(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、電子機器をネットワークに接続して通信できるようにするためには、電子機器に通信デバイスまたは通信モジュールを追加した上で、電子機器の制御プログラムに外部ネットワークと通信するための通信プログラムを追加しなければならず、ハードウェアおよびソフトウェア双方の開発コストにより機器のコストが高くなってしまうという問題がある。
【0006】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、電子機器を改変することなくまたコストアップを招くことなくネットワークに接続できるようにし、これにより電子機器の状態や測定結果、表示画面データ等の機器情報を簡単に送信することができるシステムLSIを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するためにこの発明の第1の観点は、
制御部およびセグメント表示部を有する電子機器に内蔵され、この電子機器をネットワークに接続させる通信システムLSI
であって、上記
制御部から上記セグメント表示部に出力される表示信号の信号線に配線され、上記表示信号を取得する信号取得部と、所定のプログラムおよびデータを記憶する記憶部と、通信デバイスまたは
通信モジュール
に接続されるインタフェース部と、処理部とを備える。そして、
上記所定のプログラムは、当該通信システムLSIのIDを保持し、上記処理部
は、上記記憶部に記憶された所定のプログラムを実行することにより、上記信号取得部
が取得した
上記表示信号を一次解析し、この一次解析により得られた
上記セグメント表示部の各セグメントのON/OFF状態のデータを
、上記IDとともに、上記インタフェース部に接続された通信デバイスまたは通信モジュールにより上記ネットワークを介して情報処理装置へ送信し
て、当該情報処理装置に
おいて上記セグメント表示部の各セグメントのON/OFF状態により表現されている数値を取得する二次解析に供するようにしたものである。
【0008】
また、この発明の第2の観点は、
制御部およびセグメント表示部を有する電子機器に内蔵され、この電子機器をネットワークに接続させる通信システムLSI
であって、上記
制御部から上記セグメント表示部に出力される表示信号の信号線に配線され、上記表示信号を取得する信号取得部と、所定のプログラムおよびデータを記憶する記憶部と、上記ネットワークを介して通信を行う通信部と、処理部とを備える。そして
、上記所定のプログラムは、当該通信システムLSIのIDを保持し、上記処理部
は、上記記憶部に記憶された所定のプログラムを実行することにより、上記信号取得部
が取得した
上記表示信号を一次解析し、この一次解析により得られた
上記セグメント表示部の各セグメントのON/OFF状態のデータを
、上記IDとともに、上記通信部により上記ネットワークを介して情報処理装置へ送信し
て、当該情報処理装置に
おいて上記セグメント表示部の各セグメントのON/OFF状態により表現されている数値を取得する二次解析に供するようにしたものである。
【0009】
上記この発明の第1および第2の観点において、上記信号取得部は、
COM信号およびSEG信号からなる上記表示信号を取得する構成とする。
【発明の効果】
【0015】
この発明の第1の観点に係る通信システムLSIによれば、
電子機器の制御部からセグメント表示部に出力される表示信号を一次解析し、この一次解析により得られた
上記セグメント表示部の各セグメントのON/OFF状態のデータを
、上記IDとともに、上記インタフェース部に接続された通信デバイスまたは通信モジュールによりネットワークを介して情報処理装置へ送信して
上記セグメント表示部の各セグメントのON/OFF状態により表現されている数値を取得する二次解析に供する処理が、通信システムLSIの記憶部に記憶された所定のプログラムを通信システムLSIの処理部で実行することにより実現される。
【0016】
したがって、このような通信システムLSIを電子機器に
内蔵することにより、電子機器の制御プログラムにネットワーク通信機能を実装することなく、通信デバイスまたは通信モジュールのためのインタフェースまたはデバイスドライバを電子機器側に設けることなく、電子機器をネットワークに接続させることが可能となる。また、通信システムSI上では
電子機器の制御部からセグメント表示部に出力される表示信号の一次解析のみが行われ、
この一次解析により得られる上記セグメント表示部の各セグメントのON/OFF状態を表すデータと通信システムLSIのIDに基づいて、サーバやクラウドコンピュータ等の処理能力の高い情報処理装置上
において上記セグメント表示部の各セグメントのON/OFF状態により表現されている数値を取得するための二次解析が行われる。すなわち、
セグメント表示信号の解析処理が分散処理される。この結果、電子機器
内において生成されるセグメント表示信号により表される数値を効率良く解析することができる。
【0017】
また、この発明の第2の観点に係る通信システムLSIによれば、ネットワークを介して通信を行う通信部をさらに備えることで、通信デバイスまたは通信モジュールを別途用意することなく、電子機器をネットワークに接続させることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照してこの発明に係わる実施形態を説明する。
[一実施形態]
(実施例1)
図1は、この発明の一実施形態に係る通信システムLSIの実施例1の構成を示すブロック図である。
この通信システムLSI100Aは、電子機器に内蔵されることで当該電子機器をネットワークに対応させる機能を実現するものであり、CPU101、サンプリング部102、通信インタフェース部103、周辺回路104、メモリ105およびシステムバス106を有している。以下、各部について説明する。
【0022】
CPU101は中央処理ユニット(Central Processing Unit)であり、後述するメモリ105に記憶されたプログラムおよびデータを読み出して、所定の演算処理を行うことにより通信システムLSI100の各種機能を実現する部である。
【0023】
サンプリング部102は、電子機器が出力する電気信号から電子機器の状態または前記電子機器の機能した結果と対応するデータを抽出する機能を有する。このためサンプリング部102は、電子機器が出力する電気信号の種類とフォーマットに応じて、アナログ回路、ロジックICまたはこれらの組み合わせにより構成することができる。
【0024】
サンプリング部102は、例えば電子機器の制御部が出力部に対して発する電気信号からデータを抽出する構成とすることができる。電子機器の出力部には、電子機器の状態または電子機器の機能した結果が表示されることが通常であるから、制御部が出力部に対して発する電気信号からこれらに対応したデータを抽出することが可能である。
【0025】
この場合に、出力部がセグメント液晶表示器である場合には、電気信号を解析して各セグメント液晶のON/OFF状態を取得するように構成することができる。出力部がLED表示器である場合も同様である。また、出力部がビットマップ液晶表示器である場合には、電気信号を解析して液晶表示器に表示している画面の情報を取得するように構成することができる。
【0026】
通信インタフェース部103は、3Gモデム、PHSモデム、WiFi(登録商標)アダプタ、Bluetooth(登録商標)アダプタ等の通信デバイスを接続するためのインタフェースである。
周辺回路104は、タイマ、クロック、割り込み回路、DMA、DA/ADコンバータ等の各種機能を提供する回路を含んでいる。
【0027】
メモリ105は、CPU101で実行するプログラムおよび読み出されるデータを格納した不揮発性かつ書き換え不可能なROM1051と、同じく不揮発性で書き換え可能なFlashROM1053と、CPU101がプログラム実行時に使用する揮発性のRAM1052とから構成されている。ROM1051およびFlashROM1053に格納されたプログラムの詳細については後述する。システムバス106は、上記各部を結んで互いに通信する機能を提供する部である。
【0028】
以上のように構成された通信システムLSI100Aは、インタフェース部103に通信デバイスを接続された状態で電子機器に内蔵され、サンプリング部102が所定の電気信号を取得できるように配線した状態で、メモリ105に格納されたプログラムをCPU101で実行することにより、後述する動作を実行するものである。
【0029】
(実施例2)
図2は、この発明の一実施形態に係る通信システムLSIの実施例2の構成を示すブロック図である。同図において、
図1と同一部分には同一符号を付して詳しい説明は省略する。
この実施例2に係る通信システムLSI100Bは、
図1に示した通信システムLSI100Aにおける通信インタフェース部103に代えて、無線通信モデムである通信部110をLSI上に実装したものである。
このような通信システムLSI100Bは、そのまま電子機器に内蔵され、サンプリング部102が所定の電気信号を取得できるように配線した状態で、メモリ105に格納されたプログラムをCPU101で実行することにより、後述する動作を実行する。
【0030】
(実施例3)
図3は、この発明の一実施形態に係る通信システムLSIの実施例3の構成を示すブロック図である。同図において、
図1及び
図2と同一部分には同一符号を付して詳しい説明は省略する。
この実施例3に係る通信システムLSI100Cは、
図1及び
図2に示したサンプリング部102に代えて、入力インタフェース部111を設けたものである。入力インタフェース部111は、電子機器からUART、I3C、SPI形式等のシリアル方式または独自方式で出力されたデータを受けるインタフェースである。
【0031】
この通信システムLSI100Cにおいては、入力インタフェース部111で受けたデータは所定のプログラムを実行するCPU101によって一次解析される。すなわち、データ出力の方式に応じた方法により、電子機器の状態または電子機器の機能した結果を示すデータが電子機器の出力データから抽出される。抽出されたデータは、前述の通信システムLSI100Bと同様に通信部103から送信され、後述するようにサーバまたはクラウドコンピュータ上で二次解析されて電子機器の状態または電子機器の機能した結果が取得される。
【0032】
このような通信システムLSI100Cは、そのまま電子機器に内蔵され、電子機器に既存するデータ出力部または新たに設けられたデータ出力部からの出力が入力インタフェース部111に入力されるように配線した状態で、メモリ105に格納されたプログラムをCPU101で実行することにより、後述する動作を実行する。
【0033】
図4は、
図1に示した通信システムLSI100Aのメモリ105に格納されたプログラムのソフトウェアブロック図である。このプログラム150は、RTOS(Real-Time Operating System)151と、インタフェースドライバ152と、モデム制御153と、プロトコルスタック154と、ネットワーククライアント155と、メイン制御156とを有している。
【0034】
RTOS101は、通信システムLSI100Aにコンピュータとしての基本的な機能を提供すると共に、処理時間が一定範囲内となることが予測可能なソフトウェア実行環境を提供する。インタフェースドライバ152は、通信インタフェース部103を利用するための機能を提供する。モデム制御プログラム133は、通信インタフェース部103に接続された無線モデムを制御して通信するための機能を提供する。プロトコルスタック154は、PPP(Point-to-Point Protocol)、IP(Internet Protocol)、TCP(Transmission Control Protocol)、UDP(User Datagram Protocol)、Socket及びDNSといった各種通信プロトコルのうち通信システムLSI100Aが必要なモジュールから構成される。ネットワーククライアント155は、メイン制御プログラム150にプロトコルスタック154およびモデム制御プログラム153を利用してネットワーク通信を行う機能を提供するものである。そしてメイン制御プログラム156は、通信システムLSI100Aを制御して後述する動作を実現するためのソフトウェアであり、通信システムLSI100AのID番号、データを送信するサーバやクラウドのアドレス情報および認証情報等が保持されている。
【0035】
ここで、
図2に示した通信システムLSI100Bのプログラムについては、インタフェースドライバ152ではなく、通信部110の実装に応じたソフトウェアを用いればよい。さらに
図3に示した通信システムLSI100Cの場合は、それらに加えて電子機器が出力したデータから電子機器の状態または電子機器の動作結果を示すデータを抽出するための機能をメイン制御プログラムに実装する必要がある。
【0036】
以上詳細に説明したように、
図1に示した通信システムLSI100Aは、通信インタフェース部103にモデムを接続することにより、また
図2に示した通信システム100Bはそのままの状態で、電子機器が発する電気信号を取得して電子機器の状態または電子機器の機能した結果に対応したデータを抽出し、ネットワークに送信する機能を実現する。したがって、電子機器をネットワーク対応させる際に通信システムLSI100Aまたは100B以外のハードウェアおよびソフトウェアは必要がなく、既存の電子機器をそのままネットワークに接続させることができる。
【0037】
これに対し、
図3に示した通信システムLSI100Cでは、電子機器にデータ出力機能を追加するという最低限の開発を行う必要はあるが、それ以上の開発コストは必要なく、最小限のコストで電子機器をネットワークに対応させることができる。
【0038】
以下、この発明の通信システムLSIを適用することにより電子機器をネットワークに対応させた例を、ネットワーク対応した電子機器を利用した情報システムの例とともに説明する。
【0039】
[適用例1]
図5は、バーコードリーダ200のブロック図である。このバーコードリーダ200は、筐体に設けられた読取開口部201と、前記読取開口部201を介してバーコード210を読み取るイメージセンサ202と、各部の動作を制御する制御部203と、認識結果等を表示する表示部204と、読み取ったバーコード210をデコードするデコード部205と、ユーザの操作を受け付ける操作部206と、認識結果をPC等にシリアル出力するシリアル出力部207とを有している。
【0040】
図6は、
図5に示したバーコードリーダ200のシリアル出力207に代えて通信システムLSI100Cを設けることによりネットワークに対応したバーコードリーダ200Bのブロック図である。このような構成とするにあたり、通信システムLSI100Cは、制御部203のシリアル出力の方式とデータ形式に対応するようにメイン制御156が調整されており、制御部203のシリアル出力が通信システムLSI100Cの入力インタフェース部111に入力されるように配線がなされている。
【0041】
図7は、このようなバーコードリーダ200Bが認識した結果をネットワーク上に蓄積し、閲覧できるようにしたシステム300の概要図である。システム300は、主として、この発明の一実施形態に係る通信システムLSIを搭載したバーコードリーダ等の電子機器と、通信端末315と、基地局311,312、ならびにゲートウェイ313を有する無線ネットワーク310と、無線ネットワーク310とゲートウェイ313を介して接続されたインターネット320と、それぞれインターネットに接続して構成されたクラウドネットワーク321およびサービスサーバ326とを有している。
【0042】
また、クラウドネットワーク321は、クラウドコンピュータ構成するもので、通信システムLSIから送信されたデータを受け付けるデータ受付部322と、受け付けたデータから電子機器の状態または電子機器の動作結果を求めてデータストア部325に保存するデータ二次解析部323と、外部からのアクセスに応じて所定のデータをデータアクセス部324とを有している。
【0043】
図8は、
図7に示したシステム300において、バーコードリーダ200Bで認識したコードを通信システムLSI100Cによりクラウドネットワーク321へ送信し、クラウドネットワーク321上で認識された物品の情報を蓄積する動作の手順と処理内容を示すフローチャートである。
【0044】
この動作は、まず、ユーザがバーコードリーダ200Bの操作部206を操作してバーコード読み取りを指示し(ステップST101)、操作部206は制御部203に対してユーザ操作に応じた信号を発する。この信号に応じて制御部203はイメージセンサ202を制御して読取開口部201を介してバーコード210を読み取る(ステップST102)。続いて制御部203は読み取ったバーコード210のイメージをデコード部205に渡して、読み取ったバーコードをデコード部205でデコードし(ステップST103)、デコードした結果を通信システムLSI100Cにシリアル出力する(ステップST104)。
【0045】
ステップST104でなされたシリアル出力は通信システムLSI100Cの入力インタフェース部111で受け付けられ(ステップST105)、通信システムLSI100CのCPU101が所定のプログラムを実行することにより受け付けたデータからデコード結果のコードを取り出す(ステップST106)。すなわち、バーコードリーダ200Bに内蔵された通信システムLSI100Cには、バーコードリーダ200Bがシリアル出力するデータの出力方式およびデータフォーマットに基づいて、該データからデコード結果のコードを取り出すためのプログラムが実装されている。ステップST106に続いて、通信システムLSI100CのCPU101は所定のプログラムを実行することにより、取り出したコードを自己のID(通信システムLSI100Cのメイン制御156に含まれている)とともにクラウドネットワーク321に送信する(ステップST107)。
【0046】
ステップST107で通信システムLSI100Cから送信されたコードおよびIDは、クラウドネットワーク321上に構築されたデータ受付部322によって受信される(ステップST108)。データ受付部322によって受信されたデータは、二次解析部323に引き渡されてコードの指す商品名を特定する(ステップST109)。
【0047】
すなわち、二次解析部322は、JANコードのように商品識別に利用されるコードと該コードで識別される商品との対応関係を内部的または外部的に認識可能に構成されており、これによりコードの情報からコードの指す商品名を特定することが可能となっている。ステップST109で商品名を特定すると、データストア部324に特定された商品名を通信システムLSI100CのIDとともに保存する(ステップST110)。
【0048】
以上のような動作によりバーコードリーダ200Bの機能により認識した結果は、クラウドネットワーク321上のデータストア部325に蓄積される。さらに、クラウドネットワーク321上には、クラウドネットワーク321の外からデータストア部325の内容にアクセスするためのデータアクセス部324が設けられている。
【0049】
例えばスマートホン315からサービスサーバ326に対してバーコードリーダ200Bに内蔵された通信システムLSI100CのIDを指定することにより、サービスサーバ326はデータアクセス部324に対して当該IDに係るバーコードリーダ200Bの認識した商品名の履歴を要求し、当該履歴の情報を取得してスマートホン315の閲覧に供することができる。
【0050】
[適用例2]
図9は、この発明の通信システムLSI100Bを適用することによりネットワークに対応したワットメータ350のブロック図である。このワットメータ350は、家庭用コンセントに差し込まれるプラグ部351と、電子機器の電源プラグが差し込まれるコンセント部352と、それぞれプラグ部351およびコンセント部352を接続する電力供給経路353と、電力供給経路353に設けられた抵抗354と、抵抗354両端の電圧を検出する電流検出部355と、電力供給経路353間の電圧を検出する電圧検出部356と、電流検出部355および電圧検出部356の出力を受けてセグメント表示部358に表示信号を出力する制御部357と、制御部357からの表示信号に応じて表示を行うセグメント表示部358と、制御部357からセグメント表示部358に発された表示信号をサンプリング部102で取得できるように配線された通信システムLSI100Bとから構成されている。
図10はセグメント表示部358の表示面を示す図面であり、7セグ表示で4桁の数字および小数点が表示されるように構成されている。
【0051】
以上のように構成されたワットメータ350は、プラグ部351を家庭用コンセントに差し込んだ状態で、電子機器の電源プラグ352をコンセント部352に差し込むことにより、当該電子機器に電力を供給しつつその電流量および電圧量を検出して消費電力を求め、セグメント表示器358に該消費電力を表示する機能を実現する。
【0052】
上記のようにネットワーク対応したワットメータ350を利用した情報システムの構成は、
図7に示したものと同様であるため、説明を省略する。
【0053】
図11は、[適用例1]と同様に構成した情報システムにおいて、ワットメータ350が機能した結果として得られた消費電力量をクラウドへ送信し、クラウド上で得られた消費電力量を蓄積する動作の手順と処理内容を示すフローチャートである。
【0054】
この動作は、プラグ部351を家庭用コンセントに、電子機器の電源プラグ352をコンセント部352にそれぞれ差し込んだ状態で電子機器を駆動している状態で、まず、電流検出部355が電流値を検出し(ステップST101)、電圧検出部356が電圧値を検出する(ステップST102)。次いで、これらの値から制御部357が消費電力量を算出し、算出値に応じた表示がなされるようにセグメント表示部358に表示信号を出力する(ステップST103)。ワットメータ350側では続いてセグメント表示部358が表示信号に従って、各セグメントをON/OFFして現在の消費電力量を表示する(ステップST104)。
【0055】
一方、制御部357からセグメント異表示部358に対して発光される表示信号は通信システムLSI100Bのサンプリング部102にも取得され(ステップST105)、サンプリング部102は取得した表示信号を解析して各セグメント液晶のON/OFF状態の情報を得る(ステップST106)。
【0056】
サンプリング部102が表示信号を解析する方法は、ワットメータ350の制御部357がセグメント表示部358に対して発行する信号の態様に応じて様々であるが、以下に一例を述べる。
【0057】
セグメント表示部358に対して出力される表示信号の方式として、信号線をCOM信号とSEG信号とに分けて、COM信号によりSEG信号を解釈することにより各セグメント液晶のON/OFFを制御するものがある。このような方式ではCOM信号線数×SEG信号線数だけのセグメント液晶についてON/OFFを制御することが可能である。このような方式の表示信号は、COM信号毎にSEG信号を解釈する処理をCOM信号の数だけ繰り返すことにより、各セグメント液晶のON/OFF状態を知ることができる。
【0058】
続いて、得られた各セグメント液晶のON/OFF状態の情報を、自己のID(通信システムLSI100Bのメイン制御156に含まれている)とともにクラウドへ送信する(ステップST107)。
ステップST107において、通信システムLSI100Bから送信された各セグメント液晶のON/OFF状態の情報およびIDは、クラウドネットワーク上に構築されたデータ受付部322によって受信される(ステップST108)。データ受付部322によって受信されたデータは、二次解析部323に引き渡され、各セグメント液晶のON/OFF状態の情報から消費電力量の数値が取得される(ステップST109)。
【0059】
すなわち、二次解析部322は、各セグメント液晶のON/OFF状態と当該ON/OFF状態により表現されている数値との対応関係を内部的または外部的に認識可能に構成されており、これにより各セグメント液晶のON/OFF状態の情報から消費電力量の数値が取得可能となっている。ステップST109で消費電力量の数値を取得すると、データストア部324に取得された消費電力量の数値を通信システムLSI100BのIDとともに保存する(ステップST110)。
【0060】
以上のような動作を繰り返すことにより、ワットメータ350の機能により計測された消費電力量をクラウドネットワーク321上のデータストア部325に蓄積される。さらに、クラウドネットワーク321上には、クラウドネットワーク321の外からデータストア部325の内容にアクセスするためのデータアクセス部324が設けられている。例えばスマートホン315からサービスサーバ326に対してワットメータ350に内蔵された通信システムLSI100BのIDを指定することにより、サービスサーバ326はデータアクセス部324に対して当該IDに係るワットメータ350の認識した消費電力量の履歴を要求し、当該履歴の情報を取得してスマートホン315の閲覧に供することができる。
【0061】
上記適用例1に示したように、シリアル出力機能を有するバーコードリーダ200Aのシリアル出力部に代えてこの発明の通信システムLSI100Cを適用することにより、バーコードリーダ200Aの制御プログラムに手を加えることなくネットワークに対応したバーコードリーダ200Bを得ることができ、またバーコードリーダ200Bを利用した情報システムを構築することが可能である。
【0062】
また、上記適用例2に示されたように、セグメント表示部358で計測結果を表示するワットメータ350の制御部357がセグメント表示部358に出力した表示信号を、通信システムLSI100Bのサンプリング部102で取得できるようにすることで、ワットメータ350の制御プログラムに手を加えることなくネットワークに対応させることができる。また、ネットワーク対応したワットメータ350を利用した情報システムを構築することが可能である。さらに、いずれの適用例においても、通信システムLSI100Bおよび100C以外のハードウェアを追加することなく、電子機器のネットワーク対応を実現可能である。
【0063】
[その他の実施形態]
例えば、前記一実施形態では周辺回路を通信システムLSIに内蔵した場合を示したが、周辺回路の一部または全部を通信システムLSIの外部に設ける構成としても構わない。また、通信システムLSIを適用する機器も上記に限られるものではなく、広く適用することが可能である。さらに、情報システム300においてクラウドネットワーク321上にデータ受付部322、データ二次解析部323およびデータアクセス部324を設けることも必須ではなく、特定のサーバ上に各部を設ける構成としても構わない。
【0064】
要するにこの発明は、上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、各実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。