(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5938346
(24)【登録日】2016年5月20日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】気液接触方法および気液接触装置
(51)【国際特許分類】
B01J 10/00 20060101AFI20160609BHJP
B01F 3/04 20060101ALI20160609BHJP
B01F 5/00 20060101ALI20160609BHJP
B01D 47/06 20060101ALI20160609BHJP
B01D 53/50 20060101ALI20160609BHJP
B01D 53/58 20060101ALI20160609BHJP
B01D 53/68 20060101ALI20160609BHJP
B01D 53/56 20060101ALI20160609BHJP
B01D 53/64 20060101ALI20160609BHJP
B01D 53/46 20060101ALI20160609BHJP
B01D 53/72 20060101ALI20160609BHJP
【FI】
B01J10/00 103
B01F3/04 ZZAB
B01F5/00 F
B01D47/06 A
B01D53/50 200
B01D53/58
B01D53/68 120
B01D53/56 200
B01D53/64 100
B01D53/68 220
B01D53/46
B01D53/72 200
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-529643(P2012-529643)
(86)(22)【出願日】2011年8月22日
(86)【国際出願番号】JP2011069364
(87)【国際公開番号】WO2012023634
(87)【国際公開日】20120223
【審査請求日】2014年7月25日
(31)【優先権主張番号】特願2010-200319(P2010-200319)
(32)【優先日】2010年8月20日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】502432637
【氏名又は名称】株式会社アネモス
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】特許業務法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 久夫
【審査官】
増田 健司
(56)【参考文献】
【文献】
特開平7−284642(JP,A)
【文献】
特開2007−185576(JP,A)
【文献】
特開2001−170476(JP,A)
【文献】
特開2003−38943(JP,A)
【文献】
米国特許第5853782(US,A)
【文献】
米国特許第4674888(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0248049(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0113288(US,A1)
【文献】
中国特許出願公開第101628208(CN,A)
【文献】
特開平10−80627(JP,A)
【文献】
特開平6−63371(JP,A)
【文献】
特表平11−507874(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 10/00
B01D 47/06
B01D 53/46
B01D 53/50
B01D 53/56
B01D 53/58
B01D 53/64
B01D 53/68
B01D 53/72
B01F 3/04
B01F 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体と液体とを接触させる気液接触方法であって、
筒状の容器内の上流側にその長手方向を鉛直にして第1の気液接触部を配置し、
前記第1の気液接触部の下流側にその長手方向を鉛直にして第2の気液接触部を配置し、
前記第1の気液接触部と前記第2の気液接触部との間に気体の速度を高速度から低速度に変化させる空間部を配置し、
前記第1の気液接触部の上流側及び前記第2の気液接触部の上流側に液体散水手段を各々に配置し、
前記第1の気液接触部と前記第2の気液接触部に多孔が形成された螺旋状の羽根体を有する静止型流体混合器を各々に配置し、
前記第1の気液接触部を通流する気体速度は15〜150m/sの範囲であり、
前記第2の気液接触部を通流する気体速度は5〜15m/sの範囲であり、
前記気体と前記液体は前記容器内を上流側である上方から下流側である下方に並流で前記第1の気液接触部および前記第2の気液接触部を通流して接触・混合させることを特徴とする
気液接触方法。
【請求項2】
筒状の容器内の上流側にその長手方向を鉛直にして配置された、多孔が形成された螺旋状の羽根体を有する静止型流体混合器が配置された第1の気液接触部と、
前記第1の気液接触部の下流側にその長手方向を鉛直にして配置された、多孔が形成された螺旋状の羽根体を有する静止型流体混合器が配置された第2の気液接触部と、
前記容器内の前記第1の気液接触部の上流側に設けられた気体導入手段及び第1の液体散水手段と、
前記第1の気液接触部の下流側であって前記第2の気液接触部の上流側に形成され、前記気体導入手段により導入された気体の速度を高速度から低速度に変化させる空間部と、
前記空間部に設けられた第2の液体散水手段と、
前記第2の気液接触部の下方に設けられた、液体と気体とを分離して前記分離された液体を落下させるための分離落下部と、
排気管とブロワーを介して前記容器外に気体を排出する気体排出手段と、
前記容器内の下流側に設けられた液体が溜まる貯留部と、
循環ポンプを介して前記貯留部の液体を第1及び第2の液体散水手段に供給する液体供給配管と、
前記貯留部に新液を適宜補充する新液供給手段と、
前記貯留部の液体を前記容器外に適宜排出する抜出しポンプと、
を備えていること
を特徴とする気液接触装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気液接触方法および気液接触装置に関する。本発明の方法は、筒状の容器の上流側に螺旋状の羽根体を内設した第1の気液接触部を配置し、前記第1の気液接触部の下流側に螺旋状の羽根体を内設した第2の気液接触部を配置し、前記第1の気液接触部および第2の気液接触部の上方(上流側)に散水ノズルを配置し、前記容器の上流部から加圧または減圧された異種物質を含む気体を導入し、散水ノズルから加圧された液体を供給し、前記第1の気液接触部および第2の気液接触部を気体と液体とを並流で上流側から下流側へ第1の気液接触部では高速度および第2の気液接触部では低速度で通流させて接触・混合させることを特徴とする気液接触方法である。この気液接触方法による気液接触装置は、気体中の異種物質を液体中に物質移動させるための装置、たとえばガス吸収装置,気液反応装置および集塵装置など広い用途を有する。
【背景技術】
【0002】
従来、気液接触装置たとえばガス吸収装置には、充填塔や棚段塔などの装置があるが、フラディング現象が発生するために塔内ガス速度に制限がある。その為に塔径が大きくなり、設備費が高価になる。また、粉塵が気体中に含有していると目詰まりや閉塞などが発生して操業が停止される。さらに、1μm以下の微細な粒子、たとえばZnO,SiO
2粉末などのサブミクロン粒子の集塵効率は低いのが実情である。更に又、集塵装置としてはベンチュリスクラバーが知られているが、粉粒体がサブミクロン粒子になるほど高圧力損失(例えば3〜20kPa)になり、動力費が高価になる。また、ガス速度は40〜150m/sと高速度のために、気液接触時間が短いので、高濃度のガス吸収操作に利用することは不適当である。更に、電気集塵装置の場合は、設備費,運転費および設置面積が広大になる等の欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−284642号公報
【特許文献2】再公表特許WO2005/077506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、従来のガス吸収装置は、サブミクロン粒子の集塵効率は低く、また、集塵装置(例えばベンチュリスクラバー)は高い圧力損失(例えば3〜20kPa)を必要とし、また、気液接触時間が短いためにガス吸収効率は低かった。その為にベンチュリスクラバーの下流側に充填塔などのガス吸収装置が配置されていた。
【0005】
例えば、特許文献1および特許文献2に記載の静止型流体混合器を利用した気液接触装置はサブミクロン粒子の集塵効率が低いという問題点があった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、サブミクロン粒子の集塵効率およびガス吸収効率の高性能化を達成させる気液接触方法および気液接触装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明の気液接触方法は、筒状の容器内の上流側に
その長手方向を鉛直にして第1の気液接触部を配置し、第1の気液接触部の下流側に
その長手方向を鉛直にして第2の気液接触部を配置し、第1の気液接触部と第2の気液接触部との間に気体の速度を高速度から低速度に変化
させる空間部を配置し、第1の気液接触部
の上流側及び第2の気液接触部の上流側に液体散水手段を各々に配置し、第1の気液接触部と第2の気液接触部に
多孔が形成された螺旋状の羽根体を有する静止型流体混合器を
各々に配置し、第1の気液接触部を通流する気体速度は15〜150m/sの範囲であり、第2の気液接触部を通流する気体速度は5〜15m/sの範囲であり、気体と液体は容器内を
上流側である上方から
下流側である下方に並流で第1の気液接触部および第2の気液接触部を通流して接触・混合さ
せることを特徴とするものである。
【0008】
本発明の気液接触方法によれば、気体と液体とは並流で第1の気液接触部内を高速度(例えば15〜150m/s)で通流し、生成される微細な水滴と排ガス中のサブミクロン粒子とを接触・混合し、サブミクロン粒子は増湿,増粒して液体中に集塵される。さらに、第2の気液接触部内を低速度(例えば5〜15m/s)で通流して増湿,増粒されたサブミクロン粒子と洗浄液とを接触混合して集塵効率およびガス吸収効率を向上させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の気液接触方法によれば、気液接触塔の上部に第1の気液接触部を、下部に第2の気液接触部を配置し、第1の気液接触部は、ガス速度は15〜150m/s,ガス圧力はゲージ圧1〜30kPaで使用され、第2の気液接触部は、ガス速度5〜15m/s,ガス圧力はゲージ圧0.1〜10kPaで使用される。本発明の気液接触方法により、気体中のサブミクロン粒子を高効率で集塵できる集塵装置およびガス吸収装置を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明に係る気液接触方法による気液接触装置を実施するための実施の形態について、図面を参照して説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0011】
<第1実施形態>
まず、本発明に係る気液接触装置の実施形態について説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る気液接触装置1の概略構成図を示したものである。
図1に示すように、本実施の形態に係る気液接触装置1は、容器2と、第1の気液接触部3と、第2の気液接触部4と、第1の液体散水手段5と、第2の液体散水手段6と、液体供給手段7と、気体導入手段8と、気体排出手段9と、液体排出手段10と、新液供給手段11と、液体貯留部12と、を備えている。
【0013】
本実施の形態においては、第1の気液接触部3および第2の気液接触部4は螺旋状の羽根体を有する静止型流体混合器13および14を、密閉された処理容器2内にその長手方向を鉛直にして配置する。この場合に、容器2内の第1の気液接触部3の上流側には気体導入手段8と第1の液体散水手段5が設けられ、第1の気液接触部3の下流側には、空間部15を形成し,第2の液体散水手段6と第2の気液接触部4とが設けられ、第2の気液接触部4の下方には液体と気体を分離し、液体を落下させるための空間である分離落下部16および排気管17とブロワー18を介して容器2外に気体を排出する気体排出手段9とが設けられ、容器2内の下部には、液体が溜まる貯留部12が設けられている。また、貯留部の液体を循環ポンプ19を介して第1および第2の液体散水手段5,6に液体を供給する液体供給配管20が設けられている。更に、貯留部12に新液を適宜補充する新液供給手段11が設けられている。更に又、貯留部12の液体を容器2外に適宜排出する抜出しポンプ21が設けられている。
【0014】
本実施形態では、第1の気液接触部3の上流側からサブミクロン粒子を含有する気体と散水ノズル22を介して液体とを供給・噴霧し、第1の気液接触部3内を気体速度15〜150m/sで通流する。噴霧された液体はさらに微細化される。この微細化された水滴とサブミクロン粒子は接触して、サブミクロン粒子は増湿,増粒される。増湿,増粒された粒子を含有する気体と第2の液体散水手段6を介して散水ノズル23に供給される液体とは第2の気液接触部4内を気体速度5〜15m/sで通流し、接触・混合する。気体中のサブミクロン粒子は液体中に集塵される。また、気体中のHCl,NH
3,SOxなどはほぼ気液平衡値で物理吸収および化学反応吸収をして、気体を清浄化することができる。
【0015】
上述した本発明に係る気液接触装置は、石炭火力発電所,ゴミ焼却炉などから排出されるSOx,NOx,HCl,Hgおよびダストなどの排ガス処理,溶鉱炉,溶解炉を使用する金属、非金属などの精錬業におけるダスト,SOx,NOxなどの排ガス処理,合成石英・光ファイバー製造業におけるSiO
2,Si
Cl
4,HCl,Ti
Cl
4,SiF
4などおよび半導体製造業における(C
2H
3)
3Al,(C
2H
5)
3Ga,H
2Se,SiH
4,Si
2H
6,B
2H
6などの排ガス処理などに適用することができる。
【0016】
なお、本発明に係る気液接触装置は、上述の形態に限定されるものではなく、材料、構成などにおいて本発明の構成を逸脱しない範囲において種々の変形,変更が可能であることはいうまでもない。特に、散水ノズル22,23の噴射方向は、下向き、上向きのどちらでも適宜選択使用することができる。また、散水ノズルの配置位置は気液接触部3,4の下方に配置してもよい。更に、第1の気液接触部3を形成する螺旋状の羽根体を有する静止型流体混合器の構成材料は耐耗性の材料を適宜選択使用することができる。更に又、水分によるダスト付着防止のために気体導入管をシールガスで2重,3重にして気体導入手段8を改良し、選択使用してもよい。
【0017】
次に、本実施形態に係る気液接触装置を用いて行った実験結果について説明する。
【0018】
<実験例1>
以下に、本発明の実施例に係る気液接触装置の集塵効率及び吸収効率を評価する目的で、気液接触装置を排ガス中のSiO
2などのサブミクロンダストの集塵(除塵)及びHClガスの物理吸収に利用した場合の測定結果を表1に示す。
【0019】
このとき、処理容器2内へ供給される処理排ガス量(m
3/min)、第1および第2の気液接触部のガス流入速度(m/s)及び装置へ提供される洗浄液の量(m
3/hr)を一定にし、気液接触装置1入口及び気液接触装置の排気管17出口におけるダスト濃度(mg/Nm
3)及びHClガス濃度(ppm)を測定した。
【0020】
測定に使用する気液接触装置は、第1の気液接触部3に配置する静止型流体混合器13として2つのミキシングエレメント(不図示)を直列に鉛直方向に配置して構成した。また、各々のミキシングエレメント(不図示)は、円筒体の内径が100mm、円筒体の高さが100mmであって、羽根部は、各々螺旋状に約90°右回転又は左回転に捩じられた6枚の羽根体で構成されているものを使用した。また、羽根体は多孔板で形成されており、孔(不図示)の直径が20mmであって、孔部の総開口面積が、羽根体の表面積に対して約40%となるものを使用した。液体供給手段7から散水ノズル22内に供給される洗浄液の量は、容器2の気体導入管から導入される処理排ガス量に対して約0.005容積%に設定した。
【0021】
また、第2の気液接触部4に配置する静止型流体混合器14として4つのミキシングエレメント(不図示)を直列に配置して構成した。
【0022】
また、各々のミキシングエレメント(不図示)は円筒状の内径が200mm、円筒体の高さが150mmであって羽根部は各々螺旋状に約90°右回転又は左回転に捩じられた12枚の羽根体で構成されているものを使用した。また、羽根体は多孔板で形成されており、孔の直径が10mmであって、孔部の総開口面積が羽根体の表面積に対して約20%となるものを使用した。更に、液体供給手段7から散水ノズル23内に供給される洗浄液の量は、気体導入管から導入される処理排ガス量に対して約0.01容積%に設定した。また、ミキシングエレメントは本願発明者が出願している特開平7−284642号および特願2005−517861号に開示されているミキシングエレメントを適宜選択使用される。
【0023】
なお、上部散水ノズル22及び下部散水ノズル23から供給される洗浄液量の割合および噴霧方向は、処理排ガス中のガス組成,濃度及びダストの種類,濃度,粒子径等により適宜選択使用される。
【0024】
本発明に係る気液接触装置による実験結果は次の表1のようになる。
【表1】
【0025】
従来技術の気液接触装置と本発明の装置との運転条件を比較してみると、次の表2のようになる。
【表2】
【0026】
表1の結果および表2より、本発明の気液接触装置は、従来技術の充填塔,ベンチュリスクラバーと比較して、いずれの運転条件においても、集塵効率,ガス吸収効率ともに優れていることが判明した。
【0027】
なお、本発明に係る気液接触装置は、上述の各形態に限定されるものではなく、その他材料,構成等において本発明の構成を逸脱しない範囲において種々の変形,変更が可能であることはいうまでもない。特に、静止型流体混合器はミキシングエレメントに限定されることなく種々の形状の静止型流体混合器を適宜選択使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明に係る気液接触装置の概略構成図である。
【符号の説明】
【0029】
1:気液接触装置
2:容器
3:第1の気液接触部
4:第2の気液接触部
5,6:液体散水手段
7:液体供給手段
8:気体導入手段
9:気体排出手段
10:液体排出手段
12:貯留部
13,14:静止型流体混合器
15:空間部
16:分離落下部
17:排気管
18:ブロワー
19:循環ポンプ
20:液体供給配管
21:抜出しポンプ
22,23:散水ノズル