特許第5938130号(P5938130)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5938130
(24)【登録日】2016年5月20日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】クリアファイル
(51)【国際特許分類】
   B42F 7/00 20060101AFI20160609BHJP
【FI】
   B42F7/00 L
   B42F7/00 J
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-195623(P2015-195623)
(22)【出願日】2015年10月1日
【審査請求日】2015年10月2日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成27年7月11日 株式会社イシワタグラフィックスは藤澤克彦が発明したクリアファイルの販売を開始した。 平成27年7月11日 株式会社イシワタグラフィックスは自社ウェブサイト(http://www.ishiwata−g.jp/index.html,http://www.ishiwata−g.jp/little−a4−ojigi2015.html)にて藤澤克彦が発明したクリアファイルを公開した。 平成27年7月13日〜平成27年7月15日に開催された第7回販促EXPOにて株式会社イシワタグラフィックスは藤澤克彦が発明したクリアファイルの公開およびサンプルの配布を行った。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】315013342
【氏名又は名称】株式会社イシワタグラフィックス
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】特許業務法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 克彦
【審査官】 大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−192649(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3085964(JP,U)
【文献】 実開昭60−127968(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3120133(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3027947(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3195637(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42F 7/00−7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形のシート体をいずれかの端辺に平行に折り曲げてなる折曲端辺と、該折曲端辺により区切られた第1シートおよび第2シートを前記折曲端辺に交わる端辺のうち一方の端辺位置において重複させると共に接着させてなる接着端辺と、開放端辺と、を有し、
前記第1シートには、前記接着端辺に平行な位置に第1折曲線が形成されていると共に、前記折曲端辺および前記折曲端辺に平行な位置には前記折曲端辺に交わる前記開放端辺から前記第1折曲線の形成位置にわたって切取線が形成されていて、
前記第2シートには、前記接着端辺からの離間距離が前記接着端辺と前記第1折曲線との離間距離よりも長くなる位置に前記接着端辺に平行な第2折曲線が形成されていることを特徴とするクリアファイル。
【請求項2】
前記第1折曲線と前記第2折曲線との間の位置に前記折曲端辺を二分割する点が位置していることを特徴とする請求項1記載のクリアファイル。
【請求項3】
前記第1折曲線と前記切取線とにより囲まれた所要範囲は切取開始用舌片に形成されていることを特徴とする請求項1または2記載のクリアファイル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はクリアファイルに関し、より詳細にはクリアファイルの平面サイズを半分程度に縮小することができる折り畳み可能なクリアファイルに関する。
【背景技術】
【0002】
書類や紙片を収納する際においては、収納具としてクリアファイルが広く用いられている。近年では、封筒として利用した後に、封筒の一部を切り取りすることで通常のクリアファイルとして使用することができる構成(特許文献1)や、手提げ袋として使用した後に、手提げ袋の一部を切り取りすることで通常のクリアファイルとして使用することができる構成(特許文献2)が提案されている。
【0003】
これら特許文献1および2に開示されているクリアファイルの構成は、いずれも他の製品の一部にクリアファイルとして使用する部分を含めておき、必要に応じて製品の一部を切り取りすることでクリアファイルとして使用することができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−163212号公報
【特許文献2】実用新案登録第3115710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1および2に示すように、近年においては様々な形態のクリアファイルが提案されている。しかしながら、大きな平面サイズのクリアファイルをコンパクトな状態にすることができるクリアファイルの構成はほとんど提供されていないのが実情であり、大きな書類カバンを持たない場合には、クリアファイルをバッグに収納することができないといった課題がある。
【0006】
そこで本願発明は、簡単な操作でクリアファイルの平面サイズを大幅に縮小させることができ、女性用バッグ等の小さいバッグであっても収納することを可能にしたクリアファイルの提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため本願の発明者が鋭意研究した結果、以下の構成に想到した。
すなわち、本発明は、矩形のシート体をいずれかの端辺に平行に折り曲げてなる折曲端辺と、該折曲端辺により区切られた第1シートおよび第2シートを前記折曲端辺に交わる端辺のうち一方の端辺位置において重複させると共に接着させてなる接着端辺と、開放端辺と、を有し、前記第1シートには、前記接着端辺に平行な位置に第1折曲線が形成されていると共に、前記折曲端辺および前記折曲端辺に平行な位置には前記折曲端辺に交わる前記開放端辺から前記第1折曲線の形成位置にわたって切取線が形成されていて、前記第2シートには、前記接着端辺からの離間距離が前記接着端辺と前記第1折曲線との離間距離よりも長くなる位置に前記接着端辺に平行な第2折曲線が形成されていることを特徴とするクリアファイルである。
【0008】
これにより、簡単な操作でクリアファイルの平面サイズを大幅に縮小させることができる。
【0009】
また、前記第1折曲線と前記第2折曲線との間の位置に前記折曲端辺を二分割する点が位置していることが好ましい。
【0010】
これにより、第1シートまたは第2シートを第1折曲線の位置でクリアファイルの内側に折り込む際に折り込み先端部をクリアファイル内に確実に収容することができる。
【0011】
また、前記第1折曲線と前記切取線とにより囲まれた所要範囲は切取開始用舌片に形成されていることが好ましい。
【0012】
これにより、使用者が直感的にクリアファイルの使い方を理解することができる。また、切取開始用舌片を第1シートから切り取りすることで、第1シートのクリアファイル内側への折り込みを容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明にかかるクリアファイルの構成を採用することにより、クリアファイルの平面サイズを大幅に縮小することができ、女性用の小さなバッグであってもクリアファイルを適切に収容することができ、使い勝手が良好である。また、クリアファイルに収容した紙片は紙片の表面と裏面の両面がクリアファイルのシート体2枚分により保護された状態にすることができ、クリアファイルに収納した紙片を適切に保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態におけるクリアファイルの当初状態の展開図である。
図2】本実施形態におけるクリアファイルの当初状態の正面図である。
図3】切取線に沿ってクリアファイルの一部を切り取りしている状態を示す正面図である。
図4】第1折り曲げ線に沿って第1シートを折り畳んだ状態を示す正面図である。
図5】第2折り曲げ線に沿って第2シートを折り畳んだ状態を示す正面図である。
図6図5内の6−6線における端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明にかかるクリアファイルの実施形態について図面に基づいて説明する。最初にクリアファイル10を得るための矩形シート11について説明する。本実施形態においては日本工業規格のA3版の大きさのポリプロピレン製の矩形シート11を採用した形態に基づいて説明を行うことにする。
【0016】
図1に示すように、矩形シート11には長辺11Aを二分割する位置に短辺11Bと平行な縦方向折曲線12が形成されている。このように矩形シート11は、縦方向折曲線12により左側半分の第1シート11Xおよび右側半分の第2シート11Yに区切られている。第1シート11Xには縦方向折曲線12の中途位置に長辺11Aに平行な第1折曲線13が第シート11Xの幅方向全体にわたって形成されている。そして第2シート11Yには、縦方向折曲線12の中途位置に長辺11Aに平行な第2折曲線14が第2シート11Yの幅方向全体にわたって形成されている。
【0017】
本実施形態では、図1の下側の長辺11Aから第1折曲線13までの離間距離よりも図1の下側の長辺11Aから第2折曲線14までの離間距離の方が長くなるように第1折曲線13と第2折曲線14とを配設した。また、第1折曲線13と第2折曲線14との間に縦方向折曲線12を二分割する点を有する配置で第1折曲線13と第2折曲線14とが形成されている。
【0018】
また、図1の上側の長辺11A(縦方向折曲線12に交わる開放端辺19である)から第1折曲線13の形成位置にわたって縦方向折曲線12に平行な切取線15が形成されている。本実施形態における切取線15は、2本の縦方向切取線15Aと1本の横方向切取線15Bとを有している。2本の縦方向切取線15Aのうち一方は、縦方向折曲線12に重複させた状態で形成されている。他の縦方向切取線15Aは、長辺11A側との接続部分が円弧形状に形成されている。また、2本の縦方向切取線15Aと横方向切取線15Bとで囲まれた所要範囲(図2のハッチング部分)は他の部分から切り離された状態の切取開始用舌片16に形成されている。
【0019】
このようにして形成された矩形シート11を折り曲げ加工および接着加工することでクリアファイル10を形成することができる。具体的には、縦方向折曲線12の左側部分である第1シート11Xを縦方向折曲線12の右側部分である第2シート11Yの上に重ねるように縦方向折曲線12の位置で折り曲げ加工し、下側の長辺11Aが重複する部分(図1中の破線ハッチング部分)で第1シート11Xと第2シート11Yとを接着加工するのである。ここでは第1シート11Xと第2シート11Yとの接着加工を超音波溶着により行った。このようにして形成されたクリアファイル10を図2に示す。
【0020】
本実施形態にかかるクリアファイル10は、縦方向折曲線12により形成される端辺が折曲端辺17となり、第1シート11Xと第2シート11Yとの接着部分が接着端辺18となる。また、矩形シート11の短辺11Bにより形成されている端辺と、接着端辺18に平行な長辺11A(図2中の上側の長辺11A)とにより形成されている端辺部分とが開放端辺19を構成している。
【0021】
このように図2に示すクリアファイル10は、矩形シート11の平面サイズの半分になり、日本工業規格のA4版サイズのクリアファイル10として使用することができる。
以下に日本工業規格のA5版サイズ程度(A5サイズよりも小さい)の紙片20をクリアファイル10に収容する際についてのクリアファイル10の使用方法の一例について図3図6を参照しながら説明を行う。
【0022】
使用者は紙片20をクリアファイル10に収容し、図3内の一点鎖線に示すように紙片20の短辺側を折曲端辺17に、紙片20の長辺側を接着端辺18にそれぞれ接するようにして収容する。次に使用者は、切取開始用舌片16を第1シート11Xの表面から離反させるようにして図3中の矢印A方向に引っ張り、切取開始用舌片16を含む折曲端辺17に平行な所要幅範囲を第1シート11Xから切り取りする。
【0023】
次に使用者は第1シート11Xを第1折曲線13の位置で第2シート11Y側に折り曲げ、第1シート11Xの長辺11A側の開放端辺19をクリアファイル10の内側に折り込む。より詳細には紙片20と第2シート11Yとの間に第1シート11Xを挟み込ませた状態にする。このときのクリアファイル10の状態を図4に示す。
【0024】
続いて使用者は、図4内の二点鎖線および矢印Bに示すように第2シート11Yを第2折曲線14の位置で第1シート11X側に折り曲げて、図5に示す状態にする。より詳細には、第2シート11Yを第1シート11Xの表面に重ねて、折り畳んだ後のクリアファイル10’の表面と裏面に第2シート11Yがあらわれた状態にする。
【0025】
図6図5中の6−6線における端面図である。図6からも明らかなように、折り畳んだ後のクリアファイル10’内に収容した紙片20の表面側と裏面側の両面は、第1シート11Xと第2シート11Yとにより挟み込まれた状態になっている。このようにすることで、折り畳んだ後のクリアファイル10’に収容された紙片20を確実に保護した状態にすることができる。
【0026】
また、折り畳んだ後のクリアファイル10’は4つの端辺のうち2つの端辺が折り曲げ部分で、1つの端辺が接着部分で、1つの端辺が開放部分である。このため通常のクリアファイル10に比較して開放する端辺が少ないため、折り畳んだ後のクリアファイル10’に収容された紙片20の逸脱の可能性を低減させることができる。
【0027】
以上に本発明にかかるクリアファイル10について実施形態に基づいて詳細に説明を行ったが、本発明の技術的範囲は、以上の実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態においては、クリアファイル10の材料として透明な合成樹脂製シートであるポリプロピレン製の矩形シート11を用いているが、矩形シート11の材料は透明、不透明を問わず薄肉シート体の材料で形成されていればよく、材料はポリプロピレンに限定されるものではない。また、本実施形態においては、説明を容易にするため、クリアファイル10を個々の矩形シート11を折り曲げて個別形成する形態について説明しているが、長尺のシート体を用いてクリアファイル10を連続的に形成してもよい。
【0028】
また、本実施形態においては、第1折曲線13と第2折曲線14との間に折曲端辺17(縦方向折曲線12)を二分割する点が位置している形態について説明しているが、当初のクリアファイル10に対する折り畳み後のクリアファイル10’の平面サイズに制約がなければ、この実施形態に限定されるものではない。第1折曲線13と第2折曲線14とは接着端辺18からの離間距離がそれぞれ異なっていればよい。
【0029】
さらに、本実施形態においては、接着端辺18は第1シート11Xと第2シート11Yとを超音波溶着により接着した形態について説明しているが、熱溶着や熱圧着等他の公知の接着手法を用いて接着端辺18を形成してもよい。
【0030】
さらにまた、本実施形態においては、2本の縦方向切取線15Aと横方向切取線15Bとで囲まれた所要範囲を他の部分から切り離して切取開始用舌片16を形成した形態について説明しているが、切取開始用舌片16の配設は省略することもできる。
そして以上の変形例の他、実施形態において説明した形態を適宜組み合わせた構成を採用することも可能である。
【符号の説明】
【0031】
10,10’ クリアファイル,
11 矩形シート,
11A 長辺,11B 短辺,11X 第1シート,11Y 第2シート,
12 縦方向折曲線,13 第1折曲線,14 第2折曲線,
15 切取線,
15A 縦方向切取線,15B 横方向切取線,
16 切取開始用舌片,
17 折曲端辺,18 接着端辺,19 開放端辺,
20紙片
【要約】
【課題】 クリアファイルの平面サイズを縮小させて女性用バッグ等に収納することを可能にしたクリアファイルを提供すること。
【解決手段】 折曲端辺17により区切られた第1シート11X及び第2シート11Yを折曲端辺17に交わる端辺のうち一方の端辺位置で接着した接着端辺18と、開放端辺19とを有し、第1シート11X又は第2シート11Yには接着端辺18に平行に第1折曲線13が形成され、折曲端辺17および折曲端辺17に平行に折曲端辺17に交わる開放端辺19側から第1折曲線13の位置に切取線15が形成され、第2シート11Y又は第1シート11Xには、接着端辺18からの離間距離が接着端辺18と第1折曲線13との離間距離以上となる位置に第2折曲線14が形成されていることを特徴とするクリアファイル10である。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6