(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記端部チャンバは、隣接するチャンバからの単位時間当たりのガスの受給量を制限するガス流入口を有し、他のチャンバに遅れて膨張展開が完了することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のカーテンエアバッグ。
【背景技術】
【0002】
近年、車両には高い安全性が求められている。この傾向は世界各国に共通していて、現在では世界各国でエアバッグが車両の安全装置としてほぼ標準装備されている。そして、車両開発に関係する事業者ではさらなる安全性向上が重要な開発テーマとして掲げられていて、これに伴って日々新たなエアバッグが開発されている。
【0003】
車両の安全性の評価基準は各国において異なっていて、各事業者は製造品が多国の評価基準に対応し得るよう開発を行っている。例えば世界最大の自動車保有台数をほこる米国では、NHTSA(米国高速道路交通安全局)によってFMVSS(米国連邦自動車安全基準)が制定されている。そして現在、NHTSAが今後定める予定のFMVSSの規則策定の通知(NPRM;Notice of Proposed Rule Making:Docket Number;NHTSA-2009-0183)には「側突時・ロールオーバ(横転)時において、放出緩和システムによりサイドウィンドウを通した乗員の車外放出の見込みを減少させる」という要件が提案されている。この要件は、放出緩和システムを成す車外放出軽減対策装置としてカーテンエアバッグを備えることで達成可能である。
【0004】
カーテンエアバッグは、ドア上方に設置されていて、衝撃発生時に車両のサイドウィンドウに沿って膨張展開して乗員の保護を行うエアバッグである。通常のカーテンエアバッグは、膨張展開した際の圧力持続時間がフロントエアバッグ等よりも長くなっている。側面衝突に続いてロールオーバが発生した場合などは衝撃が発生し得る時間が長いからである。このように、カーテンエアバッグはロールオーバ時にまで膨張状態を維持することで、乗員を拘束して車外放出防止を図っている。
【0005】
膨張したカーテンエアバッグに乗員が衝突すると、カーテンエアバッグは車外側に凸にたわむように変形する。カーテンエアバッグが乗員の車外放出防止効果を高めるためには、乗員との接触時におけるかかる変形を抑制し、乗員が衝突する前と形状が可能な限り変わらないことが望ましい。例えば、特許文献1に記載の保護バッグ(カーテンエアバッグ)は、その車内側または車外側の外面を覆う外皮基布を備えている。この外皮基布は、カーテンエアバッグの凹陥部(表裏の基布が接合しているために膨張しない部分)における乗員の保護を図るために設けられている。特許文献1の構成であれば、外皮基布を取り付けることで基布が多重になって剛性が高まり、乗員との接触時における変形を抑えることも可能であると考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1のカーテンエアバッグが備える外皮基布は、凹陥部における乗員の保護を図るためのものであって、カーテンエアバッグの変形を抑制するためとしては大きすぎる。このように、むやみに大きな布材を別途取り付けていては、変形を抑制可能であったとしても、製造コストが増加して商品性を低下させてしまう。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑み、乗員との接触時における変形の抑制を低い製造コストで達成し、車外放出防止性能を著しく向上可能なカーテンエアバッグを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明にかかるカーテンエアバッグの代表的な構成は、車両室内の側面部上方に収納され、側面部に沿って膨張展開するカーテンエアバッグであって、当該カーテンエアバッグの車両前後方向の端部に設置され、膨張展開用ガスを受けて膨張する端部チャンバと、帯状であって、車外放出防止性能評価試験において端部チャンバのうち乗員を模擬したインパクタが衝突する衝突想定領域に対し、衝突想定領域の中心である打点を通って衝突想定領域を通過するように貼り付けられる補強帯と、を備えることを特徴とする。
【0010】
上記補強帯を貼り付けた部分は厚みが増し、かつ伸びが抑えられて硬化する。したがって、乗員の接触時における変形が抑制され、車外放出防止性能が向上する。特に端部チャンバは、左右いずれかの側部でのみしか他のチャンバに支えられていない。したがって、カーテンエアバッグの中央側の他のチャンバに比べて、乗員との接触によってたわみやすく、変形しやすい。したがって端部チャンバであれば、補強帯をより有効に活用可能である。また上記構成であれば、端部チャンバの衝突想定領域のうち打点を通る部分に的を絞り、効率よく変形を抑制できる。したがって、貼り付ける部材は比較的小型の補強帯で十分である。これにより、製造コストの増加を防ぐことが可能である。
【0011】
上記の補強帯は、その上端が端部チャンバの上縁部まで到達する長さを有し、補強帯はさらに、上端に車両に取り付けられるタブを有しているとよい。補強帯が車両に取り付けられることで、カーテンエアバッグの膨張展開時に補強帯には張力が効率よく発生する。そのため、端部チャンバは補強帯に沿ってより硬くなり、乗員が接触しても変形を抑えることができる。したがって、乗員の車外放出防止性能が向上する。
【0012】
上記の端部チャンバは、下縁部がサイドドアのドアベルトラインに重畳していて、補強帯は、その下端が端部チャンバの下縁部まで到達する長さを有しているとよい。この構成であれば、乗員との接触によって端部チャンバが車外側へ押された場合、サイドウィンドウが開口していてもその開口の上下にわたって補強帯によって硬化した部分が干渉して抵抗する。したがって、乗員の車外放出防止を効率よく達成可能である。
【0013】
上記の補強帯は、当該カーテンエアバッグを収納する際の巻回または折り畳み方向に対して傾斜して貼り付けられるとよい。この構成であれば、カーテンエアバッグを巻回等した際、補強帯の重なりをずらすことができる。したがって、巻回等したカーテンエアバッグの容積の増加が抑えられ、限られた収納空間にも収納容易となる。
【0014】
上記の端部チャンバは、隣接するチャンバからの単位時間当たりのガスの受給量を制限するガス流入口を有し、他のチャンバに遅れて膨張展開が完了するとよい。これにより端部チャンバは、側面衝突に続いて発生するロールオーバ時に合わせて膨張状態となることができる。したがって、補強帯をより有効に活用して乗員の車外放出防止を図ることができる。
【0015】
ここで、打点(Target)は、NPRM(ドケット番号:NHTSA−2009―0183;2009年12月2日公表)において規定されている。その決定方法は、NPRMの、V.「Proposed Ejection Mitigation Requirements and Test Procedures」、d.「Locations Where the Device Would Impact the Ejection Mitigation Countermeasure To Asses Efficacy」、4.「Method for Determining Impactor Target Locations」に定められている。たとえばA1打点は、フロントウインドウにおける一次目標位置(Primary target)の車両前方側に位置する打点として定義される。
【0016】
また、衝突想定領域は、上記の打点(Target)に向けて、同じくNPRMのV.「Proposed Ejection Mitigation Requirements and Test Procedures」で規定されるインパクタを用いて、当該NPRMに記載されている車外放出テストを行った時に、当該インパクタが通過する可能性のある領域である。こうしたことから、衝突想定領域の中心が打点であるといえる。
【0017】
なお、本願明細書で示される規則策定通知(NPRM:Docket No. NHTSA-2009-0183)は、正式に制定されたFMVSS226の基礎になっている。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、乗員との接触時における変形の抑制を低い製造コストで達成し、車外放出防止性能を著しく向上可能なカーテンエアバッグを提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0021】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態にかかるカーテンエアバッグを例示する図である。
図1(a)はカーテンエアバッグ(以下、「エアバッグ100」と記載する。)の非展開時、
図1(b)はエアバッグ100の展開時をそれぞれ例示する。以下、
図1(a)および
図1(b)に例示する車両102の右側面用のカーテンエアバッグを参照して説明を行うが、左側面用のカーテンエアバッグも同様の対称な構造を有する。
【0022】
エアバッグ100は、
図1(a)のように巻回された状態で、または折り畳まれた状態(図示省略)で、車両室内の側面部上方のルーフサイドレール104(図中、仮想線で例示する。)に取り付けられ、収納される。通常、ルーフサイドレール104はルーフトリムで覆われ、車両室内からは視認不能である。ルーフサイドレール104には、ルーフ(屋根)を支える複数のピラーが接続している。これらは車両102の前方から、Aピラー106、Bピラー108、Cピラー110と呼ばれる。
【0023】
エアバッグ100は、例えば、その表面を構成する基布を表裏で縫製したり、OPW(One-Piece Woven)を用いて紡織したりすることにより袋状に形成される。
【0024】
エアバッグ100には、ガス発生装置であるインフレータ112が備えられている。車両102に側面衝突時やロールオーバ(横転)等が発生すると、まず車両102に備えられたセンサ(図示省略)による衝撃の感知に起因して、インフレータ112へ発火信号が発信される。すると、インフレータ112の火薬が燃焼し、発生した膨張展開用ガス(以下、単に「ガス」と称する。)がエアバッグ100へ供給される。
【0025】
エアバッグ100は、インフレータ112からのガスを受給すると、
図1(b)に例示するように、車室の側面部(サイドウィンドウ114a等)に沿うように下方へ膨張展開し、乗員の保護を行う。かかるエアバッグ100によれば、前部座席116および後部座席118の乗員を同時に保護可能である。
【0026】
図2は、
図1(b)の展開状態のカーテンエアバッグを各方向から例示する図である。
図2(a)は、エアバッグ100の車室側を一部透過した状態で例示していて、
図2(b)は
図2(a)のエアバッグ100の車両前方側付近を車外側から見て例示している。
【0027】
図2(a)に例示するように、エアバッグ100は車両102の衝突時や横転時にガスを受けて膨張する膨張領域120と、膨張せずに膨張領域120を区画する非膨張領域122(図中ハッチングで示す)と、を備えている。膨張領域120が車両のサイドウィンドウ114a、114b(
図1(a)参照)を覆うことで、乗員の車外放出は防止される。
【0028】
エアバッグ100は、車両102への取付部材としてタブ126を上縁に備えている。タブ126には、車両102への締結用のボルトを通すボルト穴128が設けられている。また、エアバッグ100の前端にはストラップ130が設けられている。ストラップ130は、エアバッグ100の前端とAピラー106とを結ぶ紐状の部材である。ストラップ130は、膨張展開したエアバッグ100の姿勢をサイドウィンドウ114a、114b(
図1(a))に沿わせるように保持する。
【0029】
膨張領域120は非膨張領域122によって複数のチャンバに区画されている。エアバッグ100の前後方向の中央のやや前側にはメインチャンバ120aが設置されている。メインチャンバ120aは、前部座席116(
図1(b)参照)の略真横において膨張展開する。エアバッグ100の前後方向の端部には端部チャンバが設置されている。例えば、エアバッグ100の前端側の端部チャンバとしてフロントチャンバ120bが設置され、後端側の端部チャンバとしてリアチャンバ120cが設置されている。
【0030】
上記の端部チャンバ(フロントチャンバ120b等)は端に位置していて、左右いずれかの側部でのみしか他のチャンバに支えられていない。そのため荷重を受けた場合、端部チャンバはメインチャンバ120a等の中央側のチャンバに比べてたわみやすく、変形しやすい。そこで当該エアバッグ100では、端部チャンバに補強帯140を設置して変形を抑えている。以下、端部チャンバを代表してフロントチャンバ120bを参照して説明を行う。
【0031】
補強帯140は端部チャンバを補強するための帯状の部材である。
図2(b)に例示するように、本実施形態では、補強帯140はフロントチャンバ120bの車外側の外表面に貼り付けられている。補強帯140は、その全面をフロントチャンバ120bに縫い付けるとよく、接着や溶着等によってフロントチャンバ120bに固定してもよい。補強帯140を貼り付けることで、フロントチャンバ120bの基布の厚みを増加させ、かつ基布の伸びを抑えて硬化させることができる。
【0032】
図3は、
図2(a)の部分拡大図である。
図3に例示するように、補強帯140はフロントチャンバ120bのうち少なくとも衝突想定領域Eを通過するように貼り付けられる。衝突想定領域Eは乗員の衝突が想定される領域であって、FMVSS(米国連邦自動車安全基準)によって定められる車外放出防止性能評価試験において、乗員を模擬したインパクタ160(
図4(a)参照)が衝突する領域である。
【0033】
FMVSSに基づく車外放出防止性能評価試験では、試験装置であるインパクタを、カーテンエアバッグ上に設定した所定の打点に衝突させてカーテンエアバッグの安全性を評価する。特に、フロントチャンバ120b上に設定される、サイドウィンドウ114aの最も前方における打点(衝突想定領域Eの中心)はA1打点と称される。本実施形態では、補強帯140をより有効に機能させるために、補強帯140をA1打点を通るように貼り付けている。その際、補強帯140の幅方向の中心がA1打点に一致するよう貼り付けると好適である。
【0034】
補強帯140の長さは、上端142がフロントチャンバ120bの上縁部121まで到達するように設定されている。上端142は車両に取り付けられるタブ144を構成していて、車両102への締結用のボルトを通すボルト穴146が設けられている。補強帯140が車両に取り付けられることで、エアバッグ100の膨張展開時に補強帯140には張力が効率よく発生する。そのため、フロントチャンバ120bは補強帯140に沿ってより硬くなり、乗員が接触しても変形を抑えることができる。
【0035】
エアバッグ100の膨張展開時において、フロントチャンバ120bに乗員の衝突によって荷重がかかると、衝突した位置から、フロントチャンバ120bが車両に固定されている位置、すなわち各タブの位置までにはテンションライン(張力線)が形成される。テンションラインには周囲より高い張力が生じるため、基布に伸び等の変形が生じやすい。そこで、本実施形態ではタブ144を車両102に取り付けることで、エアバッグ100の膨張展開時にテンションラインを補強帯140に沿って生じさせている。言い換えれば、フロントチャンバ120bは、変形の生じやすいテンションラインに沿って補強帯140が設けられて剛性が高められているため、乗員が接触した際の変形を効率よく抑えることが可能となっている。
【0036】
また補強帯140の長さは、下端148がフロントチャンバ120bの下縁部123まで到達するように設定されている。ここで、フロントチャンバ120bの下縁部123は、サイドドア115のドアベルトライン117に重畳している。下縁部121がドアベルトライン117に干渉することで、サイドウィンドウ114aが破損して開口となっても、開口からのフロントチャンバ120bおよび乗員の車外放出が防止可能となっている。さらに、下縁部121の近傍は補強帯140によって硬化しているため、その車外放出防止性能は向上する。
【0037】
図4は、第1実施形態にかかるカーテンエアバッグと従来のカーテンエアバッグとを比較する図である。
図4は、
図3のB−B断面に対応した車外放出防止性能評価試験を例示している。なお、
図4はサイドウィンドウ114aを開口とした場合を想定している。
【0038】
FMVSS(米国連邦自動車安全基準)に基づく車外放出防止性能評価試験では、
図4に例示するように、乗員を模擬したインパクタ160、12をエアバッグ上の各打点に車外側から衝突させ、インパクタ160、12の車外側の頂点の移動量を測定する。当該エアバッグ100のフロントチャンバ120bは、A1打点を通って衝突想定領域Eを通過するように補強帯140を貼り付けてあるため、硬化している。そのため、距離Dとして例示するように、従来のカーテンエアバッグ(エアバッグ10)のフロントチャンバ14と比較して、インパクタの車外方向への移動量を低減することができる。
【0039】
さらに、当該エアバッグ100では、開口(窓枠119)の上下にわたって補強帯140によって硬化した部分が干渉している。したがって、乗員との接触によってフロントチャンバ120bが車外側へ押された場合、補強帯140によって硬化した部分が抵抗し、乗員の車外放出防止を効率よく達成可能となっている。
【0040】
再び
図2(a)を参照する。当該エアバッグ100では、補強帯140をカーテンエアバッグの端部に位置する端部チャンバ(本実施形態においてフロントチャンバ120b)に貼り付けている。この端部チャンバは他のチャンバよりも遅れて膨張展開が完了する、いわゆるディレーチャンバであると補強帯140をより有効に活用可能である。
【0041】
例えば、フロントチャンバ120bは下方側にガス流入口134を有していて、隣接するメインチャンバ120aからガス流入口134を通じてガスを受給する構成となっている。フロントチャンバ120bへのガスの流路がガス流入口134のみに限定されているため、フロントチャンバ120bはガスの単位時間当たりの受給量が制限されている。そのため、フロントチャンバ120bは他のチャンバに遅れて膨張展開が完了する。すなわちフロントチャンバ120cは、側面衝突に続いて発生するロールオーバ時に合わせて膨張状態となることができる。したがって、補強帯140をより有効に活用して乗員の車外放出防止を図ることが可能である。
【0042】
このように、当該エアバッグ100であれば、特に端部において乗員の接触時における変形を抑制して車外放出防止性能を向上させることが可能である。また当該エアバッグ100では、端部チャンバの衝突想定領域のうち打点を通る部分に的を絞り、効率よく変形を抑制している。したがって、貼り付ける部材は比較的小型の補強帯140で十分である。これにより、製造コストの増加を防ぐことが可能である。
【0043】
なお、車外放出防止性能評価試験において、カーテンエアバッグ上には複数の打点が設定される。例えば、
図1(b)に例示する後部座席118の側方のリアチャンバ120c上にも打点は設定される。しかし、上記補強帯140はリアチャンバ120cにも貼り付け可能であって、これにより車外放出防止性能の向上を図ることが可能である。また、フロントチャンバ120bおよびリアチャンバ120cのような端部チャンバに限らず、所定の打点が設定される他のチャンバに貼り付けてもよい。いずれのチャンバ上においても、補強帯140の幅方向の中心が打点に一致するように貼り付けると好適である。
【0044】
(第1実施形態の第1の変形例)
図5は、第1実施形態にかかるカーテンエアバッグの第1の変形例を例示する図である。
図5に例示するエアバッグ100は補強帯140の貼り付け位置において、
図2等に例示した構成と異なっている。
【0045】
図5(a)は
図2(a)に対応する図であり、
図5(b)は
図4(a)に対応する図である。
図5(a)および
図5(b)に例示するように、補強帯140はフロントチャンバ120bの車内側の面に貼り付けてもよい。この構成によっても、フロントチャンバ120bの剛性を高めて乗員の接触時における変形を抑制し、車外放出防止性能を向上させることが可能である。
【0046】
(第1実施形態の第2の変形例)
図6は、第1実施形態にかかるカーテンエアバッグの第2の変形例を例示する図である。
図6に例示するエアバッグ100は、2つの補強帯140aおよび補強帯140bを備える点において、上記説明した各構成と異なっている。
【0047】
図6に例示するように、補強帯140aおよび補強帯140bを、フロントチャンバ120bの車外側および車内側にそれぞれ貼り付けてもよい。この構成によれば、フロントチャンバ120bの変形をその表裏から抑制することができる。したがって、フロントチャンバ120bの剛性はさらに高まり、車外放出防止性能をより向上させることが可能である。
【0048】
(第2実施形態)
図7は、第2実施形態にかかるカーテンエアバッグ(エアバッグ200)を例示する図である。
図7は
図3に対応する図であって、
図7に例示するエアバッグ200は、補強帯240の長さにおいて第1実施形態のエアバッグ100と異なる。なお、第1実施形態と同様の要素については同一の符号を付して説明を省略する。
【0049】
図7に例示するように、補強帯240の上端242および下端248は、必ずしもフロントチャンバ120bの上縁部121および下縁部123にそれぞれ到達する必要はない。補強帯240として例示するように、本発明にかかるカーテンエアバッグの持つ技術的思想は、補強帯を少なくとも打点を通って衝突想定領域を通過するように貼り付けることで実現可能である。これによっても、端部チャンバの剛性を高めて乗員の接触時における変形を抑制し、車外放出防止性能を向上させることが可能である。
【0050】
(第3変形例)
図8は、第3実施形態にかかるカーテンエアバッグ(エアバッグ300)を例示する図である。
図8(a)は
図3に対応する図であって、
図8(a)に例示するエアバッグ300は、貼り付けた補強帯340の姿勢において各実施形態と異なる。なお、
図8(b)は
図8(a)を巻回した状態を例示している。また、各実施形態と同様の要素については同一の符号を付して説明を省略する。
【0051】
図8(a)に例示するように、補強帯340は、エアバッグ300を収納する際の巻回または折り畳み方向(矢印W)に対して傾斜した姿勢で貼り付けてもよい。この姿勢であれば、
図8(b)に例示するようにエアバッグ300を巻回等した際、補強帯340の重なりをずらすことができる。したがって、巻回等したエアバッグ300は容積の増加が抑えられ、限られた収納空間にも収納容易となる。
【0052】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、以上に述べた実施形態は、本発明の好ましい例であって、これ以外の実施態様も、各種の方法で実施または遂行できる。特に本願明細書中に限定される主旨の記載がない限り、この発明は、添付図面に示した詳細な部品の形状、大きさ、および構成配置等に制約されるものではない。また、本願明細書の中に用いられた表現および用語は、説明を目的としたもので、特に限定される主旨の記載がない限り、それに限定されるものではない。
【0053】
したがって、当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0054】
また、上記実施形態においては本発明にかかるカーテンエアバッグを自動車に適用した例を説明したが、自動車以外にも航空機や船舶などに適用することも可能であり、同様の作用効果を得ることができる。