特許第5938300号(P5938300)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5938300
(24)【登録日】2016年5月20日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】ナースカートのトレイ装置
(51)【国際特許分類】
   A61G 12/00 20060101AFI20160609BHJP
   A47B 31/00 20060101ALI20160609BHJP
   F16M 11/24 20060101ALI20160609BHJP
   B62B 5/00 20060101ALI20160609BHJP
【FI】
   A61G12/00 C
   A47B31/00 E
   F16M11/24 H
   B62B5/00 B
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-183757(P2012-183757)
(22)【出願日】2012年8月23日
(62)【分割の表示】特願2012-70565(P2012-70565)の分割
【原出願日】2012年3月27日
(65)【公開番号】特開2013-202407(P2013-202407A)
(43)【公開日】2013年10月7日
【審査請求日】2015年3月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(73)【特許権者】
【識別番号】591130803
【氏名又は名称】株式会社東洋工芸
(74)【代理人】
【識別番号】100092679
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 盛之助
(72)【発明者】
【氏名】竹原 成規
(72)【発明者】
【氏名】臼本 浩人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 利幸
(72)【発明者】
【氏名】入野 尚之
(72)【発明者】
【氏名】塙 智明
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 和則
(72)【発明者】
【氏名】岡村 秀男
【審査官】 増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−130183(JP,A)
【文献】 特開2010−029632(JP,A)
【文献】 特開2009−017973(JP,A)
【文献】 特開平11−056483(JP,A)
【文献】 特開2008−272140(JP,A)
【文献】 特開昭63−082662(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 12/00
A47B 31/00
B62B 5/00
F16M 11/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対の支柱の内面側に設けられる係止用のスロットに着脱可能に設置され、前方に延びるレール部を備えるスライドレールと、
前後方向にスライド可能、かつ、上方から前記レール部を隠すように前記レール部に係合するガイド溝、及び前記ガイド溝に接続する内側立壁に取り囲まれる平坦面構造の底壁を有するトレイと、
を備えるナースカートのトレイ装置。
【請求項2】
前記レール部は、
前後方向の長さが前記ガイド溝の長さより短い請求項1に記載のナースカートのトレイ装置。
【請求項3】
前記スライドレールは、
前記レール部とは別体に形成され、前記スロットに係合する係止片を上端部に有するブラケット部を備え、
前記レール部は、
前記ブラケット部に接合位置を調節可能にビス止めされる請求項1又は請求項2に記載のナースカートのトレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は病院で使用されるナースカートのトレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ナースカートは、看護師がカートの天板にパソコン等を載せ、各患者用の薬剤や注射器,血圧計などを始めとする器材などをトレイに搭載したカートを押して各患者のベッド脇に移動し、夫々の患者に必要な種々の措置を施してナースセンターに戻るといった態様で使用される病院内看護師専用のカートであり、様々な型式のものが提案され、実用にも供されている。
【0003】
公知のナースカートの一般的形態は、一例として説明すれば次のようなものである。
すなわち、4個のキャスタを平面から見て略長方形の各頂点部に備えた形態のベースフレームと、このフレームの左右側に直立された4本又は2本の支柱と、この支柱の上端部に昇降可能な、又は、高さ固定に設けられた天板と、この支柱において前記天板の下方からベースフレーム上面の間に架設された複数段のトレイとを備えた形態である。
【0004】
公知のナースカートにおけるトレイは、ベースフレームの左右側に位置した2本又は4本の支柱に、各段のトレイをスライド可能に支持するためのスライドレールを複数段設け、このスライドレールに、トレイの左右側に形成した被支持部を支持させ前記レール上でトレイを前後にスライドできる形態で設けられたものが殆んどである。
【0005】
上記の形態でカートに配設される各段のトレイがスライド可能に支持されている理由は、トレイに積載物を出入れしやすくするため、或は、ナースターミナルに各看護師とナースカートが集合したときのカート天板上のパソコンを使用するとき、看護師の脚とトイレの後端部が干渉することがないようにするためである。
【0006】
しかし、上記トレイを前後スライド自在に支持するためのレールやトレイの縁に形成した被支持部が外部から見えるのは、見映えの点でも好ましくないため、その部のデザインに工夫を要するという問題が生じる。
【0007】
一方、従来のトレイは、トレイに収容する薬剤や薬液、或は、包帯や体温計,血圧計などの器材を整理して収容するため、トレイ内部を複数区画に仕切ることができるように、トレイの周壁を形成する立壁の内側面や、この内側面と底壁上面に、前記仕切りのための仕切板を支持するスリットや凹溝などが設けられている。しかし、トレイの壁面にこのような凹凸やスリットなど面が平坦にならない要素があると、そこに塵埃が溜まって不衛生であり見映えの上でも好ましくなく、そのため頻繁に掃除することを余儀なくされるという難点が指摘されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第4846345号公報
【特許文献2】特許第4345450号公報
【特許文献3】特開2010−105540号公報
【特許文献4】特開2019−17973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記の公知ナースカートにおけるトレイの現状における難点を解消したナースカート用のトレイ装置を提供することを、課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は左右一対の支柱の内面側に設けられる係止用のスロットに着脱可能に設置され、前方に延びるレール部を備えるスライドレールと、前後方向にスライド可能、かつ、上方から前記レール部を隠すように前記レール部に係合するガイド溝、及び前記ガイド溝に接続する内側立壁に取り囲まれる平坦面構造の底壁を有するトレイと、を備えるナースカートのトレイ装置を提供する。
【0011】
上記の本発明トレイ装置では、レール部の長さ方向の中点部位を、支柱の中心からナースカートの前方側(押進方向側、以下、同じ。)にオフセットして設けている。これはキャスタを備えたベースフレームにおいて、左右側の2本の支柱の位置が、ベースフレームに対し後方側へ多少寄せて(オフセット)して立設されているからである。トレイを支柱に対して前方側へオフセットして配置した構成とすることにより、ナースターミナルで天板上のパソコンの操作等をするとき看護師の脚がトレイ後端側と干渉することがない一方で、レール部に支持されるトレイとその中に収容された物品による荷重は、ベースフレームの略中心近傍に均等にかかるから、安定でもある。
【0012】
本発明はトレイ装置において、前記トレイの左右の内側立壁と外側立壁が形成するガイド溝の長さと、このガイド溝に収まる前記レール部の長さの関係は、ガイド溝の長さとレール部の長さの差が、このトレイのスライドレール上でのスライド量になるので、レール部の長さは、トレイに実現させたい前後スライド量を、トレイのガイド溝の長さの中で実現できると共に、スライドエンドにおいてもトレイを安定に支持できる長さに設定する。また、支柱に対してオフセットして設けられるスライドレールにおけるレール部は、そのレール部の長さの中点部位が、ベースフレームの長さ方向の中点に一致ないしは近くになるように、その取付位置を設定することが好ましい。スライドレールが支柱に対してオフセットして設けられていても、トレイとそれに収容した物品の重量がベースフレームにバランスよくかかるようにするためである。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、ナースカート用のトレイ装置において、トレイの形態を、トレイ内部(収容部)に凹凸な面が全くない平坦面のみで形成したので、塵埃が付きにくく汚れ難いし、また、トレイの清掃も凹凸面がないから容易かつ短時間で清掃ができる。
また、トレイの側壁を内側立壁と外側立壁による二重壁状に形成し、この二重壁状部が形成するガイド溝に、トレイを支持するレール部を収容した形態にしたので、レール部が外部から全く見えず、トレイの外観体裁を良好にしてスマートにカート本体に架装することができる。
さらにトレイはこの支持状態において前,後にスライド可能であるから、トレイへの収容物の出入れに都合の良いベースフレームに関して前方位置又は後方位置を、トレイをスライドさせて選択できるほか、看護師がこのカートの天板上に置いたパソコン操作をするときなどにおいて、トレイの手前側端部(カートの押進方向から見た場合トレイの後端部)がその看護師の脚と干渉するのを回避するため、トレイを前方側へスライドさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明トレイ装置の一例を備えたナースカートの斜視図。
図2図1のナースカートにおいてトレイを前方側へスライドさせた状態の側面図。
図3図2のナースカートにおいて、2段目のトレイを外してレール部を見える状態にした斜視図。
図4図3のナースカートにおいて、片側の支柱に3段のレール部が設けられている状態を説明するための斜視図。
図5】トレイとレール部の関係を説明するための要部の拡大正断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1の本発明トレイ装置を備えたナースカート1は、上端部に天板2を備えた左右側の2本の支柱3L,3Rであって、両支柱3L,3Rの間に3段のトレイ41,42,43を前後スライド可能に架設した支柱3L,3Rが、ベースフレーム5に立設された基本構造を有するものである。
【0016】
すなわち、5は平面から見て大略H状をなすベースフレームで、該フレーム5の四隅には、4個の自在キャスタ9a〜9dが設けられている。なお、図1のナースカート1において、図1の右方がカートの押進方向に向いたこのカートの前方、図の右方がカートの後方とする。ここで、ベースフレーム5における左右側は2本の縦フレーム部5b、左右の縦フレーム部5b,5bを結合する貫材は横フレーム部5aとする。横フレーム部5aは縦クレーム部5b,5bの長さに関してカートの後方寄りにオフセットして設けられている。また、縦フレーム部5b,5bは、やや中高の浅いアーチ状に形成されている。横フレーム部5aの中心部底面には、後述するストッパ10の固定台5cが設けられている。
【0017】
横フレーム5aの中心部位の下面に設けた固定台5cには、足踏式のリンク機構によりストッパ当接部10cが降下,上昇するストッパ10が設けられている。このストッパ10は、ナースカート1を停止させた位置で、下降ベダル10fを踏込むとストッパ当接部10cを下端に有するピストンロッド10bがリンク機構の作用でバネ力(図示せず)に抗して降下されて床面に当接し、この状態がリンク機構の作用でロックされ、ナースカート1の押進を不能とする。このストッパ10は、解除ペダル10eを踏むと前記ロックが解除されてストッパ当接部10cがバネ力で上昇するようになっている。
【0018】
3L,3Rは前記ベースフレーム5において、横フレーム部5aが設けられている部位の左右の縦フレーム部5b,5bに立設した左,右の支柱である。この支柱3L,3Rは、下方の基礎部分に、昇降するロッド3a,3bが内装されており、ここでは右側の支柱3Rのロッド3bがガスシリング(図示せず)のロッドにより形成されて昇降自在である。図2図3において、3cはガスシリンダのバルブ操作用のレバーである。
なお、左右の支柱3L,3Rにおいて、図の最上段のトレイ41の下面側には、当該支柱3L,3Rを結合する貫材が設けられているが、この貫材はトレイ41に隠れて見えない。
【0019】
左右の支柱3L,3Rのロッド3a,3bの上端部には天板2の下面が固定されており、天板2は、ロッド3bが属するガスシリンダ(図示せず)の作用により、天板2の最上位置から最上位置の、例えば200mm前後のストローク量の昇降ができるように設けられている。前記ガスシリンダは、右側の支柱3Rの基礎部分(下半側)に内装されている。上記の200mmのストローク量は一例であって、その数値は任意である。本発明では、天板2を最上位に上げた位置で、ナースターミナルを形成しているテーブル天板(図示せず)の上方にこの天板2をオーバハングさせ、天板2を最下位に下げた位置では前記ターミナルのテーブル天板の下方にこの天板2を入れることができるようにするため、上記ストローク量を採用した。これによって、天板2の高さを選択してナースカート自体をナースターミナルのテーブルにより近付けることができる。
【0020】
天板2は、その手前側(図1の右方、図2図3の左方)に、このナースカート1を押進(又は牽引も可)するためのグリップ6aと両側の取付部6bから成るハンドル6を天板2の下面から取付部6bを介して後方へ突出する態様で設けている。このハンドル6には、金属パイプ成形品又は合成樹脂成形品による断面が略オーバル状乃至略長円状のグリップ6aが断面姿勢を斜めにして設けられている。グリップ6aが略オーバル状乃至長円状で斜めの姿勢であるのは、カートを押進するときの手の握り感、乃至は掴み感を手首の角度などに無理をさせない自然なものにすること、並びに、天板2の上においたパソコン(図示せず)を立姿勢で操作するときのアームレストとして機能することを狙ったからである。なお、2aは天板2の下面に設けた断面幅広略U状をなす物入れである。
【0021】
上記左右の支柱3L,3Rは、その対向する内面側の上下方向に、前後に並んだ係止用スロット7a,7bが等ピッチで列設されている。このスロット7a,7bは、後に述べる、この例では3段のトレイ41,42,43を前後スライド自在に支持するための3段のスライドレール81,82,83を支持するためのものである。各スロット7a,7bが等ピッチで列設されているのは、スライドレール81,82,8383の位置を自由に選択し変更できるようにするためである。
【0022】
スライドレール81,82,83は、すべて同じ構成であるから、ここではスライドレール82の構成について、図3図5を参照して説明する。
2段目のスライドレール82は、支柱3Lに形成されたスロット7a,7bに係止される略クランク状の係止片82aとこの係止片82aを上端部に備えた垂直向きの立壁によるブラケット部82bと、前記立壁の下端部に連なるL字状断面の接続部82cとこの接続部82cから垂直に立上げられて(図4参照)、カートのベースフレーム5における縦フレーム5bの長さ方向に沿って延出形成された垂直向きの帯状部を有するレール部82dを備えて形成されている。なお、レール部82dには、接続部82cを帯状部と同様に縦フレーム5bの長さ方向に延出させたタイプがある。図5に断面図で示したレール部82dは、接続部82cが帯状部と同様にベースフレーム5bに沿って長く形成されたタイプである。
他のスライドレール81,83についても、符号頭部の数字が異なるだけでレール82の場合と同じアルファベット符号を有する符号で示される構成を備えている。
各スライドレール81〜83のレール部81d〜83dの長さ(有効長さ)については、トレイ41〜43についての記述のあとに説明する。
【0023】
各トレイ41〜43は、この例では浅底タイプ41,42と深底タイプ43であり、浅底タイプの深さは約50mm前後、深底タイプの深さは約100mm前後であるが、トレイ41〜43の深さをどの程度にするかは任意である。また、トレイ41〜43を架設する段数も、スライドレール81〜83を、支柱3L,3Rの係止用スロット7a,7bへの係止を着脱するだけでよいから任意に増減が可能である。
【0024】
本発明で用いるトレイの構成について、図5の浅底タイプのトレイ42により説明する。トレイは、浅底タイプ,深底タイプとも基本構造は同じであり、底壁42aとこの底壁42aの外周を取り囲む内側立壁42bと、内側立壁42bの上端から壁面を略180度下向きに反転させて形成した外側立壁42cとから成る。各トレイ41〜43の各壁面には凹凸や穴や溝が設けられない平坦面構成である。他のトレイも符号頭部の数字が異なるだけで後方のアルファベット符号は同じである。
【0025】
ここで、深底タイプの外側立壁43cの縦幅は、ここでは内側立壁43bのほぼ1/2であるが、浅底タイプのトレイ41,42では、内側立壁41,42bと外側立壁41c,42cとは、ほぼ同じ縦幅である。
すなわち、各トレイ41〜43の外側立壁41c〜43cの縦幅は、各スライドレール81〜83のレール部81d〜83dにおける垂直向きの帯状部を、その縦幅内に隠すことができる大きさに設定されているのである。
【0026】
各トレイ41〜43の底壁41〜43aの平面から見た大きさは、A4サイズを平面姿勢で悠に収めることができる大きさであるが、この大きさは、カート本体のベースフレーム5の大きさなどの調整に対応して、任意の大きさのものに形成することができる。また、各トレイ41〜43は、その収容部を小区画に分けるための小区画トレイ41x,42x、41y,42yを備えており、必要に応じて小区画トレイ41x〜42yを用いる。図1の例では、トレイ43に小区画トレイは用いられていない。また、小区画トレイの種類は、図示した例に限られるものではない。
【0027】
各トレイ41〜43における各内側立壁41b〜43bと各外側立壁41c〜43cによって、各トレイ41〜43の長さ方向に沿って二重壁状のガイド溝が形成されたようになる。
そこで本発明では、各トレイの41〜43の長辺側のガイド溝を、左右の支柱3L,3Rのスロット7a,7bに装着したスライドレール81〜83における垂直な帯状部81d〜83dに被せると、各帯状部81d〜83dは、各トレイ41〜43の二重壁によるガイド溝の内側に収まってその溝に隠蔽されてしまうので、図1図2に示すトレイの架装状態を実現できるのである。
【0028】
図5に示した例では、各トレイ41〜43の外側立壁41c〜43cの下端部はスライドレール81〜83におけるL字状の接続部81c〜83cの水平辺の上面に当接してその面に支持され、その水平面の上をスライドするようになっている。従って、前記立壁41c〜43cの下端部41d〜43dは、下半側の断面を略円形にして、各スライドレール81〜83におけるレール部81d〜83dの帯状部と一体の接続部81c〜83cの水平辺の上面との接触を線接触となるようにし、スライド時の摩擦抵触を少なくしている。なお、レール部81d〜83dの上端が、内,外側立壁41b〜43bと41c〜43cの境界部内面に当接する支持構造になるときは、帯状部の上端面を円形断面に形成して摩擦力の低減を図る。
【0029】
本発明において、トレイ41〜43の長さ方向の二重壁部(内側立壁41c〜43bと外側立壁41c〜43cに挟まれた部分)の長さと、この二重壁部に収まるスライドレール81〜83における垂直な帯状部(レール部81d〜83d)の長さの関係は、スライドレール81〜83に支持されるトレイ41〜43が、その長さ方向でスライドさせたい前後スライド量を実現すること、並びに各トレイ41〜43が各スライドレール81〜83の上で前後のスライドエンドに位置しても、当該トレイ41〜43が安定に支持されることの双方を実現できる関係にあればよい。
【0030】
例えば、各トレイ41〜43の長さ方向における内,外立壁による二重壁部の長さが400〜420mm、スライドレール81〜83の帯状部81d〜83dの長さが250〜270mmであったとすると、各トレイ41〜43の前後ストロークの許容量は400〜420mm−250〜270mm≒130〜170mmになる。
そこで、スライドレール81〜83の取付位置を、例えば、ベースフレーム5における縦フレーム部5bの長さ方向での中点を基準にして当該スライドレール81〜83におけるレール部81d〜83dの中点が位置するように設定するとき、まず各トレイ41〜43をカートの前方側と後方側とで前記ストローク許容量をどのように内分するかを決め、次いでこの内分したストローク量を実現できるようにスライドレール81〜83のレール部81d〜83dの長さを決め、そして支柱3L,3Rに対するオフセット量を形成できる位置にブラケット部81b〜83bを設ければよい。
【0031】
本発明においては、上記スライドレール81〜83のブラケット部81b〜83bとレール部81d〜83dとを、ビス止め等により接合位置を変更できる接合・分離タイプに形成しておくと、変更できる範囲内でスライドレール81〜83のベースフレーム5に対するレール部81d〜83dの取付位置を可変にできる。また、レール部81d〜83dも、その帯状部の長さを可変タイプにしておけば、全体のストローク量の調節、或は、前方スライド又は後方スライドでのストローク量を調整できる。


【0032】
本発明トレイ装置は以上の通りであるから、ナースカートのトレイ装置としてきわめて有用である。
【符号の説明】
【0033】
1 ナースカート
2 天板
3L,3R 左右の支柱
41〜43 トレイ
41a〜43a トレイの底壁
41b〜43b トレイの内側立壁
41c〜43c トレイの外側立壁
5 ベースフレーム
6 ハンドル
6a グリップ
7a,7b スライドレールの係止用スロット
81〜83 スライドレール
81a〜83a ブラット部の係止片
81b〜83b ブラケット部
81c〜83c レール部の接続部
81d〜83d レール部
9a〜9d キャスタ
10 ストッパ
図1
図2
図3
図4
図5