【発明が解決しようとする課題】
【0007】
市販の生理用ナプキンに使用されている立体ギャザーとしては、上記特許文献1に記載された断面く字状のものや直線状のものが一般的であるが、断面く字状のものではサイド不織布を断面Z状に折り畳んで積層しなければならないため、厚みが厚くなって薄型化が図れないとともに、装着時の違和感が発生して薄型生理用ナプキンの特徴が損なわれる問題があった。また、単にサイド不織布を外方に1回折り返しただけの直線状の立体ギャザーでは、起立高さが十分ではなく、肌との間に隙間が生じやすいとともに、側方に流れる体液を堰き止める起立壁部分を形成しにくかった。
【0008】
さらに、上記特許文献2記載のような、弾性材を立体ギャザーの長手方向に沿って湾曲的に配置した肌当接面の幅が変化する立体ギャザーや、上記特許文献3記載のような断面T字型に起立する立体ギャザーの場合、装着感が悪化したり、薄型化が図れないという問題が生じるおそれがあった。
【0009】
また、一般の生理用ナプキンのようにある程度の厚さの吸収体厚を有するものでは、体液が吸収体に吸収された後、吸収体内部で拡散することによって吸収体の広い範囲に吸収保持できる構造となっているが、薄型生理用ナプキンの場合、吸収体中に高密度で高吸水性樹脂が含有されているため、吸収体の内部を体液が拡散する割合が少なく、生理用ナプキンの表面を体液が拡散した後、吸収体に吸収保持される構造となっている。このため、薄型生理用ナプキンの場合は特に、体液吸収に有効な表面部分を広い範囲に亘って確保しておくことが重要となり、装着時に立体ギャザーが内側に倒れ込んで体液吸収に有効な表面幅が狭くなるような事態を避ける必要がある。この点において、上記特許文献1記載の断面く字状の立体ギャザーや、上記特許文献2記載の起立先端の肌当接面部分の幅が股間部において狭くなるような立体ギャザー、上記特許文献3記載の断面T字状の立体ギャザーなどの場合には、脚の付け根の内側部分からの圧力や脚の動きなどによって、立体ギャザーの起立先端の肌当接面部分が内側に倒れ込みやすく、有効な体液吸収のための表面幅が狭くなるおそれがあった。
【0010】
そこで本発明の主たる課題は、薄型の生理用ナプキンにおいても、装着時に違和感がなく、体液の堰き止め効果が高いとともに、装着時の内側への倒れ込みを防止した立体ギャザーを備えた生理用ナプキンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、少なくとも不透液性裏面シートの表面側に吸収体が配設されるとともに、表面側両側部にそれぞれ長手方向に沿って立体ギャザーが形成された生理用ナプキンにおいて、
前記立体ギャザーは、折り畳み状態で、幅方向中心側で折り返された二重のシートの少なくとも体液排出部を含む長手方向範囲であって折返し部の近傍部分に、下層側の構成部材に接合されない非接合領域が備えられ、前記非接合領域に対応する幅方向中間部の上層側のシートに、長手方向に沿って弾性部材が配置されており、
前記二重のシート同士は、生理用ナプキンの長手方向に対して、前記非接合領域の端縁より生理用ナプキンの端部寄りの位置を基点として生理用ナプキンの端縁まで形成されるとともに、生理用ナプキンの幅方向に対して、上層側のシート幅より狭い幅で形成された上層側接合領域で接合され、
前記立体ギャザーは、起立状態で、前記非接合領域の外側縁部を基点として肌側に起立することにより、前記弾性部材から前記非接合領域の外側縁部までの間が前記吸収体の表面側から突出する起立壁として作用するとともに、前記弾性部材より外側部分が装着時の肌当接面として作用し、前記肌当接面として作用する部分が折り畳み状態より起立状態の方が生理用ナプキンの幅方向外側に移動するように構成されていることを特徴とする生理用ナプキンが提供される。
【0012】
上記請求項1記載の発明では、先ず装着前の立体ギャザーの折り畳み状態において、幅方向中心側で折り返した二重シート構造とし、少なくとも体液排出部を含む長手方向範囲であって二重シートの折返し部の近傍部分に下層側の構成部材(前記吸収体や不透液性裏面シート等)に接合されない非接合領域が備えられ、前記非接合領域に対応する幅方向中間部に長手方向に沿って弾性部材が配置された構造を備えている。さらに、前記二重シート同士は、生理用ナプキンの長手方向に対して、前記非接合領域の端縁より生理用ナプキンの端部寄りの位置を基点として生理用ナプキンの端縁まで形成されるとともに、生理用ナプキンの幅方向に対して、上層側のシート幅より狭い幅で形成された上層側接合領域で接合されている。
【0013】
かかる生理用ナプキンの装着に際して立体ギャザーを起立させた状態では、前記立体ギャザーが前記非接合領域の外側縁部を基点として肌側に起立することによって、前記弾性部材から前記非接合領域の外側縁部までの間が、折返し状態が解除されて吸収体の表面側から突出する起立壁として作用するとともに、前
記弾性部材より外側部分が装着時の肌当接面として作用するようになる。ここで、前記弾性部材が前記非接合領域に対応する幅方向中間部に配置されているため、前記弾性部材が収
縮することによって前記非接合領域の外側縁部を基点として起立したときに、弾性部材が非接合領域の外側縁部の方向に引っ張られる結果、前記肌当接面として作用する部分が折り畳み状態より起立状態の方が生理用ナプキンの幅方向外側に移動するように構成されている。
【0014】
このため、生理用ナプキンの装着時に、立体ギャザーの肌当接面が内側に倒れ込む危険性が大幅に減少し、体液吸収に有効な吸収体の表面幅を広く確保することが可能となり、薄型の生理用ナプキンであっても高い吸収性能を確保することができるようになる。また、立体ギャザーの断面形状は
、弾性部材を屈曲点としてこれより吸収体側が吸収体の表面側から突出する起立壁を形成するため、この起立壁によって体液の堰き止め効果を確保することができ、横漏れが防止できる。さらに
、起立状態で前記肌当接面が折り畳み状態より生理用ナプキンの幅方向外側に移動するように構成されているため、生理用ナプキンの装着時に立体ギャザーの肌当接面がショーツの側縁より外側にはみ出して装着されやすくなり、脚の付け根部分の内側からの圧力や脚の動きなどによって、立体ギャザーが内側に倒れ込む危険性が大幅に低下する。また、前記立体ギャザーは
、幅方向中心側で折り返された二重のシートからなるため、立体ギャザーの厚みが薄くて済み、装着時に違和感を感じにくくすることができる。
【0015】
また、二重のシート同士を接合している上層側接合領域を所定領域に形成することによって、前記肌当接面が肌に当たる角度を調整したり、装着時の違和感を軽減したりしている。具体的には、前記二重シート同士は、ナプキン長手方向に対しては、前記非接合領域の端縁よりナプキン端部寄りの位置を基点としてナプキン端縁まで形成されるとともに、ナプキン幅方向に対しては、上層側のシート幅より狭い幅で形成された上層側接合領域で接合されるようにしている。前記上層側接合領域のナプキン長手方向の基点を非接合領域の端縁より端部寄りの位置に設けることによって、上層側の肌当接面として作用する部分の先端(自由端)が肌側に向けて傾斜しやすくなり、肌当接面が肌に沿ってフィットしやすくなる結果、立体ギャザーの内側への倒れ込みが防止できる。また、前記上層側接合領域のナプキン幅方向の幅を上層側のシート幅より狭い幅で形成することによって、硬化して肌当たりの悪化の原因となる接合領域を小さな面積で形成することにより装着時の違和感を軽減している。
【0016】
請求項2に係る本発明として、少なくとも不透液性裏面シートの表面側に吸収体が配設されるとともに、表面側両側部にそれぞれ長手方向に沿って立体ギャザーが形成された生理用ナプキンにおいて、
前記立体ギャザーは、折り畳み状態で、生理用ナプキンの側方側から中心側方向に延在したシートが前記吸収体と重なる位置に設けられる折返し部で側方側に折り返されることによって、下層側折返し面と上層側折返し面とを有し、生理用ナプキンの側方側から中心側方向の所定領域に亘って前記下層側折返し面とこれより下層側の構成部材とが接合される下層側接合領域が形成されるとともに、少なくとも体液排出部を含む長手方向範囲であって前記折返し部の近傍部分に前記下層側折返し面と下層側の構成部材とが接合されない非接合領域が形成され、且つ生理用ナプキンの長手方向両端部において前記上層側折返し面と下層側折返し面とが接合される上層側接合領域が形成され、前記上層側折返し面に該上層側折返し面の幅方向外側を前記吸収体の側縁より外側に延在させた外側延出代が設けられ、前記上層側折返し面の前記非接合領域に対応する幅方向中間部に長手方向に沿って内側弾性部材が配置されるとともに、これより幅方向外側に長手方向に沿って外側弾性部材が配置されており、
前記上層側接合領域は、生理用ナプキンの長手方向に対しては、前記非接合領域の端縁より生理用ナプキンの端部寄りの位置を基点として生理用ナプキンの端縁まで形成され、生理用ナプキンの幅方向に対しては、前記上層側折返し面の幅より狭い幅で形成されており、
前記立体ギャザーは、起立状態で、前記下層側接合領域の内側縁部を基点として肌側に起立することにより、前記内側弾性部材から前記下層側接合領域の内側縁部までの間が前記吸収体の表面側から突出する起立壁として作用するとともに、前記内側弾性部材より外側部分が装着時の肌当接面として作用し、前記肌当接面として作用する部分が折り畳み状態より起立状態の方が生理用ナプキンの幅方向外側に移動するように構成されていることを特徴とする生理用ナプキンが提供される。
【0017】
上記請求項2記載の発明は、立体ギャザーの構造についてより具体的に規定したものである。
【0018】
請求項3に係る本発明として、前記生理用ナプキンは、体液排出部に対応する部分に吸収体の中高部が形成される場合はその中高部を除く部分の厚みが3mm以下に設定されている請求項1、2いずれかに記載の生理用ナプキンが提供される。
【0019】
上記請求項3記載の発明では、薄型の生理用ナプキンとして、厚みが3mm以下(体液排出部に対応する部分に吸収体の中高部が形成される場合はその中高部を除く部分の厚み)に設定されたものとしている。
【0020】
請求項4に係る本発明として、前記立体ギャザーの起立状態において、前記肌当接面は、前記吸収体の側縁より外側に延在する部分の幅の方が、前記吸収体と重なる位置に介在する部分の幅より大きく形成されている請求項1〜3いずれかに記載の生理用ナプキンが提供される。
【0021】
上記請求項4記載の発明では、前記立体ギャザーの起立状態において、前記肌当接面を吸収体の側縁より外側に延在させる割合として、外側に延在する部分の幅の方が吸収体と重なる位置に介在する部分の幅より大きく形成することによって、肌当接面が内側へ倒れ込むのを防止している。
【0022】
請求項5に係る本発明として、前記外側弾性部材は、前記上層側折返し面の外側延出代部分の幅方向中間部に配置されている請求項
2記載の生理用ナプキンが提供される。
【0023】
上記請求項5記載の発明では、前記外側弾性部材の配設位置について規定している。前記外側弾性部材は、前記上層側折返し面の外側延出代部分の幅方向中間部に配置することが好ましい。これにより、弾性部材が肌当接面の広い範囲に配設されることとなり、肌との接触面積が増加して漏れを防ぐことができる。
【0024】
請求項6に係る本発明として、前記外側弾性部材のテンションは内側弾性部材のテンションに対し同等以上に設定されている請求項
2記載の生理用ナプキンが提供される。
【0025】
上記請求項6記載の発明では、前記外側弾性部材のテンションを内側弾性部材のテンションに対し同等以上に設定することによって、立体ギャザーの肌当接面が内側に傾斜した断面形状で起立しやすくなり、肌との密着性をより一層向上させることができる。
【0026】
請求項7に係る本発明として、前記下層側接合領域は、生理用ナプキンの側方側から前記吸収体と重なる位置まで形成されている請求項
2記載の生理用ナプキンが提供される。
【0027】
上記請求項7記載の発明では、前記下層側折返し面を下層側の構成部材に接合する接合領域の範囲として、生理用ナプキンの側方側から前記吸収体と重なる位置まで形成することによって、この接合領域の内側縁部を基点として起立する立体ギャザーの起立壁が吸収体の介在位置に形成されることとなり、起立壁で堰き止めた体液を吸収体に吸収しやすくしている。