(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
機枠と、この機枠に対してヒンジ機構を介して開閉可能に軸支された本体枠と、この本体枠に対して別のヒンジ機構を介して開閉可能に軸支された前面扉と、シリンダ錠を有する施錠装置とを備え、前記施錠装置によって前記本体枠が前記機枠に対して施錠されると共に、前記前面扉が前記本体枠に対して施錠されるパチンコ機において、
前記施錠装置が、前記本体枠に設置された縦長状のベース部材と、このベース部材に上下動可能に支持されて機枠側の受け部に係止可能な鉤部を有する第1の施錠杆と、前記ベース部材に上下動可能に支持されて前面扉側の受け部に係止可能な鉤部を有する第2の施錠杆と、これら第1および第2の施錠杆を前記ベース部材の長手方向に沿って互いに逆向きに付勢する第1の弾性手段と、前記ベース部材に揺動可能に支持されて前記第1および第2の施錠杆と係脱可能なロックレバーと、このロックレバーを前記第1および第2の施錠杆と係合する方向へ付勢する第2の弾性手段と、前記ベース部材に揺動可能に支持されて前記機枠と接離可能な第1の規制レバーと、前記ベース部材に揺動可能に支持されて前記前面扉と接離可能な第2の規制レバーと、これら第1および第2の規制レバーを前記ロックレバーと係合する方向へ付勢する第3の弾性手段と、前記ベース部材の長手方向に沿って上下動可能なロック解除部材と、このロック解除部材を移動方向の初期位置に自動復帰させる弾性復帰手段と、前記シリンダ錠の鍵穴に差し込んだキーによって回転操作されるカム板とを有しており、
前記本体枠と前記前面扉がいずれも施錠されているとき、前記ロックレバーが前記第1および第2の施錠杆に係合することにより、これら第1および第2の施錠杆が前記鉤部を対応する前記受け部に係止した状態でロックされていると共に、前記第1および第2の規制レバーがそれぞれ前記機枠と前記前面扉に当接して非作動位置に保持されており、
前記カム板の回転に伴って前記ロック解除部材を前記弾性復帰手段の付勢力に抗して初期位置から上下いずれか一方へ移動させることにより、該ロック解除部材が前記ロックレバーを揺動させて前記第1または第2の施錠杆のロック状態を解除した後、前記カム板のさらなる回転に伴ってアンロック状態となった前記第1または第2の施錠杆を上下動させるようになし、
前記本体枠が前記機枠に対して解錠されたとき、前記第1の規制レバーが前記機枠から離反して前記ロックレバーに圧接することにより、該ロックレバーが前記第1の施錠杆をアンロック状態に維持すると共に、前記前面扉が前記本体枠に対して解錠されたとき、前記第2の規制レバーが前記前面扉から離反して前記ロックレバーに圧接することにより、該ロックレバーが前記第2の施錠杆をアンロック状態に維持するようにしたことを特徴とするパチンコ機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された従来の施錠装置においては、ベース部材に揺動可能に支持したロックレバーを機枠側や前面扉側の当接部に押し当てて変位させることにより、このロックレバーを対応するロック受け部材に係合させて施錠杆の上下動をロックする構成となっているので、製造上の寸法誤差や経年劣化等に起因してロックレバーの押し込み量が変動すると、施錠杆のロック動作/ロック解除が不完全になる虞があった。すなわち、ロックレバーの押し込み量が規定値に対して不足すると、前面扉や本体枠を閉じてもロックレバーがロック受け部材と係合しなくなるため、施錠杆をロックすることができなくなる。その反対にロックレバーの押し込み量が規定値に対して多くなり過ぎると、キーの回転操作によってロック解除部材を上下動させても、ロック受け部材がロックレバーから外れなくなるため、前面扉や本体枠を開放しようとしても施錠杆をロック解除できなくなる。
【0007】
このように、特許文献1に開示された従来の施錠装置では、本体枠に組み込まれたベース部材側のロックレバーと機枠側や前面扉側の当接部との相対位置に寸法的な余裕がほとんどなく、しかも、機枠や前面扉の構造(当接部の位置等)を配慮した設計が余儀なくされるため、ロック機構やレイアウト等の制限が厳しいものとなり、設計上の自由度が小さいという難点があった。
【0008】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、本体枠に組み付けた施錠装置をシリンダ錠の鍵穴に差し込んだキーによって確実に解錠/施錠することができるパチンコ機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明は、機枠と、この機枠に対してヒンジ機構を介して開閉可能に軸支された本体枠と、この本体枠に対して別のヒンジ機構を介して開閉可能に軸支された前面扉と、シリンダ錠を有する施錠装置とを備え、前記施錠装置によって前記本体枠が前記機枠に対して施錠されると共に、前記前面扉が前記本体枠に対して施錠されるパチンコ機において、前記施錠装置が、前記本体枠に設置された縦長状のベース部材と、このベース部材に上下動可能に支持されて機枠側の受け部に係止可能な鉤部を有する第1の施錠杆と、前記ベース部材に上下動可能に支持されて前面扉側の受け部に係止可能な鉤部を有する第2の施錠杆と、これら第1および第2の施錠杆を前記ベース部材の長手方向に沿って互いに逆向きに付勢する第1の弾性手段と、前記ベース部材に揺動可能に支持されて前記第1および第2の施錠杆と係脱可能なロックレバーと、このロックレバーを前記第1および第2の施錠杆と係合する方向へ付勢する第2の弾性手段と、前記ベース部材に揺動可能に支持されて前記機枠と接離可能な第1の規制レバーと、前記ベース部材に揺動可能に支持されて前記前面扉と接離可能な第2の規制レバーと、これら第1および第2の規制レバーを前記ロックレバーと係合する方向へ付勢する第3の弾性手段と、前記ベース部材の長手方向に沿って上下動可能なロック解除部材と、このロック解除部材を移動方向の初期位置に自動復帰させる弾性復帰手段と、前記シリンダ錠の鍵穴に差し込んだキーによって回転操作されるカム板とを有しており、前記本体枠と前記前面扉がいずれも施錠されているとき、前記ロックレバーが前記第1および第2の施錠杆に係合することにより、これら第1および第2の施錠杆が前記鉤部を対応する前記受け部に係止した状態でロックされていると共に、前記第1および第2の規制レバーがそれぞれ前記機枠と前記前面扉に当接して非作動位置に保持されており、前記カム板の回転に伴って前記ロック解除部材を前記弾性復帰手段の付勢力に抗して初期位置から上下いずれか一方へ移動させることにより、該ロック解除部材が前記ロックレバーを揺動させて前記第1または第2の施錠杆のロック状態を解除した後、前記カム板のさらなる回転に伴ってアンロック状態となった前記第1または第2の施錠杆を上下動させるようになし、前記本体枠が前記機枠に対して解錠されたとき、前記第1の規制レバーが前記機枠から離反して前記
ロックレバーに圧接することにより、該ロックレバーが前記第1の施錠杆をアンロック状態に維持すると共に、前記前面扉が前記本体枠に対して解錠されたとき、前記第2の規制レバーが前記前面扉から離反して前記ロックレバーに圧接することにより、該ロックレバーが前記第2の施錠杆をアンロック状態に維持するようにした。
【0010】
このように構成されたパチンコ機では、本体枠と前面扉がいずれも施錠されているとき、機枠側の受け部に係止している第1の施錠杆と前面扉側の受け部に係止している第2の施錠杆との上下動がいずれもロックレバーによって阻止されているため、外部から挿入した針金等を用いて第1および第2の施錠杆を移動することはできず、キーを用いずに前面扉や本体枠を解錠するという不正行為を防止することができる。その際、第1および第2の規制レバーはそれぞれ機枠と前面扉に当接して非作動位置に保持されている。
【0011】
本体枠と前面扉のいずれか一方、例えば機枠に対して本体枠を解錠する場合は、シリンダ錠の鍵穴に差し込んだキーの操作によってカム板を一方向へ回転すると、ロック解除部材が弾性復帰手段の付勢力に抗して初期位置から上下いずれか一方へ移動し、それに伴ってロックレバーが第1の施錠杆とのロック状態を解除する方向へ揺動して第1の規制レバーから離反する。かかるロック解除後にキーの操作によってカム板を同方向へさらに回転すると、第1の施錠杆が第1の弾性手段の付勢力に抗して上下いずれか一方へ移動し、それに伴って第1の施錠杆の鉤部と機枠側の受け部との係合が解除されるため、この時点で機枠に対して本体枠を開放動作することができる。そして、本体枠の開放動作に伴って機枠に拘束されていた第1の規制レバーが機枠から離反すると、第1の規制レバーが第3の弾性手段の付勢力を受けて作動位置まで揺動してロックレバーに圧接されるため、ロックレバーの第1の施錠杆に対するロック動作が第1の規制レバーによって阻止される。したがって、本体枠はロックレバーと第1の施錠杆のアンロック状態を維持したまま機枠に対して開放され、かかる本体枠の開放中に第1の施錠杆が誤ってロックレバーにロックされてしまうことはない。なお、本体枠に対して前面扉を解錠する場合は、キーを上記と逆向きに回転操作してロック解除部材を上下動させると、ロックレバーが揺動して第2の施錠杆とのロック状態を解除することにより、第2の施錠杆の鉤部と前面扉側の受け部との係合を解除することができ、この場合、前面扉の開放動作に伴って第2の規制レバーがロックレバーに圧接されるため、前面扉はロックレバーと第2の施錠杆のアンロック状態を維持したまま本体枠に対して開放される。
【0012】
また、開放状態にある本体枠と前面扉のいずれか一方、例えば機枠に対して本体枠を施錠する場合は、本体枠を閉鎖方向へ回動して第1の施錠杆の鉤部を機枠側の受け部に当接させた後、本体枠をさらに閉鎖方向へ回動して機枠側へ押し込むと、第1の施錠杆は鉤部が受け部を通過するまで初期位置から離反する方向へ移動し、その後に第1の弾性手段の付勢力によって初期位置に戻るため、第1の施錠杆の鉤部を機枠側の受け部に係止させることができる。この場合、本体枠の閉鎖動作に伴って第1の規制レバーが機枠に押し当てられると、第1の規制レバーが非作動位置まで揺動してロックレバーから離反するため、ロックレバーが第2の弾性手段の付勢力により揺動して初期位置に戻った第1の施錠杆に係合する。したがって、機枠に対して本体枠を閉じると、第1の施錠杆の上下動が再びロックレバーによって阻止され、外部から挿入した針金等を用いて第1の施錠杆を移動することはできなくなる。なお、本体枠に対して前面扉を施錠する場合は、前面扉を閉鎖方向へ回動して前面扉側の受け部を第2の施錠杆の鉤部に当接させた後、前面扉をさらに閉鎖方向へ回動して本体枠側へ押し込めば良い。この場合、前面扉の閉鎖動作に伴って第2の規制レバーが前面扉に押し当てられると、第2の規制レバーが非作動位置まで揺動してロックレバーに対する拘束を解除するため、本体枠に対して前面扉を閉じると、第2の施錠杆の上下動が再びロックレバーによって阻止され、外部から挿入した針金等を用いて第2の施錠杆を移動することはできなくなる。
【0013】
ここで、キーの回転操作によって第1または第2の施錠杆に対するロックレバーのロック状態を解除した後、そのまま本体枠や前面扉を開放しないでキーを手放したとしても、ロック解除部材が弾性復帰手段の付勢力によって初期位置に自動復帰するため、ロックレバーを第2の弾性手段の付勢力によってロック位置へ確実に戻すことができる。すなわち、キーに対する回転操作力を除去すると、カム板によって上下動されていた第1または第2の施錠杆は第1の弾性手段の付勢力を受けて初期位置に戻るが、このときにロック解除部材も初期位置に戻っていないと、ロックレバーが初期位置に戻った第1または第2の施錠杆に係合できなくなるという不具合が発生する。これに対し、本発明のパチンコ機では、ロック解除部材を移動方向の初期位置に自動復帰させる弾性復帰手段を備えているため、キーの操作に連動してカム板を一方向へ回転してロックレバーをアンロック位置へ揺動させた後に、カム板のさらなる回転で第1または第2の施錠杆を上下動させるという解錠動作を実現しつつ、ロックレバーのロック解除後にキーを手放したとしても、ロックレバーを第1または第2の施錠杆に対して確実に係合させることができる。
【0014】
上記の構成において、弾性復帰手段が巻回部の両端から一対の弾性腕を延出させたセルフリターンばねからなり、このセルフリターンばねの巻回部をベース部材に保持させると共に、両弾性腕をロック解除部材に形成した係合孔の上下両端に弾接させると、カム板とロック解除部材との間に動力伝達に必要な遊び(微小クリアランス)を確保した上で、ベース部材に保持したセルフリターンばねによってロック解除部材を初期位置に確実に自動復帰させることができる。
【0015】
また、上記の構成において、ベース部材がロック解除部材を挟んで一体化されたベース本体とカバー体とを有しており、ベース本体に第1および第2の施錠杆が積層状態で支持されていると共に、カバー体に一対のロックレバーと一対の規制レバーおよびセルフリターンばねの巻回部がそれぞれ支持されていると、施錠装置の全体構成を簡素化できると共に組立作業性を高めることができる。
【0016】
この場合において、カム板に一対の駆動腕が設けられており、これら駆動腕が第1および第2の施錠杆に形成された長孔を挿通してロック解除部材に係合していると共に、駆動腕が所定の隙間を介して長孔と係合可能になっていることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明のパチンコ機は、本体枠と前面扉がいずれも施錠されているとき、機枠側の受け部に係止している第1の施錠杆と前面扉側の受け部に係止している第2の施錠杆との上下動がいずれもロックレバーによって阻止されているため、外部から挿入した針金等を用いて第1および第2の施錠杆を移動することはできず、キーを用いずに前面扉や本体枠を解錠するという不正行為を防止することができる。そして、シリンダ錠の鍵穴に差し込んだキーの操作でカム板を回転してロック解除部材を上下動させると、ロックレバーが揺動して第1の施錠杆や第2の施錠杆をロック解除することができ、本体枠や前面扉の開放時は第1の規制レバーや第2の規制レバーをロックレバーに圧接させてロック解除状態を維持することにより、第1の施錠杆や第2の施錠杆がロックレバーに誤ってロックされてしまうことを防止できる。また、ロックレバーのロック解除後に本体枠や前面扉を開放しないでキーを手放したとしても、ロック解除部材を弾性復帰手段の付勢力によって初期位置へ自動復帰させることにより、ロック位置へ戻ったロックレバーを第1または第2の施錠杆に確実に係合させることができる。したがって、このパチンコ機は、本体枠に組み付けた施錠装置をキーの回転操作によって確実に解錠/施錠することができると共に、ロック機構や施錠装置の配置場所等を含めた設計上の自由度を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
発明の実施の形態について図面を参照して説明すると、
図1に示すように、本発明の実施形態例に係るパチンコ機Pは、遊技場の島設備に設置される縦長方形状の機枠1と、機枠1に扉状に開閉自在に取り付けられた本体枠2と、本体枠2の前面に扉状に開閉自在に取り付けられた前面扉3等を備えており、前面扉3にはガラスやプラスチック等からなる透明板4が取り付けられている。
【0020】
図2に示すように、機枠1の左側枠部には上側軸受け体5と下側軸受け体(図示省略)が固着されており、この下側軸受け体よりも下方の左下隅部には大型のスピーカ6が配設されている。一方、本体枠2の左側枠部の上下両端には第1ピン(図示省略)が設けられており、これら両第1ピンを上側軸受け体5と下側軸受け体に軸支することによって、本体枠2を機枠1に対して開閉自在に支持する第1ヒンジ機構が構成されている。
【0021】
本体枠2の上部内側には遊技盤7が収納されており、この遊技盤7の盤面(前面)は透明板4を透して目視可能となっている。遊技盤7はガイドレール8等によって区画形成された遊技領域9を有しており、詳細な説明は省略するが、遊技領域9には可変表示装置や始動入賞口、一般入賞口、アタッカー装置、遊技釘、風車、アウト口等が設けられている。遊技盤7よりも下方の本体枠2は前面扉3によって覆い隠される設置部2bとなっており、この設置部2b内の下部中央には遊技球を遊技領域9に向けて発射する発射装置10が配設されている。
【0022】
本体枠2の右側枠部は第1ヒンジ機構と反対側の自由端側であり、この右側枠部の裏面には
図4等に示す施錠装置30が設置されている。詳細な構成については後述するが、この施錠装置30は、シリンダ錠11や後部施錠杆(第1の施錠杆)31や前部施錠杆(第2の施錠杆)32等を備えており、シリンダ錠11は本体枠2の前方へ突出して前面扉3の切欠き3b内に露出するようになっている。常態では、施錠装置30の後部施錠杆31により本体枠2が機枠1に対して施錠されると共に、前部施錠杆32により前面扉3が本体枠2に対して施錠されている。そして、シリンダ錠11の鍵穴に差し込んだ図示せぬキーを一方向(例えば時計回り)へ回転操作すると、後部施錠杆31が下動して本体枠2が解錠され、シリンダ錠11aの鍵穴に差し込んだキーを他方向(反時計回り)へ回転操作すると、前部施錠杆32が上動して前面扉3が解錠されるようになっている。
【0023】
図1に戻り、前面扉3の左側枠部の上下両端には第2ピン(図示省略)が設けられており、これら両第2ピンを本体枠2の左側枠部に突設した上下の支持板2aに軸支することによって、前面扉3を本体枠2に対して開閉自在に支持する第2ヒンジ機構が構成されている。前面扉3には遊技盤7の盤面に対向する大きな開口3aが開設されており、この開口3aは透明板4によって塞がれている。前面扉3の前面上部には比較的小型のスピーカ12が左右に1個ずつ配設されており、これらスピーカ12と前述した大型のスピーカ6とによって遊技に関する様々な効果音を発するようになっている。また、前面扉3の前面下部には、遊技盤7の裏面に配設された賞球払出装置(後述する)から払い出された遊技球を収容する上段受皿13と、上段受皿13から排出された遊技球を収容する下段受皿14と、遊技者による押下操作が可能なプッシュ釦15とが設けられており、上段受皿13の右側方には発射装置10の発射強度を調整するための操作ハンドル16が配設されている。
【0024】
図3に示すように、このパチンコ機Pの背面側には、遊技に関する主要な処理を行う主制御基板17と、主制御基板17からの指令を受けて可変表示装置やスピーカ等の各種装置を制御する副制御基板18と、前述した賞球払出装置19と、主制御基板17からの指令を受けて賞球払出装置19を制御する払出制御基板20と、操作ハンドル16の回動量に応じて発射装置10の作動を制御する発射制御基板21と、大当たり回数等の各種情報を遊技場のホールコンピュータに出力する外部端子基板22等が設けられている。
【0025】
図4〜
図7に示すように、前記施錠装置30は、本体枠2の右側枠部に取り付けられる縦長状のベース本体33と、ベース本体33の一面側に固定された取付板34と、取付板34にネジ止めされた前記シリンダ錠11と、シリンダ錠11の錠軸に取り付けられたカム板35と、ベース本体33の他面側に固定されたカバー体40と、ベース本体33の他面側に上下動可能に支持された前記後部施錠杆31および前部施錠杆32と、カバー体40に揺動可能に支持されたロックレバー36と、カバー体40に揺動可能に支持された第1および第2の規制レバー37,38と、ベース本体33の長手方向に沿って上下動可能なロック解除部材39等を備えており、ベース本体33とカバー体40によってベース部材が構成されている。
【0026】
ベース本体33は金属板からなり、その中央よりも下側箇所に幅広部33aが形成されている。カバー体40は幅広部33aを覆うようにベース本体33にネジ止め固定されており、これらベース本体33とカバー体40間にロックレバー36やロック解除部材39等を配置するための収納空間Sが確保されている(
図14と
図21参照)。
【0027】
シリンダ錠11は前面側に露出する鍵穴11aを有しており、この鍵穴11aに差し込んだキーを回転操作すると、その回転方向に応じてカム板35が所定角度の範囲内を回転するようになっている。このカム板35は二股形状の駆動腕35a,35bを有しており、これら駆動腕35a,35bはベース本体33に形成された貫通孔33bを挿通して前記収納空間Sの内部に達している。
【0028】
後部施錠杆31と前部施錠杆32はいずれも金属板からなり、これら各施錠杆31,32は複数本のピン41を用いてベース本体33の他面側に積層状態で上下動可能に支持されている。後部施錠杆31と前部施錠杆32との間には第1の弾性手段であるコイルばね42が張架されており、このコイルばね42によって後部施錠杆31は上方、前部施錠杆32は下方へそれぞれ付勢されている。後部施錠杆31の上下両端には鉤部31aが形成されており、これら鉤部31aは本体枠2の背面側へ突出している。詳細については後述するが、本体枠2が機枠1に対して施錠されているとき、鉤部31aは機枠1に設けられた受け部1aに係止しており、鉤部31aと受け部1aの係合が解除されることにより、本体枠2を機枠1に対して開放できるようになっている(
図8参照)。また、後部施錠杆31の下側箇所には一対の長孔31bが上下方向に沿って穿設されており、上方の長孔31bの斜め上方には係合突部31cが形成されている。
【0029】
前部施錠杆32の上下両端と中央付近は鉤部32aが形成されており、これら鉤部32aはベース本体33を挿通して本体枠2の前面側へ突出している。詳細については後述するが、前面扉3が本体枠2に対して施錠されているとき、鉤部32aは前面扉3に設けられた背板面(受け部)3cに係止してお、鉤部32aと背板面3cの係合が解除されることにより、前面扉3を本体枠2に対して開放できるようになっている(
図15参照)。また、前部施錠杆32の下側箇所には一対の長孔32bが上下方向に沿って穿設されており、上方の長孔32bの側方には係合突部32cが形成されている。
【0030】
ロックレバー36は上下両端に当接受部36a,36bを有する縦長形状の部材であり、その中央部よりやや下方位置(揺動中心)がピン43を用いてカバー体40の下部側に揺動可能に支持されている。ロックレバー36には第1および第2の駆動受36c,36dが形成されており、第1の駆動受36cは揺動中心から離れた位置で板厚方向へ突出し、第2の駆動受36dは揺動中心の近傍位置で側方へ突出している。カバー体40の下部には第2の弾性手段である捩りコイルばね44が保持されており、この捩りコイルばね44の一端部をロックレバー36の下端部に掛止めすることにより、ロックレバー36は捩りコイルばね44によって後部施錠杆31と前部施錠杆32に近接する方向へ付勢されている。また、ロックレバー36の上部側方には係止突起36eが形成されており、この係止突起36eはロックレバー36の揺動に伴って後部施錠杆31の係合突部31cと前部施錠杆32の係合突部32cに対して係脱可能となっている。
【0031】
第1の規制レバー37はロックレバー36の下部近傍に配置された長尺状部材であり、その中央部(揺動中心)がピン45を用いてカバー体40の下部側に揺動可能に支持されている。第1の規制レバー37とカバー体40との間には第3の弾性手段であるコイルばね46が張架されており、このコイルばね46によって第1の規制レバー37は下端側を本体枠2の背面側へ突出する方向、換言すると上端側をロックレバー36の当接受部36bに近付ける方向へ付勢されている。
【0032】
第2の規制レバー38はロックレバー36の上部近傍に配置されたV字状部材であり、その中央部(揺動中心)がピン47を用いてカバー体40の上部側に揺動可能に支持されている。第2の規制レバー38とカバー体40との間には第3の弾性手段であるコイルばね48が張架されており、このコイルばね48によって第2の規制レバー38は一方の腕部を本体枠2の前面側へ突出する方向、換言すると他方の腕部をロックレバー36の当接受部36aに近付ける方向へ付勢されている。
【0033】
ロック解除部材39は一対の連結孔39a,39bを有する長尺状板体であり、
図7に示すように、このロック解除部材39はカバー体40に形成されたガイドレール40aに案内されて上下方向へ移動可能となっている。
図14と
図21に示すように、前述したカム板35の駆動腕35a,35bは、収納空間Sの内部で後部施錠杆31と前部施錠杆32の各長孔31b,32bを挿通してロック解除部材39の連結孔39a,39bに係合しており、カム板35の回転方向に応じて後部施錠杆31と前部施錠杆32およびロック解除部材39が上下いずれかの方向へ移動するようになっている。その際、連結孔39a,39bの長さ寸法は対応する駆動腕35a,35bよりも僅かに大きく設定され、両者間に若干の遊び(微小クリアランス)を確保することにより、カム板35の回転がロック解除部材39の上下動にスムーズに伝達されるようになっている。これに対して、後部施錠杆31と前部施錠杆32の各長孔31b,32bの長さ寸法はカム板35の駆動腕35a,35bよりも十分に大きめに設定されており、カム板35が初期位置から所定角度を越えて回転すると、一方の駆動腕35aが長孔32bの上辺に当接して前部施錠杆32を上動させたり、他方の駆動腕35bが長孔31bの下辺に当接して後部施錠杆31を下動させるようになっている。
【0034】
このロック解除部材39には第1および第2の駆動部39c,39dが形成されており、第1の駆動部39cは中央付近から側方へ突出してロックレバー36と重なっている。第2の駆動部39dはロック解除部材39の下端隅部に形成されており、
図7に示すように、この第2の駆動部39dはカバー体40との対向面と反対側から板厚方向へ突出している。ロック解除部材39が初期位置にあるとき、第1の駆動部39cはロックレバー36の第1の駆動受36cの上端と対向し、第2の駆動部39dはロックレバー36の第2の駆動受36dの上端と対向している。そして、ロック解除部材39が初期位置から下方へ移動すると、第1の駆動部39cの下端が第1の駆動受36cを押圧することで、ロックレバー36が捩りコイルばね44の付勢力に抗して後部施錠杆31と前部施錠杆32から離反する方向へ揺動する。その反対にロック解除部材39が初期位置から上方へ移動すると、第2の駆動部39dの上端が第2の駆動受36dを押圧することで、ロックレバー36が同じく捩りコイルばね44の付勢力に抗して後部施錠杆31と前部施錠杆32から離反する方向へ揺動する。
【0035】
また、ロック解除部材39の上部には矩形状の係合孔39eが形成されており、この係合孔39e内に弾性復帰手段であるセルフリターンばね49の弾性腕49a,49bが挿入されている。このセルフリターンばね49は巻回部49cの両端から一対のL字状の弾性腕49a,49bを延出させた線細工ばねであり、
図7に示すように、巻回部49cはカバー体40に突設されたボス40bに挿入・保持されている。また、カバー体40にはボス40bを挟んで上下に対向する規制壁40cが突設されており、両弾性腕49a,49bは規制壁40cによって外側への変形を規制された状態で係合孔39e内に挿入されている。これにより、カム板35を回転操作してロック解除部材39が初期位置から上下動すると、その移動方向に応じてセルフリターンばね49のいずれか一方の弾性腕49a,49bが係合孔39eの上辺または下辺に押圧されて弾性変形し、カム板35に対する回転操作力が取り除かれると、弾性変形した弾性腕49a,49bの蓄力を受けてロック解除部材39は初期位置に自動復帰する。
【0036】
このように構成された施錠装置30は、
図4に示すように、ベース本体33とカバー体40に両施錠杆31,32やロックレバー36やロック解除部材39等を組み込んでユニット化した後、ベース本体33を本体枠2の右側枠部の裏面にネジ止め等の固定手段を用いて取り付けることで使用される。以下、かかる施錠装置30の動作を主として
図8〜
図21に基づいて説明する。なお、
図8〜
図14は機枠1に対して本体枠2を開閉する場合の動作説明図、
図15〜
図21は本体枠2に対して前面扉3を開閉する場合の動作説明図であり、これらの図において、本体枠2と前面扉3は図示省略されている。
【0037】
本実施形態例に係るパチンコ機Pにおいて、常態では、本体枠2が機枠1に対して閉じられていると共に、前面扉3が本体枠2に対して閉じられている。
図8(a)と
図15(a)に示すように、この場合、後部施錠杆31と前部施錠杆32およびロック解除部材39はいずれも初期位置にあり、後部施錠杆31の鉤部31aは機枠1の受け部1aに係止し、前部施錠杆32の鉤部32aは前面扉3の背板面3cに係止している。また、ロックレバー36は捩りコイルばね44からの付勢力を受けてロック位置にあり、
図9から明らかなように、ロックレバー36の係止突起36eが係合突部31cの下側に位置して後部施錠杆31の下動を阻止すると共に、この係止突起36eが係合突部32cの上側に位置して前部施錠杆32の上動を阻止しているため、後部施錠杆31と前部施錠杆32はいずれもロック状態に維持されている。したがって、外部から挿入した針金等を用いて後部施錠杆31や前部施錠杆32を上下動することはできず、キーを用いずに本体枠2や前面扉3を解錠するという不正行為を防止できる。
【0038】
このように本体枠2と前面扉3が閉じられているとき、第1の規制レバー37は機枠1の受け部1aに押し当てられてロックレバー36の当接受部36bに近接し、第2の規制レバー38は前面扉3の背板面3cに押し当てられてロックレバー36の当接受部36aに近接しており、これら第1および第2の規制レバー37,38はいずれも非作動位置に保持されている。また、セルフリターンばね49の弾性腕49a,49bはロック解除部材39の係合孔39eの上辺と下辺にそれぞれ弾接しており、ロック解除部材39は各弾性腕49a,49bからの付勢力を受けて初期位置に安定的に保持されている。さらに、
図14(a)に示すように、カム板35の各駆動腕35a,35bは、初期位置にある後部施錠杆31と前部施錠杆32の各長孔31b,32bを貫通してロック解除部材39の連結孔39a,39bに係合しており、駆動腕35a,35bと長孔31b,32bとの間には所定の隙間が確保されている。
【0039】
この状態から本体枠2と前面扉3のいずれか一方、例えば機枠1に対して本体枠2を解錠する場合、シリンダ錠11の鍵穴11aに差し込んだキーを時計回りに回転操作すると、
図14(b)に示すように、カム板35が時計回りに回転して初期位置にあるロック解除部材39を下方へ移動させると共に、一方の駆動腕35bが後部施錠杆31に形成された上側の長孔31bの下辺に接近していく。このようにロック解除部材39が初期位置から下方へ移動し始めると、まず、第1の駆動部39cが第1の駆動受36aに当接してロックレバー36を捩りコイルばね44の付勢力に抗して
図9の時計回りに揺動させるため、
図8(b)と
図10に示すように、ロックレバー36の係止突起36eが後部施錠杆31と前部施錠杆32の係合突部31c,32cの側方へ移動する。これにより、後部施錠杆31と前部施錠杆32はロックレバー36によるロックが解除されたアンロック状態となり、ロックレバー36の上下両端側の当接受部36a,36bが非作動位置に保持された第2の規制レバー38と第1の規制レバー37からそれぞれ離反する。また、ロック解除部材39の下動に伴って係合孔39eとセルフリターンばね49との相対位置が変化するため、上側の弾性腕49aが係合孔39eの上辺に係合しながら撓んでいき、下側の弾性腕49bは係合孔39eの下辺から離れていく。
【0040】
かかるロック解除後にキーをさらに時計回りへ回転操作すると、
図14(c)に示すように、カム板35の駆動腕35bが上側の長孔31bの下辺に当接して後部施錠杆31を押下するため、
図8(c)と
図11に示すように、後部施錠杆31がコイルばね42の付勢力に抗して下方へ移動して鉤部31aと受け部1aとの係合を解除する。この時点でロック解除部材39は初期位置から下方へ最も離反した最下位置まで移動し、後部施錠杆31による施錠は解除されてアンロック状態となっているため、本体枠2を機枠1に対して開放することができる。また、こうしてロック解除部材39が最下位置まで移動すると、セルフリターンばね49の上側の弾性腕49aが大きく変形し、この弾性腕49aにロック解除部材39を上方へ戻そうとする大きな復帰力が蓄力される。なお、
図14(a)〜
図14(c)に示すように、カム板35の回転に伴ってロック解除部材39が初期位置から最下位置まで移動する間に、カム板35の駆動腕35a,35bは前部施錠杆32の長孔32b内を移動するだけであるため、前部施錠杆32はカム板35に駆動されることなく初期位置で停止している。
【0041】
このようにキーを用いて本体枠2を機枠1に対して開放すると、それまで非作動位置に拘束されていた第1の規制レバー37が機枠1の受け部1aから離反し、第1の規制レバー37がコイルばね46の付勢力を受けて
図11の反時計回りに揺動するため、
図12に示すように、第1の規制レバー37が作動位置まで移動してロックレバー36の当接受部36bに圧接される。このときにキーは元位置に戻されており、それに伴ってカム板35とロック解除部材39は初期位置に戻っているが、第1の規制レバー37がロックレバー36のロック位置へ戻ろうとする揺動動作を阻止しているため、ロックレバー36の後部施錠杆31に対するアンロック状態が第1の規制レバー37によって維持される。ここで、コイルばね46が第1の規制レバー37を介してロックレバー36をアンロック位置に維持しようとする付勢力Q1と、捩りコイルばね44がロックレバー36をロック位置に戻そうとする付勢力Q2とを比較すると、付勢力Q1の方が付勢力Q2よりも大きくなるように両コイルばね44,46のばね圧が設定されているため、ロックレバー36はアンロック位置に確実に保持される。したがって、本体枠2が機枠1に対して開放されているときに、後部施錠杆31が誤ってロックレバー36にロックされてしまうことはなく、開放動作後の本体枠2を閉じられなくなるという不具合は発生しない。
【0042】
なお、後部施錠杆31の鉤部31aと機枠1の受け部1aとの係合が解除された後、本体枠2を開放することなくそのままキーを手放した場合、つまり、
図11の状態から
図12の状態へ移行することなくキーを手放すと、後部施錠杆31がコイルばね42の付勢力により上方へ移動して初期位置まで戻るため、カム板35の駆動腕35bが後部施錠杆31の上側の長孔31bに押圧されて初期位置に向けて回転する。その際、ロック解除部材39もカム板35に連動して上方へ移動するが、後部施錠杆31が
図14(b)に示す初期位置まで戻って停止した後も、ロック解除部材39がセルフリターンばね49に蓄力された復帰力により上方へさらに移動するため、ロック解除部材39とカム板35は
図14(a)に示す初期位置に戻る。したがって、ロック解除部材39に拘束されていたロックレバー36が捩りコイルばね44の付勢力によりロック位置に戻り、
図8(a)と
図9に示すように、ロックレバー36の係止突起36eが係合突部31cの下側に移動するため、後部施錠杆31はロックレバー36によって再びロック状態に維持される。
【0043】
また、開放状態にある本体枠2を開放位置から閉鎖方向へ回動すると、
図8(e)と
図13に示すように、まず、後部施錠杆31に形成された鉤部31aの傾斜面が機枠1の受け部1aに当接し、この状態で本体枠2をさらに閉鎖方向へ回動して機枠1側へ押し込むと、その押し込み力によって後部施錠杆31がコイルばね42の付勢力に抗して下方へ移動する。そして、鉤部31aの傾斜面が受け部1aを通過すると、後部施錠杆31がコイルばね42の付勢力により初期位置に向かって上方へ移動するため、鉤部31aは受け部1aに係止される。また、これに前後して第1の規制レバー37の下端部が機枠1の受け部1aに押し付けられることで、第1の規制レバー37が
図13の時計回りに揺動してロックレバー36の当接受部36bから離反するため、ロックレバー36が捩りコイルばね44の付勢力によりロック位置に向かって揺動する。その結果、
図8(a)と
図9に示すように、初期位置に戻った後部施錠杆31の係合突部31cの下側にロックレバー36の係止突起36eが移動し、後部施錠杆31はロックレバー36によって下方への移動が阻止されたロック状態となる。
【0044】
一方、本体枠2に対して前面扉3を解錠する場合は、シリンダ錠11の鍵穴11aに差し込んだキーを上記と逆方向(反時計回り)に回転操作すれば良く、この場合、ロック解除部材39が初期位置から上方へ移動して後部施錠杆31の代わりに前部施錠杆32が同様に動作する。すなわち、キーの操作によってカム板35が
図21(a)の初期位置から反時計回りに回転すると、
図21(b)に示すように、カム板35の駆動腕35aが前部施錠杆32に形成された下側の長孔32bの上辺に接近していき、この駆動腕35aに係合するロック解除部材39を上方へ移動させる。このようにロック解除部材39が初期位置から上方へ移動し始めると、まず、第2の駆動部39dが第2の駆動受36dに当接してロックレバー36を捩りコイルばね44の付勢力に抗して
図16の時計回りに揺動させるため、
図15(b)と
図17に示すように、ロックレバー36の係止突起36eが後部施錠杆31と前部施錠杆32の係合突部31c,32cの側方へ移動する。これにより、後部施錠杆31と前部施錠杆32はロックレバー36によるロックが解除されたアンロック状態となり、ロックレバー36の上下両端側の当接受部36a,36bが非作動位置に保持された第2の規制レバー38と第1の規制レバー37からそれぞれ離反する。また、ロック解除部材39の上動に伴って係合孔39eとセルフリターンばね49との相対位置が変化するため、下側の弾性腕49bが係合孔39eの下辺に係合しながら撓んでいき、上側の弾性腕49aは係合孔39eの上辺から離れていく。
【0045】
かかるロック解除後にキーをさらに反時計回りへ回転操作すると、
図21(c)に示すように、カム板35の駆動腕35aが下側の長孔32bの上辺に当接して前部施錠杆32を持ち上げるため、
図15(c)と
図18に示すように、前部施錠杆32がコイルばね42の付勢力に抗して上方へ移動して鉤部32aと前面扉3の背板面3cとの係合を解除する。この時点でロック解除部材39は初期位置から上方へ最も離反した最上位置まで移動し、前部施錠杆32による施錠は解除されてアンロック状態となっているため、前面扉3を本体枠2に対して開放することができる。また、こうしてロック解除部材39が最上位置まで移動すると、セルフリターンばね49の下側の弾性腕49bが大きく変形し、この弾性腕49bにロック解除部材39を下方へ戻そうとする大きな復帰力が蓄力される。なお、
図21(a)〜
図21(c)に示すように、カム板35の回転に伴ってロック解除部材39が初期位置から最上位置まで移動する間に、カム板35の駆動腕35a,35bは後部施錠杆31の長孔31b内を移動するだけであるため、後部施錠杆31はカム板35に駆動されることなく初期位置で停止している。
【0046】
このようにキーを用いて前面扉3を本体枠2に対して開放すると、それまで非作動位置に拘束されていた第2の規制レバー38の一方の腕部が前面扉3の背板面3cから離反し、第2の規制レバー38がコイルばね48の付勢力を受けて
図18の反時計回りに揺動するため、
図19に示すように、第2の規制レバー38が作動位置まで移動してロックレバー36の当接受部36aに圧接される。このときにキーは元位置に戻されており、それに伴ってカム板35とロック解除部材39は初期位置に戻っているが、第2の規制レバー38がロックレバー36のロック位置へ戻ろうとする揺動動作を阻止しているため、ロックレバー36の前部施錠杆32に対するアンロック状態が第2の規制レバー38によって維持される。ここで、コイルばね48が第2の規制レバー38を介してロックレバー36をアンロック位置に維持しようとする付勢力Q3と、捩りコイルばね44がロックレバー36をロック位置に戻そうとする付勢力Q2とを比較すると、付勢力Q3の方が付勢力Q2よりも大きくなるように両コイルばね44,48のばね圧が設定されているため、ロックレバー36はアンロック位置に確実に保持される。したがって、前面扉3が本体枠2に対して開放されているときに、前部施錠杆32が誤ってロックレバー36にロックされてしまうことはなく、開放動作後の前面扉3を閉じられなくなるという不具合は発生しない。
【0047】
なお、前部施錠杆32の鉤部32aと前面扉3の背板面3cとの係合が解除された後、前面扉3を開放することなくそのままキーを手放した場合、つまり、
図18の状態から
図19の状態へ移行することなくキーを手放すと、前部施錠杆32がコイルばね42の付勢力により下方へ移動して初期位置まで戻るため、カム板35の駆動腕35aが前部施錠杆32の下側の長孔32bに押圧されて初期位置に向けて回転する。その際、ロック解除部材39もカム板35に連動して下方へ移動するが、前部施錠杆32が
図21(b)に示す初期位置まで戻って停止した後も、ロック解除部材39がセルフリターンばね49に蓄力された復帰力により下方へさらに移動するため、ロック解除部材39とカム板35は
図21(a)に示す初期位置に戻る。したがって、ロック解除部材39に拘束されていたロックレバー36が捩りコイルばね44の付勢力によりロック位置に戻り、
図15(a)と
図16に示すように、ロックレバー36の係止突起36eが係合突部32cの上側に移動するため、前部施錠杆32はロックレバー36によって再びロック状態に維持される。
【0048】
また、開放状態にある前面扉3を開放位置から閉鎖方向へ回動すると、
図15(e)と
図20に示すように、まず、前部施錠杆32に形成された鉤部32aの傾斜面が前面扉3の背板面3cに当接し、この状態で前面扉3をさらに閉鎖方向へ回動して本体枠2側へ押し込むと、その押し込み力によって前部施錠杆32がコイルばね42の付勢力に抗して上方へ移動する。そして、鉤部32aの傾斜面が背板面3cを通過すると、前部施錠杆32がコイルばね42の付勢力により初期位置に向かって下方へ移動するため、鉤部32aは背板面3cに係止される。また、これに前後して第2の規制レバー38の一方の腕部が前面扉3の背板面3cに押し付けられることで、第2の規制レバー38が
図19の時計回りに揺動してロックレバー36の当接受部36aから離反するため、ロックレバー36が捩りコイルばね44の付勢力によりロック位置に向かって揺動する。その結果、
図15(a)と
図16に示すように、初期位置に戻った前部施錠杆32の係合突部32cの上側にロックレバー36の係止突起36eが移動し、前部施錠杆32はロックレバー36によって上方への移動が阻止されたロック状態となる。
【0049】
以上説明したように、本実施形態例に係るパチンコ機Pの施錠装置30では、本体枠2と前面扉3がいずれも施錠されているとき、機枠1側の受け部1aに係止している後部施錠杆(第1の施錠杆)31の上下動がロックレバー36によって阻止されると共に、前面扉3側の背板面(受け部)3cに係止している前部施錠杆(第2の施錠杆)32の上下動がロックレバー36によって阻止されるようになっているため、外部から挿入した針金等を用いて後部施錠杆31や前部施錠杆32を上下動することはできず、キーを用いずに本体枠2や前面扉3を解錠するという不正行為を防止することができる。そして、シリンダ錠11の鍵穴11aに差し込んだキーを用いてカム板35を回転操作してロック解除部材39を上下動させると、ロックレバー36が揺動して後部施錠杆31や前部施錠杆32をロック解除することができ、本体枠2や前面扉3の開放時は第1の規制レバー37や第2の規制レバー38をロックレバー36に圧接させてロック解除状態(アンロック状態)を維持することにより、後部施錠杆31や前部施錠杆32がロックレバー36に誤ってロックされてしまうことを防止できる。しかも、ロックレバー36のロック解除後に本体枠2や前面扉3を開放せずにそのままキーを手放したとしても、ロック解除部材39が弾性復帰手段であるセルフリターンばね49の付勢力によって移動方向の初期位置へ自動復帰するため、ロックレバー36を確実にロック位置へ戻して後部施錠杆31や前部施錠杆32に係合させてロック状態となすことができる。したがって、このパチンコ機Pは、本体枠2に組み付けた施錠装置30をシリンダ錠11の鍵穴11aに差し込んだキーの回転操作によって確実に解錠/施錠することができると共に、ロック機構や施錠装置30の配置場所等を含めた設計上の自由度を高めることができる。
【0050】
また、本実施形態例に係るパチンコ機Pの施錠装置30では、ロック解除部材39を移動方向の初期位置へ自動復帰させる弾性復帰手段として、巻回部49cの両端から一対の弾性腕49a,49bを延出させたセルフリターンばね49を用い、このセルフリターンばね49の巻回部49cをカバー体(ベース部材)40に保持させると共に、両弾性腕49a,49bをロック解除部材39に形成した係合孔39eの上下両辺に弾接させているため、カム板35の駆動腕35a,35bとロック解除部材39の連結孔39a,39bとの間に動力伝達に必要な遊び(微小クリアランス)を確保した上で、カバー体に保持したセルフリターンばね49によってロック解除部材39を初期位置に確実に自動復帰させることができる。
【0051】
また、本実施形態例に係るパチンコ機Pの施錠装置30では、本体枠2に設置されるベース部材がロック解除部材39を挟んで一体化されたベース本体33とカバー体40とからなり、施錠装置30の各構成部品のうち、後部施錠杆31と前部施錠杆32をベース本体33に上下動可能に支持させると共に、ロックレバー36と両規制レバー37,38およびセルフリターンばね49の巻回部49cをそれぞれ支持させているため、施錠装置30の組立作業性を高めることができると共に、後部施錠杆31や前部施錠杆32による解錠/施錠動作を確実に行わせることができる。しかも、ロック解除部材39を上下動させるカム板35に一対の駆動腕35a,35bが設けられており、これら駆動腕35a,35bが後部施錠杆31と前部施錠杆32に形成された長孔31b,32bを挿通してロック解除部材39の連結孔39a,39bに係合していると共に、駆動腕35a,35bが所定の隙間を介して長孔31b,32bと係合可能になっているため、キーを用いてカム板35を一方向へ回転操作してロックレバー36をアンロック位置へ揺動させた後に、カム板35のさらなる回転で後部施錠杆31や前部施錠杆32を上下動させるという解錠動作を実現しつつ、ロック解除後に本体枠2や前面扉3を開放せずにそのままキーを手放したときに、ロックレバー36を後部施錠杆31や前部施錠杆32に対して確実に係合させることができる。
【0052】
なお、上記実施形態例では、1つのロックレバー36をロック解除部材39の上下動に伴って揺動させることにより、このロックレバー36を後部施錠杆31と前部施錠杆32の両方に対して係脱させるようにしているが、2つのロックレバーをロック解除部材39の移動方向に応じて選択的に揺動させることにより、一方のロックレバーを後部施錠杆31に対して係脱させると共に、他方のロックレバーを前部施錠杆32に対して係脱させるようにしても良い。
【0053】
また、上記実施形態例では、弾性復帰手段であるセルフリターンばね49をカバー体40に保持し、このセルフリターンばね49の弾性腕49a,49bをロック解除部材39の係合孔39eに弾接させているが、シリンダ錠11に保持したセルフリターンばねの両弾性腕をカム板35に弾接させることにより、カム板35を介してロック解除部材39を移動方向の初期位置に自動復帰させることも可能である。
【0054】
また、上記実施形態例では、透明板4や操作ハンドル16等が設けられた一体型の前面扉3を本体枠2に開閉可能に軸支したパチンコ機Pについて説明したが、透明板等が設けられた上扉と操作ハンドル等が設けられた下扉とからなる分離タイプの前面扉にも本発明は適用可能であり、その場合、上扉を開放しない限り下扉を開放できないようになっていれば、前部施錠杆32の鉤部32aを上扉側の受け部に係止させることにより、上扉と下扉の両方を本体枠2に対して施錠することができる。
【0055】
また、上記実施形態例では、キーを一方向へ回転操作して後部施錠杆31を下動させることで本体枠2が解錠され、キーを他方向へ回転操作して前部施錠杆32を上動させることで前面扉3が解錠されるようになっているが、これとは逆に、後部施錠杆31の上動によって本体枠2が解錠され、前部施錠杆32の下動によって前面扉3が解錠される構成とすることも可能であり、その場合は、後部施錠杆31をコイルばね(第1の弾性手段)42によって下方へ付勢すると共に、前部施錠杆32をコイルばね42によって上方へ付勢すれば良い。
【0056】
また、上記実施形態例では、第1の弾性手段であるコイルばね42の両端を後部施錠杆31と前部施錠杆32に掛け止めすることにより、共通のコイルばね42を用いて後部施錠杆31と前部施錠杆32を互いに逆向きに付勢しているが、個別のコイルばねを用いて後部施錠杆31と前部施錠杆32を互いに逆向きに付勢するようにしても良い。