(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記貯湯タンクから前記合流管、前記接続配管、前記バックアップ熱源機、前記給湯配管、前記分岐管を通じて前記貯湯タンクに戻る循環経路を、前記分岐管と前記合流管が前記貯湯タンクをバイパスして接続される迂回循環経路に切り替える経路変更部をさらに備え、
前記経路変更部は、前記回避動作では前記循環経路に、前記凍結防止動作では前記迂回循環経路に切り替える
ことを特徴とする請求項2を引用する請求項3に記載の貯湯システム。
前記加熱装置は、前記熱源から熱回収するための熱交換器と、前記貯湯タンクから前記熱交換器の入側に至る往き熱回収配管と、前記熱交換器の出側から前記貯湯タンクに至る戻り熱回収配管と、前記貯湯タンクから前記往き熱回収配管、前記熱交換器、前記戻り熱回収配管を経由して前記貯湯タンクに戻る熱回収循環経路の湯水を循環させる熱回収ポンプとを有し、
前記分岐管は前記給湯配管から分岐して前記戻り熱回収配管に合流し、
前記合流管は前記往き熱回収配管から分岐して前記接続配管に合流し、
前記分岐管の合流箇所よりも前記貯湯タンク側の前記戻り熱回収配管と前記合流管の分岐箇所よりも前記貯湯タンク側の前記往き熱回収配管とを前記貯湯タンクをバイパスして接続するか否かを切り替える経路変更部を備え、
前記制御部は、前記貯湯タンク内の湯水を殺菌する際に、前記熱回収ポンプを作動させ、前記貯湯タンク内の湯水を前記熱回収循環経路に循環させながら前記熱交換器で加熱する再加熱処理を行う
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の貯湯システム。
【背景技術】
【0002】
燃料電池などの熱源から熱回収して貯湯タンク内の湯を加熱し給湯する貯湯システムでは、貯湯タンク内の水(または湯)が使用されずに長期間滞留すると、レジオネラ菌の繁殖などにより、水(または湯)が不衛生となる恐れがある。レジオネラ菌は高温(60℃程度)に加熱すると死滅するため、従来は、貯湯タンク内の水(または湯)を衛生的に保つために、貯湯タンク内の水(または湯)が長時間使用されなかったことを検知した場合に、貯湯タンク内の水(または湯)を全量60℃以上に沸かし上げる再加熱制御を組み込んでいる。
【0003】
図10は、燃料電池の排熱を利用する従来の貯湯システム100の構成例を示している。貯湯システム100は、貯湯タンクユニット101と、燃料電池130の排熱を回収する排熱回収装置110と、バックアップ熱源機としてのガス給湯器120とを備えている。排熱回収装置110は、排熱回収熱交換器111と排熱回収ポンプ112とから構成される。
【0004】
貯湯タンク102の下部の給水口103には給水管104が接続され、上部の出湯口105には出湯管106が接続されている。出湯管106の途中には、貯湯タンク102からの湯と給水管104からの水とを設定された混合比で混合する混合器107が設けてあり、混合器107の出側は、接続配管121を通じて、ガス給湯器120の給水接続口122に配管されている。
【0005】
ガス給湯器120は、給湯もしくは浴槽への注湯の際に給水接続口122から流入する給水(または湯)を加熱する熱交換器123および第1バーナ124と、暖房用の熱交換器125と第2バーナ126とを備えている。暖房用の熱交換器125を通る暖房回路127には、熱媒体流体を暖房回路127内で循環させるための暖房ポンプ128が設けてある。また、貯湯タンクユニット101内には、暖房回路(暖房配管)127と熱回収配管(高温)115との間で熱交換するための再加熱熱交換器141が設けてある。
【0006】
上記構成の貯湯システム100では、排熱回収ポンプ112を作動させると、貯湯タンク102内の湯水は、貯湯タンク102の下部から熱回収配管(低温)114、排熱回収熱交換器111、熱回収配管(高温)115を経由して貯湯タンク102の上部に戻る経路を循環し、排熱回収熱交換器111を通る際に加熱される。
【0007】
給湯動作では、貯湯タンク102に十分蓄熱されている場合には、貯湯タンク102の湯と給水とを混合器107で混合して設定温度の湯を作ってガス給湯器120へ送り、ガス給湯器120は追加の加熱を行わずにそのまま給湯する。また、貯湯タンク102に蓄熱がない場合には、貯湯タンク102内にある設定温度より低い温度の湯または水をガス給湯器120に送り、ガス給湯器120で設定温度に加熱して給湯する。貯湯タンク102内の湯が設定温度よりわずかに低く、そのままガス給湯器120に送るとガス給湯器120を最小能力で作動させても給湯温度が設定温度を超えてしまう場合には、混合器107で貯湯タンク102からの湯に給水を混合して温度を意図的に下げた湯水をガス給湯器120に送り、ガス給湯器120で設定温度に加熱して給湯する、といったことが行われる。
【0008】
貯湯タンク内の湯水を殺菌するための再加熱制御では、ガス給湯器120の暖房用の熱交換器125を第2バーナ126で加熱しながら暖房ポンプ128を運転し、かつ排熱回収装置110の排熱回収ポンプ112を運転する。これにより、貯湯タンク102内の湯水が、貯湯タンク102の下部から熱回収配管(低温)114、排熱回収熱交換器111、熱回収配管(高温)115を経由して貯湯タンク102の上部に戻る経路を循環し、その途中の再加熱熱交換器141で暖房回路127側の熱を受けて高温に加熱され殺菌される。
【0009】
ところで、貯湯タンク内の水を昇温する際の熱源となる燃料電池は、ガス供給会社から供給されるガスから水素を取り出し、この水素と空気中の酸素とから発電する。発電に使用されるガスの量は給湯器などに比べて非常に少ない。また、燃料電池による発電は長時間継続されることが多い。
【0010】
一方、マイクロコンピュータを搭載した近年のガスメータは、安全のため、長時間一定流量のガスが流れ続けると、ガスを遮断する制御が組み込まれている。この制御は、一般に、長時間使用によるマイコンメータ遮断と呼ばれている。
【0011】
家庭用用途に用いられる発電出力が1Kw以下といった燃料電池ではガス消費量が少なく、発電出力を変化させてもガスメータ側では一定流量と判断されてしまう。そのため、他の器具によるガス使用のない状態で燃料電池の発電が長時間継続すると、発電量を変化させたとしても、マイコンメータ遮断が作動してしまう。マイコンメータ遮断が作動すると、燃料電池やバックアップ熱源機としてのガス給湯器のほか、ガスコンロなどの他のガス器具も運転できなくなり、使用者にとって不都合が大きい。また、ガスメータに対して所定の操作を行うことでマイコンメータ遮断から復帰可能であるが、一般の使用者はこの対応処置を知らないことが多い。さらに燃料電池においては、発電中にいきなり燃料ガスが来なくなると耐久性に良くない。
【0012】
そこで、燃料電池を熱源とする従来の貯湯システムでは、バックアップ熱源機として、暖房回路を備えたガス給湯器を使用し、この暖房回路用のバーナを燃焼させることで、ガス流量を大きく変化させてマイコンメータ遮断を回避する。具体的には、
図10に示す貯湯システム100では、ガス給湯器120において暖房用の熱交換器125をバーナ126で加熱しながら暖房ポンプ128を運転し、かつ排熱回収装置110の排熱回収ポンプ112を運転する。これにより、貯湯タンク102の水を再加熱熱交換器141で加熱するという動作においてガスを消費させ、マイコンメータ遮断を回避していた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従来の貯湯システムでは、殺菌やマイコンメータ遮断回避のためにガス給湯器の暖房機能を使用するので、バックアップ熱源機として暖房機能を備えたガス給湯器が必須になる。しかし、暖房機能を備えたガス給湯器はその機能のないガス給湯器よりも価格が高い。また、暖房機能を利用してマイコンメータ遮断回避や殺菌のための再加熱を行う構成では貯湯タンクユニット内に再加熱用の熱交換器が必要になり、さらにガス給湯器と貯湯タンクユニットとの間に暖房配管が必要になるため、システム全体がコストアップしてしまう。
【0015】
本発明は、上記の問題を解決しようとするものであり、バックアップ熱源機として暖房機能を有するガス給湯器を使用しなくても貯湯タンク内の殺菌やマイコンメータ遮断の回避動作等を行うことのできる貯湯システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
【0017】
[1]給水が供給される貯湯タンクと、
所定の熱源から回収した熱で前記貯湯タンク内の水を加熱する加熱装置と、
前記貯湯タンクからの湯水と給水とを設定された混合比で混合し、出側が接続配管を通じてバックアップ熱源機の給水口に接続された混合器と、
前記バックアップ熱源機による追加の加熱無しにもしくは前記バックアップ熱源機による加熱を足して前記バックアップ熱源機から設定温度の給湯が行われるように前記混合器の混合比を制御する制御部と、
前記バックアップ熱源機の給湯配管から分岐して前記貯湯タンクに至る分岐管と、
前記貯湯タンクから出て、前記接続配管の途中に合流する合流管と、
前記合流管に設けられて前記接続配管側に向けて送水する循環ポンプと、
を有する
ことを特徴とする貯湯システム。
【0018】
上記発明では、貯湯タンク内の湯水を、バックアップ熱源機を経由して循環させることができる。これにより、給湯することなく、バックアップ熱源機に通水でき、たとえば、マイコンメータ遮断の回避動作が可能になる。また、上記循環により接続配管の凍結を防止することもできる。なお、この貯湯システムは、貯湯タンクからの湯と給水とを混合器で混合したものをバックアップ熱源機に送り、給湯温度に対する不足分をバックアップ熱源機で加熱してバックアップ熱源機から給湯する方式(給湯予熱方式)を採用している。
【0019】
[2]前記所定の熱源は燃料電池であり、
前記バックアップ熱源機はガス給湯器であり、
前記制御部は、前記燃料電池による微量のガスの長期継続使用によりガスメータがガスの供給を遮断することの回避動作として、前記循環ポンプを作動させながら前記ガス給湯器を燃焼させる
ことを特徴とする[1]に記載の貯湯システム。
【0020】
上記発明では、燃料電池による微量のガスの長期継続使用によりガスメータがガスの供給を遮断することの回避動作として、貯湯タンクとガス給湯器とを経由する循環経路に湯水を循環させながらガス給湯器でガスを燃焼させる。
【0021】
[3]前記制御部は、前記接続配管の凍結を防止する凍結防止動作として、前記バックアップ熱源機による加熱あり、もしくは加熱なしで、前記循環ポンプを作動させる
ことを特徴とする[1]または[2]に記載の貯湯システム。
【0022】
[4]前記貯湯タンクから前記合流管、前記接続配管、前記バックアップ熱源機、前記給湯配管、前記分岐管を通じて前記貯湯タンクに戻る循環経路を、前記分岐管と前記合流管が前記貯湯タンクをバイパスして接続される迂回循環経路に切り替える経路変更部をさらに備え、
前記経路変更部は、前記回避動作では前記循環経路に、前記凍結防止動作では前記迂回循環経路に切り替える
ことを特徴とする[2]を引用する[3]に記載の貯湯システム。
【0023】
上記発明では、マイコンメータ遮断の回避動作では、貯湯タンクとバックアップ熱源機とを経由する循環経路に循環させ、配管の凍結防止動作では、上記循環経路を、貯湯タンクをバイパスさせた迂回循環経路に切り替えて循環させる。マイコンメータ遮断の回避動作では、2分程度の燃焼が必要なので、加熱した湯を貯湯タンクに戻すことで、燃焼による熱が有効利用される。一方、凍結防止動作では、バックアップ熱源機で加熱しないで循環させることもあるので、循環水を貯湯タンクに戻すと貯湯タンク内の湯の温度が低下する。また、凍結防止動作においてバックアップ熱源機で加熱を行う場合には、貯湯タンクを迂回させることで早期に配管内を昇温でき、凍結防止のための加熱量を少なく抑えることができる。
【0024】
[5]前記加熱装置は、前記熱源から熱回収するための熱交換器と、前記貯湯タンクから前記熱交換器の入側に至る往き熱回収配管と、前記熱交換器の出側から前記貯湯タンクに至る戻り熱回収配管と、前記貯湯タンクから前記往き熱回収配管、前記熱交換器、前記戻り熱回収配管を経由して前記貯湯タンクに戻る熱回収循環経路の湯水を循環させる熱回収ポンプとを有し、
前記分岐管は前記給湯配管から分岐して前記戻り熱回収配管に合流し、
前記合流管は前記往き熱回収配管から分岐して前記接続配管に合流し、
前記分岐管の合流箇所よりも前記貯湯タンク側の前記戻り熱回収配管と前記合流管の分岐箇所よりも前記貯湯タンク側の前記往き熱回収配管とを前記貯湯タンクをバイパスして接続するか否かを切り替える経路変更部を備え、
前記制御部は、前記貯湯タンク内の湯水を殺菌する際に、前記熱回収ポンプを作動させ、前記貯湯タンク内の湯水を前記熱回収循環経路に循環させながら前記熱交換器で加熱する再加熱処理を行う
ことを特徴とする[1]乃至[4]のいずれか1項に記載の貯湯システム。
【0025】
上記発明では、熱回収装置を利用して貯湯タンク内の滞留水を殺菌する。また、貯湯タンクから合流管、接続配管、バックアップ熱源機、給湯配管、分岐管を経由して貯湯タンクに戻る循環経路の一部に熱回収循環経路の一部が兼用される。なお、貯湯タンクをバイパスさせるか否かを切り替える経路変更部も兼用することができる。
【0026】
[6]前記分岐管から分岐した排水管と、
前記排水管を開閉する排水制御弁と
をさらに備え、
前記制御部は、前記再加熱処理中に、前記接続配管の凍結を防止する場合は、前記貯湯タンクからの湯水が出ず給水のみ出るように前記混合器を設定しかつ前記排水制御弁を開いて、給水が前記
混合器、前記接続配管、前記バックアップ熱源機、前記給湯配管、前記分岐管、前記排水管を経て外部へ流出するようにする
ことを特徴とする[5]に記載の貯湯システム。
【0027】
上記発明では、再加熱処理中は、給水を通水して配管の凍結防止動作が行われる。再加熱処理中に凍結防止を行っても、殺菌未完了の滞留水がバックアップ熱源機側へ流れることがないので、このとき給湯栓が開かれたとしても、衛生上問題のない給湯が行われる。
【0028】
[7]前記分岐管から分岐した排水管と、
前記排水管を開閉する排水制御弁と
をさらに備え、
前記貯湯タンクはその下部から給水が供給されるようにされており、
前記混合器には前記貯湯タンクの上部から湯が供給されるようにされており、
前記制御部は、前記貯湯タンクに水を張るもしくは水の入れ替えを行うときは、前記混合器を前記貯湯タンクからの湯が出るように設定しかつ前記排水制御弁を開いて前記貯湯タンク上部から前記
混合器、前記接続配管、前記バックアップ熱源機、前記給湯配管、前記分岐管、前記排水管を経て外部へ通じる経路を形成し、前記貯湯タンクにその下部から給水が供給されるようにする
ことを特徴とする[1]乃至[6]のいずれか1項に記載の貯湯システム。
【0029】
上記発明では、貯湯タンクからの湯水が出るように混合器を設定して排水制御弁を開くことで、貯湯タンク上部が排水管等を通じて外部に連通する。これにより、水張りの場合は、貯湯タンク内の空気の抜け道が確保され、貯湯タンクの下部から給水が流入する。水入れ替えの場合は、貯湯タンク内の湯水の排水経路が確保され、貯湯タンクの下部から給水が流入する。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係る貯湯システムによれば、バックアップ熱源機として暖房機能を有するガス給湯器を使用しなくてもマイコンメータ遮断の回避動作などを行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0033】
図1は、本発明の貯湯システムを適用した第1の実施の形態に係る風呂給湯システム10の構成を示している。風呂給湯システム10は、貯湯タンクユニット11と、熱源機4と、熱源機4の排熱を回収する排熱回収装置50と、バックアップ熱源機としての風呂給湯器70とを備えて構成される。なお、図中、装置間の配管や外部配管は2重の矢印で示してある。また、熱源機4として本例では燃料電池を使用する。
【0034】
貯湯タンクユニット11は、給水管12から供給される給水を蓄える貯湯タンク13を備えている。貯湯タンク13は中空略円柱状のタンクであり、下部には給水口14が設けてあり、上部には出湯口15が設けてある。さらに貯湯タンク13の下部には取水口16が、上部には戻り口17が設けてある。
【0035】
貯湯タンク13は、たとえば、容量100リットル程度を有し、底から20リットルの水位の箇所に、その箇所の水温を検出する第1温度センサ18aが、底から40リットルの水位の箇所に、その箇所の水温を検出する第2温度センサ18bが、底から60リットルの水位の箇所に、その箇所の水温を検出する第3温度センサ18cが、底から80リットルの水位の箇所に、その箇所の水温を検出する湯切れ温度センサ18dが、さらに貯湯タンク13内のほぼ最上部に、その箇所の水温を検出するタンク上部温度センサ18eがそれぞれ設けてある。
【0036】
排熱回収装置50は、熱源機4の内部などに設けられて熱源機4の排熱を回収する。排熱回収装置50は排熱回収熱交換器51と、排熱回収ポンプ52とを有する。貯湯タンク13と排熱回収装置50の排熱回収熱交換器51は、これらの間に貯湯タンク13の水を循環させる排熱回収循環経路が構成されるように熱回収配管53a、53bで接続されている。詳細には、貯湯タンク13の取水口16には熱回収配管(低温)53aの一端が接続され、排熱回収熱交換器51の入り側に熱回収配管(低温)53aの他端が接続されている。排熱回収ポンプ52は、排熱回収熱交換器51の入り側近傍の熱回収配管(低温)53aに介挿されており、排熱回収ポンプ52は熱回収配管(低温)53a内の水を貯湯タンク13の取水口16側から排熱回収熱交換器51の入り側に向けて送水する。
【0037】
排熱回収熱交換器51の出側には熱回収配管(高温)53bの一端が接続され、熱回収配管(高温)53bの他端は貯湯タンクユニット11内で第1三方弁21の第1接続口21aに接続されている。
【0038】
第1三方弁21は、前述の第1接続口21aと、第2接続口21bと第3接続口21cとを備え、第1接続口21aと第2接続口21bとを接続し第3接続口21cを閉鎖するA方向と、第1接続口21aと第3接続口21cとを接続し第2接続口21bを閉鎖するB方向とに接続状態を切り替え可能に構成されている。なお、第1三方弁21は第1接続口21aから流入する水の温度が所定温度以上ならばA方向となり、所定温度未満ならばB方向に切り替わるように制御部20により制御される。
【0039】
第1三方弁21の第2接続口21bは貯湯タンク13の戻り口17に配管されている。第1三方弁21の第3接続口21cにはバイパス管54の一端が接続され、バイパス管54の他端は貯湯タンクユニット11内で熱回収配管(低温)53aに合流している。
【0040】
第1三方弁21の第1接続口21a近傍の熱回収配管(高温)53bには熱回収配管高温側温度センサ22aが設けてあり、貯湯タンク13の取水口16からバイパス管54との合流箇所までの間の熱回収配管(低温)53aに熱回収配管低温側温度センサ22bが設けてある。
【0041】
貯湯タンクユニット11は、貯湯タンク13の出湯口15からの湯と、給水とを混合する混合器23を備えている。この混合器23は、実際には、貯湯タンク13の出湯口15からの湯の混合量を調整する第1混合器23aと、給水管12からの給水の混合量を調整する第2混合器23bとを有して構成される。
【0042】
第1混合器23aの入り側は貯湯タンク13の出湯口15に配管で接続されており、この配管の途中には、過圧逃がし弁24、吸気弁25、タンク出口温度センサ26が設けてある。第2混合器23bの入り側には給水管12が接続されている。
【0043】
第1混合器23aの出側と第2混合器23bの出側は合流して混合器23の出口に通じている。混合器23の出口には、風呂給湯器70の給水接続口へ通じる接続配管61が接続されている。混合器23の出側近傍の接続配管61には出湯温度センサ32およびハイカット温度センサ33が設けてある。
【0044】
貯湯タンクユニット11内部の給水管12には流量センサ34、給水温度センサ35、減圧弁36が設けられている。給水管12は、これらの下流で2つに分岐し、その一方は逆止弁37aを介して第2混合器23bの入り側に接続され、他方は逆止弁37bを介して貯湯タンク13の給水口14に接続されている。
【0045】
さらに貯湯タンク13の取水口16には所定の排水箇所に通じる排水管41が接続されており、排水管41の途中にはこの管路を開閉する排水栓42が設けてある。
【0046】
風呂給湯器70の給湯接続口には給湯栓などに通じる給湯配管62が接続されている。また、給湯配管62の途中で分岐した分岐管43は貯湯タンクユニット11に向けて配管され、貯湯タンクユニット11内部にて熱回収配管(高温)53bに合流している。貯湯タンクユニット11内部の分岐管43には、戻り配管温度センサ28および熱回収配管(高温)53b側からの逆流を防止する逆止弁44が設けてある。
【0047】
また、貯湯タンクユニット11の内部において熱回収配管(低温)53aから分岐し接続配管61に合流する合流管45が設けてある。合流管45の途中には、熱回収配管(低温)53aから接続配管61側へ送水する循環ポンプ46とポンプ電磁弁47を備えている。ポンプ電磁弁47は、合流管45を開閉する。ポンプ電磁弁47は接続配管61からの湯水が循環ポンプ46を逆流して取水口16から貯湯タンク13の下部に流入することを防止する。またポンプ電磁弁47は、後述する給湯動作の際に貯湯タンク13下部の水が取水口16から出て接続配管61および風呂給湯器70の給水接続口の方向へ流出することを防止する。
【0048】
また、貯湯タンクユニット11には、雰囲気温度(外気温度)を計測する雰囲気温度センサ49が設けてある。
【0049】
貯湯タンクユニット11は、当該貯湯タンクユニット11の動作を統括制御する制御部20を備えている。制御部20はCPU(Central Processing Unit)と、該CPUが実行するプログラムや固定データなどが記憶されたフラッシュROM(Read Only Memory)と、CPUがプログラムを実行する際に各種情報を一時記憶するRAM(Random Access Memory)、各種の信号を入出力するI/F(Interface)部などを主要部とする回路で構成されている。制御部20には、貯湯タンクユニット11の各種センサからの検出信号が入力されている。また制御部20からは各弁やその他の制御対象に対して制御信号が出力される。制御部20はさらに熱源機4や風呂給湯器70と各種の情報や指令を授受するようになっている。
【0050】
次に、バックアップ熱源機としての風呂給湯器70の構成例を説明する。風呂給湯器70は給水接続口から流入する水を加熱して出湯する機能、風呂(浴槽)2へ注湯(湯張り)する機能、風呂(浴槽)2内の湯水を追い焚きする機能などを備えたガス燃焼式の風呂給湯器である。
【0051】
図2に示すように、風呂給湯器70は、第1熱交換水管72aと第2熱交換水管72bとが通る一缶二水路型の熱交換器72と、この熱交換器72を加熱するバーナ73を備える。バーナ73にはガス供給管73aが接続され、このガス供給管73aの途中には、ガスの供給/遮断を切り替えるガス弁や供給ガス量を調整する比例弁などが設けてある。
【0052】
第1熱交換水管72aの入り側は入水管74により給水接続口に接続され、第1熱交換水管72aの出側は出湯管75により給湯接続口に接続されている。また、第2熱交換水管72bの入り側には風呂(浴槽)2へ通じる風呂戻り管76が、第2熱交換水管72bの出側には同じく風呂(浴槽)2へ通じる風呂往き管77がそれぞれ接続されている。
【0053】
出湯管75と風呂戻り管76とは、連結管78によって接続されており、該連結管78の途中には、連結管78の閉鎖/開通を切り替える注湯電磁弁79が設けてある。また、連結管78の接続箇所より上流側の出湯管75の途中には、略閉鎖状態から全開状態まで開度を調整可能な水量サーボ81が出湯水量を調整するために設けてある。水量サーボ81の下流側には、出湯温度を検出する出湯温度センサ82が設けてある。
【0054】
さらに、入水管74から分岐し、水量サーボ81より第1熱交換水管72a側の所定箇所で出湯管75に合流・接続されたバイパス管83を備え、このバイパス管83の途中に、略閉鎖から全開まで開度を調整可能なバイパス調整弁84を備えている。第1熱交換水管72aからの湯とバイパス管83を経由した水とを混合して設定温度の湯になるようにバイパス調整弁84が調整される。バイパス管83の分岐箇所より上流側の入水管74には、入水管74内の流量を検出する流量センサ85および入水温度を検知する入水温度センサ86が設けてある。
【0055】
風呂戻り管76の途中には、風呂(浴槽)2内の水を、追い焚き循環経路(風呂戻り管76、第2熱交換水管72b、風呂往き管77)を通じて循環させるための風呂循環ポンプ87が設けてある。風呂戻り管76に設けた流水スイッチ88は、風呂循環ポンプ87を作動させたとき、追い焚き循環経路に実際に水が循環しているか否かを検出する。
【0056】
このほか、風呂戻り管76および風呂往き管77には、それぞれ管内の温度を検出する風呂往き温度センサ89a、風呂戻り温度センサ89bが設けてある。
【0057】
制御部91は、CPUと、該CPUが実行するプログラムや固定データなどが記憶されたフラッシュROMと、CPUがプログラムを実行する際に各種情報を一時記憶するRAMなどを主要部とする回路で構成されている。制御部91には、風呂給湯器70が有する各種センサ、弁、風呂循環ポンプ87などが接続されている。
【0058】
さらに、通常は、制御部91に配線を介してリモコン92が直接接続されるが、ここでは、風呂給湯器70を貯湯タンクユニット11側の制御部20の制御下で動作させるために、制御部91を配線を介して制御部20に接続し、制御部20に配線を介してリモコン(貯湯タンクユニット11側と風呂給湯器70の共通のリモコン)92が接続されている。リモコン92は、給湯設定温度や風呂設定温度の指定、湯張り動作や追い焚き動作の開始・終了指示、電源のオン/オフなど各種の操作をユーザから受けるスイッチ類、および動作状態や設定温度などを表示する表示部などで構成される。
【0059】
風呂給湯器70の制御部91は、給湯配管62へ給湯する給湯動作では、貯湯タンクユニット11に接続される共通リモコン92で設定された給湯設定温度の湯が出湯されるようにバーナ73のON/OFFやその燃焼量、バイパス調整弁84の開度などを制御する。詳細には、貯湯タンクユニット11側から接続配管61を通じて供給される湯水の温度が給湯設定温度以上ならば、自装置のバーナ73を燃焼させることなくそのまま給湯配管62へ給湯する。貯湯タンクユニット11側から供給された湯水の温度が給湯設定温度未満ならば、給湯設定温度になるように自装置のバーナ73を燃焼させ、その燃焼量やバイパス調整弁84の開度を制御する。
【0060】
風呂(浴槽)2へ注湯(湯張り)する動作では、注湯電磁弁79を開けてバーナ73を燃焼させた状態で水量サーボ81の開度を調整することにより、給水接続口から流入する湯水が熱交換器72の第1熱交換水管72aを通って加熱され、さらに出湯管75から連結管78、風呂戻り管76および風呂往き管77の双方(もしくは一方)を通じて風呂(浴槽)2へ流れ込む(この経路を注湯回路とする)。この際、リモコン92でユーザが設定した風呂設定温度の湯が注湯されるようにバーナ73の燃焼量やバイパス調整弁84の開度などを制御する。なお、貯湯タンクユニット11側から接続配管61を通じて供給された湯が既に風呂設定温度に達しており風呂給湯器70で追加の加熱が不要な場合は、バーナ73を燃焼させずに注湯動作を行う。風呂給湯器70は風呂(浴槽)2内の水位をチェックし、設定水位に達すると注湯動作は終了する。
【0061】
追い焚き動作では、注湯電磁弁79を閉鎖し、風呂循環ポンプ87を作動させた状態でバーナ73を燃焼させる。これにより風呂(浴槽)2内の湯水が風呂戻り管76を通じて風呂給湯器70に取り込まれ熱交換器72の第2熱交換水管72bを通る間に加熱され、加熱後の湯水が風呂往き管77を通じて風呂(浴槽)2へ戻される。
【0062】
次に、風呂給湯システム10の各種動作について説明する。
【0063】
<排熱回収動作>
図3は、排熱回収動作における湯水の流れを表している。排熱回収動作において湯水の流れる経路を太線で示してある。熱源機4の排熱を回収して貯湯タンク13内の湯水を加熱する排熱回収動作では、制御部20は熱源機4に指示して排熱回収ポンプ52を作動させる。これにより、貯湯タンク13内の湯水は、取水口16から出て、熱回収配管(低温)53a、排熱回収熱交換器51、熱回収配管(高温)53b、A方向の第1三方弁21を経由して戻り口17から貯湯タンク13の上部に戻る熱回収循環経路を循環する。なお、排熱回収動作において、排熱回収装置50からの戻り温度が低いときは第1三方弁21は制御部20によりB方向にされ、戻り温度が一定以上になると第1三方弁21は制御部20によりA方向にされる。これにより、低温の水が貯湯タンク13の上部に戻されることが防止される。
【0064】
給水は貯湯タンク13の下部の給水口14から供給され、排熱回収動作で加熱された湯は貯湯タンク13の上部に戻されるので、貯湯タンク13内には下部が低温で上部が高温となるような温度勾配が形成される。そして排熱回収動作を続けることで上部に溜まる高温の湯量が次第に増加する。
【0065】
<給湯動作>
給湯は以下の(1)または(2)の制御モードで行われる。
【0066】
(1)燃焼オフモード
燃焼オフモードは、貯湯タンク13に十分蓄熱されている場合の給湯動作である。
図4は、給湯動作における湯水の流れを表している。図中、湯水の流れる経路を太線で示してある。燃焼オフモードでは、混合器23で貯湯タンク13からの湯と給水とを混合して給湯設定温度+α℃(α℃は接続配管61での温度低下分を考慮した温度で、たとえば、2℃)の湯を作り、接続配管61を通じて風呂給湯器70へ供給する。風呂給湯器70は、給湯設定温度の湯が供給されたので自装置での追加の加熱は行わず、バーナ73をオフにし、貯湯タンクユニット11側から供給された湯をそのまま給湯配管62へ給湯する。
【0067】
(2)追い加熱モード
貯湯タンク13内の蓄熱量が不足して上記燃焼オフモードで給湯設定温度の湯を給湯できない場合の給湯動作であり、風呂給湯器70で追加の加熱が行われる。追い加熱モードの給湯動作における湯水の流れは
図4と同様である。ただし、風呂給湯器70は燃焼オンになる。
【0068】
詳細には、貯湯タンク13内の湯が給湯設定温度よりわずかに低く、そのまま風呂給湯器70に送ると風呂給湯器70を最小能力で作動させても給湯温度が給湯設定温度を超えてしまう場合は、混合器23で貯湯タンク13からの湯に給水を混合して温度を意図的に下げた湯水を風呂給湯器70に送り、風呂給湯器70で給湯設定温度に加熱して給湯する。貯湯タンク13内の湯の温度が給湯設定温度より十分低く、上記の意図的な温度低下が不要な場合は、貯湯タンク13内にある給湯設定温度より低い温度の湯(または水)を風呂給湯器70に送り、風呂給湯器70で給湯設定温度に加熱して給湯する。
【0069】
<タンク滞留水再加熱処理>
タンク滞留水再加熱処理は、貯湯タンク13に滞留している湯水(タンク滞留水)を再加熱して殺菌する動作である。制御部20は、貯湯タンク13内の湯水が長期間使用されずに滞留していると判断した場合に、タンク滞留水再加熱処理を行う。タンク滞留水再加熱処理における湯水の流れは、
図3に示す排熱回収動作と同一である。
【0070】
貯湯タンク13に設けた温度センサ18a〜18eおよび熱回収配管低温側温度センサ22bがすべて60℃程度以上を検知したら、貯湯タンク13全体が60℃程度以上に加熱されたと判断し、タンク滞留水再加熱処理を終了する。なお、殺菌の基準温度として60℃程度を例示したが、これに限定されるものではなく、殺菌に必要な温度にすればよい。また、タンク滞留水再加熱処理を終了させるタイミングは上記に限定されず、たとえば、全体が60℃程度(殺菌に必要な温度)に達してから所定時間(たとえば、15分)経過したときにタンク滞留水再加熱処理を終了させるような制御でもよい。
【0071】
<マイコンメータ遮断回避動作>
マイコンメータ遮断回避動作では、制御部20は、第1三方弁21をA方向に設定し、ポンプ電磁弁47を開き、循環ポンプ46を運転する。また、制御部20は風呂給湯器70に対して、バーナ73の燃焼が行われる給湯温度を指示する。たとえば、貯湯タンク13の上部に溜めるべき湯の温度(たとえば、60℃)での給湯を指示する。
【0072】
図5は、マイコンメータ遮断の回避動作における湯水の流れを表している。第1三方弁21をA方向に設定し、ポンプ電磁弁47を開き、循環ポンプ46を運転することで、貯湯タンク13の下部の取水口16から、熱回収配管(低温)53a、合流管45、接続配管61、風呂給湯器70、給湯配管62、分岐管43、熱回収配管(高温)53bを経由して戻り口17から貯湯タンク13の上部へ戻る循環経路に湯水が循環する。この循環により風呂給湯器70に通水が生じると、この通水を検出した風呂給湯器70は制御部20から指示された温度で給湯されるようにバーナ73を燃焼させる。
【0073】
風呂給湯器70の給湯燃焼運転によりガスを消費するため、ガスメータ側にガス流量が変化したと判断させることができ、マイコンメータ遮断を回避することができる。ガスメータにガス流量変動を判断させるためには、風呂給湯器70による上記給湯燃焼運転を2分間程度継続すればよい。
【0074】
マイコンメータ遮断の回避動作は、マイコンメータ遮断がもうすぐ生じることを検知した際に行われる。たとえば、燃料電池の発電運転が一定時間以上継続した場合に行われる。あるいは、燃料電池の発電運転が一定時間以上継続した場合であってその間に制御部20の制御下にある他の用途(例えば風呂給湯器70の追焚き用途使用や、風呂給湯器70の代わりに給湯暖房機が設けられていた場合の暖房用途使用)でガスが使用されていない場合に行われる。なお、ガスコンロやガスストーブ等が使用されてもマイコンメータ遮断回避動作相当となるが、それらは制御部20の制御下にないため、制御部20ではそれらのガス器具の使用は認識できない。マイコンメータ遮断の回避動作を行うタイミングの判断は、貯湯タンクユニット11が行ってもよいし、燃料電池が行ってもよい。前者の場合、貯湯タンクユニット11は発電運転中を示す信号を燃料電池から受け取り、この信号の継続時間や自装置での燃焼有無などからマイコンメータ遮断の回避動作を開始すべきタイミングを判断する。後者の場合には貯湯タンクユニット11は、燃料電池からマイコンメータ遮断の回避動作の実行要求を受けたときにマイコンメータ遮断の回避動作を実行すればよい。
【0075】
マイコンメータ遮断の回避動作では、2分程度の燃焼が必要なので、加熱した湯を貯湯タンク13に戻すことで、マイコンメータ遮断のために風呂給湯器70を燃焼させた熱が有効利用される。
【0076】
<凍結防止動作>
接続配管61や分岐管43は、屋外に配管される場合が多く、寒冷地では凍結の恐れがあるため、以下の凍結防止動作を行う。
【0077】
貯湯タンクユニット11の雰囲気温度センサ49が凍結の可能性のある温度を検知した場合、もしくは雰囲気温度センサ49の検出温度から接続配管61や給湯配管62から分岐した分岐管43の屋外配管部分が凍結する恐れがあると判断した場合、貯湯タンクユニット11の制御部20は、第1三方弁21をB方向にし、ポンプ電磁弁47を開き、循環ポンプ46を作動させる。
図6は、凍結防止動作における水の流れを太線で表している。風呂給湯器70から、分岐管43の分岐箇所までの給湯配管62、分岐管43、分岐管43の合流箇所から第1接続口21aまでの熱回収配管(高温)53b、B方向の第1三方弁21、バイパス管54、バイパス管54の合流箇所から合流管45の分岐箇所までの熱回収配管(低温)53a、合流管45、合流管45の合流箇所から風呂給湯器70までの接続配管61を経て風呂給湯器70に戻る循環経路(迂回循環経路とする)内で水が循環し、凍結が防止される。
【0078】
また、上記循環のみでは凍結防止に不十分な場合には、迂回循環経路を循環する水を風呂給湯器70で加熱する。循環ポンプ46の運転/停止のインターバル、風呂給湯器70の燃焼の有無は、雰囲気温度センサ49の検出温度に基づいて決定する。また、風呂給湯器70の燃焼ありの場合は、戻り配管温度センサ28の検出の温度により燃焼をON/OFF制御する。なお、風呂給湯器70で循環する水の温度を上げる場合には、排熱回収熱交換器51での熱回収を阻害しないよう、循環する湯水の温度を、凍結を防止可能な範囲で低く設定する。
【0079】
凍結防止動作では、貯湯タンク13をバイパスさせた迂回循環経路に設定して湯水を循環させるので、風呂給湯器70を燃焼させない凍結防止動作のために貯湯タンク13内の湯水の温度が低下することはない。また、貯湯タンク13をバイパスさせると貯湯タンク13を経由する場合に比べて循環する総水量が少なくなるので、風呂給湯器70で加熱する凍結防止動作では、短時間で配管全体を昇温することができ、凍結防止のための加熱量を少なく抑えることができる。
【0080】
なお、風呂給湯器70内に雰囲気温度を検出する温度センサが設けてある場合には、雰囲気温度センサ49に代えてそのセンサを上記凍結防止動作の制御に利用してもよい。
【0081】
このような凍結防止動作によって、接続配管61や屋外部分の分岐管43などの凍結を防止するので、寒冷地の屋外配管時でも、施工時に接続配管61等にヒータを巻くなどの措置が必要なくなる。
【0082】
以上のように、本発明の第1の実施の形態に係る風呂給湯システム10では、マイコンメータ遮断の回避動作やタンク滞留水再加熱処理を、暖房回路を使用することなく行うことができるので、バックアップ熱源機として暖房機能のないガス給湯器を使用することができる。暖房機能のないガス給湯器は、暖房機能を有するガス給湯器に比べて価格が安く、また貯湯タンクユニット11内に再加熱熱交換器が必要なく、さらに風呂給湯器70と貯湯タンクユニット11の間に暖房配管が必要ないなど装置構成が簡略化され、システム全体のコストを低減することができる。
【0083】
また、分岐管43を熱回収配管(低温)53aに合流させ、合流管45を熱回収配管(高温)53bから分岐するようにして、熱回収循環経路を構成する熱回収配管53a、53bの一部が、マイコンメータ遮断の回避動作や凍結防止動作で湯水の循環する経路の一部を兼用するようにしたので、貯湯タンク13に設ける湯水の出入り口を少なくすることができる。また、第1三方弁21を、マイコンメータ遮断の回避動作時と凍結防止動作時とで循環経路を切り替える役割と、排熱回収動作時の戻り温度によって経路を切り替える役割とに兼用することができ、装置構成が簡略化される。
【0084】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0085】
第2の実施の形態に係る風呂給湯システム10Bは、第1の実施の形態に係る風呂給湯システム10における以下の課題に対応したものである。
【0086】
(1)タンク滞留水再加熱処理中に凍結防止動作が必要となった場合の課題
第1の実施の形態に係る風呂給湯システム10において
図3の太線で示すような熱回収循環経路でタンク滞留水再加熱処理を行う場合、たとえば、発電能力1Kw以下程度の燃料電池では、貯湯タンク13内のタンク滞留水を全量60℃程度以上に加熱するには5〜6時間以上必要になるが、寒冷地では、この間にも屋外配管の凍結防止が必要になることがある。
【0087】
再加熱処理中に、
図6の太線で示す迂回循環経路に切り替えて凍結防止動作を行った場合、熱回収配管(低温)53aや熱回収配管(高温)53b内にあった殺菌の完了していないタンク滞留水が風呂給湯器70側に循環してしまい、その間(または凍結防止動作の終了後)に給湯があると、タンク滞留水が給湯されてしまうことになり、衛生上好ましくない。
【0088】
(2)使用者、施工者、修理業者などによる貯湯タンク13への水張りに関する課題
使用者、施工者、修理作業者などが空の貯湯タンク13に水張りを行いたい場合、第1の実施の形態に係る風呂給湯システム10の構成では、過圧逃し弁24を手動で開くなどしてエアの抜け口を確保した上で給水側のバルブを開けて水張りを行う必要がある。また水張り完了後、過圧逃し弁24を手動で閉じる必要があり、不便である。
【0089】
(3)使用者、施工者、修理業者などによる貯湯タンク13内の水の入れ替えに関する課題
使用者、施工者、修理作業者などが貯湯タンク13内の水の入れ替えを行いたい場合、第1の実施の形態に係る風呂給湯システム10の構成では、給水側のバルブを閉め、排水栓42を開けることにより、一旦、貯湯タンク13内の水を全て抜いた後、排水栓42を閉め、給水側のバルブを開けることにより、水張りを行わなければならない。つまり、給水口14と取水口16とが共に貯湯タンク13の下部にあるので、水抜きと水張りを同時に行うことはできず、タンク水の入れ替えに時間がかかってしまう。
【0090】
図7は、上記(1)〜(3)の課題に対応させた本発明の第2の実施の形態に係る風呂給湯システム10Bの構成を示している。
図1に示す風呂給湯システム10との相違点は、貯湯タンクユニット11B内に、逆止弁44の上流側で分岐管43から分岐し排水栓42の下流側で排水管41に合流する排水案内管65を設けると共に、この排水案内管65の途中に、排水案内管65を開閉する排水電磁弁66と、排水口からの逆流を防止するための逆止弁67とを設けた点である。逆止弁67は、階下給湯時に給湯配管ラインが負圧になることがあるので、排水電磁弁66から空気を吸い込まないように作用する。
【0091】
<課題(1)への対応;排水による凍結防止動作>
第2の実施の形態に係る風呂給湯システム10Bは、タンク滞留水再加熱処理の途中で凍結防止が必要になったときは、混合器23の第1混合器23aを全閉、第2混合器23bを全開、排水電磁弁66を開き、一定時間、排水を行って凍結を防止する。
図8は、排水により凍結防止を行う場合の排水経路を示している。図中、太線は凍結防止用の排水経路を、太破線はタンク滞留水再加熱処理に係る湯水の循環経路を示している。
【0092】
また、排水のみでは凍結防止に不十分な場合には、風呂給湯器70で加熱する。貯湯タンクユニット11B内の雰囲気温度センサ49の検出温度に基づいて風呂給湯器70の燃焼有無を決定する。また、風呂給湯器70の燃焼ありの場合は、戻り配管温度センサ28の検出の温度により燃焼をON/OFF制御する。なお、風呂給湯器70内に雰囲気温度を検出する温度センサが設けてある場合には、雰囲気温度センサ49に代えてそのセンサを上記凍結防止動作の制御に利用してもよい。
【0093】
また、貯湯タンクユニット11B内と風呂給湯器70内はヒータにより凍結を予防している。接続配管61内の保有水量を保有水量Aとし、風呂給湯器70内の保有水量を保有水量Bとし、給湯配管62のうちの風呂給湯器70から分岐管43との分岐点までの間の保有水量と分岐管43内の保有水量とを合わせたものを保有水量Cとした時に、保有水量B>保有水量A≧保有水量Cの時には、保有水量Aを基準保有水量として予め求めておき、保有水量B>保有水量C≧保有水量Aの時には、保有水量Cを基準保有水量として予め求めておき、また、前記条件を満たさない場合には、保有水量Aと保有水量Bと保有水量Cの合計保有水量を基準保有水量として予め求めておき、排水開始からの排水量がその予め求めた基準保有水量を超えたとき、排水による凍結防止動作を終了する。排水量は流量センサ34によって計測する。
【0094】
なお、前記条件を考慮せず、保有水量Aと保有水量Bと保有水量Cの合計保有水量を排水量としても良い。例えば保有水量Bは1リットル固定で記憶し、保有水量Aと保有水量Cは、指定の配管径と配管長(保有水量A、Cに相当する配管長)とから計算で求める。この計算のための配管長は工事業者がディップスイッチ等に設定する。工事業者は、上記計算のための配管長として、貯湯タンクユニット11Bと風呂給湯器70との間の距離相当の値をディプスイッチに設定すればよい。なお、ディップスイッチの工場出荷時の初期値は、工事業者による設定忘れ等を考慮して、最大配管可能距離(たとえば16m)にしておくとよい。
【0095】
上記の排水による凍結防止動作では、接続配管61や風呂給湯器70に給水が送られるので、排水による凍結防止動作中に使用者が給湯栓を開いてお湯を使用しても、給湯の衛生が確保される。これにより、タンク滞留水再加熱処理中であっても、接続配管61等の凍結防止を実施することができ、寒冷地の屋外配管時でも、施工時に接続配管61や分岐管43の屋外部分にヒータを巻くなどの措置が必要なくなる。
【0096】
<課題(2)への対応:水張り動作>
第2の実施の形態に係る風呂給湯システム10Bは、使用者、施工者、修理作業者などによる貯湯タンク13への水張りの際に、排水電磁弁66を開いて空気抜きを行う。
【0097】
詳細には、使用者、施工者、修理作業者は貯湯タンク13の水張りを行う場合、給水バルブを開にした後、共通リモコン92から水張りを指示する、あるいは図示省略の基板上の水張りスイッチをONにして水張りを指示する。制御部20は、水張りの指示を受けると、混合器23の第1混合器23a、第2混合器23bをそれぞれ全開し、排水電磁弁66およびポンプ電磁弁47を開き、第1三方弁21を自動的に切り替えることにより、貯湯タンク13や各配管中の空気を、排水電磁弁66を通じて外部へ抜きながら、水張りを行う。第1三方弁21を適宜に切り替えることで、すべての配管内に水が満たされるようにする。
【0098】
水張り量は流量センサ34により計測し、計測された水量から、貯湯タンク13および各配管への水張りが完了したことを確認できたとき、排水電磁弁66を閉じて、水張り動作を終了する。
【0099】
<課題(3)への対応:水入れ替え動作>
使用者、施工者、修理作業者などは貯湯タンク13の水入れ替えを行いたいときは、共通リモコン92に設けたタンク水入れ替えボタンや、基板上のスイッチ操作により、タンクの水入れ替えを指示する。制御部20は、水入れ替えの指示を受けると、排水電磁弁66を開とし、第1混合器23aと第2混合器23bの開度を給湯温度が40℃程度以下に下がるように制御して、排水させる。
【0100】
図9は、上記水入れ替え動作における通水経路を太線で示している。水入れ替えでは、排水電磁弁66を開くと、給水管12から貯湯タンク13下部の給水口14を通じて貯湯タンク13内へ新たな給水が流れ込み、これに応じて貯湯タンク13内の湯水がタンク上部の出湯口15から流出し、混合器23、接続配管61、風呂給湯器70、給水管12の一部、分岐管43、排水案内管65、排水管41を通じて外部に排水される。
【0101】
制御部20は、水入れ替え開始から、貯湯タンク13の容量に上記排水経路に係る配管内の容量を加えた量を十分排出できる流量を流量センサ34で検知したとき、排水電磁弁66を閉じて、水入れ替え動作を終了する。
【0102】
このように、使用者、施工者、修理作業者などがタンク水の入れ替えを行いたい場合、共通リモコン92や基板のスイッチ操作を行うのみで自動的に水抜きと水張りを同時に行うことができ、タンク水の入れ替えを短時間かつ容易に行うことができる。
【0103】
以上のように、本発明の第2の実施の形態に係る風呂給湯システム10Bでは、上記(1)〜(3)の課題に対応することができ、第1の実施の形態に比べて、使い勝手がよく、また安全性を高めることができる。
【0104】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施の形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0105】
実施の形態では、分岐管43を熱回収配管(低温)53aに合流させ、合流管45を熱回収配管(高温)53bから分岐するようにし、マイコンメータ遮断の回避動作や凍結防止動作で湯水の循環する経路の一部が排熱回収用の熱回収配管53a、53bの一部を兼用した経路としたが、排熱回収用の経路とは独立の経路としてもよい。たとえば、分岐管43の終端を貯湯タンク13の上部の接続口に接続し、合流管45の始端を貯湯タンク13の下部の接続口に接続する独立構成としてもよい。
【0106】
この独立構成の場合にも課題(1)〜(3)は存在する。たとえば、課題(1)について見ると、タンク滞留水再加熱処理が終了するまでは、貯湯タンク13内の湯水は完全に殺菌された状態に無いので、タンク滞留水再加熱処理中に凍結防止動作を行うと、貯湯タンク13内の未殺菌のタンク滞留水が接続配管61や風呂給湯器70側に至り、このとき給湯があると、衛生上好ましくない。
【0107】
上記独立構成の場合にも、上記(1)から(3)の課題は、第2の実施の形態と同様の排水経路で排水すれば解決される。
【0108】
上記独立構成の場合、さらに、貯湯タンク13を経由するか、バイパスさせて分岐管43と合流管45とを接続するかを切り替える三方弁などを設け、マイコンメータ遮断の回避動作は非バイパス状態で湯水を循環させ、凍結防止動作はバイパス状態で湯水を循環させるように構成してもよい。なお、独立構成においても、マイコンメータ遮断の回避動作や凍結防止動作での風呂給湯器70の燃焼制御は、第1の実施の形態と同様でよい。
【0109】
本発明の貯湯システムは、風呂給湯システム10(10B)のうちの貯湯タンクユニット11(または11B)を備えれば、排熱回収装置50や風呂給湯器70、熱源機4は含まれても含まれなくてもよく、たとえば、排熱回収装置50は熱源機4に含まれる構成でもよいし、風呂給湯器70は既存のものを使用してもよい。
【0110】
なお、実施の形態の風呂給湯器70では、入水温度を検出する入水温度センサ86を備える構成を示したが、入水温度センサ86を設けずに入水温度を演算で推定するようにしてもよい。すなわち、前回出湯温度安定時に測定された出湯温度To、流量W、ガス量(加熱量)Qと、このときの効率ηとから、入水温度Tiの推定値を、Ti=To−(ηQ/W)、などの演算で逆算して求めるようにしてもよい。なお、効率ηは、出湯温度と流量とを様々に変化させてそれぞれの条件での値(効率η)を予め測定して記憶しておく。そして、演算時は、この記憶を参照して、その演算に代入する出湯温度および流量に対応する効率ηを取得し、使用すればよい。
【0111】
実施の形態では、燃料電池の排熱を回収して貯湯タンク13内の水を加熱したが、熱源は燃料電池に限定されず、たとえば、ガスエンジン発電機、燃料処理装置(改質器)等でもよい。
【0112】
なお、実施の形態では、風呂給湯器70を一缶二水路型としたが風呂の追い焚きと給湯とを別々の熱交換器で行うタイプの給湯器であってもかまわない。