特許第5938235号(P5938235)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5938235両面受光型太陽電池モジュールの設置構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5938235
(24)【登録日】2016年5月20日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】両面受光型太陽電池モジュールの設置構造
(51)【国際特許分類】
   H02S 40/22 20140101AFI20160609BHJP
   H02S 20/23 20140101ALI20160609BHJP
【FI】
   H02S40/22
   H02S20/23 A
【請求項の数】2
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-45407(P2012-45407)
(22)【出願日】2012年3月1日
(65)【公開番号】特開2013-138163(P2013-138163A)
(43)【公開日】2013年7月11日
【審査請求日】2014年12月22日
(31)【優先権主張番号】特願2011-258836(P2011-258836)
(32)【優先日】2011年11月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000165505
【氏名又は名称】元旦ビューティ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082669
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 賢三
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100095061
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 恭介
(72)【発明者】
【氏名】舩木 元旦
(72)【発明者】
【氏名】田澤 浩臣
(72)【発明者】
【氏名】北村 浩一
(72)【発明者】
【氏名】西田 和倫
【審査官】 池谷 香次郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−340491(JP,A)
【文献】 特開2002−094103(JP,A)
【文献】 特開2003−168816(JP,A)
【文献】 特開昭60−187066(JP,A)
【文献】 特開2001−065131(JP,A)
【文献】 特開2008−095418(JP,A)
【文献】 特開2011−003561(JP,A)
【文献】 特開2002−111035(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0197954(US,A1)
【文献】 特開2001−127331(JP,A)
【文献】 特開2002−222981(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02S 40/22
H02S 20/22 − 20/23
H01L 31/0468
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性を有する基材に複数の両面受光セルを配置した両面受光型太陽電池モジュールを横葺き式の屋根材として敷設する設置構造において、
前記両面受光型太陽電池モジュールは、隣り合う両面受光セル間の配設間隔に両面受光セルが存在しない透光領域が形成され、両面受光セルが存在する発電領域が前記透光領域にて略島状に分断され、
水下側、水上側の両面受光型太陽電池モジュールが載置可能な支持部及び溝状部を有する横桟は、その端縁が流れ方向に沿うように配設される排水部材に臨むように取り付けられると共に、所定間隔で配設され、少なくとも前記横桟間に反射材又は反射部が配設され、その上方を覆うように両面受光型太陽電池モジュールが配設されており、
前記両面受光型太陽電池モジュールの裏面側に配した太陽光を反射する反射材又は反射部により、透光領域を透過させた太陽光を反射材又は反射部にて反射させて両面受光セルの裏面側に照射させることを特徴とする両面受光型太陽電池モジュールの設置構造。
【請求項2】
光透過性を有する基材に複数の両面受光セルを配置した両面受光型太陽電池モジュールを縦葺き式の屋根材として敷設する設置構造において、
前記両面受光型太陽電池モジュールは、隣り合うする両面受光セル間の配設間隔に両面受光セルが存在しない透光領域が形成され、両面受光セルが存在する発電領域が前記透光領域にて略島状に分断され、
左側、右側の両面受光型太陽電池モジュールが載置可能な支持部を有する縦桟とドレンガイドが一体状に組み付けられると共に、所定間隔で配設され、少なくとも前記縦桟間に反射材又は反射部が配設され、その上方を覆うように両面受光型太陽電池モジュールが配設されており、
前記両面受光型太陽電池モジュールの裏面側に配した太陽光を反射する反射材又は反射部により、透光領域を透過させた太陽光を反射材又は反射部にて反射させて両面受光セルの裏面側に照射させることを特徴とする両面受光型太陽電池モジュールの設置構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両面受光型の太陽電池モジュールを、各種の制限を受けることなく、屋根面等の外装面に敷設することができる両面受光型太陽電池モジュールの設置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、社会に多大な影響をもたらす地球温暖化の緩和を目的として、その原因である温室効果ガスのうち、大きな割合を占める二酸化炭素(CO2)の排出が少ない社会(低炭素社会)を構築するため、従来の石油や石炭等の資源に依存するエネルギーに代え、太陽光を用いた再生可能エネルギーを普及するという社会的気運の高まりがある。また、政府や自治体が、積極的に太陽電池モジュールを導入する需要に対し、補助を行ったり、余剰の電力を電力会社が買い取る機構もまた構築されている。
【0003】
これらの気運やニーズに鑑み、大規模な太陽電池施設や既存の建築部或いは新設の建築物への太陽電池の設置が積極的に進められている。一方、太陽電池は太陽光を受光することで発電するため、設置面積は勿論のこと、太陽電池セルの発電効率、太陽光の照射時間、太陽に対する角度等が発電量に大きく影響するものである。そのような中で、より高効率な太陽電池セルの開発、太陽の動きに合わせて角度や向きを換える機構の研究がなされている。前者の中にあっては、セルの両面で受光する両面型太陽電池セルが開発され、モジュール化したものを例えば道路等の防護壁やフェンス等、建築物屋上の手すり、看板等に垂直設置して利用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記両面受光型太陽電池モジュールの垂直設置は、太陽が照射する時間に表裏のどちらかで受光し続け(例えば午前中は表面、午後は裏面)、太陽光の照射時間を長くすることで一定に受光量を得ようとするものである。しかし、このような垂直設置は、太陽が移動しても表面もしくは裏面で受光させるため、垂直壁周辺に日射を遮るものがない環境や方角に制限を受け、設置可能な場所は限られるものである。また、一方の面にしか太陽光が照射しない場所への設置はその受光量を得ることができないものであり、照射時間の限られる環境や場所への設置は難しく用途としては極めて限られるものであった。
【0005】
そこで、本発明は、両面受光型の太陽電池モジュールを、前述の各種の制限を受けることなく、適宜に外装面に敷設することができる両面受光型太陽電池モジュールの設置構造を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記に鑑み提案されたもので、光透過性を有する基材に複数の両面受光セルを配置した両面受光型太陽電池モジュールを横葺き式の屋根材として敷設する設置構造において、前記両面受光型太陽電池モジュールは、隣り合う両面受光セル間の配設間隔に両面受光セルが存在しない透光領域が形成され、両面受光セルが存在する発電領域が前記透光領域にて略島状に分断され、水下側、水上側の両面受光型太陽電池モジュールが載置可能な支持部及び溝状部を有する横桟は、その端縁が流れ方向に沿うように配設される排水部材に臨むように取り付けられると共に、所定間隔で配設され、少なくとも前記横桟間に反射材又は反射部が配設され、その上方を覆うように両面受光型太陽電池モジュールが配設されており、前記両面受光型太陽電池モジュールの裏面側に配した太陽光を反射する反射材又は反射部により、透光領域を透過させた太陽光を反射材又は反射部にて反射させて両面受光セルの裏面側に照射させることを特徴とする両面受光型太陽電池モジュールの設置構造に関するものである。
【0007】
また、本発明は、光透過性を有する基材に複数の両面受光セルを配置した両面受光型太陽電池モジュールを縦葺き式の屋根材として敷設する設置構造において、前記両面受光型太陽電池モジュールは、隣り合うする両面受光セル間の配設間隔に両面受光セルが存在しない透光領域が形成され、両面受光セルが存在する発電領域が前記透光領域にて略島状に分断され、左側、右側の両面受光型太陽電池モジュールが載置可能な支持部を有する縦桟とドレンガイドが一体状に組み付けられると共に、所定間隔で配設され、少なくとも前記縦桟間に反射材又は反射部が配設され、その上方を覆うように両面受光型太陽電池モジュールが配設されており、前記両面受光型太陽電池モジュールの裏面側に配した太陽光を反射する反射材又は反射部により、透光領域を透過させた太陽光を反射材又は反射部にて反射させて両面受光セルの裏面側に照射させることを特徴とする両面受光型太陽電池モジュールの設置構造をも提案するものである
【発明の効果】
【0010】
本発明の両面受光型太陽電池モジュールの設置構造は、両面受光セルが存在する発電領域と、各両面受光セルの周囲及び隣接する両面受光セルの配設間隔に形成される透光領域と、で構成される両面受光型太陽電池モジュールの裏面側に、反射材又は反射部を配設してなる構成であって、透光領域を透過させた太陽光を、反射材又は反射部にて反射させて両面受光セルの裏面側に照射させることができる。そのため、両面受光セルの表裏を効果的に発電に利用することができ、特に屋根面等の裏面側に太陽光を遮蔽するものが存在する場所でも支障なく、片面受光型セルを配した通常の太陽電池モジュールの設置面積と同じ設置面積で、より大きな発電量を期待できるものである。
また、本発明の設置構造では、反射材又は反射部による太陽光の反射を利用するので、設置場所等も限定されることがなく、中小規模の建築物や一般住宅等のように太陽光の照射時間に制限を受けたり、設置箇所の向きが限定されるような建築物にも適用できる。
さらに、下地面の全面に金属等の反射材を配設した場合には、反射材又は反射部としての加工性が容易になり、コストが低減されると共に、下地面上を金属で全面的に覆うことになるため防火性能にも優れる構造となる。
【0011】
また、流れ方向に所定間隔で横桟を配設し、少なくとも横桟間に反射材又は反射部が配設され、その上方を覆うように両面受光型太陽電池モジュールが配設した設置構造では、左右方向に長尺な両面受光型太陽電池モジュールを効果的に配設することができる。そして、例えば本願出願人等がこれまで提案した殆どの片面受光型の太陽電池モジュールを用いた横葺き形式の設置構造又は接続構造において、太陽電池モジュールとして、本発明における横長の両面受光型太陽電池モジュールを用いると共に、裏面側に反射材又は反射部を配設すればよく、前述の効果を付加することができる。
さらに、横桟には、上下段に溝状部を設けたので、仮に両面受光型モジュールの裏面側に雨水が回り込むことがあったとしても横桟の溝状部から排水部材の排水部へ導いて水下側へ流下させることができる。
【0012】
また、左右方向に所定間隔で縦桟を配設し、少なくとも縦桟間に反射材又は反射部が配設され、その上方を覆うように両面受光型太陽電池モジュールが配設した設置構造では、流れ方向に長尺な両面受光型太陽電池モジュールを効果的に配設することができる。そして、例えば本願出願人等がこれまで提案した殆どの片面受光型の太陽電池モジュールを用いた縦葺き形式の設置構造又は接続構造において、太陽電池モジュールとして、本発明における縦長の両面受光型太陽電池モジュールを用いると共に、裏面側に反射材又は反射部を配設すればよく、前述の効果を付加することができる。
さらに、縦桟は、仮にその左右の接続部分からの浸水があったとしても、或いは流れ方向の接続部分からの浸水があったとしてもドレンガイドの排水部にて流下させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】(a)第1実施例の両面受光型太陽電池モジュールの設置構造を示すために、意図的に構成部材を欠載して示した斜視図、(b)その要部を示す側断面図である。
図2】(a)第2実施例の両面受光型太陽電池モジュールの設置構造を示すために、意図的に構成部材を欠載して示した斜視図、(b)その要部を示す側断面図である。
図3】(a)第3実施例の太陽電池モジュールの設置構造の要部を示す側断面図、(b)第4実施例の太陽電池モジュールの設置構造の要部を示す側断面図である。
図4】(a)第5実施例の両面受光型太陽電池モジュールの設置構造を示すために、意図的に構成部材を欠載して示した斜視図、(b)その要部を示す側断面図である。
図5】(a)第6実施例の両面受光型太陽電池モジュールの設置構造を示すために、意図的に構成部材を欠載して示した斜視図、(b)その要部を示す側断面図である。
図6】(a)折板屋根に本発明を適用した第7実施例の両面受光型太陽電池モジュールの設置構造を示す側断面図、(b)その正断面図である。
図7】(a)折板屋根に本発明を適用した第8実施例の両面受光型太陽電池モジュールの設置構造を示す側断面図、(b)その正断面図である。
図8】(a)第9実施例の両面受光型太陽電池モジュールの設置構造における取付部材を配設していない一般部を示す側断面図、(b)その要部を示す側断面図である。
図9】折板屋根に、第9実施例の両面受光型の太陽電池モジュールを適用した設置構造を示す斜視図である。
図10】(a)第10実施例の両面受光型太陽電池モジュールの設置構造を示す側断面図、(b)第11実施例の両面受光型太陽電池モジュールの設置構造を示す側断面図、(c)第12実施例の両面受光型太陽電池モジュールの設置構造を示す側断面図、(d)第13実施例の両面受光型太陽電池モジュールの設置構造を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の両面受光型太陽電池モジュールの設置構造は、両面受光セルが存在する発電領域と、各両面受光セルの周囲、及び隣接する両面受光セル間の配設間隔に形成される透光領域とで両面受光型太陽電池モジュールを構成し、裏面側に太陽光を反射する反射材又は反射部を配設した構造である。
この構造により、通常の太陽電池モジュールの設置構造と同様に、表面側からの太陽光の照射により、発電領域の両面受光セルの表面側を発電させることができ、加えて、透光領域を透過させた太陽光を反射材又は反射部にて反射させて発電領域の裏面側から照射させて両面受光セルの裏面側を発電させることができる。
【0015】
本発明に用いる両面受光型の太陽電池モジュールは、光透過性を有する基材に複数の両面受光セルを配置した構成であり、基材を構成する表面・裏面保護材(層)は、透光性を有するものであれば、透明でも半透明でもよく、透明又は半透明のガラスや樹脂の板材又はシート等で構成され、モジュールとしてのサイズや使用箇所等によって適宜に選定される。例えば基材として、表裏両面にガラスを保護材(層)として用いて複数の両面受光セルを挟み込む構成でもよいし、表面のみにガラスを表面保護材として用い、該表面保護材にて複数の両面受光セルの表面側を保護し、両面受光セルの裏面側には、エチレン酢ビ(EVA)等の樹脂系シートを封止材として、更に透明保護層としてバックシートを配した構成などを採用することもできる。両面受光セルとしては、シリコン系、化合物系、有機系等の各種の両面受光セルを用いることができる。なお、モジュールとして周縁(小口)の止水、防水処理を施したものであればよく、モジュールの剛性を高めるためのフレーム等の有無を問うものではないが、モジュール表面を流下する雨水をせき止めないように少なくとも流れ方向に交わる方向にはフレーム等の突起がないものが好ましい。また、モジュールは、周辺機器の汎用性を高めるためにサイズを小さく(例えば半分程度に)した両面受光セルを用いるようにしてもよい。
そして、所定面積にて形成される両面受光セルを、両面受光セルは、隣接する両面受光セルが所定間隔で離間するように基材に配置され、言い換えれば、隣接する両面受光セル間の配設間隔に両面受光セルが存在しない透光領域が形成される構成であり、両面受光セルが存在する発電領域が透光領域にて略島状に分断されている。
本発明における発電領域の分断の状態、即ち両面受光セルの離間の状態は、両面受光セルの周辺全てが離間するものであっても、複数の両面受光セルを組み合わせた状態で離間させるものであってもよく、モジュールとして透光領域が得られるものであれば、両面受光セルの配置(配列)は問うものではない。要するに、想定される配列としては、(1)各両面受光セルがその周辺全てが離間している、(2)2枚、4枚の両面受光セルを近接させて1つのブロックとし、そのブロック間が離間している、(3)モジュールの長手方向又は短手方向は近接し、他方が離間している、状態等がある。
【0016】
本発明に用いる反射材又は反射部は、前記両面受光型の太陽電池モジュールにおける透光領域を透過する太陽光を反射させて両面受光セルの裏面側へ太陽光を照射するものであって、その材質及び表面処理において、所謂鏡面に類するものよりも、むしろ乱反射(拡散反射)するものが好ましい。例えば全面に設けるものであっても部分的に設けるものであってもよい。材質等にあっても、鉄、ステンレス、アルミ等の鋼板や銅板、或いは表面処理鋼板や塩ビ等の被覆鋼板でもよく、板状、フィルム状であってもよい。また、硬質樹脂板や樹脂シート、アスファルト等の含浸シートであってもよい。上記反射材は、白、シルバー等に塗装されたものでも、反射性(光沢を含む)のトップコートを施したものであってもよく、表面に鏡面仕上げを施したもの、これらの態様を複数兼ねるものであってもよい。さらに、反射材又は反射部は、略平坦状のものであっても、後述する図示実施例のような角波状、円弧状であってもよい。また、新設・既設屋根上に両面受光型太陽電池モジュールを配設する場合、上述のような反射材又は反射部を別途に又は新規に用いるものであってもよいし、対象領域に相当する領域上に反射性能を有する塗料等を塗布して反射部を形成するものでもよい。
また、後述する横葺き式でも縦葺き式でも同様であるが、横桟又は縦桟の配設間隔に配する態様でも、例えばルーフィング(紙)を兼ねる下地材として敷設する態様でもよく、太陽光を反射する部分(面板部)についても、平坦状でも、連続(角)波状でもよい。なお、この反射材又は反射部を横桟又は縦桟の配設間隔に配する態様では、後述する図示実施例のように、端縁を立ち上げ、縦桟間又は横桟間に嵌め付けるもの、縦残又は横桟等に係止させてもよく、ビス等で固定するものであってもよい。
【0017】
前記反射材又は反射部は、両面受光型モジュールの配設方法(敷設方法)、下地の構成によって相違するため、設置(形成を含む)対象、設置(形成を含む)方法の一例を以下に示す。
(1)両面受光型モジュールを屋根材として敷設する仕様(屋根材型);
モジュール、桟部材及び関連部材によって屋根として雨仕舞を備えるため下層の構成は問わない。よって、躯体(下地)上にこの反射板又は反射部を設置するものでも、新設屋根、既存屋根上にこの反射材又は反射部を設置するものでもよい。
(2)設置対象が新設・既存屋根の仕様(屋根置型);
新設・既存屋根は、金属、合成樹脂、窯業材料、セメント等の公知の材料によって構成される横葺、縦葺き、折板、瓦葺き、スレート葺、防水層(シート、塗布)等の公知の葺き形式によって構成されるものが対象となる。新設・既存屋根上に両面受光型太陽電池モジュールを配設する場合、新たに反射材を配設して本案の太陽電池モジュールを設置するもの(前記(1)との相違は、屋根材型とする必要がないため、桟部材、固定部材の構成が相違する)、新設屋根(材)自体を反射材又は反射部(層)として機能させるもの(材質や色等)、架設対象部分に反射機能を持たせるもの(塗料等)等でもよい。
なお、新設・既存屋根上に配設する場合、雨仕舞は、モジュールの裏面側にある屋根が負担することになるため、前記(1)のように屋根材としての機能を必ずしも必要としないため、桟部材等の構成が変わる(屋根材型に比べて簡略化も可能である)。
【0018】
このように、本発明の設置構造は、前記構成の両面受光型太陽電池モジュールの裏面側に前記構成の反射材又は反射部を配設した構成であり、透光領域を透過させた太陽光を反射材又は反射部にて反射させて発電領域の裏面側に照射させることができる。
そのため、両面受光セルの表裏を効果的に発電に利用することができ、特に屋根面等の裏面側に太陽光を遮蔽するものが存在する場所でも支障なく、片面受光型セルを配した通常の太陽電池モジュールの設置面積と同じ設置面積で、より大きな発電量を期待できる。
【0019】
そして、前記設置構造を横葺き式に適用するには、水下側、水上側の両面受光型太陽電池モジュールが載置可能な支持部を有する横桟が、所定間隔で配設され、少なくとも前記横桟間に反射材又は反射部が配設され、その上方を覆うように両面受光型太陽電池モジュールが配設されていればよい。
【0020】
前述のように本発明の両面受光型太陽電池モジュールの設置構造の大きな特徴は、片側受光セルを配した通常の太陽電池モジュールの設置構造にも適用できることであるが、例えば特に特殊な部材(フレーム)の使用によるコスト上昇を招くことなく、モジュールの水下側端部を確実に且つ容易に一体状に固定することができることを目的として、後述する図示実施例のように、水下側、水上側のモジュールが載置可能な支持部を有する横桟(レール材)が、所定間隔で配設され、該横桟間にモジュールを敷設する設置構造において、前記横桟の水上側に敷設されるモジュールは、水下側端部が横桟上に載置され、その表面が横桟に添わせた取付部材にて保持され、前記取付部材は、横桟の長手方向に対して一定間隔で配置されると共に、保持具を介在させることで横桟と取付部材が一体化されている構造に、モジュールとして前記構成の両面受光型の太陽電池モジュールを用い、その裏面側には前記構成の反射材又は反射部を配するようにしてもよい。
即ち上述の一例は、本願出願人が既に提案した片面受光型の太陽電池モジュールの接続構造の一例に、前記本発明の両面受光型太陽電池モジュールの設置構造を適用したものであるが、このように前記本発明の設置構造は、本願出願人や本願出願人以外がこれまで提案した殆どの片面受光型の太陽電池モジュールを用いた横葺き形式の設置構造又は接続構造に容易に適用することができ、前述の効果を付加することができる。
【0021】
また、前記設置構造を縦葺き式に適用するには、左側、右側の両面受光型太陽電池モジュールが載置可能な支持部を有する縦桟が、所定間隔で配設され、少なくとも前記縦桟間に反射材又は反射部が配設され、その上方を覆うように両面受光型太陽電池モジュールが配設されていればよい。
そして、前記横葺き式と同様に、例えば本願出願人等がこれまで提案した殆どの片面受光型の太陽電池モジュールを用いた縦葺き形式の設置構造又は接続構造において、太陽電池モジュールとして、本発明における縦長の両面受光型太陽電池モジュールを用いると共に、裏面側に反射材又は反射部を配設すればよく、前述の効果を付加することができる。
【実施例1】
【0022】
図1(a),(b)に示す本発明の第1実施例は、水下側、水上側の両面受光型太陽電池モジュール(以下、両面受光型モジュールという)1,1が載置可能な支持部41,42を有する横桟(レール材)4が、所定間隔で配設され、該横桟4,4間に反射材又は反射部(ここでは反射板)9が配設され、その上方を覆うように両面受光型モジュール1が配設されている構成であり、両面受光型モジュール1と横桟4および関連部材によって屋根としての機能を備える構造である。
【0023】
この第1実施例に用いる両面受光型モジュール1は、光透過性を有する横長の基材11であるガラス等の表面保護材にて、複数の略矩形状の両面受光セル10の表裏を挟み込んで封止した構成であり、横方向に隣接する両面受光セル10,10が所定間隔を隔てて離間するように配設されている。
この両面受光型モジュール1は、外周部分、及び隣接する両面受光セル10,10間の配設間隔に、両面受光セルが存在しない透光領域1Bが形成される構成であり、両面受光セル10が存在する発電領域1Aが透光領域1Bにて略島状に分断されている構造ということができる。
【0024】
この第1実施例に用いる反射材又は反射部(ここでは反射板)9は、予め下地材として敷設された白色系からなる鋼板であり、全面に金属を配しているので、加工が容易であるため、コストが低減されると共に、下地面上を金属で全面的に覆うため、防火性能にも優れる。
【0025】
なお、第1実施例における前記両面受光型モジュール1及び前記反射材又は反射部9以外の構成を説明すると、流れ方向に所定間隔で配設される横桟4と、該横桟4の水下側端部に取り付けられる取付部材6Aと、該取付部材6Aと前記両面受光型モジュール1間に介在させる保持具6Cとからなり、保持具6Cの介在により、横桟4と取付部材6A、及び両面受光型モジュール1が一体化される構成である。
【0026】
前記横桟4は、前記両面受光型モジュール1の流れ方向の端縁を支持する水上側支持部41、水下側支持部42を有し、後述する取付部材6Aを添わせる取付受部49を有する構成である。
【0027】
図示実施例の水上側支持部41は、水上側を向く横片状であり、水下側支持部42は、水下側に設けられた上方が開放する溝内に弾性材46aが挿着された構成である。
また、この横桟4は、水下側へ突出する支持片43を有する構成であり、長さ方向に同一断面を有する長尺材とした。さらに、その水上側及び水下側に下方へ延在する脚部44,44、該脚部44の下端に下地面8に接地する接地部45,45、及び長さ方向に溝状部47,48を上下段に有する構成とした。
なお、前記支持片43の裏面側には、下方が開放する溝内に弾性材46bが装着され、前記両面受光型モジュール1の水上側端縁を前記水下側支持部42に受支させた際に、上方に配された弾性材46a及び下方に配された弾性材46b間にそれぞれ接触するため、上下から挟み込まれ、弾性作用にて挟着状に取り付けられる。
また、前記支持片43には、第2横桟4Bが掛止状に取り付けられ、該第2横桟4Bの水下端に、下方が開放する溝状の取付受部49が形成されている。
【0028】
前記取付部材6Aは、前記横桟4の長手方向に対して一定間隔で配置され、両面受光型モジュール1の水下側端部の表面を保持する保持部61を有し、前記横桟4の取付受部49に添わせる、即ち取り付け可能な取付部62を有する。
【0029】
図示実施例の保持部61は、両面受光型モジュール1の水下側端部の表面に添わせる添接片であり、略コ字状に形成される取付部材6Aの上側横片である。また、取付部62は、前記横桟4(4B)の取付受部49に係合可能な上向きの係止片状であって、略コ字状に形成される取付部材6Aの下側横片の先端に形成されている。
【0030】
前記保持具6Cは、前記取付部材6Aと前記両面受光型モジュール1との間に介在させることで、横桟4と取付部材6A、及び両面受光型モジュール1が一体化されるものである。
図示実施例の保持具6Cは、弾性を有する定形(略楔状の挿入部を有する形状)材であって、この保持具6Cを前記取付部材6Aの保持部61の裏面側に押し込むように取り付けることにより、取付部材6Aに持ち上げられる力(弾性力)が作用し、係止片である取付部62が横桟4の取付受部49に下方から係合し、一体的に固定される。
【0031】
また、図示実施例では、前記横桟4の上端に、捨板2Bを、流れ方向に配して両面受光型モジュール1,1の左右の側端を支持するようにした。
この捨板2Bは、略中央に隆状部22を、その左右に複数条の水返し部23を、それぞれ長さ方向に沿うように有する構成であり、長さ方向に同一断面を有する定尺材とした。
【0032】
また、図示実施例では、両面受光型モジュール1,1の左右の配設間隔に、継手カバー6Bを覆うように配設した。
この継手カバー6Bは、平板状の水下側を下方へ折り曲げた形状であり、ビス等の固定具6dを表面側から打ち込んで前記捨板2Bの隆状部22の頂部に固定される。
【0033】
以下、この第1実施例の両面受光型モジュール1の設置構造を施工する手順について説明する。
【0034】
まず、第1の工程では、下地面全面に前記反射材9を敷設した。この反射材9は、前述のように白色系からなる鋼板であるから、全面に金属を配しているので、加工が容易であるため、コストが低減されると共に、下地面上を金属で全面的に覆うため、防火性能にも優れる。
【0035】
その後、図示実施例では、流れ方向に沿うように排水部材2Aを配設した。この排水部材2Aは、略平坦状の底面21の左右の側縁を傾斜状に立ち上げた側面の上端を略水平状に内側へ折曲して受部とした構成の連続材である。この排水部材2の底面21は、排水部の底面であり、以下、排水部とする。
【0036】
次に、第2の工程では、配設した排水部材2上に、前記構成の横桟4の端縁が臨むように略直交状に配設する。
なお、この横桟4は、配設以前に予めその脚部44,44を部分的に削除し、脚部44,44の上方部分が排水部材2の排水部21に臨むように配設する。
【0037】
その後、前記第2の工程で取り付けた横桟4の水下側支持部42に捨板2Bの水上側の端縁を受支させると共に、水下側に隣接する横桟4の水上側支持部41に捨板2Bの水下側の端縁を受支させるように取り付ける。
この横桟4には、前述のように水下側へ突出する支持片43が設けられているので、捨板2Bの水上側の端縁を、支持片43と水下側支持部42との間(空間)に挿入状に取り付ければよく、また捨板2Bの水下側の端縁を、水上側支持部41の上面と支持片43の上面に架け渡すように取り付ける。なお、前述のようにこの横桟4は、本体4と第2横桟4Bにて構成されているが、この時点で第2横桟4Bは、支持片43の表面に遊嵌状に添わせた状態とする。
【0038】
続いて第3の工程では、前記第2の工程で取り付けた横桟4,4間に、両面受光型モジュール1を敷設する。詳しくは、上段側の横桟4の水下側支持部42、下段側の横桟4の水上側支持部41に、両面受光型モジュール1の水上側端部、水下側端部を載置するように支持させる。その際、前述のように捨板2Bを配設しているので、両面受光型モジュール1の長さ方向の端縁が支持されるように配設する。
この図示実施例では、前述のように横桟4に、弾性材46a,46bが取り付けられ、該弾性材46a,46b間に両面受光型モジュール1の水上側端縁を取り付けるので、該水上側端縁は、上下から挟み込まれ、弾性作用にて挟着状に取り付けられる。
なお、前述のように横桟4の支持片43の表面には、第2横桟4Bを添わせているが、両面受光型モジュール1の配設に際し、この第2横桟4B上にクッション材4cを介在させて両面受光型モジュール1を載置状に配設した。
【0039】
その後、配設した両面受光型モジュール1の水下側端部に前記構成の取付部材6Aを遊嵌状に添わせ、前記略楔状の挿入部を有する弾性材である保持具6Cを、表面側から、添接片である保持部61の裏面側に挿入して介在させて横桟4と取付部材6Aとを一体化させる。この保持具6Cの取り付けにより、保持部61を上方へ持ち(引き)上げる作用が働き、保持部材6の下端に設けられた係止片状の取付部62が、横桟4(第2横桟4B)の取付受部49に下方から係合する。
その結果、両面受光型モジュール1の水下側端部が、横桟4と取付部材6A、及び保持具6Cにより、一体的に固定されるものとなる。
【0040】
その後、図示実施例では、前記第3の工程で取り付けた両面受光型モジュール1,1の左右の配設間隔に継手カバー6Bを覆うように配設した。この図示実施例では、捨板2Bに、前述のように略中央に隆状部22が、その左右に水返し部23が、それぞれ長さ方向に沿うように設けられているので、継手カバー6Bを配設してビス等の固定具6dを隆状部22に打ち付けて固定することができる。
【0041】
このような手順にて施工される本発明の両面受光型モジュール1の設置構造は、両面受光セル10が存在する発電領域1Aと、各両面受光セル10の周囲、及び隣接する両面受光セル10,10間の配設間隔に形成される透光領域1Bと、で構成される両面受光型太陽電池モジュール1の裏面側に、反射材9を配設してなる構成であって、透光領域1Bを透過させた太陽光を、反射材9にて反射させて両面受光セル10の裏面側に照射させることができる。そのため、両面受光セル10の表裏を効果的に発電に利用することができ、特に屋根面等の裏面側に太陽光を遮蔽するものが存在する場所でも支障なく、片面受光型セルを配した通常の太陽電池モジュールの設置面積と同じ設置面積で、より大きな発電量を期待できる。
また、本発明の設置構造では、反射材9による太陽光の反射を利用するので、両面受光型モジュール1を湾曲状に加工する必要がなく、設置場所等も限定されることがなく、一般住宅等にも適用できる。
さらに、本発明の設置構造では、透光領域1Bは反射材9(又は反射部)へ太陽光を導くものであって、反射材9(又は反射部)の裏面側への太陽光の透過を遮断するので、太陽光の照射を望まない場合や室内が外部から覗かれるのを嫌うような場合にも適用できる。
【0042】
また、この図示実施例の設置構造は、両面受光型モジュール1の水下側端部が、横桟4と取付部材6A、及び保持具6Cにより、一体的に固定され、使用する横桟4も取付部材6Aも保持具6Cも極めて簡易な部材であり、特殊なフレーム材を必要とすることもないため、コストを抑えることができる。しかも、カバー材を用いないので、モジュール1上を流下する雨水がせき止められることもないし、雨水に含まれる土や埃等が堆積することもなく、負圧作用時の強度向上と流れ方向のズレ止めを補強することができる。そのため、両面受光型モジュール1の表面を美麗に維持することができ、発電領域1Aの発電効率等の性能低下を招くこともなく、透光領域1Bの透光効率の低下を招くこともない。また、両面受光型モジュール1を取付部材6Aで横桟4に一体化させているため、取付部材6Aを着脱することで、両面受光型モジュール1の交換を容易に行うことができる。
【0043】
また、この図示実施例では、第1の工程の反射材9の敷設後に、流れ方向に排水部材2を取り付け、その後に横桟4の端縁が臨むように略直交状に配設したので、仮に雨水等が捨板2Bの裏面側へ回り込むことがあったとしても、排水部材2の排水部21に導いて水下側へ流下させることができる。
さらに、前記横桟4及び前記捨板2Bは、前述のようにそれぞれ長さ方向に同一断面を有する構成としたので、使用する両面受光型モジュール1の流れ方向の長さ寸法に応じて横桟4の長さを適宜に成形(切断)することができ、使用する両面受光型モジュールの桁行き方向の長さ寸法に応じて捨板2Bを長さを適宜に成形(切断)することができ、どのような寸法の両面受光型モジュールも極めて容易に対応することができる。
しかも、図示実施例の横桟4には、上下段に溝状部47,48を設けたので、仮に両面受光型モジュール1の裏面側に雨水が回り込むことがあったとしても横桟4の溝状部47,48から排水部材2の排水部21へ導いて水下側へ流下させることができる。
【0044】
また、この図示実施例では、横桟4が、水下側へ突出する支持片43を有し、この支持片43上に両面受光型モジュール1の水下側縁(11c)を載置しているので、両面受光型モジュール1の表面を伝う雨水等が、確実に水下側に隣接する両面受光型モジュール1上に導かれて排水される。
さらに、前記第2の工程にて捨板2Bを取り付ける作業において、その水上側の端縁を、支持片43と水下側支持部42との間(空間)に挿入状に取り付ければよく、また水下側の端縁を、水上側支持部41の上面と支持片43の上面に架け渡すように取り付ければよいので、施工性にも優れており、更には少なくとも捨板2Bの水上側の側縁の浮き上がりが、支持片43にて防止される。
また、この図示実施例では、捨板2Bの略中央に隆状部22を、その左右に水返し部23を、それぞれ長さ方向に沿うように設けたので、継手カバー6Bを固定する固定具6dを隆状部22に打ち付けることができ、また継手カバー6Bの裏面側に雨水等が浸入しても水返し部32にて確実に水下側へ雨水等を流下させることができる。
【0045】
図2(a),(b)に示す第2実施例は、用いた反射材9IIが前記第1実施例のように下地全面に敷設されるものではなく、横桟4,4間に配設される白色系からなる鋼板の加工品(成形体)であって、その水上側、水下側の端部を立ち上げて、隣接する横桟4,4の脚部44,44の下端に沿う起立部91,91を設けた構成である以外は、前記第1実施例と全く同様であるから、図面に同一符号を付して説明を省略する。なお、この成形体を反射材9IIとしたが、起立部91,91を除く平板状の反射部が主として反射に寄与する部分であるから、当該部分を反射部9IIとしてもよい。
この第2実施例では、反射材9IIが成形体であるため、第1実施例とは、施工手順が異なり、まず下地面8に排水部材2A及び横桟4を配設する工程が第1の工程となり、その後の第2工程として反射材9IIを横桟4,4間に配設するが、それ以外の手順は前記第1実施例と全く同様である。この反射材9IIには、端部に起立部91,91を設けて脚部44,44に沿わせるようにしたので、配設後のズレを生じにくいが、前記第1実施例と同様に下地面8との間に接着剤(層)を介在させるようにしてもよい。
【0046】
図3(a),(b)には、更に異なる態様の反射材9III,9IVを用いた第3,第4実施例を示す。
図3(a)に示す第3実施例では、反射材9IIIが他の態様のように下地面8に沿っておらず、両面受光型モジュール1の裏面側に近接して臨むように配設されるものであり、その水上側、水下側の端部92,92を折り下げて、隣接する横桟4,4の水上側支持部41及び水下側支持部42に支持、係合させている。
図3(b)に示す第4実施例では、反射材9IVの水上側、水下側の端部を立ち上げて、隣接する横桟4,4の脚部44,44の下端に沿う起立部91,91を設けた点では前記第2実施例(反射材9II)と同様であるが、その面板部分93を略角波状に成形した構成である。
【0047】
図4(a),(b)に示す第5実施例、及び図5(a),(b)に示す第6実施例は、モジュールの剛性を高めるためのフレーム材12a,12bを用いた両面受光型モジュール1'を用い、左側、右側の両面受光型モジュール1',1'が載置可能な支持部31,31を有する縦桟3が、所定間隔で配設され、該縦桟3,3間に反射材9,9VIが配設され、その上方を覆うように両面受光型モジュール1'が配設されている構成である。
【0048】
この第5、第6実施例に用いる両面受光型モジュール1'は、光透過性を有する基材11'が縦長であり、縦方向に隣接する両面受光セル10',10'が所定間隔を隔てて離間するように配設され、流れ方向の側縁に断面略コ字状のフレーム材12a,12aを、左右方向の側縁に断面略コ字状のフレーム材12b。12bを配した以外は、前記第1実施例に用いた両面受光型モジュール1と殆ど同様であり、外周部分、及び隣接する両面受光セル10',10'間の配設間隔に、両面受光セルが存在しない透光領域1B'が形成される構成であって、両面受光セル10'が存在する発電領域1A'が透光領域1B'にて略島状に分断されている構造である。なお、両面受光セル10'は、前記第1実施例に用いた両面受光型モジュール1における両面受光セル10と寸法が異なるだけで、基本構成は同じである。
【0049】
この第5実施例に用いる反射材9は、前記第1実施例に用いた反射材9と全く同様であり、下地面全面に敷設されている。また、第6実施例に用いる反射材9VIは、前記第2実施例に用いた反射材9IIと近似する構成であり、その左右の側端を立ち上げて、隣接する縦桟3,3(下部吊子3B,3B)の縦片部の側面下方に沿う起立部94,94を設けた構成である。
【0050】
なお、第5、第6実施例における前記両面受光型モジュール1'及び前記反射材9,9VI以外の構成を説明すると、左右方向に所定間隔で配設される縦桟3は、ピース状の下部吊子3Bの上に、流れ方向に連続する本体3A、及び排水部材(ドレンガイド)3C、が一体状に組み付けられた構成であり、左右方向に隣接する縦桟3,3間に反射材9VIが配設され(反射材9は予め敷設されている)、その上方を覆うように両面受光型モジュール1'が配設され、該両面受光型モジュール1'の左右の側縁を縦キャップ5Aにて挟持している。なお、図中、5Bは、縦キャップ5A,5Aを接続する縦キャップ継手である。また、前記縦桟3の流れ方向の接続は、ジョイント捨板7Aに横キャップ7Bを嵌め付けて接続している。
【0051】
前記縦桟3は、前記両面受光型モジュール1'の左右方向の端縁を支持する支持部31,31を有し、仮にその左右の接続部分からの浸水があったとしても、或いは流れ方向の接続部分からの浸水があったとしても排水部材3Cの排水部32にて流下させることができる構成である。
【0052】
前記下部吊子3Bは、底面(固定部)に固定具3eを打ち込んで下地に固定するものであり、略中央に設けた隆状連結部33に、上方から排水部材3Cの中央隆起部34、及び本体3Aを配した状態で固定具3fを打ち込んで一体的に固定する。また、縦桟本体3Aには、支持部31の下方に、上方から弾性的に嵌合させることができる受部35が設けられ、該受部35に支持材吊子3Dが取り付けられる。支持材吊子3Dは、上端に弾性材36が固着され、該弾性材36を介して両面受光型モジュール1'の裏面を支持している。
【0053】
図6(a),(b)に示す第7実施例及び図7(a),(b)に示す第8実施例は、既存或いは新設の折板屋根に対し、本発明の両面受光型モジュール1"の設置構造を適用した構成であり、この第7、第8実施例に用いる両面受光型モジュール1"は、流れ方向の側縁に裏面側に中空の枠部121を備えるフレーム材12c,12cを、左右方向の側縁に裏面側に中空の枠部122を備えるフレーム材12d,12dを配し、前記第5,第6実施例の両面受光型モジュール1'よりも更にモジュールの剛性を高めたものである。
そして、これらの第7、第8実施例は、両面受光型モジュール1"を折板屋根上に設置する構造であるため、屋根としての機能は折板屋根が負担することとなり、両面受光型モジュール1",1"同士の接続部分(隣接部分)等に雨仕舞を考慮する必要がなく、部材の簡略化を図ることができる構造となる。
【0054】
この第7実施例に用いる反射材9VIIは、下地である折板屋根に沿っていない点で前記第3実施例の反射材9IIIと同じであるが、図6(b)に示すように左右の側縁に設けた起立片93,93が、左右方向に隣接する支持材7D,7Dの側縁間に固定されている構成である。また、第8実施例に用いる反射部90は、図中に破線で示す範囲の折板屋根の表面に、反射性の塗装を施した範囲を反射部90とした構成である。
【0055】
なお、第7、第8実施例における前記両面受光型モジュール1"及び前記反射材9VII及び反射部90以外の構成、即ち折板屋根について簡単に説明すると、I鋼材である躯体8Aの上に、山状部と谷状部とが交互に繰り返す略門状のタイトフレームである下側保持部材8Bが固定され、該下部保持部材8Bの各山状部分の頂部にそれぞれ上部保持部材8Cが固定されている。その左右方向に隣接する上部保持部材8C,8C間に、略平坦状の面板部の両端を傾斜状に立ち上げた外装材8Dを配設して保持させると共にその両端縁をカシメて固定している。その固定部分に、左右一対の持出架台7Cを取り付け、該持出架台7Cの上端フランジ部分に、支持材7Dをボルトナットで固定して前記構成の両面受光型モジュール1"の裏面を支持している。なお、前記持出架台7Cの上端フランジ部分には、予め取付ボルト7eが取り付けられ、該取付ボルト7eに略U字状の押さえ材7Eを挿通させてナット7fで固定するが、この押さえ材7Eの左右に形成した略フランジ状の押さえ部にて前記両面受光型モジュール1"の流れ方向の端縁を押さえて固定している。
【0056】
図8及び図9に示す本発明の第9実施例は、両面受光型モジュール10の水下側端部が横桟4IX上に載置され、その表面が横桟4IXに沿わせた取付部材6IXにて保持され、前記取付部材6IXは、横桟4IXの長手方向に対して一定間隔で配置すると共に、被覆部63から横桟4IXに固定具6eを水下側上方から打ち込むことにより、横桟4IXと取付部材6IXが一体化されている構成である。
なお、図中に符号9IXで示す反射材は、波板状の下葺き材を兼ねるものであり、屋根としての防水性(雨仕舞い)を二重構造(下葺き材9IXによる防水と両面受光型モジュール10による防水)としたものであって、排水部材を不要とした構成である。また、支持部材7Gは、波板状の反射板9IXの山部9Bの頂部に固定されている。
また、この第9実施例における両面受光型モジュール10は、周辺機器の汎用性を高めるためにサイズを小さくした両面受光セル100を用いている。
【0057】
前記横桟4IX(第2横桟4IXB)における符号49"は、後述する取付部材6IXの被覆部63から固定具6eを打ち込む被固定部を指す。この被固定部49の表面には、後述する取付部材6IXを固定するための固定具6eの先端が当接する窪み491が設けられている。なお、この傾斜状の被固定部49"の下端は、水上側へ折り返して(返し片492)略く字状に延在させている。
また、長さ方向に延在する符号47"は、水上側支持部41と水下側支持部42との間に有する溝状部を指す。
さらに、水上側に位置する脚部44を上方に延在させ、上方が開放する溝状空間である収容部48"を形成し、該収容部48"内に、両面受光型モジュール10の裏面側に位置するケーブル101を収容し、その上方を覆い材4Cにて塞ぐようにした。
第2横桟4IXBは、中央より水上側に隆起部を有し、該隆起部の上面には太陽電池モジュール10の裏面を受支するクッション材4dが固着されている。
【0058】
前記取付部材6IXは、前記横桟4IXの長手方向に対して一定間隔で配置されるものであって、両面受光型モジュール10の水下側端部の表面を保持する保持部61と、前記横桟4(第2横桟4IXB)の水下端部(被固定部49)を覆う被覆部63とからなり、被覆部63から固定具6eを打ち込んで横桟4IXと一体化されるものである。
【0059】
図示実施例の保持部61は、両面受光型モジュール10の水下側端部の表面に重合状に沿わせる片であり、略へ字状に形成される取付部材6IXの上側横片である。
また、被覆部63は、前記横桟4IX(4IXB)の被固定部49"の表面に重合状に沿わせる水下側下方へ傾斜片状であって、その表面に形成された窪み631に、固定具6eの先端を当接させて打ち込むことにより、横桟4IXと取付部材6IXが一体化される。なお、被覆部63の下端を、水上側へ略く字状に折り返して(返し片622)延在させ、該返し片632を被固定部49"の下端の返し片492に係合させている。
【0060】
このような各部材にて施工される第9実施例では、両面受光型モジュール10の水下側端部が、レール材4IXと取付部材6IXにより、一体的に固定されるものであり、使用するレール材4IXも取付部材6IXも極めて簡易な部材であり、コストを抑えることができる。
また、この第9実施例では、レール材4IXに収容部48を設けて両面受光型モジュール1のケーブル101を収容するようにしたので、ケーブル101の絡まり等を防止するばかりでなく、太陽光を遮断する(モジュール面に影を形成する)ことを防止する役割をも果たす。
【0061】
図10(a)〜(d)に示す第10〜第13実施例は、それぞれレール材4X〜413が単一部材にて構成され、それぞれ取付部材6X〜613の各保持部61と太陽電池モジュール1の水下側端部の表面との間に厚み方向に弾性を有する保持具6Cを介在させて一体化させたものである。
なお、排水部材2及び排水部21は、前記第2実施例と同様の長尺材である。また、反射材、反射部については、図中に符号9にて示す位置に、前記第1実施例と同様の反射板を配してもよいし、図示省略したが、第2〜9実施例にて説明した構成を用いるようにしてもよい。
【0062】
図示実施例の保持具6Cは、ゴム弾性を有する定形(略楔状の挿入部を有する形状)材であって、この保持具6Cを前記取付部材6X〜613の各保持部61の裏面側に配設した状態で両面受光型モジュール1の水下側端部の表面に被せるように取り付け、この状態で上方又は水下側上方から固定具6eを打ち込んで取付部材6X〜613を固定する。
【0063】
図10(a)の第10実施例における取付部材6X及び図10(b)の第11実施例における取付部材611は、共に略M字状であって、略垂直状に固定具6eを打ち込んでレール材4X,411に固定している。
両実施例の相違は、固定具6eを固定する略水平状の横片の長さが後者の方が僅かに長く、固定具6eの下端が弾性材6bの水下側に位置するか、水下側に位置するかの相違であって、仮に固定具6eを伝って雨水が取付部材6X,6Vの裏面側に浸入することがあったとしても、第10実施例では専ら下段側の両面受光型モジュール1上に導いて水下側へ流下させることができ、第11実施例では溝状部47に導いて該溝状部47から排水部材2の排水部21へ導いて水下側へ流下させることができる。
なお、この第10実施例及び第11実施例におけるレール材4X,411は、前述のように単一部材からなり、固定具6eを打ち込む前記第1実施例では被固定部49に相当する部位が略水平片状である以外は、符号を付記しないが、収容部48に相当する上方が開放する溝状空間も、両面受光型モジュール1の裏面を受支するクッション材4dも、両面受光型モジュール1の水上側端縁を挟着状に保持する弾性材46a,46bも備えている。
【0064】
図10(c)の第12実施例における取付部材612及び図10(d)の第13実施例における取付部材613は、共に固定具6eを打ち込む部分63',63"が傾斜状であり、該傾斜部分63',63"を支持する被固定部49',49"も傾斜状にレール材412,413に形成されているので、保持具6Cを圧縮するため、上方から圧縮する際にも傾斜部分63',63"を被固定部49',49"に当接させた状態で下方へずらせつつ打ち込み作業を行うことができるため、安定に適正位置に固定具6eを打ち込むことができる。
両実施例の相違は、第13実施例の取付部材613には、固定具6eの打ち込み部分63"の直上に水上側へく字状に突出する突出部64が設けられているため、傾斜部分63"と被固定部49"との接している距離が長く、より安定に適正位置に固定具6eを打ち込むことができる。
【0065】
そして、これらの第10〜第13実施例では、厚み方向に弾性を有する保持具6Cを用いたので、仮に固定具6eの打ち込みに不備があった場合に容易に認識することができ、適宜に修繕を施すことができる。また、これらの第10〜第13実施例における保持具6Cは、がたつきの解消にも寄与するものとなる。さらに、保持具6Cを介在させて取付部材6X〜613を配した状態では、取付部材6X〜613は両面受光型モジュール1やレール材4X〜413から浮いた状態であるため、固定具6eの打ち込みによりその浮きが解消されていくため、打ち込み作業の目安にもなる。
【符号の説明】
【0066】
1,1',1" 両面受光型(太陽電池)モジュール
10,10' 両面受光セル
11,11' 基材
1A,1A' 発電領域
1B,1B' 透光領域
2A 排水部材
21 排水部(底面)
2B 捨板
22 隆起部
23 水返し部
3 縦桟
4 横桟
4B 第2横桟
41 水上側支持部
42 水下側支持部
43 支持片
44 脚部
45 接地部
46a,46b 弾性材
47,47",48 溝状部
48" 収容部
49 取付受部
49" 被固定部
6,6IX,6X,6A 取付部材
61 保持部
62 取付部
63 被覆部
6B 継手カバー
6C 保持具
6e 固定具
8 下地面
9,9II〜9IV,9VI,9VII 反射材
90 反射部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10