特許第5938212号(P5938212)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5938212
(24)【登録日】2016年5月20日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】シールドコネクタ装置
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/66 20060101AFI20160609BHJP
   H01R 13/44 20060101ALI20160609BHJP
   H01R 13/648 20060101ALI20160609BHJP
【FI】
   H01R13/66
   H01R13/44 Z
   H01R13/648
【請求項の数】2
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2011-288960(P2011-288960)
(22)【出願日】2011年12月28日
(65)【公開番号】特開2013-137965(P2013-137965A)
(43)【公開日】2013年7月11日
【審査請求日】2014年12月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100105474
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 弘徳
(74)【代理人】
【識別番号】100108589
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 利光
(72)【発明者】
【氏名】田中 雅宏
(72)【発明者】
【氏名】加藤 元
【審査官】 山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−238422(JP,A)
【文献】 特開2011−124062(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/66
H01R 13/44
H01R 13/648
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手側コネクタの端子に接続される端子と、該端子を収容すると共に該端子を相手側コネクタの端子に接続するための操作用の開口部が設けられた絶縁材料製のコネクタハウジングと、前記端子の接続操作後に前記開口部を塞ぐように前記コネクタハウジングに装着されている絶縁材料製のサービスカバーとからそれぞれ構成された第1及び第2の2つのコネクタと、
これら第1及び第2のコネクタの前記端子に導体の両端がそれぞれ接続された可撓性を有する電線と、
前記第1及び第2のコネクタと前記電線とをシールドする金属板製のシールドシェルと、を具備し、
前記シールドシェルが、前記第1のコネクタに固定されている1つの第1のシールドシェルと、前記第2のコネクタに固定されている2つの第2のシールドシェルとに分割されており、分割線に沿った前記第1及び第2のシールドシェルの周縁同士が、前記第1のシールドシェルと前記第2のシールドシェルの相対移動を可能にした状態で互いにラップしており、
更に、前記第1のコネクタの前記サービスカバーに、前記第1のコネクタの前記端子を相手側コネクタの前記端子に接続した後に前記サービスカバーを前記コネクタハウジングに装着した際に該第1のコネクタの前記端子への通電を許可し、前記サービスカバーを前記コネクタハウジングから外した際に該第1のコネクタの前記端子への通電を遮断するインターロック部が設けられ、
前記第1のシールドシェルの少なくとも一部が、前記第1のコネクタの前記サービスカバーに結合されていることで、前記第1のコネクタの前記コネクタハウジングに対する前記第1のコネクタの前記サービスカバー及び前記第1のシールドシェルの同時脱着が可能に構成されており、前記第2のシールドシェルの少なくとも一部が、前記第2のコネクタの前記サービスカバーに結合されていることで、前記第2のコネクタの前記コネクタハウジングに対する前記第2のコネクタの前記サービスカバー及び前記第2のシールドシェルの同時脱着が可能に構成されており、前記第1のコネクタの前記サービスカバーに結合されている前記第1のシールドシェルの少なくとも一部の周縁が、前記第2のコネクタの前記サービスカバーに結合されている前記第2のシールドシェルの少なくとも一部の周縁の外側にラップしていることを特徴とするシールドコネクタ装置。
【請求項2】
相手側コネクタの端子に接続される端子と、該端子を収容すると共に該端子を相手側コネクタの端子に接続するための操作用の開口部が設けられた絶縁材料製のコネクタハウジングと、前記端子の接続操作後に前記開口部を塞ぐように前記コネクタハウジングに装着されている絶縁材料製のサービスカバーとからそれぞれ構成された第1及び第2の2つのコネクタと、
これら第1及び第2のコネクタの前記端子に導体の両端がそれぞれ接続された可撓性を有する電線と、
前記第1及び第2のコネクタと前記電線とをシールドする金属板製のシールドシェルと、を具備し、
前記シールドシェルが、前記第1のコネクタに固定されている2つの第1のシールドシェルと、前記第2のコネクタに固定されている1つの第2のシールドシェルとに3分割されており、分割線に沿った前記第1及び第2のシールドシェルの周縁同士が、前記第1のシールドシェルと前記第2のシールドシェルの相対移動を可能にした状態で互いにラップしており、
更に、前記第1のコネクタの前記サービスカバーに、前記第1のコネクタの前記端子を相手側コネクタの前記端子に接続した後に前記サービスカバーを前記コネクタハウジングに装着した際に該第1のコネクタの前記端子への通電を許可し、前記サービスカバーを前記コネクタハウジングから外した際に該第1のコネクタの前記端子への通電を遮断するインターロック部が設けられ、
前記第1のシールドシェルの少なくとも一部が、前記第1のコネクタの前記サービスカバーに結合されていることで、前記第1のコネクタの前記コネクタハウジングに対する前記第1のコネクタの前記サービスカバー及び前記第1のシールドシェルの同時脱着が可能に構成されており、
前記第1のシールドシェルは、前記第1のコネクタハウジングに装着されている状態で前記第2のコネクタの前記サービスカバーを覆う大きさに形成されていることを特徴とするシールドコネクタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、2つの機器間を繋ぐために電線の両端にコネクタが取り付けられた上でシールドされたシールドコネクタ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図7及び図8に示す従来のシールドコネクタ装置101においては、可撓性を有する電線130の両端に、電線130の導体に接続された端子116、126と、端子116、126を収容する絶縁材料製のコネクタハウジング111、121と、コネクタハウジング111、121の外側を覆うシールドシェル112、122とからなるシールドコネクタ110、120が取り付けられている。また、両端のシールドコネクタ110、120間に露出した電線130の外側を覆うように、シールドカバーとして編組140が設けられており、編組140の両端が、各シールドコネクタ110、120のシールドシェル112、122の筒状部に、シールドリング150を加締めることで固定されている。編組140を用いるのは、両端のシールドコネクタ110、120間に若干の可動性を確保するためである。
【0003】
この種のシールドコネクタ装置の例は、例えば、特許文献1、2に開示されている。
また、2つのシールドコネクタ間の電線を編組で覆う代わりに、電線をシールドパイプで覆う構成が例えば特許文献3に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−282924号公報
【特許文献2】特開2003−197037号公報
【特許文献3】特開2004−171952号公報
【特許文献4】特開2011−124062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の従来のシールドコネクタ装置101では、機器や車両の振動等により編組140が他の部品に衝突した場合、強度的に金属板製のシールドシェル112、122などより弱い編組140が損傷するおそれがあった。
【0006】
一方、特許文献4には、シールドコネクタにインターロック部を備えた構成が開示されている。特許文献4に記載のシールドコネクタは、不測にカバーが外れた場合においてもインターロック部により電流が遮断されるようになっている。ところが、図7図8の構成において2つのシールドコネクタのそれぞれのカバーを安全に外すために、特許文献4のインターロック部の構成を適用した場合、2つのシールドコネクタのそれぞれにインターロック部を備える必要がある。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、両端のコネクタ間のシールド性と可動性を確保しながら、振動等により電線の外側を覆うシールド部材が他の部品と衝突した場合にも損傷のおそれがなく、更に一対のシールドコネクタのそれぞれにインターロック部を必要としないシールドコネクタ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1) 相手側コネクタの端子に接続される端子と、該端子を収容すると共に該端子を相手側コネクタの端子に接続するための操作用の開口部が設けられた絶縁材料製のコネクタハウジングと、前記端子の接続操作後に前記開口部を塞ぐように前記コネクタハウジングに装着されている絶縁材料製のサービスカバーとからそれぞれ構成された第1及び第2の2つのコネクタと、
これら第1及び第2のコネクタの前記端子に導体の両端がそれぞれ接続された可撓性を有する電線と、
前記第1及び第2のコネクタと前記電線とをシールドする金属板製のシールドシェルと、を具備し、
前記シールドシェルが、前記第1のコネクタに固定されている1つの第1のシールドシェルと、前記第2のコネクタに固定されている2つの第2のシールドシェルとに分割されており、分割線に沿った前記第1及び第2のシールドシェルの周縁同士が、前記第1のシールドシェルと前記第2のシールドシェルの相対移動を可能にした状態で互いにラップしており、
更に、前記第1のコネクタの前記サービスカバーに、前記第1のコネクタの前記端子を相手側コネクタの前記端子に接続した後に前記サービスカバーを前記コネクタハウジングに装着した際に該第1のコネクタの前記端子への通電を許可し、前記サービスカバーを前記コネクタハウジングから外した際に該第1のコネクタの前記端子への通電を遮断するインターロック部が設けられ、
前記第1のシールドシェルの少なくとも一部が、前記第1のコネクタの前記サービスカバーに結合されていることで、前記第1のコネクタの前記コネクタハウジングに対する前記第1のコネクタの前記サービスカバー及び前記第1のシールドシェルの同時脱着が可能に構成されており、前記第2のシールドシェルの少なくとも一部が、前記第2のコネクタの前記サービスカバーに結合されていることで、前記第2のコネクタの前記コネクタハウジングに対する前記第2のコネクタの前記サービスカバー及び前記第2のシールドシェルの同時脱着が可能に構成されており、前記第1のコネクタの前記サービスカバーに結合されている前記第1のシールドシェルの少なくとも一部の周縁が、前記第2のコネクタの前記サービスカバーに結合されている前記第2のシールドシェルの少なくとも一部の周縁の外側にラップしていることを特徴とするシールドコネクタ装置。
【0009】
(2) 相手側コネクタの端子に接続される端子と、該端子を収容すると共に該端子を相手側コネクタの端子に接続するための操作用の開口部が設けられた絶縁材料製のコネクタハウジングと、前記端子の接続操作後に前記開口部を塞ぐように前記コネクタハウジングに装着されている絶縁材料製のサービスカバーとからそれぞれ構成された第1及び第2の2つのコネクタと、
これら第1及び第2のコネクタの前記端子に導体の両端がそれぞれ接続された可撓性を有する電線と、
前記第1及び第2のコネクタと前記電線とをシールドする金属板製のシールドシェルと、を具備し、
前記シールドシェルが、前記第1のコネクタに固定されている2つの第1のシールドシェルと、前記第2のコネクタに固定されている1つの第2のシールドシェルとに3分割されており、分割線に沿った前記第1及び第2のシールドシェルの周縁同士が、前記第1のシールドシェルと前記第2のシールドシェルの相対移動を可能にした状態で互いにラップしており、
更に、前記第1のコネクタの前記サービスカバーに、前記第1のコネクタの前記端子を相手側コネクタの前記端子に接続した後に前記サービスカバーを前記コネクタハウジングに装着した際に該第1のコネクタの前記端子への通電を許可し、前記サービスカバーを前記コネクタハウジングから外した際に該第1のコネクタの前記端子への通電を遮断するインターロック部が設けられ、
前記第1のシールドシェルの少なくとも一部が、前記第1のコネクタの前記サービスカバーに結合されていることで、前記第1のコネクタの前記コネクタハウジングに対する前記第1のコネクタの前記サービスカバー及び前記第1のシールドシェルの同時脱着が可能に構成されており、
前記第1のシールドシェルは、前記第1のコネクタハウジングに装着されている状態で前記第2のコネクタの前記サービスカバーを覆う大きさに形成されていることを特徴とするシールドコネクタ装置。
【0010】
上記(1)の構成のシールドコネクタ装置によれば、両端のコネクタ及び両端のコネクタ間を繋ぐ電線を、シールドシェルによって確実にシールドすることができる。
【0011】
また、第1のコネクタに固定される第1のシールドシェルと第2のコネクタに固定される第2のシールドシェルは互いに分割されているものの、分割線に沿った周縁同士が互いにラップしているので、隙間無くシールド性を確保することができ、シールド漏れ箇所を無くすことができる。
【0012】
また、第1のシールドシェルと第2のシールドシェルは、互いに結合されているわけでなく、相対的にある程度はそれぞれ自由に動くことができるものであるから、両端のコネクタ間の可動性を必要程度に確保することができ、コネクタを相手側コネクタに接続する際に必要な若干の移動に支障を来すことがない。
【0013】
また、シールドシェルは金属板でできているから、機器や車両の振動等により他の部品に衝突しても損傷するおそれがない。
【0014】
また、各コネクタのコネクタハウジングには、端子を相手側コネクタの端子に接続するための操作用の開口部が設けられているので、その開口部を通して端子を相手側コネクタの端子に強固に接続することができ、高電圧回路の接続のために使用しても充分な電気接続性能を発揮することができる。また、コネクタハウジングに形成した操作用の開口部は、後からサービスカバーで塞ぐことができ、その上でシールドシェルで覆うことができるので、コネクタハウジングに開口部が設けられているものの、確実な密閉性とシールド性を保つことができる。
【0015】
また、第1のコネクタのサービスカバーにインターロック部を設けているので、第1のコネクタのサービスカバーを外した状態にすることで、端子への通電を遮断することができる。従って、高電圧回路を繋ぐ場合でも、端子の接続作業を安全に行うことができる。
【0016】
また、第1のコネクタのサービスカバー及び第2のコネクタのサービスカバーにそれぞれ、第1のシールドシェルの少なくとも一部と第2のシールドシェルの少なくとも一部が結合されているので、サービスカバーをコネクタハウジングに装着することによって、サービスカバーを含めた部分をシールドシェルで覆うことができる。
【0017】
その際、インターロック部を有する第1のコネクタのサービスカバーに結合された第1のシールドシェルの方が、第2のコネクタのサービスカバーに結合された第2のシールドシェルよりも外側になるように両シールドシェルの周縁同士をラップさせているので、インターロック部を設けた第1のコネクタ側のサービスカバーを外さない限り、第1のシールドシェルが邪魔することによって、第2のコネクタのサービスカバーが外せなくなる。すなわち、第1のコネクタのサービスカバーを外したときだけ第2のコネクタのサービスカバーを外すことができ、第1のコネクタにインターロック部を設けただけでも、第2のコネクタのサービスカバーを安全に外すことができる。
【0018】
上記(2)の構成のシールドコネクタ装置によれば、第1のコネクタのサービスカバーに第1のシールドシェルの少なくとも一部が結合されていると共に、そのサービスカバーに結合されている第1のシールドシェルが、該サービスカバーのコネクタハウジングへの装着時に第2のコネクタのサービスカバーを覆う大きさに形成されているので、第1のコネクタのサービスカバーをコネクタハウジングに装着することによって、当該サービスカバーを含めた部分はもちろん、第2のコネクタのサービスカバーをも同時にシールドシェルで覆うことができる。
【0019】
その際、インターロック部を有する第1のコネクタのサービスカバーに結合された第1のシールドシェルによって、第2のコネクタのサービスカバーを覆うようにしているので、インターロック部を設けた第1のコネクタ側のサービスカバーを外さない限り、第1のシールドシェルが邪魔することによって、第2のコネクタのサービスカバーが外せなくなる。
【0020】
この場合、上記(1)の構成のシールドコネクタ装置においては、第2のコネクタのサービスカバーに結合された第2のシールドシェルが第1のシールドシェルに対して可動であることによって、無理な動きが加えられることによりシールドシェル同士のラップが外れてしまい、第1のコネクタのサービスカバーが外れていないにも拘わらず、第2のコネクタのサービスカバーが外せてしまう可能性が残るが、上記(2)の構成のシールドコネクタ装置の場合は、第2のコネクタのサービスカバーを、第1のコネクタのサービスカバーに結合された第1のシールドシェルで覆っているので、より確実に、第1のコネクタのサービスカバーを外さない限り、第2のコネクタのサービスカバーを外せなくすることができる。従って、第2のコネクタのサービスカバーが何らかの原因で外れてしまい端子が露出するのを、より確実に防ぐことができ、安全性を高めることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、編組の代わりに用いた第1及び第2のシールドシェルにより、両端のコネクタ及びそれらを繋ぐ電線を確実にシールドすることができる。
【0022】
また、第1のシールドシェルと第2のシールドシェルは、相対的にある程度はそれぞれ自由に動くことができるので、両端のコネクタ間の可動性を必要程度に確保することができる。
【0023】
また、シールドシェルは金属板でできているから、機器や車両の振動等により他の部品に衝突しても損傷するおそれがない。
【0024】
また、各コネクタのコネクタハウジングには、端子を相手側コネクタの端子に接続するための操作用の開口部が設けられているので、その開口部を通して端子を相手側コネクタの端子に強固に接続することができ、高電圧回路の接続のために使用しても充分な電気接続性能を発揮することができる。また、コネクタハウジングに形成した操作用の開口部は、後からサービスカバーで塞ぐことができ、その上でシールドシェルで覆うことができるので、コネクタハウジングに開口部が設けられているものの、確実な密閉性とシールド性を保つことができる。
【0025】
また、第1のコネクタのサービスカバーにインターロック部を設けているので、第1のコネクタのサービスカバーを外した状態にすることで、端子への通電を遮断することができる。従って、高電圧回路を繋ぐ場合でも、端子の接続作業を安全に行うことができる。また、第1のコネクタのサービスカバーにインターロック部を設けているので、インターロック部を設けた第1のコネクタ側のサービスカバーを外さない限り、第1のシールドシェルが邪魔することによって、第2のコネクタのサービスカバーが外せなくなる。すなわち、第1のコネクタのサービスカバーを外したときだけ第2のコネクタのサービスカバーを外すことができ、第1のコネクタにインターロック部を設けただけでも、第2のコネクタのサービスカバーを安全に外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の第1実施形態のシールドコネクタ装置の外観斜視図である。
図2】同シールドコネクタ装置の側面図である。
図3図3(a)は図2のA部分である上側のコネクタ周辺の断面図、図3(b)は図2のB部分である下側コネクタ周辺の断面図である。
図4】本発明の第2実施形態のシールドコネクタ装置の外観斜視図である。
図5】同シールドコネクタ装置の側面図である。
図6図6(a)は図5のD部分である上側のコネクタ周辺の断面図、図6(b)は図5のE部分である下側コネクタ周辺の断面図である。
図7】従来のシールドコネクタ付き電線の外観斜視図である。
図8】同シールドコネクタ付き電線の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は第1実施形態のシールドコネクタ装置の外観斜視図、図2は同シールドコネクタ装置の側面図、図3(a)は図2のA部分である上側のコネクタ周辺の断面図、図3(b)は図2のB部分である下側コネクタ周辺の断面図である。
【0028】
第1実施形態のシールドコネクタ装置1は、図中上側の第1のコネクタ10と、図中下側の第2のコネクタ20と、第1のコネクタ10と第2のコネクタ20を繋ぐ可撓性を備えた電線40(図3参照)と、第1及び第2のコネクタ10、20と電線40とをシールドする金属板製のシールドシェル50と、から構成されている。図では、下側の第2のコネクタ20に機器側のコネクタ(待ち受けコネクタ)30が接続されている状態を示している。
【0029】
上側の第1のコネクタ10は、図1及び図3(a)に示すように、相手側コネクタの端子に接続される複数の端子(ここでは、バスバーで構成されている)16と、端子16を収容すると共に端子16を相手側コネクタの端子に接続するための操作用の開口部12が設けられた絶縁材料製のコネクタハウジング11と、端子16の接続操作後に開口部12を塞ぐようにコネクタハウジング11に装着される絶縁材料製のサービスカバー13と、から構成されている。
【0030】
コネクタハウジング11の前面(相手側コネクタのコネクタハウジングと接触する面)には、相手側コネクタに接続したときに、相手側コネクタに密着することで電気接続部分を包囲するようにシールするシール部材17が設けられている。また、サービスカバー13の外周にも、サービスカバー13を開口部12に嵌合したとき、コネクタハウジング11との隙間をシールするシール部材18が設けられている。
【0031】
また、この第1のコネクタ10のサービスカバー13には、インターロック部15が設けられている。インターロック部15は、第1のコネクタ10の端子16を開口部12を用いて相手側コネクタの端子に接続した後にサービスカバー13を開口部12を塞ぐようにコネクタハウジング11に装着した際に相手側コネクタから第1のコネクタ10の端子16への通電を許可し、サービスカバー13をコネクタハウジング11から外した際に相手側コネクタから第1のコネクタ10の端子16への通電を遮断する機能を果たす部分である。
【0032】
また、下側の第2のコネクタ20は、図3(b)に示すように、相手側コネクタ30の端子(ここでは、バスバーで構成されている)36に接続される複数の端子(ここでは、バスバーで構成されている)26と、端子26を収容すると共に端子26を相手側コネクタ30の端子36に接続するための操作用の開口部22が設けられた絶縁材料製のコネクタハウジング21と、端子26の接続操作後に開口部22を塞ぐようにコネクタハウジング21に装着される絶縁材料製のサービスカバー23と、から構成されている。
【0033】
コネクタハウジング21の前面(相手側コネクタ30のコネクタハウジング31と接触する面)には、相手側コネクタ30に接続したときに、相手側コネクタ30に密着することで電気接続部分を包囲するようにシールするシール部材27が設けられている。また、サービスカバー23の外周にも、サービスカバー23を開口部22に嵌合したとき、コネクタハウジング21との隙間をシールするシール部材28が設けられている。
【0034】
なお、この第2のコネクタ20のサービスカバー23には、インターロック部は設けられていない。
【0035】
第1のコネクタ10と第2のコネクタ20とを繋ぐ電線40は、第1のコネクタ10及び第2のコネクタ20の端子16、26に自身の導体の両端がそれぞれ接続されている。
【0036】
第1のコネクタ10と第2のコネクタ20と電線40とをシールドするシールドシェル50は、第1のコネクタ10に固定された1つの第1のシールドシェル51と、第2のコネクタ20に固定された2つの第2のシールドシェル52、53とに3分割されている。そして、分割線に沿ったシールドシェル51、52、53の周縁51a、52a、53a同士が、第1のシールドシェル51と第2のシールドシェル52、53の相対移動を可能にする隙間S〔図3(b)のC部を参照〕を持った状態で互いにラップしている。
【0037】
第1のシールドシェル51は、第1のコネクタ10のサービスカバー13にネジ61によって結合されることで、コネクタハウジング11に対するサービスカバー13の脱着と同時に第1のコネクタ10のコネクタハウジング11に対して脱着されるように構成されている。コネクタハウジング11を覆う部分の外周部にはアース端子54が設けられ、電線40を覆う部分は、深さの浅い半角筒状に形成されている。
【0038】
また、2つの第2のシールドシェル52、53のうちの下側の小さい方のシールドシェル53は、第2のコネクタ20のサービスカバー23にネジ62によって結合されることで、コネクタハウジング21に対するサービスカバー23の脱着と同時に第2のコネクタ20のコネクタハウジング21に対して脱着されるように構成されている。
【0039】
2つの第2のシールドシェル52、53は共に、コネクタハウジング21を覆う部分と電線40を覆う部分とを有しており、電線40を覆う部分は、深さの浅い半角筒状に形成されている。ここでは、一方の第2のシールドシェル52が、第1のシールドシェル51と反対側から電線40を覆うように配置され、他方の小さい方の第2のシールドシェル53が、第1のシールドシェル51と同じ側から、第1のシールドシェル51で覆えない部分の電線40を覆うように配置されている。なお、一方の第2のシールドシェル52の端部の周縁52bは、相手側コネクタ30のシールドシェル35の周縁にラップするように構成されている。
【0040】
ここで重要なことは、図3(b)のC部に示すように、第1のコネクタ10のサービスカバー13に結合された第1のシールドシェル51の周縁51aが、第2のコネクタ20のサービスカバー23に結合された第2のシールドシェル53の周縁53aの外側にラップしていることである。
【0041】
このように構成されたシールドコネクタ装置1によれば、両端の第1及び第2のコネクタ10、20とそれら両端のコネクタ10、20間を繋ぐ電線40を、シールドシェル50によって確実にシールドすることができる。
【0042】
また、第1のコネクタ10に固定された第1のシールドシェル51と第2のコネクタ20に固定された第2のシールドシェル52、53は互いに分割されているものの、分割線に沿った周縁51a、52a、53a同士が互いにラップしているので、隙間無くシールド性を確保することができ、シールド漏れ箇所を無くすことができる。
【0043】
また、第1のシールドシェル51と第2のシールドシェル52、53は、互いに結合されているわけでなく、相対的にある程度はそれぞれ自由に動くことができるものであるから、両端のコネクタ10、20間の可動性を必要程度に確保することができ、コネクタ10、20を相手側コネクタに接続する際に必要な若干の移動に支障を来すことがない。
【0044】
また、シールドシェル50は金属板でできているから、機器や車両の振動等により他の部品に衝突しても損傷するおそれがない。
【0045】
また、各コネクタ10、20のコネクタハウジング11、21には、端子16、26を相手側コネクタの端子に接続するための操作用の開口部12、22が設けられているので、その開口部12、22を通して端子16、26を相手側コネクタの端子に強固に接続することができ、高電圧回路の接続のために使用しても充分な電気接続性能を発揮することができる。また、コネクタハウジング11、21に形成した操作用の開口部12、22は、後からサービスカバー13、23で塞ぐことができ、その上で第1のシールドシェル51で覆うことができるので、コネクタハウジング11、21に開口部12、22が設けられているものの、確実な密閉性とシールド性を保つことができる。
【0046】
また、本実施形態のシールドコネクタ装置1によれば、第1のコネクタ10のサービスカバー13にインターロック部15を設けているので、第1のコネクタ10のサービスカバー13を外した状態にすることで、端子16への通電を遮断することができる。従って、高電圧回路を繋ぐ場合でも、端子16の接続作業を安全に行うことができる。
【0047】
また、第1のコネクタ10のサービスカバー13及び第2のコネクタ20のサービスカバー23にそれぞれ、第1のシールドシェル51と第2のシールドシェル52が結合されているので、サービスカバー13、23をコネクタハウジング11、21に装着することによって、サービスカバー13、23を含めた部分をシールドシェル51、53で覆うことができる。
【0048】
その際、図3(b)のC部に示すように、インターロック部15を有する第1のコネクタ10のサービスカバー13に結合された第1のシールドシェル51の方が、第2のコネクタ20のサービスカバー23に結合された第2のシールドシェル53よりも外側になるように、両シールドシェル51、53の周縁51a、53a同士をラップさせているので、インターロック部15を設けた第1のコネクタ10側の第1のシールドシェル51を外さない限り、第1のシールドシェル51が邪魔することによって、第2のコネクタ20のサービスカバー23が外せなくなる。すなわち、第1のコネクタ10のサービスカバー13を外したときだけ第2のコネクタ20のサービスカバー23を外すことができ、第1のコネクタ10にインターロック部15を設けただけでも、第2のコネクタ20のサービスカバー23を安全に外すことができる。
【0049】
ところで、この第1実施形態のシールドコネクタ装置1の場合、第2のコネクタ20のサービスカバー23に結合された第2のシールドシェル53が第1のシールドシェル51に対して可動であることによって、無理な動きが加えられることにより両シールドシェル51、53同士のラップが外れてしまい、第1のコネクタ10のサービスカバー13が外れていないにも拘わらず、第2のコネクタ20のサービスカバー23が外せてしまう可能性があり得る。
【0050】
そこで、次に述べる第2実施形態のシールドコネクタ装置は、そのような可能性をできるだけ排除できるようにしている。
【0051】
図4は第2実施形態のシールドコネクタ装置の外観斜視図、図5は同シールドコネクタ装置の側面図、図6(a)は図5のD部分である上側のコネクタ周辺の断面図、図6(b)は図5のE部分である下側コネクタ周辺の断面図である。
【0052】
第2実施形態のシールドコネクタ装置1Aは、上記第1実施形態の構成のうち、第2のシールドシェル53を無くして、その代わりを第1のシールドシェル56に一体に形成したサービスカバー覆い部57によって補うようにしたものである。従って、第2実施形態において、第1実施形態と同じ要素については同符号を付すことで、その説明は省略又は簡略化する。
【0053】
このシールドコネクタ装置1Aでは、第1のコネクタ10と第2のコネクタ20と電線40とをシールドするシールドシェル50Aは、第1のコネクタ10に固定された2つの第1のシールドシェル55、56と、第2のコネクタ20に固定された1つの第2のシールドシェル52とに3分割されている。そして、分割線に沿ったシールドシェル55、56、52の周縁56a(図において隠れているところは符号を省略)同士が、第1のシールドシェル55、56と第2のシールドシェル52の相対移動を可能にする状態で互いにラップしている。
【0054】
第1のシールドシェル55、56のうち一方の第1のシールドシェル55は、第1のコネクタ10のコネクタハウジング11の外周を覆うように構成されており、外周部のアース端子54によって相手側機器に固定されるようになっている。また、他方の第1のシールドシェル56は、サービスカバー13にネジ61によって結合されることで、コネクタハウジング11に対するサービスカバー13の脱着と同時に第1のコネクタ10のコネクタハウジング11に対して脱着されるように構成されている。この他方の第1のシールドシェル56のコネクタハウジング11を覆う部分は、一方の第1のシールドシェル55の一部に密着してラップするように構成されており、外周部に形成されたアース端子58によって相手側機器に固定されるようになっている。
【0055】
また、この他方の第1のシールドシェル56の電線40を覆う部分は、深さの浅い半角筒状に形成されており、第2のコネクタ20側に延びた先端側に、L字状に曲がったサービスカバー覆い部57を一体に有している。このサービスカバー覆い部57は、第2のコネクタ20のサービスカバー23を覆う大きさに形成されており、第2のコネクタ20のサービスカバー23に固定されているものではない。
【0056】
このように構成されたシールドコネクタ装置1Aによれば、両端の第1及び第2のコネクタ10、20とそれら両端のコネクタ10、20間を繋ぐ電線40を、シールドシェル50Aによって確実にシールドすることができる。
【0057】
また、第1のコネクタ10に固定された第1のシールドシェル55、56と第2のコネクタ20に固定された第2のシールドシェル52は互いに分割されているものの、分割線に沿った周縁同士が互いにラップしているので、隙間無くシールド性を確保することができ、シールド漏れ箇所を無くすことができる。
【0058】
また、第1のシールドシェル55、56と第2のシールドシェル52は、互いに結合されているわけでなく、相対的にある程度はそれぞれ自由に動くことができるものであるから、両端のコネクタ10、20間の可動性を必要程度に確保することができ、コネクタ10、20を相手側コネクタに接続する際に必要な若干の移動に支障を来すことがない。
【0059】
また、シールドシェル50Aは金属板でできているから、機器や車両の振動等により他の部品に衝突しても損傷するおそれがない。
【0060】
また、各コネクタ10、20のコネクタハウジング11、21には、端子16、26を相手側コネクタの端子に接続するための操作用の開口部12、22が設けられているので、その開口部12、22を通して端子16、26を相手側コネクタの端子に強固に接続することができ、高電圧回路の接続のために使用しても充分な電気接続性能を発揮することができる。また、コネクタハウジング11、21に形成した操作用の開口部12、22は、後からサービスカバー13、23で塞ぐことができ、その上で第1のシールドシェル51で覆うことができるので、コネクタハウジング11、21に開口部12、22が設けられているものの、確実な密閉性とシールド性を保つことができる。
【0061】
また、本実施形態のシールドコネクタ装置1によれば、第1のコネクタ10のサービスカバー13にインターロック部15を設けているので、第1のコネクタ10のサービスカバー13を外した状態にすることで、端子16への通電を遮断することができる。従って、高電圧回路を繋ぐ場合でも、端子16の接続作業を安全に行うことができる。すなわち、第1のコネクタ10のサービスカバー13を外したときだけ第2のコネクタ20のサービスカバー23を外すことができ、第1のコネクタ10にインターロック部15を設けただけでも、第2のコネクタ20のサービスカバー23を安全に外すことができる。
【0062】
また、第1のコネクタ10のサービスカバー13に第1のシールドシェル56が結合されていると共に、そのサービスカバー13に結合されている第1のシールドシェル56の先端に、サービスカバー13のコネクタハウジング11への装着時に第2のコネクタ20のサービスカバー23を覆う大きさのサービスカバー覆い部57が一体に形成されているので、第1のコネクタ10のサービスカバー13をコネクタハウジング11に装着することによって、当該サービスカバー13を含めた部分はもちろん、第2のコネクタ20のサービスカバー23をも同時にシールドシェル56で覆うことができる。
【0063】
その際、インターロック部15を有する第1のコネクタ10のサービスカバー13に結合された第1のシールドシェル56によって、第2のコネクタ20のサービスカバー23を覆うようにしているので、インターロック部15を設けた第1のコネクタ10側のサービスカバー13を外さない限り、第1のシールドシェル56のサービスカバー覆い部57が邪魔することによって、第2のコネクタ20のサービスカバー23が外せなくなる。特に、この第2実施形態においては、第2のコネクタ20のサービスカバー23を、第1のコネクタ10のサービスカバー13に結合された第1のシールドシェル56のサービスカバー覆い部57で覆っているので、より確実に、第1のコネクタ10のサービスカバー13を外さない限り、第2のコネクタ20のサービスカバー23を外せなくすることができる。従って、第2のコネクタ20のサービスカバー23が何らかの原因で外れてしまい端子26が露出するのを、より確実に防ぐことができ、第1実施形態よりも安全性を高めることができる。
【0064】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【符号の説明】
【0065】
1 シールドコネクタ装置
10 第1のコネクタ
11 コネクタハウジング
12 開口部
13 サービスカバー
15 インターロック部
16 端子
20 第2のコネクタ
21 コネクタハウジング
22 開口部
23 サービスカバー
26 端子
30 相手側コネクタ
36 端子
40 電線
50 シールドシェル
51 第1のシールドシェル
52,53 第2のシールドシェル
51a,52a,53a 周縁
1A シールドコネクタ装置
50A シールドシェル
55,56 第1のシールドシェル
56a 周縁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8