実施形態は一又は複数の装置の実施形態を意味する。任意の数の装置の実施形態、方法の実施形態、又はこれらの組み合わせは、
図1で航空機200が運行中112及び/又は整備及び保守114の段階で利用可能である。任意の数の種々の有利な実施形態の利用により、航空機200の組立てを実質的に効率化すること、及び/又はコストを削減することができる。
【0023】
種々の有利な実施形態は、任意の数の様々な検討事項を認識して考慮している。例えば、種々の有利な実施形態では、より厚い複合材料をジョイントの位置で使用することができるが、これらのより厚いジョイントによって、予測荷重に変化が生じるおそれがあり、そして力が加わって、より大きな直径のファスナー、より強度の高いファスナー、より重いファスナー、及び/又は他の種類のファスナーの使用が必要となってしまう。
【0024】
例えば、ジョイントの肉厚が厚くなると、ジョイントに使用されるファスナーの長さも長くなる可能性がある。更に、或る箇所では、ファスナーの長さを長くするためには、ファスナーをより太くして、荷重がジョイントに加わるときのファスナーの曲がりを防止する必要がある。
【0025】
種々の有利な実施形態では更に、より大きな直径のファスナーを使用すると多くの場合、ジョイント部品のサイズが大きくなることを認識し、そして考慮に入れる。これらのサイズの増大は、エッジマージン及びファスナー間隔要求により生じる。エッジマージンとは、ファスナー穴の中心から当該部品のエッジまでの距離である。当該エッジマージンは、荷重を受けている状態の当該部品のエッジを介してファスナーに引っ張られるのを防止するために必要な距離である。必要な距離は、ファスナーの直径とともに長くなり、これによって今度は、当該部品のサイズが大きくなる。更に、幾つかの場合では、ジョイントは、より大きなファスナーまたはより大きな部品群に対応する箇所における余裕が不十分である場合に実用的ではなくなる虞がある。
【0026】
種々の有利な実施形態では、この状況から、ジョイント群に対する厚さ要求、またはサイズ要求を満たす、より重い材料を使用することになることを認識して考慮している。例えば、金属をジョイントに使用することができる。しかしながら、金属の使用は、当該部品の残りの領域における複合材料の使用を排除することがある。例えば、金属を外板パネルに使用すると、当該外板パネルの残りの部分における複合材料の使用が排除されてしまう。その結果、航空機は所望の重量よりも重くなってしまう。
【0027】
従って、種々の有利な実施形態は、第1構造物に対応する任意の数の複合材料層と、任意の数の複合材料層に接合される金属層と、を備える装置を提供する。任意の数の複合材料層は、第2構造物に取り付けられるように構成される第1構造物のエッジにまで延在している。金属層は第1厚さを、任意の数のファスナーを第1領域に受け入れるように構成される第1領域に有する。金属層は、第2厚さを第2領域に有する。
【0028】
次に、
図3を参照するに、ジョイント環境の図が有利な実施形態に従って描かれている。ジョイント環境300は、例えば
図2の航空機200のジョイント218のような航空機のジョイントを配設するために使用することができる環境の一例である。
【0029】
この例示的な実施例では、ジョイント302は、第1構造物304と第2構造物306との間に形成することができる。ジョイント302はこれらの例示的な実施例では、第1構造物304及び第2構造物306が互いに接続される箇所に形成される。図示のように、ファスナー308を用いて、第1構造物304と第2構造物306とを互いに連結してジョイント302を形成する。
【0030】
この例示的な実施例では、第1構造物304は第1航空機構造物312であり、そして第2構造物306は第2航空機構造物314である。具体的には、第1航空機構造物312は、航空機320の翼318の外板パネル316である。更に、第2航空機構造物314は、航空機320の胴体324の主翼ボックス322である。
【0031】
外板パネル316は、複合材料310からなる任意の数の層326と、そして金属層328と、を備える。金属層328は、任意の数の層326に取り付けられる。更に詳細には、金属層328は、任意の数の層326に接合される。これらの例では、当該接合は、接着剤330を使用して形成される化学的接合とすることができる。
【0032】
この例示的な実施例では、金属層328は、第1面332と、そして第2面334と、を有する。第1面332は第2面334の反対側にある。別の表現をすると、第1面332及び第2面334は、互いに略平行である。
【0033】
これらの例示的な実施例では、任意の数の層326及び金属層328はエッジ336を有する。エッジ336は、ファスナー308の中の任意の数のファスナー338を受け入れるように構成される。更に、エッジ336は、第2航空機構造物314に取り付けられるように構成される。例えば、エッジ336はこの例では、外板パネル316のエッジであり、そして胴体324の主翼ボックス322に取り付けられるように構成される。
【0034】
これらの図示の例では、金属層328は、第1厚さ340を第1領域342に有する。第1領域342は、ほぼエッジ336に位置する。第1領域342は、任意の数のファスナー338を受け入れるように構成される。
【0035】
更に、金属層328は、第2厚さ344を第2領域346に有する。第2領域346は、これらの例では、エッジ336から離れて位置する。第2領域346は、これらの例では、任意の数のファスナー338を受け入れるように構成されていない領域である。
【0036】
金属層328及び任意の数の層326は、任意の数の種々の方法で配置することができる。例えば、任意の数の層326は、第1の任意の数の層348と、そして第2の任意の数の層350と、を含むことができる。第1の任意の数の層348は、金属層328の第1面332の方に位置させることができるのに対し、第2の任意の数の層350は、金属層328の第2面334の方に位置させることができる。
【0037】
これらの例示的な実施例では、第1の任意の数の層348は、金属層328の第1面332に、接着剤330からなる第1層352を使用して接合させることができる。第2の任意の数の層350は、金属層328の第2面334に、接着剤330からなる第2層354を使用して接合させることができる。幾つかの例示的な実施例では、第1の任意の数の層348のみを設けることができ、かつ金属層328の第1面332の方に位置させることができる。
【0038】
これらの例示的な実施例では、複合材料310からなる任意の数の層326は、第1航空機構造物312を組み立てるために望ましい任意の方法で形成することができる。例えば、任意の数の層326の中の種々の層は、特定の実施形態によって異なるが、他の層に対して異なる角度または向きを有することができる。更に、任意の数の層326に使用される樹脂及び他の材料も、特定の実施形態によって異なるが、変えることができる。
【0039】
これらの例示的な実施例では、金属層328は材料356により構成される。材料356は、特定の実施形態によって異なるが、変えることができる。例えば、材料356は、チタン、スチール、金属合金、及び/又は他の適切な種類の金属のうちの1つとして選択することができる。
【0040】
これらの例示的な実施例では、金属層328は更に、第1厚さ340及び第2厚さ344の他に、幅358及び長さ360を有する。これらの例示的な実施例では、第1厚さ340は、第2厚さ344よりも大きい値である。
【0041】
金属層328は第1厚さ340から第2厚さ344に、任意の数の種々の態様で移行することができる。例えば、金属層328は第1厚さ340から第2厚さ344まで次第に先を細くすることができる。他の例示的な実施例では、金属層328は第1厚さ340から第2厚さ344への階段形状362に移行することができる。勿論、特定の実施形態によって異なるが、他の種類の移行を選択することができる。
【0042】
これらの例示的な実施例では、第1航空機構造物312内の任意の数の層326は、第1荷重364を支えるように構成される。金属層328、及び複合材料310からなる任意の数の層326は、第2荷重366を支えるように構成される。第1荷重364はこれらの例では、第2荷重366よりも小さい。第1荷重364は、これらの構造物を使用している間に第1航空機構造物312によってジョイント302で支えると予測される略最大の荷重である。
【0043】
第2荷重366は、最大荷重よりも大きくなるように選択される。その結果、第2荷重366が安全率となる。例えば、第2荷重366はこれらの例では、第1荷重364の約150パーセントとすることができる。このように、第1航空機構造物312によって支える荷重が、最大予測荷重である第1荷重364を上回る場合、ジョイント302の強度性能が低下する可能性は低くなる。別の表現をすると、ジョイント302は、第2荷重366を最大とする荷重を支えることにより、ジョイント302の強度性能が低下する可能性を低くするように構成される。
【0044】
図3のジョイント環境300は、種々の有利な実施形態を実装可能な方式に対する物理的又は構造的な限定であることを意図していない。図示されたコンポーネントに加えて及び/又は代えて、他のコンポーネントを使用することができる。一部の有利な実施形態では幾つかのコンポーネントは不要である。また、ブロックは、幾つかの機能的なコンポーネントを示すために提示されている。種々の有利な実施形態において実装されるとき、これらのブロックの一又は複数は、異なるブロックに合成及び/又は分割することができる。
【0045】
例えば、幾つかの有利な実施形態では、金属層328は、異なるセクションをエッジ336に沿って有することができる。更に他の有利な実施形態では、更に任意の数の付加的な金属層を、金属層328の他に設けることができる。これらの他の金属層は、複合材料310からなる任意の数の層326の中の他の層と混在させることができる。
【0046】
更に他の例示的な実施例では、ジョイント302は、航空機320以外の他のプラットフォームにおいて用いることができる。例えば、ジョイント302は、可動プラットフォーム、固定プラットフォーム、陸上構造物、水上構造物、宇宙構造物、及び/又は他の何らかの適切な物体のうちの1つとして選択されるプラットフォームにおいて用いることができる。更に具体的には、種々の有利な実施形態は、例えば限定しないが、潜水艦、バス、人員運搬車、戦車、列車、自動車、宇宙船、宇宙ステーション、衛星、水上艦、発電所、ダム、橋梁、製造施設、建造物、及び/又は他の何らかの適切な物体に適用することができる。
【0047】
別の例として、第1構造物304内の金属層328の代わりに、金属以外の種類の材料により構成される別の層を用いることができる。当該材料は、第1の任意の数の層348、及び/又は第2の任意の数の層350に含まれる材料よりも大きい強度を有するように選択することができる。例えば、金属層328に含まれる金属の代わりに使用される材料は、例えば限定しないが、複合材料、セラミック、プラスチック、及び/又は任意の適切な材料からなる任意の数の層とすることができる。これらの他の材料は、第1厚さ340から第2厚さ344に変化する可変の厚さを有することができる。
【0048】
更に、金属層328の第1厚さ340が、エッジ336で設定される、またはエッジ336の近傍で設定されるものとして記述され、そして第2厚さ344に、エッジ336から離れた位置で変化するが、金属層328の第1厚さは、エッジ336から離れた位置に設定してもよい。例えば、第1厚さ340は、第2構造物306を第1構造物304に取り付ける任意の箇所に設定してもよい。例えば、第1厚さ340は、第1構造物304内の金属層328の中央に、または中心に設定してもよい。1つの例示的な実施例では、第1構造物304がパネルである場合、第1厚さ340は、モニュメントの形態の第2構造物306を取り付ける予定のパネルの中央に設定してもよい。
【0049】
この構成を利用して、第1構造物304を第2構造物306に、第1厚さ340が設定される箇所で取り付けることができる。例えば、第1厚さ340は、任意の数のファスナーを用いて第1構造物304を第2構造物306に締結する任意の箇所に設定することができる。第1構造物304は、例えばパネル、フロア、壁、または他の適切な構造物とすることができる。第2構造物306は、モニュメント、ドア、または他の或る適切な構造物とすることができる。
【0050】
次に、
図4を参照するに、航空機の図が、有利な実施形態に従って描かれている。航空機400は、
図2の航空機200の1つの実施形態の一例である。更に、航空機400は、
図2のジョイント群218、具体的には、
図3のジョイント302を形成することができる航空機である。この例示的な実施例では、航空機400は、胴体406に取り付けられる翼402及び404を有する。航空機400は、翼に取り付けられたエンジン408と、翼に取り付けられたエンジン410と、そして尾翼412と、を含む。
【0051】
次に、
図5を参照するに、航空機の翼と胴体との間に形成されるジョイントの一部の露出断面を擬似的に示した図が、有利な実施形態に従って描かれている。この例示的な実施例では、翼404を胴体406に取り付けることにより形成されるジョイントの一部の露出断面を擬似的に示した図は、
図4の切断線5−5に沿って描かれている。
【0052】
図示のように、ジョイント500はこの例では、翼404を胴体406に取り付けることにより形成される。具体的には、翼404の外板パネル502は、胴体406の主翼ボックス505のリブ503に、外板パネル502のエッジ504で接続される。外板パネル502は、この例示的な実施例では、複合材料により構成される。更に、外板パネル502は、複合材料からなる任意の数の層506、及び金属層508により構成される。
【0053】
この例示的な実施例では、金属層508はチタンにより構成される。金属層508は、チタン製部材510及びチタン製部材512を含む。図示のように、金属層508からなる部材510の第1領域514は、ファスナー516,518,520,及び522を受け入れるように構成される。金属層508からなる部材510の第2領域524はこの例では、ファスナー群を受け入れるように構成されていない。
【0054】
更に、金属層508からなる部材512の第1領域526は、ファスナー528,530,532,及び534を受け入れるように構成される。金属層508からなる部材512の第2領域536はこの例では、ファスナー群を受け入れるように構成されていない。ファスナー516,518,520,522,528,530,532,及び534は、外板パネル502に取り付けられてジョイント500を形成する。
【0055】
この図示の例では、任意の数の層506に金属層508を含めた構成とすることにより、ジョイント500は、金属層508を含まない任意の数の複合材料層506の構成と比較して、軸538に沿った方向のより大きな荷重を支えることができる。
【0056】
次に、
図6を参照するに、ジョイントの一部を断面から見た図が、有利な実施形態に従って描かれている。この例示的な実施例では、
図5のジョイント500の断面図は、
図5の切断線6−6に沿って描かれている。
【0057】
この例に示すように、外板パネル502は、
図4及び5の胴体406のリブ503に取り付けられる。この例示的な実施例では、金属層508を、複合材料からなる任意の数の層506の間に配置する。具体的には、金属層508を、複合材料からなる第1の任意の数の層600と複合材料からなる第2の任意の数の層602との間に配置する。
【0058】
この例示的な実施例では、金属層508からなる部材510の第1領域514は、ファスナー516及びファスナー518を受け入れるように構成される第1厚さを有する。金属層508からなる部材510の第2領域524は、これらのファスナーを受け入れるように構成されていない第2厚さを有する。第1厚さは、第2厚さよりも大きい値を有する。この例に示すように、第1領域514の第1厚さは、第2領域524の第2厚さへの階段形状604に変化する。
【0059】
次に、
図7を参照するに、ジョイントの一部を断面から見た図が、有利な実施形態に従って描かれている。この例示的な実施例では、
図6に描かれるジョイント500の断面図は、金属層508からなる部材510の第2領域524が先細り形状700を有するものとして
図7に示されている。図示のように、第1領域514の第1厚さは、先細り形状700を有する第2領域524の第2厚さまで徐々に細くなるように処理される。
【0060】
これらの例示的な実施例では、金属層508からなる部材510の厚さが徐々に、
図7の先細り形状700に、そして
図6の階段形状604に薄くなることにより、第1領域514の第1厚さが、第2領域524の第2厚さに、このように徐々に薄くなることなく変化する構成の部材510を製造するのと比較すると、外板パネル502を更に容易に製造することができる。
【0061】
更に、
図7の先細り形状700、及び
図6の階段形状604を用いることにより、金属層508によって支える荷重を、複合材料からなる任意の数の層506に徐々に移行することができる。
【0062】
次に、
図8を参照するに、構造物を断面から見た図が、有利な実施形態に従って描かれている。この例示的な実施例では、構造物800は外板パネル802である。外板パネル802は、第1の任意の数の層804、第2の任意の数の層806、及び金属層808により構成される。
【0063】
第1の任意の数の層804及び第2の任意の数の層806はこの例では、複合材料により構成される。金属層808はチタンにより構成される。図示のように、金属層808は、第1領域810及び第2領域812を有する。第1領域810は、第2領域812の厚さよりも大きい値の厚さを有し、そしてファスナー816を受け入れるように構成される。更に、第1領域810の厚さはこの例では、第2領域812の厚さへの階段形状814に変化する。
【0064】
図示のように、第1の任意の数の層804はエッジ818を有する。金属層808は、この例示的な実施例では、エッジ818を超えて延びるタブ820を有する。タブ820を利用して、金属層808によって支えることができる荷重を試験することができる。このように、金属層808を試験して、金属層808が第2の任意の数の層806に接合されている間に金属層808が選択荷重を支えることができる状態を確保することができる。選択荷重は、構造物800の耐用年数中に発生すると予測される最大荷重よりも小さい荷重である。
【0065】
次に、
図9を参照するに、航空機の翼を製造するプロセスのフローチャートの図が、有利な実施形態に従って描かれている。
図9に示すプロセスは、例えば
図3の航空機320の翼318を製造するために実施することができる。具体的には、このプロセスは、
図3の航空機320の翼318の外板パネル316を製造するために実施することができる。
【0066】
当該プロセスは、第1の任意の数の外板パネル用複合材料層を積層させる(操作900)ことにより始まる。操作900では、第1の任意の数の複合材料層は、航空機の翼の外板パネルの賦形型に積層することができる。更に、操作900は、複合材料を積層させる現在利用可能な任意の処理を用いて実行することができる。
【0067】
次に、当該プロセスでは、第1の任意の数の複合材料層の上に金属層を載置する(操作902)。金属層は、第1厚さを、翼のエッジの第1領域に有し、そして第2厚さを第2領域に有する。更に、第1厚さを第2厚さに、先細り形状及び階段形状のうちの一方の形状を利用して変化させる。翼のエッジの第1領域は、任意の数のファスナーを受け入れるように構成される。第2領域は、任意の数のファスナーを受け入れるように構成されていない。
【0068】
この例示的な実施例では、金属層は、金属層の第1面に塗布される第1接着剤層と、金属層の第2面に塗布される第2接着剤層と、を有する。操作902では、複合材料からなる第1の任意の数の層の上に金属層を載置することにより、金属層の第1面の第1接着剤層が、第1の任意の数の複合材料層と接触するようにする。
【0069】
他の例示的な実施例では、第1接着剤層を第1の任意の数の複合材料層に、操作902を実行する前に塗布することができる。更に、幾つかの例示的な実施例では、第2接着剤層を金属層に、操作902を実行した後に塗布することができる。
【0070】
次に、当該プロセスでは、外板パネルに用いる第2の任意の数の複合材料層を、金属層の上に積層する(操作904)。この例示的な実施例では、操作904において、金属層の第2面の第2接着剤層を第2の任意の数の複合材料層と接触させる。
【0071】
その後、当該プロセスでは、第1の任意の数の複合材料層、金属層、及び第2の任意の数の複合材料層を一括して接合し(操作906)、当該プロセスはその後、終了する。操作906は、第1の任意の数の複合材料層、金属層、及び第2の任意の数の複合材料層を一括して硬化させることにより実行することができる。
【0072】
例えば、異なる層は、これらの層を、オーブン、オートクレーブ、または他の或る適切な加熱装置のうちの少なくとも1つの装置内で加熱することにより硬化させることができる。勿論、材料を硬化させる現在利用可能な任意のプロセスを用いて操作906を実行してもよい。
【0073】
次に、
図10を参照するに、ジョイントを形成するプロセスのフローチャートの図が、有利な実施形態に従って描かれている。
図10に示すプロセスを実施して、
図3のジョイント302を外板パネル316と主翼ボックス322との間に形成することができる。
【0074】
当該プロセスは、航空機の翼の外板パネルを、航空機の胴体の主翼ボックスに対して位置決めする(操作1000)ことにより始まる。外板パネルは、任意の数の複合材料層、及び任意の数の複合材料層に接合される金属層により構成される。金属層は第1厚さを、任意の数のファスナーを受け入れるように構成される第1領域に有し、そして第2厚さを、任意の数のファスナーを受け入れるように構成されていない第2領域に有する。
【0075】
次に、当該プロセスでは、任意の数のファスナーを、外板パネルのうち、金属層の第1領域を含む部分に取り付け(操作1002)、当該プロセスはその後、終了する。操作1002では、任意の数のファスナーを取り付けることにより、ジョイントを外板パネルと主翼ボックスとの間に形成する。
【0076】
図示されている種々の実施形態におけるフローチャート及びブロック図は、種々の有利な実施形態における装置及び方法の数通りの実施形態の構造、機能、及び動作を示している。この点に関して、これらのフローチャートまたはブロック図における各ブロックは、モジュール、セグメント、機能、及び/又は操作またはステップの一部を表わすことができる。幾つかの別の実施形態では、ブロックに記述される機能または機能群は、これらの図に記述される順番とは異なる順番で実行することができる。例えば、幾つかの場合では、連続して示される2つのブロックは、略同時に実行することができる、またはこれらのブロックを、搭載される機能によって異なるが、逆の順番で実行することができる場合がある。また、フローチャートまたはブロック図における図示のブロックの他に、他のブロックを追加することができる。
【0077】
例えば、幾つかの例示的な実施例では、操作906における第1の任意の数の複合材料層及び金属層の接合は、操作904において第2の任意の数の複合材料層を積層させる前に行なってもよい。これらの種類の例では、金属層を第2の任意の数の複合材料層に接合させる操作が次に、第2の任意の数の層を金属層の上に積層した後に個別に行なわれる。
【0078】
従って、種々の有利な実施形態は、第1航空機構造物に対応する任意の数の複合材料層と、そして任意の数の複合材料層に接合される金属層と、を備える装置を提供する。金属層及び任意の数の複合材料層は、第2航空機構造物に取り付けられるように構成されるエッジを有する。金属層は、第1厚さを、第1航空機構造物のエッジの第1領域に有し、そして任意の数のファスナーを第1領域に受け入れるように構成される。金属層は、第2厚さを、任意の数のファスナーを受け入れるように構成されていない第2領域に有する。
【0079】
種々の有利な実施形態は、ジョイントを第1構造物と第2構造物との間に形成する方法及び装置を提供し、この場合、当該ジョイントは、第1構造物に取り付けられるファスナーにより形成される。当該ジョイントは、第1構造物の耐用年数中に予測される最大荷重よりも大きい荷重を、任意の数の複合材料層と、そして任意の数の複合材料層の間に接合され、かつ配置される金属層と、を用いることにより支える能力を有することができる。
【0080】
種々の有利な実施形態の説明を提示して、例示及び記述を行なってきたが、当該説明を網羅的に記載しようとするものではない、または開示される構成の実施形態に限定しようとするものではない。多くの変形及び変更が存在することはこの技術分野の当業者には明らかである。更に、種々の有利な実施形態は、他の有利な実施形態とは異なる利点を提供することができる。選択される実施形態または実施形態群は、これらの実施形態の原理、実際の用途を最も分かり易く説明するために、そしてこの技術分野の他の当業者が、想定される特定の使用に適合するように種々の変更が為される種々の実施形態に関する開示を理解することができるように選択され、そして記載されている。