【実施例】
【0047】
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによってなんら限定されるものではない。
【0048】
[実施例1]
1.パーフルオロポリエーテル変性シラン化合物の合成
パーフルオロポリエーテル化合物を合成する第1段階:
攪拌器、冷却ジャケット、温度計、圧力計が設置されたステンレス製高圧反応器にテトラグリム2.49g、フッ化セシウム1.69g、ヘキサフルオロプロピレン87.75gおよびヘキサフルオロプロピレンオキシド220gを投入し、−35℃で反応させることで無色透明液状のパーフルオロポリエーテル化合物を得た。この化合物について、FT−IRおよび
19F−NMRによる同定を行った。FT−IRにおいて−
C(O)Fの吸収の存在を確認した。
19F−NMRにおいて以下のピークを確認した。
この化合物のFT−IRおよび
19F−NMRのスペクトルデータを以下に示す。
19F−NMR
83.3ppm s、3F、C
F3CF
2−
131.3ppm m、2F、CF
3C
F2−
83.2ppm m、2F、CF
3CF
2C
F2−
s、3F、−CF(C
F3)C(O)F
146.2ppm t、1F、−OC
F(CF
3)CF
2−
81.6ppm m、3F、−OCF(C
F3)CF
2−
m、2F、−OCF(CF
3)C
F2−
132.0ppm t、1F、−C
F(CF
3)C(O)F
FT−IR
1880cm
-1(−
C(O)F)
1100〜1340cm
-1(C−F)
【0049】
パーフルオロポリエーテル化合物をメチルエステル化してメチルエステル化パーフルオロポリエーテル化合物を合成する第2段階:
前記の第1段階で得られたパーフルオロポリエーテル化合物にメタノール5gを添加し、室温で12時間攪拌し、未反応のメタノールを真空乾燥にて除去することで、無色透明液状のメチルエステル化パーフルオロポリエーテル化合物221gを得た。ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)測定により、このメチルエステル化パーフルオロポリエーテル化合物の分子量がMW=2300であり、ヘキサフルオロプロピレンオキシドが約13量体であることが確認された(以下、「メチルエステル化パーフルオロポリエーテル化合物13量体」という)。
ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)の測定条件は以下の通りとした。
使用機器:Waters 410 Defferential Refactometer、Waters 717plus Auto Sampler、Waters 1525 Binary HPLC Pump
使用溶剤:R−113(1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン)
温度:25℃
流量:1〜5μl/min
【0050】
上記化合物について、FT−IRおよび
1H−NMRによる同定を行った。FT−IRにおいて−
C(O)Fの吸収の消失と−
C(O)OCH
3の吸収の存在を確認した。
1H−NMRにおいて−OC
H3のピークを確認した。
この化合物のFT−IRおよび
1H−NMRのスペクトルデータを以下に示す。
FT−IR
1800cm
-1(−
C(O)OCH
3)
1H−NMR(C6F6)
4.3ppm s、−OC
H3
【0051】
メチルエステル化パーフルオロポリエーテル化合物とアミノシラン化合物とを反応させてパーフルオロポリエーテル変性アミノシラン化合物を合成する第3段階:
前記の第2段階で得られたメチルエステル化パーフルオロポリエーテル化合物13量体20g(8.7ミリモル)に反応溶媒として1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン10gを加え、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学工業株式会社製商品名KBM−602)1.97g(9.57ミリモル)を添加した後、窒素雰囲気下で65〜75℃で6時間反応させ、メタノールで沈殿精製することで、微黄色透明液状のパーフルオロポリエーテル変性アミノシラン化合物21.50g得た。
この化合物について、FT−IRおよび
1H−NMRによる同定を行った。FT−IRにおいて−
C(O)OCH
3の吸収の消失と−
C(O)NH−の吸収の存在を確認した。
1H−NMRにおいて以下のピークを確認した。この化合物のFT−IRおよび
1H−NMRのスペクトルデータを以下に示す。
FT−IR
1710cm
-1(−
C(O)NH−)
1530cm
-1(−C(O)
NH−)
1H−NMR(C6F6)
0.11ppm s、3H、≡Si−C
H3
0.7ppm t、2H、−C
H2−Si≡
1.74ppm m、2H、−CH
2C
H2CH
2−
2.91ppm m、2H、−NH−C
H2−
3.16ppm m、2H、−C
H2−NH−
3.43ppm m、2H、−C(O)NH−C
H2−
3.56ppm s、6H、=Si−(OC
H3)
2
【0052】
パーフルオロポリエーテル変性アミノシラン化合物の2級アミノ基にエポキシアルコール化合物(エポキシ基とヒドロキシ基とを有する化合物)を反応させ、本発明のパーフルオロポリエーテル変性シラン化合物を合成する第4段階:
前記の第3段階で得られたパーフルオロポリエーテル変性アミノシラン化合物21.50g(8.66ミリモル)に再び反応溶媒として1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン10gを加えた後、3−グリシドール0.77g(10.43ミリモル)を添加し、窒素雰囲気下で35〜45℃で6時間反応させ、メタノールで沈殿精製することで、微黄色透明液状のパーフルオロポリエーテル変性シラン化合物22.12gを得た。
この化合物について、FT−IRおよび
1H−NMRによる同定を行った。FT−IRにおいてOHの吸収の存在を確認した。
1H−NMRにおいて以下のピークを確認した。この化合物のFT−IRと
1H−NMRのスペクトルデータを以下に示す。
FT−IR
3250〜3410cm
-1(O−H、N−H)
2780〜3000cm
-1(C−H)
1710cm
-1(−
C(O)NH−)
1530cm
-1(−CO
NH−)
1100〜1340cm
-1(C−F)
1H−NMR
0.11ppm s、3H、≡Si−C
H3
0.7ppm t、2H、−C
H2−Si≡
2.65〜3.15 m、6H、−C
H2−N(C
H2−)−C
H2−
3.43ppm m、2H、−C(O)NH−C
H2−
3.63ppm s、6H、=Si−(OC
H3)
2
3.71〜4.31 m、5H、−C
H(O
H)C
H2O
H
【0053】
以上の同定結果から、前記の第4段階で得られたパーフルオロポリエーテル変性シラン化合物が、下記化学式aで表される構造を有することが確認された。
【0054】
【化4】
【0055】
2.真空蒸着法による防汚性被膜の形成
上記1.で得たパーフルオロポリエーテル変性シラン化合物の20質量%溶液(溶媒はメチルパーフルオロブチルエーテル(東京化成工業株式会社製)を使用)0.25mLを、ステンレス製焼結フィルター(細孔径80〜100μm、直径18mm、厚さ3mm)に含浸させ、50℃で60分間加熱処理してメチルパーフルオロブチルエーテルを蒸発除去した。
その後、ポリカーボネート系プラスチックレンズまたは金属板と、上記方法でパーフルオロポリエーテル変性シラン化合物を含浸させたステンレス製焼結フィルターとを真空蒸着機(商品名:CES−1050(シンクロン社製))に装着し、真空度1.5×10
-2Pa以下で、第一ステップとして3分20秒で800℃まで加熱昇温し、さらに第二ステップとして1分40秒で850℃まで加熱昇温し、真空蒸着を行い、被膜を有する物品を得た。
光学式膜厚測定器にて、真空蒸着法にて得られた被膜の膜厚を測定したところ15nmであった。
この被膜を有する物品を用いて、下記の方法で、接触角、転落角、密着性、外観、耐久性の評価を行った。得られた結果を表1に示す。
【0056】
ポリカーボネート系プラスチックレンズ、金属板としては以下のものを使用した。
ポリカーボネート系プラスチックレンズは、レンズ基板(HOYA株式会社製ポリカーボネート製レンズ、屈折率1.589、度数−4.00)の表面上に、ハードコート膜(特開昭63−10640号公報に開示の保護膜を使用)と反射防止膜(SiO
2を蒸着材料として形成された蒸着層とZrO
2を蒸着材料として形成された蒸着層が複数積層された多層膜)をこの順に積層して作製した。上記多層膜の最外層のSiO
2蒸着層表面に、上記被膜を形成した。
金属板としては、株式会社ニラコ製のニッケル板(品番:NI−313324)を、超音波洗浄機にてアセトンで洗浄した後、25℃で1 Nの塩酸水溶液で5分間処理した。その後水洗し、超音波洗浄機にてアセトンで洗浄した。洗浄後のニッケル板表面に、上記被膜を形成した。
【0057】
評価方法
(1)接触角
接触角計DM−500(協和界面科学社製)を用いて、設置角度0°(水平)のステージ上に設置した物品の被膜表面に蒸留水(2.0μL)を滴下し、20℃の雰囲気下で接触角(°)を測定した。接触角が大きいほど撥水性が良好であり、防汚性が良好であると判断する。
(2)転落角
接触角を測定した後ステージを水平(0°)から傾けていき、水滴の転がる角度を測定した。転落角が小さいほど撥水性が良好であり、防汚性が良好であると判断する。
(3)密着性
被膜を有する物品1枚をメチルパーフルオロブチルエーテル(300ml)に浸漬し、超音波洗浄機を行いて25℃で1分間処理を行い、取り出して乾燥後に、上記(1)と同様の方法で接触角を測定した。接触角が大きいほど密着性が良好と判断する。
(4)外観
目視にて、被膜を有する物品表面の透明性を確認し、下記の基準に従い評価を行った。
○:後述する比較例3と同等の透明性であり、透明性が良好。
×:後述する比較例3より透明性が劣る。
(5)摩擦耐久性
JIS L 0849:2004に従って、摩擦試験機I形(クロックメーター)を使用し、物品の被膜表面をキムワイプ(商品名:キムワイプ ワイパーS−200(日本製紙クレシア株式会社製))にて摩擦した後に、上記(1)の方法で接触角の測定を行った。摩擦時の荷重は2kgとし、摩擦回数は600回とした。摩擦後の接触角が大きいほど耐久性が良好と判断する。
【0058】
3.ディッピング法による防汚性被膜の形成
上記1.で得たパーフルオロポリエーテル変性シラン化合物の0.1質量%溶液(溶媒は3M社製Novec7100(ハイドロフルオロエーテル)を使用)をシャーレに入れ、スライドグラスまたは金属板を25℃で30秒間浸後、90%RH90℃の雰囲気中で3時間加熱処理を行い被膜を有する物品を得た。オージェ電子分光分析装置(AES、日立協和エンジニアリング株式会社製、シリコン換算)にて、ディッピング法にて得られた被膜の膜厚を測定したところ15nmであった。
この被膜を有する物品を用いて、下記の方法で、接触角、はじき性、拭き取り性、密着性、外観、耐久性の評価を行った。得られた結果を表2に示す。
【0059】
スライドグラス、金属板としては以下のものを使用した。
スライドグラスは、商品名:マツナミスライドグラス白縁磨No.1、品番:S1111(松浪硝子工業株式会社製)を使用した。
金属板としては、ニッケル板およびアルミニウム板を使用した。ニッケル板としては、株式会社ニラコ製のニッケル板(品番:NI−313324)を、超音波洗浄機にてアセトンで洗浄した後、25℃で1Nの塩酸水溶液で5分間処理した。その後水洗し、超音波洗浄機にてアセトンで洗浄した。洗浄後のニッケル板表面に、上記被膜を形成した。
アルミニウム板としては、TP技研株式会社製のアルミニウム板(品番:A1050P)を、超音波洗浄機にてアセトンで洗浄した後、25℃で5質量%の水酸化ナトリウム水溶液で5分間処理した。その後水で洗い出し、超音波洗浄機にてアセトンで洗浄した。洗浄後のアルミニウム板表面に、上記被膜を形成した。
【0060】
評価方法
(1)接触角
(株)マツボー製の携帯式接触角計(PG−X)を用いて、物品の被膜表面に蒸留水(2.5μL)を滴下し、20℃の雰囲気下で接触角(°)を測定した。接触角が大きいほど撥水性が良好であり、防汚性が良好であると判断する。
(2)はじき性(汚れ付着防止性)
物品の被膜表面上に、油性ペン(商品名:PentelPEN ENN50 丸芯中字(ぺんてる製))で5cmの直線を引いたときの、被膜を有する物品表面でのインクのはじきの度合いを目視にて判定した。下記の基準に従い評価を行った。
○:インクをはじき滴状になり、インク汚れがほとんど付かない。
△:インクをはじくもののすべて滴状ではなく一部つながっており、
若干のインク汚れが付く。
×:インクの汚れが付く。
(3)拭き取り性
物品の被膜表面上に、油性ペン(商品名:PentelPEN ENN50 丸芯中字(ぺんてる製))で5cmの直線を引き、キムワイプ(商品名:キムワイプ ワイパーS−200(日本製紙クレシア株式会社製))にて拭き取った(荷重1kg×10往復)後のインク汚れの残存度合いを目視にて判定した。下記の基準に従い評価を行った。
○:インク汚れを全て拭き取ることができる
△:インク汚れの線の跡が若干残る
×:インク汚れの線の跡がはっきり残る
(4)密着性
被膜を有する物品1枚をメチルパーフルオロブチルエーテル(300ml)に浸漬し、超音波洗浄機を行いて25℃で1分間処理を行い、取り出して乾燥後に接触角を測定した。接触角が大きいほど密着性が良好と判断する。
(5)外観
目視にて、被膜を有する物品表面の透明性を確認し、下記の基準に従い評価を行った。
○:後述する比較例3と同等の透明性であり、透明性が良好。
×:後述する比較例3より透明性が劣る。
(6)摩擦耐久性
JIS L 0849:2004に従って、摩擦試験機I形(クロックメーター)を使用し、物品の被膜表面を綿ブロード布にて摩擦した後、上記(1)〜(3)の方法で接触角、はじき性、拭き取り性の評価を行った。摩擦時の荷重は1kgとし、摩擦回数は1000回とした。摩擦後の接触角が大きいほど耐久性が良好と判断する。
【0061】
[実施例2〜4、比較例1〜3]
実施例1で用いたパーフルオロポリエーテル変性シラン化合物(化学式a)を、表1〜4に記載の化合物(下記化学式b〜g)に変えた点以外は実施例1と同様に操作して実施例2〜4および比較例1〜3の被膜を有する物品を得た。これらの被膜を有する物品を用いて、実施例1と同様に評価を行った。得られた結果を、表1〜4に示す。
【0062】
実施例2〜4、比較例1〜3で被膜の形成に使用した化合物の合成方法を、以下に示す。
【0063】
[化学式bで表される化合物(実施例2で使用)の合成]
パーフルオロポリエーテル化合物を合成する第1段階において、ヘキサフルオロプロピレンオキシドの量を420gに増加した点以外は実施例1と同様に反応を行い、メチルエステル化パーフルオロポリエーテル化合物421gを得た。ゲル透過クロマトグラフィー測定によりこのメチルエステル化パーフルオロポリエーテル化合物の分子量がMW=4、400であり、ヘキサフルオロプロピレンオキシドが約26量体であることが確認された(メチルエステル化パーフルオロポリエーテル化合物26量体)。
メチルエステル化パーフルオロポリエーテル化合物26量体40g(9.09ミリモル)に反応溶媒として1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン20gを加え、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学工業株式会社製商品名KBM−602)2.06g(10ミリモル)を添加した後、窒素雰囲気下で65〜75℃で6時間反応させ、メタノールで沈殿精製することで、微黄色透明液状のパーフルオロポリエーテル変性アミノシラン化合物を41.48gを得た。
このパーフルオロポリエーテル変性アミノシラン化合物41.5g(9.07ミリモル)に再び反応溶媒として1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン20gを加えた後、3−グリシドールを0.81g(10.88ミリモル)添加し、窒素雰囲気下で35〜45℃で6時間反応させ、メタノールで沈殿精製することで、微黄色透明液状のパーフルオロポリエーテル変性シラン化合物42.26gを得た。
化学式aで表される化合物を同定した際と同様の方法で同定を行った結果、得られたパーフルオロポリエーテル変性シラン化合物は下記化学式bで表される構造を有することが確認された。
【0064】
【化5】
【0065】
[化学式cで表される化合物(実施例3で使用)の合成]
3−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学工業株式会社製商品名KBM−602)2.06g(10ミリモル)に変えて3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製商品名KBM−603)2.22g(10ミリモル)を使用した点以外は、上記の化学式bで表される化合物の合成と同様に操作を行い、微黄色透明液状のパーフルオロポリエーテル変性シラン化合物42.27gを得た。
化学式aで表される化合物を同定した際と同様の方法で同定を行った結果、得られたパーフルオロポリエーテル変性シラン化合物は下記化学式cで表される構造を有することが確認された。
【0066】
【化6】
【0067】
[化学式dで表される化合物(実施例4で使用)の合成]
3−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学工業株式会社製商品名KBM−602)2.06g(10ミリモル)に変えて3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業株式会社製商品名KBE−603)2.64g(10ミリモル)を使用した点以外は、上記の化学式bで表される化合物の合成と同様に操作を行い、微黄色透明液状のパーフルオロポリエーテル変性シラン化合物42.69gを得た。
化学式aで表される化合物を同定した際と同様の方法で同定を行った結果、得られたパーフルオロポリエーテル変性シラン化合物は下記化学式dで表される構造を有することが確認された。
【0068】
【化7】
【0069】
[化学式eで表される化合物(比較例1で使用)の合成]
3−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学工業株式会社製商品名KBM−602)1.97g(9.57ミリモル)に変えて3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製商品名KBM−603)2.12g(9.57ミリモル)を使用し、3−グリシドール0.77g(10.43ミリモル)に変えて3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製商品名KBM−403)2.46g(10.43ミリモル)を使用した点以外は、実施例1と同様に操作を行って、微黄色透明液状のパーフルオロポリエーテル変性シラン化合物23.58gを得た。
化学式aで表される化合物を同定した際と同様の方法で同定を行った結果、得られたパーフルオロポリエーテル変性シラン化合物は下記化学式eで表される構造を有することが確認された。
【0070】
【化8】
【0071】
[化学式fで表される化合物(比較例2で使用)の合成]
3−グリシドール0.77g(10.43ミリモル)に変えて3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業株式会社製商品名KBE−403)2.90g(10.43ミリモル)を使用した点以外は、実施例1と場合と同様に操作を行って、微黄色透明液状のパーフルオロポリエーテル変性シラン化合物23.87gを得た。
化学式aで表される化合物を同定した際と同様の方法で同定を行った結果、得られたパーフルオロポリエーテル変性シラン化合物は下記化学式fで表される構造を有することが確認された。
【0072】
【化9】
【0073】
[化学式gで表される化合物(比較例3で使用)の合成]
メチルエステル化パーフルオロポリエーテル化合物13量体20g(8.7ミリモル)に反応溶媒として1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン10gを加え、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製商品名KBM−603)2.12g(9.57ミリモル)を添加した後、窒素雰囲気下で65〜75℃で6時間反応させ、メタノールで沈殿精製することで、微黄色透明液状のパーフルオロポリエーテル変性アミノシラン化合物21.60gを得た。
化学式aで表される化合物を同定した際と同様の方法で同定を行った結果、得られたパーフルオロポリエーテル変性アミノシラン化合物は下記化学式gで表される構造を有することが確認された。
【0074】
【化10】
【0075】
【表1】
【0076】
【表2】
【0077】
【表3】
【0078】
【表4】
【0079】
以上の結果から、本発明のパーフルオロポリエーテル変性シラン化合物を含有する防汚性被膜形成用組成物は、各種基材に対して成膜方法を問わず高い防汚性および耐久性を有する防汚性被膜を形成することができ、しかも形成された防汚性被膜は基材との密着性も良好であることが示された。