【実施例】
【0136】
[実施例1]
フロースルー様式における不純物除去のための様々な材料の評価
本実験において、清澄化されたCHO供給液から不純物を除去する能力について、異なる材料が評価された。表IIに示される材料が、フロースルー様式における不純物除去のために試験された。リン酸緩衝生理食塩水(PBS、10mMリン酸、pH7.4)が平衡化バッファーおよび洗浄バッファーとして用いられた。
【0137】
【表2】
【0138】
重力フロースルー(FT)試験法を用いて、樹脂不純物除去を試験した。表IIに列挙されたそれぞれの材料の1mlをとり、5mlの使い捨てクロマトグラフィーカラム(Evergreen Scientific,LA,CA)中に充填した。カラムを5カラム容量(CV)の平衡化バッファー(PBS)で平衡化させ、20CVの供給液をロードし、5CVの洗浄バッファー(PBS)で再度洗浄した。フロースルー溶出液画分を収集した。ポリクローナルIgG(約2.6mg/ml、SeraCare)を添加した未処理の清澄化されたヌルCHO−S供給液を用いた。
【0139】
フロースルー溶出液および対応する供給液を、IgG収率、UV活性種(280nm)除去、HCP除去およびDNA除去について試験した。IgG収率を、業者の説明書に従ってPoros Protein A 2.1mm X 30mm分析カラム(LIFE TECHNOLOGIES,Palo Alto,CA)を用いて、Waters Alliance HPLC(Milford,MA)上で定量した。280nmでのUV活性種を、プロテインAクロマトグラム上のフロースルーピークとして示された非保持種のピーク面積を用いて定量した。宿主細胞タンパク質を、CHO−CM HCP ELISAキット(CYGNUS TECHNOLOGIES,Southport,NC)を用いて検出した。DNAを、Quant−iT(商標)PicoGreen(登録商標)dsDNA Reagent(LIFE TECHNOLOGIES,Foster City,CA)を用いて検出した。全てのアッセイを、製造業者のプロトコールに従って行った。その結果を
図1−4に示す。
【0140】
図1に示されるように、約5%のIgG収率損失を示すHIC樹脂以外のスクリーニングした全ての他の媒体、すなわち、活性化炭素、SPFF、ProRes(商標)−SおよびQFFは、検出可能な収率損失を示さなかった。
【0141】
さらに、
図2、3および4に示されるように、活性化炭素は280nmでのUV活性種のレベルの有意な低下をもたらした。これは、pH指示剤、HCPのいくらかの集団、DNAおよびいくらかの残留細胞培養成分を含む。ポリクローナルIgGを用いた場合、この画分は、プロテインAが結合しないIgG 3の集団も含む。活性化炭素などの、全ての材料はある程度までHCPを除去するようであったが、陽イオン交換官能基を有する2つの材料、Sepharose FastFlowおよびProRes(商標)−SはほとんどのHCPを除去した。DNA除去に関してと同様、陰イオン交換樹脂、Q FastFlowによる有意なDNA除去がわかったことは驚くべきことではなかったが、活性化炭素が同様の能力でDNAを除去することがわかったことは予想外であった。他の全ての材料はDNAをより少ない程度で除去した。
【0142】
本実施例から得られたデータは、活性化炭素、ならびに陽イオン交換、陰イオン交換および疎水性相互作用官能基を有する材料が、CHO供給液からのフロースルー様式における収率を有意に損失することなく様々な程度で不純物(HCP、DNAおよびUV活性種)を除去することができることを示している。
【0143】
[実施例2]
フロースルー不純物除去能力
代表的な実験において、単位容量あたりの異なる材料により除去される不純物の量を評価した。DNAとHCPとの吸着競合の効果を理解するために、CHO−S供給液中のDNAのレベルを、市販のニシン精子DNAの添加により増加させた。不純物除去のために評価された材料を、以下の表IIIに列挙する。
【0144】
【表3】
【0145】
表IIIに列挙された材料の各々(1ml)を、Omnifitカラム(内径0.66cm)に充填した。カラムを5CVのPBSを用いて平衡化させ、ポリクローナルIgGおよびニシン精子DNAを添加した100CVのヌル未処理清澄化CHO−S供給液をロードし、BioCad(APPLIED BIOSYSTEMS,Palo Alto,CA)上、20カラム容量のPBSで洗浄した。負荷ステップ中のフロースルー溶出液画分を、10カラム容量毎に収集した。フロースルー溶出液画分および対応する供給液を、実施例1に記載のものと同じ方法を用いて、IgG収率、UV活性種、HCPおよびDNA除去についてアッセイした。
【0146】
図5に示されるように、スクリーニングした全ての材料は、供給液の100カラム容量の負荷にわたってIgG収率の有意な損失を示さなかった。
図6に示されるように、活性化炭素は、100CVを通じて多くのUV活性種を除去した。陰イオン交換材料も、100CVを通じてある程度までUV活性種を除去した。さらに、
図7に示されるように、陰イオン交換樹脂、Q FastFlowによるHCP除去能力は、それが初期画分から漏出するため、限られていた。しかしながら、陽イオン交換材料、Q FastFlowおよびProRes(商標)−Sは、100カラム容量を通じて有意な量のHCPを除去した。この特定の実験において高いDNA濃度(すなわち、さらなる195μg/mL)を用いた場合、活性化炭素はDNAを添加していない供給液と比較して少ないHCPを除去した。例えば、DNAを添加していない元のヌルCHO−S供給液を用いる同様の実験において、活性化炭素は、100CVを通じて20%に近いHCPを除去した(データは示さない)。これは、活性化炭素への吸着に関するDNAとHCPとのある程度の競合を示していた。さらに、
図8に示されるように、全ての材料はある程度までDNAを除去した。
【0147】
本実施例から得られたデータは、活性化炭素ならびに陽イオン交換、陰イオン交換および疎水性相互作用官能基を有する材料が、CHO細胞供給液からのフロースルー様式における収率を有意に損失させることなく、100カラム容量にわたって様々な程度で不純物(HCP、DNAおよびUV活性種)を除去することができることを示している。
【0148】
[実施例3]
不純物除去に対する様々な材料の組合せの効果
別の実験において、
図9に記載のワークフローに示される材料の様々な組合せが、不純物除去について評価された。材料(1ml)を安定化させ、5mlの使い捨てクロマトグラフィーカラム中に充填した。カラムを5CVのPBSで平衡化させ、20CVの供給液をロードし、5CVのPBSで洗浄した。
【0149】
フロースルー溶出液画分を、選択された媒体の次の使い捨てカラム上にさらにロードした(
図9の左側に記載の2つのワークフローに示されている)。ワークフロー中の最後のフロースルー溶出液を分析した。供給液が媒体の混合物を通過した右側に記載のワークフローの場合、溶出液を直接分析した。供給液は、SeraCareから入手したポリクローナルIgG(約2.5mg/ml)を添加した非発現CHO−S供給液を用いて調製された。フロースルー溶出液画分および対応する供給液を、実施例1に上記されたのと同じ方法を用いて、IgG収率、UV活性種、HCPおよびDNA除去についてアッセイした。結果を
図10−12に示す。
【0150】
図10に示されるように、活性化炭素および活性化炭素を含有する混合物は、UV活性種のレベルを有意に低下させた。さらに、全ての材料がある程度までHCP除去を示したが、陽イオン樹脂と組合せた活性化炭素混合物が
図11に示されるようにHCPの最も効果的な除去を示した。また、
図12に示されるように、全ての材料がある程度までDNAを除去したが、活性化炭素と陰イオン交換樹脂との組合せがDNAの最も効率的な除去を示した。
【0151】
本実施例から得られたデータは、活性化炭素と、陽イオン交換、陰イオン交換および疎水性相互作用官能基を有する材料との組合せが、CHO供給液からフロースルー様式において任意の単一成分よりも効率的に不純物(HCP、DNAおよびUV活性種)を除去することができることを示している。
【0152】
[実施例4]
プロテインA溶出プールの不純物除去
別の実験において、標準的な重力フロースルー試験法を用いて、プロテインAプール後の不純物除去を調査した。実施例1においてスクリーニングされた材料、すなわち、活性化炭素、陽イオン交換樹脂(SP FFおよびProRes(商標)−S)、陰イオン交換樹脂、Q FFおよびHIC樹脂、Phenyl FastFlowならびにこれらの材料の様々な組合せを評価した。活性化炭素または樹脂材料(1ml)を安定化させ、Evergreenから入手した使い捨てクロマトグラフィーカラム中に充填した。それぞれのカラムを5CVのPBSで平衡化させ、20CVの供給液をロードし、5CVのPBSで洗浄した。負荷ステップ中のフロースルー溶出液画分を収集した。用いた供給液は、pHを7.0に調整した後のプロテインA(ProSep Ultra Plus)溶出プール(約3.2mg/mlのIgG)であった。プロテインAカラムのための供給液は、ポリクローナルIgGと混合した非発現CHO−Sであった。
【0153】
フロースルー溶出液画分およびプロテインA溶出プールを、IgG収率、UV活性種除去、HCP除去およびDNA除去について評価した。全てのアッセイは、HCPの場合にCHO−3G HCP ELISAキット(CYGNUS TECHNOLOGIES,Southport,NC)を用いた点以外は、実施例1に記載のように実施された。
【0154】
図13に示されるように、スクリーニングした全ての材料は、約85%以上の収率を生成した。活性化炭素、陽イオン交換樹脂、SP FastFlowが、単一の材料としてほとんどのHCPを除去した。様々な材料の混合物が、
図14に示されるように、最も高いHCP除去を提供した。
図15は、全ての材料が、部分的に供給液中の低いレベルのため、有意な量のDNAを除去するという事実を示す。全体として、材料の混合物は、一般的に、単一の材料と比較して不純物除去においてより効果的であった。
【0155】
本実施例から得られたデータは、活性化炭素ならびに陽イオン交換、陰イオン交換および疎水性相互作用官能基を有する材料、ならびにこれらの材料の混合物が、CHO供給液から生成されたプロテインA溶出プールからフロースルー様式において様々な程度で不純物(HCP、DNAおよびUV活性種)を除去することができることを示している。
【0156】
[実施例5]
MAbの精製に関する活性化炭素の性能を評価するための代表的なアフィニティに基づく(プロテインA)捕捉されたMAb供給液の調製
MAbIと呼ばれる部分精製されたモノクローナル抗体を、タンパク質を精製するための活性化炭素の性能を評価するための代表的なアフィニティ(プロテインA)捕捉モノクローナル抗体供給液として使用するためにCHO細胞系培養液を用いて産生させた。まず、細胞培養液を、Millistak
+(登録商標)PODフィルター(MILLIPORE CORPORATION,Billerica,MA,USA)として入手可能な、深層濾過媒体を用いてバイオリアクターから直接清澄化した。細胞培養液を、一連の2つのフィルター、D0HCおよびX0HCを通して10 NTU未満の最終濁度まで濾過した後、Millipore Express(登録商標)SHCカプセルフィルターを用いて滅菌濾過した。
【0157】
Millipore Corporation,Billerica,MA,USAから入手したアクリル系のQuick−Scale(登録商標)内径14cmのカラムに、約3.2Lのベッド容量までMillipore ProSep−vA High Capacity Protein A媒体を充填した。PBSを用いる流動充填と、振動との組合せを用いて、カラムを充填した。全てのクロマログラフィーステップは、Millipore K−Prime 40−Iシステム上で実施され、検出は280nmの波長でのUV吸収を用いて実施された。カラムをMAb I精製のために少なくとも5サイクルにわたって使用し、4℃でPBS中で保存した。カラムを使用する前に、カラムを、少なくとも2カラム容量(CV)の0.15Mリン酸pH 1.5−1.7を用いてフラッシュした後、pHが安定化されるまでPBSを用いて平衡化させた(少なくとも3CV)。典型的には、清澄化させた次の日、滅菌濾過された清澄化された細胞培養液を、少なくとも5分の滞留時間で(すなわち、500−600mL/minの流速で)プロテインAカラム上にロードした。1リットルの媒体あたり30gのMAb Iと定義されたカラムの最大許容量を超えないことを確保するようにカラムにロードした。
【0158】
カラムの負荷の後、カラムを、微量のUVが基線に到達するまで、典型的には、3CV以内で、同じ滞留時間でPBSを用いてフラッシュした。次いで、カラムを、pH 6の0.5M NaClを含む20mM酢酸ナトリウムを用いて、少なくとも3CVだが5CVを超えない量で洗浄した。次いで、生成物を20mMの酢酸pH 3.0への段階的変化を用いて溶出させ、溶出ピークの捕捉を手動で実施して、溶出ピークの希釈率を減少させた。溶出液を静置して室温(20−25℃)で少なくとも30分間から最大で1.5時間インキュベートした。インキュベーション後、溶出プールのpHを、pH 10以上の2M Tris塩基を用いてpH 5±0.2に滴定した。溶出プールの出発pHは、典型的には、pH 4.0近辺であり、Tris塩基溶液の5%容量未満の添加が必要であった。溶出プールの滴定の間、可視的沈殿物が観察された。沈殿物の除去を、溶出プールの滅菌濾過の前にMillipore Millistak
+(登録商標)X0HC lab scale PODを用いて沈殿物の除去を行ったが、溶出プール全体の沈殿物を清澄化するには少なくとも2個の0.027m
2のPODが必要であった。深層濾過の後、溶出液をMillipore Express Plus Stericupフィルターユニットを用いて滅菌濾過し、用いるまで4℃で保存した。
【0159】
[実施例6]
MAbの精製に関する活性化炭素の性能を評価するための代表的な非アフィニティに基づく(陽イオン交換)捕捉されたMAb供給液の調製
MAb Iと呼ばれる、部分精製されたモノクローナル抗体を、タンパク質を精製するための活性化炭素の性能を評価するための代表的な非アフィニティ(陽イオン交換)捕捉モノクローナル抗体供給液として使用するためにCHO細胞系培養液を用いて産生させた。MAb I清澄化された細胞培養液を、実施例5で考察されたように作製した。細胞培養液を一連の2つのフィルター、D0HCおよびX0HCを通して10 NTU未満の最終濁度まで濾過した後、Millipore Express(登録商標)SHCカプセルフィルターを用いて滅菌濾過した。
【0160】
Millipore Corporation,Billerica,MA,USAから入手した内径22cmのガラス製Vantage(登録商標)実験室カラムに、陽イオン交換(CEX)媒体Fractogel(登録商標)SO
3−(M)を充填した。カラムを、PBSを用いて、約1000cm/hの空塔速度でAkta(登録商標)Explorer 100(GE HEALTHCARE,Uppsala,Sweden)上で充填した。充填およびその後の全てのカラム泳動中に、カラムにわたる圧力低下を3barより下に維持した。カラムのベッド圧縮率は約15%であり、充填されたベッド容量は75mLであった。カラムの充填効率を、泳動バッファーとしてPBSを用いて、100cm/hの空塔速度で、25mM Tris、1M NaCl、3%(v/v)アセトンpH6.9の500μLのパルス注入を用いて測定した。システムの死容積を計上した後標準的な方法を用いるアセトンピークを用いて理論段相当高さ(HETP)を算出し、1.3のピーク非対称を有する0.053cmと算出され、これはカラムが十分に充填されたことを示唆している。NaClのピークは、より大きいレベルのピークテイリングを示したが、これは塩イオンと媒体との相互作用と関連する可能性があり、カラム効率の代表ではない。
【0161】
カラムの初回使用の前に、タンパク質ロードを用いずに完全なブランク泳動を実施して、ベース媒体との任意の溶液関連相互作用を減少させおよび/または排除した。負荷の前に、カラムを少なくとも5CVにわたって20mM酢酸ナトリウムpH 5を用いて平衡化させた。氷酢酸を用いてpH 5まで低下させたpHを有するMAb Iを含有する清澄化された細胞培養液をカラムにロードした。細胞培養液のpHを低下させた時、沈殿物がしばしば観察され、これを、遠心分離と、Millipore Millistak
+(登録商標)X0HC lab scale PODを用いる深層濾過との組合せを用いて除去した。
【0162】
Millipore Express Plus Stericupフィルターユニットを用いて、負荷の前に負荷溶液を滅菌濾過した。滅菌濾過されたロードを、カラムにわたる圧力低下を最小化しながら、カラム許容量(約45gのMAb I/L媒体)を最大化するために、10minの滞留時間を用いてカラム上にロードした。負荷の後、カラムを5CVにわたって平衡化バッファーを用いてフラッシュした。次いで、カラムを、5CVにわたって20mM酢酸ナトリウム、0.1M NaCl pH 5.0バッファーを用いて洗浄した。カラムからの溶出を、少なくとも5CVにわたって、20mM酢酸ナトリウム、0.25M NaCl pH 6.0への段階的変化を用いて実施した。溶出液を分画し、ピーク画分をプールし、さらなる使用のために4℃で保存した。次いで、カラムを20mM酢酸ナトリウム、1M NaCl pH 6.0を用いて洗浄して、強く結合したタンパク質を除去したが、これらの多くは宿主細胞タンパク質(HCP)であると決定された。次いで、カラムを、30分の滞留時間に相当するより遅い流速で5CVにわたって0.5N NaOHを用いて洗浄した。次いで、カラムを、5CVの平衡化バッファーで洗浄し、さらなる使用のために室温(20−25℃)で保存した。
【0163】
[実施例7]
アフィニティ捕捉されたMAb溶出液のフロースルー処理による様々な吸着剤の評価
活性化炭素がタンパク質溶液からの不純物の除去にとって、予想外に非常に効果的であることを証明するために、アフィニティ(プロテインA)捕捉モノクローナル抗体溶出液の精製のための陰イオン交換(ChromaSorb(商標))、陽イオン交換(HiTrap SP FF、HiTrap CM FF)および疎水性相互作用(HiTrap Phenyl FF、HiTrap Butyl FF)化合物などのタンパク質の精製に一般的に用いられているいくつかの異なる市販の吸着媒体と活性化炭素をフロースルー適用において比較した。
【0164】
部分精製されたMAb Iアフィニティ(プロテインA)捕捉溶出液を、実施例5に従って調製した。MAb Iの溶出液をTris塩基(2M)を用いて約pH 5からpH 7に調整し、0.22μmのMillipore Express Plus Stericupフィルターユニットを通して濾過した。この溶液は、本明細書ではMAb IプロテインA溶出液と呼ばれる。
【0165】
Nuchar HDおよびHD Nuchar活性化炭素は、本明細書で互換的に用いられ、MeadWestVaco Corporation,Richmond,VA,USAから得られた粉末状活性化炭素の等級を指す。Glass Omnifit Chromatography Column(直径10mm、長さ100mm)に、水中でスラリー化された250mgのHD Nuchar活性化炭素をロードして、1mLの充填カラム容量を得た。0.2mLのChromaSorb膜デバイスを、様々なサイズのデバイス中、Millipore Corporation,Billerica,MA,USAから入手可能な、ポリアリルアミンで改変された0.65μm定格ポリエチレン膜を用いて製造した。この膜を25mmのディスクに切断した;5枚のディスクを積み重ね、Millipore Corporationから市販されているOptiScale 25使い捨てカプセルフィルターデバイスと同じ型の外側被覆ポリプロピレンデバイス中に密封した。このデバイスは、気泡形成を防止するための換気口を含み、3.5cm
2の有効濾過面積および0.2mLの容量を有する。
【0166】
1mLの予め充填されたクロマログラフィーカラムHiTrap SP FF、HiTrap CM FF、HiTrap Phenyl FF(high sub)およびHiTrap Butyl FFを、GE Healthcare,Pittsburgh,PA,USAから購入し、使用前にバッファー溶液(Tris−HClバッファー、25mM、pH 7)を用いて平衡化させた。6つのフロースルー精製トレインを組立てた:a)活性化炭素、b)ChromaSorb、c)HiTrap SP FF、d)HiTrap CM FF、e)HiTrap Phenyl FFおよびf)HiTrap Butyl FF。続いて、96mLのMAb IプロテインA溶出液を、0.25mL/minの流速で各組立物に通過させた。精製トレインを通過させた後、溶液を宿主細胞タンパク質(HCP)、IgG濃度および残留プロテインAについて分析した。HCP分析を、Cygnus Technologies,Southport,NC,USAからの市販のELISAキット(カタログ番号F550)を、キットの製造業者のプロトコールに従って用いて実施した。IgG濃度を、Poros(登録商標)AプロテインA分析カラムを備えたAgilent HPLCシステムを用いて測定した。プロテインA分析を、Meridian Life Sciences,Saco,ME,USA、Kit C0Z51−188からの市販のELISAキットを用いて実施した。結果を表IVにまとめる。
【0167】
結果は、活性化炭素が、0.87の宿主細胞タンパク質(HCP)の対数減少値(LRV)で最も多い量の不純物を除去したことを示している。活性化炭素に関するHCP値のLRVは、0.19から0.35の範囲のHCPのLRVを有する試験した市販の媒体(陰イオン交換、陽イオン交換、疎水性相互作用)と比較して有意により高かった。アフィニティ捕捉ステップからの残留プロテインAも、活性化炭素により検出限界以下に効率的に除去された。有意な量の残留プロテインAを除去することが観察された唯一の市販の媒体は、陰イオン交換媒体(ChromaSorb(商標))であったが、これも残留プロテインAの濃度を検出限界以下に低下させた。活性化炭素により除去された不純物の量がより高いにも拘わらず、それは依然としてモノクローナル抗体生成物(MAb I)の優れた回収率(96%)を有し、これは試験した市販の媒体について観察された生成物回収率(82−100%)と類似していた。
【0168】
【表4】
【0169】
[実施例8]
活性化炭素および/または陰イオン交換媒体を用いるMABのアフィニティ捕捉溶出液の静的ソーク(static soak)処理
活性化炭素のみおよび陰イオン交換媒体と組合せた活性化炭素を、アフィニティ(プロテインA)捕捉モノクローナル抗体溶出液からの不純物の除去について試験して、不純物の除去のための予想外に非常に効果的な方法を証明した。
【0170】
部分精製されたMAb Iアフィニティ(プロテインA)捕捉溶出液を、実施例5に従って調製した。MAb Iの溶出液をTris塩基(2M)を用いて約pH 5からpH 7に調整し、0.22μmのMillipore Express Plus Stericupフィルターユニットを通して濾過した。この溶液は、本明細書ではMAb IプロテインA溶出液と呼ばれる。
【0171】
Nuchar RGCおよびRGC Nuchar活性化炭素は、本明細書で互換的に用いられ、MeadWestVaco Corporation,Richmond,VA,USAから得られた粉末状活性化炭素の等級を指す。代表的な実験において、ChromaSorb(商標)膜の直径7mmの環状部分(5μL)および/または10mgのRGC Nuchar活性化炭素を、Tris−HClバッファー、25mM、pH 7と共に1.5mLの遠心チューブに添加して、吸着剤媒体を平衡化させた。チューブを遠心分離し、上清の平衡化バッファーを除去した。続いて、1mL容量のMAb IプロテインA溶出液を、平衡化された吸着剤を含有する1.5mLの遠心チューブに添加した。吸着剤媒体および溶出液を、緩やかな撹拌下、室温で18時間相互作用させた。次いで、チューブを遠心分離にかけ、上清溶液を宿主細胞タンパク質(HCP)およびIgG濃度について分析した。
【0172】
HCP分析を、Cygnus Technologies,Southport,NC,USAからの市販のELISAキット(カタログ番号F550)を、キットの製造業者のプロトコールに従って用いて実施した。IgG濃度を、Poros(登録商標)AプロテインA分析カラムを備えたAgilent HPLCシステムを用いて測定した。1つのそのような実験の結果を表Vにまとめる。
【0173】
結果は、活性化炭素のみおよび陰イオン交換媒体と組合せた活性化炭素が、モノクローナル抗体溶液からの不純物の除去に関して予想外に効果的であったことを示している。活性化炭素および陰イオン交換媒体(ChromaSorb)の組合せは、1.43の宿主細胞タンパク質(HCP)の対数減少値(LRV)で最も多い量の不純物を除去した。個々の活性化炭素および陰イオン交換媒体は、それぞれ、1.21および0.36のHCPのLRVを有していた。活性化炭素のみおよび陰イオン交換媒体と組合せた活性化炭素は両方とも、それぞれ95%および95%のモノクローナル抗体生成物の優れた回収率を有していた。
【0174】
【表5】
【0175】
[実施例9]
活性化炭素および/または陰イオン交換媒体を用いるMAbのアフィニティ捕捉溶出液の静的ソーク処理
活性化炭素のみおよび陰イオン交換媒体と組合せた活性化炭素を、MAb Iとは異なるモノクローナル抗体(MAb IIと呼ぶ)を含有するアフィニティ(プロテインA)捕捉モノクローナル抗体溶出液からの不純物の除去について試験して、活性化炭素のみおよび陰イオン交換媒体と組合せた活性化炭素が、様々な異なるモノクローナル抗体の精製に適用することができる予想外に非常に効果的な方法を提供することを証明した。
【0176】
第2の部分精製されたMAb IIアフィニティ(プロテインA)捕捉溶出液を、実施例5に従って調製した。MAb IIの溶出液を、Tris塩基(2M)を用いて約pH 5からpH 7に調整し、0.22μmのMillipore Express Plus Stericupフィルターユニットを通して濾過した。この溶液は、本明細書ではMAb IIプロテインA溶出液と呼ばれる。
【0177】
ChromaSorb(商標)膜の直径7mmの環状部分(5μL)および/または10mgのRGC Nuchar活性化炭素を、Tris−HClバッファー、25mM、pH 7と共に1.5mLの遠心チューブに添加して、吸着剤媒体を平衡化させた。チューブを遠心分離し、上清の平衡化バッファーを除去した。続いて、1mL容量のpH調整されたMAb IIプロテインA溶出液を、平衡化された吸着剤を含有する1.5mLの遠心チューブに添加した。吸着剤媒体および溶出液を、緩やかな撹拌下、室温で18時間相互作用させた。次いで、チューブを遠心分離にかけ、上清溶液を宿主細胞タンパク質(HCP)およびIgG濃度について分析した。HCP分析を、Cygnus Technologies,Southport,NC,USAからの市販のELISAキット(カタログ番号F550)を、キットの製造業者のプロトコールに従って用いて実施した。IgG濃度を、Poros(登録商標)AプロテインA分析カラムを備えたAgilent HPLCシステムを用いて測定した。結果を表VIにまとめる。
【0178】
結果は、活性化炭素のみおよび陰イオン交換媒体と組合せた活性化炭素が、第2の型のモノクローナル抗体を含有する溶液からの不純物の除去に関して予想外に効果的であったことを示している。活性化炭素と陰イオン交換媒体(ChromaSorb(商標))との組合せは、1.78の宿主細胞タンパク質(HCP)の対数減少値(LRV)で最も多い量の不純物を除去した。個々の活性化炭素および陰イオン交換媒体は、それぞれ、1.08および0.64のHCPのLRVを有していた。活性化炭素のみおよび陰イオン交換媒体と組合せた活性化炭素は両方とも、それぞれ87%および85%のモノクローナル抗体生成物の良好な回収率を有していた。
【0179】
【表6】
【0180】
[実施例10]
活性化炭素および/または陰イオン交換媒体を用いるMAb Iの非アフィニティ捕捉溶出液の静的ソーク処理
活性化炭素のみおよび陰イオン交換媒体と組合せた活性化炭素を、非アフィニティ(陽イオン交換)捕捉モノクローナル抗体溶出液からの不純物の除去について試験して、活性化炭素のみおよび陰イオン交換媒体と組合せた活性化炭素が、不純物の除去のための予想外に非常に効果的な方法を提供することを証明した。アフィニティ(プロテインA)捕捉溶出液と比較して、非アフィニティ(陽イオン交換)捕捉溶出液は、有意により高いレベルの異なる型の不純物を含有する。非アフィニティ捕捉溶出液の精製のための活性化炭素の適用は、この方法が一般的であり、様々なタンパク質溶出液の精製に適用することができることを示している。
【0181】
別の実験において、部分精製されたMAb I CEX溶出液を実施例6に記載のように調製した。溶出液を、バッファー溶液(Tris−HClバッファー、25mM、pH 7)で4倍希釈した後、0.22μmのMillipore Express Plus Stericupフィルターユニットを通して濾過した。この溶液は、本明細書ではMAb I CEX溶出液と呼ばれる。
【0182】
ChromaSorb膜の2つの直径10mmの環状部分(19.6μL)および/または20mgのRGC Nuchar活性化炭素を、Tris−HClバッファー、25mM、pH 7と共に1.5mLの遠心チューブに添加して、吸着剤媒体を平衡化させた。チューブを遠心分離し、上清の平衡化バッファーを除去した。続いて、1mL容量のMAb I CEX溶出液を、平衡化された吸着剤を含有する1.5mLの遠心チューブに添加した。吸着剤媒体および溶出液を、緩やかな撹拌下、室温で18時間相互作用させた。次いで、チューブを遠心分離にかけ、上清溶液を宿主細胞タンパク質(HCP)およびIgG濃度について分析した。HCP分析を、Cygnus Technologies,Southport,NC,USAからの市販のELISAキット(カタログ番号F550)を、キットの製造業者のプロトコールに従って用いて実施した。IgG濃度を、Poros(登録商標)AプロテインA分析カラムを備えたAgilent HPLCシステムを用いて測定した。結果を表VIIにまとめる。
【0183】
結果は、活性化炭素のみおよび陰イオン交換媒体と組合せた活性化炭素が、非アフィニティ(陽イオン交換)クロマトグラフィーを用いて細胞培養液から捕捉されたモノクローナル抗体溶液からの不純物の除去に関して予想外に効果的であったことを示している。非アフィニティ(陽イオン交換)に基づく捕捉媒体は、より特異的なアフィニティ(プロテインA)に基づく捕捉媒体よりも、モノクローナル抗体と共により多くの不純物に結合する。従って、非アフィニティ捕捉溶出液は、有意により高いレベルの異なる型の不純物を含有する。活性化炭素と陰イオン交換膜(ChromaSorb(商標))との組合せは、1.45の宿主細胞タンパク質(HCP)の対数減少値(LRV)で最も多い量の不純物を除去した。個々の活性化炭素および陰イオン交換媒体は、それぞれ、1.20および0.55のHCPのLRVを有していた。活性化炭素のみおよび陰イオン交換媒体と組合せた活性化炭素は両方とも、それぞれ95%および74%のモノクローナル抗体生成物の良好な回収率を有していた。
【0184】
【表7】
【0185】
[実施例11]
様々なpH値での活性化炭素を用いるMAb Iのアフィニティ捕捉溶出液の静的ソーク処理
活性化炭素を、様々な溶液pHのアフィニティ(プロテインA)捕捉モノクローナル抗体溶出液からの不純物の除去について試験して、活性化炭素が様々な溶液条件にわたって効果的であることを証明した。
【0186】
別の実験において、部分精製されたMAb Iアフィニティ(プロテインA)捕捉溶出液を、実施例5に従って調製した。MAb Iの溶出液を、Tris塩基(2M)を用いて約pH 5からpH 7に調整し、0.22μmのMillipore Express Plus Stericupフィルターユニットを通して濾過した。この溶液は、本明細書ではMAb IプロテインA溶出液と呼ばれる。
【0187】
MAb IプロテインA溶出液(20mL)のpHを、Tris塩基(2M)または酢酸(3M)の添加により5、6、7または8に調整した。続いて、得られたpH調整されたMAb IプロテインA溶出液を、Millipore Express(登録商標)0.22μm膜を用いて滅菌濾過して、任意の混濁物を除去した。次いで、RGC Nuchar活性化炭素(10mg)を、Tris−HClバッファー、25mM、pH 7と共に1.5mLの遠心チューブに添加して、活性化炭素を平衡化させた。チューブを遠心分離し、上清の平衡化バッファーを除去した。続いて、1mLのpH調整されたMAb IプロテインA溶出液をチューブに添加した。吸着剤媒体および溶出液を、緩やかな撹拌下、室温で18時間相互作用させた。次いで、チューブを遠心分離にかけ、0.5mLの上清を除去し、宿主細胞タンパク質(HCP)およびIgG濃度について分析した。HCP分析を、Cygnus Technologies,Southport,NC,USAからの市販のELISAキット(カタログ番号F550)を、キットの製造業者のプロトコールに従って用いて実施した。IgG濃度を、Poros(登録商標)AプロテインA分析カラムを備えたAgilent HPLCシステムを用いて測定した。結果を表VIIIにまとめる。
【0188】
結果は、活性化炭素が、幅広いpH範囲にわたってモノクローナル抗体溶液からの不純物の除去に関して予想外に効果的であったことを示している。宿主細胞タンパク質(HCP)の対数減少値(LRV)は、HCPの1.27から1.30の範囲のLRVであり、pH 6、pH 7およびpH 8について非常に類似していた。活性化炭素はpH 5でも依然として選択的不純物除去を提供したが、HCPのLRVは0.70に低下した。活性化炭素は、試験した全てのpH条件について、90%から95%の範囲のモノクローナル抗体生成物の優れた回収率を有していた。
【0189】
【表8】
【0190】
[実施例12]
活性化炭素および/または陰イオン交換媒体を用いるMAb Iのアフィニティ捕捉溶出液のフロースルー処理
活性化炭素のみおよび陰イオン交換媒体と組合せた活性化炭素を、アフィニティ(プロテインA)捕捉モノクローナル抗体溶出液からの不純物の除去についてフロースルー適用において試験して、活性化炭素のみおよび陰イオン交換媒体と組合せた活性化炭素が、タンパク質の大規模精製に一般的に用いられるフロースルー条件下での不純物の除去のための予想外に非常に効果的な方法を提供することを証明した。
【0191】
部分精製されたMAb Iアフィニティ(プロテインA)捕捉溶出液を、実施例5に従って調製した。MAb Iの溶出液を、Tris塩基(2M)を用いて約pH 5からpH 7に調整し、0.22μmのMillipore Express Plus Stericupフィルターユニットを通して濾過した。この溶液は、本明細書ではMAb IプロテインA溶出液と呼ばれる。
【0192】
Glass Omnifit Chromatography Column(直径10mm、長さ100mm)に、水中でスラリー化された250mgのHD Nuchar活性化炭素をロードして、1mLの充填カラム容量を得た。カラムをバッファー溶液(Tris−HClバッファー、25mM、pH 7)を用いて平衡化させた。実施例7に上記されたように組立てられた0.2mLのChromaSorbデバイスも、バッファー溶液(Tris−HClバッファー、25mM、pH 7)を用いて平衡化させた。続いて、3つの精製トレインを組立てた。1番目はChromaSorbデバイスからなり、2番目は活性化炭素カラムからなり、3番目は活性化炭素カラム、次いで、ChromaSorbデバイスからなる。100mLのMAb IプロテインA溶出液を、0.25mL/minの流速で各組立物に通過させた。10個の10mLの溶出液画分を収集した。10個全ての画分ならびに選択された個々の画分のプールされた試料を、宿主細胞タンパク質(HCP)およびIgG濃度について分析した。HCP分析を、Cygnus Technologies,Southport,NC,USAからの市販のELISAキット(カタログ番号F550)を、キットの製造業者のプロトコールに従って用いて実施した。IgG濃度を、Poros(登録商標)AプロテインA分析カラムを備えたAgilent HPLCシステムを用いて測定した。結果を表IXにまとめる。
【0193】
図16に示され、表IXにまとめられた通り、結果は、活性化炭素のみおよび陰イオン交換媒体と組合せた活性化炭素を用いるアフィニティ捕捉溶出液のフロースルー処理が、モノクローナル抗体溶液からの不純物の除去に関して予想外に効果的であったことを示している。活性化炭素と陰イオン交換膜(ChromaSorb)との組合せは、1.95の宿主細胞タンパク質(HCP)の対数減少値(LRV)で最も多い量の不純物を除去した。個々の活性化炭素および陰イオン交換媒体は、それぞれ0.96および0.23のHCPのLRVを有していた。活性化炭素のみおよび陰イオン交換媒体と組合せた活性化炭素は両方とも、それぞれ96%および98%の範囲のモノクローナル抗体生成物の優れた回収率を有していた。
【0194】
【表9】
【0195】
[実施例13]
様々な陰イオン交換媒体のみを用いるまたは活性化炭素を用いる処理後のMAb Iのアフィニティ捕捉溶出液のフロースルー処理
活性化炭素を、単独でおよび様々な市販の陰イオン交換媒体と組合せて、アフィニティ(プロテインA)捕捉モノクローナル抗体溶出液からの不純物の除去に関して試験して、活性化炭素を様々な陰イオン交換媒体と組合せることができることを証明した。試験した市販の陰イオン交換媒体は、第一級アミン(ChromaSorb)および第四級アミン(Sartobind Q、Mustang Q、HiTrap Q FF)を含んでいた。膜(ChromaSorb、Sartobind Q、Mustang Q)および樹脂(HiTrap Q FF)上に支持された市販の陰イオン交換化合物を試験した。
【0196】
部分精製されたMAb Iアフィニティ(プロテインA)捕捉溶出液を、実施例5に従って調製した。MAb Iの溶出液を、Tris塩基(2M)を用いて約pH 5からpH 7に調整し、0.22μmのMillipore Express Plus Stericupフィルターユニットを通して濾過した。この溶液は、本明細書ではMAb IプロテインA溶出液と呼ばれる。
【0197】
Glass Omnifit Chromatography Column(直径10mm、長さ100mm)に、水中でスラリー化された250mgのHD Nuchar活性化炭素をロードして、1mLの充填カラム容量を得た。カラムをバッファー溶液(Tris−HClバッファー、25mM、pH 7)を用いて平衡化させた。3層の0.26mLのSartobind Q膜デバイスを、市販のSartobind Q膜ディスク(SIGMA−ALDRICH,St.Louis,MO,USA)(0.26mL、3シート)およびデバイス筐体ならびに実施例7に上記されたように組立てられた0.2mLのChromaSorbデバイスを作成するのに用いられたプロセスを用いて製造した。Mustang Q膜を用いた0.18mLのAcrodisc(登録商標)Unitsを、Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA,USAから購入した。これらのデバイスを、1mLのHiTrap Q FF予備充填カラム(GE Healthcare,Pittsburgn,PA,USA)および0.2mLのChromaSorbデバイスと共に、バッファー溶液(Tris−HClバッファー、25mM、pH 7)を用いて平衡化させた。
【0198】
9つのフロースルー精製トレインを組立てた:a)活性化炭素、b)ChromaSorb、c)活性化炭素、次いで、ChromaSorb、d)Sartobind Q、e)活性化炭素、次いで、Sartobind Q、f)Mustang Q、g)活性化炭素、次いで、Mustang Q、h)HiTrap Q FF、i)活性化炭素、次いで、HiTrap Q FF。続いて、96mLのMAb IプロテインA溶出液を、0.25mL/minの流速で各組立物に通過させた。精製トレインを通過させた後、溶液を宿主細胞タンパク質(HCP)およびIgG濃度について分析した。HCP分析を、Cygnus Technologies,Southport,NC,USAからの市販のELISAキット(カタログ番号F550)を、キットの製造業者のプロトコールに従って用いて実施した。IgG濃度を、Poros(登録商標)AプロテインA分析カラムを備えたAgilent HPLCシステムを用いて測定した。結果を表Xにまとめる。
【0199】
結果は、活性化炭素と様々な陰イオン交換媒体との組合せを用いるアフィニティ(プロテインA)捕捉モノクローナル抗体溶出液のフロースルー処理が、不純物の除去に関して予想外に効果的であったことを示している。宿主細胞タンパク質(HCP)の対数減少値(LRV)は、活性化炭素のみについて0.91であった。様々な市販の陰イオン交換媒体のみが、0.17から0.23の範囲の非常に類似したHCPのLRVを有していた。活性化炭素、次いで、様々な市販の陰イオン交換媒体の組合せは、1.70から1.90の範囲の非常により高いHCPのLRVを有していた。活性化炭素、次いで、様々な陰イオン交換媒体の組合せは、96%から97%の範囲のモノクローナル抗体生成物の優れた回収率を有していた。このデータは、活性化炭素が、第一級アミン(ChromaSorb(商標))および第四級アミン(Sartobind Q、Mustang Q、HiTrap Q FF)などの様々な市販の陰イオン交換媒体と共に抗体の精製に関して予想外に効果的であることを示している。活性化炭素の組合せは、膜(ChromaSorb、Sartobind Q、Mustang Q)および樹脂(HiTrap Q FF)上に支持された市販の陰イオン交換化合物と共に高度に効果的であった。
【0200】
【表10】
【0201】
[実施例14]
活性化炭素、次いで、陰イオン交換媒体を用いるまたは陰イオン交換媒体、次いで、活性化炭素を用いるMAb Iのアフィニティ捕捉溶出液のフロースルー処理
アフィニティ(プロテインA)捕捉モノクローナル抗体溶出液からの不純物のフロースルー除去に関して活性化炭素および陰イオン交換媒体の順序を試験して、2つの吸着剤の順序がその有効性に予想外に影響することを証明した。この実験は、陰イオン交換媒体の前の活性化炭素の配置が、タンパク質溶液から不純物を除去する吸着剤の組合せの能力を最大化するのに重要であることを例示するものである。
【0202】
部分精製されたMAb Iアフィニティ(プロテインA)捕捉溶出液を、実施例5に従って調製した。MAb Iの溶出液を、Tris塩基(2M)を用いて約pH 5からpH 7に調整し、0.22μmのMillipore Express Plus Stericupフィルターユニットを通して濾過した。この溶液は、本明細書ではMAb IプロテインA溶出液と呼ばれる。
【0203】
Glass Omnifit Chromatography Column(直径10mm、長さ100mm)に、水中でスラリー化された250mgのHD Nuchar活性化炭素をロードして、1mLの充填カラム容量を得た。カラムをバッファー溶液(Tris−HClバッファー、25mM、pH 7)を用いて平衡化させた。実施例7に上記されたように組立てられた0.2mLのChromaSorb膜デバイスも、バッファー溶液(Tris−HClバッファー、25mM、pH 7)を用いて平衡化させた。2つのフロースルートレインを組立てた。1番目は活性化炭素カラム、次いで、ChromaSorb膜デバイスを有していたが、2番目はChromaSorb膜デバイス、次いで、活性化炭素カラムの逆の順序を有していた。96mLのMAb IプロテインA溶出液を、0.25mL/minの流速で各組立物に通過させた。精製トレインを通過させた後、溶液を宿主細胞タンパク質(HCP)およびIgG濃度について分析した。HCP分析を、Cygnus Technologies,Southport,NC,USAからの市販のELISAキット(カタログ番号F550)を、キットの製造業者のプロトコールに従って用いて実施した。IgG濃度を、Poros(登録商標)AプロテインA分析カラムを備えたAgilent HPLCシステムを用いて測定した。結果を表XIにまとめる。
【0204】
結果は、活性化炭素および陰イオン交換媒体(ChromaSorb)の順序が、アフィニティ(プロテインA)捕捉溶出液のフロースルー精製の有効性にとって重要であるという予想外の結果を示している。活性化炭素を陰イオン交換媒体の前に置いた場合、宿主細胞タンパク質(HCP)の対数減少値(LRV)は1.87であった。陰イオン交換媒体を活性化炭素の前に置いた場合、HCPのLRVは1.38に減少した。活性化炭素および陰イオン交換媒体の順序は、抗体の回収率に対する影響を有さなかったが、それは吸着剤の両方の順序について97%であった。それらの結果は、陰イオン交換媒体の前に活性化炭素を置くことは、タンパク質溶液から不純物を除去する2つの吸着剤の組合せの有効性を最大化するのに重要であるという重要な理解を示している。
【0205】
【表11】
【0206】
[実施例15]
活性化炭素を用いるMAb Iの非アフィニティ捕捉溶出液のフロースルー処理
活性化炭素を、非アフィニティ(陽イオン交換)捕捉モノクローナル抗体溶出液からの不純物の除去に関してフロースルー適用において試験して、活性化炭素が、不純物の除去のための予想外に非常に効果的な方法を提供することを証明した。アフィニティ(プロテインA)捕捉溶出液と比較して、非アフィニティ(陽イオン交換)捕捉溶出液は、有意により高いレベルの異なる型の不純物を含有する。非アフィニティ捕捉溶出液の精製のための活性化炭素の適用は、この方法が一般的であり、様々なタンパク質溶液の精製に適用することができることを示している。
【0207】
部分精製されたMAb I CEX溶出液を、実施例6に記載のように調製した。溶出液を、バッファー溶液(Tris−HClバッファー、25mM、pH 7)を用いて4倍希釈した。MAb Iの希釈された溶出液を、Tris塩基(2M)を用いて約pH 6からpH 7に調整し、0.22μmのMillipore Express Plus Stericupフィルターユニットを通して濾過した。この溶液は本明細書ではMAb I CEX溶出液と呼ばれる。
【0208】
Glass Omnifit Chromatography Column(直径10mm、長さ100mm)に、水中でスラリー化された250mgのHD Nuchar活性化炭素をロードして、1mLの充填カラム容量を得た。カラムをバッファー溶液(Tris−HClバッファー、25mM、pH 7)を用いて平衡化させた。
【0209】
次いで、70mLのMAb I CEX溶出液を、0.25mL/minの流速で活性化炭素のカラムに通過させた。7個の10mLの溶出液画分を収集した。全部で7個の画分ならびに選択された個々の画分のプールされた試料を、宿主細胞タンパク質(HCP)およびIgG濃度について分析した。HCP分析を、Cygnus Technologies,Southport,NC,USAからの市販のELISAキット(カタログ番号F550)を、キットの製造業者のプロトコールに従って用いて実施した。IgG濃度を、Poros(登録商標)AプロテインA分析カラムを備えたAgilent HPLCシステムを用いて測定した。結果を表XIにまとめる。
【0210】
図16に示され、以下の表XIIにまとめられる通り、結果は、活性化炭素を用いるフロースルー精製は、非アフィニティ(陽イオン交換)捕捉モノクローナル抗体溶出液からの不純物の除去に関して予想外に効果的であったことを示している。非アフィニティ(陽イオン交換)に基づく捕捉媒体は、より特異的なアフィニティ(プロテインA)に基づく捕捉媒体よりもモノクローナル抗体と共により多くの不純物に結合する。従って、非アフィニティ捕捉溶出液は、有意により高いレベルの異なる型の不純物を含有する。活性化炭素は、0.76の宿主細胞タンパク質(HCP)の対数減少値(LRV)を提供し、モノクローナル抗体生成物の89%の回収率を有していた。これらの結果は、活性化炭素を用いて様々なタンパク質溶液から不純物を除去することができることを示唆している。
【0211】
【表12】
【0212】
[実施例16]
活性化炭素充填カラムおよび活性化炭素−セルロースデバイスを用いるMAb Iのアフィニティ捕捉溶出液のフロースルー精製
カラム中に充填されたまたはセルロースシート中に混合された活性化炭素を、アフィニティ(プロテインA)捕捉モノクローナル抗体溶出液からの不純物の除去についてフロースルー適用において試験して、活性化炭素が様々な形式における不純物の除去のための予想外に非常に効果的な方法を提供することを証明した。
【0213】
部分精製されたMAb Iアフィニティ(プロテインA)捕捉溶出液を、実施例5に従って調製した。MAb Iの溶出液を、Tris塩基(2M)を用いて約pH 5からpH 7に調整し、0.22μmのMillipore Express Plus Stericupフィルターユニットを通して濾過した。この溶液は、本明細書ではMAb IプロテインA溶出液と呼ばれる。
【0214】
Glass Omnifit Chromatography Column(直径15mm、長さ100mm)に、水中でスラリー化された600mgのHD Nuchar活性化炭素をロードして、2.4mLの充填カラム容量を得た。Millipore Corporation,Billerica,MAからMillistak+Pod CRデバイスで市販されている、活性化炭素を含浸させたセルロースシート媒体を、入力および出力のためのLuerコネクターを装備した、外側被覆されたポリプロピレンシリンジデバイス、内部濾過面積25mm、4.6mLベッド容量に入れた。
【0215】
カラムおよび活性化炭素−セルロースデバイスを、バッファー溶液(Tris−HClバッファー、25mM、pH 7)を用いて平衡化させた。2つのフロースルートレインを組立てた。1番目は活性化炭素カラムを有していたが、2番目は活性化炭素−セルロースデバイスを有していた。続いて、315mLのMAb IプロテインA溶出液を、0.75mL/minの流速で、各組立物に通過させた。精製トレインを通過させた後、溶液を宿主細胞タンパク質(HCP)およびIgG濃度について分析した。HCP分析を、Cygnus Technologies,Southport,NC,USAからの市販のELISAキット(カタログ番号F550)を、キットの製造業者のプロトコールに従って用いて実施した。IgG濃度を、Poros(登録商標)AプロテインA分析カラムを備えたAgilent HPLCシステムを用いて測定した。結果を表XIIIにまとめる。
【0216】
結果は、活性化炭素を用いるフロースルー精製が、カラム中に充填されたまたはセルロースシート中に混合した場合、アフィニティ(プロテインA)捕捉モノクローナル抗体溶出液からの不純物の除去に関して予想外に効果的であったことを示している。カラム中に充填されたまたはセルロースシート中に混合した活性化炭素は両方とも、それぞれ0.95および0.97の宿主細胞タンパク質(HCP)の非常に類似した対数減少値(LRV)を与えた。それらはまた、カラムについては91%およびセルロースシートについては87%のモノクローナル抗体生成物の非常に類似した回収率を有していた。これらの結果は、活性化炭素を、セルロースシート中に混合した場合、タンパク質溶液からの不純物の除去のために効果的に用いることができることを示唆している。
【0217】
【表13】
【0218】
[実施例17]
2つの他の型の活性化炭素を用いるMAb Iのアフィニティ捕捉溶出液のフロースルー精製
2つの他の型の市販の活性化炭素を、アフィニティ(プロテインA)捕捉モノクローナル抗体溶出液からの不純物の除去についてフロースルー適用において試験して、様々な活性化炭素をタンパク質溶液からの不純物の除去のために用いることができるという予想外の結果を証明した。
【0219】
部分精製されたMAb Iアフィニティ(プロテインA)捕捉溶出液を、実施例5に従って調製した。MAb Iの溶出液を、Tris塩基(2M)を用いて約pH 5からpH 7に調整し、0.22μmのMillipore Express Plus Stericupフィルターユニットを通して濾過した。この溶液は、本明細書ではMAb IプロテインA溶出液と呼ばれる。
【0220】
Glass Omnifit Chromatography Column(直径5mm、長さ100mm)に、水中でスラリー化された125mgのChemviron Pulsorb PGC活性化炭素(Chemviron Carbon,Feluy,Belgium)またはNorit A Supra USP活性化炭素(Norit Americas Inc.,Marshall,Texas,USA)をロードして、0.24mLの充填カラム容量を得た。カラムをバッファー溶液(Tris−HClバッファー、25mM、pH 7)を用いて平衡化させた。2つのフロースルートレインを組立てた。1番目はChemviron Pulsorb PGC活性化炭素カラムを有したが、2番目はNorit A Supra USP活性化炭素カラムを有していた。96mLのMAb IプロテインA溶出液を、0.25mL/minの流速で各組立物に通過させた。精製トレインを通過させた後、溶液を、宿主細胞タンパク質(HCP)およびIgG濃度について分析した。HCP分析を、Cygnus Technologies,Southport,NC,USAからの市販のELISAキット(カタログ番号F550)を、キットの製造業者のプロトコールに従って用いて実施した。IgG濃度を、Poros(登録商標)AプロテインA分析カラムを備えたAgilent HPLCシステムを用いて測定した。結果を表XIVにまとめる。
【0221】
結果は、2つの他の型の活性化炭素を用いるフロースルー精製が、アフィニティ(プロテインA)捕捉モノクローナル抗体溶出液からの不純物の除去に関して予想外に効果的であったことを示している。Chemviron Pulsorb PSGおよびNorit A Supra USPは両方とも、それぞれ0.40および0.48の宿主細胞タンパク質(HCP)の対数減少値(LRV)で不純物を除去した。それらはまた、Chemviron Pulsorb PSGについては100%およびNorit A Supra USPについては100%のモノクローナル抗体生成物の優れた回収率を有していた。これらの結果は、いくつかの異なる型の活性化炭素を、タンパク質溶液からの不純物の除去に用いることができることを示唆している。
【0222】
【表14】
【0223】
[実施例18]
様々なバッファー塩の存在下でのMAb Iのアフィニティ捕捉溶出液のフロースルー精製
活性化炭素を、様々な塩を添加したアフィニティ(プロテインA)捕捉モノクローナル抗体溶出液からの不純物の除去についてフロースルー適用において試験して、活性化炭素が多くの様々な塩の存在下での不純物の除去のための予想外に非常に効果的な方法を提供することを証明した。この調査は、この方法が一般的であり、様々なバッファー塩中でのタンパク質の精製に適用することができることを例示するものである。
【0224】
部分精製されたMAb Iアフィニティ(プロテインA)捕捉溶出液を、実施例5に従って調製した。MAb Iの溶出液を、Tris塩基(2M)を用いて約pH 5からpH 7に調整し、0.22μmのMillipore Express Plus Stericupフィルターユニットを通して濾過した。この溶液は、本明細書ではMAb IプロテインA溶出液と呼ばれる。
【0225】
MAb IプロテインA溶出液50mLに、300mMの様々な塩(ここで、塩は硫酸アンモニウム、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩無水物(EDTA)、2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、塩化ナトリウム、クエン酸三ナトリウム無水物、リン酸ナトリウム七水和物、およびTrizma(登録商標)Pre−set結晶、pH 7.0(Tris−HCl)である)を含有する10mLの水性溶液を添加した。
【0226】
10mLの水で希釈した溶液を対照として用いた。塩と混合したプロテインA溶出液のpHを、2M Tris塩基または3M酢酸を用いて7に調整し戻した。この溶液は、本明細書では塩と混合したMAb IプロテインA溶出液と呼ばれる。
【0227】
Glass Omnifit Chromatography Column(直径5mm、長さ100mm)に、水中でスラリー化された125mgのHD Nuchar活性化炭素をロードして、0.5mLの充填カラム容量を得た。カラムをバッファー溶液(Tris−HClバッファー、25mM、pH 7)を用いて平衡化させた。次いで、40mLの塩と混合したMAb IプロテインA溶出液を、0.125mL/minの流速で活性化炭素のカラムに通過させた。カラムを通過させた後、溶液を宿主細胞タンパク質(HCP)およびIgG濃度について分析した。HCP分析を、Cygnus Technologies,Southport,NC,USAからの市販のELISAキット(カタログ番号F550)を、キットの製造業者のプロトコールに従って用いて実施した。IgG濃度を、Poros(登録商標)AプロテインA分析カラムを備えたAgilent HPLCシステムを用いて測定した。結果を表XVにまとめる。
【0228】
結果は、活性化炭素を用いるアフィニティ(プロテインA)捕捉モノクローナル抗体のフロースルー精製が、様々な塩添加物の存在下での不純物の除去に関して予想外に効果的であったことを示している。活性化炭素は、全ての添加した塩の存在下で、0.63から1.00の範囲の宿主細胞タンパク質(HCP)の対数減少値(LRV)で不純物を除去した。それらはまた、92%から96%の範囲のモノクローナル抗体生成物の優れた回収率を有していた。これらの結果は、活性化炭素を、様々な塩のバッファー中におけるタンパク質溶液からの不純物の除去に用いることができることを示唆している。
【0229】
【表15】
【0230】
[実施例19]
pH 5およびpH 7でのプロテインA溶出液のフロースルー精製
活性化炭素を、2つの異なるpH条件でのアフィニティ(プロテインA)捕捉モノクローナル抗体溶出液からの不純物の除去についてフロースルー適用において試験して、活性化炭素が異なる溶液pH条件での不純物のフロースルー除去のための予想外に非常に効果的な方法を提供することを証明した。この調査は、この方法が一般的であり、異なるpH条件下でのタンパク質の精製に適用することができることを例示するものである。
【0231】
部分精製されたMAb Iアフィニティ(プロテインA)捕捉溶出液を、実施例5に従って調製した。この溶液は、本明細書ではpH 5のMAb IプロテインA溶出液と呼ばれる。
【0232】
実施例5に従って調製されたMAb Iの溶出液の一部を、Tris塩基(2M)を用いて約pH 5からpH 7に調整し、0.22μmのMillipore Express Plus Stericupフィルターユニットを通して濾過した。この溶液は、本明細書ではpH 7のMAb IプロテインA溶出液と呼ばれる。
【0233】
Glass Omnifit Chromatography Column(直径15mm、長さ100mm)に、水中でスラリー化された1.25gのHD Nuchar活性化炭素をロードして、5mLの充填カラム容量を得た。カラムをバッファー溶液(Tris−HClバッファー、25mM、pH 7)を用いて平衡化させた。次いで、500mLのpH 5のMAb IプロテインA溶出液またはpH 7のMAb IプロテインA溶出液を、1.25mL/minの流速で活性化カラムに通過させた。精製トレインを通過させた後、溶液を宿主細胞タンパク質(HCP)およびIgG濃度について分析した。HCP分析を、Cygnus Technologies,Southport,NC,USAからの市販のELISAキット(カタログ番号F550)を、キットの製造業者のプロトコールに従って用いて実施した。IgG濃度を、Poros(登録商標)AプロテインA分析カラムを備えたAgilent HPLCシステムを用いて測定した。結果を表XVIにまとめる。
【0234】
結果は、活性化炭素を用いるアフィニティ(プロテインA)捕捉モノクローナル抗体溶出液のフロースルー精製が、pH 5およびpH 7の両方において不純物の除去に関して予想外に効果的であったことを示している。活性化炭素は、pH 5では0.85およびpH 7では1.15の宿主細胞タンパク質(HCP)の対数減少値(LRV)で不純物を除去した。活性化炭素はまた、pH 5では97%およびpH 7では101%のモノクローナル抗体の優れた回収率を有していた。これらの結果は、活性化炭素を、様々なpH条件でのタンパク質溶液の不純物の除去に用いることができることを示唆している。
【0235】
【表16】
【0236】
[実施例20]
連続クロマトグラフィーを用いて調製されたプロテインA溶出液のフロースルー精製
この代表的な実験は、活性化炭素および陰イオン交換クロマトグラフィーデバイスを用いて、連続多カラムクロマトグラフィー(CMC)を用いて得られたプロテインA溶出液を精製することができることを証明する。
【0237】
本実施例において、モノクローナル抗体(MAb II)は、参照により本明細書に組み込まれる同時係属出願欧州特許出願第EP12002828.7号に記載のようなProsep(登録商標)Ultra Plus Protein A樹脂を用いる3つのカラムの連続多カラムクロマトグラフィー(CMC)法を用いて精製される。実施例12に記載のように、プロテインA溶出液をプールし、活性化炭素デバイス、次いで、陰イオン交換クロマトグラフィーデバイス(すなわち、ChromaSorb(商標))に通して処理する。
【0238】
図18に示されるように、活性化炭素および陰イオン交換クロマトグラフィーデバイスの組合せを用いた場合、10ppm以下のHCP濃度の減少により測定されるように、モノクローナル抗体の精製の成功が得られる。
【0239】
[実施例21]
いくつかのフロースルー不純物除去ステップの接続
この代表的な実験において、生成物の純度および収率目標を満たしながら、単一の単位操作またはプロセスステップとして運転するフロースルー様式でのいくつかの不純物除去ステップを接続する実現可能性が証明される。
【0240】
本実施例において、個々のデバイス、すなわち、活性化炭素デバイス、陰イオン交換クロマトグラフィーデバイス(すなわち、ChromaSorb(商標))、陽イオン交換クロマトグラフィーデバイスおよびウイルス濾過デバイス(すなわち、Viresolve(登録商標)Pro)を接続して、フロースルー様式で運転する。さらに、インラインスタティックミキサーおよび/またはサージタンクを、陰イオン交換クロマトグラフィーと陽イオン交換クロマトグラフィーデバイスとの間に配置して、pH変化を達成する。最後に、精製される試料が濁っている場合、任意選択の深層フィルターを活性化炭素デバイスの上流に配置する。
【0241】
図19は、以下に記載のデバイスを含む、フロースルー精製プロセスステップを実施するための実験組立物の略図を示す。
【0242】
さらに、必要なポンプ、バルブ、センサーなどもそのような組立物中に含有させてもよい。
【0243】
全てのデバイスを異なる位置で個別に湿らせた後、組立てる。デバイスは製造業者のプロトコールに従って湿らせ、予備処理する。簡単に述べると、深層フィルター(A1HC等級)を、100L/m
2の水、次いで、5倍量の平衡化バッファー1(EB1;1M Tris塩基、pH 11でpH 7.5に調整されたプロテインA溶出バッファー)を用いてフラッシュする。2.5mLの活性化炭素を、実施例12に記載の2.5cmのOmnifitカラムに充填して、0.55kg/Lの抗体負荷を作製する。このカラムを10CVの水でフラッシュした後、pHがpH 7.5に安定化されるまでEB1を用いて平衡化させる。2つのChromaSorbデバイス(0.2および0.12mL)を直列に接続して、4.3kg/Lの負荷を得る。デバイスを、少なくとも10minにわたって12.5CV/minの水、次いで5DV(デバイス容量)のEB1で湿らせる。12個のエレメントを有する使い捨てらせん形スタティックミキサー(Koflo Corporation,Cary,IL)を用いて、インラインpH調整を実施する。凝集物除去のための2つの1.2mL陽イオン交換フロースルーデバイスを平行に接続して、凝集物を除去する。CEXデバイス上のMAb負荷は、約570mg/mLである。これらのデバイスを10DVの水、次いで、5DVの平衡化バッファー2(EB2;1M酢酸を用いてpH 5.0に調整されたEB1)を用いて湿らせる。デバイスを5DV(デバイス容量)のEB2+1M NaClでさらに処理した後、5DVのEB2を用いて平衡化させる。3.1cm
2のVireSolve(登録商標)Proデバイスを、30psiで少なくとも10minにわたって加圧した水を用いて湿らせる。次いで、流速が連続で3分間一定のままになるまで、流速を毎分モニターする。全てのデバイスを湿らせ、平衡化させた後、それらを
図19に示されるように接続する。全ての圧力読み取り値およびpH読み取り値が安定化されるまで、EB1をシステム全体に通過させる。平衡化の後、供給液をフロースルートレインに通過させる。泳動の間、サージタンクの前およびViresolve(登録商標)Proの後で試料を収集して、IgG濃度および不純物レベル(HCP、DNA、浸出したPrAおよび凝集物)をモニターする。供給液を処理した後、システムを3死容量のEB1でフラッシュして、デバイスおよび配管中のタンパク質を回収する。
【0244】
接続されたフロースループロセスのための供給液は、バッチ式プロテインAプロセスにおいて製造されたMAb IIのプロテインA溶出液である。このMAb中の凝集物の天然レベルは1%を超えず、従って、凝集物のレベルを増加させるための特殊な手順を開発した。溶液のpHを、緩やかに撹拌しながら、水性NaOHで11に上昇させ、1時間保持する。次いで、このpHを、緩やかに撹拌しながら、水性HClを用いてpH 5にゆっくりと低下させる。pHサイクルをさらに4回繰り返す。凝集物の最終レベルは約5%であり、その多くは、SECにより測定されるようにMAbダイマーおよびトリマーからなる。次いで、供給液をTris−HClバッファー、pH 7.5中に、約3mS/cmの伝導率で透析する。
【0245】
この泳動のために処理されるMAb供給液の量は、0.6mL/minの流速の102mLの13.5mg/mLのMAbである。
【0246】
ChromaSorb(商標)後の時間の関数としてのHCP漏出は、10ppmの上限より下である(
図20)。凝集物は、CEXデバイスにより5%から1.1%に減少する(
図21)。接続されたプロセスのMAb IIの収率は92%である。Viresolve(登録商標)Proデバイス上の処理量は3.7kg/m
2より大きい。
【0247】
従って、前記実施例は、いくつかのデバイスを接続してフロースルー様式で上手く運転することによって、所望の生成物純度および収率目標を達成することができることを示している。
【0248】
[実施例22]
フロースルー精製プロセスステップと連続結合および溶出クロマトグラフィー捕捉ステップとの接続
この代表的な実験において、本明細書に記載のフロースルー精製プロセスを、フロースルー精製の前にある連続結合および溶出クロマトグラフィー捕捉プロセスに直接連結した。
【0249】
本実施例において、CHOに基づくモノクローナル抗体(MAbII)を、フェドバッチ式バイオリアクター中で製造する。合計7Lの細胞培養液を、刺激原応答ポリマーの溶液と接触させて、0.2%v/vの最終刺激原応答ポリマー濃度を作製する。細胞培養液を約10分間混合させる。175mLの2M K
2HPO
4溶液を添加し、さらに10分間混合させる。次いで、pHを、2Mトリス塩基を用いて7.0に上昇させ、15分間混合させる。次いで、溶液を4,500 x gで10分間、2Lアリコート中で遠心分離し、上清をデカンテーションし、保持する。固体を除去する。細胞培養上清をプールした後、連続撹拌しながらバッチ様式で1:10の比で5M NaClと混合する。溶液の最終伝導率をこの時点で測定すれば、55±5mS/cmである。得られたより高いNaCl濃度の溶液を、0.22μmのExpressフィルターを通して滅菌濾過する。滅菌濾過された溶液は、プロテインAクロマトグラフィーのための負荷材料である。
【0250】
プロテインA捕捉ステップは、改変Akta Explorer 100上の方法を用いて泳動する2つのプロテインAカラムからなる。プロテインAカラムは、10.25および10.85cmのベッド高さまで内径1.6cmのVantage−L(EMD Millipore)クロマトグラフィーカラム中に充填された10mLのProSep(登録商標)Ultra PlusプロテインA媒体を有する。カラムを5カラム容量(CV)にわたって1X TBS、0.5M NaClを用いて平衡化させる(全てのカラム容量は最も小さいカラムに基づく)。泳動を通して、負荷の流速を、約1分の負荷滞留時間を有するように設定する。最初の負荷の間に、両方のカラムを直列に置き、一次カラムの流出液を、特定のロード容量に達するまで二次カラム上に直接ロードする。特定の負荷容量をカラム上に通過させた後、供給液を停止させ、2CVの平衡化バッファーを一次カラムから二次カラムに通過させる。次いで、一次カラムを、洗浄、溶出、クリーニングおよび再平衡化を受けるように配置する一方、二次カラムを一次カラムと同様にロードする。第1カラムの再平衡化の後、そのカラムを第2の位置に移動させて、現在の一次カラムと直列に存在させる。この一連の事象を、元の一次に位置するカラムを設定された容量までロードした後、一次の位置を取る各カラムを用いて繰り返す。各カラムを、合計7回ロードする。溶出の開始時間を制御するためのUVトリガーを用いて、各カラムからの溶出液を画分収集器を用いて収集し、約3.5CVの一定容量まで収集する。
【0251】
フロースルー精製トレインは、6つの主要なデバイスからなる:任意選択の深層フィルター(pH 7.5にpHを調整した後の沈殿物除去のため);活性化炭素;ChromaSorb(商標);インラインpH調整のためのスタティックミキサーおよび/またはサージタンク;凝集物除去のための陽イオン交換フロースルーデバイス(CEXデバイス);ならびにウイルス濾過デバイス(すなわち、Viresolve(登録商標)Pro)。
【0252】
図19は、これらのデバイスを接続する順序を例示する。
【0253】
全てのデバイスを異なる位置で個々に湿らせた後、
図19に示されるように組立てる。デバイスを、製造業者のプロトコールに従ってまたは以前に記載のように湿らせ、予備処理する。簡単に述べると、深層フィルター(A1HC)を、100L/m
2の水、次いで、5倍量の平衡化バッファー1(EB1;1M Tris塩基、pH 11でpH 7.5に調整されたPrA溶出バッファー)を用いてフラッシュする。10mLの活性化炭素を、実施例12に記載のように2.5cmのOmnifitカラムに充填する。カラムを10CVの水でフラッシュした後、pHがpH 7.5に安定化されるまでEB1を用いて平衡化させる。1.2mLのChromaSorb膜(7層)を、直径47mmのSwinexデバイス中に積み重ねる。このデバイスを、少なくとも10minにわたって12.5CV/minの水、次いで、5デバイス容量(DV)のEB1で湿らせる。12個のエレメントを有する使い捨てらせん形スタティックミキサー(Koflo Corporation,Cary,IL)を用いて、インラインpH調整を実施する。3層の陽イオン交換クロマトグラフィーデバイス(0.12mLの膜容量)を、10DVの水、次いで、5DVの平衡化バッファー2(EB2:1M酢酸を用いてpH 5.0に調整されたEB1)を用いて湿らせる。デバイスを5DVのEB2+1M NaClを用いてさらに処理した後、5DVのEB2を用いて平衡化させる。3.1cm
2のViresolve(登録商標)Proウイルス濾過デバイスを、30psiで少なくとも10分間加圧された水を用いて湿らせる。次いで、流速が連続3分間一定のままになるまで、流速を毎分モニターする。全てのデバイスを湿らせ、平衡化させた後、それらを
図19に示されるように接続する。全ての圧力読み取り値およびpH読み取り値が安定化されるまで、EB1をシステム全体に通過させる。平衡化後、供給液(pH 7.5に調整されたPrA溶出液)を、フロースルー精製トレインに通過させる。泳動の間に、サージタンクの前およびViresolve(登録商標)Proの後に試料を収集して、IgG濃度および不純物レベル(HCP、DNA、浸出したPrAおよび凝集物)をモニターする。供給液を処理した後、システムを3死容量のEB1を用いてフラッシュして、デバイスおよび配管中のタンパク質を回収する。
【0254】
図22は、深層フィルター、活性化炭素およびViresolveProの前の圧力読み取り値を示す。深層フィルター上の圧力は、泳動の多くの部分について未変化のままであるが、終わりに向かって上昇し、これはプロテインA泳動の終わりに向かうプロテインA溶出液供給画分のいくらかの沈殿物を示唆している。活性化炭素カラムは、活性化炭素の深層フィルター上流のため、任意の沈殿物からかなり保護されたままである。ViresolveProの圧力は時間と共にゆっくり上昇するが、運転最大限界(50psi)よりもはるかに低い。
【0255】
ViresolveProプール中の最終的なHCPは1ppm未満である(表XVI)。溶出液画分中の平均浸出プロテインAは、32ppmである。Viresolve(登録商標)Proプール中の浸出プロテインAは、4ppmである。凝集物は1%から0.4%まで減少する。以下の表XVIIは、連続結合および溶出クロマトグラフィープロセスステップと接続した場合のフロースルー精製の性能を調査するための実験の結果を示す。
【0256】
【表17】
【0257】
[実施例23]
活性化炭素を用いる細胞培養液成分不純物の除去
この代表的な実験において、プロテインAアフィニティ捕捉ステップを通じて存続し得る細胞培養液に由来する潜在的な不純物が活性化炭素により除去されることが証明される。
【0258】
細胞培養培地の一般的な成分、インスリン、哺乳動物細胞の成長刺激因子は、典型的には1−20mg/Lの濃度で細胞培養培地中に存在する。組換えヒトインスリン(EMD Millipore Corp.からのIncelligent AF)を1mg/mLで50mM Tris pH 7.0バッファー中に溶解し、モノクローナル抗体MAb IIを7g/Lの濃度まで添加した。ガラス製のOmnifitカラムに、HD Nuchar活性化炭素を充填する。溶液を、0.25CV/minの一定速度で、1kg/Lの合計MAb II負荷でカラムに通過させる。フロースループールを、インスリンおよび抗体濃度について分析する。分析のために、HC18カラム(Cadenza)を装備したAgilent HPLCシステムを用いる;溶媒A:水中の0.1%TFA;溶媒B:アセトニトリル中の0.1%TFA;15分にわたる5%−30%のBの最適化勾配を用いて、UV A214吸光度によりインスリンを検出した。まず、抗体の存在下でインスリンの標準溶液を用いて補正曲線を作製する。活性化炭素カラムからの流出液中ではインスリンは検出されないが、これは活性化炭素が240mg/gの過剰量で、MAbの存在下でのインスリンに対する許容量を有することを示唆している。
【0259】
[実施例24]
活性化炭素セルロース媒体を用いるMAb IIのアフィニティ捕捉溶出液の濁った溶液からの不純物のフロースルー除去
この代表的な実験において、活性化炭素が、微生物供給液から誘導されるHCPの除去について予想外に非常に効果的であることが証明された。E.コリ溶解物の溶液を、1.5mg/mLのmAbモノクローナル抗体と混合した。混合した供給液を、フロースルー条件下でカラム中に充填された活性化炭素を用いて処理した。
【0260】
E.コリの培養物に由来する細胞を遠心分離により回収した。上清をデカンテーションにより除去し、残りの細胞ペレットを激しい振とうおよび撹拌により溶解バッファー(25mM Tris、0.1mM EDTA pH 7)中に懸濁した。次いで、100mMのPMSFのエタノール中の保存溶液の0.4mL分を添加した。懸濁液を画分(それぞれ約100mL)に分割し、3secオンにし、4secオフにして5minにわたって超音波処理にかけた。超音波処理の後、材料をプールし、−80℃で48時間保存した。次いで、溶液を解凍し、4,500 x gで2時間遠心分離して、溶解した細胞を除去した。上清を、Stericup−HV 0.45μm Durapore膜(1000mL、カタログ番号:SCHVU11RE、Millipore Corp.Billerica,MA,01821,USA)を用いて濾過した。次いで、それをStericup−GP 0.22μm Millipore Express PLUS膜(1000mL、カタログ番号:SCGPU11RE、Millipore Corp.Billerica,MA,01821,USA)に通して濾過した。次いで、濾過した溶解物を7.5mLの10mg/mLのmAb溶液と混合して、1.5mLのmAbと混合された溶液を得た。溶液のpHは7.7であると測定された。
【0261】
ガラス製のOmnifit Chromatography Column(直径10mm、長さ100mm)に、水中でスラリー化された250mgのNuchar HD活性化炭素(MeadWestVaco Corporation,Richmond,VA,USA)をロードして、1mLの充填カラム容量を得た。カラムを25mM TrisバッファーpH 7を用いて平衡化させた。次いで、42mLのmAbと混合したE.コリ溶解物を、0.25mL/minの流速で活性化炭素カラムに通過させ、活性化炭素中での4分間の滞留時間を得た。対照およびプール試料を、宿主細胞タンパク質(HCP)およびIgG濃度に関する分析に提出した。
【0262】
HCP分析を、Cygnus Technologies,Southport,NC,USAからの市販のE.コリHCP ELISAキット(カタログ番号F410)をキットの製造業者の説明書に従って用いて実施した。IgG濃度を、Poros(登録商標)AプロテインA分析カラムを装備したAgilent HPLCシステムを用いて測定した。結果は、活性化炭素が、微生物供給液から誘導されるHCPの選択的除去について予想外に効果的であったことを示している。溶解物中のHCPの濃度は、206,000ng/mL(133,00ppm)から119,000ng/mL(77,800ppm)に減少したが、mAbの回収率は99%であり、1.55g/Lの濃度で出発し、1.53g/Lで回収された。本実施例は、活性化炭素を用いて、非哺乳動物細胞からHCPを除去することができることを示している。
【0263】
[実施例25]
活性化炭素−セルロース媒体および陰イオン交換媒体を用いるMAb IIのアフィニティ捕捉溶出液の濁った溶液からの不純物の除去
この実験において、活性化炭素のみおよびイオン交換媒体と組合せた活性化炭素が、捕捉ステップ後の微生物供給液から誘導されるHCPの除去に関して予想外に非常に効果的であることが示された。
【0264】
E.コリ溶解物の溶液に、1.5mg/mLのmAbモノクローナル抗体を添加した後、プロテインAクロマトグラフィーを用いて捕捉した。捕捉された供給液を、フロースルー条件下でカラム中に充填された活性化炭素、および次いで、ChromaSorb(商標)AEX膜で処理した。
【0265】
E.コリの培養液に由来する細胞を遠心分離により回収した。上清をデカンテーションにより除去し、残りの細胞ペレットを激しい振とうおよび撹拌により溶解バッファー(25mM Tris、0.1mM EDTA、pH 7)に懸濁した。次いで、100mM PMSFのエタノール中の保存溶液の0.4mL分を添加した。懸濁液を画分(それぞれ約100mL)に分割し、5minにわたって3secのオンおよび4secのオフを用いる超音波処理にかけた。超音波処理後、材料をプールし、−80℃で48時間保存した。次いで、溶液を解凍し、4,500 x gで2時間遠心分離して、溶解した細胞を除去した。上清をStericup−HV 0.45μm Durapore膜(1000mL、カタログ番号:SCHVU11RE、Millipore Corp.Billerica,MA,01821,USA)を用いて濾過した。次いで、それをStericup−GP 0.22μm Millipore Express PLUS膜(1000mL、カタログ番号:SCGPU11RE、Millipore Corp.Billerica,MA,01821,USA)に通して濾過した。次いで、濾過された溶解物を、7.5mLの10mg/mLのmAb溶液と混合して、1.5mLのmAbと混合した溶液を得た。溶液のpHは7.7であると測定された。次いで、混合した溶解物中のmAbを、プロテインAクロマトグラフィーを用いて捕捉した。次いで、30mLの捕捉されたmAbを、低いpHで溶出させた。溶出pHを、1M Trisの滴下添加により3−4から7に上昇させた後、StericupGP 0.22μm Millipore Express PLUS膜(250mL、カタログ番号:SCGPU02RE、Millopore Corp.Billerica,MA,01821,USA)に通して濾過した。1mLのpH調整された溶液を、分析のために取りのけておいた。
【0266】
ガラス製のOmnifit Chromatography Column(直径10mm、長さ100mm)に、水中でスラリー化された250mgのNuchar HD活性化炭素(MeadWestVaco Corporation,Richmond,VA,USA)をロードして、1mLの充填カラム容量を得た。カラムを25mM TrisバッファーpH 7を用いて平衡化させた。次いで、29mLのmAbプロテインAクロマトグラフィー溶出液を、0.2mL/minで活性化炭素に通過させた。滞留時間は4分であった。1mLの活性化炭素処理された溶出液を、分析のために取りのけておいた。
【0267】
次いで、0.08mLのChromaSorb(商標)デバイス(EMD Millipore Corp.Billerica,MA,01821,USA)を、説明書に従って水で湿らせた後、25mM Tris pH 7を用いてフラッシュした。次いで、27mLの活性化炭素処理された溶出液を、0.5mL/minの流速でChromaSorbデバイスに通過させた。滞留時間は0.16分であった。1mLの活性化炭素およびChromaSorb処理された溶出液を、分析のために取りのけておいた。
【0268】
それぞれの試料を、宿主細胞タンパク質(HCP)およびIgG濃度について分析した。HCP分析を、Cygnus Technologies,Southport,NC,USAからの市販のE.コリHCP ELISAキット(カタログ番号F410)をキットの製造業者の説明書に従って用いて実施した。IgG濃度を、Poros(登録商標)AプロテインA分析カラムを装備したAgilent HPLCシステムを用いて測定した。
【0269】
結果は、活性化炭素のみおよびAEX膜と組合せた活性化炭素が、微生物供給液の捕捉された溶出液からのHCPの選択的除去に関して予想外に効果的であったことを示している。溶出液中のHCPの濃度は、活性化炭素によって86ng/mL(7ppm)から8ng/mL(0.7ppm)に減少したが、mAbの回収率は97%であり、11.5g/Lの濃度で開始して11.2g/Lで回収された。活性化炭素処理された溶出液中のHCPの濃度は、ChromaSorb AEX膜によって3ng/mL(0.3ppm)にさらに減少し、mAbの全体の回収率は96%であり、11.1g/Lの最終濃度を得た。本実施例は、活性化炭素のみおよびAEX媒体と組合せた活性化炭素を用いて、捕捉ステップ後に非哺乳動物細胞から誘導されるHCPを除去することができることを示している。
【0270】
本明細書は、参照により本明細書に組み込まれる本明細書内に引用された参考文献の教示に照らして最も完全に理解される。本明細書内の実施形態は、本発明における実施形態の例示を提供するものであり、その範囲を限定すると解釈されるべきではない。当業者であれば、多くの他の実施形態が本発明により包含されることを容易に認識する。全ての刊行物および発明は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。参照により組み込まれた材料が本明細書と相反するまたはそれと矛盾する範囲について、本明細書は任意のそのような材料に優先する。本明細書の任意の参考文献の引用は、そのような参考文献が本発明に対して先行技術であるとの許諾ではない。
【0271】
特に指摘がない限り、特許請求の範囲を含む本明細書において用いられる成分、細胞培養液、処理条件などの量を表す全ての数は、用語「約」により全ての事例において修飾されると理解されるべきである。従って、特に逆の記載がない限り、数的パラメーターは近似値であり、本発明により得られることが求められる所望の特性に応じて変化してもよい。特に指摘がない限り、一連の要素に先行する用語「少なくとも」は、あらゆる一連の要素について言及していると理解されるべきである。当業者であれば、日常的なものを超えない実験を用いて、本明細書に記載の本発明の特定の実施形態に対する多くの等価物を認識するまたは確認することができる。そのような等価物は、以下の特許請求の範囲により包含されることが意図される。
【0272】
当業者には明らかであるように、本発明の多くの改変および変更を、その精神および範囲を逸脱することなく行うことができる。本明細書に記載の特定の実施形態は、ほんの一例として提供されるものであり、いかなる意味でも限定を意味するものではない。本明細書および実施例は例示のみと考えられ、本発明の真の範囲および精神は以下の特許請求の範囲により示されることが意図される。