特許第5938211号(P5938211)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5938211
(24)【登録日】2016年5月20日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】医療情報検索装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/22 20120101AFI20160609BHJP
【FI】
   G06Q50/22
【請求項の数】7
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2011-287013(P2011-287013)
(22)【出願日】2011年12月27日
(65)【公開番号】特開2013-137585(P2013-137585A)
(43)【公開日】2013年7月11日
【審査請求日】2014年11月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】東芝メディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111121
【弁理士】
【氏名又は名称】原 拓実
(72)【発明者】
【氏名】吉田 昌史
(72)【発明者】
【氏名】杉山 真哉
【審査官】 佐藤 裕子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−238199(JP,A)
【文献】 特開2007−193626(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−50/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の医療施設の医療情報検索装置から供給された医療情報の保存場所を問い合わせる検索要求情報を第3の医療施設の医療情報検索装置へ送信し、前記検索要求情報に基づいて前記第3の医療施設の医療情報検索装置あるいはこの第3の医療施設の医療情報検索装置と連携した他の医療施設の医療情報検索装置において検索され前記第3の医療施設の医療情報検索装置から供給された前記保管場所に関する登録情報を前記第1の医療施設の医療情報検索装置へ送信する第2の医療施設の医療情報検索装置において、
前記第1の医療施設の医療情報検索装置から供給された患者情報と診療科目情報とを含む検索要求情報付帯情報と、検索要求情報を受信する検索要求情報受信手段と、
前記検索要求情報の送信が必要と判定された前記第3の医療施設の医療情報検索装置に対し前記検索要求情報を送信する検索要求情報送信手段と、
前記第3の医療施設の医療情報検索装置から供給された前記検索要求情報に対応する登録情報の検索結果を受信する検索結果受信手段と、
自施設において収集された医療情報の保存場所に関する登録情報を保管する登録情報保管手段と、
前記登録情報保管手段に保管されている登録情報の中から前記検索要求情報に対応する登録情報を検索する登録情報検索手段と、
前記検索結果受信手段によって受信された前記検索結果及び前記登録情報検索手段から供給された検索結果を前記第1の医療施設の医療情報検索装置へ送信する検索結果送信手段と
を備えたことを特徴とする医療情報検索装置。
【請求項2】
前記検索要求情報受信手段が、前記検索要求情報と共に前記第1の医療施設の医療情報検索装置から受信した検索要求情報付帯情報に基づいて前記第3の医療施設の医療情報検索装置に対する検索要求情報送信の要否を判定する検索要求情報送信要否判定手段を備え、前記検索要求情報送信手段は、前記検索要求情報送信によって必要と判定された検索要求情報を前記第3の医療施設の医療情報検索装置に対して送信することを特徴とする請求項1記載の医療情報検索装置。
【請求項3】
前記検索要求情報付帯情報及び前記検索結果付帯情報の少なくとも何れかに基づいて接続先情報を収集する接続先情報収集手段と、この接続先情報に基づいて接続先一覧データを生成あるいは更新する接続先一覧データ生成手段を備え、前記検索要求情報送信要否判定手段は、前記接続先一覧データと前記検索要求情報付帯情報に基づいて前記第3の医療施設の医療情報検索装置に対する検索要求情報送信の要否を判定することを特徴とする請求項2に記載した医療情報検索装置。
【請求項4】
前記接続先一覧データ生成手段は、接続先情報収集手段によって収集された前記検索要求情報付帯情報あるいは前記検索結果付帯情報の少なくとも何れかに示されている患者情報、前記検索要求情報が入力された医療施設の診療科目情報、あるいは、前記検索要求情報や前記検索結果が経由した医療施設の診療科目及び接続距離に関する医療施設情報の少なくとも何れかに基づいて前記接続先一覧データの生成あるいは更新を行なうことを特徴とする請求項3記載の医療情報検索装置。
【請求項5】
予め生成された接続先一覧データを保管するデータ記憶手段を備え、前記検索要求情報送信要否判定手段は、前記データ記憶手段から読み出した前記接続先一覧データと前記検索要求情報付帯情報に基づいて前記第3の医療施設の医療情報検索装置に対する検索要求情報送信の要否を判定することを特徴とする請求項3記載の医療情報検索装置。
【請求項6】
検索結果収集状況評価手段を備え、前記検索結果収集状況評価手段は、前記検索要求情報送信要否判定手段から供給される検索要求情報送信件数及び前記検索要否判定手段から供給される検索件数と前記検索結果送信手段によって送信される検索結果の送信件数に基づいて前記検索要求情報に対する検索結果の収集状況を評価することを特徴とする請求項2記載の医療情報検索装置。
【請求項7】
予め収集された検索結果に対し所定の処理を行なうことによってキャッシュを作成するキャッシュ作成手段と、作成されたキャッシュを保存するキャッシュ記憶手段と、このキャッシュ記憶手段に保存されているキャッシュの中から前記検索要求情報に対応したキャッシュを検索するキャッシュ検索手段を備え、前記検索要求情報に対応したキャッシュが前記キャッシュ検索手段によって検索された場合、前記検索結果送信手段は、検索された前記キャッシュを前記第1の医療施設の医療情報検索装置へ送信することを特徴とする請求項1記載の医療情報検索装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ネットワーク等を介して接続された他の医療施設に保管された医療情報の有無等を検索することが可能な医療情報検索装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医用画像診断は、コンピュータ技術の発展に伴って実用化されたX線CT装置やMRI装置等により急速な進歩を遂げ、今日の医療において必要不可欠なものとなっている。特に、近年のX線CT装置やMRI装置の実用化は、悪性腫瘍等の早期発見を可能とし、治療方針や治療方法の決定に大きく貢献している。
【0003】
一方、患者は、自己の都合で上述のような高い診断能を有する医用診断装置を備えた異なる複数の医療施設において所望の検査を受ける場合が高頻度で発生し、上記医療施設の各々には、当該患者から得られた多くの医療情報が保管される。
【0004】
このような複数の医療施設に散らばって存在する医療情報を、ネットワーク等を介して収集することにより当該患者に対する診断精度と診断効率の向上を可能とする、所謂、医療情報連携システムの構築が検討され、特に、中核病院を拠点とする地域医療連携システムは、急性疾患から慢性疾患までの広い診断領域において拡大しつつある。
【0005】
今日一般に用いられている医療情報連携システムの多くは、自施設において収集された医療情報を保管するローカルリポジトリ(Local Document Repository)を備えた診療所等の比較的小さな複数の医療施設と、これらの医療施設において収集された医療情報の保管場所を登録するセンターレジストリ(Center Document Registry)を備えた中核病院とを、ネットワークを介して接続することによって形成されている。
【0006】
即ち、IHE−XDS(Integrating the Healthcare Enterprise−Cross-Enterprise Document Sharing)をベースとする従来の医療情報連携システムでは、図14に示すように、自施設において収集された医療情報を保管するローカルリポジトリ及び他の医療施設において収集された医療情報の保管場所に関する登録情報や前記医療情報の要求を行なう入出力部を備えた診療所A及び診療所Bを含む複数の医療施設と、これらの医療施設において収集された医療情報の保管場所に関する上述の登録情報を一括して保管するセンターレジストリを備えた中核病院Hとがネットワークによって接続されている。
【0007】
そして、例えば、当該患者の診断を行なう診療所Bの医療従事者は、他の医療施設に保管されている前記診断に有効な医療情報の保管場所に関する登録情報を中核病院Hに対して要求し、この要求信号を受信した中核病院Hは、自己のセンターレジストリに保管されている各種登録情報の中から前記要求信号に対応する登録情報を検索して診療所Bへ供給する。次いで、診療所Bの医療従事者は、中核病院Hから供給された登録情報に基づいて、例えば、診療所Aを直接アクセスし、この診療所Aのローカルレポジトリに保管されている所望の医療情報を取得する。このような医療情報連携システムにより、異なる複数の医療施設において収集された当該患者の医療情報を容易に収集することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−39930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
医療情報連携システムにより、当該患者の診断に有効な医療情報を容易かつ短時間で収集することができるため診断精度と診断効率を大幅に向上させることができる。
【0010】
しかしながら、上述した従来の医療情報連携システムでは、医療施設の各々において収集された医療情報の保管場所に関する情報は中核病院等の特定医療施設に設けられたセンターレジストリにおいて一括保管されるため、新たな医療施設が当該医療情報連携システムに参画する場合を考慮して、大きな記憶容量を備えた高性能のセンターレジストリを初期の段階から用意しなくてはならなかった。又、センターレジストリが設置された特定医療施設では、センターレジストリの導入やバージョンアップ等に要する費用の負担、センターレジストリ設置場所の確保、保守管理会社との交渉等が必要となり、ローカルレポジトリのみを有する他の医療施設との間に不平等が発生するという問題点を有していた。
【0011】
本開示は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、他の医療施設に保管されている所望医療情報の有無や保管場所等を検索する際、複数の医療施設の各々が有する比較的小規模なレジストリ(以下では、カスケードレジストリと呼ぶ)を、ネットワーク等を介して接続することにより大規模なレジストリが中核病院等に配置された従来の医療情報連携システムと同等の機能を有し拡張性に優れた医療情報連携システムを容易に構築することが可能な医療情報検索装置及び制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本開示の医療情報検索装置は、第1の医療施設の医療情報検索装置から供給された医療情報の保存場所を問い合わせる検索要求情報を第3の医療施設の医療情報検索装置へ送信し、前記検索要求情報に基づいて前記第3の医療施設の医療情報検索装置あるいはこの第3の医療施設の医療情報検索装置と連携した他の医療施設の医療情報検索装置において検索され前記第3の医療施設の医療情報検索装置から供給された前記保管場所に関する登録情報を前記第1の医療施設の医療情報検索装置へ送信する第2の医療施設の医療情報検索装置において、前記第1の医療施設の医療情報検索装置から供給された患者情報と診療科目情報とを含む検索要求情報付帯情報と、検索要求情報を受信する検索要求情報受信手段と、前記検索要求情報の送信が必要と判定された前記第3の医療施設の医療情報検索装置に対し前記検索要求情報を送信する検索要求情報送信手段と、前記第3の医療施設の医療情報検索装置から供給された前記検索要求情報に対応する登録情報の検索結果を受信する検索結果受信手段と、自施設において収集された医療情報の保存場所に関する登録情報を保管する登録情報保管手段と、前記登録情報保管手段に保管されている登録情報の中から前記検索要求情報に対応する登録情報を検索する登録情報検索手段と、前記検索結果受信手段によって受信された前記検索結果及び前記登録情報検索手段から供給された検索結果を前記第1の医療施設の医療情報検索装置へ送信する検索結果送信手段とを備えたことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態の医療情報検索装置が用いられる医療情報連携システムを説明するための図。
図2】本実施形態の医療情報連携システムにおける検索要求情報及び検索結果の送受信方向を示す図。
図3】本実施形態における医療情報検索装置の全体構成を示すブロック図。
図4】本実施形態における検索要求情報とその付帯情報を説明するための図。
図5】本実施形態の接続先一覧データ生成部に保管されている更新前及び更新後の接続先一覧データを示す図。
図6】本実施形態の検索要求情報付帯情報更新部における更新前及び更新後の検索要求情報付帯情報を示す図。
図7】本実施形態の検索結果付帯情報更新部における更新前及び更新後の検索結果付帯情報を示す図。
図8】本実施形態の医療情報連携システムにおける検索要求情報及び検索結果の他の送受信方向を示す図。
図9】本実施形態における類似診療科目一覧データの具体例を示す図。
図10】本実施形態における接続先一覧データの他の具体例を示す図。
図11】本実施形態における検索要求情報の送信手順を示すフローチャート。
図12】本実施形態における検索結果の送信手順を示すフローチャート。
図13】本実施形態の変形例における医療情報検索装置を説明するための図。
図14】従来の医療情報連携システムを説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本開示の実施形態を説明する。
【0015】
図1は、本実施形態の医療情報検索装置を用いて形成された医療情報連携システムの初期構成(図1(a))と中核病院Hを中心として拡張された医療情報連携システムの具体例を示したものであり、初期の医療情報連携システムは、例えば図1(a)に示すように、自施設あるいは他の医療施設に保管されている所望医療情報の有無や保管場所等の検索を目的とした医療情報検索装置と前記医療情報が保管されているレポジトリ(医療情報保管部)を備えた診療所A及び診療所Bを、ネットワーク等を介して一対一で接続することにより形成される。
【0016】
更に、同様にして形成された他の医療情報連携システムを上述の医療情報検索装置を用いて接続することにより、例えば、図1(b)に示すような中核病院Hを中心とする広範囲な医療情報連携システムが形成される。この場合、診療所Bの医療情報検索装置は、中核病院H及び診療所Cと連携した病院Aの医療情報検索装置に接続され、診療所Aの医療情報検索装置は、病院Bと連携した診療所Gの医療情報検索装置、診療所Dの医療情報検索装置及び診療所Fと連携した診療所Eの医療情報検索装置に接続される。
【0017】
一方、図2は、上述の医療情報連携システムを形成する診療所の医療情報検索装置において所望医療情報の保管場所を問い合わせる検索要求情報(以下では、Queryと呼ぶ。)が入力された場合、このQueryが伝達される方向(実線)と、当該Queryに基づいて検索された医療情報の保管場所に関する情報(以下では、検索結果と呼ぶ。)が伝達される方向(破線)を示している。
【0018】
例えば、診療所Cの医療情報検索装置が備える入力部においてQueryが入力され、このQueryに対応した医療情報が診療所Fのレポジトリに予め登録されている場合、上述のQueryは、病院A、診療所B、診療所A及び診療所Eを介して診療所Fへ供給される。次いで、このQueryに基づいて診療所Fの医療情報検索装置が検索した前記医療情報の保管場所に関する情報(検索結果)は、診療所E、診療所A、診療所B及び病院Aを介して診療所Cへ供給され、診療所Cの医療情報検索装置が備える表示部に表示される。そして、表示部に表示された検索結果を観察した診療所Cの医療従事者は、この検索結果に示された診療所Fのレポジトリを直接アクセスすることにより所望の医療情報を収集する。
【0019】
(装置の構成)
次に、上述の医療情報連携システムを構成する本実施形態の医療情報検索装置の構成につき図3のブロック図を用いて説明する。尚、ここでは、図2の診療所B(第1の医療施設)から受信したQueryを診療所D及び診療所E(第3の医療施設)へ送信し、診療所Dあるいは診療所Eから受信した前記Queryに対する検索結果を診療所Bへ送信する診療所A(第2の医療施設)の医療情報検索装置について述べるが、これに限定されるものではなく、他の医療施設に設けられた医療情報検索装置の全てあるいはその一部も略同様の構成と機能を有している。
【0020】
診療所Aに設けられた医療情報検索装置100は、図3に示すように、ネットワーク等を介して直接接続された診療所B、診療所D及び診療所Eの医療情報検索装置に対してQueryの送受信及びこのQueryに対する検索結果の送受信を行なうカスケードレジストリ110と、医療情報保管場所の検索を目的としたQueryを必要に応じて入力する入力部120と、入力部120において入力されたQuery及びその付帯情報や診療所D及び診療所Eから受信した検索結果を必要に応じて表示する表示部140と、カスケードレジストリ110が備える後述の各ユニットを統括的に制御するレジストリ制御部130を有している。但し、入力部120及び表示部140は、通常、診療所AにおいてQueryが入力される場合において使用される。
【0021】
次に、医療情報検索装置100のカスケードレジストリ110は、診療所Bの医療情報検索装置から図示しないネットワークを介して供給されたQuery及びその付帯情報(Query付帯情報)を受信するQuery受信部2と、診療所Aにおいて予め収集され自施設のレポジトリに保管された各種医療情報の保管場所に関する情報が登録情報として保管されている登録情報保管部3と、Query受信部2から供給されたQuery付帯情報に基づき、登録情報保管部3に保管された登録情報に対する検索要否を判定する検索要否判定部4と、この判定結果に基づき、登録情報保管部3に保管されている各種登録情報の中から上述のQuery付帯情報に対応した登録情報を検索する登録情報検索部5と、Query受信部2から供給されたQuery付帯情報及び後述の検索結果受信部11から供給された検索結果付帯情報に基づき、ネットワークを介して診療所Aと直接接続されている診療所B、診療所D及び診療所Eやこれらの医療施設を介して間接的に接続されている他の医療施設の情報を接続先情報として収集する接続先情報収集部6と、予め収集された接続先情報に基づいて生成した接続先一覧データを保管し、更に、接続先情報収集部6において新たに収集された接続先情報に基づいて前記接続先一覧データを更新する接続先一覧データ生成部7と、上述の接続先一覧データ及びQuery付帯情報に基づいて診療所D及び診療所Eに対するQuery送信の要否を判定するQuery送信要否判定部8と、Query受信部2から供給されたQuery付帯情報の医療施設情報に自施設(診療所A)の医療施設情報を付加することによりQuery付帯情報を更新するQuery付帯情報更新部9と、更新後のQuery付帯情報が付加されたQueryをQuery送信要否判定部8によってQuery送信が必要と判定された診療所Dあるいは診療所Eの医療情報検索装置へ送信するQuery送信部10を備えている。
【0022】
又、カスケードレジストリ110は、診療所Dあるいは診療所Eの医療情報検索装置からネットワークを介して供給された上述のQueryに対応する登録情報の検索結果を受信する検索結果受信部11と、この検索結果と登録情報検索部5から供給された検索結果を統合する検索結果統合部12と、診療所Dあるいは診療所Eの医療情報検索装置から上述の検索結果と共に供給された検索結果付帯情報の医療施設情報に自施設(診療所A)の医療施設情報を付加することにより検索結果付帯情報を更新する検索結果付帯情報更新部13を備え、更に、検索要否判定部4から供給された検索件数及びQuery送信要否判定部8から供給されたQuery送信件数と検索結果統合部12から供給された検索結果件数とを比較することにより検索結果の収集状況を評価する検索結果収集状況評価部14と、検索結果統合部12から供給された検索結果に上述の検索結果付帯情報及び検索結果収集状況の評価結果を付加して診療所Bの医療情報検索装置へ送信する検索結果送信部15を備えている。
【0023】
次に、医療情報検索装置100のカスケードレジストリ110が備える上述の各ユニットの具体的な構成と機能につき図3乃至図10を用いて更に詳しく説明する。尚、ここでは説明を判り易くするために病院Aの医療情報検索装置と新たに接続された診療所Cの医療情報検索装置(図2参照)において医療情報保存場所の検索を目的とするQueryが入力された場合について述べるが、Queryが入力される医療情報検索装置は上記に限定されない。
【0024】
図3に示した医療情報検索装置100のQuery受信部2は、ネットワークを介して直接接続された診療所Bの医療情報検索装置から送信されたQueryとその付帯情報を受信する。
【0025】
図4は、上述のQueryとその付帯情報(Query付帯情報)の具体例を説明するための図であり、図1(b)あるいは図2の医療情報連携システムを構成する診療所Cの医療情報検索装置においてQueryが入力された場合、診療所Aの医療情報検索装置100が備えるQuery受信部2は、図4に示すような患者情報、診療科目情報、医療施設情報等のQuery付帯情報が付加されたQueryを隣接する診療所Bの医療情報検索装置から受信する。
【0026】
この場合、Query付帯情報を構成する患者情報として所望の医療情報が収集された患者の「氏名」、「ID」、「性別」、「年齢」等が示され、診療科目情報としてQueryを発生させた診療所Cの診療科目「小児科」が示されている。又、医療施設情報として、上述のQueryが入力された診療所CやこのQueryが経由した病院A及び診療所Bにおける診療科目「小児科」、「内科」及び「外科」と診療所Bを基準とした診療所C及び病院Aの接続距離が示されている。但し、病院Aと診療所Bのように共通の診療科目を有する複数の医療施設が診療所Bの方向に存在する場合、診療所Aに近い医療施設における診療科目とその接続距離が示される。
【0027】
図3へ戻って、登録情報保管部3には、診療所Aにおいて複数の患者から収集された各種の医療情報が保管されている図示しないレポジトリにおける保管場所が前記医療情報の識別情報(例えば、患者情報)と共に予め登録されている。
【0028】
一方、検索要否判定部4は、Query受信部2から供給されたQuery及びQuery付帯情報を受信し、Query付帯情報の診療科目情報と自施設の診療科目とを比較する。そして、これらの診療科目が同一あるいは類似している場合、登録情報保管部3に保管された登録情報の検索は必要と判定し、前記診療科目が異なる場合、登録情報の検索は不要と判定する。例えば、診療所CにおいてQueryが入力された場合、医療情報検索装置100のQuery受信部2から供給されたQuery付帯情報の診療科目情報に示されている診療所Cの診療科目「小児科」と診療所Aの診療科目「産婦人科」は異なるため、登録情報保管部3に保管されている登録情報の検索は不要と判定される。
【0029】
登録情報検索部5は、検索要否判定部4から供給される上述の判定結果を受信する。そして、登録情報の検索が必要である旨の判定結果が供給されたならば、登録情報保管部3に保管されている各種登録情報の中から所望医療情報の保管場所に関する登録情報をQuery付帯情報に含まれている患者情報等に基づいて検索し、得られた登録情報(検索結果)を図示しない検索結果記憶部に保存する。
【0030】
次に、接続先情報収集部6は、Query受信部2から供給されたQuery及びQuery付帯情報を受信し、Query付帯情報の医療施設情報に基づいて当該Queryが経由した医療施設の診療科目と接続距離に関する情報を接続先情報として収集する。例えば、診療所Cの医療情報検索装置においてQueryが入力された場合、接続先情報収集部6は、Query付帯情報としてQuery受信部2から供給された医療施設情報(図4参照)に基づいて当該Queryが経由した医療施設の診療科目「小児科」、「外科」及び「内科」と診療所Bを基準とした前記医療施設の接続距離に関する情報を収集する。
【0031】
接続先一覧データ生成部7は、図示しないデータ処理部とデータ記憶部を備え、データ記憶部には、予め収集された接続先情報に基づいてデータ処理部が生成した接続先一覧データが保管されている。そして、例えば、上述のQueryを入力した診療所Cが医療情報連携システムに対して新たに接続された医療施設である場合、データ処理部は、接続先情報収集部6から供給された接続先情報とデータ記憶部に保管されている接続先一覧データとを比較し、この接続先一覧データに存在していない診療所Cに関する接続先情報を追加することにより上述の接続先一覧データを更新する。
【0032】
図5は、接続先一覧データ生成部7に保管されている更新前の接続先一覧データ(図5(a))と更新後の接続先一覧データ(図5(b))の具体例を示したものであり、更新後の接続先一覧データには、診療所Cの診療科目「小児科」と診療所Aを基準とした診療所Cの接続距離「3」が追加されている。
【0033】
そして、更新後の接続先一覧データによれば、診療所Bの方向の接続距離「3」には「小児科」を診療科目とする医療施設、接続距離「2」には「外科」を診療科目とする医療施設、接続距離「1」には「内科」を診療科目とする医療施設がネットワークを介して接続されていることがわかる。
【0034】
同様にして、診療所Dの方向の接続距離「1」には「皮膚科」を診療科目とする医療施設が接続され、診療所Eの方向の接続距離「1」には「小児内科」を診療科目とする医療施設、接続距離「2」には「小児科」を診療科目とする医療施設が夫々接続されていることがわかる。尚、図5(b)において、図4の医療施設情報に示されていた診療所Bを基準とする診療所Cの接続距離「2」は診療所Aを基準とする接続距離「3」へ更新されている。
【0035】
再び図3へ戻って、医療情報検索装置100のQuery送信要否判定部8は、接続先一覧データ生成部7のデータ記憶部から読み出した接続先一覧データとQuery受信部2から供給されたQuery付帯情報の診療科目情報に基づき、ネットワークを介して直接接続された診療所D及び診療所Eに対するQuery送信の要否を判定する。
【0036】
例えば、上述のようにQueryが診療所Cの医療情報検索装置において入力された場合、Query送信要否判定部8は、Query受信部2から供給されたQuery付帯情報の診療科目情報「小児科」を受信し、次いで、接続先一覧データ生成部7のデータ記憶部に保存されている接続先一覧データ(図5(b)参照)を読み出す。そして、診療所Cと同一の診療科目「小児科」を有する診療所Fが接続距離「2」に接続されている診療所EへのQuery送信は必要と判定し、診療科目「小児科」を有する医療施設に接続されていない診療所DへのQuery送信は不要と判定する。
【0037】
尚、診療科目「小児科」を有する診療所Cが接続距離「3」に接続されている診療所BへのQuery送信は、この方向がQueryの受信方向と一致するため不要と判定する。即ち、Query送信要否判定部8は、Query受信部2から供給されたQuery付帯情報に含まれているQuery発生元医療施設の診療科目と接続先一覧データ生成部7から供給された接続先一覧データとに基づいてQuery送信を行なう医療施設の絞り込みを行なう。
【0038】
そして、ネットワークを介して直接接続された診療所D及び診療所Eの少なくとも何れかに対するQuery送信が上述のQuery送信要否判定部8によって必要と判定された場合、Query付帯情報更新部9は、Query受信部2から供給されたQuery付帯情報の医療施設情報に自施設(診療所A)の診療科目情報及び接続距離を付加することによりQuery付帯情報の更新を行なう。
【0039】
図6(a)は、診療所Cの医療情報検索装置においてQueryが入力された場合、Query付帯情報更新部9が、診療所BからQuery受信部2を介して受信した更新前のQuery付帯情報(図4(b)参照)を示しており、図6(b)は、Query付帯情報更新部9が、上述のQuery付帯情報の医療施設情報に自施設の診療科目「産婦人科」及び接続距離「0」を付加することによって得られた更新後のQuery付帯情報を示している。この場合、更新前の医療施設情報において示されていた診療所Bを基準とする接続距離「2」、「1」及び「0」は、診療所Aを基準とする接続距離「3」、「2」及び「1」に更新される。
【0040】
次に、図3のQuery送信部10は、Query送信要否判定部8から出力された判定結果とQuery付帯情報更新部9において更新されたQuery付帯情報を有するQueryを受信する。そしてQuery送信要否判定部8によりQuery送信が必要と判定された医療施設の医療情報検索装置に対し上述のQueryを送信する。
【0041】
例えば、診療所Cの医療情報検索装置においてQueryが入力された場合、Query送信部10は、診療所Cと同一の診療科目「小児科」を有する診療所Fが接続距離「2」に接続されている診療所EへのQuery送信は必要との判定結果をQuery送信要否判定部8から受信し、更に、更新後のQuery付帯情報を有するQueryをQuery付帯情報更新部9から受信する。そして、得られた上述のQueryを、ネットワークを介して接続された診療所Eの医療情報検索装置へ送信する。
【0042】
一方、医療情報検索装置100の検索結果受信部11は、上述のQueryを受信した医療施設(例えば、診療所F)において検索された医療情報保管場所に関する登録情報(検索結果)を、ネットワークを介して直接接続された診療所Eの医療情報検索装置から受信し、検索結果統合部12は、上述の検索結果受信部11を介して供給された当該Queryに対応する登録情報(検索結果)と登録情報保管部3に保管されていた各種登録情報の中から登録情報検索部5が検索した前記Queryに対応する登録情報(検索結果)を統合する。この場合、検索結果受信部11から供給される検索結果の有無はQuery送信要否判定部8の判定結果に対応し、登録情報検索部5から供給される検索結果の有無は検索要否判定部4の判定結果に対応している。このため、検索結果統合部12からは、上述した2つの検索結果が同時に出力される場合や前記検索結果の何れか一方のみが出力される場合がある。
【0043】
次に、検索結果付帯情報更新部13は、ネットワークを介して直接接続された診療所Dあるいは診療所Eの医療情報検索装置から登録情報の検索結果と共に供給される検索結果付帯情報の医療施設情報に自施設の診療科目情報及び接続距離を付加することにより上述の検索結果付帯情報を更新する。
【0044】
図7(a)は、診療所Cの医療情報検索装置においてQueryが入力された場合、検索結果付帯情報更新部13が診療所Eから検索結果受信部11及び検索結果統合部12を介して受信する更新前の検索結果付帯情報を示しており、図7(b)は、検索結果付帯情報更新部13が上述の検索結果付帯情報の医療施設情報に自施設の診療科目「産婦人科」及び接続距離「0」を付加することによって得られた更新後の検索結果付帯情報を示している。この場合も、更新前の医療施設情報において示されていた診療所Eを基準とする接続距離「1」及び「0」は、診療所Aを基準とする接続距離「2」及び「1」に更新される。
【0045】
一方、検索結果収集状況評価部14は、検索要否判定部4において登録情報保管部3に対する登録情報の検索が必要と判定された場合の検索件数及びQuery送信要否判定部8において他の医療施設に対するQuery送信が必要と判定された場合の送信件数と検索結果統合部12から供給される上述の検索件数及び送信件数に対応した検索結果の件数を比較することにより、当該Queryに対応した全ての検索結果が得られているか否かを評価する。
【0046】
そして、検索結果送信部15は、検索結果統合部12から供給された統合後の検索結果に検索結果付帯情報更新部13から供給された更新後の検索結果付帯情報と検索結果収集状況評価部14から供給された検索結果収集状況の評価結果を付加し、ネットワークを介して直接接続された診療所Bの医療情報検索装置へ送信する。
【0047】
尚、上述の検索結果受信部11に対して検索結果を送信する医療施設と検索結果送信部15から送信された検索結果を受信する医療施設は通常異なり、例えば、診療所Cの医療情報検索装置から入力されたQueryに対応する登録情報が診療所Fの登録情報保管部に保管されている場合、医療情報検索装置100の検索結果受信部11は、診療所Eの医療情報検索装置から供給された前記登録情報を受信し、検索結果送信部15は、検索結果統合部12から出力された統合後の検索結果を診療所Bの医療情報検索装置へ送信する。
【0048】
次に、本実施形態のQuery送信要否判定部8において行なわれるQuery送信先医療施設の絞り込みについて説明する。Query送信先医療施設の絞り込み方法として、(1)診療科目のみを指定する方法、(2)診療科目及び類似診療科目を指定する方法、(3)診療科目と接続距離を指定する方法、(3)患者の年齢や性別を指定する方法等がある。
【0049】
ここでは、図8に示すように、「小児科」を診療科目とする診療所Fの医療情報検索装置においてQueryが入力された場合に診療所Aに備えられた医療情報検索装置100のQuery送信要否判定部8が行なうQuery送信先医療施設の絞り込みについて述べるが、例えば、既に図2に示した診療所C等の医療施設に備えられた医療情報検索装置においてQueryが入力された場合においても同様の絞り込みが各医療施設の医療情報検索装置において行なわれる。
【0050】
例えば、Queryの入力とQuery送信先絞り込み条件としての診療科目「小児科」の選択が診療所Fの医療情報検索装置において行なわれた場合、医療情報検索装置100のQuery受信部2を介して上述のQuery及びQuery付帯情報とQuery送信先絞り込み条件を受信したQuery送信要否判定部8は、接続先一覧データ生成部7に保管されている、例えば、図5(b)に示すような接続先一覧データを読み出す。次いで、この接続先一覧データに示されている診療科目と上述のQuery送信先絞り込み条件とを比較することにより診療科目「小児科」を有する医療施設がネットワークを介して直接接続された診療所B及び診療所Eの方向に存在していることを認識する。そして、上述のQuery送信先絞り込み条件が受信された診療所Eの方向と異なる診療所Bの方向に対して当該Queryとその付帯情報を送信する旨のQuery送信要否判定を行なう。
【0051】
又、Query送信先絞り込み条件として類似診療科目を含む診療科目「小児科」が選択された場合、Query送信先絞り込み条件を受信したQuery送信要否判定部8は、接続先一覧データ生成部7に予め保管されている上述の接続先一覧データと図9に示す類似診療科目一覧データを読み出す。次いで、これらの一覧データに示された診療科目及び類似診療科目と上述のQuery送信先絞り込み条件に基づいて診療科目「小児科」及び類似診療科目「小児内科」を有する医療施設が診療所B及び診療所Eの方向に存在していることを認識し、上述のQuery送信先絞り込み条件が受信された診療所Eの方向と異なる診療所Bの方向に対して当該Queryとその付帯情報を送信する旨のQuery送信要否判定を行なう。
【0052】
一方、Query送信先絞り込み条件として診療科目「小児科」と5より小さな「接続距離」が選択された場合、Query送信要否判定部8は、接続先一覧データ生成部7から読み出した接続先一覧データの診療科目及び接続距離と上述のQuery送信先絞り込み条件とに基づいて診療科目「小児科」を有し診療所Aを基準とした接続距離が3より小さな医療施設の有無を判定する。そして、図5に示すようにこの条件を満足する医療施設が診療所Bや診療所Dの方向に存在しない場合、これらの医療施設に対しQueryを送信しない旨のQuery送信要否判定を行なう。尚、5より小さな接続距離がQuery送信先絞り込み条件の1つとして診療所Fにおいて選択された場合、2つの診療所(診療所F及び診療所E)を経由してQueryを受信する診療所Aは、診療科目「小児科」を有し自施設を基準とした接続距離が3より小さな医療施設に対して当該Queryとその付帯情報の送信を行なう。
【0053】
更に、Query送信先絞り込み条件として「年齢(成人)」が選択された場合、Query送信要否判定部8は、接続先一覧データ生成部7から読み出した接続先一覧データの診療科目と上述のQuery送信先絞り込み条件とに基づいて診療科目「小児科」や「小児科」に類似した診療科目を有する医療施設のみが存在する診療所Eの方向に対してQueryを送信しない旨のQuery送信要否判定を行なう。同様にして、「性別(男)」がQuery送信先絞り込み条件として選択された場合、診療科目「産婦人科」や「産婦人科」に類似した診療科目を有する医療施設のみが存在する方向に対してQueryを送信しない旨のQuery送信要否判定を行なう。
【0054】
次に、接続先一覧データの他の具体例として、図1(b)に示した中核病院Hを中心とする医療情報連携システムが形成された場合に診療所Aの医療情報検索装置100において得られる接続先一覧データを図10に示す。但し、図1(b)のように診療所Aを中心とする所定の接続方向において同一の診療科目を有する複数の医療施設が直接的あるいは間接的に接続されている場合、診療所Aからの接続距離が最も小さな医療施設の診断科目と接続距離が接続先一覧データにおいて示される。
【0055】
(Queryの送信手順)
次に、本実施形態におけるQueryの送信手順につき図11のフローチャートを用いて説明する。尚、以下では、図2の診療所Cにおいて入力され病院A及び診療所Bを介して供給されたQueryを、このQueryに対応した登録情報が保管されている診療所Fと接続された診療所Eへ送信する場合について述べる。
【0056】
即ち、図3に示した医療情報検索装置100のQuery受信部2は、ネットワークを介して直接接続された診療所Bの医療情報検索装置から送信されたQueryとその付帯情報(図4参照)を受信する(図11のステップS1)。
【0057】
次いで、検索要否判定部4は、Query受信部2から供給された上述のQuery及びQuery付帯情報を受信し、Query付帯情報の診療科目情報「小児科」と自施設の診療科目「産婦人科」とを比較する。そして、これらの診療科目が異なる場合、登録情報保管部3に保存された登録情報に対する検索は不要と判定する(図11のステップS2)。
【0058】
尚、Query付帯情報の診療科目情報と自施設の診療科目が同一あるいは類似している場合、検索要否判定部4は、登録情報保管部3に保管された登録情報に対する検索は必要と判定する。そして、この判定結果を受信した登録情報検索部5は、登録情報保管部3に保管されている各種登録情報の中から当該Queryに対応した登録情報をQuery付帯情報の患者情報等に基づいて検索し、得られた登録情報(検索結果)を自己の検索結果記憶部に一旦保存する(図11のステップS3)。
【0059】
一方、接続先情報収集部6は、Query受信部2から供給されたQuery付帯情報の医療施設情報に基づき、当該Queryが経由した医療施設の診療科目と接続距離に関する情報を接続先情報として収集する(図11のステップS4)。そして、接続先一覧データ生成部7は、接続先情報収集部6から供給された接続先情報と自己のデータ記憶部に予め保管されている接続先一覧データとを比較し、この接続先一覧データに存在していない接続先情報を追加することにより接続先一覧データを更新する(図11のステップS5)。
【0060】
次に、Query送信要否判定部8は、Query受信部2から供給されたQuery付帯情報の診療科目情報「小児科」を受信し、接続先一覧データ生成部7のデータ記憶部に保存されている接続先一覧データ(図5(b)参照)を読み出す。次いで、診療所Cと同一の診療科目「小児科」を有する診療所Fに接続距離「2」で接続されている診療所EへのQuery送信は必要と判定し、診療科目「小児科」を有する医療施設に接続されていない診療所DへのQuery送信は不要と判定する(図11のステップS6)。
【0061】
そして、ネットワークを介して直接接続された診療所Eに対するQuery送信が上述のQuery送信要否判定部8によって必要と判定された場合、Query付帯情報更新部9は、Query受信部2から供給されたQuery付帯情報の医療施設情報に自施設(診療所A)の診療科目及び接続距離を付加することによりQuery付帯情報の更新を行なう(図11のステップS7)。
【0062】
次に、Query送信部10は、Query送信要否判定部8から供給された上述の判定結果とQuery付帯情報更新部9において更新されたQuery付帯情報を有するQueryを受信し、Query送信要否判定部8によりQuery送信が必要と判定された診療所Eの医療情報検索装置に対し上述のQueryを送信する(図11のステップS8)。又、Query送信が不要と判定された診療所Dに対するQuery送信は停止される(図11のステップS9)。
【0063】
(検索結果の送信手順)
次に、本実施形態における検索結果の送信手順につき図12のフローチャートを用いて説明する。尚、以下では、図2の診療所Fにおいて検索され診療所Eを介して供給された上述のQueryに対応する登録情報の検索結果を診療所Bへ送信する場合について述べる。
【0064】
即ち、医療情報検索装置100の検索結果受信部11は、上述のQueryに基づいて診療所Fの図示しない登録情報保管部から検索された医療情報保管場所に関する登録情報(検索結果)を、ネットワークを介して直接接続された診療所Eの医療情報検索装置から受信し(図12のステップS11)、検索結果統合部12は、検索結果受信部11から供給された当該Queryに対応する上述の登録情報(検索結果)と登録情報保管部3に保管されている各種登録情報の中から登録情報検索部5が検索した前記Queryに対応する登録情報(検索結果)を統合する(図12のステップS12)。
【0065】
一方、検索結果付帯情報更新部13は、ネットワークを介して直接接続された診療所Eの医療情報検索装置から上述の検索結果と共に供給された検索結果付帯情報の医療施設情報に自施設(診療所A)の診療科目及び接続距離を付加することにより検索結果付帯情報を更新する(図12のステップS13)。又、検索結果収集状況評価部14は、検索要否判定部4において登録情報保管部3に対する登録情報の検索が必要と判定された件数(検索件数)及びQuery送信要否判定部8において他の医療施設に対するQuery送信が必要と判定された件数(送信件数)と検索結果統合部12から供給された上述の検索件数及び送信件数に対応する検索結果の件数を比較することにより、当該Queryに対応した全ての検索結果が得られているか否かを評価する(図12のステップS14)。
【0066】
そして、検索結果送信部15は、検索結果統合部12から供給された統合後の検索結果に検索結果付帯情報更新部13から供給された更新後の検索結果付帯情報及び検索結果収集状況評価部14から供給された検索結果収集状況の評価結果を付加し、ネットワークを介して直接接続された診療所Bの医療情報検索装置へ送信する(図12のステップS15)。
【0067】
(変形例)
次に、本実施形態の変形例につき図13を用いて説明する。この変形例では、上述の実施形態のカスケードレジストリ110が備える各ユニットの他に、キャッシュ作成部16、キャッシュ記憶部17及びキャッシュ検索部18が新たに追加されている。尚、本変形例のカスケードレジストリ111を示す図13のブロック図において、図3に示したカスケードレジストリ110のユニットと同一の構成及び機能を有するユニットは同一の符号を付加し詳細な説明は省略する。
【0068】
即ち、図13に示す本変形例のカスケードレジストリ111は、診療所Bの医療情報検索装置から図示しないネットワークを介して供給されたQuery及びその付帯情報(Query付帯情報)を受信するQuery受信部2と、診療所Aにおいて予め収集され自施設のレポジトリに保管された各種医療情報の保管場所に関する情報が登録情報として保管されている登録情報保管部3と、Query受信部2から供給されたQuery付帯情報に基づき、登録情報保管部3に保管された登録情報に対する検索要否を判定する検索要否判定部4と、この判定結果に基づき、登録情報保管部3に保管されている各種登録情報の中から上述のQuery付帯情報に対応した登録情報を検索する登録情報検索部5と、Query受信部2から供給されたQuery付帯情報及び後述の検索結果受信部11から供給された検索結果付帯情報に基づき、ネットワークを介して診療所Aと直接接続されている診療所B、診療所D及び診療所Eやこれらの医療施設を介して間接的に接続されている他の医療施設の情報を接続先情報として収集する接続先情報収集部6と、予め収集された接続先情報に基づいて生成した接続先一覧データを保管し、更に、接続先情報収集部6において新たに収集された接続先情報に基づいて前記接続先一覧データを更新する接続先一覧データ生成部7と、上述の接続先一覧データ及びQuery付帯情報に基づいて診療所D及び診療所Eに対するQuery送信の要否を判定するQuery送信要否判定部8と、Query受信部2から供給されたQuery付帯情報の医療施設情報に自施設(診療所A)の医療施設情報を付加することによりQuery付帯情報を更新するQuery付帯情報更新部9と、更新後のQuery付帯情報が付加されたQueryをQuery送信要否判定部8によってQuery送信が必要と判定された診療所Dあるいは診療所Eの医療情報検索装置へ送信するQuery送信部10を備えている。
【0069】
又、カスケードレジストリ111は、診療所Dあるいは診療所Eの医療情報検索装置からネットワークを介して供給された前記Queryに対応する登録情報(検索結果)を受信する検索結果受信部11と、受信した検索結果に基づいてキャッシュを作成するキャッシュ作成部16と、複数の医療施設から得られる過去の検索結果に基づいて作成された各種のキャッシュを保存するキャッシュ記憶部17と、保存されている各種キャッシュの中から当該Queryに対応したキャッシュを検索するキャッシュ検索部18と、検索結果受信部11において受信された検索結果あるいはキャッシュ検索部18において検索されたキャッシュと登録情報検索部5から供給された検索結果を統合する検索結果統合部12aと、診療所Dあるいは診療所Eの医療情報検索装置から上述の検索結果と共に供給される検索結果付帯情報の医療施設情報に自施設(診療所A)の医療施設情報を付加することにより検索結果付帯情報を更新する検索結果付帯情報更新部13を備え、更に、検索要否判定部4から供給された検索件数及びQuery送信要否判定部8から供給されたQuery送信件数と検索結果統合部12aから供給された検索結果件数を比較することにより検索結果の収集状況を評価する検索結果収集状況評価部14と、検索結果統合部12aから供給された統合後の検索結果に上述の検索結果付帯情報及び検索結果収集状況の評価結果を付加して診療所Bの医療情報検索装置へ送信する検索結果送信部15を備えている。
【0070】
即ち、カスケードレジストリ111が新たに備えるキャッシュ作成部16は、検索結果受信部11から供給される検索結果とその付帯情報(検索結果付帯情報)を受信し、この検索結果と検索結果付帯情報に含まれている患者情報や診療科目情報等に基づいてキャッシュを作成する。この場合のキャッシュは、上述の患者情報や診療科目情報を処理して得られるハッシュ値を検索結果に付加することによって作成することが可能である。
【0071】
一方、キャッシュ記憶部17には、診療所Eをはじめとする他の医療施設から検索結果受信部11を介して供給された過去の検索結果とその付帯情報に基づいてキャッシュ作成部16が作成した各種のキャッシュが予め保管されている。この場合、キャッシュ記憶部17におけるキャッシュの保存期間を予め設定し、この保存期間を過ぎたキャッシュは自動的に削除される。
【0072】
キャッシュ検索部18は、Query受信部2あるいはQuery付帯情報更新部9から供給されたQueryとその付帯情報を受信し、Query付帯情報の患者情報や診療科目情報等に対応する検索結果のキャッシュをキャッシュ記憶部17に保存されている各種キャッシュの中から検索する。
【0073】
そして、検索結果統合部12aは、検索結果受信部11において受信された検索結果あるいはキャッシュ検索部18において得られたキャッシュと登録情報検索部5から供給された検索結果を統合する。この場合、当該Queryに対応するキャッシュがキャッシュ検索部18によって検索されたならば、検索結果統合部12aは、このキャッシュ検索部18から供給されるキャッシュと登録情報検索部5から供給される検索結果を統合する。又、当該Queryに対応するキャッシュがキャッシュ検索部18によって検索されなかった場合、検索結果統合部12aは、検索結果受信部11において受信された検索結果と登録情報検索部5から供給された検索結果を統合する。
【0074】
以上述べた本開示の実施形態及びその変形例によれば、他の医療施設に保管されている所望医療情報の有無や保管場所等を検索する際、複数の医療施設の各々が有する比較的小規模なカスケードレジストリを、ネットワーク等を介して接続することにより大規模なレジストリが中核病院等に配置された従来の医療情報連携システムと同等の機能を有し拡張性に優れた医療情報連携システムを容易に構築することができる。
【0075】
特に、所望の医療情報が保存された医療施設を問い合わせるQueryあるいはこのQueryに基づいて検索された医療情報を、前記医療情報が収集された患者や診療科目等の付帯情報と共に上述のカスケードレジストリを用いて医療施設間を伝達させることにより前記医療情報の保管場所に関する情報を効率よく収集することができる。
【0076】
又、医療情報連携システムの拡大は、各々の医療施設の医療情報検索装置に予め設けられた比較的小規模なカスケードレジストリを、ネットワークを介して接続することによって行なわれるため、従来のように中核病院等の特定医療施設に設けられた大規模なセンターレジストリを増設する必要がなくなる。従って、広範囲な医療情報連携システムを容易かつ短時間で構築することが可能となり、又、各々の医療施設に設けられたカスケードレジストリのバージョンアップやメンテナンス等に必要な費用は当該医療施設によって賄われるため、医療情報連携システムの構築や拡大において発生する医療施設間の不平等を軽減することができる。
【0077】
更に、上述の実施形態及びその変形例によれば、Query付帯情報の患者情報や診療科目情報等によって当該Queryの送信が必要な医療施設の絞り込みが行なわれるため、安全性に優れ効率のよいQuery送信を行なうことができる。
【0078】
又、Queryの送信件数とこのQueryに対する検索結果の受信件数とを比較することにより検索結果の収集状況を把握する機能を有しているため、送信されたQueryに対応する検索結果が確実に受信されているか否かを常時モニタリングすることが可能となる。
【0079】
一方、上述の変形例によれば、過去の検索結果に基づいて作成されたキャッシュを予め保有し、前記検索結果の付帯情報と同一あるいは類似した付帯情報を有するQueryが供給された場合、前記キャッシュあるいはこのキャッシュに基づいた検査結果をQueryが供給された医療施設へ送信することができる。このため、前記Queryに対応した登録情報の収集に要する時間を短縮することができる。
【0080】
以上、本開示の実施形態及びその変形例について述べてきたが、本開示は、上述の実施形態や変形例に限定されるものではなく、更に変形して実施することが可能である。例えば、上述の実施形態及びその変形例では、登録情報検索部5から供給された自施設の登録情報(検索結果)と検索結果受信部11から供給された他の医療施設からの登録情報(検索結果)を検索結果統合部12(12a)において統合し、検索結果送信部15は、統合された検索結果を他の医療施設へ送信する場合について述べたが、登録情報検索部5からの検索結果と検索結果受信部11からの検索結果は独立させて他の医療施設へ送信しても構わない。この場合、検索結果統合部12(12a)は必ずしも必要としない。又、検索結果収集状況評価部14は、各々の検索結果に対して収集状況の評価結果を行なう。このように、各々の検索結果を独立させて他の医療施設へ送信することにより、所望検索結果の送信に要する時間を短縮することができる。
【0081】
又、医療情報連携システムに新たな医療施設が追加された場合、接続先一覧データ生成部7は、この医療施設の医療情報検索装置から入力されたQuery及びその付帯情報に基づいて自己のデータ記憶部に保管されている接続先一覧データを更新する場合について述べたが、Query入力に先立って前記医療施設から供給される医療施設情報に基づいて接続先一覧データを更新してもよい。
【0082】
又、接続先一覧データ生成部7のデータ記憶部には、Query付帯情報や検索結果付帯情報に基づいて生成された接続先一覧データが保存される場合について述べたが、他の方法によって予め収集された接続先情報に基づく接続先一覧データが保管されていてもよい。この場合、接続先情報収集部6は必ずしも必要としない。
【0083】
一方、上述の実施形態では、カスケードレジストリを備えた医療情報検索装置を接続することによって医療情報連携システムを形成する場合について述べたが、この医療情報連携システムには従来標準レジストリを有する医療施設が含まれていても構わない。
【0084】
尚、本実施形態に係る医療情報検索装置100に含まれる各ユニットは、例えば、CPU、RAM、磁気記憶装置、入力装置、表示装置等で構成されるコンピュータをハードウェアとして用いることでも実現することができる。例えば、医療情報検索装置100のカスケードレジストリ110(111)を制御するレジストリ制御部130は、上記のコンピュータに搭載されたCPU等のプロセッサに所定の制御プログラムを実行させることにより各種機能を実現することができる。この場合、上述の制御プログラムをコンピュータに予めインストールしてもよく、又、コンピュータ読み取りが可能な記憶媒体への保存あるいはネットワークを介して配布された制御プログラムのコンピュータへのインストールであっても構わない。
【0085】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行なうことができる。これらの実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0086】
2…Query受信部
3…登録情報保管部
4…検索要否判定部
5…登録情報検索部
6…接続先情報収集部
7…接続先一覧データ生成部
8…Query送信要否判定部
9…Query付帯情報更新部
10…Query送信部
11…検索結果受信部
12、12a…検索結果統合部
13…検索結果付帯情報更新部
14…検索結果収集状況評価部
15…検索結果送信部
16…キャッシュ作成部
17…キャッシュ記憶部
18…キャッシュ検索部
110、111…カスケードレジストリ
120…入力部
130…レジストリ制御部
140…表示部
100…医療情報検索装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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図12
図13
図14