特許第5938083号(P5938083)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5938083
(24)【登録日】2016年5月20日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】家電情報提供システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/02 20120101AFI20160609BHJP
   G06Q 10/00 20120101ALI20160609BHJP
   G06Q 50/06 20120101ALI20160609BHJP
【FI】
   G06Q30/02 150
   G06Q10/00 130A
   G06Q50/06
【請求項の数】14
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-215944(P2014-215944)
(22)【出願日】2014年10月23日
(65)【公開番号】特開2016-85497(P2016-85497A)
(43)【公開日】2016年5月19日
【審査請求日】2015年3月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】304020421
【氏名又は名称】ジーエフケーマーケティングサービスジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080768
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 実
(72)【発明者】
【氏名】寺田 勝昭
(72)【発明者】
【氏名】▲斉▼藤 飛鳥
【審査官】 福田 正悟
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−032235(JP,A)
【文献】 特開2011−253498(JP,A)
【文献】 特開2011−253505(JP,A)
【文献】 特開2002−092410(JP,A)
【文献】 特開2010−182159(JP,A)
【文献】 特開2005−284852(JP,A)
【文献】 [online],2014年 7月18日,[検索日 2016.01.22],URL,https://web.archive.org/web/20140718014722/http://shinkyusan.com/usage2/kuwashiku01.html
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 30/02
G06Q 10/00
G06Q 50/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
過去に発売された古い家電および現在発売されている新しい家電に関する情報を、その基準消費電力量と対応づけて記憶した記憶手段と、
ユーザが保有する保有家電を特定するための保有家電情報を、通信ネットワークを介して入手する保有家電情報入手手段と、
前記保有家電情報入手手段により入手された保有家電情報を前記記憶手段に照合して、該保有家電をその基準消費電力量と共に特定する保有家電特定手段と、
ユーザが希望する保有家電についての買換条件を、通信ネットワークを介して入手する買換条件入手手段と、
前記買換条件入手手段により入手された買換条件を、前記記憶手段に照合して、買換候補家電を決定する買換候補家電決定手段と、
前記保有家電に関する実際の電力消費状況を、通信ネットワークを介して入手する電力消費状況入手手段と、
前記電力消費状況入手手段により入手された電力消費状況と前記保有家電の基準消費電力量とに基づいて、前記買換候補家電がユーザにより実際に使用されたときに消費すると推定される推定消費電力量を決定する推定消費電力量決定手段と、
前記保有家電の実際の電力消費状況と前記推定消費電力量決定手段により決定された買換候補家電の推定消費電力量とに基づいて、該買換候補家電に買換えたときの省エネ効果を決定する省エネ効果決定手段と、
前記買換候補家電に関する情報を、前記省エネ効果決定手段により決定された省エネ効果と共に、通信ネットワークを介してユーザに向けて送信する買換候補家電情報送信手段と、
を備え、
前記電力消費状況入手手段により入手される電力消費状況として、前記保有家電の実際の使用時間および実際の消費電力量が含まれ、
前記推定消費電力量決定手段が、
前記保有家電の基準消費電力量と実際の使用時間と実際の消費電力量とから、該保有家電における基準消費電力量についての補正係数を決定する補正係数決定手段と、
前記補正係数決定手段により決定された補正係数と前記保有家電の実際の使用時間とに基づいて、前記買換候補家電における基準消費電力量を補正して、この補正した基準消費電力量を前記推定消費電力量として得る補正手段と、
を備えている、
ことを特徴とする家電情報提供システム。
【請求項2】
過去に発売された古い家電および現在発売されている新しい家電に関する情報を、その基準消費電力量と対応づけて記憶した記憶手段と、
ユーザが保有する保有家電を特定するための保有家電情報を、通信ネットワークを介して入手する保有家電情報入手手段と、
前記保有家電情報入手手段により入手された保有家電情報を前記記憶手段に照合して、該保有家電をその基準消費電力量と共に特定する保有家電特定手段と、
前記保有家電特定手段によって特定された保有家電の情報を前記記憶手段に照合して、お勧めの買換候補家電を特定する買換候補家電特定手段と、
前記保有家電に関する実際の電力消費状況を、通信ネットワークを介して入手する電力消費状況入手手段と、
前記電力消費状況入手手段により入手された電力消費状況と前記保有家電の基準消費電力量とに基づいて、前記買換候補家電がユーザにより実際に使用されたときに消費すると推定される推定消費電力量を決定する推定消費電力量決定手段と、
前記保有家電の実際の電力消費状況と前記推定消費電力量決定手段により決定された買換候補家電の推定消費電力量とに基づいて、該買換候補家電に買換えたときの省エネ効果を決定する省エネ効果決定手段と、
前記買換候補家電に関する情報を、前記省エネ効果決定手段により決定された省エネ効果と共に、通信ネットワークを介してユーザに向けて送信する買換候補家電情報送信手段と、
を備え、
前記電力消費状況入手手段により入手される電力消費状況として、前記保有家電の実際の使用時間および実際の消費電力量が含まれ、
前記推定消費電力量決定手段が、
前記保有家電の基準消費電力量と実際の使用時間と実際の消費電力量とから、該保有家電における基準消費電力量についての補正係数を決定する補正係数決定手段と、
前記補正係数決定手段により決定された補正係数と前記保有家電の実際の使用時間とに基づいて、前記買換候補家電における基準消費電力量を補正して、この補正した基準消費電力量を前記推定消費電力量として得る補正手段と、
を備えている、
ことを特徴とする家電情報提供システム。
【請求項3】
請求項2において、
ユーザが希望する保有家電についての買換条件を、通信ネットワークを介して入手する買換条件入手手段をさらに備え、
前記買換候補家電特定手段は、前記買換条件入手手段により前記買換条件が入手されたときは、該買換条件を前記記憶手段に照合して、買換候補家電を前記お勧め買換候補家電の代替として決定する、
とを特徴とする家電情報提供システム。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、
前記記憶手段が、少なくも前記保有家電の型番を記憶しており、
前記保有家電情報として、前記保有家電の型番を含んでいる、ことを特徴とする家電情報提供システム。
【請求項5】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、
前記記憶手段が、少なくも前記保有家電における型番と機能とメーカ名と発売年と画像との少なくとも1つあるいは任意の複数について記憶しており、
前記保有家電情報として、前記保有家電における型番と機能とメーカ名と発売年と画像との少なくとも1つあるいは任意の複数の組み合わせを含んでいる、
ことを特徴とする家電情報提供システム。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、
前記電力消費状況が、前記保有家電が接続されているHEMSまたはスマートメータを通して入手される、ことを特徴とする家電情報提供システム。
【請求項7】
請求項1ないし請求項のいずれか1項において、
前記省エネ効果決定手段により決定される省エネ効果が、前記保有家電における年間の消費電力量と前記買換候補家電における年間の消費電力量とに基づいて決定される、ことを特徴とする家電情報提供システム。
【請求項8】
請求項において、
前記省エネ効果決定手段が、少なくとも前記保有家電における年間の消費電力量に対応した年間の電気料金と、前記買換候補家電における年間の消費電力量に対応した年間の電気料金との差額を決定し、
買換候補家電情報送信手段が、少なくとも前記保有家電と前記買換候補家電との間における年間の電気料金の差額を送信する、
ことを特徴とする家電情報提供システム。
【請求項9】
請求項において、
前記省エネ効果決定手段が、少なくとも前記保有家電における年間の消費電力量と前記買換候補家電における年間の消費電力量との差となる消費電力量差を決定し、
買換候補家電情報送信手段が、少なくとも前記保有家電と前記買換候補家電との間における年間の消費電力量差を送信する、
ことを特徴とする家電情報提供システム。
【請求項10】
請求項において、
前記省エネ効果決定手段により決定される省エネ効果として、前記保有家電における年間の消費電力量と前記買換候補家電における年間の消費電力量との差となる年間の消費電力量の低減量とこれに対応した年間の電気料金の低減額とを決定し、
買換候補家電情報送信手段が、前記保有家電と前記買換候補家電との間における年間の消費電力量の低減量と年間の電気料金の低減額を送信する、
ことを特徴とする家電情報提供システム。
【請求項11】
請求項10において、
前記買換候補家電情報送信手段が、前記保有家電の年間の消費電力量と前記買換候補家電の年間の消費電力量とを合わせて送信する、ことを特徴とする家電情報提供システム。
【請求項12】
請求項1において、
前記買換候補家電決定手段は、複数の買換候補家電が存在するときは、該複数の買換候補家電を通信ネットワークを介してユーザに提供して、該複数の買換候補家電の中からユーザが希望した1つの買換候補家電を通信ネットワークを介して入手する、ことを特徴とする家電情報提供システム。
【請求項13】
請求項1ないし請求項12のいずれか1項において、
前記電力消費状況入手手段は、前記保有家電に関する個別の電力消費状況が入手できないときは、ユーザ側の総電力使用状況に関する情報を通信ネットワークを介して入手して、該入手した総電力使用状況から該保有家電に関する個別の電力消費状況を推定する、ことを特徴とする家電情報提供システム。
【請求項14】
請求項1ないし請求項12のいずれか1項において、
前記電力消費状況入手手段は、前記保有家電に関する個別の電力消費状況が入手できないときは、電力消費状況の問い合わせ情報を通信ネットワークを介してユーザに提供して、該問い合わせ情報に基づいてユーザから提供される電力消費状況を通信ネットワークを介して入手して、該入手したユーザからの提供情報に基づいて電力消費状況を推定する、ことを特徴とする家電情報提供システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、買換候補となる家電に関する情報をその省エネ効果と共に提供するようにした家電情報提供システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ユーザが古くなった家電を買換える際に、省エネ効果というものを重視して買換家電を選択する傾向が強まっている。従来、家電を買換する際の参考情報を提供するものとして、「価格.com」のウエブサイトのように価格を重視したものがあるが、省エネ効果を重視して買換候補家電に関する情報(参考情報)を提供するものは存在しない。
【0003】
一方、最近では、各家庭において、HEMS(Home Energy Management System)と呼ばれる電力監視システムが導入されて、個々の家電の使用状況が把握できるようになっている。また、例えば特許文献1に示すように、家電の個別の消費電力を非進入的な手法により推定する手法も提案されており、個々の家電についての実際の電力消費の状況を把握し易い環境が整ってきているものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開番号WO01/077696号公報(特願2001−574498号)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、各家電に関する情報として、基準消費電力(例えば家電のカタログに記載されている年間消費電力量)があるが、ユーザによる家電の使用態様は様々であって、年間を通した実際の消費電力量は、基準消費電力量に基づくものとはならないのが実情である。例えば、テレビについては、基準消費電力量が年間150kwhと表示されているものは、1日の平均使用時間が4.5時間を想定しているが、例えば1日の平均使用時間が8時間等々、その使用時間はユーザによってまちまちである。また、画面を標準よりも明るくして使用したり、あるいは音量を大にして使用するユーザにあっては、基準消費電力量よりも大きな電力を消費することになる。
【0006】
また、ユーザが、ある家電を買換えようとしたとき、買換候補家電については、発売開始からまもないことや家電販売店での店頭表示等により、その基準消費電力量は容易に把握できる。この一方、買換対象となる現在保有している保有家電についての基準消費電力量は、そのカタログを紛失する等により容易には把握できないことが多いものである。つまり、保有家電と買換候補家電との間での基準消費電力量の差ということすら把握できない状況も応々にして生じることとなっている。
【0007】
以上に加えて、省エネを促すことからも、省エネ効果と関連させた家電情報をユーザが容易に入手できるようにすることが望まれるものである。
【0008】
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、買換候補家電の情報をその省エネ効果の情報と共にユーザに提供できるようにした家電情報提供システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため、本発明にあっては次のような第1の解決手法を採択してある。すなわち、特許請求の範囲における請求項1に記載のように、
過去に発売された古い家電および現在発売されている新しい家電に関する情報を、その基準消費電力量と対応づけて記憶した記憶手段と、
ユーザが保有する保有家電を特定するための保有家電情報を、通信ネットワークを介して入手する保有家電情報入手手段と、
前記保有家電情報入手手段により入手された保有家電情報を前記記憶手段に照合して、該保有家電をその基準消費電力量と共に特定する保有家電特定手段と、
ユーザが希望する保有家電についての買換条件を、通信ネットワークを介して入手する買換条件入手手段と、
前記買換条件入手手段により入手された買換条件を、前記記憶手段に照合して、買換候補家電を決定する買換候補家電決定手段と、
前記保有家電に関する実際の電力消費状況を、通信ネットワークを介して入手する電力消費状況入手手段と、
前記電力消費状況入手手段により入手された電力消費状況と前記保有家電の基準消費電力量とに基づいて、前記買換候補家電がユーザにより実際に使用されたときに消費すると推定される推定消費電力量を決定する推定消費電力量決定手段と、
前記保有家電の実際の電力消費状況と前記推定消費電力量決定手段により決定された買換候補家電の推定消費電力量とに基づいて、該買換候補家電に買換えたときの省エネ効果を決定する省エネ効果決定手段と、
前記買換候補家電に関する情報を、前記省エネ効果決定手段により決定された省エネ効果と共に、通信ネットワークを介してユーザに向けて送信する買換候補家電情報送信手段と、
を備え、
前記電力消費状況入手手段により入手される電力消費状況として、前記保有家電の実際の使用時間および実際の消費電力量が含まれ、
前記推定消費電力量決定手段が、
前記保有家電の基準消費電力量と実際の使用時間と実際の消費電力量とから、該保有家電における基準消費電力量についての補正係数を決定する補正係数決定手段と、
前記補正係数決定手段により決定された補正係数と前記保有家電の実際の使用時間とに基づいて、前記買換候補家電における基準消費電力量を補正して、この補正した基準消費電力量を前記推定消費電力量として得る補正手段と、
を備えている、
ようにしてある。
【0010】
上記解決手法によれば、ユーザの希望する買換条件に合致した買換候補家電に関する情報を提供するのみならず、保有家電と買換候補家電との間での省エネ効果をユーザに提供して、買換候補家電を購入する動機付けを促進させる上で好ましいものとなる。特に、省エネ効果は、保有家電の実際の使用状況と同様に買換候補家電を使用したときを想定して提供されるので、ユーザの使用状況の相違に応じた適切な省エネ効果を提供することができる。勿論、現時点ではユーザが買換を希望していなくても、省エネ効果の高い家電の存在をユーザに容易に知得させて、ユーザに省エネを積極的に促す上でも好ましいものとなる。以上に加えて、保有家電についての実際の消費電力量と実際の使用時間とを用いて、買換候補家電を保有家電と同様に使用したときの省エネ効果を精度のよいものとして提供することができる。さらに、買換候補家電を保有家電と同様に使用した場合において、買換候補家電の実際の消費電力量を精度よく決定(推定)するための具体的な手法が提供される。
【0011】
前記目的を達成するため、本発明にあっては次のような第2の解決手法を採択してある。すなわち、特許請求の範囲における請求項2に記載のように、
過去に発売された古い家電および現在発売されている新しい家電に関する情報を、その基準消費電力量と対応づけて記憶した記憶手段と、
ユーザが保有する保有家電を特定するための保有家電情報を、通信ネットワークを介して入手する保有家電情報入手手段と、
前記保有家電情報入手手段により入手された保有家電情報を前記記憶手段に照合して、該保有家電をその基準消費電力量と共に特定する保有家電特定手段と、
前記保有家電特定手段によって特定された保有家電の情報を前記記憶手段に照合して、お勧めの買換候補家電を特定する買換候補家電特定手段と、
前記保有家電に関する実際の電力消費状況を、通信ネットワークを介して入手する電力消費状況入手手段と、
前記電力消費状況入手手段により入手された電力消費状況と前記保有家電の基準消費電力量とに基づいて、前記買換候補家電がユーザにより実際に使用されたときに消費すると推定される推定消費電力量を決定する推定消費電力量決定手段と、
前記保有家電の実際の電力消費状況と前記推定消費電力量決定手段により決定された買換候補家電の推定消費電力量とに基づいて、該買換候補家電に買換えたときの省エネ効果を決定する省エネ効果決定手段と、
前記買換候補家電に関する情報を、前記省エネ効果決定手段により決定された省エネ効果と共に、通信ネットワークを介してユーザに向けて送信する買換候補家電情報送信手段と、
を備え、
前記電力消費状況入手手段により入手される電力消費状況として、前記保有家電の実際の使用時間および実際の消費電力量が含まれ、
前記推定消費電力量決定手段が、
前記保有家電の基準消費電力量と実際の使用時間と実際の消費電力量とから、該保有家電における基準消費電力量についての補正係数を決定する補正係数決定手段と、
前記補正係数決定手段により決定された補正係数と前記保有家電の実際の使用時間とに基づいて、前記買換候補家電における基準消費電力量を補正して、この補正した基準消費電力量を前記推定消費電力量として得る補正手段と、
を備えている、
ようにしてある。
【0012】
上記解決手法によれば、お勧めの買換候補家電に関する情報を提供するのみならず、保有家電と買換候補家電との間での省エネ効果をユーザに提供して、買換候補家電を購入する動機付けを促進させる上で好ましいものとなる。特に、省エネ効果は、保有家電の実際の使用状況と同様に買換候補家電を使用したときを想定して提供されるので、ユーザの使用状況の相違に応じた適切な省エネ効果を提供することができる。以上に加えて、買換候補家電はお勧め品とされるので、つまりユーザの知らない新機能等を有したり、ユーザの想定を超える省エネ効果が期待できるような家電を買換候補家電として提供することもできる。以上に加えて、保有家電についての実際の消費電力量と実際の使用時間とを用いて、買換候補家電を保有家電と同様に使用したときの省エネ効果を精度のよいものとして提供することができる。さらに、買換候補家電を保有家電と同様に使用した場合において、買換候補家電の実際の消費電力量を精度よく決定(推定)するための具体的な手法が提供される。
【0013】
上記第2の解決手法を前提とした好ましい態様は、特許請求の範囲における請求項3に記載のとおりである。すなわち、
ユーザが希望する保有家電についての買換条件を、通信ネットワークを介して入手する買換条件入手手段をさらに備え、
前記買換候補家電特定手段は、前記買換条件入手手段により前記買換条件が入手されたときは、該買換条件を前記記憶手段に照合して、買換候補家電を前記お勧め買換候補家電の代替として決定する、
ようにしてある(請求項3対応)。この場合、お勧めの買換候補家電をユーザが気に入らないときは、お勧めの買換候補家電に代わる新たな買換候補家電を、その省エネ効果と共にユーザに提供することができる。
【0014】
前記第1の解決手法、第2の解決手法を前提とした好ましい態様は、請求項4以下に記載のとおりである。すなわち、
前記記憶手段が、少なくも前記保有家電の型番を記憶しており、
前記保有家電情報として、前記保有家電の型番を含んでいる、
ようにしてある(請求項4対応)。この場合、型番という簡単な情報を利用することにより、数多くある家電の中から精度よくかつ簡単に保有家電をその基準消費電力量と共に特定することができる。
【0015】
前記記憶手段が、少なくも前記保有家電における型番と機能とメーカ名と製造年と画像との少なくとも1つあるいは任意の複数について記憶しており、
前記保有家電情報として、前記保有家電における型番と機能とメーカ名と製造年と画像との少なくとも1つあるいは任意の複数の組み合わせを含んでいる、
ようにしてある(請求項5対応)。この場合、請求項2に対応した効果を得つつ、型番が不明なときでも保有家電をその基準消費電力量と共に特定することができる。
【0016】
【0017】
前記電力消費状況が、前記保有家電が接続されているHEMSまたはスマートメータを通して入手される、ようにしてある(請求項対応)。この場合、電力監視システムとしてのHEMSやスマートメータを有効に利用して、保有家電の実際の消費電力量や使用時間等を容易に入手して、提供する省エネ効果の精度向上等の上で好ましいものとなる。
【0018】
【0019】
前記省エネ効果決定手段により決定される省エネ効果が、前記保有家電における年間の消費電力量と前記買換候補家電における年間の消費電力量とに基づいて決定される、ようにしてある(請求項対応)。この場合、提供される省エネ効果が、ユーザの保有家電使用状況を適切に反映した精度のよいものとすることができる。
【0020】
前記省エネ効果決定手段が、少なくとも前記保有家電における年間の消費電力量に対応した年間の電気料金と、前記買換候補家電における年間の消費電力量に対応した年間の電気料金との差額を決定し、
買換候補家電情報送信手段が、少なくとも前記保有家電と前記買換候補家電との間における年間の電気料金の差額を送信する、
ようにしてある(請求項対応)。この場合、ユーザは、年間での省エネ効果を金額として把握することができる。
【0021】
前記省エネ効果決定手段が、少なくとも前記保有家電における年間の消費電力量と前記買換候補家電における年間の消費電力量との差となる消費電力量差を決定し、
買換候補家電情報送信手段が、少なくとも前記保有家電と前記買換候補家電との間における年間の消費電力量差を送信する、
ようにしてある(請求項対応)。この場合、ユーザは、年間での省エネ効果を消費電力量の低減量として把握することができる。
【0022】
前記省エネ効果決定手段により決定される省エネ効果として、前記保有家電における年間の消費電力量と前記買換候補家電における年間の消費電力量との差となる年間の消費電力量の低減量とこれに対応した年間の電気料金の低減額とを決定し、
買換候補家電情報送信手段が、前記保有家電と前記買換候補家電との間における年間の消費電力量の低減量と年間の電気料金の低減額を送信する、
ようにしてある(請求項10対応)。この場合、ユーザは、年間での省エネ効果を金額および消費電力量の低減量として把握することができる。
【0023】
前記買換候補家電情報送信手段が、前記保有家電の年間の消費電力量と前記買換候補家電の年間の消費電力量とを合わせて送信する、ようにしてある(請求項11対応)。この場合、ユーザは、保有家電と買換候補家電との両方について実際の年間消費電力量を把握して、省エネ効果をより実感することができる。
【0024】
前記買換候補家電決定手段は、複数の買換候補家電が存在するときは、該複数の買換候補家電を通信ネットワークを介してユーザに提供して、該複数の買換候補家電の中からユーザが希望した1つの買換候補家電を通信ネットワークを介して入手する、ようにしてある(請求項12対応)。この場合、ユーザの希望する買換候補家電を精度よく決定する上
で好ましいものとなる。
【0025】
前記電力消費状況入手手段は、前記保有家電に関する個別の電力消費状況が入手できないときは、ユーザ側の総電力使用状況に関する情報を通信ネットワークを介して入手して、該入手した総電力使用状況から該保有家電に関する個別の電力消費状況を推定する、ようにしてある(請求項13対応)。この場合、保有家電についての実際の消費電力量と実際の使用時間とを入手できる機会を増大させる上で好ましいものとなる。
【0026】
前記電力消費状況入手手段は、前記保有家電に関する個別の電力消費状況が入手できないときは、電力消費状況の問い合わせ情報を通信ネットワークを介してユーザに提供して、該問い合わせ情報に基づいてユーザから提供される電力消費状況を通信ネットワークを介して入手して、該入手したユーザからの提供情報に基づいて電力消費状況を推定する、ようにしてある(請求項14対応)。この場合、保有家電についての実際の消費電力量と実際の使用時間とを、ある程度誤差があるにしても確実に入手できるようにする上で好ましいものとなる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、買換候補家電の情報を、保有家電と同様に使用した場合を想定した実現性の高い省エネ効果に関する情報と共に提供することができる。また、省エネ効果の高い家電の情報をユーザが容易に入手できるようして、省エネを積極的に促す上でも好ましいものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の一実施形態を示す全体系統図。
図2】家電情報の記憶例を示す図。
図3】本発明の制御例を示すフローチャート。
図4図3の続きを示すフローチャート。
図5図4の続きを示すフローチャート。
図6】ユーザに提供される画面で、家電の種類を選択させるための例を示す図。
図7】ユーザに提供される画面で、保有家電に関する情報を入力させるための例を示す図。
図8】ユーザに提供される画面で、保有家電の実際の電力使用状況に関する情報を入力させるための例を示す図。
図9】ユーザに提供される画面で、買換候補家電に関する情報をその省エネ効果と共に例示した図。
図10】ある家庭における年間の総電力消費の推移例を示す図。
図11】ある家庭における1日の総電力消費の推移例を示す図。
図12】ある1つの保有家電についての1日の電力消費の推移例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1において、INは通信ネットワークとしてのインターネットである。このインターネットINを介して、サーバ装置SBとユーザ(家庭)とが接続されて、相互に通信可能となっている。すなわち、サーバ装置SBは、インターネットINを介して通信するための通信手段10の他、それぞれ後述するが、古い家電(例えば現在から2年以前に販売開始された家電)に関する情報、および新しい家電(例えば販売開始から2年経過前で、現在も販売されている家電)に関する情報を記憶した記憶手段12、保有家電を特定したり買換候補家電を特定するための検索部13、省エネ効果を推定するためのシミュレーション部14等を有する。
【0030】
上記記憶手段12の記憶内容の一例が図2に示される。この図2に示すように、「型番」の1つ1つについて個々に、分類名(商品名)、メーカ名、発売年月(および/または製造年月)、年間の消費電力量、画面サイズ、3Dの有無、画素数、画像の有無の他、縦・・横・高さの各寸法や質量等々が対応づけて記憶されている。上記「型番」は、全ての家電の中からある特定の1つの家電を特定できるものとなっている。また、消費電力量は、標準的な使用態様でもって、基準時間(通常は1日4.5時間)使用した際の消費電力量となっている。なお、図2では、テレビのみについての情報が示されるが、この他、冷蔵庫、エアコン、洗濯機等々、多くの種類の家電について、テレビの場合と同様にしてその各種情報がその基準消費電力量と共に記憶されている。
【0031】
ユーザつまりある家庭においては、例えばパーソナルコンピュータからなるユーザ端末21が、ルータ22を介してインターネットINと接続可能とされている。ユーザ端末21は、図示を略すが、既知のように表示画面や入力手段(例えばキーボードやマウス)を有しており、通信機能も有している。
【0032】
ルータ22には、エネルギマネジメントシステム(装置)の一種となるHEMS23が接続されている。そして、HEMS23には、家電としての例えばテレビ24、冷蔵庫25、エアコン24等が接続されている。このHEMS23により、家電24〜26について個々に、その電力使用状況(例えば電力使用時間や消費電力量、使用回数等)が記憶される。なお、図1では、HEMS23はルータ22を介してインターネットINに接続されるようになっているが、直接的にインターネットINに接続されるものであってもよい。なお、図示を略すが、サーバ装置SBは、一時的に各種情報(特にユーザ端末21からの情報)を一時的に記憶しておくための記憶手段等を別途有するものとなっている。
【0033】
次に、ユーザが家電としてのテレビを買換える場合を例にして、本発明の概要について説明する。なお、ここでいう買換とは、買換を必ず行うことを前提としたものでなく、将来的な買換可能性を含むものである(将来の買換可能性を考慮して、参考情報を得るために本システム利用する)。また、実施形態では、家電情報の提供を受けようとするユーザは、あらかじめサーバ装置SB側にユーザ登録を行うものとし、その際、HEMS23をサーバ装置SB側で特定できるようにHEMS23のID等を入手するようにしてある。
【0034】
まず、ユーザ端末21を操作することにより、サーバ装置SBが提供するホームページにアクセスして、家電の買換情報提供のサービスを選択すると、例えば図6に示すような画面がユーザ端末21の表示画面に表示される(表示画面に対応したプログラムがサーバ装置SBからユーザ端末21に送信される)。この図6は、買換対象となる家電の種類を選択するためのもので、対応する家電名の表示部分にあるチェック欄(○印部分)15のいずれかにチェックを入れることにより、ある1つの家電が選択される。図6では、テレビが選択された場合が示される。そして、表示画面に表示されている「次へ」ボタン16をクリックすることにより、買換候補家電としてテレビが選択されたことがインターネットINを介してサーバ装置SBに送信される(「次へ」のボタン16に対応させて、サーバ装置SBへアクセスするためのURLが埋め込まれている)。
【0035】
テレビが選択されたことサーバ装置SBが受信すると、サーバ装置SBからユーザ端末21に対する次の送信が行われて、ユーザ端末21の表示画面に、図7に示すような表示が行われる。この図7は、現在使用している保有家電としてのテレビに関する情報を入力するための画面例であり、例えば、保有家電を特定するためにもっとも重要な型番入力欄31の他、メーカ名入力欄32、画面の大きさ入力欄33、発売年(あるいは購買年や製造年)入力欄34が表示される。図7では、上記各欄31〜34にいずれも入力された後の状態が示される。
【0036】
図7の画面では、買換条件として、「保有家電と同等レベル」のものにするか、同等レベルではなく「買換希望条件有り」があるのかを選択するためのチェック欄35、36が表示される。図7では、「保有のものと同等レベル」のテレビに買換することを希望することが選択されている状態が示される。
【0037】
図7の画面では、さらに、保有家電の特定を行うために、保有家電が有する機能を選択する複数のチェック欄41が表示される。この表示される機能としては、例えば3D機能(3次元表示機能)、4K機能(画素数に関する機能)、HDD内蔵機能、HDD外付機能、LAN機能等々が選択できるようになっている。図7では、「HDD内蔵」機能を有することが選択されている状態が示される。また、保有家電に関する情報をユーザが自由に記入するための自由記入欄42も設けられている。この他、図7では、保有家電に関する画像の添付の「有り」のチェック欄43と「無し」のチェック欄44とが表示される。図7では、画像の添付が「有り」の値チェック欄43がチェックされている状態が示される。なお、画像添付は、例えば、画像添付「有り」のチェック欄43がチェックされたときに、画像を貼り付けるための別画面が表示されるようになっており、画像の貼り付けを終了するボタンをクリックすることにより、図7に戻るようになっている。画像添付のための画面表示に関するプログラム等は、図7のような表示を行うための情報に関連づけてユーザ端末21に送信されている。
【0038】
図7ではさらに、「電力使用情報の使用を許可する」のチェック欄45が表示される。このチェック欄45は、個人情報の取り扱いを慎重に行うためのものである。また、後述するHEMS23から電力使用情報を入手するに際しては、これを管理している管理者(例えば電力会社)の許可をあらかじめ得るようにしてある。図7の状態で、送信ボタン46をクリックすることにより、図7のように入力された内容が、インターネットINを介してサーバ装置SBに送信される。
【0039】
サーバ装置SBは、図7のような入力情報を受信すると、受信した情報を、記憶手段12の記憶内容と照合して、保有家電(としてのテレビ)を特定する。この特定に際しては、特に、基準消費電力量と対応づけて特定される。
【0040】
サーバ装置SBは、ユーザの買換希望条件(実施形態では保有家電と同等レベル)に合致する買換候補家電を、記憶手段12に照合して検索して特定(選択)し、この特定の際に、買換候補家電の基準消費電力量も特定される。買換候補家電が複数存在する場合は、その全てについて省エネ効果と共にユーザに提供してもよいが、省エネを図ることから、買換条件に合致するもののうちもっとも小さい基準消費電力となるものを買換候補家電として特定(選択)するのが好ましい。また、買換候補家電が複数存在する場合は、複数の買換候補家電を一旦ユーザに提供して、その中から1つの買換候補家電をユーザに選択してもらうようにしてもよく、さらには複数の買換候補家電の全てについての省エネ効果情報をユーザに提供するようにしてもよい。なお、買換条件に完全に合致する買換候補家電が存在しない場合は、買換条件にもっとも近い家電を買換候補家電として特定するようにしてもよい(この場合、買換条件に完全に合致するものではない旨の注意表示等を合わせてユーザに提供するのが好ましい)。
【0041】
次に、サーバ装置SBは、インターネットINを介してHEMS23にアクセスして、保有家電についての電力消費状況、特に、特定された保有家電についてのある期間(例えば1年間)の実際の消費電力量と実際の使用時間とを入手する。
【0042】
保有家電についての実際の電力消費状況を入手すると、サーバ装置SBは、HEMS23から入手した実際の消費電力量と実際の使用時間と保有家電の基準消費電力量(第1記憶手段11での記憶内容となる年間の消費電力量)とから、保有家電の基準消費電力量に対する補正係数を算出する。この補正係数は、ユーザによる保有家電の実際の使用状況に応じて基準消費電力量を補正するものとなる。
【0043】
上記補正係数の算出は、具体的には、次のように行われる。まず、保有家電について、年間の実際の電力消費状況が例えば329Kwhであり、1日あたりの平均使用時間が例えば7.5時間であり、記憶手段12に記憶されている保有家電の基準消費電力量(1日あたり平均4.5時間の使用が前提)が例えば165Kwhである場合を想定する。このような想定条件において、保有家電を1日平均4.5時間あたり使用した場合の実際の消費電力量は、「329Kwh×4.5時間/7.5時間=197Kwh」となる。
【0044】
保有家電の1日平均の使用時間4.5時間の実際の消費電力量は197Kwhは、記憶手段12に記憶されている基準消費電力量165Kwhに比して、1.2倍だけ大きい値となり、この1.2倍に相当する「1.2」が補正係数として算出される。
【0045】
また、前述のように記憶手段12への照合により得られた買換候補家電についての基準消費電力量(1日平均使用時間4.5時間での年間消費電力量)を例えば112Kwhとすると、この買換候補家電を保有家電と同様に使用したときの年間消費電力量は、「112Kwh×補正係数1.2×7.5時間/4.5時間=224Kwh」となる。
【0046】
保有家電の実際の年間の消費電力量が329Kwhであり、買換候補家電を保有家電と同様に使用したときの年間の消費電力量が224Kwhであることから、その差分となる105Kwhが、消費電力量の年間での低減量となる。仮に、1Kwhあたりの電気料金を22円とすると、年間の電気料金の低減額は、「105Kwh×22円=2310円」となる。上述の年間の消費電力量の低減量105Kwhとこれに応じた年間の電気料金低減額が、省エネ効果を示す数値となる。
【0047】
サーバ装置SBは、特定された買換候補家電と買換による省エネ効果を、インターネットINを介してユーザ端末21に送信し、この送信結果は、ユーザ端末21の表示画面に例えば図9に示すような態様で表示される。すなわち、保有家電と買換候補家電とのそれぞれについて、その型番と年間消費電力量が表示されると共に、省エネ効果としての年間の消費電力量の低減量と電気料金の低減額とが表示される。なお、図7では詳細を略すが、買換候補家電についての各種機能が合わせて表示される。また、「詳細」ボタン61をクリックすると、それがサーバ装置SBに送信されて、サーバ装置SBからユーザ端末21に対して、買換候補家電におけるさらに詳細な情報が送信される(送信された詳細な情報の具体的な表示態様については図示略)。
【0048】
ユーザは、図9のような画面表示から、買換候補家電について、省エネ効果について数値的に認識でき、買換候補家電を購入する動機付けられることになる。また、現時点では買換えを考えていなくても、省エネ効果の高い家電の情報を容易に入手できるようにして、省エネのための家電買換えを積極的にユーザに促す上でも好ましいものとなる。なお、サーバ装置SBにおいては、そのウエブサイトにおいて、買換候補家電を製造しているメーカの宣伝を掲載する等により、ビジネスにつなげることができる。
【0049】
HEMS23により、保有家電についての電力消費状況を把握できないときは、HEMS23に接続されている全ての家電の消費電力量を総合した総消費電力量に関する情報を入手して、買換対象となる保有家電そのものについての消費電力量と使用時間とを推定するようにしてもよい。すなわち、図10図12に、HEMS23で記憶されている消費電力量の変化の様子の一例が示される。図10は、年間を通しての全家電についての総消費電力量が変化する様子の一例が示される。図11は、図10のうち、ある1日の時間での総消費電力量が変化される様子の一例が示される。図12は、ある1つの家電についての1日あたりの消費電力量が変化する様子が示される。HEMS23は、通常は、図12に示すような個々の家電についての詳細な消費電力量の変化の様子を記憶しており、図12のような消費電力量を年間を通して積算することにより、ある1つの家電についての年間の消費電力量や使用時間が得られることになる。図12に示すようなある1つの家電に着目した電力消費状況を示すデータが入手できないときは、図10あるいは図11に示すような電力消費状況から、ある1つの家電についての年間の消費電力量と使用時間とを推定するようにしてもよい。
【0050】
HEMS23を有しない等により、保有家電について実際の電力消費状況を入手できないときは、サーバ装置SBから、インターネットINを介して、ユーザ端末21に対して保有家電の電力消費状況を問い合わせるようにしてもよい。この問い合わせのためにユーザ端末21に表示される表示画面の一例が、図8に示される。
【0051】
図8においては、1日の平均使用時間を入力する入力欄51、使用時間帯を入力する入力欄52、画面の明るさレベルの入力欄53、音量設定レベルの入力欄54が表示されて、各欄に入力後に、「送信」ボタン55をクリックすることにより、図8の入力内容がインターネットINを介してサーバ装置SBに送信される。
【0052】
サーバ装置SBは、図8のような入力内容から、保有家電における基準消費電力量に対する補正係数を算出(推定値となる)する。この補正係数の設定に際しては、明るさ係数αと音量係数βとをそれぞれそのレベルに応じて設定して、この両係数αとβとを乗算することにより最終的な補正系係数とすることができる。例えば、明るさ係数αは、標準であれば1、やや明るいレベルは1.1、明るいレベルは1.2、やや暗いレベルは0.9、暗いレベルは0.8に設定する。同様に、音量係数βは、標準であれば1、やや大レベルは1.1、大レベルは1.2、やや小レベルは0.9.小レベルは0.8に設定する。例えば、明るさ係数αが1.2で、音量係数βが1.1であれば、最終的な補正係数は「1.2×1.1=1.32」となる。勿論、この補正係数は、買換候補家電について、保有家電と同様に使用された際の消費電力量を算出するための補正係数として利用される。
【0053】
次に、前述したような制御を行うサーバ装置SBの具体的な制御例について、図3図4に示すフローチャートを参照しつつ説明する。なお、以下の説明でSはステップを示す。
【0054】
まず、図3のS1において、ユーザ(ユーザ端末21)から家電買換に関する情報を取得したい旨の要請を受信したか否かが判別されると、S2において、買換対象となる保有家電に関する情報を入力するための入力画面(入力画面情報)が送信されて、ユーザ端末21の表示画面に図6のような表示が行われる。次いで、S3において、入力情報を入手したか否かが判別されるが、図6の「送信」ボタン21がクリックされることにより、S2での判別でYESとなる。
【0055】
S3の判別でYESのときは、S4において、型番の情報の有無が判別される。このS4の判別でYESのときは、S5において、入手した型番を、記憶手段12に照合して、保有家電とその基準消費電力量とが特定される。S4の判別でNOのときは、S6において、入手した保有家電についての情報として、機能情報が有るか否かが判別される。このS6の判別でYESのときは、S7において、機能情報を記憶手段12に照合して、保有家電とその基準消費電力量とが特定される。S6の判別でNOのときは、S8において、入手した保有家電についての情報として、画像情報が有るか否かが判別される。このS8の判別でYESのときは、S9において、画像情報を記憶手段12に照合して、保有家電とその基準消費電力量とが特定される。
【0056】
S8の判別でNOのときは、保有家電を特定できないときであり、このときは、その旨がインターネットINを介してユーザ端末21に送信される。この場合は、図6図7に示すような表示内容(さらに詳細なデータ入力が必要となる)を修正して、保有家電の特定が再度行われることになる。
【0057】
上記S5、S7あるいはS9の後は、図4のS21に移行される。S21では、保有家電についての電力情報(電力消費状況)の要求を、インターネットINを介してHEMS23に送信する。この後、S22において、HEMS23からの電力情報を受信したことが確認されると、S23において、買換対象となっている保有家電そのものについての電力情報を有するか否かが判別される。このS23の判別でYESのときは、保有家電の電力使用状況(年間の消費電力量と使用時間)が特定される。
【0058】
S23の判別でNOのときは、S25において、S22で受信した電力情報が、各種家電を総合した全体の電力情報を有するか否かが判別される。このS25の判別でYESのときは、全体の電力情報から、買換対象となる保有家電についての電力情報(年間の消費電力量と使用時間)が推定される。
【0059】
S25の判別でNOのときは、S27において、インターネットINを介して、ユーザ端末21に対して、保有家電についての電力使用状況を問い合わせるための情報が送信される。すなわち、S27での処理の結果、ユーザ端末21の表示画面に、図8に示すような問い合わせ画面が表示される。この後、S28において、図8で入力された情報を受信したことを確認すると、S29において、保有家電の電力使用状況(年間の消費電力量と使用時間)が特定(推定)される。
【0060】
上記S24、S26あるいはS29の後は、図5のS41に移行される。S41では、買換希望条件が、保有家電と同等レベルであるか否かが判別される。このS41の判別でYESのときは、S42において、保有家電に関する情報を記憶手段12に照合して、買換候補家電の検索が行われ、S43において、検索結果としての買換候補家電がその基準消費電力量と共に特定される。
【0061】
S43の後、S44において、保有家電の実際の使用状態と同様に使用したときの、買換候補家電における消費電力量が算出される(補正係数や年間使用時間を加味した年間消費電力量の算出)。この後、S45において、省エネ効果が前述のように算出される。次いで、S46において、買換候補家電の情報がS45で算出された省エネ効果と共に、インターネットINを介してユーザ端末21に送信される。
【0062】
前記41の判別でNOのときは、S46において、ユーザの買換希望条件を、記憶手段12に照合して、買換候補家電の検索が行われる。そして、S47において、S46で検索結果となる買換候補家電(の情報)がその基準消費電力量と共に特定される。S47の後は、S44へ移行される。
【0063】
以上実施形態について説明したが、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載された範囲において適宜の変更が可能であり、例えば次のような場合をも含むものである。
(1)買換対象となる家電は、テレビに限らず、冷蔵庫、エアコン、洗濯機、掃除機等々、適宜のものを含めることができる。
(2)ユーザに送信する省エネ効果としては、消費電力量に関するものと電気料金に関するものとの少なくとも一方のみとすることもできるが、両方を送信するのがユーザがより省エネ効果を理解できてより好ましいものである。また、省エネ効果としては、低減できる消費電力量、低減できる電気料金の他、低減できる水量や低減できる水道料金(洗濯機の場合)等、家電の種類に応じて適宜設定できる。
(3)HEMS23は、MEMS、BMESで呼称されるもの等、消費電力量とその使用時間を監視(記憶)するものであれば、その名称を問わず適宜のものを含むものである。また、HEMS23に換えて、スマートメータを用いることもできる。
(4)保有家電の特定に際しては、複数の情報を併用して行うこと、例えば型番とメーカ名と機能と発売年月等々のうち、任意の複数を組み合わせせて特定することができる(特定精度の向上)。また、特定した保有家電について、一旦ユーザ端末21に送信して、ユーザが特定した保有家電で間違いないことを確認してもらうようにすることもできる。また、記憶手段12の記憶内容を利用した保有家電の特定に際しては、完全一致ではなく、部分一致でもって行うこともできる。
(5)買換候補家電が複数存在する場合は、この複数の買換候補家電(に関する情報)を一旦ユーザ端末21に送信して、その中からユーザの希望する1つの買換候補家電を特定するようにしてもよい。また、買換候補家電が複数存在する場合に、この複数の買換候補家電についての情報とそれに対応した省エネ効果をユーザに提供するようにしてもよい。
(6)記憶手段12は、古い家電および新しい家電に関する両方の情報を記憶しているが、記憶手段12を,例えば古い家電に関する情報を記憶した第1記憶手段と、新しい家電を記憶した第2記憶手段とに分けて記憶させておくようにしてもよい。この場合、経時に応じて、第2記憶手段に記憶されている家電情報が、古い家電として第1記憶手段での記憶内容へと変更(移行)されることになる。なお、第1記憶手段と第2記憶手段とは物理的に分離していてもよいが、同一の記憶手段(例えば大容量の1つのHDD)に例えば領域分けして記憶しておくこともできる。
(7)買換候補家電を提供する際に、ユーザの買換希望とは関係なく、特定された保有家電の情報からお勧め買換候補家電を特定して、ユーザに提供するようにしてもよい。この場合、保有家電と同等レベル(同等機能)以上のもので、発売年月がもっとも新らしいものを、お勧め買換候補家電として提供するのが好ましい。お勧め買換候補家電が複数存在する場合は、もっとも基準消費電力の小さいものを最終的なお勧め買換候補家電として選択するのが好ましいが、複数のお勧め買換候補家電を一旦ユーザに提供して、その中から1つのお勧め買換候補家電をユーザに選択してもらうようにしてもよく、さらには複数のお勧め買換候補家電の全てについての省エネ効果情報をユーザに提供してもよい。また、お勧め買換候補家電を提供した際に、お勧め買換候補家電を希望するか否か(満足するか否か)の問い合わせ(の表示を送信)を行なって、お勧め買換候補家電を希望しない場合の返信があった際に、前述したようにユーザの買換希望条件に合致した(あるいは近い)買換候補家電を新たに特定してユーザに提供することもできる。
(8)本発明は、消費電力が低減される家電に関する情報を提供するのみならず、消費電力量が増大する家電の情報を提供する場合を含むものである。具体的には、例えば、ユーザが小型テレビから大型テレビへの買換を考える場合に、提供される省エネ効果が、消費電力の増大(電気代の増大)として提供される場合もあり得る。この場合でも、ユーザは、消費電力(電気料金)の増大がどの程度なのかを、提供される省エネ効果によって知得して、大型照テレビへの買換えの検討資料として役立て得ることができる。大型テレビへの買換による消費電力(電気料金)の増大分がユーザの意に沿わない場合は、買換条件としてのテレビサイズを若干小さいものに変更して、再度省エネ効果の提供を求めることもできる。
(9)本発明は、サーバ装置SBが実行する方法発明として把握することもでき、またコンピュータを利用して構成されるサーバ装置SBの有する機能を実行するためのプログラムあるいはこのプログラムを記憶した記憶媒体を提供することをも暗黙的に含むものである。また、本発明の目的として、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものである。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、省エネを促す家電情報の提供として好適である。
【符号の説明】
【0065】
IN:インターネット(通信ネットワーク)
SB:サーバ装置
12:記憶手段
21:ユーザ端末
23:HEMS
24:テレビ(家電)
25:冷蔵庫(家電)
26:エアコン(家電)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
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図10
図11
図12