特許第5938141号(P5938141)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5938141インターフェース部分を有するマルチブロックスパッタリングターゲット、ならびに関連方法および物品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5938141
(24)【登録日】2016年5月20日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】インターフェース部分を有するマルチブロックスパッタリングターゲット、ならびに関連方法および物品
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/34 20060101AFI20160609BHJP
   C22C 1/04 20060101ALI20160609BHJP
   B22F 7/06 20060101ALI20160609BHJP
   B22F 3/15 20060101ALI20160609BHJP
【FI】
   C23C14/34 A
   C22C1/04 D
   B22F7/06 D
   B22F3/15 M
【請求項の数】16
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2015-511446(P2015-511446)
(86)(22)【出願日】2013年3月12日
(65)【公表番号】特表2015-522711(P2015-522711A)
(43)【公表日】2015年8月6日
(86)【国際出願番号】US2013030316
(87)【国際公開番号】WO2013169342
(87)【国際公開日】20131114
【審査請求日】2015年3月3日
(31)【優先権主張番号】61/644,669
(32)【優先日】2012年5月9日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/793,043
(32)【優先日】2013年3月11日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】503153986
【氏名又は名称】ハー ツェー シュタルク インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】H.C. Starck, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】ゲイリー アラン ロザック
(72)【発明者】
【氏名】マーク エー. ゲイドス
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー ミカエルック
【審査官】 末松 佳記
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−297654(JP,A)
【文献】 特表2009−513823(JP,A)
【文献】 特表2011−523978(JP,A)
【文献】 特表2013−539500(JP,A)
【文献】 特表2013−535571(JP,A)
【文献】 特表2014−519549(JP,A)
【文献】 特表2008−540823(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/00−14/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも2つの圧密化されたブロックであって、各ブロックが、30重量%より多い量の耐火性金属合金および少なくとも1種の追加の合金元素を含むもの、
b)前記圧密化されたブロックの少なくとも1つの表面上へのコールドスプレー析出から誘導される、少なくとも1つの連続固体インターフェース部分、ならびに
c)前記ブロックを接合して、ターゲット体を画定する、前記少なくとも2つの圧密化されたブロックの間に形成された接合であって、前記少なくとも1つの連続固体インターフェース部分を含む接合
を含んでなり、前記接合に沿って、ASTM B528−10によると、少なくとも400MPaの横断方向の破壊強度を示す、スパッタリングターゲット。
【請求項2】
前記ターゲット体全体で、実質的に純粋なモリブデン相、前記少なくとも1種の追加の合金元素の実質的に純粋な相、ならびにモリブデンおよび前記少なくとも1種の追加の合金元素の合金を含む第3の相を含む3相の実質的に連続的かつ均一な分布がある、請求項1に記載のスパッタリングターゲット。
【請求項3】
前記ターゲット体がモリブデンおよびチタンを含み、モリブデンおよびチタンの混合物が、前記連続固体インターフェース部分を製造するために使用され、かつ前記接合形成の前に、前記連続固体インターフェース部分中の結合していないチタンの量が、前記混合物中の前記チタンの全重量に基づき、少なくとも50重量%以上である請求項1または2に記載のスパッタリングターゲット。
【請求項4】
前記実質的に純粋なモリブデン相の量が、前記スパッタリングターゲット体の30〜60体積%であり、かつ前記少なくとも1種の追加の合金元素の前記実質的に純粋な相の量が5〜25体積%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のスパッタリングターゲット。
【請求項5】
前記実質的に純粋なモリブデン相の量が、前記スパッタリングターゲット体の48体積%未満であり、かつ前記少なくとも1種の追加の合金元素の前記実質的に純粋な相がチタンであって、かつ10体積%未満の量で存在し、モリブデンおよび前記少なくとも1種の追加の合金元素の前記合金が、前記ターゲットの40体積%より多く、65体積%までの量で、モリブデンおよびチタンのβ相を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のスパッタリングターゲット。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のスパッタリングターゲットを製造する方法であって、
a)それぞれが調製された表面を任意選択的に有し、かつそれぞれが30重量%より多い量の耐火性金属および少なくとも1種の追加の合金元素を含む合金を含む、第1および第2の少なくとも部分的に圧密化された粉末金属ブロックを提供するステップと、
b)前記圧密化された粉末金属ブロックの間に少なくとも1つの連続固体インターフェース部分を挿入するステップと、
c)接触する表面の間で、いずれかの結合剤を実質的に存在させずに、前記少なくとも1つの連続固体インターフェース部分を通して、前記第1のブロックの前記調製された表面を間接的に前記第2のブロックの前記調製された表面と接触させ、接触接合構造を形成するステップと、
d)前記第1および第2のブロックの間で圧密化された接合を実現させるのに十分な1080℃未満の温度および圧力および時間で、前記接触構造を等方圧加圧するステップと
を含んでなり、
前記連続固体インターフェース部分が、前記圧密化されたブロックの少なくとも1つの表面上へのコールドスプレー析出から誘導される方法。
【請求項7】
前記提供するステップが、モリブデン、およびチタン、クロム、ニオブ、タンタル、タングステン、ジルコニウムまたはそれらのいずれかの組み合わせから選択される少なくとも1種の合金元素を含む合金から前記第1および第2のブロックを形成するステップを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記固体インターフェース部分が前記コールドスプレー析出であり、かつ前記コールドスプレー析出が、接合形成の前に、ASTM B962−08により測定すると、5〜25体積%の多孔性を有する、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記等方圧加圧のステップが、前記接触構造が密封容器にカプセル化されながら、500〜1080℃の温度で加圧するステップ、前記接触構造が密封容器にカプセル化されながら、少なくとも70MPaの圧力で加圧するステップ、および前記接触構造が密封容器にカプセル化されながら、1〜6時間、700℃〜1080℃の温度で、80〜140MPaの圧力を維持するステップを含み、かつ前記少なくとも1種の合金元素がチタンであり、かつ前記等方圧加圧のステップが十分な条件下で実行される、請求項6〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
スパッタリングターゲットを製造する方法であって、
a)それぞれが調製された表面を任意選択的に有し、かつそれぞれが30重量%より多い量の耐火性金属および少なくとも1種の追加の合金元素を含む合金を含む、第1および第2の少なくとも部分的に圧密化された粉末金属ブロックを提供するステップと、
b)前記圧密化された粉末金属ブロックの間に、連続固体インターフェース部分が、前記圧密化されたブロックの少なくとも1つの表面上へのコールドスプレー析出から誘導される、少なくとも1つの連続固体インターフェース部分を挿入するステップと、
c)接触する表面の間で、いずれかの結合剤を実質的に存在させずに、前記少なくとも1つの連続固体インターフェース部分を通して、前記第1のブロックの前記調製された表面を間接的に前記第2のブロックの前記調製された表面と接触させ、接触接合構造を形成するステップと、
d)前記第1および第2のブロックの間で圧密化された接合を実現させるのに十分な1080℃未満の温度および圧力および時間で、前記接触構造を等方圧加圧するステップと
を含んでなる方法。
【請求項11】
前記連続固体インターフェース部分が少なくとも2つの圧密化されたブロックのそれぞれの表面上へのコールドスプレー析出から誘導される、請求項に記載のスパッタリングターゲット。
【請求項12】
少なくとも1.3のメートルの最大寸法を有する、請求項1〜5または11のいずれか一項に記載のスパッタリングターゲット。
【請求項13】
前記圧密化されたブロックは、理論的な密度の60〜85%まで最初に圧縮され、その後、接合形成の前に、さらに密度を高められる、粉末から形成されたブロックであり、かつ接合部分はモリブデン及び少なくとも1種の追加の合金元素を含む、請求項1〜5または11のいずれか一項に記載のスパッタリングターゲット。
【請求項14】
前記コールドスプレー析出が、接合形成の前に、ASTM B962−08により測定すると、5〜25体積%の多孔性を有する、請求項1〜5または11のいずれか一項に記載のスパッタリングターゲット。
【請求項15】
前記接合に沿って、ASTM B528−10によると、少なくとも600MPaの横断方向の破壊強度を示す、請求項1に記載のスパッタリングターゲット。
【請求項16】
前記接合に沿ったスパッタリングターゲットが、ASTM B528−10によると、少なくとも600MPaの横断方向の破壊強度を示す、請求項6〜10のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2012年5月9日出願の米国特許出願第61/644,669号明細書および2013年3月11日出願の米国特許出願第13/793,043号明細書の出願日の利点を主張する。これらの特許出願の内容は、参照によって明白に組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般に、スパッタリング、特に改善されたマルチコンポーネントスパッタリングターゲット、ならびに少なくとも1つのインターフェース部分を画定するための、遊離した粉末の拡散接着を回避する圧密操作(例えば、熱間等方圧加圧操作)の間に一緒に連結した複数のブロックを含む薄膜を製造するためのそれらの製造および使用に関する。
【背景技術】
【0003】
スパッタリングプロセスは、様々なデバイスのいずれかを製造するために、基板上へ薄膜を析出するために使用される。スパッタリングプロセスは、典型的に、エネルギーを与えられた粒子を、固体スパッタリングターゲットに衝突させ、原子をターゲットから放出させることが関与する。近年、大面積のスパッタリングターゲットに対する必要性が増加している。これは、特に大型サイズの製品が製造される特定の用途に関してである。例えば、フラットパネルディスプレイは、基板上での均一な薄膜の析出がしばしば必要とされる。テレビなどのより大型ディスプレイに関する要求は、そのような材料の効率的な供給への他のアプローチを開発するように、材料生産者に過大な負担となり続ける。
【0004】
特許文献1(Kimら)による1つの具体的な用途において、液晶ディスプレイデバイスの製造のために、基板上のモリブデン−チタンバリア層の析出が使用された。そのような用途は、そのような材料、特にモリブデンおよびチタンを両方含有するターゲットを供給することが可能な大型ディスプレイデバイスに関する必要性を強める。
【0005】
大面積スパッタリングターゲットの製造において、ターゲットが組成物、微細構造または両方の組み合わせにおいて均一性を示すことがしばしば重要かつ不可欠であるとみなされる。デバイスを製造するためにターゲットに依拠するいくつかのデバイス製造業者に関して、最も取るに足らない欠陥でも潜在的な品質管理リスクとして認められる。例として、製造業者の1つの懸念は、デバイス製造の間の粒子の潜在的形成である(例えば、膜の他の領域の原子組成とは異なる原子組成を有する原子クラスターまたは凝集体)。特許文献2(Fukuyoら)は、チタンターゲットに関連して粒子の潜在的効果を検討する。
【0006】
スパッタリングターゲット分野の活躍は、多数の特許出願への参照によって示される。例証として、特許文献3は、モリブデンおよびチタン粉末の混合物の冷間等方圧加圧ブロックの間の粉末の使用による大面積スパッタリングターゲットの形成を記載する。そのような粉末の使用は、一般に、隣接するブロック間の顕著な接着線の形成を引き起こす。そのような接着線が実際に性能に悪影響を与えないとしても、顕著な性質はデバイス製造業者の潜在的懸念である。例えば、いくつかの製造業者は、接着線がスパッタリングの間に望ましくない粒子の形成に寄付し得るという認識を有し、発生した場合、そのような粒子が、得られたデバイスの性能に影響を潜在的に及ぼすかもしれないという考えがある。特許文献4(Hostatterら)は、錯体または化合物成形品(例えば、連接棒およびハンドスパナ)を形成するためのプレフォームのサイド−バイ−サイド圧密を記載する。モリブデンおよび/またはチタン粉末含有プレフォームの圧密(例えば、熱間等方圧加圧によって)は記載されない。さらに、モリブデンおよび/またはチタン粉末含有プレフォームの圧密において良好な結果を達成するための特定のプロセスステップは記載されていない。
【0007】
特許文献5(Iwasakiら)は、モリブデンスパッタリングターゲットを開示する(70.0原子%のMo−30.0原子%のTi材料の実施例が提供される)。上記出願は、比較的高い温度および圧力の使用の必要条件を開示しており、段落40に、100MPa未満の圧力および1000℃未満の温度が使用される場合、「98%以上の相対密度を有する焼結体を製造することは困難である」と記載されている。上記出願は、2次粉末から比較的大型サイズの主体が圧密化され、次いで、焼結ボディが別々のターゲットに切断されるプロセスを記載する。一実施例は、さらなる熱プラスチック作業ステップを例示する。
【0008】
特許文献6(Butzer)は、スパッタリングターゲット用の大型Moビレットまたはバーを製造する方法を開示しており、ここでは、Moを含んでなる2つ以上の主体が互いに隣接して配置され(例えば、他方に積み重ねられる)、Mo粉末金属は隣接する主体間の隙間または接合に存在する。隣接する主体は熱間等方圧加圧されて、隣接する主体間の金属−Mo粉末層−金属接合のそれぞれに拡散接着を形成し、大型スパッタリングターゲットを提供するために機械加工または他の様式で形成することが可能なビレットまたはバーが形成される。この特許出願公開は、プレートの縁部間接着ではなく、主要な側面の接着を開示していると思われる。
【0009】
特許文献7(Zimmermanら)は、インターフェースにおいて複数のターゲットを接合するためのコールドスプレー析出ステップを含む、モリブデン−チタン組成物による大面積スパッタリングターゲットを製造するための別の方法を記載する。段落165〜166(図17および18を参照)で、ターゲットを接合するための特定の電子ビーム溶接および熱間等方圧加圧プロセスが認められるが、上記特許出願は、電子ビーム溶接が多孔性をもたらし、熱間等方圧加圧が脆性合金相をもたらすことを示す。
【0010】
特許文献8(Nittaら)は、モリブデン−チタンスパッタリングターゲットの製造のための別のアプローチの一例を記載する。上記刊行物において、少なくとも一側面に沿って、2つまたはそれ以上のあらかじめ焼結または溶融されたスパッターターゲットの(少なくとも1000℃の温度の)拡散接合が記載される。接合におけるMo−Ti粉末の使用が記載される。
【0011】
特許文献9(Zhifeiら)は、大面積スパッタリングターゲットにおいて、一般的なバッキングプレート上にある複数のターゲット部分間の隙間を充填することの必要性を識別する。上記特許は、隣接するターゲット部分間での材料析出プロセスを例示する。興味深いことに、上記特許では、大型モリブデンプレートターゲットの製造が問題点を提起することおよび効率的な製造の必要性が認識される。
【0012】
コールドスプレー技術は、粉末材料を加熱することなく、基板上へ粉末材料を析出するために使用されるアプローチである。スパッタリングターゲットの分野におけるコールドスプレープロセスの使用は、特許文献7、特許文献10、特許文献11および特許文献12に例示され、上記は全ての目的のために本明細書に参照によって組み込まれる。
【0013】
モリブデンおよび少なくとも1種の追加の合金元素を含むマルチコンポーネント大規模スパッタリングターゲットの形成は、2011年5月10日出願の共同所有された特許文献13および2012年5月9日出願の特許文献14、ならびに特許文献15に教示されており、上記はそれぞれ全ての目的のために本明細書に参照によって組み込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第7336324号明細書
【特許文献2】米国特許第6755948号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2007/0089984号明細書
【特許文献4】米国特許第4594219号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2005/0191202号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2005/0189401号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2008/0216602号明細書
【特許文献8】米国特許出願公開第2007/0251820号明細書
【特許文献9】米国特許出願公開第2007/0289864号明細書
【特許文献10】米国特許出願公開第2010/0086800号明細書
【特許文献11】米国特許出願公開第2011/0303535号明細書
【特許文献12】米国特許第7910051号明細書
【特許文献13】米国仮特許出願第61/484450号明細書
【特許文献14】米国仮特許出願第13/467323号明細書
【特許文献15】国際公開第2012/154817号
【特許文献16】国際公開第2009/134771号
【特許文献17】米国特許出願第12/990084号明細書
【特許文献18】米国特許出願第12/827550号明細書
【特許文献19】米国特許出願第12/827562号明細書
【特許文献20】米国特許第7837929号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上記を考慮して、当該技術分野において、他のスパッタリングターゲット(特に、最大寸法が約0.5メートル、約1メートルまたは約2メートルより大きいターゲットなどの大サイズターゲット)、ならびに組成物の一般的な均一性、微細構造の一般的な均一性、粒子形成の可能性がないこと、または比較的高い強度(例えば、比較的高い横断方向の破壊強度)に関する必要性の1つまたはいずれかの組み合わせを満たすそれらの製造アプローチの必要性が存続する。さらに、当該技術分野において、いずれかかの最終的な熱間等方圧加圧プロセスの間の粉末の必要性を回避する他のスパッタリングターゲットの必要性が存続する。例えば、隣接するブロック間の接合部分となるいずれかの添加された材料が、(例えば、熱間等方圧加圧操作による)最終的な圧密より前には一般に固体であり、かつ材料の凝集性の密集体であることが望ましい。連続する構造において、いずれかの可視の接合線または他の可視の変化を最小化する能力は、本目的のために重要ではないが、望ましい特性であり得る。
【課題を解決するための手段】
【0016】
一態様において、本教示は、特に比較的大きいスパッタリングターゲット(例えば、その最大寸法が約0.5メートル、約1メートルまたは約2メートルより大きく、あるいは別の様式では、スパッタリングに利用可能なターゲットスパッタリング表面が約0.3平方メートル(m)、0.5m、1mまたは2mより大きいとも記載される)であり得るスパッタリングターゲットであって、各ブロックが、第1の金属(例えば、約30重量%より多い量で存在し得るモリブデンなどの耐火性金属)および少なくとも1種の追加の合金元素を含む合金を含む少なくとも2つの圧密化されたブロック、少なくとも1つの連続固体インターフェース部分、ならびにブロックを一緒に接合して、ターゲット体を画定する少なくとも2つの圧密化ブロック間の接合を含むスパッタリングターゲットを提供することによって、上記の必要性の1つまたはそれ以上を満たす。接合は、少なくとも1つの連続固体インターフェース部分(望ましくは、一般に密着した金属密集体、例えば、粒子化された出発物質からインサイチュで形成されるもの(例えば、金属粉末混合物のコールドスプレー析出によるなど)、別々の高密度化操作(例えば、コンパクティング、焼結または両方)で形成されるもの、あるいは両方でもよい)を含んでもよい。また望ましくは、接合に沿ったスパッタリングターゲットは、ASTM B528−10によると、少なくとも約400MPaの横断方向の破壊強度を示す。
【0017】
別の態様において、本明細書の教示は、それぞれが調製された表面を任意選択的に有し、かつそれぞれが第1の金属(例えば、約30重量%より多い量で存在してもよいモリブデンなどの耐火性金属)および少なくとも1種の追加の合金元素を含む合金を含む、第1および第2の少なくとも部分的に圧密化された粉末金属ブロックを提供するステップと、(例えば、最終的な圧密化ステップの前に)圧密化された粉末金属ブロックの間に少なくとも1つの連続固体インターフェース部分を挿入するステップと、接触する表面の間で、いずれかの結合剤を実質的に存在させずに、少なくとも1つの連続固体インターフェース部分を通して、第1のブロックの調製された表面を間接的に第2のブロックの調製された表面と接触させ、接触接合構造を形成するステップと、第1および第2のブロックの間で圧密化された接合を実現させるのに十分な温度(例えば、約1080℃未満の温度)および圧力および時間で、接触構造を等方圧加圧するステップとを含んでなる、スパッタリングターゲットを製造する方法を提供することによって、上記の必要性の1つまたはそれ以上を満たす。
【0018】
連続固体インターフェース部分は、接合ステップの前にブロック間で粉末を適用することなく形成されてもよく、すなわち、この製造ステップは、熱間等方圧加圧ステップの間に拡散接着を達成するために、ブロックの間でのいずれかの遊離した粉末を回避し、それによって、ブロックを含む大規模ターゲット体などのターゲット体の形成がもたらされる。連続固体インターフェース部分は、(a)(例えば、1つまたはそれ以上のブロックの側辺に沿って)少なくとも1つの連続固体インターフェース部分を形成するために、少なくとも1つのブロック上に金属粉末をコールドスプレーするステップ、(b)金属粉末(例えば金属粉末混合物)の主体を圧縮し、少なくとも1つの連続固体インターフェース部分(それはその後ブロック間に挿入される)を形成するステップ、(c)金属粉末混合物の主体を焼結し、少なくとも1つの連続固体インターフェース部分(それはその後ブロック間に挿入される)を形成するステップ、(d)少なくとも1つの連続固体インターフェース部分を形成するためにダイに金属粉末をコールドスプレーするステップ、(e)基板上に金属粉末をコールドスプレーし、基板を任意に含むが好ましくは含まない少なくとも1つの連続固体インターフェース部分を形成するステップ、あるいは(f)(a)〜(e)のいずれかの組み合わせから選択されるステップを使用することによって形成されてもよい。したがって、連続固体インターフェース部分は、インサイチュで金属粉末ブロックによって形成されるか(例えば、コールドスプレー処理)、またはプレフォーム(例えば、圧縮、焼結および/またはコールドスプレーされ、かつその後ブロック間で挿入されるタイル)として形成される凝集性の密集体を使用することの結果であり得る。凝集性の密集体は、いくらかの多孔性を有すると考えられるが、望ましくは、いずれの細孔の平均径も十分に小さく、そして細孔は実質的に均一に分布し、したがって、空隙は、大面積ターゲットを製造するための最終的な圧密化ステップ後に、圧密化された接合の不規則な収縮をもたらさない。
【0019】
一般に、モリブデンとチタンとの混合物が連続固体インターフェース部分を製造するために使用される場合、いずれかの最終的な圧密化ステップの前に、結合してないチタンの量が一般に高く残存するような条件が使用されてもよい。例えば、結果として生じるターゲットを形成するための最終的な圧密化ステップの前に合金化されないで残存する混合物中の出発チタン粉末の量は、混合物中の全チタンの重量の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%またはそれ以上である。したがって、いずれかの連続固体インターフェース部分前駆体(例えば、コールドスプレーされた密集体、タイル、焼結体またはそれらのいずれかの組み合わせ)を形成するステップは、チタンの融点より低い温度で行われてもよい。混合物中のチタンの融点より高い温度でステップが実行される場合、それらは混合物中の他の金属との合金形成を回避するために十分な時間で実行され、それによって、粉末混合物中の出発チタンの重量の約50%未満、40%未満、30%未満、20%未満または10%未満が粉末混合物中の他の金属と合金化する。
【0020】
本明細書の教示によるターゲット体は、ASTM E384−06によると、少なくとも約260、約275または約300のVickers Hardness(HVN)を有してもよく、例えば、約260〜約325のHVNを有してもよい。ターゲット、ターゲット体、合金、1種またはそれ以上の圧密化されたブロック、あるいはそれらのいずれかの組み合わせは、約30重量%より多い量でモリブデンを含んでもよい。ターゲット、ターゲット体、合金、1種またはそれ以上の圧密化されたブロック、あるいはそれらのいずれかの組み合わせは、約30原子%より多い量でモリブデンを含んでもよい。ターゲット、ターゲット体、合金、圧密化されたブロック、またはそれらのいずれかの組み合わせは、好ましくは、約30体積%より多い量でモリブデンを含んでもよい。ASTM B311−08によると、ターゲット体は、全材料の理論的な密度の少なくとも約0.92倍、0.95倍または0.98倍の密度を有してもよい。モリブデンおよびチタンから本質的になるターゲットの一例に関して、ターゲット体は、約7.12〜約7.30、特に約7.20〜約7.25g/cmの範囲の密度を有してもよい。スパッタリングターゲット体は、破壊することなく、その後のアセンブリ操作(例えば、3点矯正アセンブリ操作(three point straightening assembly operation)、クリープ平坦化操作、またはターゲット体およびいずれかの接合が約0.6MPaより高い負荷を受け得るいくつかの他の操作)の間に発生する通常の応力に耐えるように、十分に強くあり得る。
【0021】
本明細書の教示のさらにもう1つの態様において、スパッタリングは、本教示によるスパッタリングターゲットを使用して実行されると考えられる。また、テレビ、ビデオディスプレイ、スマートフォン、タブレットコンピューター、パーソナルディジタルアシスタント、ナビゲーションデバイス、センサー、ポータブルエンターテイメントデバイス(例えば、ビデオプレーヤー、音楽プレーヤーなど)、または光起電性デバイスの1種またはそれ以上などの多数の電子デバイスのいずれかにおいて(例えば、バリア層、電極層または両方として)使用される薄膜が得られることが考えられる。薄膜は、粉末接合によって製造されるターゲットを使用してスパッタリングすることと比較して、粒子に起因し得る構造的なアーティファクトの量を低減し得る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】コールドスプレー接合調製の例示である。
図2】タイルのコールドスプレー形成の例示である。
図3】ブロック−タイル−ブロック構造の分解斜視図である。
図4】50原子%モリブデンと50原子%チタン粉末との混合物から製造される熱間等方圧加圧ターゲットにおいて予想され得る相量を例示するための500倍の実例となる走査電子顕微鏡後方散乱顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
ここで、本発明の特定の教示に関してさらに詳細に考察すると、一般に、本教示は、ターゲットが粉末インターフェースの不在下で複数のブロックに接合することによって製造される、比較的大きいスパッタリングターゲット、特に金属粉末から圧密化されるスパッタリングターゲットを想定する。ターゲットは、一般にターゲット体(すなわち、ターゲットの圧密化された部分、特に材料除去およびスパッター析出の目的のために衝撃を受ける全ターゲットアセンブリの部分)を含み、それは、いずれかの適切な当該技術分野の開示された方法でバッキングプレートに接合されてもよい。スパッタリングターゲット体は、いずれかの適切な形状であってもよい。それは、一般に円形であってもよい(その最大寸法として直径を有する)。それは長方形でもよく、したがって、その最大寸法(例えば、側辺の長さ)を有するものとしてその側辺の1つを有する。それは管状でもよい。本明細書の教示は、より小さいスパッタリングターゲットにも適用されるが、それらはより大規模のターゲットに関して特定の有用性を有する。例として、その最大寸法が約0.5メートル、約1メートルまたは約2メートルより大きいように、より大規模のターゲット体はサイズ設定されてもよい。そのようなターゲット体の例は、一般に、約0.5メートル、約1メートルまたは約2メートルより大きい長さを有する長方形ターゲットでもよい。そのようなターゲット体は、約0.5メートル、約1メートルまたは約2メートルより大きい幅を有してもよい。得られるターゲット体は、スパッタリングに利用可能なターゲットスパッタリング表面が約0.3平方メートル(m)、0.5m、1mまたは2mより大きくてもよい。
【0024】
ターゲット体は、典型的に、少なくとも2つの圧密化され、予形成されたブロックと、好ましくはその間の連続固体インターフェースであり得る圧密化された接合部分とを含むように製造される。圧密化されたブロックは、典型的に、全体的な得られるターゲット体より小さいようにサイズ設定される(例えば、長さ、幅、面積またはそれらのいずれかの組み合わせ)。例えば、それらは、所望の得られるターゲット体のサイズ(例えば、長さ、幅または面積)の約半分(またはより小さい)であってもよい(例えば、それらは所望の得られたターゲット体の約1/nのサイズでもよく、nは、本明細書に記載されるいずれの中間タイルを除く、ターゲット体を製造するために使用される圧密化されたブロックの全体の数を指す)。それぞれの圧密化ブロックは、それぞれ他のブロックとほぼ同じサイズでもよい。1つまたはそれ以上の圧密化されたブロックは、他の別のブロックより小さくてもよい。ブロックは一般に互いに同じ形状でもよく、またはそれらは形状が異なってもよい。ブロックは、一般に長方形プリズム形を有してもよい。ブロックは、一般に円筒状でもよい。ブロックは、1つまたはそれ以上のチャネル、貫通孔または他の開口部を含んでもよい。例えば、ブロックは一般に円筒状でもよく、そして管状形ブロックを画定する貫通管を有してよい。ブロックの1つまたはそれ以上の側壁は、スパッタリング表面として機能する表面と比較して、一般に直交して配向されてもよい。ブロックの1つまたはそれ以上の側壁は、一般に、スパッタリング表面に対して垂直である平面と比較して、少なくとも±5°、10°、20°またはそれ以上の勾配角で配向されてもよい。このように、接合が隣接するブロックの間でスカーフジョイントを使用し得ることも可能である。ラップジョイント、ダブテールジョイントまたは上記ジョイントのいずれかの組み合わせなどの、バットジョイントまたはスカーフジョイント以外の他の接合構造が使用されてもよい。
【0025】
特に、複数のブロックは、粉末金属を圧密化することによって調製される。圧密化は、焼結、冷間等方圧加圧、熱間等方圧加圧、別の圧縮(例えば、ローリング、ダイコンパクティングまたは両方)またはそれらのいずれかの組み合わせから生じ得る。例えば、1つのアプローチは、所望の組成物の粉末の密集体を冷間等方圧加圧することによって、理論的な密度の約60〜約85%まで最初に圧縮することである(例えば、参照によって本明細書に組み込まれる特許文献3(Gaydosら)の段落50〜53に教示される)。得られた圧縮された形態は、ブロック前駆体構造を形成するために機械加工されてもよい。ブロック(またはブロック前駆体構造)は、例えば熱間等方圧加圧によって、さらに密度を高められて、ターゲット体を形成するために他と接合するブロックを形成してもよい。圧密前の粉末金属は、1種またはそれ以上の実質的に純粋な金属の粉末を含む(例えば、少なくとも約99.5%、99.95%または99.995%の純度(金属元素を含まないことを意味するように定義される)を有する)と考えられる。
【0026】
圧密前の粉末は、ASTM B822−10に従って測定すると、典型的に約50μm未満または約35μm未満の平均粒径を有する。例えばモリブデン粉末は、ASTM B822−10に従って測定すると、圧密化の前に、典型的に約25μm未満または約5μm未満の平均粒径を有する。チタンが使用される場合、チタン粉末は約50μm未満または約35μm未満の平均粒径を有してもよい。チタン粉末は、約5μmより大きい、または約25μmより大きい平均粒径を有してもよい。
【0027】
圧密の前に、粉末は、当該技術分野で開示される粉末ブレンド技術に従ってブレンドされてもよい。例えば、混合は、乾燥容器中にモリブデンおよびチタン粉末を入れ、そしてその中心軸に対して容器を回転させることによって行われてもよい。混合は、完全にブレンドされて一様に分配された粉末が得られるために十分な時間で続けられる。ブレンドステップを達成するためにボールミルまたは同様の装置(例えば、回転円筒、回転コーン、ダブルコーン、ツインシェル、ダブルプラネタリーおよび/またはシグマ−ブレードブレンダー)が使用されてもよい。本明細書に検討されるように、そして特に明記しない限り、金属粉末の指示は、1種の金属または2種以上の金属の組み合わせの粉末を含む。
【0028】
得られたターゲット体のそれぞれのブロックの組成物は、モリブデンおよび少なくとも1種の追加の合金元素を一般に含む。例えば、組成物は、得られるターゲット体が、得られるターゲット体の約30体積%より多く、約35体積%より多く、または約40体積%より多い量で存在するモリブデンの実質的に純粋な相であるような量のモリブデンと、少なくとも1種の追加の合金成分とを含む合金を含んでもよい。組成物は、得られるターゲット体が、全ブロックの約48重量%未満または約45重量%未満(例えば約43重量%)の量で存在するモリブデンの実質的に純粋な相であるような量のモリブデンと、少なくとも1種の追加の合金成分とを含む合金を含んでもよい。ターゲット、合金または両方のモリブデンの量は、約5〜約95原子%、より好ましくは約20〜約80原子%、なおより好ましくは約30〜約70原子%の範囲に及んでもよい。それは約40〜約60原子%(例えば、約50原子%)でもよい。残りの合金元素が釣り合いを調整し得る。例えば、モリブデンおよび追加の合金元素粉末のみを使用する系におけるチタンの量は、約100原子%からモリブデンの量(原子%)を差し引いたものでもよい。したがって、上記から分かるように、本教示は、約30〜約70原子%のMoのターゲット、合金または両方の組成物であって、残りがチタンなどの少なくとも1種の追加の合金元素であるものを考察する(例えば約50原子%のMoおよび約50原子%の他の元素(例えばチタン))。
【0029】
一般に、モリブデンとチタンとの混合物が連続固体インターフェース部分を製造するために使用される場合、いずれかの最終的な圧密化ステップの前に、圧密化された接合部分を画定する連続固体インターフェースとして使用するための結合してないチタンの量が一般に高く残存するような条件が使用されてもよい。例えば、結果として生じるターゲットを形成するための最終的な圧密化ステップの前に合金化されないで残存する混合物中の出発チタン粉末の量は、混合物中の全チタンの重量の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%またはそれ以上である。したがって、いずれかの連続固体インターフェース部分前駆体(例えば、コールドスプレーされた密集体、タイル、焼結体またはそれらのいずれかの組み合わせ)を形成するステップは、チタンの融点より低い温度で行われてもよい。混合物中のチタンの融点より高い温度でステップが実行される場合、それらは混合物中の他の金属との合金形成を回避するために十分な時間で実行され、それによって、粉末混合物中の出発チタンの重量の約50%未満、40%未満、30%未満、20%未満または10%未満が粉末混合物中の他の金属と合金化する。
【0030】
少なくとも1種の追加の合金元素は、チタン、クロム、ニオブ、ジルコニウム、タンタル、タングステンまたはそれらのいずれかの組み合わせから選択されるものなどの金属要素でもよい。少なくとも1種の追加の合金元素がハフニウムおよび/またはバナジウムを含み得ることが可能である。少なくとも1種の追加の合金元素が1種またはそれ以上のアルカリ金属を含み得ることも可能である(例えば、全体組成物の約10原子%未満または5原子%未満の量のリチウム、ナトリウムおよび/またはカリウム)。適切な合金成分の例は、特許文献16、ならびに特許文献17、特許文献18および特許文献19に開示される(全て参照によって組み込まれる)。少なくとも1種の追加の合金成分の量は、(i)その合金元素の実質的に純粋な相、および/または(ii)モリブデンおよび少なくとも1種の合金元素を含む合金相が得られるようなものである。例として、少なくとも1種の追加の合金元素の量は、得られるターゲット体の少なくとも約2、4または約6体積%である少なくとも1種の追加の合金元素の実質的に純粋な相を得るために十分であってもよい。少なくとも1種の追加の合金元素の量は、得られるターゲット(例えば得られるターゲット体)の約25体積%、15体積%または約10体積%未満である少なくとも1種の追加の合金元素の実質的に純粋な相を得るために十分であってもよい。
【0031】
モリブデンおよび少なくとも1種の追加の合金元素のそれぞれの量は、得られるターゲット体において、約30体積%、40体積%、44体積%または約48体積%より多い量の合金相(すなわち、モリブデンと少なくとも1種の追加の合金元素を含むもの)を実現させるために十分でもよい。例えば、合金は、体積でブロックの主要な構成要素として存在してもよい。モリブデンおよび少なくとも1種の追加の合金元素のそれぞれの量は、得られるターゲット体において、約70体積%、60体積%、56体積%または約52体積%未満の量のモリブデンおよび少なくとも1種の追加の合金元素両方を含む合金相を実現させるために十分でもよい。認知されることができるように、合金相は、体積でブロックの主要な構成要素として存在してもよい。
【0032】
得られるターゲット体は、さらに、以下の特徴(i)〜(v)から選択される少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つの特徴の組み合わせ、より好ましくは少なくとも3つの特徴の組み合わせ、なおより好ましくは少なくとも4つの特徴の組み合わせ、そしてなおより好ましくは全ての特徴の組み合わせを特徴とし得る。(i)添加された遊離した粉末結合剤の拡散接着から誘導される、微細構造を含まない少なくとも2つの圧密化されたブロック(例えば、サイド−バイ−サイドまたはエンドツーエンドの隣接ブロック)間の少なくとも1つの接合、(ii)少なくとも2つの圧密化されたブロック(例えば、サイド−バイ−サイド(例えば、対面)またはエンドツーエンドの隣接ブロック)間の少なくとも1つの接合、(iii)その最大寸法に沿って少なくとも約0.5メートル、約1メートルまたは約2メートルであり、かつASTM B528−10によると、接合の横断を含む主体を通して一般に均一(例えば、低から高への変動は、最も高い値の約50%未満であるか、最も高い値の約35%未満である)であり、かつ/または少なくとも約400MPa、500MPa、600MPa、700MPa、800MPaまたは900MPaであり得る横断方向の破壊強度を示すスパッタリングターゲット体、(iv)ターゲット体は、少なくとも約260、約275または約300のVickers Hardness(HVN)を示す(例えば、約260〜約325のHVNを有してもよい)、あるいは(v)ターゲット体は、全材料の理論的な密度の少なくとも約0.92倍、約0.95倍または約0.96倍の密度を有してもよい(例えば、モリブデンおよびチタンから本質的になるターゲットの一例に関して、ターゲット体は、約7.12〜約7.30、特に約7.20〜約7.25g/cmの範囲の密度を有してもよい)。スパッタリングターゲット体は、破壊することなく、ターゲット体およびいずれかの接合が約0.6MPaより高い負荷を受け得るその後のアセンブリ操作(例えば、3点矯正アセンブリ操作(three point straightening assembly operation)、クリープ平坦化操作、またはいくつかの他の操作)の間に発生する通常の応力に耐えるように、十分に強くあり得る。したがって、本明細書の方法は、1回またはそれ以上のアセンブリ操作(例えば、3点矯正アセンブリ操作(three point straightening assembly operation)、クリープ平坦化操作、または両方)を実行するステップを含み得る。上記で検討されるように、本段落で上記に検討される特徴の1つまたはそれ以上を示すスパッターターゲット体が生じると考えられる本教示の別の態様は、スパッタリングターゲットを製造する方法に関する。概括的に明示すると、本方法は、少なくとも2つのブロックをプレフォームへと圧密化して、ブロックを接合するステップを含む。ブロックの接合は、望ましくは熱および圧力下で、かつブロック間の接着を確実にする主なモードとしてブロックの対立表面の間で中間粉末結合剤に対する依存の必要性を回避する別の方法で行われる。
【0033】
望ましくは、隣接するブロックの接着は、ブロックのコールドスプレーされた対立表面の金属間、ブロックの対立表面およびプレフォームタイル(例えば、予め焼結および/またはダイ圧縮されたタイル、それ自体はコールドスプレーによって形成されてもよく、コールドスプレーされた表面を含んでもよく、あるいは両方である)の間、あるいは上記のいずれかの組み合わせでの少なくともいくつかの金属接着の形成に主に依存する(同様にいくつかの機械的な接着も可能)。
【0034】
したがって、1つのアプローチは、複数の圧密化されたブロックをプレフォームとして製造するステップが関与する。プレフォームは、実質的に互いに同じ組成を有してもよい。プレフォームは実質的に互いに同一の方法で製造されてもよい。プレフォームは、いずれかの適切な方法で圧密化されてもよい。プレフォームのブロックは、いずれかの適切な形状でもよい。例えば、それらは一般に長方形プリズムでもよい。それらは、一般に円筒状でもよい。それらは中空でもよい(例えば、管状)。他の形状も可能である。
【0035】
典型的に、ブロックの製造は、粉末出発材料を使用する。粉末は、所望の期間の熱、圧力または両方の適用によって密度を高められてもよい。例えば、それらは、圧縮、焼結、冷間等方圧加圧、熱間等方圧加圧またはそれらのいずれかの組み合わせがされてもよい。初期圧密ステップが起こってもよい。例えば、初期ステップは、粉末の密集体を理論密度の約50〜約85%(例えば、理論密度の約60〜約70%)まで圧縮するために使用されてもよい。これは、適切な冷間等方圧加圧操作によって行われてもよい。冷間加工ステップ、熱間加工ステップなどの1種またはそれ以上の二次操作が実行されてもよい。
【0036】
圧密への好ましいアプローチには、少なくとも約100MPaの圧力において、密集体(例えば、未圧縮粉末密集体または圧縮粉末密集体)の熱間等方圧加圧(HIP)ステップが含まれる。例えば、モリブデン(ならびに他)含有材料では、HIPプロセスは、望ましくは、約1080℃未満(例えば、約1050℃)、1000℃、950℃、900℃または約850℃未満(例えば、約825℃)の温度で実行されてもよい。HIPプロセスは、約1〜約12時間、より好ましくは約4または6〜約10時間(例えば約8時間)の期間の範囲に及んでもよい。例として、限定されないが、密集体は、約10mm〜約60mm、より好ましくは約15mm〜約45mm(例えば、約15mm、約25mm、約35mmまたは約45mm)の厚さを有する一般に長方形ブロックに圧縮されてもよい。密集体は、約25〜約100mm(例えば、約30mm、約50mmまたは約90mm)、より好ましくは約30mm〜約50mmの幅を有する一般に長方形のブロックに圧縮されてもよい。密集体は、約70mm〜約160mm、より好ましくは約90mm〜約150mm(例えば、約90mm、約120mmまたは約150mm)の長さを有する一般に長方形のブロックに圧縮されてもよい。
【0037】
ターゲット体を形成するために、2、3またはより多くのブロックが接合される。上記のとおり、好ましくは、主な接合手段として遊離した粉末結合剤を使用することなく行われる。例えば、いくらかの量の結合剤は使用されてもよいが、本教示の態様は、ターゲット体を製造するための接合は、いくらかの結合剤の不在下、(例えばいくらかの遊離した粉末接着薬剤の不在下)で達成されてもよいと考えられる。例として、それぞれが約1.5メートルの長さ、約0.9メートルの幅および約0.16メートルの厚さの寸法を有する2つのブロックが調製されてもよい。それらは、ターゲット体を形成するために、対立する幅縁部(例えば、その間に連続固体インターフェース部分を有する)に沿って接合されてもよい。別の例において、それぞれが約1.2メートルの長さ、約0.5メートルの幅および約0.46メートルの厚さの寸法を有する2つのブロックが調製されてもよい。それらは、ターゲット体を形成するために、対立する長さ縁部に沿って接合されてもよい。さらに別の例において、それぞれが約1.2メートルの長さ、約0.5メートルの幅および約0.3メートルの厚さの寸法を有する2つのブロックが調製されてもよい。それらは、ターゲット体を形成するために、対立する長さ縁部に沿って、その間の少なくとも1つの連続固体インターフェース部分によって接合されてもよい。さらに別の例において、それぞれが約0.9メートルの長さ、約0.3メートルの幅および約0.25メートルの厚さの寸法を有する3つのブロックが調製されてもよい。それらは、ターゲット体を形成するために、その間に少なくとも1つの連続固体インターフェース部分を有する対立する長さ縁部に沿って接合されてもよい。2本以上の軸に沿って2つ以上のブロックの配列として、3つより多いブロックが使用されることができる。
【0038】
加圧に続いて、ブロックはスパッターターゲット体を形成するために、プレフォームに接合する前に、調製されていない表面と比較して、隣接するブロックを接触させるための表面の表面積を増加させるため、または隣接する2つ以上のブロック間の接触面積を他の方法で増加させるためなどの所望の表面仕上げを与えるため、プレフォームブロックの1つまたはそれ以上の表面が表面調製されてもよい(例えば、化学的に、機械的に、電気化学的に、それらの組み合わせなどによって粗面化および/または研磨される)。例えば、望ましく接合される場合、互いに対立する表面が調製される(例えば、粗面化)。それらは、少なくとも約50μインチ(1.3μm)または少なくとも約100μインチ(2.6μm)(例えば、約120μインチ(3μm)〜約150μインチ(3.8μm))であり得る、(ASTM B946−06によって測定される)計算による平均表面粗さRを達成するために調製されてもよい。それらは、約200μインチ(5.1μm)未満、約180μインチ(4.6μm)未満、または約150μインチ(3.8μm)未満、または約120μインチ(3μm)未満であり得る、(ASTM B946−06によって測定される)計算による平均表面粗さRを達成するために調製されてもよい。例えば、(ASTM B946−06によって測定される)計算による平均表面粗さRは、約50μインチ(1.3μm)〜約150μインチ(3.8μm)、特に約63μインチ(1.6μm)〜約125μインチ(約3.2μm)の範囲に及んでよい。
【0039】
所望の表面仕上げを達成するための1つの可能なアプローチは、所望の粗さまで圧密化されたブロックの少なくとも1つの表面上へ粉末をコールドスプレー析出することである。これは、コールドスプレー析出の前の粗面化ステップの有無にかかわらず、行われてもよい。一般に遊離した粉末の存在を回避しながら、粉末をブロックに機械的に結合させるために、少なくとも1種の連続固体インターフェース部分を画定するために、コールドスプレーのいずれかのステップが、圧密化されたブロックの少なくとも1つの側面上に少なくとも2種の異なる非合金金属の粉末の混合物を析出することを含んでもよいと考えられる。実例となるコールドスプレーの教示は、特許文献7、特許文献10、特許文献11、ならびに特許文献12に見ることができ、これらは全て、全ての目的に関して本明細書に参照によって組み込まれる。一般に、ノズルを有する適切なデバイス(例えば、コールドスプレーガン)は、表面上へ粉末混合物を導くために超音速で粉末混合物噴射を放出する。「コールドスプレー」が他の動的スプレー系を除外しないことはいうまでもない。コールドスプレーという用語は、本明細書の教示を通して使用される。しかしながら、同様に動的スプレープロセスを使用することが可能であることは理解される。
【0040】
超音速で流出する気体噴射は、0.5〜150μmの粒径を有し得る粉末の密集体に与えられる。例えば、十分な気体流は、得られる気体/粉末混合物において、300〜2000m/秒、好ましくは300〜1200m/秒の粉末の速度を確実にするために役立つように適用される。混合物は、対象の表面に導かれる。対象の表面上で、衝突する金属粉末粒子は層を形成し、粒子は高度に変形するが、好ましくは溶融しない。粉末粒子は、0.01〜200g/秒cm、好ましくは0.01〜100g/秒cm、非常に好ましくは0.01g/秒cm〜20g/秒cm、または好ましくは0.05g/秒cm〜17g/秒cmの粒子の流速密度を確実にする量で噴射中に有利に存在する。
【0041】
いずれかの表面調製(例えば粗面化、洗剤クリーニングのステップによるなどのクリーニング、または両方)の後、第1のブロックの少なくとも1つの表面は、いずれかの中間の遊離粉末がない状態で、第2のブロックの少なくとも1つの表面と接触し、接触接合構造を形成する。接触は直接的であってもよく、例えば、複数のブロックの対立するコールドスプレーされた表面を接触させることによる。接触は間接的であってもよく、例えば、本明細書に記載されるようなインターフェースプレフォーム(例えば、それが接触するブロック表面と一般に同じ寸法を有する側面を有し、少なくとも約2mm、4mmまたは6mmの厚さを有するタイル)を介することによる。厚さは、約20mm以下でもよく、約10mm以下であってもよい。プレフォーム自体は、接触のためのコールドスプレーされた側面を含んでもよい。
【0042】
コールドスプレーされた粉末層がブロック、インターフェースプレフォーム(例えば、タイル)または両方の表面上へ析出された場合、層の平均厚さは、約1、2、5、10、50、100μmより大きくてもよく、コールドスプレーされた粉末層は、約1cm、1mm、500μmまたは200μm未満の層の平均厚さを有するように析出されてもよい。
【0043】
インターフェースプレフォーム(例えば、タイル)は理論値の少なくとも約60%、理論値の少なくとも約70%または理論値の少なくとも約80%のプレフォームの密度を達成することが可能なプロセスによって製造されてもよい。例として、タイルを通して、理論密度の約65%〜約85%、特に理論密度の約75%〜約85%の密度を有するタイルとしてインターフェースプレフォームを画定するために、条件はそのようなもの(例えば、十分な圧力が圧密の間に粉末に適用され得る)でもよい。インターフェースプレフォーム(例えばタイル)は、約2〜約10mm(例えば、約3〜約7mmまたは特に約4〜約5mm)の厚さを有してもよい。より大きい、またはより小さい厚さも考察される。
【0044】
冷間等方圧加圧は1つの可能性であるが、驚くべきことに、粉末混合物をダイ圧縮することは、同様に優れた結果を与えると考えられている。粉末混合物をダイまたは他の適切なツールのキャビティにコールドスプレーし、ツールキャビティの一般的に相補的な形状を有するプレフォームを画定することも可能である。後者に関しては、析出の前に、ツールが後のステップでのプレフォームの除去を補助するように、適切な低摩擦コーティングで接触することが可能である。インターフェースプレフォームは、除去のためにグリッピングが可能であるように、1つまたはそれ以上の突出または他の構造的な特徴を有するように構成されてもよい。ツールは、キャビティからその部分を放出するための1つまたはそれ以上のデバイスを有するように構成されてもよい。
【0045】
1つのアプローチは、2種以上の高純度(例えば、金属不純物に関して、少なくとも99.5%純度)の金属粉末の混合物をダイ圧縮することによって、タイルなどのインターフェースプレフォームを製造することである。理論密度の少なくとも約60、70または80%(例えば、理論密度の約60%〜約85%)の密度を有する、ほぼネット形状のグリーンコンパクトを達成するために十分な時間、適切な圧力が適用される(例えば、ほぼ室温で、任意に高温で)。例として、少なくとも約60ksi、70ksiまたは80ksiの圧力(例えば、約30平方インチ上の約1250トンのオーダー)が使用されてよい。約200ksi、150ksiまたは100ksi未満の圧力が使用されてもよい。圧力は、少なくとも10秒、15秒、20秒または30秒間、適用されてもよい。圧力は、5分未満、3分未満または1分未満の時間で使用されてもよい。
【0046】
インターフェースプレフォームを製造する別の可能なアプローチは、タイルなどの遊離した焼結プレフォームが得られるステップを使用してもよい。すなわち、焼結は、金属粉末の密集体が、容易に取り扱うことができ、遊離した粉末のない凝集性および自己担持密集体が形成されるように十分な密度となるために十分な温度および時間で使用されてもよい。プレフォームは、金属粉末(1種、2種またはそれ以上の金属の粉末を含み得る)の密集体を混合することによって製造されてもよい。結合剤は、得られる混合物内に含まれてもよい。結合剤を有する粉末の密集体は、一般に均一な厚さに散布されてもよく、焼結されてもよい。結合剤、ならびに焼結の温度および時間の選択は、焼結の間に結合剤が消費されて、一定量の多孔性が生じるようなものであってよい。例えば、ポリマー結合剤が使用されてもよい。焼結は、金属粉末の密集体が理論密度の少なくとも約50%、60%、70%または80%を実現させるために十分な温度および時間で使用されてもよい。焼結は、金属粉末の密集体が理論密度の約95%、90%または85%未満の密度となるために十分な温度および時間で使用されてもよい。焼結は、真空条件で実行されてもよい。焼結は、不活性大気下で、または減圧下で実行されてもよい。焼結雰囲気は水素を含まなくてもよい。
【0047】
タイルなどのインターフェースプレフォームを製造するための別のアプローチは、モリブデンおよび少なくとも1種の他の元素(例えば、Ti)を含む薄シートの両面上に粉末混合物をコールドスプレーすることによる。コールドスプレーされた粉末層は、約1cm、1mm、500μmまたは200μm未満の層の平均厚さを有するように析出されてもよい。
【0048】
タイルなどのインターフェースプレフォームを製造するために、犠牲的または使い捨ての基板(例えば、真鍮製シート、亜鉛シートまたは亜鉛めっき鋼シート)上へ粉末混合物をコールドスプレーすることも可能である。グリットブラスティングステップなどの方法を使用して、典型的に複整されたままの基板を調製する代わりに、それも、セラミックグリット粒子を基板表面に包埋することを回避するために洗剤クリーニングステップで基板を調製することも可能である。基板を清浄にするためにジプロピレングリコールメチルエーテルに基づく洗剤が使用されてもよく、続いて、表面が、ASTM F22−02(2007)による「Standard Test Method for Hydrophobic Surface Films by the Water-Break Test」に合格するまで、蒸留された脱イオン水による水リンスが行われ、続いて、洗剤クリーニングステップが行われる。好ましくは1.5mmより大きく、約2mm未満の厚さ合計を有するコールドスプレー析出を構築するために、基板は、好ましくは、1回のパスで約50μmより大きく、約250μm未満の連続した層でコールドスプレーされてよい。各パスは、同一または様々な条件で実行されてもよい。好ましくは、第1のパスは、より高い接着を達成するために高密度条件で実行されてもよい(例えば、金属粉末混合物が放出されるノズルからの気体速度増加および圧力増加)。連続したパスに関して少しも完全でない密度を達成するために、気体速度を低下させることができる。コールドスプレー適用に続いて、析出物の比較的平滑な表面が望ましいが、熱間等方圧加圧プロセスの間にクリープまたは運動を可能にするために、コールドスプレー析出物の主体を通して、いくらかの多孔性も望ましい。多孔性は、温度および気体圧力を制御することによって、コールドスプレープロセス間のノズルを通しての金属粉末混合物の流速を変更することによって達成されてもよい。コールドスプレー析出表面は一定量の多孔性を有してもよく、それは全体に一般に均一であり得る。例えば、多孔性は、ASTM B962−08によって測定した場合、約5〜約25体積%(例えば約15体積%)の範囲に及び得る。得られた暴露されたコールドスプレー析出表面は、ピークから谷まで約25μm〜50μmであるトポグラフィーなどのピークおよび谷の一般に均一な分布を含む表面トポグラフィーを有してもよい。
【0049】
インターフェースプレフォーム(例えば、タイル)を形成するプロセスは、後のステップの間のプレフォームの収縮を回避するために適切な条件下であってもよい。すなわち、例えば、連続固体インターフェース部分は、したがって、インサイチュで金属粉末ブロックによって形成され(例えば、コールドスプレー操作による)、またはプレフォームとして形成される(例えば、圧縮、焼結および/またはコールドスプレーされたタイル)凝集性密集体を使用する結果であり得る。凝集性密集体は、いくらかの多孔性を有すると考えられるが、望ましくは、いずれかの細孔の平均サイズは十分に小さく、そして大面積ターゲットを製造するための最終的な圧密化ステップが続く圧密化された接合において空隙が不規則な収縮を生じないように、細孔は実質的に一様に分配される。
【0050】
ブロックは、それらのそれぞれの側辺に沿って接触してもよい(例えば、各ブロックの長さまたは幅に少なくとも部分的に沿って)。2つ以上のブロックを積み重ねることも可能であり得る。接触するブロックは、適切な熱間等方圧加圧容器などの圧縮容器にカプセル化される(例えば、加圧のために密封される軟鋼缶)。次いで、(例えば、モリブデン含有材料その他に関して)約1100℃または1000℃未満の温度、ならびに第1および第2のブロックの間で圧密化された接合を実現させるために十分な圧力および時間で所望の形状に熱間等方圧加圧される。好ましいアプローチは、少なくとも約75MPaまたは少なくとも約100MPaの圧力で粉末質量を熱間等方圧加圧するステップを含んでもよい。好ましいアプローチは、約300MPa未満、約250MPa未満または約175MPa未満の圧力で粉末質量を熱間等方圧加圧するステップを含んでもよい。HIPプロセスは、望ましくは、約1080℃(例えば、約1050℃)未満、約1000℃未満、約950℃未満または、約900℃(例えば、約890℃)未満の温度で実行されてもよい。そのようなものとして、HIPプロセスは、粉末、缶または両方を約1000℃以上の温度まで加熱するステップを含まなくてもよい。HIPプロセスは、約1〜約16時間、そしてより好ましくは約3〜約8時間(例えば約4時間)の期間に及んでよい。加圧が完了した後、缶は除去されてもよい。熱間等方圧加圧プロセスに続いて、いずれのコールドスプレー析出物の表面の不規則性は平滑化され、検出可能な細孔がなくなる。加圧操作に関する他の詳細については、本明細書に組み込まれる特許文献20(Gaydosら)から収集することができる(例えば、実施例を参照のこと)。
【0051】
本明細書の教示のさらにもう1つの態様において、スパッタリングは、本教示によるスパッタリングターゲットを使用して実行されると考えられる。また、テレビ、ビデオディスプレイ、スマートフォン、タブレットコンピューター、パーソナルディジタルアシスタント、ナビゲーションデバイス、センサー、光起電性デバイス、またはポータブルエンターテイメントデバイス(例えば、ビデオプレーヤー、音楽プレーヤーなど)の1種またはそれ以上などの多数の電子デバイスのいずれかにおいて(例えば、バリア層および電極層または両方として)使用される薄膜が得られることが考えられる。
【0052】
薄膜は、粉末接合を有するターゲットを使用してスパッタリングすることと比較して、粒子に起因し得る構造的なアーティファクトの低下した量を有してもよく、そして構造において実質的に均一である(例えば、約98%より高い)。薄膜は約350nmより小さい厚さ、約225nmより小さい厚さ、約100nmよりさえ小さい厚さを有してもよい。薄膜は約5nmより大きい厚さ、または約10nmより大きい厚さを有してもよい。例えば、膜は約15〜約25nmの厚さを有してもよい。薄膜は、約70〜約90または約75〜約85μΩcmの抵抗値を示してもよい(4点プローブを使用)。薄膜は、ASTM D:3359−02によると、Corning 1737ガラスまたは非晶質シリコン(例えば、非晶質シリコンコーティングガラス)のいずれかであってよい基板に対する接着に関して5B接着性評価を示してもよい。薄膜は、好ましくは、ディスプレイデバイスの銅導電層などの銅導電体によって良好なインターフェース能力を示す。
【0053】
本明細書のターゲットは、いずれかの熱間加工ステップ、いずれかの上記ステップまたは両方を含まないプロセスで製造されてもよい。熱間等方圧加圧の温度は好ましくは約1100℃未満であるが、約1100℃以上、または1200℃以上であってもよい。
【0054】
本明細書の教示は、得られるターゲット体材料が、少なくとも1種の合金相(例えば、β(Ti、Mo)相)とともに、純粋なMoなどの少なくとも1種の純粋な金属元素の相(およびより好ましくは、純粋なMoおよび純粋なTiなどの少なくとも2種の純粋な金属元素の相)を含むことを考察する。しかしながら、得られるターゲット体が、β(Ti、Mo)相などの合金相を実質的に有さない(すなわち、約15%(体積による)以下)ことも可能である。
【0055】
得られるターゲット体の微細構造は、好ましくは、主体を通して実質的に均一である。モリブデンおよび少なくとも1種の他の元素(例えばTi)を含む典型的なターゲット体において、微細構造は、好ましくは、他の元素の領域がマトリックス全体に実質的に一様に分配される純粋なモリブデンのマトリックスを示す。他の元素相(例えば、純粋なチタン相)の領域は一般に等軸化される。他の元素相の領域(例えば、純粋なチタン相)は、主体を通して実質的に一様にサイズにおいて異なってもよい。例えば、そのような領域は、約200μmのオーダーの最大の領域直径を達成してもよい。純粋な元素相(例えば、純粋なチタン相)の領域は、約50〜約100μmの平均領域直径を有してもよい。
【0056】
隣接するブロックの接着は、ブロックの片面または両面を超えて、ブロックの側辺に沿って生じてもよい。
【0057】
図面に関して、図1は、(完成したターゲットのスパッタリング表面となり得る)上部表面12と、側壁14とを有するブロック10の例を例示する。側壁14は、その上にコールドスプレー析出された粉末の層を有して示される。粉末は、ノズル16を有する装置(図示せず)を通して供給されてもよく、金属粉末混合物のいずれの金属の周囲圧力溶融温度未満の温度(例えば、ほぼ室温)で、ノズル16を通して金属粉末混合物の流れ18が放出される。ブロック10などの2つ以上のブロック(それぞれ、その中に析出されたコールドスプレーされた粉末の層を有する)は、その後、本明細書に記載の通り、互いに接触され、カプセル化され、そして熱間等方圧加圧されてよい。
【0058】
図2は、キャビティ22を有するツール20を例示しており、キャビティ22中に、コールドスプレー粉末の流れ18が導入されて、キャビティの形状と形状が一般に相補的である部分を画定し得る。このように、対立するブロックの間で連続固体インターフェース部分として役に立つプレフォーム(例えば、タイル)が形成されてもよい。
【0059】
図3は、本明細書の教示に従って製造されるアセンブリにおける、第1のブロック24、第2のブロック26、ならびに対立する接合表面30aおよび30bを有するインターフェースプレフォーム28(例えば、タイル)の相対的な位置の例を例示する。事例で認識されることができるように、ブロックの一方または両方が、図1の表面14などのコールドスプレー析出された表面を有する場合、プレフォームは省略されてもよい。プレフォームが、コールドスプレー析出された側面を有することも可能である(例えば、図3の接合表面30aおよび/または30bは、コールドスプレー析出表面を有してもよい)。ブロック24および26は、本明細書に記載される通り、それらの間のインターフェースプレフォームと共に組み立てられてもよく、カプセル化されてもよく、かつ熱間等方圧加圧されてもよい。
【0060】
以下の実施例におけるものを含む本明細書の教示の全てに関して、それぞれの相の体積パーセントは、ASTM規格E562−11およびE1245−03(2008)からの原理に従う方法によって決定される。この方法に従って、SEM後方散乱検出(BSE)モード像は、相は、白黒の像でピクセルの強度によって識別可能であるように撮られる。BSEモードを使用すると、散乱する電子の数は原子番号と直接に関連し、より重質の元素はより明るく見える。例えば、Mo(42)およびTi(22)の原子番号の大きい差異は、後方散乱像から可能な各元素の識別をもたらす。下記の図4aおよび4bに例示されるように、合金相は典型的に灰色に見え、最も明るい純粋な元素の(例えば、Mo)領域(最も白色であるとして示される)および最も暗い純粋な元素の(例えばTi)領域間に強度がある。ピクセル強度ヒストグラム(8ビット像:0〜255の強度)を分析することによって、閾値を定義することができ、そして各相の面積パーセントは、各相の強度範囲のピクセル数によって算出することができる。材料が、いずれかの相に関して好ましい方向がなく、実質的に均一であると考えられるため、面積パーセントは、各相の体積パーセントに等しいものとして処理される。上記の分析に関して、当業者は、閾値は、BSE像から誘導されるピクセル強度ヒストグラム中のピーク間の最小値を測定することによって、客観的な方法で定義され得ることが可能であることを認識するであろう。例えば、これらの最小値は、ピーク間の領域のヒストグラムデータに2次多項式を適合することによって算出することができる。
【0061】
例として、図4に関して、一般に、約50原子%のMoおよび50原子%のTiを有する金属粉末混合物の熱間等方圧加圧によって調製されるMo−Tiターゲット体に関して予想され得る実例となる微細構造が示される。これらの走査電子顕微鏡像(後方散乱電子検出モード)で、純粋なチタン相は最も暗い相である。本質的にチタンを取り囲む中ぐらいの陰になった相は、チタン/モリブデン合金相(例えば、β相であると考えられるが、全体にチタンおよびモリブデンの様々な濃度を有する)であり、そして最も明るい相はモリブデンである。図4の実施形態に関して、約55.7体積%のβ相の体積パーセント、約39.6体積%のMoおよび約4.7体積%のTiがあることが認められる。
【0062】
上記から認められるように、大面積スパッタリングターゲットを形成するためのアプローチが提供される。アプローチは、一般に、ブロック間の遊離した粉末の熱間等方圧加圧を経た拡散接着を(主または主要な接合機構として)使用することによる、圧密化されたブロックの接合の回避に基づく。本教示は、ブロック間の中間層として、連続固体インターフェース部分を使用することを想定する。連続固体インターフェース部分は、(a)少なくとも1つの連続固体インターフェース部分を形成するために、少なくとも1つのブロック上に少なくとも1種の金属粉末をコールドスプレーするステップ、(b)金属粉末混合物の主体を圧縮し、少なくとも1つの連続固体インターフェース部分を形成するステップ、(c)金属粉末混合物の主体を焼結し、少なくとも1つの連続固体インターフェース部分を形成するステップ、(d)少なくとも1つの連続固体インターフェース部分を形成するためにダイに少なくとも1種の金属粉末をコールドスプレーするステップ、(e)基板上に金属粉末をコールドスプレーし、基板を任意に含むが好ましくは含まない少なくとも1つの連続固体インターフェース部分を形成するステップ、あるいは(f)(a)〜(e)のいずれかの組み合わせによって製造されてもよい。「連続固体インターフェース部分」の参照は、そのような部分がいくらかの多孔性を含まないことを必要としないことは認識されるべきである。本教示が示すように、いくらかの多孔性は予想される(例えば、最終的な熱間等方圧加圧操作の前に、記載された連続固体インターフェース部分のいずれの密度も少なくとも約60%、70%、80%以上であってよい)。望ましくは、連続固体インターフェース部分を製造するいずれかのステップの間、2種以上の出発粉末は、一緒に混合されるが、未合金のままであり、そして、その後の熱間等方圧加圧操作まで合金化されなくてもよい。
【0063】
本教示は、1種またはそれ以上の他の元素と一緒にモリブデンを含むスパッタリングターゲットの参照によって例示される。本教示は、他の材料にも同様に適用可能であり得、モリブデン含有系に必ずしも限定されるというわけではない。例えば、他の耐火性金属(例えば、タングステン、ニオブ、タンタルまたはそれらのいずれかの組み合わせ)が、ターゲットの主要な量(原子%、体積%または重量%)で使用されてもよい。本教示は、2つの不連続相を含み、かつ/または従来は爆発的接着技術を必要とした隣接するブロックの接着のための代替として使用されてもよい。例として、限定されないが、Ta/Ta−2.5Wクラッドプレートは、本明細書の技術を使用して接合されてもよい。さらに、本明細書の教示は特に圧密化された粉末冶金由来ターゲットブロックを接合するために適用可能であるが、それらは、キャストされた、またはインゴット由来ブロック(例えば、電子ビーム溶融および熱機械的に処理されたブロック)を接合するために使用されることもできる。
【0064】
本明細書の教示の1つの利点は、中間層を画定するため、粉末の使用による熱間等方圧加圧拡散接着としばしば関係する分離、低い密度および/または収縮による潜在的問題の回避によると考えられる。理論によって拘束されることを意図することなく、本明細書に教示される条件は、インターフェースへの表面エネルギー(そして、おそらく歪みエネルギー)の低下のため、最終的な圧密ステップの間、固体インターフェース部分から原子輸送に関して向上した推進力があることが選択され、これは次に、接着を向上させるために役立つ。これらの機構は、公開された文献の他の技術を使用して存在すると考えられておらず、そしてブロックにおいてバルク材料から化学的に、冶金学的および視覚的に実質的に区別できない圧密化されたインターフェース部分が得られると考えられている。
【0065】
上記の一般的な教示の全てに関して、本明細書で使用される場合、特に明記しない限り、教示は、部類(リスト)のいくらかの部員が部類から除外されてもよく、かつ/またはMarkushグループのいくらかの部員は、グループから除外されてもよいと想定する。本明細書に表されるスパッタリングターゲットのパーセントは、スパッター析出で利用可能なスパッタリングターゲットの材料を指し、バッキングプレートなどの他のスパッターターゲットコンポーネントを含まない。
【0066】
特に明記しない限り、本明細書に列挙されるいずれの数値も、1つの単位の増加において、より低い値からより高い値までの全ての値を含むが、ただし、いずれかのより低い値といずれかのより高い値の間に少なくとも2単位の分離がある。一例として、コンポーネント、特性または温度、圧力、時間などのプロセス変数の値の量が、例えば、1〜90、好ましくは20〜80、より好ましくは30〜70であると記載される場合、(例えば、15〜85、22〜68、43〜51、30〜32などの)中間範囲値は、この明細書の教示内である。同様に、個々の中間値は、本教示内でもある。1未満である値に関して、1単位は、0.0001、0.001、0.01または0.1であることが適切であるとして考えられる。これらは、特に意図されることの例のみであり、そして列挙される最も低い値と最も高い値との間の数値的な値の全ての可能な組み合わせが、同様の様式で本出願において明白に明示されると考えられる。認めることができるように、「重量部」として表わされる量の教示は、本明細書中、重量パーセントに関して表される同範囲も考察する。したがって、「得られた組成物のx重量部」に関する範囲の詳細説明における表現は、得られる組成物の重量パーセントで「x」の同様に列挙された量の範囲の教示とも考えられる。
【0067】
特に明記しない限り、全ての範囲は、終点と、終点間の全ての数を含む。範囲に関連する「約」または「ほぼ」の使用は、範囲の両端に適用される。したがって、「約20〜30」は、少なくとも明記された終点の包括的である「約20〜約30」を含むことが意図される。本明細書の表中で識別される成分の濃度は、±10%または20%以上で異なってもよく、なお本教示の範囲内である。
【0068】
特許出願および刊行物を含む全ての論文および参照の開示は、全ての目的のために参照によって組み込まれる。組み合わせを記載する「本質的になる」という用語は、特定される元素、成分、コンポーネントまたはステップ、ならびに組み合わせの基本的および新規特徴に具体的に影響を及ぼさない他の元素、成分、コンポーネントまたはステップを含む。本明細書中、元素、成分、コンポーネントまたはステップの組み合わせを記載する「含んでなる」または「含む」という用語の使用は、元素、成分、コンポーネントまたはステップから本質的になるか、またはそれらからなる実施形態を考察する。複数の元素、成分、コンポーネントまたはステップは、単一の統合化された元素、成分、コンポーネントまたはステップによって提供されることができる。あるいは、単一の統合化された元素、成分、コンポーネントまたはステップは、別々の複数の元素、成分、コンポーネントまたはステップに分割されてもよい。元素、成分、コンポーネントまたはステップを記載する「a」または「an」の開示は、追加の元素、成分、コンポーネントまたはステップを排除することは意図されない。本明細書中、特定の族に属する元素または金属への全ての参照は、CRC Press, Inc.(1989)によって公開されて、著作権で保護される元素周期表を指す。族のいずれの参照も、族の番号付けに関するIUPAC系を使用するこのような元素周期表に反映される族にある。上記の説明は実例であり、限定的でないことが意図されるものと理解される。多くの実施形態ならびに提供される実施例の他の多くの用途は、上記の説明を読むことで当業者に明白である。本発明の範囲は、したがって、上記の説明に関して決定されず、その代わりに添付された請求項に関して、そのような請求項が名称を与えられる相当物の完全な範囲とともに決定されるべきである。特許出願および刊行物を含む全ての論文および参照の開示は、全ての目的のために参照によって組み込まれる。本明細書に開示される対象のいずれかの態様の以下の請求項における省略は、そのような対象の否認ではなく、または本発明者が、そのような対象を、開示された本発明の対象の一部分であると考えなかったことは関係しない。
図1
図2
図3
図4