(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながらこのコネクタに用いられる端子は、端子材料の平板をプレスで打ち抜いて形成された端子であって、プレスの破断面を接点として利用するため、その面の面粗さが粗く、一方のコネクタに対する他方のコネクタの装着時または取り外し時(挿抜時)に端子同士の摩擦抵抗が高くなる傾向にある。そのため、コネクタの挿抜時の操作感が悪くなるおそれがある。また、接点のたわみ方向が端子の板面方向であるため相手端子と接触する際の接圧が高くなりがちで、接圧を所望の数値範囲内に収めるためには端子の形状を設計する自由度が比較的小さいという不都合もあった。
【0005】
そこで、こうした問題を解決するために本発明はなされたものであり、端子同士の接触面の摩擦抵抗を下げることが容易で、端子同士の接圧を所望の接圧に調整しやすい端子と、その端子を備えたコネクタを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、互いに幅方向に間隔をおいてハウジングに保持される複数の端子を有し、相手コネクタの相手端子と接触して電気的に接続するコネクタについて、前記端子は平板を打ち抜いて形成した打抜き端子であり、ハウジングに保持される基部と、その基部から並列に伸長するフロント端子とリア端子とを備え、フロント端子には、該端子の平板面で相手端子に接触するフロント接触部と、基部からそのフロント接触部に至るフロントバネ部とを設け、リア端子には、該端子の平板面で相手端子に接触するリア接触部と、基部からそのリア接触部に至るリアバネ部とを設け、フロント接触部とリア接触部は幅方向同一位置に配列されていることを特徴とするコネクタを提供する。
【0007】
コネクタのハウジングに保持される端子が平板を打ち抜いて形成した打抜き端子であるため、平板状の金属をプレスすることで容易に原形が形成できる。そしてこの端子は、ハウジングに保持される基部を有するためハウジングに固定することができる。
またその基部から並列に伸長するフロント端子とリア端子は、平板面で相手端子に接触するフロント接触部とリア接触部とをそれぞれ有するため、相手端子との接触箇所が2箇所あり、相手端子との接触の確実性を高めることができる。そして平板面で相手端子に接触するため、破断面となるプレス面で接触する場合に比べてなめらかな面粗さをもった面で相手端子と接触させることができ、相手コネクタとの挿抜時の摩擦抵抗を低く抑えることができる。そして相手コネクタに対する挿抜時の操作感を良好にすることができる。
なお「平板面」とは端子の厚みとなる側面(端面)を除く端子の両表面のいずれかの面である。この「平板面」については湾曲するロール面としての形態、湾曲しない平坦面としての形態のいずれでも良い。
【0008】
また、平板面で相手端子と接触するため、プレスの破断面で相手端子と接触する場合と比較して接触面を広くとることができる。そのため、コネクタ同士の嵌合時に位置ずれがあっても、端子同士の接触を確実に行わせることができる。
さらに平板面で相手端子と接触することから、接触部のたわみ方向は端子の板厚方向となるため、たわみ方向が端子の板厚に対する直行方向となる場合と比較して、接触部をたわませる圧力を軽くすることができる。そのため接圧の調整を行い易い。
【0009】
フロント端子とリア端子は、基部からそのフロント接触部に至るフロントバネ部と、基部からそのリア接触部に至るリアバネ部とをそれぞれ有するため、打ち抜いた端子の原形をその板厚方向に折り曲げる加工で簡単にバネ部を有する端子を形成することができる。また、フロント端子とリア端子はそれぞれ独立して基部から並列に伸長するため、フロント端子とリア端子を互いに独立してたわませることができる。従って、相手端子と接触する際の接圧をフロント端子とリア端子とでそれぞれ別個に調整することができる。
【0010】
フロント接触部とリア接触部は幅方向同一位置に配列されているため、相手コネクタとの嵌合時に、コネクタの挿抜方向に沿う一直線上で相手端子に対してフロント接触部とリア接触部が順次接触する。そしてまた、フロント端子が相手端子に付着している異物をワイピングし、リア端子がフロント端子に追従して相手端子と接触することができる。そのため、フロント接触部と相手端子との接触箇所にゴミや埃等の異物が存在していても、フロント接触部の挿入過程でその異物を除去または保持することができるので、フロント接触部が通った後の異物の無くなった箇所でリア接触部を相手端子に接触させることができる。そのため、相手端子との導通接続を確実にすることができる。
【0011】
フロント端子のフロントバネ部は、基部からフロント接触部にかけて相手端子に近づく方向へ順次屈曲する複数の屈曲部を有するものとすることができる。より具体的には、相手端子に近づく方向へ屈曲する第1屈曲部と、第1屈曲部から伸長する第1傾斜バネ片部と、第1傾斜バネ片部の先端から相手端子にさらに近づく方向へ屈曲する第2屈曲部と、第2屈曲部から伸長する第2傾斜バネ片部とを有する構成である。
フロントバネ部が基部よりも相手端子に近づく方向へ屈曲する1つの屈曲部を有しており、その屈曲部からフロント接触部までの端子片が直線形状又は湾曲形状であるコネクタを想定する。このコネクタでは、フロント端子が相手端子と接触し押圧を受けると、フロント接触部の先端側は、その1つの屈曲部を回動中心(変位支点)とする大きな回動半径で回動しながら倒れるように変位する。するとフロント接触部の接点位置も正規の接点位置からフロントバネ部側へ移動してずれてしまうことから、フロント接触部における接触信頼性が低下することがある。これを防止するには、フロントバネ部に所定のバネ長を確保しつつ、接点位置が移動してずれても所望の接触信頼性が得られるように、フロント端子の接点とする相手端子との接触範囲を長く設定すれば良いが、そうすると端子全長が長くなりコネクタのサイズも大型化してしまうことから、フロント接触部の接触範囲の長さに余裕を持たせることが難しい。
これに対して複数の屈曲部を有する本発明のフロントバネ部では、何れも相手端子に近づく方向へ屈曲する屈曲部が複数あることで、フロントバネ部に所定のバネ長を長く確保することができることから、フロント接触部の接触範囲をフロントバネ部側に拡大することができる。このように接点範囲に余裕があるため接点位置が移動しても所望の接触信頼性を得ることができる。
【0012】
本発明の端子は上述のとおり、平板を打ち抜いて形成した打抜き端子である。また、フロント接触部とリア接触部は幅方向同一位置に配列されているため、平板を打ち抜いた状態でリア接触部とフロント接触部とが互いに干渉しない配置とする必要がある。この場合、フロント接触部をリア接触部よりも先に相手端子と接触させるためには、リア接触部をフロント接触部よりも基部側に配置する必要があるため、リアバネ部のバネ長は必然的に平板を打ち抜いた状態での基部とフロント接触部との間の長さに制限されてしまう。
これに対して本発明のように、フロント端子のフロントバネ部を多段バネとすれば、端子としての全長を大きくすることなく、平板を打ち抜いた状態でのフロントバネ部のバネ長をより長くすることができる。したがって、基部からフロント接触部までの距離も延びるため、その分だけリアバネ部のバネ長も同様に長くすることができる。よって、フロントバネ部だけではなく、リアバネ部の長さも長くして柔軟に弾性変形させることができる。
【0013】
フロント端子のフロントバネ部とリア端子のリアバネ部は、基部に対するハウジングの拘束部分との境界部分から伸長するものとすることができる。こうすることで、フロントバネ部とリアバネ部がハウジングによる基部の拘束部分から突出する構造となり、より柔軟性の高いバネとすることができる。
【0014】
フロントバネ部とリアバネ部の少なくとも何れか一方は基端側よりも先端側の方が細いテーパーバネとすることができる。フロントバネ部やリアバネ部をテーパー状のバネ形状とすることで、全長にわたって柔らかく弾性変形させることができる。特に先端側にバネ弾性を持たせることができ、座屈や折れ等が発生しないようにすることができる。
なお、ここで「テーパーバネ」とはフロントバネ部では基部側からフロント接触部に向けて板幅が狭くなるテーパー状のバネを言い、リアバネ部では基部側からリア接触部に向けて板幅が狭くなるテーパー状のバネを言う。何れについても基端よりも先端が細幅となる形状であればよく、基端と先端との間の中間に板幅が一定の部分や若干板幅が広がる部分が存在しても構わない。
【0015】
フロント端子の接圧をリア端子の接圧よりも小さくすることができる。フロント端子の接圧が小さいため、コネクタ同士が嵌合し始める誘い込みの状態からフロント端子のみが挿入されて相手端子と接触した状態へ移行させるまでの作業性が向上する。そして、この状態になれば両コネクタ間の位置が決まるため、フロント端子の接圧よりも高いリア端子が挿入されて相手端子と接触した状態への移行も容易に行うことができる。即ち、嵌合時の操作性を向上させることができる。
【0016】
フロント接触部をリア接触部よりも相手端子側に突出させることができる。フロント接触部がリア接触部よりも相手端子側に突出しているため、相手端子との接触を確実にし、異物のワイピング性を高めることができる。
【0017】
フロント接触部の幅とリア接触部の幅を略同幅とすることができる。幅を略同等とすることで、フロント接触部が通ってワイピングした後を過不足なくリア接触部を通らせることができる。そして幅方向の端子幅のためのスペースを最小限にすることができる。
また、フロント接触部が相手端子と接触する位置と、リア接触部が相手端子と接触する位置との位置ずれを生じ難くすることができる。
【0018】
あるいはまた、フロント接触部の幅をリア接触部の幅よりも幅広にすることができる。フロント接触部を幅広にすることで広い範囲でワイピングを行うことができる。従って、フロント端子とリア端子とが相対的に位置ずれした場合であっても、フロント接触部が幅広くワイピングを行うことができ、リア接触部の接触箇所からの異物除去性を高めることができる。
【0019】
フロント端子のフロントバネ部について、リア端子を中央に挟んで配置するための空間を形成するように基部の二箇所から伸長しフロント接触部の手前で結合するフロントバネ部とすることができる。
フロント端子のフロントバネ部が、リア端子を中央に挟んで配置するための空間を形成するように基部の二箇所から伸長しフロント接触部の手前で結合するように形成するため、フロント端子とリア端子の2本の腕部を備え、かつ、フロント接触部とリア接触部を幅方向同一位置に配列させて、端子形状を線対称に形成することができる。したがって、幅方向に働く力に対して左右均等に変位させることができ、向かい合って配置される一対の同一形状端子を均等に変位させることができる。
【0020】
また、基部の2箇所から伸長するフロントバネ部を設けたので、フロント端子の幅を比較的広く形成することができる。そのため、リア端子よりも長く形成されるフロント端子であっても、接触部の接圧をリア端子の接触部の接圧に容易に近づけることができ、フロント端子の接圧が低くなりすぎることを防止できる。即ち、フロント端子とリア端子の基本形状に基づくそれぞれの接圧が略同等であれば、腕の幅や長さを調整することで、簡単にフロント端子とリア端子の接圧を変えるとともに、その接圧の差も容易に調整することができる。さらにまた、リア端子はフロントバネ部に挟まれるため、リア端子が幅方向に大きく変位しようとしても、フロントバネ部で抑えられて必要以上に大きく変位することがない。そのため、リア端子の相手端子との接触を確実に行うことができる。
【0021】
そしてまた、相手コネクタとの嵌合の際に、可動ハウジングを固定ハウジングに対して移動自在に支持する浮動構造を備えたコネクタ結合を実現するコネクタを提供する。
相手コネクタとの嵌合の際に、可動ハウジングを固定ハウジングに対して移動自在に支持する浮動構造を備えたコネクタ結合を実現するため、一方のコネクタに対する他方のコネクタの位置ずれや、斜め嵌合が生じるような場合であっても、両コネクタの嵌合を確実に行うことができる。また、両コネクタを嵌合させるまでの両者のずれ幅やずれ角度の許容範囲を広くすることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明のコネクタによれば、フロント端子とリア端子により相手端子と確実に接触させることができる。端子の平板面で相手端子と接触するため、コネクタの挿抜時に相手端子との摩擦抵抗が低く、コネクタ挿抜時の操作感を良くすることができる。また、端子形状を設計する自由度を比較的高くすることができる。
また、本発明のコネクタによれば、相手コネクタに対する位置ずれや、斜め嵌合の発生などの不正規な嵌合が行われようとする場合であっても端子どうしの接触の確実性が高い。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明について実施形態に基づきさらに詳細に説明する。以下の各実施形態で共通する構成については、同一の符号を付して重複説明を省略する。また、共通する材質、製造方法、作用効果等についても重複説明を省略する。
【0025】
第1実施形態[図1、図3〜図9]:
コネクタ11を
図1および
図3〜
図8に示す。
図1は斜視図であり、
図3は正面図、
図4は右側面図、
図5は平面図、そして
図6は底面図である。また、
図7、
図8はコネクタ11の断面図である。このコネクタ11は、ハウジング12と
図9で示す端子20とを有し、プリント基板等の接続対象部材(図示せず)に設置されて、別のプリント基板等に設置される例えば
図2で示す相手コネクタ51と嵌合して、これらのプリント基板どうしを電気的に接続するものである。
【0026】
本明細書または特許請求の範囲の記載において、便宜上、両コネクタ11,51を区別するために、コネクタ11をソケット型コネクタ、コネクタ51をプラグ型コネクタまたは相手コネクタとも称呼するものとし、端子20をソケット型コネクタ11に取り付けられる端子という意味でソケット端子、プラグ型コネクタに取り付けられる端子をプラグ端子または相手端子とも称呼するものとする。また、
図1で示すソケット型コネクタ11において、X軸方向を幅方向、Y軸方向を前後方向、Z軸方向を上下方向として説明する。但しこれらの記載はコネクタ11,51の使用方向を定めるものではない。
【0027】
ハウジング12は、合成樹脂の成形品からなり、
図1で示すように、上面および下面で開口する中空の箱型形状をしている。即ち、ハウジング12は、前面部12a、背面部12b、側面部12c,12cを有し、この両側面部12c、12cの下部にはプリント基板等の接続対象部材に取り付けるための取付部14が形成されている。ハウジング12の上面には
図2で示すプラグ型コネクタ51の嵌合突起57を受け入れる受入口12dが開口しており、プラグ型コネクタ51を挿入することで、両コネクタ11,51を嵌合可能としている。
ハウジング12の前面部12aの内壁側、および背面部12bの内壁側にはそれぞれ対向するように端子20の基部21の左右の板縁部21aを圧入して保持する溝状の保持部12eが設けられている。これにより板縁部21aは表面、裏面、及び左側面若しくは右側面が保持部12eにより保持される。
【0028】
端子20は、ハウジング12の前面部12aの内壁側に3個、および背面部12bの内壁側に3個の合計6個が2個ずつ対向するようにハウジング12に固定されている。
各端子20は、平板を打ち抜いて形成した打抜き端子であって、
図9(a)および
図9(b)で示すように、ハウジング12の保持部12eに保持される基部21と、その基部21の中央から伸長するリア端子23と、基部21の両端から伸長し先側で合流するフロント端子24と、基部21からこれらの両腕23,24とは反対側に伸長しプリント基板側の導体に接続される接続部22とを有している。
【0029】
基部21は、左右の板縁部21aが前述のハウジング12に設けた保持部12eに圧入されることで端子20がハウジング12に保持されて固定される。そのために各板縁部21aには2つの圧入突起21bが形成されている。基部21は
図9(b)の拘束部分L1の範囲においてハウジング12の保持部12eに固定される。その拘束部分L1の上側には、リア端子23とフロント端子24の各基端が1本に纏まり、ハウジング12の保持部12eを形成する壁に対して直接には接触せず固定されない非拘束部分L2となっている。
リア端子23は、プラグ型コネクタ51に設けた端子(プラグ端子)60と接触するリア接触部23aと、基部21からそのリア接触部23aに至るまで端子20の板厚方向、換言すればハウジング12の内側に向かって折り曲げられるリアバネ部23bとを有している。リア接触部23aには相手端子と接触するリア接点23a1が山型に屈曲して形成されている。リア端子23は基端側から先端にかけて板幅が狭くなるテーパーバネとして形成されていて、全長にわたって柔らかく弾性変形できるようにしている。
【0030】
フロント端子24は、プラグ型コネクタ51に設けた端子60と接触するフロント接触部24aとフロントバネ部24bとを有する。
フロント接触部24aは細片状に形成されており、そのフロントバネ部24bの側には山状に屈曲するフロント接点24a1が形成されている。フロント接点24a1は、
図9(a)(b)において矢印で示す範囲であり、ここが相手端子との接触領域となる。フロント接点24a1からは傾斜する先端部24a2が形成されており、コネクタ嵌合時にはその傾斜面がプラグ端子60と接触してその挿入をガイドする。
フロントバネ部24bは基部21からそのフロント接触部24aに至るまでの部位であって、板厚方向に折り曲げられ、かつ中央で合流するようにフロント接触部24aの手前で結合し、リア端子23を中央に配置するための空間hを形成する。フロントバネ部24bには、フロント端子24の中心軸と平行に基部21から伸長する長いバネ片部24b1と、長いバネ片部24b1の先端から当該中心軸に向けて斜めに伸長しフロント接触部24aの基端に繋がる短いバネ片部24b2と、を有している。フロントバネ部24bは、長いバネ片部24b1の基端側が幅広で、短いバネ片部24b2の先端にかけて幅が狭くなるテーパーバネとなっている。これにより基端側よりも先端側を柔軟にして2本のフロントバネ部24bを全長に亘ってそれぞれ柔軟に撓ませることができるようにして、細くても確実な接触力を発揮できるようにしている。長いバネ片部24b1の基端側には、相手端子60との接触方向へ屈曲する屈曲部24b3が形成されている。
接続部22は、プリント基板の所定の導体に、はんだ付け等で固着される。
【0031】
端子20のリア端子23は、相手コネクタ51と嵌合する際にフロント端子24が相手端子60の押圧を受けて最大変位しても、フロント端子24のフロントバネ部24b,24bに挟まれた状態を維持しているため、
図1のX方向に変形し難くなっている。また、フロント端子24は、フロント接触部24aに至る先端側でフロントバネ部24bが結合し、中空であるが幅広に形成されるため、
図1のX方向に変形しようとしても、リア端子23と同様に変形し難くなっている。さらに、端子20と端子60はそれぞれの端子の平板面で接触するため接点が広く形成されることから、X方向に変形することがあっても接触不良を起こしにくい。
【0032】
端子の相手端子との接圧は、一般的に端子のバネ部分の長さ(バネ長)が長くなるにしたがって低下し、バネ部の幅が広くなるにしたがって増大する。端子20では、フロント端子24のフロントバネ部24bの長さ(バネ長)がリア端子23のリアバネ部23bの長さ(バネ長)よりも長いため、フロント端子24の方の接圧が低くなるが、リア端子23を挟む両側にフロントバネ部24bがあり、その両側のフロントバネ部24bの幅の長さは合計すると長くなるため、リア端子23の接圧に近づけ易い。従って、フロント端子24の接圧が低くなり過ぎないように容易に調整できる。また、空間hを含めたフロント端子24全体の幅は広いため幅方向に変形し難い。
【0033】
このようにフロント端子24の接圧とリア端子23の接圧は適宜調整できるが、フロント端子24の接圧はリア端子23の接圧よりも若干低くすることが好ましい。コネクタ11,51どうしの嵌合時の操作性が向上するからである。また、フロント端子24のフロント接触部24aのフロント接点24a1をリア端子23のリア接触部23aのリア接点23a1よりも相手端子60側に突出して形成されており、フロント接点24a1による異物除去効果が高められている。
【0034】
図9(c)で示すように、フロント接触部24aの幅24cとリア接触部23aの幅23cのそれぞれの長さは目的に応じて設定することができる。一例として、フロント接触部24aの幅24cとリア接触部23aの幅23cを略同幅とすることができる。相手コネクタ51との嵌合に際し、フロント接触部24aが通った後をリア接触部23aが通るため、幅が同等であれば、フロント接触部24aが通ってワイピングした後にリア接触部23aを過不足なく通らせることができるからである。また、フロント接触部24aが相手端子60と接触する位置とリア接触部23aが相手端子60と接触する位置との位置ずれが起き難いからである。
【0035】
そうした一方で、フロント接触部24aの幅24cをリア接触部23aの幅23cよりも幅広にすることができる。フロント接触部24aを幅広にすることで幅広の範囲でワイピングを行うため、フロント端子24とリア端子23とが相対的に位置ずれしたような場合であっても、リア接触部23aの接触箇所からの異物除去性を高めることができる。
【0036】
相手コネクタ51は、
図2で示すように、固定ハウジング52と可動ハウジング53とを組み合わせて構成され、端子60は、この固定ハウジング52と可動ハウジング53にまたがって配置されている。
【0037】
固定ハウジング52は、合成樹脂の成形品からなり、上面および下面が開口した角筒形状をなしている。即ち、固定ハウジング52は、幅方向に沿って延びる前面部52aおよび背面部52bと、前後方向に沿って延びる側面部52cとを有している。
前面部52aおよび背面部52bの下端側には、各端子60を保持する複数の端子孔59が互いに等間隔で設けられている(
図10参照)。
また、前面部52aおよび背面部52bの両端には、相手コネクタ51をプリント基板(図示せず)等に取付けるための取付部55が設けられており取付具56が挿入されている。
【0038】
可動ハウジング53は合成樹脂の成形品からなり、上面が開口した箱型形状をなしている。即ち、可動ハウジング53は、前面部53a、背面部53b、側面部53cおよび底面部53dを有している。また可動ハウジング53は底面部53dの中央から上方に突出した嵌合突起57を有している。そしてこの嵌合突起57の両面、即ち、前面および後面には端子60がそれぞれ3個ずつ合計6個が配列、固定されている。端子60はまた、底面部53dに設けた端子孔58を貫通して固定されている(
図10参照)。
【0039】
端子60は、略帯状で板厚方向に折り曲げて形成された形状をしており、
図10で示すように、前後方向に延びてプリント基板に接続するための接続部61と、接続部61の後端から上方に向かって延びる第1端子片部62と、第1端子片部62の上端から下方に屈曲する屈曲部63と、屈曲部63から下方に延びる第2端子片部64と、第2端子片部64の下端から可動ハウジング53の底面部53dに沿って延びる第3端子片部65と、第3端子片部65から上方に立ち上がり、端子20との接触部66にもなる第4端子片部67と、を有している。そして、端子60は、可動ハウジング53を固定ハウジング52に対して移動可能なように、幅方向および前後方向に弾性変形可能となっている。
【0040】
以上のように構成されたソケット型コネクタ11とプラグ型コネクタ51は、一対のプリント基板P1,P2を電気的に接続することができる。
図11で示すように、プリント基板P2に接続されたプラグ型コネクタ51の上方からプリント基板P1に接続されたソケット型コネクタ11を結合させる場合は、ソケット型コネクタ11を下方に移動させて、プラグ型コネクタ51の嵌合突起57にソケット型コネクタ11の受入口12dを嵌合させる。
【0041】
プラグ型コネクタ51の可動ハウジング53には、その前面部53aと背面部53bに傾斜面53eを形成しており、また、ソケット型コネクタ11の前面部11aと背面部11bには、その外側端に外側面取り面12fを、内側端に内側面取り面12gをそれぞれ形成している。加えて、可動コネクタ53が固定コネクタ52に対して前後方向に変位可能である。そのため、ソケット型コネクタ11がプラグ型コネクタ51に対してソケット型コネクタ11の前後方向に傾いてプラグ型コネクタ51と嵌合しようとしても嵌合しやすい。また、ソケット型コネクタ11がプラグ型コネクタ51に対して前後方向に位置ずれしてプラグ型コネクタ51と嵌合しようとしても嵌合しやすい。
【0042】
そうした一方で、可動ハウジング53の側面部53cの高さは、前面部53aまたは背面部53bよりも低く形成された下り端53fとなっており、またソケット型コネクタ11の側面部12cにも内側面取り面12gを形成している。加えて、端子20と端子60とはその平板面どうしで接触する。そのため、ソケット型コネクタ11がプラグ型コネクタ51に対してソケット型コネクタ11の幅方向に傾いてプラグ型コネクタ51と嵌合しようとしても嵌合しやすい。また、ソケット型コネクタ11がプラグ型コネクタ51に対して幅方向に位置ずれしてプラグ型コネクタ51と嵌合しようとしても嵌合しやすい。
【0043】
次に、コネクタ11,51どうしが完全に嵌合するまでの状態について順に説明する。ソケット型コネクタ11がプラグ型コネクタ51に嵌合する際、
図12で示すように、まずソケット型コネクタ11のフロント端子24の先端部24a2がプラグ型コネクタ51の嵌合突起57に突き当たる誘い込みの状態になる。さらにソケット型コネクタ11を押し込むと、フロント端子24のみが挿入されるが、フロント端子24の接圧を低くすると、誘い込みの状態から、このフロント端子24のみが挿入された状態へ移行する際の作業性が向上する。次に
図13で示すように、リア端子23が嵌合突起57に突き当たる状態にまで嵌合が進めば両コネクタ11,51間の位置が決まるため、リア端子23を相手端子60と接触させる位置まで容易に挿入することができ、リア端子23の接圧を高めることも可能となる。
【0044】
この位置からさらにソケット型コネクタ11を押し込むとフロント接触部24aとリア接触部23aは、幅方向同一位置に配列していることから、フロント接触部24aの先端部24a2とフロント接点24a1が端子60と接触した軌跡を通ってリア接触部23aも端子60に接触する。これにより、相手端子60にゴミや埃等の異物が付いていても、フロント接触部24aがこの異物を除去するか保持するため、フロント端子24が移動した軌跡には異物が除去されている。したがって、異物が除去された軌跡を通るリア接触部23aは、相手端子60に対する確実な導通接触を行うことができる。そして最後に
図14で示すように、フロント接触部24aとリア接触部23aがともに端子60と接触した状態となる。このようにコネクタ11,51の嵌合では、端子20,60相互間の導通接触の信頼性を高めることができる。
【0045】
第2実施形態[図15]:
コネクタ11に用いられる別の端子(ソケット端子)30を
図15(a)および
図15(b)に示す。
端子30もまたハウジング12の保持部に保持される基部31と、その基部31から伸長するリア端子33とフロント端子34と、これらの両腕33,34とは反対側に基部31から伸長しプリント基板側の導体に接続される接続部32とを有している。
【0046】
前記実施形態で示した端子20と異なるのは、フロント端子34が空間Fを形成することがない一本のフロントバネ部34bを備えている点である。しかしながら、フロント端子34のフロント接触部34aとリア端子33のリア接触部33aは幅方向同一位置に配列されている点で端子20と同じである。
【0047】
また、フロント端子34やリア端子33の接圧を適宜調整できるがフロント端子34の接圧をリア端子33の接圧よりも若干低くする方が好ましい点や、フロント接触部34aをリア接触部33aよりも相手端子60側に突出させることが好ましい点も端子20と同様である。さらに、
図15(c)で示すように、フロント接触部34aの幅34cとリア接触部33aの幅33cのそれぞれの長さを目的に応じて設定する点も端子20と同様である。
【0048】
こうした端子30もまた、平板面で相手端子60と接触するため、コネクタ挿抜時の摩擦抵抗を低くすることができ、良好な操作感を得ることができる。また、フロント端子で異物除去を行うことができるので、リア端子では相手端子との接触の確実性を高めることができる。
【0049】
第3実施形態[図16〜図18]:
さらに他のコネクタ11と端子(ソケット端子)40の実施形態を
図16〜
図18に示す。この端子40も基部41、接続部42、リア端子43、フロント端子44を有している。そのうち第1実施形態の端子20と異なるのはリア端子43とフロント端子44の構成である。
【0050】
フロント端子44は、第1実施形態と同様にフロント接点44a1と先端部44a2とを有するフロント接触部44aと、フロント接触部44aを弾性変位可能に支持するフロントバネ部44bとを有している。
【0051】
そのフロントバネ部44bには長いバネ片部44b1と短いバネ片部44b2が形成されており、長いバネ片部44b1はさらに多段バネとして構成されている。具体的には、基部41の側から相手端子60と近づく方向に屈曲する第1屈曲部44b3、第1傾斜バネ片部44b4、さらに相手端子60と近づく方向に屈曲する第2屈曲部44b5、そして第2傾斜バネ片部44b6により構成されている。
【0052】
長いバネ片部44b1を第1屈曲部44b3のみならず第2屈曲部44b5をも有する多段バネで構成すると、端子材料をプレスで打ち抜いたときに、第1実施形態の直線状のバネ片部24b1よりもバネとして使用する金属材料の全長を長くすることができる。すると空間hも端子40の長手方向で長くなるため、同様にリア端子43となる金属材料の全長もまた長くすることができる。したがって、フロント端子44の端子としての全長はフロント端子24と同一でも、バネ長を長くして柔軟に弾性変形させることが可能となり、バネとしての耐久性や接触力を第一実施形態よりもさらに向上させることができる。特にフローティングコネクタのように、嵌合状態で振動や衝撃を受ける可能性がある用途には好適である。
【0053】
また、フロントバネ部44bには、第1屈曲部44b3だけでなく第2屈曲部44b5が形成されている。これにより
相手コネクタ51の相手端子60の接触面や基部41の表面(またはその平行面)に対する第2傾斜バネ片部44b6の傾斜角(第2屈曲部44b5の屈曲角)が大きくなり、端子40の全長を拡大しなくてもフロントバネ部44bに所定のバネ長を確保することができることから、
図17(a)で示すようにフロント接点44a1の接触範囲を、
図17(b)で示す第1実施形態のフロント接点24a1の接触範囲よりも広くすることができる。
これと同様にリア端子43もリアバネ部43bの前記傾斜角が第1実施形態より大きいため、リア接点43aの接触範囲は多段で屈曲していなくても第1実施形態より広くなっている。
このため例えば、端子の組み付け状態等によってコネクタ嵌合状態で相手端子60がフロント接触部24aの基端を超えてフロントバネ部24bの短いバネ片部24b2と接触してしまうと、接触幅が広くなることから接触圧力が低下して接触信頼性が得られなくなる。しかしながら本実施形態ではフロント接点44a1の接触範囲を広くとることができるので、そうした不具合が発生しないようにすることができる。また、第1実施形態では、曲面形状で相手端子60と線接触するフロント接点24a1の接触範囲が狭く、相手端子60が短いバネ片部24b2と接触してしまうと、短いバネ片部24b2の表面が平面形状であることから、接触形態が面接触となり接触圧力が低下してしまう。しかしながら本実施形態では、曲面形状で線接触できるフロント接点44a1の接触範囲が広いことから、組み付け状態等によって接触位置がずれても接触圧力が低下することなく接触信頼性の高い導電接続を実現することが可能である。
さらに、
図17(a)で示すように、本実施形態では、第2傾斜バネ片部44b6、屈曲形状のフロント接点44a1、先端部44a2を、相手コネクタ
51の挿入時の相手端子60の接触面や基部41の表面(またはその平行面)に対する傾斜角(屈曲角)が第1屈曲部44b3よりも鋭角で弾性変形しにくい第2屈曲部44b5で支持している。このため、相手端子60と接触した際、鋭角な第2屈曲部44b5を回動支点とする弾性変位をより小さくできることから、
図17(b)で示す第1実施形態と比べて、プラグ端子60との接触前の接点位置CP1と接触後の接点位置CP2との位置ずれを端子40の長手方向で少なくすることができる。
すなわち第1実施形態のようにフロント接点24a1の変位支点をフロント端子24の屈曲部24b3だけとした場合、プラグ端子60との接触位置CP2はフロントバネ部24bが倒れるように変位するほど短いバネ片部24b2の側に移動してしまい、本来のフロント接点24aの接触範囲から外れて短いバネ片部24b2と接触してしまうと、接触圧力が低下するおそれがある。これに対して本実施形態のフロントバネ部44bであれば、前述の通り相手端子60との接触前後での接点位置CP1,CP2のずれを少なくできるので、そのような不都合がなく安定した接点接触を得ることができる。
【0054】
リア端子43は、前述のようにフロント端子42のフロントバネ部44bが二段バネで構成されており、バネとして使用する金属材料の全長が長くなる結果、柔軟に弾性変形することができ、バネとしての耐久性や接触力が第一実施形態よりもさらに向上できる。特にフローティングコネクタのように、嵌合状態で振動や衝撃を受ける可能性がある用途には好適である。
【0055】
以上のようなフロント端子44のフロントバネ部44bとリア端子43のリアバネ部43bは、
図16で示すように、基部41の板縁部41aに対するハウジング12の保持部12eで固定される拘束部分L1との境界部分から伸長するものとして形成されている。
第1実施形態の基部21には拘束部分L1の上側に非拘束部分L2が存在する。この場合、リア端子23とフロント端子24の各基端は非拘束部分L2に集約されるが、この非拘束部分L2はハウジング12の嵌合室の内部に1本の硬いバネ片として突出することになり、ハウジング12の嵌合室の内部に突出する端子部分の全長を柔軟性の高いバネとして有効活用することができなくなる。そこで本実施形態では、非拘束部分L2を実質的に無視できる程度に無くして、フロント端子44とリア端子43の基端を基部41における拘束部分L1との境界部分から伸長するように形成することで、ハウジング12の嵌合室の内部に3本の端子(フロント端子2本、リア端子1本)が直接突出するような端子構造としている。したがってバネとして有効活用できる端子部分に無駄が無く、コネクタの小型化にも寄与することができる。
【0056】
その他の実施形態:
上記実施形態は本発明の一実施形態に過ぎず上記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での適宜の変更が可能である。例えば、
第1実施形態の端子20のフロント接触部24aは、フロントバネ部24bよりも板幅を細くして、フロント端子24が基端から先端にかけてテーパーバネとなるように形成することができる。
また、端子20や端子30をソケット型ハウジング11に設けずに、プラグ型ハウジング51に設けることができる。換言すれば、リア端子23,33やフロント端子24,34の特徴を持った端子をプラグ型ハウジング51に設けることも可能である。但し、接続部22,32の長さを伸長したり、基部21,31を保持する保持部を嵌合突起57に設けたりし、またソケット型ハウジング11には帯状端子を設ける等の適宜の変更が必要となる。