(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、塔頂内に設置した凝縮器の性能向上を目的として、凝縮器を構成する熱交換器の熱交換効率を高めようとすれば、伝熱面積を拡大させることが考えられる。しかしながら、塔頂内では、熱交換器の設置スペースが制限されてしまうため、伝熱面積を拡大させることが困難である。例えば特許文献1に記載されているようなスパイラル式の熱交換器は、そのスパイラルの中心軸が蒸留塔の中心軸と一致するように配置されるため、熱交換器の外径は、蒸留塔の内径によって制限される。そのため、スパイラル式の熱交換器において伝熱面積を拡大しようとすれば、軸方向の長さを長くしなければならない。しかしながら、軸方向の長さを長くしてしまうと、蒸気が通過する通路の通路長が長くなることになるから、圧力損失が増大してしまい、結果的に、熱交換器の熱交換効率は高まらないことになる。
【0006】
ここに開示する技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、蒸留塔の塔頂内に配置する凝縮器の性能を、効率的に向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ここに開示する技術は、蒸留塔の塔頂内に設置され、当該蒸留塔の下部から前記塔頂に向かって上昇する蒸気を、冷媒により凝縮させる塔頂凝縮器に係る。
【0008】
前記塔頂凝縮器は、前記蒸気が通過する複数の第1通路と前記冷媒が通過する複数の第2通路とが、所定の方向に交互に積層されて構成されたコアを有するプレートフィン型熱交換器を備え、前記コアは、前記第1通路の流れ方向が、前記蒸留塔の中心軸に対して交差する方向に設定され、それによって、前記第1通路の
入口、出口、及び通路断面
の角度が、前記中心軸に直交する前記蒸留塔の横断面に対し、ずれている。
【0009】
この構成によると、塔頂凝縮器をプレートフィン型熱交換器によって構成することで、他の形式の熱交換器と比較して、高い熱交換効率が得られる。
【0010】
そして、相対的に熱交換効率の高いプレートフィン型熱交換器において、蒸気が通過する第1通路の流れ方向を、蒸留塔の中心軸に対して交差する方向に設定し、第1通路の
入口、出口、及び通路断面
の角度を、中心軸に直交する蒸留塔の横断面に対して、ずらす。これにより、第1通路の通路断面の大きさが、蒸留塔の横断面の大きさによって制限されることが緩和され、通路断面を比較的大きくすることが可能になる。その結果、第1通路の通路長を比較的短く設定しても、所望の伝熱面積を確保することが可能になる。
【0011】
また、第1通路の流れ方向を、蒸気の上昇に合わせて上下方向となるように設定した場合は、塔頂凝縮器の第1通路内で発生した留出液が、その第1通路内を、蒸気の流れに対向するように落下するから、蒸気の通過を阻害するようになる。
【0012】
これに対し前記の構成は、第1通路の流れ方向を、中心軸に対して交差する方向に設定するため、留出液の落下によって蒸気の通過が阻害されることが抑制される。
【0013】
この第1通路の通路長を比較的短く設定することと、留出液の落下により第1通路を通過する蒸気の流れが阻害されることが抑制されることとが組み合わさって、蒸気の通過に関して圧力損失が増大してしまうことが回避される。このことと、比較的大きな伝熱面積が確保されることとが相俟って、プレートフィン型熱交換器の熱交換効率が高まり、塔頂内に配置される塔頂凝縮器の性能が向上する。
【0014】
ここで、第1通路の流れ方向は、蒸留塔の中心軸に対して直交する方向に設定し、それによって、第1通路の通路断面を、蒸留塔の中心軸に沿う方向に設定することが最も好ましい。こうすることで、塔頂凝縮器の第1通路の通路断面を大きくしようとすれば、蒸留塔の中心軸方向、つまり、垂直方向に第1通路の通路断面を拡大させればよく、蒸留塔の外径等の寸法制限を受けることなく、第1通路の通路断面を大きくすることが可能になる。
【0015】
また、第1通路の方向が、水平方向を向くため、前述したような留出液の落下によって、蒸気の通過が阻害されることが、より一層確実に回避される。
【0016】
その結果、プレートフィン型熱交換器の熱交換効率が、より一層高まり、塔頂内に配置される塔頂凝縮器の性能が、より一層効率的に向上する。
【0017】
ここで、塔頂凝縮器の性能を考慮すれば、蒸留塔内を上昇する蒸気の全量が塔頂凝縮器を確実に通過することが好ましい。そのため、前記の塔頂凝縮器は、前記コアを挟んで、蒸気の通過方向についての上流側の空間と下流側の空間とを仕切り、それによって、蒸気の全量を、確実にコアの第1通路を通過させる仕切部材を備えてもよい。
【0018】
前記プレートフィン型熱交換器は、複数のコアを有し、前記複数のコアはそれぞれ、前記第1通路の通路断面が前記中心軸方向に沿うような向きでかつ、前記中心軸を中心とした周方向に並んで配置されている、としてもよい。
【0019】
つまり、プレートフィン型熱交換器のコアを複数に分割することにより、所望の大きさの伝熱面積を確保しつつも、各コアにおける第1通路の長さを、さらに短くすることが可能になる。このことは、蒸気の流れに関して圧力損失のさらなる低減を可能にし、プレートフィン型熱交換器の熱交換効率を、さらに高める上で有利になる。
【0020】
また、複数のコアを、第1通路の通路断面が中心軸方向に沿うような向きで配置することで、前述の通り、各コアにおける第1通路の通路断面を、蒸留塔の外径等の寸法制限を受けることなく、大きくすることが可能になる。また、その複数のコアを、蒸留塔の中心軸を中心として、周方向に並べて配置することによって、塔頂内の狭い配置スペース内に、複数のコアを、スペース効率よく配置することが可能になる。
【0021】
前記複数のコアは、前記蒸気が前記塔頂内の外周側から中心軸に向かって流れるように設定され、前記塔頂凝縮器は、前記塔頂内において前記コアよりも中心軸側の空間を、当該複数のコアと共に区画するダクト部材をさらに備え、前記複数のコア及びダクト部材は、前記コアを通過した後の蒸気を前記蒸留塔の外部に排出するダクトを構成している、としてもよい。
【0022】
こうすることで、蒸留塔内を上昇して塔頂まで到達した蒸気は、塔頂内における外周側から中心軸に向かって流れてコアを通過した後に、当該コアとダクト部材とによって区画されるダクト内に流入する。そしてコアを通過後の蒸気は、ダクトを通じて、蒸留塔の外部に排出される。従って、蒸留塔内の蒸気は、コアを必ず通過した後に、蒸留塔の外部へと排出されるようになるから、蒸気が、コアを通過せずに、蒸留塔の外部に排出されることが確実に回避される。このことは、塔頂凝縮器の性能の向上に有利になる。このダクト部材は、コアに対して蒸気の通過方向の下流側の空間を、上流側の空間から仕切り、それによって、上昇する蒸気の全量が確実に第1通路を通過するようになるから、前述の仕切部材に相当する。
【0023】
前記プレートフィン型熱交換器は、前記蒸留塔の上端開口部に取り付けられる蓋部材に対して固定されている、としてもよい。
【0024】
こうすることで、蓋部材を蒸留塔に取り付けることによって、蓋部材に固定されているプレートフィン型熱交換器は、蒸留塔の塔頂内に、吊り下げられるようにして設置されることになる。このため、蒸留塔の本体側には、塔頂凝縮器を設置するための構成を必要とせず、塔頂凝縮器の設置構成が簡略化する。このことは、既存の蒸留塔に対して、塔頂凝縮器を取り付ける場合においても有利になる。
【0025】
また、蓋部材を蒸留塔から取り外すことによって、塔頂凝縮器を、塔頂内から取り出すことが可能になると共に、前述の通り、蓋部材を蒸留塔に取り付けることによって、塔頂凝縮器を、塔頂内に設置することが可能になる。従って、塔頂凝縮器のメンテナンスの容易化も図られる。
【0026】
前記コアの前記第1通路内にはフィンが配設され、前記フィンは、前記蒸気の通過方向の上流側から下流側に向かって、下向きに傾斜するように配置されている、としてもよい。
【0027】
こうすることで、第1通路内で発生した留出液は、フィンの傾斜に沿って、蒸気の通過方向の上流側から下流側へと流れて、第1通路内から排出される。また、第1通路内を流れる蒸気の流れもまた、傾斜に沿って流れる留出液の排出を促進する。その結果、フィンが配設されることによって第1通路内は、比較的横断面積の小さい多数の流路に分割されるが、その流路が留出液によって閉塞してしまうことが効果的に回避され、プレートフィン型熱交換器によって構成される塔頂凝縮器の性能を、安定して維持することが可能になる。
【発明の効果】
【0028】
以上説明したように、前記の塔頂凝縮器は、プレートフィン型熱交換器を、蒸気が通過する第1通路の流れ方向を、蒸留塔の中心軸に対し交差する方向に設定して、第1通路の通路断面を、蒸留塔の横断面に対してずらすことで、蒸留塔の横断面の大きさによって、通路断面の大きさが制限されることが緩和され、通路断面を比較的大きくすることが可能になる結果、第1通路の通路長を比較的短く設定することが可能になり、伝熱面積の確保と、圧力損失の低減とを、同時に達成して、塔頂凝縮器の性能を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、塔頂凝縮器の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は例示である。
図1〜3は、塔頂凝縮器1が設置された蒸留塔5の塔頂部分を示しており、
図1は正面図、
図2は右側面図、
図3は平面図に相当する。この実施形態では、蒸留塔5の上端開口部51は、蓋部材52によって閉塞されている。塔頂凝縮器1は、蒸留塔5の塔頂内に設置されており、図外である蒸留塔5の下部から、この塔頂に向かって上昇する蒸気(同図の実線の矢印参照)を凝縮する。
【0031】
塔頂凝縮器1は、プレートフィン型熱交換器によって構成されている。尚、以下において、塔頂凝縮器1という文言とプレートフィン型熱交換器という文言とは同じ意味で用いる場合がある。このプレートフィン型熱交換器は、図例では、第1及び第2の2つのコア2
−1、2
−2を有している。第1及び第2コア2
−1、2
−2は、互いに同一の構成を有しており、以下においては、第1及び第2コア2
−1、2
−2を総称して、単にコア2と言う場合がある。
【0032】
コア2は、
図2に概略的に示すように、蒸気が通過する複数の第1通路21と、冷媒が通過する複数の第2通路22とが、所定の方向、具体的には横方向に交互に並んで構成されている。第1通路21と第2通路22とは、詳細な図示は省略するが、チューブプレートによって区画されている。尚、図例では、理解容易のために、第1通路21及び第2通路22の大きさを誇張して描いており、第1及び第2通路21、22の数は、実際は図例よりも多い。
【0033】
第1通路21は、
図1、2から判るように、その通路断面が、蒸留塔5の中心軸X方向、つまり、垂直方向に沿うように設定されると共に、その通路方向が、蒸留塔5の中心軸X方向に直交する方向、つまり、水平方向となるように設定されている。これに対し第2通路22は、図示は省略するが、その通路方向は、垂直方向となるように設定されている。
【0034】
ここで、コア2は、第1通路21の通路断面が比較的大きくなるように、上下方向の長さHが長く設定されている一方で、通路長さが比較的短くなるように、水平方向の長さLが短く設定されている。従って、第2通路22は、その通路断面が比較的小さくなる(これは、水平方向の長さLに対応する)一方で、通路長さが比較的長くなっている(これは、上下方向の長さHに対応する)。
【0035】
第1通路21内には、コルゲートフィン23が配設されている。第1通路21内に配設するコルゲートフィンの種類については、特に制限はない。このコルゲートフィン23は、
図1に破線で示すように、蒸留塔5の径方向外周側から内周側(言い換えると中心軸X)に向かって、フィンの向きが下向きに傾斜するように配設されている。尚、図示は省略するが、第2通路22内にも、適宜、コルゲートフィンを配設すればよい。
【0036】
コア2は、使用される温度帯や、使用環境に対応する材料によって構成すればよく、その構成材料に特に制限はない。例えば、ステンレス鋼製、アルミニウム若しくはアルミニウム合金製、又は、鉄製等とすればよい。また、コア2は、チューブプレートとコルゲー
トフィンとを積層し、これらをろう付により接合することで製造してもよい。尚、コア2の断面に対する、第1通路21の通過断面の割合は、プレートフィン型熱交換器に要求される性能、及び、コア2を構成する材料等に応じて、適宜の割合に設定することが可能であり、例えば50%以上としてもよい。
【0037】
各コア2の上端及び下端にはそれぞれ、ヘッダタンク24、25が接続されている。この内、第1コア2
−1の上端に取り付けられたヘッダタンク24は、各第2通路22に冷媒を分配供給するためのヘッダタンクであり、第1コア2
−1の下端に取り付けられたヘッダタンク25は、各第2通路22を通過した冷媒を集合させるためのヘッダタンクである。一方、第2コア2
−2の上端に取り付けられたヘッダタンク24は、各第2通路22を通過した冷媒を集合させるためのヘッダタンクであり、第2コア2
−2の下端に取り付けられたヘッダタンク25は、各第2通路22に冷媒を分配供給するためのヘッダタンクである。第1コア2
−1及び第2コア2
−2の上側のヘッダタンク24に接続される冷媒管26は、鉛直上方に延びて配設されており、その先端は、蓋部材52を貫通して蒸留塔5の外部に位置している。一方、第1コア2
−1及び第2コア2
−2の下側のヘッダタンク25に接続される冷媒管27は、図示を省略するが、互いに連通している。こうして、
図1に一点鎖線の矢印で示すように、第1コア2
−1に連通する冷媒管26及びヘッダタンク24を通じて供給された冷媒は、第1コア2
−1の第2通路22を通過した後に、ヘッダタンク25及び冷媒管27を介して、第2コア2
−2の下側のヘッダタンク25に至り、第2コア2
−2の第2通路22を通過した後に、ヘッダタンク24及び冷媒管26を介して、蒸留塔5の外部に排出される。
【0038】
尚、ここでは、第1コア2
−1を冷媒の通路における往路とし、第2コア2
−2を冷媒の通路における復路として、2つの独立したコアにより冷媒の通路をUターンさせる構成としているが、例えば第1コア2
−1及び第2コア2
−2のそれぞれが、冷媒通路の往路及び復路を有しかつ、冷媒の通路をUターンさせるような構成を採用してもよい。冷媒通路は、Uターンさせる構成に限定されず、例えば第1コア2
−1及び第2コア2
−2のそれぞれのヘッダタンク24に対して冷媒を供給する一方、第1コア2
−1及び第2コア2
−2のそれぞれのヘッダタンク25から、各コア2を通過した冷媒を蒸留塔5の外部に排出させるように構成してもよい。
【0039】
第1及び第2コア2
−1、2
−2は、
図1、3に示すように、同図における左右方向に所定の間隔を空けて向かい合うように配置されている。つまり、第1及び第2の2つのコア2
−1、2
−2は、蒸留塔5の中心軸Xを中心とした周方向に、180°だけ間隔を空けて並んで配置されている、ということができる。
【0040】
向かい合って配置された第1及び第2コア2
−1、2
−2の間には、その側面同士を互いに連結するように平板状の第1ダクト部材31、31が取り付けられている。
図3に示すように、2つの第1ダクト部材31、31は、第1及び第2コア2
−1、2
−2の対向方向に対して、90°だけ異なる方向に対向して配置されており、各第1ダクト部材31は、上下方向に延びて配設されて、その上端は蓋部材52の裏面に当接している。
【0041】
また、第1及び第2コア2
−1、2
−2には、第2ダクト部材32、32が取り付けられている。第2ダクト部材32は、対向配置された2つの第1ダクト部材31の間で、コア2の上端部と蓋部材52との間をつなぐように配設されている。第1及び第2コア2
−1、2
−2及び第1及び第2ダクト部材31、32によって、
図3に端的に示すように、塔頂内の中心軸X側に、横断面矩形状の空間が、塔頂内の外周側の区間から区画して形成されることになる。この区画された空間は、後述するように、各コア2を通過した後の蒸気を蒸留塔5から排出するためのダクト空間30として機能する。
【0042】
図1、2に示すように、2つの第1ダクト部材31の下端部と、2つのコア2の下端部との間には、第3ダクト部材33が配設されており、この第3ダクト部材33は、前記ダクト空間30の下端開口を閉塞する。第3ダクト部材33は、
図1に示すように、第1コア2
−1及び第2コア2
−2のそれぞれから、中心軸Xに向かって下向き傾斜するように、V字状を成しており、このV字状の第3ダクト部材33の底部には、留出液を回収する回収管34が接続されている(同図の破線の矢印参照)。尚、回収管34は、適宜の構成で、蒸留塔5の外部にまで延びている。尚、ここでは、留出液の回収を促進するために、第3ダクト部材33をV字状に傾斜させているが、第3ダクト部材33をフラットな形状に構成してもよい
こうして、第1及び第2コア2
−1、2
−2、及び、第1〜第3ダクト部材31〜33によりダクトが構成されて、その内部にダクト空間30が区画形成されることになる。蓋部材52には、連通管35が貫通配置されて、ダクト空間30に連通しており、この連通管35は、図示を省略する真空ポンプに接続されている。真空ポンプを駆動することにより、ダクト空間30内の圧力が低下するため、
図1〜3に実線の矢印で示すように、蒸留塔5内を上昇する蒸気は、塔頂内における外周側から中心軸Xに向かって流れて、第1及び第2コア2
−1、2
−2を通過するようになる。このときに、蒸気と冷媒との間で熱交
換が行われて蒸気が凝縮され、留出液となる。凝縮後のガスは、ダクト空間30内に至り、連通管35を通じて、蒸留塔5の外部に排出される。
【0043】
一方、各コア2の第1通路21内で生成した留出液は、第1通路21内の蒸気の流れと、中心軸側に向かって下向きに傾斜したコルゲートフィン23とによって、ダクト空間30内へと流れ落ちる。流れ落ちた留出液は、V字状の第3ダクト部材によって集められて、回収管34を通じて、蒸留塔5の外部に排出される。
【0044】
このように前記の構成の塔頂凝縮器1は、プレートフィン型熱交換によって構成しているため、他の形式の、例えばスパイラル式の熱交換器等と比較して、熱交換効率を高めることが可能である。その上、前記構成の塔頂凝縮器1は、プレートフィン型熱交換器の配置を工夫していることによって、熱交換効率をさらに向上させている。つまり、塔頂凝縮器1を構成するコア2を、蒸気が通過する第1通路21の方向が、水平方向となるように設定すると共に、第1通路21の通路断面が上下方向となるように設定している。これにより、第1通路21の通路断面を拡大しようとすれば、コア2を上下方向に長く構成すればよく、蒸留塔5の横断面の大きさによって第1通路21の通路断面の大きさが制限されることがない。従って、第1通路21の通路断面を比較的大に設定することが可能になる。
【0045】
第1通路21の通路断面を比較的大に設定することによって、第1通路21の通路長さをそれほど長くしなくても、所望の伝熱面積を確保することが可能になる。また、前記の構成では、第1及び第2の2つのコア2
−1、2
−2に分割しているため、所望の伝熱面積を確保しつつ、第1通路21の通路長さを、さらに短くすることが可能になる。
【0046】
また、第1通路21の流れ方向が水平方向に設定されているため、発生した留出液が蒸気の通過を阻害するように落下することがない。
【0047】
こうして、プレートフィン型熱交換器によって構成された塔頂凝縮器1のコア2において、蒸気が流れる第1通路21の通路長さが短くなることと、発生した留出液によって、第1通路21内の蒸気の通過が阻害されないこととによって、蒸気の通過についての圧力損失を低く(例えば1Torr(133.322Pa)以下)抑えることが可能になる。
【0048】
蒸気の通過についての圧力損失を低くする一方で、前述の通り、プレートフィン型熱交換器の伝熱面積を大に設定することが可能であるから、プレートフィン型熱交換器の熱交換効率は向上する。つまり、塔頂内に配設される塔頂凝縮器1の性能を、効率的に向上させることが可能になる。
【0049】
また、前記の構成では、第1及び第2の2つのコア2
−1、2
−2を、蒸留塔5の中心軸Xを中心とした周方向に間隔を空けて配置しているため、限られたスペースの塔頂内に、複数のコア2をスペース効率よく配置することが可能である。さらに、その複数のコア2は、第1〜第3ダクト部材31〜33と共に、ダクト空間30を区画しているため、コア2を通過した後のガスの排出構成を簡略化することが可能になり、塔頂内のレイアウト性が、さらに向上する。
【0050】
さらに、こうしたダクト構造によって、蒸留塔5内を上昇する蒸気は、第1又は第2コア2
−1、2
−2を通過しなければ、蒸留塔5の外部に排出されないことになるから、塔頂凝縮器1の性能向上に有利になる。
【0051】
加えて、第1及び第2のコア2
−1、2
−2を含む塔頂凝縮器1は、第1及び第2ダクト部材31、32等を介して蓋部材52に固定されており、蓋部材52が蒸留塔5の上端
開口部51に取り付けられることによって、塔頂凝縮器1は、蒸留塔5の塔頂内に、吊り下げられるようにして設置される。このため、蒸留塔5の本体側には、塔頂凝縮器1を設置するための構成を必要とせず、塔頂凝縮器1の設置構成を簡略化させることが可能になる。このような構成は、既存の蒸留塔に対して、塔頂凝縮器1を取り付ける場合においても有利になる。さらに、蓋部材52を蒸留塔5から取り外せば、塔頂凝縮器1を塔頂内から取り出すことが可能になると共に、蓋部材52を蒸留塔5に取り付ければ、塔頂凝縮器1を塔頂内に設置することが可能になる。従って、塔頂凝縮器1のメンテナンスが容易化する。
【0052】
また、第1通路21内に配設されるコルゲートフィン23を、蒸気の通過方向の上流側から下流側に向かって下向きに傾斜させることで、第1通路21内で生成された留出液は、速やかに第1通路21から排出されるようになり、第1通路21の一部が留出液によって閉塞してしまう事態が回避される。このことは、塔頂凝縮器1の性能の安定化に有利になる。
【0053】
こうしてプレートフィン型熱交換器によって構成した前記の塔頂凝縮器1は、熱交換効率を大幅に高めることが可能であるため、例えば蒸気と冷媒の温度差を小さくすることが可能であり、そのため、冷媒を比較的高温にすることも可能になる。このことは、塔頂凝縮器1から排出された後の、高温の冷媒を利用して熱回収等を行うことを可能にし、蒸留塔5全体のエネルギ効率の向上に寄与する。
【0054】
尚、前記の構成では、塔頂凝縮器1が、2つのコア2を有している例を示したが、塔頂凝縮器1が有するコア2の数には特に制限がない。塔頂凝縮器1は、コア2を一つだけ有してもよいし、3以上のコア2を有するようにしてもよい。例えば
図4は、第1〜第4の4個のコア2
−1、2
−2、2
−3、2
−4を有する例である。この第1〜第4コア2
−1、2
−2、2
−3、2
−4は、中心軸Xを囲むように周方向に並んで配置され、それによって、中心軸X側に、横断面矩形状のダクト空間を構成している。尚、
図4における符号36は、各コア2の上端部と蓋部材52との間をつなぐように配設されているダクト部材であり、これは、
図3における第2ダクト部材32に対応する。このような構成でも、蒸留塔5内を上昇する蒸気は、第1〜第4のいずれかのコア2
−1、2
−2、2
−3、2
−4を、確実に通過するようになるから、蒸留塔5の性能向上に有利になる。尚、図示は省略するが、
図4と同様にして、例えば3個のコア2を、横断面三角形状のダクト空間を構成するように、中心軸Xを囲むように配置してもよいし、5個以上のコア2を、それに対応する横断面多角形状のダクト空間を構成するように、中心軸Xを囲むように配置してもよい。但し、コアの数と、ダクトの横断面を構成する多角形状とは、必ずしも、対応させなくてよい。
【0055】
また、前記の構成では、各コア2の第1通路21の流れ方向を水平方向に設定し、第1通路21の通路断面を垂直方向に沿うように設定しているが、各コア2の第1通路21の流れ方向を、中心軸Xに対して交差する方向とし、第1通路21の通路断面を蒸留塔5の横断面に対してずらせば、第1通路21の通路断面の大きさが、蒸留塔5の外径寸法によって制限されることが緩和される。例えば、
図1において、第1及び第2コア2
−1、2
−2が、ハの字を構成するように、それぞれ傾けて配置してもよい。また、このようにコア2を傾けて配置する場合は、第1通路21の流れ方向が傾斜することになるから、第1通路21内に配設するコルゲートフィン23は、そのフィンの向きが、第1通路21の流れ方向に対し一致するように配設すればよい。
【0056】
図5は、ダクト空間の構成についての変形例を示す。つまり、
図5では、第1及び第2コア2
−1、2
−2の配置は
図1に示す構成と同じにしつつ、塔頂内の中心側がコア2の上流側、外周側がコア2の下流側となるように、塔頂内の外周側に、各コア2を通過した
後のガスが流れるダクト空間300が形成されている。ダクト空間300を区画するダクト部材38は、正面視で逆U字状となるような形状を有し、各コア2と蒸留塔5の内壁との間及び各コア2と蓋部材52の下面との間をつなぐように配設されている。図例では、回収管34及び連通管35をそれぞれ、2つ設けているが、回収管34及び連通管35の数は適宜の数に設定することが可能である。尚、このような構成では、ダクト空間300の容積が、比較的大になることから、より大容量の真空ポンプが必要になる可能性がある。
【0057】
尚、前述した実施形態及び変形例は可能な範囲で組み合わせてもよい。