【実施例】
【0018】
以下に、本発明の1実施形態であるエアゾール容器用アクチュエータ100の詳細な構成および動作について、図面に基づいて説明する。
本発明の1実施形態であるエアゾール容器用アクチュエータ100は、
図1、
図2に示すように、エアゾール容器101の上方で容器のマウンティングカップ103の上部に設けられたステム102を囲んで取付けられるカバー130と、ステム102に嵌合する嵌合部111と該嵌合部111から側方に延びる吐出部112を有するノズル110と、ノズル110の上方にカバー130に対してスライド可能に設けられノズル110を下方に押圧可能な操作ボタン150とから成る。
【0019】
カバー130は、
図3、
図4に示すように、天板部131と、該天板部131部の下方に延びマウンティングカップ103に嵌合する嵌合筒部133と、天板部131部の上方に延び中央に操作ボタン150を収容可能な凹溝部134を形成する2つの突出部132とを備えている。
天板部131には、中央にステム102が露出するステム孔135が設けられ、該ステム孔135の周縁から上方に延びるようにノズル案内筒部136が設けられている。
2つの突出部132は凹溝部134を挟んで対称に形成されており、凹溝部134側の前方に前方内壁137、後方に後方内壁138が形成されている。
前方内壁137は後方内壁138に対して凹溝部134側に突出して設けられており、その段差部分に上部係合機構を構成する水平方向の上部係合段部141および上下ガイド機構を構成する垂直方向の上下スライド部143が形成されている。
後方内壁138には後方内壁開口部139が設けられ、該後方内壁開口部139の後方側に下部係合機構を構成する水平方向の下部係合段部142が形成されている。
【0020】
ノズル110は、
図5に示すように、ステム102に嵌合する外形円筒状の嵌合部111と、該嵌合部111から前方に延びる吐出部112と、嵌合部111の上方に設けられた水平平板状の押圧受板113と、嵌合部111から後方に垂直面状に延びるガイド板121とを有している。
吐出部112の先端には噴射口115が設けられ、嵌合部111と吐出部112の内部には、ステム102の先端から噴出する内容物を噴射口115まで導く導通孔114が形成されている。
ガイド板121は操作ボタン前後ガイド機構を構成するものであり、後方に向けて厚みが変化する凹凸部を構成する中央凸部122および端部凸部123が形成され、該中央凸部122と端部凸部123の間が端部凹部124を形成している。
嵌合部111は、カバー130のノズル案内筒部136と嵌合して上下褶動可能に前後左右にはガタつきなく案内される形状(本実施例では円筒形状)に形成されている。
【0021】
操作ボタン150は、
図6に示すように、ノズル110の上方および前後左右を包むような形態で、上面が操作面151である操作部152と、左右に設けられた側壁153と、前壁154と、後壁155とを備えている。
操作部152の操作面151は、操作者の指による前後へのスライド操作が容易となる前後に湾曲した形状をしており、操作部152の裏側には、ノズル110の押圧受板113を均等に押圧かつ自由に前後スライド可能とするため、前後に延びる押圧桁部157が設けられている。
前壁154には、ノズル110の噴射口115から噴射される内容物が衝突しないように切り欠かれた開口溝部158が形成されている。
【0022】
左右の側壁153は対称に形成され、左右の側壁153の外側寸法は、カバー130の凹溝部134の左右の前方内壁137の間隔とほぼ同一で、円滑にスライド可能に形成されている。
側壁153の後部下方には外方に突出するように後方凸壁156が設けられ、左右の後方凸壁156の外側寸法は、カバー130の凹溝部134の左右の後方内壁138の間隔とほぼ同一で、円滑にスライド可能に形成されている。
側壁153には、水平方向に延びるように突出し上部係合機構を構成する側方スライド片161が形成され、後方凸壁156には、水平方向に延びるように突出し下部係合機構を構成する側方ロック片162が形成されている。
本実施例では、後方凸壁156の最前方の上端から前方に突出するように側方スライド片161、側方に突出するように側方ロック片162が、ともに後方内壁138と連続して一体に形成されている。
後壁155には、操作ボタン前後ガイド機構を構成する左右2枚の挟持板163が、垂直面状に平行に前方に延びるよう設けられている。
挟持板163の前方先端部には、それぞれ対向する側に突出する端部凸部164が設けられており、2枚の挟持板163の間隔は、ノズル110のガイド板121の板厚とほぼ同じに形成されている。
本実施例では、挟持板163の上部は操作部152の下面と連続して形成されている。
【0023】
以上のように構成された本発明の1実施形態であるエアゾール容器用アクチュエータ100の動作および作用について説明する。
エアゾール容器用アクチュエータ100は、
図1および
図2に示すように、カバー130がエアゾール容器101の上部のマウンティングカップ103に取付けられ、ノズル110がカバー130の天板部131のステム孔135から露出するステム102に接続され、操作ボタン150がカバー130の凹溝部134にノズル110を囲むように挿入されることで使用可能状態に構成される。
この時、操作ボタン150の側方ロック片162はカバー130の後方内壁開口部139内に突出し、ノズル110のガイド板121は操作ボタン150の2枚の挟持板163の間に挟まれた状態となる。
【0024】
[通常噴射状態]
操作者がエアゾール容器101の内容物を通常の使用で噴射、噴射停止を行う際は、操作ボタン150とカバー130の前後位置関係を、
図7(a)乃至(d)に示す通常噴射状態として使用される。
図7(a)、(b)は操作ボタン150が下方に押圧された噴射時の状態を示し、
図7(c)、(d)は操作ボタン150が上方に復帰した噴射停止時の状態を示す。
この通常噴射状態の前後位置関係において、操作ボタン150の上部係合機構を構成する側方スライド片161は、下方に移動してもカバー130の上部係合段部141と係合しない位置にあり、操作ボタン150の上下方向への移動が阻止されないようになっている。
【0025】
また、この通常噴射状態の前後位置関係において、操作ボタン150の下部係合機構を構成する側方ロック片162も、上方に移動してもカバー130の後方内壁開口部139内においてカバー130の下部係合段部142と係合しない位置にあり、操作ボタン150の上下方向への移動が阻止されないようになっている。
なお、図示では、側方スライド片161の前方先端と、カバー130の上下スライド部143との間にわずかな間隔が開いているが、接触しながら上下動するようにして前方の上下ガイド機構を構成しても良い。
また、
図7においては図示されていないが、側方ロック片162の後方先端と、カバー130の後方内壁開口部139の後方端縁部を接触しながら上下動するようにして後方の上下ガイド機構を構成しても良い。
【0026】
この通常噴射状態における操作ボタン150とノズル110の前後位置関係を、
図8(a)、(b)に示す。
この通常噴射状態の前後位置関係において、操作ボタン前後ガイド機構を構成する操作ボタン150の挟持板163とノズル110のガイド板121の前後方向の位置関係は、挟持板163の先端に形成された端部凸部164がガイド板121の中央凸部122を挟む状態となっている。
中央凸部122は前後方向にガイド板121の厚みを一様に増すように形成されているため、この状態から前後いずれの方向であっても操作ボタン150とノズル110の前後位置関係を円滑に変更する、すなわち操作ボタン150を前後いずれにも円滑に移動させることが可能である。
【0027】
[誤噴射防止(ロック)状態]
操作者が、誤操作等でエアゾール容器101の内容物が噴射することを防止する際は、操作ボタン150とカバー130の前後位置関係を、
図7(g)、(h)に示す誤噴射防止(ロック)状態として使用される。
この誤噴射防止(ロック)状態は、前述した
図7(c)、(d)に示す操作ボタン150が上方に復帰した噴射停止時の状態から操作ボタン150を前方にスライドさせることで移行でき、この前後位置関係において、操作ボタン150の上部係合機構を構成する側方スライド片161がカバー130の上部係合段部141と係合し、操作ボタン150が下方に移動することが阻止される。
このことで、誤って操作ボタン150を押圧しても下方に移動することはなく、内容物が予期せずに噴出することが防止される。
【0028】
この誤噴射防止(ロック)状態における操作ボタン150とノズル110の前後位置関係を、
図8(c)、(d)に示す。
この誤噴射防止(ロック)状態の前後位置関係において、操作ボタン前後ガイド機構を構成する操作ボタン150の挟持板163とノズル110のガイド板121の前後方向の位置関係は、挟持板163の先端に形成された端部凸部164がガイド板121の中央凸部122より前方の厚みの小さい部分を挟む状態となっている。
この厚みの小さい部分と中央凸部122との間には段差が形成されており、挟持板163の先端に形成された端部凸部164が中央凸部122では弾性により挟み込むように形成されているため、操作ボタン150が後方スライドする際に当該段差が抵抗となる。
このことで、操作者の意図に反して誤噴射防止(ロック)状態から前述の通常噴射状態にスライドすることが防止され、確実に誤噴射防止(ロック)状態を維持することが可能となる。
【0029】
[噴射状態維持(ガス抜き)状態]
操作者が、使用済みのエアゾール容器101の内部に残存するガスを脱気する際は、操作ボタン150とカバー130の前後位置関係を、
図7(e)、(f)に示す噴射状態維持(ガス抜き)状態として使用される。
この噴射状態維持(ガス抜き)状態は、前述した
図7(a)、(b)に示す操作ボタン150が下方に押圧した噴射時の状態から操作ボタン150を後方にスライドさせることで移行でき、この前後位置関係において、操作ボタン150の下部係合機構を構成する側方ロック片162がカバー130の後方内壁開口部139の下部係合段部142と係合し、操作ボタン150が上方に移動することが阻止される。
このことで、操作者が手を離しても、操作ボタン150が下方に押圧されて内容物(残存ガス)が噴出する状態を持続できるため、容易にエアゾール容器101の内部の残存ガスを脱気することができる。
【0030】
この噴射状態維持(ガス抜き)状態における操作ボタン150とノズル110の前後位置関係を、
図8(e)、(f)に示す。
この噴射状態維持(ガス抜き)状態の前後位置関係において、操作ボタン前後ガイド機構を構成する操作ボタン150の挟持板163とノズル110のガイド板121の前後方向の位置関係は、挟持板163の先端に形成された端部凸部164がガイド板121の中央凸部122と後方の端部凸部123との間に形成された端部凹部124に嵌り込んで挟む状態となっている。
このことで挟持板163の先端に形成された端部凸部164が端部凹部124の位置で確実で固定され、確実に噴射状態維持(ガス抜き)状態を維持することが可能となる。