(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の蒸気発生装置をスチームコンベクションオーブンに適用した一実施形態を添付図面を参照して説明する。
図1〜
図4に示すように、スチームコンベクションオーブン10は、ハウジング11内の左側部を除いた部分に食材を加熱調理するための調理庫12と、ハウジング11の左側部の空間に機械室13とを備えている。この調理庫12内には加熱装置20の加熱管21が配設され、加熱管21は燃焼ガスを通過させることにより、燃焼ガスの熱を加熱管21の周囲の空気と熱交換することで調理庫12内を加熱するものである。加熱管21は、調理庫12の左側壁の周縁部に沿って取り付けられている。具体的には、加熱管21は、調理庫12の左側壁の前側上部に固定されて後述するガスバーナ22による燃焼室となる大径部21aと、大径部21aより細く形成され、大径部21aから後方に延びて調理庫12の左側壁の周縁に沿って前側の中間部まで湾曲させた第1巻部21bと、この第1巻部21bの導出端を下側に屈曲させて折り返し、再び調理庫12の左側壁の周縁に沿って湾曲させ、調理庫12上壁後部まで延出させた第2巻部21cとから構成されている。この加熱管21の第2巻部21cの燃焼ガスの導出端部21dはハウジング11の外部に突出している。第2巻部21cは第1巻部21bより外側に少しずらして配置されており、加熱管21は第1巻部21bと第2巻部21cとの重なる部分を少なくして調理庫12の左側壁側からあまり出張らないように配置されている。
【0016】
調理庫12の左側壁には空気を循環させるためのファン装置14のファン14aが回転可能に取り付けられている。ファン14aはシロッコファン等の遠心ファンであり、調理庫12の左側壁で加熱管21の内側に取り付けられている。機械室13には、調理庫12の左側壁の外側中央部にファン14aを回転させるファンモータ14bが固定されている。ファンモータ14bによりファン14aを回転させると、調理庫12内の空気は加熱管21に吹き付けられて熱風となって調理庫12内を循環する。調理庫12内には温度センサ(図示省略)が設けられており、この温度センサは調理庫12内の温度を検出するものである。
【0017】
機械室13の前側上部には、上述した加熱管21とガスバーナ22とを除いた加熱装置20が設けられている。加熱装置20は、ガスの燃焼による燃焼ガスによって調理庫12内を加熱するものである。加熱管21の燃焼室となる大径部21aに設けられたガスバーナ22には混合管23が接続され、混合管23には給気管24と、ガス供給管26とが接続されている。なお、混合管23は加熱装置20をコンパクトに機械室13に収容するために屈曲している。給気管24にはブロアファン25が接続されており、ブロアファン25は給気管24を介して混合管23に燃焼用空気を送るものである。ブロアファン25の給気管24に対する送風口は長方形状をしており、この送風口にはこの大部分を遮蔽して三角形状の送風通路を形成させる送気遮蔽板(後述する送気遮蔽板39と同様であるので図示省略)が設けられている。ブロアファン25の作動により、給気管24から混合管23に燃焼用空気を導入したときには、三角形状に狭くされた送風通路から送られる燃焼用空気が短い混合管23内でも燃料用ガスとよく混合されるようになる。この送気遮蔽板は三角形状の送風通路の大きさを可変にすることで、空気の流量を調整可能としてもよい。
【0018】
ガス供給管26には図示しない都市ガスまたはプロパンガスの供給源が接続されている。ガス供給管26にはガスバルブ(図示省略)が介装されており、ガスバルブの開閉により燃料用ガスの供給及び供給の遮断がされる。ガス供給管26には均圧弁(図示省略)が介装されており、均圧弁は圧力検出管26aによって接続された給気管24から供給される空気の供給圧力に応じて燃料用ガスの供給量を調整するものである。
【0019】
図2及び
図5に示すように、機械室13の後部には、調理庫12内に蒸気を供給するための蒸気発生装置30が設けられている。蒸気発生装置30は、所定の水位の水を貯える直方体形状の蒸気発生容器31を備えており、蒸気発生容器31は調理庫12の左外側壁に固定されている。蒸気発生容器31の外側には水位検出容器32が固定されており、水位検出容器32内にはフロートスイッチ(図示省略)が設けられている。水位検出容器32の下部は蒸気発生容器31の下部に接続されており、フロートスイッチは水位検出容器32内の所定の水位を検出することで蒸気発生容器31内の所定の水位を検出するものである。水位検出容器32の下部には水道等の給水源から導出された給水管32aが接続されており、給水管32aには給水弁(図示しない)が介装されている。給水弁を開放すると、水道等の給水源の水は給水管32aから水位検出容器32に送られ、水位検出容器32を介して蒸気発生容器31に送られる。
【0020】
図5及び
図6に示すように、蒸気発生容器31内には水を加熱する加熱手段33が設けられている。この実施形態の加熱手段33はガスの燃焼による燃焼ガスによって水を加熱するものである。加熱手段33は、蒸気発生容器31内に加熱筒34とガスバーナ35とを備えており、加熱筒34は内部を通過するガスバーナ35による燃焼ガスの熱を周囲の水と熱交換することで加熱する熱交換器である。加熱筒34は側方から見た形状がL字形をした円筒部材よりなる。加熱筒34の水平部34aの端部が蒸気発生容器31の前壁31b下部に固定され、加熱筒34の垂直部34bの上端部が蒸気発生容器31の上壁後部に固定されている。加熱筒34の垂直部34bは蒸気発生容器31の後壁31a側に水が通る空間を少し空けた状態で寄せて配置されている。加熱筒34の垂直部34bの上下方向の中間部には、直径が外側に少し大きくなるように屈曲させた5つの屈曲部34cが形成されている。この屈曲部34cは、加熱筒34を蒸気発生容器31に溶接等により固定するとき及び燃焼ガスが通過するときの熱膨張による歪みを抑えて加熱筒34と蒸気発生容器31の固着部分に亀裂が生じることを防ぐとともに、周囲の水との接触面積を増やして熱交換の効率を上げるためのものである。
【0021】
加熱筒34の水平部34a内にはガスバーナ35が設けられており、水平部34aはこのガスバーナ35の燃焼室となっている。ガスバーナ35には混合管36が接続され、混合管36には給気管37と、ガス供給管40とが接続されている。なお、混合管36は蒸気発生装置30をコンパクトに機械室13に収容するために屈曲している。給気管37にはブロアファン38が接続されており、ブロアファン38は給気管37を介して混合管36に燃焼用空気を送るものである。
図6及び
図7に示すように、ブロアファン38の給気管37に対する送風口38aは長方形形状をしており、この送風口38aにはこの大部分を遮蔽して三角形状の送風通路39aを形成させる送気遮蔽板39が設けられている。ブロアファン38の作動により、給気管37から混合管36に燃焼用空気を導入したときに、三角形状に狭くされた送風通路39aから送られる燃焼用空気が短い混合管36内でも燃料用ガスとよく混合されるようになる。この送気遮蔽板39は三角形状の送風通路39aの大きさを可変にすることで、空気の流量を調整可能としてもよい。
【0022】
ガス供給管40には図示しない都市ガスの供給源またはプロパンガスの供給源が接続されている。ガス供給管40にはガスバルブ40aが介装されており、ガスバルブ40aの開閉により燃料用ガスの供給及び供給の遮断がされる。ガス供給管40には均圧弁40bが介装されており、均圧弁40bは圧力検出管40cによって接続された給気管37から供給される空気の供給圧力に応じて燃料用ガスの供給量を調整するものである。
【0023】
加熱筒34内にはガスバーナ35による燃焼ガスの熱を加熱筒34の垂直部34bの内周面に沿って通過させるようにした燃焼ガスガイド41が収容されている。燃焼ガスガイド41はアルミナ等の熱伝導率の低く耐熱性の高いセラミック材よりなり、下部が下方に向かって細くなる円錐形をして加熱筒34の垂直部34bに隙間を設けて挿通可能な径をした円筒形状をしている。燃焼ガスガイド41の下部の円錐部41aを除いた外周面には、軸線方向に延びる突部41bが周方向の均等した4箇所の位置に一体的に形成されている。突部41bは燃焼ガスガイド41が加熱筒34の垂直部34bに対して偏心しないようにするためのものである。燃焼ガスガイド41は、円錐部41aの頂部が加熱筒34の水平部34aの内周面下部に当接支持された状態で、加熱筒34の垂直部34bの内周面との間に燃焼ガスの通路41cが形成されるような隙間を設けて同心的に挿通されている。燃焼ガスガイド41の突部41bの少なくとも1つが加熱筒34の垂直部34bの内周面と当接することで、燃焼ガスガイド41が加熱筒34の垂直部34bに実質的に同心的に挿通された状態となり、加熱筒34の垂直部34bの内周面と燃焼ガスガイド41の外周面との間に周方向に実質的に同じ幅の燃焼ガスの通路41cが形成されることになる。加熱筒34の垂直部34bには、燃焼ガスをハウジング11外に排出する排気筒42が接続されている。
【0024】
蒸気発生容器31内には内部の水を循環させる循環ガイド43が設けられている。循環ガイド43は中空の直方体のブロック体よりなり、蒸気発生容器31の後壁31a側に寄せられた加熱筒34の垂直部34bとこれに対向する蒸気発生容器31の前壁(側壁)31bとの間に各々水が通過可能な隙間を空けて設けられている。循環ガイド43は加熱筒34の水平部34aより上側で蒸気発生容器31内の所定の水位の水に完全に浸かるように配置されており、蒸気発生容器31内の水は循環ガイド43の上側及び下側を通過可能となっている。
【0025】
蒸気発生容器31の上壁前部には、蒸気を調理庫12に導出する蒸気の導出部44が設けられている。導出部44は、蒸気発生容器31の上壁前部に形成された導出口31cに嵌合固定された蒸気導出パイプ44aと、蒸気導出パイプ44aに接続された連結パイプ44dとからなる。蒸気導出パイプ44aは上端部を除いて蒸気発生容器31内の上部空間に設けられた有底円筒形のパイプである。蒸気導出パイプ44aの蒸気発生容器31内の上部空間に配置された部分の周面には貫通孔よりなる8つの蒸気導入孔44bが形成されており、これら蒸気導入孔44bは蒸気発生容器31の上部空間で発生した蒸気を蒸気導出パイプ44a内に導入するためのものである。また、蒸気導出パイプ44aの底壁には貫通孔よりなる湯排出孔44cが形成されており、湯排出孔44cは蒸気導入孔44bから蒸気と共に混入した湯や蒸気導出パイプ44a内で結露した湯滴を再び蒸気発生容器31内に戻すためのものである。蒸気導出パイプ44aの上端部には連結パイプ44dが連通接続されており、連結パイプ44dは先端の導出端部が調理庫12の蒸気導入口12aに接続されている。蒸気発生容器31内の蒸気は蒸気導入孔44bから蒸気導出パイプ44a内に導入され、蒸気導出パイプ44aから連結パイプ44dを通って調理庫12内に導入される。
【0026】
蒸気発生容器31内には加熱筒34の垂直部34bと蒸気導出パイプ44aとの間に遮蔽板45が設けられている。遮蔽板45は加熱筒34の垂直部34bの周囲で沸騰により跳ね上がった湯が蒸気導出パイプ44a内に流入するのを防ぐためのものである。遮蔽板45は加熱筒34との間に蒸気の通路が形成されるように隙間を空けて蒸気発生容器31の上壁に固定されている。遮蔽板45の上部には加熱筒34に沿って上昇した蒸気を蒸気導出パイプ44a側に送るための蒸気の送出口45aが形成されている。また、遮蔽板45の下部は加熱筒34の反対側に折り曲げられた折曲部45bとなっており、送出口45aから吹き出た湯や上壁の下面に結露した湯滴は遮蔽板45を流下して、この折曲部45bにより循環ガイド43の上側に送られる。
【0027】
蒸気発生容器31の底部には加熱筒34の垂直部34bの下側に水を排水するための排水部46が設けられている。排水部46は、蒸気発生容器31の底壁の加熱筒34の垂直部34bの下側に形成された排水口31dに設けられた排水管46aと、排水管46aに介装されたボールバルブ46bよりなる。ボールバルブ46bはモータにより開閉され、ボールバルブ46bを開放したときの流路は排水管46aの内径と同じとなっている。
【0028】
蒸気発生容器31の底面は循環ガイド43の下側で排水部46側が下側となるように傾斜する傾斜面31eを備えている。この傾斜面31eは加熱筒34により加熱された湯が循環ガイド43の周囲を上下に循環したときに、湯に含まれるスケールを溜めるようにするためのものである。
【0029】
また、蒸気発生容器31の下部に設けられた排水管46aには排水用タンク50が接続されており、排水用タンク50には水をハウジング11外に排水するための排水管51が接続されている。また、排水用タンク50には調理庫12の底壁に形成された排出口12bから導出された排出管52と排気をハウジング11外に排出する排気管53とが接続されている。排出管52は調理庫12内から排出される水や排気を排水用タンク50に導くためのものである。排気管53は調理庫12内から排水用タンク50に送られた排気をハウジング11外に排出するものであり、排気管53は蒸気発生容器31に当接した状態で立設している。蒸気発生容器31内の水または湯を排水管46aから排出すると、排水用タンク50を通ってから排水管51によりハウジング11外に排出される。調理庫12内から水または湯を排出管52から排出すると、排水用タンク50を通ってから排水管51によりハウジング11外に排出される。また、調理庫12内から熱を含んだ空気を排出管52から排出すると、排水用タンク50を通ってから排気管53によりハウジング11外に排出される。このとき、排気管53は蒸気発生容器31に当接した状態で立設しているので、排気管53を通過する空気の熱が蒸気発生容器31に熱交換により伝えられる。
【0030】
機械室13には、ファンモータ14bの上側に給排気ダクト管54が設けられており、この給排気ダクト管54は調理庫12の左側壁に形成された給排気口(図示省略)に接続されている。給排気ダクト管54には給排気弁54aが介装されており、調理庫12内のファン14aを回転させた状態で給排気弁54aを開放すると、給排気ダクト管54から調理庫12内に空気が供給され、ファン14aを回転させることなく給排気弁54aを開放すると、調理庫12内の空気が給排気ダクト管54から排気される。
【0031】
機械室13には、給排気ダクト管54の前側に送風ファン55が設けられており、送風ファン55は加熱管21とガスバーナ22とを除いた加熱装置20側を吸気側とし、給排気ダクト管54と蒸気発生装置30側を送気側としている。送風ファン55を作動させると、加熱装置20から発生する熱を含んだ空気を吸い込んで、給排気ダクト管54に吹き付けるとともに蒸気発生装置30側に送られる。この送風ファン55の作動により、加熱装置20が高温とならないようにすることができ、加熱装置20の熱を蒸気発生装置30側に送るようにしている。
【0032】
上記のように構成したスチームコンベクションオーブン10の作動について説明する。このスチームコンベクションオーブン10は、ファン装置14と加熱装置20とを作動させて熱風により調理するホットエアーモードと、ファン装置14と蒸気発生装置30とを作動させて蒸気により調理するスチームモードと、ファン装置14と、加熱装置20と、蒸気発生装置30とを作動させて蒸気を含んだ熱風により調理するコンビモードとの3つの調理モードを備えている。
【0033】
このスチームコンベクションオーブン10でコンビモードの調理プログラムを実行して加熱装置20を作動させたときには、先ずガスバルブ(図示省略)を開放させ、ブロアファン25を作動させる。ブロアファン25の作動により燃焼用空気が給気管24から混合管23に導入されるとともに、均圧弁(図示省略)により給気管24の燃焼用空気の供給圧力に応じて流量を調整された燃料用ガスがガス供給管26から混合管23に導入される。燃焼用空気と燃料用ガスの混合された混合ガスが混合管23からガスバーナ22に送られ、この混合ガスはガスバーナ22によって燃焼して燃焼ガスとなる。燃焼ガスは加熱管21を通ってハウジング11外に排気される。このとき、加熱管21の周囲の空気は加熱管21を通過する燃焼ガスと熱交換により加熱され、この加熱された空気はファン装置14のファン14aによって熱風となって調理庫12内を循環する。なお、調理庫12内の温度を上昇させるときには、ブロアファン25の回転数を上げることで、混合管23に導入する燃焼用空気の流量を多くするとともに、均圧弁(図示省略)により燃料用ガスの流量を多くして混合ガスの燃焼量を多くしている。また、調理庫12内の温度の上昇を抑えるときには、ブロアファン25の回転数を下げることで、混合管23に導入する燃焼用空気の流量を少なくするとともに、均圧弁(図示省略)により燃料用ガスの流量を少なくして混合ガスの燃焼量を少なくしている。
【0034】
また、このスチームコンベクションオーブン10でコンビモードの調理プログラムを実行して蒸気発生装置30を作動させたときには、先ずガスバルブ40aを開放させ、ブロアファン38を作動させる。ブロアファン38の作動により燃焼用空気が給気管37から混合管36に導入されるとともに、均圧弁40bにより給気管37の燃焼用空気の供給圧力に応じて流量を調整された燃料用ガスがガス供給管40から混合管36に導入される。燃焼用空気と燃料用ガスとの混合された混合ガスが混合管36からガスバーナ35に送られ、この混合ガスは燃焼室となる加熱筒34の水平部34a内でガスバーナ35によって燃焼して燃焼ガスとなる。燃焼ガスは加熱筒34の水平部34aから垂直部34bを通過し、排気筒42によりハウジング11外に排気される。
【0035】
このとき、蒸気発生容器31内の水は加熱筒34を通過する燃焼ガスと熱交換により加熱されて湯となり、蒸気発生容器31の湯はさらに加熱されて蒸気となる。
図5の一点鎖線の矢印に示すように、蒸気発生容器31内の上部空間の蒸気は導出部44から調理庫12に導出される。すなわち、蒸気発生容器31内の蒸気は蒸気導入孔44bから蒸気導出パイプ44a内に導かれ、蒸気導出パイプ44a内に導かれた蒸気は連結パイプ44dにより調理庫12内に導入される。調理庫12内に導かれた蒸気はさらに調理庫12内の加熱管21により加熱されて過熱蒸気となって、ファン14aにより調理庫12内を循環する。なお、蒸気発生装置30の作動開始時や蒸気を多く発生させるときには、ブロアファン38の回転数を上げることで、混合管36に導入する燃焼用空気の流量を多くするとともに、均圧弁40bにより燃料用ガスの流量を多くして混合ガスの燃焼量を多くしている。また、蒸気の量を抑えるときには、ブロアファン38の回転数を下げることで、混合管36に導入する燃焼用空気の流量を少なくするとともに、均圧弁40bにより燃料用ガスの流量を少なくして混合ガスの燃焼量を少なくしている。
【0036】
この蒸気発生装置30においては、蒸気発生容器31内には、加熱筒34の垂直部34bとこれに対向する蒸気発生容器の前壁31bとの間に各々隙間を空けて循環ガイド43が設けられている。
図5の破線の矢印に示すように、この循環ガイド43は、加熱筒34の垂直部34bを通過する燃焼ガスにより加熱されて対流によって上昇する湯を蒸気発生容器31の前壁31b側に案内するとともに、蒸気発生容器31の前壁31b側の湯を加熱筒34の垂直部34bの下部に案内することにより蒸気発生容器31内の湯を上下に積極的に循環させている。この循環ガイド43により蒸気発生容器31内の上部の湯だけが過剰に高温となるのを防ぐことでき、蒸気発生容器31内の湯が突沸して蒸気の導出部44から調理庫12内に吹き出るのを防ぐことができる。なお、加熱手段33は、ガスバーナ35による燃焼ガスの熱を周囲の水と熱交換することで加熱する加熱筒34を用いたが、電気抵抗による発熱させるヒータや誘導加熱により発熱させるヒータを加熱手段に用いても同様の作用効果を得ることできる。
【0037】
蒸気発生容器31の底部には加熱筒34の垂直部34bの下側に水を排水する排水部46を備え、蒸気発生容器31の底面には循環ガイド43の下側に排水部46側が下側となるように傾斜した傾斜面31eを備えている。これにより、蒸気発生容器31内の湯が循環ガイド43の周囲を上下に循環したときに、湯に含まれるスケールはこの傾斜面31eに溜まりやすくなる。蒸気発生容器31の湯を排水部46から排水するときには、このスケールが湯と共に排出されるので、蒸気発生容器31内の他の部分にスケールが付着するのを防ぐことができる。また、排水部46を構成する排水管46aには排水管46aの内径と同じ流路を有したボールバルブ46bを介装したので、スケールが排水管46aに溜まって残るのを防ぐことができる。
【0038】
また、加熱筒34の垂直部34bは蒸気発生容器31内で循環ガイド43を設けた側と反対側の後壁31a側に湯が通る程度の隙間を空けるようにして寄せて配置され、循環ガイド43を設けた加熱筒34の垂直部34bと蒸気発生容器31の前壁31bとの間を湯が循環しやすいよう広くした。これにより、蒸気発生容器31内の湯が循環ガイド43の周りを上下に循環しやすくなり、蒸気発生容器31内の湯を効率よく加熱できるようになる。特に、蒸気発生容器31内の水を湯となるように加熱したときの湯となるまでの時間を短縮できるようになる。循環ガイド43は中空のブロック体であるので、蒸気発生容器31内の水の量を減らすことができ、これによっても、蒸気発生容器31内の水を湯となるように加熱したときの湯となるまでの時間を短縮できるようになる。
【0039】
蒸気発生容器31内には、加熱筒34の垂直部34bと蒸気の導出部44を構成する蒸気導出パイプ44aとの間に遮蔽板45が設けられている。遮蔽板45は加熱筒34の垂直部34bを通過する燃焼ガスにより加熱されて垂直部34bの外周付近で跳ね上がる湯が蒸気導入孔44bから蒸気導出パイプ44a内に流入するのを防いでいる。これにより、蒸気導出パイプ44aから連結パイプ44dを通って調理庫12に導入される蒸気に湯滴が混入することができる。また、遮蔽板45の下部の折曲部45bは、送出口45aから吹き出た湯や蒸気発生容器31の上壁の下面に結露して遮蔽板45を流れ落ちる湯滴を循環ガイド43による湯の循環する方向に流しているので、循環ガイド43による湯の循環を促進することができる。
【0040】
また、この蒸気発生装置30においては、熱交換器となる加熱筒34の垂直部34b内には燃焼ガスを垂直部34bの内周面に沿って通過させるようにした燃焼ガスガイド41を設けた。これにより、燃焼ガスの熱を加熱筒34の垂直部34bから蒸気発生容器31内の水に効率よく伝えることができ、蒸気を発生させる効率がよくなる。このように、径の大きい筒状の熱交換器を用いても、燃焼ガスを周囲の水と効率よく熱交換でき、ガスバーナ35の出力を過剰に大きくする必要がない。
【0041】
燃焼ガスガイド41はアルミナ等の耐熱性の高く熱伝導性の低いセラミック材よりなるので、燃焼ガスを加熱筒34の垂直部34bの内周面に沿って通過させたときに、燃焼ガスの熱が燃焼ガスガイド41に伝わりにくくなって垂直部34bと周囲の水との熱の交換を効率よくでき、また、ガスバーナ35による燃焼を止めて燃焼ガスの通過を停止させた後に、燃焼ガスガイド41からの放射熱を抑えることで、蒸気発生容器31から発生させる蒸気の量をコントロールしやすくなる。
【0042】
また、この蒸気発生装置30においては、燃焼ガスガイド41は熱交換器である加熱筒34の垂直部34b内の水平方向の断面積において50%を閉塞させて残る部分により燃焼ガスの通路41cを形成するようにしている。燃焼ガスガイド41により加熱筒34の垂直部34bの水平方向の閉塞する割合(閉塞率)を高くすることで蒸気を発生させる効率を高めることができるが、同時に機器の圧力損失が増加するために、燃焼用空気を送出するブロアファン38の出力を増加させたり、燃焼性能の劣化(燃焼不安定化)となるおそれがある。そのために、閉塞率が蒸気の発生効率(蒸気発生装置の熱効率)に及ぼす結果を調べた結果、
図8に示すように、閉塞率が50%の燃焼ガスガイド41を設けることにより、燃焼ガスガイド41を設けないものに比べて蒸気の発生効率(蒸気発生装置の熱効率)を27ポイント上昇させることができたが、閉塞率が50%以上のものとして、閉塞率が60%の燃焼ガスガイド41を設けても蒸気の発生効率が向上しないという結果が得られた。これにより、燃焼ガスガイド41が熱交換器である加熱筒34の垂直部34b内の水平方向の断面積において50%以下を閉塞させて残る部分により燃焼ガスの通路41cを形成するようにしたことで、機器の圧力損失の増加を防ぎ、燃焼性能の劣化を回避するとともに、蒸気を発生させる効率を最大限に高めることができた。
【0043】
また、燃焼ガスガイド41は下部の円錐部41aを除いて円筒形状の加熱筒34の垂直部34b内の内周面との間に隙間を設けて同心的に挿通された円筒形状をしているので加工が容易である。燃焼ガスガイド41の下部の円錐部41aを除いた外周面には、軸線方向に延びる突部41bが周方向の均等した4箇所(3箇所以上)の位置に一体的に形成されている。これにより、燃焼ガスガイド41が加熱筒34の垂直部34b内で偏心して配置されることを防ぐことができ、燃焼ガスが加熱筒34の垂直部34bの周方向の一部に偏って通過することで、加熱筒34の垂直部34bの周方向の一部が偏って加熱されるのを防ぐことができる。
【0044】
上記の実施形態においては、燃焼ガスガイド41は上部が開口し、下部が円錐形をして閉じた筒形状をしており、燃焼ガスガイド41の筒内は燃焼ガスガイド41の外周面側の燃焼ガスの通路41cを通過する燃焼ガスの風圧に起因した圧力差により負圧となりやすい。通路41cを上昇した燃焼ガスは燃焼ガスガイド41の上側に上昇したときに、燃焼ガスガイド41の筒内の負圧による影響を受けて流れが不安定な乱流となり、これに起因した異音が発生することがあった。
【0045】
これに対処するために、
図9に示す変形例の蒸気発生装置では、燃焼ガスガイド41の下部の円錐部41aに肉厚より小さな貫通孔41dを形成した。なお、貫通孔41dは通路41cを通過する燃焼ガスの流量に影響を与えない程度の大きさである。このように燃焼ガスガイド41の下部の円錐部41aに貫通孔41dを形成したときには、燃焼ガスが貫通孔41dから燃焼ガスガイド41の筒内に導入され、燃焼ガスガイド41の筒内は通路41cを通過する燃焼ガスの風圧に起因した圧力差によって負圧となりにくい。これにより、通路41cを通過した燃焼ガスは、燃焼ガスガイド41の筒内の影響を受けることなく燃焼ガスガイド41の上側を安定して上昇し、異音の発生を抑えることができる。