【実施例1】
【0025】
本発明に係る上下二槽型の貯水槽(以下貯水槽ともいう)1は、例えば
図1、
図3に示すように、平面視で、後述する単位貯水槽2の延長方向(前後方向)F1に長い長方形状に構成されており、
図4〜8に示すように、中間仕切り部3によって上の貯水槽部5と下の貯水槽部6とに上下に分割されている。そして該貯水槽1は、
図2に示すように、プレキャストコンクリート製の内壁支柱部材7と、プレキャストコンクリート製の外壁支柱部材9と、該内壁支柱部材7と該外壁支柱部材9の上下方向の中間部位置に配設されて前記中間仕切り部3を構成するプレキャストコンクリート製の中間スラブ10と、該内壁支柱部材7と該外壁支柱部材9の上部に配設されて貯水槽頂板部11を構成するプレキャストコンクリート製の上部スラブ12とを具えている。
【0026】
前記内壁支柱部材7は、本実施例においては
図5〜8、
図10に示すように、その全てが、全体が一体に形成されている。そして、その左右の立面13,14の上下方向の中間部に、前記中間スラブ10の長さ方向の縁部分20を下方から支持する中間受部21,21(以下、第1の中間受部21a,21aともいう)が設けられると共に、該左右の立面13,14の上部には、前記上部スラブ12の長さ方向の縁部分27,27を下方から支持する上部受部25,25(以下、第1の上部受部25a,25aともいう)が設けられている。
【0027】
又、前記外壁支柱部材9には、
図14〜16に示すような、全体が一体に形成された一体型の外壁支柱部材9Aと、
図17に示すような、上下二分割型の外壁支柱部材9Bがある。
【0028】
そして、前記内壁支柱部材7は、
図2〜6、
図10、
図25に示すように、その前後の立面29,30としての継手面部31,31相互を当接状態にして1列に並設されることにより内壁支柱部材列32を構成でき、該内壁支柱部材列32が左右方向に所要間隔で並列されることにより内壁支柱部材列並列体33を構成できる。
前記外壁支柱部材9は、
図2〜3、
図14に示すように、該内壁支柱部材列並列体33を構成する両外端の内壁支柱部材列32a,32aの外方側において該内壁支柱部材列32a,32aと所要間隔を隔てて、両端の立面35,36としての継手面部37,37相互を当接状態にして並設されることにより外壁支柱部材列39,39を構成できる。又、
図1〜3に示すように、後述する単位貯水槽並列体34(
図3)の両端部38,38が端面板部18,18で覆われるようになされている。
【0029】
又、前記中間スラブ10が、
図6、
図2〜3、
図5〜6に示すように、同一高さで対向する前記第1の中間受部21a,21a間に、本実施例においてはその側部41,41相互を当接状態にして架設(
図3)されると共に、同一高さにある前記第1の中間受部21aと前記第2の中間受部21b間に、本実施例においてはその側部41,41相互を当接状態にして架設されることによって、前記中間仕切り部3が構成される如くなされている。そして前記上部スラブ12が、同一高さで対向する後述の第1の上部受部25a,25a間に、側部42,42相互を当接状態にして架設(
図2)されると共に、同一高さにある後述の第1の上部受部25aと後述の第2の上部受部25b間に、側部42,42相互を当接状態にして架設されることによって、
図2に示す貯水槽頂板部11が構成される如くなされている。
【0030】
かかる構成を有する上下二槽型の貯水槽1は、
図2、
図4に示すように、隣り合う内壁支柱部材列32,32間及び、両外端の内壁支柱部材列32aとこれと対向する外壁支柱部材列39との間に単位貯水槽2が構成されて、単位貯水槽並列体34が構成されている。そして、各単位貯水槽2は、前記中間仕切り部3によって下の単位貯水槽部43と上の単位貯水槽部45に二分割されている。又、
図4、
図8に示すように、前記下の貯水槽部6と前記上の貯水槽部5にあって、隣り合う下の単位貯水槽部43,43相互、隣り合う上の単位貯水槽部45,45相互が、夫々、前記内壁支柱部材列32の上下に適宜設けた上下の連通開口部46,47で連通されている。該上下の連通開口部46,47は、
図4においては、内壁支柱部材列32の長さ方向の両側部分と中央部分に設けられている。該上下の連通開口部46,47は、
図8に矢印で示すように、隣り合う下の単位貯水槽部43,43相互、隣り合う上の単位貯水槽部45,45相互で水を行き来させると共に、貯水槽1の内部を清掃する際に作業者や作業機の出入りを可能とする出入り用開口部としても機能する。
【0031】
以下、かかる構成を有する上下二槽型の貯水槽1を具体的に説明する。先ず前記内壁支柱部材7の構成を具体的に説明する。該内壁支柱部材7は
図10に示すように、上下方向に長い矩形板状を呈する一体物の立壁部53の左右の立面13,14の上部と下部に、両側に張り出すように上の突出部88,88、下の突出部56,56が突設され、又、左右の立面13,14の中間部には中間の突出部55,55が逆向きに突設されている。
【0032】
前記左右の上の突出部88,88の上面部86,86は面一の水平面(上の水平載置面92,92)として形成されており、該上の突出部88,88の下面は、外方に向けて上方に傾斜する傾斜面89,89として形成されると共に、その上端縁90,90には垂直面91,91が連設されている。
【0033】
又、前記左右の下の突出部56,56の上面は、外方に向けて下方に傾斜する傾斜面57,57として形成されると共に、その下端縁59,59に垂直面60,60が連設されており、これによって内壁支柱部材7の下縁部分には、前後方向で見て山型状を呈する台座部61が設けられている。本実施例においては、前記垂直面60の上下方向の中央部位において、前後方向に延長する台形溝部62,62が左右対向状態で設けられている。
【0034】
前記左右の中間の突出部55,55の夫々は、
図10に示すように、その下面が、外方に向けて上方に傾斜する傾斜面63,63として形成されると共に、その上端縁65,65には垂直面66,66が連設されている。そして該垂直面66,66の上端縁64,64には、前記中間スラブ10の長さ方向の縁部分20を下方から支持する前記中間受部21,21(第1の中間受部21a,21a)の水平な上面(下の水平載置面75,75)が連設されている。該下の水平載置面75,75には、
図11に示すように、前記中間スラブ10の縁部分20を接合するための接合用ボルト76の下縁部分77がねじ込まれるインサート79が、前後方向に所要間隔で埋設されている。本実施例においては、
図10に示すように、該下の水平載置面75の両端側部分と中央部分の3箇所で埋設されている。
【0035】
かかる構成を有する内壁支柱部材7の上下高さは例えば7550mmに設定される。又、前記下の水平載置面75の、内壁支柱部材7の下面112からの高さは、例えば3550mmに設定されると共に、前記上の水平載置面92の、内壁支柱部材7の下面112からの高さは、例えば7550mmに設定される。そして、内壁支柱部材7の水平な下面112(
図10)の左右幅は例えば1000mmで、その水平な上面111(
図10)の左右幅は例えば900mmに設定されている。又、かかる構成を有する内壁支柱部材7の前後方向の長さは、構築すべき貯水槽の容量を考慮して2種類とされ、例えば1500mmのものと1000mmのものである。
【0036】
図12は、前記上下の連通開口部46,47を構成するための上下の側部欠切部80a,80bが設けられてなる内壁支柱部材7,7を示しており、
図13は、隣り合う側部欠切部80a,80a、80b,80bの合致によって上下の連通開口部46,47が構成された場合を示している。
【0037】
次に、前記外壁支柱部材9の構成を具体的に説明する。前記貯水槽1を構成する外壁支柱部材9には、前記したように、一体型の外壁支柱部材9Aと上下二分割型の外壁支柱部材9Bがある。該一体型の外壁支柱部材9Aとして構成されているのは、前記外壁支柱部材列39を構成する全て外壁支柱部材9A1(
図9、
図14)と、貯水槽隅部114で立設される(即ち、前記外壁支柱部材列39,39の両端部38,38、38,38で立設される)隅部の外壁支柱部材9A2(
図15)と、前記内壁支柱部材列32の両端部に当接状態で立設される列端の外壁支柱部材9A3(
図16)である。又、前記上下分割形の外壁支柱部材9Bとして構成されているのは、前記隅部の外壁支柱部材9A2と前記列端の外壁支柱部材9A3との間8A(
図24)、及び、隣り合う列端の外壁支柱部材9A2間8B(
図24)に配設される中間の外壁支柱部材9B1(
図17)である。
【0038】
前記外壁支柱部材9A1は、
図9、
図14に示すように、上下方向に長い矩形板状を呈する一体物の立壁部113の内側の立面(前記貯水槽の内部側に位置する立面)26の上部と下部に上下の突出部115,116が突設され、又、該内側の立面26の中間部には中間の突出部119が突設されており、全体として、縦断面がE字状に形成されている。そして、その上面120と下面121が水平面に形成されると共に、前記立壁部113の両端の垂直な立面122,123が継手面部125,125とされている。
【0039】
該下の突出部116は、その上面が、内方に向けて下方に傾斜する傾斜面126として形成されると共にその下端縁127に垂直面129が連設されており、台座部128を構成する。本実施例においては、該垂直面129の上下方向の中央部分において、前後方向に延長する台形溝部130が設けられている。
【0040】
又前記上の突出部115は、その下面が、内方に向けて上方に傾斜する傾斜面131として形成されると共に、その上端縁132には垂直面133が連設されている。該上の突出部115は、前記上部スラブ12の幅方向の縁部分27を下方から支持する前記上部受部(第2の上部受部25b)25を構成し、その上面は上の水平載置面135とされており、該上の水平載置面135は、前記第1の上部受部25aの上の水平載置面92と同高さに設定されている。
【0041】
又前記中間の突出部119は、その下面が、内方に向けて上方に傾斜する傾斜面136として形成されると共にその上端縁137に垂直面139が連設され、その上端縁137には、前記内側の立面26に向かう水平面140が連設されている。該中間の突出部119は、前記中間スラブ10の長さ方向の縁部分20を下方から支持する前記中間受部(第2の中間受部21b)21を構成し、その上面は下の水平載置面141を構成しており、前記第1の中間受部21aの前記下の水平載置面75と同高さに設定されている。
【0042】
前記隅部の外壁支柱部材9A2は、
図2に示すように、貯水槽隅部114に配設されるものであり、
図15に示すように、横断面L字状を呈する、上下方向に長い一体物の立壁部142の内側の立面26の上部と上下方向の中間部と下部の夫々に、上の突出部143と中間の突出部145と下の突出部146が突設され、上面147と下面149は水平面に形成され、両端の垂直な立面が継手面部125,125とされている。
【0043】
そして、該下の突出部146によって台座部128が形成されており、前記中間の突出部145は、平面視でL字状を呈している。又、前記上の突出部143は平面視でL字状を呈している。又、前記中間の突出部145は、前記中間スラブ10の縁部分(コーナ部分)20を下方から支持する前記中間受部(第2の中間受部21b)21を構成しており、その水平面は下の水平載置面141とされている。そして、該下の水平載置面141は前記第1の中間受部21aの下の水平載置面75と同高さに設定されている。又、上の突出部143は、前記上部スラブ12の縁部分(コーナ部分)27を下方から支持する前記第2の上部受部25bとされており、その水平な上面が上の水平載置面135とされている。該上の水平載置面135は、前記第1の上部受部25aの上の水平載置面92と同高さにある。
【0044】
前記列端の外壁支柱部材9A3は、
図16に示すように、上下方向に長く一体に形成された矩形板部155の内側の立面26の幅方向の中央部分に、上下方向に連続する継手突条部156を一体に突設してなるT字状を呈する立壁部157を具えている。そして、該継手突条部156と該矩形板部155とが構成する左右の入隅部分159,159を仕切るように、該T字状の立壁部157の下部の左右に下の突出部160,160が設けられると共に、該T字状の立壁部157の上下方向の中間部に左右の中間の突出部161,161が突設されており、又、該T字状の立壁部157の上部に、左右の上の突出部162,162が突設されている。
【0045】
これによって、該列端の外壁支柱部材9A3は、
図16に示すように、その両端の垂直な立面が継手面部125,125とされると共に、前記継手突条部156の垂直な先端面が、前記内壁支柱部材列32の垂直な端面167に当接し得る垂直な継手面部125とされている。
【0046】
前記左右の下の突出部160,160は、列端の外壁支柱部材9A3の台座部128を構成する。そして、前記左右の中間の突出部161,161は、前記第2の中間受部21b,21bを構成しており、その水平な上面は、前記中間スラブ10の縁部分20(コーナ部分)を載置する下の水平載置面141とされている。該下の水平載置面141は、前記第1の中間受部21aの下の水平載置面75と同高さに設定されている。
【0047】
又、前記左右の上の突出部162,162は、前記第2の上部受部25b,25bを構成しており、その水平な上面は、前記上部スラブ12の縁部分27(コーナ部分)を載置する上の水平載置面135とされている。該上の水平載置面135は、前記第1の上部受部25aの上の水平載置面92と同高さに設定されている。
【0048】
前記中間の外壁支柱部材9B1は、
図17〜18に示すように、上下二分割型のものであり、下支柱部材15の上端16に上支柱部材17を立設状態に連結して構成される。該下支柱部材15は
図18(A)に示すように、横断面がコ字状に形成されており、その上面部48とその下面部49は水平面に形成され、その両端(左右)の垂直な立面が下の継手面部31a,31aとされている。そして、前記下支柱部材15の上端部分44には支持台部50が上方に向けて突設されており、該支持台部50の上端面51としての前記上端16に前記上支柱部材17が立設状態に連結される如くなされている。又、前記下支柱部材15の上端部分44の内の前記支持台部50よりも前記貯水槽の内部側に位置する部分には、
図18(A)、
図19(B)に示すように、前記中間スラブ10の幅方向の縁部分71を下方から支持する中間受部163が設けられており、前記支持台部50の上端面51は、
図19に示すように、該中間受部163で支持された状態にある該縁部分71の上面52よりも稍下方に位置するようになされている。
【0049】
該下支柱部材15はより具体的には、
図17〜18に示すように、矩形板状を呈する下の立壁部54の内側の立面(前記貯水槽の内部側に位置する立面)19の上部分に、上の突出部22が突設されると共に、該内側の立面19の下部分に下の突出部23が突設されている。該下の突出部23の上面は、外方に向けて下方に傾斜する傾斜面24として形成されると共に、その下端縁28に垂直面58が連設されており、これによって、下支柱部材15の下縁部分には、前後方向で見て山形状を呈する台座部128が設けられている。本実施例においては、前記垂直面58の上下方向の中央部位において、前後方向に延長する台形溝部130が設けられている。
【0050】
又、前記上の突出部22は、本実施例においては
図17〜18に示すように、その下面が、外方に向けて上方に傾斜する傾斜面67として形成されると共に、その上端縁68には垂直面69が連設されており、該垂直面69の上縁70で、前記下の水平載置面75と同高さで上面(下の水平載置面)141が連設されており、該下の水平載置面141は、
図19(B)に示すように、前記中間スラブ10の幅方向の縁部分71を下方から支持する。そして、該下の水平載置面141に隣接させて前記支持台部50が上方に向けて突設されている。
【0051】
本実施例においては、該支持台部50の左右の側面73,74は垂直面として構成されており、前記下の立壁部54の両端(左右)の垂直な立面78,81の上部分を構成している。又、該支持台部50の前後の側面82,83は垂直面として形成されており、該前の側面82と前記上面(下の水平載置面)141は直角を呈している。そして、該後の側面83は、前記下の立壁部54の、前記内側の立面19と対向する外側の立面84の上部分を構成している。又、前記支持台部50の上端面51は水平面として形成されている。そして、前記下の水平載置面141には、
図7、
図18、
図20に示すように、前記中間スラブ10の側縁部分71を接合するための接合用ボルト76(
図19)の下縁部分77がねじ込まれるインサート79が、左右方向に所要間隔で埋設されている。本実施例においては、
図18(A)に示すように、該下の水平載置面141の両端側部分と中央部分の3箇所で埋設されている。
【0052】
又、前記支持台部50には、
図18(A)、
図20に示すように、その上端面51で開放された上端開放のスリーブ85の多数個が埋設されている。該スリーブ85は、本実施例においては
図18(A)に示すように、該上端面51の左右両側に位置させて、前後方向に所要間隔で設けられている。
【0053】
一方、前記上支柱部材17は、
図17〜18に示すように、矩形板状を呈する上の立壁部93の内側の立面(前記貯水槽の内部側に位置する内側の立面)94の上部に上の突出部95が突設されてなる横断面が逆L字状に構成されており、その上面部96と下面部97は水平面に形成されている。そして、該上の立壁部93の左右の垂直な立面が上の継手面部31b,31bとされている。又、該上の突出部95の下面は、外方に向けて上方に傾斜する傾斜面100として形成されると共に、その上端縁101には垂直面102が連設されている。
【0054】
本実施例においては、
図17〜18に示すように、前記上の立壁部93の前記下面部97の左右幅は前記支持台部50の水平な上端面51の左右幅に等しく設定されている。そして、該下端面97には、
図18(B)に示すように、前記の各スリーブ85に挿入される垂直接合筋103が下方向に突設されている。該垂直接合筋103の径は例えば22mmに設定されると共に、前記スリーブ85の挿入孔87(
図20)の孔径は例えば35mmに設定されている。そして前記上の突出部95は、
図19(A)に示すように、前記上部スラブ12の幅方向の縁部分164を下方から支持する上部受部165を構成しており、その上面は、前記上の水平載置面92と同高さである、上の水平載置面166とされている。
【0055】
該上の水平載置面166には、
図17〜18、
図19(A)に示すように、前記上部スラブ12の縁部分164を接合するための接合用ボルト76の下縁部分77がねじ込まれるインサート79が、前後方向に所要間隔で埋設されている。本実施例においては、
図17〜18に示すように、該上の水平載置面166の両端側部分と中央部分の3箇所で埋設されている。
【0056】
然して
図17に示すように、該上支柱部材17の下面部97を前記支持台部50の水平な上端面51に位置合わせして載置することにより、前記中間の外壁支柱部材9B1を構成できる。この載置に際しては、例えば
図20に示すように前記の各スリーブ85の挿入孔87内に予め、無収縮モルタルやグラウト等の充填材104を注入して後、前記上支柱部材17の吊り降ろしに伴って、前記垂直接合筋103を該挿入孔87に挿入する。この挿入によって充填材104の一部分が溢れた時は、拭き取ればよい。該充填材104が硬化することにより、前記中間の外壁支柱部材9B1が構成される。そして、該支持台部50の左右の側面73,74は、前記上支柱部材17の上の立壁部93の左右の立面105,106に夫々、垂直に一連に連なり、全体として垂直面を呈する。かかる構成を有する中間の外壁支柱部材9B1の、上下連続する前後の垂直な立面は継手面部31,31とされている。
【0057】
前記中間スラブ10には2種類がある。第1の中間スラブ10aは
図21(A)(B)に示すように2種類がある。その内の
図21(A)に示すものは、矩形板状に形成されており、その長辺169の長さは例えば4560mmに設定されると共にその短辺170の長さは2500mmに設定され、その厚さ(上下方向で見た厚さ)は300mmに設定されている。又、該第1の中間スラブ10aの短辺側部分171,171には、前記接合用ボルト76を挿通させるための接合用貫通孔172が該短辺170の延長方向に並設されている。本実施例においては5個が並設されている。該接合用貫通孔172は、本実施例においては
図11、
図19〜20に示すように、下端173から上端175に向けて拡大したテーパ孔として形成されており、その下端173の孔径は、前記接合用ボルト76の径よりも稍大きく設定されている。一方、
図21(B)に示す第1の中間スラブ10aは、
図21(A)に示す構成に加えて、長辺側部分176にも接合用貫通孔172の10個が並設されている。
【0058】
又、第2の中間スラブ10bは、
図22に示すように、矩形板状を呈する前記第1の中間スラブ10aの長辺側(前記内壁支柱部材列32の延長方向で見た両側縁部分)176,176の中央部分が内側に欠切されることによって、欠切開口部177,177が形成された形態を有している。本実施例においては、内側に対称形態で凹むように五角形の山形に大きく欠切されることにより該欠切開口部177,177が形成されている。該欠切開口部177,177の、直線状を呈する先端縁部179,179間は、前記長辺169の延長方向(前記内壁支柱部材列32の延長方向と直交する方向)F2に長い、例えば500mm幅の細幅の繋ぎ板部180とされており、該繋ぎ板部180は、両側の幅広部181,181を繋いでいる。
【0059】
又前記上部スラブ12は、
図23(A)(B)に示すように2種類がある。その内の
図23(A)に示すものは、矩形板状に形成されており、その長辺182の長さは例えば4730mmに設定されると共に、その短辺183の長さは例えば2500mmに設定されている。そして、該短辺側部分185,185には、前記中間スラブ10におけると同様の構成で、前記接合用ボルト76を挿通させるための接合用貫通孔172が該短辺の延長方向に並設されている。一方、
図23(B)に示す上部スラブ12は、
図23(A)に示す構成に加えて、長辺側部分178にも接合用貫通孔172の10個が並設されている。
【0060】
次に、前記構成を有する内壁支柱部材7と外壁支柱部材9と中間スラブ10と上部スラブ12とを用いて前記上下二槽型の貯水槽1を構築する施工工程の一例を説明する。先ず
図24〜25に示すように、貯水槽を構築すべき場所を掘削して形成した施工空間部193の底部に基礎コンクリート186を形成した後、構築すべき貯水槽の短辺側において、その両端に前記隅部の外壁支柱部材9A2,9A2を立設すると共に、形成すべき内壁支柱部材列32の配置状態に合わせて前記列端の外壁支柱部材9A3を立設する。その後、前記中間の外壁支柱部材9B1を構成する下支柱部材15を立設状態に配設する。
【0061】
その後、前記両端の前記隅部の外壁支柱部材9A2,9A2の夫々に続けて、前記外壁支柱部材9A1を、
図24に矢印Fで示すように、右側から左側に向けて(
図25においては矢印F示すように、左側から右側に向けて)順次、相互が当接した立設状態で配設する。これにより、前記外壁支柱部材列39,39を構成できる。
【0062】
又、前記列端の外壁支柱部材9A3の夫々について、前記内壁支柱部材7を順次当接させて、立設状態に配設する。これにより、夫々の列端の外壁支柱部材9A3に続けて前記内壁支柱部材列32を構成でき、これによって、例えば4600mm程度の間隔で並設された内壁支柱部材列並列体33を構成できる。
然る後、
図24に示すように、前記外壁支柱部材列39,39の端部107,107に前記隅部の外壁支柱部材9A2,9A2を当接状態に立設すると共に、前記内壁支柱部材列32の夫々の端部117に、前記列端の外壁支柱部材9A3を当接状態に立設する。又、該隅部の外壁支柱部材9A2と前記列端の外壁支柱部材9A3との間8A、及び、隣り合う列端の外壁支柱部材9A3,9A3間8Bに、前記下支柱部材15を当接させて立設状態で配設する。
【0063】
これによって
図24に示すように、前記内壁支柱部材列32,32間の単位空間部108、及び、前記内壁支柱部材列32と前記外壁支柱部材列39との間の単位空間部108の両端部が、前記下支柱部材15の上側で開放された(即ち、前記隅部の外壁支柱部材9A2の上側部分と前記列端の外壁支柱部材9A3の上側部分との間、前記列端の外壁支柱部材9A3,9A3の上側部分間が開放された)状態が得られ、作業者の出入りを可能とする開放端部110,110が形成される。
【0064】
その後、例えば
図25〜26に示すように、夫々の単位空間部108の底部分に適宜の配筋231を施して底部コンクリート230を打設して貯水槽の底部227を形成する。この打設に先立って、前記台座部128,61間や該台座部61,61間に適宜の配筋231が施されるのであるが、そのために例えば
図26に示すように、前記外壁支柱部材9の前記台座部128を構成する前記垂直面129の、前記台形溝部130を挾む上下の面部150,151(
図26)に、水平突出し筋233,233を突設しておき、或いは、施工現場において、該上下の面部233,233に埋設したインサートに水平突出し筋233の縁部分をねじ込んでおく。
【0065】
又同様に、前記内壁支柱部材7の台座部61を構成する前記垂直面の前記台形溝部62を挟む上下の面部232,232に水平突出し筋233,233を突設しておき、そして、対向する水平突出し筋233,233相互が繋ぎ筋239で適宜連結される。この施工を行うに際しては、作業者は前記開放端部110を通して各単位空間部108に容易に出入りできる。又、該貯水槽の底部を形成するための鉄筋等の資材は、前記単位空間部108の上端開放部109を通して導入できる他、前記開放端部110を通して導入することもできる。これらによって、貯水槽の底部227を施工性よく形成できることとなる。
【0066】
このように貯水槽の底部227を形成して後、或いは、該貯水槽の底部227の形成と併せて、
図24に示すように前記中間仕切り部3を形成する。該中間仕切り部3の形成は、
図26に示すように、前記中間スラブ10を、同高さで対向する前記第1の中間受部21a,21a間に、その側部41,41相互を
図25に示すように当接させて架設すると共に、同高さにある前記第1の中間受部21aと前記第2の中間受部21bとの間に、側部41,41相互を
図25に示すように当接させて架設する。
図26は、前記単位空間部108の底部(貯水槽の底部)227が形成されると共に該単位空間部108が中間仕切り部3で上下二分割されてなる前記単位貯水槽2の並設状態の一部分を示している。
【0067】
ここで、前記中間スラブ10の架設施工についてより具体的に説明すれば、該架設は
図11、27に示すように、その両縁部分20,20を、前記下の水平載置面75,75、75,75に載置して行われる。
【0068】
このように載置する際、前記内壁支柱部材7に関しては、
図11に示すように、該中間スラブ10の端面部184と前記立壁部53の左右の立面13,14との間に例えば70mm程度の溝幅を有する間隙部分196が形成されるように行われる。又、前記外壁支柱部材9A1に関しては、
図27に示すように、該中間スラブ10の端面部187と前記立壁部113との間に例えば30mm程度の溝幅を有する間隙部分188が形成されるように行われる。
図20は、前記中間スラブ10の縁部分71を前記中間の外壁支柱部材9B1の前記中間受部163の前記下の水平載置面141に載置した状態を示している。このようにして載置した状態で、本実施例においては
図20に示すように、前記支持台部50の上端面51が、前記中間スラブ10の側縁部分71の上面52よりも上方に位置する。
【0069】
中間スラブ10をこのように載置する際、
図11、
図27、
図20に示すように、前記下の水平載置面75,75,141で立設されている接合用ボルト76を前記接合用貫通孔172に挿入させ、その後、該接合用貫通孔172内に、無収縮モルタルやグラウト等の充填材104を充填する。該充填材104の硬化によって、前記縁部分20を前記第1、第2の中間受部21a,21b固定できると共に、前記側縁部分71を前記側縁受部163に固定できる。
【0070】
前記のように、大きな溝幅を有する間隙部分196,188を形成することにより、前記中間スラブ10や前記内壁支柱部材7、前記下支柱部材15等の製造誤差、施工誤差が生じた場合に、これを吸収できると共に、これらの誤差が生じたときも、該間隙部分196,188に前記充填材104を確実に充填でき、該中間スラブ10と前記中間受部21a,21a、前記中間受部163とを一体化できることになる。
【0071】
本実施例においては
図3に示すように、貯水槽1の、前記内壁支柱部材列32の延長方向F1で見た両端側の部分で架設される中間スラブ10の、該延長方向と直交する方向F2に延長する4列分については、
図21に示す矩形板状を呈する前記第1の中間スラブ10aを用いることとし、これにより、中間仕切り部3の両側部分199,199に、水平な平坦面部を形成するようになされている。そして該両側部分199,199間200には、
図22に示す第2の中間スラブ10bが架設されており、前記内壁支柱部材列32の延長方向F1で見て隣り合う欠切開口部177,177の合致によって、
図3、
図28に示すように、例えば亀甲状を呈する比較的大きな前記点検用開口部201が形成されるようになされている。これにより、
図3、
図50に示すように、囲枠体40の内側に、上面202が水平である前記中間仕切り部3が形成された状態が得られる。
【0072】
その後、
図19、
図25〜26に示すように、立設状態にある外側支柱部材9A1,9A2,9A3及び、前記下支柱部材15による囲枠体189の外側部分を全周に亘って、該下支柱部材15の上端高さまで土砂で埋め戻す。この埋め戻し部190によって、貯水槽1の下側構造部191が土圧に対して安定化する。そして、このようにして埋め戻すことにより、
図19に示すように、該埋め戻し部190の上面214が前記中間仕切り部3の上面218に略一連に連なることになるため、前記単位空間部108内への作業者の出入りがより容易化され、前記上支柱部材17の立設施工や内側支柱部材7,7相互の連結、外側支柱部材9,9相互の連結等の該単位空間部108内に置ける各種の作業を、該中間仕切り部3を足場にして能率よく行い得ることとなる。
【0073】
その後
図20に示すように、前記下支柱部材15の上端16に前記上支柱部材17を立設状態に連結する。これらによって、
図3に示すように、前記両側の外側支柱部材列39,39によって貯水槽1の長辺側の側面板部192,192が構成されると共に、前記隅部の外壁支柱部材9A2と前記列端の外壁支柱部材9A3と前記中間の外壁支柱部材9B1とによって、貯水槽の短辺側の端面板部18,18が構成される。
【0074】
ここで、前記下支柱部材15の上端16に前記上支柱部材17を立設状態に連結する要領を
図20に基づいて説明する。前記上支柱部材17をクレーンで吊り降ろして前記下支柱部材15の上端(本実施例においては前記支持台部50の上端面51)16に載置するのであるが、その際、前記垂直接合筋103の夫々を、対応の前記スリーブ85の挿入孔(前記要領により、無収縮モルタルやグラウト等の充填材104が充填されている)87に挿入すると共に、該上支柱部材17の垂直状態を調整し且つこの調整状態を保持する。
【0075】
そのために、例えば
図29〜30に示すように、該上支柱部材17の内側の立面26側において、中間スラブ10の上面52と該上支柱部材17の該立面26とを、長さ調整可能なサポート装置204を用いて連結するのがよい。該サポート装置204は、
図31〜32に示すように、該立面26と該中間スラブ10の上面52に固定される掛着部材206,206と、長さ調整可能なサポート軸207とから構成されており、該掛着部材206,206は、前記上面52、前記立面26に埋設されたインサート209に螺合される固定ボルト210で固定された取付板211に、U字状係合片212の両縁部分213,213を固定して構成されている。
【0076】
又該サポート軸207は、両縁部分が逆ネジのネジ筒部215,215として形成されたパイプ部材216と、逆ネジである該両ネジ筒部215,215に螺合されるネジ軸部材217,217と、該ネジ軸部材217の端部に設けられて前記U字状係合片212に引っ掛けられるフック部材219とを具えており、該ネジ筒部215,215に対する該ネジ軸部材217の螺合状態を調整することによって該サポート軸207の長さを調整可能となされている。なお前記掛着部材206,206は、例えば
図33に示すような、アイボルト206aを用いて構成する等、掛着可能な各種部材を用いて構成できる。
【0077】
然して、上下のフック部材219,219を上下のU字状係合片212,212に引っ掛けた状態で前記パイプ部材216を所要量回転させることにより、サポート装置204によって前記上支柱部材17の垂直状態を調整でき、この調整状態を
図31〜32に示すように保持できる。
該サポート軸207は、前記スリーブ85内の充填材104が硬化した後に取り外される。これにより、上支柱部材17が垂直状態に立設された前記中間の外壁支柱部材9B1が構成されることとなる。
【0078】
その後、
図34に示すように、前記上部スラブ12を、同一高さで対向する前記第1の上部受部25a,25a間に、側部42,42相互を当接させて(
図2)架設すると共に、同一高さにある前記第1の上部受部25aと前記第2の上部受部25bとの間に、側部42,42相互を当接させて架設する。この架設は、該上部スラブ12の縁部分27を前記上の水平載置面92,92,135に載せて行なわれる。この載置の際、
図35、
図36に示すように、前記接合用ボルト76を前記接合用貫通孔172に挿入し、該接合用貫通孔172内に無収縮モルタルやグラウト等の充填材104を充填する。該充填材104の硬化によって、該縁部分27を該第1、第2の上部受部25a,25bに固定できる。本実施例においては、
図19に示すように、接合用ボルト76を用いて、前記上部スラブ12の縁部分164を前記と同様の要領によって上部受部165に固定することとしている。この上部スラブ12の架設によって貯水槽頂板部11が構成される。これにより、前記単位貯水槽2が並設され、該単位貯水槽2が上下の単位貯水槽部5,6に分割されており、全体として上下の貯水槽部5,6を具える貯水槽(
図2、
図4、
図5)1が構築される。
【0079】
本実施例においては、前記単位空間部108への作業者の出入の容易化、前記単位空間部108への資材の搬入の容易化のためには前記隅部の外壁支柱部材9A2と前記列端の外壁支柱部材9A3との間及び、隣り合う列端の外壁支柱部材9A3,9A3間のみを開放させればよいため、
図24〜25に示すように、該隅部の外壁支柱部材9A2と該列端の外壁支柱部材9A3については上下方向に長い一体物として構成している。従ってこれらについては、前記中間の外壁支柱部材9B1におけるように下支柱部材15に対して上支柱部材17を連結するという施工手間を削減できることとなり、それだけ施工性向上を期し得ることとなる。
【0080】
本実施例においては、
図35に示すように、上部スラブ12の架設によって、前記内壁支柱部材7の上面部86には、隣り合う上部スラブ12,12の向き合う端面部221,221間に、例えば270mm程度の溝部分222が形成されるようになされている。又、
図36に示すように、前記外壁支柱部材9を周方向で立設して構成された囲枠体224の上面部分には、上部スラブ12の端面部221の外側に、例えば450mm程度の幅を有する凹部223が周方向に連続して形成されるようになされている。然して
図4〜5、
図34に示すように、架設された上部スラブ12の上面225及び前記溝部分222、前記凹部223にコンクリートを現場打ちして現場打ち部226を形成し、その上に盛土した後、その上にアスファルト舗装をする等すれば、貯水槽の上部空間を公園や駐車場等として利用できることとなる。
【0081】
ここで前記貯水槽1を構築する際の施工工程について補足説明すれば以下の通りである。
図37〜38、
図39、
図40に示す一体型の外壁支柱部材9A及び、
図41、42、43に示す上下二分割型の外壁支柱部材9Bにおいて、符号335に示すものは、部材相互間の止水を図るために介在される、例えばブチルゴム等の帯状片からなる止水材である。
図37〜38に記載の該一体型の外壁支柱部材9Aについて説明すれば、該止水材335は、
図37、
図38(A)に示すように、一方の継手面部37aにL字状等に付設される(他方の継手面部37bには付設されない)と共に、
図37、
図38(B)に示すように、前記台座部128を構成する前記垂直面129の前記台形溝部130を挾む上下の面部150,151に、該止水材335が付設されており、又、
図37、
図38(C)、(D)に示すように、前記中間受部21の上面(前記中間スラブ10の縁部分20を支持する前記水平載置面141)及び前記上部支持部25の上面(前記上部スラブ12の部分27を支持する上の水平載置面135)にも、止水材335が付設されている。
【0082】
該止水材335は、
図44に示す内壁支柱部材7にも同様にして付設される。
図26は、貯水槽1の底部227(
図5〜6、
図9、
図13〜14、
図15、
図23〜24)を形成するに際して、隣り合う内壁支柱部材列32,32の台座部61,61間、内壁支柱部材列32の台座部61と外壁支柱部材列39の台座部128との間に底部コンクリート230を打設した状態を示すものである。
【0083】
又、前記上部スラブ12上に前記現場打ち部226を形成するに先立って配筋するに際しては、前記上部スラブ12,12間に形成された溝部分222において、水平突出部240を有する屈曲突出筋241を突設すると共に、前記外壁支柱部材9の前記凹部223において、水平突出部243を有する屈曲突出筋245を突設する。そして、前記上部スラブ12の縁部分27を、該水平突出部243と前記上面120との間に挿入状態とする。その後、対向する水平突出部240,243相互が繋ぎ筋246で適宜連結される。
【0084】
又、貯水槽1内への雨水の導入の構成の一例を説明すれば、
図1、
図45において符号247(その他の図では記載していない)は、貯水槽1の一方の長辺側249で且つ一方の短辺側250に寄せて設けられた雨水導入用のスロープである。該スロープ247は、傾斜部251が上下の貯水槽部5,6に跨がるように、他方の短辺側252に向けて下方に傾斜して設けられており、その下縁部分253が貯水槽1の底面255上に設置されている。又、該スロープ247の水平な上縁部分256は、前記一方の短辺側250に設けられた流入管257に連設されている。そして、該流入管257から貯水槽1内に導入された雨水は、該貯水槽1において一時的に貯留された後、貯水槽1の下部に設けられた流出管259から河川等に自然流出可能となされる。或いは、ポンプで強制的に排出される。そのためのポンプ室は、貯水槽の内部や外部に設置できる。
【0085】
又
図46において符号260は、貯水槽1の上部に設けられたマンホールであり、該マンホール260に連なるように、上下の貯水槽部5,6に上下の昇降用梯子261,262が設けられている。貯水槽底部の清掃等の貯水槽維持管理に際しては、作業者が、前記中間仕切り部3に設けた出入用開口部263を通して該上下の昇降用梯子261,262を伝って昇降できる。
【0086】
そして、前記内壁支柱部材列32や前記外壁支柱部材列39や前記端面板部18を構成する際にその全体を連結一体化するに際して、又、前記内壁支柱部材列32とその両端に配置される外壁支柱部材9,9とを連結一体化するに際しては、例えば
図47、
図48に示すように、内壁支柱部材7や外壁支柱部材9にその上下方向で所要間隔で設けられた挿通孔265を挿通する長いPC鋼棒266aを用い、全体を連結一体化する。
【0087】
図47はその一例を示すものであり、内壁支柱部材7の4〜5個を単位として、これらを長いPC鋼棒266aを用いて連結一体化した状態を示している。
図47(B)(C)に示すように、該長いPC鋼棒266aの両縁部分はネジ軸部267,267とされており、該長いPC鋼棒266aが、例えば5個の内壁支柱部材7,7,7,7,7の夫々に設けた挿通孔265に挿通せしめられると共に前記ネジ軸部267,267の先側部分が、前記立面に凹設された凹部270,270に収容される。この状態で、該ネジ軸部267,267にナット271,271が螺合され締め付けられることによって所要個数の内壁支柱部材7の全体が一体化されるようになされている。
【0088】
図48は、外壁支柱部材9の4〜6個を単位として、その全体を長いPC鋼棒266aを用いて同様にして連結一体化した状態を示している。そして、前記内壁支柱部材列32と外壁支柱部材9との連結一体化も、長いPC鋼棒266aを用いて同様に行なうことができる。このようにして連結一体化する際、連結状態をより安定化させるために、
図47〜48に一点鎖線で示すように、前記凹部270内で向き合う状態に突設された前記ネジ軸部267,267相互を長ナット248で連結して、隣り合う長いPC鋼棒266a,266aを一体化するのがよい。
【0089】
図49は、前記内壁支柱部材7,7相互や前記外壁支柱部材9,9相互を1本の短いPC鋼棒266bを用いて連結する連結手段を示すものである。該短いPC鋼棒266bは、内壁支柱部材7や外壁支柱部材9にその上下方向で所要間隔で設けられた挿通孔265に挿通せしめられると共に、内壁支柱部材7を例にとれば、該内壁支柱部材7の前記継手面部31,31の長手中央線に沿って設けられた連結条溝254,254で突出状態とされる。そして、該連結条溝254において順次長ナット258で連結され、このように連結一体化された短いPC鋼棒266bの両縁部分264,264にナット268,268が螺合され締め付けられることによって、所要個数の内壁支柱部材7の全体が、又、所要個数の外壁支柱部材9の全体が連結一体化されるようになされている。
【0090】
かかる構成を有する貯水槽1にあっては、一体に構成された前記外壁支柱部材9が土圧を安定的に支持できる。又、前記内壁支柱部材列32や、前記貯水槽頂板部11、前記中間仕切り部3が梁状体274(
図50)として機能することにより、貯水槽1に作用する水平方向の土圧を効果的に分散状態で支持できる。これらによって、前記の各外壁支柱部材9が土圧によって撓み変形するのを防止でき、土圧に対する抵抗力の大なる貯水槽を構築できることとなる。
【0091】
又、梁状体274として機能する前記中間仕切り部3には、隣り合う前記欠切開口部177,177の合致によって大きな点検用開口部201が形成されているが、該点検用開口部201(
図28)は、貯水槽底部275(
図4〜5)の土砂の堆積状態等を点検する際に利用できる。作業者は、該中間仕切り部3の前記繋ぎ板部180(
図50)の上等を歩行して、該点検用開口部201を通して貯水槽底部275の土砂の堆積状態等を点検できるのである。なお、該歩行の際の安全確保のため、該繋ぎ板部180の両側等に転落防止柵を設けるのがよい。
【0092】
又該点検用開口部201は、
図51に矢印で示すように、上下の貯水槽部5,6を連通させて、水や空気の移動を可能とする。然して、下の貯水槽部6への水の流入の際に、該点検用開口部201を通して上の貯水槽部5への空気抜きが円滑に図られるため、下の貯水槽部6への水の流入を円滑に行なわせることができる。そして、この下の貯水槽部6での水の移動は、前記下の連通開口部47を通して行なわれる。下の貯水槽部6が満杯になった後は、該点検用開口部201を通して、上の貯水槽部5への水の流入が行なわれることとなる。該上の貯水槽部5での水の横移動は、前記上の連通開口部46を通して行なわれる。
【0093】
更に、前記第2の中間スラブ10bは、前記欠切開口部177が設けられている分だけ鉄筋やコンクリートの使用量を削減できるので、その製造コストの低減を期し得ると共に、コンクリートや鉄筋量を削減した分だけ軽量となるのでその取り扱い性もよくなる。
【0094】
前記中間仕切り部3は前記のように、梁状体274としての機能の他に、前記のように点検作業者の通路としても機能し、前記点検用開口部201を通して貯水槽底部275の土砂の堆積状態等の点検を可能とする機能も奏するのであるが、該中間仕切り部3を、欠切開口部177が設けられてなる前記第2の中間スラブ10bのみを以て構成するときは、貯水槽1が強度不足になる場合がある。
【0095】
そこで本実施例においては、
図3に示すように、中間仕切り部3の、前記内壁支柱部材列32の延長方向で見た両側部分199,199においては、欠切開口部177が設けられていない矩形板状を呈する第1の中間スラブ10aのみを架設することとし、該両側部分199,199間200においてのみ第2の中間スラブ10bを架設することとしている。これによって、該中間仕切り部3の梁状体274(
図50)としての機能がより効果的に発揮されて、貯水槽1の長さ方向及び幅方向での土圧をより安定的に支持でき、貯水槽1の強度を所要に確保できることとなる。なお、中間仕切り部3の両側部分199,199における該第1の中間スラブ10aの、前記延長方向F1(
図3)で見た並置列278の数は、前記端面板部18を構成する外壁支柱部材9に作用する土圧の大きさを考慮して所要に設定する。
図3においては、第1の中間スラブ10aの並置列の数を4列としているが、3列若しくは5〜6列に設定することもある。
【0096】
次に、このように構成した場合に中間仕切り部3が奏する梁状体274の機能について、より具体的に説明する。先ず、前記側面板部192を構成する両外端の外壁支柱部材列39,39を構成する各外壁支柱部材9A1は、
図3、
図50に示すように、前記中間仕切り部3の前記延長方向F1に直線状に連続する連続支持側面276で支持されている。これによって、各外壁支柱部材9の内面部277はその全幅に亘って、該連続支持側面276で安定的に支持されることになる。
【0097】
加えて、前記中間仕切り部3には、
図50に示すように、前記延長方向F1と直交する方向F2に直線状に連続すると共にその両端部284,284が前記両外壁支柱部材列39,39の内面部(外壁支柱部材9の内側面)277に当接する第1の板状連続梁部279が設けられている。該第1の板状連続梁部279は、前記中間仕切り部3の両側部分199,199においては、矩形板状を呈する前記第1の中間スラブ10aの全体からなり、梁状体274として機能する。
【0098】
一方、該両側部分199,199間200にあっては、
図50に示すように、該第1の板状連続梁部279は、前記第2の中間スラブ10bの、前記内壁支柱部材列32の延長方向F1と直交する方向F2に長い前記した各繋ぎ板部180と、前記立壁部53(
図11)と、前記間隙部分196における充填材104の硬化物280,280(
図11)とが、該直交する方向F2に直線状に連なることによって構成されている。これによって、前記両側の外壁支柱部材列39,39に作用する水平方向の土圧は、前記延長方向F1に並設された該第1の板状連続梁部279(
図50)の並列体281によって効果的に支持されることとなる。
【0099】
図50においては、説明の便宜上、前記第1の板状連続梁部279の直線状の延長方向を一点鎖線で示している。又本実施例においては、
図3、
図50に示すように、前記上の連通開口部46を前記内壁支持部材列32の端部側に設けているため、隣の単位貯水槽2へ作業者が移動する際、第1の中間スラブ10aを架設して構成された平坦な前記両側部分199,199において安全に移動できることとなる。
【0100】
又、前記端面板部18は、
図50に示すように、前記中間仕切り部3の、前記延長方向F1と直交する方向F2に直線状に連続する連続支持側面282,282で支持されている。加えて、前記延長方向F1に直線状に連続すると共にその両端部283,283が前記端面板部18の内面部285,285に当接する第2の板状連続梁部286が設けられている。該第2の板状連続梁部286には、前記内壁支柱部材列並列体33が構成するものと、前記中間仕切り部3が構成するものの2種類がある。このうち該中間仕切り部3が構成するものは、前記第1の中間スラブ10aの全体によって形成される両側の梁状部289,289と、その間に形成される、前記延長方向F1に並置された前記幅広部181,181が形成する中間の梁状部290,290との組み合わせで構成されている。
図50においては、説明の便宜上、前記第2の板状連続梁部286の直線状の延長方向を二点鎖線で示している。
【0101】
本実施例においては、中間仕切り部3の両側部分199,199においては、欠切開口部177が設けられていない矩形板状を呈する第1の中間スラブ10aのみを架設することとしているため、該両側の外壁支柱部材列39,39に作用する水平方向の土圧の多くの部分を該第1の中間スラブ10aの列で支持できることとなってより好ましい。
【0102】
ここで、前記第1の板状連続梁部279と、前記第2の板状連続梁部286を有することを特徴とする本発明に係る貯水槽1の好ましい態様について、その全体構成をまとめれば次のようである。即ち該貯水槽1は、左右の立面13,14の上下方向の中間部に、中間スラブ10の長さ方向の縁部分20を下方から支持する中間受部21,21が設けられると共に、該左右の立面13,14の上部に、上部スラブ12の長さ方向の縁部分27,27を下方から支持する上部受部25,25が設けられてなる内壁支柱部材7と、内側の立面26の上下方向の中間部に、前記中間スラブ10の縁部分20を下方から支持する中間受部21が設けられると共に、該内側の立面26の上部には、前記上部スラブ12の縁部分27を下方から支持する上部受部25が設けられてなる外壁支柱部材9とを具えている。
【0103】
前記内壁支柱部材7は、その前後の立面としての継手面部31,31相互を当接状態にして一列に並設されることにより内壁支柱部材列32,32を構成し、該内壁支柱部材列32,32が左右方向に所要間隔で並設されることにより内壁支柱部材列並列体33を構成する如くなされている。又、前記外壁支柱部材9は、前記内壁支柱部材列並列体33を構成する両外端の内壁支柱部材列32a,32aの外方側において、両端の立面としての継手面部125,125相互を当接状態にして並設されることにより、該内壁支柱部材列32aと所要間隔を置いて外壁支柱部材列39を構成する如くなされている。そして、前記中間スラブ10が、同一高さで対向する前記中間受部21,21間に架設され且つ前記縁部分20が該中間受部21に固定されることによって中間仕切り部3が構成される如くなされており、又、前記上部スラブ12が、同一高さで対向する前記上部受部25,25間に架設され且つ前記端部分27が該上部受部25に固定されることによって貯水槽頂板部11が構成される如くなされている。
【0104】
又、前記中間仕切り部3の、前記内壁支柱部材列32の延長方向で見た両側部分199,199は、矩形板状を呈する前記中間スラブ10を架設して構成されると共に、該両側部分199,199間200は、前記延長方向で見た両側部分が内側に向けて欠切されることによって左右の欠切開口部177,177が形成されてなる中間スラブ10を架設して構成されてなり、該延長方向で見て隣り合う該欠切開口部177,177の合致によって、貯水槽底部を目視観察するための点検用開口部201が形成される如くなされている。
【0105】
又、前記内壁支柱部材列32,32間、及び、前記内壁支柱部材列32と前記外壁支柱部材列39との間に形成される単位貯水槽2の両端部は端面板部18で覆われている。そして、前記両側の外壁支柱部材列39,39を構成する各外壁支柱部材9は、前記中間仕切り部3の、前記延長方向に直線状に連続する連続支持側面282で支持されており、且つ、前記中間仕切り部3には、前記延長方向と直交する方向に直線状に連続すると共にその両端部284,284が前記両外壁支柱部材列39の内面部277に当接する第1の板状連続梁部279が設けられている。
【0106】
又前記端面板部18は、前記中間仕切り部3の、前記延長方向と直交する方向に直線状に連続する連続支持側面282で支持されており、且つ、前記中間仕切り部3には、前記延長方向に直線状に連続すると共にその両端部283,283が前記両端面板部18,18の内面部285,285に当接する第2の板状連続梁部286が設けられている。
【0107】
前記貯水槽1において、前記両側部分199,199間は、前記延長方向で見た一側部分にのみ欠切開口部177が設けられてなる中間スラブ10を架設して構成し、該欠切開口部177によって前記点検用開口部201を形成する如く構成されることがある他、貯水槽底部を目視観察するための点検用開口部177が形成された中間スラブ10を架設して構成されることもある。
【実施例2】
【0108】
本発明は、前記実施例で示したものに限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内で種々の設計変更が可能であることはいうまでもない。その一例を挙げれば次のようである。
【0109】
(1)
図52〜53は、前記中間の外壁支柱部材9B1を構成する前記上支柱部材17の他の態様を示すものである。
【0110】
図52〜53に示す上支柱部材17は、前記上の立壁部93の内側の立面26の下部の両側に位置させて側部支持片291,291が該上の立壁部93と一体に突設されている。該左右の側部支持片291,291の下面296,296は前記上の立壁部93の下面部97の稍上方に位置させて設けられた水平面として形成されている。然して、前記垂直接合筋103が
図53に示すように、対応のスリーブ85の挿入孔87に挿入するように、該上支柱部材17を吊り降ろして該上支柱部材17の下面部(上の立壁部93の下面部)97を前記支持台部50の上端面51に当接させると、前記側部支持片291,291の下面296,296は、前記中間スラブ10の側縁部分71の水平な上面52の稍上側に位置するようになされている。そして
図53に示すように、該水平な下面296と前記縁部分20の上面52との間に形成された高さ調整間隙310に、所要厚さのライナープレート311の所要枚数を挿入することにより、前記上支柱部材17を前記下支柱部材15の上端16に略垂直状態で立設できるようになされている。このように突設した側部支持片291によって、上支柱部材17を下支柱部材13に連結するまでの間における該上支柱部材17の転倒防止を図り得る。
【0111】
図54〜55は、上支柱部材17のその他の態様を示すものであり、前記上の立壁部93の内側の立面26の下部の両側に位置させて側部支持片291,291が該上の立壁部93と一体に突設されている点は、
図52〜53に示す場合と同様であるが、該側部支持片291,291の構成が前記と異なる。即ち、該上支柱部材17は、前記下支柱部材15の上端16に設けられた中間受部163で支持される中間スラブ10の縁部分71の端面部312が、
図52〜53に示す場合のような垂直面として構成されるのではなく、下側の垂直面297の上端縁298で、外方に向けて上方に傾斜する傾斜面299が連設された屈曲面として形成されている。これに併せて前記側部支持片291は、前記上の立壁部93の下面部97の下方に突出する突出部301の外面302が、前記傾斜面299と当接し得る傾斜面として形成されている。そして、前記上支柱部材17が、前記上の立壁部93の下面部97を前記支持台部50の上端面51に当接させた吊り降ろし状態において、前記突出部301の内側面305が該支持台部50の側面82に略当接する如くなされる共に、該突出部301の下面306が前記下の水平載置面141から浮き上がった状態にある。
【0112】
又この状態で、前記側部支持片291の、前記傾斜面299の上端縁303に連なる水平下面309は、前記中間スラブ10の側縁部分71の稍上方に位置する。然して、前記上の立壁部93の下面部97を前記支持台部50の上端面51に当接させた状態で、前記側縁部分71の上面52と前記水平下面309との間に形成される高さ調整間隙310に、所要厚さのライナープレート311の所要枚数を挿入することにより、前記上支柱部材17の垂直状態を概略調整できることになる。
【0113】
図56は上支柱部材17のその他の態様を示すものであり、前記上の立壁部93の内側の立面26の下部の両側に位置させて側部支持片291,291が、該上の立壁部93と一体に突設されており、該側部支持片291の下面296が、前記上の立壁部93の下面部97と面一の水平面に形成されている。
【0114】
本実施例においては、前記下支柱部材15の上縁部分に突設されている前記支持台部50の上端面51は、
図56〜57に示すように、第2の中間受部21bで支持された中間スラブ10の幅方向の縁部分71の水平な上面52の稍上方に位置されている。
【0115】
然して、前記下支持部材15の上端16に前記上支柱部材17を立設状態に連結するに際しては、
図57に示すように、前記と同様に突設された垂直接合筋103を前記スリーブ85の挿入孔87に挿入させるように、該上支柱部材17を吊り降ろす。このように吊り降ろすと、
図57に示すように、前記上の立壁部93の下面部97が前記支持台部50の上端面51に当接する。この状態で、前記上の立壁部93の下面部97を前記支持台部50の上端面51に当接させた状態で、前記縁部分71の上面52と前記水平な下面296との間に高さ調整間隙310が形成される。該高さ調整間隙310に、所要厚さのライナープレート311の所要枚数を挿入することによって、前記上支柱部材17の垂直状態を調整できることとなる。
【0116】
(2)
図42は、前記隅部の外壁支柱部材9を、下支柱部材15と上支柱部材17とに二分割した場合を示すものであり、又
図43は、前記列端の外壁支柱部材9を、下支柱部材15と上支柱部材17とに二分割した場合を示すものである。
【0117】
(3)
図58、
図59は、前記端面板部18を構成する前記外壁支柱部材9を、前記中間スラブ10や前記上部スラブ12を下方から支持する部分が省略された板状に構成した場合を示している。該外壁支柱部材9が一体型の場合は、
図58に示すように、前記中間仕切り部3の縁部分307が、上下方向の中間部に位置する如くなされると共に、前記貯水槽頂板部11の縁部分308が、上下方向の上部に位置する如くなされている。又、該外壁支柱部材9が上下二分割型の場合は、
図59に示すように、前記中間仕切り部3の縁部分307が、前記下支柱部材15の上部に位置する如くなされていると共に、前記貯水槽頂板部11の縁部分308が、前記上支柱部材17の上部に位置する如くなされている。
【0118】
(4)
図60は、前記とは逆に、前記上支柱部材17にスリーブ85を設ける一方、前記下支柱部材15に垂直接合筋103を設けた場合を示している。該スリーブ85は該上支柱部材17の上の立壁部93の下端部分に、下端開放のスリーブ85の多数個が、その下端313を該上の立壁部93の下端面314で開放させて、該下端面314の左右両側に位置させ、前後方向で所要間隔を置いて多数埋設されている。そして前記上支柱部材17の上の立壁部93の下縁部分315には、前記スリーブ85の上下端側に設けられている上下の開口316,317に連通し且つ内側の立面94で開放する上下の連通孔319,320が水平状態に設けられている。又前記垂直接合筋103は、該スリーブ85の夫々に挿入される本数のものが、前記支持台部50の上端面51で上方に向けて突設されている。
【0119】
然して、前記スリーブ85の挿入孔87に前記垂直接合筋103が挿入された状態で、前記下の連通孔320に、図示しない充填装置の注入パイプを差し込み、該注入パイプと前記下の連通孔320を介して、前記挿入孔87に所要圧力で無収縮モルタルやグラウト等の充填材104を注入する。この注入により、該充填材104は、前記上の連通孔319の開放端321から排気されつつ行われ、該充填材104が該開放端321から漏れでたことを以て、前記スリーブ85内に充填材104が充填されたことを確認できる。その後、
図60に示すように、前記上下の開放端321,322を栓323で塞ぐ。このようにして充填された充填材104が硬化することにより、下支柱部材15の上端16に上支柱部材17が安定した立設状態で連結されて前記外壁支柱部材9が構成されることとなる。
【0120】
なお、前記と同様にしてスリーブ85を下支柱部材15に設ける場合も、例えば
図20に一点鎖線で示すように、該スリーブ85の側部の上下端側に上下の開口316,317を設け、該上下の開口に連通し且つ内側の立面で開放する上下の連通孔319,320を設ける場合もある。
【0121】
(5)
図61は上下二分割型の前記中間の外壁支柱部材2B1において、前記支持台部50を省略した場合を示している。従って、上支柱部材17の下端面97が下支柱部材15の上端面(前記中間スラブ10の幅方向の縁部分71を下方から支持する中間受部163の上面である前記水平載置面141と面一の水平面)318上に載置され、この状態で、前記と同様にして、上支柱部材17の下端面97に突設されている垂直接合筋103を、下支柱部材15の上端部分324に設けられているスリーブ85の上端開放の挿入孔87内に、充填材104を介して挿入させることにより、該下支柱部材15の上端16に上支柱部材17が立設状態で連結される如くなされている。
【0122】
(6)
図62は、上下二分割型の外壁支柱部材9の他の態様を示すものであり、下支柱部材15の内側の立面94を額縁状に形成した場合を示している。又
図63は、上下一体型の外壁支柱部材9を示すものであり、その内側の立面94の下側部分が額縁状に構成されており、中間受部21で中間スラブ10の縁部分21、71を支持するように構成されている。
【0123】
(7) 前記端面板部18を構成する前記中間の外壁支柱部材9B1の全てを上下二分割型とするのではなく、作業者の出入りを可能とする程度の出入り口を形成可能とするだけでもよいとの考え方で構成することもできる。
【0124】
図64は、前記縁部の外壁支柱部材9A2と前記列端の外壁支柱部材9A3との間8A、及び、隣り合う列端の外壁支柱部材9A3,9A3との間8Bにおいて、例えば1500mm幅の中間の外壁支柱部材9B1の1枚のみを上下二分割型に構成している。それに隣り合う外壁支柱部材9A4は上下一体型として構成することによって、貯水槽の施工能率の向上を図っている。
【0125】
(8)
図65は、前記外壁支柱部材列39,39を構成する外壁支柱部材9の全部及び、前記端面板部18を構成する外壁支柱部材9の全部を、上下二分割型の外壁支柱部材として構成した場合を示すものである。即ち、該上下二分割型の外側支柱部材9の前記下支柱部材15のみが立設状態とされているが、前記上支柱部材17は立設されていない状態を示している。この状態においては、前記内壁支柱部材列並列体32の両外端側及び前記端面板部側においては上側壁部が存在していない。
【0126】
従って本実施例においては、前記したように、単位空間部108内への作業者の出入りや資材の搬入等の各種の作業を容易化し得ることに加え、両端の単位空間部108,108の外側部分325,325における中間スラブ10の架設作業を容易に行うことができ、又、該中間スラブ10の架設によって構成されたスラブ上面に、広い資材仮置き場や、広い施工管理場所を形成できることになって好ましい。
【0127】
(9) 前記内壁支柱部材7は上下二分割型のものとして構成されることがある。該内壁支柱部材7は、例えば
図66〜67に示すように、下支柱部材326の上端327に上支柱部材328を立設状態に連結して構成されている。そして該下支柱部材326は、その左右の立面329a,330aの上部に、前記中間スラブ10の縁部分20,20を下方から支持する中間受部21,21(前記第1の中間受部21a,21a)が設けられると共に、前記上支柱部材328の左右の立面329b,330bの上部には、前記上部スラブ12の縁部分27,27を下方から支持する上部受部25,25(前記第1の上部受部25a,25a)が設けられている。そして該内壁支柱部材7は、
図68に示すように、その前後の立面としての継手面部31,31相互を当接状態にして一列に並設されることにより内壁支柱部材列32を構成でき、該内壁支柱部材列32が左右方向に所要間隔で並設されることにより、前記内壁支柱部材列並列体33を構成できる。
【0128】
このように内壁支柱部材7を上下二分割型に構成する場合、前記下支柱部材326の上端327に前記上支柱部材328を立設状態に連結する際、例えば
図68に示すように、上支柱部材328の垂直状態を調整し且つこの調整状態を保持するために、該上支柱部材328の左右両側において、両側の中間スラブ10,10の上面部52,52と該上支柱部材328の左右の立面329b,330bとを、前記と同様構成のサポート装置204,204を用いて連結するのがよい。
【0129】
(10)
図69〜70は、平面視で格子状に交差する如く組み立てられた、前記内壁支柱部材7の並設方向である前後方向F1に延長する切梁333と、これと直交する左右方向に延長する切梁334とを具える切梁枠組335が上下複数段に設けられた土留壁支保工336が存在する施工空間部193において、前記外壁支柱部材9及び前記内壁支柱部材7として上下二分割型のものを用いた場合を示している。該切梁333,334が該外壁支柱部材9や該内壁支柱部材7と干渉する場合においては、該外壁支柱部材9の内の下支柱部材15のみを立設することとして上支柱部材17は立設しないこととし、又、該内壁支柱部材7の内の下支柱部材326のみを立設することとして上支柱部材328は立設しないこととして、該上支柱部材17,326を立設しない部分で前記切梁333,334を逃している。なお、前記の両切梁333,334は、直交でない交差状態を呈することもある。
【0130】
(11)前記上下二分割型の内壁支柱部材7は、前記内壁支柱部材列並列体33の選択された一列又は複数列の内壁支柱部材列32に関して、これを構成する内壁支柱部材7の一部又は全部として、前記下支柱部材15の上端16に上支柱部材17を立設状態に連結してなる上下二分割型のものを用いる場合がある。
図71はその一例を示すものであり、選択された2列の内壁支柱部材列32A,32Bに関し、その中間部分で上下二分割型の内壁支柱部材7aを用い、その余の内壁支柱部材7bとしては、全体が一体に形成されたものを用いている。このように構成する場合は、前記上支柱部材328を立設するに先立って、広い作業スペースを確保して前記中間スラブ10を障害なく容易に架設でき、これによって中間仕切り部3を能率的に構成できることとなる。又、前記上支柱部材328を立設しない状態で、広い資材仮置き場や広い施工管理室を施工空間部に好ましい分散状態に設けることができて、施工能率の向上に寄与できることとなる。
【0131】
図72は、選択された内壁支柱部材列32aを構成する内壁支柱部材7の一部を二分割型の内壁支持部材7aを用いて構成した他の態様を示すものであり、前記中間仕切り部3が、例えば
図2〜3に示すように、両側部分199,199においては、矩形板状を呈する第1の前記中間スラブ10aを架設して構成されると共に、該両側部分間200においては、前記欠切開口部177,177が形成された中間スラブ10bを架設して構成されている。このように構成する場合は、該欠切開口部177が形成された中間スラブ10bを配設した部分においては、該欠切開口部177が存する部分で前記掛着部材206を取り付けることができないために、前記内壁支柱部材7を構成する上支柱部材328を前記サポート装置204で支持することが難しい。そこで、該中間スラブ10bが存する場所では、全体が一体に構成された内壁支柱部材7bを立設することがある。そして、矩形板状を呈する前記中間スラブ10aが存する場所においては、上支柱部材17をサポート装置204で仮支持することが容易であるため、この部分では、中間スラブ10の架設の容易性も考慮して、前記二分割型の内壁支柱部材7aを立設することがある。
【0132】
(12)前記外壁支柱部材9を構成する前記上支柱部材17が、前記のように側部支持片291,291が突設されてなる場合であっても、前記と同様にして、該上支柱部材328を左右のサポート装置204,204で支持することもある。
【0133】
(13)
図73は、前記外壁支柱部材9を構成するに際し、前記下支柱部材15の上端16に上支柱部材17を立設状態にして後、縦方向のPC鋼棒336を用い、上下のナット337a,337bを締め付けて連結一体化した場合の一例を示すものである。該PC鋼棒336は、
図73(C)に示すように、その下縁部分をなすネジ軸部339が、前記下支柱部材15の立面に設けた凹部340においてナット337bで止着されると共に、その上側部分341が該下支柱部材15の上端16から突出している。この突出した上側部分341が、前記上支柱部材17に設けられた下端開放の挿入孔342に挿入せしめられ、その上縁部分をなすネジ軸部343が、前記上支柱部材17の上面部に設けた凹部344においてナット337aで止着されることにより、下支柱部材15の上端16に上支持部材17が立設状態に連結されている。なお、下支柱部材15と上支柱部材17とは、アングル状連結部材等の連結金具を用いて連結することもできる。
【0134】
(14)本発明に係る上下二槽型の貯水槽1において、前記端面板部18をプレキャストコンクリート製の平板体を用いて構成する場合、例えば
図74に示すように、横長の長方形板状を呈する(5〜6m程度)平板体229を用い、これを、その短辺を上下方向にして、その複数枚を積重することにより構成することもある。又、該端面板部18は、現場打ちコンクリート製の平板状の端面板で構成することもある。
【0135】
(15)更に、本発明に係る貯水槽1の、前記端面板部18の形態は施工現場の地形によっては、平面視で直線状ではなく、例えば
図75〜76に示すように段階状を呈する如く構成されることもある。或いは、貯水槽1の平面視の外形345が
図77に示すようにコ字状等に構成されることもある。
図75〜77において、前記したと同様の構成部分には前記と同一の符号(32,32a,33,39,188,203)を付している。
【0136】
(16)前記第1の中間スラブ10aには、前記した第1、第2の板状連続梁部279,286の構成に支障のない範囲で、例えば
図78に示すように、貯水槽の前記延長方向F1で見た両側部分における前記空気抜きをより円滑化するために、独立状態の空気抜き開口部346aが適宜設けられることがある。この空気抜き開口部346aは、例えば150mm径の円形孔として形成することができる。或いは
図79に示すように、前記第1の中間スラブ10aの前記延長方向F1で見た側部に欠切部349を設けることによって、該延長方向F1で隣り合う第1の中間スラブ10a,10a間に空気抜き開口部346bを設けることもある。なお、これらの空気抜き開口部346a,346bは、貯水槽底部275を点検するための開口部としても利用できる。
【0137】
(17)
図80〜84は、前記第2の中間スラブ10bの他の態様を示すものであり、
図80に示す第2の中間スラブ10bにおいては、その一側部分にのみ欠切開口部177が設けられている。
図81に示す第2の中間スラブ10bには、前記のような欠切開口部177が設けられるのではなく独立開口部347が設けられている。又、
図82に示す第2の中間スラブ10bは、平面視でH字状に構成されており、両側の幅広部181,181相互が、直線状の繋ぎ板部180で連結されている。
図83に示す第2の中間スラブ10bにあっては、前記延長方向F1と直交する方向F2で隣り合う独立した開口部347,347が中間連結板部348を介して設けられている。そして、該中間連結板部348には、その上面350で開口するインサート351が、所要間隔を置いて複数個、例えば4個設けられている。
図83においては2列設けられている。該インサート351は、例えば
図84(A)(B)に示すように、前記サポート装置204を構成する前記掛着部材206を固定するための前記固定ボルト210を螺合するために用いることができる。該インサート351は複数個設けられているため、所要位置のインサート351を選択することによって、
図84(A)に示すように、前記上支柱部材17と該第2のスラブ10bとの間に、前記サポート軸207を無理のない傾斜状態にして取り付けることができる。
【0138】
(18)前記実施例においては、前記両側部分間200において、欠切開口部177や独立開口部347を有する第2の中間スラブ10bを架設しているが、前記点検用開口部201を通して貯水槽底部275の点検を行ない得る限り、部分的に、前記第1の中間スラブ10aを架設することもある。
【0139】
(19)矩形状を呈する前記第1、第2の中間スラブ10a,10bには、前記した長方形板状を呈するものの他、正方形板状を呈するものも含まれる。
【0140】
(20)
図85は、上下二分割型の内壁支柱部材7の前記第1の中間受部21aの他の態様を示すものであり、
図86は、一体型の内壁支柱部材7の第1の中間受部21aの他の態様を示すものである。
【0141】
(21)前記中間仕切り部3は、土圧に抵抗できる貯水槽を構築できる限り、全体又は部分的に、中間スラブが省略されることもある。例えば
図3に示す場合において、単位貯水槽2の一列乃至複数列について、部分的に中間スラブが省略されることがある。
このように構成する場合は、使用する中間スラブの枚数を減らすことができ、又、その架設の為の施工手間を削減できる等、施工経済上好ましい。
【0142】
(22)前記下支柱部材15や前記一体型の外壁支柱部材9の台座部128を構成する前記下の突出部や、前記内壁支柱部材7の台座部61を構成する前記下の突出部の夫々の突出量は、前記下支柱部材15や前記内壁支柱部材7を基礎コンクリート186上に載置した状態における立設状態の安定性を向上させるために、前記図示した場合よりも大きくすることがある。
【0143】
(23)前記囲枠体189の外側部分を、前記のように埋め戻すことに代えて、適宜桟橋を架け渡して作業者の移動を可能とすることもある。
図87〜89は、下支柱部材326の上端327に上支柱部材328を立設状態に連結して前記内壁支柱部材7を構成する場合において、該上支柱部材328の上の立壁部353の左右の立面329b,330bの下部の両側に位置させて側部支持片354,354を該上の立壁部353と一体に突設した場合を示している。前記二分割型の外壁支柱部材9について説明したと同様にして、該側部支持片354,354を利用して該上支柱部材328の垂直状態を調整できる。又、該側部支持片354,354によって、上支柱部材328を下支柱部材326に所要に連結するまでの間における該上支柱部材328の転倒防止を図ることができる。
【0144】
(24)前記止水材335の付設は、前記したブチルゴム製等の帯状片を接着して行うことの他、エポキシ樹脂やウレタン樹脂等の止水性の樹脂を塗布して行うこともできる。